主要国のHS2028条文と即応タスクまとめ

2026年1月時点の一次情報をもとに、経営判断に直結する論点を整理する

はじめに

HSコード改正は通関部門だけのテーマではありません。
関税コスト、輸出入規制、製品マスター、原産地判定、顧客向け書類、統計、BIの集計軸に至るまで、企業の意思決定を支える共通キーが一斉に更新されるイベントです。

2026年1月21日、世界税関機構(WCO)は、HS2028改正が受理され、2028年1月1日に発効することを公表しました。
HS2028改正は299セットの改正から構成され、全体として1,229見出し・5,852サブヘディングで構成される新たな品目表となります(HS2022比で新設6見出し・428サブヘディング、削除5見出し・172サブヘディング)。

ここからの約2年間は、単に「待つ期間」ではなく、各国が自国の関税率表や統計品目表に落とし込む準備期間です。
WCOは、この期間に相関表(HS2022とHS2028の対応関係)や関連ツールを整備し、各国による実装作業が進むと位置づけています。

本稿では、主要国ごとにどの文書が法令上の根拠となるのか(便宜上「条文」と呼びます)を整理し、企業が今すぐ着手すべき即応タスクを、経営目線で具体化します。


1. HS2028の「条文」とは何か

WCO改正と各国の国内実装

HS品目表は、HS条約(Harmonized System Convention)に基づく国際的な分類表であり、改正はWCOの手続きを経て各国に波及します。
WCO理事会が改正勧告(Article 16 Recommendation)を採択した後、締約国は6か月間、勧告された改正に対して留保(異議)を表明することができます。

この仕組みにより、企業側は「WCOの改正文書を起点に、各国の国内法令・関税率表への実装を追いかける」という発想が必要になります。

HS2028で何が変わるか

WCOと関連情報が示しているHS2028の主な特徴は、次の通りです。

  • 改正規模は299セットの改正。
  • ワクチンや医療関連品目の可視性向上(新しい見出し・サブヘディングの創設、疾病別・用途別の整理強化など)。
  • 医療・緊急対応機器(救急車、保護具、モニタリング機器など)の新サブヘディング追加。
  • 環境・廃棄物関連品目(特にプラスチック廃棄物など)の国際的な環境枠組みに沿った再編。

ここで重要なのは、分類表の更新が「見出しや小区分の新設・削除」だけでなく、「法的注・部注の改訂」や「構造再編」を含む点です。
単なるコード置換ではなく、分類根拠そのものの組み替えが起こり得るため、企業の分類ロジックやエビデンスの見直しが不可欠になります。


2. 主要国の「条文」はどこで確定するか

以下では、企業が一次情報として追いかけるべき公表物を、国・地域別に整理します。

国際(共通):WCO

  • HS2028改正文書(Article 16 Recommendation、HS2028 Nomenclature)。
  • HS2028改正概要やニュースリリース(発効日、改正件数、背景説明)。
  • HS改正手続きの説明(6か月の留保期間など)。

企業がまず押さえるべき一次情報は、WCOが公表するHS2028改正文書とその解説ページです。

EU:CN(Combined Nomenclature)への取り込み

EUは、WCOのHS改正を受け、Council Regulation (EEC) No 2658/87 に基づき、関税・統計の共通分類であるCN(Combined Nomenclature)に反映します。

  • CNは8桁で構成され、最初の6桁がHS、7桁・8桁がEU固有のCNサブヘディングです。
  • 第9・10桁はTARICコードとして、EU域内の追加的な貿易措置や細分に用いられます。
  • CNは、輸入・輸出申告、関税率の決定、統計、各種規制措置の適用の基礎となります。

WCO理事会での改正勧告を受けて、EUは理事会決定・委員会実施規則などを通じてHS改正をCNに取り込みます(2026年版CNの公表など)。

米国:HTSUS(Harmonized Tariff Schedule of the United States)

米国では、USITC(U.S. International Trade Commission)がHS改正に対応するHTSUS改正案を作成し、大統領への勧告プロセスを担います。

  • 2025年8月12日付のUSITCニュースリリースにおいて、2028年版HTSへの改正作業を開始する調査「Recommended Modifications in the Harmonized Tariff Schedule, 2028」の実施が公表されています。
  • USITCは、2026年2月にHTS改正の予備的ドラフトを公表しパブリックコメントを募集し、その後、2026年9月に大統領へ報告書を提出する予定としています。

また、USITCのFAQでは、HTSコードの構造について次のように説明しています。

  • 4桁が「heading」、6桁・8桁が「subheading」であり、法的テキストとしてのHTSは8桁レベルまでで完結する。
  • さらに、10桁目は統計用細分が付されることがあり、これらを合わせてHTSUSとして運用する。

従って、企業にとっての最終的な「条文」は、大統領による改正反映後のHTSUS(8桁)と、それに基づく10桁統計番号です。

日本:9桁統計品目番号とHS版の混在

日本では、HS条約改正に合わせて、関税定率法等および関連告示・解説資料を改正し、関税率表と輸出入統計品目表に反映します(HS2022改正時も同様の整理)。

  • 日本の「統計品目番号」は9桁であり、6桁のHSコードに3桁の国内細分コードを加えた構造です。
  • 9桁コードは、日本の通関申告・貿易統計の基礎となるコードとして運用されています。

一方、EPA(経済連携協定)では、協定ごとに採用しているHSの版(例:HS2012、HS2017、HS2022など)が異なり、原産地規則の品目別規則(PSR)は協定で定めるHS版に紐づきます。
このため、日本の通関実務がHS2022や将来のHS2028に移行していても、原産地証明書等に記載するHSコードは、当該EPAで採用しているHS版に合わせる必要があると説明されています。

英国:UK Integrated Tariff(UK Global Tariff)

英国は、EU離脱後、UK Global Tariff(UKGT)に基づくUK Integrated Tariffを運用しており、HS改正に合わせて国内の統合関税表を改正します。

  • 2022年の分類改正時には、HS改正に対応したUK Integrated Tariffの変更内容や相関情報が、政府サイトの「tariff stop press」等で告知されています。
  • また、輸入関税率の案内としてUK Global Tariffに関するガイダンスが提供されています。

実務上、企業が確認すべき「条文」は、最新のUK Integrated Tariff(UK Tariff)およびその改正告知です。

カナダ:Customs Tariff

カナダでは、Customs TariffがHSに基づく国内関税率表として機能し、必要に応じて改正・公表されます。

  • カナダ国境サービス庁(CBSA)は、Customs Tariffの最新版をウェブサイト上で提供し、改正がある場合は通知・更新を行う方針を示しています。
  • HS2028改正についても、HSが多くの国の関税率表の基礎であり、カナダにも影響する旨が業界向け情報で紹介されています。

中国:HSベースの8桁体系

中国は、HSベースの分類体系(CCCCS)を用いており、8桁を標準とする国内細分を採用しています。

  • 2024年版のCCCCSでは8,966の8桁品目が存在し、最初の6桁がHSコード、7桁・8桁が中国独自の細分と説明されています。
  • 一般的な解説でも、中国のHSコードは通常8〜10桁で、最初の6桁が共通のHS、その後ろが国内サブヘディングであるとされています。

従って、中国における最終的な「条文」は、中国税関が公表する最新のCustoms Commodity Codes(CCCCS)およびその改正告示です。

韓国:10桁コード

韓国は、6桁HSを基礎に、国内で拡張した10桁のHSKコード(tariff number)を用いています。

  • 韓国税関は、HSコードの概要説明の中で、6桁は国際共通であり、各国は自国のニーズに応じて6桁以降を拡張すると説明しています。
  • 公開データセットでも、「韓国税関のHSKコードに基づく2桁・4桁・6桁・10桁の関税番号」として10桁コードを明示しています。

したがって、韓国では10桁HSKコードが実務上の最終的な「条文」として機能します。


3. 主要国別に、実務で起こりやすいこと

米国:ドラフト公開とパブリックコメント

USITCは、HS改正に整合したHTS改正のため、2028年版HTSの改正案作成プロセスを開始したと公表しています。

  • 2026年2月に予備的なドラフト改正案を公表し、パブリックコメントを募集する予定です。
  • コメント期間後、必要な修正を行い、2026年9月に最終報告書を大統領へ提出するとしています。

また、USITC FAQ等によれば、国際共通の6桁HSに対し、8桁までがHTSの法的テキストであり、その後ろの10桁までが統計用途を含む米国固有の細分となります。

企業の即応ポイント(米国)

  • 米国向けでは、6桁HSだけでなく、最終的にHTSUSの8桁・10桁レベルまで確定しないと関税・統計上の影響が判断できない。
  • 2026年2月のドラフト時点から、自社品目の候補コードを当て、論点のある品目は根拠資料(技術仕様、カタログ、判定ロジック)を前倒しで整備しておく。
  • 2027年末〜2028年初にかけて、年跨ぎ貨物や長いリードタイム案件では旧・新HTSの境界で書類不一致が起こりやすいため、切替条件を事前に整理する。

EU:WCO改正→CN→TARIC

EUは、WCOの改正勧告を受けたうえで、CN(8桁)に取り込み、さらにTARIC(9桁・10桁)で各種措置を追加する形で運用します。

  • CNは、EUの共通関税と統計のための分類であり、輸入・輸出申告、関税率決定、統計、各種規制措置の参照コードとして用いられます。
  • CNの構造上、最初の6桁がHS、7桁・8桁がEUのCNサブヘディングであることが制度文書に明記されています。

企業の即応ポイント(EU)

  • EU向けでは、WCO段階ではなく、CNの改正情報が実務上の確定点となる(関税・統計・規制すべての基礎)。
  • HS2028で6桁が動く品目は、後続でCNサブヘディング(7・8桁)の再編が起こる可能性が高く、規制・統計要件も連動して変更されうる。
  • 関税率だけでなく、輸入規制、アンチダンピング等の措置、統計報告もCNに紐づくため、部門横断で影響評価する必要がある。

日本:9桁運用とEPAのHS版

日本では、通関・統計は9桁統計品目番号で運用され、そのうち先頭6桁がHS、後ろ3桁が国内細分です。

  • 9桁統計コードは、輸出入申告と貿易統計の基礎であり、輸出用・輸入用で3桁の細分が異なる場合があります。
  • HS改正は、関税定率法等の改正を通じて、関税率表・統計品目表に反映されます。

一方、EPAでは協定ごとに採用するHS版が異なるため、原産地規則の品目別規則は協定で定めるHS版に紐づきます。
そのため、原産地証明書などEPA関連書類に記載するHSコードは、国内通関用の最新版ではなく、協定の採用HS版に合わせる運用が必要とされています。

企業の即応ポイント(日本)

  • 社内マスターは、「国内申告用の最新版HS+9桁統計コード」と「EPA別に採用しているHS版」を並行管理できる設計が必要。
  • HS2028対応は、通関だけでなく、原産地判定・証明業務の作業量を増やしやすい(複数HS版の併存)。
  • 営業や顧客向け書類(インボイス等)に記載するコードの「版」と「桁数」を、国と用途(通関・原産地・統計)ごとに定義し直す必要がある。

英国:UK Tariffでの告知

英国は、UK Integrated Tariff(UK Global Tariffを含む)として自国の関税率表を運用し、HS改正に対応した変更や相関情報を政府サイトで告知します。

企業の即応ポイント(英国)

  • 英国向けでは、UK Tariff(UK Integrated Tariff)の最新版を確認し、要求される桁数までコードを揃えて書類の整合を取る。
  • EUと見た目は似ていても、7桁以降の国内細分の設計が異なることがあるため、CNコードの単純流用は危険。

カナダ・中国・韓国:それぞれの国内公表物が最終確定点

  • カナダ:CBSAが公表するCustoms Tariffが、HSに基づく関税率表として運用され、改正時は通知・更新が行われます。
  • 中国:中国税関が公表するCCCCSは、最初の6桁がHS、7桁・8桁が中国独自の細分で構成される8桁体系であり、必要に応じて10桁まで拡張される場合もあります。
  • 韓国:韓国税関は、6桁HSを基礎に10桁HSKコードを運用しており、輸入者は韓国の10桁体系で分類する必要があります。

企業の即応ポイント(カナダ・中国・韓国)

  • 同じ6桁HSでも、7桁以降の国内細分は国ごとに別物と割り切る。
  • 取引先向けの資料は、可能な限り相手国側の桁数(カナダのCustoms Tariff、中国の8桁、韓国の10桁等)で提示できるように準備する。
  • 制度の最終確定点は、それぞれの税関・関税率表等の公表物に置き、二次情報だけで判断しない。

4. 経営として今すぐやるべき即応タスク

ここからは国別ではなく、企業側の実務タスクに落とし込みます。鍵となるのは、「二層管理」と「切替境界の事故防止」です。

即応タスクA:棚卸しと影響評価

  • 取扱品目の現行コードを、「どの国向け」「どのHS版」「何桁か(6桁・8桁・9桁・10桁など)」の観点で棚卸しする。
  • 売上上位、利益上位、関税額上位、規制該当品目など、影響の大きい品目から優先順位を付ける。
  • HS2028で6桁が動きやすい品目群(医療・ワクチン・環境関連など)を早期に特定し、技術仕様や使用用途など分類根拠情報を集約する。
  • 税率だけでなく、規制、許認可、統計単位、原産地判定(EPA)の影響も同時に洗い出す。

即応タスクB:マスターデータの二層化

  • 国際共通の6桁HSと、国別の実務桁(EUのCN8桁、日本の9桁、中国の8桁、韓国の10桁など)を分離して管理する設計に見直す。
  • マスターデータに「HS版」フィールドを持たせる(HS2022、HS2028、EPA別に採用するHS版など)。
  • 取引先に提示するコード(インボイス・仕様書・見積書など)のルールを、国別・用途別に社内標準化する。
  • 変更履歴と根拠を残し、監査対応や後日の説明に耐えられるようにしておく(特に高関税・規制品目)。

即応タスクC:書類と原産地の事故防止

  • インボイス、パッキングリスト、原産地証明書、輸出管理資料などで、どの桁のコードを載せるかを国別に定義する。
  • EPA関連書類では、協定で採用しているHS版に合わせてHSコードを記載する運用を業務手順に明記する。
  • 2027年末から2028年初にかけて、年跨ぎ貨物や長納期案件について、旧HS2022・新HS2028のどちらで申告・証明するかの境界条件を洗い出し、切替手順を事前に設計する。

即応タスクD:外部との合意形成

  • 通関業者に対し、HS2028改正時の検証プロセスや必要情報(仕様書、図面、用途など)をあらかじめ確認する。
  • サプライヤーには、製品仕様情報の提供範囲・更新頻度・フォーマット(HS版・桁数の指定等)を明確化し、契約やSLAに反映する。
  • 顧客に対しては、コード変更が輸入側の関税や規制に与える影響を説明できる体制(FAQ、ガイド文書、営業への教育)を整える。

5. 2028年までの実務ロードマップ

WCOは、HS2028の受理後から発効までの期間を、相関表整備や各国による実装準備期間と位置付けています。
USITCは、2026年2月ドラフト、2026年9月大統領報告というタイムラインを明示しており、企業側の準備スケジュール策定の基礎情報となります。

この情報を踏まえると、企業としては次のようなロードマップが現実的です。

  • 2026年:
    • 棚卸しと影響評価(即応タスクA)を実施し、優先品目を特定。
    • HS2028案の内容・WCOの相関情報を踏まえ、6桁レベルの候補付けと分類根拠資料の整備を開始。
    • 米国向けについては、2026年2月のUSITCドラフトを確認し、必要に応じてパブリックコメント提出を検討。
  • 2027年:
    • 各国の国内実装状況(HTSUS改正、CN改正、日本の9桁統計コード改正、中国・韓国の細分改正など)を確認し、国別の実務桁を確定。
    • 社内システム改修、マスターデータ二層化、UAT(ユーザー受入テスト)、取引先・通関業者との番号整合を完了させる。
  • 2028年:
    • 切替運用を開始し、誤分類や書類不一致のエラー監視を強化。
    • 税関からの差戻し・照会に即応できるよう、根拠資料と履歴管理のプロセスを稼働させる。

おわりに

HS2028は、分類表の単なるマイナーチェンジではなく、企業にとっては基盤データの大規模アップデートです。
WCOの一次情報を起点に、米国はUSITCとHTSUSプロセス、EUはCNとTARIC、日本は9桁統計コード運用とEPA版混在、そして中国・韓国・カナダなどは各国の関税率表・分類体系という現実に合わせて、二層管理と切替事故防止に投資することが、費用対効果の高い対応となります。

個別品目の最終コードを今すぐ決め切ることよりも、
「結論をブレなく・説明可能な形で出せる仕組み(根拠管理、履歴管理、HS版管理、相手国桁への変換ロジック)」を先に整えることが、2028年前後の現場混乱を最小化する近道です。

【WCO改正解説】センサー・半導体の「境界」が変わる

──「用途」から「構造」判定への実務的転換と、企業が取るべき対応

センサーと半導体は、いまや自動車から産業機械、家電、医療機器に至るまで、あらゆる製品の中核部品です。しかし、貿易実務の現場では、その技術的進化ゆえに分類の境界線が曖昧になっています。

「機能はセンサー(測定)だから第90類ではないか?」「いや、構造は集積回路(IC)そのものだから第85類ではないか?」──こうした解釈の揺れは、国や担当官によって判断が分かれる大きなリスク要因となっていました。

この問題に対し、WCO(世界税関機構)のHS委員会は、分類意見(Classification Opinions)を通じて明確な判断基準を打ち出しています。特に第73回HS委員会(2024年3月)で採択された決定は、センサーと半導体の境界線に新たな「構造重視」のルールを確定させる重要な転換点となりました。

本稿では、この決定が実務に与える影響と、企業がいま講じるべき対策について解説します。


1. 何が決まったのか? センサー内蔵ICは「85.42」へ

今回、実務への影響が特に大きいのは、以下の製品群が第90類(計測機器等)ではなく、明確に**「電子集積回路(HS 85.42)」**として分類整理された点です。

WCO分類意見の要点(代表例)

対象製品のイメージWCO分類 (HS)実務上のポイント
複数のスイッチ機能(複数ダイ)を1パッケージに内蔵するIC
(例:モータドライバ等)
8542.39用途がモータ駆動であっても、構造が「マルチチップIC」の定義に合致すれば85.42を優先。
2つのセンサーダイを同一パッケージに封止したホールセンサーIC
(角度・位置検出用)
8542.39「角度・位置の検出(測定)」という用途があっても、ICとしての一体性・構造要件を重視し、第90類を排除。

これらの決定において、WCOは一般解釈規則(GIR)1および6に加え、**第85類注12(b)(iii)(マルチチップ集積回路の定義)を根拠としています。 特にホールセンサーICの事例は、「測定機能を持つものは第90類」という従来の直感的な判断を覆し、「構造がICであれば第85類」**という原則を強く印象づけるものとなりました。

2. WCOが示した判断軸:機能ではなく「構造と一体性」

今回の分類意見が企業に示唆しているのは、「争点になりやすい『用途』よりも、まず『構造』を見よ」というメッセージです。

分類意見で重視された構造要件

  • 複数ダイ(または機能ブロック)の集積: 複数のダイが1つのパッケージに収められていること。
  • 受動・能動素子の不在: マルチチップICの場合、ダイ以外の追加回路要素(個別のコンデンサや抵抗等)が含まれていないこと。
  • 不可分な一体性: ダイ製造およびパッケージングの時点で、物理的に一体化されていること。

【重要な注意点:相互接続の解釈】

実務上、「ダイ同士が直接ワイヤで繋がっていない(電気的に相互接続されていない)なら、マルチチップICの定義(注12(b)(iii))に当たらないのでは?」と判断し、第90類へ分類してしまうケースが見受けられます。

しかし、WCOの判断はこれとは異なります。ダイ同士が直接接続されていなくても、リードフレームやパッケージ配線を介して機能的に結合(相互接続)していれば、マルチチップICの要件を満たすと解釈されます。

つまり、見た目の配線にとらわれず、「パッケージ全体として一つのICとして機能しているか」という構造的一体性が、分類の決定打となるのです。

3. 法的根拠:第85類注12が持つ「強制力」

この線引きを支えているのが、関税定率法(HS条約)における第85類注12の規定です。

注12は、半導体デバイス(85.41)と電子集積回路(85.42)を定義すると同時に、以下の強力な優先ルールを定めています。

「この注に規定する物品については、第85.41項及び第85.42項は、この表の他のいずれの項(第85.23項を除く。)よりも優先する。」

つまり、ある製品が「センサー」としての機能を持ち(第90類)、同時に「集積回路」の構造定義(第85類注12)も満たす場合、HS条約は「第85類(半導体/IC)に分類せよ」と強制しているのです。

今回のWCOの決定は、この原則をセンサーIC等の「境界領域」の製品に厳格に適用した結果と言えます。

4. 企業への影響:分類ブレ=経営リスク

この解釈更新を単なる「コード変更」と捉えるのは危険です。不正確な分類が引き起こす「不確実性コスト」は、関税率の差以上にビジネスを圧迫します。

  • 通関遅延・追加照会: 構造説明が不十分で「センサー(90類)では?」と疑義を持たれ、貨物が止まる。
  • 事後調査での否認: 過去に遡って過少申告を指摘され、加算税・延滞税が発生する。
  • FTA/EPA適用の崩壊: HSコードが変わることで、原産地規則(CTC要件など)を満たさなくなり、関税ゼロの特典を失う。
  • システム修正の負担: 品目マスタ、ERP、輸出入システムの改修コスト。

WCOの判断が出たからといって、世界中の税関が即座に運用を統一するわけではありません。だからこそ、企業側が論理的な説明(Defense File)を用意しておく必要があります。

5. 実務チェックリスト:いま着手すべき5つのアクション

  1. 対象品目の棚卸し(Inventory)センサーIC、MEMS、モータドライバ、パワーモジュールなど、境界領域にあるSKUを抽出。現行のHS採番理由が「用途」寄りになっていないか再点検します。
  2. 「構造」を証明する技術資料の整備単なるスペックシート(機能説明)では不十分です。パッケージ内部構造、ダイの枚数・構成、リードフレームとの接続、追加部品の有無を図解できる資料(Cross-section図など)を準備します。今回のWCO判断において、勝負を決めるのはこの情報です。
  3. 製品記述(Description)の標準化インボイスやマスタ品名において、「Sensor」という単語を強調しすぎると誤解を招きます。「Integrated Circuit (Dual die Hall sensor type)」のように、構造(IC)を主語にした記述へ統一することを推奨します。
  4. 重点国での事前教示(Advance Ruling)主要な輸出入国において、今回のWCO判断が浸透しているかを確認し、リスクが高い場合は事前教示制度を利用して分類を確定させます。
  5. 変更管理(Change Management)の制度化設計変更やサプライヤ変更により、1ダイから2ダイへ、あるいは受動部品の内蔵有無が変わると、HSコードも変わる可能性があります。設計変更通知(PCN)とHS分類部門が連動する仕組み作りが不可欠です。

まとめと今後の見通し

WCOのHS委員会は、継続的にこの領域の整備を進めています。直近の第76回会合(2025年9月)に続き、次回第77回会合(2026年3月予定)でも新たな分類議論が行われる見込みです。この領域は「一度決めたら終わり」ではなく、「技術進化に合わせて更新され続ける」テーマです。

今回のWCOのメッセージは明確です。「迷ったら構造を見よ」。

特にセンサー機能を内包するデバイスについては、用途ではなく**構造(ICの定義合致性)**で85.42に整理する流れが確定しました。

経営層および実務責任者は、これを機に対象品目の棚卸しを行い、税関に対して「構造」を正しく説明できる体制(技術資料とロジックの整備)への投資を急ぐべきです。それが、無用なサプライチェーンの混乱を防ぐ最善策となります。

韓国:「品目分類変更告示」(2026年1月22日)の実務ポイント

2026年1月22日、韓国関税庁(Korea Customs Service)は、2025年12月16日に開催された「第8回 品目分類委員会」の審議結果(9件)を反映した「輸出入物品等に対する品目分類変更告示」の改正内容を官報に掲載したと公表しました。
この種の告示は、韓国向け輸出入に関わる企業にとって、関税率だけでなく、FTA適用や申告実務(品目マスタ、通関指示、事後修正の要否)に直接影響します。


1. 今回の改正で何が起きたか

今回のポイントは、韓国での品目分類の取り扱いについて、品目分類委員会の決定を通じて解釈が明確化され、その内容が告示改正という形で公式ルールに組み込まれた、という位置付けです。
同じ製品であっても、分類の変更や整理が行われると、次のような要素が連鎖的に変わり得ます。

  • 適用関税率(基本税率、WTO譲許税率、協定税率など)
  • FTAの原産地規則における判定起点(HSベースのCTC基準など)
  • 輸入側での審査観点(補足資料要求、差し止め、事後調査リスクなど)

公表された9件のうち、実務的に象徴性が高い事例として、冷凍水産品と情報機器関連品の分類が説明されています(以下では代表的な論点として整理)。


2. 注目すべき分類事例

事例A:冷凍「チュクミ(주꾸미)」の扱い

争点は、「国際的な学名(属名)の変更が、HS上の分類変更を当然に意味するのか」という点です。
HS2017・HS2022体系では、タコ類は一般に「0307.52 Octopus (Octopus spp.), frozen」に分類されており、コードの構造自体は属の学名変更に直接連動しない形で設計されています。

韓国税関は、学名の変更は生物分類学上の名称変更にとどまり、HS体系の構造やコードの範囲が自動的に変わるものではない、という考え方に立ち、タコ類としての取扱いを維持する判断を示しています(具体の10桁分類「0307.52-3000」自体は韓国の細分コードであり、国際HSでは6桁までである点に注意が必要です)。
実務的には、韓国・ASEANはじめ各FTAで、同じHSコードに属するか否かにより関税率(0%か、そうでないか)が分かれる場合があり、この判断は輸入者・輸出者双方にとって影響が大きいテーマです。

また、韓国関税庁はこのような学名変更とHS分類の関係について、世界税関機構(WCO)の場で整理を進める姿勢を示しており、将来的な国際的ガイダンス整備につながる可能性があります。

事例B:CPUクーラー(液冷+ファン等の複合品)の扱い

CPU冷却用の装置(ラジエーター、ポンプ、チューブ、冷却ヘッド、ファン等で構成された液冷クーラーなど)について、「単なるファン(HS第84.14項)」や「一般的な冷却機器(HS第84.19項)」としてではなく、「自動データ処理機器用の部品(HS第84.73項)」として整理した点が重要です。

理由としては、次のような事情が総合的に評価されたと説明されています。

  • 複数の構成要素が一体となってCPU冷却という単一の機能を果たしている点(複合品としての一体性)
  • コンピュータ(自動データ処理機器)に専用、または主として使用される点(用途の専用性)

このような判断は、WCO解釈通則の「機能の一体性」や「特定用途向け部品」の考え方とも整合的であり、韓国としてコンピュータ関連部品の分類を整理していく流れの一端と位置付けられます。


2事例をビジネス視点で整理

実務上の示唆を、争点・結論・企業側の着眼点という切り口で整理すると、次のようになります(以下の表のコメント部分は筆者による実務的解釈です)。

対象争点韓国側の結論・方向性(要約)企業への示唆(実務的な解釈)
冷凍チュクミ(タコ類)学名(属名)の変更がHS分類を動かすか学名の変更それ自体ではHSの分類範囲は自動的には変わらない。タコ類としての分類を維持する方向。商品説明を生物分類上の名称だけに頼り過ぎず、実際の形態・用途・通関上の既存取扱いとの整合を確認する。FTA税率差の有無も含め、韓国側の分類と社内マスタを合わせる必要。
CPUクーラー(液冷+ファン等の複合品)ファン(8414)か、冷却機器(8419)か、それともコンピュータ部品(8473)か複数部材が一体となってCPU冷却という単一機能を果たし、かつコンピュータに専用または主として使用されることから、コンピュータ部品側(8473)に整理。構成部材の「寄せ集め説明」ではなく、用途の専用性と機能の統合性を文書で示す。写真・構成図・取付先機器等を整理し、「一般用ファン」や「汎用冷却装置」とは異なることを根拠立てる。

3. 日本企業が取るべき実務アクション

ここからは、日本企業が自社の業務フローにどう落とし込むかという視点で整理します。

アクション1:該当可能性のある品目の棚卸し

  • 韓国向け出荷品のうち、食品(水産物)、PC部材、冷却・電装周辺品など、今回の事例に類似性が高い分野を優先的に抽出する。
  • インボイス記載HS(6桁)と、韓国側申告コード(10桁)の間でズレが生じやすい品目(生物名ベースの品目、複合機能品など)を重点的に確認する。

アクション2:品目マスタと通関指示書の更新

  • 社内の輸出用HSマスタ(6桁・必要に応じて9桁)と、韓国輸入者側で使用される10桁コード体系を、定期的に照合しながら管理する。
  • 過去に韓国向け輸出実績がある品目については、分類根拠を1枚の説明資料(根拠シート)に整理しておくと有効です(例:
    製品概要、構成要素、主要用途、写真・図面、カタログ抜粋、取付先機器、比較候補コード(なぜ他の号ではないか)など)。

アクション3:不確実な品目は事前照会ルートを活用

韓国税関は、品目分類の不確実性を減らすための事前審査制度を運用しており、UNIPASS(韓国の通関電子申告システム)上で申請が可能と案内しています。
また、2026年1月2日施行の制度改正では、一定条件下で不足税額に対する加算税(不誠実申告加算税)の減免が認められるケースにも言及されており、輸入後に修正が生じ得る業種ほど、社内での修正手順と期限管理のルールをあらかじめ設計しておく価値があります。


4. 実務上の意味合いと今後の活用

今回の「品目分類変更告示(2026年1月22日)」は、単なる個別事例の紹介にとどまらず、韓国が品目分類の予測可能性を高めつつ、WCOとの整合も意識して運用をアップデートしているシグナルといえます。
日本企業としては、影響が出やすい品目から優先度を付け、韓国側の分類ロジックに沿った形で根拠書類の整備と品目マスタ更新を進めることが、最も効率的な対応策となります。

HS 2028「最終合意」とデジタル製品・サービス区分が、実務に突きつけるもの


2026年1月21日、世界税関機構(WCO)はHS 2028改正(Harmonized System 2028)の改正パッケージが受け入れられたことを公表しました。発効は2028年1月1日。つまり、各国が国内制度や通関システム、統計、企業のマスタデータを切り替えるための実装期間が、いま明確にスタートした形です。 (世界関税機関)

一方で、企業の現場感として最も悩ましいのが、デジタル製品とデジタルサービスの区分です。モノとして国境を越えるのか、データとして越えるのか。単体販売なのか、ハードとサブスクが束ねられているのか。こうした論点は、HSという制度の外側にまで波及します。

この記事では、HS 2028の「最終合意」が何を意味し、なぜいま「デジタル製品・サービスの区分」が企業課題として深刻化するのかを、ビジネス実務の観点で掘り下げます。


1. まず押さえる:HS 2028で何が「最終合意」したのか

HS 2028は、第7次見直しサイクルの成果です。このサイクルは通常より長く、2019年7月から2025年6月までの6年間に延長されました。コロナ禍の影響で議論を完結させるために例外的に延長された、という位置づけです。 (世界関税機関)

その上で、2025年3月(10日から21日)に開催されたHS委員会(HSC)第75回会合で、HS 2028を構成する改正勧告(Article 16 Recommendation)が暫定採択され、「すべての交渉が完了した」とWCOが明記しています。ここで言う「最終合意」は、技術交渉としての決着、という意味合いが強い。 (世界関税機関)

そして2026年1月、WCOはHS 2028改正が受け入れられたと発表しました。改正は299セット、HS 2022比で見出し(headings)数や小見出し(subheadings)数が増減し、新設や削除も行われています。発効は2028年1月1日で、残り2年の実装期間に入った、という説明も併記されています。 (世界関税機関)

この「2年」は、制度側だけでなく企業側にも重い意味を持ちます。HSは関税率だけの話ではなく、輸入規制、統計、FTA原産地判定の入口、社内の品目マスタのキーになっていることが多いからです。


2. HS 2028の改正思想は「政策目的を帯びた可視化」

HS 2028の特徴は、貿易実務の利便性だけでなく、政策目的に直結する可視化を強めている点です。WCOは、改正が「世界的な優先課題と貿易の変化」に適応するものだと位置づけ、特に公衆衛生と環境を強く打ち出しています。 (世界関税機関)

例として分かりやすいのが、ワクチンとプラスチックです。

ワクチンについては、HS 2028で新たな見出しの枠組みを導入し、人用ワクチンとその他(動物用を含む)を分け、より詳細な分類を可能にする方向が示されています。WCOの説明では、従来30.02に含まれていたものを30.07(人用ワクチン)と30.08(その他のワクチン)に再編する構造が明確に書かれています。 (世界関税機関)
WTO側も、HS 2028の改正がワクチン等の分類の改善に繋がる点をニュースで取り上げています。 (WTO)

プラスチックについては、バーゼル条約との整合を意識して、プラスチック廃棄物の分類を再編し、有害性やPIC(事前通報・同意)対象かどうか等を識別しやすくする、とWCOは説明しています。さらに「単回使用(single-use)」という概念を法的注として明示し、分類の一貫性やデータ精度、政策実装を支えるとしています。 (世界関税機関)

ここまで読むと、HS 2028はデジタル製品やサービスにも同じ発想で踏み込むのでは、と思うかもしれません。ところが実際には、ここにHSの構造的な限界が出てきます。


3. ここが本題:HSは物品分類であり、デジタル取引の核心はしばしばHSの外にある

HSはあくまで「物品」を分類する体系です。つまり、国境を越える対象が「モノ」ならHSが中心に来る。しかし、デジタル経済では、価値の中核が「データの送信」や「利用権」「クラウド上の機能提供」に移りやすい。

このとき問題になるのが、電子送信されるデジタル製品を財(goods)と見るのか、サービス(services)と見るのか、という整理です。WCOの文書でも、電子送信される製品が財かサービスかの性格付けは、例えば電子書籍、ソフトウェア、映画、雑誌、新聞などのケースで市場アクセス上の実務的帰結を持つ、と明示されています。 (世界関税機関)

さらに、WCOのEnvironmental Scan 2024では、WTOが2024年に「電子送信への関税賦課のモラトリアム」をさらに2年更新したことに触れた上で、HSや関税評価(Valuation)との関係で、電子送信をどう扱い、どう区分し、どう課税するかをWCOとしても検討し得る論点だ、と問題提起しています。 (世界関税機関)

つまり、ここにあるのは「HS 2028の中でデジタルが整理されて終わった」という話ではなく、むしろ逆です。HS 2028が最終合意して発効準備に入ったことで、物品としての分類整備は進む。しかし、価値が電子送信やサービス提供に移る取引は、HSだけでは完結しない、という現実がより鮮明になっています。


4. ビジネス実務で使える「デジタル製品・サービス区分」3分類

制度論を待っても、企業の現場は止まりません。そこで実務上は、取引を次の3つに切り分けるところから始めるのが現実的です。

4.1 物品としてのデジタル関連商品

例:ハードウェア、端末、記録媒体、デバイスに同梱されたソフト、物理的に輸送される製品

ここはHSのど真ん中です。HS 2028の改正により、該当品目の見出しや小見出しが変わる可能性があるため、輸出入量が多い製品から順にマッピングが必要になります。WCO自身が、発効までの2年で相関表(Correlation Tables)の整備などを進める、としています。 (世界関税機関)

4.2 電子送信されるデジタル製品

例:ソフトウェアのダウンロード、電子書籍、デジタルコンテンツ配信

ここは「国境を越えて価値は移転するが、物品としての通関がない」領域です。財かサービスかの整理自体が、国際的にも一枚岩ではないことをWCO文書は示唆しています。 (世界関税機関)
また、電子送信に対する関税の扱いはWTOのモラトリアム議論と連動し得るため、ビジネス側は制度動向の監視が必要になります。 (世界関税機関)
実際、各種の通商協定でも電子送信に関税を課さない旨を定める例があり、日EU・EPAでも電子送信への関税を課さない条項が置かれています。 (外務省)

4.3 デジタルサービス

例:SaaS、クラウド利用、保守、サポート、運用代行、データ分析サービス

これはHSではなく、サービスとしての税務・契約・規制の世界が中心になります。ただし重要なのは、物品とサービスがセットで売られることが多い点です。ここを曖昧にすると、税関評価や間接税、移転価格などの論点が連鎖します。


5. いちばん危ないのは「束ね売り」:ハードとサブスク、機器と利用権、導入費と保守

デジタル製品・サービス区分の論点が、実際に燃えやすいのは「束ね売り」の場面です。

典型例として、機器の販売に、初期設定費、導入支援、トレーニング、保守、クラウド利用料が混在するケースがあります。このとき請求書や契約が一体化していると、どこまでが物品の対価で、どこからがサービスなのかが不明確になりやすい。

実務的には、物品に含まれない費用要素を切り分け、根拠を揃えることが重要です。例えばKPMGの解説でも、トレーニング、組立、保守、保証などのアフターサービスや導入後サービスは、関税上の非課税要素になり得る点が示されています(ただし具体の扱いは契約と当局実務に依存)。 (KPMG Assets)

ここでのポイントは、関税コストの最適化というよりも、説明可能性の確保です。税関・税務当局のデジタル化が進むほど、取引データの整合性は機械的に突合されやすくなります。契約、請求、製品マスタの整合が崩れると、後から修正するコストが跳ね上がります。


6. HS 2028発効までに企業がやるべきこと

HS 2028は2028年1月1日発効です。これは単なる将来の予定ではなく、すでに国際的には「切替が前提の世界」に入っています。 (世界関税機関)

デジタル製品・サービス区分の観点も含め、企業が今から進めるべき実務を、優先度順にまとめます。

  1. 取引タイプの棚卸しをする
    物品の輸出入なのか、電子送信なのか、サービス提供なのか。さらに、単体か束ね売りか。まずは売上上位とリスク上位の取引から分類します。
  2. 物品側はHS 2022からHS 2028へのマッピング準備を始める
    発効前にWCOが相関表などの実装ツールを整備するとしています。各国の8桁や10桁への落とし込みは国ごとにタイムラグが出るため、主要国別にウォッチします。 (世界関税機関)
  3. 契約と請求書を「区分できる構造」にする
    物品対価、導入支援、保守、サブスク利用料などを分け、説明可能な形にします。後追いでの区分は、監査・税関調査で弱いです。 (KPMG Assets)
  4. 製品マスタとルールを、関税分類だけでなく商品設計と連動させる
    HSは分類番号に見えますが、実際は事業の共通キーです。営業、購買、経理、法務、物流、ITが同じデータを参照できる体制が、後の事故を減らします。
  5. 電子送信の論点は、制度動向を前提に「変化に耐える設計」にする
    WCOも電子送信をどう区分し、どう課税するかは将来的に検討が必要になり得ると示唆しています。WTOのモラトリアム動向も含め、固定的な前提を置き過ぎない設計が安全です。 (世界関税機関)

おわりに:HS 2028は「コード更新」ではなく、取引の設計思想を試すイベント

WCOのHS 2028改正は、最終合意を経て2028年発効に向けた実装フェーズに入りました。公衆衛生や環境など、政策目的を帯びた可視化が強まるのが今回の特徴です。 (世界関税機関)

ただし、デジタル製品・サービスの区分という観点では、HSの最終合意が「解決」を意味しません。むしろ、HSが物品分類である以上、電子送信やデジタルサービスは別の制度軸で整理される、という構造がより鮮明になります。 (世界関税機関)

だからこそ、企業にとっての勝ち筋は、制度が完全に確定するのを待つことではありません。取引を区分できる契約と請求、説明可能なマスタ、変更に耐える運用ガバナンスを整えること。HS 2028対応は、その体制を作るための最も分かりやすいタイミングです。


米国と日本:HS2028を国内法に移す正式ルートを深掘りする

この記事は、2026年1月23日時点で確認できる一次情報を中心に、HS2028が米国と日本でどのように国内制度へ反映されるかを、ビジネス実務の視点で整理したものです。HS改正は「税番が変わる」だけでは終わりません。関税率、EPAやFTAの原産地規則、通商救済措置の対象品目、社内マスターや通関システムまで波及します。だからこそ、正式ルートを理解しておくことが、準備の精度を上げます。

まず押さえるべき国際スケジュール:HS2028は2028年1月1日に発効

HS2028は、世界税関機構WCOが管理するHS品目表の第8版で、2028年1月1日に発効します。今回の改正は、通常5年サイクルの見直しが例外的に6年へ延長された上で成立したもの、とWCOが明確にしています。(World Customs Organization)

WCOは、HS2028について「国内レベルでは必要な立法手続、ITシステムや刊行物・手続の更新、税関職員や関係者への研修が必要」といった実装作業が不可欠であることも明記しています。つまり、HS2028は2028年にいきなり現場に降ってくるのではなく、各国が国内法制と運用を揃える準備期間を前提に動きます。(World Customs Organization)

国際的な採択手続の流れとしては、HS委員会での暫定採択を経て、WCO理事会で正式採択され、2026年1月に公開、2028年1月1日に発効というスケジュールがWCOから示されています。(World Customs Organization)

「国内法に移す」とは何を変えることか

HSは6桁までが国際共通で、各国はそれ以降の細分を設けます。したがって、各国がHS2028を国内で使える形にするには、少なくとも次の層を整合させる必要があります。

  1. 国際6桁の改正を反映する
  2. 自国の細分桁を作り直す
  3. 関税率や特恵税率、通商救済措置など、番号に紐づく制度をつなぎ替える
  4. 申告受理システムや統計システムを改修する
  5. 税関の解釈資料や運用通達を更新する

このうち、どこまでが「法律の改正」で、どこからが「行政の告示・通達・運用更新」かが、米国と日本で大きく異なります。

米国の正式ルート:USITCの勧告と大統領布告でHTSUSを更新する

米国の制度の土台:HTSUSは議会が制定し、USITCが維持し、CBPが執行する

米国の関税分類はHTSUSにより運用され、USITCの説明では、国際HSの4桁・6桁区分を米国独自に細分し、8桁の米国税率区分と、10桁の統計用区分へ展開するとされています。また、USITCがHTSを維持・公表し、CBPが解釈と執行を担う構図も明確です。(USITC)

HS改正を国内へ反映する公式プロセス:USITCが実施案を作り、大統領が布告する

WTO向け資料として公表されている米国側の説明では、WCOがHS改正を承認した後、USITCがHTSUSへ反映するための作業を行い、最終的に大統領が改正を布告できる、という整理になっています。

HS2022実施を例にした時系列は、実務目線で非常に示唆的です。

  • USITCが調査を開始
  • USITCがドラフトと経済影響の見込みを公表し、意見募集
  • USITCが最終勧告を大統領へ提出
  • 議会でのレビュー期間を経て、大統領が布告
  • 官報に当たるFederal Register掲載から30日後に発効

この「Federal Register掲載から30日後に発効」は、実務側の切替日を考える上で重要なポイントです。

法的根拠:1988年法に基づきUSITCが勧告し、大統領が改正を布告できる

HS2022反映を含むHTSUS改正の大統領布告(Proclamation 10326)を掲載したFederal Registerには、1988年法によりUSITCがHTSを継続的に見直し改正を勧告すること、そして大統領がUSITCの勧告に基づきHTS改正を布告できることが記載されています。(Federal Register)

現場に降りる最終段階:CBPとACEが受ける番号体系の切替

CBPの通達では、Proclamation 10326によりHTSUSが改正され、USITCの刊行物が参照されていること、そして改正内容が一定の日付以降の輸入に適用されることが明示されています。さらに、申告システムACE側の受入れ開始時刻にも触れており、制度改正がシステム実装と不可分であることがよく分かります。(GovDelivery)

ここから読み取れる米国の特徴は次の通りです。

  • 国内実装の最終トリガーは大統領布告とFederal Register掲載
  • 発効日は国際発効日と一致するとは限らず、実装上のタイムラグがあり得る
  • 現場はCBPの運用告知とACEの受入れ仕様に強く依存する

HS2028でも同様に、WCOの発効日だけでなく、Federal RegisterとCBPの実装告知をセットで追う必要があります。

日本の正式ルート:関税定率法の別表改正と、告示・通達で統計品目表や解説を更新する

日本の制度の土台:関税率表は関税定率法の別表で、HS条約に基づく

財務省・税関の分類センター資料では、日本の関税率表は関税定率法の別表であり、HS条約に基づいていることが明確に説明されています。(JETRO)

また同資料は、6桁までは国際共通で、7桁以降は各国が定めること、日本では輸出と輸入でそれぞれ3桁の細分を設け、9桁の統計品目番号として運用していることも示しています。(JETRO)

経済産業省のEPA案内でも、日本では9桁、米国では10桁という桁数の違い、6桁までが世界共通である点が説明されています。(Ministry of Economy, Trade and Industry)

立法ルート:関税定率法等の改正案を政府が作り、国会で成立させる

日本の正式ルートの中心は、「関税定率法等の一部を改正する法律案」という形での法改正です。財務省が公表しているHS2022対応の法案概要では、WCOで採択されたHS条約のHS品目表改正に応じて関税率表を改正する、と明記されています。さらに、その施行日として、HS対応部分は翌年1月1日が設定されていました。(Ministry of Finance Japan)

この構図はHS2028でも基本的に同じで、関税定率法の別表を改正して関税率表を更新するため、政府が法案を準備し、国会で成立し、公布され、施行日を迎えるという流れになります。

告示と通達:統計品目表や解説、分類例規などを実装レベルへ落とす

税関が公表しているHS2022のFAQは、HS改正を受けて、関税定率法別表、輸出入統計品目表、関税率表解説、分類例規が改正対象になることを具体的に示しています。さらに、輸出入統計品目表の改正は財務省告示として行われ、関連リンクが税関サイトに整理されていることも示されています。(Japan Customs)

同FAQでは、HS2022対応の実行関税率表、輸出統計品目表、関税率表解説が、発効日に合わせて税関サイトで公開されていることも明記されています。企業側の実務では、この「公開される版」と「適用開始日」を揃えて把握することが、切替事故を防ぐ鍵になります。(Japan Customs)

ここから読み取れる日本の特徴は次の通りです。

  • 関税率表の本体は法律の別表で、法改正を伴う
  • 9桁の統計品目番号や解説類は、告示や通達等で具体化される
  • 税関サイトでの版管理と公開日が、現場の実装上の重要情報になる

米国と日本の違いを一枚で整理

観点米国日本
国内の基本表HTSUS(国際HSを8桁税率区分と10桁統計区分へ展開)(USITC)関税定率法の別表(関税率表)。6桁まで共通、国内細分で9桁運用(JETRO)
主導機関USITCが改正案の勧告、CBPが執行(USITC)財務省・税関が制度整備、税関が運用・公表(Ministry of Finance Japan)
法的な最終トリガー大統領布告とFederal Register掲載(Federal Register)国会での法改正成立と施行、加えて告示・通達の整備(Ministry of Finance Japan)
切替日の読み方国際発効日と一致しない可能性がある。Federal Register掲載後30日発効の慣行が重要原則は1月1日施行が多いが、法案で施行日が明示される。税関サイトの版公開も併せて確認(Ministry of Finance Japan)

企業の実務ロードマップ:2026年から逆算して何をするか

WCOは、HS2028発効までの2年間で、各国が立法手続やIT更新、研修などを進める必要があると明記しています。企業側も同じ発想で、2年を「準備期間」として設計するのが合理的です。(World Customs Organization)

2026年に着手すべきこと

  • 自社取扱品目のHS2022コードの棚卸しと、変更影響の優先順位付け
  • 米国向けは10桁、日本向けは9桁のマスターを分けて管理し、相互参照表を整備する
  • 通関委託先と「切替日に何を正とするか」を合意する(旧コードの扱い、積送品の扱い、修正申告の方針)

2027年に固めるべきこと

  • 国内改正のドラフトが出るタイミングを想定し、マスターの改修をテスト環境で回す
  • FTAやEPAの原産地規則がHS版に依存する場合、協定で採用しているHS版と実務適用を棚卸しする
  • 取引条件を見直す(関税負担の帰属、税番変更時の価格条項、通関遅延の責任分界)

2028年の切替直前に必ずやること

  • 申告書、インボイス、品名、製品仕様書の記載と税番の整合性を最終点検
  • システムと帳票の改版日を、米国向けと日本向けで別に管理する
  • 切替日前後の出荷をルール化する(通関日の基準、入港日基準か、搬入日基準か等は制度と運用に依存するため、必ず通関関係者と確認する)

よくある落とし穴:分類変更は関税率だけでなく周辺制度を連鎖させる

  1. 関税率が変わらない場合でも、通商救済措置や追加関税の対象付け替えが起きる
    米国では、HTSUSの改正と同時に、特定措置の対象となる番号体系も整合させる必要があり、CBPが具体的な告知を出します。(GovDelivery)
  2. 原産地規則の判定がズレる
    原産地規則はHSコードに依存するため、分類ズレはそのまま原産地判定ズレにつながります。日本の実務資料でも、HSコードを誤ると税率や品目別規則が変わる旨が繰り返し強調されています。(JETRO)
  3. 社内の番号は更新したのに、通関委託先のシステムが追随していない
    米国はACEの受入れ仕様、日本は税関サイトの版公開と運用文書の更新が現場要件になります。切替期は、番号の正しさだけでなく、相手側システムが受ける形式になっているかが成否を分けます。(GovDelivery)

まとめ:正式ルートを理解すると、準備の打ち手が具体化する

HS2028は2028年1月1日に発効し、各国は国内の立法手続やIT更新を伴って実装します。(World Customs Organization)
米国は、USITCの勧告と大統領布告、Federal Register掲載を軸にHTSUSを更新し、CBPとACEの運用に落ちます。
日本は、関税定率法の別表改正を中心とする法改正に加え、告示・通達・税関サイトの版管理で運用を完成させます。(Ministry of Finance Japan)

この違いを踏まえて、企業側は「国際発効日」だけでなく、「米国はFederal RegisterとCBP告知」「日本は法改正の施行日と税関サイトの公開版」という二つの観測点を持つと、準備が現実的になります。

HS2028採択後、公式に何が公表されているのか

2026年1月23日現在、HS2028は「採択を経て、改正内容が公式に公表され、各国が2028年1月1日の切替に向けて国内実装へ移る」フェーズに入りました。いま重要なのは、企業が日々使うコードが多くの場合8桁以上で運用されている点です。国際共通の6桁が動くと、各国の拡張桁、通関システム、統計、FTA運用まで連鎖して動きます。したがって「採択後の公式公表状況」を押さえることは、単なる情報収集ではなく、基幹データ更新の着手判断そのものになります。 (世界関税機関)


1. まず前提:HS2028はどう採択され、いつ効力を持つのか

HS2028は、WCOのHS委員会が改正勧告(HS条約第16条に基づく勧告パッケージ)を取りまとめ、理事会での勧告を経て、異議がなければ受諾される、という国際手続で進みます。EU側の公式文書でも、理事会が勧告した改正は、締約国から6か月以内に異議がなければ受諾と扱われることが明記されています。

今回、WCOは2025年3月(HSC第75回会合)にHS2028改正案を暫定採択した旨を公表しており、その中で改正パッケージが299セットの改正から成ることなどが示されています。 (世界関税機関)
そして2026年1月21日付のWCO公表では、HS2028改正が受諾されたこと、2028年1月1日の発効に向けて相関表作成や各種ツール更新を進めることが示されています。 (世界関税機関)

さらに決定的なのが、WCOが公開している改正条文の公式PDFです。そこには、2025年6月26日の勧告に基づき受諾された改正であり、発効日は2028年1月1日であることが明記されています。 (世界関税機関)


2. 企業がいう「公式公表」は、実は5層ある

現場で混乱が起きやすいのは、「WCOが出した」だけでは通関実務がまだ動かない点です。企業の実務に効く公式公表は、おおむね次の5層で見ます。

  1. WCOの改正条文(HS条約附属書の改正)
  2. WCOの解説類の更新(HS解説書など)
  3. WCO相関表(HS2022とHS2028の対応表)
  4. 各国・地域の拡張桁の確定公表(8桁、10桁等の国内関税率表・統計品目表)
  5. 税関システム、申告様式、統計、FTA運用への実装開始

WCO自身も、受諾後の2年間で相関表作成、解説類更新、加盟国側の立法やIT改修、訓練が必要だと明確に述べています。 (世界関税機関)


3. 2026年1月時点の公式公表状況

下表は「今、一次情報として何が出ているか」を、企業実務の観点で整理したものです。

公表物2026年1月時点の状況企業にとっての意味主な一次情報
1HS条約附属書の改正条文WCOが改正条文PDFを公開、発効日も明記6桁の改正内容を一次情報で確定できるWCO改正条文PDF (世界関税機関)
1から2改正の公式概要受諾と主要改正テーマをWCOが公表影響領域の当たりを付け、社内棚卸しを開始できるWCOニュース (世界関税機関)
2主要改正ポイントの説明ページWCOが主要変更点を整理し、PDFも提示どこが大きく動くかを経営層にも説明しやすいWCO「Amendments effective from 1 January 2028」 (世界関税機関)
3相関表(HS2022↔HS2028)WCOが作成を進める段階と明言品目マスター一括移行の実務は相関表が出てからが本番WCO同ページ記載 (世界関税機関)
4各国の拡張桁国により今後順次。現時点は準備段階が中心8桁以上は国別に最終確定を待つ必要次章参照
5国内IT・申告実装これから各国で本格化通関委託先やERP改修のリードタイムが勝負WCOが必要作業を明示 (世界関税機関)

4. 主要国・地域は今どこまで動いているか

ここでは、公式に確認できる「手続の開始」や「公表サイクル」を中心に、企業が追うべき観測点を示します。国ごとの8桁確定版は、最終的には官報や公定データに落ちるまで確定しません。

米国:HTSUS改正に向けた手続が公式に走り始めた

USITCは、HS改正に整合させるための調査を開始したと公表しており、2026年2月にドラフト改正案を公表し意見募集、2026年9月に大統領へ報告する見込みまで具体的に示しています。 (アメリカ合衆国国際貿易委員会)
企業にとっては、米国向け輸出入がある場合、ドラフト段階から自社品目がどう扱われるかを追い、差分が大きい品目は早期に代理店や通関先とすり合わせる価値があります。

EU:CNは毎年更新され、官報公表の締切ルールがある

EUのCNは毎年更新され、EU官報に実施規則として公表されることが欧州委員会の説明ページで明記されています。 (Taxation and Customs Union)
さらに、CNの年次版は遅くとも10月31日までに官報公表し、翌年1月1日から適用する、という運用ルールが法令上も示されています。 (EUR-Lex)
この仕組みから、HS2028を取り込むCNは、発効日の2028年1月1日に合わせた年次規則として整理されるのが通常の筋になります。ここがEUの観測ポイントです。

ASEAN:AHTN 2028の開発が公式に言及されている

ASEANは、AHTN 2022の見直しがAHTN 2028の策定につながり、WCOのHS2028改正に整合させる旨を公式ページで述べています。 (ASEAN)
ASEAN向けは国ごとの国内実装時期の差が出やすいため、AHTNと各国国内税関の切替時期を二重に追う前提で計画を組むのが安全です。

日本:統計品目表は毎年更新され、公開サイクルがある

日本の税関は輸出統計品目表を年次で公開しており、2026年1月版が2026年1月1日に掲載されています。 (税関総合情報)
HS2028そのものの国内拡張桁がいつどの形で公表されるかは、最終的には公定の関税率表・統計品目表の形で確定するため、普段からこの種の公表サイクルの場所を固定して監視するのが現実的です。


5. WCOが示した主要改正テーマを、企業の影響領域に翻訳する

WCOの説明ページでは、299セットの改正、見出し数や号数の増減、主要テーマが整理されています。 (世界関税機関)
この中で、ビジネス影響が読める論点を、経営目線に直すと次の通りです。

  1. 医療・公衆衛生関連の見える化が進む
    救急車、PPE、人工呼吸器、診断・監視機器など、緊急時物資の識別がより細かくなる方向が示されています。 (世界関税機関)
    実務では、関税というより輸出入規制、統計、危機時の簡素化措置などに波及します。
  2. ワクチンやサプリなど、境界領域の整理が進む
    ワクチンを2つの新見出しに再編すること、サプリメント向けの新見出し21.07を設けることなどが明記されています。 (世界関税機関)
    企業にとっては、食品と医薬の境界、景表法・薬機法的な位置づけ、輸入時の規制要件に直結しやすい領域です。
  3. 環境対応としてプラ関連の整理が進む
    プラ廃棄物の区分見直しや、単回使用の概念を法的注記で明確化することが示されています。 (世界関税機関)
    ここは環境規制、輸出入許可、リサイクル物流、原材料調達の説明責任に波及しやすい領域です。

6. 企業がいま着手すべき準備

相関表や各国8桁が揃うまで待つと、2027年後半からの改修ラッシュに巻き込まれます。WCOが示す通り、2年間は各国が立法とIT改修を進める期間です。 (世界関税機関)
いまは次の順で、軽くても着手しておくのが合理的です。

  1. 自社の品目マスター棚卸し
    輸出入で使っているコード、相手国の拡張桁、FTAの品目別規則で参照している桁数を一覧化します。
  2. 影響の優先順位付け
    売上・購買金額、関税率差、規制該当、原産地規則依存度の4軸で、先に見る品目を決めます。
  3. 分類根拠の整備
    改正でコードが動くときに説明できるよう、用途、材質、機能、構成、技術資料を根拠として束ねます。後で8桁が出たときの再判定が速くなります。
  4. 2026年2月以降のドラフト群を追う
    米国のようにドラフト公開予定まで明示している国は、そこが最初の分岐点になります。 (アメリカ合衆国国際貿易委員会)

まとめ

HS2028は、受諾と発効日が公式に確定し、改正条文PDFも公開されました。 (世界関税機関)
これからの勝負は、相関表の公開と、各国の拡張桁確定、公定データ化、システム実装の連鎖にどう先回りするかです。WCOが示した2年間を、企業側の準備期間として使い切れるかが、そのまま2028年1月の安定稼働に直結します。 (世界関税機関)

WCOがHS2028改正を正式に確定。企業実務で注視すべき4領域はセンサー、半導体、EV電池、スマート繊維

2026年1月21日、世界税関機構WCOはHS2028改正(HS2028 amendments)が受け入れられたことを公表しました。HSは各国の関税率表、統計、各種規制の土台であり、改正は通関部門だけでなく、調達、設計、営業、経営管理にまで影響します。発効は2028年1月1日で、いまは実務準備のための移行期間に入った局面です。 (wcoomd.org)

本稿では、公式一次情報で確認できる範囲を軸に、改正の全体像と、タイトルで挙げたセンサー、半導体、EV電池、スマート繊維がなぜ経営課題になりやすいのか、そして今から何を準備すべきかを整理します。



1. 何が決まったのか。HS2028の確定内容とスケジュール

HS2028は2028年1月1日に発効。改正は299セット

WCOの公表によれば、HS2028の改正は299セットの変更で構成され、HS2022と比べて新設と削除が発生しています。公式発表では、見出しは1,229、号は5,852となり、HS2022比で見出し6本と号428本が新設、見出し5本と号172本が削除と説明されています。 (wcoomd.org)

また、レビューサイクルは通常5年ですが、今回はCOVID-19等の影響で2019年7月から2025年6月までの6年に延長されたことも明記されています。 (wcoomd.org)

改正の意思決定はHS条約第16条の勧告として進んだ

実務上重要なのは、HS2028がHS条約第16条に基づく勧告パッケージとして取りまとめられた点です。2025年3月10日から21日のHSC第75回会合で、HS2028の改正勧告が暫定採択され、WCO理事会に回付される流れが示されています。 (wcoomd.org)

そのうえで、WCOは2026年1月21日に改正が受け入れられたと公表し、2028年1月1日に発効するとしています。 (wcoomd.org)


2. 公式発表で強調された主題と、企業にとっての意味

WCOの発表は、今回の改正が単なる品目名の整理ではなく、政策目的や規制執行を支える役割が強まっている点を繰り返し強調しています。 (wcoomd.org)

公衆衛生と緊急対応をHSで見える化

WCOは、ワクチンと医療緊急物資の見える化を主要成果として詳細に説明しています。ワクチンはHS2022の30.02から再編され、ヒト用ワクチンを30.07、その他を30.08とする新見出しと詳細な号構造が導入されるとしています。 (wcoomd.org)

環境対応は廃棄物と単回使用製品を中心に具体化

環境面では、プラスチック廃棄物をバーゼル条約の枠組みに整合させる形で整理し、単回使用という概念を法的注記で明示して分類と統計の一貫性を高める方向が示されています。 (wcoomd.org)

この方向性は、企業実務に直結します。HSは関税率だけでなく、規制対象品の特定、禁制品管理、サプライチェーンの可視化、統計分類、さらにEPAやFTAの原産地規則運用にも影響します。HS改正は、企業データの基準軸が入れ替わるイベントと捉えるべきです。


3. なぜセンサー、半導体、EV電池、スマート繊維が注目領域なのか

WCOの公式発表は公衆衛生と環境を前面に出していますが、HS2028は技術進化に合わせて分類を簡素化し、新製品や組成変化に対応することも狙いに入っています。EUはWCO理事会での第16条勧告採択に向けた説明文書で、具体例として半導体とトランスデューサ、清掃ロボット、ドローン、e-bike等を挙げ、分類容易化の対象になっていると明記しています。 (EUR-Lex)

ここでいうトランスデューサは、センサー領域と重なります。さらに、EV電池とスマート繊維は、環境規制と複合製品化という二つの潮流の中心にあり、HS改正が引き金となって各国が8桁や10桁で細分や運用明確化を進めやすい領域です。


4. 領域別に起きやすい論点と、実務での備え

以下は、HS2028で何番がどう変わるという断定ではなく、公式文書が示す方向性と、各国当局の分類実務で繰り返し問題化している境界から、企業が先回りで潰すべき論点を整理したものです。

4-1. センサー。争点は機能の複合化と分類境界

センサーは単体部品ではなく、信号処理、通信、電源、ソフトウェアを組み込んだモジュールとして取引されることが増えています。すると、測定機器なのか、電気機器なのか、あるいは特定機械の部分品なのかという境界論点が表面化します。

スマート繊維の事例ですが、米国CBPの分類事前教示では、センサー付きコンプレッション衣類、データモジュール、USBケーブルのセットについて、セットの本質的特性は衣類側にあるとして衣類側の号でセットを分類しつつ、データモジュールを単体輸入すれば測定機器側、ケーブルは電気導体側に分けて分類しています。複合製品がどこで分解され、どこでセットとして扱われるかが、税番と税率を左右する典型です。 (CROSS)

企業側の備えは、製品仕様の情報粒度を上げることです。最低限、測定対象、測定原理、出力形態、通信機能の有無、当該機械専用品か汎用品か、部品としての完成度を、型番単位でマスタ化しておくと、改正後の移行でも揺れにくくなります。

4-2. 半導体。品名より実体で分類される時代に入っている

半導体は、ウェハ、ダイ、パッケージ品、モジュール、基板実装品など形態が多様で、同じ用途でも供給形態が変われば分類ロジックが変わります。EU文書が半導体とトランスデューサを、分類容易化の対象例として名指しした点は、改正の方向性を読むうえで重要です。 (EUR-Lex)

企業実務では、材料名や用途説明だけでは足りません。取引単位が何か、電気的機能がどこまで内蔵されているか、複数機能のうち主たる機能は何かを、設計部門と調達部門が共通言語で説明できる状態を作る必要があります。HS2028対応を機に、半導体関連は分類ドシエを標準化し、品目説明のテンプレート化まで踏み込むと効果が出ます。

4-3. EV電池。環境規制と国際取引の両面で監視が強まる

EV電池は、製品としての分類だけでなく、使用済み電池や電池廃棄物、リサイクル原料としての取引が増えること自体が、分類と規制運用を難しくします。OECDは、リチウムイオン電池の循環型バリューチェーンを進めるうえで、廃棄物としての位置付けの明確化、輸送保管の安全規則の整合、設計標準の調和、回収とリサイクルの規制目標などが必要だと指摘しています。 (OECD)

一方、WCOはHS2028で環境保護を主要テーマに掲げ、廃棄物分類を国際環境枠組みに整合させ、単回使用概念まで法的注記で明確化する方向を打ち出しています。 (wcoomd.org)

この二つを合わせて読むと、EV電池は次の3点を社内で先に固めるのが合理的です。新品のセル、モジュール、パックの取引単位と機能定義。車両と一体輸入される場合と単体輸入の扱い。使用済み電池と廃棄物の線引きに必要な証憑と、物流側の安全規則対応。ここが曖昧だと、HS改正後に税番移行だけでなく、規制対応や廃棄物該当性の判断まで連鎖して止まります。

4-4. スマート繊維。複合製品の典型で、分類の根拠が問われる

スマート繊維は、繊維製品としての性格と、電子機能としての性格を同時に持ちます。実務上の争点は、電子部品が着脱可能か、着脱後も繊維製品としての価値が成立するか、機能の中心はどちらかです。

先のCBP事例は示唆が大きく、衣類にセンサーが縫い込まれ、モジュールが着脱式で、セットとして販売される場合に、セットの本質は衣類側にあるという評価が採られています。モジュール単体は測定機器側、ケーブルは導体側と分けて評価されています。スマート繊維は設計段階で、何を一体化し、何を分離するかが、分類と税率に直結する領域です。 (CROSS)


5. いま企業が着手すべきHS2028対応ロードマップ

WCOは、2028年1月1日の発効までに相関表の整備、HS関連ツールと刊行物の更新、各国実装の準備が進むと説明しています。企業側も、この2年で何を終えるかを逆算する必要があります。 (wcoomd.org)

  1. 影響棚卸し
    自社の輸出入上位品目を、HS6桁と国別8桁10桁まで含めて一覧化し、売上、原価、関税インパクト、規制リスクで優先順位を付けます。
  2. 二重管理の設計
    2027年のどこかで、現行コードとHS2028想定コードを並記できる状態を作ります。ERP、品目マスタ、通関指示書、原産地判定ロジックのどこで切り替えるかを先に決めます。
  3. 分類ドシエの標準化
    センサー、半導体、スマート繊維は、製品説明の粒度が勝負です。設計仕様、機能、構成、用途、写真、データシートを型番単位で一枚にまとめ、当局照会や監査で即答できる形にします。
  4. 国別実装の監視
    HS6は共通でも、各国は8桁以降の細分と運用で差が出ます。主要仕向け国の改正版タリフ公布とガイダンスを継続監視し、通関委託先とも切替手順を合意します。
  5. 先行してルールを取りに行く
    グレーになりやすい品目は、主要国で事前教示制度の活用を検討します。改正後の初期は当局側も運用を固めるため、早期に根拠を確保した企業が有利になります。

6. まとめ。HS2028は分類改正であり、基準データの更新である

HS2028は、2026年1月21日に受け入れが公表され、2028年1月1日に発効します。改正は299セットで、見出しと号の新設と削除が伴います。 (wcoomd.org)

公衆衛生と環境が公式発表の主役ですが、EUの公式説明は半導体とトランスデューサを明示的に挙げ、技術進化に合わせた分類容易化が改正の柱であることも示しています。 (EUR-Lex)

さらにWCOは、HSそのものの分かりやすさと使いやすさを高めるための枠組み強化プロジェクトを進め、2033に向けたより深い見直しも議論しています。今回の改正対応は、次の改正を楽にする投資でもあります。 (wcoomd.org)

センサー、半導体、EV電池、スマート繊維は、複合化と規制強化の交点にあります。だからこそ、いま必要なのは税番を当てることではなく、税番が揺れないように仕様情報と根拠を整え、切替の手順を設計し、国別実装を監視することです。これを2年で終えた企業だけが、2028年の切替をコストではなく競争力に変えられます。

■HS2028■⑥規制・監視目的(環境、健康、安全保障)で取締り対象になりやすい品目関連のHSコード品目分類

環境、健康、安全保障で止まらないために企業が知るべき変化

2028年1月1日に発効するHS2028は、関税分類の更新という枠を超え、社会、環境、安全保障の観点で「特定品目を把握しやすくし、取締りやモニタリングをやりやすくする」方向性が明確に打ち出されています。EUの公式説明では、299セットの改正は貿易パターンや新技術の反映に加え、社会、環境、セキュリティ上の懸念に対応し、特定品目のコントロールと監視を容易にする目的を持つ、と整理されています。
WCOも、HS2028改正勧告パッケージがまとまり、2025年末に正式採択、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効するタイムラインを示しています。(世界税関機関)

この記事では、規制や監視の対象になりやすい品目群で、HS2028が企業実務にどんな影響を与え得るかを、ビジネスマン向けに整理します。


1. なぜ「規制・監視目的の品目」がHS2028で影響を受けやすいのか

HSコードは、関税率を決めるだけの番号ではありません。輸出入許可、危険物や有害化学物質の管理、廃棄物規制、制裁や輸出管理、取引審査やリスク選別など、行政の判断トリガーとして広く使われます。
そのため、規制や監視の対象になりやすい品目ほど、HS側で区分を細かくして「見分けやすくする」メリットが大きく、改正の優先度が上がります。EUの説明でも、取締りや監視をしやすくするための改正として、プラスチック廃棄物やワクチン、健康関連グループなどが例示されています。


2. HS2028で起きやすい変化のパターン

規制・監視に効くHS改正は、企業側から見ると次の形で現れやすいです。

  1. 見出しや号の新設、細分化
    対象品目を識別しやすくするため、区分を増やす動きです。ワクチンの粒度を上げる提案が典型例です。(WTO)
  2. 注記や定義の追加
    見分け方を明確にして、各国運用のブレを減らします。分類に必要な製品情報が増えやすい点が実務インパクトになります。
  3. 低取引量区分の整理
    一方で、取引量の少ない見出しや号を削除して体系を簡素化する動きも併存します。統計や社内マスターの連続性を確保する工夫が必要になります。

3. 環境で取締り対象になりやすい品目群

廃棄物、有害化学物質、持続可能性関連

3-1. プラスチック廃棄物は代表格

HS2028の改正例として、プラスチック廃棄物は公式に挙げられています。
また、WCOの地域会合報告でも、HS2028改正のカテゴリーとして「プラスチック廃棄物」が言及されています。
企業目線では、廃棄物の区分が細かくなるほど、材質、混合状態、汚染の有無など、分類と規制判断に必要な証拠が増えると見ておくべきです。

3-2. 国際条約で管理される有害化学物質は、HSと連動が強い

有害化学物質や農薬を国際的に管理する枠組みの一つにロッテルダム条約があります。WCOは、HSが各改正でロッテルダム条約の対象物質の変化を反映し、正当な貿易の監視とPIC手続への適合確認を可能にする、と説明しています。(世界税関機関)
さらに、HS2028の発効を待つ間でも統計上の追跡を可能にするため、WCOは各国に対し、特定化学物質について国内統計品目で追加細分を設けるよう推奨しています。例として、デカブロモジフェニルエーテルをHS 2909.30の下、PFOAとその塩をHS 2915.90の下で細分する推奨が示されています。(世界税関機関)
ここは、化学品を扱う企業ほど影響が直撃しやすい領域です。税番の変更だけでなく、SDSや成分証明、用途説明などの整備が、通関と規制対応の安定性を左右します。


4. 健康で取締り対象になりやすい品目群

ワクチン、医薬品、パンデミック対応物資

4-1. ヒト用ワクチンは、より細かい識別へ

WTOの公表情報では、HS2028で「ヒト用ワクチン」の新見出しを設け、複数の区分を置く提案が進んでいるとされています。(WTO)
パンデミック時に、統計と政策判断のためにワクチン分類の粒度を上げたいという問題意識が背景にあり、企業側には品目マスターの再設計や、製品属性の整理が求められます。

4-2. 医薬品はコード変更より「分類運用の厳密化」が効いてくる

WCOはHS委員会の会合成果として、WHOのINNリストに基づく医薬品物質について多数の分類整理が行われたことを公表しています。(世界税関機関)
これはHS本文の改正とは別枠ですが、医薬品や関連物資が当局にとって重要な監視対象であること、そして分類の統一運用が強く求められている現実を示します。ビジネスでは、成分特定の証拠や品名管理を軽視すると、照会や差戻しのコストが増えやすくなります。


5. 安全保障で取締り対象になりやすい品目群

違法薬物製造関連、爆発物前駆体、デュアルユース

5-1. 違法薬物製造に使われる物質のトラッキング強化

WCOの会合報告を引用した地域資料では、HS2028改正のカテゴリーとして「違法薬物製造に用いられる物質」が挙げられています。
規制対象になりやすい化学品は、合法用途と違法用途が混在しやすく、HSの識別力が上がるほど、企業側には用途説明、顧客審査、出荷管理の厳密さが求められます。

5-2. 爆発物前駆体など、合法流通品の悪用がリスクになる

WCOは2025年の国際取締り作戦で、爆発物前駆体などのデュアルユース品が不正に転用され得ること、税関がリスク選別と監視で重要な役割を担うことを強調しています。(世界税関機関)
HS2028の直接改正項目そのものは別途確認が必要ですが、安全保障分野では「品目を特定しやすいHS区分」が、取締り実務の基盤になります。企業側は、輸出管理や制裁スクリーニングのルールがHS参照で組まれている場合、HS変更が誤検知や見逃しにつながる点に注意が必要です。


6. 企業が受ける実務インパクト

止まりやすいのは、通関ではなく社内の情報連携

規制・監視目的の品目は、HSの区分が細かくなるほど「説明できるデータ」が必要になります。しかも影響は関税部門だけに留まりません。

・輸出入許可、危険物、有害化学物質管理などの法令対応
・制裁、輸出管理、取引審査システムのルール更新
・ERPや品目マスター、統計分析の連続性確保
・取引先へのHS版指定と証拠要求の標準化

この連鎖を短時間で処理するには、HS2022とHS2028の対応表が鍵になります。WCOもHS2028とHS2022の相関表を整備し、実装のための重要ツールになると位置づけています。(世界税関機関)


7. いまからできる最小の準備

規制対象品目ほど、先に動いた企業が勝つ

  1. 規制、監視に紐づく品目を棚卸しする
    環境、健康、安全保障のいずれかに関係する品目をリスト化し、現行HSと関連法令、社内ルールの紐付けを見える化します。
  2. 分類に効く属性情報を品目マスターに追加する
    化学品は成分と用途、廃棄物は材質と混合状態、ヘルスケアは用途区分など、分類と規制判断の根拠になる情報を最小セットで整備します。(世界税関機関)
  3. HS変更が効くシステムを先に特定する
    制裁、輸出管理、危険物、許認可、物流制御、統計集計など、HS参照のルールが埋め込まれているシステムを洗い出し、相関表で一括更新できる構造にします。(世界税関機関)

まとめ

HS2028は、新技術対応だけでなく、社会、環境、安全保障の観点から、特定品目の取締りとモニタリングを強化する目的が明確に示されています。
プラスチック廃棄物、ワクチン、有害化学物質、違法用途に転用され得る化学品やデュアルユース品は、まさにその中心にある領域です。

企業にとっての勝ち筋は、番号が変わってから慌てるのではなく、規制対象品目から先に、証拠とデータ項目を整え、HS2022とHS2028を接続できる状態を作ることです。これが2028年の切替で止まらない最短ルートになります。

■HS2028■⑤半導体、トランスデューサ等のエレクトロニクス関連のHSコード

8541と8542の境界が、関税だけでなく原産地と輸出管理まで動かす

2028年1月1日に発効するHS2028は、WCO(世界税関機構)の改正勧告(HS条約第16条)に基づく次期HSです。WCOは、HS委員会(HSC)がHS2028向けの改正勧告を暫定採択し、2025年末の正式採択後に2026年1月に公表、2028年1月1日に発効すると説明しています。(世界税関機関)
EUの公式説明文書でも、HS2028の改正目的として「新技術や新製品を反映し分類を容易にする」例の一つに、半導体とトランスデューサが明示されています。

この記事では、半導体とトランスデューサ(センサー等)で、企業実務にどのような影響が出やすいかを、一次情報で確度高く言える範囲に絞って整理します。
注意点として、どのHS6桁が新設・統合・移動するかの確定は、WCOが公表するHS2028の法文と相関表(HS2022↔HS2028)で最終確認が必要です。ここでは、変化の方向性と、実務上「どこが動くと困るのか」を具体化します。(世界税関機関)


1. なぜ半導体とトランスデューサがHS2028の注目領域なのか

理由はシンプルです。分類が揺れやすいからです。
半導体は、単体デバイス、IC、複合パッケージ、センサー内蔵モジュールなど形態の進化が速く、従来の品名だけでは「どこまでが8541(半導体デバイス)で、どこからが8542(電子集積回路)か」「機器(90類など)に寄るのか」が揺れやすい分野です。

EUはHS2028改正の狙いとして、新技術の反映と分類容易化を掲げ、半導体とトランスデューサを具体例に挙げています。つまり、この周辺で文言や注記、区分の調整が入り得るという前提で企業側は備えるべきです。


2. まず押さえる 現行HSの分岐点

トランスデューサは定義がある。仕様書が弱いと誤分類が起きる

半導体とトランスデューサの分類は、第85類の注記が実務の分岐点になります。米国のSchedule B(輸出統計品目表)や豪州関税表でも、8541・8542のために「半導体デバイス」と「半導体ベーストランスデューサ」を定義し、さらに多成分IC(MCO)まで定義しています。(Census.gov)

ここで重要なのは次の3点です。

2-1. 半導体ベーストランスデューサは、センサーやアクチュエータ等を含む

定義上、半導体ベーストランスデューサは「半導体ベースのセンサー、アクチュエータ、レゾネータ、オシレータ」を含み、物理量や化学現象を電気信号に変換する等の固有機能を持つ離散デバイスと整理されています。(Census.gov)
自動車・産業機器・医療機器で多いセンサー素子やMEMS系の一部が、まさにこの定義に乗ります。

2-2. 多成分IC(MCO)は、ICとセンサー等が一体化したものを想定している

MCOは「1個以上の集積回路に、シリコンベースのセンサー等や一定の受動部品機能を組み合わせ、PCB実装用の単一ボディとして不可分にしたもの」と定義されています。(Census.gov)
つまり、同じ“センサー”でも、単体素子なのか、ICと一体のパッケージなのかで、8541と8542の分岐が生まれます。

2-3. 8541と8542は、原則として他の見出しより優先する

注記では、定義に合致する限り、8541・8542が機能ベースで他の見出しに引っ張られることを抑える優先規定が置かれています(例外は8523など)。(Census.gov)
これは「最終用途が自動車部品だから部品の見出しへ」という短絡が通りにくいことを意味します。


3. HS2028で企業に起きやすい具体的な影響

番号が変わるだけではなく、判定に必要な情報が増える

HS2028で半導体・トランスデューサ領域が動くとき、企業が現場で直面しやすい変化は大きく3つです。

3-1. 8541か8542かの判断が、より仕様依存になる

半導体ベーストランスデューサの定義は「半導体基板上に作られ、物理・化学現象を電気信号へ変換する等の固有機能を持つ離散デバイス」という技術要件を含みます。(Census.gov)
HS2028で分類容易化が進むほど、この技術要件を説明できない製品が、税関照会や差戻しの対象になりやすくなります。特に、センサー素子とセンサーモジュールを同一カテゴリで運用している会社ほど、影響が出やすいです。

3-2. センサー内蔵パッケージの扱いが、社内マスターの整合を崩しやすい

MCOの定義は、まさにセンサー内蔵ICなどの実装形態を想定しています。(Census.gov)
HS2028側で文言や区分が調整されると、同一製品群でも「この型番は8542寄り」「この型番は8541寄り」の差が出て、関税率だけでなく、原産地規則のCTC判定や統計集計が分断されがちです。

3-3. 各国の国内コード(8桁・10桁)の再整列が起きやすい

HSは6桁が国際共通で、各国はその下に独自の細分を置きます。HS6桁が動けば、国内の8桁・10桁は連鎖的に動きます。WCOは299セットの改正からなるHS2028勧告を公表し、各国は自国の関税・統計分類を整合させる必要があります。(世界税関機関)
半導体は国別の統計・規制連動が強い分野なので、国内細分の変更は現場影響が大きくなります。


4. ビジネス部門に効く論点

関税だけではない。原産地と輸出管理が同時に動く

半導体はサプライチェーンが複雑で、分類変更が与える影響が大きいことが指摘されています。業界資料でも、8541・8542の注記や定義が技術進化に合わせて改訂されてきた経緯が整理されています。(世界税関機関)
ビジネス側が押さえるべきは、分類変更が次の領域に波及する点です。

  1. 関税と追加関税の適用品目が変わり得る
  2. FTAやEPAの原産地規則で、CTCの起点コードが変わり得る
  3. 統計コードの変更で、取引実績やKPIが連続しなくなる
  4. 輸出管理や制裁対応で、コード参照のルールがある場合に差分が出る

5. いまからできる準備

HS2028の公表テキストが出た瞬間に動ける会社が勝つ

最後に、半導体・トランスデューサ領域で、準備効果が高い順に並べます。

  1. 製品を3階層に分ける
    半導体デバイス単体(8541候補)
    電子集積回路やMCO(8542候補)
    モジュールや完成品(他章の可能性が残る)
  2. 仕様情報の最小セットをマスターに持たせる
    半導体基板上の構造か
    固有機能がトランスデューサか
    ICと不可分に一体化しているか
    これらは注記の定義に直結します。(Census.gov)
  3. HS2022とHS2028の二重管理を前提に設計する
    WCOは2026年1月の公表と2028年1月1日の発効を示しています。切替直前の一括置換は高リスクです。(世界税関機関)
  4. 高額品目と規制連動品目は、分類根拠メモを先に作る
    後から説明できる根拠があるかどうかで、照会対応コストが決まります。

まとめ

HS2028は、半導体とトランスデューサを含む新技術領域で、分類を容易にする方向が公式に示されています。
そして現行制度でも、トランスデューサやMCOは第85類注記で技術的に定義されており、製品形態の違いが8541と8542の分岐を生みます。(Census.gov)

企業にとっての実務インパクトは、番号の付け替え以上に、分類の説明責任が増え、マスター整合と原産地・規制連動が同時に揺れる点です。
いまのうちに、製品群を階層分解し、定義に効く仕様項目を整備しておけば、HS2028の確定テキストと相関表が出た瞬間に、最短で安全な移行ができます。

HS2028に備えるための主要国8桁公表状況(2026年1月16〜20日点検)

2028年に向けて進むHS改正(HS2028)は、通関部門だけの話ではありません。関税コスト、原産地管理(EPA・FTA)、輸出入規制、商品マスタ、売上集計、価格改定、契約条件まで、企業の意思決定の前提データをまとめて揺らします。
今回の記事では、主要国の8桁(各国の拡張桁を含む実務上のコード)に関して、どこまで情報が公表プロセスに入っているかを、2026年1月16〜20日の公開情報点検という前提で整理し、経営・事業サイドが取るべき実務アクションまで落とし込みます。

まず前提整理:HS2028はいつ何が起きるのか

世界税関機構(WCO)の枠組みで、HSは国際標準として6桁までが共通です。HS2028はその6桁体系の改正で、各国は自国の関税率表・統計分類をそれに合わせて改訂していきます。WCOの発表では、HS2028改正案は2025年末に正式採択され、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効する流れが示されています。 (World Customs Organization)

ここで重要なのは、企業実務で普段使っているのは6桁だけではないという点です。多くの国は6桁の上に、国内事情に合わせた桁(8桁、9桁、10桁など)を積んで運用します。つまり、HS2028の6桁改正は、その上に載る国内拡張桁の組み替えを引き起こします。

8桁公表状況とは何を指すのか

ここでいう「8桁公表状況」は、単に「WCOの6桁改正が出たか」ではなく、次のような段階を含めて実務的に捉えるのが有効です。

  • 段階1:WCOのHS2028(6桁改正)の公表
  • 段階2:各国当局が、自国の拡張体系(8桁や10桁など)へ落とすための国内プロセスを開始
  • 段階3:当局がドラフト(案)を公開し、意見募集や事前周知を開始
  • 段階4:法令・官報・公定データベースとして確定版を公表
  • 段階5:通関システム、申告様式、統計、FTA運用などへ実装し、適用開始

企業にとって痛いのは、段階4や5で初めて慌てることです。データ更新やシステム改修は時間がかかり、品目数が多いほど遅れが致命傷になります。だからこそ、段階2や3が見えた時点で社内の準備を始めるのが勝ち筋です。

主要国の8桁周辺の制度と、HS2028に向けた公表状況(点検期間:2026年1月16〜20日)

以下は、各国の「桁の考え方」と「公表プロセスの見え方」を、一次情報を中心にまとめたものです。国によって“8桁”の意味合いが異なるので、そこも含めて比較します。

米国:8桁と10桁が実務の中心、2026年2月にドラフト公開予定という具体的マイルストーンがある

米国のHTS(Harmonized Tariff Schedule)は、国際HS(4桁、6桁)に加え、米国独自の8桁・10桁の区分を持ちます。USITC(米国国際貿易委員会)も、国際HSは4桁・6桁、米国独自部分が8桁・10桁である旨を説明しています。 (usitc.gov)

HS2028対応に関しては、USITCが改正反映プロセスを開始しており、2026年2月に暫定ドラフト(HTS改訂案)を公表して意見募集、その後2026年9月に大統領向け報告を提出する見通しが公式に示されています。 (usitc.gov)

ビジネス的に重要なポイントはここです。
主要国の中で、ドラフト公開の時期がここまで明確に読める国は多くありません。米国向け売上が大きい企業ほど、2026年2月のドラフトを「分類番号の更新イベント」ではなく、「関税と規制の再設計イベント」として扱う必要があります。

実務アクションの例

  • 米国売上上位品目、対米調達上位品目を棚卸しし、現行HTSの8〜10桁でリスト化
  • 2026年2月のドラフト公開時に、該当品目が分割・統合・移動していないかを即時確認
  • 影響が大きい品目は、社内分類根拠(なぜその番号なのか)を説明可能にしておく

EU:8桁はCN(Combined Nomenclature)。毎年更新され官報で公表される仕組みが明確

EUの8桁はCN(Combined Nomenclature)で、国際HS(6桁)にEU独自の2桁を加えた8桁体系です。CNは関税率の決定や統計に使われ、毎年更新され、官報(EU Official Journal)で公表される仕組みになっています。 (EU Trade)

直近の例として、EUは2026年適用のCNを2025年10月31日に公表し、2026年1月1日から適用する旨を欧州委員会が案内しています。 (Taxation and Customs Union)

HS2028に向けた意味合いは次の通りです。

  • EUでは、8桁(CN)が実務上の基準であり、更新と公表が毎年必ず回る
  • HS2028の6桁変更は、CNの年次改訂の中で反映されていく可能性が高い
  • 企業側は「次のCN改訂で何が変わるか」を継続監視し、品目マスタや価格テーブルに反映する運用が必要

実務アクションの例

  • EU向けの主要品目について、現行CNと社内品目マスタを必ず一致させる
  • CN改訂のたびに、統計・関税・規制(対象品目指定)に波及がないかを点検する

日本:実務は9桁(統計品目番号)。6桁HS+国内3桁という構造が明確で、改正時はマッピングが鍵

日本の通関実務では、9桁の統計品目番号が基本です。日本税関は、9桁の統計品目番号が6桁HS+国内3桁で構成されることを明示しています。 (Japan Customs)

また、日本税関は「Japan’s Tariff Schedule」として、改訂版を日付付きで公表しています(2026年1月1日版が掲載されていることが確認できます)。 (Japan Customs)

HS2028に向けて日本企業が注意すべき点は、6桁変更に連動して9桁の国内3桁が見直され、過去データの継続性が崩れるリスクがあることです。
輸入の関税計算、EPA適用、調達コスト配賦、品目別採算などで「前年同一品目の比較」が効かなくなりやすい局面です。

実務アクションの例

  • 主要品目について、9桁をただの番号としてではなく、分類根拠とセットで管理する
  • HS改正に備え、現行9桁→将来体系への対照表(マッピング)を前提にしたデータ設計へ切り替える

中国:8桁ベースの国内細分が公式に示されており、6桁変更の影響は8桁再編に直結する

中国税関の公開資料では、HSに基づく中国の分類(CCCS)について、8桁の細分があり、最初の6桁はHSに対応し、7桁目と8桁目が国内細分である旨が説明されています。 (Customs.gov.cn)

また、ジェトロの整理では、中国の税則の品目総数について、HSコード8桁分類ベースでの言及があります(特定年版の税則に基づく説明)。 (JETRO)

HS2028の観点では、WCOの6桁が動けば、中国の7〜8桁(国内細分)も、分類ロジックの再整理を迫られる可能性が高いということです。特に中国は規制・許認可・監督条件が品目に紐づくケースが多いため、番号変更は通関可否や必要書類に波及し得ます。

実務アクションの例

  • 中国向け主要品目について、該当する規制や必要書類がHSに紐づいていないかを先に棚卸し
  • 取引先(輸入者)と、どの番号を使うかの合意形成と証憑整備を早めに開始

韓国:10桁体系。6桁HSを超える国内拡張が明確で、HS改正時は10桁の組み替えが発生する

韓国税関(Korea Customs Service)は、韓国が10桁コードを使用し、6桁HSは世界共通で、各国が6桁以降を独自に拡張する旨を明示しています。 (customs.go.kr)

HS2028に向けては、韓国の10桁体系のうち、影響が出るのは「国内拡張部分だけ」とは限りません。6桁の構造が変われば、その下に積まれた10桁全体の再編が起き得ます。

実務アクションの例

  • 韓国向けの主要品目について、現行10桁を輸入者と突合し、品名と仕様が一致する状態を作る
  • FTAの運用が絡む場合、品目別規則がどの桁を参照しているかを確認し、改正時の影響を事前に試算する

英国:コードは最長10桁。ただし関税は8桁を基礎にする場面が多く、9〜10桁が追加条件を左右する

英国政府のガイダンスでは、英国の申告で用いるcommodity codeは最長10桁になり得ると説明されています。 (Business Growth Service)
さらに、関税率は多くの場合最初の8桁で設定される一方で、9桁目と10桁目が関税や適用措置に影響することがある、と明記されています。 (GOV.UK)

これは、8桁だけを見て「だいたい合っている」と判断すると、措置や税率の取りこぼしが起きることを意味します。HS2028で6桁が動くと、英国の8桁と10桁は連鎖的に更新対象になります。

実務アクションの例

  • 英国向けは、8桁で一次判定しつつ、最終的な適用措置まで含めて10桁で確定する運用へ
  • サンクション、規制、セーフガード等の対象品目は、10桁までの一致を前提に管理する

まとめ表:主要国の「桁」と「公表プロセスの見え方」

地域・国実務で中心になる桁公式に確認できるポイントHS2028に向けて今見えるマイルストーン
WCO(国際)6桁2026年1月公表、2028年1月1日発効の流れ (World Customs Organization)まず6桁改正の確定内容を把握することが全ての起点
米国8桁・10桁8桁と10桁は米国独自 (usitc.gov)2026年2月ドラフト、2026年9月報告 (usitc.gov)
EU8桁(CN)CNは8桁で毎年更新、官報公表 (EU Trade)年次改訂の枠でHS2028反映が進む可能性が高い
日本9桁9桁=6桁HS+国内3桁 (Japan Customs)将来の対照表(マッピング)前提のデータ設計が重要
中国8桁(国内細分)8桁細分で、最初の6桁がHS、7〜8桁が国内 (Customs.gov.cn)6桁改正は8桁再編に直結しやすい
韓国10桁韓国は10桁を使用 (customs.go.kr)6桁変更に伴い10桁の組み替えが発生し得る
英国最長10桁(関税は8桁基礎が多い)9〜10桁が措置や税額に影響する場合あり (GOV.UK)8桁だけの管理で止めず、10桁確定まで運用設計

経営・事業サイドが今やるべきこと:通関の話を「経営課題」に変える手順

ここからが本題です。HS改正対応は、突き詰めると「社内の型」を作る仕事です。大きく外さないために、次の順番で着手するのが現実的です。

1) 影響範囲を「品目」ではなく「売上と原価」で切る

  • 売上上位、粗利上位、調達額上位の品目から着手する
  • 国別に、どの桁で申告しているか(EUならCN、米国ならHTSなど)を揃える

2) 二層管理に切り替える

  • 国際6桁:全世界で共通の骨格として管理
  • 国別拡張(8〜10桁):国ごとの申告・税率・規制の確定値として管理

この二層を混ぜると、改正時に詰みます。特に「海外拠点が現地コードで管理している」「本社は6桁しか持っていない」といった分断は、改正局面でデータ整合が崩壊しやすい典型パターンです。

3) 取引先との合意を先に作る

  • 輸入者側が最終判断権を持つ国が多い
  • 自社だけで番号を決めたつもりでも、相手国税関で止まると意味がない

結論:2026年は「公表を待つ年」ではなく「仕組みを作る年」

2026年1月16〜20日の時点で見える構図はシンプルです。

  • HS2028は、2026年1月公表、2028年1月1日発効という国際スケジュールが明確 (World Customs Organization)
  • 各国の実務コードは、6桁の上に国内拡張(8〜10桁)があり、国ごとに桁も運用も異なる (EU Trade)
  • 米国は2026年2月にドラフト公開予定という具体的な山場がある (usitc.gov)
  • EUや日本は、年次改訂と公表の仕組みが制度として確立しているので、改正局面では「改訂情報の取り込み運用」が勝負になる (Taxation and Customs Union)

HS2028対応で差がつくのは、情報収集の速さよりも、社内データと業務運用の型を先に作れるかどうかです。
次に何が出たら動くのか、そのトリガー(米国なら2026年2月、EUなら次のCN改訂情報、日本なら改訂版の公表と対照表など)を決め、監視と更新をルーチン化してください。

必要であれば、この枠組みをそのまま社内向けの「HS2028対応ロードマップ(部門別タスク、マスタ設計、監視頻度、改正時の意思決定フロー)」に落とし込んだ雛形も、文章として作れます。