大統領令は「Modifying The Scope of Reciprocal Tariffs and Establishing Procedures for Implementing Trade and Security Agreements」です。
何を定めた命令か
4/2のEO 14257で導入した「相互関税(reciprocal tariff)」の適用除外リスト(Annex II)を更新し、同時にHTSUSの技術的改定(Annex I)を指示。署名から**3日後=9/8(米東部)**に発効します。The White House
さらに、他国と結ぶ**「貿易・安全保障の枠組み合意/最終合意」を実装するための手順(セクション3〜6)**を整備。例としてEUとの枠組みを挙げ、「条件を満たせば特定品目の相互関税を0%に下げ得る」と明記しています。The White House
大統領は「Aligned Partners向け潜在的関税調整(PTAAP)」の付属書を設け、米国で産出が乏しい天然資源、一定の農産品、航空機・同部品、特許非存続の医薬系品目などを“0%対象候補”として列挙しました(個別合意の内容次第で国ごとに異なる可能性)。The White House+1
Annexの中身(代表例)
Annex I(HTS改定)には、相互関税の扱いを調整する品目として金(7108.11/12.50/13.10/13.55/13.70/20)、ニッケル関連(7501〜7504、7202.60)、天然黒鉛(2504.10.*)、LED素子(8541.41.00)等のHTSが追加。逆にアルミン酸塩(2818.30.00)や一部樹脂類(3907.*)、**シリコーン(3910.00.00)**などは除外リストから削除されています。The White House
Annex II(適用除外の更新版)・**Annex III(PTAAP)**はPDFで公表されています。The White House
「日米物品協定」は入るのか?
この9/5の命令そのものは、既存の2019年の「日米物品貿易協定(USJTA)」を名指ししていません。本命令は“包括的な実装の仕組み”と“品目候補(PTAAP)”を示した総則です。The White House
ただし日本は前日(9/4)の別個の大統領令「Implementing The United States–Japan Agreement」で個別実装されています。そこでは、日本からの輸入に原則15%のベース関税を適用しつつ、自動車・航空機などを別建てで扱い、天然資源や後発医薬品等は相互関税0%にできる権限を商務長官に委任――といった具体が規定されています(自動車等の取扱いや遡及適用日も明記)。The White House
まとめると、2019年のUSJTAそのものが「9/5命令」に自動的に内包されるわけではなく、2025年に新たに合意された「米日合意」は9/4命令で実装、9/5命令はその実装を可能にする共通フレーム+対象候補品目を提示した位置付けです。The White House+1
Sec. 1(背景) 2025年7月22日の米日フレームワーク合意を受け、その実施として本命令を発出。対日15%ベースライン関税を導入し、米国の製造・安全保障上の必要を満たす。日本側からの米国内5,500億ドル投資等のコミットメントにも触れる。The White House
Sec. 2(一般関税) (a) 日本産品に適用する追加従価税率は、HTSUS欄1の現行税率を基準に決定。欄1が15%未満なら「欄1+追加=15%」。15%以上なら追加は0%。特定税・複合税の処理は令14326(EU扱い)と同様。 (b) これ以外は、令14257(相互関税の基本令)の規定が継続。 (d) 適用は2025/8/7 0:01(EDT)に遡及、過払返金は関係法令・CBP手続に従う。The White House
Sec. 3(航空宇宙) WTO民間航空機協定に該当する**日本産航空宇宙製品(無人機を除く)**には、令14257、鉄鋼・アルミの大統領宣言(9704/9705)、銅(10962)による関税を適用しない。官報告示でHTSUSを改正。The White House
Sec. 4(自動車・部品) 官報告示の効力発生日以降、自動車・部品については、**宣言10908(Section 232自動車)**の追加関税に代えて、欄1が15%未満なら合計15%、15%以上なら追加0%。The White House
Sec. 5(相互関税の適用除外品目) 商務長官は、日本産の国内供給が不足する天然資源、ジェネリック医薬品・原薬・化学前駆体について、**相互関税率を0%**に改める裁量を持つ(合意履行状況や米国の国益等を考慮)。The White House
Sec. 6(監視と修正) 日本のコミットメント履行を商務長官が継続監視。履行不十分の場合は、本命令の修正等で対応し得る。The White House
Sec. 7–9(権限委任・他令との関係・一般規定) 実施のための規則改正・官報告示等を商務長官・国土安全保障長官に委任。既存の宣言・大統領令と矛盾する部分は本命令が優先。本命令は権利発生を意図しない一般条項を含む。署名は2025年9月4日。The White House
関連する前提令(参照条項)
Executive Order 14326(2025年7月31日):EU向けの**「15%ベースライン/15%以上は追加0%」のロジックや、複合税の取扱いを定めた命令。今回の対日取扱いでも同一ロジック**を適用すると明記。The White House