HS2022 第15類:動物性、植物性又は微生物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう(Animal, vegetable or microbial fats and oils and their cleavage products; prepared edible fats; animal or vegetable waxes)

用語の統一:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**で記載します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 大豆油、落花生油、オリーブ油、パーム油、菜種油などの油脂(化学的改質なし)(1507〜1515) (世界税関機構)
    • 水素添加・エステル交換等した油脂(ただし「さらに調製」していないもの)(1516) (世界税関機構)
    • マーガリンや、複数油脂の食用の混合・調製品(1517) (世界税関機構)
    • 化学的に改質(酸化・重合・硫黄化等)した油脂、または食用でない油脂混合物(1518) (世界税関機構)
    • 粗製グリセリン(1520)、ミツロウ等のろう(1521)、油滓・残留物(1522) (世界税関機構)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 第02.09項の豚又は家きんの脂肪(0209) (税関ポータル)
    • カカオ脂(ココアバター)(1804) (税関ポータル)
    • バター等(0405)を重量15%超含む調製食料品 → 主として第21類(例:スプレッド状の調製品が21類に回ることがある) (税関ポータル)
    • 油かす(搾りかす・抽出かす)(2304〜2306)や獣脂かす(2301) (税関ポータル)
    • 脂肪酸、せっけん、化粧品、調製ろう、硫酸化油等(第6部=主に第29類/第33類/第34類/第38類などに飛びやすい) (税関ポータル)
    • ファクチス(油由来の加硫ゴム様物質)(4002) (税関ポータル)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「化学的改質なし」か/「化学的改質あり」か(1501〜1517 vs 1518 など) (世界税関機構)
    2. 「さらに調製」しているか(1516 vs 1517) (世界税関機構)
    3. (頻出)オリーブ油:溶剤抽出か否か(1509 vs 1510)/菜種油:低エルカ酸か否か(1514.11/1514.19) (税関ポータル)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食用油脂は**食品衛生(輸入届出・検査)**と絡みやすく、遅延・保管コストが出やすい(とくに初回輸入・新製造者)。 (厚生労働省)
    • FTA/EPAの原産地で、HSの付番ミスがPSR選択ミスにつながり、特恵否認になり得ます(RCEP/CPTPP等はHS版も要注意)。 (税関ポータル)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注で決める):第15類は**類注(除外・定義)**が強く、まず注で「入る/除外」を固めます(例:オリーブの溶剤抽出油は1509に入れない、など)。 (税関ポータル)
    • GIR6(6桁は同列比較):例えば1509はHS2022で細分が増え、1509.20/30/40/90のどれかを定義(酸度・カテゴリー)で落とします。 (税関ポータル)
    • GIR3(混合物・複合品):マーガリン等の「混合・調製」では、1516/1517/1518の境界が問題になり、性状・用途・加工工程が鍵になります。 (世界税関機構)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 原料の由来(動物・植物・微生物) (世界税関機構)
    • 加工度(粗製/精製、脱ガム、脱酸、脱臭、脱色など)
    • 改質の有無(水素添加、エステル交換、酸化、重合など) (世界税関機構)
    • 用途(食用/工業用)混合・乳化しているか(1517に寄る)
    • 抽出方法(圧搾 vs 溶剤抽出:特にオリーブ) (税関ポータル)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:まず除外チェック
    • 0209(豚/家きん脂肪)、1804(カカオ脂)、21類(0405>15%の調製食料品)、23類(油かす)、第6部(脂肪酸・せっけん等)、4002(ファクチス)に当たらないか確認。 (税関ポータル)
  • Step2:品目タイプを決める
    • 「単体油脂/分別物」か、「混合・調製(食用)」か、「化学改質」か、「ろう/残渣/粗製グリセリン」か。 (世界税関機構)
  • Step3:改質・調製の度合いで分岐
    • 化学的改質なし → 1501〜1515
    • 水素添加等(1516に列挙された処理)で、さらに調製していない → 1516 (世界税関機構)
    • 食用の混合・調製(マーガリン等) → 1517 (世界税関機構)
    • 1516以外の化学的改質、または食用でない混合物等 → 1518 (世界税関機構)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第15類 vs 第21類:バター等(0405)を重量15%超含む“食用調製品”は21類に飛びやすい。 (世界税関機構)
    • 第15類 vs 第23類:油かす(搾りかす・抽出かす)は23類、15.22は“処理残渣”で性格が違う。 (税関ポータル)
    • 1509 vs 1510:オリーブ由来でも、溶剤抽出油は1510へ。 (税関ポータル)
    • 1516 vs 1517 vs 1518:水素添加等で「さらに調製なし」=1516、食用の混合・調製=1517、それ以外の化学改質/非食用混合=1518。 (世界税関機構)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1501豚脂・家きん脂肪(0209/1503除く)ラード等0209(別章)や1503(ステアリン等)との線引き。 (世界税関機構)
1502牛・羊・山羊の脂肪(1503除く)牛脂(タロー)1503の「油・ステアリン等」でないか確認。 (世界税関機構)
1503ラードステアリン等(乳化・混合・調製なし)ラード油、タロー油「混合/調製」すると1517等に寄る可能性。 (世界税関機構)
1504魚・海生哺乳類の油脂(化学改質なし)魚肝油、魚油精製は可、化学改質すると1516/1518側も検討。 (世界税関機構)
1505羊毛脂(ラノリン)等ラノリン化粧品原料は33類へ飛びやすい点に注意(製品形態次第)。 (世界税関機構)
1506その他の動物性油脂(化学改質なし)骨脂等動物由来の規制(検疫)にも注意(後述)。 (世界税関機構)
1507大豆油(化学改質なし)1507.10 粗製/脱ガム等多くが「粗製/その他」で分岐。 (世界税関機構)
1508落花生油ピーナッツ油粗製/その他で分岐。 (世界税関機構)
1509オリーブ油エクストラバージン等HS2022で細分増。溶剤抽出油は1510へ。 (世界税関機構)
1510オリーブから得た「その他の油」等(オリーブ搾りかす油等)オリーブポマース油1509との境界は注2(溶剤抽出)。 (世界税関機構)
1511パーム油パーム油(粗製/その他)パーム核油(1513)と混同注意。 (世界税関機構)
1512ひまわり/サフラワー/綿実油綿実油等ひまわり/綿実でサブ区分が違う。 (世界税関機構)
1513やし(コプラ)油・パーム核油・ババス油ココナッツ油、パーム核油1511(パーム油)と区別(原料が違う)。 (世界税関機構)
1514菜種/からし菜種油キャノーラ油等低エルカ酸(1514.11/19)は定義あり(<2%)。 (税関ポータル)
1515その他の固定植物性又は微生物性油脂亜麻仁油、とうもろこし油、ひまし油、ゴマ油、微生物油HS2022で「微生物性」追加・新号あり。 (世界税関機構)
1516動物/植物/微生物の油脂:水素添加等(さらに調製なし)硬化油(ショートニング原料)1517(調製食用)との線引きが重要。 (世界税関機構)
1517マーガリン、食用混合・調製油脂(1516除く)マーガリン、ファットスプレッド日本税関の事前教示でも事例あり。 (世界税関機構)
15181516以外の化学改質油脂、非食用混合・調製油脂乾性油、酸化油、工業用混合油等注3「単に変性」は1518に入れない。 (税関ポータル)
1519欠番(使用なし)HSの番号体系上の欠番。 (世界税関機構)
1520粗製グリセリン、グリセリン水・灰液粗製グリセリン純品(化学的単一物質)は別章(例:第29類)になり得る。 (世界税関機構)
1521植物ろう、ミツロウ等、鯨ろう等ミツロウ、カルナバろう「調製ろう(例:ワックスブレンド)」は34類等へ飛びやすい。 (世界税関機構)
1522デグラス、油脂/ろうの処理残渣ソープストック、油さい等注4で具体例列挙(これらは1522へ)。 (税関ポータル)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類でよく出る“軸”)
    • 粗製(Crude)か/その他(精製等)か:多くの油(1507, 1508, 1511〜1514, 1515等)が「粗製/その他」で分岐します。 (世界税関機構)
    • オリーブ油のカテゴリー:1509.20(Extra virgin)、1509.30(Virgin)、1509.40(Other virgin)、1509.90(Other)。特に1509.30は酸度(オレイン酸換算2.0g/100g以下)+Codex標準に基づく区別が条件。 (税関ポータル)
    • 菜種油の低エルカ酸:1514.11/1514.19は「エルカ酸2%未満」の定義があり、分析値が要ります。 (税関ポータル)
    • 微生物由来の油脂:1515.60(微生物性油脂)、1516.30(微生物性油脂:水素添加等)など、由来の確認が必要。 (世界税関機構)
    • 1516/1517/1518の線引き:加工内容(何をしたか)と最終形態(食用調製か、工業用か)が決定打になります。 (世界税関機構)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1509(オリーブ油) vs 1510(オリーブ由来のその他油)
      • どこで分かれるか:溶剤抽出の有無(溶剤抽出油は1509に入らず1510)。 (税関ポータル)
      • 判断に必要な情報:
        • 製造工程(圧搾/遠心分離/溶剤抽出)
        • 製造者の工程フロー、COA、SDS(溶剤の使用有無)
      • 典型的な誤り:品名が「olive oil」だから1509に入れてしまう(実はpomace/solvent extracted)。
    2. 1514.11/1514.19(低エルカ酸菜種油) vs 1514.91/1514.99(その他菜種油)
      • どこで分かれるか:エルカ酸含有率2%未満かどうか(固定油)。 (税関ポータル)
      • 判断に必要な情報:
        • エルカ酸の分析結果(ロット別COA)
        • 原料種別(キャノーラ等の品種情報)
      • 典型的な誤り:「菜種油=キャノーラ」と決め打ちして低エルカ酸扱いにする。
    3. 1516(硬化油等:さらに調製なし) vs 1517(マーガリン等の食用調製)
      • どこで分かれるか:1516は「水素添加等した油脂」だが、**“さらに調製していない”**ことが前提。食用の混合・乳化・スプレッド化等は1517に寄りやすい。 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:
        • 工程(乳化、加塩、香料添加、ビタミン添加、結晶化制御などの有無)
        • 形状(固形スプレッド、液体マーガリン等)
        • 用途(家庭用/業務用、パン塗布用等)
      • 典型的な誤り:硬化油を含むから1516、としてしまう(実際はマーガリン工程を経て1517)。
      • 補足例:植物性油脂・乳化剤・香料等の混合物について、日本税関の事前教示事例があります(工程・配合が分類根拠になる典型)。 (税関ポータル)
    4. 1518(化学改質油) vs “単に変性”した油(→元の項へ)
      • どこで分かれるか:注3により、「単に変性」した油脂は1518に入れず、元の油脂の項へ。 (税関ポータル)
      • 判断に必要な情報:
        • 変性の目的と方法(食用不可にする添加・臭い付け等)
        • 化学改質(酸化・重合等)を実際にしているか
      • 典型的な誤り:「変性=化学改質」と誤解して1518へ。
    5. 1520(粗製グリセリン) vs(参考)化学的に純なグリセリン(別章になり得る)
      • どこで分かれるか:「粗製」か、化学的に単一で高純度か(用途・規格・純度)。 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:
        • 純度、規格書(USP/EP等)、不純物組成
        • 製造工程(副生粗製か、精製工程済みか)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第15類は第3部(Section III)に属しますが、実務上の分岐は**第15類の類注(Notes)と号注(Subheading Notes)**が中心です。 (世界税関機構)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:オリーブ油の「溶剤抽出は1509でなく1510」というルールは、見出しよりも注で確定します。 (税関ポータル)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (第15類では)他章へのジャンプは主に類注1の除外規定で起きます(0209/1804/21類/23類/第6部/4002)。 (世界税関機構)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:この類に含めない物品(除外先の章・項が列挙) (税関ポータル)
    • 注2:1509(オリーブ油)には溶剤抽出油を含めない→1510へ (税関ポータル)
    • 注3:1518には単に変性した油脂を含めない→元の油脂の項へ (税関ポータル)
    • 注4:ソープストック等の残留物は1522へ (税関ポータル)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 号注(Subheading Notes)
      • 1509.30の「バージンオリーブ油」:**酸度(オレイン酸換算2.0g/100g以下)**かつCodex標準の特性で区別可能。 (税関ポータル)
      • 1514.11/1514.19の「低エルカ酸菜種油」:エルカ酸が全重量2%未満の固定油。 (税関ポータル)
    • 備考(実務上よく使う定義)
      • 「酸価」:油脂1g中の遊離脂肪酸の中和に要するKOH mg数。 (税関ポータル)
      • 1518の「脱水」:油を構成するヒドロキシ脂肪酸の水酸基を除くこと。 (税関ポータル)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 0209、1804、(0405>15%含有の食用調製品は主に)21類、2301/2304〜2306、第6部の諸品、4002。 (税関ポータル)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:オリーブ油(1509)とオリーブ搾りかす油等(1510)の分岐
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程図、製造者宣誓書、SDS(溶剤)、COA、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • “olive oil”表記の製品を全て1509にしてしまう(pomace oilを見落とす)。
  • 影響ポイント2:「単に変性」した油脂は1518ではない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 変性の内容(着臭・着色・微量添加等)と、化学反応を伴う改質かどうか (税関ポータル)
    • 現場で集める証憑:
      • 変性剤の配合表、SDS、工程条件、用途説明(工業用等)
    • 誤分類の典型:
      • 「変性=化学改質」と誤解し、1518へ寄せる。
  • 影響ポイント3:1522(残留物)への飛び
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • それが「油かす(23類)」なのか、「精製・処理工程から出る残留物(1522)」なのか
      • 具体例として、ソープストック、油さい、ステアリンピッチ等は1522とされます。 (税関ポータル)
    • 現場で集める証憑:
      • どの工程から出た副産物か(工程図)、サンプル写真、成分分析
    • 誤分類の典型:
      • “residue”と書いてあるだけで23類に入れてしまう/逆に油かすを1522にしてしまう。
  • 影響ポイント4:1514(低エルカ酸)の定義が税番を変える
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
    • 現場で集める証憑:
      • COA(脂肪酸組成)、規格書、品種情報
    • 誤分類の典型:
      • “canola”と書いてあるだけで低エルカ酸に決め打ち。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:溶剤抽出のオリーブ由来油を1509(オリーブ油)にする
    • なぜ起きる:商品名が「olive oil」「pomace」が小さく、工程情報が通関側に伝わらない。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注2により、溶剤抽出油は1509ではなく1510。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:製造工程図、溶剤使用の有無が分かる書類(SDS/宣誓書)
      • 社内で聞く質問例:「この油は圧搾ですか?溶剤抽出ですか?原料は搾りかす(pomace)ですか?」
  2. 間違い:キャノーラ油を無条件に1514.11/1514.19(低エルカ酸)にする
    • なぜ起きる:取引上の“通称”と、HS上の定義がズレる。
    • 正しい考え方:低エルカ酸は「エルカ酸2%未満」の定義に合う必要がある。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • COA(脂肪酸組成)をロットで入手・保管
      • 「2%未満の根拠(試験法・結果)」を提出できるようにする
  3. 間違い:硬化油(部分水素添加)を、元の油(1507等)のままにする
    • なぜ起きる:精製と改質(水素添加等)を混同。
    • 正しい考え方:水素添加・エステル交換等で「さらに調製していない」なら1516。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • 工程表で「hydrogenated/inter-esterified」等の処理有無を確認
      • MSDSや製品仕様に“hydrogenated”表記があるかチェック
  4. 間違い:マーガリンを1516(硬化油)にする
    • なぜ起きる:原料に硬化油が含まれるため。
    • 正しい考え方:マーガリン等の食用混合・調製は1517(1516を除く)。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • 乳化工程、添加物(乳化剤・香料等)、最終形状(スプレッド)の有無を確認
      • 日本税関の事前教示事例の類似性を確認(工程が重要)。 (税関ポータル)
  5. 間違い:「変性油=1518」と決めつける
    • なぜ起きる:「変性」の言葉が曖昧(denatured / modified を混同)。
    • 正しい考え方:注3により「単に変性」は1518に入れず、元の油の項へ。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 変性の目的・方法を文書化(食用不可化のための添加のみか、化学反応を伴う改質か)
      • SDS・配合表を提出資料に含める
  6. 間違い:粗製グリセリン(1520)と、精製グリセリン(別章)を混同
    • なぜ起きる:取引書類に “glycerin” としか書かれない。
    • 正しい考え方:1520は「粗製グリセリン等」。高純度の化学品は別章もあり得る(製品規格で判断)。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • COA(純度、不純物、水分)と規格(USP/EP等)の有無を確認
      • 工程(副生粗製か、蒸留等の精製品か)を確認
  7. 間違い:油かす(23類)を1522(残留物)にする/逆
    • なぜ起きる:“residue/cake”の英語だけで判断。
    • 正しい考え方:注1(d)は油かす(2304〜2306)を除外、注4は特定残留物を1522とする。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 「油を搾った後の固形か(cake)」「精製工程で出る滓か(soap-stock等)」を工程図で区別
      • サンプル写真・水分/油分分析を用意
  8. 間違い:ミツロウ等(1521)と、調製ろう(第34類等)を混同
    • なぜ起きる:ワックスは用途が広く、混合品が多い。
    • 正しい考え方:1521はろうそのもの(植物ろう、ミツロウ等)。混合・調製されると別章候補。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • 配合(他のろう・樹脂・溶剤)と最終用途(研磨、コーティング等)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第15類は**「油脂の種類(項/号)」の違いHS版改正での細分**があり、コードがズレるとPSRの適用条文自体が変わります。 (世界税関機構)
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品のHSは合っているが、非原産材料のHSが曖昧(例:添加物・乳化剤・香料は第15類ではなく第29/33類等になることがある)
    • 1516/1517/1518の境界を誤り、PSRの章・項が変わる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 参照協定が未指定のため、ここでは代表例と「確認方法」を示します。
  • 代表例(原産地規則・PSRで参照するHS版):
    • RCEP:PSR(附属書3A)はHS2012に基づく旨が明記されています。 (税関ポータル)
    • CPTPP(TPP11):日本税関の解説資料で、産品の関税分類番号をHS2012年版で扱う旨が示されています。 (税関ポータル)
    • 日EU EPA:EU側の実務ガイド等で、HS分類(2017)に基づく説明があります(実務上、コード参照版の確認が必要)。 (Cdnw8)
  • ズレる場合の注意(一般論):
    • 通関申告は輸入国の現行HS(例:HS2022)で行いつつ、原産地判定は協定が参照するHS版(例:HS2012)でPSRを見る、という二重管理が起こり得ます。 (税関ポータル)
    • 日本では、協定により**HS2022へのトランスポーズ(旧→新対応)**資料が案内される場合があります(例:HS2022ベースでPSR表示に関する注意書き)。 (外務省)
  • 実務の確認先:
    • 日本税関の品目別原産地規則(PSR)検索は、協定ごとに参照HS版が表示されます。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算前提
    • 食用油脂の混合・調製(1517)では、**配合比率と工程(乳化・加塩等)**が重要
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 自己申告(CPTPP等)では、HS6桁や原産基準の記載が必要で、裏付け記録の提示を求められることがあります。 (税関ポータル)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(細分化)15091509.10(HS2017)相当が、1509.20/1509.30/1509.40等に再編(オリーブ油カテゴリー識別のため)。 (世界税関機構)オリーブ油輸入で、品名だけでなく酸度・区分資料が必須に。
HS2017→HS2022分割(細分化)15101510.00(HS2017)相当が、1510.10/1510.90に再編(オリーブ搾りかす油等の識別強化)。 (世界税関機構)1510が「粗製/その他」で管理しやすくなる。工程資料の重要性増。
HS2017→HS2022新設+範囲変更1515.60微生物由来油脂を独立号として新設(1515.90から切出し)。 (世界税関機構)発酵油脂等で**由来証明(微生物)**が必要に。
HS2017→HS2022新設+範囲調整1516.301516.20(植物性)から微生物由来を独立識別。 (世界税関機構)1516の分類で「植物性/微生物性」の確認が必要に。
HS2017→HS2022文言修正(範囲拡張)第15類全般見出し・類名に「microbial(微生物性)」が入る。 (世界税関機構)新規素材(微生物油脂)の受け皿が明確化。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • オリーブ油(1509)とオリーブ搾りかす油等(1510)は、WCO相関表で「1509.10 → 1509.20/30/40 へ再編」「1510.00 → 1510.10/90 へ再編」と示され、同時にWCO HS2022条文でも新しい号が明確に列挙されています。 (世界税関機構)
    • 微生物油脂については、WCO相関表で1515.60および1516.30の新設(切出し)が示され、HS2022条文側でも見出しが「vegetable or microbial」となっています。 (世界税関機構)
    • 日本語の実務では、1509.30の定義(酸度2.0g/100g)や1514の低エルカ酸定義(2%未満)を、日本税関注で確認できます。 (税関ポータル)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第15類で実務に影響しやすい範囲に絞って整理します(網羅表ではありません)。

版の流れ主な追加・削除・再編旧コード→新コード(概要)コメント
HS2002→HS2007削除1515.40(Tung oil)削除 → 1515.90へ集約(低取引量等の理由が示される) (税関ポータル)“tung oil”が独立コードでなくなる点に注意(古い契約書・統計で残存)。
HS2017→HS2022再編1509.10 → 1509.20/30/40 等 (世界税関機構)オリーブ油の細分が増え、分析/証明資料が必要に。
HS2017→HS2022再編1510.00 → 1510.10/90 (世界税関機構)1510の粗製/その他分岐が明確に。
HS2017→HS2022追加1515.60 新設、1516.30 新設 (世界税関機構)微生物油脂を独立識別。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“Olive oil”の一括1509申告で差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注2(溶剤抽出油は1509に含めない)に抵触。 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が曖昧(olive oil/pomace oil混在)。
    • 典型的な影響:修正申告、追加資料要求、検査・遅延。
    • 予防策:工程証明(溶剤抽出の有無)を事前に入手・提出。
  • 事例名:“Denatured oil”を1518で申告したが否認
    • 誤りの内容:注3(単に変性した油脂は1518に含めない)に抵触。 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:英語のdenatured/modifiedの意味を取り違える。
    • 典型的な影響:税番訂正、関税率差・統計訂正。
    • 予防策:変性の内容(添加のみか/化学改質か)をSDS・配合で説明。
  • 事例名:油かす(23類)と1522(残渣)の取り違え
    • 誤りの内容:注1(d)・注4の理解不足。 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:“residue”や“cake”の訳語だけで判断。
    • 典型的な影響:品目分類修正、場合により規制区分・手続のやり直し。
    • 予防策:発生工程・物性(固形/液状、油分)を資料化。
  • 事例名:マーガリンの1516申告(硬化油扱い)
    • 誤りの内容:1517(食用混合・調製)を見落とし。 (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:原料に硬化油が含まれる、業務用で説明が少ない。
    • 典型的な影響:税関から工程・配合資料の追加提出要求。
    • 予防策:乳化工程・添加物・最終形状(スプレッド等)を提示。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ):
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食用油脂(食用植物油、マーガリン等)は、輸入時に**食品衛生法に基づく「食品等輸入届出」**と、審査・必要に応じた検査があります(検疫所窓口)。 (厚生労働省)
    • 動物検疫(動物由来油脂の場合)
      • 畜産物の輸入は、指定検疫物や家畜衛生条件・証明書等が関係する場合があります(動物検疫所)。 (農林水産省)
      • ※油脂の形態・用途・由来で扱いが変わり得るため、該当するかは動物検疫所の対象物情報で要確認。
    • 植物検疫(植物由来の場合)
      • 一般論として、高度に加工された植物加工品は植物検疫の対象外となる場合がありますが、個別判断が必要です(植物防疫所の案内)。 (農林水産省)
    • 安全保障貿易管理
      • 第15類の一般的な食用油脂は該当しにくい一方、用途(軍用・化学用途)や輸出先で別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書・成分表、製造工程表、COA、SDS、写真、用途説明
    • 初回輸入は特に、検疫所から求められる可能性のある資料(原材料・製造工程説明等)を事前に整備 (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料(由来:動物/植物/微生物)、脂肪酸組成、純度、含水、添加物の有無
    • 製造工程:圧搾/溶剤抽出、水素添加、エステル交換、乳化、化学改質の有無
    • 用途:食用/工業用、最終形状(液体/固形/スプレッド)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1で他章に飛ばないか(0209/1804/21類/23類/第6部/4002) (税関ポータル)
    • 注2(1509↔1510)、注3(1518と変性)、注4(1522)を再確認 (税関ポータル)
    • 号注:1509.30(酸度等)、1514(低エルカ酸)など、定義根拠の資料があるか (税関ポータル)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「olive pomace oil」「hydrogenated vegetable oil」等、工程が分かる記載に寄せる
    • 補足資料:工程図、COA、SDS、写真
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(HS2012/2017等)を確認(PSR検索で確認) (税関ポータル)
    • BOM、非原産材料HS、工程、原価・RVC根拠を保存(自己申告対応) (税関ポータル)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO「HS Nomenclature 2022 Edition」Chapter 15(0315_2022E) (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)
    • WCO「HS Nomenclature 2017 Edition」Chapter 15(0315_2017E) (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)
    • WCO「HS2022 Correlation Table(Table I)」 (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)
  • 日本(税関・公的機関)のガイド
    • 日本税関:第15類 注(15r.pdf、HS2022) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続について (厚生労働省)(参照日:2026-02-15)
    • 農林水産省 動物検疫所:畜産物の輸出入 (農林水産省)(参照日:2026-02-15)
    • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の対象とならない植物について (農林水産省)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索 (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:RCEP原産地規則の概要(HS2012言及あり) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:TPP11(CPTPP)原産地規則について(HS2012言及あり) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:自己申告/原産地手続のガイド(CPTPP) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:事前教示回答事例(例:マーガリン) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
  • その他(相関表等)
    • 日本税関:HS2007-HS2002相関資料(1515.40削除の記載あり) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • HS2002(参考)第15類(1515.40の存在確認) (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

セット商品のコンプライアンス違反における罰金額の相場を、国別・違反レベル別に体系的に整理します。

1. 米国:19 USC 1592に基づく罰金体系

米国CBPの罰金は、違反の重さ(詐欺/重過失/過失)により明確に倍率が法定されています。uscode.house+1

罰金計算式

違反レベル関税損失がある場合関税損失がない場合
詐欺(Fraud)関税損失額の2倍〜4倍
または商品の国内価値
課税価格の80%
重過失(Gross Negligence)関税損失額の4倍
または商品の国内価値のいずれか小さい方
課税価格の40%
過失(Negligence)関税損失額の2倍
または商品の国内価値のいずれか小さい方
課税価格の20%

実際の計算例:セット商品の分類誤り

前提条件:

  • セット商品の輸入価格(CIF):$100,000
  • 誤った分類での関税率:0%(Free)
  • 正しい分類での関税率:5%
  • 関税損失額:$5,000
  • 3年間、毎月1回輸入(合計36回)
  • 累積関税損失額:$180,000

罰金計算:

違反レベル罰金額合計支払額
過失$180,000 × 2 = $360,000$540,000(未納関税$180,000 + 罰金$360,000)
重過失$180,000 × 4 = $720,000$900,000(未納関税$180,000 + 罰金$720,000)
詐欺$180,000 × 4 = $720,000以上$900,000以上

CBPのガイドライン上の実務相場

CBP内部ガイドライン(Appendix B to Part 171)による実務相場:[ecfr]​

違反レベル最小倍率最大倍率
重過失(関税損失あり)損失額の1.5倍損失額の2.5倍
過失(関税損失あり)損失額の0.5倍損失額の1.5倍

実務例(上記の例で過失認定):

  • 最小罰金:$180,000 × 0.5 = $90,000
  • 最大罰金:$180,000 × 1.5 = $270,000

和解交渉による減額の可能性

実務では、CBPとの和解により法定最大額より低い金額で合意するケースが多くあります:[linkedin]​

  • 早期自主開示:罰金が大幅に減額(50-90%減額も)[greatlakescustomslaw]​
  • Reasonable careの証明:文書化があれば減額交渉の材料になる[aomeara]​
  • 初犯:重大な悪質性がなければ低めの倍率適用

2. 日本:加算税制度による罰金体系

日本では、関税法に基づく加算税が罰金に相当します。freee+1

加算税の種類と税率

加算税の種類税率適用条件
過少申告加算税10%修正申告・更正により追加納税が発生した場合
〃(高額部分)15%追加納税額が当初申告額または50万円のいずれか多い方を超える部分
無申告加算税15%法定期限後に申告した場合
〃(高額部分・50万円超)20%納付額が50万円を超える部分
〃(高額部分・300万円超)30%納付額が300万円を超える部分
重加算税(過少申告)35%事実の隠蔽・仮装がある場合
重加算税(無申告)40%無申告で隠蔽・仮装がある場合

実際の計算例:セット商品の分類誤り

前提条件:

  • セット商品の課税価格:¥10,000,000
  • 誤った分類での関税率:0%(無税)
  • 正しい分類での関税率:5%
  • 関税不足額:¥500,000
  • 3年間で累計36回輸入
  • 累積不足関税額:¥18,000,000

加算税計算(過少申告の場合):

text過少申告加算税 = ¥18,000,000 × 10% = ¥1,800,000

加算税計算(重加算税の場合):

text重加算税 = ¥18,000,000 × 35% = ¥6,300,000

合計支払額:

  • 過少申告加算税の場合:¥18,000,000 + ¥1,800,000 = ¥19,800,000
  • 重加算税の場合:¥18,000,000 + ¥6,300,000 = ¥24,300,000

延滞税

加算税に加えて延滞税(利息相当)も発生します:[freee.co]​

  • 原則:年7.3%(令和6年度は2.4%)
  • 納期限の翌日から実際に納付する日までの日数で計算

3年分の延滞税概算:

text¥18,000,000 × 2.4% × 3年 = 約¥1,300,000

総額: ¥19,800,000 + ¥1,300,000 = 約¥21,100,000(過少申告加算税の場合)

自主申告による軽減

調査の事前通知後、更正予知前に修正申告する場合:5%に軽減[jetro.go]​

text¥18,000,000 × 5% = ¥900,000(約¥900,000の節約)

3. EU:加盟国により異なる罰金体系

EUでは各加盟国が独自の罰則を設定できますが、**「効果的、比例的、抑止的」**でなければなりません。internationaltradecomplianceupdate+1

代表的な罰金率

罰金率備考
ハンガリー25-200%悪質度により変動[internationaltradecomplianceupdate]​
〃(標準)50%ECJが比例性を認めた[blogs.pwc]​
チェコ分類誤りで罰金あり具体的率は法令により[arws]​
英国(EU離脱後)£250-£2,500/件次項参照

ハンガリーの事例:50%罰金がECJで支持された

事例:J.P. Mali社(自転車部品輸入)blogs.pwc+1

状況:

  • アンチダンピング税の過少納付
  • 善意(good faith)を主張したが認められず
  • 罰金率:50%

ECJの判断:

“50%の罰金は効果的かつ抑止的であり、比例原則に反しない。経済事業者に正確なデータ提供のための必要な措置を取らせる目的で正当化される”internationaltradecomplianceupdate+1

計算例(ハンガリーの50%罰金)

前提条件:

  • 関税不足額:€100,000(3年累計)

罰金額:

text€100,000 × 50% = €50,000
合計支払額:€150,000

4. 英国:固定額ペナルティ+重大な場合は高額化

英国HMRCは、固定額ペナルティを段階的に適用します。[gov]​

標準ペナルティ(固定額)

回数罰金額
初回£250
2回目£500
3回目£1,000
4回目以降£2,000, £2,500(上限)

重大な過少申告の場合

過少申告額罰金額
£50,000超初回でも**£1,000**(2段階上げ)
£100,000超初回でも最大額(£2,500)

計算例

前提条件:

  • 関税不足額:£80,000(3年累計)
  • 重大な過少申告に該当

罰金額:

  • 初回から**£1,000**(£50,000超のため2段階上げ)

ただし:
英国では罰金が固定額のため、米国や日本と比べて金額的には比較的低額です。ただし、刑事訴追や営業停止などの行政処分が別途あり得ます。

5. カナダ:AMPS(Administrative Monetary Penalty System)

カナダCBSAは、AMPSにより固定額または比例罰金を科します。cbsa-asfc+1

AMPSの特徴

  • 罰金は違反に対して課され、未納関税とは別途支払い[cbsa-asfc.gc]​
  • 繰り返し違反で罰金額が増加
  • 目的は「改善」であり「懲罰」ではない[cbsa-asfc.gc]​

典型的な違反と罰金額

違反内容罰金額相場
関税支払い不履行固定額(数千CAD)
CBSAへの情報提供不履行固定額
不正確な申告の自己訂正失敗固定額

注: 具体的な金額は違反の種類と重大性により異なり、CBSAの公開情報では詳細が明示されていない場合が多いです。cbsa-asfc+1

6. オーストラリア:商品価値ベースの罰金

オーストラリアは、商品価値の倍数で罰金を計算します。[ato.gov]​

罰金計算式

商品価値を判定できる場合:

textいずれか大きい方
・商品価値の3倍
・1,000ペナルティユニット(1ユニット≒A$313、合計約A$313,000)

商品価値を判定できない場合:

text最大1,000ペナルティユニット

計算例

前提条件:

  • セット商品の価値:A$100,000(3年累計)

罰金額:

textA$100,000 × 3 = A$300,000
または
1,000ペナルティユニット = A$313,000
→ いずれか大きい方:A$313,000

7. インドネシア:段階的な倍率(最大10倍)

インドネシアは、過少申告の割合により罰金倍率が段階的に上昇します。[muc.co]​

罰金倍率表

過少申告率罰金倍率
50%以下100%
50%-100%125%
100%-150%150%
150%-200%175%
200%-250%200%
250%-300%225%
300%-350%250%
350%-400%300%
400%-450%600%
450%超1,000%(10倍)

計算例

前提条件:

  • 正しい関税額:$100,000
  • 申告した関税額:$25,000
  • 過少申告率:75% → 125%罰金

罰金額:

text($100,000 - $25,000) × 125% = $75,000 × 1.25 = $93,750
合計支払額:$75,000 + $93,750 = $168,750

8. 各国比較:同じ分類誤りでの罰金額シミュレーション

共通前提条件:

  • セット商品の輸入価格:$100,000(¥15,000,000相当)
  • 誤った分類:関税率0%
  • 正しい分類:関税率5%
  • 関税不足額:$5,000(¥750,000)
  • 3年間・36回輸入
  • 累積不足関税:$180,000(¥27,000,000)

罰金額比較表

違反レベル罰金計算罰金額合計支払額
米国過失$180,000 × 0.5-1.5$90,000-$270,000$270,000-$450,000
重過失$180,000 × 1.5-2.5$270,000-$450,000$450,000-$630,000
詐欺$180,000 × 2-4$360,000-$720,000$540,000-$900,000
日本過少申告¥27,000,000 × 10%¥2,700,000¥29,700,000
重加算税¥27,000,000 × 35%¥9,450,000¥36,450,000
EU(ハンガリー)標準€180,000 × 50%€90,000€270,000
英国重大固定額£2,500£182,500
オーストラリア標準A$3,600,000 × 3A$10,800,000A$10,980,000
インドネシア過少100%$180,000 × 125%$225,000$405,000

金額換算(1ドル=¥150、1ユーロ=¥160、1ポンド=¥190、1豪ドル=¥100):

合計支払額(円換算)
米国(過失)¥40,500,000-¥67,500,000
米国(重過失)¥67,500,000-¥94,500,000
米国(詐欺)¥81,000,000-¥135,000,000
日本(過少申告)¥29,700,000
日本(重加算税)¥36,450,000
EU¥43,200,000
英国¥34,675,000
オーストラリア¥1,098,000,000
インドネシア¥60,750,000

9. 罰金を軽減する方法

最も効果的:自主開示(Voluntary Disclosure)

効果
米国罰金が50-90%減額される可能性[greatlakescustomslaw]​
日本過少申告加算税が**10%→5%**に軽減[jetro.go]​
カナダAMPSペナルティが減額される場合あり

その他の軽減要因

  • Reasonable careの証明:文書化された分類プロセス[aomeara]​
  • 初犯:繰り返し違反がない[gov]​
  • 善意:意図的ではなかった証明(ただしEUでは認められにくい)[internationaltradecomplianceupdate]​
  • 迅速な是正:指摘後すぐに対応[supplychainbrain]​
  • 協力的態度:監査に全面協力

10. まとめ:罰金相場の実務的理解

セット商品の分類誤りによる罰金相場は:

要素典型的な範囲
過失レベル不足関税額の10%-200%
重過失・故意不足関税額の35%-400%
最悪ケース不足関税額の1,000%(インドネシア)

実務上の重要ポイント:

  1. 米国が最も高額:重過失で損失額の4倍、累積すると数億円規模uscode.house+1
  2. 日本は比較的明確:10-35%の加算税+延滞税で予測可能jetro+1
  3. EUは国により差が大きい:25-200%の範囲[internationaltradecomplianceupdate]​
  4. オーストラリアは商品価値の3倍:高額商品は特に注意[ato.gov]​
  5. 自主開示が最大の軽減策:50-90%の減額効果[greatlakescustomslaw]​

避けるべき「重過失」認定のパターン:

  • 税関の指摘を無視して同じ誤りを繰り返す[supplychainbrain]​
  • 文書化されていない分類決定[aomeara]​
  • 明らかに誤りと知りながら放置
  • 事実の隠蔽・仮装[freee.co]​

結論: セット商品の分類不確実性は、**「数千万円〜数億円の潜在債務」**として財務リスク管理する必要があります。事前判断制度(BTI/ruling/事前教示)への投資は、このリスクを確実に消去する最も費用対効果の高い手段です。

実際のCBP Ruling事例:Essential Characterが決定できなかったケース

事例:超音波・UV除菌器(NY N321794, 2021年)

製品仕様:

  • 超音波洗浄機能
  • UV-C LED除菌機能
  • ワイヤレス充電機能(スマートフォン用)
  • 防水リザーバー内に配置

CBPの判断プロセス:

  1. 複合品として認定:複数のheadingに該当する機能を持つ複合品と判断
  2. Essential characterの検討
    • 超音波洗浄機能(heading 8479)
    • ワイヤレス充電機能(heading 8504)
    • UV除菌機能(heading 8543)
  3. CBPの結論: “CBPは、超音波洗浄機能、UV洗浄機能、充電機能のいずれも、エンドユーザーにとって全て同等に重要であるため、製品にessential characterを与えないと判断した”[cmtradelaw]​
  4. GRI 3(c)の適用
    番号順で最後のheading 8543で分類[cmtradelaw]​

この事例が示す重要なポイントは、「全ての機能がエンドユーザーにとって同等に重要」という客観的判断が、essential character不明瞭の根拠になるということです。

実務判断フローチャート

以下のフローで、セット商品がGRI 3(c)の対象かを判断します:

ステップ1:セット要件の確認

textセット3要件を満たすか?
├─ YES → ステップ2へ
└─ NO → セットとして扱わず、各構成品を個別分類

ステップ2:GRI 3(a)の適用試行

textより特定的な記述の項が存在するか?
├─ YES → その項で分類(終了)
└─ NO → ステップ3へ

ステップ3:GRI 3(b)のEssential Character分析

3-1. 各構成要素の客観的データ収集

  • 価値(円、ドル、ユーロ)と価値比率(%)
  • 重量(グラム、kg)と重量比率(%)
  • 体積(cm³、リットル)と体積比率(%)
  • 数量

3-2. 機能的役割の評価

text主目的を完遂するために不可欠な構成要素は明確か?
├─ YES → その構成要素で分類(終了)
└─ NO → 3-3へ

3-3. 専用性の評価

text特定の活動に対して明確に専用設計された構成要素があるか?
├─ YES → その構成要素で分類(終了)
└─ NO → 3-4へ

3-4. 消費者認識の確認

text消費者が「この製品の本質」として明確に認識する構成要素は?
├─ 明確 → その構成要素で分類(終了)
└─ 不明確 → ステップ4へ

ステップ4:「Essential Character決定不可」の立証

以下の全ての条件を満たす場合、GRI 3(c)を適用:

  • 価値比率が拮抗している(例:30%、35%、35%)
  • 重量・体積でも優位性がない
  • 機能的に独立しており、どれも「主役」でない
  • 専用性が低く、代替可能性が高い
  • 消費者が「これが本質」と明確に認識する要素がない
  • 客観的証拠で上記を説明できる

ステップ5:GRI 3(c)の適用

text候補となるheadingを番号順に並べる
→ 最後の番号のheadingで分類(終了)

Essential Characterが決定できない典型パターン

パターン1:機能分散型(UV Sanitizer型)

特徴:

  • 複数の独立した機能を持つ
  • 各機能が異なるユーザーニーズに対応
  • どの機能も「なければ困る」レベルではない

判定基準:
「エンドユーザーにとって全て同等に重要」かを問う[cmtradelaw]​

実例:

  • 超音波洗浄+UV除菌+充電器
  • ラジオ+懐中電灯+充電器
  • Bluetooth スピーカー+時計+温度計

パターン2:価値均衡型

特徴:

  • 複数の構成品の価値が拮抗
  • 機能的役割も同程度

判定基準:
価値比率が30-40%の範囲に複数の構成品が入るか[zonos]​

実例:

  • 靴下(40%)+ネクタイ(60%)のギフトセットcmtradelaw+1
  • 革50%+繊維50%のベルト[customslegaloffice]​

パターン3:独立商品型

特徴:

  • セット内の各商品が独立した商業価値を持つ
  • 一緒に使う必然性が弱い
  • ギフト用途で束ねただけ

判定基準:
「特定の活動」の定義が曖昧で、essential characterも決められない[tradeinsightai]​

実例:

  • ハンカチ+靴べら+キーホルダーのギフトセット
  • コスメ複数種(口紅、アイシャドウ、マスカラ)で特定のメイクアップ用途が不明確

実務チェックリスト:GRI 3(c)適用前の確認事項

✅ GRI 3(a)を真剣に検討したか

  • 各候補headingの記述を正確に読み比べた
  • より特定的な記述がないことを確認した
  • 検討プロセスを文書化した

✅ GRI 3(b)の全判断要素を検討したか

  • 性質:材料・構成要素の本質的特性を分析した
  • :物理的な大きさを測定・比較した
  • 数量:量的な割合を計算した
  • 重量:重量比率を算出した
  • 価値:価格比率を計算した(原価ベースと販売価格ベースの両方)
  • 使用における役割:機能的支配性を評価した

✅ 「決定できない」ことを客観的に説明できるか

  • 比較表(Excel等)を作成し、数値的根拠を示した
  • なぜどの要素も決定的な優位性がないか文章化した
  • 第三者(上司、通関業者、税関)が納得できる説明になっている

✅ 一貫性を確保しているか

  • 類似のセット商品で過去に異なる判断をしていないか確認した
  • 社内の判断基準と矛盾していないか確認した
  • 公表されているruling/BTI/事前教示事例を調査した

よくある実務上の間違いと回避方法

❌ 間違い1:「Essential character判定が面倒だから3(c)を使う」

リスク:
税関監査で「GRI 3(b)の検討が不十分」と指摘され、追徴課税・罰金の可能性[tradeinsightai]​

正しいアプローチ:
GRI 3(b)の全判断要素を真剣に検討し、その検討プロセスを文書化した上で、「それでも決定できない」と結論づけるtradeinsightai+1

❌ 間違い2:「価値が同じだからGRI 3(c)」

リスク:
価値は判断要素の一つに過ぎず、機能的役割で明確な優位性があればGRI 3(b)で分類すべきcbsa-asfc+1

正しいアプローチ:
価値が拮抗していても、機能的役割・専用性・消費者認識などの要素を総合的に評価する

❌ 間違い3:「どのheadingでも良いと思ったからGRI 3(c)」

リスク:
GRI 3(c)は「同等に考慮に値する項」の中で最後の番号を選ぶルールであり、「どれでも良い」という意味ではないtraide+1

正しいアプローチ:
候補となるheadingを明確に特定し、それらが「同等に考慮に値する」理由を説明する[tradeinsightai]​

❌ 間違い4:「GRI 3(c)だから説明不要」

リスク:
事前判断制度(BTI、ruling、事前教示)の申請が却下される、または望まない分類が回答されるtaxation-customs.europa+1

正しいアプローチ:
GRI 3(c)に至った判断プロセスを詳細に文書化し、申請時に添付する[gov]​

各国での申請時の説明文例

米国CBP Ruling申請

text分類根拠の説明:

1. GRI 3(a)の検討:
   本製品は以下の複数のheadingに該当する可能性があります:
   - Heading 8479(超音波洗浄機)
   - Heading 8504(充電器)
   - Heading 8543(UV除菌装置)
   
   これらのheadingはいずれも本製品の一部の機能のみを記述しており、
   どのheadingも他より特定的とは言えません。

2. GRI 3(b)の検討:
   Essential characterの判定を試みました:
   
   価値分析:
   - 超音波洗浄機能:35%
   - 充電機能:30%
   - UV除菌機能:35%
   
   機能分析:
   各機能は独立しており、エンドユーザーは用途に応じて
   いずれかの機能を選択的に使用します。どの機能も
   「この製品の本質」として明確に優位ではありません。
   
   結論:Essential characterを決定できません。

3. GRI 3(c)の適用:
   候補heading:8479、8504、8543
   番号順で最後のheading 8543を提案します。

添付資料:
- 構成要素の詳細仕様
- 価値・重量・体積の比較表
- 製品カタログ
- 使用説明書

EU BTI申請

BTI申請フォームの「分類根拠」欄に記載:

textClassification Justification:

The product is a composite good with three distinct functions:
1. Ultrasonic cleaning (heading 8479)
2. Wireless charging (heading 8504)  
3. UV sanitization (heading 8543)

GRI 3(a): No heading is more specific than others.

GRI 3(b): Essential character cannot be determined because:
- Value distribution: 35% / 30% / 35% (attached breakdown)
- Functional independence: Each function operates independently
- Consumer perception: No single function dominates user purpose
- All functions are equally important to end users

GRI 3(c): Among headings 8479, 8504, and 8543, we propose 
heading 8543 as the last in numerical order.

Supporting documents attached:
- Technical specifications
- Value/weight/volume comparison table
- User manual
- Product photographs

日本税関・事前教示照会

text分類根拠の説明:

本製品は以下の複数の項に該当する可能性があります:
- 第8479項(超音波洗浄機)
- 第8504項(充電器)
- 第8543項(UV除菌装置)

関税率表解釈に関する通則3(a):
各項はそれぞれ本製品の一部の機能のみを記述しており、
より特定的な記述を有する項を決定できません。

関税率表解釈に関する通則3(b):
重要な特性を与える材料または構成要素の判定を試みましたが、
以下の理由により決定できませんでした:

・価値比率:超音波機能35%、充電機能30%、UV機能35%
・重量比率:ほぼ均等に分散
・機能的役割:各機能は独立しており、使用者は用途に応じて
  いずれかを選択的に使用するため、どの機能も決定的な
  優位性を持ちません

関税率表解釈に関する通則3(c):
上記により、番号順で最後に来る第8543項が適用されると
考えますが、ご教示をお願いします。

添付資料:
・製品仕様書
・構成要素の価値・重量比較表
・製品カタログ(日本語・英語)
・取扱説明書

まとめ:GRI 3(c)は「最後の手段」であり「逃げ道」ではない

セット商品でessential characterが不明瞭な場合、GRI 3(c)により番号順で最後のheadingで分類します。wcotradetools+2

ただし、実務で最も重要なのは:

  1. GRI 3(a)と3(b)を真剣に検討したことを証明するlinkedin+1
  2. 「Essential characterが決定できない」ことを客観的証拠で示す[cmtradelaw]​
  3. 判断プロセスを第三者が再現できる形で文書化する[tradeinsightai]​
  4. 各国の事前判断制度で確認を取るcustoms+2

UV Sanitizerの事例が示すように、CBPでさえ「全ての機能が同等に重要」と判断してGRI 3(c)を適用することがあります。恐れる必要はありませんが、その判断に至るプロセスの透明性と説明責任が鍵です。[cmtradelaw]​

Essential Characterの基本的な定義

GRI 3(b)は、混合物、複合品、または小売用セットを**「それらに重要な特性を与える材料または構成要素から成るものとして」分類する**と規定しています。[wcotradetools]​

Essential characterとは、その物品の本質的な性格や主要な特徴を決定づける要素のことで、「どの構成要素がその物品を『その物品たらしめているか』」を判断する概念です。[aomeara]​

WCO Explanatory Notesに基づく判定要素

WCOのExplanatory Notesは、essential characterを決定する要素は物品の種類によってケースバイケースで異なると明記しています。cbsa-asfc+1

判定に用いられる主な要素は以下の通りです:

1. 性質(Nature)

材料または構成要素の本質的な性質や特性wcotradetools+1

2. 嵩(Bulk)

物理的な大きさや体積cbsa-asfc+1

3. 数量(Quantity)

構成要素の量的な割合wcotradetools+1

4. 重量(Weight)

重量の比率cbsa-asfc+1

5. 価値(Value)

経済的価値または構成要素の価格比率wcoomd+2

6. 使用における役割(Role in relation to the use of the goods)

その物品の使用において構成材料が果たす機能的な役割wcotradetools+1

重要な実務上の原則

単一の要素だけでは決定できない

Essential characterの判定は単一の要素だけで自動的に決まるわけではありません。全ての要素を総合的に評価し、証拠に基づいて判断する必要があります。[tradeinsightai]​

客観的な判断が必要

Essential characterの判定は主観的であってはならず、Explanatory Notesに記載された客観的要素を用いて判断しなければなりません。[tradeinsightai]​

決定できない場合はGRI 3(c)へ

どの構成要素も明確に優位性を持たず、essential characterが決定できない場合は、GRI 3(b)の適用は失敗し、**GRI 3(c)(最後の番号の項)**に進みます。tradeinsightai+1

各国の実務における判定アプローチ

カナダCBSAの具体例:ヘアドレッシングセット

カナダCBSAは、ヘアドレッシングセットの分類で次のように説明しています:[cbsa-asfc.gc]​

構成品:

  • 電動バリカン(heading 85.10)
  • 櫛(heading 96.15)
  • ハサミ(heading 82.13)
  • ブラシ(heading 96.03)
  • タオル(heading 63.02)
  • 革製ケース(heading 42.02)

判定:
このセットでは、「髪を切る」という活動において専用性が高く(specialized nature)、価値も大きい電動バリカンがessential characterを与えると判断されます。[cbsa-asfc.gc]​

この例から分かるポイント:

  • 機能的な専用性:電動バリカンは髪を切るという主目的に不可欠
  • 価値:構成品の中で最も高価
  • 代替不可能性:他の構成品では電動バリカンの機能を代替できない

米国CBPのアプローチ

米国CBPは、essential characterの判定において次の要素を重視します:rulings.cbp+1

  1. 機能的支配性(Functional dominance):その構成要素がなければ製品が本来の機能を果たせないか
  2. 複雑性(Complexity):技術的に最も複雑で重要な構成要素か
  3. 相対的価値(Relative value):構成要素間の価格比率
  4. 消費者認識(Consumer perception):消費者がその製品の本質として何を認識するか[tradeinsightai]​

EUのBTI実務

EUのBTI決定では、essential characterの判定理由を明確に文書化することが求められます。ploum+1

実務上は以下の情報を提出します:

  • 各構成品の詳細な仕様と材質
  • 重量・体積・価値の比較データ
  • 機能説明書やパンフレット
  • 消費者向けの製品説明

実務における判定の手順

ステップ1:全構成要素を洗い出す

セットまたは複合品を構成する全ての材料・部品をリストアップし、それぞれの仮の分類項を特定します。[wcotradetools]​

ステップ2:客観的データを整理する

各構成要素について以下を数値化・明確化します:

  • 重量(グラム、kg)
  • 体積(cm³、リットル)
  • 単価および価値比率(%)
  • 数量

ステップ3:機能的役割を評価する

  • その製品の主目的は何かを定義する
  • 各構成要素が主目的に対して果たす役割(不可欠/補助的/独立的)を評価する
  • 専用性(その構成要素がその用途に特化しているか)を検討する
  • 代替可能性(他の構成要素で代替できるか)を評価する

ステップ4:総合判断と文書化

上記の要素を総合的に評価し、どの構成要素が製品の本質を決定づけるかを判断します。判断理由は第三者が再現可能な形で文書化します。[tradeinsightai]​

ステップ5:Essential characterが決定できない場合

複数の構成要素が同等に重要で、いずれも決定的な優位性がない場合は、GRI 3(b)は適用できず、**GRI 3(c)(番号順で最後の項)**で分類します。wcotradetools+1

よくある判定の誤解

❌ 「価値が最も高い=Essential character」ではない

価値は判断要素の一つですが、価値だけで自動的に決まるわけではありません。機能的役割が弱い高価な装飾品より、価値は低くても機能上不可欠な部品がessential characterを与えることがあります。tradeinsightai+1

❌ 「重量が最も重い=Essential character」ではない

重量も一要素に過ぎません。軽量でも技術的に重要な電子部品が、重い箱よりessential characterを与える場合があります。

❌ 「消費者の主観」だけで決めてはいけない

消費者認識は参考要素ですが、客観的な証拠に基づく判断が必要です。[tradeinsightai]​

実務上の文書化のコツ

Essential characterの判定を各国税関に説明する際は、以下の構成で文書を作成すると効果的です:

  1. 製品の目的と用途の明確な定義
  2. 構成要素リスト(表形式で材質・用途・重量・体積・単価を整理)
  3. 各要素の機能的役割の説明(主要/補助/独立)
  4. 専用性と代替可能性の評価
  5. 客観的データの比較(価値比率、重量比率など)
  6. 結論:なぜその構成要素がessential characterを与えるか

この文書化アプローチは、米国のruling申請、EUのBTI申請、日本の事前教示、カナダのadvance rulingなど、各国の事前判断制度で共通して有効です。cbsa-asfc+1

GIR 3(b)で「セット品」を分類する実務: 各国でブレないためのヒント集

海外向けに商品を束ねて販売する場面は増えています。ギフトボックス、スターターキット、アクセサリー同梱、販促用の「おまけ」など、見た目はひとまとまりでも、税関上の品目分類(HSコード、関税分類)は一筋縄ではいきません。

とりわけ悩ましいのが、HSの解釈に関する通則(General Rules for the Interpretation of the Harmonized System)のうち、GIR(GRI)3(b)で扱う「小売用のセットにした物品(goods put up in sets for retail sale)」です。セットとして一つの品目番号に寄せられれば申告が簡素化する一方、要件を満たさないのにセット扱いをすると、追徴・罰則リスクや通関遅延につながります。各国は共通のHSルールを基礎にしつつ、運用や情報提出の作法に差があります。

この記事では、GIR 3(b)の基本から、国別に通用する実務のコツまでを、ビジネス現場向けに深掘りします。

1. GIR 3(b)の前提: 「セット品」に見えても、まずは三つの要件を満たすか

1-1. 「小売用のセット」に該当する三つの要件

HSの解釈ルールでは、ある物品が複数の項(Heading)に当たりそうなときの決め方として、GIR 3(a)〜(c)を順次適用します。そのうちGIR 3(b)は、混合物や複合品と並んで「小売用のセットにした物品」を対象とし、セット全体に「重要な特性(essential character)」を与える材料または構成要素で分類すると定めています。[en.wikipedia]​

ここでいう「小売用のセット」は、原則として次の三要件をすべて満たす必要があります。[wcotradetools]​

  1. 少なくとも二つ以上の異なる物品から成り、原則として異なる項に分類され得ること
  2. ある特定の必要性を満たす、または特定の活動を行うために、一緒に組み合わせられていること
  3. 再包装せずに最終使用者へ直接販売できる形で包装されていること

さらに「小売」は、加工・再包装・他の物品への組込みなどを行った上で再販売するための販売は含まれないと整理されています。[wcotradetools]​

1-2. よくある誤解: 「ギフト」や「同じデザイン」はセット認定の決め手にならない

実務でよくある誤解として、「ギフト用に箱詰めされているから自動的にセット」という判断がありますが、これは正確ではありません。あくまで「特定の必要性・活動」を満たすかを個別に検討すべきです。また、同じ装飾モチーフで統一されているだけの寄せ集めは、通常セット扱いになりません。[tradeinsightai]​

同様に「同じ場所で使うからセット」という判断も危険です。例えば、ビーチで使う複数アイテムをまとめただけでは、活動がバラバラならセットにならないケースがあります。[tradeinsightai]​

1-3. そもそもGIR 3(b)ではなく、項や注記で「セット」が定義されている場合がある

実務で見落としがちなポイントが、品目表の文言や部注・類注で「セット」が明示されているケースです。品目表の記述自体に「set」が含まれるものは、GIR 1と6等で分類するため、GIR 3(b)の枠組みがそのまま当てはまらない場合があると整理されています。[tradeinsightai]​

2. 実務で迷わないための判断フロー: セット認定と「重要な特性」の固め方

2-1. まずは部材ごとの「仮の分類」を置く

セット判定の出発点は、構成品を一つずつ分解し、それぞれがどの項に入り得るかを仮置きすることです。これは各国共通で、後の「二つ以上の異なる項に入り得るか」の検証にも直結します。[wcotradetools]​

ここでのコツは、社内のBOM(部品表)とインボイスの品名を一致させ、各構成品の材質、用途、機能、単価、重量を整理することです。後述する事前教示や BTI申請でも、この情報がそのまま要求されます。[gov]​

2-2. 三要件のうち「特定の必要性・活動」を言語化できると、各国で説明が通る

要件2)は、判断のブレが出やすいところです。実務上は、次の観点で「活動」を言語化すると、説明が強くなります。

  • そのセットの最終目的は何か(例: 髪を切る、ワインを提供する、特定の料理を作る)
  • 各構成品は、その目的に不可欠か、補助的か、目的外でも独立して成立するか
  • 取扱説明書やパッケージの文言が「同時使用」を前提にしているか

この「活動の定義」が弱いと、WCOが挙げるような「単なる寄せ集め(selections)」に近いと見なされ、構成品別に分類すべき扱いになりやすくなります。[wcotradetools]​

2-3. 「重要な特性(essential character)」の決め方: 価値だけでなく役割で説明する

セットと認定できたら、次はセット全体の「重要な特性」をどの構成品が与えるかを決めます。

WCOの説明では、重要な特性はケースにより決め手が変わり、たとえば材質・構成要素の性質、嵩、数量、重量、価値、または使用との関係での役割などで判断し得るとされています。tradeinsightai+1

ポイントは、社内で「なぜそれが主役なのか」を第三者が再現できる形で残すことです。価格比率だけでなく、用途上の支配性(それがないと他が機能しない等)を言語化しておくと、国が変わっても説明が通りやすくなります。[cbsa-asfc.gc]​

2-4. ケースや箱の扱い: GIR 5(a)でセットと一緒に分類されることがある

セットが木箱やケースに収められている場合、ケース自体を別分類にするのか、セットと一緒に分類するのかが論点になります。

HSルール上、特定の物品または物品のセットに適合する容器で、長期使用に適し、通常一緒に販売され、かつ全体に重要な特性を与えない場合は、内容物と同じ分類に含め得る(GIR 5(a))とされています。tradeinsightai+1

実務では、ワイン用具一式が木箱に入った商品について、ワイン提供という活動の主役である栓抜き等が重要な特性を与えるとしてセットを分類し、木箱はGIR 5(a)の条件を満たすためセットと一緒に分類する、というロジックが示されています。[gov]​

3. 各国実務のヒント: 共通ルールでも、運用のクセはここに出る

3-1. EU: ガイドラインを前提に、BTIで「EU内の一貫性」を確保する

EUでは、CN(Combined Nomenclature)に基づく分類の枠組みの中で、GIR 3(b)のセット定義や考え方を整理しています。三要件の明確化に加え、同一項内でも異なる号に分かれる組合せがセットとして扱われ得ること、ギフト表示だけでは足りないことなど、現場で迷いがちな論点が具体例つきで示されています。[tradeinsightai]​

BTI(Binding Tariff Information)の活用

EU向けで特に有効なのが、BTIです。BTIは各加盟国税関が発行する法的な分類決定で、原則3年間EU全域で有効であり、税関当局と決定の保有者を拘束します。[taxation-customs.ec.europa]​

また、有効・無効を含むBTIはEBTIデータベースで公表されます。[taxation-customs.ec.europa]​

セット品は「提示のされ方(包装)」が判断を左右しやすいため、分類が提示形態に依存する場合には、包装あり・なし双方の写真を提出すると有用です。[ploum]​

実務ヒント

  • EUでの販売形態(単品販売か、必ず同梱か)を企画段階で固定し、サンプル写真とパッケージ文言を保存する
  • 重要な特性の根拠は、機能上の支配性と、数量・重量・価値など客観データの両輪で作る[wcotradetools]​
  • BTI申請はEU Customs Trader Portalを通じてデジタル化されており、商品の詳細情報、リーフレット、サンプル、構成説明を含める必要がある[ploum]​

3-2. 英国: 事前に「法的拘束力のある決定」を取りに行く。後追いは不可

英国では、法的拘束力のある品目分類の決定を取得する制度が整備されています。一般に有効期間は3年で、関税、ライセンス、数量規制などの見通しを立てる助けになると案内されています。[gov]​

重要な注意点

英国税関(HMRC)が、決定は原則として事後的(通関完了後)には出せないと明確にしている点です。輸出入が具体化した段階で前倒しで申請する運用が、安全策になります。[gov]​

申請時には、商品の詳細情報に加え、パンフレット、マニュアル、写真、サンプルなどの提出が求められ得ます。HMRCは通常120日以内に回答することを目指しています。[gov]​

実務ヒント

  • 決定取得の前提として、構成品の材質・用途・単価・重量を揃え、説明責任を持てる資料にする
  • 木箱やケースは、GIR 5(a)に当たるか否かを最初から論点化する[en.wikipedia]​
  • Great Britain向けにはAdvance Tariff Ruling、Northern IrelandまたはEU向けにはBTIを申請する[gov]​

3-3. 米国: 「三要件」と「重要な特性」の説明が、審査を通す文章力になる

米国ではHTSUSのGRI 3(b)により、セットは重要な特性を与える構成品で分類する枠組みが採られています。[en.wikipedia]​

CBPのインフォームド・コンプライアンス資料では、セット該当の三要件を明示し、要件を満たした場合は重要な特性を与える物品で分類する、と整理しています。[tradeinsightai]​

また、重要な特性の判断要素として、性質、嵩、数量、重量、価値、使用における役割などの観点が挙げられています。[tradeinsightai]​

Rulingの活用

米国向けで現場が助かるのが、事前の拘束力あるruling(行政解釈)です。申請には、物品の完全な説明、米国内での主要用途、商業上の名称、複数材料の場合は各材料の相対的な重量・体積・価値、購入価格や概算販売価格など、分類に関係する事実の提示が求められています。写真や図、可能ならサンプル提出も想定されています。[customsmobile]​

この「要求される情報」は、そのままGIR 3(b)セットの重要な特性の立証素材になります。米国だけでなく他国にも横展開できるので、最初からグローバル共通の情報セットとして整備すると効率的です。

実務ヒント

  • 重要な特性の根拠は、価値比率と機能の支配性をセットで書く
  • セット要件2)が弱い場合は、セット扱いせず構成品別分類も含めてリスク比較する[tradeinsightai]​

3-4. カナダ: ガイドが丁寧。セット要件と重要特性の説明を、そのまま社内標準にできる

カナダCBSAは、GIR 3(b)相当のルールを解説するガイドで、重要な特性の判断要素(性質、重量、価値、数量、嵩、相対的な役割など)を明確に示しています。[cbsa-asfc.gc]​

また、セットの三要件を列挙し、構成品が明確に一緒に使われ、特定の目的を達成する関係性が必要だと説明しています。[cbsa-asfc.gc]​

具体例: ヘアドレッシングセット

例として、ヘアドレッシングセットでは、次の構成品が含まれています:[cbsa-asfc.gc]​

  • 電動バリカン(heading 85.10)
  • 櫛(heading 96.15)
  • ハサミ(heading 82.13)
  • ブラシ(heading 96.03)
  • タオル(heading 63.02)
  • 革製ケース(heading 42.02)

この場合、活動(髪を切る)に対して専用性が高く価値も大きい電動バリカンが重要な特性を与える、と判断されます。[cbsa-asfc.gc]​

確実性を求める場合、CBSAはadvance rulingの取得を案内しています。cbsa-asfc+1

実務ヒント

  • 重要な特性の説明は、単価だけでなく「専用性」と「代替可能性」で補強する
  • セットに含める付属品やノベルティは、主目的との関係が薄いとセット要件を崩し得るため、企画段階で分類影響を評価する[cbsa-asfc.gc]​

3-5. 日本: 事前教示は「文書」で取り、申告時に添付して審査で尊重してもらう

日本税関には、輸入前に関税分類や税率等について照会し回答を得る「品目分類の事前教示」制度があります。制度趣旨として、税率が事前に分かることで原価計算や販売計画を立てやすくなり、申告時に税番等が判明しているため通関が円滑になる、と説明されています。[customs.go]​

運用上の要点

  • 原則は文書で照会し、文書で回答を受ける。正確性の観点から文書照会が推奨されている[customs.go]​
  • 文書回答(一定条件のメール照会を含む)で交付される回答書は、輸入申告時に添付すると、回答書に記載の所属区分・関税率・統計品目番号が審査で尊重されるcustoms+1
  • 有効期間は3年間で、貨物が照会内容と異なる場合や、法令改正等があった場合などは尊重されない[customs.go]​
  • 回答は原則として公表される(最大180日間の公表延期申請が可能)[customs.go]​

実務ヒント

  • セットの包装形態や同梱構成は、事前教示の照会内容と現物が一致するよう、設計変更の管理を厳格にする
  • 回答書の写しを申告書類パッケージに組込み、通関担当者や通関業者と共有する[customs.go]​

3-6. オーストラリア、ニュージーランド、韓国: 事前判断の窓口を使い、提出情報の粒度を揃える

国によって呼称は違っても、事前に分類判断を得る仕組みは広く整備されています。実務の要点は「早めに」「十分な資料で」「提出後の追加要求に対応できる体制で」です。

オーストラリア

Tariff Advice System(TA)により、TAPINを通じた電子申請または所定フォーム(B102)でTariff Adviceを申請できます。通常の処理期間は30日で、需要が多い時期はさらに時間がかかる場合があります。TAは特定のメーカーからの特定商品に対して発行され、それらの商品を輸入する際には従わなければなりません。[abf.gov]​

ニュージーランド

税関も、特定品目の輸入要件について確実性を高めるrulingを案内し、輸入前に申請すべき旨を明記しています。[fedex]​

韓国

専門機関を通じたHSコード確認や、品目分類の事前判定(advance ruling)申請が案内されています。

実務ヒント

  • どの国でも、構成品の仕様書、材質、用途、写真、包装形態、コストや重量の裏付けが鍵になる
  • 国内向けの製品資料をそのまま出すのではなく、「セット要件」と「重要な特性」を説明するための追加資料を用意する[wcotradetools]​

4. 失敗しない社内運用: セット品分類を「属人化」させない仕組み

4-1. セット品向けの社内ワンシートを作る

おすすめは、セット品ごとに1枚の分類メモを固定フォーマットで持つことです。監査や税関照会に耐える粒度で、しかし更新可能な形にします。

記載項目の例

  • 商品名、販売形態、包装形態(写真リンク)
  • 構成品一覧(材質、用途、単価、重量、想定HS項)
  • セット三要件の充足理由(特に要件2)の説明)
  • 重要な特性の判断根拠(機能、専用性、価値、数量等)
  • 主要国の結論HSコードと、根拠文書(BTI、ruling、事前教示番号など)

社内メモでも写真とキーワードを揃えると、後から検索・比較が容易になります。[ploum]​

4-2. 変更管理: ノベルティ追加や包装変更が、セット認定を壊す

セット分類の実務で一番多い事故は「中身を少し変えたら別物になった」です。追加した付属品が主目的と関係薄く独立した商業目的を持つ場合、セット要件2)を満たさず、セット不成立となる可能性があります。[tradeinsightai]​

ギフトだからセット、同じ場所で使うからセット、という安易な判断を戒める必要があります。包装変更や販促施策は、品目分類の観点でも事前にレビューすべきです。[tradeinsightai]​

4-3. 迷ったら「各国で拘束力のある判断」を取りに行く

セット品は、同じ構成でも提示形態や用途説明で結論が動きやすい領域です。だからこそ、国別に拘束力のある判断を取りに行く価値があります。

  • EU: BTIは原則3年有効でEU全域に効く[taxation-customs.ec.europa]​
  • 日本: 文書による事前教示回答書は申告時に添付すれば審査で尊重され、原則3年有効[customs.go]​
  • 英国: 決定は原則として事後には出ないため、前倒し申請が必須[gov]​
  • 米国: 申請で求められる事実の粒度が明確なので、最初から情報を揃えれば再利用できる[customsmobile]​
  • カナダ: ガイドの枠組みが明快で、必要ならadvance rulingの取得が案内されているghy+1

5. まとめ: GIR 3(b)セット品は「活動の定義」と「重要な特性の証拠」が勝負

GIR 3(b)のセット品は、三要件のうち「特定の必要性・活動」をどう定義するかで、結論が大きく変わります。セットにできたとしても、重要な特性の説明が曖昧だと、国ごとの運用差でブレが出ます。

だからこそ、次の二点を先に固めることが、最短の近道です。

  1. この束ね方は、誰のどんな活動を完遂させるためのものか
  2. その活動の中で主役は何か。機能、専用性、価値、数量などで再現可能に示せるか

セット品の分類は「申告の都合」ではなく、「商品の本質と販売形態」で決まります。各国の事前判断制度をうまく使い、社内の説明責任を積み上げていけば、通関の安定性とコスト予見性は大きく改善します。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や商品に対する法的助言、通関助言、または当局の公式見解を構成するものではありません。最終的な品目分類、関税率、規制要件の判断は、申告先の法令、HS品目表、解説、分類例規および税関当局の判断(BTI、ruling、事前教示など)に基づいて行ってください。具体案件については、通関業者や貿易コンプライアンスの専門家に相談し、必要に応じて各国税関の拘束力ある事前決定の取得をご検討ください。


HS2022 第14類:植物性の組物材料及び他の類に該当しない植物性生産品(Vegetable plaiting materials; vegetable products not elsewhere specified or included)

※用語は以下に統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

実務のコツ:第14類は、HS2022では「1401」と「1404」の2項が中心で、[14.02] と [14.03] は欠番(予約番号)です。古い資料や検索結果で 1402/1403 が出てくる場合があるため、システム登録・マスタ移行時の注意点になります。 (世界関税機関)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 竹(編組用:割竹、竹ひご等) → 1401(竹は 1401.10) (世界関税機関)
    • 籐(ラタン:割り籐、籐芯等) → 1401(籐は 1401.20) (世界関税機関)
    • い草・しちとうい等の編組用材料、ラフィア、麦わら(洗浄・漂白・染色したものを含む) → 1401.90(その他) (世界関税機関)
    • コットンリンター(綿実の短繊維) → 1404.20 (世界関税機関)
    • 詰め物用の植物材料(例:カポック等)、ほうき・ブラシ用の未加工植物材料 → 1404.90(その他) (関税庁)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 編組材料で作った製品(かご、マット、すだれ等):原材料ではなく「製品」→(例)**第46類(編物材料の製品)**へ行きやすい
    • 竹・木材のチップ(chipwood)第44類 4404(類注で除外) (世界関税機関)
    • ウッドウール(木毛)第44類 4405(類注で除外) (世界関税機関)
    • ほうき・ブラシ用に“房(tufts)”や“結び束(knots)”に加工済みの部材第96類 9603(類注で除外) (世界関税機関)
    • 紡績用の繊維原料としてのみ使えるように処理された植物材料第11部(繊維・繊維製品)側(類注で除外) (世界関税機関)
    • 飼料用のわら・牧草など:用途・性状によっては**第12類(飼料等)**側に行きやすい(第14類は「編組用」など“材料用途”が鍵)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「材料」か「製品」か(原材料なら第14類、製品なら第46類/第96類等)
    2. **編組用の植物材料(1401)**か、それ以外の「他に該当しない植物性産品」(1404)か (世界関税機関)
    3. 1404の場合、**綿リンター(1404.20)**か、**その他(1404.90)**か (世界関税機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 古いHS版(HS2002など)で存在した 1402/1403 を、現在のHSとして誤用して通関システムが受け付けない/PSR照合が崩れる(後述:HS2002→2007で削除)。 (税関ポータル)
    • 植物検疫の要否を見落として貨物が止まる(植物材料は検疫対象になりやすい)。 (税関ポータル)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注で決める):第14類は、類注(Chapter Notes)で“入る/入らない”がはっきり書かれているため、まず類注を読み、1401/1404のどちらに該当するかを詰めます。 (世界関税機関)
    • GIR6(6桁の号の決め方):1401は「竹/籐/その他」、1404は「綿リンター/その他」と、6桁の分岐が比較的シンプルです。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(植物種):竹なのか籐なのか、い草なのか等(1401の分岐に直結)。
    • 加工度:単に割った・漂白した程度は1401に残る場合がありますが、チップ化木毛房・結び束など、注で他章へ飛ぶ境界があります。 (世界関税機関)
    • “主として何に使う種類の材料か(of a kind used primarily)”:編組用か、詰め物用か、ほうき用か等。※ただし実務では「客観的性状(形状・寸法・処理内容)+取引実態(用途)」をセットで確認します。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:植物性の原材料ですか?それとも製品ですか?
    • 製品(かご・マット・すだれ・完成ほうき等)→ 第46類/第96類などを先に検討
    • 原材料(竹ひご、籐芯、綿リンター等)→ Step2へ
  • Step2:編組用(plaiting)として流通する材料ですか?
    • はい → 1401(竹=1401.10/籐=1401.20/その他=1401.90) (世界関税機関)
    • いいえ → Step3へ
  • Step3:綿リンターですか?
  • Step4:他の類・項により具体的に該当しない“植物性産品”ですか?(残余)
    • はい → 1404.90(ただし除外:木毛4405、ほうき/ブラシ用の房・結び束9603等) (世界関税機関)
    • いいえ → 他章(例:木材系44類、繊維11部、抽出物13類など)へ
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第14類(材料) vs 第46類(編組材料の製品)
    • 第14類 vs 第44類(木材加工品:チップ・木毛など) (世界関税機関)
    • 第14類 vs 第96類(ブラシ・ほうきの部材として加工済みのもの) (世界関税機関)
    • 第14類 vs 第11部(紡績用繊維原料レベルの処理がされているもの) (世界関税機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

※第14類は4桁見出しが少ないため全列挙します。なお、[14.02] と [14.03] は欠番です。 (世界関税機関)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1401編組用の植物性材料(竹・籐・い草・麦わら・ラフィア等)竹ひご、割竹、籐芯、割り籐、い草束、漂白した麦わら竹/籐/その他の6桁分岐。竹は割る・漂白・染色等しても1401に残る場合あり(類注)。一方で**チップ(4404)**は除外。 (世界関税機関)
1404他に特掲のない植物性産品(残余)綿リンター、カポック等の詰め物用植物材料、ほうき用未加工材料、染色・なめし用植物材料 等1404.20(綿リンター)か1404.90(その他)。ただし木毛(4405)、**房・結び束(9603)**は除外(類注)。 (世界関税機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類は「材料種別」が中心)
    • 1401.10(竹)/1401.20(籐)/1401.90(その他):植物種の同定が本質
    • 1404.20(綿リンター)/1404.90(その他):綿実由来のリンターかどうかが本質 (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
  1. 1401.10(竹) vs 1401.20(籐) vs 1401.90(その他)
    • どこで分かれるか:材質(植物種)
    • 判断に必要な情報:
      • 仕入先仕様書(材質名・学名があればベスト)
      • 写真(節の有無、繊維構造、表皮)
      • 形状(竹ひご/籐皮/籐芯など)
    • 典型的な誤り:
      • “見た目が棒状だから竹”と決め打ちし、実は籐(ラタン)だった
  2. 1404.20(綿リンター) vs 1404.90(その他植物産品)
    • どこで分かれるか:綿実から取れる短繊維(リンター)か
    • 判断に必要な情報:
      • 原料由来(綿実の脱リンター工程の副産物か)
      • 繊維長・不純物等の分析(あれば)
      • 用途(セルロース原料、火薬用ニトロセルロース原料等としての取引実態)
    • 典型的な誤り:
      • “綿っぽいから綿花/綿くず”として第52類(綿)側のコードに寄せてしまう(リンターは第14類に特掲) (世界関税機関)
  3. 1404.90(未加工のほうき原料等) vs 9603(房・結び束など加工済み部材)
    • どこで分かれるか:「房・結び束」にした等、ブラシ/ほうき用の部材として加工済みか
    • 判断に必要な情報:
      • 形状写真(束ねて固定しているか、ブラシヘッド形状か)
      • 工程図(“tufting”“knotting”工程の有無)
      • サンプル
    • 典型的な誤り:
      • “植物材料だから1404.90”で止めてしまい、実際は9603相当(類注で除外) (世界関税機関)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第14類が属する第2部(Section II:植物性生産品)では、「ペレット(pellets)」の定義が置かれています。
    • 「ペレット」とは、圧縮または結合剤(バインダー)を重量比3%以下で添加して凝集させたものを指します。 (世界関税機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:編組用の麦わらや、園芸・充填用途の植物材料をペレット状で輸送するケースでは、「ペレットだから別章」というより、“ペレットの定義に当たるか”をまず揃える(結合剤の有無・割合)ことが重要です。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • **バインダーが多い(3%超)**場合、もはや「植物材料のペレット」という扱いが難しくなり、混合品/調製品側の検討が必要になります(この場合は成分・用途の追加情報が必須)。 (世界関税機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:紡績等のため、繊維原料としてのみ使えるように処理された植物材料は第14類に入りません。 (世界関税機関)
    • 注2:1401には、竹・籐などが含まれ、竹は割る/縦割り/長さ切り/両端丸め/漂白/難燃化/研磨/染色などの処理をしても含み得る、とされています。一方で**チップ(4404)**は除外です。 (世界関税機関)
    • 注3:1404から、**木毛(4405)**と、**房・結び束(9603)**が除外されています。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ペレット」:部注(Section II Note)で定義(上記)。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:竹・籐などの“加工の許容範囲”(注2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 加工内容(割り、縦割り、切断、漂白、難燃化、研磨、染色など)
      • 形状(板材・チップ・繊維化の程度)
    • 現場で集める証憑:
      • 工程表、写真、仕様書、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • 竹チップを「竹だから1401」と誤り、実際は注2で4404へ (世界関税機関)
  • 影響ポイント2:1404の“除外”で9603に飛ぶ(注3)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • “房(tuft)”“結び束(knot)”として加工されているか
      • ブラシ/ほうき用部材として完成しているか
    • 現場で集める証憑:
      • 形状写真、工程図(結束工程の有無)、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • ほうき用植物材料を束ねた部材を1404.90で申告し、注3により9603と判断される (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:第11部(繊維原料)への排除(注1)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 紡績用繊維(スライバー状等)としての状態・工程
      • “繊維用途にしか使えない”レベルの処理の有無
    • 現場で集める証憑:
      • 工程図、用途説明(カタログ)、物性(繊維長、梳綿の有無)
    • 誤分類の典型:
      • 繊維原料として高度に処理された植物繊維を、単なる植物材料として第14類に置いてしまう (世界関税機関)
  • 影響ポイント4:ペレット定義(Section II Note)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 圧縮のみか、バインダー添加か
      • バインダー添加の場合、その重量比(3%以下か) (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • MSDS/成分表、製造条件、配合表
    • 誤分類の典型:
      • バインダー多量添加の成形品を、ペレットと誤認して植物材料扱いにする

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:編組材料(竹ひご等)で作った“製品”を1401で申告
    • なぜ起きる:インボイス品名が「bamboo」「rattan」だけで、完成品か材料かが不明
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第14類は基本「材料」。完成した籠やマットは第46類等を検討
    • 予防策:
      • 確認資料:製品写真、用途、組立の有無、梱包形態
      • 質問例:「これは“素材の束”ですか?“完成品(使用可能)”ですか?」
  2. 間違い:竹チップを1401.10(竹)に入れる
    • なぜ起きる:材質(竹)だけ見てしまう
    • 正しい考え方:類注2でチップ(4404)を除外しているため、形状(chipwood)で第44類へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:粒度分布、形状写真、用途(パルプ/燃料等)、HS見本
      • 質問例:「“ひご状/条状”ですか?“チップ状”ですか?」
  3. 間違い:ウッドウール(木毛)を1404.90に入れる
    • なぜ起きる:「植物性の繊維っぽい=1404」と短絡
    • 正しい考え方:類注3で木毛は4405へ除外 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:製品規格(wood wool)、用途、写真
      • 質問例:「これは木材を削った“木毛”ですか?」
  4. 間違い:ほうき・ブラシ用の加工済み“房/結び束”を1404.90で申告
    • なぜ起きる:素材が植物なので材料扱いしてしまう
    • 正しい考え方:類注3で房・結び束は9603へ除外 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:束ね加工の有無、ブラシヘッド形状、工程図
      • 質問例:「この状態でブラシ部材として取り付けできますか?」
  5. 間違い:綿リンター(1404.20)を“綿くず”として第52類へ寄せる
    • なぜ起きる:見た目が綿に似ている
    • 正しい考え方:第14類に綿リンターが特掲されている(1404.20) (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:原料由来(綿実からのリンター)、工程説明
      • 質問例:「綿花由来の廃棄物ですか?綿実から取ったリンターですか?」
  6. 間違い:「その他(1404.90)」を“何でも箱”として使う
    • なぜ起きる:品名が曖昧(“plant material”“natural fiber”)
    • 正しい考え方:1404は「他に特掲がない」ことが前提。まず他章(食品、抽出物、木材加工品、繊維原料等)を潰す
    • 予防策:
      • 確認資料:用途(食用/工業用/園芸用)、加工度、成分、学名
  7. 間違い:ペレット状=別の分類と誤解
    • なぜ起きる:形状だけで判断
    • 正しい考え方:部注で「ペレット」の定義があり、バインダー3%以下等の条件を確認する (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:配合表、MSDS、製造方法
  8. 間違い:古いHS版の1402/1403を使い続ける
    • なぜ起きる:古い資料・海外取引先のコードが更新されていない
    • 正しい考え方:HS2007改正で14.02/14.03(1402.00/1403.00)と1404.10が削除され、相関表上は1404.90へ整理されている (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 確認資料:協定が参照するHS版、相関表
      • 質問例:「相手のHSは何年版(HS2012/2017/2022など)ですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品HSを誤ると、PSR(CTH/RVC/WO等)の判定軸そのものがズレます
  • よくある落とし穴:
    • 原材料(竹ひご等:第14類)と、最終製品(例:籠=第46類)が別章になるのに、原材料HSでPSRを見てしまう
    • “その他(1404.90)”で丸め、PSR検索結果が意図と違う

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本の実務では、協定により**参照するHS版(例:HS2012)**が決まっていることが多く、PSR検索や付属書のHSがHS2022とズレる場合があります。
    • 例:日本税関の案内では、品目別規則等で用いる関税分類番号がHS2012に基づく旨が示されています。 (税関ポータル)
    • RCEPの品目別規則(PSR)は、付属書がHS2012に基づく形で示されます。 (税関ポータル)
    • 一方で、RCEPについてはHS2022へトランスポーズしたPSR表が公表されているため、参照資料の取り違えに注意が必要です。 (外務省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 「協定本文・付属書のHS版」→「自社の申告HS(HS2022)」の順で、相関表でブリッジします
    • 旧版で欠番になった番号(例:1402/1403)に遭遇したら、相関表の公式資料で移行先を確認します(後述:HS2002→2007では 1404.90 に整理)。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(典型):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定参照版でのHSも)
    • RVC計算の前提(控除方式/積上げ方式等)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 取引証憑(インボイス、B/L、製造記録、原料調達証明)
    • 監査に耐える形で、**HS版の整合(協定参照HS ↔ 申告HS)**を残す

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第14類の号レベルの再編は確認できず)1401.10/1401.20/1401.90、1404.20/1404.90HS2017とHS2022で同じ構成マスター移行は概ねそのまま。ただし欠番([14.02][14.03])を誤って使わない運用が重要 (世界関税機関)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCOのHS2017およびHS2022の第14類ページ(見出し構成が一致) (世界関税機関)
    • WCO相関表(HS2017↔HS2022)の変更対象リスト(Table I)に第14類コードが見当たらないこと(※変更対象に掲載なし=少なくとも改正の主要対象ではない、という確認の仕方) (世界関税機関)
  • 以上より、**HS2017→HS2022で第14類(少なくとも6桁レベル)の再編は実務上「変更なし」**と整理できます。 (世界関税機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第14類は、HS2007以降は構成が安定しています。一方、HS2002→HS2007で大きな削除(14.02/14.03 等)がありました

  • HS2007→2012→2017→2022の流れ(主要な追加・削除・再編)
    • 下表の通り、HS2007以降は 1401(竹/籐/その他)と 1404(綿リンター/その他)の骨格が継続しています。 (世界関税機関)
HS版第14類の主な号(6桁)変更の有無
HS20071401.10 / 1401.20 / 1401.90、1404.20 / 1404.90([14.02][14.03]欠番)大枠この形に整理 (世界関税機関)
HS2012同上変更なし(少なくとも第14類ページ上は同構成) (世界関税機関)
HS2017同上変更なし (世界関税機関)
HS2022同上変更なし (世界関税機関)
  • HS2002→HS2007での主な削除・再編(参考:旧コード→新コード)
    • HS2002では、1402(詰め物用植物材料)1403(ほうき・ブラシ用植物材料)、および 1404.10 が存在しました。 (世界関税機関)
    • HS2007改正で、14.02/14.03(1402.00/1403.00)と1404.10が削除され、相関表上は 1404.90 に整理される形になっています(低取引量が理由として記載)。 (税関ポータル)
旧コード(HS2002)新コード(HS2007以降)備考
1402.001404.90相関表で 1404.90 に整理 (税関ポータル)
1403.001404.90同上 (税関ポータル)
1404.101404.90同上 (税関ポータル)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):竹チップを1401(竹)で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):類注2により、チップ(4404)除外に抵触 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:インボイスに「bamboo」しか書かれていない/写真なし
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延
    • 予防策:粒度・形状写真、用途、工程資料を事前に準備
  • 事例名(短く):ほうき用“房(tuft)”を1404.90で申告
    • 誤りの内容:類注3により、房・結び束は9603除外に抵触 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:原料束と部材束の違いが社内で共有されていない
    • 典型的な影響:HS更正、税率差、輸入許可の遅れ
    • 予防策:束ね加工の有無(工程図)を確認、サンプル提示
  • 事例名(短く):綿リンターを綿くず(第52類)扱い
    • 誤りの内容:1404.20に特掲の綿リンターを見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:品名が「cotton waste」「cotton fiber」等で曖昧
    • 典型的な影響:HS更正、FTAのPSR判定や原産性が崩れる
    • 予防策:原料由来(綿実リンター)を仕様書で確認
  • 事例名(短く):古い1402/1403で書類が回ってくる
    • 誤りの内容:HS2007で削除済みの番号を現行HSとして使用 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:海外サプライヤーのマスタ未更新、古い契約書の踏襲
    • 典型的な影響:申告システムでエラー、PSR検索不能、訂正対応
    • 予防策:協定参照HS版・相関表で必ず確認、社内マスタの版管理
  • 事例名(短く):植物検疫対象の可能性を見落とし
    • 誤りの内容:分類というよりコンプラ抜け(植物材料の輸入手続)
    • 起きやすい状況:園芸用ミズゴケ等を「ただの素材」と扱う
    • 典型的な影響:検査・保留、到着後の倉庫費用増
    • 予防策:植物防疫所の対象確認、必要に応じて証明書・事前相談 (税関ポータル)

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物材料の輸入は植物検疫の対象になり得ます。輸入時に植物防疫所での検査が必要な場合があり、品目によっては輸出国の植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)が必要です。 (農林水産省)
    • 一部の植物等は輸入禁止品として整理されています。 (農林水産省)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第14類の典型品目(竹・籐等)は一般にCITESの中心ではないことが多い一方、原料植物の種によっては対象となり得るため、学名レベルでの確認が安全です(疑義があれば税関・所管官庁に確認)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第14類の「未加工植物材料」自体は該当しにくい一方、用途・加工品・混合物によって別扱いになることがあります。
  • その他の許認可・届出
    • (例)殺虫成分由来の残渣(ピレスラム抽出残渣等)や薬用用途での輸入は、別途の規制や社内審査が必要なケースがあります(品目と用途次第)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 学名・品名・用途を含む仕様書、写真、加工工程
    • 必要に応じて植物検疫証明書、燻蒸証明、成分表

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(植物種・学名)、形状(ひご/芯/チップ/房など)、加工内容
    • 用途(編組用、詰め物用、ほうき用、染色・なめし用、園芸用 等)
    • 写真・サンプル・工程図
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「bamboo/rattan」だけでなく、**形状(split、strip、core 等)**を入れる
    • 日本の申告は国内コード(統計番号9桁)も必要:HS6桁との対応を確認
    • 数量単位(多くはkg)の整合(梱包重量・ネット/グロス)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定参照HS版(HS2012等)を確認し、必要なら相関表でブリッジ (税関ポータル)
    • BOM、原価、工程証憑を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 14(0214_2022e.pdf)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • WCO HS Nomenclature 2017:Chapter 14(0214_2017e.pdf)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • WCO HS Nomenclature 2012/2007/2002:Chapter 14(0214-2012E、0214_2007e、0214_2002e)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • WCO HS2022↔HS2017 Correlation Tables(Table I/II)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • HS2007↔HS2002 Correlation Table(日本税関掲載PDF):参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
    • WCO Section II Notes(0200_2022e.pdf:pellets定義)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 品目別原産地規則・HS版に関する税関資料(HS2012等)参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
    • 事前教示(関税分類)制度・検索:参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
  • 植物検疫(MAFF/植物防疫所)・税関案内
    • 植物防疫所「植物の輸入」「輸入禁止品」等:参照日:2026-02-14 (農林水産省)
    • 税関:検疫対象品の確認案内:参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
  • その他
    • webTARIFF(国内コードの細分例の確認に使用):参照日:2026-02-14 (関税庁)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

※国内コード(統計番号9桁)は改正され得るため、最新の国内コード表で必ず確認してください(ここでは「細分されやすい観点」を示します)。 (関税庁)

  • 1401(編組用材料)
    • 1401.10(竹)、1401.20(籐)は比較的明確
    • 1401.90(その他)は、国内コードでい草類、葛つる等に細分される例があります(品名・用途で分かれやすい)。 (関税庁)
  • 1404.90(その他植物性産品)
    • 国内コードで、詰め物用材料(カポック等)/ほうき・ブラシ用材料/染色・なめし用材料/抽出残渣/ガンピ、ナッツ殻、硬い種子等のように、用途・品目群で細分される例があります。 (関税庁)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①貨物の名称(一般名+学名があれば)
    • ②写真(全体・拡大・断面)
    • ③成分/材質、加工工程、用途
    • ④サンプル(可能なら)
    • ⑤類似品との比較(なぜ1401/1404と思うかのメモ)
  • 日本税関の探し方(実務手順)
    • 税関の**事前教示(関税分類)**は、制度説明ページ(Advance Classification Ruling)と、公開可能な回答を検索できるページがあります。 (税関ポータル)
    • パンフレットには、提出資料(サンプル、写真、原材料、加工工程等)など実務的な持ち物が整理されています。 (税関ポータル)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第13類:ラック、ガム、樹脂その他の植物性液汁及びエキス(Lac; gums, resins and other vegetable saps and extracts)


※用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • ガムアラビック(天然ガムの一種):1301.20 (国際税関機構)
    • 各種の天然ガム・樹脂・ガム樹脂・バルサム等(ラック含む)1301.90 (国際税関機構)
    • 植物性の液汁・エキス(甘草エキス、ホップエキス、アロエエキス、エフェドラ(麻黄)エキス等):1302.12 / 1302.13 / 1302.14 / 1302.19 (国際税関機構)
    • ペクチン(ペクチン酸塩等含む)1302.20 (国際税関機構)
    • 寒天(アガーアガー)1302.31 (国際税関機構)
    • ローカストビーンズ(カロブ)/グアー由来の粘質物・増粘剤1302.32 (国際税関機構)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 砂糖を多く含む甘草エキス(しょ糖10%超)または菓子状の甘草エキス1704(砂糖菓子) (国際税関機構)
    • コーヒー・茶・マテのエキス2101 (国際税関機構)
    • タンニン系のなめしエキス(植物性タンニン抽出物)3201植物性/動物性の着色料(染料抽出物を含む)3203 (国際税関機構)
    • 精油・レジノイド・抽出オレオレジン等(香料系)第33類(例:3301) (国際税関機構)
    • 天然ゴム・バラタ・ガッタパーチャ等の“ゴム類”4001 (国際税関機構)
    • 医薬品としての調製品(製剤)3003/3004(※第13類の「植物エキス」でも、医薬品の形になっていれば除外) (国際税関機構)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「単なる植物エキス(1302)」か、「砂糖・アルコール・香料等により“別の性質”になった調製品」か(注で明確に除外されます) (国際税関機構)
    2. “エキス”なのか、“精油/抽出オレオレジン/レジノイド”なのか(第33類へ飛びやすい) (国際税関機構)
    3. “エキス”ではなく、単離された化学物質(例:グリチルリチン等)になっていないか(第29類へ) (国際税関機構)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **甘草エキスの「砂糖10%超」**の判定を取らずに1302で申告 → 税番修正・再判定になりやすいです(注で数値基準が出ます)。 (国際税関機構)
    • 1302.11(あへん)等の規制物品に該当する場合、分類以前に輸入可否・許可要否が問題になります。 (国際税関機構)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し+部注/類注)が最重要です。第13類は注で「1302に入らないもの(除外)」が具体的に列挙され、さらに一部は数値基準(砂糖10%超、アルカロイド50%以上など)**まで示されます。 (国際税関機構)
    • **GIR3(混合物・調製品)**が効く典型:
      • 植物エキスに砂糖・アルコール・香料などを加えて「菓子」「酒類」「香料調製品」等の性格が強くなる場合、1302ではなく別章が優先され得ます(第13類注の除外に沿って検討)。 (国際税関機構)
    • **GIR6(号レベル)**で、甘草/ホップ/エフェドラ/寒天/グアー等を確定させます。 (国際税関機構)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 製造方法:単なる圧搾液/抽出物か、蒸留(精油)か、溶媒抽出(抽出オレオレジン)か
    • 配合の有無:砂糖添加、アルコール溶媒、香料混合、機能成分の標準化(規格化)
    • 分析値:甘草エキスのしょ糖含有率、けしがら濃縮物のアルカロイド含有率など(注の閾値) (国際税関機構)
    • 用途表示:食品原料、香料原料、医薬用途、染料/なめし用途(注の除外先が変わる) (国際税関機構)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:貨物は「天然ガム/樹脂の“原形”」ですか、それとも「植物性の液汁・抽出エキス」ですか?
    • 天然ガム/樹脂(原形) → 1301(ガムアラビックは1301.20、その他は1301.90) (国際税関機構)
    • 液汁・抽出エキス/増粘剤 → Step2 (国際税関機構)
  • Step2:「1302(植物性液汁・エキス/ペクチン/寒天/増粘剤)」に当たりそうでも、注の除外に該当しませんか?
  • Step3:1302の中でどれか(号)を確定
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第13類(植物エキス)↔ 第33類(精油・抽出オレオレジン等) (国際税関機構)
    • 第13類(植物エキス)↔ 第32類(なめし/染料抽出物) (国際税関機構)
    • 第13類(甘草エキス)↔ 1704(菓子)(しょ糖10%超がキー) (国際税関機構)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第13類は4桁見出しが2つだけなので、全列挙で整理します。 (国際税関機構)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1301ラック、天然ガム、樹脂、ガム樹脂、天然オレオレジン(例:バルサム)ガムアラビック、フランキンセンス/ミルラ等の天然樹脂、各種ガム樹脂HS6桁では 1301.20(ガムアラビック)と1301.90(その他)。香料系の「レジノイド/抽出オレオレジン」は第33類に飛びやすい(1302注の除外にも出る) (国際税関機構)
1302植物性液汁・植物エキス、ペクチン、寒天、その他の植物由来増粘剤(改質の有無不問)甘草エキス、ホップエキス、アロエエキス、ペクチン粉末、寒天粉末、グアーガム第13類注で「入らないもの」が多数列挙(砂糖10%超の甘草エキス、コーヒー抽出物、酒類、精油/抽出オレオレジン、なめし/染料抽出物、天然ゴム、医薬製剤など)。まず注をチェック (国際税関機構)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(実務で頻出)
    • 原料植物が特定できるか(甘草/ホップ/エフェドラ/寒天/グアー等で枝番がある) (国際税関機構)
    • 配合(砂糖・アルコール等)で別の見出し要件に該当しないか(注の除外) (国際税関機構)
    • 用途が「なめし」「染料」「香料」「医薬製剤」等で、別章の方が適切か(注の除外) (国際税関機構)
    • “化学的に単離された物質”になっていないか(第29類へ) (国際税関機構)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1302.12(甘草エキス) vs 1704(砂糖菓子)
      • どこで分かれるか:
        甘草エキスが しょ糖10%超、または菓子としての形態なら、1302ではなく1704へ、という整理が注で明示されています。 (国際税関機構)
      • 判断に必要な情報:
        • 成分表/COA(しょ糖含有率)
        • 包装形態・用途(菓子として販売か、原料か)
      • 典型的な誤り:品名 “Liquorice extract” だけで1302.12に固定し、砂糖添加を見落とす。
    2. 1302.19(その他の植物液汁・エキス) vs 2101(コーヒー・茶・マテの抽出物)
      • どこで分かれるか:注で、コーヒー・茶・マテの抽出物は1302から除外され、2101へ行くことが示されています。 (国際税関機構)
      • 判断に必要な情報:原料(コーヒー豆/茶葉/マテか)、製品表示、用途
      • 典型的な誤り:「植物エキス=1302」と短絡。
    3. 1302.39(その他の植物由来増粘剤) vs 1302.31(寒天)/1302.32(グアー・カロブ系)
      • どこで分かれるか:
        寒天は1302.31、カロブ/グアー由来は1302.32、それ以外は1302.39の整理です。 (国際税関機構)
      • 判断に必要な情報:原料(海藻由来か、種子由来か等)、規格書、CAS番号(ある場合)
      • 典型的な誤り:商品名(例:○○ガム)だけで判断し、原料由来を確認しない。
    4. 1302(植物エキス) vs 第33類(精油・レジノイド・抽出オレオレジン等)
      • どこで分かれるか:第13類注で、精油・レジノイド・抽出オレオレジン等は1302から除外される整理が示されています。 (国際税関機構)
      • 判断に必要な情報:
        • 製造方法(蒸留/溶媒抽出/水抽出など)
        • 成分特性(揮発性香気成分主体か、樹脂分主体か)
        • 用途(香料用途か)
      • 典型的な誤り:「植物由来だから1302」として香料原料を誤分類。
    5. 1302(植物エキス) vs 3201/3203(なめし/染料抽出物)
      • どこで分かれるか:注で、なめし抽出物(3201)や染料抽出物(3203)は1302から除外されます。 (国際税関機構)
      • 判断に必要な情報:用途(革なめし/着色用途)、代表成分(タンニン等)、規格・SDS
      • 典型的な誤り:用途確認をせず「植物エキス」で一括して1302へ。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第13類が属する**第II部(植物性生産品)**には、「pellets(ペレット)」の定義があります(圧縮、または結合剤3%以下で凝集したもの)。 (国際税関機構)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第13類のガム/樹脂/粉末添加物は、実務上「顆粒・ペレット様」形状で流通することがあります。
      ただし、結合剤が多い・他成分混合があると、単なる“植物ガム/エキス”の範囲を超えて調製品扱いになり得るため、部注の定義と合わせて配合割合を確認すると安全です。 (国際税関機構)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 結合剤や添加物が多く、実態が接着剤・食品調製品・香料調製品等になる(GIR3+各章注の検討が必要)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第13類の注は、**1302に含まれる代表例(甘草、除虫菊、ホップ、アロエ、あへん等)**を挙げたうえで、1302に入らないものを(a)〜(k)で列挙しています。 (国際税関機構)
    • 実務では「この注のチェック」=「第13類の分類の半分」です。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • しょ糖10%超(甘草エキスの除外)
    • アルカロイド50%以上(けしがら濃縮物の除外)
      ※いずれも注が閾値として示しています。 (国際税関機構)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:甘草エキスは「砂糖10%」で1302→1704に飛び得る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • しょ糖含有率(重量%)
      • 形状(菓子としての状態か) (国際税関機構)
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • COA/成分分析表(糖度・糖組成)
      • ラベル(用途、食品/菓子の表示)
    • 誤分類の典型:
      • “liquorice extract”の表記だけで1302.12にしてしまい、糖添加(>10%)を見落とす
  • 影響ポイント2:「植物エキス」でも用途・性質で第32類/第33類に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • なめし用途(タンニン抽出物)か → 3201
      • 着色用途(染料抽出物)か → 3203
      • 精油・抽出オレオレジン・レジノイド等(香気成分主体)か → 第33類 (国際税関機構)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途説明(顧客仕様書)
      • 製造法(蒸留/抽出溶媒/濃縮方法)
      • SDS、規格(主成分・溶媒残留)
    • 誤分類の典型:
      • 「植物由来=1302」として、香料原料(第33類)やタンニン抽出物(3201)を誤申告
  • 影響ポイント3:“エキス”と“単離化学品”の境界(第29類へ)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 特定成分を単離・高純度化しているか(例:グリチルリチン等) (国際税関機構)
    • 現場で集める証憑:
      • COA(純度、主成分%)、製造工程(分離・精製工程の有無)、CAS番号
    • 誤分類の典型:
      • 高純度の単離成分を「植物抽出物」として1302に置いてしまう

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:砂糖添加の甘草エキスを1302.12で申告
    • なぜ起きる:品名 “Liquorice extract” だけで判断、糖度を確認しない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第13類注で、しょ糖10%超の甘草エキス(または菓子状)は1704と整理されています (国際税関機構)
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • COAで「しょ糖(sucrose)%」を確認
      • 質問例:「砂糖(しょ糖)を添加していますか?糖度(重量%)は?」
  2. 間違い:コーヒー/茶の抽出物を1302.19にする
    • なぜ起きる:「植物抽出物=1302」と思い込む
    • 正しい考え方:第13類注でコーヒー・茶・マテの抽出物は2101が示されています (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 原料植物(コーヒー豆/茶葉/マテ)を確定
      • 質問例:「原料は何ですか?(学名や原材料名)」
  3. 間違い:香料系(精油・抽出オレオレジン等)を1302で申告
    • なぜ起きる:「植物から取った=エキス」と雑に扱う
    • 正しい考え方:第13類注で精油・抽出オレオレジン等は第33類へ除外されています (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 製造法(蒸留/溶媒抽出/樹脂抽出)を仕様書で確認
      • 質問例:「抽出溶媒は?揮発性香気成分が主ですか?」
  4. 間違い:なめし/染料用の抽出物を1302にする
    • なぜ起きる:用途(レザー/染色)を確認していない
    • 正しい考え方:第13類注で、なめし抽出物(3201)・染料抽出物(3203)は除外と明記されています (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 販売用途(染色・皮革加工)を確認
      • 質問例:「最終用途は食品/香料/なめし/着色のどれですか?」
  5. 間違い:グアーガム等の増粘剤を1301(天然ガム)へ寄せてしまう
    • なぜ起きる:「ガム=1301」と思い込み
    • 正しい考え方:増粘剤は1302側に整理され、グアー/カロブ由来は1302.32です (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 原料由来(AcaciaかGuarかLocust beanか)を確認
      • 質問例:「原料植物はアカシア(ガムアラビック)ですか、グアー/カロブですか?」
  6. 間違い:医薬品の形になっている製剤を1302で申告
    • なぜ起きる:「原料は植物抽出物」だけに注目
    • 正しい考え方:注で、医薬品(3003/3004)は1302から除外されています (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 剤形(錠剤/カプセル/アンプル等)、効能表示、用法用量表示の有無を確認
      • 質問例:「製剤(用法が書かれた医薬品パッケージ)ですか?」
  7. 間違い:“抽出物”と“単離成分”を混同(例:グリチルリチン)
    • なぜ起きる:精製度の把握不足(抽出→精製→単離の工程差)
    • 正しい考え方:注で、**グリチルリチン等は第29類(2914/2938等)**へ除外され得る整理 (国際税関機構)
    • 予防策:
      • COA(純度、主成分%)、CAS番号、製造工程を入手

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第13類はとくに、
    • 1302(植物エキス)か 3301/3302(香料系)か
    • 1302(増粘剤)か 3201/3203(なめし/染料抽出物)か
    • 1302(エキス)か 1704/2101(食品系)か
      のように章をまたいで動くため、税番誤りが原産性判断の前提を崩しやすいです。 (国際税関機構)
  • よくある落とし穴:
    • 原料は1302でも、最終製品が混合・調製されて2106や3302等に移る(工程と最終用途で変わる)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 税関のPSR検索でも、協定ごとに参照HS版が異なるため「協定が採用するHS版で検索すべき」旨が注意されています。 (関税庁)
  • 第13類は、HS2012→HS2017で**1302.14(エフェドラ抽出物)**が新設されているため、協定の参照版次が古い場合は読み替え(相関)が必要になる代表例です。 (国際税関機構)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM):
    • 原材料のHS(可能なら6桁)
    • 砂糖・アルコール・香料など「税番を動かしやすい材料」の有無
  • 工程情報:
    • 抽出方法(蒸留/水抽出/溶媒抽出)、濃縮、混合、製剤化の有無
  • 証憑:
    • 規格書、COA(糖度等)、SDS、用途仕様書
  • 保存(一般論):
    • 協定ごとの保存要件に沿って、BOM・原価・工程を一体で保管(改正もあり得るので最新確認)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(参照先変更)第13類注1(g)「血液判定用試薬」の参照見出しが 30.06 → 38.22 に変更1302から除外される“試薬”の参照先が変わる。関連製品を扱う場合、旧HSの参照のままだと誤解が生じ得る (国際税関機構)
HS2017→HS2022変更なし(見出し・号)1301.20/1301.90、1302.11〜1302.39第13類の見出し・号(6桁)は同一実務上は、旧版とのコード整合は取りやすい(ただし注の参照先変更には注意) (国際税関機構)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • HS2017版の第13類注1(g)では、1302に入らないものとして「医薬品(3003/3004)または血液判定用試薬(3006)」という参照が記載されています。 (国際税関機構)
  • HS2022版の同じ箇所では、血液判定用試薬の参照が「3822」に変更されています。 (国際税関機構)
  • 一方で、HS2017とHS2022の第13類の見出し・号(1301/1302の6桁列挙)は一致しており、新設・削除・分割等は見られません。 (国際税関機構)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第13類は、HS2012→HS2017で1302.14(エフェドラ抽出物)が追加されたのが大きな変化です。 (国際税関機構)

変遷主要な追加・削除・再編旧コード→新コード(または行き先不明)実務メモ
HS2007→HS2012大きな変更なし(見出し・号)(変更なし)第13類の基本構造は維持 (国際税関機構)
HS2012→HS2017新設(細分化)1302.19(Other)→ 1302.14(Of ephedra)+1302.19(Other)エフェドラ抽出物が別掲になり、統計・規制・社内マスタが影響。旧HSでは1302.19に吸収されていた可能性 (国際税関機構)
HS2017→HS2022コード変更なし/注の参照先変更第13類注の参照(30.06→38.22)コードは同じでも、注の参照先変更は「除外先」の理解に影響 (国際税関機構)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):砂糖入り甘草エキスを1302で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第13類注(甘草エキスの除外:しょ糖10%超/菓子状は1704) (国際税関機構)
    • 起きやすい状況:インボイスが “licorice extract” のみ、糖添加情報が別資料にある
    • 典型的な影響(一般論):税番変更、追加納税/還付、原産地規則の再判定、検査・照会で遅延
    • 予防策:COAで糖度確認、商品形態(菓子か原料か)を写真で確認
  • 事例名:香料用抽出オレオレジンを1302で申告
    • 誤りの内容:第13類注の除外(精油・抽出オレオレジン等は第33類) (国際税関機構)
    • 起きやすい状況:製造法(蒸留/溶媒抽出)の情報不足
    • 典型的な影響:税番修正、化学品規制/表示や原産地の再検討(一般論)
    • 予防策:製造工程・溶媒情報・用途の確認
  • 事例名:タンニン抽出物(なめし用途)を1302で申告
    • 誤りの内容:第13類注の除外(なめし抽出物は3201) (国際税関機構)
    • 起きやすい状況:用途が「食品」ではなく「レザー加工」なのに、部署間で共有されない
    • 典型的な影響:税番修正、輸入要件(用途別規制)の再確認(一般論)
    • 予防策:用途をインボイス・仕様書に明記、社内で用途確認フローを固定
  • 事例名:規制対象(あへん等)に該当し差止め
    • 誤りの内容:税番の問題というより、輸出入禁止・規制品目(麻薬等)の管理不備 (関税庁)
    • 起きやすい状況:原料名(botanical name)・有効成分・規制該当性の事前確認不足
    • 典型的な影響:差止め、没収、刑事罰リスク(一般論)
    • 予防策:学名・成分・用途を確定し、行政/通関専門家へ事前確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生(食品等の輸入届出):食品等を販売等の目的で輸入する場合、検疫所への輸入届出・審査/検査が必要とされています(対象の詳細は製品形態・用途によります)。 (厚生労働省)
    • 植物検疫:植物由来品でも、高度加工や密閉包装などで病害虫付着のおそれがないものは対象外となり得る一方、品目により判断が必要です。輸入前に植物防疫所の基準確認が推奨されます。 (農林水産省)
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第13類そのものは典型的な戦略物資ではありませんが、抽出溶媒・化学品としての規制(別法令)の有無はSDS等で確認が安全です(個別判断)。
  • その他の許認可・届出
    • 麻薬等(あへん等):税関は輸出入禁止・規制品目として麻薬・向精神薬・あへん・けしがら等を挙げています。該当する場合は、関係法令(麻薬及び向精神薬取締法、あへん法等)に基づく許可・管理が必要となり得ます。 (関税庁)
    • 医薬品該当(薬機法):植物エキスでも、効能表示・剤形・成分規格等により医薬品等に該当し得ます(輸入手続・規制が変わるため要確認)。 (e-Gov 法令検索)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品:厚生労働省(輸入手続)・検疫所 (厚生労働省)
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所 (農林水産省)
    • 分類:税関 事前教示(品目分類) (関税庁)
    • 規制品目:税関(輸出入禁止・規制品目) (関税庁)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(製造方法・用途)、成分表/COA、SDS、ラベル、写真
    • 食品用途:原材料規格、添加物情報、製造工程
    • 規制物質の可能性:学名、成分規格、許可書類(該当時)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料(植物名・学名)、製造法(抽出/蒸留/溶媒)、形状(液体/粉末/顆粒)
    • 添加物(砂糖・アルコール・香料・結合剤等)の有無と割合
    • 用途(食品、香料、医薬、染料、なめし、工業用)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第13類注の除外(1704/1901/2101/22類/29類/2939/3003-3004/3822/3201-3203/33類/4001)を再点検 (国際税関機構)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “extract / oleoresin / essential oil / resin / gum” の英語が実態と合うか
    • COA(糖度等)とロットの紐付け
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版を確認し、必要なら相関で読み替え(協定ごとに異なる注意あり) (関税庁)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品届出要否、植物検疫要否、規制物質該当性(あへん等) (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 13(0213_2022e)〔参照日:2026-02-14〕 (国際税関機構)
    • WCO HS Nomenclature 2017:Chapter 13(0213_2017e)〔参照日:2026-02-14〕 (国際税関機構)
    • WCO HS Nomenclature 2012:Chapter 13(0213_2012e)〔参照日:2026-02-14〕 (国際税関機構)
    • WCO HS Nomenclature 2007:Chapter 13(0213_2007e)〔参照日:2026-02-14〕 (国際税関機構)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Section II Note(pellets定義)〔参照日:2026-02-14〕 (国際税関機構)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 33(精油・レジノイド・抽出オレオレジン等の位置づけ確認)〔参照日:2026-02-14〕 (国際税関機構)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 32(3201/3203の見出し確認)〔参照日:2026-02-14〕 (国際税関機構)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:品目分類とHS(HSと国内細分の関係)〔参照日:2026-02-14〕 (関税庁)
    • 税関:品目分類の事前教示制度(カスタムスアンサー)〔参照日:2026-02-14〕 (関税庁)
    • 税関:事前教示回答(品目分類)検索〔参照日:2026-02-14〕 (関税庁)
    • 税関:輸出入禁止・規制品目(麻薬等)〔参照日:2026-02-14〕 (関税庁)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(輸入届出)〔参照日:2026-02-14〕 (厚生労働省)
    • 農林水産省(植物防疫所):輸入植物検疫の対象とならない植物(高度加工等の考え方)〔参照日:2026-02-14〕 (農林水産省)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 税関:品目別原産地規則(協定ごとのHS版が異なる旨の注意)〔参照日:2026-02-14〕 (関税庁)
  • その他(法令)
    • e-Gov法令:麻薬及び向精神薬取締法〔参照日:2026-02-14〕 (e-Gov 法令検索)
    • e-Gov法令:あへん法〔参照日:2026-02-14〕 (e-Gov 法令検索)
    • e-Gov法令:医薬品医療機器等法(薬機法)〔参照日:2026-02-14〕 (e-Gov 法令検索)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 仕様書(原料・製造法・用途・添加物)
    • 成分表/COA(糖度、主成分、溶媒残留等)
    • SDS、ラベル、写真、用途資料(食品/香料/工業/医薬)
  • 日本の実務導線(例)
    • 税関の「品目分類の事前教示制度」で、輸入前に税番の照会ができます(重要案件ほど有効)。 (関税庁)
    • 公開可能な事前教示回答は税関サイトで検索できます(類似品の探し込みに有用)。 (関税庁)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第12類:油糧種子及び含油性の果実; その他の種子及び果実; 工業用又は薬用の植物; わら及び飼料用植物(Oil seeds and oleaginous fruits; miscellaneous grains, seeds and fruit; industrial or medicinal plants; straw and fodder)

※用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 油糧種子:大豆(1201)、なたね/キャノーラ(1205)、ごま・けしの実等(1207)
    • 播種用の種子:野菜種子・牧草種子・花の種子など(1209)
    • ホップ(ビール原料):ホップ球果・ペレット等(1210)
    • 薬用/香料用の植物:人参根、エフェドラ等(1211)
    • 海藻等:食用海藻(1212)
    • わら・飼料用植物:穀わら(1213)、乾草・アルファルファペレット(1214)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 食用ナッツ(例:アーモンド・くるみ等):第8類(0801/0802)へ(1207には入らない)
    • オリーブ:第7類(生鮮)または第20類(調製)へ(1207には入らない)
    • 植物油(抽出後の油):第15類へ(「種子」ではなく「油」)
    • 搾油かす等の残留物(油粕):第23類(2304〜2306)へ(1208に入らない)
    • 医薬品・化粧品・殺虫剤など“調製品”:第30類/第33類/3808へ(1211から除外)
    • 播種用でも1209に入らない例:穀物(第10類)、香辛料(第9類)、豆類野菜/スイートコーン(第7類)など(1209注の除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「種子・植物そのもの」か、「油・油かす・抽出物・調製品」か(第15類・第23類・第30/33/38類へ飛びやすい)
    2. 「播種用(1209)」か否か。ただし、大豆・なたね等(1201〜1207)や、1211に該当する植物は“播種用でも”1209になりません(注で明確に除外)
    3. なたね/からし菜種子が「低エルカ酸(1205.10)」か(エルカ酸・グルコシノレートの分析値が必要)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **播種用(1209)は、関税・原産地規則だけでなく植物検疫(書類・検査)**にも直結しやすいです。
    • **1211(薬用/管理対象になり得る植物)は、分類だけでなく輸入禁止・規制(麻薬等/条約規制)**の確認が必須になり得ます。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し+部注/類注)**が最重要です。第12類は、1207/1208/1209/1211/1212について「入る/入らない」を注で明確に書いており、品名より注が強い場面が多いです。
    • **GIR6(号レベル)**で、たとえば「播種用(Seed)」の枝番や「海藻の食用/非食用」などを詰めます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要):
    • 用途(播種用か/食用か/工業用か):ただし1209は注で除外があるので、用途だけで1209に飛ばない
    • 加工状態:未調理の落花生(1202)と、ロースト/味付け等の調製品(第20類)
    • 形状:粉(1208)、ペレット(1210/1213/1214で出やすい)
    • 製造工程:搾油かす(第23類)か、単なる粉砕粉(1208)か
    • 成分・分析値:1205.10(低エルカ酸)の判定

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:貨物は「植物(またはその部分:種子・果実・葉・根・樹皮・わら等)」ですか?
    • YES → Step2
    • NO → 第12類以外を検討
  • Step2:「油そのもの」「搾油かす」「抽出物」「調製品(医薬/化粧品/農薬等)」ですか?
    • 油 → 第15類
    • 搾油かす(残留物) → 第23類(2304〜2306)
    • 抽出物/調製品 → 第13類/第30類/第33類/3808等(1211の除外に注意)
    • それ以外(種子・植物体)→ Step3
  • Step3:次のどれに当たるかを選びます(“最初に大枠”)
    • 油糧種子(大豆・落花生・なたね・ひまわり等)→ 1201〜1207
    • 油糧種子の粉・ミール(マスタード除く)→ 1208(ただし油かすは除外)
    • 播種用の種子・果実・胞子 → 1209(注の除外を必ず確認)
    • ホップ → 1210
    • 薬用/香料用等の植物(根・葉・樹皮など)→ 1211
    • 海藻・ローカストビーンズ等の食用向け植物品目 → 1212(注5の除外あり)
    • 穀わら・もみ殻等 → 1213
    • 乾草・アルファルファ等の飼料用植物 → 1214
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第8類(ナッツ)↔ 第12類(油糧種子):1207は0801/0802を除外
    • 第12類(1208)↔ 第23類(油かす):1208注2で「2304〜2306残留物は除外」
    • 第12類(1211)↔ 第30/33/3808:医薬・化粧品・農薬等の“調製品”は除外
    • 第12類(1212)↔ 第21/30/31:海藻と微生物/培養物/肥料の境界(注5)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第12類の項(1201〜1214)は、実務上ほぼ「全列挙」で把握するのが早い類です。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1201大豆(破砕の有無不問)大豆、割大豆播種用は1201.10。1209ではない(1209注の除外)
1202落花生(未焙煎・未調理。殻付き/剥き/破砕可)生落花生、乾燥落花生焙煎/味付け等は別章(例:第20類)になりやすい
1203コプラ乾燥ココナッツ果肉油や油かすは第15類/第23類へ
1204亜麻仁(リンシード)亜麻仁食用/工業用でも基本はここ(油は第15類)
1205なたね/からし菜種子なたね、キャノーラ低エルカ酸(1205.10)定義あり(分析)
1206ひまわり種子ひまわりの種破砕可。ロースト等で別章の可能性
1207その他の油糧種子・含油性果実ごま、綿実、ひまし、けしの実、パーム核等0801/0802(ナッツ)・オリーブは除外。注1が重要
1208油糧種子等の粉・ミール(マスタード除く)大豆粉、ゴマ粉(油分あり/一部脱脂含む)油かす等(2304〜2306)は除外(注2)
1209播種用の種子・果実・胞子野菜種子、芝/牧草種子、花の種ただし注3で穀物(第10類)等は除外。油糧種子(1201〜1207)も除外
1210ホップ(球果・粉末・ペレット)/ルプリンホップペレット、乾燥ホップ「粉末/ペレット」かで枝番(1210.20)
1211香料・薬用・殺虫等用途の植物(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥、切断/粉砕可)人参根、薄荷、甘草、エフェドラ等医薬品(第30類)/化粧品(第33類)/農薬(3808)は除外(注4)
1212ローカストビーンズ、海藻、甜菜/サトウキビ等の食用向け植物品目(他にないもの)海苔/昆布/わかめ、チコリ根、サトウキビ海藻の定義は注5で“微生物/培養/肥料”除外
1213穀わら・もみ殻等(未調製。切断/粉砕/圧縮/ペレット可)稲わら、麦わら、もみ殻ペレット「ペレット」の定義は部注(バインダー3%以下)
1214飼料用植物(乾草、アルファルファ等。ペレット可)アルファルファペレット、乾草**調製飼料(第23類2309等)**との境界に注意

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • Seed(播種用)枝番の有無:1201.10、1202.30、1207.21など
    • 特定成分基準:1205.10(低エルカ酸なたね/からし菜)
    • 形状(粉・ペレット):1210.10/1210.20、1214.10/1214.90等
    • 食用適否:海藻 1212.21(食用)/1212.29(その他)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1209(播種用) vs 1201〜1207(油糧種子の“Seed”枝番)
      • どこで分かれるか:1209注で、1201〜1207は“播種用でも”1209に入らないと明記されています。
      • 判断に必要な情報:
        • 植物種(例:大豆/なたね等)
        • 播種用である客観資料(種子証明、発芽率、薬剤処理、包装表示、用途説明など)
      • 典型的な誤り:**「播種用だから1209」**としてしまい、大豆(1201.10)等の“本来の見出し”を外す。
    2. 1208(粉・ミール) vs 第23類(油かす:2304〜2306)
      • どこで分かれるか:1208注2で、2304〜2306の残留物(搾油かす等)は除外です。
      • 判断に必要な情報:
        • 製造工程(搾油残渣か、単なる粉砕か)
        • 油分・タンパク等の仕様(COA)、用途(飼料用か等)
      • 典型的な誤り:**「粉っぽいから1208」**として、搾油かす(実態は2304等)を誤申告。
    3. 1205.10(低エルカ酸なたね/からし菜) vs 1205.90(その他)
      • どこで分かれるか:定義(エルカ酸<2%重量、グルコシノレート<30µmol/g)で分岐。
      • 判断に必要な情報:ロット別の分析表(COA)、品種情報(canola等)、試験方法。
      • 典型的な誤り:品名「キャノーラ」だけで1205.10と断定(証憑不足)。
    4. 1212(海藻) vs 2102/3002/3101/3105(注5の除外対象)
      • どこで分かれるか:1212注5で、単細胞微生物(死体)・微生物培養・肥料は海藻の範囲から外れる整理。
      • 判断に必要な情報:原料が大型海藻か/微細藻類か、製品状態(培養物か乾燥粉末か)、用途(食品/肥料)。
      • 典型的な誤り:「藻類=海藻(1212)」と短絡して、注の除外を見落とす。
    5. 1211(植物そのもの) vs 第30類/第33類/3808(“調製品”)
      • どこで分かれるか:1211注4で、医薬品・化粧品等の調製品は除外
      • 判断に必要な情報:製品形態(単なる乾燥葉か、抽出・製剤か)、表示・効能主張、成分表、剤形。
      • 典型的な誤り:サプリ/外用製剤のような「調製品」を、原植物扱い(1211)で申告。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第12類が属する第II部(植物性生産品)には、「ペレット」の定義があります。
      → 圧縮、または重量3%以下の結合剤
      添加で凝集したもの。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 1210(ホップ)、1213(わら/もみ殻)、1214(飼料用植物)はペレット形状で流通しやすいです。
      「ペレットだから別章」ではなく、まずは各見出しの許容(“in the form of pellets”)と部注の定義で確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 結合剤が多く、実態が「調製品」「飼料調製」になっている場合は第23類などへ(要実態確認)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(超実務向け):
    • 注1:1207の対象例(パーム核、綿実、ひまし、ごま、マスタード、サフラワー、けしの実、シアナッツ等)を示しつつ、0801/0802やオリーブを除外
    • 注2:1208(油糧種子等の粉・ミール)は、部分脱脂や脱脂後の再加脂も含むが、2304〜2306の残留物は除外
    • 注3:1209(播種用)で「播種用とみなす種子」を定義しつつ、**播種用でも除外するもの(第7類・第9類・第10類・1201〜1207・1211)**を列挙
    • 注4:1211(薬用/香料用等の植物)の例示と、第30/33/3808の除外
    • 注5:1212の「海藻」の語から、2102/3002/3101/3105を除外
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 1205.10(低エルカ酸なたね/からし菜)の定義:
      固定油のエルカ酸が重量2%未満
      、かつ固形分のグルコシノレートが30µmol/g未満
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 1207→0801/0802、オリーブ(第7類/第20類)
    • 1208→2304〜2306
    • 1209→第7類/第9類/第10類/1201〜1207/1211
    • 1211→第30類/第33類/3808
    • 1212(海藻語)→2102/3002/3101/3105

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「播種用(1209)」に“行ける/行けない”が注で決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 品目(植物種)そのものが、1209注の除外対象(穀物、香辛料、1201〜1207、1211など)か
      • 播種用である客観資料(ラベル、検査証、用途証明)
    • 現場で集める証憑:
      • 種子証明書、発芽率試験、処理(コーティング/薬剤処理)情報、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • 「播種用」だけで1209に決め打ちし、1201.10等を外す(注違反)
  • 影響ポイント2:1208(粉・ミール)と2304等(搾油残渣)の線引きを注が固定
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 原料に対して「搾油(圧搾/溶剤抽出)」が行われ、残渣として出たか(=2304等)
      • それとも単なる粉砕・部分脱脂・再加脂の“粉/ミール”か(=1208)
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程図、製法説明、COA(油分/タンパク/灰分)、用途資料(食品/飼料)
    • 誤分類の典型:
      • 「大豆ミール」という商慣習名だけで1208にしてしまい、実態が搾油かす(2304)だった
  • 影響ポイント3:1211(植物)と“調製品”(第30/33/3808)が注で分かれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 抽出・混合・製剤化の有無、成分の標準化、効能表示、剤形
    • 現場で集める証憑:
      • 製品ラベル、成分表、MSDS、製造仕様、広告表示文言、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • サプリや外用剤のような“調製品”を、原植物扱いで1211申告(注違反)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:くるみ/アーモンド等を「油が取れるから」1207にする
    • なぜ起きる:油糧種子のイメージに引っ張られる
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):1207注1で0801/0802は除外
    • 予防策:植物名(ナッツ種別)と現物形状(殻付き/仁)を確認、過去の税関分類例も検索
  2. 間違い:落花生のロースト品を1202にする
    • なぜ起きる:「落花生=1202」と短絡
    • 正しい考え方:1202は**“not roasted or otherwise cooked”**が前提
    • 予防策:加熱・味付け・砂糖衣など加工工程を必ずヒアリング(製造工程/仕様書)
  3. 間違い:播種用の大豆を1209にする
    • なぜ起きる:「播種用=1209」と思い込み
    • 正しい考え方:1209注3(d)で、1201〜1207は播種用でも1209に入らない
    • 予防策:品目(大豆/なたね等)を先に確定→その上でSeed枝番を見る
  4. 間違い:キャノーラ(なたね)を証憑なしで1205.10にする
    • なぜ起きる:商標・通称で判断してしまう
    • 正しい考え方:1205.10は分析値の定義がある
    • 予防策:COA(エルカ酸/グルコシノレート)をロット紐付けで入手
  5. 間違い:搾油かす(飼料用大豆ミール等)を1208にする
    • なぜ起きる:「粉・ミール」という外観/商慣習名に依存
    • 正しい考え方:1208注2で、2304〜2306残留物は除外
    • 予防策:製造工程(搾油の有無)を質問票に入れる(例:「圧搾/溶剤抽出の有無」)
  6. 間違い:乾燥ハーブ製品を何でも1211にする
    • なぜ起きる:植物=1211と短絡
    • 正しい考え方:1211注4で、**医薬品(第30類)/化粧品(第33類)/農薬(3808)**は除外
    • 予防策:効能表示、抽出・配合の有無、剤形(錠剤・カプセル等)を確認
  7. 間違い:海藻由来の粉末を無条件に1212にする
    • なぜ起きる:「藻=海藻」という理解
    • 正しい考え方:1212注5で、微生物/培養/肥料は除外
    • 予防策:原料が大型海藻か微細藻類か、用途(食品/肥料)を仕様書で確認
  8. 間違い:アルファルファ“ペレット”を別章に飛ばす
    • なぜ起きる:「ペレット=飼料製品」と誤解
    • 正しい考え方:1214自体が“ペレット可”で、部注でペレット定義あり
    • 予防策:結合剤比率・混合の有無(単体圧縮か)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HS(最終製品)を誤ると、適用すべきPSR自体がズレて原産性判断が崩れます
  • よくある落とし穴(第12類で起きやすい):
    • 1208(粉)と2304(油かす)を取り違え、PSRのCTC基準が変わる
    • 1211(植物)と第30類(医薬製剤)を取り違える
    • HS2022の1211.60(アフリカンチェリー樹皮)を、旧版の1211.90としてPSRを見てしまう(協定の参照HS版次第)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • まず前提:協定ごとに採用HS版が異なるため、税関のPSR検索でも注意喚起されています。
  • 例(一次情報ベースで確認できるもの):
    • CPTPP:PSR・譲許は HS2012 ベース(“2017年1月1日直前に有効なHS=HS2012”で合意、と明示)
    • 日EU EPA:附属書のPSRは HS2017 と明記(Annex 3-Bの柱が“HS classification (2017)”)
    • RCEP:附属書3Aが HS2012 ベースと明記
      • ただし、HS2022へのトランスポジション版PSRが採択され、2023-01-01から実施とする資料(JETRO)もあります(運用は必ず最新版を確認)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定がHS2012/HS2017参照でも、実際の通関申告は最新HSで行うのが通常です(税関もその旨注意)。
    • その際は、WCOの相関表(Correlation Table)で旧→新を読み替えます。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(第12類で特に効く):
    • 最終製品のHS(6桁)と、材料のHS(可能なら6桁)
    • 原材料表(BOM)、各材料の原産国、工程(搾油/粉砕/乾燥/抽出など)
    • 1205.10等、分析値が号判定に必要なものはCOA(ロット管理)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 自己申告・第三者証明いずれでも、BOM、原価、工程資料、輸送書類等を整理(協定・相手国で保存年限等が異なり得る)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(新設を伴う)1211.60(新設)/1211.90(範囲縮小)1211.90(Other)から**アフリカンチェリー樹皮(Prunus africana)**を分離して別掲旧HS(1211.90)での履歴管理だとズレる。CITES管理品目の可能性もあり、分類・規制・原産地で影響
HS2017→HS2022変更なし(実務上)1201〜1214(上記以外)第12類の他の主要号は大枠維持ただし相手国国内コードの細分は別(国内コードとして要確認)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCOの相関表(HS2022↔HS2017)において、1211.90が分割され、新たに1211.60を設けたこと、およびその目的(アフリカンチェリー樹皮の取引監視)が明記されています。
  • HS2022の品目表(第12類)にも、1211の下位に**1211.60(Bark of African cherry)**が追加されています。
  • したがって、HS2017では1211.90に含まれていた範囲の一部(当該樹皮)が、HS2022で独立号になった、と判断できます。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第12類は、2007→2012で油糧種子系の枝番が増え、2017→2022で1211が一部細分化、という流れが見えます。

変遷主要な追加・削除・再編(例)旧コード → 新コード(例)実務メモ
HS2007→HS2012大豆・落花生等で「Seed」等の枝番が拡充1201.00 → 1201.10/1201.90、1202.10/20 → 1202.30/41/42播種用の区分がより明確に
HS2007→HS20121207(その他油糧種子)が大幅拡充(パーム核、ひまし、サフラワー、メロン種子等)1207.xx(限定的)→ 1207.10/21/29/30/60/70…“その他”の中身が増え、誤分類リスク低減
HS2007→HS20121212(海藻等)が「食用/その他」に分割、ローカストビーンズ・サトウキビ・チコリ根などが明確化1212.20 → 1212.21/1212.29 等食用判定・用途確認の重要性が上がる
HS2012→HS20171211で**エフェドラ(1211.50)**を別掲、また1211/1212で冷蔵・冷凍を含む表現1211.90(Other内)→ 1211.50 等薬用原料系は規制確認もセットで
HS2017→HS20221211で**アフリカンチェリー樹皮(1211.60)**を別掲1211.90(Other内)→ 1211.60CITES等の可能性、統計・規制・原産地で要注意

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):播種用大豆を1209で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):1209注3(d)(1201〜1207は除外)に抵触
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “soybean seeds for sowing” で、担当が機械的に1209へ
    • 典型的な影響:修正申告、関税・統計の再計算、検査強化・遅延(一般論)
    • 予防策:植物種→該当見出し→Seed枝番、の順でチェック
  • 事例名:搾油かす(大豆ミール)を1208申告
    • 誤りの内容:1208注2(2304〜2306残留物は除外)に抵触
    • 起きやすい状況:原料名が “soybean meal” で粉状、工程情報が無い
    • 典型的な影響:税番変更・税率差、原産地規則の再判定(一般論)
    • 予防策:工程図・搾油有無の確認を必須質問に
  • 事例名:ナッツ類を1207申告
    • 誤りの内容:1207注1(0801/0802除外)に抵触
    • 起きやすい状況:「油を搾れる」用途情報のみで分類
    • 典型的な影響:税番差、統計訂正、場合により許可・規制確認のやり直し
    • 予防策:植物種(ナッツの種類)と第8類の該当性を先に確認
  • 事例名:ハーブ抽出・製剤品を1211申告
    • 誤りの内容:1211注4(第30/33/3808除外)に抵触
    • 起きやすい状況:原料が植物なので、抽出・配合の有無を見ない
    • 典型的な影響:輸入手続(規制/届出)の追加確認、差止め・遅延(一般論)
    • 予防策:剤形・効能表示・成分表で“調製品”か判定

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物防疫(植物検疫):種子・苗だけでなく、穀類・豆類等も対象になり得ます。輸入時は、輸出国政府発行の**植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)**が必要になるケースがある旨が案内されています。
    • 食品衛生(食品の輸入届出):販売/営業目的で食品等を輸入する場合、検疫所への輸入届出・審査/検査が必要とされています。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第12類でも、植物種によってはCITES対象になり得ます。METIは「規制対象種の調べ方」として学術名の特定→附属書確認を案内しています。
    • 参考:**Prunus africana(アフリカンチェリー)**はCITES附属書II掲載(1995年~)との説明があります。HS2022で樹皮が1211.60として別掲された背景とも整合します。
  • その他の許認可・届出(例:麻薬等)
    • 税関は輸出入禁止・規制品目として麻薬等を挙げています。
    • 1211にはコカ葉(1211.30)、けしがら(1211.40)が号として存在しますが、実務では分類以前に輸入可否・許可の要否を必ず当局に確認すべき領域です。関連法令として麻薬及び向精神薬取締法があります。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(輸入FAQ等)
    • 食品輸入:厚生労働省(食品等輸入手続)/検疫所
    • CITES:経産省(対象種の調べ方)/条約情報
    • 分類相談:税関の事前教示(品目分類)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書、成分/分析表(COA)、製造工程、用途説明、写真、カタログ
    • (植物)学術名、産地証明、植物検疫証明書、必要に応じてCITES書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 植物種(和名/学名)、部位(種子・根・葉・樹皮等)、加工状態(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥、粉/ペレット)
    • 用途(播種用/食用/薬用/飼料用)と、それを裏付ける資料
    • 製造工程(搾油の有無、抽出・混合・製剤化の有無)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 1207注1、1208注2、1209注3、1211注4、1212注5を再確認
    • ペレットの場合、部注の「結合剤3%以下」要件も確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “seed / meal / cake / extract / pellets” 等の英語表現が実態と一致しているか
    • 写真・仕様書・COAを税番と紐付け
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017/2022)を確認し、必要なら相関表で読み替え
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫証明書の要否、食品輸入届出の要否、CITES該当性、麻薬等の該当性

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 12(0212_2022e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO HS Nomenclature 2017:Chapter 12(0212_2017e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO HS Nomenclature 2012:Chapter 12(0212_2012e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO HS Nomenclature 2007:Chapter 12(0212_2007e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO Correlation Table(HS2022↔HS2017):1211.60新設の根拠〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO Section II Note(pellets定義)〔参照日:2026-02-14〕
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:品目別原産地規則(HS版の注意、相関表リンク)〔参照日:2026-02-14〕
    • 税関:相関表(HS2022↔HS2017)〔参照日:2026-02-14〕
    • 税関:事前教示(品目分類)〔参照日:2026-02-14〕
    • 農林水産省:植物防疫所 輸入FAQ(植物検疫証明書)〔参照日:2026-02-14〕
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(輸入届出)〔参照日:2026-02-14〕
    • 経済産業省:ワシントン条約規制対象種の調べ方〔参照日:2026-02-14〕
    • 税関:輸出入禁止・規制品目(麻薬等)〔参照日:2026-02-14〕
    • e-Gov法令:麻薬及び向精神薬取締法〔参照日:2026-02-14〕
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:HS2012でPSRが合意(ガイド記載)〔参照日:2026-02-14〕
    • 日EU EPA:Annex 3-B(HS2017)〔参照日:2026-02-14〕
    • RCEP:Annex 3A(HS2012)〔参照日:2026-02-14〕
    • (参考)JETRO:RCEP PSRのHS2022トランスポジション実施情報〔参照日:2026-02-14〕
  • その他
    • CITES:Prunus africana(附属書II掲載)〔参照日:2026-02-14〕

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 現物写真(全体・ラベル・断面)
    • 仕様書(学名/部位/加工状態/用途/包装形態)
    • 工程(搾油の有無、抽出の有無、乾燥方法、ペレット化条件)
    • COA(必要な場合:油分、エルカ酸等)
  • 日本の実務導線(例)
    • 税関の公開事前教示(品目分類)検索で、類似品の分類実績・判断材料を収集
    • 重要案件は、税関の「事前教示制度」で照会(書類の整備が前提)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第11類:製粉工業製品、麦芽、でん粉、イヌリン及び小麦グルテン(Products of the milling industry; malt; starches; inulin; wheat gluten)

※用語統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 小麦粉(1101)
    • 小麦以外の穀粉(例:米粉、オート粉、そば粉、ライ麦粉等)(1102)
    • セモリナ/グリッツ/ミール(穀粒を砕いたもの)(1103)
    • 押し麦・オートミール(ロールド/フレーク)・精麦(パール化)など「穀粒を“加工(worked)”したもの」(1104)
    • 麦芽(モルト)(1107)
    • でん粉(小麦でん粉、コーンスターチ、馬鈴しょでん粉等)・イヌリン(1108)、小麦グルテン(1109) (国際税関機構)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 調製した粉類・ミックス(例:砂糖や乳成分等を加えた「調製品」)→ 第19類(例:1901) (国際税関機構)
    • コーンフレーク等の朝食用シリアル第19類(1904) (国際税関機構)
    • 麦芽エキス(malt extract)第19類(1901)(麦芽そのもの(1107)と混同しやすい) (国際税関機構)
    • 製粉副産物(ふすま、ぬか、ミドリング等) → 条件次第で 第23類(2302)(類注2の数値基準がカギ) (国際税関機構)
    • 化粧品等の性質をもつでん粉第33類 (国際税関機構)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. “穀粒そのもの”か(第10類)/“製粉・加工したもの”か(第11類)(押し・フレーク・精麦・粉砕などがあると第11類寄り) (国際税関機構)
    2. “粉(flour)”か/“粗い砕粒(groats/meal)”か/“穀粒の加工品(rolled/pearled等)”か(類注2・3のふるい基準が判断材料) (国際税関機構)
    3. “粉に見える副産物(ふすま等)”が第11類に入るか(2302に落ちるか)(でん粉含量・灰分の基準) (国際税関機構)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • ふすま/ぬか等(2302)と、粉類(1101/1102)を取り違える(課税・統計・原産地規則に波及)
    • オートミール(1104)を「穀物(第10類)」で出してしまう(加工度の見落とし)
    • でん粉(1108)と“加工でん粉(第35類:3505等)”を混同(用途・性状のズレが出やすい)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(品名+注):第11類は**類注(Notes)**が強いです。特に、
      • 第11類に入らないもの(第19類・第23類・第33類等)
      • 製粉副産物が2302に落ちる/落ちないの数値基準(でん粉含量・灰分)
      • **粉(1101/1102)と、粗い砕粒(1103)/加工穀粒(1104)**の判定基準
        が、類注で整理されています。 (国際税関機構)
    • GIR6(号の選択):例えば1104は「押し・フレーク」か「それ以外の加工穀粒」か、1108はでん粉の種類別など、6桁で実務分岐が多いです。 (国際税関機構)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 加工度:洗浄・乾燥のみ(第10類寄り)なのか、**圧ぺん(rolled)、フレーク、パール化、粉砕、でん粉抽出、発芽(麦芽)**などがあるのか
    • 形状と粒度:粉か、粗砕か、穀粒形状が残るか(ふるい基準が効く) (国際税関機構)
    • 成分/性状:でん粉が“未加工”か、“化学的に加工されたもの”か(第35類へ行きやすい)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:これは「食品原料/工業原料」としての粉・加工品ですか?(穀粒そのものではない)
    • YES → Step2
    • NO(穀粒そのもの)→ 第10類(穀物)側を検討
  • Step2:“調製品”ですか?(砂糖・乳成分等を加えたミックス、朝食用シリアル等)
    • YES → 第19類(1901/1904等)へ(類注で除外) (国際税関機構)
    • NO → Step3
  • Step3:製粉副産物(ふすま/ぬか/ミドリング等)に近いですか?
    • YES → 類注2(でん粉含量・灰分)で第11類か2302かを判定 (国際税関機構)
    • NO → Step4
  • Step4:品目タイプで4桁(1101〜1109)へ
    • 粉(小麦)→1101/粉(その他穀物)→1102
    • 粗砕(groats/meal)・ペレット→1103
    • 押し/フレーク/精麦等の加工穀粒・穀物胚芽→1104
    • いも粉/フレーク→1105、豆粉/タピオカ粉等→1106
    • 麦芽→1107、でん粉/イヌリン→1108、グルテン→1109 (国際税関機構)
  • よく迷う境界:
    • 第10類↔第11類:穀粒の“加工(worked)”の有無(押し・フレーク・精麦などは第11類1104が中心) (国際税関機構)
    • 第11類↔第23類(2302):ふすま等の副産物か、食用粉としての性状か(類注2の数値+サンプル分析) (国際税関機構)
    • 第11類↔第19類:単なる粉/砕粒か、調製品(ミックス、シリアル等)か (国際税関機構)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第11類は項が多くないため全列挙します(1101〜1109)。 (国際税関機構)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1101小麦粉・メスリン粉小麦粉(薄力/強力等の商業分類はHSでは直接決め手になりにくい)「小麦/メスリン」以外は1102へ。ふすま等は2302へ落ち得る(類注2) (国際税関機構)
1102小麦/メスリン以外の穀粉米粉、そば粉、オート粉、ライ麦粉、コーンフラワー(※“コーンミール”は1103側のことも)1102.20(とうもろこし粉)と1102.90(その他)で分岐。HS2007の「ライ麦粉1102.10」はHS2012で削除(現在は1102.90側) (国際税関機構)
1103穀類のグローツ、ミール及びペレットセモリナ、グリッツ、コーンミール、粗挽き粉、飼料用ペレット「groats/meal」の定義は類注3(ふるい基準)。ペレットは部注の定義(結合剤3%以下等)も確認 (国際税関機構)
1104穀粒の加工品(押し/フレーク/精麦等)・穀物胚芽オートミール(ロールドオーツ)、押し麦、精麦(パール麦)、コーングリッツ以外の加工穀粒、小麦胚芽類注2で「穀物胚芽は常に1104」と明示。押し/フレークか、その他加工穀粒かで6桁が分かれる (国際税関機構)
1105ばれいしょ(じゃがいも)の粉・フレーク等ポテトフレーク、ポテト粉、ポテトグラニュールでん粉(1108.13)と混同注意(抽出でん粉か、粉/フレークか) (国際税関機構)
1106豆類/タピオカ等/果実の粉ひよこ豆粉、えんどう豆粉、タピオカ粉(キャッサバ粉)、バナナ粉原料が「乾燥豆(0713)」か「根茎(0714)」か「果実(第8類)」かで分岐 (国際税関機構)
1107麦芽大麦麦芽(未焙燥/焙燥)、醸造用麦芽麦芽エキスは1901。焙燥の有無で6桁分岐 (国際税関機構)
1108でん粉、イヌリン小麦でん粉、コーンスターチ、片栗粉(馬鈴しょでん粉)、タピオカでん粉、イヌリン**加工でん粉(例:化学的に修飾)**は第35類へ行きやすい。イヌリンは1108.20 (国際税関機構)
1109小麦グルテン小麦グルテン(乾燥/湿潤)調製食品(味付け・調理等)になると他類の検討余地。6桁は1109.00のみ (国際税関機構)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 穀粉(1101/1102)か、ミール/グローツ(1103)か、加工穀粒(1104)か
      • 類注2(B)の「ふるい通過率(315µmまたは500µm)」、類注3の「groats/mealのふるい基準(2mm/1.25mm・95%)」が判断材料です。 (国際税関機構)
    • ペレット(1103.20、1105.20等)
      • 「結合剤3%以下」等の部注定義を踏まえて、実態がペレットかを確認します。 (国際税関機構)
    • でん粉(1108)
      • 原料由来(小麦/とうもろこし/じゃがいも/キャッサバ等)で6桁が分かれます。 (国際税関機構)
    • 麦芽(1107.10/1107.20)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1102.20(とうもろこし粉) vs 1102.90(その他の穀粉)
      • どこで分かれるか:原料穀物が「とうもろこし」か否か
      • 判断に必要な情報:原料名、配合(混合粉の場合は配合比・表示)、仕様書
      • 典型的な誤り:「コーンミール(粗い)」を1102.20にしてしまう(粒度次第で1103側の検討が必要) (国際税関機構)
    2. 1103(グローツ/ミール) vs 1104(加工穀粒:押し/フレーク/精麦等)
      • どこで分かれるか:
        • 1103は「砕いたもの(fragmentation)」で、類注3のふるい基準に合う粒度 (国際税関機構)
        • 1104は「押し・フレーク・精麦・スライス・キブル」など“加工穀粒”
      • 判断に必要な情報:製造工程(粉砕なのか、圧ぺんなのか、精麦なのか)、粒度データ、写真
      • 典型的な誤り:オートミール(ロールド)を「ミール(1103)」と誤認
    3. 1107.10(未焙燥麦芽) vs 1107.20(焙燥麦芽)
      • どこで分かれるか:焙燥(roasting)の工程の有無
      • 判断に必要な情報:工程表、製造仕様、色調(参考)、用途(コーヒー代用品等)
      • 典型的な誤り:焙燥麦芽を“コーヒー代用品”用途で販売しているのに1107のままにする(類注1で除外され得る) (国際税関機構)
    4. 1108.13(馬鈴しょでん粉) vs 1105.10/1105.20(ばれいしょの粉/フレーク等)
      • どこで分かれるか:でん粉抽出品(starch)か、じゃがいも自体を乾燥粉砕/フレーク化したものか
      • 判断に必要な情報:製造方法(抽出/分離の有無)、成分表(でん粉比率)、製品写真
      • 典型的な誤り:ポテトフレークを「片栗粉系」と混同
    5. 1108(でん粉) vs 第35類(加工でん粉等)
      • どこで分かれるか:化学的修飾・糊化等により性状が変わっているか(“改質”の内容)
      • 判断に必要な情報:SDS/仕様書、加工内容、用途(接着剤用途等)
      • 典型的な誤り:「プレゲル化」等の処理を未確認で1108に固定してしまう(実態で検討)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第II部(植物性生産品)には「ペレット」の定義があります(圧縮で凝集、または結合剤を重量3%以下加えて凝集したもの等)。 (国際税関機構)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 1103や1105等で「pellets」と書かれていても、実物が“単なる固形物”ではなく、ペレット定義に合致するか(結合剤比率・圧縮工程)を仕様書で確認するのが安全です。 (国際税関機構)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 穀粉・でん粉を接着剤用途混合調製した結果、性状が変わっている場合は、部注・類注の外側(第19類/第35類等)に飛ぶことがあります(まずは「調製品か否か」を確認)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第11類の核):
    1. 除外規定(類注1):調製粉(1901)、コーンフレーク等(1904)、コーヒー代用品としての焙燥麦芽(0901/2101)、化粧品等の性状をもつでん粉(第33類)等は第11類に入らない。 (国際税関機構)
    2. 製粉副産物の線引き(類注2(A))
      • 指定穀物(小麦・ライ麦・大麦・オーツ・とうもろこし/ソルガム・米・そば)由来の製粉品は、でん粉含量(乾燥基準)と灰分が基準を満たすと第11類、満たさないと原則2302へ(ただし穀物胚芽は常に1104)。 (国際税関機構)
    3. 粉(1101/1102)と粗砕品(1103/1104)の線引き(類注2(B))
      • ふるい(315µmまたは500µm)通過率で、粉(1101/1102)か、1103/1104かを整理しています。 (国際税関機構)
    4. groats/mealの定義(類注3)
      • 1103の「groats/meal」は、ふるい(とうもろこしは2mm、その他は1.25mm)を95%以上通過する砕粒、と定義されています。 (国際税関機構)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「groats」「meal」(1103用)は、上記のとおり**“ふるい基準”で定義**されています。 (国際税関機構)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:“粉に見える副産物”が第11類か2302か(類注2(A))
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 対象穀物由来か(小麦/大麦/米等)
      • **でん粉含量(乾燥基準)灰分(添加ミネラル控除後)**が基準を満たすか (国際税関機構)
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • 成分分析(第三者試験でも可)、製造工程(ふすま/ミドリング等の副産物か)、用途表示
    • 誤分類の典型:
      • 「wheat bran(ふすま)」を1101(小麦粉)で申告(類注2の基準を見ていない)
  • 影響ポイント2:1101/1102(粉)と1103/1104(粗砕・加工穀粒)の線引き(類注2(B)・類注3)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 粒度分布、ふるい通過率(315µm/500µm、1103用は2mm/1.25mm) (国際税関機構)
    • 現場で集める証憑:
      • 粒度証明(ふるい試験結果)、製品写真、品質規格書(メッシュ等)
    • 誤分類の典型:
      • 「コーンミール(粗い)」を1102.20(とうもろこし粉)にしてしまう
      • セモリナ(粗砕)を1101(小麦粉)としてしまう
  • 影響ポイント3:“調製品”に当たると第19類へ(類注1)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 原材料(砂糖・乳成分・香料等)と配合、用途(パンケーキミックス等)
    • 現場で集める証憑:
      • 原材料表、配合表、製品ラベル、製造仕様
    • 誤分類の典型:
      • ホットケーキミックス等を「小麦粉」扱いで1101にしてしまう (国際税関機構)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:オートミール(ロールドオーツ)を第10類(穀物)で申告
    • なぜ起きる:品名が“oats”で、加工(圧ぺん/フレーク)を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):加工穀粒は1104(押し/フレーク等)に入り、穀粒そのもの(第10類)と区別されます (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 仕様書で工程(rolled/flaked/pearled等)を確認
      • “粒のままか、形状が変わっているか”の写真を入手
  2. 間違い:ふすま・ぬか・ミドリング等を1101/1102(粉)で申告
    • なぜ起きる:見た目が粉で、製粉副産物の扱いを知らない
    • 正しい考え方:類注2(A)により、でん粉含量・灰分が基準を満たさない場合は2302へ整理されます (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 成分分析(でん粉・灰分)を取り、根拠を残す
      • “bran / middlings / residue”表記がある場合は要注意
  3. 間違い:セモリナ(粗砕小麦)を1101(小麦粉)としてしまう
    • なぜ起きる:「小麦由来=小麦粉」と短絡
    • 正しい考え方:1103(groats/meal)は類注3のふるい基準で定義され、粉(1101)と区別されます (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 粒度分布(ふるい結果)を入手
      • 取引名(semolina/grits/meal)だけで決めない
  4. 間違い:小麦胚芽(wheat germ)を1101/1102に寄せる
    • なぜ起きる:粉状で“フラワー(flour)”に見える
    • 正しい考え方:類注2(A)で、穀物胚芽は常に1104と整理されています (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 原料が胚芽(germ)である旨を仕様書・ラベルで明確化
  5. 間違い:麦芽(1107)と麦芽エキス(1901)を混同
    • なぜ起きる:“malt”表記が同じで、形態(抽出物か粒状か)を見ない
    • 正しい考え方:第11類の除外として、調製品(1901)側が明示されています(麦芽エキス等) (国際税関機構)
    • 予防策:
      • “extract”の有無、製造工程(抽出・濃縮の有無)を確認
      • 製品形態(粉末/シロップ等)と成分表を確認
  6. 間違い:焙燥麦芽を「コーヒー代用品」用途で売っているのに1107のまま
    • なぜ起きる:焙燥麦芽=1107.20、と機械的に判断
    • 正しい考え方:類注1で「コーヒー代用品としての焙燥麦芽」は第11類から除外され得ます (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 用途(coffee substitute)表示の有無をチェック
      • パッケージ表示・販促資料も含めて確認
  7. 間違い:でん粉(1108)と加工でん粉(第35類)を混同
    • なぜ起きる:“starch”とだけ書かれていて、改質の有無を追っていない
    • 正しい考え方:第11類はでん粉(starches)だが、性状や加工内容次第で他類(第35類など)を検討する必要があります
    • 予防策:
      • SDS/仕様書で「modified」「pregelatinized」「etherified」等の記載確認
      • 用途(接着剤用途等)を確認
  8. 間違い:ポテトフレーク(1105.20)を「でん粉(1108.13)」としてしまう
    • なぜ起きる:粉っぽい見た目で“starch”と誤認
    • 正しい考え方:でん粉は抽出・分離品、1105はポテト自体の粉/フレーク等です (国際税関機構)
    • 予防策:
      • 製造方法(抽出/分離の有無)を工程表で確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第11類は「原料(第10類の穀物)→製粉品(第11類)」と**品目転換(CTC)**が起きやすく、誤分類すると原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 原料(小麦:1001等)のHSと、製品(小麦粉:1101等)のHSを混同
    • 「ふすま等(2302)」に落ちるかどうかでPSRの前提が変わるのに、成分分析を取っていない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 多くの協定では、付属書(PSRや譲許表)がHS2012参照など、HS2022と版がズレることがあります(協定ごとの正文・付属書で確認が必要です)。
  • ズレがある場合の注意(一般論):
    • まず「協定が参照するHS版」で製品HSを確定し、HS2022との対応は**相関表(correlation tables)**で裏取りする
    • WCOの相関表は実務上の手掛かりになりますが、法的な分類決定そのものではない点に注意します (国際税関機構)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 原産性判断に必要になりやすいデータ
    • BOM、原料原産国、製造工程(製粉/抽出/焙燥等)、非原産材料のHS、原価情報(RVCの場合)
    • ふすま等の境界品は、**成分分析(でん粉・灰分)**があると強い(類注2の根拠にもなる) (国際税関機構)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕様書・工程表・分析結果・取引書類を、協定で求められる期間の範囲で保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(実質)第11類(1101〜1109)見出し・号構成および類注1〜3について、HS2017とHS2022で実務上の差異は確認できませんHS6桁の運用は継続しやすい。一方、協定(PSR)の参照HS版や各国国内コードは別途確認が必要 (国際税関機構)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
    • WCOのHS2017 第11類(Chapter 11)テキスト (国際税関機構)
    • WCOのHS2022 第11類(Chapter 11)テキスト (国際税関機構)
    • WCOが公表するHS2017↔HS2022相関表の位置づけ説明(相関表はガイドであり法的決定ではない等) (国際税関機構)
  • 上記に基づき、HS2017とHS2022で第11類の条文(類注1〜3、見出し・号)に実務上の差異がないため、「変更なし」と整理しました。 (国際税関機構)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(第11類で実務に影響しやすいところ中心)
流れ主要な追加・削除・再編旧コード→新コード(または行き先)実務コメント
HS2007→HS20121102.10(ライ麦粉)の削除(低取引量等を理由に整理)1102.10 → 1102.90(その他の穀粉側に統合)「ライ麦粉=1102.10」と古い情報を参照して誤るケースがあるため、協定HS版・社内マスタの更新が重要 (関税庁)
HS2012→HS2017大きな構造変更は見当たらない(実質変更なし)第11類は安定。ただし各国の国内コード更新は別 (国際税関機構)
HS2017→HS2022大きな構造変更は見当たらない(実質変更なし)第11類のHS6桁は継続的に使いやすい (国際税関機構)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ふすまを「小麦粉」で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):類注2(A)の枠組み(でん粉含量・灰分基準を見ずに1101へ) (国際税関機構)
    • 起きやすい状況:インボイスが “wheat bran/flour” と曖昧、成分分析が無い
    • 典型的な影響(一般論:修正申告、追加納税、検査強化、遅延など):修正申告、検査強化、通関遅延
    • 予防策(事前確認、税関相談、書類整備など):成分分析(でん粉・灰分)、工程説明、必要なら事前教示
  • 事例名:ホットケーキミックスを1101で申告
    • 誤りの内容:類注1(調製粉は第19類)に反する可能性 (国際税関機構)
    • 起きやすい状況:商品名に “flour mix” 程度しか書かれていない
    • 典型的な影響:差戻し、補正、食品表示・検査対応の追加
    • 予防策:原材料・配合表、ラベル、用途資料を準備
  • 事例名:オートミール(ロールド)を第10類で申告
    • 誤りの内容:加工穀粒(1104)を見落とし
    • 起きやすい状況:“oats”とだけ書かれた書類、写真なし
    • 典型的な影響:補正、検査、納期遅延
    • 予防策:工程(rolled/flaked)を確認し、写真・仕様書を添付
  • 事例名:でん粉(1108)と加工でん粉(他類)の取り違え
    • 誤りの内容:類注1(化粧品等の性状のものは第33類)等の除外や、実態の改質を見落とす (国際税関機構)
    • 起きやすい状況:仕様書に“modified”の記載があるが確認不足
    • 典型的な影響:税番差、規制・表示・用途要件の齟齬
    • 予防策:SDS/仕様書で改質内容を特定、必要なら税関相談

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法(輸入届出):販売または営業上使用する食品等を輸入する場合、輸入届出が求められます(検疫所で手続)。 (厚生労働省)
    • 植物検疫(植物防疫法):植物・植物由来品(穀類・豆類等を含む)が輸入検査の対象となる場合があります。加工度・形態によって要否が変わるため、植物防疫所の最新要件で確認が必要です。 (農林水産省)
  • その他の許認可・届出
    • 第11類は食品原料が中心のため、まずは「食品衛生」「植物検疫」の2軸を優先して確認するのが実務的です(用途が化粧品/医薬品寄りの場合は別法令の可能性)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品衛生:厚生労働省(輸入手続・監視) (厚生労働省)
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(輸入検査・輸出検査) (農林水産省)
    • 品目分類:税関の事前教示(分類) (関税庁)
  • 実務での準備物(一般論):
    • インボイス、パッキングリスト、B/L
    • 商品仕様書(原料、工程、粒度、用途)、ラベル/写真
    • 成分分析(ふすま等の境界品、でん粉・改質でん粉の境界品で特に有効)
    • 必要に応じて、植物検疫・食品衛生の届出/証明書類 (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料(穀物/豆/いも/果実)、加工工程(製粉、圧ぺん、精麦、抽出、焙燥等)
    • 形状(粉、粗砕、フレーク、ペレット)と粒度データ
    • 混合・調製の有無(砂糖、乳成分、添加物等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1(第19類等への除外)
    • 類注2(2302へ落ちる/落ちない、ふるい基準で1101/1102か1103/1104か)
    • 類注3(groats/mealの定義) (国際税関機構)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “flour/meal/grits/rolled/flake/germ/extract/modified”などキーワードが書類にあるか確認
    • 仕様書・写真・分析表を、申告時に提出できる形で整理
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版を確認し、必要なら相関表で読み替え(一般論)
    • 原料(第10類)→製品(第11類)の変化がPSRに影響する前提で検証
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO:HS2022 第11類(Chapter 11)条文(類注1〜3、見出し・号) (国際税関機構)(参照日:2026-02-14)
  • WCO:HS2017 第11類(Chapter 11)条文 (国際税関機構)(参照日:2026-02-14)
  • WCO:HS2012 第11類(Chapter 11)条文 (国際税関機構)(参照日:2026-02-14)
  • WCO:HS2007 第11類(Chapter 11)条文(旧1102.10の存在確認等) (国際税関機構)(参照日:2026-02-14)
  • WCO:第II部(植物性生産品)部注(ペレットの定義:結合剤3%以下等) (国際税関機構)(参照日:2026-02-14)
  • WCO:相関表(HS2017↔HS2022)の位置づけ説明 (国際税関機構)(参照日:2026-02-14)
  • 日本税関:HS2012↔HS2007相関表(1102.10削除の注記等) (関税庁)(参照日:2026-02-14)
  • 日本税関:品目分類の事前教示(Advance Ruling on Classification) (関税庁)(参照日:2026-02-14)
  • 厚生労働省:食品衛生法に基づく輸入届出(Import Procedure under Food Sanitation Act) (厚生労働省)(参照日:2026-02-14)
  • 農林水産省 植物防疫所:植物検疫(輸入検査) (農林水産省)(参照日:2026-02-14)
  • 規制改革推進室(英語):Plant Protection Law(輸入時の検査・証明書確認等の概要) (内閣府ホームページ)(参照日:2026-02-14)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • HSは国際的には6桁(号)ですが、日本の通関実務では**国内コード(8桁/9桁等)**で細分されることがあります。
  • 第11類は「穀粉の種類」「用途(食品/飼料/工業)」「成分」等で国内細分が設けられることがあるため、最終的な申告は日本の国内コード表で必ず確認してください(HS6桁と混同しない)。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 税番に迷う場合、税関の**事前教示(品目分類)**を活用できます。 (関税庁)
  • 相談が早くなる情報(一般論)
    • 製品仕様書(原料、製造工程、粒度、用途)
    • 原材料表・配合表(調製品疑いのとき必須)
    • 成分分析(でん粉・灰分、改質の有無など)
    • 現物写真、ラベル、サンプル可否

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第10類:穀物(Cereals)

※用語統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 小麦(デュラム小麦含む)・メスリン(小麦+ライ麦の混合)
    • 米(籾米・玄米・精米・砕米まで含む)
    • とうもろこし(乾燥した粒=メイズ/コーン)
    • 大麦、オーツ麦(えん麦)、ライ麦、ソルガム(グレインソルガム)
    • そば、キビ等のミレット、カナリーシード、フォニオ、キヌア、トリティケール など (wcoomd.org)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 「穀粒を加工したもの」(例:オートミール(ロールドオーツ)、押し麦、フレーク、パール化、割砕、粉、ミール、グリッツ等)
      → 典型的には **第11類(製粉工業製品:1101〜1104等)**へ(類注で除外) (wcoomd.org)
    • 麦芽(モルト) → 典型的には 第11類(1107)
    • ポップコーン(弾けた状態)や朝食用シリアル等の調製品 → 典型的には 第19類
    • スイートコーン(甘味種のとうもろこし)第7類(類注で明示除外) (wcoomd.org)
    • 穀物のわら・もみ殻・ぬか等 → 典型的には 第12類(わら・殻)第23類(ぬか等の残さ)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「穀粒があるか」(穂付き/茎付きでも“穀粒あり”なら第10類の土台) (wcoomd.org)
    2. 「脱ぷ・精白・圧ぺん等の加工があるか」(原則NGで第11類へ。ただし米は例外、キヌアも一部例外) (wcoomd.org)
    3. 「とうもろこしが“スイートコーン”か」(スイートコーンは第7類) (wcoomd.org)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 米(1006)の状態区分(籾米/玄米/精米/砕米)を取り違える
    • 播種用(Seed)か食用・飼料用(Other)かの誤り(1001/1002/1003/1004/1005/1007/1008の各所で分かれます) (wcoomd.org)
    • 日本向けでは、**米・小麦等の輸入制度(手続・課税・制度的制約)**が別途絡むケース (関税庁)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(品名+注):第10類は「注(Notes)」が強いです。
      • “穀粒があること”が前提(類注1(A))
      • “脱ぷ・精白・圧ぺん等の加工穀粒”は原則除外(類注1(B))
      • “スイートコーンは除外”が明記(類注2) (wcoomd.org)
    • GIR6(号の選択):例えば米は1006.10〜1006.40の状態区分、その他穀物は「Seed/Other」で分岐します。 (wcoomd.org)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 加工度(workedかどうか):ロールド、フレーク、パール化、割砕、粉化、ミール化、ペレット化…は第10類から外れやすい(例外:米、特定のキヌア) (wcoomd.org)
    • 状態(米):籾付きか、玄米か、精米か、砕米か
    • 品種(とうもろこし):スイートコーンか、乾燥穀粒のメイズか
    • “播種用”の客観性:契約用途だけでなく、品目の性状・表示・証明資料で固める

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:穀粒が「ある」形態ですか?(穂付き/茎付きでも可)
    • YES → Step2へ
    • NO → 第10類以外(例:わら・殻、残さ 等)を検討(第12類/第23類など)
  • Step2:スイートコーンですか?
    • YES → 第7類(第10類1005から明示除外) (wcoomd.org)
    • NO → Step3へ
  • Step3:脱ぷ・精白・圧ぺん等の“加工穀粒(worked)”ですか?
    • YES → 原則 第11類(1104等)へ
      • ただし例外:
        • :脱殻・精米・研磨・パーボイル・砕米でも1006に残る (wcoomd.org)
        • キヌア:サポニン除去のための外皮(pericarp)除去のみで他加工が無い場合は1008に残る (wcoomd.org)
    • NO → Step4へ
  • Step4:穀物の種類で項(1001〜1008)を決定 → Step5へ
  • Step5:号(6桁)の分岐
    • “Seed/Other”、米の状態、ミレットのSeed/Otherなどで確定 (wcoomd.org)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第10類 vs 第11類:加工穀粒(ロールド/フレーク/パール化/割砕/粉など)かどうか(類注1(B)が起点) (wcoomd.org)
    • 第10類1005(メイズ) vs 第7類(スイートコーン):類注2で明示 (wcoomd.org)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第10類は項が少ないため全列挙します(1001〜1008)。 (wcoomd.org)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1001小麦・メスリンパン用小麦、デュラム小麦、メスリンデュラムか否か/播種用(Seed)か/粉・フレーク等は第11類へ
1002ライ麦ライ麦粒播種用(Seed)か/加工(圧ぺん等)は第11類へ
1003大麦飼料用大麦、麦飯用大麦(未加工の粒)播種用(Seed)か/押し麦・精麦(パール化)等は第11類へ/麦芽は第11類
1004オーツ麦(えん麦)オーツ粒播種用(Seed)か/オートミール(ロールド)は第11類へ
1005とうもろこし(メイズ/コーン)飼料用コーン、乾燥コーン粒、ポップコーン用乾燥粒播種用(Seed)か/スイートコーンは第7類(類注で除外)
1006籾米、玄米、精米、砕米米は“加工穀粒”例外:脱殻・精米・研磨・パーボイル・砕米でも第10類に残る(1006.10〜.40)
1007ソルガム(グレインソルガム)飼料用ソルガム粒播種用(Seed)か/加工穀粒は第11類へ
1008そば、ミレット、カナリーシード、その他の穀物そば、キビ等、カナリーシード、フォニオ、キヌア、トリティケール等ミレットはSeed/Otherで分岐/キヌア外皮除去(サポニン分離目的)でも他加工が無い限り第10類に残る

※上表は第10類の条文構造(項・号)と類注の要点に基づく実務整理です。 (wcoomd.org)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • Seed(播種用) vs Other(それ以外)
      • 対象:1001/1002/1003/1004/1005/1007、および1008.21(ミレットSeed)など (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報(例):
        • 商品仕様:品種、発芽率、種子消毒(薬剤処理)の有無
        • 取引実態:播種用としての表示、用途表示、販売先(種苗会社等)
        • 書類:カタログ、種子証明、検査証明、ラベル写真、契約書(用途条項)
    • 米(1006)の状態区分:籾米/玄米/精米(半精米含む)/砕米 (wcoomd.org)
    • 加工の有無(workedか):原則、加工穀粒は第10類に入らない(例外:米、特定のキヌア) (wcoomd.org)
    • スイートコーンの除外:1005ではなく第7類 (wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1006.10/1006.20/1006.30/1006.40(米の状態)
      • どこで分かれるか:籾殻の有無、ぬか層の残り方、砕粒かどうか
      • 判断に必要な情報:精米工程(玄米→精米の度合い)、写真、粒の状態、規格書
      • 典型的な誤り:玄米を精米扱い/砕米を精米扱い(歩留り・用途の思い込み)
    2. (各穀物)Seed vs Other
      • どこで分かれるか:“播種用としての性状・表示・証憑”が揃うか
      • 判断に必要な情報:種子ラベル、検査証明、用途表示、取引先情報
      • 典型的な誤り:「契約で播種用」と言われただけでSeed側に寄せる/逆に種子用なのに食品原料としてOtherに寄せる
    3. 1005(メイズ) vs 第7類(スイートコーン)
      • どこで分かれるか:スイートコーン(甘味種)か否か
      • 判断に必要な情報:品種、用途(青果として食べる形態か)、水分・状態(生鮮/冷蔵など)
      • 典型的な誤り:「corn=1005」と短絡してスイートコーンを1005にしてしまう(類注で除外) (wcoomd.org)
    4. 1008.50(キヌア) vs 第11類(加工穀粒・粉等)
      • どこで分かれるか:外皮除去(サポニン分離目的)“だけ”か、圧ぺん・粉砕等の追加加工があるか
      • 判断に必要な情報:工程表、製品写真、粒の形状、成分・処理説明
      • 典型的な誤り:外皮除去キヌアを「加工穀粒」とみなして第11類へ寄せる(HS2022類注で明確化) (wcoomd.org)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第10類が属する**第II部(植物性生産品)**には、「pellets(ペレット)」の定義があります。 (wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「ペレット」とは、圧縮または**結合剤(3%重量以下)**で凝集させたもの、という定義です。 (wcoomd.org)
    • 穀物が「ペレット」形状になっている場合、そもそも第10類の“穀粒”から外れやすく、**第11類(穀粉・ミール・ペレット)第23類(飼料)**の検討が必要になることが多い、という実務示唆になります(※具体の帰属は成分・用途・加工で変わります)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「穀物(粒)」としての取引名でも、実物がペレット状で、しかも粉砕・配合等があれば第10類を外れる可能性が高い(第11類/第23類側を精査)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1(A):第10類各項は、穀粒が存在する場合にのみ適用される(穂・茎付きでも可)。 (wcoomd.org)
    • 類注1(B):原則として、脱ぷ・精白等により“加工された穀粒”は第10類に入らない。ただし、
      • は(脱殻・精米・研磨・つや出し・パーボイル・砕米でも)1006に残る (wcoomd.org)
      • キヌアは、サポニン分離のため外皮(pericarp)を全部/一部除去しただけで他加工が無ければ1008に残る (wcoomd.org)
    • 類注2:1005(メイズ)はスイートコーンを含まない(第7類へ)。 (wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「デュラム小麦」の定義:Triticum durum(デュラム小麦種)および同種と同じ染色体数(28)を持つ交配由来のもの(Subheading Note)。 (wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • スイートコーン → 第7類(類注2で明示) (wcoomd.org)
    • 加工穀粒(原則) → 第11類(製粉工業製品)側へ(類注1(B)が起点) (wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:穀粒があるかどうか(類注1(A))
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 穂付き・茎付きでも穀粒が存在するか、写真・現物で確認
    • 現場で集める証憑:
      • 現物写真(俯瞰+拡大)、梱包状態、商品規格書
    • 誤分類の典型:
      • 「わら・殻」系なのに穀物として申告、またはその逆(粒が残っているのに“わら”扱い)
  • 影響ポイント2:加工穀粒か(類注1(B))+例外(米/キヌア)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 工程(脱ぷ、精白、圧ぺん、割砕、粉砕、焙煎、調理、膨化等)の有無
      • 米は例外として1006に残る加工範囲か
      • キヌアは「サポニン分離目的の外皮除去のみ」か、追加加工があるか (wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • 工程図、製造仕様書、SDS/成分表(必要に応じ)、製品写真、粒度分布(粉の場合)
    • 誤分類の典型:
      • ロールドオーツを1004で申告(実際は加工穀粒で第11類寄り)
      • 外皮除去キヌアを“加工穀粒”として第11類へ寄せる(HS2022類注で整理) (wcoomd.org)
  • 影響ポイント3:スイートコーン除外(類注2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 品種(スイートコーンか)、状態(生鮮/冷蔵等)、用途
    • 現場で集める証憑:
      • 品種証明、カタログ、インボイス品名、写真
    • 誤分類の典型:
      • “corn”の語だけで1005にしてしまう(スイートコーンは第7類) (wcoomd.org)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:オートミール(ロールドオーツ)を **1004(オーツ)**で申告
    • なぜ起きる:商品名に「オーツ」とあり、粒の加工(圧ぺん)を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第10類は「加工穀粒」を原則除外(類注1(B)) (wcoomd.org)
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 工程表で「圧ぺん(rolled/flaked)」有無を確認
      • 「粒のまま?フレーク?割砕?」をサプライヤーに質問
  2. 間違い:外皮除去(サポニン除去)キヌアを 第11類に振ってしまう
    • なぜ起きる:外皮除去=加工、と短絡して“加工穀粒”と判断
    • 正しい考え方:HS2022の類注で、サポニン分離目的の外皮除去のみで他加工が無ければ1008に残る旨が明確化 (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 「外皮除去以外の工程(圧ぺん・割砕・粉砕・加熱等)は?」を確認
      • 仕様書に“no other processes”相当の説明を入れてもらう
  3. 間違い:スイートコーンを **1005(メイズ)**にしてしまう
    • なぜ起きる:“corn”という単語だけで判断
    • 正しい考え方:1005はスイートコーンを含まない(類注2で明示) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 品種・用途(青果として食べる甘味種か)を確認
      • インボイス品名に “sweet corn” 等がある場合は要注意
  4. 間違い:小麦粉を **1001(小麦)**で申告
    • なぜ起きる:原料名(wheat)ベースで判断してしまう
    • 正しい考え方:粉は「穀物(粒)」ではなく、通常は第11類(例:小麦粉 1101)
    • 予防策:
      • 形状(粒/粉/フレーク)を第一優先で確認
      • 粒度、製粉工程の有無を確認
  5. 間違い:麦芽(モルト)を **1003(大麦)**で申告
    • なぜ起きる:原料が大麦なので1003と思い込み
    • 正しい考え方:発芽させた麦芽は通常、第11類(1107)側の検討が必要
    • 予防策:
      • 「発芽処理しているか?」を仕様書で確認
      • 用途(醸造用/食品用)と製造工程を確認
  6. 間違い:米ぬか・ふすま等を **1006(米)**にしてしまう
    • なぜ起きる:原料名(rice)ベースで判断
    • 正しい考え方:ぬか等は「残さ」として第23類(例:2302)側が典型
    • 予防策:
      • 製造工程(精米副産物か)と成分表、形状(粉状)を確認
  7. 間違い:籾米(paddy)と玄米(brown)を取り違える
    • なぜ起きる:英語表記(husked/hulled等)や現物確認不足
    • 正しい考え方:1006は状態区分が明確(籾付き/玄米/精米/砕米) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 写真(籾殻の有無)と工程の有無(脱殻済みか)を確認
  8. 間違い:播種用ではない穀物を“Seed”側で申告(または逆)
    • なぜ起きる:契約用途だけで判断し、客観資料がない
    • 正しい考え方:Seed/Otherの分岐は、品目の性状・表示・証憑で固める必要がある (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 種子ラベル、検査証明、用途表示を必須資料化
      • “食用グレード”の表示があるのにSeedで申告しない

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。誤ると、そもそも適用すべきPSRが変わり、原産性判断(WO/CTC/RVC等)が崩れます
  • よくある落とし穴:
    • 「最終製品」を第10類で見るのか、第11類(粉・フレーク等)で見るのかでPSRが変わる
    • 原材料(穀粒)のHSと、製品(粉、シリアル、加工品)のHSを混同する

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 例:CPTPP
    • 日本の譲許表(Tariff Schedule)は **“HS2012”**として公表されています(=税率段階のコード体系がHS2012ベース)。 (内閣官房)
  • 例:RCEP
    • 品目別規則(Annex 3A)はHS2012ベースである旨が明記されています。 (Australian Border Force Website)
    • 一方で、RCEPではHS2022へのトランスポーズ(移し替え)版PSRが採択・実施された旨の整理もあります(運用時は必ず最新版の付属書・国内実施資料を確認してください)。 (JETRO)
  • 実務上の注意(一般論):
    • 協定本文・付属書が参照するHS版と、通関実務で使っているHS版がズレると、PSRの読み替え(トランスポジション)が必要になります。
    • HS6桁より下(8桁/9桁など)の「国内コード」は各国で異なり、国同士で単純比較できません。 (dfat.gov.au)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(典型):
    • 材料表(BOM)、原産国(栽培地/収穫地)、工程(乾燥、精米、外皮除去等)、非原産材料の有無
    • 「播種用」等で品目が分かれる場合、ラベル・証明書類
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 仕様書・工程表・取引書類(インボイス、契約書)・原産資料を“後から追える形”で保管

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022類注の追記(範囲明確化)10.08(特に1008.50 キヌア)「サポニン分離目的の外皮(pericarp)除去のみのキヌア」は、他加工が無い限り10.08に残る旨を注で明確化外皮除去キヌアの“第10類↔第11類”迷いが減る一方、仕様書で工程範囲を説明できないと誤分類リスク

※HS2017には上記キヌアの注記が無く、HS2022で追加されています。 (wcoomd.org)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • HS2022 第10類の類注1(B)に、キヌア外皮除去(サポニン分離目的)でも他加工が無い場合は10.08に残る旨が追記されています。 (wcoomd.org)
    • HS2017 第10類の類注1(B)には、同趣旨のキヌア記載がありません。 (wcoomd.org)
  • したがって、「HS2017→HS2022で第10類のコード体系(1001〜1008)は基本同じだが、キヌアの取扱いを注で明確化した」と判断します。 (wcoomd.org)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第10類は、HS2007→HS2012で“種子(Seed)”の統計把握強化等が入り、細分が増えています。

  • 主要な追加・削除・再編(例:HS2007→HS2012→HS2017→HS2022)
流れ主要変更(例)旧コード→新コード(例)背景・狙い(分かる範囲)
HS2007→HS2012多くの穀物で Seed/Other を分離1002.00→1002.10/1002.90、1003.00→1003.10/1003.90、1004.00→1004.10/1004.90、1007.00→1007.10/1007.90 等国際貿易統計上の識別強化(相関表の注記に基づく) (関税庁)
HS2007→HS2012ミレットのSeed分離+新規穀物の独立号化1008.20→1008.21/1008.29、(新)1008.40(フォニオ)、1008.50(キヌア)、1008.60(トリティケール)相関表にて新設の説明あり (関税庁)
HS2012→HS2017第10類の6桁体系は実務上ほぼ同一(実質変更なし)HS2012とHS2017の条文比較上、大きな構造差が見当たりません (wcoomd.org)
HS2017→HS2022キヌア注記追加10.08(キヌア)注で範囲明確化 (wcoomd.org)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ロールドオーツを“穀物”で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):加工穀粒(圧ぺん)を第10類に入れてしまい、類注1(B)の考え方に反する (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:インボイスが “oats” とだけ書かれている/現物写真が無い
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延
    • 予防策:工程・形状(flake/rolled)確認、写真添付、事前教示の活用 (関税庁)
  • 事例名:外皮除去キヌアの誤分類
    • 誤りの内容:外皮除去=加工として第11類へ寄せるが、HS2022類注では一定範囲で10.08に残る (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:サプライヤーが工程を“cleaned/washed”程度にしか説明しない
    • 典型的な影響:税番差・統計差、原産地規則(PSR)選択の誤り
    • 予防策:工程表で「外皮除去以外なし」を明確化、仕様書の整備
  • 事例名:スイートコーンを1005で申告
    • 誤りの内容:類注2(スイートコーン除外)に反する (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:品名が “corn” で曖昧/品種が不明
    • 典型的な影響:差戻し、補正、遅延
    • 予防策:品種資料・写真・用途資料を添付し、青果扱いの有無を確認
  • 事例名:籾米と玄米の取り違え
    • 誤りの内容:1006の状態区分の誤り(号選択ミス) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:英文で “husked/hulled” の解釈違い
    • 典型的な影響:税率・制度要件の誤適用、修正申告
    • 予防策:現物写真、工程(脱殻の有無)確認、規格書整備

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法(輸入届出):販売/営業使用の食品等を輸入する場合、輸入届出義務がある旨が厚労省から案内されています(検疫所で受付、審査・検査要否判断)。 (厚生労働省)
    • 植物検疫(植物防疫法):植物(穀類等を含む)を日本へ持ち込む場合、原則として輸出国政府発行の検査証明書(Phytosanitary Certificate)提出と輸入検査が求められる旨が植物防疫所から案内されています。 (農林水産省)
      • 穀類の輸入検疫に関する運用要領(例:ばら積み同一穀類の取扱い等)も公開されています。 (農林水産省)
  • その他の許認可・届出
    • 米・小麦等:日本への輸入では、関連法令に基づく手続・所定の関税等が必要になる旨、税関(例:東京税関)から注意喚起があります(郵便等の案内ページですが制度の存在を示します)。 (関税庁)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品衛生:厚生労働省・検疫所(食品等輸入手続) (厚生労働省)
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(Plant Protection Station) (農林水産省)
    • 品目分類:税関(事前教示制度) (関税庁)
  • 実務での準備物(一般論):
    • インボイス、パッキングリスト、B/L
    • 商品仕様書(加工工程、形状、用途)、写真
    • 植物検疫証明書(要否を事前確認) (農林水産省)
    • 食品衛生法の届出に必要な資料(成分・製造情報等) (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 穀物の種類(小麦/米/大麦/ミレット/キヌア等)
    • 形状:粒/割砕/フレーク/粉/ペレット
    • 加工工程:脱ぷ、精白、圧ぺん、粉砕、加熱、膨化等
    • 目的:播種用か、食用か、飼料か(証憑の有無)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1(A)(穀粒の有無)、類注1(B)(加工穀粒の除外+例外)、類注2(スイートコーン除外)を再確認 (wcoomd.org)
    • 米なら1006の状態区分、キヌアなら外皮除去の範囲を確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “corn”“grain”など曖昧語の補足(sweet cornか否か、用途)
    • 写真・仕様書を添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定のHS版(例:CPTPP/ RCEPはHS2012ベース)を確認 (内閣官房)
    • トランスポーズ版(HS2022移行等)がある場合は最新版を確認 (JETRO)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022 条文:Chapter 10 Cereals、Section II Note) (wcoomd.org)(参照日:2026-02-14)
  • WCO(HS2017/HS2012/HS2007 条文:Chapter 10 Cereals) (wcoomd.org)(参照日:2026-02-14)
  • WCO相関表(HS2012↔HS2007:第10類の細分新設等の説明) (関税庁)(参照日:2026-02-14)
  • 日本:厚生労働省「食品等輸入手続について(食品衛生法に基づく輸入届出等)」 (厚生労働省)(参照日:2026-02-14)
  • 日本:農林水産省 植物防疫所(植物の持込み規制/検査証明書・輸入検査) (農林水産省)(参照日:2026-02-14)
  • 日本:税関 事前教示制度(品目分類) (関税庁)(参照日:2026-02-14)
  • 日本:東京税関(米・小麦等の輸入手続に関する注意喚起) (関税庁)(参照日:2026-02-14)
  • CPTPP:日本国譲許表(Tariff Schedule of Japan (HS2012)) (内閣官房)(参照日:2026-02-14)
  • RCEP:Annex 3A(PSR)HS2012ベースの明記 (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-14)
  • RCEP:HS2022へのトランスポーズPSRの運用(参考:JETRO資料) (JETRO)(参照日:2026-02-14)
  • CPTPP:HS6桁超の国内コード差異に関する一般説明(豪DFAT) (dfat.gov.au)(参照日:2026-02-14)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • HSは原則6桁(号)ですが、日本を含む各国は通関実務で**8桁/9桁等の国内細分(国内コード)**を用います。
  • 協定や国によって「6桁超の細分」は一致しない(単純比較できない)点に注意してください。 (dfat.gov.au)
  • 例として、CPTPPの日本国譲許表は **“Tariff Schedule of Japan (HS2012)”**として、HS2012ベースのタリフラインで段階税率が示されています。 (内閣官房)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 日本税関には、輸入前に税番(分類)・税率を照会し回答を得られる事前教示(品目分類)制度があります。 (関税庁)
  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 仕様書(加工工程、粒/粉/フレーク等の形状、用途)
    • 写真(現物・ラベル)
    • 成分・処理内容(特にキヌア外皮除去、米の精米度合い 等)
    • サンプル提供可否(可能なら)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。