HS2022 第61類:衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る。)(Articles of apparel and clothing accessories, knitted or crocheted)

用語は次のとおり統一します。類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • ニットのコート、アノラック、ウインドブレーカーなど(例:フード付きニットジャケット)
    • ニットのスーツ、ジャケット、パンツ、スカート、ワンピース
    • Tシャツ、タンクトップ等(ニット)
    • セーター、プルオーバー、カーディガン
    • 靴下、タイツ等のホージアリ、手袋(ニット)
    • マフラー、ストール等の衣類附属品(ニット)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 織物製の衣類(メリヤス編み又はクロセ編み以外):第62類へ(例:織物のシャツ、織物のコート)
    • メリヤス編物やクロセ編物の生地(服になる前の生地):第60類へ
    • ブラジャー、ガードル等(見た目がニットでも):HS 6212(第62類の該当項)へ
    • 中古衣類・古着:HS 6309(第63類)へ
    • 医療用の装具・ヘルニアバンド等:HS 9021(第90類)へ
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • そもそもメリヤス編み又はクロセ編みか(第61類)/織物か(第62類)
    • 服として製品化されたものか(部注の「製品にしたもの」の考え方)
    • 6109(Tシャツ等)か6110(セーター等)か、6105/6106(シャツ/ブラウス)かの境界(類注4・5が効く)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • セット販売(上下セット、インナーとボトム)を「1つのHS」で申告してしまう。部注により、衣類は別見出しなら原則別々に分類されます。
    • 手袋(6116)のうち、プラスチック又はゴムで「塗布・被覆・積層」されたもの(6116.10)を見落とす。HS2022で6116.10の範囲が広がっています。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:見出し文言と部注・類注でまず決めます。第61類は「製品化されたニット衣類」に限定されるため、類注1(この類は製品にしたメリヤス編み又はクロセ編みの物品のみ)から入るのが近道です。
    • GIR6:6桁(号)の選択では、同一項内の号注や類注の条件(例:ベビーの身長、シャツの定義、タイツのデシテックス閾値)を使って詰めます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 編み構造:ニットか織物か(61類か62類か)
    • 製品化の状態:裁断・縫製済みか、形状に編み上げ済みか(部注の「製品にしたもの」)
    • 用途と機能:医療用装具か、一般衣料か(除外規定)
    • 性別・年齢:メンズ/レディース、ベビー(身長86センチ以下)
    • 生地の特殊性:樹脂で塗布・被覆・積層した生地か、該当なら6113や6116.10の検討

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象物は「衣類」または「衣類附属品」か
    • いいえ:第61類以外(例:帽子は第65類、靴は第64類など)へ
  • Step2:メリヤス編み又はクロセ編みか
    • いいえ:原則として第62類(織物製衣類)へ
  • Step3:製品化されているか(裁断・縫製済み、または形状に編み上げ済み等)
    • いいえ:生地なら第60類、用途次第で別類へ
  • Step4:該当する項を選ぶ(6101〜6117)
    • 外衣(コート等)か、上下ものか、シャツか、Tシャツか、セーターか、スポーツウエアか、ホージアリか、手袋か、その他附属品か
  • Step5:6桁(号)を詰める
    • 素材区分(綿、合繊、羊毛等)、デシテックス閾値、コーティング有無、ベビー身長など
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第61類(ニット衣類)と第62類(織物衣類)の境界
    • 第61類(衣類)と第60類(編物生地)の境界(「製品にしたもの」「形状に編み上げ」)
    • 6105/6106(シャツ・ブラウス)と6109(Tシャツ)/6110(セーター等)の境界(類注4・5)
    • 6113(59類の塗布・被覆・積層生地で作った衣類)と一般衣類(6101〜6114)の境界(類注8、ただし生地の分類が先)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
6101男子用のコート類など(ニット)、ただし6103を除くニットのアノラック、ニットの防寒上衣上下もの(6103)と混同しない
6102女子用のコート類など(ニット)、ただし6104を除くレディースのニットコート、ニットジャケット6104(女子用上下もの)と区別
6103男子用のスーツ・ジャケット・ズボン等(ニット)ニットスーツ、ニットジャケット、ニットパンツ「スーツ」「アンサンブル」の定義は類注3
6104女子用のスーツ・ワンピース・スカート等(ニット)ニットワンピ、ニットスカート、ニットパンツ「スーツ」「アンサンブル」の定義は類注3
6105男子用シャツ(ニット)ニットシャツ、ポロシャツ(条件次第)類注4により、腰下ポケットや裾絞り等があると除外。袖なしも除外
6106女子用ブラウス等(ニット)ニットブラウス、ニットシャツ類注4の除外条件(腰下ポケット、裾絞り、編目密度など)に注意
6107男子用下着・寝衣等(ニット)ブリーフ、トランクス、パジャマ下着と外衣の判定、用途実態の確認
6108女子用下着・寝衣等(ニット)ショーツ、スリップ、ナイトウエア6212(ブラ、ガードル等)に落ちやすい
6109Tシャツ等(ニット)Tシャツ、タンクトップ、ランニング類注5:裾にひも、裾ゴム等があるものは除外
6110セーター等(ニット)セーター、プルオーバー、カーディガン、ベスト6109や6105/6106との境界が頻出
6111ベビー服(ニット)ベビーロンパース、ベビー帽子等身長86センチ以下が定義。ほかの項に見えても優先される場合
6112トラックスーツ、スキー服、水着(ニット)ジャージ上下、水着、スキーウエアスキー服の定義は類注7。アンサンブル定義から除外
611359類の塗布・被覆・積層生地で作った衣類(ニット)表面PUコートのニットレインウエア等類注8:他項にも該当し得る場合、原則6113(ただし6111除く)
6114その他の衣類(ニット)レギンスの一部、特定用途の上衣など6109/6110/6105/6106に当たらない衣類の受け皿
6115ホージアリ(ニット)靴下、タイツ、ストッキング、段階着圧ソックスデシテックス閾値67、段階着圧の別建てに注意
6116手袋(ニット)手袋、ミトン6116.10(プラ・ゴムで塗布等)に注意。HS2022で範囲が拡大
6117その他の衣類附属品、部品(ニット)マフラー、スカーフ、衣類のニット部品6117.10(スカーフ等)、6117.90(部品)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の典型
    • 素材別(綿、合繊、羊毛等):多くの項で素材別の号に分かれます。混紡は部注の繊維選択ルール(主に重量比)を踏まえて判断します。
    • 形状・仕様:シャツの定義、Tシャツの除外、スキー服の定義など、類注で条件が明確化されています。
    • 数値閾値:ホージアリの「単糸当たり67デシテックス未満/以上」など
    • コーティング等:手袋6116.10、衣類6113
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
  1. 6105/6106(シャツ・ブラウス)と6109(Tシャツ)/6110(セーター等)
  • どこで分かれるか:
    • 6105/6106は「シャツ等としての形状」に加え、腰下ポケット、裾のリブや締め付け、編目密度(10センチ四方で1センチ当たり平均10目未満)などで除外されます。
    • 6109は裾にひも、裾リブ等があると除外されます。
  • 判断に必要な情報:
    • 裾仕様(リブ、ゴム、ドローコードの有無)、ポケット位置、前開きの有無、編目密度の測定結果、製品写真
  • 典型的な誤り:
    • フーディーやスウェット類を「Tシャツ」扱いで6109にしてしまう(裾リブやポケットで除外され得ます)。
  1. 6111(ベビー)とその他の衣類(6109等)
  • どこで分かれるか:
    • ベビーの定義は身長86センチ以下。加えて、ほかの項にも当たりそうな場合でも6111を優先するルールがあります。
  • 判断に必要な情報:
    • サイズ表示、対象年齢、商品タグ、カタログ、梱包表示
  • 典型的な誤り:
    • ベビー用ロンパースを「Tシャツ/肌着」として6109や6108で申告してしまう。
  1. 6112(トラックスーツ)と6104/6103のアンサンブル、あるいはセット販売の上下
  • どこで分かれるか:
    • アンサンブル定義は類注3にありますが、トラックスーツとスキー服は6112側で扱う前提です。
    • さらに、部注により、異なる項に属する衣類は小売用セットでも別分類が原則です。
  • 判断に必要な情報:
    • 同一生地か、同時提示か、上衣と下衣の構成、販売形態
  • 典型的な誤り:
    • 上下セットを「1つのHS」でまとめてしまう(部注14違反になり得ます)。
  1. 6116.10(プラ・ゴムで塗布等の手袋)と6116.91〜6116.99(その他素材別)
  • どこで分かれるか:
    • 6116.10は、プラスチック又はゴムで塗布・被覆・積層したもの。HS2022では「積層したもの」まで範囲が広がったことが相関表で示されています。
  • 判断に必要な情報:
    • コーティングの有無、加工方法(塗布/被覆/積層)、材料仕様書、断面写真や試験報告
  • 典型的な誤り:
    • 表面にフィルムを貼ったタイプを「積層」と認識せず、6116.93等にしてしまう。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 「製品にしたもの」の定義(部注7)が非常に重要です。長方形以外に裁断したもの、縁縫いしたもの、縫製でつなぎ合わせたもの、または特定形状に編み上げたもの等が含まれます。
    • 異なる項に属する衣類は、小売用のセットにしても各項に分類します(部注14)。
    • 追加機能(化学的・機械的・電子的要素)を持つ繊維製品でも、繊維製品としての本質的特性を保つ限り、この部に分類され得ます(部注15)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ニットの上衣とニットのズボンを同梱で小売販売する場合でも、上衣(例:6109)とズボン(例:6104)のように項が異なれば別々に分類するのが原則です。税関の分類例でもこの考え方が示されています。
    • 例:電熱線を組み込んだ防寒インナーのような製品は、繊維製品としての性格が強い場合、この部の中で検討します(ただし、最終判断は個別仕様で変わります)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 製品化されていない編物生地は第60類へ(部注8との関係)。
    • セットと誤認して一括分類し、部注14に抵触する。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第61類は製品化されたニット衣類等のみ(類注1)。
    • 除外:6212、古着6309、医療用装具9021(類注2)。
    • スーツ、アンサンブルの定義(類注3)。
    • シャツ・ブラウスの定義と、6105/6106の除外条件(類注4)。
    • 6109(Tシャツ等)の除外条件(類注5)。
    • ベビーの定義(身長86センチ以下)と優先分類(類注6)。
    • スキー服の定義(類注7)。
    • 6113の優先(類注8、ただし6111除く)。
    • 前合わせの左右で男女物を推定し、判別不能なら女性用に分類(類注9)。
    • 金属糸でも可(類注10)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • ベビー:身長86センチ以下
    • スキー服:外観や生地感から主にスキー用と判別できるもの(構成の型も類注で整理)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 6212(ブラ、ガードル等)
    • 6309(古着)
    • 9021(医療用装具等)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:6105/6106(シャツ等)からの除外条件が強い
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 腰下ポケットの有無、裾の締め付け(リブ、ゴム等)、編目密度(10センチ四方での測定)、袖の有無
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真(前・後・裾・ポケット)、仕様書、サンプル、編目密度の測定記録
    • 誤分類の典型:
      • スウェットやフーディーを「シャツ」と誤認して6105/6106にしてしまう。
  • 影響ポイント2:6109(Tシャツ等)は裾仕様で外れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 裾にドローコードや裾リブ等があるか
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(裾仕様の記載)、写真、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • 裾が絞れるスポーツトップを6109にしてしまう(類注5で除外)。
  • 影響ポイント3:ベビー(6111)は年齢表示ではなく身長定義が軸
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 身長86センチ以下向けか(サイズ表、タグ)
    • 現場で集める証憑:
      • 商品タグ、サイズ表、梱包表示、販売サイトの対象年齢記載
    • 誤分類の典型:
      • 「ベビー風デザイン」だけで6111にしてしまう、または逆にベビー用品を一般衣類にしてしまう。
  • 影響ポイント4:6116.10(手袋の塗布等)はHS2022で範囲が拡大
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 塗布・被覆に加え、積層があるか
    • 現場で集める証憑:
      • コーティング仕様、材料表、断面構造が分かる資料
    • 誤分類の典型:
      • 「積層」タイプを見落として素材別の6116.93等にしてしまう。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ニット衣類を第62類(織物衣類)で申告
    • なぜ起きる:取引書類の品名が「シャツ」「ジャケット」だけで、編み構造が確認されない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第61類はニット、第62類はニット以外という章立て自体がヒントです。
    • 予防策:素材混用率だけでなく、生地種別(ニット/織物)を仕様書に必須項目として入れる
  2. 間違い:セット販売を「1つのHS」でまとめる
    • なぜ起きる:ECやアパレルでは上下セットを1商品として管理するため
    • 正しい考え方:部注14により、異なる項に属する衣類は小売用セットでも各項に分類します。分類例でも示されています。
    • 予防策:インボイス品名と品目明細を上下で分け、HSも分ける。セット構成表(上衣・下衣の品番)を添付できるようにする
  3. 間違い:フーディーやスウェットを6109(Tシャツ)に入れる
    • なぜ起きる:見た目が「上衣」で、社内でTシャツ扱いになる
    • 正しい考え方:6109は裾の絞り等があるものを除外します。該当すれば6110や6114側を検討します。
    • 予防策:裾仕様、ポケット位置、裏起毛の有無、前開きの有無をチェック項目化
  4. 間違い:ニットシャツを6105/6106にしたが、腰下ポケットや裾絞りがある
    • なぜ起きる:品名が「シャツ」なので短絡的に決める
    • 正しい考え方:類注4で6105/6106から除外される条件が明記されています。
    • 予防策:シャツ類は類注4の除外条件をチェックリスト化し、写真で証跡保存
  5. 間違い:ベビー服を一般衣類にしてしまう(または逆)
    • なぜ起きる:対象年齢の表現が曖昧、サイズ表がない
    • 正しい考え方:6111は身長86センチ以下が軸で、他項にも見える場合でも優先される場面があります。
    • 予防策:サイズ表、タグ画像、販売ページの対象情報を保管
  6. 間違い:ブラやガードルを第61類に入れる
    • なぜ起きる:製品がニットに見えるため
    • 正しい考え方:類注2で6212を除外。日本の解説でも、ブラやガードル等は別扱いと整理されています。
    • 予防策:下着は「補整機能の有無」「ブラ形状」など、6212該当性を先に確認
  7. 間違い:手袋のコーティング有無を見落とし、6116.10にできない
    • なぜ起きる:素材表示が「ポリエステル手袋」としか書かれない
    • 正しい考え方:6116.10は塗布・被覆・積層したもの。HS2022では積層も含む旨が相関表で示されています。
    • 予防策:手袋は表面加工の工程情報(ディップ、ラミネート等)をサプライヤーに質問し、回答を保存

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。衣類は材料(糸、生地)と最終品の関係がPSRで問われることが多く、HSがずれると非原産材料の扱いから崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終品は第61類でも、材料(生地)は第60類、糸は第50〜55類など。工程やBOMを材料段階まで分解して確認しないと、PSRの読み違いが起きます。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定が参照するHS版(HS2012参照、HS2017参照など)は協定ごとに異なります。HS2022で社内コードを付けていても、PSRは旧版ベースのまま、ということがあります。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • WCOが公開する相関表は実装のためのガイドとして提示されています(法的地位はなく、最終分類決定ではない点に注意)。
    • 実務では、協定の参照HS版のPSRを起点に、相関表で現行コードへ引き直し、最後に現物の分類根拠(注や解説)で整合させる順が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 取引先からの材料証明、工程フロー、仕様書、原産地証明関連の記録を、協定要件に沿って保管できる体制を作るのが基本です。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更6116.10手袋(ニット)の6116.10について、プラスチック又はゴムで「積層した」タイプも含むよう、範囲拡大の扱いが示されています。コーティング手袋の設計・調達仕様に「積層」工程があるとHSが変わり得るため、仕様書確認がより重要
HS2017→HS2022文言修正第61類注4(英語)表記修正(スペル修正)のような編集上の修正が行われています。分類実務の結論は通常変わりませんが、社内マニュアル引用箇所の更新が必要になる場合

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 6116.10については、HS2022の条文上、6116.10が「プラスチック又はゴムで塗布・被覆・積層したもの」を含む表現になっている一方、HS2017では同箇所が「塗布・被覆」中心の表現です。
  • また、WCOの相関表(Table I)で、6116.10の範囲を「積層」を含む形へ拡大する趣旨の説明が示されています。
  • 以上より、コード自体は同じ6116.10でも、HS2022では対象範囲が明確に広がった点が実務上の差分です。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第61類は、衣類の大枠(6101〜6117)が長期的に維持されている一方で、版によって素材別の切り方や文言が見直されることがあります。参考として、入手できた一次資料から確認できる範囲を整理します。

版の比較主な動き(確認できた範囲)旧コード→新コードの方向性根拠
HS2017→HS20226116.10の範囲拡大(積層の明確化)6116.10は維持(範囲のみ拡大)WCO相関表 Table I、HS2017/2022条文
HS2002→HS2017以降(参考)2002版では6101に羊毛区分が存在するなど、版間で素材別の枝番構成が異なる例が見られます実務では当該版の条文に基づき再確認が必要WCO旧版条文(参考)

注記:HS2007およびHS2012の第61類の詳細な追加・削除の全量把握は、本稿で示した一次資料以外(WCO相関表 2007-2012、2012-2017 等)での照合が必要です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):上下セットを一括申告して差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):部注14により、異なる項に属する衣類はセットでも別分類が原則
    • 起きやすい状況:EC向けセットアップ、ルームウエア上下
    • 典型的な影響:修正申告、通関遅延、説明資料の追加提出
    • 予防策:インボイス明細を上下で分け、写真と仕様書を添付
  • 事例名:ベビー服を一般衣類で申告
    • 誤りの内容:類注6(身長86センチ以下、優先分類)を見落とし
    • 起きやすい状況:サイズ表がなく、商品名だけで判断
    • 典型的な影響:修正申告、追加資料要求
    • 予防策:タグ画像、サイズ表、対象年齢情報を保存
  • 事例名:ブラジャーを第61類で申告
    • 誤りの内容:類注2で6212が除外である点を見落とし
    • 起きやすい状況:スポーツブラ、補整下着で素材がニット
    • 典型的な影響:再分類、課税のやり直し
    • 予防策:下着類は「6212該当性」を先に判定する社内ルールを作る
  • 事例名:コーティング手袋の6116.10を見落とし
    • 誤りの内容:6116.10(塗布・被覆・積層)を見落とし
    • 起きやすい状況:滑り止め加工、薄膜ラミネート
    • 典型的な影響:修正申告、説明要求
    • 予防策:手袋は加工方法をサプライヤーに必ず確認し、工程回答を保存

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

日本前提で、第61類に関連して実務上よく問題になりやすい「規制・表示」を整理します(該当があるものだけ)。

  • 検疫・衛生(SPS等):
    • 衣類そのものは食品等のSPS対象になりにくい一方、乳幼児向けや肌着等では化学物質(例:ホルムアルデヒド)の規制・運用通知が実務上重要になります。
  • その他の許認可・届出:
    • 家庭用品品質表示法に基づく繊維製品の品質表示(組成、取扱い表示など)は、流通・販売段階で必須事項になり得ます。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 消費者庁の繊維製品品質表示規程およびガイド
    • 厚生労働省の家庭用品中の有害物質規制に関する通知等
  • 実務での準備物(一般論):
    • 表示ラベル案(組成、取扱い、表示者情報)、試験報告書(必要な場合)、仕様書・材質証明

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生地種別(ニット/織物)、組成(重量比)、加工(塗布・被覆・積層の有無)、用途、対象性別、対象年齢・身長
    • 写真(前後、裾、ポケット、タグ)、仕様書、サンプル
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注2の除外(6212、6309、9021)を必ず確認
    • 6105/6106は類注4の除外条件チェック
    • 6109は類注5の除外条件チェック
    • 6111は類注6(身長86センチ以下)チェック
    • 6116は6116.10(塗布・被覆・積層)チェック
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • セット販売でも部注14で分ける必要がないか
    • インボイスに「knitted」「crocheted」を含めるなど、誤解されにくい品名にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終品HSだけでなく、糸・生地のHSも揃える
    • 相関表で参照HS版のズレを吸収
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 繊維製品の品質表示(組成、取扱い等)
    • 乳幼児向け等でホルムアルデヒド規制の対象になり得るか

12. 参考資料(出典)

  • WCO
    • HS2022 Chapter 61 条文(見出し・類注、6116.10等) 参照日:2026-02-24
    • HS2017 Chapter 61 条文(比較用) 参照日:2026-02-24
    • Correlation Tables HS 2017–2022(ガイドであり法的地位なし、という位置づけ) 参照日:2026-02-24
    • Table I(HS2022版とHS2017版の相関、6116.10範囲拡大の説明) 参照日:2026-02-24
    • HS旧版条文(参考:2002版Chapter 61) 参照日:2026-02-24
  • 日本税関・公的機関
    • 税関関税率表 第61類(解説、類注の日本語整理) 参照日:2026-02-24
    • 税関 分類例(61類) 参照日:2026-02-24
    • 税関 輸入統計品目表(61類) 参照日:2026-02-24
    • 税関 事前教示回答事例(品目分類関係) 参照日:2026-02-24
  • 規制・表示
    • 消費者庁 繊維製品品質表示規程 参照日:2026-02-24
    • 消費者庁 繊維製品の表示について(ガイド) 参照日:2026-02-24
    • 消費者庁 繊維製品品質表示規程の改正について(洗濯表示等) 参照日:2026-02-24
    • 厚生労働省 家庭用品中の有害物質等に関する通知・資料(ホルムアルデヒド等) 参照日:2026-02-24

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

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投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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