HS2022 第62類:衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものを除く。)(Articles of apparel and clothing accessories, not knitted or crocheted)

類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 織物製の男子用コート、アノラック、ウインドジャケット等(6201)
    • 織物製の女子用コート、ケープ、アノラック等(6202)
    • 織物製のスーツ、ジャケット、ズボン、スカート、ワンピース等(6203、6204)
    • 織物製のシャツ、ブラウス(6205、6206。ただし類注の定義に注意)
    • 乳児用(身長86cm以下)の衣類・附属品(6209)
    • 不織布や被覆織物など特定生地で作られた衣類(6210。類注で優先分類)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • メリヤス編み又はクロセ編み(ニット)の衣類(原則として第61類へ。例外として6212は第62類)
    • 中古の衣類・中古品としての衣類(6309)
    • 整形外科用機器、外科用ベルト、脱腸帯等(9021)
    • 履物(第64類)や帽子(第65類)など、衣類に見えても章が別のもの(部注の除外に該当しやすい)
    • そもそも「衣類」ではなく、生地や材料の段階のもの(例:被覆織物は第59類、布帛は第50〜55類・第58類など。製品かどうかの判定が鍵)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • ニットか、織物か(第61類と第62類の分岐。6212は例外)
    • 6210に該当する生地で作られた衣類か(該当すると他の項より6210が優先されます)
    • 6205/6206(シャツ・ブラウス)に入るか、ポケット位置や裾仕様などで別項になるか(類注で明確に除外されます)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 6201/6202(コート類)はHS2022で6桁の構造が再編されています。HS2017コードのまま運用すると、原産地規則(PSR)や社内マスター、通関データが崩れる典型になります。
    • 小売用にセットで提示されても、衣類同士で項が異なるなら各項で別々に分類されるという部注(第11部注14)を見落とすと、全体を誤ったコードで申告しやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:見出し(項)と注(部注・類注)でまず決めます。第62類は、類注が具体的な優先ルールや定義(乳児用、6210優先、ハンカチ寸法など)を持つため、品名より注が強い場面が多いです。
    • GIR6:6桁(号)まで落とすとき、繊維素材別(綿、毛、合成繊維など)の分岐が中心になります。
    • GIR3:異素材の複合(例:織物本体に樹脂被覆、部分的にニットメッシュ、パッド付き等)では、どの要素が本質的特性か、または特定の優先規定があるかを検討します。特に衣類の場合、6210のような優先ルールがあるとGIR3より先に効くことがあります(「同時に属するとみられる場合は6210」)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 編み方(ニットか織物か)、生地の分類(不織布、被覆織物など)、用途(下着か外衣か、スポーツ用か)、性別区分(前合わせ等)、サイズ(乳児用の身長基準)、寸法(ハンカチかスカーフか)を確認します。
    • 「製品にしたもの(made up)」かどうかの確認も重要です。反物や単なる裁断片は衣類ではなく、部注で定義される「製品にしたもの」に該当する加工状態である必要があります。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは衣類または衣類附属品ですか
    • いいえ:第62類以外(例:帽子は第65類、履物は第64類、バッグは第42類など)を検討します。
  • Step2:メリヤス編み又はクロセ編み(ニット)ですか、それとも織物等ですか
    • ニット:原則として第61類。ただし、コルセット類等(6212)は「ニットであっても」第62類に残る例外です。
    • 織物等:Step3へ
  • Step3:「製品にしたもの(made up)」ですか
    • いいえ:反物・生地・材料側の章(第50〜60類、第59類など)を検討します。
    • はい:Step4へ
  • Step4:中古衣類(6309)や整形外科用ベルト等(9021)に当たりませんか
    • 当たる:第62類から除外です。
    • 当たらない:Step5へ
  • Step5:乳児用(身長86cm以下)ですか
    • はい:6209(同時に他項に見えても6209が優先)
    • いいえ:Step6へ
  • Step6:生地が56.02、56.03、59.03、59.06、59.07のいずれか(またはそれに該当する加工生地)で作られた衣類ですか
    • はい:6210(6209を除き、同時に他項に見えても6210が優先)
    • いいえ:Step7へ
  • Step7:用途と形状で項(4桁)を決めます
    • 外衣のコート類(6201、6202)、スーツやズボン等(6203、6204)、シャツ・ブラウス(6205、6206)、下着・寝間着等(6207、6208)、スポーツ用等その他衣類(6211)、コルセット類(6212)、スカーフ・ハンカチ・ネクタイ・手袋等(6213〜6216)、その他附属品・部分品(6217)を検討します。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第61類と第62類:ニットか織物か。6212だけは例外で第62類です。
    • 6205/6206(シャツ・ブラウス)と、6201/6202/6203/6204(ジャケット等):ポケット位置や裾の絞り仕様で類注上、6205/6206から除外されます。
    • 6213(ハンカチ)と6214(スカーフ等):正方形またはほぼ正方形で、辺が60cm以下かどうかが分岐点です。
    • 6210とその他衣類:生地が該当するかが最優先の分岐です。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:
    • 第62類は項数が多すぎないため、全列挙します(6201〜6217)。内容はHS2022の項構造に基づき要約しています。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
6201男子用のコート類、アノラック等(6203除外)メンズコート、ウインドジャケット6203(スーツ等)との線引き。性別判定は類注9も参照
6202女子用のコート類、アノラック等(6204除外)レディースコート、ケープ6204(スーツ等)との線引き。性別判定は類注9も参照
6203男子用スーツ、ジャケット、ズボン等(水着除外)メンズスーツ、ジャケット、スラックス「スーツ」「アンサンブル」定義は類注3。セットでも部注14で別分類になる場合あり
6204女子用スーツ、ジャケット、ワンピース、スカート、ズボン等(水着除外)レディーススーツ、ワンピース定義は類注3。性別判定が難しい場合の扱いも重要
6205男子用シャツドレスシャツ、カジュアルシャツ類注4で、ポケット位置や裾の絞りがあると除外。袖なしも除外
6206女子用ブラウス、シャツ等ブラウス、シャツブラウス、チュニック系類注4で、ポケット位置や裾仕様により除外され得る
6207男子用の下着・寝間着・ガウン等トランクス、パジャマ、バスローブ「下着か外衣か」「用途表示」も実務では確認
6208女子用の下着・寝間着・ガウン等スリップ、ナイトウェア、ガウンサニタリー関連品はHS2012で別見出し(9619)へ移った経緯があり、旧コード運用に注意
6209乳児用衣類・附属品ベビー服、ベビー用付属品身長86cm以下。類注5で他項より優先
6210特定生地(56.02、56.03、59.03、59.06、59.07)で作った衣類不織布ガウン、被覆織物のレインウェア等類注6で6209以外より優先。生地側の分類確認が鍵
6211トラックスーツ、スキースーツ、水着、その他衣類水着、スキーウェア、スポーツ用パンツスキースーツ定義は類注7。水着は6211内で性別区分あり
6212ブラジャー、ガードル、コルセット等とその部分品(ニット可)ブラ、補整下着、ストラップ部品「ニットでも可」の例外。整形外科用途は9021除外の可能性
6213ハンカチ綿ハンカチ類注8で60cm以下がハンカチ
6214ショール、スカーフ、マフラー等スカーフ、ストール類注8で60cm超がこちらへ
6215ネクタイ、蝶ネクタイ等ネクタイ素材別の号に分岐
6216手袋、ミトン等布手袋、作業手袋6桁は6216.00のみ(HS)
6217その他の衣類附属品、衣類等の部分品(6212除外)パッド、腕章、衣類の部分品6212の部分品は6212側。何の「部分品」かが分岐

(注)表は実務向けの要約です。法的には各見出しと注を必ず確認してください。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • 素材(綿、毛、合成繊維、人造繊維、その他)
      • 第62類は6桁で素材別に割れている箇所が多く、成分表示や混用率がそのまま分類に直結します。
    • 性別区分(男子用か女子用か)
      • 前合わせ(左前か右前)を基本ルールとしつつ、裁断で明確に判別できる場合は裁断を優先します。判別できない場合は女子用側に寄せるというルールがあります。
    • 乳児用(6209)
      • 身長86cm以下かどうかが基準です(年齢ではありません)。
    • 6210該当(生地要件)
      • 不織布(56.03)や被覆織物(59.03等)で作った衣類は、見た目がコートやジャケットでも6210が優先され得ます。
    • 寸法(6213と6214)
      • 60cmのラインが明確な分岐です。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 6201.20/6201.30/6201.40/6201.90(男子用コート類の素材別)
      • どこで分かれるか:表地の繊維素材(毛、綿、合成繊維、その他)
      • 判断に必要な情報:組成(混用率)、表地・裏地の材質、該当する「繊維素材の優先ルール」(部注2の混用ルール等)
      • 典型的な誤り:製品名が「コート」だからと素材確認を省略し、誤った号を選ぶ
    • 6205(男子用シャツ)と6201/6203(外衣・ジャケット等)の境界
      • どこで分かれるか:ポケットの位置(ウエストより下のポケットがあると6205/6206に入らない)、裾の絞り(ゴム編み等)があると6205/6206に入らない、袖なしは6205に入らない
      • 判断に必要な情報:実物写真(前後、ポケット位置、裾仕様)、仕様書、型紙イメージ
      • 典型的な誤り:「シャツ型に見える」だけで6205/6206に決める
    • 6210(特定生地の衣類)と、それ以外(6201〜6204、6211等)
      • どこで分かれるか:生地が56.02/56.03/59.03/59.06/59.07に該当するか。該当し、かつ6209以外と競合するなら6210が優先。
      • 判断に必要な情報:生地の分類根拠(不織布か、被覆・含浸・積層の有無と程度)、生地メーカー資料、試験結果や断面情報
      • 典型的な誤り:見た目が「レインコート」「ガウン」なので6201/6202/6211に入れてしまい、6210を落とす
    • 6213(ハンカチ)と6214(スカーフ等)
      • どこで分かれるか:正方形またはほぼ正方形で、各辺が60cm以下なら6213。いずれかの辺が60cmを超えるなら6214。
      • 判断に必要な情報:寸法(包装表示ではなく実測が安全)、形状(正方形か長方形か)
      • 典型的な誤り:「ハンカチとして販売」だけで6213に固定し、サイズを確認しない
    • 6203/6204(スーツ・アンサンブル)と「セット販売」の扱い
      • どこで分かれるか:スーツ・アンサンブルの定義を満たすか(類注3)。一方で、異なる項に属する衣類は小売用セットでも各項に分類(第11部注14)。
      • 判断に必要な情報:セット内容、各アイテムの個別仕様、同一生地か、サイズの適合、構成(上衣1点と下衣1点等)
      • 典型的な誤り:セット販売=アンサンブルと誤解し、全体を1コードにしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第11部注7:繊維製品で「製品にしたもの(made up)」の定義があり、衣類やスカーフ等に到達する前提条件になります。
    • 第11部注14:第61.01〜61.14および第62.01〜62.11の衣類は、異なる項に属するなら小売用のセットでも各項に分類します。衣類セットの取り扱いで最も事故が起きやすい条文です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:女性用の衣類セット(ズボン、チュニック、ショール)を同梱して小売用に提示しても、ズボンは6204、チュニックは6206、ショールは6214のように分離して分類されます(第11部注14の典型例)。
    • 例:刺しゅう布とスカーフを小売用にセット提示しても、布側が未製品なら生地側に残り、スカーフは6214というように分離されます(製品にしたものかどうかが鍵)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第11部注1の除外により、履物(第64類)、帽子(第65類)、毛皮製品(第43類)などへ飛ぶケースがあります。衣類の周辺商品ほど注意が必要です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第62類は「織物などの紡織用繊維の織物類を製品にしたもの」に限定され、ニットは原則除外(ただし6212は例外)です。
    • 6209(乳児用)は身長86cm以下が定義で、他項と競合しても6209が優先されます。
    • 6210は、他項(6209を除く)と競合しても6210が優先されます。
    • 6205/6206(シャツ・ブラウス)は、ポケット位置や裾仕様で明確に除外される衣類があります。
    • 6213/6214は60cm基準が明示されています。
    • 性別判定(前合わせ)と、判別不能時の扱い(女子用に寄せる)が定められています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「スーツ」「アンサンブル」:構成、同一生地、サイズ適合などの条件が定義されています。
    • 「シャツ」「シャツブラウス」「ブラウス」:袖の有無、開きの有無、フィット感などの説明があり、6205/6206の範囲判断に直接効きます。
    • 「スキースーツ」:外観・風合による識別と、構成パターンが定義されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 中古衣類:6309
    • 整形外科用等:9021

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:第61類か第62類か(ニットか織物か)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 生地の組織(編物か織物か)、商品仕様書、サンプル写真
    • 現場で集める証憑:
      • 生地規格書、素材ラベル、拡大写真、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • 「ジャケット」など品名で決め、編物か織物かを確認しない
        根拠:第62類はニットを原則除外(6212を除く)
  • 影響ポイント2:6210の優先(不織布・被覆織物等で作られた衣類)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 生地が56.02/56.03/59.03/59.06/59.07に該当するか
    • 現場で集める証憑:
      • 生地メーカーの品番資料、被覆の有無(樹脂コート等)、不織布の仕様、場合により試験成績
    • 誤分類の典型:
      • 見た目がコートやガウンなので6201/6202/6211に入れ、6210優先を見落とす
        根拠:第62類注6および6210の見出し
  • 影響ポイント3:6205/6206(シャツ・ブラウス)からの除外条件
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ウエストより下のポケット有無、裾の絞り(ゴム編み等)、袖の有無
    • 現場で集める証憑:
      • 前後写真、仕様書、ポケット位置図、裾仕様の写真
    • 誤分類の典型:
      • 「シャツ」表記だけで6205/6206に固定
        根拠:第62類注4
  • 影響ポイント4:乳児用(6209)優先と身長86cm基準
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 対象身長、サイズ表記、対象年齢ではなく身長
    • 現場で集める証憑:
      • 商品タグ、カタログのサイズ表、仕様書
    • 誤分類の典型:
      • 「ベビー用」表示だけで6209に入れ、86cmを超えるサイズを混ぜてしまう
        根拠:第62類注5
  • 影響ポイント5:6213と6214の60cm分岐
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 形状(正方形か)、各辺の実測(60cm以下か超えるか)
    • 現場で集める証憑:
      • 実測記録、図面、商品ラベル
    • 誤分類の典型:
      • 「ハンカチ」「スカーフ」という販促名で決め、寸法を見ない
        根拠:第62類注8

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ニット衣類を第62類で申告する
    • なぜ起きる:見た目がシャツやジャケットでも、編物か織物かを確認していない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第62類は原則としてニットを除外(6212を除く)
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 生地組織は編物ですか織物ですか
      • 生地規格書、サンプル、拡大写真を回収
  2. 間違い:小売用の衣類セットを1コードで申告する
    • なぜ起きる:セット販売=一体分類という思い込み
    • 正しい考え方:衣類(61.01〜61.14、62.01〜62.11)は、異なる項に属するものはセットでも各項に分類(第11部注14)
    • 予防策:
      • セット内容を明細化(上衣、下衣、附属品を分解)
      • 各アイテムの用途・素材・形状の資料を揃える
  3. 間違い:不織布・被覆織物の衣類を6210でなく6201/6202/6211に入れる
    • なぜ起きる:衣類側だけ見て、生地側の分類(56類・59類)を確認していない
    • 正しい考え方:第62類注6により、6210と他項が競合する場合(6209除く)は6210が優先
    • 予防策:
      • 生地が56.02/56.03/59.03/59.06/59.07のどれかを必ず確認
      • 被覆や含浸の仕様書、試験データをメーカーから入手
  4. 間違い:6205/6206に入らない衣類を「シャツ扱い」で6205/6206にする
    • なぜ起きる:商品名や見た目だけで判断し、類注の除外条件を見落とす
    • 正しい考え方:ウエストより下のポケット、裾の絞りがある衣類は6205/6206に含まれない。6205は袖なしも含まれない
    • 予防策:
      • ポケット位置、裾仕様、袖有無を写真と図面で確認
      • 社内質問例:裾にゴム、ドローコード、リブはありますか
  5. 間違い:乳児用(6209)を年齢基準で判断する
    • なぜ起きる:商品説明が「0〜24か月」など年齢表記中心で、身長の確認をしていない
    • 正しい考え方:6209の定義は身長86cm以下
    • 予防策:
      • サイズ表を身長基準で回収し、86cm超のサイズ混在を排除
  6. 間違い:性別の判定を曖昧なまま6201と6202、または6203と6204を選ぶ
    • なぜ起きる:前合わせと裁断の優先関係を理解していない
    • 正しい考え方:前合わせで原則判定しつつ、裁断で明確に判別できる場合は裁断を優先。判別不能なら女子用側へ
    • 予防策:
      • 前合わせ仕様、型紙情報、商品写真(着用時)を確認
  7. 間違い:ハンカチ(6213)とスカーフ(6214)を販促名で判断する
    • なぜ起きる:「ハンカチとして販売」=6213と思い込む
    • 正しい考え方:60cm基準が注で明示
    • 予防策:
      • 実測(包装表示ではなく現物測定)をルール化
  8. 間違い:6212(コルセット類)と9021(医療用)を混同する
    • なぜ起きる:補整下着と医療用ベルトが外観上似ている
    • 正しい考え方:第62類は9021の整形外科用等を除外。用途・医療的機能の実態が重要
    • 予防策:
      • 医療機器としての位置付け、効能表示、販売チャネル(医療用か一般用か)を確認
      • 必要に応じて税関相談

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します
    • 第62類は素材別の分岐が多いため、最終製品HSを誤ると、PSRが参照する「当該類・項・号」がずれて原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 最終製品だけでなく、主要材料(糸、生地、部材)のHSを誤っている
    • 6210の見落としにより、衣類側のPSRを見てしまう
    • セットを1コードで処理してしまい、各構成品のPSR適用ができない(第11部注14の影響)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 前提(一般論)
    • EPA等が採用するHSコードのバージョンは協定ごとに異なり得ます。税関もその点を明示しており、旧版から新版への移行関係(相関表)を提供しています。
  • 例(ビジネスマンが遭遇しやすい具体例)
    • CPTPP(TPP11)の日本の譲許表はHS2012表記で提供されています。HS2022で運用している社内マスターと突合する際は、相関表で読み替えが必要になります。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 協定のPSRは協定が参照するHS版でまず確認し、必要に応じてWCO相関表や税関提供の相関表でHS2022へ対応付けします。特に第62類はHS2022で6201/6202の6桁構造が変わっているため、読み替えのミスが起こりやすいです。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるべき情報(一般論)
    • 材料表(BOM)、各材料の原産国、非原産材料のHS、原価、工程フロー、外注工程の所在国
    • 生地の工程(織布、染色、被覆、縫製など)がPSR評価軸になることが多いため、工程の場所と内容を証憑化します。
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 税関・協定運用上の保存期間や記載事項は協定・制度(第三者証明か自己申告か)で異なるため、税関や公式ガイドの最新情報に合わせて運用します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更・再編(構造変更)620161.01の構造に合わせ、衣類のタイプ別区分をやめ、素材別区分に整理HS2017コード(6201.11等)を使い続けるとコード不一致が発生。マスター更新と相関が必須
HS2017→HS2022範囲変更・再編(構造変更)620261.02の構造に合わせ、タイプ別区分をやめ、素材別区分に整理6202も同様にコード体系が変化。過去データとの比較に相関が必要
HS2017→HS2022範囲変更(拡大)6210.20、6210.306201/6202の再編に伴い、6210.20/6210.30の対象がそれぞれ6201/6202の全体をカバーする形に拡大6210の該当範囲判断で旧来の理解のまま運用すると、誤分類やPSR誤適用のリスク

根拠資料(概要)は次節で示します。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料
    • WCOのHS2022(Chapter 62)の見出し構造(6201/6202が素材別のサブヘディングで構成されていること)
    • WCO相関表(HS2022-HS2017)Table Iにおける6201・6202の再編説明、および6210.20/6210.30の範囲拡大説明
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • WCO相関表(HS2022-HS2017)Table Iで、6201は「61.01に整合させるための再編」であり、衣類のタイプ別区分がなくなり素材別区分になる旨が説明されています。同様に6202も61.02に整合させる再編と記載されています。これにより、HS2017のように「コート類」と「アノラック類」等で分かれていた6桁群が、HS2022では素材別へ整理されたと判断できます。
    • 同じ相関表で、6210.20および6210.30の範囲が、それぞれ6201・6202の再編後の全体を反映するよう拡大した旨が説明されています。したがって、HS2022では6210.20/6210.30がカバーする衣類タイプの理解を更新すべき、と判断できます。
  • 変更がない場合の扱い
    • 上記以外の第62類の主要項(6203〜6217)について、今回参照したHS2022-HS2017のTable I(範囲変更等をまとめた表)の中では、上記以外の第62類コードに関する変更点は確認されませんでした。実務上は、国内コード細分や各国運用で追加変更があり得るため、輸出入国の最新タリフも併せて確認してください。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理します(主としてWCO相関表Table Iの記載に基づく要約です)。
期間主な追加・削除・再編旧コード→新コード(概要)実務メモ
HS2007→HS20129619.00(衛生用品・おむつ等)の新設に伴い、一部が繊維章から移動。第62類側では、6208.91/92/99、6209.20/30/90、6210.50等の一部が移動対象として示される例:ex6209.20等 → 9619.00(対象部分)過去データで6209等に「おむつ類」が残っている場合、HS2012以降は要注意
HS2007→HS20126211.41の削除(低取引量)により、6211.49側へ整理された扱いが示される6211.41 → 6211.49(相関表上の整理)古いデータや協定参照HSで6211.41が出てくる場合は読み替えが必要
HS2012→HS2017今回参照した相関表(Table I)上、第62類に関する大きな範囲変更としては掲出されていない変更点としての掲出なし(Table Iベース)変更なしに見えても国内細分は変わることがあるため、国内コードは別途確認
HS2017→HS20226201/6202の6桁構造再編、6210.20/6210.30範囲拡大例:6201.11と6201.91等 → 6201.20(素材別に統合)社内マスター、PSR、過去データ比較、通関システムのコード更新が重要

(補足)「ex」は部分移動を意味します。全量移動ではないため、個別品目の実態確認が必要です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):不織布ガウンをコート類で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第62類注6(6210優先)を見落とし、6210ではなく別項で申告
    • 起きやすい状況:品名が「ガウン」「防護服」で、外観だけで6201/6202/6211を選んでしまう
    • 典型的な影響:修正申告、関税差、審査強化、納期遅延
    • 予防策:生地が56.03等に該当するかをメーカー資料で確認し、6210該当性を先に判断
  • 事例名:衣類セットを一括申告してしまう
    • 誤りの内容:第11部注14に反し、異なる項の衣類をセットとして一つの項で申告
    • 起きやすい状況:民族衣装や上下セット、付属ショール等を「一式」でインボイス記載
    • 典型的な影響:品目番号更正、明細分解の再提出、課税価格・統計の修正
    • 予防策:インボイス品名を構成品ごとに分解し、各アイテムの素材・用途・数量を明示
  • 事例名:ハンカチとスカーフの寸法見落とし
    • 誤りの内容:第62類注8(60cm基準)を無視し、6213と6214を取り違える
    • 起きやすい状況:販売名が「ハンカチ」だが実際は大判、または包装表示が不正確
    • 典型的な影響:更正、検査、再分類
    • 予防策:現物実測をルール化し、仕様書に寸法を固定で記載
  • 事例名:性別判定の誤りで6201と6202を取り違える
    • 誤りの内容:第62類注9(前合わせと裁断の優先)を誤適用
    • 起きやすい状況:ユニセックス風デザイン、サンプル写真不足
    • 典型的な影響:税率差がある場合は追徴、統計修正
    • 予防策:前合わせ仕様と裁断差(ウエストライン等)を写真・仕様書で保存

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理します(該当があるものだけ)。
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 衣類そのものに検疫が常にかかるわけではありませんが、繊維製品には化学物質規制(ホルムアルデヒド等)を含む家庭用品規制が関係することがあります。対象や基準は公的資料で確認が必要です。
  • その他の許認可・届出
    • 家庭用品品質表示法(繊維製品の品質表示):繊維組成、取扱い表示などのルールがあり、輸入後の国内販売を想定する場合に実務影響が大きい分野です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 消費者庁(家庭用品品質表示法、繊維製品の品質表示)
    • 厚生労働省(有害物質を含有する家庭用品規制など)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 表示内容の設計(組成表示、取扱い表示等)、材料情報(染料・仕上げ剤を含む)、サプライヤーの適合証明、試験成績書(必要な場合)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生地の組織:織物かニットか
    • 生地の種類:不織布、被覆織物、含浸、積層の有無
    • 仕様:ポケット位置、裾仕様(ゴム・ドローコード等)、袖有無、前合わせ、用途(下着、外衣、スポーツ)
    • 寸法:スカーフ類は実測(60cm境界)
    • サイズ:乳児用は身長86cm以下か
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第62類注4、5、6、8、9が関係しないかを必ず確認
    • セット販売の場合、第11部注14で分離分類が必要か確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名を「衣類一式」ではなく、構成品別に記載(セットは特に)
    • 素材(混用率)をインボイスまたは添付資料で説明
    • 写真、仕様書、カタログを通関資料として整理
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定参照HS版を確認し、必要に応じて相関表でHS2022へ読み替え
    • 材料の原産国、工程の所在、BOM、証憑保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 品質表示(繊維製品)対応の有無
    • 家庭用品規制(化学物質等)該当性

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Section XI Chapter 62(見出し・注)参照日:2026-02-24
    • WCO Correlation Table HS2022-HS2017(Table I)参照日:2026-02-24
    • WCO Correlation Table HS2012-HS2007(Table I)参照日:2026-02-24
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 実行関税率表(2022-01-01)第62類 類注(62r)参照日:2026-02-24
    • 分類例(第62類)参照日:2026-02-24
    • 税関 原産地規則 品目別規則のためのHS検索・相関表案内 参照日:2026-02-24
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP 日本譲許表(HS2012表記)参照日:2026-02-24
    • EPA原産地規則マニュアル(税関)参照日:2026-02-24
  • その他
    • 消費者庁 家庭用品品質表示法(繊維製品品質表示等)参照日:2026-02-24
    • 厚生労働省 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する情報 参照日:2026-02-24

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。