2028年問題への処方箋。日EU・EPA原産地規則の読み替え協議が示す実務の未来


2026年に入り、欧州ビジネスに関わる企業にとって見過ごすことのできない重要な協議が、日本とEUの当局間で開始されました。それは、2028年のHSコード改正(HS 2028)に伴う、日EU・EPAの原産地規則(PSR)の取り扱いに関する公式な対応協議です。

多くの実務家が懸念していた、最新の通関コードと古い協定ルールのズレという問題に対し、当局が現実的な解決策を示そうとしています。本記事では、このニュースの深層にある実務的な課題と、企業が今から準備すべき対応について解説します。

時間が止まった協定と、動き続ける現実

まず、この問題の根本的な原因を整理します。

2019年に発効した日EU・EPAは、その原産地規則の基礎として2017年版のHSコード(HS 2017)を採用しています。条文の中に書かれている品目番号や関税分類変更基準などのルールは、すべて2017年時点の定義に基づいています。

一方で、貿易の現場で使用されるHSコードは、技術革新や環境対応を反映して約5年ごとに改正されます。2022年の改正を経て、次は2028年1月1日に大規模な改正(HS 2028)が予定されています。

ここで大きな矛盾が生じます。

2028年の輸入申告書には、最新のHS 2028コードを記載しなければなりません。しかし、その製品が関税ゼロになるかどうかを判定するルールブック(EPAの規則)は、依然として2017年版のコードを参照しているのです。この11年分のタイムラグが、現場に混乱をもたらす火種となっていました。

読み替え指針がもたらす実務の解像度

通常、EPAの原産地規則を新しいHSコードに対応させるには、協定そのものを改正する転換(Transposition)という手続きが必要です。しかし、これには膨大な時間と議会の承認プロセスが必要となり、2028年の発効には到底間に合いません。

そこで今回協議が開始されたのが、相関表を用いた運用ルールの策定です。

これは、協定の条文を書き換えるのではなく、運用上の解釈ルールを定めることで、HS 2028のコードとHS 2017ベースの規則を橋渡ししようという試みです。具体的には、新旧コードの相関表(Correlation Table)を公式に定義し、新しいコードで申告された製品が、旧コードのどのルールに従うべきかを明確にするガイドラインになると予想されます。

この指針が決まることで、企業は法的安定性を確保しながら、古いルールのまま新しいコードでの通関を行うことが可能になります。

企業に求められる二重管理の徹底

このニュースは朗報ですが、同時に企業に対してある覚悟を求めています。それは、通関用と原産地判定用という2つのHSコードを厳格に使い分ける二重管理体制の構築です。

読み替え指針が出るということは、逆説的に言えば、原産地判定の基準自体はHS 2017から変わらないことを意味します。つまり、2028年になっても、原産地証明の実務においては、あえて10年以上前の古いコード(HS 2017)に製品を当てはめ直し、その当時のルールで関税分類変更基準(CTC)などを満たしているかを確認しなければなりません。

実務の落とし穴

インボイスに記載する最新のコード(HS 2028)だけで原産地判定を行ってしまうと、HSの改正によって項番が変わっていた場合、誤ったルールを適用してしまうリスクがあります。

例えば、ある化学品が2028年版では項が変わったとしても、EPAの判定では2017年版の項に基づいたルール(CTHなど)を適用しなければなりません。この変換作業を誤ることは、事後調査(検認)において特恵否認される典型的なパターンです。

まとめ

今回の協議開始は、当局が2028年の混乱を未然に防ごうとする現実的な動きです。

企業の実務担当者が今すべきことは、社内の製品マスタにEPA判定用HSコード(HS 2017)という項目が確実に存在し、維持されているかを確認することです。

最新のコードさえ分かればよいという運用は、2028年には通用しなくなります。新旧のコードを紐付け、過去のルールを正しく参照できる体制を作っておくことこそが、将来の関税コスト削減を確実なものにします。

HS2028と品目分類アップデートを経営課題に変える方法 2028年1月1日に向けた企業の実務ロードマップ

はじめに

本日届いたメール「Key Updates on HS 2028 and Classification」は、通関担当者だけが読む情報ではありません。HS改正は、関税コストやEPA・FTAの原産地判定、輸出入規制、社内マスタやBIの集計軸まで、企業の意思決定に直結する基盤データの更新です。特にHSの改正は、現場が気づいた時にはシステム改修やデータ整備が間に合わず、誤申告やコスト増に繋がるケースが起きやすいテーマです。

この記事では、メールの要点を踏まえつつ、HS2028の背景、企業に起こる現実的な影響、そして今から取るべき準備を、経営・事業サイドの視点で整理します。根拠は一次情報を優先し、公式発表を中心に組み立てます。wcoomd

まず結論:今日のメールが示す3つの意味

メールの短い文面を、ビジネス視点で言い換えるとポイントは次の3つです。

HS2028はすでに「準備段階」ではなく「実装計画を動かす段階」に入っている

WCOの第75回HS委員会は、2025年3月にHS2028改正勧告(Article 16 Recommendation)を暫定採択しました。 この勧告は2025年末に正式採択され、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効する予定です。 つまり、企業に残された時間は「まだ2年ある」ではなく、「本格対応のための猶予が実質2年しかない」という意味です。strtrade+1​

HS2022からHS2028へのマッピングは、通関だけでなく社内データの変換作業である

メールが示唆する「HS2022→HS2028のマッピング開始」は、単なるコード置換ではありません。多くの場合、旧コード1つが新コード複数に分岐したり、統合されたりします。結果として、商品マスタ、BOM、購買カテゴリ、輸出入統計の集計軸まで影響します。WCOのHS委員会第76回会合(2025年9月)では、HS2022とHS2028の相関表(Correlation Tables)の作成に着手し、改善された形式を採用することで明確性と使いやすさを高める方針が示されました。customsmanager+1​

国別の関税率表・規制の追随で、実際のコストとリスクが確定する

HSは世界共通の6桁ですが、各国はその先の桁で自国の関税率表や統計品目表を作ります。したがって、企業にとっての本番は「自社が輸出入する国で、いつ、どのように関税率表や規制が改正されるか」です。米国ではUSITCが2025年8月にHTS改正のための調査(Investigation No. 1205-032)を開始し、2026年2月に予備案を公表、2026年9月に大統領へ報告する予定です。 これは、主要国がすでに国内実装に動き出していることを示す分かりやすい例です。usitc+1​

HS2028の公式タイムラインを整理する

意思決定で重要なのは、社内の工程表に落とせる形で公式の流れを押さえることです。

2025年3月
WCOのHS委員会第75回会合がHS2028改正勧告(Article 16 Recommendation)を暫定採択しました。 改正パッケージは299セットの改正で構成されています。aeb+2​

2025年6月
WCO理事会がHS2028改正案を採択し、HS条約締約国に回付しました。 締約国は6か月の留保期間中に異議を提起できます。tarifftel

2025年12月末
正式採択の予定です。wcoomd+1​

2026年1月
HS2028勧告が公表されます。 これが企業にとって全体像を把握できる最初のタイミングです。strtrade+2​

2028年1月1日
HS2028が発効し、各国の関税率表・統計品目表が順次HS2028ベースへ切替わります。tarifftel+2​

このスケジュールを見ると、企業が主導できる余地が大きいのは2026年から2027年にかけてです。ここでマスタ整備と影響分析を終えておかないと、2028年直前は各国の実装情報が押し寄せ、火消し型の対応になりがちです。

そもそもHS改正とは何を変えるのか

HSは6桁の国際共通コードで、各国・地域はこれに独自の枝番を付けて関税率表や統計品目表を運用しています。EUでは、HS6桁を土台に8桁のCN(Combined Nomenclature)が構成され、通関や統計に使われます。 つまり、国際共通部分(最初の6桁)が動くと、その上に乗る各国の体系が連鎖的に動きます。siccode

ビジネスに効くポイントは次の通りです。

  • HS改正は「商品名の辞書の更新」ではなく、企業の基幹データキーの更新
  • 同じ商品でも、分類ロジック(用途、材質、機能など)によって別コードになり得る
  • コードが変わると、関税率だけでなく、規制判定や社内集計も変わる

HS2028の方向性:なぜ改正されるのか

HS2028の改正は、単なる整理ではなく「政策目的を持ったアップデート」です。299セットの改正は、貿易パターンの変化、新技術の登場、そして社会・環境・安全保障上の要請に対応するためです。 具体例として、プラスチック廃棄物、ワクチン等の健康関連品目、農業分野で重要度が増した品目群、食品強化用のミックス、食品サプリメント、eバイク、半導体やトランスデューサ、清掃ロボット、ドローンなど、新製品・市場変化を踏まえた分類の整合が含まれます。aeb+2​

この点は経営層にとって重要です。なぜならHS改正は、次のような企業リスクを「構造的に増やす」からです。

  • 新技術領域は製品定義が早く変わり、分類根拠が揺らぎやすい
  • 環境・安全保障領域は規制との紐付けが強く、誤分類のペナルティが重くなりやすい
  • 簡素化の名目で統合・削除が起きると、旧データとの連続性が崩れ、集計・比較が難しくなる

「分類」アップデートが企業を揺らす理由

メール題名にあるClassificationは、単にHS改正だけでなく、日々積み上がる分類判断(分類裁定、分類意見、解説書の改正など)も含むと捉えるのが実務的です。

WCOのHS委員会は、HSの統一的解釈のために分類判断や解説の改正を継続的に行っています。第75回会合では105件の改正案、5件の解説注改正を採択し、第76回会合(2025年9月)では40件の分類決定を採択、21件の新規分類意見を作成し、2件の既存意見を削除しました。 また、HS2028とHS2022の相関表の議論も開始されています。wcoomd+2​

ここから導ける実務の教訓は明確です。分類は一度決めて終わりではなく、制度側の判断が積み重なっていく領域です。HS2028の大改正は、その積み重ねが一気に体系変更として表面化するイベントだと言えます。

ビジネスへの影響を「5つの損益項目」で見る

HS改正は通関や貿易管理の話に見えますが、事業PLの要素に分解すると、経営会議で議論しやすくなります。

関税と輸送を含む着地原価(landed cost)

HSコードが変われば、各国の関税率表で適用税率が変わる可能性があります。税率が同じでも、追加要件(統計単位、特別措置、規制コード付与など)が付くことがあります。国別の実装が確定するまで見通しは立ちにくいので、影響が大きい品目から順にシナリオ分析するのが現実的です。usitc

EPA・FTAの原産地判定

多くの協定では関税分類(項、号など)を使って原産地規則を定義します。HSが改正されると、ルールの適用解釈や、協定側の改訂・経過措置が論点になります。調達や生産設計の意思決定に影響するため、貿易管理部門だけに閉じない論点です。

輸出入規制・社内コンプライアンス

HSコードが規制の入口になっているケースは少なくありません。分類の精度がコンプライアンスの前提になります。

需要・売上・粗利の分析軸

HSを商品分類のキーとして社内集計に流用している企業は多いはずです。HS変更は、経営ダッシュボードの前年対比や市場シェア分析の連続性を壊し得ます。ここは財務・経営企画が早めに関与すべき領域です。

取引条件・価格交渉

関税コストが変われば、価格改定や契約条項(関税負担、価格改定条項、長期契約の見直し)に波及します。特にBtoBで長期契約が多い業界は、HS改正が「誰が追加コストを負担するか」の交渉材料になります。

2026年から始める実務ロードマップ

ここからが本題です。HS2028対応は、プロジェクトとして切り出すと成功確率が上がります。おすすめは次の6ステップです。

ステップ1 影響が大きい領域の棚卸し

  • 輸出入額上位の品目
  • 規制対象や監査頻度が高い品目
  • FTA利用比率が高い品目
  • 新技術カテゴリ(例:電子部品、機器、電池、環境関連など)

ステップ2 分類根拠の整備

コードだけを並べても、変更時に判断が揺れます。製品仕様、用途、材質、機能、構造、技術資料など、分類根拠の証跡を揃えます。

ステップ3 HS2022からHS2028へのマッピング設計

相関表を使う場合でも、単純な置換ではなく、分岐・統合の扱いが肝になります。WCO側でも相関表は重要な実装ツールとして議論されています。 社内では「自社の品目がどの分岐に該当するか」を決める必要があります。customsmanager+1​

ステップ4 国別の実装情報を監視する仕組みを作る

HSは各国で枝番と税率が付くため、国別ウォッチが必要です。特に輸出入量が多い国は、官報、税関告示、関税率表改正、関連機関のパブコメなどを定常監視に入れます。米国向け取引がある場合、USITCのHTS改正プロセスのように、ドラフトが公表されるタイミングを先に工程表へ入れられます。starusa+1​

ステップ5 システムとデータのバージョン管理を実装する

HSの年版(例:HS2022、HS2028)と適用期間をデータ項目として持ち、いつの時点でどのHS体系を使ったのかを追える設計にします。ここを曖昧にすると、監査対応とBIの整合が崩れます。

ステップ6 社外パートナーとの同期

通関業者、フォワーダー、海外子会社、主要サプライヤーに対し、いつから何を切り替えるかを共有します。データ連携をしている場合は、マッピングテーブルの配布・受領、テスト計画まで含めます。

経営層が見ておくべきKPI

現場任せにすると、進捗が見えません。次の指標は、経営側でもモニタリングしやすいです。

  • 売上または輸出入額の上位80パーセントを占める品目のうち、HS2028影響分析が完了した比率
  • マッピングで分岐・統合が発生する品目数(ここが工数とリスクの中心)
  • 規制対象品目の再確認完了率
  • 主要国別の実装情報収集状況(ドラフト入手、社内反映、テスト完了)

まとめ:HS2028は一度きりのイベントではない

HS2028は大きな節目ですが、そこがゴールではありません。WCOは継続的にHSの解釈と適用の統一を推進しており、今後も定期的な改正サイクルが続きます。 つまり、企業としては「改正のたびに頑張る」のではなく、「改正に強い運用能力」を作ることが投資対効果の高い戦略になります。wcoomd+1​

HSは通関のための番号に見えて、実態は利益管理と規制対応の共通キーです。今日のメールをきっかけに、2028年の切替を、リスク回避だけでなく、データ基盤整備と意思決定スピード向上の機会として設計していくのが得策です。


  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced
  3. https://www.customsmanager.info/post/wco-hs-decisions-what-changed-hsc-76-customs-manager-ltd
  4. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/october/harmonized-system-committee-concludes-its-76th-session-with-remarkable-outcomes.aspx
  5. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  6. https://starusa.org/trade-news/usitc-investigation-launched-on-2028-harmonized-tariff-schedule-changes-to-align-with-global-standards/
  7. https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php
  8. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  9. https://siccode.com/page/combined-nomenclature-cn
  10. https://global-scm.com/blog/?p=3091
  11. https://www.scribd.com/document/899687945/75
  12. https://www.internationaltradenews.co.uk/issue80/next_edition_of_harmonised_system_to_be_available_from_january_2026.htm
  13. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/hs_classification-decisions.aspx
  14. https://global-scm.com/hscf/archives/466
  15. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx?stf=1
  16. https://catts.eu/wco-wto-updates-april-2025/
  17. https://www.tariffnumber.com/info/combined-nomenclature

HS2028で影響が出そうなコード:予告です

HS2028で影響が出そうな項目がいくつかあります。

それらを項目別に整理して、説明をしていきたいと思います。
 ・今回ではなく次回以降
 ・HSコード専用のブログでご案内します。

もしよろしければ、フォローしてください。

 HSコードの知識とAIによるHSコード・ファインダー (HSCF)

また、これらを簡単にまとめたセミナーを行う予定にしています。ぜひご参加ください。

HS2028改正の全体像

HS2028とは何か

WCO(世界税関機構)が運営する国際共通の商品分類体系「HS」の第8版に相当する改正です。通常は5年ごとに改正されますが、新型コロナ等の影響で今回のサイクルは6年に延長され、次の版は2028年1月1日発効とされています。現在はHS2022が稼働中で、その次の版がHS2028です。

どこまで決まっているのか

2025年3月(HSC第75会期)にWCOのHS委員会(HSC)が、約6年にわたる審議の最終回として以下を暫定採択しました。

  • 299セットのHS2028改正案
  • 105件の改正提案
  • 解説注の改正5件

これらを含む「HS2028向けArticle 16勧告案」により、HS2028の中身(6桁レベル)は技術交渉として決着した段階です。

どんな分野が大きく動きそうか

現時点で公表されている情報や専門ベンダーの分析から、特に影響が大きいと見られている分野は以下の通りです。

エレクトロニクス・IT関連

半導体・電子部品・スマート基板・マルチコンポーネントICなど、デジタル化・高度化した製品群の細分化と再編が進む見込みです。

医薬品・ワクチン関連

WHOのINNリスト(医薬品一般名)と連動した分類見直しが行われ、441品目の医薬物質の扱いが整理されるなど、医薬品セクターでの改正が大きくなります。

グリーン技術・環境関連品目

再生可能エネルギー関連設備、電動化・省エネ機器、環境配慮型製品など、「グリーン商品」の見える化を意識したコード整理が進む見込みです。

デュアルユース・先端技術製品

軍民両用となり得る先端技術製品について、輸出管理・安全保障貿易との連携を意識した分類の明確化が図られるとみられます。

HS2028は「過渡期」版

2025年のWCO会合では、HS全体の構造そのものを見直す「HS2033モダナイゼーション・プロジェクト」の立ち上げも決定しました。HS2028は、現行HS枠組みの中での「テーマ別アップデート」であり、その先のHS2033でのより抜本的な再設計に向けた橋渡しという位置づけです。

採択プロセスとスケジュール

WCOレベルでの流れ

技術交渉の終了(完了済み)

2025年3月(HSC第75会期)にHS委員会がHS2028向けArticle 16勧告案を暫定採択し、6桁レベルの技術交渉は終了しました。

WCO理事会での正式採択(2025年末予定)

上記の勧告案は、2025年中にWCO理事会に付議され、Article 16勧告として正式採択される予定です。WCO・AEOなどの説明では、2025年12月末に正式採択、2026年1月に勧告が公表されるというタイムラインが示されています。

締約国による異議申立期間(概ね6か月)

HS条約(Article 16)では、WCO理事会から各締約国に勧告が通知されてから6か月間、各国が異議を申し立てることができ、異議がなければ勧告は「全会一致で採択されたもの」とみなされる仕組みです。企業実務から見ると、2026年の前半に国際的な法的確定が進むという理解で十分です。

HS2028テキストの公表

WCO・AEOなどの情報によると、2026年1月にHS2028の最終テキスト(6桁レベル)が公表される見込みです。

発効日

HS2028(新しい版)は、2028年1月1日に全世界で発効することが明示されています。

各国関税表・FTAへの落とし込みスケジュール

HSはあくまで「6桁までの国際条約」です。実務に影響するのは、各国がこれを自国の関税・統計・FTAにどう落とし込むかというフェーズです。

2026年から2027年前半:各国の作業フェーズ

日本は関税率表、実行関税率表、輸出入統計品目表、原産地規則付属書などをHS2028ベースに改正します。EU・米国・ASEANなども、自ブロックや自国の関税表や実行関税(TARIC、HTSUS、AHTN等)をHS2028に合わせて整備します。同時に、FTAの品目表・リストルール(ROO)を新HSに合わせて改正する作業が進みます(例:RCEP、日EU EPA、CPTPP等)。

2027年から2028年:並行稼働期・移行期

多くの国が2028年1月1日からHS2028に移行する一方で、一部の途上国等は移行に時間がかかる可能性があります(過去のHS2017、2022と同様)。企業から見ると、国によって「まだHS2022」「もうHS2028」という期間が数年発生することになります。

相関表の活用

WCOは、HS2022とHS2028を結び付ける「相関表(Correlation Tables)」を作成・公表することになっており、これが各国・各企業の「コード変換作業」の基礎になります。

企業にとっての押さえるべきポイント

マスターデータ・ITシステムへのインパクト

HSコードの6桁が変わると、以下のすべてを更新する必要があります。

  • 自社の品目マスター
  • ERP・輸出入管理システム
  • FTA原産地判定エンジン
  • 税率マスタ・統計コード

専門ベンダー(例:欧州のAEB等)は、HS2028への移行が「通関プロセス・マスターデータ・ITシステムに広範な影響を与える」として、早期の影響分析を推奨しています。

関税コスト・原産地(FTA)への影響

HS改正は単なる番号変更ではなく、「どのHSに入るか」が変わることで、MFN関税率が変わる可能性や、原産地規則(CTCルール)の前提となるHSが変わることを意味します。

特に、電動化・グリーンテック・医薬品・先端半導体などは、関税政策・産業政策と連動した細分化が予想されるため、「関税コスト+FTAメリット」の再試算が必要になります。

グローバルで「複数HS年版」が同時に走るリスク

2028年前後数年間は、米国はHS2028を取り込んだHTS(2028版)、EUはCN/TARIC 2028、ASEANはAHTN 2028(採用タイミングは国により差)、他の国はHS2022のままや独自の移行スケジュールといった形で、「国によりHSの版が違う」状態が避けられません。

その結果、同じ商品でも国Aでは旧HS、国Bでは新HSということが起こり得ます。FTAの原産地証明(特にForm・電子原産地証明)で、相手国税関が想定するHS版と、輸出側が使うHS版が食い違うリスクなどが増えます。

HS2033を見据えた中期視点

HS2028の直後には、2028年から2033年の次サイクルで、HS全体をより抜本的に見直すHS2033改正が控えています。よって、HS2028対応の仕組み(コード変換ロジック・ツール・BPO活用など)は、2033年以降も繰り返し使える「仕組み」として設計しておくことが重要です。

企業が今から準備すべきこと

自社品目の棚卸し(HS2022ベース)

現在使用しているHS2022コード・統計品目番号を、品目マスターとして整理・整合させておく(輸出入・販売会社間でのズレを解消)ことが重要です。

HS2028情報のウォッチ体制の構築

WCO・国税庁・税関、ならびに専門ベンダー(TariffTel、AEB等)の情報更新を定期的にチェックする担当者や仕組みを決めましょう。

IT・システム部門との事前連携

2026年から2027年にシステム改修が集中することを想定し、以下について情報システム部門やベンダーと早期に議論を開始します。

  • HSコード桁数・版管理の仕様
  • 相関表をインポートする仕組み
  • FTA原産地判定ロジックのバージョン管理

FTA・原産地業務への影響の洗い出し

主要FTA(RCEP、日EU、CPTPP、日メキシコ、日タイ等)の原産地リストルールがHS2028に改正されるタイミングと内容をウォッチし、自社のサプライチェーン別に「有利・不利」の試算を行います。

社内教育とサプライヤーコミュニケーション

営業・物流・調達向けに「HS2028とは何か・いつから影響するか」の簡易資料を用意します。主要サプライヤー向けにも、将来的に「HS2028版の部品HSコード+原産地情報」を求めることを先に伝えておきましょう。

全体のまとめ

HS2028は、2028年1月1日発効予定の次期HS改正であり、2025年3月時点で技術的な中身(299セットの改正)はほぼ確定済みです。2025年末にWCO理事会がArticle 16勧告を正式採択し、2026年1月にHS2028テキストが公表され、各国が自国制度への落とし込みを開始します。

改正の焦点は、エレクトロニクス・医薬品・グリーンテック・デュアルユース製品など、近年の通商・安全保障政策のホットスポットに集中しています。

日本企業にとっては、関税コスト・FTA原産地ルール・社内マスターデータ・ITシステムの全面的な見直しが不可避であり、2026年から2027年を「移行準備の勝負どころ」と捉える必要があります。

さらに、すでにHS2033に向けた抜本的なモダナイゼーション・プロジェクトが動き始めており、HS2028対応は「一度きりの対応」ではなく、継続的なHS改正マネジメント体制を作る第一歩と位置付けるのが現実的です。

このあたりを押さえておくと、今後の「HS2028センサー改正」「特定品目のコード変更」のような個別論点も、全体戦略の中に位置づけて検討しやすくなります。


HS 2028改正:自動車部品サプライチェーンへのインパクト分析

エグゼクティブサマリー

HS 2028(商品の名称及び分類についての統一システム 2028年版)は、2028年1月1日に発効予定です。改正パッケージは2025年3月のHSC(HS委員会)第75会期で暫定採択済みであり、2025年12月末の正式採択後、2026年1月に条文および新旧対照表(相関表)が公表される見込みです。

今回の改正(299パッケージ)では、**半導体やセンサー(トランスデューサ)**が重点テーマに含まれています。これにより、電装部品や測定機器の領域(第85類・第90類)で分類境界の整理(品目細分の追加、注記の整備)が行われる可能性が非常に高いです。

特に自動車のADAS(先進運転支援システム)や電動化関連コンポーネントにおいてHSコードの再編が予想され、サプライチェーン実務(原産地証明、関税分類、コンプライアンス)への影響は広範囲に及ぶと考えられます。ただし、具体的な品目移動に関する条文レベルの詳細は、2025年11月時点で未公表です。

HSコード(6桁)の変更は、FTA(自由貿易協定)の品目別規則(PSR)の再マッピングを必須とします。これにより、CPTPP、日EU・EPA、USMCAなどで使用する自己申告様式やサプライヤー宣誓書の更新が必要となります。相関表が公表される2026年から発効までの約2年間で、計画的に移行準備を進めることが現実的なアプローチです。


自動車部品サプライチェーンへの主なインパクト

1. 車載センサー・ECU・電装ユニット

センサー類(温度、圧力、加速度センサー、LiDAR/Radar関連)やMEMSデバイスの分類において、第85類(電気機器)と第90類(測定機器)の境界が再整理されると想定されます。

細分の新設や注記の変更が行われた場合、HSコードの変更がPSR(品目別規則)のCTC(関税分類変更基準)やVA(付加価値基準)の条件変更に直結するため、FTA原産判定のロジックに大きな影響を及ぼします。

現時点で「第85類から第90類へ一斉に移籍する」と断定できる一次資料は未公開ですが、ADAS市場の急成長と技術革新を背景に、センサー分類の精緻化が進む見通しです(例:位置センサー、画像センサー、慣性センサーなど)。

2. EV系コンポーネント

HS 2028はグリーン分野(環境関連)や電子分野にも重点を置いており、電池、充電器、電力制御部材の細分化が進む見込みです。

将来的な海外規制(例:EU電池規則など)との整合性強化や、統計把握の精緻化が進むと、これまで参照していた関税率、統計コード、規制適合のための参照コードが変わる可能性があります。

リチウムイオン電池、駆動用電動機、パワーエレクトロニクスといった電動化コンポーネントは、各国の関税政策や補助金制度の対象としても注目されており、正確な分類が一層重要になります。

3. 第87類「部分品」との関係

現行のHS第17部注の規定により、第84類、第85類、第90類、第91類に分類される品目(特掲品)は、原則として第87.08項(自動車の部分品)には分類されません。

したがって、これらの電装部品やセンサーが広範囲に**第87類へ編入(移籍)**されるには、条文または注記の大幅な修正が前提となります。最終的な判断には、2026年に公表される相関表と最終条文の確認が不可欠です。

4. 価格・税率・取引条件への影響

日本のMFN税率(最恵国待遇税率)では無税の品目も多いですが、仕向国によってはHSコードの変更が関税率の変動に直結します。

また、各国の国内法制化(8~10桁レベル)のタイムラグや、特恵関税の適否が変わる可能性を考慮すると、「品番—HSコード—PSR—税率—原産証明」というデータ連鎖全体の再整合が必要になります。


タイムラインと対応の考え方

移行スケジュール(想定)

  • 2025年12月末: WCO(世界税関機構)理事会による正式採択(予定)
  • 2026年 1月: 条文・相関表の公表 → 移行設計の正式スタート
  • 2026年~2027年: 以下の対応を実施
    • 各国の国内細分(8~10桁)改定、FTAのPSR改訂の動向を注視
    • 社内マスタ更新、PSR再判定、各種様式(自己申告書等)の改版
    • サプライヤー(ベンダ)への説明・教育
  • 2028年 1月 1日: HS 2028 発効(※国により適用開始日に若干の差異が生じる可能性あり)

部門別チェックリスト(推奨)

領域やること(要点)成果物/到達点
品番・マスタHS 2022→HS 2028の影響度スクリーニング(特にセンサー、ECU、EV系を優先)6桁影響リスト、再審査対象キュー
原産地/FTAPSRの再マッピング(CTC/VAへの影響確認)、自己申告様式・宣誓書の改版案作成改版テンプレート、取引先配布用ガイダンス
調達・価格税率/特恵の差分試算(主要仕向地×主要品番)コスト影響試算表、見積条件の更新指針
倉庫・通関国内8–10桁への波及を国別に確認し、優先国から運用手順を更新通関SOP(標準作業手順書)改訂、ベンダ教育資料
IT/ERP相関表をコードブックとして取り込み、移行期間中の処理(新旧コード併記)を設計データ移行計画、システム改修要件定義
法務/契約インコタームズや価格条項など、HSコードに依存する契約文言の見直し取引基本契約の付属書改定案

リスクと機会

想定されるリスク

  • 原産不適合リスク: PSR変更(特にCTC)により、従来は満たしていた特恵適格の基準から外れる。
  • 税番相違による遅延・監査: 輸出入申告時のコード不一致による通関遅延や、事後調査での指摘。
  • 多拠点でのコード不一致: 国別の切替時期の差異による、グローバルでのマスタ不整合。
  • 取引条件の再交渉: 顧客図番に紐づく契約や見積(関税条件等)の再提示が必要になる。

移行に伴う機会

  • 特恵最適化: 新設される細分を活用し、より有利なPSRや関税率を適用できる可能性。
  • 正確な統計把握: EV・ADAS関連部品の分類が精緻化され、市場分析や政策対話の根拠データが強化される。
  • 業務プロセスの標準化: マスタ、宣誓書、自己申告書の見直しを機に、業務の標準化や自動化を進め、監査耐性を向上させる。

推奨される初期対応(アクションプラン例)

相関表の公表(2026年1月予定)を待つ間にも、以下の準備に着手することを推奨します。

  1. 影響懸念在庫の特定:センサー、ECU、EV電装部品を中心に、現行のHSコード(6桁)ごとに在庫や取引量をリストアップし、変更の可能性がある「優先監視リスト」を作成する。
  2. PSR影響マップ(草案)の作成:主要FTA(CPTPP, 日EU EPA等)の対象品番について、現行6桁から「想定される新6桁」へ移った場合のPSRへの影響(CTC等)を仮試算する。(※相関表の公開後に確定版を作成)
  3. 書式雛形の改版準備:自己申告書やサプライヤー宣誓書、BOM(部品表)聴取票について、**HS欄を新旧併記(2022年版 / 2028年版)**で管理できるよう、様式のドラフト(案)を用意する。
  4. IT要件定義:ERP等の基幹システムにおいて、HSコードのテーブルを「有効開始日」付きで管理できるよう改修要件を整理する。ラベル、送り状、原産証明書への出力ロジック変更の要否も確認する。

不確定情報の取り扱い(2025年11月時点)

本分析は、2025年11月時点で入手可能な情報に基づいています。「第85類から第90類、あるいは第87類への具体的な品目移動」を示す最終的な条文・相関表は未公表です。

WCOによる2026年1月(予定)の公式発表を正式なトリガーとし、それまではリスク分析と準備作業を進め、公表後に本格的な移行作業へ移行することが推奨されます。

HS2028改正:自動車電装品・センサー類の分類見直しに関する現状整理

AIを活用して、まとめてみました。


公式タイムラインと確定事項

HS2028改正パッケージは、2025年3月のHS委員会(HSC)第75会期で暫定採択され、2025年12月に正式採択、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効するスケジュールが世界関税機関(WCO)により公式に示されています。metalife

改正の規模は、第7次レビューサイクルにおいて105の改正提案、299の改正パッケージが取りまとめられた大規模なものです。EUの対外説明資料では、改正の重点領域として「半導体およびトランスデューサー(各種センサー)」が明記されており、センサー類の分類見直しが進んでいることは高い確度で示唆されています。forbesjapan+1

何が確定し、何が未確定か

確定している情報

改正規模と発効日は2028年1月1日、詳細条文(HS6桁レベルの新旧対照表)は2026年1月に公開予定です。センサーおよびトランスデューサー領域が見直し対象に含まれることもEU資料で確認されています。metalife+1

未確定(未公表)の情報

具体的にどの品目が第85類から第90類(測定・検査機器)または第87類(自動車部品)へ移動するのかという条文レベルの詳細は、2025年11月7日現在まだ公開されていません。特に第87類への「移籍」については、現行の第17部注2(e)~(h)により、第84類・第85類・第90類・第91類に特掲される物品は原則として8708号の「部分品」に含めない取扱いとなっているため、条文改正を伴わない限り広範な第87類編入が一挙に進む可能性は限定的です。detail.chiebukuro.yahoo+1

なぜ「85類→90類/87類」移動の観測が出ているのか

現行のHS2022では、シリコン基板上のMEMS等を含む「シリコンベース・センサー」を8542号(MCO:多部品集積回路)として扱う注記が整備され、電装品(第85類)と測定機器(第90類)の境界が実務上やや複雑化しました。HS2028ではこの境界の明確化や再編が図られると予想されています。roronto

EUの説明文書では「semiconductors and transducers(半導体とセンサー)」と明記され、当該分野の分類見直し(細分化・整序)が含まれることが読み取れます。これが車載センサー(ADAS/電動化関連)への波及観測につながっています。また、WCOがASEAN向けに実施したワークショップでも、HS2028の主要改正領域に「電気機器」「車両」分野が含まれる旨の言及があり、自動車電装とセンサーの交差領域での改正可能性が意識されています。examplesentencemail+1

日本企業への実務インパクト

関税・価格への影響

第85類から第90類への移動については、日本のMFN税率ではいずれも無税品目が多いものの、貿易統計やFTA原産地規則、内外価格差分析への影響は大きい可能性があります。特に第90類への分類変更は測定機器としての性格明確化につながり、品目別規則(PSR)のCTC(関税分類変更基準)やVA(付加価値基準)が変わるケースが想定されます。ds-b

第87類の8708号等へ移動する場合は、現行の第17部注により第84類・第85類・第90類・第91類に特掲される物品は「部分品」に含まれないため、条文・注の改変を伴うか解説書の運用整理に留まるかで影響度が大きく変わります。detail.chiebukuro.yahoo

FTA原産地規則への影響

HS6桁の変更は、PSRの再マッピングを意味します。CPTPP、日EU・EPA、USMCA等のPSRはHS6桁コードに紐付けられているため、自己申告書式やサプライヤ宣誓書のロジック更新が必要となり、2027年中の準備が現実的なタイムラインです。word-dictionary

マスタ・ERPシステムへの影響

HS改正は6桁変更が各国の8~10桁の国内細分へ波及します。品番—HSコード—PSR—税率—特恵判定の一連の連鎖で整合性を保った更新が必要です。EU資料でもHS6桁変更が各域内コードへ波及する旨が説明されています。word-dictionary

税関監査対応

事後調査や税関質問において、「なぜ第85類ではなく第90類か(またはその逆)」といった技術的理由付け(主機能・検出原理・測定の有無・MCO該当性)がより厳密に求められる可能性があります。HS2022で導入されたMCO定義(8542号)は引き続き重要な論点となります。roronto

今すぐ取るべき実務アクション

対象品目の棚卸し

センサー、トランスデューサー、MEMS、車載カメラ、レーダー、LiDAR、電装ユニットなどについて、BOMから機能、現在のHSコード(第85類/第90類/その他)までを一覧化します。ds-b

境界品目の技術メモ標準化

測定・検査の主機能の有無、センサーの検出原理、単体機能かMCOか、車両専用品か否かを定型シートで可視化します。現行の第90類の類解説(測定・検査の定義)と第17部注の適用ロジックを踏まえた記述が重要です。marke-media

PSR影響の先行試算

主要FTAについて、CTC(分類変更前後の区分)と付加価値率の両面で「改正あり/なし」の2シナリオによる原産地判定を試算します。word-dictionary

2026年1月公表後のシステム更改計画

正式条文が公開され次第、HS6桁新旧対照表の確認、社内コード更新、取引先への通知、FTA書類テンプレート更新を2027年内に完了させる体制を整えます。metalife

監査・係争に備えた社内Q&A整備

特に第85類と第90類の境界については、技術書証(設計仕様書、センサー原理、測定の定義への適合性)の整備が対応力を大きく左右します。marke-media

どの品目が移動しそうか(現時点の観測)

以下は未公表情報を補う業界観測であり、最終判断は2026年1月公開の条文で確認する必要があります。metalife

MEMS/CMOS系のシリコンベース・センサーは、HS2022で8542号(MCO)に「センサー/アクチュエータ/レゾネータ/オシレータ」を含む旨が整備済みです。HS2028では第90類との住み分け明確化(解釈の整序や細分化)が想定論点となっています。roronto

車載計測・表示系(速度計/回転計/走行データ等)については、9029号や9031号などの見直しや細分追加の可能性は合理的ですが、8708号への包括的編入は第17部注2の原則に抵触しやすいため、条文変更がない限り限定的とみるのが保守的です。detail.chiebukuro.yahoo

レーダー、LiDAR、カメラ等の認識系は、現在8526号や8525号などに分類されていますが、測定目的の有無で第90類に寄せられるかは条文次第です。EU説明にある「transducers見直し」の射程に入る可能性はありますが、公表待ちの状況です。forbesjapan

主要情報ソース

WCOからはHS2028改正の暫定採択、公表・発効の公式タイムラインが示されています。EUの対外説明資料(EUR-Lex)ではHS2028改正の柱に「semiconductors and transducers」を含む旨が明記されています。WCOの2024年戦略レビュー報告書ではHS構造の見直し必要性が指摘されており、HS2022解説書(8542号MCO)ではシリコンベース・センサー等の定義が整備されています。reibuncnt+3

日本税関の類解説(第90類/第87類)では測定機器の定義や第17部の「部分品」原則が確認できます。WCOのASEAN向けワークショップでもHS2028の主要改正領域(車両・電気機器含む)の概観が示されています。examplesentencemail+1

まとめ

「第85類から第90類/第87類へ一斉移籍」という断定的な一次資料は現時点では未公開です。ただし、センサーおよびトランスデューサー領域が見直し対象に含まれていることから、車載センサーや電装ユニットの境界整理(細分追加・注記整備)は高い確度で発生すると予想されます。forbesjapan+1

2026年1月の正式条文公開をトリガーとして、2027年内に社内マスタ、PSR、書類書式の全面更新を完了する前提で計画を立てておくことが安全です。word-dictionary+1

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ソースを確認

  1. https://metalife.co.jp/business-words/1924/
  2. https://forbesjapan.com/articles/detail/76838
  3. https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1419074004
  4. https://roronto.jp/business-efficiency/additions-and-corrections/
  5. https://examplesentencemail.com/if-you-have-any-corrections-please/
  6. https://ds-b.jp/dsmagazine/pages/410/
  7. https://word-dictionary.jp/posts/2929/
  8. https://www.marke-media.net/whitepaper/chatgpt-proofreading/
  9. https://reibuncnt.jp/36506

【要点解説】HS2028改正:主要産業への影響と実務対応ロードマップ

2028年1月1日に発効が予定されているHS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)の改正(HS2028)が、各産業に与える影響と、今から着手すべき実務対応について、経営層や実務担当者の意思決定に役立つ形で解説します。

エグゼクティブサマリー

  • 改正規模: HS2028は299項目の改正を含む大規模なもので、特にWHO(世界保健機関)が定める医薬品一般名称(INN)に関連する441品目の分類整理が確定しています。
  • 主要テーマ: 改正の柱は、環境関連(グリーン関税)、医薬品・バイオ新興技術(ドローンなど)の3分野です。これらは国際的な政策課題を反映したものであり、関連する産業は大きな影響を受ける可能性があります。
  • 公表時期: 改正内容をまとめた改正勧告は2026年1月頃にWCOから正式公表され、2028年1月1日に全世界で一斉に発効します。
  • 実務上の鍵: WCOは、現行のHS2022と新しいHS2028のHSコード対応関係を示す**相関表(Correlation Table)**の作成に着手しています。この相関表が、自社製品のHSコードを新体系へ移行させる際の最も重要な資料となります。
  • 今やるべきこと: 最終的なHSコード6桁が確定するのは2026年ですが、既に公表されている方針から影響を受ける品目を洗い出し、自社の製品マスターや管理体制の見直し準備を開始すべき段階にあります。

主要産業別の影響と確度

現時点で判明している情報に基づき、特に影響が大きいと見られる産業と、その改正内容の確度は以下の通りです。

産業分野影響のポイント改正の確度
医薬品・バイオWHOのINNリストに基づき441品目の医薬品有効成分(API)や製剤の分類が見直されます。製品マスターの成分情報とHSコードの再マッピングが必須となります。確定
EV・蓄電池・電池資源WCOが推進する「グリーン関税」の一環として、リチウムイオン電池、廃電池、およびそのリサイクル資源に関する分類が、トレーサビリティ強化のために細分化・明確化される見通しです。
再生可能・省エネ機器HS2022改正での太陽光パネルやLEDの細分化に続き、ヒートポンプなどの省エネ機器や、関連部材のHSコードが新設・整理される可能性が高いです。
ドローン(UAS)無人航空機システム(UAS)の分類見直しが提案されています。機体、制御装置、ペイロード(カメラ、センサー等)の分類が明確化され、部品の扱いやセットとしての解釈が変わる可能性があります。
農水産品初期検討段階で、甲殻類などの細分化案が議論されていました。最終的にどう反映されるかは2026年の公表を待つ必要がありますが、関税率やFTAの原産地規則に影響する可能性があります。

(注)「確定」以外は、WCOの方針や公開情報に基づく確度の高い推定です。最終的な6桁のHSコードは2026年1月の改正勧告をもって確定します。


実務対応ロードマップ(2025年~2027年)

HS2028改正への対応は、以下の4つのフェーズで計画的に進めることを推奨します。

フェーズ1:影響範囲のスクリーニング(2025年 Q4 ~ 2026年 Q1)

  1. 対象品目の抽出: 自社の売上上位品目や、影響が確実視される「医薬品、電池、再エネ機器、ドローン」関連製品をリストアップします。
  2. 影響度評価: 抽出した品目について、HSコード変更の可能性を「大・中・小」で仮評価し、優先順位をつけます。
  3. 情報基盤の整備: 製品の成分、素材、用途といった情報をHSコードと紐づけて管理できるよう、社内の「用語辞書」やデータベースを整備します。

フェーズ2:差分分析と移行準備(2026年 Q1 ~)

  1. 新旧HSコードの突合: 2026年1月に公表される相関表を入手し、自社製品リストと一括で照合します。これにより、新しいHSコード6桁の候補を特定します。
  2. FTA影響分析: HSコードの変更が、利用しているFTA/EPAの原産地規則(PSR)に与える影響を分析します。特に、関税分類変更基準(CTC)を用いる品目は注意が必要です。

フェーズ3:システム改修と各国対応(2026年 ~ 2027年)

  1. マスターデータ更新: ERPや販売管理、貿易管理システム(GTM)の製品マスターを、新しいHSコード体系に合わせて更新する準備を進めます。
  2. 各国動向の監視: 米国(USITC)、EU、日本、その他主要な輸出入国における国内法(8~10桁レベル)への反映スケジュールを監視します。例えば米国は2026年2月に予備案、同年9月に勧告報告を予定しています。

フェーズ4:テストと社内展開(2027年下期)

  1. パイロット通関: 新しいHSコードを用いて、主要な輸出入国で通関業者と連携したテスト申告(ドライラン)を実施し、問題を洗い出します。
  2. 原産性再判定と社内教育: 新しいHSコード体系に基づき、FTA原産性を再判定します。必要に応じてサプライヤーから新たな原産地証明書を取得し、営業・ロジスティクス部門など関係者への社内教育を行います。

FTA・原産地規則への影響

HSコードの変更は、FTAの根幹である**品目別原産地規則(PSR)**に直接的な影響を与えます。多くの協定では、PSRが特定のHSバージョン(例:HS2017)に紐づけられているため、HS2028への移行(トランスポジション)作業が各国で行われます。この移行作業の結果、これまで原産性を満たせていた製品が、基準を満たせなくなるリスクがあります。相関表の公開を機に、自社の原産判定ロジックの見直しとサプライヤー証明の更新計画を立てることが不可欠です。

HS2028改正 実践ガイド:計画・影響評価・実行ロードマップ

2028年1月1日に発効が予定されているHS条約の改正(HS2028)は、すべての輸出入者にとって避けては通れない重要課題です。このガイドでは、HS2028改正への準備を円滑に進めるため、「いつまでに、誰が、何をすべきか」を体系的に解説します。

HS2028改正の概要とスケジュール

HS2028改正は、2028年1月1日の発効に向けて以下のスケジュールで進められています。企業の対応計画もこの公式スケジュールに準拠する必要があります。

  • 暫定採択: 2025年4月、世界税関機構(WCO)のHS委員会(HSC)第75回会合にて、改正勧告案が暫定的に採択されました。
  • 正式採択: 2025年12月末にWCO理事会で正式に採択される見込みです。
  • 内容公表: 2026年1月頃に改正内容の詳細が公開される予定です。
  • 発効: 2028年1月1日に全世界で一斉に発効します。

今回の改正には、299セットの改正案や、世界保健機関(WHO)の国際一般名(INN)リストに基づく医薬品441品目の分類見直しなどが含まれており、広範囲な品目が影響を受ける可能性があります。

また、WCOは2025年10月のHSC第76回会合で、現行コード(HS2022)と新コード(HS2028)の相関表(Correlation Tables)の整備を開始しました。この相関表は、コード移行作業における最も重要な参照資料となります。

企業への主な影響範囲

HSコードの変更は、関税率だけでなく、企業のサプライチェーン全体に多岐にわたる影響を及ぼします。

  • コスト・財務: 品目分類の変更により関税率やFTA特恵税率が変動し、関税・消費税などの税負担額が変わる可能性があります。これは見積もりや販売価格、原価計算に直接影響します。
  • 通関・規制: 輸出入申告で参照するHSコードが変わると、他法令(例:化学物質規制、食品衛生法)に基づく許認可や証明書の紐付けを再設計する必要があります。
  • 原産地管理: FTA/EPAの原産地規則(品目別規則:PSR)はHSコードの版に準拠しているため、コード変更に伴い原産資格の再判定や、サプライヤーからの原産性証明の再取得が必要になります。
  • ITシステム: ERP、商品マスター、貿易コンプライアンスシステム(GTM)などの改修が必須です。特に日本では、HS6桁に国内細分(3桁)を加えた9桁の統計品目番号やNACCS用の10桁コードが使用されるため、これらの桁数も考慮したシステム更新が求められます。

対応プロジェクトのロードマップ

フェーズ1:調査・計画(現在〜2026年上半期)

  • プロジェクト体制の構築: 貿易コンプライアンスやサプライチェーン部門を主幹とし、通関、調達、営業、財務、ITなど関連部署を横断する専門チームを設置します。
  • データ棚卸し: 過去24ヶ月分の輸出入実績(品目、現行HSコード、仕向国・原産国、FTA適用有無、関税額)を一覧化し、分析の土台を整えます。
  • 情報収集の開始: WCOや各国税関の公式発表、特にHS2022とHS2028の相関表の公開を継続的に監視します。

フェーズ2:影響評価・分析(2026年下半期〜2027年上半期)

  • 新旧コードの突合: 公表された相関表を基に、自社品目の新旧HSコードの対応関係(1対1、1対多、多対1など)を洗い出します。
  • 優先順位付け: 「取引金額 × 関税率の変動幅」や「FTA依存度」「規制への影響度」などを基に対応の優先順位を決定し、影響の大きい品目から重点的に分析します。
  • 財務影響の試算: 品目や取引先ごとに、関税負担額の増減シナリオをシミュレーションし、価格戦略や収益計画への影響を数値化します。

フェーズ3:導入準備・実行(2027年下半期〜2028年1月)

  • 分類の確定: 分類が難しい境界品目については、日本の事前教示制度や、主要国のBTI(Binding Tariff Information)などを活用して、税関の公式見解を取得します。
  • システム改修: 品目マスターに新旧HSコードを併記する期間を設け、2028年1月1日以降は新コードが自動で適用されるようシステムを改修します。
  • 対外コミュニケーション: 取引先へのHSコード変更通知、価格条件の見直し、サプライヤーへの原産性証明の再依頼などを計画的に進めます。
  • 本番切替とモニタリング: 2028年1月の発効後、申告実績を監査し、誤分類や追加納税などのリスクを早期に検知します。

よくある失敗例と対策

  • 国内細分コードの更新漏れ: HS6桁のみを更新し、日本の9桁/10桁コードの確認を怠ると、申告エラーの原因となります。
  • FTA原産地規則の版ズレ: HSコードの版が変わったことに気づかず、古いPSRに基づいて特恵税率を適用し続け、追徴課税を招くケースです。
  • 影響評価の非効率: 影響度を考慮せずに全品目を一律に対応しようとすると、リソースが分散し、重要な品目の対応が遅れます。
  • 事前教示の未取得: 分類に迷う品目を社内判断のみで処理し、後日、税関との見解の相違から修正申告や追徴に至るリスクです。