HS2022 第60類:メリヤス編物及びクロセ編物(Knitted or crocheted fabrics)

用語の対応は次で統一します。
類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

【入力(ユーザーが与える情報)】

  • 対象:HS2022 第60類(Chapter 60)
  • 類名:メリヤス編物及びクロセ編物(英語:Knitted or crocheted fabrics)
  • 対象国・実務前提:日本/両方(輸入・輸出)
  • 主な想定品目・用途(任意):アパレル用編地(ジャージー、リブ等)、ストレッチ編地、たて編地(トリコット、ラッセル)、パイル編地(タオル調)、ネット地(蚊帳等)
  • 参照するFTA/EPA(任意):未指定(一般論として記載)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 反物(ロール)状の編地全般(メリヤス編物、クロセ編物)
    • パイル編物(ロングパイル、テリーなど)
    • ストレッチ性の高い編地(弾性糸やゴム糸を一定割合含むもの)
    • たてメリヤス編物(トリコット、ラッセル等のたて編に属するもの)
    • 幅30センチメートル以下の細幅編地(条件に応じて60.02または60.03)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • クロセ編みのレース:第58.04項へ
    • メリヤス編み又はクロセ編みのラベル、バッジ等:第58.07項へ
    • プラスチックやゴムなどで「染み込ませ、塗布、被覆、積層」した編地で第59類に該当するもの:第59類へ(ただしパイル編物は例外で第60.01項に残る場合あり)
    • 製品にしたもの(縫製済み、裁断形状が製品として完成している等):第61類〜第63類へ行きやすい
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 反物の編地か、製品にしたものか(部注7の「製品にしたもの」判定)
    • 被覆・積層等により第59類(場合により第39類)へ移るかどうか、ただしパイル編物の例外を見落とさない
    • 幅30センチメートルの境界と、弾性糸・ゴム糸の重量割合5%の境界
  • この類で特に誤分類が高コストになりやすい場面:
    • ストレッチ編地(60.04と60.06の分かれ目、弾性糸割合の裏付け不足)
    • コーティングやラミネートを伴う機能性編地(60類なのか59類なのか、または39類なのか)
    • 特定の蚊帳用ネット等(6005.35号注に該当するかどうか)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIRは、まずGIR1(項の文言と注で決める)と、最後にGIR6(6桁の決定)です。編地は、品名だけでなく、注(除外や定義)と、幅・構造・加工の客観条件で決まる場面が多いです。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要):
    • 形状・状態:反物か、裁断済みで製品形状か
    • 編みの種類:たて編か、それ以外か(60.05と60.06の分岐)
    • 物理条件:幅(30センチメートル以下か超か)、弾性糸・ゴム糸の重量割合(5%以上か未満か)
    • 加工:被覆・積層等により第59類の「加工布」に該当するか

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「編地」か(メリヤス編物・クロセ編物)
    • いわゆるステッチボンディングで、チェーンステッチが繊維糸のものも、編みとして扱う点に注意します。
  • Step2:「製品にしたもの」か(反物ではなく、製品形状に整っているか)
    • 部注7の「製品にしたもの」に当たる場合、原則として第50類〜第60類(布地の章)から外れ、衣類やその他製品の章(第61類〜第63類)で検討します。
  • Step3:除外規定に当たらないか
    • クロセ編みのレースは第58.04項、編みのラベル等は第58.07項へ移ります。
  • Step4:被覆・積層などで第59類(または第39類等)の「加工布」になっていないか
    • 第60類は、第59類に該当する「染み込ませ、塗布、被覆、積層」した編地を除外します。
    • ただし、パイル編物は例外として第60.01項に残る場合があります。
  • Step5:第60.01項(パイル編物)に当たるか
    • パイル、ロングパイル、テリー等なら、まず60.01を疑います。
  • Step6:幅30センチメートル以下か
    • 幅30センチメートル以下で、弾性糸又はゴム糸が全重量の5%以上なら60.02、5%未満または含まないなら60.03(ただし60.01除く)。
  • Step7:幅30センチメートル超で、弾性糸又はゴム糸が全重量の5%以上か
    • 該当すれば60.04(ただし60.01除く)。
  • Step8:たてメリヤス編物か
    • たて編なら60.05、それ以外は60.06。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第58類(レース・ラベル等)と第60類(一般の編地)
    • 第59類(加工布)と第60類(編地)
    • 第61類〜第63類(製品)と第60類(反物)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
6001パイル編物(ロングパイル、テリー等を含む)タオル調のテリー編地、ボア調編地、ベロア調パイル編地被覆・積層していてもパイル編物は60.01に残る例外に注意。人造毛皮やパイル織物等は別章・別項の可能性。
6002幅30cm以下で弾性糸又はゴム糸が重量5%以上(60.01除く)細幅のストレッチテープ状編地、ゴム入り細幅ニット幅と5%が決め手。弾性糸の定義は部注13。
6003幅30cm以下(60.01、60.02除く)細幅ニットテープ、細幅リブ編地幅30cm以下で、弾性糸・ゴム糸が5%未満または無し。
6004幅30cm超で弾性糸又はゴム糸が重量5%以上(60.01除く)ストレッチジャージー、スパンデックス混の編地幅30cm超かつ5%以上。弾性糸かゴム糸かで6桁が分岐。
6005たてメリヤス編物(ガルーン機含む、60.01〜60.04除く)トリコット、ラッセル、たて編ネットたて編かどうかが核心。特定の蚊帳用ネットは6005.35で別扱い。
6006その他の編地ジャージー、リブ、インターロック等(一般のよこ編)、クロセ編地60.01〜60.05に当たらない編地。素材別、染色状態等で6桁以下が分かれる。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 6002.40 と 6002.90:弾性糸は5%以上だがゴム糸を含まないか、それ以外か
    • 6004.10 と 6004.90:弾性糸は5%以上だがゴム糸を含まないか、それ以外か
    • 6005.35:号注で定義された特定仕様のネット編地かどうか(材質、目合い、目付、処理)
    • 6006.2系、6006.3系、6006.4系など:綿か合繊か再生繊維か等の素材区分と、未晒・染色・なせん等の状態
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 6004.10 と 6004.90
      • どこで分かれるか:ゴム糸を含むかどうか
      • 判断に必要な情報:糸構成(弾性糸の種類、ゴム糸の有無)、各糸の重量割合
      • 典型的な誤り:スパンデックス混を「ゴム糸」と誤認し、逆の枝番へ寄せる
    • 6005.35 と 6005.36〜6005.39
      • どこで分かれるか:号注が定めるネット編地(特定材質、目付、目合い、かつ特定の処理)に一致するか
      • 判断に必要な情報:ポリエチレン単繊維か、ポリエステルマルチフィラメントか。目付(g/m2)、目合い(穴数/cm2)、含浸・塗布の有無と処理剤の種類
      • 典型的な誤り:ネット地というだけで6005.35と早合点し、目付・目合い・処理要件の確認が抜ける
    • 6005 と 6006(6桁以前の分岐だが実務上の誤りが多い)
      • どこで分かれるか:たてメリヤス編か、それ以外か
      • 判断に必要な情報:製法(機械種、組織説明)、生地の技術資料
      • 典型的な誤り:取引上の呼称だけで「トリコット」と書かれているため、実際はよこ編なのに60.05へ寄せる

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 部注7は「製品にしたもの」の定義を置き、裁断形状や縁処理、縫製などで布地から製品側へ移るトリガーになります。
    • 部注8は、第50類〜第60類が基本的に「製品にしたもの」を含まないことを明確にします。
    • 部注13は弾性糸の定義を置き、60.02と60.04の5%判定の前提になります。
    • 部注15は、機能付与のために化学・機械・電子部品を組み込んだ繊維製品でも、基本は繊維としての本質的特性を保つ限り第11部で分類する趣旨を示しています(ただし部注1の除外などに注意)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 反物のストレッチ生地は第60類で検討しますが、裁断して衣類部品の形状に整え、縁処理や縫製等が入ると「製品にしたもの」と評価され、第61類〜第63類へ移り得ます。
    • 5%判定は、見た目の伸び感ではなく、弾性糸・ゴム糸の重量割合という定量条件に寄るため、仕様書や試験データが重要です。
  • この部注で他章に飛ぶ代表パターン:
    • 「製品にしたもの」判定で第61類〜第63類へ(衣類、その他繊維製品)
    • 被覆・積層等の加工内容により第59類、場合により第39類へ

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1で、クロセ編みレース(58.04)と、ラベル等(58.07)と、第59類の加工編地を除外します。
    • 類注1には例外があり、パイル編物で被覆・積層等があっても60.01に残る扱いがあります。
    • 類注3で、ステッチボンディング方式の一定のものを「メリヤス編み」として扱うことを明示します。
    • 号注1で、6005.35の対象となるネット編地を仕様で定義します。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 弾性糸は部注13の定義に依拠します(一定の伸長と回復性を持つ合成フィラメント等)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 58.04(クロセ編みのレース)、58.07(ラベル等)、59類(加工編地)

4. 類注が分類に与える影響(どこでコードが変わるか)

  • 影響ポイント1:被覆・積層などで第59類へ移るか、60.01に残るか
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 被覆・積層の材料(プラスチック、ゴム、樹脂等)と、その見え方、層構造
      • 基布がパイル編物かどうか(例外適用の可否)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(コーティング材、塗布量)、断面写真、工程図、サンプル
      • 取引先の技術データシート
    • 誤分類の典型:
      • コーティングがあるのに60類のまま申告
      • パイル編物の例外(60.01)を見落として59類へ寄せる
  • 影響ポイント2:製品にしたもの判定で第61類〜第63類へ移る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 裁断形状(製品形状か)、縁処理の有無、縫製の有無、セットで販売される実態
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真(全体と端部)、パターン図、工程表、梱包形態、取扱説明書
    • 誤分類の典型:
      • 「まだ布だから」と考えて60類で申告したが、実態は裁断済み・縁処理済みで「製品にしたもの」と評価される
  • 影響ポイント3:幅30センチメートルと弾性糸・ゴム糸5%で60.02/60.03/60.04が分かれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 反物幅(実測値)、弾性糸・ゴム糸の重量割合(BOM、試験結果)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、糸構成表、試験成績(必要に応じて)、製品仕様書
    • 誤分類の典型:
      • 伸びるから60.04と決め打ちし、弾性糸割合5%未満で実は60.06相当だった

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:コーティング編地を第60類のまま申告する
    • なぜ起きる:外観が編地なので、加工の法的意味を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第60類は第59類に属する加工編地を除外。第59類側にはプラスチック被覆等の判断枠がある
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞く質問例):
      • 確認資料:コーティング材の種類、断面構造、加工後の外観(肉眼で判別できるか等)
      • 質問例:樹脂コーティングはあるか、両面か、厚みや塗布量はどれくらいか
  2. 間違い:パイル編物の被覆・積層品を第59類へ入れてしまう
    • なぜ起きる:「加工したら59類」という理解が先行する
    • 正しい考え方:第60類注で、パイル編物は被覆等があっても60.01に残る扱いがある
    • 予防策:
      • 確認資料:パイル構造の有無(表面形状、組織説明)、加工内容の技術資料
      • 質問例:基布はループパイルかカットパイルか、テリーか
  3. 間違い:クロセ編地をレース(58.04)と区別せず第60類へ入れる
    • なぜ起きる:取引名が「レース生地」で統一されていない
    • 正しい考え方:類注でクロセ編みのレースは58.04へ除外
    • 予防策:
      • 確認資料:サンプル写真(密な部分の編目がどうなっているか)、用途(装飾用レースか一般布か)
      • 質問例:製造方法としてレースか、一般のクロセ編地か
  4. 間違い:ラベル・バッジ等の編物を第60類の編地扱いにする
    • なぜ起きる:素材が編物であることだけを見てしまう
    • 正しい考え方:類注で58.07へ除外
    • 予防策:
      • 確認資料:用途(ラベルか、布地か)、製品形状(表示部が完成しているか)
      • 質問例:衣類付属の表示ラベルとして使う設計か
  5. 間違い:幅30センチメートルと弾性糸5%の条件を確認せず60.06にまとめる
    • なぜ起きる:ストレッチ性を感覚で判断し、定量条件を取りに行かない
    • 正しい考え方:60.02と60.04は幅と重量割合で定義される
    • 予防策:
      • 確認資料:反物幅の実測、BOM、糸構成と重量割合
      • 質問例:弾性糸(部注13に該当する糸)は何%か、ゴム糸は入っているか
  6. 間違い:たて編とよこ編の区別が曖昧で、60.05と60.06を取り違える
    • なぜ起きる:「トリコット」「ラッセル」などの呼称が混在し、実態確認が不足する
    • 正しい考え方:60.05はたてメリヤス編物、60.06はそれ以外
    • 予防策:
      • 確認資料:製法(機械種、組織説明)、供給者の技術資料
      • 質問例:使用機械はたて編機か、ガルーン機か
  7. 間違い:裁断済みのパネルや形状部品を「布地」として第60類で申告する
    • なぜ起きる:縫製前だから布地だと考える
    • 正しい考え方:部注7の「製品にしたもの」に当たると、布地章から外れる
    • 予防策:
      • 確認資料:裁断形状、端部処理、セット内容、取引上の品名と用途
      • 質問例:すでに製品形状に裁断しているか、縁かがりや縫製があるか

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHSを誤ると、適用すべきPSR自体が変わり、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 材料(糸、他の繊維材料)のHSと、最終の編地(第60類)のHSを混同する
    • 「加工布」になって第59類へ移っているのに、第60類のままPSRを見てしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定は、HS2012やHS2017など特定のHS版を参照していることがあります。運用上は、協定本文・附属書の参照版と、自社が使っているHS版(ここではHS2022)を突き合わせる必要があります。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 旧版の号が新版で新設・分割・統合されている場合、相関表で対応関係を確認し、PSRの適用対象がズレないように管理します。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS、RVC計算の前提、加工工程の裏付け資料
  • 証明書類・保存要件は協定・国により異なります。重要案件は社内で根拠資料を先に固め、必要に応じて税関等の公的窓口や専門家に確認する運用が安全です。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(本章の6桁範囲で大きな改廃の掲載なし)6001〜6006相関表上、60類の改廃・範囲変更の記載が確認できないHS6桁レベルの付番は基本継続。ただし国内コードの細分や税率、統計運用は別途最新確認が必要

7-2. 違うことになった根拠(必須)

  • 根拠資料として、WCOのHS2017↔HS2022相関表(Table I)を確認しました。Table Iは変更が生じたサブヘディングを中心に相関を示す資料であり、ここに第60類(6001〜6006)に関する改廃・範囲変更が掲示されていないことから、HS2017→HS2022では本章の6桁体系に大きな変更がないと整理しました。
  • 併せて、HS2017版とHS2022版のChapter 60本文(見出しと号)を見比べ、6005.35を含む構造が維持されていることを確認しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第60類は、HS2007およびHS2012では、60.05(合成繊維製)の枝番が6005.31〜6005.34でしたが、HS2017で「特定の蚊帳用ネット等」を識別するための6005.35が挿入され、従来の枝番が6005.36〜6005.39へ整理された経緯があります。

版間の流れ主要な追加・削除・再編旧コード→新コード(概略)実務ポイント
HS2007→HS2012大きな構造変更の確認なし(少なくとも章の主要見出しは同型)6001〜6006の枠組みは維持章レベルは安定。実務は注と見出し条件で決まる
HS2012→HS20176005.35の新設、6005.31〜6005.34の再整理6005.31〜6005.34(旧)→6005.36〜6005.39(新)へ並び替え、6005.35を新設蚊帳用ネット等の特定品が別管理。既存品のコード番号がずれるため、マスターの更新が必須
HS2017→HS2022本章で大きな改廃の掲載なし6001〜6006の枠組み維持HS6桁は継続。ただし国内細分や運用は国別に要確認

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名:コーティング編地を60類で申告し差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第60類注の除外(第59類に該当する加工編地)を見落とし
    • 起きやすい状況:商品名が「防水ニット生地」で、加工内容がインボイスに書かれていない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延
    • 予防策:加工の有無・種類を事前に仕様書で確認、断面写真を用意、必要に応じて事前教示を検討
  • 事例名:パイル編物の例外を見落として59類へ誤分類
    • 誤りの内容:パイル編物の被覆品が60.01に残る扱いを見落とし
    • 起きやすい状況:タオル調の編地に樹脂含浸があるだけで「加工布」と判断
    • 典型的な影響:税番差による税率差、分類根拠の再提出
    • 予防策:基布がパイルかどうかを先に確定し、例外適用の可否を確認
  • 事例名:クロセ編みのレースを60類で申告
    • 誤りの内容:第58.04項への除外に抵触
    • 起きやすい状況:「レース生地」という商流名称で一括され、構造確認がされない
    • 典型的な影響:差戻し、品目説明要求、再分類
    • 予防策:用途と構造(レースか一般編地か)を資料化し、サンプル写真を添付
  • 事例名:裁断済みパネルを反物として60類で申告
    • 誤りの内容:部注7の「製品にしたもの」判定を見落とし
    • 起きやすい状況:縫製前の衣類パーツを「布」と表記して輸入
    • 典型的な影響:分類変更、要追加資料、遅延
    • 予防策:裁断形状、端処理の有無、用途を事前に整理し、必要なら事前教示を活用

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、第60類の「編地」そのものが一律に許可制・検疫対象になるケースは多くありません。一方で、次のように個別事情で他法令や規制確認が必要になることがあります。
    • 検疫・衛生(SPS等):用途が医療・衛生材料に近い場合や、薬事的な表示を伴う場合は別途確認が必要
    • 化学物質・薬剤処理:防虫・抗菌などの薬剤処理を伴う場合、化学物質関連の法規や表示・管理の論点が出ることがある
    • その他:最終用途(安全具、保護具等)により別法令の適用があり得る
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関の「輸入関係他法令」情報、所管官庁の公式案内、必要に応じて事前教示窓口
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書、成分表、加工内容(コーティング・薬剤処理の有無)、用途説明、写真・サンプル

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 編地か製品か(反物、裁断品、縫製の有無)
    • 幅、目付、目合い(ネットの場合)、素材、糸構成、弾性糸・ゴム糸の割合
    • 被覆・積層・含浸などの加工有無と材料
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 58.04(レース)、58.07(ラベル)、59類(加工布)への除外に当たらないか
    • 6005.35号注に該当する特殊ネットか(該当するなら要件を証拠で固める)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名は「knitted fabric」だけでなく、幅、素材、加工(coated等)、用途が伝わる記載にする
    • 税関説明資料として、仕様書、写真、工程図、必要なら試験成績を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終製品HS、材料HS、工程の整理、相関表によるHS版ズレの吸収
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 加工内容(薬剤処理等)と用途を軸に、輸入関係他法令・所管官庁情報を確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO
    • HS Nomenclature 2022 edition Chapter 60(見出し・号、注、6005.35号注) 参照日:2026-02-24
    • HS Nomenclature 2017 edition Chapter 60(6005.35新設後の構造確認) 参照日:2026-02-24
    • HS Nomenclature 2012 edition Chapter 60(6005.35新設前の構造確認) 参照日:2026-02-24
    • HS Nomenclature 2007 edition Chapter 60(長期の枠組み確認) 参照日:2026-02-24
    • Correlation Table HS2017↔HS2022 Table I(変更有無確認の根拠) 参照日:2026-02-24
    • Correlation tablesの説明(Table Iが変更点を扱う趣旨) 参照日:2026-02-24
  • 日本の税関・公的機関
    • 実行関税率表(2022年1月1日版) 第60類 類注(60r.pdf) 参照日:2026-02-24
    • 関税率表解説 第60類(実務解釈) 参照日:2026-02-24
    • 第11部 部注(F11b.pdf:製品にしたもの、弾性糸定義など) 参照日:2026-02-24
    • 実行関税率表 第59類 類注(加工布の判断枠、60.02〜60.06の位置づけ) 参照日:2026-02-24
    • 関税率表(輸入統計品目表)の解釈に関する通則(GIR) 参照日:2026-02-24
    • 品目分類とHS(分類の位置づけ、原産地規則等との関係) 参照日:2026-02-24
    • 関税率表解説・分類例規(情報の所在) 参照日:2026-02-24
    • 事前教示回答(品目分類)の検索(制度活用) 参照日:2026-02-24
    • HS2017↔HS2012相関(6005.35新設の説明を含む) 参照日:2026-02-24

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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