HS2022 第9類:コーヒー、茶、マテ及び香辛料(Coffee, tea, maté and spices)

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • コーヒー(焙煎の有無・デカフェの有無を問わない)と、コーヒーの殻・皮、コーヒーを含む代用品(0901)
    • 茶(緑茶・紅茶・半発酵茶を含み、フレーバー付きでも可)(0902)
    • マテ(0903)
    • 胡椒(Piper属)、乾燥唐辛子等(Capsicum/Pimenta属の乾燥品、粉砕・粉状含む)(0904)
    • 香辛料(バニラ、シナモン、クローブ、ナツメグ等、各種種子、しょうが、サフラン、ターメリック等)(0905〜0910)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • コーヒー/茶/マテの抽出物・濃縮物、インスタント(例:インスタントコーヒー、濃縮紅茶)→ 第21類 2101(「抽出物・エッセンス・濃縮物…」)
    • 香辛料に塩・糖・油・うま味調味料等を加え、香辛料としての本質(essential character)を超えて「調味料」化したもの → 第21類 2103(混合調味料等)になり得る
    • “茶”と呼ばれていても Camellia sinensis ではないハーブティー原料(例:ミント葉、カモミール等)→ 第12類 1211(植物性の薬用・香料用等)等に寄りやすい(実体で判断)
    • Cubeb pepper(Piper cubeba)→ 第12類 1211(第9類の類注で除外明記)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「原形の農産物(豆・葉・樹皮・種子等)」か、「抽出物/濃縮物/調製品」か(0901〜0910 vs 2101/2103)
    2. 香辛料の混合:同一項内の混合か、異なる項同士の混合か(類注で 0910 へ寄せるルールあり)
    3. 茶(0902)は「包装重量(3kg以下か)」で6桁が分かれる(小売・業務用の境界になりやすい)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • スパイスミックス(カレー粉等):0910(香辛料の混合)か、2103(混合調味料)かで章が変わり、関税・原産地規則(PSR)・食品規制の取り扱いもズレやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+部注/類注):第9類は類注(混合の扱い、除外品)が強いです。まず「何が混ざっているか」「何を足したか」を類注に当てます。
    • GIR6(号の決定):茶の「3kg以下包装」や、胡椒/バニラ等の「粉砕・粉状か否か」など、6桁条件がそのまま号の分岐です。
    • (補足)GIR3(b)(本質/essential character):香辛料に他物質を加えたとき、「香辛料としての本質が残るか」を考える場面で実質的に登場します(ただし第9類類注が先に立ちます)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 原料植物(属・種、部位:豆/葉/果実/種子/樹皮等)
    • 状態(乾燥、焙煎、発酵/半発酵、粉砕/粉状、抽出/濃縮)
    • 混合の有無(同一項内か、異項混合か、塩・糖・油等の添加の有無)
    • 包装(特に茶:3kg以下の即時包装か)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:これは「コーヒー/茶/マテ/香辛料(植物そのもの)」ですか?
    • はい → Step2へ
    • いいえ(抽出物・濃縮物・インスタント等) → 2101(第21類)を疑う
  • Step2:香辛料(0904〜0910)の場合、「混合」ですか?
    • 単品 → 各項(0904〜0910)へ
    • 混合 → Step3へ
  • Step3:混合の中身は「同一項の産品どうし」か「異なる項どうし」か?
    • 同一項どうし(例:黒胡椒+白胡椒=どちらも0904)→ その項のまま
    • 異なる項どうし(例:胡椒0904+クミン0909)→ 0910(香辛料の混合)へ寄せる
  • Step4:香辛料に塩・糖・油などを足していませんか?
    • 足している → 「香辛料の本質が残る」なら第9類の可能性が残るが、混合調味料に該当すると 2103(第21類)へ行くことがある
  • よく迷う境界:
    • 第9類(香辛料) vs 第21類(2103:混合調味料、2101:抽出物・インスタント)
    • 第7類(生鮮のトウガラシ等) vs 第9類(乾燥/粉砕のトウガラシ等)
    • 第9類(スパイスとしての種子) vs 第12類(1211:薬用・香料用植物等)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第9類は項数が多くないため、全列挙します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0901コーヒー(焙煎/デカフェ問わず)、コーヒーの殻・皮、コーヒーを含む代用品生豆、焙煎豆、デカフェ豆、コーヒーハスク(カスカラ原料)、コーヒー入り代用飲料原料焙煎/未焙煎、デカフェで号が分岐。抽出物・インスタントは 2101 へ寄りやすい
0902茶(フレーバー付きでも可)緑茶、紅茶、烏龍茶(半発酵茶)、フレーバーティー、ティーバッグ「発酵(紅茶)/不発酵(緑茶)/半発酵」+「3kg以下包装」有無で号が分岐
0903マテマテ茶用の葉抽出物は 2101(茶/マテ抽出物)へ
0904胡椒(Piper属)、乾燥トウガラシ等(Capsicum/Pimenta属の乾燥品)黒胡椒ホール/粉、白胡椒、乾燥唐辛子ホール/粉、パプリカパウダー乾燥/粉砕のCapsicum等は第7類から除外され 0904(類間境界が明確)
0905バニラバニラビーンズ、バニラパウダー「粉砕・粉状か否か」で号分岐
0906シナモン、シナモンの花シナモンスティック、シナモンパウダー一部種(セイロンシナモン)とその他で分岐+粉砕分岐
0907クローブ(丁子:果実・花・柄)クローブホール、クローブ粉末粉砕分岐
0908ナツメグ、メース、カルダモンナツメグホール/粉、メース、カルダモン品目(ナツメグ/メース/カルダモン)別+粉砕分岐
0909アニス/スターアニス/フェンネル/コリアンダー/クミン等の種子、ジュニパーベリーコリアンダーシード、クミンシード、フェンネルシード等種子の種類別+粉砕分岐。第12類1209(播種用種子)に行かない例外規定がある点に注意
0910しょうが、サフラン、ターメリック、その他の香辛料(混合含む)しょうが(ホール/粉)、サフラン、ターメリック粉、スパイスミックス(異項混合)異項の香辛料混合は 0910.91 へ寄せる(類注)。塩等を加えた混合調味料は 2103 の可能性

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • コーヒー:未焙煎/焙煎、デカフェ/非デカフェ(0901.11/12/21/22)
    • 茶:緑茶(不発酵)/紅茶(発酵)/半発酵、かつ 即時包装3kg以下か(0902.10/20/30/40)
    • 香辛料:粉砕・粉状(crushed/ground)か否か(0904、0905、0906、0907、0908、0909、0910の一部)
    • 香辛料の混合:同一項内の混合はその項、異項混合は0910(類注1)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(例)
    1. 0901(コーヒー豆) vs 2101(インスタント/抽出物)
      • どこで分かれるか:豆・粉など「コーヒーそのもの」か、抽出/濃縮/調製したものか
      • 判断に必要な情報:製造工程(抽出の有無)、形状(粉末でも「豆を粉砕しただけ」か「インスタント」か)、原材料表示
      • 典型的な誤り:「粉末=インスタント」と誤認して2101にしてしまう(または逆)
    2. 0902.10/0902.30(3kg以下包装) vs 0902.20/0902.40(その他)
      • どこで分かれるか:即時包装(immediate packing)1包装あたり内容量が3kg以下
      • 判断に必要な情報:包装仕様(個装の重量、袋数、業務用の大袋か)、販売形態(小売向け/業務用)
      • 典型的な誤り:外装(カートン)重量で判断してしまい、個装3kgルールを見落とす
    3. 0904(乾燥トウガラシ等) vs 第7類(生鮮トウガラシ等)
      • どこで分かれるか:乾燥/粉砕/粉状のCapsicum/Pimenta果実は第7類から除外され0904へ
      • 判断に必要な情報:乾燥状態、加工(粉砕)有無、含水率の実態(乾燥品か)
      • 典型的な誤り:「唐辛子=野菜(第7類)」で固定してしまう
    4. 0910.91(異項の香辛料混合) vs 2103(混合調味料)
      • どこで分かれるか:香辛料同士の混合で本質が香辛料なら0910.91に寄りやすい一方、塩・糖・油等の添加で「調味料」化すると2103へ
      • 判断に必要な情報:配合比(香辛料比率、塩・糖・油等の割合)、用途(テーブル用調味料か)、製品表示(seasoning/condiment)
      • 典型的な誤り:「カレー粉=0910」と決め打ちし、実際は塩や増量材が多い混合調味料だった

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第2部(植物性生産品)では「ペレット」の定義があり、圧縮または結合剤(バインダー)添加でも重量比3%以下ならペレットとして扱う、という考え方が示されています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば、粉末原料(茶葉粉末・香辛料粉末等)が「成形されている」場合でも、結合剤がごく少量(≤3%)で、実体が当該品目のままなら、安易に「調製品(第21類等)」へ飛ばさず、まずは当該章・項に当てる発想を持つ、という注意喚起になります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 結合剤や他原料が多く、もはや香辛料/茶等の本質が弱い(=調製食品の性格が強い)場合は、第21類(2103/2106等)を再検討します。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 香辛料(0904〜0910)の混合は、類注1でルール化されています。
      • 同一項の産品同士の混合 → その項
      • 異なる項の産品の混合 → 0910
      • 他物質を加えても、本質(essential character)が香辛料として残るなら分類は原則維持。ただし「混合調味料」に当たるものは 2103。
    • Cubeb pepper(Piper cubeba)等は第9類に含めない(除外)という明示があります。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • この類注で鍵になるのは「essential character(本質)」の考え方です(配合・用途・見た目・香味の支配性などで判断)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • Cubeb pepper(Piper cubeba)→ 1211(第12類)
    • 混合調味料(mixed condiments/seasonings)→ 2103(第21類)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:香辛料ミックスの行き先が 0910 か 2103 か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 原材料一覧(香辛料以外:塩・砂糖・でん粉・油脂・調味料・香料などの有無)
      • 配合比(可能なら重量%)
      • 用途(卓上調味料か、香辛料原料か)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書、配合表、BOM、製造工程図、パッケージ表示(食品表示)、サンプル写真
    • 誤分類の典型:
      • 「カレー粉」等をすべて0910に寄せる(実際は塩等を含む混合調味料で2103が妥当なケースがある)
  • 影響ポイント2:異項混合は 0910 に“寄せる”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 混合されている香辛料が、見出し上「同一項」か「別項」か(例:胡椒0904+クミン0909=別項)
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表、原材料名、原料の学名/一般名(どの香辛料か)
    • 誤分類の典型:
      • 異項混合なのに、主要原料の項(例:胡椒0904)に入れてしまう(類注1(b)を見落とし)
  • 影響ポイント3:第12類1209(播種用種子)への“逃げ”ができない品目がある
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 対象が「第9類の産品(香辛料その他)」かどうか
    • 実務ポイント:
      • 第12類の類注で、1209は「香辛料又は第9類の産品」には適用しない(播種用でも)とされており、種子だからといって自動で1209にしない、という落とし穴があります。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:インスタントコーヒーを0901にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目が粉末で「コーヒー粉」と誤認
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):抽出物・濃縮物・調製品は2101側の見出しに当てる(0901はコーヒーそのもの等)。
    • 予防策:工程確認(抽出の有無)、仕様書で「soluble/instant」表示、成分分析表
  2. 間違い:緑茶/紅茶の6桁を「発酵だけ」で決め、3kg包装条件を見落とす
    • なぜ起きる:重量条件が見出し文に埋もれている
    • 正しい考え方:0902は「発酵区分」×「即時包装3kg以下」で号が分岐。
    • 予防策:個装単位の重量(immediate packing)を必ず確認、包装仕様書・梱包明細を入手
  3. 間違い:“ハーブティー”原料を0902(茶)にしてしまう
    • なぜ起きる:商品名に「tea」が入る
    • 正しい考え方:0902は「茶(Camellia sinensis)」の枠。別植物の葉等は1211等へ寄りやすい(実体で判断)。
    • 予防策:学名/原料植物、用途(薬用/香料用/飲用)を確認。社内質問例「原料植物は何か(学名)?」
  4. 間違い:乾燥唐辛子を第7類(野菜)にしてしまう
    • なぜ起きる:「唐辛子=野菜」の固定観念
    • 正しい考え方:第7類の注で、乾燥/粉砕のCapsicum/Pimentaは第7類から除外され0904へ。
    • 予防策:乾燥状態・加工状態(粉砕)を確認。商品写真、含水率、製法メモ
  5. 間違い:スパイスの「ホール」と「粉」を同じ6桁で申告
    • なぜ起きる:同じ品名(pepper/cinnamon等)だから
    • 正しい考え方:0904/0905/0906/0907/0908/0909は「粉砕・粉状か否か」で分岐するものが多い。
    • 予防策:粒度仕様(メッシュ)、製造工程(粉砕工程の有無)、製品形状写真の保管
  6. 間違い:異項の香辛料ミックスを、主要原料の項(例:0904)に分類
    • なぜ起きる:主要原料主義で判断し、類注1(b)を見ない
    • 正しい考え方:異なる項の香辛料混合は 0910 に分類するルールがある。
    • 予防策:配合表を入手し、各原料を「どの項か」まで落としてから最終号を決める
  7. 間違い:塩入りスパイス(シーズニング)を 0910 としてしまう
    • なぜ起きる:「スパイスが主だから」と短絡
    • 正しい考え方:類注では、混合調味料に当たるものは 2103 とされ得る。
    • 予防策:塩・糖・油等の割合確認、用途(卓上/調理用)確認、表示(seasoning/condiment)確認
  8. 間違い:Cubeb pepper を 0904(胡椒)にしてしまう
    • なぜ起きる:「pepper」という英名だけで判断
    • 正しい考え方:第9類の類注で Cubeb pepper は除外(1211へ)。
    • 予防策:学名確認(Piper nigrum か Piper cubeba か)、原料証明書・仕入先仕様書を取得

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第9類は「章変更(第21類へ飛ぶ)」が起きやすいので、分類ミスがそのまま原産性判断の前提崩壊につながります(例:0910想定でPSR確認→実体は2103だった)。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:シーズニング)だけ見てHSを決め、原料(香辛料・塩等)のHSや工程の影響を見ない
    • 「茶葉(0902)」と「インスタントティー(2101)」を同じ扱いにしてPSRを見てしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに参照するHS版が異なることがあり、PSR確認時は「協定が参照するHS年版」を前提に読み替えが必要です。日本の税関も、EPAごとのHS年版差を意識する必要がある旨を案内しています。
  • 本章(第9類)に関しては、少なくともHS2012→HS2017→HS2022の第9類(6桁)構成は同一です(後述7章)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、各材料の原産国、非原産材料のHS、原価(RVCの場合)、工程フロー
  • 書類:
    • 仕様書、配合表、製造工程表、購買証憑、原産材料/非原産材料の証明、保存要件に沿った保管(協定・運用で異なる)
  • 第9類特有の「追加で集めたいもの」:
    • 香辛料ミックス:配合比(0910か2103かに効く)、添加物一覧
    • 茶:包装仕様(3kg条件)
    • コーヒー:抽出の有無(0901か2101か)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(6桁の構成同一)0901〜0910第9類の見出し・類注・6桁構成が同一年版差による読み替え負担が比較的小さい(ただし国内コードは別途確認)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCO公表のHS2017第9類条文(見出し・類注・6桁)と、HS2022第9類条文を突合し、項・号の構成および類注文言が同一であることを確認しました。
  • なお、税関・統計で使う国内細分(日本の国内コード)はHS6桁とは別物なので、年次改正や国内細分の新設等は別途(日本の関税率表)で確認が必要です。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第9類は **HS2007→HS2012で香辛料系を中心に細分化(6桁の分割)**があり、その後(HS2012→HS2017→HS2022)は6桁構成が概ね維持されています。

期間主な追加・削除・再編(6桁ベース)旧コード→新コード(例)実務メモ
HS2007→HS2012分割(香辛料の「粉砕/粉状」等の識別を強化)例:0904.20(乾燥Capsicum/Pimenta)→ 0904.21(乾燥・未粉砕)/0904.22(粉砕・粉状)粒度・加工状態の確認がより重要に
HS2007→HS2012分割例:0905.00(バニラ)→ 0905.10/0905.20バニラもホール/粉で申告分岐
HS2007→HS2012分割例:0907.00(クローブ)→ 0907.10/0907.20同上
HS2007→HS2012再編(削除/統合+再配置)例:0909.10(アニス等)・0909.20(コリアンダー)・0909.30(クミン)・0909.40(ジュニパー)→ 0909.21/22、0909.31/32、0909.61/62 等へ整理種子系の分類が「種類×粉砕」で整理された
HS2012→HS2017大きな再編なし(本章)年版差は相対的に小さい
HS2017→HS2022大きな再編なし(本章)同上

(注)相関表は改正の全体像を把握するのに便利ですが、最終的な分類は条文(見出し・注)と取引実体に基づきます。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):カレー粉を0910で申告したが、実体は「塩入りシーズニング」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):香辛料に他物質を加えた結果、混合調味料(2103)扱いが妥当になり得るのに、類注の「本質」判断と2103への分岐を見落とし
    • 起きやすい状況:商品名に「spice mix」「curry powder」、原材料に塩があるが確認不足
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、遅延(一般論)
    • 予防策:配合表・塩分%・用途(卓上/加工用)を事前確認、必要なら税関相談
  • 事例名:乾燥唐辛子(粉)を第7類で申告
    • 誤りの内容:第7類の注で乾燥/粉砕Capsicumは第9類0904へ除外される点を見落とし
    • 起きやすい状況:「野菜」カテゴリで社内マスターが固定
    • 典型的な影響:分類更正、書類差替、食品届出書類の再提出(一般論)
    • 予防策:乾燥・粉砕の有無を写真・仕様書で固定し、マスターに注記
  • 事例名:ティーバッグの号を誤り(3kg条件の見落とし)
    • 誤りの内容:0902の「即時包装3kg以下」条件を見落とし
    • 起きやすい状況:外装重量で判断、個装仕様が不明
    • 典型的な影響:更正、統計誤りの指摘、取引先の書類修正(一般論)
    • 予防策:個装重量・入数をインボイス/パッキングリストに明記
  • 事例名:Cubeb pepper を「胡椒」として0904申告
    • 誤りの内容:第9類類注の除外(Cubeb pepper)を見落とし
    • 起きやすい状況:英名 “pepper” のみで判断
    • 典型的な影響:差戻し、追加説明要求、輸入許可の遅延(一般論)
    • 予防策:学名確認(Piper cubeba)、仕入先仕様書の収集

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • コーヒー、茶、香辛料は食品に該当し、輸入時は食品衛生法に基づく手続(輸入届出等)が関係します(実務は検疫所手続が中心)。
    • 植物検疫
      • 植物由来原料(乾燥品・種子・葉等)は、形態や加工度により植物検疫の確認が必要となる場合があります。対象可否は植物防疫所(植物検疫)の案内・品目別条件で確認します。
    • ワシントン条約(CITES)等
      • 第9類の典型品目(コーヒー・茶・一般香辛料)は通常CITES中心ではありませんが、原料植物が特殊な場合は別途確認が必要です(一般論)。
    • 安全保障貿易管理
      • 通常は該当しにくい分野ですが、輸出する場合は輸出管理の一般ルールに従い最終確認します。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 税関(分類・関税・EPA原産地)
    • 厚生労働省・検疫所(輸入食品手続)
    • 農林水産省・植物防疫所(植物検疫)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 成分・配合表(スパイスミックスは特に重要)
    • 製造工程(抽出/濃縮の有無)
    • 原材料の学名・原産地
    • 包装仕様(茶の3kg条件)
    • 食品表示ラベル(輸入時提出や社内確認用)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料植物(学名/一般名)、部位(豆・葉・果実・種子・樹皮)
    • 加工状態(乾燥、焙煎、発酵/半発酵、粉砕、抽出/濃縮)
    • 混合の有無、添加物(塩・糖・油・調味料等)と配合比
    • 茶:即時包装(個装)重量、ティーバッグ仕様
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 香辛料混合:同一項内/異項混合、0910.91適用可否
    • 2101(抽出物)/2103(混合調味料)へ飛ぶ要素がないか
    • Cubeb pepper等の除外品に当たらないか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「roasted/green」「decaffeinated」「ground/crushed」「fermented/green」「mix/seasoning」「salt added」等、分岐語を入れる
    • 仕様書、写真、配合表を添付できる状態にする(照会対策)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS年版、PSRの対象号、原料HSの整合
    • 保存書類(BOM/原価/工程)を協定要求に合わせて準備
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生:輸入届出の要否、検査要否(検疫所)
    • 植物検疫:品目別条件の確認(植物防疫所)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文:第9類 Coffee, tea, maté and spices(0209_2022E))参照日:2026-02-14
  • WCO(HS2017条文:第9類(0209_2017E))参照日:2026-02-14
  • WCO(HS2012条文:第9類(0209_2012E))参照日:2026-02-14
  • WCO(Section II 注:pellets の定義)参照日:2026-02-14
  • WCO(第21類:2101(抽出物等)、2103(混合調味料等))参照日:2026-02-14
  • WCO(第12類:1209(播種用種子)注記、1211)参照日:2026-02-14
  • WCO(第7類:乾燥/粉砕Capsicum等は第7類から除外→0904)参照日:2026-02-14
  • 日本税関:HS2022への対応(相関表等の案内)参照日:2026-02-14
  • 日本税関:EPA/原産地(PSR検索等、協定ごとのHS年版差に関する情報)参照日:2026-02-14
  • (参考)WCO相関表(HS2007→HS2012)参照日:2026-02-14
  • 東京税関:輸入手続(輸入食品・植物検疫等の案内)参照日:2026-02-14
  • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の案内(パンフ)参照日:2026-02-14
  • 日本食品分析センター:輸入食品の届出・検査の概説(参考)参照日:2026-02-14

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第8類:食用の果実及びナット(ナッツ);かんきつ類又はメロンの皮(Edible fruit and nuts; peel of citrus fruit or melons)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 生鮮(※冷蔵=chilled含む)の果実:りんご、ぶどう、桃、さくらんぼ、柑橘類 など(0805/0806/0808/0809等)
    • 生鮮または乾燥のナッツ:アーモンド、くるみ、ピスタチオ、松の実 など(0801/0802)
    • 冷凍果実・ナッツ(加糖の有無を問わない):冷凍いちご、冷凍ベリー など(0811)
    • 暫定保存(例:ブライン、亜硫酸水等)で“そのまま食べられない状態”の果実・ナッツ(0812)
    • 乾燥果実(ただし、08.01〜08.06以外の乾燥果実は0813へ):ドライアップル、プルーン、ドライアプリコット等(0813)
    • かんきつ類又はメロンの皮(生・冷凍・乾燥・暫定保存):乾燥オレンジピール等(0814)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 食用でない果実・ナッツ → 第8類では扱わない(別章/別品目の可能性)。
    • 落花生(ピーナッツ/ground-nuts)(未調理) → 第12類 1202(油糧種子側)。
    • 砂糖漬け(ドレインド/グラッセ/結晶化)果実・ナッツ・果皮 → 第20類 2006(糖蔵)。
    • 缶詰・瓶詰・ジャム・ペースト・その他調製/保存(ロースト、塩味、味付け等を含む) → 第20類 2007/2008等(内容次第)。
    • 果汁(果実/ナッツ/野菜のジュース) → 第20類 2009。
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 状態:生鮮/冷蔵、冷凍、乾燥、暫定保存(0812)、果皮(0814)で大きく枝分かれします。
    2. 加工度:第8類は「基本的に未調製」。砂糖漬け・ジャム・缶詰・ロースト等は第20類へ寄りやすいです。
    3. 品目の“種別”:落花生は第12類(1202)で、第8類の他ナッツと扱いが分かれます。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **暫定保存(0812)**を2008(調製/保存)や生鮮(0809等)で申告して差戻し・検査強化になるケース(状態・食用適否の説明不足が原因)。
    • **松の実(pine nuts)**はHS2022で6桁が分割され、旧版前提のままだと原産地規則・統計・社内マスタが崩れやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し文言+注):第8類は「状態(fresh/frozen/dried/provisionally preserved)」が見出しや類注で明確なので、まずGIR1で骨格が決まります。
    • GIR6(6桁の選択):同じ項でも「殻付き/むき身」「品種・果実種」などで6桁が分かれます(例:0802.91/0802.92)。
    • GIR3(混合物・セット):0813.50(ミックス)など、混合が分類を左右します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • **状態(冷蔵/冷凍/乾燥/暫定保存)**は、商品名より優先して確認します(温度帯・保存液・水分活性など)。
    • 加工度(加糖、加熱、ロースト、味付け、缶詰、ピューレ、ジュース化)を確認し、第20類へ飛ぶかどうかを先に潰します。
    • 食用か否か(工業用・飼料用・種子用等)も重要です(食用でないと第8類から外れ得ます)。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「果実/ナッツ/柑橘・メロンの皮」か?(野菜・種子・加工食品ではないか)
  • Step2:食用か?(食用でない場合は第8類から外れる可能性)
  • Step3:状態はどれか?
    • 生鮮/冷蔵 → 0801〜0810の該当項へ
    • 冷凍 → 0811
    • 乾燥 → 0801〜0806(品目が該当する場合)または0813(その他乾燥果実/ミックス)
    • 暫定保存(輸送・保管目的で保存液等、かつその状態で即時食用不可)→ 0812
    • 皮(柑橘/メロン)→ 0814
  • Step4:加工度チェック:糖蔵・ジャム・缶詰・調製/保存・ジュース等なら第20類(2006/2007/2008/2009)へ。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第8類(未調製) vs 第20類(調製/保存):加糖・加熱・ロースト・味付け・缶詰など「調製」が入ったら第20類寄り。
    • 0812(暫定保存) vs 0809/0810(生鮮):保存液やSO2等で“そのまま食べられない状態”かが鍵。
    • 0802(ナッツ) vs 1202(落花生):落花生は別章。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0801ココナッツ、ブラジルナッツ、カシューナッツ(生鮮/乾燥)ココナッツ、カシューナッツ殻付き/むき身等で6桁分岐。
0802その他のナッツ(生鮮/乾燥)アーモンド、くるみ、ピスタチオ、松の実殻付き/むき身が主要分岐。松の実はHS2022で6桁が分割。
0803バナナ(プランテン含む)(生鮮/乾燥)バナナ、プランテン乾燥でも0803内。
0804デーツ、いちじく、パイン、アボカド、マンゴー等(生鮮/乾燥)デーツ、ドライいちじく乾燥でも0804内(0813ではない)。
0805かんきつ類(生鮮/乾燥)オレンジ、みかん、レモン0805.21/22等(品種)で分岐。
0806ぶどう(生鮮/乾燥)生食用ぶどう、干しぶどう乾燥ぶどう(レーズン)は0806.20。
0807メロン(スイカ含む)・パパイヤ(生鮮)スイカ、メロン、パパイヤメロンは0807.11/0807.19等で分岐。
0808りんご・梨・マルメロ(生鮮)りんご、梨、マルメロHS2012で梨/マルメロが細分化された経緯あり。
0809あんず、さくらんぼ、もも、すもも等(生鮮)さくらんぼ、桃、プラムさくらんぼは酸果/その他で分岐。
0810その他の果実(生鮮)いちご、キウイ、柿、ベリー類HS2012で柿(0810.70)等が独立。
0811果実・ナッツ(冷凍)冷凍いちご、冷凍ベリー加糖の有無で即「第20類」とは限らない点に注意。
0812果実・ナッツ(暫定保存:即時食用不可)ブライン漬けチェリー(原料用)“輸送・保管のための暫定保存のみ”で、かつ即時食用不可が条件。
0813乾燥果実(0801〜0806以外)+ナッツ/乾燥果実ミックスドライアップル、プルーン、ミックスドライフルーツレーズン(0806.20)等は0813ではない。混合は0813.50へ。
0814かんきつ類又はメロンの皮乾燥オレンジピール皮は果実本体と別項。暫定保存(ブライン等)もここに含まれ得る。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 殻付き/むき身:ナッツ類(0801/0802)は典型的に殻の有無で分岐します。
    • 果実の種類(品種・属):柑橘(0805)や一部ベリー(0810/0811)などは、種別で6桁が分かれます。
    • 状態:冷凍(0811)、暫定保存(0812)、乾燥(0803/0804/0806 or 0813)で“項そのもの”が変わります。
    • 「乾燥としての性格を保持」:乾燥果実に油・少量糖液等を添加しても、乾燥としての性格を保つ範囲なら第8類に残り得ます。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 松の実:0802.91/0802.92/0802.99(HS2022)
      • どこで分かれるか:松の実の殻付き(0802.91)か、むき身(0802.92)か、その他(0802.99)。
      • 判断に必要な情報:殻の有無、製品写真、規格書(“shelled”/“in shell”表記)、HS移行の有無(マスタがHS2017のままか)。
      • 典型的な誤り:旧「0802.90(その他)」のまま固定してしまい、原産地規則や統計がズレる。
    2. みかん・クレメンタイン等:0805.21/0805.22/0805.29
      • どこで分かれるか:マンダリン(タンジェリン・温州みかん等)/クレメンタイン/その他の近縁ハイブリッド。
      • 判断に必要な情報:品種名(学名・商業名)、産地の品種表示、カタログ・ラベル表示。
      • 典型的な誤り:「みかん類」を全部“その他(0805.90等)”に寄せる、または国内コードと混同する。
    3. 冷凍(0811) vs 暫定保存(0812)
      • どこで分かれるか:凍結状態か、保存液等で暫定保存され“そのまま食べられない状態”か。
      • 判断に必要な情報:温度条件、保存媒体(ブライン/亜硫酸水等)、食用適否(即時消費できるか)、工程・用途(原料用か)。
      • 典型的な誤り:ブライン漬け原料を「生鮮」扱いで0809にしてしまう。
    4. 乾燥ぶどう(0806.20) vs 乾燥果実(0813)
      • どこで分かれるか:ぶどうは乾燥でも0806に残る一方、りんご等は乾燥で0813へ行くことが多い。
      • 判断に必要な情報:原料果実が何か(学名/一般名)、製品規格。
      • 典型的な誤り:ドライフルーツを一律0813にしてしまい、レーズンを誤る。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第8類が属する**第II部(VEGETABLE PRODUCTS)**には、「pellets(ペレット)」の定義があります(結着剤は原則3%以下等)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば、果実由来の固形化品(ペレット状)を扱う場合、「ペレット」定義に当てはまるかで、別品目(飼料、調製品など)との境界検討が必要になることがあります(第8類に残るとは限りません)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • ペレット化され、かつ用途・加工度が「調製品・飼料」側で説明されると、第8類ではなく別章(例:第20類や第23類等)検討が必要になります(具体は製品実態次第)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第8類注の核):
    1. 食用でない果実・ナッツは除外(第8類の前提は“edible”)。
    2. 冷蔵(chilled)は生鮮と同じ項で分類(冷蔵=別項にはならない)。
    3. 乾燥果実・乾燥ナッツの軽微な処理(再水和の一部、軽度加熱、硫黄処理、保存料、少量糖液、油の添加など)をしても、乾燥としての性格を保つなら第8類に残り得る。
    4. 0812(暫定保存)の適用条件:輸送・保管のための暫定保存のみで、かつその状態で即時食用不可であること。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「暫定保存(provisionally preserved)」の考え方は、類注で“目的(輸送・保管)”と“食用適否(その状態で即時食用不可)”が条件として明示されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 食用でない果実・ナッツは第8類から外れます。
    • 砂糖漬け等の調製・保存が入ると、第20類(2006/2008等)へ寄ります。
    • 落花生(未調理)は第12類 1202。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:冷蔵(chilled)=生鮮と同じ項
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):輸送温度帯(冷蔵/冷凍)、HS上の状態表示(fresh/chilled/frozen)。
    • 現場で集める証憑:温度記録、インボイス記載(chilled)、物流仕様書。
    • 誤分類の典型:「冷蔵だから別項」と誤解し、別章(調製品側)へ寄せる。
  • 影響ポイント2:乾燥果実の“軽微な処理”は第8類に残り得る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):添加物の種類と量(保存料、油、糖液の少量等)、処理目的(保存/外観維持)、最終品が“乾燥としての性格”を保持しているか。
    • 現場で集める証憑:成分表、製造工程、添加量、製品写真(べたつき/シロップ漬け等の程度確認)。
    • 誤分類の典型:少量の糖液・油の添加を理由に、すぐ第20類(2008等)へ飛ばしてしまう(実態は乾燥の範囲内)。
  • 影響ポイント3:0812(暫定保存)に入る条件が“目的+即時食用不可”で決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):保存媒体(SO2、ブライン等)、用途(加工原料用か)、その状態で食べられるか。
    • 現場で集める証憑:SDS/成分(亜硫酸等)、工程図、用途説明書(加工原料である旨)、サンプル写真。
    • 誤分類の典型:ブライン漬け原料を「生鮮さくらんぼ(0809)」にしてしまう/逆に、普通に食べられる塩味ナッツを0812にしてしまう(後者は2008寄り)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ロースト・塩味ナッツを0802(ナッツ)で申告
    • なぜ起きる:品名が「ピスタチオ」「アーモンド」で止まってしまい、加工度(ロースト・味付け)を見落とす。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):調製/保存が入ると第20類(2008等)側で検討。
    • 予防策:仕様書に「roasted/salted/flavored」の有無、油脂・調味料、包装形態(スナック用途)を確認。
  2. 間違い:ブライン漬け(暫定保存)チェリーを生鮮(0809)で申告
    • なぜ起きる:外観が“果実”で、生鮮と同じに見える。
    • 正しい考え方:輸送・保管のための暫定保存で、その状態で即時食用不可なら0812。
    • 予防策:保存媒体(ブライン等)と“即時食用不可”の説明資料(用途:加工原料)を用意。
  3. 間違い:乾燥果実をすべて0813に寄せる(レーズン等も含めてしまう)
    • なぜ起きる:0813を「ドライフルーツ一般」と誤解。
    • 正しい考え方:ぶどう(0806.20)など、乾燥でも0801〜0806に残る品目がある。
    • 予防策:原料果実名を必ず確認し、「0801〜0806該当か」を先に判定。
  4. 間違い:冷凍果実(0811)を“加工品”として2008へ
    • なぜ起きる:「冷凍=加工」と短絡。
    • 正しい考え方:第8類に冷凍(0811)が明確にあり、加糖があっても直ちに2008とは限らない。
    • 予防策:調製/保存の有無(加熱、シロップ漬け、缶詰等)と、HS上の状態(frozen)を分けて整理。
  5. 間違い:“冷蔵(chilled)”を別扱いして誤った項へ
    • なぜ起きる:chilledを「別の加工状態」と誤解。
    • 正しい考え方:類注で、冷蔵は対応する生鮮と同じ項。
    • 予防策:温度帯(冷蔵/冷凍)を物流資料で証明し、chilledはfresh側で検討する癖をつける。
  6. 間違い:落花生(ピーナッツ)を0802(その他ナッツ)へ
    • なぜ起きる:日常用語で“ピーナッツ=ナッツ”のため。
    • 正しい考え方:落花生(未調理)は第12類1202。
    • 予防策:原料がground-nutsかどうか、ローストの有無を確認(ローストなら2008側も検討)。
  7. 間違い:乾燥果実の軽微な処理(少量油・保存料等)を理由に第20類へ
    • なぜ起きる:添加物があると自動的に「調製品」と判断してしまう。
    • 正しい考え方:乾燥としての性格を保持する範囲の処理は第8類に残り得る。
    • 予防策:添加目的・添加量、製品の食感/状態(シロップ漬けではない)を文書化。
  8. 間違い:HS版の違い(2017↔2022)を無視して6桁を旧コードで固定
    • なぜ起きる:社内マスタやPSR判定が旧版のまま運用されている。
    • 正しい考え方:松の実のようにHS2022で6桁が分割される例がある。
    • 予防策:協定・統計・申告が参照するHS版を確認し、相関表でマッピングしてから判断する。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • PSRは「最終製品のHS(多くは6桁や4桁)」を起点に選びます。分類がズレると、適用すべきCTC(関税分類変更)・RVC等の判断軸が崩れます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 材料が第8類(例:0806干しぶどう)でも、最終製品が第20類(例:2008の調製品)になるとPSRが変わります。
    • 「冷凍(0811)」「暫定保存(0812)」「乾燥(0813/0806.20)」の取り違えが、そのままPSRミスに直結します。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • 協定・運用文書によって参照HS版が異なることがあります(例:運用上、HS2022へ“トランスポーズ(置換)”したPSRを別途用意する等)。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 日本税関サイトでは、PSR検索やHS版変換(相関表参照)への導線があります。
    • RCEPでは、HS2022に置換したPSRが採択され、一定時期から実施される旨が示されています(協定・運用文書で確認が必要)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定が参照するHS版」を確定 → 次にWCO相関表で旧↔新を対応付け → 最後に“実際の貨物の分類(GIR+注)”がどちらの版でも同じ商品を指すかを確認、という順が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 原料果実/ナッツがどの状態(生鮮/冷凍/乾燥/暫定保存)かでHSが変わるため、工程表とBOMの整合が重要です。
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 原産地証明で問われやすいのは、**工程説明(どこで何をしたか)**と、材料のHS・原産地の根拠です。社内で監査対応できる形で保存する運用を推奨します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割0802.90 → 0802.91/0802.92/0802.99松の実を「殻付き/むき身」で識別できるよう細分化HSマスタ更新、統計・PSR・契約書(HS記載)見直しが必要
HS2017→HS2022文言修正(実務上は明確化)第8類注(0812の適用条件の書きぶり)HS2022では0812の適用条件(暫定保存・即時食用不可)を注で明確化している(HS2017は0812見出し文に例示が中心)0812該当性の説明資料(用途・食用適否)の重要性が上がる

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)と判断の筋道:
    • **松の実(pine nuts)**について、HS2022↔HS2017相関表において「0802.90が0802.91/0802.92/0802.99に分割された」旨と、その理由(貿易量増加等)が記載されています。これに基づき、HS2022では松の実が6桁で識別されると判断しました。
    • 実際のHS2022第8類の見出し(0802.91/0802.92/0802.99)が条文上存在することを、WCO公表のHS2022第8類テキストで確認しています。
    • 0812については、HS2022の第8類注に適用条件が明示されている一方、HS2017の同章テキストでは注が1〜3で、0812の説明は見出し文として記載されています。これを「表現・配置の明確化」と整理しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れ(第8類で実務影響が出やすい例)
    | 変更サイクル | 旧コード → 新コード(例) | 変更の趣旨(要旨) | 実務メモ |
    |—|—|—|—|
    | HS2007→HS2012 | ex0810.90 → 0810.30(スグリ等)/0810.70(柿) | 0810.90の一部を細分化 | 旧マスタで「その他果実」に寄っているとズレやすい |
    | HS2007→HS2012 | 0808.20 → 0808.30(梨)/0808.40(マルメロ) | 梨とマルメロの識別 | 産品説明に“quince”が混在すると誤りが出やすい |
    | HS2012→HS2017 | ex0805.20 → 0805.21(マンダリン等)/0805.22(クレメンタイン)/0805.29 | みかん類の細分化 | 品種情報(ラベル・学名)を強化 |
    | HS2017→HS2022 | 0802.90 → 0802.91/0802.92/0802.99 | 松の実の殻付き/むき身を識別 | サプライヤーに“in shell / shelled”証明を依頼 |

※上表は第8類の“代表例”です。全品目の網羅対応は、WCO相関表(および日本税関の導線)で個別に確認する運用が安全です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ブライン漬けチェリーを生鮮申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):0812の要件(暫定保存・即時食用不可)を見落とし、0809で申告。
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“cherries”のみで、保存状態が書かれていない。
    • 典型的な影響:検査・書類補正、分類更正、通関遅延(一般論)。
    • 予防策:保存媒体・用途(加工原料)・即時食用不可を、仕様書やSDSで裏付け。
  • 事例名:ロースト塩味ナッツを0802申告
    • 誤りの内容:調製/保存品(第20類)相当の可能性を検討せず、第8類で固定。
    • 起きやすい状況:“nuts”の単語だけで分類、加工度情報が不足。
    • 典型的な影響:税番差による税率・統計・規制手続きの修正(一般論)。
    • 予防策:製造工程(roasted/salted/flavored)と配合表を必ず取得。
  • 事例名:乾燥果実の“軽微な処理”を理由に第20類へ誤分類
    • 誤りの内容:乾燥果実の許容処理(保存・外観目的の軽微処理)を越えていないのに第20類へ。
    • 起きやすい状況:少量の糖液・油の添加があると即「調製」と誤認。
    • 典型的な影響:税番更正、原産地規則の再計算(一般論)。
    • 予防策:添加量と“乾燥の性格保持”を説明できる資料整備。
  • 事例名:松の実を旧0802.90のまま申告
    • 誤りの内容:HS2022で細分化された松の実(0802.91/0802.92)を反映しない。
    • 起きやすい状況:社内マスタがHS2017のまま、取引先も旧コード表記。
    • 典型的な影響:統計誤り、PSR選定ミス、社内/顧客監査での指摘(一般論)。
    • 予防策:HS版管理(適用開始日)をマスタ項目化し、相関表で更新。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 植物検疫(植物防疫所):海外から植物(果実等)を日本へ持ち込む場合、輸出国政府発行の**植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)**の提示と輸入検査が必要になる旨が案内されています(対象範囲は品目で異なる)。
      • 食品衛生法(厚生労働省):販売・営業用の食品等を輸入する場合、輸入者に輸入届出義務があり、検疫所で審査・検査要否判断が行われます。
      • 実務上、税関手続では「検疫所で確認済の届出書(写し可)を税関へ提出する」流れが説明されています(手続は最新案内に従う)。
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 第8類の一般的果実・ナッツはCITES頻出ではありませんが、希少植物由来など例外があり得るため、原料の学名と規制該当性を個別確認してください(一般論)。
    • 安全保障貿易管理
      • 第8類は一般に該当しにくいですが、最終用途・輸出先・混載品によっては別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(Plant Quarantine Inspections)
    • 食品衛生:厚生労働省「食品等輸入手続」および検疫所窓口
  • 実務での準備物(一般論):
    • インボイス・パッキングリスト、製品仕様書(状態・加工度・添加物)、成分表、写真
    • 植物検疫証明書(必要な場合)
    • 食品等輸入届出(必要な場合)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 商品の状態:生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥/暫定保存(ブライン等)/皮(ピール)
    • 加工度:加糖、加熱、ロースト、味付け、缶詰、ジュース化の有無
    • ナッツは殻の有無(in shell / shelled)、果実は品種(特に柑橘/ベリー類)
    • 落花生(ground-nuts)か否か
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • chilled=生鮮扱いの確認
    • 乾燥の軽微処理が許容範囲か(乾燥の性格保持)
    • 0812の要件(暫定保存・即時食用不可)を満たすか
    • 第20類へ飛ぶ加工度がないか(2006/2008/2009等)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「状態(frozen/dried/brined等)」と「品種/殻の有無」を入れる
    • 仕様書・成分表・写真を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版を確認 → 相関表で対応付け
    • 材料HSと最終製品HSが一致しているか(第8類→第20類に変わっていないか)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫(必要な場合)証明書・輸入検査
    • 食品衛生法の輸入届出(必要な場合)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文)
    • HS2022 Chapter 8(Edible fruit and nuts…)参照日:2026-02-14
    • HS2022 Chapter 12(1202 Ground-nuts…)参照日:2026-02-14
    • HS2022 Chapter 20(2006/2008/2009等)参照日:2026-02-14
    • HS2022 Section II Note(“pellets”定義)参照日:2026-02-14
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • HS相関表(HS2022↔HS2017)参照日:2026-02-14
    • HS相関表(HS2017↔HS2012)参照日:2026-02-14
    • HS相関表(HS2012↔HS2007)参照日:2026-02-14
    • 品目別原産地規則(PSR)検索・HS版変換の導線(日本税関)参照日:2026-02-14
    • 事前教示回答(品目分類)(日本税関)参照日:2026-02-14
  • 日本の検疫・衛生(SPS等)
    • 植物防疫所:Plant Quarantine Inspections(輸入時の植物検疫証明書・検査等)参照日:2026-02-14
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法に基づく輸入届出)参照日:2026-02-14
    • 税関(例:東京税関)案内:食品衛生法手続の流れ(検疫所届出→税関確認)参照日:2026-02-14

※Web参照は「参照日(YYYY-MM-DD)」も併記

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第7類:食用の野菜及びある種の根及び塊茎 — Edible vegetables and certain roots and tubers

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 生鮮・冷蔵のじゃがいも(種いも含む)・トマト・玉ねぎ等(0701〜0709)
    • 冷凍野菜(未調製、または「水煮/蒸煮」まで)例:冷凍ブロッコリー、冷凍枝豆(0710)
    • ブライン等で「仮保存」され、そのまま食べられない野菜(0711)
    • 乾燥野菜(未調製)例:乾燥玉ねぎ、乾燥きのこ(0712)
    • 乾燥豆類(殻を除いたもの)例:乾燥ひよこ豆、乾燥レンズ豆(0713)
    • でん粉・イヌリンの多い根・塊茎(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥、ペレット含む)例:さつまいも、キャッサバ、ヤム、タロ(0714)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先も併記):
    • 飼料用(フォレージ)作物 → 第12類 1214(類注1で除外)
    • 乾燥した唐辛子(Capsicum/Pimenta)や粉砕・粉末の同果実 → 第9類 0904(類注4で除外)
    • 乾燥豆類でも「粉・ミール・粉末」 → 第11類 1106(類注3(d))
    • じゃがいものフレーク/粉/顆粒/ペレット等 → 第11類 1105(類注3(c))
    • 酢漬け・缶詰・調理済み等の「調製・保存野菜」 → 多くは第20類(例:2001/2004等)に寄りやすい(第7類は“未調製”が基本)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 状態・加工度:生鮮/冷蔵(0701〜0709)か、冷凍(0710)か、仮保存(0711)か、乾燥(0712/0713)か、でん粉質根菜(0714)か。
    2. 「乾燥」でも行き先が割れる:乾燥野菜(0712)なのか、乾燥豆類(0713)なのか、粉類(1105/1106等)なのか。
    3. 仮保存(0711)と調製・保存(第20類)の境界:その状態で直ちに食べられるか、輸送・保管のための処理に留まるか。
  • この類で特に誤分類が高コストになりやすい場面:
    • FTA/EPAでPSR(品目別規則)を使うとき:HS6桁の取り違いが、原産性判断そのものを崩します(後述)。

1. 区分の考え方

1-1. 分類の基本ルール

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)
    • GIR1:見出しの文言と、部注・類注(Notes)で決めます。第7類は、類注で「野菜(vegetables)の範囲」や「乾燥品の除外先」が具体的に指定されるため、まず注を読むのが最短です。
    • GIR6:6桁(号)の決定は、同レベルの号同士を比較し、必要に応じて部注・類注も使います。第7類は同じ4桁でも“状態”で別項に分かれているため、6桁決定前に「冷凍・乾燥・仮保存」等を確定させるのがコツです。
    • GIR2(b)/GIR3(b):混合品・ミックス(例:冷凍ミックスベジ、乾燥野菜ミックス)は、専用の号(0710.90、0712.90、0711.90等)に行きやすい一方、ソース等が付くと第20類等へ飛ぶことがあります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 加工度:切断・乾燥・冷凍・ブライン仮保存・加熱(蒸煮/水煮)・味付け・油漬け・酢漬け等
    • “その状態で食べられるか”:0711の決定要素(仮保存)に直結します。
    • 形状(粉・フレーク・ペレット):粉・フレーク等は第11類へ除外される場合があります。

参考:加工状態と行き先の目安(実務用)

商品状態/加工度よく行く項(4桁)典型例境界で見るポイント
生鮮/冷蔵0701〜0709、0714生の玉ねぎ、トマト、生しいたけ、さつまいも味付け・調理なしが基本
冷凍(未調製、または蒸煮/水煮まで)0710冷凍ブロッコリー、冷凍枝豆、冷凍スイートコーン油調・味付け・ソース付きは第20類等に寄りやすい
仮保存(そのまま食用不可)0711ブライン漬けオリーブ(脱塩前)“輸送・保管のため”かつ“直ちに消費不可”
乾燥(未調製)0712/0713/0714乾燥玉ねぎ、乾燥しいたけ、乾燥ひよこ豆粉類は第11類へ飛ぶ場合(類注3)
調製・保存(酢漬け/缶詰/調理冷凍等)多くは第20類等ピクルス、トマトソース、フレンチフライ“食品としての完成度”と添加物・調味が鍵

1-2. 判定フロー

  • Step1:対象が「食用の野菜」または「でん粉/イヌリンの多い根・塊茎」かを確認
    • 飼料用(フォレージ)なら第12類1214へ(類注1)。
  • Step2:状態・加工度を確定
    • 生鮮/冷蔵 → 0701〜0709(または0714)
    • 冷凍(未調製または蒸煮/水煮まで)→ 0710(または0714)
    • 仮保存(ブライン、亜硫酸ガス等)で当該状態で食用不可 → 0711
    • 乾燥(未調製)→ 0712/0713/0714(ただし粉・フレーク等は第11類へ)
  • Step3:どの野菜グループかを確認して4桁(項)へ
    • じゃがいも(0701)、トマト(0702)、ねぎ類(0703)、アブラナ科(0704)、レタス/チコリ(0705)、根菜(0706)、きゅうり(0707)、生鮮豆類(0708)、その他(0709)…
  • よく迷う境界(例):
    • 0711(仮保存) vs 第20類(酢漬け・調製保存)
    • 0712(乾燥野菜) vs 0713(乾燥豆類) vs 第11類(粉・フレーク等)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0701じゃがいも(生鮮/冷蔵)生食用じゃがいも、種いも種いもは0701.10/冷凍は0710.10/乾燥でも粉・フレーク等は1105へ(類注3(c))
0702トマト(生鮮/冷蔵)生鮮トマト冷凍は0710/調製保存(ソース等)は第20類へ寄りやすい
0703たまねぎ・にんにく・ねぎ類(生鮮/冷蔵)玉ねぎ、にんにく、長ねぎ0703.10(玉ねぎ等)/0703.20(にんにく)等に分岐
0704キャベツ類・カリフラワー・ブロッコリー等(生鮮/冷蔵)キャベツ、ブロッコリー0704.10(カリフラワー/ブロッコリー)等。HS2022で0704.10の範囲が拡大(後述)
0705レタス・チコリ(生鮮/冷蔵)玉レタス、チコリレタス/チコリで号が分かれる
0706にんじん・かぶ・ラディッシュ等の根菜(生鮮/冷蔵)にんじん、大根、ビーツでん粉質根菜(さつまいも等)は0714側が本線
0707きゅうり・ガーキン(生鮮/冷蔵)きゅうり、ピクルス原料のガーキン仮保存は0711.40の可能性
0708豆類(生鮮/冷蔵、さや付き/むき)えんどう、いんげん、枝豆(生鮮)乾燥は0713へ。冷凍は0710.21/22等へ
0709その他の野菜(生鮮/冷蔵)アスパラ、なす、ピーマン、生しいたけ、生トリュフ、オリーブ(生)類注2で「野菜」の範囲が拡張(オリーブ等もここに入り得る)
0710冷凍野菜(未調製、または蒸煮/水煮)冷凍ブロッコリー、冷凍スイートコーン、冷凍ミックス味付け・油調・ソース付きは第20類等へ飛びやすい
0711野菜の仮保存(当該状態で食用不可)ブライン漬けオリーブ、ブライン漬けきゅうり類注5の定義(輸送・保管のため、かつ直ちに食べられない)が核心
0712乾燥野菜(未調製)乾燥玉ねぎ、乾燥きのこ、乾燥野菜ミックス類注3で除外先あり:乾燥豆類→0713、じゃがいも粉等→1105、乾燥豆粉→1106等
0713乾燥豆類(殻を除いたもの)乾燥ひよこ豆、乾燥レンズ豆、乾燥小豆大豆は通常第12類1201側が本線になりやすいので要注意(個別確認)
0714でん粉/イヌリンの多い根・塊茎等キャッサバ、さつまいも、ヤム、タロ、サゴ髄ペレット形状は部注の“pellets”定義も確認(結着材≤3%等)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐

  • 分岐条件の整理
    • 品目そのものの違い:例)0703.10(玉ねぎ等)/0703.20(にんにく)
    • 用途や取引上の区分:0701.10(種いも)/0701.90(その他)
    • 状態:生鮮(070x)⇔冷凍(0710)⇔仮保存(0711)⇔乾燥(0712/0713)
    • 形状(粉・フレーク・ペレット):じゃがいも粉等→1105、乾燥豆粉→1106など(類注3)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(例)
    1. 0711(仮保存) vs 第20類(調製・保存)
      • どこで分かれるか:当該状態で直ちに食べられるか/輸送・保管目的の処理に留まるか
      • 判断に必要な情報:保存方法(ブライン濃度、亜硫酸処理等)、食用可否、用途(後工程の脱塩・加工の有無)
      • 典型的な誤り:ブライン漬け=「ピクルス」と決め打ちして第20類へ(実態が仮保存なら0711)
    2. 0712(乾燥野菜) vs 0713(乾燥豆類)
      • どこで分かれるか:乾燥品が「豆類(殻を除いたもの)」かどうか(0713)、それ以外の乾燥野菜か(0712)
      • 判断に必要な情報:品目(豆種)、殻の有無、割り・皮むきの有無
      • 典型的な誤り:乾燥えんどうを0712側で申告(類注3(a)で0713)
    3. 0712(乾燥) vs 第11類(粉・フレーク等)
      • どこで分かれるか:乾燥品が「粉・ミール・粉末・フレーク・顆粒・ペレット」等に該当するか(じゃがいも→1105、乾燥豆→1106等)
      • 判断に必要な情報:粒度、形状(粉/フレーク/顆粒/ペレット)、原料(じゃがいもか豆類か)
      • 典型的な誤り:マッシュポテト用フレークを0712扱い(実際は1105)
    4. 0709.60(生鮮の唐辛子等) vs 0904(乾燥唐辛子等)
      • どこで分かれるか:乾燥しているか(乾燥なら類注4で第9類へ)
      • 判断に必要な情報:水分、乾燥工程の有無、粉砕の有無
      • 典型的な誤り:乾燥唐辛子を「乾燥野菜」として0712へ(類注4で除外)
    5. きのこ・トリュフの細分(HS2022の重要変更)
      • どこで分かれるか:生鮮(0709)か乾燥(0712)かの上で、種・属で号が分かれる(例:しいたけ、松茸、トリュフ等が独立)
      • 判断に必要な情報:学名・属(Agaricus/Boletus等)、商品仕様書、ラベル表示
      • 典型的な誤り:従来の「その他」コードのまま運用して統計・PSRで齟齬が出る

3. 部注と類注の詳細解釈

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第2部(野菜製品)では「ペレット(pellets)」の定義があり、圧縮で固めたものまたは結着材(binder)を重量3%以下で加えたものを指す、とされています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 0714は「…ペレットの形状であるか否かを問わない」とされているため、キャッサバ等をペレット化していても、結着材が3%を超えると「ペレットの定義」から外れる可能性があり、他類(食品調製品側等)に寄る論点が出ます。まずは結着材比率と製法を確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「ペレットに見える」=必ずしも部注上のpelletsではない(結着材比率の確認が必要)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:飼料用(フォレージ)作物は第12類1214へ。
    • 類注2:0709〜0712の「vegetables」には、オリーブ、ケーパー、かぼちゃ類、スイートコーン、唐辛子等(生鮮)や、食用きのこ・トリュフ等も含む(= これらが“野菜”として扱われ得る)。
    • 類注3:0712(乾燥野菜)に入るもの/入らないものを明確化。乾燥豆類(0713)や、甘味トウモロコシの一定形態(第11類)、じゃがいも粉等(1105)、乾燥豆粉(1106)などは除外。
    • 類注4:乾燥した唐辛子等(Capsicum/Pimenta)や粉砕・粉末は第9類0904へ。
    • 類注5:0711(仮保存)は「輸送・保管のための処理に限る」かつ「その状態で直ちに消費できない」ことが条件。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「仮保存」の定義(類注5)と、「pellets」の定義(部注)が実務上のキーポイントです。
  • 除外規定(除外先も明記):
    • 飼料用(1214)、乾燥唐辛子等(0904)、じゃがいも粉等(1105)、乾燥豆粉(1106)など。

4. 類注が分類に与える影響

  • 影響ポイント1:類注2による「野菜」概念の拡張
    • 何を見れば判断できるか:品目の同定(オリーブ、かぼちゃ類、きのこ等)と、対象見出し(0709〜0712)
    • 現場で集める証憑:商品カタログ、学名/品種情報、写真、ラベル表示
    • 誤分類の典型:「オリーブ=果実だから第8類」と決め打ち(第7類0709で扱われ得る点を見落とす)
  • 影響ポイント2:類注3による「乾燥=0712」思い込みの崩れ
    • 何を見れば判断できるか:乾燥品が豆類(0713)か、粉・フレーク等(第11類)か
    • 現場で集める証憑:粒度/形状仕様(粉、フレーク、顆粒、ペレット)、製造工程図、原料情報
    • 誤分類の典型:マッシュポテト用フレークを0712扱い(類注3(c)で1105)
  • 影響ポイント3:類注5による0711(仮保存)の条件
    • 何を見れば判断できるか:保存目的(輸送・保管か)、当該状態での食用可否
    • 現場で集める証憑:製造仕様(ブライン濃度、亜硫酸処理等)、用途説明(後工程の脱塩・加工)、サンプル写真
    • 誤分類の典型:ブライン漬けを全て「調製・保存(第20類)」扱い(実態が仮保存なら0711)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:種いも(じゃがいも)を“植物の種・球根”扱いで第6類に寄せる
    • なぜ起きる:用途が「植付用」なので“苗・球根”と連想しやすい
    • 正しい考え方:第7類0701に「Seed(種)」が明示されています(0701.10)。
    • 予防策:品目名に「seed potato」等が入っても、まず0701を起点に確認。仕様書で「生鮮/冷蔵」「種いも」区分を確認。
  2. 間違い:乾燥唐辛子を0712(乾燥野菜)で申告
    • なぜ起きる:「乾燥した野菜」と見える
    • 正しい考え方:類注4で、乾燥したCapsicum/Pimenta果実は第9類0904へ除外されています。
    • 予防策:乾燥唐辛子・パプリカ・チリ等は「第7類に残るか」を類注4で必ず確認。水分・乾燥工程情報も揃える。
  3. 間違い:ブライン漬けオリーブを“ピクルス”扱いで第20類に決め打ち
    • なぜ起きる:外観が加工食品で、食卓用途を想像しやすい
    • 正しい考え方:0711は「輸送・保管のための仮保存」かつ「当該状態で直ちに消費不可」の場合に適用(類注5)。
    • 予防策:ブライン濃度、脱塩の有無、食用可否、用途(原料か即食か)を必ず確認。
  4. 間違い:乾燥えんどう豆を0712(乾燥野菜)に入れる
    • なぜ起きる:豆も広義の“野菜”に見える
    • 正しい考え方:類注3(a)で、乾燥豆類(殻を除いたもの)は0713へ(0712から除外)。
    • 予防策:乾燥品は「豆類か否か」「殻の有無」をチェックし、0713表のどれに当たるかまで落とし込む。
  5. 間違い:ひよこ豆粉・レンズ豆粉を0713(乾燥豆)として扱う
    • なぜ起きる:原料が豆なので0713と短絡
    • 正しい考え方:類注3(d)で、乾燥豆類の粉等は第11類1106へ。
    • 予防策:粉体は粒度・製法(製粉)を確認し、「粉=第11類の可能性」を最初から疑う。
  6. 間違い:マッシュポテトフレーク(乾燥)を0712扱い
    • なぜ起きる:「乾燥じゃがいも=乾燥野菜」発想
    • 正しい考え方:類注3(c)で、じゃがいもの粉・フレーク等は1105へ。
    • 予防策:形状がフレーク/顆粒/ペレットの場合は、1105(じゃがいも)・1106(豆)などを必ず当てる。
  7. 間違い:冷凍野菜の味付け品を0710に入れる
    • なぜ起きる:「冷凍野菜」と呼ばれるため
    • 正しい考え方:0710は“未調製”または蒸煮/水煮まで。味付け・油調・ソース付き等で調製度が上がると第20類等に寄りやすい(境界確認が必要)。
    • 予防策:原材料表示(油・調味料・添加物)、加熱工程(揚げ/焼き)を確認。
  8. 間違い:きのこ類を旧来の「その他」号で固定運用
    • なぜ起きる:過去の実績コードを踏襲しがち
    • 正しい考え方:HS2022で生鮮きのこ(0709)と乾燥きのこ(0712)が細分化されています(後述)。
    • 予防策:学名・品種情報を取引書類に残し、HS2022対応の号へ更新する。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS6桁がズレると、適用すべきPSR条文・要件(CTC/RVC/工程要件等)が変わり、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 原材料のHSと最終製品HSを混同(例:乾燥豆「粒」0713と、豆粉1106)
    • HS2022で細分化された品目(きのこ等)を旧HSのコード感覚で扱う

6-2. 協定が参照するHS版の違い

  • 経済連携協定等によって、採用しているHSバージョン(HS2002/2007/2012/2017等)が異なります。検索やPSR参照時は「協定が採用するHS版」で確認する必要があります。
  • 例:日EU・EPAでは、説明資料で「関税分類番号(6桁、HS2017年版)」として整理されています(実務では“協定が参照するHS版”の確認が前提)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 輸入申告は原則「最新のHS」を使う一方、PSRは協定参照HSで読む必要があるため、必要に応じて相関表(correlation table)で突合します。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(一般論)
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 請求書、製造記録、原材料証明、輸送書類、工程資料などを協定・社内規程に沿って保存
  • 迷ったときの社内質問例
    • 「この商品は当該状態で食べられますか?(0711判定)」
    • 「粉・フレーク・顆粒・ペレットのどれですか?粒度規格は?(1105/1106判定)」
    • 「学名(属)は何ですか?(きのこ号の特定)」

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い

7-1. 変更点サマリー

比較変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更0704.100704.10の範囲を拡大し、ブロッコリーを同号にまとめる趣旨ブロッコリー関連の統計・社内マスター・PSR参照コードの更新が必要
HS2017→HS2022分割0709.590709.59(その他のきのこ等)を細分化し、Boletus、Cantharellus、しいたけ、松茸、トリュフ等を独立号化きのこ・トリュフのHS6が変わる可能性。過去実績コードの踏襲は要注意
HS2017→HS2022分割0712.390712.39(その他の乾燥きのこ等)を細分化し、しいたけ(0712.34)を独立号化乾燥しいたけのコード変更により、関税率・PSR・統計の再確認が必要
HS2017→HS2022文言修正/定義明確化類注5(0711関連)0711の「仮保存」の概念を注で明確化(輸送・保管のための処理に限り、直ちに消費できないもの)0711と第20類の境界で誤分類を減らす一方、要件確認(食用可否等)が必須

7-2. 「違うことになった根拠」

  • 0704.10(カリフラワー・ブロッコリー)の範囲変更は、HS2022-HS2017相関表(WCO相関表を税関が掲載)で「0704.10の範囲拡大」趣旨として示されています。また、HS2017の見出しが“headed broccoli”であるのに対し、HS2022では“broccoli”と記載されている点も整合します。
  • 0709(きのこ・トリュフ)および0712(乾燥きのこ等)の細分化は、同相関表で「取引量増加によりトリュフ・特定きのこを個別識別するため」として示されています。HS2017の0709.59/0712.39が、HS2022で複数号に分割されていることから、コード更新が必要と判断できます。
  • 類注5(0711の仮保存定義)は、HS2017の類注には見当たらず、HS2022の類注として追加されているため、運用上の“定義明確化”が入ったと整理できます。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(第7類に関係するものを中心に、可能な範囲で整理):

改正期変更タイプ旧コード → 新コード(例)変更の要旨根拠
HS2007→HS2012分割/新設0709.90 → 0709.91/0709.92/0709.93/0709.990709.90を、アーティチョーク・オリーブ・かぼちゃ類等に細分化WCO相関表(税関掲載)
HS2007→HS2012新設ex0713.39 → 0713.34/0713.35(+0713.39)バンバラ豆・ササゲ等を独立識別同上
HS2007→HS2012新設ex0713.90 → 0713.60キマメ(pigeon peas)を独立識別同上
HS2007→HS2012分割/新設ex0714.90 → 0714.30/0714.40/0714.50ヤム・タロ・ヤウティアを独立識別同上
HS2012→HS2017変更なし(確認できた範囲)相関表上、第7類で大きな変更は見当たらない(少なくともTable Iに掲載なし)HS2017-HS2012相関表(税関掲載)
HS2017→HS2022範囲変更0704.10ブロッコリー関連の号の範囲調整HS2022-HS2017相関表
HS2017→HS2022分割0709.59 → 0709.52〜0709.56/0709.59きのこ・トリュフの細分化同上
HS2017→HS2022分割0712.39 → 0712.34/0712.39乾燥しいたけ等の細分化同上

※「HS2012→HS2017:変更なし」は、相関表(変更箇所を列挙する資料)に第7類の改正が掲載されていない、という意味での整理です。運用上は、各協定の参照HS版・国内コード(8桁/9桁)改正等も別途確認してください。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名:乾燥唐辛子を乾燥野菜で申告
    • 誤りの内容:類注4に抵触(乾燥Capsicum/Pimentaは第9類0904へ除外)
    • 起きやすい状況:品名が「dried chili」「paprika」で、野菜扱いに引っ張られる
    • 典型的な影響:税番訂正、関税率・規制・原産地判断のやり直し、検査強化・遅延(一般論)
    • 予防策:水分・乾燥工程の有無、粉砕の有無を確認し、類注4を必ずチェック
  • 事例名:ブライン漬けオリーブをピクルス扱い
    • 誤りの内容:類注5の要件確認不足(仮保存で当該状態で食用不可なら0711)
    • 起きやすい状況:「brined=pickled」と短絡、用途(原料/即食)の確認不足
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査・遅延(一般論)
    • 予防策:ブライン条件、脱塩工程、食用可否の記載を仕様書・契約で明確化
  • 事例名:乾燥えんどう豆を0712で申告
    • 誤りの内容:類注3(a)に抵触(乾燥豆類は0713)
    • 起きやすい状況:「乾燥=0712」の社内ルール化
    • 典型的な影響:税番訂正、原産地PSRの再選定、遅延(一般論)
    • 予防策:乾燥品は「豆類か否か」を最初に確認するチェック項目を入れる
  • 事例名:マッシュポテトフレークを0712で申告
    • 誤りの内容:類注3(c)に抵触(じゃがいもフレーク等は1105)
    • 起きやすい状況:食品加工品の形状情報(フレーク/顆粒)が通関資料に反映されない
    • 典型的な影響:分類差替え、追加納税、検査・遅延(一般論)
    • 予防策:粒度・形状(粉/フレーク/顆粒/ペレット)をインボイス品名に入れる
  • 事例名:飼料用フォレージを第7類で申告
    • 誤りの内容:類注1に抵触(フォレージは1214)
    • 起きやすい状況:植物名だけで“野菜”と誤認
    • 典型的な影響:分類訂正、許認可・検疫の手戻り、遅延(一般論)
    • 予防策:用途(食用/飼料用)を契約・仕様で明確にし、類注1を確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 植物検疫(植物防疫所):生鮮野菜等は植物検疫の対象になり得て、輸入時に植物防疫所で検査が行われます。
      • 旅行者・小口でも植物類の持込みはルールがあり、違反時の罰則等にも触れられています(貨物は取引形態に応じた正式手続が必要)。
      • 食品衛生法(厚生労働省):販売・営業用に食品等を輸入する場合、原則として輸入者に輸入届出義務があります(法第27条)。検疫所で届出・審査/検査が行われ、届出なしに販売等はできません。
    • CITES等の種規制
      • 第7類の一般的な野菜はCITESの典型対象ではありませんが、取引品目が野生採取・希少種に関わる場合は個別確認が必要です(一般論)。
    • 安全保障貿易管理
      • 通常の食用野菜は該当しにくいですが、用途・相手先等による確認は別途必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 植物防疫所(輸入検疫/輸出検疫)
    • 厚生労働省(輸入食品監視、輸入届出)
    • 税関(通関手続、食品衛生法の届出確認の流れ等)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 植物検疫:品目情報、原産地、(必要な場合)輸出国の証明書、梱包状態、検査対応
    • 食品衛生:原材料・製造方法・添加物情報、衛生証明や検査成績、ラベル案、輸入届出関連書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生鮮/冷凍/乾燥/仮保存の別、加熱方法(蒸煮/水煮/油調等)、味付け・添加物の有無
    • 形状(粉・フレーク・顆粒・ペレット)、結着材の有無と比率(ペレット定義)
    • きのこ類は学名・属(Agaricus/Boletus等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1(飼料用1214)、類注3(0712の除外先)、類注4(乾燥唐辛子0904)、類注5(0711)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 「frozen」「dried」「in brine」等の状態を品名に明記
    • 粉/フレーク等の形状も明記(1105/1106に効く)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版を確認(PSR検索画面の注意書きに留意)
    • 相関表でHS版差を吸収(必要に応じて)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫の要否(品目・原産地・形態で変動)
    • 食品衛生法の輸入届出(販売・営業用の食品等)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・注)
    • HS2022 Chapter 7(見出し・類注)
    • HS2022 Section II Note(pellets定義)
    • HS2022 GIR(General Rules for the Interpretation)
    • HS2017 Chapter 7(改正比較用)
    • HS2007 Chapter 7(改正比較用)
  • 相関表(旧版→新版)
    • HS2022-HS2017 相関表(税関掲載、WCO相関表)
    • HS2012-HS2007 相関表(税関掲載、WCO相関表)
    • HS2017-HS2012 相関表(税関掲載)
  • 日本:税関・公的機関
    • 税関:品目別原産地規則(PSR)検索の注意(HS版)
    • 税関:日EU・EPA原産地規則(説明資料)
    • 植物防疫所:植物検疫(輸入検疫の概要)
    • 厚生労働省:食品衛生法に基づく輸入手続(輸入届出)
    • 税関:事前教示(品目分類)制度

※参照日:2026-02-13

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第6類:生きている樹木その他の植物並びに球根、根その他これらに類するもの;切花及び装飾用の葉(Live trees and other plants; bulbs, roots and the like; cut flowers and ornamental foliage)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 園芸用の球根・塊根など(例:チューリップ球根、ユリ球根、ダリア塊根)→ 0601(球根等)
    • 苗木・苗(例:果樹苗、バラ苗、ツツジ苗、野菜苗)→ 0602(その他の生きている植物)
    • きのこ種菌(mushroom spawn)→ 0602(明示あり)
    • 切花・花芽(例:バラ、カーネーション、ラン、菊、ユリ)→ 0603
    • 装飾用の枝葉・苔など(例:ブーケ用の葉物、モミ枝、装飾用の苔)→ 0604
    • 花束・リース等(付属リボン等があっても一定条件で0603/0604に含めて扱う)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • じゃがいも(種いも含む)、たまねぎ、にんにく等の第7類の品目(「植え付け用」でも第6類にしない、が重要)
    • 種子(播種用の種=第12類 1209が典型)※苗(0602)と混同しがち
    • 造花・人工の装飾花材(例:プラスチック花)→ 第67類(6702など)※「生花っぽい」名称で誤りやすい
    • コラージュ等の装飾板(植物を貼り付けた装飾プラーク等)→ 9701(注で除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 生きている(苗・鉢植え・球根)か/切花・枝葉か(0601/0602 vs 0603/0604)
    2. 「園芸・植栽・装飾」用途の植物として流通するものか、それとも**第7類の野菜・根菜(種いも等)**か(類注で明確に線引き)
    3. 花束・リース等の“付属品(リボン・ワイヤ等)”が本体を変えるか(注とGIRで判断)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 植物検疫(輸入・輸出):苗・球根・切り花等は検疫対象になりやすく、証明書や検査が絡むため、遅延・廃棄リスクが実務コストに直結します。
    • ワシントン条約(CITES):ラン・サボテン等は許可証がないと持込み不可例が示されており、差止・没収リスクがあります。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)を、ビジネスマン向けに説明
    • GIR1:まずは「見出し(Heading)の文言」と「部注・類注」で決めます。第6類は、類注で「含む/含まない」が比較的はっきり書かれているため、品名より注の確認が最優先です。
    • GIR6:6桁(号)は、同一項内で同じレベルの号同士を比べて決めます(例:0603の中で「生鮮のバラ」か「その他の生鮮」か、など)。
    • GIR3(b):花束・リース、鉢+装飾など、複数要素があるときは「本質的な特性(essential character)」で決める場面があります。
    • GIR5(b):通常の梱包(紙巻き・ラッピング等)は原則として中身と一緒に分類されますが、**反復使用できる容器(花瓶など)**は別扱いになり得ます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 状態:生きている(発根している/鉢植え/休眠球根)か、切ってある(切花/枝葉)か。
    • 部位:花(花芽)か、花のない葉・枝か(0603と0604の核心)。
    • 用途・取引実態:「苗・園芸用品として流通」か「食用の野菜・根菜として流通」か(第7類との境界)。
    • 付属品:リボン・ワイヤ・籠などが「付属品の範囲」か、それ自体が商品の本体か(注とGIRで調整)。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは**植物(または植物の部分)**ですか?
    • 造花・人工物なら第67類(例:6702)側をまず疑います。
  • Step2:生きている(苗・鉢植え・球根・穂木等)ですか?
    • Yes → 0601(球根等) or 0602(その他の生きている植物)へ。
    • No(切ってある)→ Step3へ。
  • Step3:切ってあるものは**花(花芽)**ですか、花のない枝葉・苔等ですか?
    • 花(花芽)→ 0603。
    • 花がない枝葉・草・苔・地衣類等(装飾用)→ 0604。
  • Step4:**第7類の除外(じゃがいも・たまねぎ・にんにく等)**に当たりませんか?
    • 「植え付け用」でも、第6類に入らない代表例が明示されています(ここで落とし穴が多い)。
  • Step5:花束・リース等の場合、付属品の範囲か、別の「物品(例:再使用できる花瓶、装飾板)」が本体かを確認
    • 注の考え方(付属品は“無視”できることがある)+GIRで整理します。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第6類 vs 第7類:苗(0602)と、じゃがいも・たまねぎ等(第7類)の「植え付け用」を混同。
    • 0603 vs 0604:花が入るかどうか(混在するとGIR3)。
    • 自然物(0603/0604) vs 造花(67類):素材が天然植物か人工材料か。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第6類は4桁見出しが少ないため全列挙します(0601〜0604)。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0601球根・塊茎・塊根・球茎・クラウン・根茎(休眠/生育・開花中)+チコリーの植物・根(1212の根を除く)チューリップ球根、ユリ球根、ダリア塊根、球根の寄せ植え材料休眠か/生育・開花中かで6桁が分かれます。食用の根菜との混同に注意。
0602その他の生きている植物(根付き含む)、挿し穂、挿し木、きのこ種菌果樹苗、バラ苗、ツツジ苗、野菜苗、穂木、きのこ種菌**“苗として流通する生植物”**が中心。第7類の除外(じゃがいも・たまねぎ等)を類注で確認。
0603切花・花芽(花束/装飾用に適するもの:生鮮〜乾燥・染色等)バラの切花、カーネーション、ラン、菊、ユリ、切花セット**花(花芽)**がある→0603。花束・籠・リースも一定条件で含む(注)。
0604花のない枝葉等、草、苔、地衣類(花束/装飾用に適するもの:生鮮〜乾燥・染色等)葉物(ユーカリ等)、モミ枝、シダ、装飾用苔花(花芽)がないこと、かつ装飾用に適する取引実態が鍵。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 0601(球根等)
      • 0601.10(休眠)/0601.20(生育中・開花中、チコリーの植物・根を含む)
    • 0602(生きている植物)
      • 0602.10(未発根の挿し穂・挿し木)
      • 0602.20(果樹・ナッツの樹木等)
      • 0602.30(ツツジ・シャクナゲ)
      • 0602.40(バラ)
      • 0602.90(その他)
    • 0603(切花)
      • 生鮮の内訳(バラ/カーネーション/ラン/菊/ユリ/その他)+ 0603.90(その他=生鮮以外)
    • 0604(枝葉等)
      • 0604.20(生鮮)/0604.90(その他)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 第6類(苗・球根) vs 第7類(じゃがいも・たまねぎ等)
      • どこで分かれるか:**類注で「第7類の品目(potatoes, onions, shallots, garlic等)は除く」**が明示される点。
      • 判断に必要な情報:
        • 品目の特定(一般名+できれば学名)
        • 形状(種いも=塊茎そのもの、等)
        • 取引実態(園芸苗としての流通か、野菜としての流通か)
      • 典型的な誤り:「植え付け用」=第6類と短絡し、種いも等を第6類にしてしまう。
    2. 0602(苗) vs 1209(種子)
      • どこで分かれるか:“生きている植物(苗、挿し木、穂木)”か、“種子”か
      • 判断に必要な情報:
        • 出荷形態(発芽済み苗/プラグ苗/種子袋)
        • 発根の有無(未発根の挿し穂は0602.10)
      • 典型的な誤り:品名が「○○シードリング(seedling)」でも、実際は種子(1209)だった、など。
    3. 0603(花・花芽) vs 0604(花のない枝葉等)
      • どこで分かれるか:花(花芽)が含まれるか
      • 判断に必要な情報:
        • 写真(全体・接写)
        • セット内容(花材明細、束の構成)
      • 典型的な誤り:見た目が「グリーン中心」でも、少量の花が入っていて0603寄りになる可能性を見落とす(混在はGIR3検討)。
    4. 花束・リース(0603/0604) vs “別の物品が主”になるケース
      • どこで分かれるか:注では花束・籠・リース等を含め得る一方、コラージュ等の装飾板は除外とされます。また容器が反復使用できる場合はGIR5の影響が出ます。
      • 判断に必要な情報:
        • 付属品の材質・価値・役割(花瓶、木板、フレーム等)
        • 「使い捨ての梱包」か「反復使用の容器」か
      • 典型的な誤り:花束+花瓶を一律に0603扱い(実際は“セット”で判定が必要)。
    5. 0602(きのこ種菌) vs 第7類(食用きのこ)
      • どこで分かれるか:**栽培用の種菌(spawn)**か、**食用のきのこ(青果扱い)**か。0602にspawnが明示されています。
      • 判断に必要な情報:
        • 商品仕様(菌糸体、培地付、食用部分の有無)
        • 用途(栽培用か食用か)
      • 典型的な誤り:英文品名“Mushroom”だけで食用と誤認/逆にspawnを青果側に寄せる。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第6類は**第II部(VEGETABLE PRODUCTS)**に属し、この部には「pellets(ペレット)」の定義が置かれています(圧縮等で凝集し、結合剤が一定割合以内等)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第6類そのものはペレット形態になりにくいですが、**同じ第II部の他章(例:飼料・植物性原料等)**では、粉体→ペレット化で品目解釈が絡むことがあります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第6類では頻度は低いものの、「植物性の加工品」側へ寄る場合は第II部内で章移動が起きやすい、という理解でOKです。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第6類は基本的に**「園芸・植栽・装飾用途として流通する生植物・切花・装飾用枝葉」**が対象です。加えて「野菜苗(seedling vegetables)」も含み得ます。
    • ただし、類注で第7類の代表品(じゃがいも、たまねぎ、エシャロット、にんにく等)を除外する旨が明確に書かれています。
    • 0603/0604は、花束・籠・リース等を(付属品は度外視して)含む一方、コラージュ等の装飾板(9701)は除外されます。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • ここでいう「花束・籠・リース等」は、0603/0604の植物材料からなるものを想定し、付属品(例:リボン、ワイヤ等)を“本体の分類に影響しないもの”として扱う趣旨です(ただしGIR5との整合が必要)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 第7類(野菜・根菜):じゃがいも、たまねぎ、にんにく等。
    • 9701:コラージュ等の装飾板。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:「苗(第6類)なのか、野菜(第7類)なのか」問題
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 商品の正体(一般名・学名)
      • 出荷形態(苗、球根、塊茎、球、根)
      • 用途表示(植栽用/食用)+取引実態(園芸資材として売られているか)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(学名、品種)
      • 写真(サイズ、形状)
      • カタログ(園芸用か食用かの表示)
      • インボイスの品名(“seed potato” “onion set” 等の表現に注意)
    • 誤分類の典型:
      • 「植え付け用だから第6類」として、類注の除外対象(じゃがいも等)を0601/0602にしてしまう。
  • 影響ポイント2:花束・リース等の“付属品は無視できる”の範囲
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 付属品が「付属(accessories)」と言えるか、反復使用の容器・台座か
      • セットの価格構成(花材 vs 容器・装飾品)
      • 形態(台紙に固定、額装、板に貼付=9701の可能性)
    • 現場で集める証憑:
      • 商品写真(全体、裏面、固定方法)
      • 構成明細(花材・籠・リボン・花瓶など)
      • 商品説明(再使用容器かどうか)
    • 誤分類の典型:
      • 花束+再使用できる花瓶を、付属品と誤認して0603のまま申告(GIR5の検討漏れ)。
      • 植物を貼り付けた装飾板を0603/0604で申告(注で9701除外)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:種いも(じゃがいも)を0601/0602で申告
    • なぜ起きる:品名に「種」「植え付け用」が入ると、園芸資材と誤解しやすい。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第6類の類注で、じゃがいも等は第7類とする趣旨が明示されています。
    • 予防策:
      • インボイスに「seed potato」「tuber」等がある場合は、第7類の可能性を必ず再点検
      • 写真・仕様書で「塊茎そのもの」か確認
  2. 間違い:野菜苗(トマト苗等)を一律に第7類としてしまう
    • なぜ起きる:「野菜=第7類」という思い込み。
    • 正しい考え方:第6類の類注は「seedling vegetables(野菜苗)」を含み得る前提で書かれています(ただし、じゃがいも等の除外は別途あり)。
    • 予防策:
      • 「苗(live plant)」として流通しているか(プラグ苗等)を確認
      • 除外対象(potatoes, onions, shallots, garlic等)に当たらないかを確認
  3. 間違い:種子(播種用)を0602(苗)にしてしまう
    • なぜ起きる:英文“seedling/seed”の混同、または見積段階の情報不足。
    • 正しい考え方:0602は「生きている植物(根付き含む)・挿し穂等」。種子は別章(第12類1209が典型)。
    • 予防策:
      • 形態(袋入り種子/発芽済み苗)を写真で確認
      • 仕様書に「発根の有無」「苗齢」を記載させる
  4. 間違い:切花(0603)と枝葉(0604)の取り違え
    • なぜ起きる:商品名が「グリーン」「フラワーアレンジ」等で曖昧。
    • 正しい考え方:花(花芽)があれば0603、花がなく枝葉等なら0604が基本です。
    • 予防策:
      • 花材明細(何が入っているか)と写真を必須化
      • 混在ならGIR3(本質的特性)で判断する運用ルールを社内に置く
  5. 間違い:花束・リースの付属品を過大評価/過小評価
    • なぜ起きる:注の「付属品は度外視」の理解が極端になりがち。
    • 正しい考え方:注は「花束・籠・リース等を含む」方向の整理ですが、GIR5で“反復使用容器”は別扱いになり得ます。
    • 予防策:
      • 付属品の材質・用途(使い捨てか再使用か)を確認
      • 価格構成(花材と容器の比率)を把握
  6. 間違い:コラージュ(装飾板)を0603/0604で申告
    • なぜ起きる:「植物でできているから第6類」という短絡。
    • 正しい考え方:注で9701のコラージュ等を除外しています。
    • 予防策:
      • “板・額・フレームに固定されているか”を写真で確認
      • 商品説明に「wall décor」「plaque」等があれば要注意
  7. 間違い:きのこ種菌(spawn)を食用きのこ扱いで青果側へ
    • なぜ起きる:品名が“Mushroom”だけで、栽培用か食用か不明。
    • 正しい考え方:0602にmushroom spawnが明示されています(栽培用の種菌は0602側)。
    • 予防策:
      • 用途(栽培用)・形態(培地付菌糸体等)を仕様書に明記
  8. 間違い:ラン・サボテン等でCITES/植物検疫の確認漏れ
    • なぜ起きる:HS分類だけで手続きが完了すると誤認。
    • 正しい考え方:日本では植物検疫が広く適用され、証明書・検査が必要な場面がある。さらにラン・サボテン等はCITESで許可が必要になり得ます。
    • 予防策:
      • 取引開始前に「輸入条件DB」「植物防疫所」照会、学名の確定
      • CITES該当性(Appendix)と許可の要否を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 多くの協定では、PSR(品目別規則)がHSコードに紐づきます。まず**最終製品のHS(少なくとも6桁)**を確定し、そのHSに対応するPSRで検証するのが基本です。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 花束・寄せ植えなど複合品は、HSがブレるとPSRもブレます(CTC型/付加価値型/加工工程型など)。
    • 第6類は「栽培・育成(wholly obtainedに近い判断)」が絡む一方、輸入苗を国内で短期保管して再輸出などは原産性が取りにくいことがあります(一般論)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • 例:EPA相談デスクの整理では、CPTPPはHS2012、日EU・EPAはHS2017、RCEPはHS2022等、協定により参照版が異なるとされています。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • HS版が違うと、同じ製品でもPSR表のコード体系が一致しないことがあります。輸出先・協定別に「参照HS版」を先に確認するのが安全です。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 協定がHS2012参照でも、税関実務・申告はHS2022で動くケースがあり得ます。その場合、**旧HS→新HSの対応(相関表)**を使って読み替えます(ただし最終判断は各当局運用)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 第6類は製造業ほどBOMが重くないことも多いですが、少なくとも以下は揃えるとブレが減ります:
      • 生産地・栽培記録(どこで育成/収穫したか)
      • 輸入苗・球根の原産国と仕入書類
      • 花束等の構成材料(花材ごとの原産国・HS)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 協定ごとに保存年限等が異なるため、社内で「協定別フォルダ」を作るのが実務的です。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第6類の範囲・号立て)0601〜0604第6類の類注(2本)と、0601〜0604の6桁構成は同一内容のまま分類実務は原則継続。ただしEPA/FTAは参照HS版が別途あるため、協定側のHS版確認は必須

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)を列挙し、
    “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”を文章で説明します。
  • 本回答では、WCOが公開しているHS2017の第6類テキストHS2022の第6類テキストを見比べ、(1)類注2本の文言、(2)0601〜0604の見出し文言、(3)各項の6桁(号)列挙が一致していることから、HS2017→HS2022で第6類に「構造変更(新設/削除/分割/統合等)」がないと整理しました。
  • なお、WCOの相関表は「実装支援のガイド」であり法的地位を持たない旨が明記されています(参考情報)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(可能な範囲)
    • 第6類は4桁(0601〜0604)という骨格は長期的に安定していますが、6桁(号)レベルでは再編があったことが確認できます(例:0604の号構成、0603のユリ区分)。
版の流れ主な追加・削除・再編(6桁中心)旧コード → 新コード(目安)コメント
HS2007 → HS20120603(切花)の「ユリ」を独立区分(0603.15)として明示(HS2007では“その他”側に含まれていた構成)0603.19(Other fresh)→(一部が)0603.15(Lilies)“その他”の一部が再配分されたと読むのが自然ですが、厳密な境界は相関表・当局運用で確認が安全です。
HS2007 → HS20120604(装飾用枝葉等)の号が、HS2007の「苔・地衣類(0604.10)+その他(0604.91/0604.99)」型から、HS2012以降の「生鮮(0604.20)/その他(0604.90)」に再編0604.91(Fresh)→ 0604.20(Fresh)/0604.10・0604.99 → 0604.90(Other)号の切り方が「品目群別」→「生鮮/その他」に整理された形です。
HS2012 → HS2017大きな変更なし(第6類テキスト一致)類注・号立てが同一。
HS2017 → HS2022大きな変更なし(第6類テキスト一致)類注・号立てが同一。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「植え付け用種いも」を第6類で申告してしまう
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第6類の類注で第7類の品目(じゃがいも等)を除外する趣旨に反する。
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “seed potato / planting” で、園芸品として処理してしまう。
    • 典型的な影響:修正申告、差額関税・加算税、検査強化、リードタイム悪化(一般論)。
    • 予防策:品目の同定(学名/写真)、第7類の可能性チェック、事前教示の活用。
  • 事例名(短く):花束を「装飾板(plaque)」に固定した商品を0603/0604で申告
    • 誤りの内容:0603/0604の注で、コラージュ等の装飾板(9701)を除外している趣旨に抵触。
    • 起きやすい状況:EC向け壁飾り(植物素材+木板/額)を「花材」とだけ説明してしまう。
    • 典型的な影響:分類変更、通関保留、追加資料要求(一般論)。
    • 予防策:固定方法・台座の有無を写真で提示、商品説明を正確に。
  • 事例名(短く):リースの付属品(花瓶・器)を“付属品”と誤認
    • 誤りの内容:注の「付属品は度外視」の趣旨はあるが、GIR5で反復使用容器は別扱いになり得る点を無視。
    • 起きやすい状況:フラワーアレンジ(器付き)のギフト商品。
    • 典型的な影響:分類再検討、追加資料要求、申告修正(一般論)。
    • 予防策:器の再使用性、価格比率、セット性(小売向けセット)を整理して説明。
  • 事例名(短く):花(花芽)入りの装飾枝葉を0604で申告
    • 誤りの内容:0604は「花または花芽のない」枝葉等が前提。花が入ると0603寄り、またはGIR3で本質的特性判断が必要。
    • 起きやすい状況:「グリーン中心」の混合束で、花が少量だけ混ざる。
    • 典型的な影響:再分類、検査・照会(一般論)。
    • 予防策:花材明細の提出、写真、構成比の説明。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物検疫(植物防疫所):輸入植物検疫の対象は「苗、穂木、球根、種子などの栽培用植物」だけでなく「切り花」等も含む、とされています(=第6類の品目が広く該当し得ます)。
    • 検査証明書(Phytosanitary certificate):海外から植物を日本に持ち込む場合、輸出国政府機関が発行する検査証明書を添付して輸入検査を受ける必要がある、証明書がない場合は廃棄処分となり得る旨が案内されています(例外あり)。
    • 実務上のポイント:
      • 通関スケジュールに「植物検疫のリードタイム」を織り込む
      • インボイス品名を具体化(一般名+学名が望ましい)
      • 仕向地国への輸出でも、相手国側の植物検疫要件(輸出検査・証明書)を要確認
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 日本税関の案内では、許可証がないと持込みできない典型例として「Orchid(ラン)」「Cactus(サボテン)」が挙げられています。
    • 経産省(METI)はCITESの目的(野生動植物の国際取引が存続を脅かさないようにする)や附属書(Appendices)の考え方を説明しています。
    • 植物防疫所の輸出FAQでも、サボテン・ランの一部種はCITESで輸出入が禁止/制限される旨に触れています。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第6類は通常、安保輸出管理の中心品目ではありませんが、最終用途・仕向地等で別途規制がかかる可能性はゼロではないため、社内の輸出管理フローに従って確認してください(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 植物防疫所(輸入植物検疫、輸出の検査証明)
    • 税関(CITES関連の注意喚起)
    • 経産省(CITES概要、該当種の確認導線)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 学名・品種が分かる仕様書/ラベル
    • 写真(全体・梱包状態)
    • 検査証明書(Phytosanitary certificate)原本/写し
    • CITES許可書(該当する場合)
    • 花束等は構成明細(花材別に)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生きているか/切花か/枝葉か
    • 花(花芽)の有無(0603/0604)
    • 学名・品種・用途(植栽用/装飾用/食用)
    • 梱包・付属品(器、籠、リボン、台座、固定方法)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第6類類注で第7類除外に当たらないか(じゃがいも、たまねぎ等)
    • 花束・リース等で注の適用可否(装飾板は除外)
    • 混在品はGIR3・GIR5を当てて説明できるか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス:一般名+(可能なら)学名、状態(fresh/dried)、用途(ornamental/for planting)
    • 数量:本数・束・鉢数・球根数など、相手国/検疫で求められる単位に注意
    • 写真・カタログ・成分表(染色・漂白等の有無)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017/2022)を確認
    • 花束等は構成材料の原産国が混在しやすい点に留意
    • 保存要件(協定別)に沿って証憑管理
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫対象か(苗・球根・切り花等は対象になりやすい)
    • Phytosanitary certificate要否、輸入検査の段取り
    • ラン・サボテン等のCITES該当性(許可書)

12. 参考資料(出典)

※Web参照の参照日:2026-02-13

  • WCO(HS2022条文)
    • HS Nomenclature 2022(Chapter 6)
    • HS Nomenclature 2022(General Rules for the Interpretation:GIR)
    • HS2017(Chapter 6)
    • HS2012(Chapter 6)
    • 相関表(HS2017–HS2022)案内ページ
  • 日本の公的機関(規制・手続)
    • 植物防疫所:輸入植物検疫(対象範囲の説明)
    • 植物防疫所:海外からの持込みFAQ(検査証明書・検査等)
    • 植物防疫所:輸出FAQ(サボテン・ランとCITES言及)
    • 日本税関:ワシントン条約(注意喚起例:Orchid/Cactus)
    • 経産省:CITES概要
  • FTA/EPA(HS版・運用)
    • EPA相談デスク:協定別の参照HS版(CPTPP=HS2012、日EU=HS2017、RCEP=HS2022等)
    • ジェトロ:RCEPがHS2022ベース運用に移行(2023-01-01開始)
  • その他(参考:HS2007の章構成確認)
    • Indian Trade Classification (HS) 2007 Chapter 6(0604の旧号立て等の比較用)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第5類:動物性生産品(他に該当しないもの)(Products of animal origin, not elsewhere specified or included)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 0501:未加工の人毛(洗浄・梳毛程度を含む)や人毛くず
    • 0502:豚毛・猪毛、アナグマ毛など「ブラシ用の毛」
    • 0504:魚以外の動物の腸・膀胱・胃(ソーセージの天然ケーシング原料など)
    • 0505:清浄・消毒・保存処理までの羽毛・ダウン(それ以上の加工は別類へ)
    • 0506/0507/0508:骨・角芯・象牙・べっ甲・サンゴ・貝殻等(未加工〜簡易処理で、形に切り出していないもの)
    • 0510/0511:動物由来の医薬用原料(一定の状態のもの)、動物精液、魚由来原料、その他「他に当たらない動物性生産品」など(号の切り分けあり) (Fiji Revenue & Customs Service)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 食用の動物性産品:原則として第4類/第16類等(ただし「腸・胃・膀胱」や「動物血(液状・乾燥)」は例外的に第5類に残ることがある) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 原皮・原毛皮(毛皮を含む):第41類/第43類(ただし、特定の鳥の皮(羽毛付き)や、原皮の切り屑等が第5類に来得る例外あり) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 動物の繊維原料(羊毛・獣毛など):原則として第XI部(繊維)側(例外として「馬毛」は第5類側で扱う旨の定義あり) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • ブラシ製造用に“結束・房状に加工された毛(タフト等)”:9603(準備された結び目・房) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 加工して形ができている象牙・骨・サンゴ等(彫刻品、切り出し品):多くは第96類(例:9601)等へ(「未加工〜簡易処理・未切り出し」かが鍵)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度(未加工/洗浄・消毒・保存処理まで/染色・漂白・成形・切り出し済み など)
    2. 材質の定義が注で拡張される(例:「ivory(象牙)」の扱い、「horsehair(馬毛)」の定義) (Fiji Revenue & Customs Service)
    3. “他に該当しない”の前に、除外(他章)を潰す(食用、皮革、繊維、刷毛用タフト等)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **ワシントン条約(CITES)対象の素材(象牙・べっ甲・サンゴ等)**を含む貨物:分類以前に、そもそも輸出入可否・許可書類で止まる可能性があります。 (jetro.go.jp)
    • 動物検疫の対象になり得る動物由来物(骨・血・皮・毛・羽・角・精液等):通関前工程(検疫・証明書)で遅延しやすいです。 (maff.go.jp)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し+注)**がほぼ勝負です。第5類は「他に該当しない動物性生産品」という性格が強く、類注(Notes 1〜4)での除外・定義がそのまま分類の結論に直結します。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • GIR6(号レベルの決定):特に0511は「牛の精液」「魚由来」「その他」で号が割れます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(第5類で効きやすい軸):
    • 用途:食用か、工業用か、医薬原料か、ブラシ用か(※用途が見出し文言に入っている例がある)
    • 材質:何の動物由来か(象牙の定義拡張などに注意) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 状態・加工度:「unworked/simply prepared/not cut to shape」等の条件を満たすか
    • 形状:粉末・くず・層状、束ね品(タフト)など

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:動物由来か?
    • はい → Step2へ
    • いいえ → 第5類ではありません
  • Step2:食用の動物性産品か?
    • はい → 原則 第4類/第16類等を検討
    • ただし、腸・膀胱・胃(魚以外)、および 動物血(液状・乾燥) は第5類側に残り得る例外として注で扱われます(=「食用だから即除外」と決めない)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • Step3:皮・毛皮(原皮)か?
    • はい → 原則 第41類/第43類
    • ただし、羽毛付きの鳥の皮(0505)や、原皮の切り屑等(0511に来得る)など、注に出る例外あり。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • Step4:繊維原料(羊毛など)としての動物毛か?
    • はい → 原則 第XI部(繊維)
    • ただし、**馬毛(定義上は“馬・牛のたてがみ/尾の毛”)は第5類側(0511)**に来得ます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • Step5:ブラシ製造用に“準備されたタフト(結び目・房)”になっているか?
  • Step6:この類のどの項に当たるかを当てにいく
    • 人毛 → 0501
    • 豚毛/獣毛(ブラシ用)→ 0502
    • 腸等 → 0504
    • 羽毛・ダウン(洗浄等まで)→ 0505
    • 骨・角芯 → 0506
    • 象牙・べっ甲・鯨骨等 → 0507
    • サンゴ・貝殻・甲いか骨等 → 0508
    • 特定の動物由来医薬原料(一定状態)→ 0510
    • その他(牛精液、魚由来、馬毛、原皮くず等を含む)→ 0511 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第5類 ↔ 第67類(人毛・羽毛の“加工品”側)
    • 第5類 ↔ 第96類(骨・象牙・サンゴ等が“切り出し・彫刻・成形済み”になったら移る)
    • 第5類 ↔ 第XI部(繊維原料としての動物毛)
    • 第5類 ↔ 第23類(魚粉・ペレット等の飼料原料)
    • 第5類 ↔ 第30類/第35類(医薬品/抽出物/ゼラチン等に加工が進んだ場合)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

以下はHS2022の第5類(Chapter 5)の項を、実務目線で要約して整理したものです。 (Fiji Revenue & Customs Service)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0501未加工の人毛、人毛くずカツラ原料の人毛束(未加工)、人毛くず「加工(working)」の程度が鍵。長さで選別しても一定条件なら未加工扱い(類注2)。加工済み(染色・脱色・パーマ・根元揃え等)は別類になり得る (Fiji Revenue & Customs Service)
0502豚毛・猪毛、アナグマ毛等のブラシ用毛、くず歯ブラシ/ヘアブラシ用の豚毛、刷毛用獣毛“ブラシ用毛”の性格が強い。タフト等に「準備」されると9603へ除外 (Fiji Revenue & Customs Service)
0504(魚以外の)腸・膀胱・胃(各種状態)天然ケーシング(塩蔵腸)魚は除外(文言)。ソーセージ用腸と、医療用縫合糸等(滅菌済み等)との境界に注意
0505羽毛・羽毛付き鳥皮、ダウン(清浄/消毒/保存処理まで)ダウン原料、羽毛原料洗浄・消毒・保存処理までが範囲。染色・装飾加工・製品化は第67類などへ移りやすい (Fiji Revenue & Customs Service)
0506骨・角芯(未加工/脱脂/簡易処理・未切り出し)、粉・くず骨片、角芯、骨粉(範囲内のもの)「切り出して形がある」かどうかが決定的。ゼラチン等に加工が進むと別類(例:第35類)へ
0507象牙・べっ甲・鯨骨・角・ひづめ等(未加工/簡易処理・未切り出し)、粉・くず象牙原材、角材、爪・くちばし等の原材“ivory(象牙)”の定義が広い(類注3:カバ・セイウチ等の牙、サイ角、動物の歯等も含み得る)。CITES等の規制面も要注意 (Fiji Revenue & Customs Service)
0508サンゴ・貝殻・甲いか骨等(未加工/簡易処理・未切り出し)、粉・くずサンゴ原材、貝殻、甲いか骨加工してビーズ状・装飾品状になると別類へ。サンゴはCITES対象になり得る (Fiji Revenue & Customs Service)
0510アンバーグリス等、乾燥胆汁、腺などの医薬原料(一定状態)ムスク、胆汁、腺(医薬原料)「医薬原料として使われる動物性産品」+「鮮冷/凍結/仮保存」等の状態がキー。抽出・製剤化が進むと第30類側へ寄る可能性
0511その他の動物性生産品(他に該当しない)、第1類/第3類の死体(食用不適)など牛の精液、魚由来原料、馬毛、原皮の切り屑等“その他”の受け皿。ただし号で(牛精液/魚由来/その他)に割れる。類注4により「馬毛」はここへ来得る (Fiji Revenue & Customs Service)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

第5類は「項(4桁)」よりも、**“加工度”と“除外(他章)”**で事故が起きやすい一方、6桁でも押さえるべき割れ方があります。 (Fiji Revenue & Customs Service)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • 0502:**豚毛等(0502.10)**か、それ以外(0502.90)か
    • 0505:**充てん用羽毛・ダウン(0505.10)**か、それ以外(0505.90)か
    • 0506:**酸処理骨(ossein等:0506.10)**か、その他(0506.90)か
    • 0507:**象牙(0507.10)**か、その他(0507.90)か(※象牙の定義に注意)
    • 0511:牛の精液(0511.10)魚・水生無脊椎動物由来等(0511.91)その他(0511.99) (Fiji Revenue & Customs Service)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 0501(未加工人毛) ↔(他類)人毛の加工品(例:かつら材料)
      • どこで分かれるか:「working(加工)」に当たる処理があるか
      • 判断に必要な情報:工程(洗浄・消毒・漂白・染色・パーマ・根元揃え・束ね方)、写真
      • 典型的な誤り:「長さ選別した=加工品」と誤認(類注2は、一定条件の“長さ選別”は加工とみなさない旨) (Fiji Revenue & Customs Service)
    2. 0502(毛そのもの) ↔ 9603(準備されたタフト等)
      • どこで分かれるか:毛が結び目/房状に“準備”されているか
      • 判断に必要な情報:輸入形態(束ね方、台座への固定有無)、商品説明(“tuft”“knot”等)
      • 典型的な誤り:ブラシ用毛は全部0502と思い込む(類注1(d)で除外) (Fiji Revenue & Customs Service)
    3. 0505(洗浄/消毒/保存処理までの羽毛) ↔(他類)染色・装飾加工済み羽毛
      • どこで分かれるか:第5類は“それ以上加工していない”範囲に限定される(文言上の制約) (Fiji Revenue & Customs Service)
      • 判断に必要な情報:加工工程、SDS/仕様、着色の有無、用途(装飾品か詰物材か)
    4. 0507.10(象牙) ↔ 0507.90(その他)
      • どこで分かれるか:材質が“ivory”に該当するか(類注3で定義が広い) (Fiji Revenue & Customs Service)
      • 判断に必要な情報:動物種、部位(牙・歯・角)、成分鑑別、由来証明
      • 典型的な誤り:「象(ゾウ)だけが象牙」と誤認
    5. 0511.10/0511.91/0511.99
      • どこで分かれるか:牛精液か魚等の由来か、それ以外か (Fiji Revenue & Customs Service)
      • 判断に必要な情報:動物種、用途(繁殖用・研究用等)、形状(液体/凍結等)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第5類は「第I部(動物)」の中でも、**“他に該当しない動物性の原材料”**が集まりやすい類です。
    • 実務では、部注そのものよりも、(a)類注の除外、(b)他部(第XI部=繊維、第VIII部=皮革等)への飛び先をセットで把握するのが有効です。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「毛だから第5類」と決めず、繊維原料(第XI部)なのか、ブラシ用(第5類0502)なのか、タフト(9603)なのかを工程・形状で見ます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 動物の繊維原料 → 第XI部
    • 原皮・毛皮 → 第41類/第43類
    • 刷毛・ブラシの部材として準備された毛 → 9603 (Fiji Revenue & Customs Service)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

第5類の類注(Notes)は、実務の分岐点がそのまま書かれているタイプです。 (Fiji Revenue & Customs Service)


4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:“食用”かどうかで単純に切れない(例外がある)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 取引実態(食用向けか、工業・飼料・医薬原料か)
      • 品目の性状(腸・膀胱・胃なのか、動物血なのか)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書、用途説明、製造工程、写真、成分/由来情報
    • 誤分類の典型:
  • 影響ポイント2:馬毛は“動物繊維”でも第XI部とは限らない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛の種類(たてがみ/尾か)、動物種(馬/牛由来か)
      • 形状(毛束、くず、層状等)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(由来部位・動物種)、写真、鑑別結果
    • 誤分類の典型:
  • 影響ポイント3:“象牙”の定義が広く、材質鑑別ミスが分類ミスになる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 素材が牙・歯・角のどれか、動物種
    • 現場で集める証憑:
      • 材質鑑別、由来証明、CITES関連書類(該当時)
    • 誤分類の典型:

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:長さで選別した人毛を“加工品”として別類にしてしまう
    • なぜ起きる:選別=加工と誤解しやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):0501では、一定条件の長さ選別は加工とみなさない旨の整理があります(類注2)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 「根元と毛先が揃うように並べているか」「染色・漂白・パーマ等の処理があるか」を仕様書に明記
      • 入荷形態(束・ネット・テープ固定等)の写真を保管
  2. 間違い:ブラシ用の毛束(タフト)を0502で申告
    • なぜ起きる:素材が豚毛等なので0502と思い込みやすい
    • 正しい考え方:ブラシ用に準備された結び目・房は9603へ除外(類注1(d))。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 形状(結束方法、台座、接着の有無)を確認
      • サプライヤーに「tuft / knot / prepared for brush making」の有無を質問
  3. 間違い:染色・装飾加工済みの羽毛を0505のまま
    • なぜ起きる:羽毛=0505の固定観念
    • 正しい考え方:0505は洗浄・消毒・保存処理まで等、“それ以上の加工がない”範囲に寄ります(見出しの条件)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 加工工程(染色・漂白・カール等)を工程表で確認
      • 用途(詰物材か装飾材か)をインボイスに補足
  4. 間違い:天然ケーシング用の腸(0504)を“肉製品”として扱う/逆に、加工済みを0504に残す
    • なぜ起きる:食用・畜産物のイメージで分類が揺れる
    • 正しい考え方:0504は「腸・膀胱・胃(魚以外)」が対象(見出し文言)。一方、滅菌済み縫合糸など用途・加工度によっては第30類等へ移る可能性もあります(加工度で判断)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 「用途(食品用ケーシングか医療用か)」と「滅菌の有無」を確認
      • 動物検疫対象性も並行確認(後述) (maff.go.jp)
  5. 間違い:骨や象牙・サンゴなど“切り出して形ができている”のに第5類で申告
    • なぜ起きる:材料名(骨・象牙)に引っ張られる
    • 正しい考え方:第5類(0506/0507/0508)は基本的に“未加工〜簡易処理・未切り出し”が中心。成形・彫刻・ビーズ状等は第96類等へ寄ります(加工度が決定的)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 形状写真(寸法が分かるもの)を必ず取得
      • 加工工程(切断・穴あけ・研磨・彫刻)を工程表で確認
  6. 間違い:“象牙=ゾウの牙だけ”として0507.10の対象を狭く見てしまう
    • なぜ起きる:一般用語の象牙と、HSの定義がズレる
    • 正しい考え方:HSの類注では“ivory”の範囲を広く扱う整理があります(類注3)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 動物種・部位の証明(原産証明とは別に「材質由来」資料)を用意
      • CITES対象可能性を早期にチェック (税関総合情報)
  7. 間違い:0511(魚由来)と、魚粉等(第23類)を混同
    • なぜ起きる:“魚のくず=飼料”でひとまとめにしがち
    • 正しい考え方:0511.91は魚等由来の“その他”が来得ますが、粉・ミール・ペレット等は第23類側を検討すべき場面があります(形状・用途・見出し文言で詰める)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 形状(粉末/ペレット/液体/固形片)と用途(飼料/肥料/抽出用)を確認
      • 製造工程(乾燥・粉砕の程度)を入手

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します
    • 第5類は「原材料(animal products)」として流通することも多く、**最終製品だけでなく“材料のHS”**が原産性判断(CTH/CC/RVC等)の前提になります。
  • よくある落とし穴
    • 材料側の分類(例:毛が0502なのか、繊維として第XI部なのか)がズレる
    • 医薬原料(0510/0511相当)が、抽出・精製により別章へ移っているのに材料HSを据え置く

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本の国内実務(通関・統計番号)はHS改正で更新されますが、EPA/FTAのPSRや譲許表は“協定が参照するHS版”で作られているため、ズレが出ます。 (経済産業省)
  • 例(一般論+代表的な動き):
    • RCEPは、PSRのHS2022対応(トランスポーズ表)を2023-01-01から使用する運用が案内されています。 (jetro.go.jp)
    • 一方で、CPTPPなど一部協定・ガイドでは、約束税率・PSRがHS2012ベースで整理されている旨が説明されることがあります(=協定文書のHS版確認が必須)。 (Australian Border Force Website)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定のPSRが参照するHS版を特定 → ②旧HSのコードでPSRを当てる → ③新HS(通関で使うHS2022)に対応付け → ④材料HSや工程要件を再確認
    • 特に第5類は、“削除された/使われない番号(例:0503等)”が古い資料に残っているケースがあり得るため、番号だけで判断しないことが重要です。 (Fiji Revenue & Customs Service)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 収集すべき情報(例)
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(6桁レベルは最低限)
    • 動物由来の場合:動物種、採取・処理場所、検疫関連書類の有無
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 協定ごとに異なるため、自己申告/第三者証明の方式、保存年限、監査対応を確認

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

(注)WCOのHS2017→HS2022相関表(Table I/II)は「改正で影響を受けるコード」を中心に整理されています。 (世界税関機構)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第5類に関する改正記載が確認できないため)第5類(0501,0502,0504〜0508,0510,0511)WCO相関表(改正反映表)で第5類の改正対象として示されない範囲では、HS2017→HS2022で大きな構造変更は見込みにくい通関実務は基本的に“加工度・除外先”の論点が中心。協定HS版のズレ(HS2012/2017)には引き続き注意 (世界税関機構)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • WCO相関表は「改正で影響を受ける見出し・号」を整理する資料であり、第5類コードが改正対象として現れない範囲では、HS2017→HS2022で第5類の大きな改正はない(=変更なし)と整理しました。 (世界税関機構)
    • 加えて、HS2022側の第5類の類注(Notes 1〜4)と、主要号(0511.10/0511.91/0511.99等)の構造を確認し、少なくともHS2022における実務分岐が上記整理で説明可能であることを確認しました。 (Fiji Revenue & Customs Service)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第5類は「他に該当しない動物性産品」の性格から、協定・統計などで参照するHS版によって“見慣れない番号”が出てくることがあります。特に“馬毛”は、類注により0511側で扱う整理が明示されています。 (Fiji Revenue & Customs Service)

主要論点(実務向け):

  • HS2022(少なくともHS2022準拠の関税率表)では、第5類の見出し列挙に0503が現れず、馬毛は類注4で0511に含まれ得ると整理されています。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • そのため、古い資料・協定(HS2012等)で0503等の番号が出てくる場合は、トランスポジション(旧→新)で0511側へ対応付ける必要が生じ得ます(協定・当局資料で確認)。 (経済産業省)

(整理表:主要な“見た目のズレ”に絞った例)

版の流れ旧コード(例)新コード(例)コメント(実務の見方)
HS2012/旧資料 → HS20220503(馬毛として記載される場合がある)0511(少なくとも馬毛は0511に含まれ得る)号レベルは国・協定の参照HS版で要確認。日本の国内コード例では0511.99側に馬毛の細分が置かれています (税関総合情報)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「染色羽毛」を0505で申告して差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):0505は“清浄・消毒・保存処理まで”の範囲で、装飾加工等が進んでいると別類へ移り得る(加工度の見落とし) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “feathers” だけ、加工工程が書類に出ない
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、納期遅延
    • 予防策:工程表・写真・用途説明(詰物材/装飾材)を添付、必要なら事前教示
  • 事例名(短く):ブラシ用タフトを0502で申告→9603へ訂正
    • 誤りの内容:準備された結び目・房(タフト)を見落とし(類注1(d)) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 起きやすい状況:部材輸入(完成品でなく“毛束”だけ)で、現物確認が甘い
    • 典型的な影響:HS訂正、関税・統計の修正、原産性判定や規制判定のやり直し
    • 予防策:形状写真、商品仕様(tuft/knot/ready for brush making)を確認
  • 事例名(短く):象牙(または象牙相当素材)でCITES書類不備→差止
    • 誤りの内容:分類以前に規制(ワシントン条約)確認が不足 (環境省)
    • 起きやすい状況:アンティーク・装飾部品で「少量だから大丈夫」と誤認
    • 典型的な影響:差止・没収リスク、取引中止、罰則リスク(一般論)
    • 予防策:素材の由来・年代の証明、許可要否の事前確認(環境省・税関情報)
  • 事例名(短く):動物由来物の検疫対象を見落として通関遅延
    • 誤りの内容:骨・毛・羽・角・精液等が動物検疫の対象になり得る点を未確認 (maff.go.jp)
    • 起きやすい状況:サンプル輸入、研究用試料、EC小口
    • 典型的な影響:検疫手続や証明不足による保留・返送(一般論)
    • 予防策:AQS(動物検疫)で対象性と必要書類を事前確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)

検疫・衛生(SPS等)

  • 動物検疫(Animal Quarantine Service:AQS)
    • 日本では、海外から持ち込む動物由来物のうち、骨、脂、血、皮、毛、羽、角、ひづめ、腱などが動物検疫の対象になり得ることが明示されています(完成品の一部は除外される旨も併記)。 (maff.go.jp)
    • 第5類に典型的な対象例:羽毛、毛、骨、角、精液(0511)など
  • 実務での準備物(一般論)
    • 品目・加工度・由来国で要件が変わるため、輸出国政府の証明書の要否や、検疫での提出資料を事前に確認

ワシントン条約(CITES)等の種規制

  • 0507(象牙等)、0508(サンゴ等)を含む貨物は、CITES対象となり得ます。JETROの案内でも、さんご・象牙・べっこう等はワシントン条約の規制対象とされています。 (jetro.go.jp)
  • 象牙は、環境省の案内で条約と国内法に基づき規制され、原則として日本と海外間の輸出入や国内取引が禁止と説明されています。 (環境省)
  • 税関もワシントン条約対象の加工品・製品例を掲示しています(象牙製品等)。 (税関総合情報)

安全保障貿易管理

  • 第5類自体が典型的にリスト規制に直結するケースは多くありませんが、生物由来試料として輸出入する場合は別途社内規程・該非判定プロセスの対象になり得ます(一般論)。

確認先(行政・公式ガイド・窓口)

  • 動物検疫:農林水産省 動物検疫所(AQS) (maff.go.jp)
  • CITES:環境省(象牙等)・税関(ワシントン条約情報) (環境省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種、部位(毛/腸/骨/角/歯等)、用途(食用/工業/医薬)、加工工程
    • 写真(形状・束ね方・切り出しの有無が分かる)
    • 成分・由来証明、SDS(ある場合)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第5類の類注(除外・定義)に抵触していないか(食用、皮革、繊維、9603等) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 「未加工/簡易処理/未切り出し」要件を満たすか(0506〜0508で特に)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「動物種」「加工度」「用途」を入れる(例:“cleaned and disinfected down” 等)
    • HS6桁と国内コード(日本の統計番号)を混同しない(国内コードは別管理)
    • 税関説明用の資料(工程表・写真・仕様)を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(HS2012/2017等)を確認し、必要に応じてトランスポーズ表でHS2022へ対応付け (経済産業省)
    • 材料HSの整合(特に“毛”や“医薬原料”でズレやすい)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫の対象性(毛・羽・骨・角・精液等)と必要書類を確認 (maff.go.jp)
    • CITES対象素材(象牙・べっ甲・サンゴ等)の有無を確認 (jetro.go.jp)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022相関表)
    • WCO “TABLE I – Correlating the 2022 version to the 2017 version of the Harmonized System” (世界税関機構)(参照日:2026-02-13)
    • WCO “TABLE II – Correlating the 2017 version to the 2022 version of the Harmonized System” (世界税関機構)(参照日:2026-02-13)
  • HS見出し・類注の確認(HS2022準拠の関税率表例)
  • 日本の検疫・規制(公的機関)
    • 農林水産省 動物検疫所(AQS)“Bring animal products into Japan from overseas” (maff.go.jp)(参照日:2026-02-13)
    • 環境省 “象牙の国外持ち出し規制について(一般の方向け)” (環境省)(参照日:2026-02-13)
    • 税関 “ワシントン条約” (税関総合情報)(参照日:2026-02-13)
    • JETRO Q&A “ジュエリーや貴金属、アクセサリーの輸入手続き:日本”(さんご・象牙・べっこう等のCITES言及) (jetro.go.jp)(参照日:2026-02-13)
  • FTA/EPA(HS版ズレの実務注意)
    • 経済産業省:HSコード改正とEPA利用時の留意(国内HS更新と協定HS版ズレの注意) (経済産業省)(参照日:2026-02-13)
    • JETRO:RCEPのPSR(HS2022対応表の使用開始に関する案内) (jetro.go.jp)(参照日:2026-02-13)
    • Australian Border Force:RCEP HS2022 transposed PSR 運用開始(参考) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-13)
    • Australian Border Force:CPTPP importers guide(HS2012ベース言及のあるガイド例) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-13)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 日本の国内コード(統計番号/NACCS用品目コード)はHS6桁に国内細分(9桁等)が付くため、HS(6桁)と国内コードを混同しないでください。
  • 例:馬毛(horsehair)は、国内コード例として 0511.99 系列に細分が置かれていることが示されています(NACCS用品目コード一覧の例)。 (税関総合情報)
    • 実務上は、「馬毛=0503」等の旧資料表記があっても、通関で使う国内コードは別途確認が必要になります。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 製品写真(全体・拡大・梱包状態)
    • 材質・動物種・部位の証明(鑑別結果があると強い)
    • 加工工程(どこまで加工したか:洗浄/消毒/漂白/染色/成形/切り出し 等)
    • 用途(食用・工業・医薬原料・装飾等)
    • カタログ、SDS、仕様書、サンプル(可能なら)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第4類:酪農品、鳥卵、天然はちみつ及び他の類に該当しない食用の動物性生産品

英語名:Dairy produce; birds’ eggs; natural honey; edible products of animal origin, not elsewhere specified or included. (世界関税機関)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 牛乳・生乳・クリーム(濃縮していない、無糖)【0401】 (世界関税機関)
    • 粉乳・練乳・加糖練乳など(濃縮/乾燥、または加糖のミルク・クリーム)【0402】 (税関ポータルサイト)
    • ヨーグルト、ケフィア等の発酵/酸性化乳【0403】(HS2022で一定の添加ヨーグルトも対象拡大) (世界関税機関)
    • ホエイ、調製ホエイ、乳成分品【0404】 (世界関税機関)
    • バター/乳脂肪/デイリースプレッド【0405】、チーズ【0406】 (世界関税機関)
    • 殻付き卵【0407】、液卵・卵黄等【0408】、天然はちみつ【0409】 (世界関税機関)
    • 食用の非生体昆虫(条件範囲内)【0410】 (世界関税機関)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • ココア等で香味づけしたミルク飲料 → 第22類 2202(飲料) (税関ポータルサイト)
    • ホエイ由来で乳糖が乾燥基準で 95%超のもの → 第17類 1702(乳糖等) (世界関税機関)
    • ミルクの天然成分を別の物質で置換(例:乳脂肪を植物油脂で置換した“ミルク代替”)→ 1901 または 2106 (世界関税機関)
    • アルブミン類・一定のホエイたんぱく濃縮物(乾燥基準でホエイたんぱくが高いもの等)→ 3502/3504 (世界関税機関)
    • 食用に適さない非生体昆虫 → 0511 (世界関税機関)
    • 食用昆虫でも、味付け等で「調製・保存」されたもの → 原則 第4部(例:第16類)側へ(加工度合いで判断) (世界関税機関)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. “素材”か“調製品”か(香味・具材・置換の有無で、04類→19/21/22類へ飛びやすい) (世界関税機関)
    2. 成分の閾値(バター定義、ホエイチーズ要件、乳糖95%超の除外など) (世界関税機関)
    3. 昆虫は“非調製”か“調製済み”か(0410か、16類などか) (世界関税機関)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 乳製品は、**関税率差・割当・協定税率(PSR)**に影響しやすく、分類違いが「税率・原産地・規制(検疫)」の三重で効くことがあります。 (農林水産省)


1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか

1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:見出し文言と「注(類注/部注)」が最重要。第4類は、ヨーグルト、バター、ホエイチーズ、昆虫などを注で定義しているため、品名より注を優先して読みます。 (世界関税機関)
    • GIR6:6桁(号)の比較では、脂肪分%など「号の文言」どおりに当てはめます(例:0401の脂肪分区分)。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 状態:液体/粉末/濃縮/乾燥(“dried”は脱水・蒸発・凍結乾燥を含む) (世界関税機関)
    • 添加と目的:添加物が「風味付け/具材」なのか、「ミルク成分を置換」なのか(置換なら04類から外れる可能性が高い) (世界関税機関)
    • 成分数値:乳脂肪、水分、乾燥固形分、乳糖%(乾燥基準) (世界関税機関)
    • 加工度:昆虫・卵・乳製品が“単なる保存処理”か“調製(味付け等)”か (世界関税機関)

1-2. 判定フロー 疑似フローチャート

  • Step1:物品は「食用」か、動物由来か
    • 食用でなければ04類ではなく、05類等に寄る可能性(例:食用に適さない昆虫→0511)。 (世界関税機関)
  • Step2:乳製品・卵・はちみつ・その他動物性食品のどれか
    • 乳製品なら 0401〜0406、卵なら 0407〜0408、はちみつは 0409、その他は 0410 を起点に検討。 (世界関税機関)
  • Step3:04類の「除外規定」に当たらないかチェック
    • 乳糖95%超(乾燥基準)→1702、置換乳→1901/2106、アルブミン類→35類等。 (世界関税機関)
  • Step4:該当する項(4桁)を決め、最後に号(6桁)を文言どおりに当てはめ
  • よく迷う境界:
    • 04類(乳製品) vs 22類(飲料):「ミルク飲料」扱いになると22.02へ。 (税関ポータルサイト)
    • 04類(ヨーグルト) vs 19.01/21.06:「具材・置換」で外れやすい。 (世界関税機関)
    • 04類(ホエイ等) vs 17.02(乳糖)/35.02(たんぱく):「乾燥基準の成分比」が決め手。 (世界関税機関)

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表 必須

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0401濃縮等していないミルク・クリーム、無糖生乳、牛乳、クリーム濃縮/乾燥/加糖は0402。脂肪分で号が分岐。
0402ミルク・クリーム(濃縮/乾燥、または加糖)練乳、粉乳、加糖粉乳粉末/粒状か、ペースト状濃縮か等で号が分かれる。
0403発酵/酸性化したミルク・クリーム等、ヨーグルトヨーグルト、ケフィア、サワークリームHS2022でヨーグルトの範囲が拡大(条件付き)。
0404ホエイ、調製ホエイ、その他の乳成分品ホエイパウダー、調製ホエイ乳糖95%超(乾燥基準)等の除外に注意。
0405バター等の乳脂肪バター、デイリースプレッド、無水乳脂肪、ギーバター/スプレッドは注の定義に合うかが最重要。
0406チーズ、カードナチュラルチーズ、カード、ホエイチーズホエイ濃縮+ミルク/乳脂肪のものは条件付きで0406。
0407殻付き鳥卵殻付き鶏卵、受精卵(孵化用)孵化用か食用かで号が分岐しやすい。
0408殻付きでない卵・卵黄液卵、乾燥卵黄、冷凍卵白砂糖等の添加可(見出し上)。加工度合いで別類も。
0409天然はちみつはちみつ(瓶詰、巣蜜)原則04.09。規制面では巣蜜等は別途注意。
0410その他の食用動物性生産品ローヤルゼリー、食用昆虫(非調製)HS2022で食用昆虫の定義・細分が明確化。

上表の根拠となる「範囲の定義・除外」は、Chapter 4 Notes(注)と、各項の解説(税関解説)にまとまっています。 (世界関税機関)

2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐 必須

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 脂肪分%:0401(ミルク・クリーム)を中心に号が分岐。 (世界関税機関)
    • 濃縮/乾燥/加糖の有無:0401と0402の最初の分岐。 (世界関税機関)
    • “ヨーグルトとしての本質”:0403(特にHS2022)。 (世界関税機関)
    • 乾燥基準の成分比:乳糖95%超の除外(→1702)、ホエイたんぱく濃縮の除外(→3502)。 (世界関税機関)
    • 加工度(保存処理か調製か):昆虫(0410)と、調製昆虫(主に16類)の線引き。 (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(例:5組)
    1. 0401(非濃縮・無糖) vs 0402(濃縮/乾燥/加糖)
      • どこで分かれるか:濃縮・乾燥・砂糖等の添加があるか。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:製造工程(濃縮/乾燥)、糖添加有無、製品形状(粉/粒/ペースト)。
      • 典型的な誤り:「粉乳なのに0401で申告」「加糖練乳なのに無糖扱い」。
    2. 0403(ヨーグルト)と 1901/2106 の境界
      • どこで分かれるか:シリアル等を加えていても、ミルク成分の置換目的でなく、かつヨーグルトの重要な特性を保持しているか。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:配合表(置換かどうか)、物性・官能、ラベル表示、写真。
      • 典型的な誤り:具材入りを機械的に19.01へ寄せる(HS2022では見直しが入っています)。 (税関ポータルサイト)
    3. 0404(ホエイ等) vs 1702(乳糖)
      • どこで分かれるか:ホエイ由来品でも、乳糖が乾燥基準で95%超なら17.02へ除外。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:成分分析(乳糖%を乾燥状態に換算)、水分。
      • 典型的な誤り:乳糖粉末を「ホエイ粉」として0404で申告。
    4. 0405.10(バター) vs 0405.90(ギー/無水バター等)
      • どこで分かれるか:0405の中でも、0405.10の“バター”はギー等を含まない(サブ見出し注)。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:水分、乳化剤の有無、製品名称(ghee/anhydrous butter oil等)、仕様書。
      • 典型的な誤り:水分ほぼゼロの乳脂肪を「バター」として0405.10に入れる。
    5. 0410.10(昆虫) vs 第16類等(調製した昆虫)
      • どこで分かれるか:0410の“昆虫”は、一定の保存処理(冷凍・乾燥・塩蔵等)までの「非調製」側。味付け・調理等で“調製/保存”の色が強いと第4部側へ。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:加工工程(味付け/加熱/燻製等)、原材料(調味料)、製品形態(スナック等)。
      • 典型的な誤り:「味付き昆虫スナック」を0410で申告。

3. 部注と類注の詳細解釈 条文→実務的な意味

3-1. 関連する部注 Section Notes

  • ポイント要約:
    • Section Iでは、“dried(乾燥)”は脱水・蒸発・凍結乾燥などを含む扱いです。粉乳や乾燥卵などで「乾燥の方法」を問わず“乾燥”として扱いやすい点が実務に効きます。 (世界関税機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:凍結乾燥の卵粉・乳粉でも、号の「乾燥」区分に当てはめる前提で検討します。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • Section I部注自体で大きく他章へ飛ぶというより、**Chapter 4の類注(注)**で他章へ飛ぶケースが多いです(乳糖95%超→17.02、置換乳→19.01/21.06等)。 (世界関税機関)

3-2. この類の類注 Chapter Notes

Chapter 4は「注」が実務の核心です(要点のみ)。

  • ポイント要約:
    • 注1:ミルクの定義(全乳・脱脂乳を含む)。 (世界関税機関)
    • 注2:ヨーグルトは、一定の添加(香辛料、コーヒー、植物、シリアル、ベーカリー品等)も条件付きで許容。 (世界関税機関)
    • 注3:バター/デイリースプレッドの定義(乳脂肪%・水分等の閾値、乳化剤の扱い)。 (世界関税機関)
    • 注4:ホエイ濃縮+ミルク/乳脂肪の産品でも、条件を満たせばチーズ(0406)。 (世界関税機関)
    • 注5:除外規定(非食用昆虫、乳糖95%超、置換乳、アルブミン等)。 (世界関税機関)
    • 注6:0410の“昆虫”定義(非生体・一定の保存処理まで)。 (世界関税機関)
    • サブ見出し注:0404.10の「調製ホエイ」定義、0405.10のバターにギー等が含まれない点。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • バター:乳脂肪80〜95%等の数値基準と「乳化剤なし」など、定義に合致するかが核心です。 (世界関税機関)
    • ホエイチーズ扱い:乳脂肪(乾燥基準)5%以上、乾燥固形分70〜85%、成型可能等の要件が揃うと0406に寄ります。 (世界関税機関)
    • 昆虫:0410では、非生体昆虫で一定の保存処理(冷凍・乾燥・塩蔵等)までの範囲を明確化。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 乳糖95%超(乾燥基準)→17.02、置換乳→19.01/21.06、アルブミン等→35類、非食用昆虫→05.11。 (世界関税機関)

4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか

  • 影響ポイント1:ヨーグルトの「許容添加」と「置換」の線引き
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 添加物が“風味/具材”なのか、“ミルク成分を置換”なのか
      • ヨーグルトの重要な特性(発酵乳としての性状)が保持されているか (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表(%)、製造工程図、商品仕様書、商品写真、表示(原材料名・栄養成分表示)
    • 誤分類の典型:
      • シリアル入り=即19.01、コーヒー入り=即飲料、など「品名・見た目」だけで飛ばす。 (税関ポータルサイト)
  • 影響ポイント2:バター定義(0405.10に入るか)と、ギー等(0405.90)との切替
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
    • 現場で集める証憑:
      • 成分分析(COA)、配合、製法説明(無水化工程等)、製品規格書
    • 誤分類の典型:
      • 無水乳脂肪(ギー)を「バター」と誤認して0405.10へ。 (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:ホエイ由来品の「0404」か「0406(チーズ)」か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 乾燥基準の乳脂肪%(5%以上か)、乾燥固形分70〜85%、成型可能か (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 水分・脂肪の分析、形状写真、製造工程(成型の有無)
    • 誤分類の典型:
      • 「ホエイだから0404」と固定し、注4要件の確認をしない。 (世界関税機関)

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:ココア入りミルク飲料を0401/0402で申告
    • なぜ起きる:品名が「ミルク」なので乳製品と短絡する
    • 正しい考え方:ココア等で香味づけしたミルク飲料は22.02側に除外される扱い(解説で明示)。 (税関ポータルサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:原材料表、表示、用途(飲料として販売か)
      • 社内質問例:「これは“飲料”としてそのまま飲む商品ですか?ココア等の香味原料は入っていますか?」
  2. 間違い:シリアル入りヨーグルトを19.01(ミルク調製品)で固定
    • なぜ起きる:過去の運用や社内マスタがHS2017前提のまま
    • 正しい考え方:HS2022では、一定の添加(シリアル等)を含むヨーグルトを条件付きで04.03に含める方向で明確化(注2、改正資料)。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:添加目的(置換か否か)、配合%、商品性状
      • 社内質問例:「シリアルは“食感付与”ですか?“乳成分の代替”ですか?」
  3. 間違い:乳糖粉末を0404(ホエイ)で申告
    • なぜ起きる:「ホエイ由来=0404」という単純化
    • 正しい考え方:ホエイ由来でも乳糖が乾燥基準で95%超なら17.02へ除外。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:成分分析(乳糖%を乾燥基準に換算)、水分
      • 社内質問例:「乳糖含有率(乾燥基準)は何%ですか?」
  4. 間違い:無水乳脂肪(ギー)を0405.10(バター)で申告
    • なぜ起きる:商流上“バターオイル”がバターと呼ばれる
    • 正しい考え方:0405.10の“バター”はギー等を含まない(サブ見出し注)。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:水分、製法、商品名(ghee/anhydrous)
      • 社内質問例:「水分はほぼゼロですか?無水化工程がありますか?」
  5. 間違い:ホエイ濃縮+乳脂肪添加品を0404のままにする(0406の可能性を見ない)
    • なぜ起きる:原料がホエイなので0404と思い込む
    • 正しい考え方:注4の3条件(乳脂肪/乾燥固形分/成型性)を満たすと0406(チーズ)。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:乾燥基準脂肪%、乾燥固形分%、成型の有無
      • 社内質問例:「これは“チーズ状に成型”できますか?乾燥固形分は何%ですか?」
  6. 間違い:昆虫(味付け済み)を0410で申告
    • なぜ起きる:「昆虫=0410」と覚えてしまう
    • 正しい考え方:0410の定義は“非調製”側で、調製・保存の度合いが強いと第4部側(例:第16類)に寄る。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:加工工程、調味料の有無、販売形態(スナック等)
      • 社内質問例:「味付け・加熱調理・保存加工(缶詰等)はしていますか?」
  7. 間違い:粉乳等に加えた少量添加物で「調製食品」扱いに飛ばす
    • なぜ起きる:添加=調製品と短絡
    • 正しい考え方:粉乳は再生ミルクの物性維持のため少量でん粉(重量比5%以下)を含み得るとされる考え方が示されています(日本解説)。 (税関ポータルサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:添加物の種類/目的/重量比
      • 社内質問例:「でん粉等は何の目的で、重量比は何%ですか?」
  8. 間違い:殻付き卵(孵化用)と食用卵の区別を取らず0407で雑に申告
    • なぜ起きる:同じ“殻付き卵”と見える
    • 正しい考え方:HS改正で孵化用受精卵等の細分が整備されており、用途・取引実態が重要。 (税関ポータルサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:契約書(用途)、相手先(ふ卵場か)、ラベル表示
      • 社内質問例:「孵化目的(受精卵)ですか?食用ですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係

  • HSの付番はPSR選択に直結します。
    • 例:ヨーグルトを04.03とみるか、19.01とみるかでPSRが変わり、原産性判断(CTH/CTSH/RVC等)の軸がズレます。 (税関ポータルサイト)
  • よくある落とし穴
    • 最終製品HSだけでなく、非原産材料のHSも同じ版(協定が参照するHS版)で揃える必要があります。 (税関ポータルサイト)

6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012 HS2017 HS2022のズレ

  • 協定により、PSRが参照するHS版が異なります(例:RCEPはHS2022版PSRが採択され、2023-01-01から運用)。 (税関ポータルサイト)
  • ズレる場合の注意(一般論)
    • 実務のHS(通関)をHS2022で付番しても、PSRは協定指定のHS版で確認する必要がある場合があります。
    • その際、税関が公表する相関表や、WCOの相関資料で旧→新の対応関係を取ってからPSR適用を検討します。 (税関ポータルサイト)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 最低限そろえる
    • BOM(材料表)、各材料の原産国、非原産材料のHS、工程フロー、原価(RVC計算の前提)、製品仕様書(成分%)。
  • 証明書類・保存(一般論)
    • 監査・事後確認を想定し、HS判定根拠(注に基づく分岐の説明、分析証明)を保存。
  • RCEPの留意
    • 日本税関・外務省もHS2022への置換と運用開始を明示しており、文書様式・記載HSの整合が重要です。 (税関ポータルサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠

7-1. 変更点サマリー 必須:表

比較変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更・号整理0403シリアル・コーヒー等を加えたヨーグルトを、条件付きで04.03に含める趣旨を明確化し、号体系も整理19.01等に置いていた品目が04.03になり得る。税率・PSR・統計に影響
HS2017→HS2022分割・定義明確化0410食用の非生体昆虫を第4類、調製した昆虫を第16類等に整理。0410.10(昆虫)など細分新設昆虫食品の分類根拠が明確化。誤分類(第2類等)を減らす

(税関ポータルサイト)

7-2. 違うことになった根拠 必須

  • 参照した根拠資料と、判断のしかた
    • **WCOのHS2022条文(Chapter 4 Notes)**で、ヨーグルトの許容添加(注2)と、昆虫の定義(注6)が明示されています。 (世界関税機関)
    • **相関表(HS2022-HS2017)**で、0410の細分(0410.10等)や、ヨーグルト側の整理が示されています。 (税関ポータルサイト)
    • 日本税関のHS2022改正解説資料でも、ヨーグルトの範囲拡大と食用昆虫の整理が改正ポイントとして説明されています。 (税関ポータルサイト)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(第4類に関係が大きいもの)を、分かる範囲で整理します。

改正期変更タイプ旧コード→新コード(代表例)ポイント
HS2007→HS2012分割0401.30 → 0401.40(脂肪6〜10%)/0401.50(10%超)ミルク・クリームを脂肪分で細分化(統計把握等)。
HS2007→HS2012分割0407.00 → 0407.11/0407.19(孵化用受精卵)、0407.21/0407.29(その他の生鮮卵)等孵化用と食用の区別を明確化。
HS2012→HS2017実質変更なし(変更点一覧に第4類の記載なし)大きな再編は見当たりません。
HS2017→HS2022範囲変更・号整理0403(ヨーグルト)添加ヨーグルトの分類範囲拡大に対応。
HS2017→HS2022分割・新設0410.00 → 0410.10(昆虫)/0410.90(その他)食用昆虫を明確に区分。

(税関ポータルサイト)


9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:ココアミルクを「粉乳」として申告
    • 誤りの内容:ミルク飲料の除外(22.02)を見落とし (税関ポータルサイト)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“Milk drink”程度で、原材料/用途が見えない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、食品表示・検査のやり直しで遅延
    • 予防策:原材料表・用途(飲料)・写真を事前提出、分類根拠を社内に残す
  • 事例名:グラノーラ入りヨーグルトを19.01で固定してEPA適用したが否認
    • 誤りの内容:HS2022でのヨーグルト範囲(注2)を踏まえず、PSRを誤選択 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:社内マスタが旧HS前提、レシピ変更が共有されない
    • 典型的な影響:協定税率否認、差額納税、原産地証明の再発給手戻り
    • 予防策:HS版の確認、相関表で旧→新対応、レシピ変更時に分類再点検
  • 事例名:乳糖粉末を0404で申告し、税関で17.02へ更正
    • 誤りの内容:注5(b)(乳糖95%超の除外)を見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:成分分析を取らず、仕入先の通称で判断
    • 典型的な影響:追加納税、事後調査、類似品の一斉見直し
    • 予防策:COA取得、乾燥基準での乳糖%確認をルール化
  • 事例名:ギーを0405.10で申告し、0405.90へ修正
    • 誤りの内容:サブ見出し注(0405.10にギー等を含まない)を見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:商品名に“butter”が入っている
    • 典型的な影響:追加納税、書類差替、輸入計画(コスト)の再計算
    • 予防策:水分・乳化剤・製法の確認、商品規格に“ghee/anhydrous”の明記
  • 事例名:味付き昆虫スナックを0410.10で申告
    • 誤りの内容:0410の昆虫定義は“非調製”側で、調製度が高いと別類になり得る点を見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:新規商材で、社内に過去事例がない
    • 典型的な影響:分類更正、規制(食品/表示)の再確認、納期遅延
    • 予防策:加工工程・調味料情報・写真を揃え、必要なら税関相談

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

日本前提で、第4類で頻出の論点を「該当があるものだけ」整理します(一般論)。

  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法:輸入食品は、原則として検疫所(厚労省)への届出・審査/検査の対象です。 (厚生労働省)
    • 動物検疫(家畜伝染病予防法)
      • 乳製品は、品目により動物検疫の対象となり、輸入時に手続・証明書が必要となる旨が案内されています。 (農林水産省)
      • 卵(卵殻を含む)は動物検疫対象で、食用生鮮殻付卵については輸入検疫要領が示されています。 (農林水産省)
      • はちみつは(原則として)動物検疫の対象に含まれない旨が明示されていますが、巣蜜・プロポリス等は混入物や加工程度により論点になり得ます。 (農林水産省)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第4類の典型品(乳・卵・はちみつ)ではCITES該当は一般に多くありませんが、個別の原料(動物種・由来)が特殊な場合は別途確認が必要です(一般論)。
  • 安全保障貿易管理
    • 食品としての第4類は通常該当しにくい一方、用途・輸出先・取引形態によっては社内の輸出管理フローに乗せる必要があります(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
  • 実務での準備物(一般論)
    • HS分類:成分表(%)、仕様書、写真、製造工程、分析証明(脂肪/水分/乳糖%等)
    • 規制:食品等輸入届出関連資料、(該当時)動物検疫の証明書類(輸出国政府機関発行等) (農林水産省)

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料一覧と配合%(置換の有無が分かる形)
    • 状態(液体/粉/濃縮/乾燥、保存処理の種類)
    • 成分分析(脂肪、水分、乾燥固形分、乳糖%乾燥基準)
    • 加工工程(発酵、無水化、味付け、成型の有無)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • ヨーグルト注2、乳糖95%超除外、置換乳除外、バター定義、昆虫定義を再点検 (世界関税機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名に「状態・加工(powdered/concentrated/fermented/seasoned等)」が出るか
    • 税関照会に備え、仕様書・分析表を添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版を確認(RCEPはHS2022 PSR運用) (税関ポータルサイト)
    • BOM、非原産材料HS、工程、RVC前提を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料 出典

※Web参照の参照日:2026-02-13

  • WCO:HS Nomenclature 2022(Section I Notes 0100_2022E) (世界関税機関)
  • WCO:HS Nomenclature 2022(Chapter 4 0104_2022E:注・サブ見出し注・見出し) (世界関税機関)
  • 日本税関:実行関税率表(HS/国内コード確認の入口) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:関税率表解説 第4類(4r.pdf) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:関税率表(2022年版)第4類注(04r.pdf) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:HS2022改正資料(ヨーグルト範囲拡大、食用昆虫の整理 等) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:相関表 HS2022-HS2017 (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:相関表 HS2012-HS2007(0401・0407の細分等) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:RCEP協定 HS2022版PSRの採択・実施案内 (税関ポータルサイト)
  • 外務省:RCEP協定 HS2022に従ったPSR採択の案内 (外務省)
  • 農林水産省 動物検疫所:乳製品の検疫について (農林水産省)
  • 農林水産省 動物検疫所:輸入畜産物の検査手続(検査証明書等) (農林水産省)
  • 農林水産省 動物検疫所:食用生鮮殻付卵の輸入検疫要領(最新版) (農林水産省)
  • 農林水産省 動物検疫所:動物検疫対象の整理(卵・乳製品、はちみつは原則対象外の旨 等) (農林水産省)
  • 厚生労働省:食品等の輸入手続(輸入届出等) (厚生労働省)
  • JETRO:はちみつの輸入手続(食品衛生、巣蜜・プロポリス等の留意) (ジェトロ)
  • MIPRO:食品輸入の手引き(はちみつの検疫上の注意など) (Mipro)

付録A. 国内コード 日本 での主な細分と注意点 任意

  • 注意:HSは6桁まで(号=Subheading)で共通ですが、日本の輸入申告では、さらに桁を延ばした **国内コード(輸入統計品目番号)**で申告します。
  • 実務影響が大きい例
    • 0401(ミルク・クリーム)は、HS6桁でも脂肪分で細分があります(0401.10/0401.20/0401.40…)。国内コードではさらに用途・形態等で細分され得ます。 (世界関税機関)
    • 乳製品・卵は、分類だけでなく検疫(動物/食品)手続の要否確認が必須です(国内コード確定前に、製品仕様を固めるのが近道)。 (農林水産省)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第3類:魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物(Fish and crustaceans, molluscs and other aquatic invertebrates)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 生きている観賞魚(例:金魚・錦鯉など)→ 03.01(生きている魚) (世界関税機関)
    • 生鮮/冷蔵の鮭(丸のまま等、フィレ以外)→ 03.02 (世界関税機関)
    • 冷凍のまぐろ(丸のまま等、フィレ以外)→ 03.03 (世界関税機関)
    • 魚のフィレ(冷蔵/冷凍)→ 03.04(03.02/03.03から明示除外) (世界関税機関)
    • くん製サーモン、塩蔵たら等 → 03.05(ただし“調製品”でない範囲) (税関総合情報)
    • 殻付きで単に蒸し又は水煮したカニ(加熱していても条件付きで03類)→ 03.06 (税関総合情報)
    • ほたて(生鮮/冷凍、殻付き/むき身)→ 03.07 (世界関税機関)
    • なまこ・くらげ(乾燥/塩蔵 等)→ 03.08 (世界関税機関)
    • 魚介由来の粉・ミール・ペレット(食用)→ 03.09(HS2022で独立) (世界関税機関)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 鯨などの哺乳類(生体)→ 01.06、同肉 → 02.08/02.10 (世界関税機関)
    • キャビア・魚卵から調製したキャビア代用物 → 16.04 (世界関税機関)
    • 魚介を加熱調理したもの、衣付け・ソース和え等「03類に列挙されない方法」で調製/保存したもの → 原則16類(例:焼き魚、フライ) (税関総合情報)
    • 食用に適しない状態の魚介(死んでいて食用不適)→ 第5類、食用不適の粉・ミール・ペレット → 23.01 (世界関税機関)
    • 魚油等(脂・油)→ 第15類(例:魚油は15.04系)※本章の注の直接列挙ではないため、実務では見出しで確認が必要です。
    • 魚介の調製品(缶詰、味付け、瓶詰等)→ 16.04/16.05(製品態様による) (税関総合情報)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥・塩蔵・くん製)か、調製品(16類)か (税関総合情報)
    2. 丸魚(03.02/03.03)か、フィレ・魚肉(03.04)か(見出しで明確に分かれます) (世界関税機関)
    3. 粉・ミール・ペレットは「食用(03.09)」か「食用不適(23.01)」か(そして03.05〜03.08には食用品は入らない) (世界関税機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「軽く火を通しただけ」「開殻のための熱湯処理(heat shock)」を**“調理済み”と誤認**して16類へ飛ばす(または逆) (税関総合情報)
    • 魚卵・しらこを、**そのまま食べられる調製品(16.04)**なのに03類で申告 (税関総合情報)
    • 03.09新設後も、粉・ミール・ペレット(食用)を旧来の感覚で03.05/03.06/03.08側に置いてしまう (世界関税機関)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注):03類は類注(除外・定義)がはっきりしており、まず注で“飛び先”を潰すのが最短です(例:キャビア→16.04、食用不適→第5類/23.01、粉・ミール・ペレット(食用)→03.09)。 (世界関税機関)
    • GIR6(6桁の選択):03類は6桁が「状態(生鮮/冷凍等)」×「生物群(魚/甲殻/軟体/その他)」×「種(属・学名)」で細かいので、最後は6桁見出しの文言に沿って落とします。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 状態:生きている/生鮮(冷蔵含む)/冷凍/乾燥・塩蔵・くん製/粉・ミール・ペレット(食用) (世界関税機関)
    • 形状:丸のまま(頭付き等)か、フィレか、魚肉(ミンチ・すり身状等)か (世界関税機関)
    • 加工度(重要):03類に列挙された方法(冷蔵・冷凍・乾燥・塩蔵・くん製等)に止まるか、加熱調理・味付け等で16類相当になるか (税関総合情報)
    • 用語注意:「dried(乾燥)」は、脱水・蒸発・フリーズドライも含む扱いです(部注)。 (世界関税機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象が「魚/甲殻類/軟体動物/その他水棲無脊椎動物」か
    • それ以外(例:海獣、海藻、魚油など)は03類以外に行きやすいです。 (世界関税機関)
  • Step2:調製・保存の方法が、03類の範囲内か(=生鮮/冷蔵/冷凍、乾燥、塩蔵・塩水漬、くん製 等)
    • 03類にない方法で調製・保存(加熱調理、衣付け、ソース漬け等)→ 原則16類へ (税関総合情報)
    • ただし例外(03類に残る):殻付き甲殻類の単なる蒸し/水煮、くん製の前後の加熱調理、開殻等のための熱衝撃(heat shock)など、解説で“調理とみなさない/03類に残る”扱いが示されています。 (税関総合情報)
  • Step3:状態で項(4桁)を決める
    • 生きている魚 → 03.01
    • 生鮮/冷蔵の魚(※フィレ除外)→ 03.02
    • 冷凍の魚(※フィレ除外)→ 03.03
    • 魚のフィレ・その他魚肉 → 03.04
    • 乾燥/塩蔵/塩水漬/くん製の魚(+一部の魚卵・しらこ等)→ 03.05
    • 甲殻類 → 03.06
    • 軟体動物 → 03.07
    • その他水棲無脊椎動物 → 03.08
    • 食用の粉・ミール・ペレット → 03.09 (世界関税機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:
    • 第3類は4桁見出しが比較的少ないため全列挙します(HS2022条文ベース)。 (世界関税機関)
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0301生きている魚観賞魚、ふ化用稚魚、活うなぎ「生きている」ことが絶対条件。観賞用も含む。学名・属で6桁が分かれる。 (世界関税機関)
0302魚(生鮮/冷蔵)※03.04のフィレ等除外冷蔵サーモン(丸魚)、生鮮アジフィレ・魚肉は03.04。冷蔵の定義(凍らせない)。 (世界関税機関)
0303魚(冷凍)※03.04のフィレ等除外冷凍まぐろ(丸魚)フィレ・魚肉は03.04。冷凍の定義(凍結点以下で全体凍結)。 (世界関税機関)
0304魚のフィレ・その他魚肉(生鮮/冷蔵/冷凍)冷凍たらフィレ、すり身状の魚肉03.02/03.03から明示除外。形状・加工(切身/フィレ/ミンチ等)が鍵。 (世界関税機関)
0305乾燥・塩蔵・塩水漬・くん製の魚 等くん製サーモン、塩蔵たら、干物03類に列挙された保存方法の範囲。魚卵・しらこは“そのまま食べられる調製品”なら16.04へ。 (税関総合情報)
0306甲殻類(殻付き/むき身、各状態)えび、かに、ロブスター単に蒸し/水煮した殻付き甲殻類は03.06に残り得る。味付け等で16類へ。 (税関総合情報)
0307軟体動物(殻付き/むき身、各状態)かき、ほたて、いか、たこ開殻や安定化のための熱衝撃は“調理”扱いされず03類に残り得る。 (税関総合情報)
0308その他の水棲無脊椎動物(甲殻類・軟体動物以外)なまこ、うに、くらげ生物群の誤認が多い(例:うに=軟体動物ではない)。調製品は16類へ。 (世界関税機関)
0309魚介由来の粉・ミール・ペレット(食用)魚粉(食用スープ用)、乾燥海産物粉末、食用ペレットHS2022で独立。03.05〜03.08には食用品は入らない(類注)。食用不適は23.01。 (世界関税機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 状態:生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥/塩蔵/塩水漬/くん製/粉・ミール・ペレット (世界関税機関)
    • 形状:丸魚 vs フィレ/魚肉(03.02/03.03 ↔ 03.04) (世界関税機関)
    • 生物群:魚/甲殻類/軟体動物/その他水棲無脊椎動物(03.06/03.07/03.08で分かれる) (世界関税機関)
    • 種(学名):まぐろ(Thunnus属)、うなぎ(Anguilla spp.)等、6桁が種で割れる場合が多い (世界関税機関)
    • “食用に適する/適しない”:03.09 ↔ 23.01、または第5類への除外 (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 03.02/03.03(丸魚) vs 03.04(フィレ・魚肉)
      • どこで分かれるか:見出しで「03.04のフィレ等は除外」と明記。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:形状(フィレか)、カット工程、製品写真、規格書(スキンオン/スキンレス、骨取り等)。
      • 典型的な誤り:切身・フィレを「冷凍魚」として03.03に入れてしまう。
    2. 03類(くん製・塩蔵等) vs 16類(調製/保存)
      • どこで分かれるか:03類は“この類に記載した方法のみ”の処理に基本限定。加熱調理や衣付けなどは16類へ。 (税関総合情報)
      • 判断に必要な情報:工程(加熱の目的/程度)、添加物(タレ、調味液、衣)、喫食形態(そのまま食べられるか)。
      • 典型的な誤り:「真空包装・缶入り=調製品」と決めつける(※缶入りでも03類に属し得る旨の注意あり。ただし多くは16類になる、と整理されています)。 (税関総合情報)
    3. 魚卵・しらこ:03類(素材) vs 16.04(キャビア/調製品)
      • どこで分かれるか:キャビアおよび“そのまま食するのに適した”魚卵・しらこは16.04へ。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:味付け有無、塩分/調味、容器・表示(ready-to-eat)、販売実態。
      • 典型的な誤り:「魚卵だから03類」と短絡し、16.04の除外を見落とす。
    4. 03.06/03.07/03.08(原材料的な魚介) vs 16.05(甲殻類・軟体動物等の調製品)
      • どこで分かれるか:単なる蒸し/水煮の殻付き甲殻類は03.06に残り得る、開殻の熱衝撃も“調理とみなさない”整理。味付け・調理は16類へ。 (税関総合情報)
      • 判断に必要な情報:殻の有無、加熱の態様(蒸し/水煮か)、調味・ソース有無、レトルト殺菌等の有無。
      • 典型的な誤り:加熱=即16類とする(例外条件を無視)。
    5. 粉・ミール・ペレット:03.09(食用) vs 23.01(飼料等)
      • どこで分かれるか:食用不適は23.01、食用は03.09。さらに03.05〜03.08には食用品の粉等は入らない。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:食品規格(食用)、用途(ヒト用/飼料用)、表示・成分規格、製造管理。
      • 典型的な誤り:魚粉=飼料と決めつけ、食品用途の粉末(だし粉等)を23.01へ。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • この部(第I部)では、見出しに特定の属・種が書かれている場合でも、原則として“その若齢個体(young)”も含む扱いです。 (世界関税機関)
    • “乾燥(dried)”は、脱水・蒸発・フリーズドライも含む(=乾燥方法が違うだけで別見出しに飛ばない、という実務上の安心材料)。 (世界関税機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 乾燥なまこ(フリーズドライ含む)を「乾燥ではない」と誤認して別章に飛ばすリスクを下げます(ただし“調製品”になっていないかは別途確認)。 (世界関税機関)
    • うなぎ(Anguilla spp.)の稚魚など、若齢個体を“別扱い”にしない整理に役立ちます。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 乾燥の定義で03類内に留まる場合が多い一方、“調製”の有無で第16類へ飛ぶのは部注ではなく実務的判断(工程・添加物)側です。 (税関総合情報)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 03類に入らないもの(除外)が明示:海獣(哺乳類)、その肉、死んで食用不適の魚介、食用不適の粉・ミール・ペレット、キャビア類。 (世界関税機関)
    • 「ペレット」の定義:圧縮、または少量の結合剤添加で固めたもの。 (世界関税機関)
    • 03.05〜03.08には、食用の粉・ミール・ペレットは含まれず、03.09へ。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • ペレット(03類注2)= “agglomerated(固めた)”製品の定義。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • キャビア・キャビア代用物(魚卵から調製)→ 16.04 (世界関税機関)
    • 食用不適の魚介(死体等)→ 第5類、食用不適の粉・ミール・ペレット → 23.01 (世界関税機関)
    • 海獣(哺乳類)→ 01.06、海獣肉 → 02.08/02.10 (世界関税機関)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:粉・ミール・ペレット(食用)を03.09へ強制的に寄せる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 形状(粉/ミール/ペレット)、食用仕様(食品として流通するか)、製造工程(加熱の有無含む) (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 製品仕様書、成分表、用途表示(食品/飼料)、工程図、商品ラベル(喫食方法)、品質規格。
    • 誤分類の典型:
      • 旧来の感覚で03.05〜03.08の残余号に入れる/魚粉は一律23.01と決めつける。 (世界関税機関)
  • 影響ポイント2:“食用不適”は第5類/23.01へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 食用適否(品質・状態)、用途(釣餌・肥料・飼料等)、契約書・インボイスの用途記載。 (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途証明(購買仕様)、品質検査成績、SDS相当(必要な場合)、写真。
    • 誤分類の典型:
      • “魚介だから03類”で押し切る(類注の除外を無視)。 (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:キャビア等の除外(16.04)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 「魚卵の素材」か「キャビア/そのまま食べられる調製品」か(味付け・加工・喫食可能性)。 (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、レシピ/配合、商品表示、製造工程。
    • 誤分類の典型:

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:冷凍フィレを「冷凍魚(03.03)」で申告
    • なぜ起きる:品名が“frozen fish”で、形状(fillet)を見落とす。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):03.02/03.03は「03.04のフィレ等を除く」と明示。 (世界関税機関)
    • 予防策:写真・規格書(フィレ/切身/ミンチ)を必ず回収し、社内で「骨付きか/フィレ加工の有無」を確認。
  2. 間違い:冷蔵品を冷凍として申告(または逆)
    • なぜ起きる:“chilled/frozen”の温度帯の理解が曖昧。
    • 正しい考え方:解説で冷蔵・冷凍の定義(凍結点以下で全体凍結か等)が整理。 (税関総合情報)
    • 予防策:温度記録(ロガー)、保管条件、インボイス記載(Chilled/Frozen)を照合。
  3. 間違い:衣付け魚(batter/breadcrumb)を03類へ
    • なぜ起きる:原材料が魚であることに引っ張られる。
    • 正しい考え方:03類にない方法(衣付け等)で調製したものは16類へ、という整理がある。 (税関総合情報)
    • 予防策:配合表・工程(衣付け/フライ前処理)を確認し、試作品段階で分類レビュー。
  4. 間違い:魚卵(いくら等)を03類で申告
    • なぜ起きる:“roe=03類”の思い込み。
    • 正しい考え方:キャビア・調製魚卵は16.04へ除外。 (世界関税機関)
    • 予防策:「そのまま食べられる味付け済みか?」を社内質問に入れる(ラベル/成分表を必須回収)。
  5. 間違い:粉・ミール・ペレット(食用)を03.05〜03.08側に入れる
    • なぜ起きる:旧版の感覚や「乾燥品だから03.05」思考。
    • 正しい考え方:03.05〜03.08は食用粉等を含まず03.09へ(類注3)。 (世界関税機関)
    • 予防策:形状・用途(食品/飼料)を確認し、HS2022改正点(03.09新設)を社内分類メモに固定。
  6. 間違い:殻付きで単に蒸し/水煮したカニを16類へ飛ばす
    • なぜ起きる:「加熱=調理=16類」と短絡。
    • 正しい考え方:単に蒸し/水煮した殻付き甲殻類は03.06等に残る扱いが示される(例外)。 (税関総合情報)
    • 予防策:加熱の態様(蒸し/水煮か、味付け有無)を工程表で確認。
  7. 間違い:開殻のための熱湯処理(heat shock)を“調理済み”と誤認
    • なぜ起きる:加熱工程があるとすぐ調理扱いにしてしまう。
    • 正しい考え方:開殻や安定化のための熱衝撃のみは“調理したものとみなされない”整理。 (税関総合情報)
    • 予防策:目的(開殻/安定化)と処理条件(秒数等)を確認し、味付け・加熱調理と区別。
  8. 間違い:MAP包装(ガス置換包装)=調製品として16類へ
    • なぜ起きる:包装形態だけで加工度を判断。
    • 正しい考え方:MAP包装された生鮮/冷蔵魚介も03類に属し得る整理。 (税関総合情報)
    • 予防策:包装の目的(鮮度保持)と処理内容(味付け等なし)を確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS(6桁)がズレると、PSRの条文自体が変わり、原産性判断(CTC/RVC/加工工程要件)が崩れます。 (税関総合情報)
  • よくある落とし穴:
    • 材料側HS(非原産材料)と最終製品HSの混同
    • 03.02/03.03と03.04の取り違えで、PSRが別物になる
    • 03.09(食用粉等)を見落としてPSRを誤選択 (世界関税機関)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • まず大原則:PSRが採用しているHSの版はEPA/FTAごとに異なります(HS2002/2007/2012/2017等)。 (税関総合情報)
  • 例(一次情報で明示が確認できるもの):
  • HS2022とズレる場合の注意(一般論)
    • 通関申告のHSは各国が採用する現行版(日本では現行関税率表体系)に従う一方、PSRは協定が参照するHS版で読まないといけないケースが出ます。 (税関総合情報)
    • そのため、実務では「協定側PSRをHS2022へ“トランスポーズ(対応付け)した表”」を使います。RCEPでは、HS2022へトランスポーズしたPSRに基づき、原産地証明で示すHSコード・原産判定基準を記載する旨の注意が示されています。 (外務省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 旧HS(例:HS2012)でPSRを特定 → 公式のトランスポーズ資料/相関表でHS2022へ対応付け → その対応付けの根拠(相関表・社内メモ)を保存、という順にすると監査耐性が上がります。 (税関総合情報)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限必要:
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS(できれば6桁)、RVC計算前提(FOB/EXW等)。 (経済産業省)
  • 水産物で追加で効きやすい論点(一般論):
    • 漁獲・養殖・加工のどの段階で「原産」と言えるかは協定本文定義(全部原産・加工基準)に依存します。漁獲場所(公海/領海等)、船舶要件、加工場所(陸上/船上)など、事実関係を証憑で固めるのが重要です。 (経済産業省)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 産地証明、漁獲証明(該当時)、製造記録、請求書、運送書類、原産品申告の根拠一式を協定・国内制度に従い保存。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

(主にHS2017→HS2022の差分。相関表に基づく要約です。) (税関総合情報)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022新設+範囲変更03.09(新設)食用の粉・ミール・ペレットを独立見出し化食用粉末・ペレットの落とし先が明確化。誤ると03.05〜03.08や23.01と混同しやすい
HS2017→HS2022移動(再分類)0305.10 → 0309.10魚の粉・ミール・ペレット(食用)が03.05配下から03.09へ旧コード運用のままだとズレる(契約・マスタ更新必須)
HS2017→HS2022範囲変更03.06/03.07/03.08新設03.09により、食用粉等をこれら見出しから整理03.06/03.07/03.08残余へ入れていた粉末を見直す必要
HS2017→HS2022分割/再編0307.2(ホタテ等)ホタテ・ペクチン科(Pectinidae)のサブヘディング体系を拡充「ホタテ類」の分類の当たり先がより明確化。旧分類の見直しに影響

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
    • WCO公表のHS2022条文(第3類注、03.09の新設等) (世界関税機関)
    • WCO相関表(HS2017→HS2022):03.09新設、0305.10→0309.10、0307.2再編等が示されています。 (世界関税機関)
    • 日本税関の品目解説(第3類):03.09への注意喚起、03類と16類の区分(例外含む)が実務的に整理されています。 (税関総合情報)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • HS2022条文で、03類注3として「03.05〜03.08は食用粉・ミール・ペレットを含まず03.09へ」という構造が明文化されています。 (世界関税機関)
    • 相関表で、HS2017側の0305.10等からHS2022側の0309.10/0309.90への対応が示され、さらに03.06〜03.08の範囲変更が“03.09新設の結果”として説明されています。 (税関総合情報)
    • 日本税関解説でも、加熱調理物が16類へ行く一方で例外(殻付き甲殻類の蒸し/水煮、開殻の熱衝撃等)や、粉・ミール・ペレットが03.09に属する点が明記され、実務判断の根拠になります。 (税関総合情報)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

注:本節は「可能な範囲で」の整理です。HS2007→2012、HS2012→2017については、本回答の作成時点で一次情報(WCO相関表)を追加突合できていないため、断定せず“要確認”として提示します。実務ではWCO相関表(該当版同士)や各国税関の相関表で確認してください。 (世界関税機関)

版間主要な追加・削除・再編(把握できた範囲)旧コード→新コード(例)コメント
HS2007→HS2012要確認(本回答では一次情報突合未了)WCO相関表で3類のサブヘディング再編有無を確認推奨
HS2012→HS2017要確認(本回答では一次情報突合未了)同上
HS2017→HS202203.09新設/0305.10等の移動/0307.2再編0305.10→0309.10 等03.09の有無でマスタ・PSR対応が変わる (税関総合情報)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「衣付き冷凍白身魚フィレ」を03.04で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):03類の範囲(列挙方法)を超える調製(衣付け)を見落とし、16類相当を03類で申告。 (税関総合情報)
    • 起きやすい状況:商品名に“fish fillet”しか書かれず、成分表を回収していない。
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、冷凍保管費・遅延。
    • 予防策:配合表・工程表を必須資料にし、試作段階で分類レビュー。
  • 事例名:味付け魚卵(瓶詰)を03類で申告
    • 誤りの内容:キャビア/調製魚卵(16.04)除外を無視。 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:HSマスタが“魚卵=03類”で固定。
    • 典型的な影響:分類更正、関税率・原産地判定のやり直し。
    • 予防策:「そのまま喫食可」「調味・熟成」などの表示有無をチェック項目化。
  • 事例名:食用魚粉(だし粉)を23.01(飼料等)で申告
    • 誤りの内容:食用粉末は03.09、食用不適のみ23.01という整理を無視。 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:“fish meal”という英語表記だけで判断。
    • 典型的な影響:食品としての届出・規制チェックも連鎖してズレ、差戻し・遅延。
    • 予防策:用途(食品/飼料)を契約・仕様で明確化し、ラベル・規格書を回収。
  • 事例名:MAP包装の生鮮魚を“調製品”扱いで16類へ
    • 誤りの内容:MAP包装は鮮度保持の包装であり得る点を無視。 (税関総合情報)
    • 起きやすい状況:包装形態だけで加工度を判断。
    • 典型的な影響:分類差し戻し、検査、納期遅延。
    • 予防策:包装仕様書(ガス置換の目的)を添付資料にする。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法に基づく輸入手続:水産物を含む食品等は、原則として検疫所での手続(輸入届出等)と検査対象になり得ます。 (厚生労働省)
    • 水産動物の輸入防疫(対象は個別指定):観賞用・養殖用など“生きた水産動物”で、法令上の検査対象となる場合があります(担当窓口・手続は案内に従う)。 (農林水産省)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • CITES対象種の輸入は、輸出国政府の輸出許可書に加え、原則として日本側の輸入承認(所管:経産省)等が必要で、税関申告時に提出・確認が必要です。 (税関総合情報)
  • その他の許認可・届出
    • 外来生物法(特定外来生物等):指定種の輸入は原則禁止または制限があり、種類名証明書の提出、通関場所の制限などが案内されています(生きた魚介の輸入で特に注意)。 (税関総合情報)
    • IUU対策等(漁獲証明が要る場合):指定された水産動植物について、輸入時に漁獲証明書等を求める制度が運用されています(該当品目は制度側で確認)。 (農林水産省 競技団体公式サイト)
    • 輸入関連法令リスト(税関):品目によっては割当・承認・確認等の対象があり得るため、該当HSで税関のリストを参照して当たりを付けます。 (税関総合情報)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 製品仕様書(状態・加工度)、写真、成分表、工程図、学名(種規制があり得る場合)、食品表示案、輸入届出関連資料、必要に応じ許可・証明書(CITES、漁獲証明、種類名証明書等)。 (税関総合情報)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生物群(魚/甲殻/軟体/その他)、学名(可能なら)、状態(live/chilled/frozen/dried/salted/smoked)、形状(丸魚/フィレ/魚肉)、加工工程(加熱・味付け・衣付け等)、用途(食品/飼料/観賞/ふ化)。 (世界関税機関)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 03類注1(除外:キャビア、食用不適等)に触れていないか
    • 03類注3(食用粉等→03.09)を満たしているか
    • 03類と16類の境界(調製品化していないか) (世界関税機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「状態」「形状」「種」を入れる(例:Frozen tuna, whole / Frozen cod fillets)
    • 単位(KG/NO等)と数量が関税率表の要求に合うか(国内コードは要確認) (かんぜい.org)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012等)を確認し、必要ならトランスポーズPSRで読み替え
    • BOM・原価・工程記録の保存 (税関総合情報)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生(輸入届出・検査)
    • 生体の水産動物検査(該当時)
    • CITES(該当種)
    • 外来生物法(生体・指定種)
    • 漁獲証明制度(該当時) (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

※Web参照日:2026-02-13


付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 国内コード(日本の統計品目番号等)はHS6桁をさらに細分します。HS(6桁)と国内コードは別物なので、契約・通関マスタでは必ず分けて管理してください。 (かんぜい.org)
  • 単位(数量単位)は品目により異なります(例:生体は「尾(NO)」+「重量(KG)」併記が出ることがあります)。
    • 例:03.01(観賞用淡水魚)では、国内コードの行末に NO KG が表示される(尾数と重量の両方で管理する想定)。 (かんぜい.org)
    • 一方、多くの魚介(生鮮・冷凍・フィレ等)は基本的に KG 表示が中心です(コードにより確認)。 (かんぜい.org)
  • 実務メモ:
    • インボイス/パッキングリストの数量単位(尾数・重量)と、関税率表で求める単位がズレると差戻し・修正が起きやすいので、最初に単位を確定させるとスムーズです。 (かんぜい.org)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 早く相談を進めるコツ(一般論)
    • 製品仕様書(状態・加工度・形状)、写真、工程図、成分表、学名(可能なら)を1セットにして、分類の“分岐点”がどこかを自社で仮説化して持ち込む。
    • 03類は「03類と16類の境界」「03.02/03.03と03.04の境界」「03.09の新設後の扱い」が争点になりやすいので、そこに刺さる資料を優先収集。 (税関総合情報)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第2類:肉及び食用のくず肉(Meat and edible meat offal)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • **人の食用に不適(unfit/unsuitable)**な肉・くず肉(02.01〜02.08/02.10に該当する種類でも)→ 例:**23.01(人用不適の肉粉等)**などへ(実態により分岐) (世界税関機構)
    • 食用の昆虫(死んでいるもの)04.10(第4類) (世界税関機構)
    • 腸・膀胱・胃(魚以外)05.04(第5類) (世界税関機構)
    • 動物の血05.11 または 30.02(用途・状態で分岐) (世界税関機構)
    • 02.09以外の動物脂肪(例:溶かして抽出したラード等)→ 第15類(15.01等) (世界税関機構)
    • 「第2類の工程」を超える調製・保存(例:ソーセージ、缶詰、調理済等)→ 第16類 (世界税関機構)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度:生鮮/冷蔵/冷凍・塩蔵/乾燥/燻製(第2類)か、調製・保存(第16類)か (世界税関機構)
    2. 人の食用に適するか(適さない場合は第2類から除外) (世界税関機構)
    3. 脂肪の状態:02.09(未抽出の豚脂・家禽脂)か、第15類(抽出済等)か (世界税関機構)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 肉類は、日本では 動物検疫(MAFF)食品衛生(MHLW) の手続が絡みやすく、誤分類で「必要書類の不足・検査・滞留」になりやすいです。 (農林水産省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIRは GIR1(見出し+注)GIR6(6桁の決定) です。
    • まず「見出しの文言」と「部注・類注」によって大枠(02.01〜02.10)を決め、次に同一項内で6桁を決めます。 (世界税関機構)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要)
    • 畜種(牛/豚/羊山羊/馬等/家禽/その他)
    • 部位(枝肉、骨付き、脱骨、内臓、脂肪など)
    • 状態(温度):生鮮/冷蔵/冷凍
    • 加工(工程):塩蔵、乾燥、燻製、塩水漬け、または「調製・保存」か
    • 人の食用に適するか(適否) (世界税関機構)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「肉/食用くず肉/食用内臓/未抽出の豚脂・家禽脂」か?
    • そうでない(例:昆虫、魚介、乳製品、皮革等)なら別章へ。 (世界税関機構)
  • Step2:加工度は「第2類で想定する工程」か?
    • 生鮮/冷蔵/冷凍(02.01〜02.08)、塩蔵・塩水漬・乾燥・燻製(02.09/02.10)なら第2類候補。 (世界税関機構)
    • ソーセージ、缶詰、調理済等なら第16類を優先検討。 (世界税関機構)
  • Step3:除外(類注)に該当しないか?
    • 人の食用に不適、食用昆虫、腸・胃等、血液、02.09以外の動物脂肪は除外。 (世界税関機構)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第2類は4桁見出し(項)が少ないため 全列挙 します。 (世界税関機構)
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0201牛肉(生鮮・冷蔵)チルド牛ロース、牛枝肉冷凍は0202へ。骨付き/脱骨の区分あり (世界税関機構)
0202牛肉(冷凍)冷凍牛肩ロース、冷凍牛枝肉冷蔵は0201へ (世界税関機構)
0203豚肉(生鮮/冷蔵/冷凍)豚バラ、豚モモ(冷凍含む)塩蔵・燻製等は0210側へ寄る可能性 (世界税関機構)
0204羊/山羊肉(生鮮/冷蔵/冷凍)ラム、マトン、ヤギ肉冷凍/非冷凍で細分あり (世界税関機構)
0205馬等(馬・ロバ・ラバ等)の肉(生鮮/冷蔵/冷凍)馬肉(冷凍含む)4桁内は6桁固定(0205.00) (世界税関機構)
0206食用内臓(牛/豚/羊山羊/馬等)(生鮮/冷蔵/冷凍)牛タン、豚レバー、ハツ腸・胃は05.04へ(0206と混同多) (世界税関機構)
0207家禽(01.05)の肉・食用内臓(生鮮/冷蔵/冷凍)鶏もも、手羽、鴨肉、フォアグラ「切り分け有無」や畜種で細分 (世界税関機構)
0208その他の肉・食用くず肉(生鮮/冷蔵/冷凍)兎肉、爬虫類肉、ラクダ肉等食用昆虫は04.10へ(HS2022で明確化) (世界税関機構)
0209赤身のない豚脂・家禽脂(未抽出、各種状態)背脂、鶏脂(未レンダリング)抽出済(ラード等)は第15類へ (世界税関機構)
0210塩蔵/塩水漬/乾燥/燻製の肉・内臓、食用の肉粉等生ハム、ベーコン、乾燥肉、肉粉「乾燥」は凍結乾燥も含み得る(部注) (世界税関機構)

(表の根拠:WCO HS2022 Chapter 2の見出し構成) (世界税関機構)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 温度状態:fresh/chilled(生鮮/冷蔵)か frozen(冷凍)か → 0201/0202など (世界税関機構)
    • 骨の有無:枝肉・半丸、骨付き、脱骨 → 0201.10/0201.20/0201.30 等 (世界税関機構)
    • 部位:豚のハム・肩(骨付き)等 → 0203.12/0203.22 等 (世界税関機構)
    • 家禽の形状:cut in pieces(切り分け)か否か、フォアグラ(fatty livers)等 → 0207系列 (世界税関機構)
    • 加工の種類:塩蔵・燻製・乾燥 → 0210系列 (世界税関機構)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 0201(牛:生鮮/冷蔵) vs 0202(牛:冷凍)
      • どこで分かれるか:保管・輸送時の温度帯(凍結の有無) (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:インボイス表記だけでなく、温度記録・BL条件・梱包表示
      • 典型的な誤り:「チルド」表記でも実態が凍結 → 税率・統計・原産地で連鎖崩れ
    2. 0203(豚:生鮮/冷蔵/冷凍) vs 0210(塩蔵/乾燥/燻製の肉)
      • どこで分かれるか:「塩蔵・塩水漬・乾燥・燻製」の工程有無 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:製造工程(塩漬条件、乾燥工程、燻煙工程)、製品仕様書
      • 典型的な誤り:ベーコンや生ハムを「冷凍豚肉(0203)」扱い
    3. 0206(食用内臓) vs 05.04(腸・膀胱・胃)
      • どこで分かれるか:部位(内臓全般と、05.04が名指しする部位) (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:部位名、形状写真、用途(ケーシング等)
      • 典型的な誤り:ソーセージ用天然ケーシング(腸)を0206に入れてしまう
    4. 0209(未抽出の豚脂・家禽脂) vs 第15類(1501等:脂肪類)
      • どこで分かれるか:レンダリング(溶かして抽出)等の有無 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:製造工程(加熱溶融・ろ過・分離)、成分・外観
      • 典型的な誤り:ラード(溶融・精製)を0209にしてしまう
    5. 0208.90/0210.99(従来「その他」へ寄りがち) vs 0410.10(食用昆虫)
      • どこで分かれるか:対象が「食用の死んでいる昆虫」かどうか(HS2022で04.10が明確化) (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:原材料が昆虫であること、加工(乾燥/塩蔵等)状態、用途(人用)
      • 典型的な誤り:昆虫パウダーを「その他肉粉(0210.99)」や「その他の肉(0208.90)」に寄せる

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 部注(第I部)で「dried(乾燥)」の範囲が定義され、脱水・蒸発乾燥・凍結乾燥も「乾燥」に含まれ得ます。 (世界税関機構)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:フリーズドライの肉(またはフリーズドライ加工が本質の製品)を扱うとき、「乾燥品」を前提にした項目(例:0210の“dried”系の整理)で検討が必要になります。 (世界税関機構)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「乾燥」かどうかは第2類内の分岐だけでなく、第16類(調製品)側に行くかどうかの議論でも、工程・性状整理の出発点になります(ただし最終判断は見出し+注)。 (世界税関機構)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第2類の注1は、(a) 食用不適品、(b) 食用の死んでいる昆虫、(c) 腸・血、(d) 02.09以外の動物脂肪 を明確に除外しています。 (世界税関機構)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 第2類自体には「昆虫」の定義は置かれていませんが、04.10のために第4類注6で「昆虫(insects)」を定義しています(食用・非生体、全体/部分、一定の状態を含む等)。 (世界税関機構)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:**「人の食用に適するか」**で第2類から落ちる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):用途(人用/飼料用)、衛生状態、検査結果、品質規格
    • 現場で集める証憑:衛生証明書(獣医証明等)、製品規格書、検査成績、ラベル、写真
    • 誤分類の典型:飼料用・廃棄物相当を第2類の「肉粉(0210)」として扱い、実際は 23.01(人用不適の肉粉等) 寄りだった (世界税関機構)
  • 影響ポイント2:食用昆虫が第2類から除外(HS2022で明確化)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):原材料が昆虫か、非生体か、状態(乾燥/冷凍/塩蔵等)、食用か
    • 現場で集める証憑:原材料表、製造工程、写真、規格書
    • 誤分類の典型:以前の運用感のまま「その他肉(0208.90)/その他(0210.99)」に寄せる
      • HS2017→HS2022相関表でも、食用昆虫の分離に伴い 0208.90/0210.99の範囲が影響を受けた旨が示されています。 (税関ポータル)
  • 影響ポイント3:腸・血は第5類等へ
    • 何を見れば判断できるか:部位(腸/膀胱/胃/血)、用途(食品/医療等)、状態
    • 現場で集める証憑:部位証明(カタログ・写真)、用途説明、成分・加工工程
    • 誤分類の典型:内臓の一種として0206で処理(実際は05.04の名指し部位) (世界税関機構)
  • 影響ポイント4:脂肪は「02.09だけ特例」
    • 何を見れば判断できるか:脂肪が「未抽出」か「抽出・精製済」か
    • 現場で集める証憑:製造工程図、温度履歴、外観、分析(必要に応じ)
    • 誤分類の典型:ラード等(15.01)を02.09としてしまう (世界税関機構)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ソーセージ・ハムの「調製品」を第2類に入れる
    • なぜ起きる:見た目が肉で、02.10(塩蔵等)と混同
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第16類は「調製・保存」品を扱い、第2類の工程を超えると第16類を優先検討 (世界税関機構)
    • 予防策:製造工程(加熱・調味・乳化・成形・缶詰等)を必ず入手/商品仕様書に「加工工程」を明記
  2. 間違い:天然ケーシング(腸)を0206(食用内臓)にする
    • なぜ起きる:「内臓」一般の理解で処理しがち
    • 正しい考え方:腸・膀胱・胃は05.04に明示(第2類注でも除外) (世界税関機構)
    • 予防策:部位を図示・写真で確認/用途(ケーシング)をインボイス・仕様書に反映
  3. 間違い:ラード等(溶融抽出済)を0209(豚脂)にする
    • なぜ起きる:「豚の脂=0209」という短絡
    • 正しい考え方:02.09は「未抽出の豚脂・家禽脂」。抽出済は第15類(15.01等) (世界税関機構)
    • 予防策:工程(レンダリング有無)を確認/SDSではなく食品仕様書(製法)を取る
  4. 間違い:食用昆虫を0208.90や0210.99に寄せる(HS2022で特に注意)
    • なぜ起きる:従来「その他」で処理していた慣行が残る
    • 正しい考え方:第2類注で食用昆虫は除外、04.10側で定義・分類 (世界税関機構)
    • 予防策:原材料表に「昆虫」を明示/HS版(2017/2022)の差分を社内マスターに反映
  5. 間違い:「乾燥=熱風乾燥だけ」と誤解して0210の検討を落とす
    • なぜ起きる:工程用語の理解不足
    • 正しい考え方:部注で「乾燥」には凍結乾燥等も含まれ得る (世界税関機構)
    • 予防策:工程欄に「freeze-dried」等の表示があれば乾燥扱いの可能性を必ず検討
  6. 間違い:冷蔵と冷凍の取り違え(0201/0202等)
    • なぜ起きる:品名の曖昧さ(“chilled/frozen”の混在、通称)
    • 正しい考え方:見出しが温度状態で分かれている場合は実態優先 (世界税関機構)
    • 予防策:温度帯(-18℃等)を出荷書類・ラベルで固定/社内の品名テンプレに温度を必須項目化
  7. 間違い:「飼料用の肉粉」を0210(食用の粉等)として扱う
    • なぜ起きる:「肉粉=0210」と思い込み
    • 正しい考え方:人用不適なら23.01(飼料用等)寄りの検討が必要 (世界税関機構)
    • 予防策:用途(食用/飼料用)と表示規格(食品か飼料か)を必ず確認
  8. 間違い:国内コード(7桁以降)をHS6桁と混同
    • なぜ起きる:通関・統計番号を一括して「HS」と呼ぶ社内慣行
    • 正しい考え方:日本の統計品目番号は「HS6桁+国内コード」で構成される(国内コードは国ごとに異なる) (税関ポータル)
    • 予防策:社内マスターに「HS6桁」と「国内コード」を別項目で保持
  9. 間違い:第2類と第16類の境界で、混合食品の“20%ルール”を見落とす
    • なぜ起きる:肉が「少し入っているだけ」と思い込み
    • 正しい考え方:第16類注で、一定の混合食品は「肉等が20%超」なら第16類に来る整理がある(条件適用の可否は個別検討) (世界税関機構)
    • 予防策:配合表(重量%)を入手し、20%の閾値を横断チェック

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHSを誤ると、参照すべきPSR自体がズレて原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 「最終製品HS」と「材料HS」が混線(材料が第2類でも、最終品は第16類の可能性など)
    • 工程評価の前提(CTC/RVC等)が、そもそも参照HSの版違いでズレる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに採用しているHS版が異なるため、協定が採用するHS版でPSRを確認する必要があります(日本税関のPSR検索画面でも注意喚起があります)。 (税関ポータル)
  • 例:RCEPは当初HS2012ベースでしたが、HS2022に置き換えたPSRが採択され、2023-01-01から実施と案内されています。 (税関ポータル)
  • 実務での扱い方(一般論)
    • ① 通関申告:原則「最新の国内の申告コード」
    • ② 原産地(PSR):協定が採用するHS版
    • ③ 必要に応じ、税関や公的資料の相関表で「旧→新」を突合
  • 参考として、商工会議所の実務資料でも「協定ごとに参照するHSが違う」旨と、協定例が整理されています。 (日本商工会議所)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
  • 第2類は「原材料=動物由来」でサプライチェーン証跡が重要になりやすいので、最低限:
    • 原材料の畜種・部位・加工工程(冷凍/乾燥/塩蔵等)
    • 生産国・と畜/加工場所
    • 製品仕様書(工程)
      を揃えると、分類と原産の両方が安定します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(類注追加)Chapter 2 注1第2類から食用の死んでいる昆虫を除外する旨が追加昆虫製品を第2類へ寄せる誤りが起きやすい。04.10(昆虫)を前提に社内マスター更新が必要 (世界税関機構)
HS2017→HS2022範囲変更(相関表ベース)0208.90 / 0210.99 ↔ 0410.10食用昆虫の新設(0410.10)により、従来「その他」に含まれ得た範囲が調整過去データの比較・PSRの突合で相関表確認が必要 (税関ポータル)
HS2017→HS2022変更なし(確認範囲)02.01〜02.10見出し(02.01〜02.10)の骨格は同一実務の影響は主に「昆虫の切り出し」と境界(02↔04/16) (世界税関機構)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断内容:
    • WCO HS2017 Chapter 2WCO HS2022 Chapter 2 を比較すると、HS2022では第2類注1に「食用の死んでいる昆虫(04.10)」の除外が追加されています。 (世界税関機構)
    • さらに、WCO相関表(2022↔2017) では、食用昆虫の新設(0410.10)に伴い 0208.90や0210.99の範囲が影響を受けた旨が説明されています。 (税関ポータル)
    • 昆虫の定義(食用・非生体、状態の範囲等)は第4類注で明確化されています。 (世界税関機構)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(第2類関連の6桁中心。代表例):

版の流れ主な変化旧コード → 新コード(目安)コメント(実務の見方)
HS2002→HS2007削除(統合)0208.20(カエル脚)→ 0208.90(その他)へ統合WCO相関表で「0208.20削除・低取引量のため」とされ、2007側は0208.90へ対応付け (世界税関機構)
HS2007→HS2012新設/分割0208.60(ラクダ等)新設、0209が 0209.10/0209.90 に分割 など2012条文で確認でき、2007条文には見当たらないため、版改正で細分化が進んだと整理可能 (世界税関機構)
HS2012→HS2017(確認範囲では)変更なしWCO公開条文上、Chapter 2の見出し構成は同一 (世界税関機構)
HS2017→HS2022新設(他章)+範囲調整04.10(昆虫)新設により、02側の「その他」範囲が影響第2類注で昆虫が除外され、相関表でも02側の範囲変更が説明される (世界税関機構)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):天然ケーシングを「食用内臓」で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第2類注で腸等は除外、05.04へ (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “edible offal” とだけ書かれる
    • 典型的な影響:修正申告、追加資料要求、検査・遅延(一般論)
    • 予防策:部位の明確化(腸であること)、写真添付、仕様書整備
  • 事例名:ベーコン(燻製/塩蔵)を冷凍豚肉として申告
    • 誤りの内容:加工状態の認定ミス(0203と0210の境界) (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:製造工程情報が通関側へ渡らない
    • 典型的な影響:税率・原産地規則の誤適用、差額追徴(一般論)
    • 予防策:工程(燻製/塩蔵)を仕様書で固定、品名に “smoked/salted” を入れる
  • 事例名:食用昆虫パウダーを「その他の肉粉」で申告
    • 誤りの内容:第2類注で昆虫は除外(04.10) (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:過去の運用・社内マスターがHS2022へ未更新
    • 典型的な影響:分類差戻し、統計誤り、原産地判断や規制確認のやり直し
    • 予防策:HS2022差分(相関表)をマスター反映 (税関ポータル)
  • 事例名:ラード(抽出脂)を02.09で申告
    • 誤りの内容:02.09の範囲誤認(抽出済は第15類へ) (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:商品名が “pork fat” で、工程が不明
    • 典型的な影響:税率差、差額追徴、説明資料追加(一般論)
    • 予防策:工程証明(レンダリング有無)を事前に確保

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • {日本}前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 肉・肉製品等は、輸入時に 動物検疫(農林水産省・動物検疫所) の対象になり得ます(製品種別・原産国等で要件が変動)。 (農林水産省)
      • 食品としての輸入では 食品衛生(厚生労働省の輸入食品手続) の届出・審査が絡みます。 (mhlw.go.jp)
    • その他の許認可・届出
      • 対象品目・用途(人用/飼料用)・成分・畜種によって追加要件が出る可能性があるため、案件ごとに確認が必要です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 製品仕様書(畜種・部位・加工工程・温度状態)
    • 衛生証明(必要な場合)
    • 原材料表・配合表(混合品は特に)
    • 写真(形状・包装)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 畜種(牛/豚/鶏等)、部位、骨有無、温度状態(冷蔵/冷凍)
    • 加工工程(塩蔵/乾燥/燻製/加熱/調味/缶詰等)
    • 人の食用適否、用途(人用/飼料用)
    • 写真、成分・配合表(混合品)、工程図
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第2類注の除外(昆虫、腸、血、脂肪、食用不適)に抵触しないか (世界税関機構)
    • 第16類へ行くべき加工ではないか(混合品の20%ルール含む) (世界税関機構)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「畜種」「加工状態(frozen/chilled/salted/smoked等)」を入れる
    • 必要に応じ、仕様書・写真を添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫・食品衛生の要否を製品ごとに確認 (農林水産省)

12. 参考資料(出典)

※Web参照は「参照日(2026-02-12)」を併記

  • WCO(HS2022条文・注)
    • HS2022 Chapter 2(Meat and edible meat offal)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Section I Notes(“dried”の範囲 等)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 GIR(General Rules for the Interpretation)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 4(04.10と昆虫定義)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 5(05.04/05.11)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 15(02.09除外、15.01等)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 16(20%ルール等の注)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 23(23.01)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
  • WCO(相関表・旧版)
  • 日本税関・公的機関
    • 日本税関:輸入統計品目番号(関税率表)一覧(2026-01-01)(税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:統計品目番号(9桁=HS6+国内コード)説明 (税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:HS2022改正概要資料 (税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:品目別原産地規則(HS版違いの注意)(税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:RCEPのHS2022版PSR採択・実施案内 (税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 動物検疫所(MAFF):肉類等の輸入検疫情報 (農林水産省)(参照日:2026-02-12)
    • 厚生労働省:輸入食品の手続(届出等) (mhlw.go.jp)(参照日:2026-02-12)
  • その他(実務資料)
    • 日本商工会議所:原産地証明における協定別HS版(一覧) (日本商工会議所)(参照日:2026-02-12)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

監査対応用1ページHSドシエ雛形の決定版:品目分類の説明責任を最小コストで満たす実務設計

以下は、監査で通用することを最優先に、内容の整合性と誤りの混入防止を意識して見直しを重ねた最終稿です。

なぜいま、1ページHSドシエが必要なのか

輸入の現場では、日々の通関が回っている限り、HSコードは「なんとなく通っている番号」として扱われがちです。しかし、通関が通ったことと、監査で説明できることは別物です。税関による事後確認では、輸入申告の適正性を確認するために、輸入者の事業所を訪問して申告内容を検証する運用が説明されています。これは、輸入者側が後から説明責任を負う前提で制度が動いていることを意味します。(日本関税庁)

さらに日本では、輸入者には帳簿書類の保存義務があり、帳簿は7年間、書類と電子取引データは5年間、輸入許可日の翌日から起算して保存することが示されています。保存対象には、契約書、インボイス、運賃明細、保険料明細、パッキングリスト、価格表、メーカーや売主が作成した書類などが含まれます。つまり、監査に備えるとは、単に書類を保管するだけでなく、申告と根拠が結び付く状態で提示できるようにしておくことです。(日本関税庁)

ここで効くのが、1ページHSドシエです。目的はシンプルで、次の問いに即答できる状態を作ることです。

1 この製品は何か
2 なぜこのHSコードなのか
3 その根拠資料はどこにあるか
4 誰がいつ承認したか

そもそもHS分類は、どういうルールで決まるのか

HS分類は感覚ではなく、ルールに基づいて決まります。世界共通の枠組みとして、HSの解釈に関する通則、国際的にはGIRがあり、少なくとも次の考え方を押さえる必要があります。

通則1では、部や類や節の表題は参照の便宜であり、分類は項の規定と関連する部注または類注に従って決める、という基本原則が示されています。日本の関税率表の解釈に関する通則でも同趣旨が明記されています。(世界税関機構)

また、HSは6桁レベルが国際的な共通番号で、各国はその下に国内や地域の細分を追加するのが一般的です。つまり、6桁で整合していても、国別の細分や注釈で結論が変わることがあるため、ドシエには「どのレベルの番号を、どの国向けに決めたのか」を明確に書く必要があります。(シンガポール関税局)

1ページHSドシエの定義

本記事でいう1ページHSドシエとは、次の3点を満たす、監査向けの要約書です。

1 製品同一性を担保する情報がある
2 分類結論と理由が、第三者が追える粒度で書かれている
3 根拠資料の所在と、申告データへの紐付けができる

注意点として、1ページの中に証拠そのものを貼り込む必要はありません。むしろ現実的には、証拠は別保管し、ドシエは参照番号で結び付けるのが強い設計です。日本税関も、帳簿や書類の関係が輸入許可番号などで分かるように整理することに触れています。(日本関税庁)

監査対応で落ちないための、ドシエ設計4原則

原則1 製品同一性を先に固める

監査で最初に詰まるのは分類ロジックではなく、そもそも「その資料は今回の輸入貨物と同じ製品か」が証明できないことです。ここが曖昧だと、どんなに正しい分類でも説得力が落ちます。

ドシエには、少なくとも以下の同一性キーを入れます。

・社内品目コード、型番、版数
・製品写真の参照番号
・材質、構造、機能の要点
・輸入時の形態(完成品、未完成、分解、セット、付属品含むか)

原則2 ルールに沿った再現性を書く

分類理由は、通則や注の適用関係が追えるように書きます。GIRや通則は「見出しではなく、項と注が優先」という発想が核です。(世界税関機構)

原則3 申告と根拠資料への追跡性を持たせる

日本では、保存対象の書類が具体的に列挙されています。監査で求められる類型と一致するように、ドシエ側も参照番号で結び付けておくと強いです。(日本関税庁)

原則4 統制(承認と変更管理)を最小限でも入れる

誰が決め、誰が承認し、いつ見直したか。これがないと、属人的なメモで終わります。監査は「プロセスがあるか」も見ます。

監査対応用1ページHSドシエ雛形

ここからが雛形です。A4縦1枚に収まる想定で、欄を固定すると運用が回ります。

雛形の全体像

セクション記入内容(推奨)監査で効く理由
0 ヘッダードシエID、作成日、最終改定日、対象国、対象税番の桁数、HS改正年、担当部署、作成者、承認者対象範囲と責任者が一目で分かる
1 製品同一性社内品目コード、型番、製品名、用途、材質、構造、主要仕様、輸入時形態、セット構成の有無、写真や図面の参照番号「それは何か」を客観情報で固定できる
2 分類結論項(4桁)、号(6桁)、国内細分(必要なら)、品名要約(税番に寄せた表現)、適用関税率の参照先、関連要件の有無(許可や証明など)結論と適用範囲を明確化できる
3 分類ロジック要約候補項、適用した部注類注、適用した通則、決め手になった客観的特徴、競合項を外した理由(1行ずつ)第三者が追試できる
4 根拠資料リスト契約書、インボイス、パッキングリスト、運賃明細、保険明細、価格表、仕様書、成分表、BOM、製造工程概要などの参照番号と保管場所税関が求める書類類型と整合する (日本関税庁)
5 申告紐付け輸入許可番号、申告番号、申告日、通関業者、インボイス番号、ロットやシリアル範囲申告と証拠が一本線でつながる
6 公式判断の有無事前教示や公的な分類決定の有無、番号、発行日、適用条件、適用範囲不確実性を減らせる (日本関税庁)
7 変更履歴変更日、変更理由(設計変更、材質変更、用途変更、HS改正、税関見解など)、影響範囲、旧版保管先更新漏れが最大の事故を防ぐ

そのまま使える記入フォーマット(コピー用)

下記を社内テンプレートとして固定し、項目名は変えないことを推奨します。

1 ドシエID
2 対象国、対象税番桁数、HS改正年
3 製品名、社内品目コード、型番、版数
4 製品概要(用途、機能)
5 材質と構造(主要部材、組立構造)
6 輸入時形態(完成、未完成、分解、セット、付属品)
7 分類結論(4桁、6桁、国内細分)
8 分類ロジック要約(通則、注、競合項の排除理由)
9 根拠資料(仕様書、図面、写真、BOM、取引書類)参照番号
10 申告紐付け(輸入許可番号、インボイス番号)
11 事前教示やBTI等(有無、番号、条件)
12 作成者、レビュー者、承認者
13 最終見直し日、次回見直し条件
14 変更履歴(最新版に至る要点)

分類ロジック欄の書き方:1ページに収めるコツ

ドシエの肝は「分類ロジック要約」です。ここは長文にしない方が強いです。代わりに、ルールと判断ポイントが見える形にします。

コツ1 通則1の型で書く

分類の起点は、項の文言と部注類注です。見出しの語感より、項と注を優先します。(世界税関機構)

記述例(形式のみ)

・候補項:A項、B項
・確認した注:第X部注Y、類注Z
・決め手:用途ではなく構造上の客観的特徴が注の定義に合致
・競合排除:B項は注の除外規定に該当

コツ2 まず4桁を決めてから下に降りる

いきなり6桁以下を探すと迷走します。4桁を確定してから、同一項内で号を決める順序が推奨されています。(シンガポール関税局)

コツ3 争点を先回りして1行で潰す

監査の質問はだいたい型が決まっています。

・なぜ機械ではなく部品なのか
・なぜセット扱いではないのか
・材質が変わったらコードは変わるのか
・用途で分類していないか

これらに対し、「競合項を外した理由」を1行ずつ入れておくと、質疑が短くなります。

根拠資料欄の作り方:監査で強い証拠の揃え方

日本税関の保存義務の説明では、輸入に関する書類の例が具体的に並んでいます。ドシエの根拠資料欄は、この並びに寄せると監査で提示しやすくなります。(日本関税庁)

技術的根拠(分類の本丸)

・仕様書、図面、写真
・材質証明、成分表
・BOM、部材リスト
・製造工程の概要(工程名レベルで十分)

分類は「客観的特徴」に基づくことが重要とされ、HSは注や通則を含む体系で運用されます。客観的特徴を示す資料が強い理由はここにあります。

取引根拠(申告と結び付ける)

・契約書
・インボイス
・パッキングリスト
・運賃明細、保険明細
・価格表

保存対象の例示に含まれているため、監査側の期待と揃います。(日本関税庁)

電子取引データ

メールでの受発注や電子取引情報も保存対象として整理されています。紙の書類だけでなく、電子データの所在もドシエに参照番号で残すと、監査対応が安定します。(日本関税庁)

不確実性を下げる切り札:事前教示やBTIをドシエに組み込む

日本の事前教示(品目分類)

日本税関には、輸入前に関税分類や税率について照会し、回答を得られる事前教示の仕組みが説明されています。社内で判断が割れる製品や、税率差が大きい製品では、ドシエの外部根拠として非常に強い材料になります。(日本関税庁)

EUのBTI

EUではBTIが、品目分類に関する法的な決定として説明され、一般に3年間有効で、税関当局と保有者の双方を拘束する、とされています。分類が事業に与える影響(関税だけでなく、許認可などの要件)も、分類に依存することが説明されています。欧州向けビジネスでは、ドシエにBTIの有無と条件を書く価値が大きいです。(Taxation and Customs Union)

さらにEUのガイダンス文書では、非公式な助言はBTI枠組みでない限り法的拘束力がなく、法的確実性はBTIで得られる、という趣旨が示されています。非公式助言を受けた場合でも記録を残すことが推奨されています。ドシエの「外部根拠欄」に、この記録を整理して入れると運用が崩れません。

運用設計:1ページを「作って終わり」にしない

テンプレートがあっても、更新されなければ監査では逆効果です。運用の最小セットは次の通りです。

役割分担の最小形

1 製品情報のオーナー(設計や商品企画)
2 分類判断のオーナー(貿易コンプライアンス、通関統括)
3 承認者(責任者。内部統制上の署名者)

更新トリガーを明文化する

以下のどれかが起きたら更新、という条件をドシエ自体に書きます。

・材質が変わった
・構造が変わった
・用途や販売形態が変わった
・セット内容や同梱物が変わった
・仕入先や製造工程が変わった
・HS改正や注釈の変更があった
・税関照会や事前教示など外部見解が出た

保存期間と保管設計を揃える

日本税関の説明では、帳簿7年、書類5年、電子取引データ5年が示されています。ドシエ本体は最長の7年に揃え、根拠資料は法令上の保存期間と整合するポリシーにすると、監査で説明しやすくなります。(日本関税庁)

よくある失敗と、1ページHSドシエが効くポイント

1 仕入先や通関業者が示したHSコードを、そのまま社内コードとして固定する
2 製品仕様が更新されたのに、HSコードだけが据え置かれる
3 6桁のHSと、各国の細分コードを混同して運用する
4 根拠資料がメールや個人フォルダに散らばり、輸入許可番号と結び付かない
5 監査で聞かれるのは分類だけでなく、申告全体の適正性だと見落とす

事後確認は、通関後に申告内容を検証する運用が示されており、帳簿書類の保存義務も具体的に整理されています。これらを前提にすると、ドシエが「説明の最短経路」になります。(日本関税庁)

導入の進め方:まずは高リスク品目から小さく始める

1 対象選定
関税影響が大きい品目、分類が割れやすい品目、監査対象になりやすい品目から着手します。

2 情報収集
仕様書、写真、BOM、取引書類、過去申告番号など、同一性と追跡性に必要な材料を集めます。保存対象の書類類型に沿って集めると抜けにくいです。(日本関税庁)

3 分類ロジックの定型化
通則1を起点に、項と注を優先し、4桁を決めてから号へ、という順序で要約します。

4 レビューと承認
「第三者が読んで再現できるか」を基準にレビューし、承認者を固定します。

5 ライブラリ化
製品単位で検索できる形にし、輸入許可番号とひも付く運用にします。

まとめ

1ページHSドシエは、分類の正しさを主張する資料ではなく、分類の説明責任を短時間で果たすための社内インフラです。
日本では帳簿書類と電子データの保存義務が整理され、税関は通関後に申告内容を検証する運用を示しています。これらの前提に立つと、根拠が散在している状態こそが最大のリスクです。(日本関税庁)
通則と注に沿って再現性のあるロジックを書き、申告と根拠資料を追跡できる形にする。これをA4一枚に落とすのが、監査対応を強くする最短距離です。(世界税関機構)

免責事項

本記事は、HSコードの分類や監査対応に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の取引や製品に対する法令解釈、通関判断、税務判断、または専門家としての助言を提供するものではありません。実際の分類や申告、事前教示等の利用可否は、製品の客観的特徴、輸入形態、契約条件、適用法令、各国当局の運用などにより結論が変わり得ます。必要に応じて、税関、認定通関業者、弁護士、公認会計士等の専門家に相談のうえ、最終判断は貴社の責任で行ってください。

第2章:分類に必要な商品情報の集め方

2-1 この章のゴール

この章では、HSコード分類に必要な商品情報を、抜け漏れなく集める方法を身につけます。 HS分類は、調べ方以前に、材料が揃っていないと正しくできません。逆に言えば、情報の集め方さえ型にすれば、分類の精度は大きく安定します。 この章を終えると、次のことができるようになります。

1 分類に必要な情報の項目を説明できる

2 社内やサプライヤーに、迷いなく質問できる

3 情報の信頼性を確認し、根拠として残せる

2-2 商品名だけでは分類できない理由

初心者が最初にぶつかる壁は、カタログ名や通称では分類できないことです。 たとえば「センサー」「フィルター」「アダプタ」「ユニット」「モジュール」は、名前だけでは範囲が広すぎます。同じ呼び名でも、材質や原理、用途で別の類や項に分かれることが珍しくありません。 HS分類で必要なのは、呼び名ではなく、次のような客観情報です。

1 何でできているか(材質、組成)

2 何をするものか(機能、用途)

3 どう作られ、どの段階の製品か(加工度、完成度)

4 どういう形で提供されるか(形状、包装、セット構成)

2-3 まず揃える基本情報 分類のための10項目

どんな商品でも、まずこの10項目を揃えると、分類の道筋が見えやすくなります。

1 品名と型番

社内呼称、取引先呼称、型番、シリーズ名を整理します。呼称が複数ある場合は併記します。

2 用途

誰が、どこで、何のために使うか。最終用途だけでなく、現場用途も確認します。

3 機能

何をする装置か、何の働きをする材料か。測る、記録する、加熱する、固定する、遮断するなど、動詞で言える形にします。

4 動作原理

電気、光学、化学反応、機械的作用など、原理を一言で説明できるようにします。特に機械・電気品では分岐点になります。

5 材質と組成

主材質、混合比、コーティング、含有量など。化学品や複合材料はここが中心になります。

6 構造と形状

寸法、断面、層構造、中空か固体か、可とう性の有無など。金属製品、プラスチック製品、繊維製品では重要です。

7 加工度と製造工程

粉末、ペレット、板、成形品、加工品、組立品など、どこまで加工されているか。未完成品、未組立品もここに含みます。

8 包装形態と単位

液体か固体か、容量や重量、バルクか小分けか。小売用包装か、工業用か。食品や化学品で分岐点になります。

9 セット構成や付属品の有無

単体か、セットか。複合品なら構成要素と比率、価値、役割を把握します。

10 取り付け先、組み込み先

部品の場合は必須です。どの機械や装置のための部品か、専用か汎用か、交換部品かを確認します。

2-4 分野別に追加で必要になりやすい情報

基本10項目に加えて、分野によって追加情報が必要になります。

1 化学品

CAS番号、SDSの組成欄、危険有害性、用途、濃度、溶媒の種類、物性(粘度、引火点など)

2 プラスチック、ゴム

樹脂名、単量体、補強材の有無、発泡か非発泡か、硬度、成形方法、使用温度帯

3 繊維

繊維組成比、織り方、編み方、不織布か、目付、用途(衣料か産業資材か)、コーティングの有無

4 食品

原材料、加工工程、加糖の有無、加熱や発酵の有無、保存方法、用途(飲料、調味料、加工食品など)

5 機械、電気、電子

主機能、制御の有無、通信の有無、センサーや計測の有無、主要部品、出力、規格(電圧、周波数)、単体機器かシステム部材か

2-5 情報源をどう集めるか 使う資料の優先順位

情報は、口頭説明だけに頼らず、文書で裏付けるのが基本です。代表的な情報源は次のとおりです。

1 仕様書、データシート

機能、規格、材料、型番がまとまっています。最新版かどうかを必ず確認します。

2 SDS

化学品や材料では最重要です。組成欄と用途欄が特に重要です。

3 図面、断面図、組立図

形状、構造、取り付け方法が分かります。部品分類の精度が上がります。

4 BOM、部品表

構成要素と材料が分かります。セット品や複合品の整理に有効です。

5 取扱説明書、作業手順書

実際の用途と使用条件が分かります。想定用途の誤解を防ぎます。

6 現物写真、ラベル、包装表示

形状や表示情報が分かります。写真だけで判断せず、他資料と突き合わせます。

2-6 社内ヒアリングのコツ 質問の仕方で精度が決まる

情報が足りないときは、関係部署に追加確認します。質問は、次の原則で行うと回答の質が上がります。

1 目的を伝える

HS分類に必要で、申告や関税、規制に影響するためと先に言います。

2 選択肢を出す

たとえば「樹脂はABSですか、PCですか」のように、答えやすい形にします。

3 動詞で聞く

何をするのか、どう使うのかを動詞で聞くと、用途と機能が整理されます。

4 比較対象を置く

「これは部品として専用ですか、それとも汎用部材ですか」のように分岐点を示します。

2-7 情報の信頼性チェック よくある食い違いを潰す

集めた情報は、そのまま信じるのではなく、整合性を確認します。特に次の食い違いが起きやすいです。

1 営業資料と技術資料の差

営業は用途が広めに書かれ、技術は仕様が厳密になりやすいです。分類では技術情報を優先します。

2 古い版の資料

型番は同じでも材質変更や仕様変更があることがあります。改訂日を確認します。

3 主材質と副資材の誤認

見た目の外装材だけで判断すると誤ります。重量比や機能上の中心を確認します。

4 セット構成の見落とし

付属品が標準同梱か、オプションかで扱いが変わることがあります。

2-8 情報が揃わないときの進め方

現場では、最初から情報が完璧に揃うことは多くありません。その場合は、結論を急がず、手順でリスクを減らします。

1 不足情報リストを作る

何が分からないと分類が確定できないかを短文で列挙します。

2 仮置きの前提を明確にする

仮に分類する場合は、前提条件を必ず書きます。前提が崩れたら再分類が必要になります。

3 影響が大きい論点を優先して確認する

材質、用途、完成度、部品の専用性は影響が大きいので優先順位を上げます。

4 確度を管理する

確定、ほぼ確定、要追加確認のように状態を分け、社内で共有できるようにします。

2-9 集めた情報は根拠として残す

分類は、当てた瞬間で終わりではありません。後日説明できる形で残すことが、実務では同じくらい重要です。 最低限、次を残します。

1 商品情報の要点(用途、機能、材質、構造、完成度)

2 参照した資料(仕様書、SDS、図面など)と版情報

3 不明点と前提条件

4 分類の結論と、どの情報が決め手になったか

2-10 第2章のまとめ

分類の精度は、商品名ではなく客観情報の質で決まる。 まず基本10項目を揃え、分野別の追加情報で補強する。 仕様書、SDS、図面などの文書で裏付け、版と整合性を確認する。 情報が揃わないときは、不足情報と前提を明確にして確度を管理する。 次章では、集めた情報を使って、分類を最短ルートで進める手順の型を学びます。