米EUの「関税・通商フレームワーク合意」と日米の相互関税合意を要点比較

米EUの「関税・通商フレームワーク合意」と日米の相互関税合意要点比較したまとめです。(2025/8/22時点


要点

  • 関税の基本線
  • 自動車の発効トリガー
    • EU:EUが関税撤廃立法を“提案”した月の初日から米側が引下げ(遡及可)。Reuters
    • 日本大統領令で実施(準備中)。運用上の「二重課税」不備は修正・還付を米側が約束。Reuters+1
  • 非関税・調達/投資
    • EU電子的送信の関税不課/ネットワーク使用料を導入しないエネルギー$7,500億+AIチップ$400億購入対米投資$6,000億を明示。Trade and Economic Security
    • 日本政府系金融で最大$5,500億の投資ビークル(利益配分1:9で米側優先)、米車の追加試験免除米農産品・エネルギーの調達拡大Ministry of Economy, Trade and IndustryThe White House

主要な違い(ビジネスマン向け早見表)

論点米国―EU日本―米国
米国側の基本関税MFN or 15%(高い方)。15%はMFN+相互関税の合算Trade and Economic Security込み15%(MFNを含む)MFN≧15%は上乗せなしMFN<15%は15%にMinistry of Economy, Trade and Industry
自動車・部品現行27.5%→**15%**へ。EUが関税撤廃立法を“提案”した月の初日から遡及して適用。Reuters27.5%→15%に引下げる方向で大統領令を予告。文書整備は**“数週間以内”**と発言。Reuters+1
鋼鉄・アルミ(232)50%据え置き。将来のTRQ等協議の余地。Reuters公表文書に明記なし(別建ての232措置が継続する可能性、要フォロー)。Ministry of Economy, Trade and Industry
MFNのみの例外航空機・部品/ジェネリック医薬+原料/化学前駆体/コルク等MFNのみ9/1~)。Trade and Economic Security品目の明細提示なし(「日本を他国に劣後させない」方針のみ)。Ministry of Economy, Trade and Industry
デジタル電子的送信への関税不課継続、EUはネットワーク使用料を導入しないTrade and Economic Security特段の明記なし
エネルギー・サプライEUが米産エネルギー$7,500億分を2028年までに調達。AIチップ$400億購入対米投資$6,000億Trade and Economic Security日本が最大$5,500億の投資枠(政府系金融)。米農産品・エネルギー調達拡大。利益配分1:9を明示。Ministry of Economy, Trade and IndustryThe White House
非関税措置自動車の相互承認など規制協力を明記。Trade and Economic Security米国メーカー乗用車を追加試験なく受入れCEV補助金の運用見直しMinistry of Economy, Trade and Industry
文書の確度共同声明(3.5ページ)で条項を明文化ReutersTrade and Economic Security内閣官房の「概要」資料+ホワイトハウスのファクトシート中心正式文書は整備中で運用不備(二重課税)は修正・還付へ。Ministry of Economy, Trade and IndustryThe White HouseReuters

実務解釈のポイント

  • EU向けは“書面化済み”で適用条件が明確/品目例外も列挙
  • 日本向けは“原則15%”の骨格は固いが、運用・適用時期は大統領令の内容を都度確認(通関実務は特に)。Reuters

セクター別の使い分け(具体アクション)

  • 完成車・部品(EU→米)EUの立法“提案”時期に合わせて出荷・通関日を設計遡及を狙った在庫移送・価格見直しを検討。Reuters
  • 完成車・部品(日本→米)HS×MFN×15%の再計算を即実施。二重課税の還付可否大統領令の発効日をフォロー(受注条件は可変条項で)。Reuters
  • 医薬・半導体(EU→米)MFNのみ対象は9/1以降の通関に合わせる(契約インコタームズと価格条項の改定)。Trade and Economic Security
  • 酒類(EU→米)未決分野のため販促・価格は保守的に。Reuters
  • 対米販売のSaaS/配信電子的送信の関税不課を前提に価格モデル再検討(EU案件)。Trade and Economic Security
  • 対米投資計画(日本企業)$5,500億枠の適用条件・利益配分1:9を踏まえ、資金構造とJV条件を設計。Ministry of Economy, Trade and Industry

スケジュール感(公開情報ベース)

  • 7/27(米EU):首脳間で骨子合意。8/21に共同声明自動車は立法“提案”月の初日からReutersTrade and Economic Security
  • 7/22-23(日米):相互関税で**原則15%**に合意。概要資料(日本)、WHファクトシート(米)公表。Ministry of Economy, Trade and IndustryThe White House
  • 8/8(日米):米側が二重課税の不備を修正・還付と表明。自動車15%への引下げは大統領令で実施予定Reuters

相互関税の調査結果(要約)

※プロジェクト基準フォーマット

国名関税率出所備考
アメリカ(対EU:一般品)15%またはMFNの高い方欧州委 共同声明・Reuters Trade and Economic SecurityReuters鋼鉄・アルミは別建て50%。
アメリカ(対EU:自動車・部品)15%(EU立法“提案”月の初日から)Reuters Reuters現行27.5%から引下げ、遡及可。
アメリカ(対EU:鋼鉄・アルミ)50%Reuters Reuters当面維持、将来TRQ協議余地。
アメリカ(対EU:MFNのみ適用)MFN欧州委 共同声明 Trade and Economic Security航空機・部品/ジェネリック医薬+原料/化学前駆体/コルク等。9/1~
アメリカ(対日本:一般品)込み15%(MFN含む)内閣官房 概要(PDF) Ministry of Economy, Trade and IndustryMFN≧15%は上乗せなし/MFN<15%は15%。
アメリカ(対日本:自動車・部品)15%(MFN含む)内閣官房 概要+Reuters Ministry of Economy, Trade and IndustryReuters27.5%→15%。大統領令で実装予定。
アメリカ(対日本:運用)二重課税を修正・還付Reuters ReutersEUにあった“ノースタッキング”条項を日本にも適用へ。

ひとこと総括

  • EU合意は「条文化された枠組み」+具体リストで、運用の見通しが立てやすい。一方、
  • 日米合意は「原則15%」の骨格は明確だが、最終実装(大統領令)と細部運用のフォローが実務カギ。Reuters+1Ministry of Economy, Trade and Industry

日本企業のEPA利用輸出における原産性否認事例10選:その8

仕向国(税関)
ポーランド


適用協定:
日EU EPA

対象商品(HS):
繊維製カーテン (6303)

否認理由
主要生地がASEAN原産で累積不可

ロジスティックでは無料でのFTA業務チェックサービスを行っています。ご関心のある方はこちらからどうぞ

日本企業のEPA利用輸出における原産性否認事例10選:その7

仕向国(税関)
オランダ


適用協定:
日EU EPA

対象商品(HS):
自転車フレーム (8714)

否認理由
RVC55 %基準に達せず

ロジスティックでは無料でのFTA業務チェックサービスを行っています。ご関心のある方はこちらからどうぞ

FTAの影響がこんなところにも

私はセミナーのビデオを撮影し、YouTubeにあげることをしています。

通常はビデオカメラを使いますが、いかんせん運ぶのにかさばる。

そこで今はやりのアクションカメラに手を染めました。コンパクトでそれなりに映像が撮れるのですが、望遠がない。それ故に、セミナーのスライドをプロジェクタで投影したものをビデオで撮ろうとすると、なかなかうまく画角にはまらない。

最近は、カメラでもとてもいい映像が撮れるそうで、コンパクトカメラならばと探すのですが、撮影時間が30分で、セミナービデオには余りにも短すぎる。

なぜ、30分なのか。これはEUでカメラとビデオの境界線が30分だからだそうです。30分以上撮影ができるとビデオになるそうで、30分でビデオ撮影ができなくなるものがほとんどです。

しかし、それも変わってきました。日EU EPAで関税が無税になることから、カメラのビデオ扱いでも関税上問題が無くなり、この制限を破る商品が出てきました。

とても喜ばしいことです。

ただ、カメラで動画をとると、解像度によりカメラが熱を持って止まってしまうのですね。違う事件のチャレンジが必要なんだとよく分かりました。

このことが分かるのに、カメラだらけになってしまいましたが。

JASTPROと在日EU代表部共催セミナーに来ています

今日はJASTPROと在日EU代表部共催セミナーに来ています。

「自己申告制度への対応」

EU特恵原産地制度における証明及び確認事項

IMG-2744

 

250人もの方が参加するそうで、テーブル席はなく、椅子席で4時間。

少し疲れそうです。

セミナーの内容でシェアしたらいいものがあれば、この投稿の下に追加していきます。

グレーブ氏の原産地手続きの概要が終わりました。

資料なしでした。

累積の英語をEUがCumulationを主張し、日本の主張するAccumulationとしたのは面白いですね。

今川氏よりは、EUでのサプライヤ宣誓書の制度に関して。

かなり整備されている印象を受けます。

最後に、グレーブ氏の原産証明の運用に関して。

輸入者の知識はEUでも初めての事だそうです。運用で様々な質問が出ました。

当方の関心としては、宣誓文の扱い。

商業文書に関連が記載されていればいいとの話がセミナーで出ていることもあり、再度確認してみました。

あっさりした回答。

ガイドラインにそう書いてある。という内容の通り。

どこでも出てくる質問なんでしょうね。

「何度も聞くな」

という印象でした。

EUから言質をとるのではなく、書いてあるとおりに進めればいいと前から思っていましたが、なおさらその通りであると追認しました。

 

 

日EU・EPAの正しい運用法はどれなのか

日EU・EPAで、インボイスに別添の宣誓書があることを記載していればOKということになったらしいですが、どこにその記載があるのでしょうか。

あるセミナーでEU側から語られた資料にそれがあるそうです。であれば、セミナーの出席者だけではなく、皆に告知をすべきですし、サイトに明示してほしいものです。

また、協定では記載がないので、遡及ができない判断をしていましたが、EUでは当たり前なので、書いていないだけで、使えるらしいとか。(これは日本側が認めていないため、互恵の観点から使えなくなる可能性があるらしい)使えるなら、その運用方法がわかりません。

実運用を行う側としては困ります。

日本の税関にEUからの輸入コンテナが滞留しているとか。

日本の税関にEUからの輸入コンテナが滞留しているとか。

FTA戦略的活用研究会でのメンバーからの情報です。

日本の税関は、輸入に関して輸出者から原産地証明のほぼ証拠書類を提出するように要求しています。これが通関の遅れになっている原因ではないかと思います。

事実上、検認しながらの通関ですから。

これが常態化すると、EU側が検認の姿勢を強めるのは間違いなく、輸出者にも影響が出るかもしれません。

理由が違うものであればいいのですが。

本日、日EU EPAが発効しますね。

本日、2019年2月1日にいよいよ日EU EPAが発効します。

新聞は記者の理解不足、調査不足でやれワインが値下げするとかでしか記事にしていません。

セミナーの集客をみても、これだけの関心を持ったFTAは初めてかもしれません。

メディア的にはTPP11をよく取り上げますが、代替FTA(EPA)のあるTPP11に比べれば企業の注目度は日EUがはるかに高いです。

その日EUも、運用上の課題を抱えての出発です。

  • インボイス・デクラレーションの手法が現実的ではない
  • 同一産品の定義

企業側も自己証明の対策が出来ていません。何より大事なのが企業のトップが自己証明の具体的なリスクを理解していないこと。

国も企業ももう少し現実を踏まえた対策をしてもらいたいです。

TPP11や日EU EPAでの自己証明による原産地証明書に目が行っている企業が多いですが

TPP11や日EU EPAでの自己証明による原産地証明書に目が行っている企業が多いですが、肝心かなめの原産証明の内容がとても不十分な企業が大変目立ちます。

日EUではインボイスに原産地の宣誓書を書き込む形式です。

分離式でもいいのではないかという日本企業が多く、関心ももっぱらそちらに。

とりあえず証明は後でも、という企業がすくなくありません。

由々しき問題です。

韓国とEUのFTAでは、発効年に60件もの検認が発生しています。

自己証明の便利さゆえに、証明をさぼると大変なことになります。

ロジズティックでは、証明支援や証明が妥当かの監査も行っていますので、さ―ビスをご活用下さい。