HS2022 第5類:動物性生産品(他に該当しないもの)(Products of animal origin, not elsewhere specified or included)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 0501:未加工の人毛(洗浄・梳毛程度を含む)や人毛くず
    • 0502:豚毛・猪毛、アナグマ毛など「ブラシ用の毛」
    • 0504:魚以外の動物の腸・膀胱・胃(ソーセージの天然ケーシング原料など)
    • 0505:清浄・消毒・保存処理までの羽毛・ダウン(それ以上の加工は別類へ)
    • 0506/0507/0508:骨・角芯・象牙・べっ甲・サンゴ・貝殻等(未加工〜簡易処理で、形に切り出していないもの)
    • 0510/0511:動物由来の医薬用原料(一定の状態のもの)、動物精液、魚由来原料、その他「他に当たらない動物性生産品」など(号の切り分けあり) (Fiji Revenue & Customs Service)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 食用の動物性産品:原則として第4類/第16類等(ただし「腸・胃・膀胱」や「動物血(液状・乾燥)」は例外的に第5類に残ることがある) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 原皮・原毛皮(毛皮を含む):第41類/第43類(ただし、特定の鳥の皮(羽毛付き)や、原皮の切り屑等が第5類に来得る例外あり) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 動物の繊維原料(羊毛・獣毛など):原則として第XI部(繊維)側(例外として「馬毛」は第5類側で扱う旨の定義あり) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • ブラシ製造用に“結束・房状に加工された毛(タフト等)”:9603(準備された結び目・房) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 加工して形ができている象牙・骨・サンゴ等(彫刻品、切り出し品):多くは第96類(例:9601)等へ(「未加工〜簡易処理・未切り出し」かが鍵)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度(未加工/洗浄・消毒・保存処理まで/染色・漂白・成形・切り出し済み など)
    2. 材質の定義が注で拡張される(例:「ivory(象牙)」の扱い、「horsehair(馬毛)」の定義) (Fiji Revenue & Customs Service)
    3. “他に該当しない”の前に、除外(他章)を潰す(食用、皮革、繊維、刷毛用タフト等)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **ワシントン条約(CITES)対象の素材(象牙・べっ甲・サンゴ等)**を含む貨物:分類以前に、そもそも輸出入可否・許可書類で止まる可能性があります。 (jetro.go.jp)
    • 動物検疫の対象になり得る動物由来物(骨・血・皮・毛・羽・角・精液等):通関前工程(検疫・証明書)で遅延しやすいです。 (maff.go.jp)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し+注)**がほぼ勝負です。第5類は「他に該当しない動物性生産品」という性格が強く、類注(Notes 1〜4)での除外・定義がそのまま分類の結論に直結します。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • GIR6(号レベルの決定):特に0511は「牛の精液」「魚由来」「その他」で号が割れます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(第5類で効きやすい軸):
    • 用途:食用か、工業用か、医薬原料か、ブラシ用か(※用途が見出し文言に入っている例がある)
    • 材質:何の動物由来か(象牙の定義拡張などに注意) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 状態・加工度:「unworked/simply prepared/not cut to shape」等の条件を満たすか
    • 形状:粉末・くず・層状、束ね品(タフト)など

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:動物由来か?
    • はい → Step2へ
    • いいえ → 第5類ではありません
  • Step2:食用の動物性産品か?
    • はい → 原則 第4類/第16類等を検討
    • ただし、腸・膀胱・胃(魚以外)、および 動物血(液状・乾燥) は第5類側に残り得る例外として注で扱われます(=「食用だから即除外」と決めない)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • Step3:皮・毛皮(原皮)か?
    • はい → 原則 第41類/第43類
    • ただし、羽毛付きの鳥の皮(0505)や、原皮の切り屑等(0511に来得る)など、注に出る例外あり。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • Step4:繊維原料(羊毛など)としての動物毛か?
    • はい → 原則 第XI部(繊維)
    • ただし、**馬毛(定義上は“馬・牛のたてがみ/尾の毛”)は第5類側(0511)**に来得ます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • Step5:ブラシ製造用に“準備されたタフト(結び目・房)”になっているか?
  • Step6:この類のどの項に当たるかを当てにいく
    • 人毛 → 0501
    • 豚毛/獣毛(ブラシ用)→ 0502
    • 腸等 → 0504
    • 羽毛・ダウン(洗浄等まで)→ 0505
    • 骨・角芯 → 0506
    • 象牙・べっ甲・鯨骨等 → 0507
    • サンゴ・貝殻・甲いか骨等 → 0508
    • 特定の動物由来医薬原料(一定状態)→ 0510
    • その他(牛精液、魚由来、馬毛、原皮くず等を含む)→ 0511 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第5類 ↔ 第67類(人毛・羽毛の“加工品”側)
    • 第5類 ↔ 第96類(骨・象牙・サンゴ等が“切り出し・彫刻・成形済み”になったら移る)
    • 第5類 ↔ 第XI部(繊維原料としての動物毛)
    • 第5類 ↔ 第23類(魚粉・ペレット等の飼料原料)
    • 第5類 ↔ 第30類/第35類(医薬品/抽出物/ゼラチン等に加工が進んだ場合)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

以下はHS2022の第5類(Chapter 5)の項を、実務目線で要約して整理したものです。 (Fiji Revenue & Customs Service)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0501未加工の人毛、人毛くずカツラ原料の人毛束(未加工)、人毛くず「加工(working)」の程度が鍵。長さで選別しても一定条件なら未加工扱い(類注2)。加工済み(染色・脱色・パーマ・根元揃え等)は別類になり得る (Fiji Revenue & Customs Service)
0502豚毛・猪毛、アナグマ毛等のブラシ用毛、くず歯ブラシ/ヘアブラシ用の豚毛、刷毛用獣毛“ブラシ用毛”の性格が強い。タフト等に「準備」されると9603へ除外 (Fiji Revenue & Customs Service)
0504(魚以外の)腸・膀胱・胃(各種状態)天然ケーシング(塩蔵腸)魚は除外(文言)。ソーセージ用腸と、医療用縫合糸等(滅菌済み等)との境界に注意
0505羽毛・羽毛付き鳥皮、ダウン(清浄/消毒/保存処理まで)ダウン原料、羽毛原料洗浄・消毒・保存処理までが範囲。染色・装飾加工・製品化は第67類などへ移りやすい (Fiji Revenue & Customs Service)
0506骨・角芯(未加工/脱脂/簡易処理・未切り出し)、粉・くず骨片、角芯、骨粉(範囲内のもの)「切り出して形がある」かどうかが決定的。ゼラチン等に加工が進むと別類(例:第35類)へ
0507象牙・べっ甲・鯨骨・角・ひづめ等(未加工/簡易処理・未切り出し)、粉・くず象牙原材、角材、爪・くちばし等の原材“ivory(象牙)”の定義が広い(類注3:カバ・セイウチ等の牙、サイ角、動物の歯等も含み得る)。CITES等の規制面も要注意 (Fiji Revenue & Customs Service)
0508サンゴ・貝殻・甲いか骨等(未加工/簡易処理・未切り出し)、粉・くずサンゴ原材、貝殻、甲いか骨加工してビーズ状・装飾品状になると別類へ。サンゴはCITES対象になり得る (Fiji Revenue & Customs Service)
0510アンバーグリス等、乾燥胆汁、腺などの医薬原料(一定状態)ムスク、胆汁、腺(医薬原料)「医薬原料として使われる動物性産品」+「鮮冷/凍結/仮保存」等の状態がキー。抽出・製剤化が進むと第30類側へ寄る可能性
0511その他の動物性生産品(他に該当しない)、第1類/第3類の死体(食用不適)など牛の精液、魚由来原料、馬毛、原皮の切り屑等“その他”の受け皿。ただし号で(牛精液/魚由来/その他)に割れる。類注4により「馬毛」はここへ来得る (Fiji Revenue & Customs Service)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

第5類は「項(4桁)」よりも、**“加工度”と“除外(他章)”**で事故が起きやすい一方、6桁でも押さえるべき割れ方があります。 (Fiji Revenue & Customs Service)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • 0502:**豚毛等(0502.10)**か、それ以外(0502.90)か
    • 0505:**充てん用羽毛・ダウン(0505.10)**か、それ以外(0505.90)か
    • 0506:**酸処理骨(ossein等:0506.10)**か、その他(0506.90)か
    • 0507:**象牙(0507.10)**か、その他(0507.90)か(※象牙の定義に注意)
    • 0511:牛の精液(0511.10)魚・水生無脊椎動物由来等(0511.91)その他(0511.99) (Fiji Revenue & Customs Service)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 0501(未加工人毛) ↔(他類)人毛の加工品(例:かつら材料)
      • どこで分かれるか:「working(加工)」に当たる処理があるか
      • 判断に必要な情報:工程(洗浄・消毒・漂白・染色・パーマ・根元揃え・束ね方)、写真
      • 典型的な誤り:「長さ選別した=加工品」と誤認(類注2は、一定条件の“長さ選別”は加工とみなさない旨) (Fiji Revenue & Customs Service)
    2. 0502(毛そのもの) ↔ 9603(準備されたタフト等)
      • どこで分かれるか:毛が結び目/房状に“準備”されているか
      • 判断に必要な情報:輸入形態(束ね方、台座への固定有無)、商品説明(“tuft”“knot”等)
      • 典型的な誤り:ブラシ用毛は全部0502と思い込む(類注1(d)で除外) (Fiji Revenue & Customs Service)
    3. 0505(洗浄/消毒/保存処理までの羽毛) ↔(他類)染色・装飾加工済み羽毛
      • どこで分かれるか:第5類は“それ以上加工していない”範囲に限定される(文言上の制約) (Fiji Revenue & Customs Service)
      • 判断に必要な情報:加工工程、SDS/仕様、着色の有無、用途(装飾品か詰物材か)
    4. 0507.10(象牙) ↔ 0507.90(その他)
      • どこで分かれるか:材質が“ivory”に該当するか(類注3で定義が広い) (Fiji Revenue & Customs Service)
      • 判断に必要な情報:動物種、部位(牙・歯・角)、成分鑑別、由来証明
      • 典型的な誤り:「象(ゾウ)だけが象牙」と誤認
    5. 0511.10/0511.91/0511.99
      • どこで分かれるか:牛精液か魚等の由来か、それ以外か (Fiji Revenue & Customs Service)
      • 判断に必要な情報:動物種、用途(繁殖用・研究用等)、形状(液体/凍結等)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第5類は「第I部(動物)」の中でも、**“他に該当しない動物性の原材料”**が集まりやすい類です。
    • 実務では、部注そのものよりも、(a)類注の除外、(b)他部(第XI部=繊維、第VIII部=皮革等)への飛び先をセットで把握するのが有効です。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「毛だから第5類」と決めず、繊維原料(第XI部)なのか、ブラシ用(第5類0502)なのか、タフト(9603)なのかを工程・形状で見ます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 動物の繊維原料 → 第XI部
    • 原皮・毛皮 → 第41類/第43類
    • 刷毛・ブラシの部材として準備された毛 → 9603 (Fiji Revenue & Customs Service)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

第5類の類注(Notes)は、実務の分岐点がそのまま書かれているタイプです。 (Fiji Revenue & Customs Service)


4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:“食用”かどうかで単純に切れない(例外がある)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 取引実態(食用向けか、工業・飼料・医薬原料か)
      • 品目の性状(腸・膀胱・胃なのか、動物血なのか)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書、用途説明、製造工程、写真、成分/由来情報
    • 誤分類の典型:
  • 影響ポイント2:馬毛は“動物繊維”でも第XI部とは限らない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛の種類(たてがみ/尾か)、動物種(馬/牛由来か)
      • 形状(毛束、くず、層状等)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(由来部位・動物種)、写真、鑑別結果
    • 誤分類の典型:
  • 影響ポイント3:“象牙”の定義が広く、材質鑑別ミスが分類ミスになる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 素材が牙・歯・角のどれか、動物種
    • 現場で集める証憑:
      • 材質鑑別、由来証明、CITES関連書類(該当時)
    • 誤分類の典型:

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:長さで選別した人毛を“加工品”として別類にしてしまう
    • なぜ起きる:選別=加工と誤解しやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):0501では、一定条件の長さ選別は加工とみなさない旨の整理があります(類注2)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 「根元と毛先が揃うように並べているか」「染色・漂白・パーマ等の処理があるか」を仕様書に明記
      • 入荷形態(束・ネット・テープ固定等)の写真を保管
  2. 間違い:ブラシ用の毛束(タフト)を0502で申告
    • なぜ起きる:素材が豚毛等なので0502と思い込みやすい
    • 正しい考え方:ブラシ用に準備された結び目・房は9603へ除外(類注1(d))。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 形状(結束方法、台座、接着の有無)を確認
      • サプライヤーに「tuft / knot / prepared for brush making」の有無を質問
  3. 間違い:染色・装飾加工済みの羽毛を0505のまま
    • なぜ起きる:羽毛=0505の固定観念
    • 正しい考え方:0505は洗浄・消毒・保存処理まで等、“それ以上の加工がない”範囲に寄ります(見出しの条件)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 加工工程(染色・漂白・カール等)を工程表で確認
      • 用途(詰物材か装飾材か)をインボイスに補足
  4. 間違い:天然ケーシング用の腸(0504)を“肉製品”として扱う/逆に、加工済みを0504に残す
    • なぜ起きる:食用・畜産物のイメージで分類が揺れる
    • 正しい考え方:0504は「腸・膀胱・胃(魚以外)」が対象(見出し文言)。一方、滅菌済み縫合糸など用途・加工度によっては第30類等へ移る可能性もあります(加工度で判断)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 「用途(食品用ケーシングか医療用か)」と「滅菌の有無」を確認
      • 動物検疫対象性も並行確認(後述) (maff.go.jp)
  5. 間違い:骨や象牙・サンゴなど“切り出して形ができている”のに第5類で申告
    • なぜ起きる:材料名(骨・象牙)に引っ張られる
    • 正しい考え方:第5類(0506/0507/0508)は基本的に“未加工〜簡易処理・未切り出し”が中心。成形・彫刻・ビーズ状等は第96類等へ寄ります(加工度が決定的)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 形状写真(寸法が分かるもの)を必ず取得
      • 加工工程(切断・穴あけ・研磨・彫刻)を工程表で確認
  6. 間違い:“象牙=ゾウの牙だけ”として0507.10の対象を狭く見てしまう
    • なぜ起きる:一般用語の象牙と、HSの定義がズレる
    • 正しい考え方:HSの類注では“ivory”の範囲を広く扱う整理があります(類注3)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 動物種・部位の証明(原産証明とは別に「材質由来」資料)を用意
      • CITES対象可能性を早期にチェック (税関総合情報)
  7. 間違い:0511(魚由来)と、魚粉等(第23類)を混同
    • なぜ起きる:“魚のくず=飼料”でひとまとめにしがち
    • 正しい考え方:0511.91は魚等由来の“その他”が来得ますが、粉・ミール・ペレット等は第23類側を検討すべき場面があります(形状・用途・見出し文言で詰める)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 予防策:
      • 形状(粉末/ペレット/液体/固形片)と用途(飼料/肥料/抽出用)を確認
      • 製造工程(乾燥・粉砕の程度)を入手

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します
    • 第5類は「原材料(animal products)」として流通することも多く、**最終製品だけでなく“材料のHS”**が原産性判断(CTH/CC/RVC等)の前提になります。
  • よくある落とし穴
    • 材料側の分類(例:毛が0502なのか、繊維として第XI部なのか)がズレる
    • 医薬原料(0510/0511相当)が、抽出・精製により別章へ移っているのに材料HSを据え置く

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本の国内実務(通関・統計番号)はHS改正で更新されますが、EPA/FTAのPSRや譲許表は“協定が参照するHS版”で作られているため、ズレが出ます。 (経済産業省)
  • 例(一般論+代表的な動き):
    • RCEPは、PSRのHS2022対応(トランスポーズ表)を2023-01-01から使用する運用が案内されています。 (jetro.go.jp)
    • 一方で、CPTPPなど一部協定・ガイドでは、約束税率・PSRがHS2012ベースで整理されている旨が説明されることがあります(=協定文書のHS版確認が必須)。 (Australian Border Force Website)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定のPSRが参照するHS版を特定 → ②旧HSのコードでPSRを当てる → ③新HS(通関で使うHS2022)に対応付け → ④材料HSや工程要件を再確認
    • 特に第5類は、“削除された/使われない番号(例:0503等)”が古い資料に残っているケースがあり得るため、番号だけで判断しないことが重要です。 (Fiji Revenue & Customs Service)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 収集すべき情報(例)
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(6桁レベルは最低限)
    • 動物由来の場合:動物種、採取・処理場所、検疫関連書類の有無
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 協定ごとに異なるため、自己申告/第三者証明の方式、保存年限、監査対応を確認

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

(注)WCOのHS2017→HS2022相関表(Table I/II)は「改正で影響を受けるコード」を中心に整理されています。 (世界税関機構)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第5類に関する改正記載が確認できないため)第5類(0501,0502,0504〜0508,0510,0511)WCO相関表(改正反映表)で第5類の改正対象として示されない範囲では、HS2017→HS2022で大きな構造変更は見込みにくい通関実務は基本的に“加工度・除外先”の論点が中心。協定HS版のズレ(HS2012/2017)には引き続き注意 (世界税関機構)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • WCO相関表は「改正で影響を受ける見出し・号」を整理する資料であり、第5類コードが改正対象として現れない範囲では、HS2017→HS2022で第5類の大きな改正はない(=変更なし)と整理しました。 (世界税関機構)
    • 加えて、HS2022側の第5類の類注(Notes 1〜4)と、主要号(0511.10/0511.91/0511.99等)の構造を確認し、少なくともHS2022における実務分岐が上記整理で説明可能であることを確認しました。 (Fiji Revenue & Customs Service)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第5類は「他に該当しない動物性産品」の性格から、協定・統計などで参照するHS版によって“見慣れない番号”が出てくることがあります。特に“馬毛”は、類注により0511側で扱う整理が明示されています。 (Fiji Revenue & Customs Service)

主要論点(実務向け):

  • HS2022(少なくともHS2022準拠の関税率表)では、第5類の見出し列挙に0503が現れず、馬毛は類注4で0511に含まれ得ると整理されています。 (Fiji Revenue & Customs Service)
  • そのため、古い資料・協定(HS2012等)で0503等の番号が出てくる場合は、トランスポジション(旧→新)で0511側へ対応付ける必要が生じ得ます(協定・当局資料で確認)。 (経済産業省)

(整理表:主要な“見た目のズレ”に絞った例)

版の流れ旧コード(例)新コード(例)コメント(実務の見方)
HS2012/旧資料 → HS20220503(馬毛として記載される場合がある)0511(少なくとも馬毛は0511に含まれ得る)号レベルは国・協定の参照HS版で要確認。日本の国内コード例では0511.99側に馬毛の細分が置かれています (税関総合情報)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「染色羽毛」を0505で申告して差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):0505は“清浄・消毒・保存処理まで”の範囲で、装飾加工等が進んでいると別類へ移り得る(加工度の見落とし) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “feathers” だけ、加工工程が書類に出ない
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、納期遅延
    • 予防策:工程表・写真・用途説明(詰物材/装飾材)を添付、必要なら事前教示
  • 事例名(短く):ブラシ用タフトを0502で申告→9603へ訂正
    • 誤りの内容:準備された結び目・房(タフト)を見落とし(類注1(d)) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 起きやすい状況:部材輸入(完成品でなく“毛束”だけ)で、現物確認が甘い
    • 典型的な影響:HS訂正、関税・統計の修正、原産性判定や規制判定のやり直し
    • 予防策:形状写真、商品仕様(tuft/knot/ready for brush making)を確認
  • 事例名(短く):象牙(または象牙相当素材)でCITES書類不備→差止
    • 誤りの内容:分類以前に規制(ワシントン条約)確認が不足 (環境省)
    • 起きやすい状況:アンティーク・装飾部品で「少量だから大丈夫」と誤認
    • 典型的な影響:差止・没収リスク、取引中止、罰則リスク(一般論)
    • 予防策:素材の由来・年代の証明、許可要否の事前確認(環境省・税関情報)
  • 事例名(短く):動物由来物の検疫対象を見落として通関遅延
    • 誤りの内容:骨・毛・羽・角・精液等が動物検疫の対象になり得る点を未確認 (maff.go.jp)
    • 起きやすい状況:サンプル輸入、研究用試料、EC小口
    • 典型的な影響:検疫手続や証明不足による保留・返送(一般論)
    • 予防策:AQS(動物検疫)で対象性と必要書類を事前確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)

検疫・衛生(SPS等)

  • 動物検疫(Animal Quarantine Service:AQS)
    • 日本では、海外から持ち込む動物由来物のうち、骨、脂、血、皮、毛、羽、角、ひづめ、腱などが動物検疫の対象になり得ることが明示されています(完成品の一部は除外される旨も併記)。 (maff.go.jp)
    • 第5類に典型的な対象例:羽毛、毛、骨、角、精液(0511)など
  • 実務での準備物(一般論)
    • 品目・加工度・由来国で要件が変わるため、輸出国政府の証明書の要否や、検疫での提出資料を事前に確認

ワシントン条約(CITES)等の種規制

  • 0507(象牙等)、0508(サンゴ等)を含む貨物は、CITES対象となり得ます。JETROの案内でも、さんご・象牙・べっこう等はワシントン条約の規制対象とされています。 (jetro.go.jp)
  • 象牙は、環境省の案内で条約と国内法に基づき規制され、原則として日本と海外間の輸出入や国内取引が禁止と説明されています。 (環境省)
  • 税関もワシントン条約対象の加工品・製品例を掲示しています(象牙製品等)。 (税関総合情報)

安全保障貿易管理

  • 第5類自体が典型的にリスト規制に直結するケースは多くありませんが、生物由来試料として輸出入する場合は別途社内規程・該非判定プロセスの対象になり得ます(一般論)。

確認先(行政・公式ガイド・窓口)

  • 動物検疫:農林水産省 動物検疫所(AQS) (maff.go.jp)
  • CITES:環境省(象牙等)・税関(ワシントン条約情報) (環境省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種、部位(毛/腸/骨/角/歯等)、用途(食用/工業/医薬)、加工工程
    • 写真(形状・束ね方・切り出しの有無が分かる)
    • 成分・由来証明、SDS(ある場合)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第5類の類注(除外・定義)に抵触していないか(食用、皮革、繊維、9603等) (Fiji Revenue & Customs Service)
    • 「未加工/簡易処理/未切り出し」要件を満たすか(0506〜0508で特に)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「動物種」「加工度」「用途」を入れる(例:“cleaned and disinfected down” 等)
    • HS6桁と国内コード(日本の統計番号)を混同しない(国内コードは別管理)
    • 税関説明用の資料(工程表・写真・仕様)を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(HS2012/2017等)を確認し、必要に応じてトランスポーズ表でHS2022へ対応付け (経済産業省)
    • 材料HSの整合(特に“毛”や“医薬原料”でズレやすい)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫の対象性(毛・羽・骨・角・精液等)と必要書類を確認 (maff.go.jp)
    • CITES対象素材(象牙・べっ甲・サンゴ等)の有無を確認 (jetro.go.jp)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022相関表)
    • WCO “TABLE I – Correlating the 2022 version to the 2017 version of the Harmonized System” (世界税関機構)(参照日:2026-02-13)
    • WCO “TABLE II – Correlating the 2017 version to the 2022 version of the Harmonized System” (世界税関機構)(参照日:2026-02-13)
  • HS見出し・類注の確認(HS2022準拠の関税率表例)
  • 日本の検疫・規制(公的機関)
    • 農林水産省 動物検疫所(AQS)“Bring animal products into Japan from overseas” (maff.go.jp)(参照日:2026-02-13)
    • 環境省 “象牙の国外持ち出し規制について(一般の方向け)” (環境省)(参照日:2026-02-13)
    • 税関 “ワシントン条約” (税関総合情報)(参照日:2026-02-13)
    • JETRO Q&A “ジュエリーや貴金属、アクセサリーの輸入手続き:日本”(さんご・象牙・べっこう等のCITES言及) (jetro.go.jp)(参照日:2026-02-13)
  • FTA/EPA(HS版ズレの実務注意)
    • 経済産業省:HSコード改正とEPA利用時の留意(国内HS更新と協定HS版ズレの注意) (経済産業省)(参照日:2026-02-13)
    • JETRO:RCEPのPSR(HS2022対応表の使用開始に関する案内) (jetro.go.jp)(参照日:2026-02-13)
    • Australian Border Force:RCEP HS2022 transposed PSR 運用開始(参考) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-13)
    • Australian Border Force:CPTPP importers guide(HS2012ベース言及のあるガイド例) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-13)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 日本の国内コード(統計番号/NACCS用品目コード)はHS6桁に国内細分(9桁等)が付くため、HS(6桁)と国内コードを混同しないでください。
  • 例:馬毛(horsehair)は、国内コード例として 0511.99 系列に細分が置かれていることが示されています(NACCS用品目コード一覧の例)。 (税関総合情報)
    • 実務上は、「馬毛=0503」等の旧資料表記があっても、通関で使う国内コードは別途確認が必要になります。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 製品写真(全体・拡大・梱包状態)
    • 材質・動物種・部位の証明(鑑別結果があると強い)
    • 加工工程(どこまで加工したか:洗浄/消毒/漂白/染色/成形/切り出し 等)
    • 用途(食用・工業・医薬原料・装飾等)
    • カタログ、SDS、仕様書、サンプル(可能なら)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第4類:酪農品、鳥卵、天然はちみつ及び他の類に該当しない食用の動物性生産品

英語名:Dairy produce; birds’ eggs; natural honey; edible products of animal origin, not elsewhere specified or included. (世界関税機関)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 牛乳・生乳・クリーム(濃縮していない、無糖)【0401】 (世界関税機関)
    • 粉乳・練乳・加糖練乳など(濃縮/乾燥、または加糖のミルク・クリーム)【0402】 (税関ポータルサイト)
    • ヨーグルト、ケフィア等の発酵/酸性化乳【0403】(HS2022で一定の添加ヨーグルトも対象拡大) (世界関税機関)
    • ホエイ、調製ホエイ、乳成分品【0404】 (世界関税機関)
    • バター/乳脂肪/デイリースプレッド【0405】、チーズ【0406】 (世界関税機関)
    • 殻付き卵【0407】、液卵・卵黄等【0408】、天然はちみつ【0409】 (世界関税機関)
    • 食用の非生体昆虫(条件範囲内)【0410】 (世界関税機関)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • ココア等で香味づけしたミルク飲料 → 第22類 2202(飲料) (税関ポータルサイト)
    • ホエイ由来で乳糖が乾燥基準で 95%超のもの → 第17類 1702(乳糖等) (世界関税機関)
    • ミルクの天然成分を別の物質で置換(例:乳脂肪を植物油脂で置換した“ミルク代替”)→ 1901 または 2106 (世界関税機関)
    • アルブミン類・一定のホエイたんぱく濃縮物(乾燥基準でホエイたんぱくが高いもの等)→ 3502/3504 (世界関税機関)
    • 食用に適さない非生体昆虫 → 0511 (世界関税機関)
    • 食用昆虫でも、味付け等で「調製・保存」されたもの → 原則 第4部(例:第16類)側へ(加工度合いで判断) (世界関税機関)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. “素材”か“調製品”か(香味・具材・置換の有無で、04類→19/21/22類へ飛びやすい) (世界関税機関)
    2. 成分の閾値(バター定義、ホエイチーズ要件、乳糖95%超の除外など) (世界関税機関)
    3. 昆虫は“非調製”か“調製済み”か(0410か、16類などか) (世界関税機関)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 乳製品は、**関税率差・割当・協定税率(PSR)**に影響しやすく、分類違いが「税率・原産地・規制(検疫)」の三重で効くことがあります。 (農林水産省)


1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか

1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:見出し文言と「注(類注/部注)」が最重要。第4類は、ヨーグルト、バター、ホエイチーズ、昆虫などを注で定義しているため、品名より注を優先して読みます。 (世界関税機関)
    • GIR6:6桁(号)の比較では、脂肪分%など「号の文言」どおりに当てはめます(例:0401の脂肪分区分)。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 状態:液体/粉末/濃縮/乾燥(“dried”は脱水・蒸発・凍結乾燥を含む) (世界関税機関)
    • 添加と目的:添加物が「風味付け/具材」なのか、「ミルク成分を置換」なのか(置換なら04類から外れる可能性が高い) (世界関税機関)
    • 成分数値:乳脂肪、水分、乾燥固形分、乳糖%(乾燥基準) (世界関税機関)
    • 加工度:昆虫・卵・乳製品が“単なる保存処理”か“調製(味付け等)”か (世界関税機関)

1-2. 判定フロー 疑似フローチャート

  • Step1:物品は「食用」か、動物由来か
    • 食用でなければ04類ではなく、05類等に寄る可能性(例:食用に適さない昆虫→0511)。 (世界関税機関)
  • Step2:乳製品・卵・はちみつ・その他動物性食品のどれか
    • 乳製品なら 0401〜0406、卵なら 0407〜0408、はちみつは 0409、その他は 0410 を起点に検討。 (世界関税機関)
  • Step3:04類の「除外規定」に当たらないかチェック
    • 乳糖95%超(乾燥基準)→1702、置換乳→1901/2106、アルブミン類→35類等。 (世界関税機関)
  • Step4:該当する項(4桁)を決め、最後に号(6桁)を文言どおりに当てはめ
  • よく迷う境界:
    • 04類(乳製品) vs 22類(飲料):「ミルク飲料」扱いになると22.02へ。 (税関ポータルサイト)
    • 04類(ヨーグルト) vs 19.01/21.06:「具材・置換」で外れやすい。 (世界関税機関)
    • 04類(ホエイ等) vs 17.02(乳糖)/35.02(たんぱく):「乾燥基準の成分比」が決め手。 (世界関税機関)

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表 必須

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0401濃縮等していないミルク・クリーム、無糖生乳、牛乳、クリーム濃縮/乾燥/加糖は0402。脂肪分で号が分岐。
0402ミルク・クリーム(濃縮/乾燥、または加糖)練乳、粉乳、加糖粉乳粉末/粒状か、ペースト状濃縮か等で号が分かれる。
0403発酵/酸性化したミルク・クリーム等、ヨーグルトヨーグルト、ケフィア、サワークリームHS2022でヨーグルトの範囲が拡大(条件付き)。
0404ホエイ、調製ホエイ、その他の乳成分品ホエイパウダー、調製ホエイ乳糖95%超(乾燥基準)等の除外に注意。
0405バター等の乳脂肪バター、デイリースプレッド、無水乳脂肪、ギーバター/スプレッドは注の定義に合うかが最重要。
0406チーズ、カードナチュラルチーズ、カード、ホエイチーズホエイ濃縮+ミルク/乳脂肪のものは条件付きで0406。
0407殻付き鳥卵殻付き鶏卵、受精卵(孵化用)孵化用か食用かで号が分岐しやすい。
0408殻付きでない卵・卵黄液卵、乾燥卵黄、冷凍卵白砂糖等の添加可(見出し上)。加工度合いで別類も。
0409天然はちみつはちみつ(瓶詰、巣蜜)原則04.09。規制面では巣蜜等は別途注意。
0410その他の食用動物性生産品ローヤルゼリー、食用昆虫(非調製)HS2022で食用昆虫の定義・細分が明確化。

上表の根拠となる「範囲の定義・除外」は、Chapter 4 Notes(注)と、各項の解説(税関解説)にまとまっています。 (世界関税機関)

2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐 必須

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 脂肪分%:0401(ミルク・クリーム)を中心に号が分岐。 (世界関税機関)
    • 濃縮/乾燥/加糖の有無:0401と0402の最初の分岐。 (世界関税機関)
    • “ヨーグルトとしての本質”:0403(特にHS2022)。 (世界関税機関)
    • 乾燥基準の成分比:乳糖95%超の除外(→1702)、ホエイたんぱく濃縮の除外(→3502)。 (世界関税機関)
    • 加工度(保存処理か調製か):昆虫(0410)と、調製昆虫(主に16類)の線引き。 (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(例:5組)
    1. 0401(非濃縮・無糖) vs 0402(濃縮/乾燥/加糖)
      • どこで分かれるか:濃縮・乾燥・砂糖等の添加があるか。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:製造工程(濃縮/乾燥)、糖添加有無、製品形状(粉/粒/ペースト)。
      • 典型的な誤り:「粉乳なのに0401で申告」「加糖練乳なのに無糖扱い」。
    2. 0403(ヨーグルト)と 1901/2106 の境界
      • どこで分かれるか:シリアル等を加えていても、ミルク成分の置換目的でなく、かつヨーグルトの重要な特性を保持しているか。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:配合表(置換かどうか)、物性・官能、ラベル表示、写真。
      • 典型的な誤り:具材入りを機械的に19.01へ寄せる(HS2022では見直しが入っています)。 (税関ポータルサイト)
    3. 0404(ホエイ等) vs 1702(乳糖)
      • どこで分かれるか:ホエイ由来品でも、乳糖が乾燥基準で95%超なら17.02へ除外。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:成分分析(乳糖%を乾燥状態に換算)、水分。
      • 典型的な誤り:乳糖粉末を「ホエイ粉」として0404で申告。
    4. 0405.10(バター) vs 0405.90(ギー/無水バター等)
      • どこで分かれるか:0405の中でも、0405.10の“バター”はギー等を含まない(サブ見出し注)。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:水分、乳化剤の有無、製品名称(ghee/anhydrous butter oil等)、仕様書。
      • 典型的な誤り:水分ほぼゼロの乳脂肪を「バター」として0405.10に入れる。
    5. 0410.10(昆虫) vs 第16類等(調製した昆虫)
      • どこで分かれるか:0410の“昆虫”は、一定の保存処理(冷凍・乾燥・塩蔵等)までの「非調製」側。味付け・調理等で“調製/保存”の色が強いと第4部側へ。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:加工工程(味付け/加熱/燻製等)、原材料(調味料)、製品形態(スナック等)。
      • 典型的な誤り:「味付き昆虫スナック」を0410で申告。

3. 部注と類注の詳細解釈 条文→実務的な意味

3-1. 関連する部注 Section Notes

  • ポイント要約:
    • Section Iでは、“dried(乾燥)”は脱水・蒸発・凍結乾燥などを含む扱いです。粉乳や乾燥卵などで「乾燥の方法」を問わず“乾燥”として扱いやすい点が実務に効きます。 (世界関税機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:凍結乾燥の卵粉・乳粉でも、号の「乾燥」区分に当てはめる前提で検討します。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • Section I部注自体で大きく他章へ飛ぶというより、**Chapter 4の類注(注)**で他章へ飛ぶケースが多いです(乳糖95%超→17.02、置換乳→19.01/21.06等)。 (世界関税機関)

3-2. この類の類注 Chapter Notes

Chapter 4は「注」が実務の核心です(要点のみ)。

  • ポイント要約:
    • 注1:ミルクの定義(全乳・脱脂乳を含む)。 (世界関税機関)
    • 注2:ヨーグルトは、一定の添加(香辛料、コーヒー、植物、シリアル、ベーカリー品等)も条件付きで許容。 (世界関税機関)
    • 注3:バター/デイリースプレッドの定義(乳脂肪%・水分等の閾値、乳化剤の扱い)。 (世界関税機関)
    • 注4:ホエイ濃縮+ミルク/乳脂肪の産品でも、条件を満たせばチーズ(0406)。 (世界関税機関)
    • 注5:除外規定(非食用昆虫、乳糖95%超、置換乳、アルブミン等)。 (世界関税機関)
    • 注6:0410の“昆虫”定義(非生体・一定の保存処理まで)。 (世界関税機関)
    • サブ見出し注:0404.10の「調製ホエイ」定義、0405.10のバターにギー等が含まれない点。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • バター:乳脂肪80〜95%等の数値基準と「乳化剤なし」など、定義に合致するかが核心です。 (世界関税機関)
    • ホエイチーズ扱い:乳脂肪(乾燥基準)5%以上、乾燥固形分70〜85%、成型可能等の要件が揃うと0406に寄ります。 (世界関税機関)
    • 昆虫:0410では、非生体昆虫で一定の保存処理(冷凍・乾燥・塩蔵等)までの範囲を明確化。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 乳糖95%超(乾燥基準)→17.02、置換乳→19.01/21.06、アルブミン等→35類、非食用昆虫→05.11。 (世界関税機関)

4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか

  • 影響ポイント1:ヨーグルトの「許容添加」と「置換」の線引き
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 添加物が“風味/具材”なのか、“ミルク成分を置換”なのか
      • ヨーグルトの重要な特性(発酵乳としての性状)が保持されているか (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表(%)、製造工程図、商品仕様書、商品写真、表示(原材料名・栄養成分表示)
    • 誤分類の典型:
      • シリアル入り=即19.01、コーヒー入り=即飲料、など「品名・見た目」だけで飛ばす。 (税関ポータルサイト)
  • 影響ポイント2:バター定義(0405.10に入るか)と、ギー等(0405.90)との切替
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
    • 現場で集める証憑:
      • 成分分析(COA)、配合、製法説明(無水化工程等)、製品規格書
    • 誤分類の典型:
      • 無水乳脂肪(ギー)を「バター」と誤認して0405.10へ。 (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:ホエイ由来品の「0404」か「0406(チーズ)」か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 乾燥基準の乳脂肪%(5%以上か)、乾燥固形分70〜85%、成型可能か (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 水分・脂肪の分析、形状写真、製造工程(成型の有無)
    • 誤分類の典型:
      • 「ホエイだから0404」と固定し、注4要件の確認をしない。 (世界関税機関)

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:ココア入りミルク飲料を0401/0402で申告
    • なぜ起きる:品名が「ミルク」なので乳製品と短絡する
    • 正しい考え方:ココア等で香味づけしたミルク飲料は22.02側に除外される扱い(解説で明示)。 (税関ポータルサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:原材料表、表示、用途(飲料として販売か)
      • 社内質問例:「これは“飲料”としてそのまま飲む商品ですか?ココア等の香味原料は入っていますか?」
  2. 間違い:シリアル入りヨーグルトを19.01(ミルク調製品)で固定
    • なぜ起きる:過去の運用や社内マスタがHS2017前提のまま
    • 正しい考え方:HS2022では、一定の添加(シリアル等)を含むヨーグルトを条件付きで04.03に含める方向で明確化(注2、改正資料)。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:添加目的(置換か否か)、配合%、商品性状
      • 社内質問例:「シリアルは“食感付与”ですか?“乳成分の代替”ですか?」
  3. 間違い:乳糖粉末を0404(ホエイ)で申告
    • なぜ起きる:「ホエイ由来=0404」という単純化
    • 正しい考え方:ホエイ由来でも乳糖が乾燥基準で95%超なら17.02へ除外。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:成分分析(乳糖%を乾燥基準に換算)、水分
      • 社内質問例:「乳糖含有率(乾燥基準)は何%ですか?」
  4. 間違い:無水乳脂肪(ギー)を0405.10(バター)で申告
    • なぜ起きる:商流上“バターオイル”がバターと呼ばれる
    • 正しい考え方:0405.10の“バター”はギー等を含まない(サブ見出し注)。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:水分、製法、商品名(ghee/anhydrous)
      • 社内質問例:「水分はほぼゼロですか?無水化工程がありますか?」
  5. 間違い:ホエイ濃縮+乳脂肪添加品を0404のままにする(0406の可能性を見ない)
    • なぜ起きる:原料がホエイなので0404と思い込む
    • 正しい考え方:注4の3条件(乳脂肪/乾燥固形分/成型性)を満たすと0406(チーズ)。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:乾燥基準脂肪%、乾燥固形分%、成型の有無
      • 社内質問例:「これは“チーズ状に成型”できますか?乾燥固形分は何%ですか?」
  6. 間違い:昆虫(味付け済み)を0410で申告
    • なぜ起きる:「昆虫=0410」と覚えてしまう
    • 正しい考え方:0410の定義は“非調製”側で、調製・保存の度合いが強いと第4部側(例:第16類)に寄る。 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:加工工程、調味料の有無、販売形態(スナック等)
      • 社内質問例:「味付け・加熱調理・保存加工(缶詰等)はしていますか?」
  7. 間違い:粉乳等に加えた少量添加物で「調製食品」扱いに飛ばす
    • なぜ起きる:添加=調製品と短絡
    • 正しい考え方:粉乳は再生ミルクの物性維持のため少量でん粉(重量比5%以下)を含み得るとされる考え方が示されています(日本解説)。 (税関ポータルサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:添加物の種類/目的/重量比
      • 社内質問例:「でん粉等は何の目的で、重量比は何%ですか?」
  8. 間違い:殻付き卵(孵化用)と食用卵の区別を取らず0407で雑に申告
    • なぜ起きる:同じ“殻付き卵”と見える
    • 正しい考え方:HS改正で孵化用受精卵等の細分が整備されており、用途・取引実態が重要。 (税関ポータルサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:契約書(用途)、相手先(ふ卵場か)、ラベル表示
      • 社内質問例:「孵化目的(受精卵)ですか?食用ですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係

  • HSの付番はPSR選択に直結します。
    • 例:ヨーグルトを04.03とみるか、19.01とみるかでPSRが変わり、原産性判断(CTH/CTSH/RVC等)の軸がズレます。 (税関ポータルサイト)
  • よくある落とし穴
    • 最終製品HSだけでなく、非原産材料のHSも同じ版(協定が参照するHS版)で揃える必要があります。 (税関ポータルサイト)

6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012 HS2017 HS2022のズレ

  • 協定により、PSRが参照するHS版が異なります(例:RCEPはHS2022版PSRが採択され、2023-01-01から運用)。 (税関ポータルサイト)
  • ズレる場合の注意(一般論)
    • 実務のHS(通関)をHS2022で付番しても、PSRは協定指定のHS版で確認する必要がある場合があります。
    • その際、税関が公表する相関表や、WCOの相関資料で旧→新の対応関係を取ってからPSR適用を検討します。 (税関ポータルサイト)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 最低限そろえる
    • BOM(材料表)、各材料の原産国、非原産材料のHS、工程フロー、原価(RVC計算の前提)、製品仕様書(成分%)。
  • 証明書類・保存(一般論)
    • 監査・事後確認を想定し、HS判定根拠(注に基づく分岐の説明、分析証明)を保存。
  • RCEPの留意
    • 日本税関・外務省もHS2022への置換と運用開始を明示しており、文書様式・記載HSの整合が重要です。 (税関ポータルサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠

7-1. 変更点サマリー 必須:表

比較変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更・号整理0403シリアル・コーヒー等を加えたヨーグルトを、条件付きで04.03に含める趣旨を明確化し、号体系も整理19.01等に置いていた品目が04.03になり得る。税率・PSR・統計に影響
HS2017→HS2022分割・定義明確化0410食用の非生体昆虫を第4類、調製した昆虫を第16類等に整理。0410.10(昆虫)など細分新設昆虫食品の分類根拠が明確化。誤分類(第2類等)を減らす

(税関ポータルサイト)

7-2. 違うことになった根拠 必須

  • 参照した根拠資料と、判断のしかた
    • **WCOのHS2022条文(Chapter 4 Notes)**で、ヨーグルトの許容添加(注2)と、昆虫の定義(注6)が明示されています。 (世界関税機関)
    • **相関表(HS2022-HS2017)**で、0410の細分(0410.10等)や、ヨーグルト側の整理が示されています。 (税関ポータルサイト)
    • 日本税関のHS2022改正解説資料でも、ヨーグルトの範囲拡大と食用昆虫の整理が改正ポイントとして説明されています。 (税関ポータルサイト)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(第4類に関係が大きいもの)を、分かる範囲で整理します。

改正期変更タイプ旧コード→新コード(代表例)ポイント
HS2007→HS2012分割0401.30 → 0401.40(脂肪6〜10%)/0401.50(10%超)ミルク・クリームを脂肪分で細分化(統計把握等)。
HS2007→HS2012分割0407.00 → 0407.11/0407.19(孵化用受精卵)、0407.21/0407.29(その他の生鮮卵)等孵化用と食用の区別を明確化。
HS2012→HS2017実質変更なし(変更点一覧に第4類の記載なし)大きな再編は見当たりません。
HS2017→HS2022範囲変更・号整理0403(ヨーグルト)添加ヨーグルトの分類範囲拡大に対応。
HS2017→HS2022分割・新設0410.00 → 0410.10(昆虫)/0410.90(その他)食用昆虫を明確に区分。

(税関ポータルサイト)


9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:ココアミルクを「粉乳」として申告
    • 誤りの内容:ミルク飲料の除外(22.02)を見落とし (税関ポータルサイト)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“Milk drink”程度で、原材料/用途が見えない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、食品表示・検査のやり直しで遅延
    • 予防策:原材料表・用途(飲料)・写真を事前提出、分類根拠を社内に残す
  • 事例名:グラノーラ入りヨーグルトを19.01で固定してEPA適用したが否認
    • 誤りの内容:HS2022でのヨーグルト範囲(注2)を踏まえず、PSRを誤選択 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:社内マスタが旧HS前提、レシピ変更が共有されない
    • 典型的な影響:協定税率否認、差額納税、原産地証明の再発給手戻り
    • 予防策:HS版の確認、相関表で旧→新対応、レシピ変更時に分類再点検
  • 事例名:乳糖粉末を0404で申告し、税関で17.02へ更正
    • 誤りの内容:注5(b)(乳糖95%超の除外)を見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:成分分析を取らず、仕入先の通称で判断
    • 典型的な影響:追加納税、事後調査、類似品の一斉見直し
    • 予防策:COA取得、乾燥基準での乳糖%確認をルール化
  • 事例名:ギーを0405.10で申告し、0405.90へ修正
    • 誤りの内容:サブ見出し注(0405.10にギー等を含まない)を見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:商品名に“butter”が入っている
    • 典型的な影響:追加納税、書類差替、輸入計画(コスト)の再計算
    • 予防策:水分・乳化剤・製法の確認、商品規格に“ghee/anhydrous”の明記
  • 事例名:味付き昆虫スナックを0410.10で申告
    • 誤りの内容:0410の昆虫定義は“非調製”側で、調製度が高いと別類になり得る点を見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:新規商材で、社内に過去事例がない
    • 典型的な影響:分類更正、規制(食品/表示)の再確認、納期遅延
    • 予防策:加工工程・調味料情報・写真を揃え、必要なら税関相談

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

日本前提で、第4類で頻出の論点を「該当があるものだけ」整理します(一般論)。

  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法:輸入食品は、原則として検疫所(厚労省)への届出・審査/検査の対象です。 (厚生労働省)
    • 動物検疫(家畜伝染病予防法)
      • 乳製品は、品目により動物検疫の対象となり、輸入時に手続・証明書が必要となる旨が案内されています。 (農林水産省)
      • 卵(卵殻を含む)は動物検疫対象で、食用生鮮殻付卵については輸入検疫要領が示されています。 (農林水産省)
      • はちみつは(原則として)動物検疫の対象に含まれない旨が明示されていますが、巣蜜・プロポリス等は混入物や加工程度により論点になり得ます。 (農林水産省)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第4類の典型品(乳・卵・はちみつ)ではCITES該当は一般に多くありませんが、個別の原料(動物種・由来)が特殊な場合は別途確認が必要です(一般論)。
  • 安全保障貿易管理
    • 食品としての第4類は通常該当しにくい一方、用途・輸出先・取引形態によっては社内の輸出管理フローに乗せる必要があります(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
  • 実務での準備物(一般論)
    • HS分類:成分表(%)、仕様書、写真、製造工程、分析証明(脂肪/水分/乳糖%等)
    • 規制:食品等輸入届出関連資料、(該当時)動物検疫の証明書類(輸出国政府機関発行等) (農林水産省)

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料一覧と配合%(置換の有無が分かる形)
    • 状態(液体/粉/濃縮/乾燥、保存処理の種類)
    • 成分分析(脂肪、水分、乾燥固形分、乳糖%乾燥基準)
    • 加工工程(発酵、無水化、味付け、成型の有無)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • ヨーグルト注2、乳糖95%超除外、置換乳除外、バター定義、昆虫定義を再点検 (世界関税機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名に「状態・加工(powdered/concentrated/fermented/seasoned等)」が出るか
    • 税関照会に備え、仕様書・分析表を添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版を確認(RCEPはHS2022 PSR運用) (税関ポータルサイト)
    • BOM、非原産材料HS、工程、RVC前提を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料 出典

※Web参照の参照日:2026-02-13

  • WCO:HS Nomenclature 2022(Section I Notes 0100_2022E) (世界関税機関)
  • WCO:HS Nomenclature 2022(Chapter 4 0104_2022E:注・サブ見出し注・見出し) (世界関税機関)
  • 日本税関:実行関税率表(HS/国内コード確認の入口) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:関税率表解説 第4類(4r.pdf) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:関税率表(2022年版)第4類注(04r.pdf) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:HS2022改正資料(ヨーグルト範囲拡大、食用昆虫の整理 等) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:相関表 HS2022-HS2017 (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:相関表 HS2012-HS2007(0401・0407の細分等) (税関ポータルサイト)
  • 日本税関:RCEP協定 HS2022版PSRの採択・実施案内 (税関ポータルサイト)
  • 外務省:RCEP協定 HS2022に従ったPSR採択の案内 (外務省)
  • 農林水産省 動物検疫所:乳製品の検疫について (農林水産省)
  • 農林水産省 動物検疫所:輸入畜産物の検査手続(検査証明書等) (農林水産省)
  • 農林水産省 動物検疫所:食用生鮮殻付卵の輸入検疫要領(最新版) (農林水産省)
  • 農林水産省 動物検疫所:動物検疫対象の整理(卵・乳製品、はちみつは原則対象外の旨 等) (農林水産省)
  • 厚生労働省:食品等の輸入手続(輸入届出等) (厚生労働省)
  • JETRO:はちみつの輸入手続(食品衛生、巣蜜・プロポリス等の留意) (ジェトロ)
  • MIPRO:食品輸入の手引き(はちみつの検疫上の注意など) (Mipro)

付録A. 国内コード 日本 での主な細分と注意点 任意

  • 注意:HSは6桁まで(号=Subheading)で共通ですが、日本の輸入申告では、さらに桁を延ばした **国内コード(輸入統計品目番号)**で申告します。
  • 実務影響が大きい例
    • 0401(ミルク・クリーム)は、HS6桁でも脂肪分で細分があります(0401.10/0401.20/0401.40…)。国内コードではさらに用途・形態等で細分され得ます。 (世界関税機関)
    • 乳製品・卵は、分類だけでなく検疫(動物/食品)手続の要否確認が必須です(国内コード確定前に、製品仕様を固めるのが近道)。 (農林水産省)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第3類:魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物(Fish and crustaceans, molluscs and other aquatic invertebrates)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 生きている観賞魚(例:金魚・錦鯉など)→ 03.01(生きている魚) (世界関税機関)
    • 生鮮/冷蔵の鮭(丸のまま等、フィレ以外)→ 03.02 (世界関税機関)
    • 冷凍のまぐろ(丸のまま等、フィレ以外)→ 03.03 (世界関税機関)
    • 魚のフィレ(冷蔵/冷凍)→ 03.04(03.02/03.03から明示除外) (世界関税機関)
    • くん製サーモン、塩蔵たら等 → 03.05(ただし“調製品”でない範囲) (税関総合情報)
    • 殻付きで単に蒸し又は水煮したカニ(加熱していても条件付きで03類)→ 03.06 (税関総合情報)
    • ほたて(生鮮/冷凍、殻付き/むき身)→ 03.07 (世界関税機関)
    • なまこ・くらげ(乾燥/塩蔵 等)→ 03.08 (世界関税機関)
    • 魚介由来の粉・ミール・ペレット(食用)→ 03.09(HS2022で独立) (世界関税機関)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 鯨などの哺乳類(生体)→ 01.06、同肉 → 02.08/02.10 (世界関税機関)
    • キャビア・魚卵から調製したキャビア代用物 → 16.04 (世界関税機関)
    • 魚介を加熱調理したもの、衣付け・ソース和え等「03類に列挙されない方法」で調製/保存したもの → 原則16類(例:焼き魚、フライ) (税関総合情報)
    • 食用に適しない状態の魚介(死んでいて食用不適)→ 第5類、食用不適の粉・ミール・ペレット → 23.01 (世界関税機関)
    • 魚油等(脂・油)→ 第15類(例:魚油は15.04系)※本章の注の直接列挙ではないため、実務では見出しで確認が必要です。
    • 魚介の調製品(缶詰、味付け、瓶詰等)→ 16.04/16.05(製品態様による) (税関総合情報)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥・塩蔵・くん製)か、調製品(16類)か (税関総合情報)
    2. 丸魚(03.02/03.03)か、フィレ・魚肉(03.04)か(見出しで明確に分かれます) (世界関税機関)
    3. 粉・ミール・ペレットは「食用(03.09)」か「食用不適(23.01)」か(そして03.05〜03.08には食用品は入らない) (世界関税機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「軽く火を通しただけ」「開殻のための熱湯処理(heat shock)」を**“調理済み”と誤認**して16類へ飛ばす(または逆) (税関総合情報)
    • 魚卵・しらこを、**そのまま食べられる調製品(16.04)**なのに03類で申告 (税関総合情報)
    • 03.09新設後も、粉・ミール・ペレット(食用)を旧来の感覚で03.05/03.06/03.08側に置いてしまう (世界関税機関)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注):03類は類注(除外・定義)がはっきりしており、まず注で“飛び先”を潰すのが最短です(例:キャビア→16.04、食用不適→第5類/23.01、粉・ミール・ペレット(食用)→03.09)。 (世界関税機関)
    • GIR6(6桁の選択):03類は6桁が「状態(生鮮/冷凍等)」×「生物群(魚/甲殻/軟体/その他)」×「種(属・学名)」で細かいので、最後は6桁見出しの文言に沿って落とします。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 状態:生きている/生鮮(冷蔵含む)/冷凍/乾燥・塩蔵・くん製/粉・ミール・ペレット(食用) (世界関税機関)
    • 形状:丸のまま(頭付き等)か、フィレか、魚肉(ミンチ・すり身状等)か (世界関税機関)
    • 加工度(重要):03類に列挙された方法(冷蔵・冷凍・乾燥・塩蔵・くん製等)に止まるか、加熱調理・味付け等で16類相当になるか (税関総合情報)
    • 用語注意:「dried(乾燥)」は、脱水・蒸発・フリーズドライも含む扱いです(部注)。 (世界関税機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象が「魚/甲殻類/軟体動物/その他水棲無脊椎動物」か
    • それ以外(例:海獣、海藻、魚油など)は03類以外に行きやすいです。 (世界関税機関)
  • Step2:調製・保存の方法が、03類の範囲内か(=生鮮/冷蔵/冷凍、乾燥、塩蔵・塩水漬、くん製 等)
    • 03類にない方法で調製・保存(加熱調理、衣付け、ソース漬け等)→ 原則16類へ (税関総合情報)
    • ただし例外(03類に残る):殻付き甲殻類の単なる蒸し/水煮、くん製の前後の加熱調理、開殻等のための熱衝撃(heat shock)など、解説で“調理とみなさない/03類に残る”扱いが示されています。 (税関総合情報)
  • Step3:状態で項(4桁)を決める
    • 生きている魚 → 03.01
    • 生鮮/冷蔵の魚(※フィレ除外)→ 03.02
    • 冷凍の魚(※フィレ除外)→ 03.03
    • 魚のフィレ・その他魚肉 → 03.04
    • 乾燥/塩蔵/塩水漬/くん製の魚(+一部の魚卵・しらこ等)→ 03.05
    • 甲殻類 → 03.06
    • 軟体動物 → 03.07
    • その他水棲無脊椎動物 → 03.08
    • 食用の粉・ミール・ペレット → 03.09 (世界関税機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:
    • 第3類は4桁見出しが比較的少ないため全列挙します(HS2022条文ベース)。 (世界関税機関)
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0301生きている魚観賞魚、ふ化用稚魚、活うなぎ「生きている」ことが絶対条件。観賞用も含む。学名・属で6桁が分かれる。 (世界関税機関)
0302魚(生鮮/冷蔵)※03.04のフィレ等除外冷蔵サーモン(丸魚)、生鮮アジフィレ・魚肉は03.04。冷蔵の定義(凍らせない)。 (世界関税機関)
0303魚(冷凍)※03.04のフィレ等除外冷凍まぐろ(丸魚)フィレ・魚肉は03.04。冷凍の定義(凍結点以下で全体凍結)。 (世界関税機関)
0304魚のフィレ・その他魚肉(生鮮/冷蔵/冷凍)冷凍たらフィレ、すり身状の魚肉03.02/03.03から明示除外。形状・加工(切身/フィレ/ミンチ等)が鍵。 (世界関税機関)
0305乾燥・塩蔵・塩水漬・くん製の魚 等くん製サーモン、塩蔵たら、干物03類に列挙された保存方法の範囲。魚卵・しらこは“そのまま食べられる調製品”なら16.04へ。 (税関総合情報)
0306甲殻類(殻付き/むき身、各状態)えび、かに、ロブスター単に蒸し/水煮した殻付き甲殻類は03.06に残り得る。味付け等で16類へ。 (税関総合情報)
0307軟体動物(殻付き/むき身、各状態)かき、ほたて、いか、たこ開殻や安定化のための熱衝撃は“調理”扱いされず03類に残り得る。 (税関総合情報)
0308その他の水棲無脊椎動物(甲殻類・軟体動物以外)なまこ、うに、くらげ生物群の誤認が多い(例:うに=軟体動物ではない)。調製品は16類へ。 (世界関税機関)
0309魚介由来の粉・ミール・ペレット(食用)魚粉(食用スープ用)、乾燥海産物粉末、食用ペレットHS2022で独立。03.05〜03.08には食用品は入らない(類注)。食用不適は23.01。 (世界関税機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 状態:生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥/塩蔵/塩水漬/くん製/粉・ミール・ペレット (世界関税機関)
    • 形状:丸魚 vs フィレ/魚肉(03.02/03.03 ↔ 03.04) (世界関税機関)
    • 生物群:魚/甲殻類/軟体動物/その他水棲無脊椎動物(03.06/03.07/03.08で分かれる) (世界関税機関)
    • 種(学名):まぐろ(Thunnus属)、うなぎ(Anguilla spp.)等、6桁が種で割れる場合が多い (世界関税機関)
    • “食用に適する/適しない”:03.09 ↔ 23.01、または第5類への除外 (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 03.02/03.03(丸魚) vs 03.04(フィレ・魚肉)
      • どこで分かれるか:見出しで「03.04のフィレ等は除外」と明記。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:形状(フィレか)、カット工程、製品写真、規格書(スキンオン/スキンレス、骨取り等)。
      • 典型的な誤り:切身・フィレを「冷凍魚」として03.03に入れてしまう。
    2. 03類(くん製・塩蔵等) vs 16類(調製/保存)
      • どこで分かれるか:03類は“この類に記載した方法のみ”の処理に基本限定。加熱調理や衣付けなどは16類へ。 (税関総合情報)
      • 判断に必要な情報:工程(加熱の目的/程度)、添加物(タレ、調味液、衣)、喫食形態(そのまま食べられるか)。
      • 典型的な誤り:「真空包装・缶入り=調製品」と決めつける(※缶入りでも03類に属し得る旨の注意あり。ただし多くは16類になる、と整理されています)。 (税関総合情報)
    3. 魚卵・しらこ:03類(素材) vs 16.04(キャビア/調製品)
      • どこで分かれるか:キャビアおよび“そのまま食するのに適した”魚卵・しらこは16.04へ。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:味付け有無、塩分/調味、容器・表示(ready-to-eat)、販売実態。
      • 典型的な誤り:「魚卵だから03類」と短絡し、16.04の除外を見落とす。
    4. 03.06/03.07/03.08(原材料的な魚介) vs 16.05(甲殻類・軟体動物等の調製品)
      • どこで分かれるか:単なる蒸し/水煮の殻付き甲殻類は03.06に残り得る、開殻の熱衝撃も“調理とみなさない”整理。味付け・調理は16類へ。 (税関総合情報)
      • 判断に必要な情報:殻の有無、加熱の態様(蒸し/水煮か)、調味・ソース有無、レトルト殺菌等の有無。
      • 典型的な誤り:加熱=即16類とする(例外条件を無視)。
    5. 粉・ミール・ペレット:03.09(食用) vs 23.01(飼料等)
      • どこで分かれるか:食用不適は23.01、食用は03.09。さらに03.05〜03.08には食用品の粉等は入らない。 (世界関税機関)
      • 判断に必要な情報:食品規格(食用)、用途(ヒト用/飼料用)、表示・成分規格、製造管理。
      • 典型的な誤り:魚粉=飼料と決めつけ、食品用途の粉末(だし粉等)を23.01へ。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • この部(第I部)では、見出しに特定の属・種が書かれている場合でも、原則として“その若齢個体(young)”も含む扱いです。 (世界関税機関)
    • “乾燥(dried)”は、脱水・蒸発・フリーズドライも含む(=乾燥方法が違うだけで別見出しに飛ばない、という実務上の安心材料)。 (世界関税機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 乾燥なまこ(フリーズドライ含む)を「乾燥ではない」と誤認して別章に飛ばすリスクを下げます(ただし“調製品”になっていないかは別途確認)。 (世界関税機関)
    • うなぎ(Anguilla spp.)の稚魚など、若齢個体を“別扱い”にしない整理に役立ちます。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 乾燥の定義で03類内に留まる場合が多い一方、“調製”の有無で第16類へ飛ぶのは部注ではなく実務的判断(工程・添加物)側です。 (税関総合情報)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 03類に入らないもの(除外)が明示:海獣(哺乳類)、その肉、死んで食用不適の魚介、食用不適の粉・ミール・ペレット、キャビア類。 (世界関税機関)
    • 「ペレット」の定義:圧縮、または少量の結合剤添加で固めたもの。 (世界関税機関)
    • 03.05〜03.08には、食用の粉・ミール・ペレットは含まれず、03.09へ。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • ペレット(03類注2)= “agglomerated(固めた)”製品の定義。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • キャビア・キャビア代用物(魚卵から調製)→ 16.04 (世界関税機関)
    • 食用不適の魚介(死体等)→ 第5類、食用不適の粉・ミール・ペレット → 23.01 (世界関税機関)
    • 海獣(哺乳類)→ 01.06、海獣肉 → 02.08/02.10 (世界関税機関)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:粉・ミール・ペレット(食用)を03.09へ強制的に寄せる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 形状(粉/ミール/ペレット)、食用仕様(食品として流通するか)、製造工程(加熱の有無含む) (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 製品仕様書、成分表、用途表示(食品/飼料)、工程図、商品ラベル(喫食方法)、品質規格。
    • 誤分類の典型:
      • 旧来の感覚で03.05〜03.08の残余号に入れる/魚粉は一律23.01と決めつける。 (世界関税機関)
  • 影響ポイント2:“食用不適”は第5類/23.01へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 食用適否(品質・状態)、用途(釣餌・肥料・飼料等)、契約書・インボイスの用途記載。 (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途証明(購買仕様)、品質検査成績、SDS相当(必要な場合)、写真。
    • 誤分類の典型:
      • “魚介だから03類”で押し切る(類注の除外を無視)。 (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:キャビア等の除外(16.04)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 「魚卵の素材」か「キャビア/そのまま食べられる調製品」か(味付け・加工・喫食可能性)。 (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、レシピ/配合、商品表示、製造工程。
    • 誤分類の典型:

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:冷凍フィレを「冷凍魚(03.03)」で申告
    • なぜ起きる:品名が“frozen fish”で、形状(fillet)を見落とす。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):03.02/03.03は「03.04のフィレ等を除く」と明示。 (世界関税機関)
    • 予防策:写真・規格書(フィレ/切身/ミンチ)を必ず回収し、社内で「骨付きか/フィレ加工の有無」を確認。
  2. 間違い:冷蔵品を冷凍として申告(または逆)
    • なぜ起きる:“chilled/frozen”の温度帯の理解が曖昧。
    • 正しい考え方:解説で冷蔵・冷凍の定義(凍結点以下で全体凍結か等)が整理。 (税関総合情報)
    • 予防策:温度記録(ロガー)、保管条件、インボイス記載(Chilled/Frozen)を照合。
  3. 間違い:衣付け魚(batter/breadcrumb)を03類へ
    • なぜ起きる:原材料が魚であることに引っ張られる。
    • 正しい考え方:03類にない方法(衣付け等)で調製したものは16類へ、という整理がある。 (税関総合情報)
    • 予防策:配合表・工程(衣付け/フライ前処理)を確認し、試作品段階で分類レビュー。
  4. 間違い:魚卵(いくら等)を03類で申告
    • なぜ起きる:“roe=03類”の思い込み。
    • 正しい考え方:キャビア・調製魚卵は16.04へ除外。 (世界関税機関)
    • 予防策:「そのまま食べられる味付け済みか?」を社内質問に入れる(ラベル/成分表を必須回収)。
  5. 間違い:粉・ミール・ペレット(食用)を03.05〜03.08側に入れる
    • なぜ起きる:旧版の感覚や「乾燥品だから03.05」思考。
    • 正しい考え方:03.05〜03.08は食用粉等を含まず03.09へ(類注3)。 (世界関税機関)
    • 予防策:形状・用途(食品/飼料)を確認し、HS2022改正点(03.09新設)を社内分類メモに固定。
  6. 間違い:殻付きで単に蒸し/水煮したカニを16類へ飛ばす
    • なぜ起きる:「加熱=調理=16類」と短絡。
    • 正しい考え方:単に蒸し/水煮した殻付き甲殻類は03.06等に残る扱いが示される(例外)。 (税関総合情報)
    • 予防策:加熱の態様(蒸し/水煮か、味付け有無)を工程表で確認。
  7. 間違い:開殻のための熱湯処理(heat shock)を“調理済み”と誤認
    • なぜ起きる:加熱工程があるとすぐ調理扱いにしてしまう。
    • 正しい考え方:開殻や安定化のための熱衝撃のみは“調理したものとみなされない”整理。 (税関総合情報)
    • 予防策:目的(開殻/安定化)と処理条件(秒数等)を確認し、味付け・加熱調理と区別。
  8. 間違い:MAP包装(ガス置換包装)=調製品として16類へ
    • なぜ起きる:包装形態だけで加工度を判断。
    • 正しい考え方:MAP包装された生鮮/冷蔵魚介も03類に属し得る整理。 (税関総合情報)
    • 予防策:包装の目的(鮮度保持)と処理内容(味付け等なし)を確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS(6桁)がズレると、PSRの条文自体が変わり、原産性判断(CTC/RVC/加工工程要件)が崩れます。 (税関総合情報)
  • よくある落とし穴:
    • 材料側HS(非原産材料)と最終製品HSの混同
    • 03.02/03.03と03.04の取り違えで、PSRが別物になる
    • 03.09(食用粉等)を見落としてPSRを誤選択 (世界関税機関)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • まず大原則:PSRが採用しているHSの版はEPA/FTAごとに異なります(HS2002/2007/2012/2017等)。 (税関総合情報)
  • 例(一次情報で明示が確認できるもの):
  • HS2022とズレる場合の注意(一般論)
    • 通関申告のHSは各国が採用する現行版(日本では現行関税率表体系)に従う一方、PSRは協定が参照するHS版で読まないといけないケースが出ます。 (税関総合情報)
    • そのため、実務では「協定側PSRをHS2022へ“トランスポーズ(対応付け)した表”」を使います。RCEPでは、HS2022へトランスポーズしたPSRに基づき、原産地証明で示すHSコード・原産判定基準を記載する旨の注意が示されています。 (外務省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 旧HS(例:HS2012)でPSRを特定 → 公式のトランスポーズ資料/相関表でHS2022へ対応付け → その対応付けの根拠(相関表・社内メモ)を保存、という順にすると監査耐性が上がります。 (税関総合情報)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限必要:
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS(できれば6桁)、RVC計算前提(FOB/EXW等)。 (経済産業省)
  • 水産物で追加で効きやすい論点(一般論):
    • 漁獲・養殖・加工のどの段階で「原産」と言えるかは協定本文定義(全部原産・加工基準)に依存します。漁獲場所(公海/領海等)、船舶要件、加工場所(陸上/船上)など、事実関係を証憑で固めるのが重要です。 (経済産業省)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 産地証明、漁獲証明(該当時)、製造記録、請求書、運送書類、原産品申告の根拠一式を協定・国内制度に従い保存。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

(主にHS2017→HS2022の差分。相関表に基づく要約です。) (税関総合情報)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022新設+範囲変更03.09(新設)食用の粉・ミール・ペレットを独立見出し化食用粉末・ペレットの落とし先が明確化。誤ると03.05〜03.08や23.01と混同しやすい
HS2017→HS2022移動(再分類)0305.10 → 0309.10魚の粉・ミール・ペレット(食用)が03.05配下から03.09へ旧コード運用のままだとズレる(契約・マスタ更新必須)
HS2017→HS2022範囲変更03.06/03.07/03.08新設03.09により、食用粉等をこれら見出しから整理03.06/03.07/03.08残余へ入れていた粉末を見直す必要
HS2017→HS2022分割/再編0307.2(ホタテ等)ホタテ・ペクチン科(Pectinidae)のサブヘディング体系を拡充「ホタテ類」の分類の当たり先がより明確化。旧分類の見直しに影響

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
    • WCO公表のHS2022条文(第3類注、03.09の新設等) (世界関税機関)
    • WCO相関表(HS2017→HS2022):03.09新設、0305.10→0309.10、0307.2再編等が示されています。 (世界関税機関)
    • 日本税関の品目解説(第3類):03.09への注意喚起、03類と16類の区分(例外含む)が実務的に整理されています。 (税関総合情報)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • HS2022条文で、03類注3として「03.05〜03.08は食用粉・ミール・ペレットを含まず03.09へ」という構造が明文化されています。 (世界関税機関)
    • 相関表で、HS2017側の0305.10等からHS2022側の0309.10/0309.90への対応が示され、さらに03.06〜03.08の範囲変更が“03.09新設の結果”として説明されています。 (税関総合情報)
    • 日本税関解説でも、加熱調理物が16類へ行く一方で例外(殻付き甲殻類の蒸し/水煮、開殻の熱衝撃等)や、粉・ミール・ペレットが03.09に属する点が明記され、実務判断の根拠になります。 (税関総合情報)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

注:本節は「可能な範囲で」の整理です。HS2007→2012、HS2012→2017については、本回答の作成時点で一次情報(WCO相関表)を追加突合できていないため、断定せず“要確認”として提示します。実務ではWCO相関表(該当版同士)や各国税関の相関表で確認してください。 (世界関税機関)

版間主要な追加・削除・再編(把握できた範囲)旧コード→新コード(例)コメント
HS2007→HS2012要確認(本回答では一次情報突合未了)WCO相関表で3類のサブヘディング再編有無を確認推奨
HS2012→HS2017要確認(本回答では一次情報突合未了)同上
HS2017→HS202203.09新設/0305.10等の移動/0307.2再編0305.10→0309.10 等03.09の有無でマスタ・PSR対応が変わる (税関総合情報)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「衣付き冷凍白身魚フィレ」を03.04で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):03類の範囲(列挙方法)を超える調製(衣付け)を見落とし、16類相当を03類で申告。 (税関総合情報)
    • 起きやすい状況:商品名に“fish fillet”しか書かれず、成分表を回収していない。
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、冷凍保管費・遅延。
    • 予防策:配合表・工程表を必須資料にし、試作段階で分類レビュー。
  • 事例名:味付け魚卵(瓶詰)を03類で申告
    • 誤りの内容:キャビア/調製魚卵(16.04)除外を無視。 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:HSマスタが“魚卵=03類”で固定。
    • 典型的な影響:分類更正、関税率・原産地判定のやり直し。
    • 予防策:「そのまま喫食可」「調味・熟成」などの表示有無をチェック項目化。
  • 事例名:食用魚粉(だし粉)を23.01(飼料等)で申告
    • 誤りの内容:食用粉末は03.09、食用不適のみ23.01という整理を無視。 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:“fish meal”という英語表記だけで判断。
    • 典型的な影響:食品としての届出・規制チェックも連鎖してズレ、差戻し・遅延。
    • 予防策:用途(食品/飼料)を契約・仕様で明確化し、ラベル・規格書を回収。
  • 事例名:MAP包装の生鮮魚を“調製品”扱いで16類へ
    • 誤りの内容:MAP包装は鮮度保持の包装であり得る点を無視。 (税関総合情報)
    • 起きやすい状況:包装形態だけで加工度を判断。
    • 典型的な影響:分類差し戻し、検査、納期遅延。
    • 予防策:包装仕様書(ガス置換の目的)を添付資料にする。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法に基づく輸入手続:水産物を含む食品等は、原則として検疫所での手続(輸入届出等)と検査対象になり得ます。 (厚生労働省)
    • 水産動物の輸入防疫(対象は個別指定):観賞用・養殖用など“生きた水産動物”で、法令上の検査対象となる場合があります(担当窓口・手続は案内に従う)。 (農林水産省)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • CITES対象種の輸入は、輸出国政府の輸出許可書に加え、原則として日本側の輸入承認(所管:経産省)等が必要で、税関申告時に提出・確認が必要です。 (税関総合情報)
  • その他の許認可・届出
    • 外来生物法(特定外来生物等):指定種の輸入は原則禁止または制限があり、種類名証明書の提出、通関場所の制限などが案内されています(生きた魚介の輸入で特に注意)。 (税関総合情報)
    • IUU対策等(漁獲証明が要る場合):指定された水産動植物について、輸入時に漁獲証明書等を求める制度が運用されています(該当品目は制度側で確認)。 (農林水産省 競技団体公式サイト)
    • 輸入関連法令リスト(税関):品目によっては割当・承認・確認等の対象があり得るため、該当HSで税関のリストを参照して当たりを付けます。 (税関総合情報)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 製品仕様書(状態・加工度)、写真、成分表、工程図、学名(種規制があり得る場合)、食品表示案、輸入届出関連資料、必要に応じ許可・証明書(CITES、漁獲証明、種類名証明書等)。 (税関総合情報)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生物群(魚/甲殻/軟体/その他)、学名(可能なら)、状態(live/chilled/frozen/dried/salted/smoked)、形状(丸魚/フィレ/魚肉)、加工工程(加熱・味付け・衣付け等)、用途(食品/飼料/観賞/ふ化)。 (世界関税機関)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 03類注1(除外:キャビア、食用不適等)に触れていないか
    • 03類注3(食用粉等→03.09)を満たしているか
    • 03類と16類の境界(調製品化していないか) (世界関税機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「状態」「形状」「種」を入れる(例:Frozen tuna, whole / Frozen cod fillets)
    • 単位(KG/NO等)と数量が関税率表の要求に合うか(国内コードは要確認) (かんぜい.org)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012等)を確認し、必要ならトランスポーズPSRで読み替え
    • BOM・原価・工程記録の保存 (税関総合情報)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生(輸入届出・検査)
    • 生体の水産動物検査(該当時)
    • CITES(該当種)
    • 外来生物法(生体・指定種)
    • 漁獲証明制度(該当時) (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

※Web参照日:2026-02-13


付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 国内コード(日本の統計品目番号等)はHS6桁をさらに細分します。HS(6桁)と国内コードは別物なので、契約・通関マスタでは必ず分けて管理してください。 (かんぜい.org)
  • 単位(数量単位)は品目により異なります(例:生体は「尾(NO)」+「重量(KG)」併記が出ることがあります)。
    • 例:03.01(観賞用淡水魚)では、国内コードの行末に NO KG が表示される(尾数と重量の両方で管理する想定)。 (かんぜい.org)
    • 一方、多くの魚介(生鮮・冷凍・フィレ等)は基本的に KG 表示が中心です(コードにより確認)。 (かんぜい.org)
  • 実務メモ:
    • インボイス/パッキングリストの数量単位(尾数・重量)と、関税率表で求める単位がズレると差戻し・修正が起きやすいので、最初に単位を確定させるとスムーズです。 (かんぜい.org)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 早く相談を進めるコツ(一般論)
    • 製品仕様書(状態・加工度・形状)、写真、工程図、成分表、学名(可能なら)を1セットにして、分類の“分岐点”がどこかを自社で仮説化して持ち込む。
    • 03類は「03類と16類の境界」「03.02/03.03と03.04の境界」「03.09の新設後の扱い」が争点になりやすいので、そこに刺さる資料を優先収集。 (税関総合情報)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第1類:生きた動物(Live animals)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 生きている馬(0101)、牛(0102)、豚(0103)、羊・山羊(0104) (wcoomd.org)
    • 生きている家きん(鶏・あひる・がちょう・七面鳥・ほろほろ鳥)(0105) (wcoomd.org)
    • その他の生きた動物(0106):霊長類、ラクダ、うさぎ、爬虫類、鳥類、**みつばち(0106.41)やその他昆虫(0106.49)**など (wcoomd.org)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 生きている魚・甲殻類・軟体動物・その他水棲無脊椎動物 → 第3類(例:0301、0306、0307、0308) (wcoomd.org)
    • 微生物の培養物など → 第30類 3002 (wcoomd.org)
    • 巡回サーカス・巡回動物園(移動動物園)に属する動物 → 第95類 9508 (wcoomd.org)
    • (実務で頻出の“そもそも生体ではない”例)肉(第2類)、動物の精液等(第5類など)、死体(第5類 0511 など)※ここは類注ではなく一般分類の注意点です。
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「生きている」か(生体):生体でなければ第1類ではありません。
    2. 生体でも 水棲(魚介類等)か否か:水棲は原則第3類へ。 (wcoomd.org)
    3. (該当する場合)**純粋種の繁殖用(pure-bred breeding)**か、豚の重量(50kg境界)家きんの185g境界で6桁が変わります。 (wcoomd.org)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 動物検疫(MAFF 動物検疫所)や輸入停止措置が絡む取引(家畜・家きん等)。手続・証明書不備と相まって、通関遅延や積戻しリスクが上がります。 (農林水産省)
    • CITES(ワシントン条約)対象種特定外来生物が絡む取引(許可・承認・持込可否に影響)。 (経済産業省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など):
    • **GIR1(見出しと注で決める)**が中心です。第1類は「どの動物群か」が見出し(項・号)に直結します。 (wcoomd.org)
    • **GIR6(6桁の分岐)**で、純粋種(繁殖用)・重量区分(豚)・185g区分(家きん)などを当てはめます。 (wcoomd.org)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 第1類は「材質」よりも、生体であること/分類対象が“動物そのもの”かが最優先です。
    • “用途”は通常は二次的ですが、**pure-bred breeding animals(純粋種繁殖用)**のように用途(繁殖用)と裏付け(血統・証明)がコードに影響する例があります。 (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「動物そのもの」か?(飼料・器具・精液・胚・肉などではないか)
  • Step2:生体か?(生体ならStep3へ/生体でないなら第1類から外れる可能性が高い)
  • Step3:生体なら、魚介類等の水棲無脊椎・魚類に該当しないかを確認
    • 該当するなら第3類(0301/0306/0307/0308)へ。 (wcoomd.org)
  • Step4:水棲除外に該当しない生体なら、動物群で項(4桁)を決定(0101〜0106)
  • Step5:号(6桁)で分岐(純粋種/重量/185g/動物群の細分類)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第1類 vs 第3類:「生体の魚介類」(第3類)か、それ以外の生体動物(第1類)か。 (wcoomd.org)
    • 第1類 vs 第95類:移動サーカス・移動動物園の動物は第1類から除外され得る点。 (wcoomd.org)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

(第1類は4桁見出しが少ないため全列挙します。) (wcoomd.org)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0101生きている馬・ろば・らば・ヒニー競走馬、乗馬、繁殖馬、ろば、らば6桁で「馬(純粋種/その他)」「ろば」「その他(らば等)」に分岐。 (wcoomd.org)
0102生きている牛(bovine)乳用牛、肉用牛、繁殖牛、水牛6桁で「cattle」「buffalo」「その他の牛科」に分岐。純粋種(繁殖用)区分あり。 (wcoomd.org)
0103生きている豚種豚、子豚、肥育豚6桁で「純粋種繁殖用」or「その他」+その他は50kg境界で分岐。 (wcoomd.org)
0104生きている羊・山羊羊、山羊6桁は羊/山羊で分岐(シンプル)。 (wcoomd.org)
0105生きている家きん(鶏等)初生ひな、採卵鶏、ブロイラー、あひる、がちょう6桁で**185g以下(初生ひな相当)**とその他に大別。種類(鶏/七面鳥/あひる等)で分岐。 (wcoomd.org)
0106その他の生きた動物犬猫、サル、ラクダ、うさぎ、ヘビ、インコ、ダチョウ、みつばち、その他昆虫哺乳類/爬虫類/鳥類/昆虫/その他に分岐。**みつばち(0106.41)**など昆虫は専用号あり。 (wcoomd.org)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で効きやすいもの)
    • 純粋種の繁殖用(Pure-bred breeding animals)か否か(0101/0102/0103.10など) (wcoomd.org)
    • 重量(豚:50kg未満/以上) (wcoomd.org)
    • 雛の重量(家きん:185g以下/その他) (wcoomd.org)
    • 動物群(種・科・用途ではなく“見出しの範囲”)(例:牛= cattle / buffalo / other) (wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 0103.91(50kg未満) vs 0103.92(50kg以上)
      • どこで分かれるか:輸入時点の個体重量(閾値50kg) (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:出荷時体重表、輸送書類、獣医証明(体重記載があれば)、到着時計量記録
      • 典型的な誤り:平均体重で一括申告/実測の裏付けなし
    2. 0105(185g以下)グループ vs 0105(その他)グループ
      • どこで分かれるか:185g以下(初生ひな相当)かどうか (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:孵化日(day-oldか)、梱包形態、出荷証明(重量レンジ)、品種(鶏/あひる等)
      • 典型的な誤り:「初生ひな」と品名にあるのに0105.94/0105.99側で申告(逆もあり)
    3. “Pure-bred breeding animals”系(例:0101.21/0101.29、0102.21/0102.29、0103.10/0103.91・92)
      • どこで分かれるか:純粋種としての血統・登録繁殖用の裏付け (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:血統書、登録証、輸出国当局/公認機関の証明、売買契約(用途)、(日本の場合)税関が求める証明要件の確認
      • 典型的な誤り:「繁殖用だから純粋種」と自己判断(証明がない)
    4. 0106.41(みつばち)/0106.49(その他昆虫)/0106.90(その他)
      • どこで分かれるか:対象が昆虫か、昆虫ならみつばちか (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:学名(属・種)、用途(受粉用等)、数量・梱包、検疫要否
      • 典型的な誤り:昆虫を一括して0106.90「その他」へ寄せる

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 部注(Section I)には、**「動物の若齢(幼獣・雛)も当該動物として扱う」**という趣旨の規定があります(文脈上不要な場合を除く)。 (wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:子牛は0102、子豚は0103、は0105/0106(鳥類)という“動物群”の考え方がブレません。
      ただし、子豚は50kg境界、家きん雛は185g境界など、若齢ゆえに6桁分岐が重要になります。 (wcoomd.org)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第1類は「生体」が前提なので、加工・状態(乾燥等)で他章に飛ぶより、“そもそも生体でない”“水棲動物”・**“サーカス等の一体取扱い”**で他章になるケースが中心です(次の類注参照)。 (wcoomd.org)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第1類は原則「すべての生きた動物」を含みますが、次は明確に除外されます:
      1. 魚介類等(0301/0306/0307/0308)、2) 微生物培養物等(3002)、3) 9508の動物(移動サーカス等) (wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 第1類の注そのものは定義より“除外”が中心です(実務上は各号の表現=動物群が定義的に働きます)。 (wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 魚・甲殻類・軟体動物・その他水棲無脊椎動物 → 第3類(0301/0306/0307/0308) (wcoomd.org)
    • 微生物の培養物等 → 第30類 3002 (wcoomd.org)
    • 移動サーカス等の動物 → 第95類 9508 (wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:水棲(第3類)へのジャンプ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 対象が魚類か、甲殻類/軟体動物/その他水棲無脊椎か(学名・分類群)
      • 生体の状態(生きたまま輸送か)
    • 現場で集める証憑:
      • 学名入り仕様書・カタログ、輸出国の検疫/衛生証明、写真(形態が分かるもの)
    • 誤分類の典型:
      • 生きたエビ・カニ・貝を「その他の生きた動物(0106)」に入れてしまう(実際は第3類へ)。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント2:移動サーカス等(9508)へのジャンプ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 取引実態が「動物単体」か「巡回サーカス/巡回動物園としての一体(ショー・興行)取扱い」か
    • 現場で集める証憑:
      • 契約書(興行・展示の契約形態)、インボイス記載(“travelling circus/menagerie” 等)、輸送単位(機材一式か)
    • 誤分類の典型:
      • “サーカス用の動物”を単体物品として0106にしてしまい、9508の射程を検討しない。 (wcoomd.org)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:生体なのに「肉(第2類)」や「食用内臓」系で検討してしまう
    • なぜ起きる:品名に「食用」「食肉用」など用途が入っている
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第1類は“生体”が対象。用途ではなく状態(生きているか)を先に確定します。 (wcoomd.org)
    • 予防策:写真(生体輸送形態)、獣医証明、輸送温度帯(生体輸送か)を収集
  2. 間違い:生きた魚介類を0106(その他の生きた動物)に入れる
    • なぜ起きる:「魚以外なら0106」と短絡する
    • 正しい考え方:類注で魚介類等は第3類に除外(0301/0306/0307/0308)。 (wcoomd.org)
    • 予防策:学名・分類群の確認、社内で「水棲無脊椎か?」を必ず質問
  3. 間違い:豚の0103.91/0103.92を体重確認なしで決める
    • なぜ起きる:出荷ロットが均一だと思い込む/体重証憑を取っていない
    • 正しい考え方:0103は50kg境界で6桁が明確に分岐。 (wcoomd.org)
    • 予防策:出荷時体重リスト・到着時計量の運用を標準化
  4. 間違い:家きんの雛(初生ひな相当)を0105の「その他」側で申告
    • なぜ起きる:「雛=鶏」だけで0105.94に寄せる
    • 正しい考え方:0105はまず185g以下かどうかで分岐し、さらに種類で分岐。 (wcoomd.org)
    • 予防策:孵化日、梱包単位、重量レンジの記録を入手
  5. 間違い:みつばちを0106.90「その他」にしてしまう
    • なぜ起きる:昆虫の号(0106.41/0106.49)を知らない
    • 正しい考え方:昆虫は専用の号があり、みつばちは0106.41。 (wcoomd.org)
    • 予防策:対象が昆虫かを最初に判定し、学名で確定
  6. 間違い:「純粋種繁殖用」と称して0101/0102/0103.10に入れるが、証明が弱い
    • なぜ起きる:用途(繁殖)だけで判断
    • 正しい考え方:HSの文言は“Pure-bred breeding animals”。実務では血統・登録などの裏付けが重要(国により要求資料が異なり得ます)。 (wcoomd.org)
    • 予防策:血統書・登録証・輸出国当局の証明、契約用途をセットで準備(必要に応じ税関相談)
  7. 間違い:動物そのものではなく「微生物培養物」等を第1類で検討
    • なぜ起きる:輸入形態が“生きている”ので混同
    • 正しい考え方:類注で微生物培養物等は3002に除外。 (wcoomd.org)
    • 予防策:対象が動物(多細胞生物)か、微生物製剤かを研究部門に確認
  8. 間違い:HS分類は合っているが、検疫・届出(行政手続)要否を見落とす
    • なぜ起きる:分類と規制を別部署が別管理している
    • 正しい考え方:日本では家畜・家きん・犬猫等はMAFF動物検疫所の枠組みで手続が必要になり得ます。また、別枠で厚労省検疫所の「動物の輸入届出制度」対象動物もあります。 (農林水産省)
    • 予防策:分類確定後に「動物検疫」「CITES」「外来生物法」「感染症系届出」のチェックリストを必ず回す

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 第1類は「生体」で、製造工程よりも**出生・飼養(肥育)**の事実が原産性に直結しやすい領域です。HSを誤ると、参照すべきPSR(またはWO判定)がズレます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 生体動物は「材料→製品」の転換が起きにくいため、PSRが**WO(完全生産)**系の場合、必要証憑(出生・飼養記録)が揃わないと原産主張ができません(一般論)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • (本回答は参照協定が未指定のため一般論です)EPA/FTAでは、協定本文・譲許表・PSRが“特定のHS版”に基づいていることがあります。例えば、TPP/(CPTPPの基礎となった)文書の一部ではHS2012と明記された譲許表が用いられています。 (United States Trade Representative)
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 国内申告はHS2022で行っていても、協定側が旧HS版参照の場合、**旧→新の対応(トランスポジション)**が必要です。日本でも、国内のHS改正と協定運用HS版がズレるケースがある旨が案内されています。 (日本商工会議所)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定の附属書で参照HS版を確認 → ②旧HSでPSR条文を特定 → ③相関表でHS2022コードに対応付け → ④最終的に「協定上の品目」と「申告コード」の整合を社内記録化、が実務的です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 生体動物の場合は、BOMよりも 出生地証明・飼養(肥育)履歴・移動履歴が重要になりがちです(協定ルール次第)。
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 出生証明、飼養管理記録、獣医証明、取引契約(用途)などを、協定の保存要件に合わせて保管します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくともHS6桁レベル)Chapter 01(0101〜0106)WCO相関表(2017↔2022)の改正対象リストにChapter 01の掲載がなく、HS6桁の新設・削除・分割等が確認されませんHS6桁レベルでは分類体系は継続。※国内コード(8/9桁)は国ごとに改正あり得るため要確認

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断内容:
    • WCOが公表するHS相関表(HS2017→HS2022)は、改正のあったコードの対応を列挙する形式ですが、当該表(Table II)にChapter 01(第1類)のコードが登場しません。このため、HS6桁の観点では第1類に改正(新設・削除・分割・統合等)がないと判断できます。 (wcoomd.org)
    • 併せて、HS2022の法文(第1類の見出し・注)を確認しても、体系はHS2012以降と同型です(次章でHS2007との差分を整理)。 (wcoomd.org)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

(ここではHS6桁の主要な再編に絞ります。国内コードの追加・削除は別途「国内コード」として確認してください。)

期間主要な追加・削除・再編(HS6桁)旧コード→新コード(例)補足(実務への示唆)
HS2007→HS20120101が細分化(馬の純粋種/その他、ろば、らば等を明確化)0101.10/0101.90 → 0101.21/0101.29/0101.30/0101.90「どの動物か」をより明確に統計把握する方向。 (wcoomd.org)
HS2007→HS20120102が細分化(cattleとbuffaloを分離)0102.10/0102.90 → 0102.21/0102.29/0102.31/0102.39/0102.90水牛等の区分が明確化。 (wcoomd.org)
HS2007→HS20120105(雛の一部)細分化(あひる/がちょう/ほろほろ鳥等)0105.19 → 0105.13/0105.14/0105.15(等)“185g以下”でも鳥種で分かれる。 (wcoomd.org)
HS2007→HS20120106の拡充(海獣の範囲拡大、新号新設:ラクダ、うさぎ、昆虫など)0106.12(範囲拡大)、0106.13/0106.14/0106.41/0106.49 新設0106は「その他」の受け皿だが、統計目的で細分が増えた。 (wcoomd.org)
HS2012→HS2017変更なし(第1類の相関表改正対象なし)HS6桁は継続。 (税関ウェブサイト)
HS2017→HS2022変更なし(第1類の相関表改正対象なし)HS6桁は継続。 (wcoomd.org)

※類注(除外先)の表記も、HS2007では03.08が存在しないため除外列挙が短く、HS2012以降は03.08が加わっています(第1類注の見え方が変わる点として注意)。 (wcoomd.org)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):生きたエビを0106で申告してしまった
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第1類注で、水棲無脊椎(03.06等)が除外される点の見落とし (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:品名が「live animal」程度で、学名・分類群情報がない
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、検疫・規制手続の手戻りによる遅延(一般論)
    • 予防策:学名・分類群を仕様書に必須化、写真添付、社内QAで「水棲か?」を必ず確認
  • 事例名:初生ひな(185g以下)を“その他家きん”で申告
    • 誤りの内容:0105の6桁分岐(185g以下/その他)を取り違え (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:インボイスが「chicks」だけで、孵化日・重量が書かれていない
    • 典型的な影響:統計・税率・国内コード要件のズレ、書類差戻し(一般論)
    • 予防策:孵化日、重量レンジ、梱包単位をインボイス補足欄に追記
  • 事例名:みつばちを0106.90「その他」で申告
    • 誤りの内容:0106.41(bees)の存在を見落とし (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:受粉用の昆虫全般をまとめて処理
    • 典型的な影響:統計・規制確認(外来生物等)のチェック漏れ、修正対応(一般論)
    • 予防策:昆虫は0106.41/0106.49を先に検討、学名(Apis mellifera等)を確認
  • 事例名:移動サーカスの動物を“単体の生体動物”として申告
    • 誤りの内容:第1類注で9508の動物が除外される点の見落とし (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:興行契約・機材一式の輸入なのに、動物だけ切り出して申告
    • 典型的な影響:分類更正、通関遅延(一般論)
    • 予防策:取引実態(興行一体か)を契約書で確認、必要なら税関相談

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 動物検疫(MAFF 動物検疫所):家畜等の輸入には、輸出国政府機関(検疫機関)の検査合格・証明書添付が必要となる旨が案内されています(家畜衛生条件に基づく)。 (農林水産省)
      • 犬・猫:狂犬病関連の要件(抗体検査等)を含む手続が定められており、動物検疫所ページで案内されています。 (農林水産省)
      • 生きた家きん:鳥インフルエンザ発生等に伴う輸入停止・解除の情報が動物検疫所で更新されます(変動リスクが高い)。 (農林水産省)
      • 追加で留意:税関も動物検疫が必要な物品例を案内しています(一般的な確認導線)。 (税関ウェブサイト)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • CITES対象の動植物等は、輸出国側のCITES書類に加え、日本側での輸入承認手続が必要となる旨が経産省(METI)で案内されています。 (経済産業省)
      • 取引種の所管・手続はケースで異なり得るため、CITES該当性(附属書)と所管窓口の確認が必要です(例示的説明)。 (ジェトロ)
    • その他の許認可・届出
      • 外来生物法(特定外来生物):特定外来生物は輸入等が原則禁止で、環境省および税関が注意喚起しています。 (環境省)
      • 厚労省の「動物の輸入届出制度」:届出対象動物(および死体)を輸入する際に検疫所への届出が必要である旨が案内されています(動物検疫所対象と別枠で並走し得る点が実務の落とし穴)。 (厚生労働省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 学名・写真・仕様書(対象同定)
    • 輸出国政府機関の健康/検査証明(必要な場合) (農林水産省)
    • CITES書類(該当する場合) (経済産業省)
    • 外来生物法の該当性確認資料(該当疑いがある場合) (環境省)
    • (HSの分岐に必要)体重記録、孵化日、血統・登録証など

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生体か否か(写真・輸送形態)
    • 学名(属・種)/動物群(cattle/buffalo等)
    • 体重(豚)、雛の重量・孵化日(家きん)
    • 純粋種繁殖用の証明(該当する場合)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第1類注の除外(第3類、3002、9508)に当たらないか (wcoomd.org)
    • 0106で“その他”に寄せていないか(昆虫・海獣等の専用号の有無)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「live」「学名」「数量」「体重/孵化日」等の補足
    • 検疫・許可で求められる原本/写しの手当て
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(HS2012等)を確認し、HS2022との差分があれば相関表で対応 (日本商工会議所)
    • 生体は出生・飼養履歴の証憑を整備
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO “HS Nomenclature 2022 Edition” Section I Notes(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
    • WCO HS2022 Chapter 1 “Live animals”(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2017–HS2022(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
  • 日本 税関・公的機関のガイド
    • 農林水産省 動物検疫所「動物の輸出入」(参照日:2026-02-12) (農林水産省)
    • 農林水産省 動物検疫所「犬、猫の日本への入国(輸入)」等(参照日:2026-02-12) (農林水産省)
    • 農林水産省 動物検疫所「生きた家きん等の輸入停止情報」(参照日:2026-02-12) (農林水産省)
    • 経済産業省(METI)「ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き」(参照日:2026-02-12) (経済産業省)
    • 環境省「外来生物法(概要・規制)」(参照日:2026-02-12) (環境省)
    • 税関「特定外来生物」(参照日:2026-02-12) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省「動物の輸入届出制度」(参照日:2026-02-12) (厚生労働省)
  • 相関表・HS改正関連
    • 日本税関(WCO著作権表記の相関表)HS2012–HS2007 相関(参照日:2026-02-12) (税関ウェブサイト)
    • WCO HS2007 Chapter 1 “Live animals”(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
    • WCO HS2012 Chapter 1 “Live animals”(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
  • FTA/EPA(HS版ズレの一般論)
    • 日本商工会議所(JCCI)「経済連携協定に基づくHSコード取扱い(HS版のズレ注意)」(参照日:2026-02-12) (日本商工会議所)
    • USTR(TPP関連資料:Tariff Schedule “HS2012”表記の例)(参照日:2026-02-12) (United States Trade Representative)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第2類:肉及び食用のくず肉(Meat and edible meat offal)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • **人の食用に不適(unfit/unsuitable)**な肉・くず肉(02.01〜02.08/02.10に該当する種類でも)→ 例:**23.01(人用不適の肉粉等)**などへ(実態により分岐) (世界税関機構)
    • 食用の昆虫(死んでいるもの)04.10(第4類) (世界税関機構)
    • 腸・膀胱・胃(魚以外)05.04(第5類) (世界税関機構)
    • 動物の血05.11 または 30.02(用途・状態で分岐) (世界税関機構)
    • 02.09以外の動物脂肪(例:溶かして抽出したラード等)→ 第15類(15.01等) (世界税関機構)
    • 「第2類の工程」を超える調製・保存(例:ソーセージ、缶詰、調理済等)→ 第16類 (世界税関機構)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度:生鮮/冷蔵/冷凍・塩蔵/乾燥/燻製(第2類)か、調製・保存(第16類)か (世界税関機構)
    2. 人の食用に適するか(適さない場合は第2類から除外) (世界税関機構)
    3. 脂肪の状態:02.09(未抽出の豚脂・家禽脂)か、第15類(抽出済等)か (世界税関機構)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 肉類は、日本では 動物検疫(MAFF)食品衛生(MHLW) の手続が絡みやすく、誤分類で「必要書類の不足・検査・滞留」になりやすいです。 (農林水産省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIRは GIR1(見出し+注)GIR6(6桁の決定) です。
    • まず「見出しの文言」と「部注・類注」によって大枠(02.01〜02.10)を決め、次に同一項内で6桁を決めます。 (世界税関機構)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要)
    • 畜種(牛/豚/羊山羊/馬等/家禽/その他)
    • 部位(枝肉、骨付き、脱骨、内臓、脂肪など)
    • 状態(温度):生鮮/冷蔵/冷凍
    • 加工(工程):塩蔵、乾燥、燻製、塩水漬け、または「調製・保存」か
    • 人の食用に適するか(適否) (世界税関機構)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「肉/食用くず肉/食用内臓/未抽出の豚脂・家禽脂」か?
    • そうでない(例:昆虫、魚介、乳製品、皮革等)なら別章へ。 (世界税関機構)
  • Step2:加工度は「第2類で想定する工程」か?
    • 生鮮/冷蔵/冷凍(02.01〜02.08)、塩蔵・塩水漬・乾燥・燻製(02.09/02.10)なら第2類候補。 (世界税関機構)
    • ソーセージ、缶詰、調理済等なら第16類を優先検討。 (世界税関機構)
  • Step3:除外(類注)に該当しないか?
    • 人の食用に不適、食用昆虫、腸・胃等、血液、02.09以外の動物脂肪は除外。 (世界税関機構)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第2類は4桁見出し(項)が少ないため 全列挙 します。 (世界税関機構)
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0201牛肉(生鮮・冷蔵)チルド牛ロース、牛枝肉冷凍は0202へ。骨付き/脱骨の区分あり (世界税関機構)
0202牛肉(冷凍)冷凍牛肩ロース、冷凍牛枝肉冷蔵は0201へ (世界税関機構)
0203豚肉(生鮮/冷蔵/冷凍)豚バラ、豚モモ(冷凍含む)塩蔵・燻製等は0210側へ寄る可能性 (世界税関機構)
0204羊/山羊肉(生鮮/冷蔵/冷凍)ラム、マトン、ヤギ肉冷凍/非冷凍で細分あり (世界税関機構)
0205馬等(馬・ロバ・ラバ等)の肉(生鮮/冷蔵/冷凍)馬肉(冷凍含む)4桁内は6桁固定(0205.00) (世界税関機構)
0206食用内臓(牛/豚/羊山羊/馬等)(生鮮/冷蔵/冷凍)牛タン、豚レバー、ハツ腸・胃は05.04へ(0206と混同多) (世界税関機構)
0207家禽(01.05)の肉・食用内臓(生鮮/冷蔵/冷凍)鶏もも、手羽、鴨肉、フォアグラ「切り分け有無」や畜種で細分 (世界税関機構)
0208その他の肉・食用くず肉(生鮮/冷蔵/冷凍)兎肉、爬虫類肉、ラクダ肉等食用昆虫は04.10へ(HS2022で明確化) (世界税関機構)
0209赤身のない豚脂・家禽脂(未抽出、各種状態)背脂、鶏脂(未レンダリング)抽出済(ラード等)は第15類へ (世界税関機構)
0210塩蔵/塩水漬/乾燥/燻製の肉・内臓、食用の肉粉等生ハム、ベーコン、乾燥肉、肉粉「乾燥」は凍結乾燥も含み得る(部注) (世界税関機構)

(表の根拠:WCO HS2022 Chapter 2の見出し構成) (世界税関機構)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 温度状態:fresh/chilled(生鮮/冷蔵)か frozen(冷凍)か → 0201/0202など (世界税関機構)
    • 骨の有無:枝肉・半丸、骨付き、脱骨 → 0201.10/0201.20/0201.30 等 (世界税関機構)
    • 部位:豚のハム・肩(骨付き)等 → 0203.12/0203.22 等 (世界税関機構)
    • 家禽の形状:cut in pieces(切り分け)か否か、フォアグラ(fatty livers)等 → 0207系列 (世界税関機構)
    • 加工の種類:塩蔵・燻製・乾燥 → 0210系列 (世界税関機構)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 0201(牛:生鮮/冷蔵) vs 0202(牛:冷凍)
      • どこで分かれるか:保管・輸送時の温度帯(凍結の有無) (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:インボイス表記だけでなく、温度記録・BL条件・梱包表示
      • 典型的な誤り:「チルド」表記でも実態が凍結 → 税率・統計・原産地で連鎖崩れ
    2. 0203(豚:生鮮/冷蔵/冷凍) vs 0210(塩蔵/乾燥/燻製の肉)
      • どこで分かれるか:「塩蔵・塩水漬・乾燥・燻製」の工程有無 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:製造工程(塩漬条件、乾燥工程、燻煙工程)、製品仕様書
      • 典型的な誤り:ベーコンや生ハムを「冷凍豚肉(0203)」扱い
    3. 0206(食用内臓) vs 05.04(腸・膀胱・胃)
      • どこで分かれるか:部位(内臓全般と、05.04が名指しする部位) (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:部位名、形状写真、用途(ケーシング等)
      • 典型的な誤り:ソーセージ用天然ケーシング(腸)を0206に入れてしまう
    4. 0209(未抽出の豚脂・家禽脂) vs 第15類(1501等:脂肪類)
      • どこで分かれるか:レンダリング(溶かして抽出)等の有無 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:製造工程(加熱溶融・ろ過・分離)、成分・外観
      • 典型的な誤り:ラード(溶融・精製)を0209にしてしまう
    5. 0208.90/0210.99(従来「その他」へ寄りがち) vs 0410.10(食用昆虫)
      • どこで分かれるか:対象が「食用の死んでいる昆虫」かどうか(HS2022で04.10が明確化) (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:原材料が昆虫であること、加工(乾燥/塩蔵等)状態、用途(人用)
      • 典型的な誤り:昆虫パウダーを「その他肉粉(0210.99)」や「その他の肉(0208.90)」に寄せる

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 部注(第I部)で「dried(乾燥)」の範囲が定義され、脱水・蒸発乾燥・凍結乾燥も「乾燥」に含まれ得ます。 (世界税関機構)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:フリーズドライの肉(またはフリーズドライ加工が本質の製品)を扱うとき、「乾燥品」を前提にした項目(例:0210の“dried”系の整理)で検討が必要になります。 (世界税関機構)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「乾燥」かどうかは第2類内の分岐だけでなく、第16類(調製品)側に行くかどうかの議論でも、工程・性状整理の出発点になります(ただし最終判断は見出し+注)。 (世界税関機構)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第2類の注1は、(a) 食用不適品、(b) 食用の死んでいる昆虫、(c) 腸・血、(d) 02.09以外の動物脂肪 を明確に除外しています。 (世界税関機構)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 第2類自体には「昆虫」の定義は置かれていませんが、04.10のために第4類注6で「昆虫(insects)」を定義しています(食用・非生体、全体/部分、一定の状態を含む等)。 (世界税関機構)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:**「人の食用に適するか」**で第2類から落ちる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):用途(人用/飼料用)、衛生状態、検査結果、品質規格
    • 現場で集める証憑:衛生証明書(獣医証明等)、製品規格書、検査成績、ラベル、写真
    • 誤分類の典型:飼料用・廃棄物相当を第2類の「肉粉(0210)」として扱い、実際は 23.01(人用不適の肉粉等) 寄りだった (世界税関機構)
  • 影響ポイント2:食用昆虫が第2類から除外(HS2022で明確化)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):原材料が昆虫か、非生体か、状態(乾燥/冷凍/塩蔵等)、食用か
    • 現場で集める証憑:原材料表、製造工程、写真、規格書
    • 誤分類の典型:以前の運用感のまま「その他肉(0208.90)/その他(0210.99)」に寄せる
      • HS2017→HS2022相関表でも、食用昆虫の分離に伴い 0208.90/0210.99の範囲が影響を受けた旨が示されています。 (税関ポータル)
  • 影響ポイント3:腸・血は第5類等へ
    • 何を見れば判断できるか:部位(腸/膀胱/胃/血)、用途(食品/医療等)、状態
    • 現場で集める証憑:部位証明(カタログ・写真)、用途説明、成分・加工工程
    • 誤分類の典型:内臓の一種として0206で処理(実際は05.04の名指し部位) (世界税関機構)
  • 影響ポイント4:脂肪は「02.09だけ特例」
    • 何を見れば判断できるか:脂肪が「未抽出」か「抽出・精製済」か
    • 現場で集める証憑:製造工程図、温度履歴、外観、分析(必要に応じ)
    • 誤分類の典型:ラード等(15.01)を02.09としてしまう (世界税関機構)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ソーセージ・ハムの「調製品」を第2類に入れる
    • なぜ起きる:見た目が肉で、02.10(塩蔵等)と混同
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第16類は「調製・保存」品を扱い、第2類の工程を超えると第16類を優先検討 (世界税関機構)
    • 予防策:製造工程(加熱・調味・乳化・成形・缶詰等)を必ず入手/商品仕様書に「加工工程」を明記
  2. 間違い:天然ケーシング(腸)を0206(食用内臓)にする
    • なぜ起きる:「内臓」一般の理解で処理しがち
    • 正しい考え方:腸・膀胱・胃は05.04に明示(第2類注でも除外) (世界税関機構)
    • 予防策:部位を図示・写真で確認/用途(ケーシング)をインボイス・仕様書に反映
  3. 間違い:ラード等(溶融抽出済)を0209(豚脂)にする
    • なぜ起きる:「豚の脂=0209」という短絡
    • 正しい考え方:02.09は「未抽出の豚脂・家禽脂」。抽出済は第15類(15.01等) (世界税関機構)
    • 予防策:工程(レンダリング有無)を確認/SDSではなく食品仕様書(製法)を取る
  4. 間違い:食用昆虫を0208.90や0210.99に寄せる(HS2022で特に注意)
    • なぜ起きる:従来「その他」で処理していた慣行が残る
    • 正しい考え方:第2類注で食用昆虫は除外、04.10側で定義・分類 (世界税関機構)
    • 予防策:原材料表に「昆虫」を明示/HS版(2017/2022)の差分を社内マスターに反映
  5. 間違い:「乾燥=熱風乾燥だけ」と誤解して0210の検討を落とす
    • なぜ起きる:工程用語の理解不足
    • 正しい考え方:部注で「乾燥」には凍結乾燥等も含まれ得る (世界税関機構)
    • 予防策:工程欄に「freeze-dried」等の表示があれば乾燥扱いの可能性を必ず検討
  6. 間違い:冷蔵と冷凍の取り違え(0201/0202等)
    • なぜ起きる:品名の曖昧さ(“chilled/frozen”の混在、通称)
    • 正しい考え方:見出しが温度状態で分かれている場合は実態優先 (世界税関機構)
    • 予防策:温度帯(-18℃等)を出荷書類・ラベルで固定/社内の品名テンプレに温度を必須項目化
  7. 間違い:「飼料用の肉粉」を0210(食用の粉等)として扱う
    • なぜ起きる:「肉粉=0210」と思い込み
    • 正しい考え方:人用不適なら23.01(飼料用等)寄りの検討が必要 (世界税関機構)
    • 予防策:用途(食用/飼料用)と表示規格(食品か飼料か)を必ず確認
  8. 間違い:国内コード(7桁以降)をHS6桁と混同
    • なぜ起きる:通関・統計番号を一括して「HS」と呼ぶ社内慣行
    • 正しい考え方:日本の統計品目番号は「HS6桁+国内コード」で構成される(国内コードは国ごとに異なる) (税関ポータル)
    • 予防策:社内マスターに「HS6桁」と「国内コード」を別項目で保持
  9. 間違い:第2類と第16類の境界で、混合食品の“20%ルール”を見落とす
    • なぜ起きる:肉が「少し入っているだけ」と思い込み
    • 正しい考え方:第16類注で、一定の混合食品は「肉等が20%超」なら第16類に来る整理がある(条件適用の可否は個別検討) (世界税関機構)
    • 予防策:配合表(重量%)を入手し、20%の閾値を横断チェック

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHSを誤ると、参照すべきPSR自体がズレて原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 「最終製品HS」と「材料HS」が混線(材料が第2類でも、最終品は第16類の可能性など)
    • 工程評価の前提(CTC/RVC等)が、そもそも参照HSの版違いでズレる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに採用しているHS版が異なるため、協定が採用するHS版でPSRを確認する必要があります(日本税関のPSR検索画面でも注意喚起があります)。 (税関ポータル)
  • 例:RCEPは当初HS2012ベースでしたが、HS2022に置き換えたPSRが採択され、2023-01-01から実施と案内されています。 (税関ポータル)
  • 実務での扱い方(一般論)
    • ① 通関申告:原則「最新の国内の申告コード」
    • ② 原産地(PSR):協定が採用するHS版
    • ③ 必要に応じ、税関や公的資料の相関表で「旧→新」を突合
  • 参考として、商工会議所の実務資料でも「協定ごとに参照するHSが違う」旨と、協定例が整理されています。 (日本商工会議所)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
  • 第2類は「原材料=動物由来」でサプライチェーン証跡が重要になりやすいので、最低限:
    • 原材料の畜種・部位・加工工程(冷凍/乾燥/塩蔵等)
    • 生産国・と畜/加工場所
    • 製品仕様書(工程)
      を揃えると、分類と原産の両方が安定します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(類注追加)Chapter 2 注1第2類から食用の死んでいる昆虫を除外する旨が追加昆虫製品を第2類へ寄せる誤りが起きやすい。04.10(昆虫)を前提に社内マスター更新が必要 (世界税関機構)
HS2017→HS2022範囲変更(相関表ベース)0208.90 / 0210.99 ↔ 0410.10食用昆虫の新設(0410.10)により、従来「その他」に含まれ得た範囲が調整過去データの比較・PSRの突合で相関表確認が必要 (税関ポータル)
HS2017→HS2022変更なし(確認範囲)02.01〜02.10見出し(02.01〜02.10)の骨格は同一実務の影響は主に「昆虫の切り出し」と境界(02↔04/16) (世界税関機構)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断内容:
    • WCO HS2017 Chapter 2WCO HS2022 Chapter 2 を比較すると、HS2022では第2類注1に「食用の死んでいる昆虫(04.10)」の除外が追加されています。 (世界税関機構)
    • さらに、WCO相関表(2022↔2017) では、食用昆虫の新設(0410.10)に伴い 0208.90や0210.99の範囲が影響を受けた旨が説明されています。 (税関ポータル)
    • 昆虫の定義(食用・非生体、状態の範囲等)は第4類注で明確化されています。 (世界税関機構)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(第2類関連の6桁中心。代表例):

版の流れ主な変化旧コード → 新コード(目安)コメント(実務の見方)
HS2002→HS2007削除(統合)0208.20(カエル脚)→ 0208.90(その他)へ統合WCO相関表で「0208.20削除・低取引量のため」とされ、2007側は0208.90へ対応付け (世界税関機構)
HS2007→HS2012新設/分割0208.60(ラクダ等)新設、0209が 0209.10/0209.90 に分割 など2012条文で確認でき、2007条文には見当たらないため、版改正で細分化が進んだと整理可能 (世界税関機構)
HS2012→HS2017(確認範囲では)変更なしWCO公開条文上、Chapter 2の見出し構成は同一 (世界税関機構)
HS2017→HS2022新設(他章)+範囲調整04.10(昆虫)新設により、02側の「その他」範囲が影響第2類注で昆虫が除外され、相関表でも02側の範囲変更が説明される (世界税関機構)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):天然ケーシングを「食用内臓」で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第2類注で腸等は除外、05.04へ (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “edible offal” とだけ書かれる
    • 典型的な影響:修正申告、追加資料要求、検査・遅延(一般論)
    • 予防策:部位の明確化(腸であること)、写真添付、仕様書整備
  • 事例名:ベーコン(燻製/塩蔵)を冷凍豚肉として申告
    • 誤りの内容:加工状態の認定ミス(0203と0210の境界) (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:製造工程情報が通関側へ渡らない
    • 典型的な影響:税率・原産地規則の誤適用、差額追徴(一般論)
    • 予防策:工程(燻製/塩蔵)を仕様書で固定、品名に “smoked/salted” を入れる
  • 事例名:食用昆虫パウダーを「その他の肉粉」で申告
    • 誤りの内容:第2類注で昆虫は除外(04.10) (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:過去の運用・社内マスターがHS2022へ未更新
    • 典型的な影響:分類差戻し、統計誤り、原産地判断や規制確認のやり直し
    • 予防策:HS2022差分(相関表)をマスター反映 (税関ポータル)
  • 事例名:ラード(抽出脂)を02.09で申告
    • 誤りの内容:02.09の範囲誤認(抽出済は第15類へ) (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:商品名が “pork fat” で、工程が不明
    • 典型的な影響:税率差、差額追徴、説明資料追加(一般論)
    • 予防策:工程証明(レンダリング有無)を事前に確保

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • {日本}前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 肉・肉製品等は、輸入時に 動物検疫(農林水産省・動物検疫所) の対象になり得ます(製品種別・原産国等で要件が変動)。 (農林水産省)
      • 食品としての輸入では 食品衛生(厚生労働省の輸入食品手続) の届出・審査が絡みます。 (mhlw.go.jp)
    • その他の許認可・届出
      • 対象品目・用途(人用/飼料用)・成分・畜種によって追加要件が出る可能性があるため、案件ごとに確認が必要です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 製品仕様書(畜種・部位・加工工程・温度状態)
    • 衛生証明(必要な場合)
    • 原材料表・配合表(混合品は特に)
    • 写真(形状・包装)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 畜種(牛/豚/鶏等)、部位、骨有無、温度状態(冷蔵/冷凍)
    • 加工工程(塩蔵/乾燥/燻製/加熱/調味/缶詰等)
    • 人の食用適否、用途(人用/飼料用)
    • 写真、成分・配合表(混合品)、工程図
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第2類注の除外(昆虫、腸、血、脂肪、食用不適)に抵触しないか (世界税関機構)
    • 第16類へ行くべき加工ではないか(混合品の20%ルール含む) (世界税関機構)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「畜種」「加工状態(frozen/chilled/salted/smoked等)」を入れる
    • 必要に応じ、仕様書・写真を添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫・食品衛生の要否を製品ごとに確認 (農林水産省)

12. 参考資料(出典)

※Web参照は「参照日(2026-02-12)」を併記

  • WCO(HS2022条文・注)
    • HS2022 Chapter 2(Meat and edible meat offal)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Section I Notes(“dried”の範囲 等)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 GIR(General Rules for the Interpretation)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 4(04.10と昆虫定義)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 5(05.04/05.11)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 15(02.09除外、15.01等)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 16(20%ルール等の注)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
    • HS2022 Chapter 23(23.01)(世界税関機構)(参照日:2026-02-12)
  • WCO(相関表・旧版)
  • 日本税関・公的機関
    • 日本税関:輸入統計品目番号(関税率表)一覧(2026-01-01)(税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:統計品目番号(9桁=HS6+国内コード)説明 (税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:HS2022改正概要資料 (税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:品目別原産地規則(HS版違いの注意)(税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 日本税関:RCEPのHS2022版PSR採択・実施案内 (税関ポータル)(参照日:2026-02-12)
    • 動物検疫所(MAFF):肉類等の輸入検疫情報 (農林水産省)(参照日:2026-02-12)
    • 厚生労働省:輸入食品の手続(届出等) (mhlw.go.jp)(参照日:2026-02-12)
  • その他(実務資料)
    • 日本商工会議所:原産地証明における協定別HS版(一覧) (日本商工会議所)(参照日:2026-02-12)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

監査対応用1ページHSドシエ雛形の決定版:品目分類の説明責任を最小コストで満たす実務設計

以下は、監査で通用することを最優先に、内容の整合性と誤りの混入防止を意識して見直しを重ねた最終稿です。

なぜいま、1ページHSドシエが必要なのか

輸入の現場では、日々の通関が回っている限り、HSコードは「なんとなく通っている番号」として扱われがちです。しかし、通関が通ったことと、監査で説明できることは別物です。税関による事後確認では、輸入申告の適正性を確認するために、輸入者の事業所を訪問して申告内容を検証する運用が説明されています。これは、輸入者側が後から説明責任を負う前提で制度が動いていることを意味します。(日本関税庁)

さらに日本では、輸入者には帳簿書類の保存義務があり、帳簿は7年間、書類と電子取引データは5年間、輸入許可日の翌日から起算して保存することが示されています。保存対象には、契約書、インボイス、運賃明細、保険料明細、パッキングリスト、価格表、メーカーや売主が作成した書類などが含まれます。つまり、監査に備えるとは、単に書類を保管するだけでなく、申告と根拠が結び付く状態で提示できるようにしておくことです。(日本関税庁)

ここで効くのが、1ページHSドシエです。目的はシンプルで、次の問いに即答できる状態を作ることです。

1 この製品は何か
2 なぜこのHSコードなのか
3 その根拠資料はどこにあるか
4 誰がいつ承認したか

そもそもHS分類は、どういうルールで決まるのか

HS分類は感覚ではなく、ルールに基づいて決まります。世界共通の枠組みとして、HSの解釈に関する通則、国際的にはGIRがあり、少なくとも次の考え方を押さえる必要があります。

通則1では、部や類や節の表題は参照の便宜であり、分類は項の規定と関連する部注または類注に従って決める、という基本原則が示されています。日本の関税率表の解釈に関する通則でも同趣旨が明記されています。(世界税関機構)

また、HSは6桁レベルが国際的な共通番号で、各国はその下に国内や地域の細分を追加するのが一般的です。つまり、6桁で整合していても、国別の細分や注釈で結論が変わることがあるため、ドシエには「どのレベルの番号を、どの国向けに決めたのか」を明確に書く必要があります。(シンガポール関税局)

1ページHSドシエの定義

本記事でいう1ページHSドシエとは、次の3点を満たす、監査向けの要約書です。

1 製品同一性を担保する情報がある
2 分類結論と理由が、第三者が追える粒度で書かれている
3 根拠資料の所在と、申告データへの紐付けができる

注意点として、1ページの中に証拠そのものを貼り込む必要はありません。むしろ現実的には、証拠は別保管し、ドシエは参照番号で結び付けるのが強い設計です。日本税関も、帳簿や書類の関係が輸入許可番号などで分かるように整理することに触れています。(日本関税庁)

監査対応で落ちないための、ドシエ設計4原則

原則1 製品同一性を先に固める

監査で最初に詰まるのは分類ロジックではなく、そもそも「その資料は今回の輸入貨物と同じ製品か」が証明できないことです。ここが曖昧だと、どんなに正しい分類でも説得力が落ちます。

ドシエには、少なくとも以下の同一性キーを入れます。

・社内品目コード、型番、版数
・製品写真の参照番号
・材質、構造、機能の要点
・輸入時の形態(完成品、未完成、分解、セット、付属品含むか)

原則2 ルールに沿った再現性を書く

分類理由は、通則や注の適用関係が追えるように書きます。GIRや通則は「見出しではなく、項と注が優先」という発想が核です。(世界税関機構)

原則3 申告と根拠資料への追跡性を持たせる

日本では、保存対象の書類が具体的に列挙されています。監査で求められる類型と一致するように、ドシエ側も参照番号で結び付けておくと強いです。(日本関税庁)

原則4 統制(承認と変更管理)を最小限でも入れる

誰が決め、誰が承認し、いつ見直したか。これがないと、属人的なメモで終わります。監査は「プロセスがあるか」も見ます。

監査対応用1ページHSドシエ雛形

ここからが雛形です。A4縦1枚に収まる想定で、欄を固定すると運用が回ります。

雛形の全体像

セクション記入内容(推奨)監査で効く理由
0 ヘッダードシエID、作成日、最終改定日、対象国、対象税番の桁数、HS改正年、担当部署、作成者、承認者対象範囲と責任者が一目で分かる
1 製品同一性社内品目コード、型番、製品名、用途、材質、構造、主要仕様、輸入時形態、セット構成の有無、写真や図面の参照番号「それは何か」を客観情報で固定できる
2 分類結論項(4桁)、号(6桁)、国内細分(必要なら)、品名要約(税番に寄せた表現)、適用関税率の参照先、関連要件の有無(許可や証明など)結論と適用範囲を明確化できる
3 分類ロジック要約候補項、適用した部注類注、適用した通則、決め手になった客観的特徴、競合項を外した理由(1行ずつ)第三者が追試できる
4 根拠資料リスト契約書、インボイス、パッキングリスト、運賃明細、保険明細、価格表、仕様書、成分表、BOM、製造工程概要などの参照番号と保管場所税関が求める書類類型と整合する (日本関税庁)
5 申告紐付け輸入許可番号、申告番号、申告日、通関業者、インボイス番号、ロットやシリアル範囲申告と証拠が一本線でつながる
6 公式判断の有無事前教示や公的な分類決定の有無、番号、発行日、適用条件、適用範囲不確実性を減らせる (日本関税庁)
7 変更履歴変更日、変更理由(設計変更、材質変更、用途変更、HS改正、税関見解など)、影響範囲、旧版保管先更新漏れが最大の事故を防ぐ

そのまま使える記入フォーマット(コピー用)

下記を社内テンプレートとして固定し、項目名は変えないことを推奨します。

1 ドシエID
2 対象国、対象税番桁数、HS改正年
3 製品名、社内品目コード、型番、版数
4 製品概要(用途、機能)
5 材質と構造(主要部材、組立構造)
6 輸入時形態(完成、未完成、分解、セット、付属品)
7 分類結論(4桁、6桁、国内細分)
8 分類ロジック要約(通則、注、競合項の排除理由)
9 根拠資料(仕様書、図面、写真、BOM、取引書類)参照番号
10 申告紐付け(輸入許可番号、インボイス番号)
11 事前教示やBTI等(有無、番号、条件)
12 作成者、レビュー者、承認者
13 最終見直し日、次回見直し条件
14 変更履歴(最新版に至る要点)

分類ロジック欄の書き方:1ページに収めるコツ

ドシエの肝は「分類ロジック要約」です。ここは長文にしない方が強いです。代わりに、ルールと判断ポイントが見える形にします。

コツ1 通則1の型で書く

分類の起点は、項の文言と部注類注です。見出しの語感より、項と注を優先します。(世界税関機構)

記述例(形式のみ)

・候補項:A項、B項
・確認した注:第X部注Y、類注Z
・決め手:用途ではなく構造上の客観的特徴が注の定義に合致
・競合排除:B項は注の除外規定に該当

コツ2 まず4桁を決めてから下に降りる

いきなり6桁以下を探すと迷走します。4桁を確定してから、同一項内で号を決める順序が推奨されています。(シンガポール関税局)

コツ3 争点を先回りして1行で潰す

監査の質問はだいたい型が決まっています。

・なぜ機械ではなく部品なのか
・なぜセット扱いではないのか
・材質が変わったらコードは変わるのか
・用途で分類していないか

これらに対し、「競合項を外した理由」を1行ずつ入れておくと、質疑が短くなります。

根拠資料欄の作り方:監査で強い証拠の揃え方

日本税関の保存義務の説明では、輸入に関する書類の例が具体的に並んでいます。ドシエの根拠資料欄は、この並びに寄せると監査で提示しやすくなります。(日本関税庁)

技術的根拠(分類の本丸)

・仕様書、図面、写真
・材質証明、成分表
・BOM、部材リスト
・製造工程の概要(工程名レベルで十分)

分類は「客観的特徴」に基づくことが重要とされ、HSは注や通則を含む体系で運用されます。客観的特徴を示す資料が強い理由はここにあります。

取引根拠(申告と結び付ける)

・契約書
・インボイス
・パッキングリスト
・運賃明細、保険明細
・価格表

保存対象の例示に含まれているため、監査側の期待と揃います。(日本関税庁)

電子取引データ

メールでの受発注や電子取引情報も保存対象として整理されています。紙の書類だけでなく、電子データの所在もドシエに参照番号で残すと、監査対応が安定します。(日本関税庁)

不確実性を下げる切り札:事前教示やBTIをドシエに組み込む

日本の事前教示(品目分類)

日本税関には、輸入前に関税分類や税率について照会し、回答を得られる事前教示の仕組みが説明されています。社内で判断が割れる製品や、税率差が大きい製品では、ドシエの外部根拠として非常に強い材料になります。(日本関税庁)

EUのBTI

EUではBTIが、品目分類に関する法的な決定として説明され、一般に3年間有効で、税関当局と保有者の双方を拘束する、とされています。分類が事業に与える影響(関税だけでなく、許認可などの要件)も、分類に依存することが説明されています。欧州向けビジネスでは、ドシエにBTIの有無と条件を書く価値が大きいです。(Taxation and Customs Union)

さらにEUのガイダンス文書では、非公式な助言はBTI枠組みでない限り法的拘束力がなく、法的確実性はBTIで得られる、という趣旨が示されています。非公式助言を受けた場合でも記録を残すことが推奨されています。ドシエの「外部根拠欄」に、この記録を整理して入れると運用が崩れません。

運用設計:1ページを「作って終わり」にしない

テンプレートがあっても、更新されなければ監査では逆効果です。運用の最小セットは次の通りです。

役割分担の最小形

1 製品情報のオーナー(設計や商品企画)
2 分類判断のオーナー(貿易コンプライアンス、通関統括)
3 承認者(責任者。内部統制上の署名者)

更新トリガーを明文化する

以下のどれかが起きたら更新、という条件をドシエ自体に書きます。

・材質が変わった
・構造が変わった
・用途や販売形態が変わった
・セット内容や同梱物が変わった
・仕入先や製造工程が変わった
・HS改正や注釈の変更があった
・税関照会や事前教示など外部見解が出た

保存期間と保管設計を揃える

日本税関の説明では、帳簿7年、書類5年、電子取引データ5年が示されています。ドシエ本体は最長の7年に揃え、根拠資料は法令上の保存期間と整合するポリシーにすると、監査で説明しやすくなります。(日本関税庁)

よくある失敗と、1ページHSドシエが効くポイント

1 仕入先や通関業者が示したHSコードを、そのまま社内コードとして固定する
2 製品仕様が更新されたのに、HSコードだけが据え置かれる
3 6桁のHSと、各国の細分コードを混同して運用する
4 根拠資料がメールや個人フォルダに散らばり、輸入許可番号と結び付かない
5 監査で聞かれるのは分類だけでなく、申告全体の適正性だと見落とす

事後確認は、通関後に申告内容を検証する運用が示されており、帳簿書類の保存義務も具体的に整理されています。これらを前提にすると、ドシエが「説明の最短経路」になります。(日本関税庁)

導入の進め方:まずは高リスク品目から小さく始める

1 対象選定
関税影響が大きい品目、分類が割れやすい品目、監査対象になりやすい品目から着手します。

2 情報収集
仕様書、写真、BOM、取引書類、過去申告番号など、同一性と追跡性に必要な材料を集めます。保存対象の書類類型に沿って集めると抜けにくいです。(日本関税庁)

3 分類ロジックの定型化
通則1を起点に、項と注を優先し、4桁を決めてから号へ、という順序で要約します。

4 レビューと承認
「第三者が読んで再現できるか」を基準にレビューし、承認者を固定します。

5 ライブラリ化
製品単位で検索できる形にし、輸入許可番号とひも付く運用にします。

まとめ

1ページHSドシエは、分類の正しさを主張する資料ではなく、分類の説明責任を短時間で果たすための社内インフラです。
日本では帳簿書類と電子データの保存義務が整理され、税関は通関後に申告内容を検証する運用を示しています。これらの前提に立つと、根拠が散在している状態こそが最大のリスクです。(日本関税庁)
通則と注に沿って再現性のあるロジックを書き、申告と根拠資料を追跡できる形にする。これをA4一枚に落とすのが、監査対応を強くする最短距離です。(世界税関機構)

免責事項

本記事は、HSコードの分類や監査対応に関する一般的な情報提供を目的としており、特定の取引や製品に対する法令解釈、通関判断、税務判断、または専門家としての助言を提供するものではありません。実際の分類や申告、事前教示等の利用可否は、製品の客観的特徴、輸入形態、契約条件、適用法令、各国当局の運用などにより結論が変わり得ます。必要に応じて、税関、認定通関業者、弁護士、公認会計士等の専門家に相談のうえ、最終判断は貴社の責任で行ってください。

第2章:分類に必要な商品情報の集め方

2-1 この章のゴール

この章では、HSコード分類に必要な商品情報を、抜け漏れなく集める方法を身につけます。 HS分類は、調べ方以前に、材料が揃っていないと正しくできません。逆に言えば、情報の集め方さえ型にすれば、分類の精度は大きく安定します。 この章を終えると、次のことができるようになります。

1 分類に必要な情報の項目を説明できる

2 社内やサプライヤーに、迷いなく質問できる

3 情報の信頼性を確認し、根拠として残せる

2-2 商品名だけでは分類できない理由

初心者が最初にぶつかる壁は、カタログ名や通称では分類できないことです。 たとえば「センサー」「フィルター」「アダプタ」「ユニット」「モジュール」は、名前だけでは範囲が広すぎます。同じ呼び名でも、材質や原理、用途で別の類や項に分かれることが珍しくありません。 HS分類で必要なのは、呼び名ではなく、次のような客観情報です。

1 何でできているか(材質、組成)

2 何をするものか(機能、用途)

3 どう作られ、どの段階の製品か(加工度、完成度)

4 どういう形で提供されるか(形状、包装、セット構成)

2-3 まず揃える基本情報 分類のための10項目

どんな商品でも、まずこの10項目を揃えると、分類の道筋が見えやすくなります。

1 品名と型番

社内呼称、取引先呼称、型番、シリーズ名を整理します。呼称が複数ある場合は併記します。

2 用途

誰が、どこで、何のために使うか。最終用途だけでなく、現場用途も確認します。

3 機能

何をする装置か、何の働きをする材料か。測る、記録する、加熱する、固定する、遮断するなど、動詞で言える形にします。

4 動作原理

電気、光学、化学反応、機械的作用など、原理を一言で説明できるようにします。特に機械・電気品では分岐点になります。

5 材質と組成

主材質、混合比、コーティング、含有量など。化学品や複合材料はここが中心になります。

6 構造と形状

寸法、断面、層構造、中空か固体か、可とう性の有無など。金属製品、プラスチック製品、繊維製品では重要です。

7 加工度と製造工程

粉末、ペレット、板、成形品、加工品、組立品など、どこまで加工されているか。未完成品、未組立品もここに含みます。

8 包装形態と単位

液体か固体か、容量や重量、バルクか小分けか。小売用包装か、工業用か。食品や化学品で分岐点になります。

9 セット構成や付属品の有無

単体か、セットか。複合品なら構成要素と比率、価値、役割を把握します。

10 取り付け先、組み込み先

部品の場合は必須です。どの機械や装置のための部品か、専用か汎用か、交換部品かを確認します。

2-4 分野別に追加で必要になりやすい情報

基本10項目に加えて、分野によって追加情報が必要になります。

1 化学品

CAS番号、SDSの組成欄、危険有害性、用途、濃度、溶媒の種類、物性(粘度、引火点など)

2 プラスチック、ゴム

樹脂名、単量体、補強材の有無、発泡か非発泡か、硬度、成形方法、使用温度帯

3 繊維

繊維組成比、織り方、編み方、不織布か、目付、用途(衣料か産業資材か)、コーティングの有無

4 食品

原材料、加工工程、加糖の有無、加熱や発酵の有無、保存方法、用途(飲料、調味料、加工食品など)

5 機械、電気、電子

主機能、制御の有無、通信の有無、センサーや計測の有無、主要部品、出力、規格(電圧、周波数)、単体機器かシステム部材か

2-5 情報源をどう集めるか 使う資料の優先順位

情報は、口頭説明だけに頼らず、文書で裏付けるのが基本です。代表的な情報源は次のとおりです。

1 仕様書、データシート

機能、規格、材料、型番がまとまっています。最新版かどうかを必ず確認します。

2 SDS

化学品や材料では最重要です。組成欄と用途欄が特に重要です。

3 図面、断面図、組立図

形状、構造、取り付け方法が分かります。部品分類の精度が上がります。

4 BOM、部品表

構成要素と材料が分かります。セット品や複合品の整理に有効です。

5 取扱説明書、作業手順書

実際の用途と使用条件が分かります。想定用途の誤解を防ぎます。

6 現物写真、ラベル、包装表示

形状や表示情報が分かります。写真だけで判断せず、他資料と突き合わせます。

2-6 社内ヒアリングのコツ 質問の仕方で精度が決まる

情報が足りないときは、関係部署に追加確認します。質問は、次の原則で行うと回答の質が上がります。

1 目的を伝える

HS分類に必要で、申告や関税、規制に影響するためと先に言います。

2 選択肢を出す

たとえば「樹脂はABSですか、PCですか」のように、答えやすい形にします。

3 動詞で聞く

何をするのか、どう使うのかを動詞で聞くと、用途と機能が整理されます。

4 比較対象を置く

「これは部品として専用ですか、それとも汎用部材ですか」のように分岐点を示します。

2-7 情報の信頼性チェック よくある食い違いを潰す

集めた情報は、そのまま信じるのではなく、整合性を確認します。特に次の食い違いが起きやすいです。

1 営業資料と技術資料の差

営業は用途が広めに書かれ、技術は仕様が厳密になりやすいです。分類では技術情報を優先します。

2 古い版の資料

型番は同じでも材質変更や仕様変更があることがあります。改訂日を確認します。

3 主材質と副資材の誤認

見た目の外装材だけで判断すると誤ります。重量比や機能上の中心を確認します。

4 セット構成の見落とし

付属品が標準同梱か、オプションかで扱いが変わることがあります。

2-8 情報が揃わないときの進め方

現場では、最初から情報が完璧に揃うことは多くありません。その場合は、結論を急がず、手順でリスクを減らします。

1 不足情報リストを作る

何が分からないと分類が確定できないかを短文で列挙します。

2 仮置きの前提を明確にする

仮に分類する場合は、前提条件を必ず書きます。前提が崩れたら再分類が必要になります。

3 影響が大きい論点を優先して確認する

材質、用途、完成度、部品の専用性は影響が大きいので優先順位を上げます。

4 確度を管理する

確定、ほぼ確定、要追加確認のように状態を分け、社内で共有できるようにします。

2-9 集めた情報は根拠として残す

分類は、当てた瞬間で終わりではありません。後日説明できる形で残すことが、実務では同じくらい重要です。 最低限、次を残します。

1 商品情報の要点(用途、機能、材質、構造、完成度)

2 参照した資料(仕様書、SDS、図面など)と版情報

3 不明点と前提条件

4 分類の結論と、どの情報が決め手になったか

2-10 第2章のまとめ

分類の精度は、商品名ではなく客観情報の質で決まる。 まず基本10項目を揃え、分野別の追加情報で補強する。 仕様書、SDS、図面などの文書で裏付け、版と整合性を確認する。 情報が揃わないときは、不足情報と前提を明確にして確度を管理する。 次章では、集めた情報を使って、分類を最短ルートで進める手順の型を学びます。

AI時代の通関コンプライアンス。CBPが示す「自動化と法的責任」の境界線

2026年2月12日

物流DXの進展に伴い、HSコード(統計品目番号)の特定や関税率の計算に人工知能(AI)を活用する企業が急増しています。膨大な商品データを瞬時に処理し、最適なコードを提案してくれるAIツールは、業務効率化の強力な武器です。

しかし、米国税関・国境警備局(CBP)などの税関当局は、こうした技術導入を歓迎しつつも、コンプライアンスの観点から重要な警告を発し続けています。それは、どれほど高度なAIを使用したとしても、誤った申告に対する法的責任は100パーセント輸入者にあるという原則です。

本稿では、CBPが提示するAIガバナンスの指針を紐解き、AIツールと共存しながらリスクを管理するための実務ポイントを解説します。

技術は進化しても「輸入者の責任」は変わらない

AI導入にあたって最も理解しておくべきは、責任の所在です。CBPは、AI活用に関する指針(Directive 1450-030など)やIT戦略において、技術はあくまで人間の意思決定を支援するものであり、法的責任を代替するものではないと明記しています。

税関近代化法が定める「合理的な注意」とは

米国の通関実務には、1993年の税関近代化法(Mod Act)によって定められた合理的な注意(Reasonable Care)という概念があります。これは、輸入者が自らの責任において、貨物の分類、評価、原産地を正しく申告するために最大限の努力を払わなければならないという法的義務です。

CBPのスタンスは明確です。AIツールが提示したHSコードをそのまま使用して誤申告が発生した場合、輸入者は合理的な注意を怠ったとみなされる可能性があります。「AIがそう判定したから」という理由は、過失(Negligence)の免責事由にはなりません。むしろ、検証なしに自動化ツールに依存することは、注意義務違反のリスクを高める行為と捉えられかねません。

AIの判断ミスは「過失」とみなされるリスク

AIツール、特に機械学習や生成AIを用いたモデルは、過去のデータに基づいて確率論的に最もらしい答えを導き出します。しかし、貿易の世界では、わずかな材質の違いや用途の差でHSコードが変わり、関税率が大きく変動することが日常茶飯事です。

ブラックボックス化する判定プロセスへの懸念

AIのリスクの一つは、なぜそのコードを選んだのかという根拠が不明瞭になりがちな点です。税関事後調査(監査)において、調査官からHSコードの選定根拠を求められた際、「システムが自動出力した」としか答えられない場合、企業は説明責任を果たしていないと判断されます。

CBPはAIの透明性と説明責任(Accountability)を重視しており、人間が理解できないブラックボックスな判定プロセスに依存すること自体をコンプライアンス上のリスク要因としています。

実務担当者が構築すべき「Human-in-the-loop」体制

では、企業はAIツールをどのように活用すべきなのでしょうか。CBPや世界税関機構(WCO)が推奨しているのが、ヒューマン・イン・ザ・ループ(Human-in-the-loop)、つまり人間が関与するプロセスの構築です。

AIを「相棒」にし、人間が「責任者」になる

具体的には、以下の3つのステップを業務フローに組み込むことが推奨されます。

AIによる一次スクリーニング

AIツールを使用して、HSコードの候補を絞り込みます。ここで提示されたコードはあくまで「提案」として扱います。

専門家による最終検証

通関士や社内の専門知識を持つ担当者が、AIの提案したコードが最新の関税率表(HTS)や解説、過去の分類事例(Rulings)と整合しているかを確認します。

判断根拠の記録

最終的にそのコードを採用した理由を、AIのログではなく、人間の言葉で記録に残します。これが将来の監査に対する強力な防御となります。

まとめ

AIは貿易実務を効率化する素晴らしい技術ですが、それは「魔法の杖」ではありません。CBPによる指針は、技術が進歩すればするほど、それを使う人間のプロフェッショナリズムと法的責任が問われることを示唆しています。

自動化の波に乗り遅れないためには、AI任せにするのではなく、AIを使いこなすためのガバナンス体制を社内に確立することが、これからの貿易担当者に求められる最大のスキルとなるでしょう。

免責

本稿は一般的な情報提供を目的としたもので、個別案件の法的助言ではありません。実際の申告・契約・規制適合は、対象国の法令と最新の当局公表、必要に応じて専門家見解に基づき判断してください。

第0章:HSコードは何のためにあるか

この章のゴール

この章では、HSコードを学ぶ理由を実務の言葉で理解します。

HSコードは、単なる番号ではありません。輸出入の現場では、関税、規制対応、原産地判断、社内の業務設計を動かす起点になります。

この章を終えると、次のことが説明できるようになります。

  1. なぜHSコードが必要なのか
  2. HSコードを間違えると何が起きるのか
  3. HSコードは誰のための共通言語なのか

HSコードは貿易実務の起点

HSコードは、国際貿易で商品を分類するための共通ルールです。

輸出入の書類や申告では、商品名よりもまずHSコードが参照されます。

理由は単純で、商品名は国や会社で言い方が違い、誤解が起きやすいからです。

一方、HSコードは、一定のルールで分類され、関税率や規制の判定に直接つながるため、業務の起点になります。

HSコードが関わる4つの実務

HSコードが関わる代表的な実務は、次の4つです。

関税とコスト

輸入では、HSコードが関税率を決めます。

同じ商品でもコードが違えば税率が変わり、調達コストや販売価格に直結します。

輸出側でも、取引先が支払う関税が変われば、価格交渉や競争力に影響します。

規制対応と通関の可否

HSコードは、各国の規制品目の判定にも使われます。

輸入許可が必要なもの、検査が必要なもの、禁止や制限があるものは、HSコードで判定されることが多いです。

コードがずれると、追加資料の要求、通関保留、最悪の場合は差し止めにつながります。

FTA・EPAの原産地規則

FTA・EPAを使うときも、HSコードは中心になります。

原産地規則の多くは、HSコードの変化や付加価値などの条件で書かれているため、HSコードが誤っていると、優遇税率が受けられない、または後から否認されるリスクが生じます。

統計と社内データの整合

貿易統計、品目別の市場分析、社内の品目マスターの設計にもHSコードが使われます。

コードがぶれると、データが比較できず、分析や監査対応に時間がかかります。

HSコードを間違えると起きること

HSコードの誤りは、単なる入力ミスでは終わりません。影響は大きく3つに分かれます。

金銭的リスク

過少申告になれば追徴や加算が発生します。

過大申告なら払い過ぎになり、返金の手続きや社内調整の負担が増えます。

業務停止リスク

通関で止まる、検査対象になる、追加書類が求められるなど、リードタイムに影響します。

納期遅延は、販売計画や生産計画にも波及します。

信用リスク

取引先や当局から、管理が弱いと見られると、監査や確認が増えます。

HSコードはコンプライアンスの基礎体力として評価されます。

誰がHSコードを使うのか

HSコードは通関担当だけのものではありません。

現場では次の人たちが同じ番号を使って会話します。

  • 購買 – 調達コストの試算、サプライヤーとの交渉
  • 営業 – 見積条件、顧客の関税負担の説明
  • 物流 – 通関要件、リードタイム管理
  • 品質 – 規制対応、検査対応
  • 経理 – 関税コスト計上、価格転嫁
  • 経営 – コスト構造の把握、リスク管理

つまりHSコードは、部署をまたいで意思決定を揃えるための共通言語です。

この講座で身につけること

この講座の目標は、特別な商品ではなく、基本的な商品について、筋の通った付番ができるようになることです。

そのために、次の力を順番に身につけます。

  1. 分類に必要な情報を集める力
  2. ルールに沿って候補を絞る力
  3. 根拠を言葉にして残す力

まとめ

HSコードは、関税、規制、FTA、データ管理の起点である。

誤分類は、コスト、業務、信用のリスクを生む。

HSコードは部署をまたぐ共通言語であり、実務の基礎体力になる。

次章では、分類に必要な商品情報をどう集めるかを学びます。

第1章:HSの全体像と構造

この章のゴール

この章では、HSコードがどんな階層構造でできているかを、図がなくても頭の中で組み立てられるようにします。

HSの構造が分かると、分類のときに迷ったとしても、どの階層で迷っているのかが明確になり、調べ方が速くなります。

この章を終えると、次のことが説明できるようになります。

  1. HSはどこまでが国際共通で、どこからが国別なのか
  2. 部 類 項 号という階層が何を意味するのか
  3. 2桁 4桁 6桁の読み方と、番号の役割

HSは階層構造でできている

HSは、商品を分類するための目次のようなものです。

大きいグループから小さいグループへ、段階的に細かくなります。

基本の階層は次のとおりです。

部(Section)

かなり大きな分類単位です。例として、機械類、化学品、繊維などの大きなまとまりがあります。

部は目安として便利ですが、分類は部注や類注とセットで理解する必要があります。

類(Chapter)

2桁で表される単位です。

例 84類は機械類、85類は電気機器のように、分野の大枠を示します。

項(Heading)

4桁で表される単位です。

分類の実務では、この4桁の項を正しく見つけられるかが大きな分かれ道になります。

号(Subheading)

6桁で表される単位です。

国際的に共通の骨格はこの6桁までです。

ここまでが、各国が共通で使うHSの中心部分です。

この階層を理解するだけで、分類は一気に整理しやすくなります。

2桁 4桁 6桁の意味

HSコードは、左から順に意味が積み上がります。

考え方は単純です。

左に行くほど大分類、右に行くほど細分類です。

例として、ある6桁コードがあったとします。

  1. 最初の2桁は類を示す
  2. 最初の4桁は項を示す
  3. 最初の6桁は号を示す

重要なのは、4桁と6桁は単なる桁数の違いではなく、分類の深さの違いだという点です。

4桁は品目の中心的な定義に近く、6桁はその中での細分です。

国際共通は6桁まで、8桁以降は国ごとに違う

実務で混乱しやすいのがここです。

HSは国際共通の制度ですが、各国の関税率表は国ごとの運用があります。

国際共通の範囲

HSの6桁までは、原則として世界共通です。

輸出入の相手国と話をするとき、まず6桁で合意するのが基本になります。

国別の範囲

8桁 9桁 10桁などは、国が独自に細分している部分です。

この部分は国によって桁数も中身も異なります。

同じ6桁でも、国によって8桁の分け方や税率が違うことがあります。

実務上の結論

分類の議論は、まず6桁の確定を優先します。

そのうえで、輸入国の関税率表で国別の細分を確認し、最終的な申告番号を決めます。

見出し文と注記が分類の土台になる

HSには、品目の見出し文と、注記というルールの文章があります。

見出し文だけ読んで決めると、誤分類が起きやすいです。

見出し文

項や号の言葉そのものです。商品を当てはめる入口になります。

注記(部注 類注など)

範囲を広げたり、逆に除外したりするルールです。

注記があることで、同じような商品でも分類が分かれます。

分類は、見出し文と注記の両方で決まるという前提を持つことが大切です。

この講座では、次章以降で注記の読み方を扱いますが、まずは、注記が分類の決定に影響するという事実を押さえてください。

HSと関税率表は同じではない

ここも初心者が混同しやすいポイントです。

HS

商品分類のルールと体系です。番号を決めるためのものです。

関税率表

HSの体系に税率や例外規定などを乗せたものです。

同じHSでも、協定税率や暫定税率、対象国による違いなどがあり、税率は条件によって変動します。

つまり、HSコードを決める作業と、税率を決める作業は、同じ流れの中にありますが、役割は別です。

まず分類を固め、その後に税率や制度条件を確認します。

HSは定期的に改正される

HSは固定されたものではなく、定期的に見直されます。

実務では、どの版のHSで話しているかが重要になります。

商品分類の検討資料や社内マスターでは、HS2022のように版を意識して管理することが安全です。

まとめ

HSは、部 類 項 号という階層でできている。

2桁は類、4桁は項、6桁は号で、6桁までが国際共通の骨格である。

8桁以降は国別で、最終申告は輸入国の関税率表で確認する。

分類は見出し文だけではなく、注記が土台になる。

次章では、分類の成否を決める商品情報の集め方を学びます。