用語の統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 毛布、ひざ掛け、トラベリングラグ(6301)
- ベッドリネン、テーブルリネン、タオル類などのリネン類(6302)
- カーテン、室内用ブラインド、カーテンバランス(6303)
- 室内用のカバー類、ベッドスプレッド、蚊帳(特定品は6304.20)(6304)
- 包装用の袋(麻袋、FIBC、PPストリップ袋など)(6305)
- ターポリン、日よけ、テント(仮設の日よけテントを含む)、セイル、キャンプ用品(6306)
- 清掃用クロス、救命胴衣、顔マスクなどのその他の製品にした繊維製品(6307)
- 中古衣類(6309)と、ぼろ・ウエス等(6310)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 反物や生地のままの織物や編物(第50類〜第60類など。製品にしたものではない場合)
- 衣類そのもの(新品の衣類は原則として第61類または第62類)
- じゅうたん、カーペット(第57類)や、つづれ織物(58.05)(63.09の範囲説明でも除外が明示)
- 詰物をした寝袋、マットレス、枕、クッション(94.04。キャンプ用品の説明で除外が明示)
- ナップサック、リュック等の容器(42.02。キャンプ用品の説明で除外が明示)
- 衛生用品のうち、紙おむつや生理用ナプキン等(96.19。6307の除外として明示)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- そもそも製品にしたものかどうか(部注で定義あり。生地のままなら第50類〜第60類側へ)
- 具体的な用途が「寝具リネン」「包装用袋」「テント類」「清掃用クロス」など、どの項の典型に当たるか(典型から外れると6307に寄りやすい)
- 中古衣類(6309)にするには、使い古しの外観と、ばら積みやベール等での提示が両方必要(類注で条件が明示)
- この類で特に誤分類が高コストになりやすい場面:
- 6309(中古衣類)と6310(ぼろ)の取り違え。中古品と廃棄物の境界に近く、通関の説明責任と追加確認が増えやすいです。
- 6306(テント)と、子供用遊戯テント(95.03)や、傘テント(66.01)などの境界。HS2022で仮設の日よけテント類が明確化され、解釈が動きやすい領域です。
- 6304.20(特定の殺虫剤処理をした経編生地の製品)。該当するか否かで号が変わり、資料要求も増えます。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1(見出しと注で決める):第63類は「製品にしたもの」という入口条件が強く、部注と類注で範囲がはっきりします。特に、部注の製品にしたものの定義と、第63類注の6309条件が実務の分岐点です。
- GIR6(号の選択):材質別、用途別、印刷の有無、メリヤスか否か、FIBCか否か、区分済みか否かなど、6桁の分岐は仕様書と現物状態で決まります。
- 品名だけで決めないための観点
- 形状と仕上げ(縁縫い、熱溶着、裁断形状、組み立ての有無):これが製品にしたもの判定の中核です。
- 用途と提示形態(例:包装用の袋なのか、持ち運び容器なのか。中古衣類がベールで来ているか等)
- 異素材の付属の扱い:少量のトリミングや付属品の存在は通常は大きく影響しないが、異素材が主要構成になると別の見出しへ寄りやすい、という考え方が示されています。
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:
- その貨物は繊維製品で、部注でいう製品にしたものに当たりますか。
- 当たらない場合は、生地や糸の章側(第50類〜第60類)や、不織布(例:5603)等を先に検討します。
- Step2:
- 製品にしたものなら、まず典型の項に当てはめます。
- 毛布(6301)、リネン類(6302)、カーテン(6303)、室内用品(6304)、包装用袋(6305)、タープ・テント類(6306)、その他(6307)の順に当てはめると迷いが減ります。
- Step3:
- 「手芸用のセット」なら6308。
- 「中古衣類」なら6309。ただし類注の要件を満たすかを必ず確認します。
- 「ぼろ、ウエス、ロープくず」等なら6310(区分済みかどうかで6310.10と6310.90)。
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第63類(製品にしたもの)と、第50類〜第60類(糸・生地・レース等の素材)の境界
- 6306(テント類)と、66.01(傘テント)や95.03(遊戯用テント)の境界
- 6307(その他)と、96.19(おむつ等)や42.02(容器類)などの境界
- 6309(中古衣類)と、6310(ぼろ)または第61類・第62類(新品衣類として扱われ得る)との境界
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 6301 | 毛布、ひざ掛け等 | 電気毛布、毛布、トラベルラグ | 電気毛布か否か、材質(羊毛・綿・合繊など)で号が分かれます |
| 6302 | ベッド、テーブル、トイレット、キッチンリネン | シーツ、枕カバー、テーブルクロス、タオル | 清掃用クロスは6307.10へ寄るため用途要確認 |
| 6303 | カーテン、室内ブラインド等 | カーテン、ドレープ、室内ブラインド | 室内用。屋外のよしず等や日よけの一部は6306側も検討 |
| 6304 | 室内用品(94.04除く) | ベッドスプレッド、クッションカバー、蚊帳 | 6304.20は類の号注で範囲が特定されています |
| 6305 | 包装用の袋 | 麻袋、コメ袋、FIBC、PPストリップ袋 | 4202の容器と区別。素材がプラ板状なら第39類側の可能性も |
| 6306 | ターポリン、日よけ、テント、セイル、キャンプ用品 | タープ、イベント用テント、船の帆、エアマット | HS2022でテントに仮設の日よけテント等が明確化。睡袋は94.04、遊戯テントは95.03へ |
| 6307 | その他の製品にしたもの(ドレスパターン含む) | 清掃用クロス、救命胴衣、旗、顔マスク等 | 「他のどこにも当たらない製品にした繊維製品」の受け皿。96.19等の除外あり |
| 6308 | 織物と糸から成るセット | 刺しゅうキット、ラグ製作用セット | 織物と糸がセットで小売包装。単なる材料の寄せ集めは要注意 |
| 6309 | 中古の衣類その他の物品 | 古着、使用済み毛布等 | 使い古しの外観と、ばら積みやベール等で提示の両方が必要 |
| 6310 | ぼろ、ロープくず等 | ウエス、古布、ロープ端材 | 区分済みか否かで6310.10と6310.90 |
表の根拠:第63類の項と号の構成はHS2022の条文に基づき整理しています。
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(この類で頻出)
- メリヤス編みか否か(例:6302のベッドリネン、6303のカーテン、6304のベッドスプレッド)
- 印刷の有無(例:6302のベッドリネンで印刷ありとなしが分岐)
- 材質(綿、合繊、その他)
- 用途の限定(例:清掃用クロスは6307.10、救命胴衣は6307.20)
- 提示形態と状態(中古衣類6309の条件、6310の区分済み)
- 包装袋の種類(FIBCは6305.32として独立)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 6302(リネン類)と6307.10(清掃用クロス)
- どこで分かれるか:製品の主用途がリネンとしての使用か、清掃用か。条文上、清掃用クロスは6307.10として独立しています。
- 判断に必要な情報:商品仕様(用途説明)、素材と厚み、販売形態(台所用ふきんか、床掃除用か)、表示・カタログ写真
- 典型的な誤り:台所周りで使うからキッチンリネン(6302)と決め打ちする
- 6306(テント)と他類(66.01、95.03、94.04)
- どこで分かれるか:テントとしての構造と用途、除外規定の有無。日本の解説では傘テント(66.01)や遊戯用テント(95.03)等を明確に除外しています。
- 判断に必要な情報:フレーム構造、屋外での気象要素からの保護目的、対象年齢や用途表示、セット内容(ペグ、ロープ等)
- 6309(中古衣類)と6310(ぼろ)
- どこで分かれるか:6309は類注で要件が明示され、使い古しの外観に加えて、ばら積みやベール等で提示することが必要です。
- 判断に必要な情報:現物状態(摩耗、汚れ、補修痕)、梱包形態(ベール、サック等)、用途(再使用か、原料やウエス用か)、仕分け状況
- 6305.33(PP等のストリップ袋)と第39類(プラスチック製の袋)
- どこで分かれるか:繊維とみなされるストリップか、プラスチック製品か。部注では、一定幅を超えるプラスチックストリップは繊維製品から外れる扱いが示されています。
- 判断に必要な情報:ストリップの見掛け幅、素材仕様、織り方、用途(包装用か)
- 6302(リネン類)と6307.10(清掃用クロス)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第63類に到達するための入口は、部注で定義される製品にしたものに当たるかどうかです。典型は、一定形状への裁断、縁縫い・房付け、熱溶着、縫製や接着による組立て、メリヤス編みの成形などです。
- 第50類〜第60類は原則として製品にしたものを含まない、という整理があり、素材の章と製品の章を分けています。
- 実務での意味(具体例つき):
- 不織布の四角いシートでも、単に裁断しただけで縫製や縁処理がない場合、製品にしたものとして扱われない可能性があり、生地側(例:5603)に残ることがあります。日本の解説でも、単なる長方形裁断の不織布シーツ等を除外例として挙げています。
- 逆に、同じ不織布でも、特定形状に裁断し、縁処理や接着などで用途が完成していれば第63類側に寄ることがあります(ただし他のより具体的な項が優先)。
- この部注で他章に飛ぶ代表パターン:
- ストリップ等の扱いで繊維かプラスチックかが変わり、第39類へ寄る
- 製品にしたものの定義に当たらず、生地の章(第50類〜第60類)へ戻る
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 注1:第1節(6301〜6307)は、繊維製品のうち製品にしたものに限る、という入口条件です。
- 注2:第1節は第56類〜第62類の物品と、6309の中古衣類等を含まない、という整理です。
- 注3:6309は、対象品目が限定されるうえ、使い古しの外観と、ばら積みやベール等での提示という二つの要件を両方満たす必要があります。
- 用語定義(定義がある場合):
- 6304.20の対象は、号注で特定の殺虫剤を含む処理をした経編生地から製造した物品、として整理されています。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 6306の説明では、傘テント(66.01)を含まないことや、バックパック等(42.02)、詰物をした寝袋等(94.04)、子供用遊戯テント(95.03)の除外が示されています。
- 6307の説明では、96.19のおむつ等が除外として明示されています。
4. 類注が分類に与える影響(どこでコードが変わるか)
- 影響ポイント1:製品にしたもの判定で、第63類に入るかが決まる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 裁断形状(長方形以外か)
- 縁処理(縁縫い、房付け、熱溶着など)
- 組立て(縫製、接着、その他の方法で完成品になっているか)
- 単に裁断しただけかどうか
- 現場で集める証憑:
- 仕様書、工程図、製造方法の説明
- 仕上げの写真(縁処理の有無が分かるもの)
- サンプルまたは現物写真(全体形状が分かるもの)
- 誤分類の典型:
- 裁断しただけのシートを第63類の製品にしたものと扱ってしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:6309(中古衣類)の類注要件で、6309になるかが決まる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 使い古しの外観が明らかか
- ばら積み、ベール、サック等で提示されているか
- 現場で集める証憑:
- 梱包仕様(ベール写真、梱包明細)
- 仕分け工程の記録(再使用向けか、ウエス原料か)
- 品質検査レポート(汚れ、破れの程度)
- 誤分類の典型:
- 個別包装で小売向けに整えた中古衣類を、条件確認なしに6309で申告してしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:6304.20(特定処理の蚊帳等)の該当性で号が変わる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 経編生地かどうか
- 特定の殺虫剤で浸漬または塗布しているか
- 現場で集める証憑:
- 成分表、SDS、処理証明書
- 生地仕様(編み組織、製法)
- 誤分類の典型:
- 処理の有無を確認せず、6304.99などへ寄せてしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント4:6306(テント類)で、仮設の日よけテント等が明確化された
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- テントとしての構造(屋根と側面、フレーム等)
- 屋外の気象要素から保護する用途
- 除外品(66.01、95.03等)に当たらないか
- 現場で集める証憑:
- 商品カタログ、取扱説明書、組立説明
- セット内容(ペグ、ロープ等)
- 誤分類の典型:
- イベント用の仮設日よけテントを、その他の布製品(6307)に入れてしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:裁断しただけの不織布シートを第63類に入れる
- なぜ起きる:見た目がシーツやカバーに見え、用途名だけで判断してしまう
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):製品にしたものの定義に当たる仕上げがあるかを確認します。日本の解説でも、単なる長方形裁断の不織布シーツ等は除外例として示されています。
- 予防策:
- 縁処理の有無が分かる写真をサプライヤーから入手
- 工程図で、縫製や熱溶着工程の有無を確認
- 間違い:清掃用クロスをキッチンリネン(6302)として申告する
- なぜ起きる:台所で使う=キッチンリネン、と短絡しやすい
- 正しい考え方:清掃用クロスは6307.10として独立しており、用途で切り分けます。
- 予防策:
- 用途説明(床掃除、皿洗い、ダスター等)をインボイス品名に反映
- 販売チャネルと商品カテゴリ(清掃用品かリネンか)を確認
- 間違い:イベント用の仮設日よけテントを6307(その他)に入れる
- なぜ起きる:金属フレームがあると「繊維製品ではない」と誤解しやすい、またはテントの定義が曖昧に感じる
- 正しい考え方:HS2022の6306では、テントに仮設の日よけテント等が明示され、解説でも具体像が示されています。
- 予防策:
- 屋根と側面の構造、屋外保護用途を仕様書に明記
- 66.01の傘テントや95.03の遊戯用テントに当たらないことを確認
- 間違い:詰物をした寝袋をキャンプ用品(6306)に入れる
- なぜ起きる:「キャンプで使う」用途だけで判断してしまう
- 正しい考え方:解説上、詰物をした寝袋等は94.04に除外されます。
- 予防策:
- 詰物の有無、寝具としての性格(保温構造)を確認
- 商品仕様に中綿材、構造を記載
- 間違い:バックパック等をキャンプ用品(6306)として扱う
- なぜ起きる:キャンプ用品の一部と誤認しやすい
- 正しい考え方:解説上、ナップサック等は42.02に除外されます。
- 予防策:
- 「収納容器」か「キャンプ用具」かを用途・形状で切り分け
- 42.02の該当性チェックリストを社内で整備
- 間違い:中古衣類を、条件確認なしに6309で申告する
- なぜ起きる:中古衣類=6309、と覚えてしまいがち
- 正しい考え方:6309は類注で要件が明示され、使い古しの外観と、ばら積みやベール等での提示が両方必要です。
- 予防策:
- 梱包形態の写真を必須資料にする
- インボイス品名に「baled」「in bulk」等の提示形態を反映(実態に合わせる)
- 間違い:おむつ等の衛生用品を6307.90に入れる
- なぜ起きる:繊維が使われているので6307の受け皿に入れてしまう
- 正しい考え方:6307の除外として96.19が明示されており、衛生用品は96.19側の検討が必要です。
- 予防策:
- 製品の機能(吸収体、衛生用品)を明確化
- 96.19の国内コード細分や規制も別途確認
- 間違い:PPストリップ織りの袋を、幅や素材の確認なしに6305.33へ入れる
- なぜ起きる:見た目が同じでも、素材の扱いで繊維かプラスチックかが変わることが認識されにくい
- 正しい考え方:部注では、一定幅を超えるプラスチックストリップ等は繊維製品の範囲から外れる整理があります。6305.33は繊維材料としてのストリップ等を前提にしているため、仕様確認が必要です。
- 予防策:
- サプライヤー仕様書でストリップの見掛け幅を必須項目化
- 材料が繊維材料として扱われる前提を説明資料に残す
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。例えば、同じ「袋」でも6305と42.02ではPSRが変わり得ます。分類を誤ると、材料のHS、工程要件、RVC計算の前提が連鎖的に崩れます。
- よくある落とし穴:
- 最終製品は第63類でも、材料(生地、糸、部材)のHSが別章に分かれる
- セット(6308)を、材料の寄せ集めとして扱ってしまい、PSRの起点がずれる
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 協定によって参照しているHS年次が異なります。必ず協定本文、附属書(PSR表)または運用ガイダンスで参照HS版を確認してください。
- 第63類はHS2017で6304.20が新設されており、HS2012ベースのPSR表を使う場合は対応関係を必ず確認する必要があります。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
- まずHS6桁の対応を相関表で押さえた上で、協定のPSR表が要求する章変更や号変更の条件に照らして、材料側のHSも含めて再評価します。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 必要データ:
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
- 非原産材料のHS(材料が生地なのか付属品なのかを区分)
- RVC計算の前提(控除対象の範囲)
- 証明書類・保存要件(一般論):
- サプライヤー証明、製造工程資料、インボイス、船積書類を協定の保存年限に合わせて保管
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 文言修正、範囲の明確化 | 6306(項) | テントの範囲として、仮設の日よけテント等(temporary canopies and similar articles)が明示された | イベント用の仮設テントや簡易シェルターの分類検討で、6306の根拠が示しやすくなる。従来6307等へ誤分類しやすかった案件の再点検が有効 |
7-2. 違うことになった根拠(必須)
- 根拠資料として、WCOのHS2017条文とHS2022条文の第63類(63.06の見出し文言)を突合しました。HS2017ではテントが単にtentsと表現されている一方、HS2022ではtentsに仮設の日よけテント等が括弧書きで明示されています。
- このため、HS2022では6306の解釈として、仮設の日よけテント等がより直接的に含まれることが明確になったと整理しました。
- なお、HS6桁のコード体系(6306.12、6306.22など)はHS2017とHS2022で同一であり、コード新設や削除ではなく、見出し文言の明確化が中心です。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第63類は、HS改正ごとに大きな章立て変更は多くない一方で、特定用途の独立や、低取引量を理由とした統合が起きています。以下は確認できた主要点です。
| 版の流れ | 主要な追加・削除・再編 | 旧コード→新コード(代表) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| HS2002→HS2007 | 6306(ターポリン・テント等)で複数の号が削除され、整理が実施 | 例:6306.11等の削除、6306.19等への整理 | 相関表の備考に低取引量による削除等が記載 |
| HS2007→HS2012 | 6306.91と6306.99が統合され、6306.90が新設 | 6306.91/6306.99→6306.90 | 相関表の備考に統合理由が記載 |
| HS2007→HS2012 | 6307.90の一部が96.19側へ移る整理が示される | 6307.90の一部→96.19(衛生用品) | 相関表で96.19に関する備考参照が付与 |
| HS2012→HS2017 | 6304.20(特定の処理をした蚊帳等)が新設 | 6304.91→6304.20等(ベッドネットを独立) | 相関表で6304.20新設の備考あり |
| HS2017→HS2022 | 6306の見出し文言が明確化 | コード変更なし | HS条文比較 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名:古着を6309で申告したが、提示形態が要件未充足
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):6309は使い古しの外観と、ばら積みやベール等での提示が必要。個別包装での提示などは要件に合わない可能性。
- 起きやすい状況:ネット販売用に個別袋詰めした中古衣類をまとめて輸入する
- 典型的な影響:コード更正、追加資料要求、検査強化、納期遅延
- 予防策:梱包形態と現物状態の写真を事前に揃え、6309要件を満たす提示になっているかを確認
- 事例名:仮設日よけテントを6307で申告して差戻し
- 誤りの内容:HS2022の6306には仮設の日よけテント等が含まれる趣旨が明確化。6307は受け皿だが、より具体的な6306が優先。
- 起きやすい状況:フレーム付きのため分類が揺れ、その他扱いにしてしまう
- 典型的な影響:更正、追加納税の可能性、通関遅延
- 予防策:用途説明、構造説明、セット内容の資料を整備し、6306で説明可能にする
- 事例名:不織布シートを製品にしたものとして申告し、実は生地扱い
- 誤りの内容:部注の製品にしたものの定義に当たらない可能性(単なる裁断)。日本の解説でも除外例がある。
- 起きやすい状況:使い捨てシーツやカバーを、見た目で寝具リネンに寄せる
- 典型的な影響:分類更正、原産地規則の再判定、納期遅延
- 予防策:縁処理や仕上げ工程の有無を確認し、必要なら材料章側も同時に検討
- 事例名:殺虫剤処理蚊帳の処理内容が不明で号が確定できない
- 誤りの内容:6304.20は処理内容が特定されており、該当性資料がないと判断が止まる。
- 起きやすい状況:支給品や寄付品でSDSや処理証明が付かない
- 典型的な影響:保留、追加資料要求、検査
- 予防策:成分表、処理証明、仕様書を船積前に回収し、物質名と処理方法を明確化
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- その他の許認可・届出
- 中古衣類や中古繊維製品は、知的財産侵害品(偽ブランド等)のリスク管理が重要です(一般論)。また、国内販売では家庭用品品質表示法や家庭用品規制法への対応が必要になる旨が案内されています。
- ぼろ・ウエス等(6310)や中古繊維物品は、状態や実態によって廃棄物と判断される可能性があり、その場合は廃棄物処理法やバーゼル法に基づく申請等が必要になる、という整理が環境省の案内に示されています。
- その他の許認可・届出
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
- 日本税関の輸入手続・分類関連情報(事前教示制度、分類事例など)
- 廃棄物該当性が疑われる場合:環境省の廃棄物等の輸出入手続の案内、必要に応じ経済産業省・環境省への申請窓口
- 実務での準備物(一般論)
- 仕様書、写真、材質・構造説明、用途説明
- 中古品の場合:梱包形態の写真、状態説明、再使用目的の説明資料
- 廃棄物該当性が論点の場合:売買契約書、価値の説明、選別工程、再生利用計画など
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 製品にしたものの要素があるか(縁処理、組立て、成形など)
- 用途は何か(リネン、清掃、包装、テント、中古衣類、ぼろ等)
- 材質(綿、合繊、その他)、メリヤスか否か、印刷の有無
- 中古品なら、外観と梱包形態が6309要件を満たすか
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 6306なら、66.01、94.04、95.03等の除外に当たらないか
- 6307なら、96.19等の除外がないか
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名に用途と形状を入れる(例:cleaning cloth、tarpaulin、baled worn clothing等)
- 仕様書、写真、カタログをセットで準備
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が参照するHS年次を確認し、必要なら旧新対応を取る
- 材料のHSと工程の整合を確認
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 中古衣類・ぼろは、廃棄物該当性の論点がないか確認
- 国内販売時は品質表示等の法令対応を確認
12. 参考資料(出典)
- WCO
- HS Nomenclature 2022, Chapter 63(参照日:2026-02-24)
- HS Nomenclature 2017, Chapter 63(参照日:2026-02-24)
- 日本(税関・公的機関)
- 日本関税率表 解説 第63類(63r.pdf)(参照日:2026-02-24)
- 日本関税率表 第11部注(F11b.pdf:製品にしたものの定義等)(参照日:2026-02-24)
- 税関協定相関表(HS2017-HS2012、HS2012-HS2007、HS2007-HS2002)(参照日:2026-02-24)
- 日本の関税率表掲載一覧(年度更新の確認用)(参照日:2026-02-24)
- JETRO 貿易・投資相談Q&A(衣料品の輸入手続き:日本。国内販売時の法令対応に言及)(参照日:2026-02-24)
- 環境省
- 廃棄物等の輸出入の手続(廃棄物該当時の申請先等)(参照日:2026-02-24)
- その他
- 日本税関(英語)分類事例・事前教示制度等への導線(参照日:2026-02-24)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
