用語の統一(本文では次の呼び方で統一します)
- 類 = Chapter
- 項 = Heading(4桁)
- 号 = Subheading(6桁)
- 部 = Section
- 注 = Notes(部注・類注)
対象国・実務前提:日本/輸入・輸出(両方)
主な想定品目:PVCやPUのコーティング生地、ゴム引き布、床材(繊維基材付き)、壁面被覆材、工業用フィルター材、搬送用ベルトなど

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- PVCコーティングのテント地・ターポリン用基布など(5903.10の典型)
- PUコーティング生地(レインウェア用の表地などで、塗布が肉眼で分かれるタイプ)(5903.20の典型)
- タイヤ補強用のタイヤコードファブリック(高強力糸の所定構造)(5902)
- 繊維基材に被覆層を設けた床材(リノリウム、その他の床面被覆材)(5904)
- ロール状で幅45cm以上の繊維表面の壁面被覆材(5905)
- 産業用途が明確なフィルター材・ふるい用の布など(注8に列挙される技術用繊維製品)(5911)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 染み込み・塗布・被覆が肉眼で判別できない織物(色の変化だけは判定材料にしない):通常、基材の織物として第50類〜第55類、第58類、第60類へ
- 紡織用繊維の織物がプラスチック中に完全に埋め込まれているもの、又は両面全てがプラスチックで被覆されているもの:第39類へ
- 15度から30度で直径7mmの円筒に巻き付けるとき裂が生ずるような硬質のプラスチック系複合:通常、第39類へ
- 多泡性プラスチックの板・シート等に織物を貼り合わせたが、織物は補強目的にとどまるもの:第39類へ
- セルラーラバー(多泡性ゴム)の板・シート等に織物を貼り合わせ、織物が補強目的にとどまるもの:第40類へ
- 研磨材の粒を織物に付着させた研磨布:第68.05項へ(注6の除外)
- 伝動用・コンベヤ用ベルトでゴムを染み込ませた織物から製造したもの、又はゴム加工糸・コードから製造したもの:第40.10項へ(注7の除外)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 被覆材が何か(プラスチックか、ゴムか、それ以外か)と、肉眼で被覆が判別できるか
- 繊維基材が主役か、単なる補強か(補強なら第39類・第40類に飛びやすい)
- 5911は残余規定で、注8に列挙された技術用に限り、かつ部の他の項に属さないことが条件
- この類で特に誤分類が高コストになりやすい場面:
- 5903(繊維のプラコート生地)と第39類(プラスチックのシート等)の境界を誤るケース(素材の支配性の見誤り)
- 5910(繊維製ベルト)と4010(ゴム製ベルト)を取り違えるケース(注7の見落とし)
1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- 第59類は、見出しの文言に加えて、類注(第59類注)で範囲が強く定義されています。実務ではGIR1(見出しと注の文言)でまず外枠を決め、最後にGIR6で号(6桁)を確定するのが王道です。
- 品名だけで決めないための観点は次のとおりです。
- 基材が何の織物か(第50類〜第55類、第58.03項、第58.06項、第58.08項、第60.02項〜第60.06項に限るという定義あり)
- 被覆材の種類(プラスチック、ゴム、金属蒸着など)
- 被覆の見え方(肉眼で判別できるか、色変化だけか)
- 物性条件(7mm円筒に巻けるか、重量、繊維比率、厚さ)
- 形状と用途(壁紙、床材、ベルト、工業用フィルターなど)
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:まず基材が何かを確定
- 第59類でいう「紡織用繊維の織物類」は限定定義です。基材が不織布(第56類)などの場合、5903や5906ではなく、別の類の見出しから検討するのが基本です。
- Step2:用途と形状で先に決まる項がないか確認
- タイヤコードファブリック(5902)
- 床面被覆材(5904)
- ロール状の壁面被覆材(5905)
- 繊維製の心、ガスマントル(5908)
- 繊維製ホース(5909)
- 伝動用・コンベヤ用ベルト(5910。ただし注7の除外に注意)
- 技術用繊維製品(5911。ただし注8の限定に注意)
- Step3:コーティング・含浸の種類で5903・5906・5907を振り分け
- プラスチック系なら5903を検討。ただし類注2の除外(肉眼判別不可、7mm円筒で亀裂、完全埋込や両面被覆、補強目的の貼合せ等)に該当すると第39類や基材の類に移ります。
- ゴム系なら5906を検討。ただし類注5の重量・繊維比率条件、セルラーラバー貼合せ除外に注意します。
- それ以外の処理(例:アルミ蒸着など)なら5907を検討。ただし類注6の除外(図案を描いた織物等)に注意します。
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第59類5903と第39類(織物が埋め込まれている、又は補強目的にとどまる等)
- 第59類5906と第40類(セルラーラバー貼合せ、重量と繊維比率)
- 第5905(繊維表面の壁紙)と第48.14項(紙へのフロック付着)や第5907(繊維へのフロック付着など)
- 第5910(繊維製ベルト)と第4010(ゴム系ベルト)、第5911(厚さ3mm未満のベルチング等)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
第59類は項の数が多くないため、実務で重要な全項(5901〜5911)を列挙します。
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 5901 | ゴム又はでん粉質で塗布した織物、トレーシングクロス、画用カンバス、バックラム等 | 製本用クロス、トレーシングクロス、画用キャンバス、帽子芯地用バックラム | プラスチックを塗布した類似品は5903へ寄りやすい |
| 5902 | タイヤコードファブリック(高強力糸) | タイヤ補強用基布 | たて糸がナイロン等、ポリエステル、ビスコースレーヨンの高強力糸。定義は第11部注6参照 |
| 5903 | プラスチックを染み込ませ等した織物(5902除く) | PVCコート生地、PUコート生地、イミテーションレザー基材 | 類注2の除外(肉眼判別不可、7mm円筒、完全埋込・両面被覆、補強目的貼合せ等)で第39類や基材へ |
| 5904 | 繊維基材付きの床材(リノリウム等) | リノリウム、塩ビ床材(繊維基材付き) | 繊維の裏打ちがあることが要点。切り出し済みでも対象になり得る |
| 5905 | 紡織用繊維の壁面被覆材 | 繊維表面の壁紙(ロール) | ロール状、幅45cm以上、裏張り又は糊付け可能な裏面処理。紙へのフロックは4814、繊維へのフロックは主に5907 |
| 5906 | ゴム加工をした織物(5902除く) | ゴム引き布、防水布、ゴム系粘着テープ基材 | 1,500g/㎡と繊維比率50%超の条件あり。セルラーラバー貼合せで補強目的は第40類。粘着テープ(幅20cm以下)は5906.10 |
| 5907 | その他の含浸・塗布・被覆等の織物、劇場用背景幕等 | アルミ蒸着布、舞台用背景幕 | 類注6の除外が多い(図案を描いた織物、通常仕上げ、研磨材付着、金属箔裏張り等) |
| 5908 | 繊維製の心、ガスマントル等 | ろうそくの芯、ガス灯マントル | 用品としての形状・用途で判断 |
| 5909 | 繊維製ホース類 | 消防ホース、産業用繊維ホース | 内張りや補強、金具付きでも対象になり得る |
| 5910 | 伝動用又はコンベヤ用ベルト等(繊維製) | 搬送用ベルト、伝動用ベルト | 注7で除外あり。厚さ3mm未満のベルチングは5910から外れる。ゴム系は4010へ |
| 5911 | 技術用繊維製品(注8で限定列挙) | 製紙用フェルト、工業用フィルターマット、ガスケット等 | 残余規定。注8の列挙に該当し、かつ部の他の項に属さないことが前提 |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(頻出)
- 5902:たて糸の材質(ナイロン等、ポリエステル、その他)と高強力糸の該当性
- 5903:プラスチックの種類(PVC、PU、その他)と、類注2の除外条件(肉眼判別、7mm円筒、完全埋込、補強目的貼合せ等)
- 5904:リノリウムか、それ以外の繊維基材付き床材か
- 5905:幅45cm以上のロール状か、裏張り又は糊付け可能な裏面処理か
- 5906:粘着テープ(幅20cm以下)か否か、重量1,500g/㎡と繊維比率50%超の条件
- 5911:注8に列挙された技術用途か、他の項に入らないか。製紙用等エンドレス品は重量650g/㎡未満か以上かで号が分かれる
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
- 5903(繊維のプラコート)と第39類(プラスチックの板・シート等)
- どこで分かれるか:完全埋込や両面全面被覆、補強目的の貼合せ、7mm円筒で亀裂などの除外条件
- 判断に必要な情報:断面写真、被覆厚み、曲げ試験の可否、材料構成(樹脂と繊維の比率)
- 典型的な誤り:商品名が「コーティング生地」なので一律5903にしてしまう
- 5906(ゴム加工織物)と第40類(ゴムの板・シート等)
- どこで分かれるか:セルラーラバー貼合せで補強目的のものは第40類へ。重量1,500g/㎡超で繊維が全重量の50%以下だと5906から外れやすい
- 判断に必要な情報:重量、繊維重量比、ゴムがセルラーか、貼合せ構造
- 5905(壁面被覆材)と4814(紙系壁紙)と5907(繊維へのフロック等)
- どこで分かれるか:5905は繊維表面で幅45cm以上のロール、裏張り又は裏面処理が条件。紙へフロックは4814、繊維へフロックは主として5907
- 判断に必要な情報:基材(紙か繊維か)、幅、ロール形態、裏面処理
- 5910(繊維製ベルト)と4010(ゴム製ベルト)と5911(厚さ3mm未満のベルチング等)
- どこで分かれるか:注7でゴム系ベルトは4010へ、厚さ3mm未満のベルチングは5910から除外
- 判断に必要な情報:厚さ、ゴムの有無と加工状況、エンドレスか、ファスナー有無
- 5903(繊維のプラコート)と第39類(プラスチックの板・シート等)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- タイヤコードファブリック(5902)で鍵になる「高強力糸」は、第11部注6の定義参照とされています。実務上は、糸の強力データ(例:cN/tex等)を仕様書で確認できる状態にしておくことが重要です。
- 実務での意味(具体例つき):
- タイヤ用の基布でも、たて糸が高強力糸の定義に該当しない場合、5902以外(他の織物類や5903、5906等)に振れる可能性があるため、材料スペックの裏取りが必要です。
- この部注で他章に飛ぶ代表パターン:
- 高強力糸要件を満たさず5902から外れ、他章の織物や加工織物へ再検討になるケース
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約(注1〜注8)
- 注1:第59類における「紡織用繊維の織物類」は限定された基材だけを指します。ここを外すと、5903や5906などの前提が崩れます。
- 注2・注3:5903の範囲と除外を詳細に定義。特に、肉眼判別、7mm円筒、完全埋込、補強目的貼合せなどで第39類へ飛びます。
- 注4:5905(繊維壁紙)は幅45cm以上のロール等、条件付き。フロック壁紙の除外先が明記されています。
- 注5:5906(ゴム加工織物)の重量・繊維比率条件、セルラーラバー貼合せの除外先が明記されています。
- 注6:5907から外れるものを列挙(図案織物、研磨材付着、金属箔裏張り等)。
- 注7:5910から外れるベルトを明確化(厚さ3mm未満、ゴム系は4010へ)。
- 注8:5911は注8に列挙された技術用のみ、かつ部の他の項に属しないものに限定。
- 用語定義(定義がある場合):
- 5905の「紡織用繊維の壁面被覆材」:繊維表面、幅45cm以上のロールで、裏張り又は糊付け可能な裏面処理のあるもの
- 5906の「ゴム加工をした紡織用繊維の織物類」:重量1,500g/㎡や繊維比率50%超などの条件が付く
- 5903の除外条件に出てくる7mm円筒条件:15度から30度で手巻きして亀裂が生じるか
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 5903から第39類へ:完全埋込、両面全面被覆、補強目的の多泡性プラシートとの貼合せ、7mm円筒で亀裂等
- 5906から第40類へ:セルラーラバーシート等との貼合せで織物が補強目的
- 5910から第4010へ:ゴム加工織物から作る伝動用・コンベヤ用ベルト、ゴム加工糸・コードから作るベルト
- 5905から第48.14項へ:紙にフロックやダストを直接付着させた壁面被覆材
4. 類注が分類に与える影響(どこでコードが変わるか)
- 影響ポイント1:5903に見えて第39類へ飛ぶパターン
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 被覆が肉眼で判別できるか(色の変化だけは除外)
- 断面で織物がプラスチックに埋まっていないか、両面が全面被覆されていないか
- 15度から30度で直径7mm円筒に巻けるか(亀裂が出るなら通常第39類)
- 多泡性プラの板・シートに貼合せで、織物が補強目的にとどまるか
- 現場で集める証憑:
- 断面写真、層構成図、仕様書(樹脂種別、塗布量)、曲げ試験結果、SDS(樹脂種別確認)
- 誤分類の典型:
- 「コーティング布」なので無条件に5903.10や5903.20に固定してしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:5906に見えて第40類へ飛ぶパターン
- 何を見れば判断できるか:
- 重量(g/㎡)と繊維重量比(50%超か)
- セルラーラバーの板・シートとの貼合せで、織物が補強目的か
- 現場で集める証憑:
- 目付試験成績、配合表、ゴム種別、貼合せ工程図、断面写真
- 誤分類の典型:
- 「ゴム引き」だけで5906と判断し、重量・比率条件を確認しない
- 何を見れば判断できるか:
- 影響ポイント3:5911は技術用途でも自動的に入らない
- 何を見れば判断できるか:
- 注8の列挙に当てはまる具体的用途と形状か
- 第59.08項〜第59.10項の特性を有しないか、また第11部の他の項に先に入らないか
- 現場で集める証憑:
- 使用機械名、用途説明、取付方法、図面、ユーザーマニュアル、販売形態(反物か、エンドレスか)
- 誤分類の典型:
- 工業用途だからといって、注8の限定を確認せずに5911へ寄せる
- 何を見れば判断できるか:
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:塗布が肉眼で判別できないのに5903や5907にしてしまう
- なぜ起きる:カタログに「コーティング」と書かれているだけで判断するため
- 正しい考え方:5903や5907は、注2や注6により、肉眼で判別できないものは通常基材の類(第50類〜第55類、第58類、第60類など)に戻ります(色変化のみは考慮しない)。
- 予防策:断面写真の提出依頼、塗布量や表面外観の確認、実物で肉眼判別の可否を記録
- 間違い:織物がプラスチック中に埋め込まれているのに5903で申告する
- なぜ起きる:表面が織物っぽく見える、又は取引慣行で「生地」と呼ぶため
- 正しい考え方:織物が完全に埋め込まれた物品や、両面全面プラスチック被覆の物品は第39類側で扱う整理です。
- 予防策:断面写真、層構成図、樹脂層の連続性の確認、サンプルを切断して観察
- 間違い:補強目的の貼合せ(多泡性プラシートと織物)を5903にする
- なぜ起きる:織物があると「繊維製品」と思い込むため
- 正しい考え方:多泡性プラスチックの板・シート等に織物を結合しても、織物が単なる補強なら第39類です。
- 予防策:補強の位置付け(機能)を仕様書に明記、引張強度の寄与説明を確認
- 間違い:ゴム加工布を重量・比率を見ずに一律5906にする
- なぜ起きる:「ゴム引き布」という名称だけで判断するため
- 正しい考え方:5906は重量1,500g/㎡や繊維重量比50%超の条件があり、該当しない場合は第40類側の検討が必要です。
- 予防策:目付試験と材料構成比の取得を標準化、仕様書に重量と比率欄を作る
- 間違い:繊維表面の壁紙を5905と決め打ちする
- なぜ起きる:「壁紙だから5905」という短絡
- 正しい考え方:5905はロール状、幅45cm以上、裏張り又は糊付け可能な裏面処理が条件です。紙へのフロックは4814、繊維へのフロックは主に5907です。
- 予防策:幅、ロール形態、裏面処理、フロックの付着先(紙か繊維か)をチェックリスト化
- 間違い:伝動用・コンベヤ用ベルトを5910にしてしまう(ゴム系除外の見落とし)
- なぜ起きる:「繊維を使っているから5910」と誤認するため
- 正しい考え方:注7により、ゴム加工織物から作るベルト等は4010へ整理されます。
- 予防策:ゴム加工の有無、製造方法、材料(ゴム加工糸か)を仕入先に確認
- 間違い:厚さ3mm未満のベルチングを5910にする
- なぜ起きる:厚さ要件を測っていない
- 正しい考え方:注7で、厚さ3mm未満のベルチングは5910に含まれません。分類例規でも厚さ3mmで分岐が示されています。
- 予防策:厚さ測定を必須化、測定点と測定条件を記録、サンプル保存
- 間違い:5907に入ると思い、図案を描いた織物を5907にしてしまう
- なぜ起きる:「塗装した織物=5907」と理解するため
- 正しい考え方:注6で、図案を描いた織物は原則5907から除外され、例外は劇場用又はスタジオ用の背景幕等です。
- 予防策:用途(背景幕か一般衣料用プリントか)を用途宣誓書やカタログで確認
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- FTAやEPAでは、最終製品のHS(多くは6桁)によりPSRが決まるため、分類がずれると原産性判断の前提が崩れます。特に第59類は、第39類・第40類へ飛ぶ境界が多く、誤分類が原産地判定に直撃しやすい分野です。
- よくある落とし穴
- 最終製品を5903と見てPSRを選んだが、実際は第39類扱いだった
- ベルトを5910と見たが、注7により4010に該当していた
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 協定ごとに採用HS版が異なることがあり、HS2022のコードをそのまま協定のPSR検索に入れると、該当条文にヒットしない場合があります。
- ズレる場合は、WCO相関表(6桁)で旧版と新版の対応関係を確認し、協定が参照する版でPSRを確定させます。相関表は参考資料であって法的地位を有しない旨が公表されています。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 最低限そろえる情報(一般論)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
- 非原産材料のHS(材料側の分類も必要)
- どの工程が「加工」として評価されるかの説明資料
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 協定や運用で求める保存期間・保存対象は異なるため、社内ルールで統一し、監査対応できる形で保管
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 変更なし(WCO相関表Table Iに第59類の掲載なし) | 第59類(5901〜5911) | 少なくとも6桁レベルでの新設・削除・分割・統合等は示されていない | トランスポジション対応は通常不要。ただし国内コード改正や運用変更は別途確認 |
7-2. 違うことになった根拠(必須)
- 根拠資料として、WCOが公表するHS2017→HS2022相関表(Table I)を確認しました。Table Iは、改正で相関が生じるサブヘディングを中心に整理されますが、第59類に該当する行が確認できませんでした。従って、少なくとも6桁レベルのコード移動を要する改正は示されていないと整理しました。
- 併せて、HS2017→HS2012、HS2012→HS2007の相関表(Table I)でも、第59類のコードが登場しないことを確認しています(Table Iは改正点中心のため、ここに第59類が現れないことは、当該期間に第59類の6桁改正が示されていないことを意味します)。
- ただし、相関表は参考資料であり、最終的な分類は税関判断である点には留意が必要です。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
- HS2007→HS2012、HS2012→HS2017、HS2017→HS2022のいずれの期間でも、WCO相関表(Table I)上、第59類に関する6桁の追加・削除・分割・統合等は示されていません。
- 実務上は、HS6桁が不変でも、各国の国内コード(8桁、9桁等)の細分改正、関税率、統計品目番号、運用上の取り扱い変更が別途起こり得るため、申告先の最新表で確認してください。
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名:コーティング生地のつもりが第39類扱いで修正
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):5903の除外(完全埋込、両面全面被覆、補強目的貼合せ等)を未確認
- 起きやすい状況:サプライヤーが「コーティング生地」とだけ記載し、層構造情報がない
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延
- 予防策:断面写真と層構成表、塗布厚みの提出を契約条件にする
- 事例名:壁紙を5905で申告したが幅不足で否認
- 誤りの内容:5905の定義(幅45cm以上ロール等)を満たさない
- 起きやすい状況:サンプル寸法だけで判断し、製品ロール幅を確認していない
- 典型的な影響:分類修正と税率差の精算、追加資料要求で通関遅延
- 予防策:ロール幅、裏面処理、基材(紙か繊維か)を事前に取得
- 事例名:搬送ベルトを5910にしたが実は4010
- 誤りの内容:注7によりゴム系ベルトは4010へ(5910から除外)
- 起きやすい状況:ベルトの含浸材がゴムかプラスチックかを確認しない
- 典型的な影響:追加納税、原産地判定のやり直し
- 予防策:含浸材のSDSと工程(ゴム加工織物から製造か)を確認
- 事例名:厚さ3mm未満のベルチングを5910で申告
- 誤りの内容:注7で厚さ3mm未満は5910から除外
- 起きやすい状況:厚さを測定していない、仕様書に厚さ記載がない
- 典型的な影響:分類修正、追加資料要求、納期遅延
- 予防策:厚さ測定を検収項目にし、測定方法を標準化
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、第59類は品目番号だけで一律に輸入許可が必要となるケースは多くありません。一方で、用途や素材(被覆材、添加剤)により別体系の規制や顧客要求がかかることがあります。
- 典型的に社内でチェック対象になりやすい軸(該当がある場合のみ)
- 建材用途(壁面被覆材、床材)としての各種基準や顧客要求
- 工業用途(フィルター材、ベルト等)での安全要求や仕様適合
- 被覆材に含まれる化学物質に関する規制や契約上の制限
- 確認先(一般論)
- 申告国税関、取引先が求める規格、用途国の規制当局情報
- 実務での準備物(一般論)
- 素材証明(SDS、成分表)、用途説明、仕様書、試験成績書、図面
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 基材の種類(織物、メリヤス、不織布、フェルト等)
- 被覆材の種類(プラスチック、ゴム、その他)と肉眼判別可否
- 層構成(断面写真、積層有無、埋込有無)
- 目付(g/㎡)、厚さ(特にベルトは3mm境界)、幅(壁面被覆材は45cm境界)
- 用途(壁紙、床材、ベルト、フィルター、タイヤ補強など)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 5903は注2の除外を全てチェック(7mm円筒、完全埋込、補強目的貼合せ等)
- 5906は注5の重量・繊維比率、セルラーラバー貼合せ除外をチェック
- 5910は注7の除外(厚さ3mm未満、ゴム系は4010)をチェック
- 5911は注8の限定列挙と残余要件をチェック
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名に、基材、被覆材、用途、目付、幅、厚さを入れる
- 仕様書、SDS、断面写真を添付できる状態にする
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定採用HS版の確認、必要なら相関表で対応付け
- BOM、原価、工程、非原産材料HSの整備
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 用途国の規制と顧客要求を軸に、材料証明と用途説明を整備
12. 参考資料(出典)
- 日本税関:実行関税率表(HS2022) 第59類 注(59r.pdf) 参照日:2026-02-24
- World Customs Organization:HS Nomenclature 2022 Edition Chapter 59 参照日:2026-02-24
- 日本税関:関税率表解説 第59類(kaisetu/data/59r.pdf) 参照日:2026-02-24
- 日本税関:関税率表解説 分類例規 第59類(kaisetu/data2/59r.pdf) 参照日:2026-02-24
- 日本税関:関税分類の概要(品目分類とGIRの考え方) 参照日:2026-02-24
- WCO:HS2017→HS2022 Correlation Tables(Table I) 参照日:2026-02-24
- 日本税関:HS2017→HS2012 相関表(Table I) 参照日:2026-02-24
- 日本税関:HS2012→HS2007 相関表(Table I) 参照日:2026-02-24
- 日本税関:HS2012改正に伴う相関表は参考資料で法的地位を有しない旨の案内(oshirase.pdf) 参照日:2026-02-24
免責事項
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