FTA原産地証明と意思決定

社内で効果的かつコンプラ問題なしに原産地証明を行うプロジェクトを多く行っています。

その中で痛切に感じるのは、情報の集中欠如と、意思決定フローの欠如です。

他の論点では十分な体制が取れている企業が、ことFTAの原産地証明では全くといっていいくらい、その仕組みができていません。

担当者の最大の関心事は、証明方法であり、一旦証明をやりすごせば、(きつい言い方ですが)その証明を忘れてしまいます。それゆえに、問題点が放置されると同時に、責任も放置され、誰がとるのかが分からなくなってしまうのです。

検認がこれから増えると思われる中で、この状況を放置することはあまりいいことではないことは明らかです。

会社が大きくなると、やはり問題解決は難しくなるようです

昨日、FTAの監査報告を行いに、とある企業へ伺いました。

物流部が事業体のFTA支援をしている大きな会社なのですが、担当者が頑張っている中で、どうも、その部門の長ほかは関心がないようです。

FTAはサプライチェーンと同じで、部門間連携を取ることを求められますが、大企業では、個人は自分の領域にのみ関心があり、連携をとることに関心がないようです。

現実的には、この会社の原産証明は問題だらけです。今後のFTAの進展や、自己証明での体制では不安しかないと言っていい。

プレゼンテーションに対しても、部門の長含め管理職は感心のない姿勢で聞いていますし、部門調整を担当者に指示している。本来は長の仕事ではないかと思うのですが。担当者でできるなら、上長は要らないでしょう。

当方も監査報告は営業の場でもあるので、「当方でしたらこのようなコンサルティングサービスで問題解決のお手伝いができます」という提案をします。

部長はプレゼンが終わるや、「コンサルティングはサスペンド(発注しない)するとして・・・」といきなり当の私のいる前での発言。当然、当方の提案を受けるかどうかは先方の決断ですし、自由なのですが、メンバー間や当方との意見交換もなくこの言葉を私の前でいきなり発するのもどうかと。形だけでも「検討します」と言えば角は立たないのに。部長とは初対面なので、嫌われることはしていないはずですが・・・

先方のマナーはさておき、組織問題はやはり根深いものがあると同時に、結果的に自己証明における対応がばらばらのまま、進まざるを得ないのでしょうね。かなりのリスクをしょっているのですが、それが現実化しないと動かないのかもしれません。

担当者は「本当になんとか変えたい」と思っているようなのですが、声が届かないようです。