中国、対日レアアース輸出管理を強化


いま企業が押さえるべき実務ポイント

2026年1月上旬、中国が日本向けのデュアルユース(軍民両用)品目に対する輸出管理を強化する方針を打ち出し、レアアースとレアアース磁石の供給不安が再燃しています。poder360+1​
ポイントは、今回の措置が「レアアースのみを名指しした禁輸」ではなく、デュアルユース品目を包括的に対象とする輸出禁止措置として導入され、その運用次第で民生用途向けのレアアース関連品にも影響が波及し得る点です。reuters+2​

この記事では、一次情報として確定している制度内容と、報道ベースで伝えられている運用状況を切り分けつつ、調達・生産・法務・通関実務が今すぐ取るべき対策を整理します。


1. 何が起きたのか

公式発表と報道を分けて理解する

まず、一次情報として確定しているのは、中国商務部による公告です。chemical.chemlinked+1​
2026年1月6日、中国商務部は「商務部公告2026年第1号」を公表し、日本向けのデュアルユース品目について輸出管理を強化する措置を即時発効としました。globaltimes+1​

公告の要点は、

  • 全てのデュアルユース品目について、日本の軍事ユーザー向け、軍事目的向け、ならびに日本の軍事力の向上に資するあらゆる最終用途向け輸出を禁止すること
  • 第三国の組織・個人が、中国原産の当該デュアルユース品目を日本の組織・個人に移転・提供した場合にも、違反として法的責任を追及し得ると明記したこと
    にあります。poder360+2​

一方、公告文そのものには「レアアース」という品目名は列挙されておらず、対象はあくまで「デュアルユース品目一般」として定義されています。globaltimes+1​
日本政府は、この措置について「対象や内容が必ずしも明確ではない」と懸念を示し、説明と撤回を求めつつ、影響の精査が必要だと述べています。kathmandupost+1​

そのうえで、報道ベースでは次のような動きが伝えられています。

  • 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道として、中国当局が日本企業向けのレアアースおよびレアアース磁石の輸出について、輸出許可申請の審査を停止、または大幅に制限し始めたとされること。english.kyodonews+1​youtube​
  • 中国側は「民生用途の輸出には影響しない」と説明する一方、レアアースが実際に今回のデュアルユース措置の直接対象に含まれるのか、また許可審査の運用をどの程度厳格化しているのかについては明言を避けていること。facebook+1​

このため、現時点で確実に言えるのは「対日デュアルユース規制の強化」という枠組みが一次情報として確定しており、その運用の一環としてレアアースおよびレアアース磁石の輸出許可審査の厳格化・停滞が生じている可能性が高い、という整理になります。wsj+3​


2. なぜレアアースが巻き込まれやすいのか

レアアースは、EV駆動モーター、産業ロボット、HDD、各種センサーなど民生用途で広範に使用されると同時に、高性能永久磁石(ネオジム磁石など)を通じて、防衛装備や航空宇宙など典型的な軍事転用用途にも不可欠な部材です。csis+2​
中・重希土類(ジスプロシウム、テルビウム等)は特に高性能磁石の耐熱性向上に使われ、防衛関連のモーター・アクチュエーター用途における重要性が高いと指摘されています。spf+1​

今回の対日措置は、品目名ではなく「用途」や「エンドユーザー」に着目して輸出を禁止する構造です。chemical.chemlinked+2​
そのため、同じレアアース磁石であっても、最終用途や顧客情報に軍事転用の疑義がある場合には、許可審査が止まりやすく、民生用途を主張していても、用途説明が不十分なだけで審査遅延が生じるリスクがあります。csis+2​


3. 依存度の現実

供給国分散後も加工工程は中国集中

日本は2010年の対中レアアース摩擦以降、輸入先の分散や備蓄の強化を進めてきましたが、それでもレアアース供給における中国依存は依然として高水準です。cnbc+2​
各種統計・推計の前提は異なるものの、2024年前後のデータでは、日本のレアアース輸入に占める中国の割合は概ね6割前後から7割程度とされる例が多く、依存度がなお高いことがうかがえます。finance.yahoo+2​

一方で、日本は豪州・ベトナム・マレーシアなどからの調達を増やし、中国依存度を2010年当時の9割超から6割弱程度まで下げたとの分析もあり、数量ベースでは一定の分散が進んでいます。cnbc+1​
しかし、精錬・分離などの中間加工工程は依然として中国の比率が極めて高く、世界全体のレアアース精製能力の大半が中国に集中しているとの指摘が続いており、採掘地を分散しても加工段階でボトルネックが生じやすい構造が変わっていません。bgrdc+2​

このため、日本企業が調達先を表面的に分散していても、どこかの工程で中国の輸出管理・許可審査に依存している限り、今回のような審査運用の変化がサプライチェーン全体に波及するリスクが残存します。sfa-oxford+2​


4. 制度インフラはすでに整っていた

直近2年の流れ

今回の2026年1月の対日措置は、突然の思いつきではなく、ここ数年整備されてきた管理体系の延長線上に位置付けられます。whitecase+2​
2024年6月、中国国務院は「稀土管理条例」(国務院令第785号)を公布し、採掘から精錬・分離、流通、輸出入までレアアース産業チェーン全体を管理対象とする包括的な枠組みを整備しました(2024年10月1日施行)。csrcare+2​

さらに2025年前後には、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムなど中・重希土類7元素や、それらを用いた磁石材料・合金を対象とする輸出管理措置が導入され、一部には輸出許可制と特定品目の追加指定(合金・酸化物など13品目)を行うルールも公布されています。squirepattonboggs+2​
これらの措置では、参考としてHSコードが示されるなど、レアアース原料だけでなく永久磁石材料や中間製品も管理対象として位置付けられています。whitecase+1​

したがって、今回の「対日」強化では、既存のレアアース管理品目に加え、デュアルユース枠組みの下で用途審査の厳格化や許可審査の停滞が生じるだけでも、日本企業の調達が実務的には止まり得る状況が生まれます。wsj+3​


5. 企業実務への影響

まず顕在化するのは価格より「納期と書類」

現場で先に表面化しやすいのは、次の3点です。

  • 許可審査の滞留
    民生用途の部材であっても、エンドユーザーや用途説明が不十分な場合、輸出許可申請の審査が保留され、出荷が遅延するリスクがあります。facebook+1​
    実際、レアアースおよびレアアース磁石について、日本企業向けの輸出許可申請の処理が停止・遅延しているとの報道が複数出ており、「全面禁輸」ではなく「許可が出ないことによる実質的な供給制約」が懸念されています。youtube​english.kyodonews+1​
  • 書類要求の増加
    中国側輸出者が、最終用途証明書、エンドユーザー情報、軍事用途でないことの誓約、第三国への再移転の有無など、より詳細な情報の提出を求める可能性があります。chemical.chemlinked+1​
    デュアルユース規制の典型的運用として、疑義がある案件は追加書類の要求や審査延長の対象となりやすく、結果としてリードタイムが読めなくなるリスクが高まります。csis+1​
  • 調達の連鎖停止
    企業自身がレアアース原料を直接輸入していなくても、サプライチェーン上流の部品・ユニット・完成品に高性能磁石やレアアース関連材料が含まれている場合、そのサプライヤー段階で出荷が止まるおそれがあります。spf+1​
    自動車、電子機器、半導体製造装置など、レアアース磁石の使用比率が高い業種ほど影響が顕在化しやすいと指摘されています。english.kyodonews+2​

6. いま取るべき対策

重要度順のチェックリスト

6-1. 影響範囲を特定する – 部材ベースで洗い出す

  • 製品BOMを起点に、永久磁石(NdFeB、SmCoなど)、研磨材、触媒、蛍光体、センサー材料など、レアアース関与部材を抽出する。
  • Tier2・Tier3のサプライヤーまで含め、どの工程で中国原産品または中国で加工されたレアアース関連部材が入り得るかをマッピングする。
  • 代替材への切り替えが可能な部材と、設計変更・認証の取り直しが必要な部材を分類しておく。

6-2. 中国サプライヤーが「出荷できる状態」を作る

  • 中国側が行う輸出許可申請に必要な情報を、自社から迅速に提供できる体制を整備する。
    例:最終用途の説明文、最終需要家の属性、軍事用途ではないことの説明、再輸出・第三国移転の有無など。facebook+1​
  • 自社だけでなく、顧客(エンドユーザー)まで含む用途情報が必要になるケースを想定し、質問票・証明書のテンプレートをあらかじめ用意しておく。

6-3. 契約条項を見直す – 変更法令と供給制約を織り込む

  • 変更法令条項(Change in Law)、輸出許可未取得時の取り扱い、代替調達時の費用負担、納期遅延時の責任分担を契約上明確化する。
  • 長納期化を前提とした安全在庫の水準と保有場所、緊急時の配分ルールを、主要顧客・サプライヤー間で合意しておく。

6-4. 代替調達は「原料」ではなく「工程」で考える

  • 採掘地の分散だけでは不十分であり、精錬・分離・磁石製造などの加工工程を中国以外にも分散させることが、本丸のリスク低減策となる。sfa-oxford+1​
  • 現実的には段階的移行が必要なため、短期は在庫と優先順位付けの整理、中期はサプライヤーの二重化・三重化、長期は設計変更や材料置換まで含めた計画を検討する。

6-5. 情報収集の「軸」を決める

  • 一次情報は、中国商務部の公告・解釈通知および中国当局の記者会見、ならびにジェトロ等による制度整理を定点でフォローするのが最も効率的です。lawinfochina+2​
  • 主要国はレアアース・重要鉱物で対中依存を低減する連携を強めており、G7や日米豪などの政策動向が、中長期の調達戦略・投資判断に直結しつつあります。bloomberg+2​

7. いまは「供給断」よりも

許可審査の停止・遅延が最大リスク

今回の対日措置は、現時点で「レアアースの全面禁輸」と公式に位置付けられているわけではありませんが、デュアルユース枠組みと既存のレアアース輸出管理が重なり合うことで、実務上はレアアース関連品の輸出許可が出にくくなる局面に入っています。poder360+2​
レアアースやレアアース磁石の輸出許可審査が停止または大幅に遅延するだけで、自動車・電子機器・半導体関連など広範なサプライチェーンで生産計画が狂うおそれがある点が、企業にとっての最大のリスクです。kathmandupost+2​

企業としての勝ち筋は、レアアース問題を単なる資源調達の話に矮小化せず、「輸出管理」と「サプライチェーン実務」を一体で設計し直すことです。
BOMの棚卸し、サプライヤーからの書類要求に即応できる情報整備、契約条項の見直し、代替工程・非中国加工ルートの確保を、時間軸(短期・中期・長期)を意識しながら今週から順番に着手することが求められます。cnbc+2​


免責事項

本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件の輸出管理判断、契約判断、通関判断を行うものではありません。
具体的な案件については、社内の貿易管理責任者、顧問弁護士、通関士、ならびに専門機関の助言を踏まえて判断してください。

  1. https://www.lawinfochina.com/display.aspx?id=43158&lib=law
  2. https://finance.yahoo.com/news/china-bans-certain-rare-earths-122351883.html
  3. https://static.poder360.com.br/2026/01/commerce-dual-item.pdf
  4. https://www.reuters.com/world/asia-pacific/china-bans-exports-dual-use-items-military-purposes-japan-2026-01-06/
  5. https://www.csis.org/analysis/consequences-chinas-new-rare-earths-export-restrictions
  6. https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352441.shtml
  7. https://www.spf.org/spf-china-observer/en/document-detail062.html
  8. https://www.sfa-oxford.com/market-news-and-insights/japan-us-rare-earths-deal-critical-minerals-supply-chain/
  9. https://chemical.chemlinked.com/news/chemical-news/china-bans-export-of-dual-use-items-to-japan
  10. https://kathmandupost.com/world/2026/01/07/japan-condemns-china-s-dual-use-export-ban-as-rare-earth-curbs-loom
  11. https://english.kyodonews.net/articles/-/68263
  12. https://www.youtube.com/watch?v=CB0sLiXqVZ8
  13. https://www.wsj.com/world/asia/china-deprives-japan-of-rare-earths-supply-escalating-dispute-41e7750c
  14. https://www.facebook.com/mofcom.china/posts/mofcom-spokespersons-remarks-on-tightening-controls-on-dual-use-items-exports-to/890794080134870/
  15. https://www.cnbc.com/2025/06/20/rare-earths-japan-more-prepared-than-most-for-chinas-mineral-squeeze.html
  16. https://bgrdc.com/wp-content/uploads/2024/10/China-Rare-Earth.pdf
  17. https://www.whitecase.com/insight-alert/china-imposes-extraterritorial-jurisdiction-and-50-rule-export-controls-rare-earth
  18. http://www.csrcare.com/Law/LawShowEn?id=232737
  19. https://www.squirepattonboggs.com/media/i4idimy5/china-expands-export-control.pdf
  20. https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-01-09/japan-calls-for-smooth-trade-with-china-for-rare-earths-food
  21. https://asia.nikkei.com/spotlight/supply-chain/japan-s-rare-earth-imports-from-china-plunge-to-5-year-low
  22. https://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st_e/2024/2024_117e.pdf
  23. https://www.mining.com/china-japan-rare-earth-spat-curbs-exports/
  24. https://gtaic.ai/market-reports/japan-rare-earth-metals-market
  25. https://www.facebook.com/TheStarOnline/posts/more-than-70-percent-of-japans-imports-of-rare-earths-come-from-china-according-/1330141122481743/
  26. https://www.japantimes.co.jp/news/2026/01/10/japan/japan-support-china-rare-earth/
  27. https://note.com/tagtag/n/n617d57bab698
  28. https://global-scm.com/blog/?p=3700
  29. https://www.linkedin.com/posts/wei-jin-6213791_china-strengthens-export-controls-on-dual-use-activity-7414228580408299520-xFVX

中国のレアアース輸出許可「簡素化」の真相――何が変わり、何が変わらないのかを整理する


2025年12月4日、中国商務部は「レアアース関連品目の輸出許可を簡素化している」と発表しました。報道では「輸出許可の簡素化」として大きく取り上げられていますが、その実態は**規制緩和というより「運用の柔軟化」**に近いものです。(Reuters)

具体的には、新たに**「一般ライセンス(general licence)」という仕組みを使い、特定の海外顧客向けに1年間有効な輸出許可**を出すことで、同じ相手への繰り返しの出荷については、毎回の個別申請を不要または大幅に簡略化する、という内容です。(Reuters Japan)

一方で、2025年4月以降に導入された厳格な輸出管理そのものが撤廃されるわけではありません。規制の「骨格」は残したまま、信頼できる顧客・用途について手続きだけを軽くするのが今回のポイントです。(Reuters Japan)

この記事では、

  • 2025年に何が起きてきたのか(規制強化の流れ)
  • 今回の「簡素化」で具体的に何が変わるのか
  • 世界のサプライチェーン、日本企業へのインプリケーション

を、できるだけ噛み砕いて整理していきます。


1. レアアースと中国の支配力をざっくり整理

レアアース(希土類)は17元素の総称で、EVモーターや風力発電の発電機、サーボモーター、HDD、軍事レーダーなどに使われる高性能永久磁石の材料として不可欠です。(IEA)

国際エネルギー機関(IEA)の分析によると、2024年時点で中国は、

  • レアアース鉱石の生産:世界の約60%
  • 分離・精製(中間加工):約91%
  • 焼結型レアアース永久磁石の生産:約94%

を占めており、磁石の段階ではほぼ「一極集中」と言ってよい状況です。(IEA)

EUの場合、年間約2万トンの永久磁石を消費していますが、そのうち1.7〜1.8万トンを中国から輸入しているとされています。(The Guardian)

このため、中国がレアアースの輸出管理を強化すると、EVから防衛産業まで世界中のサプライチェーンが一気に揺れる、という構図になっています。


2. 2025年の規制強化の流れ(簡潔タイムライン)

2-1. 4月4日:重希土7元素などへの輸出管理導入

2025年4月4日、中国政府は**7種類の重希土(テルビウム、ジスプロシウムなど)と、その酸化物・合金・関連磁石を輸出管理の対象とし、輸出に両用品目輸出許可(dual-use license)**を義務づけました。(IEA)

  • レアアース磁石の輸出は4〜5月にかけて急減
  • 多くの自動車メーカーが磁石を確保できず、工場稼働率の引き下げや一時停止を余儀なくされたと報告されています。(IEA)

2-2. 10月9日:海外製品も巻き込む「域外適用」的な拡張

10月9日、中国商務部は公告2025年第61号・第62号を公表し、レアアース原材料・設備・関連技術について、さらに踏み込んだ輸出管理を導入しました。(JETRO)

主なポイントは以下の通りです。

  • 中国国外の企業・個人が、中国原産の一部レアアース品目や磁石を、第三国へ再輸出する場合でも、中国商務部発行の両用品目輸出許可が必要
  • 中国のレアアース採掘・製錬・磁石製造などの技術を用いて、海外で製造された製品についても、一定条件下で中国側の輸出許可が必要になる**「域外適用」的なルール**を導入(China Briefing)
  • 軍事目的や、輸出管理リスト・ウォッチリスト掲載の輸入業者・エンドユーザー向けの輸出は、原則として許可しないと明記(JETRO)

つまり、中国から直接出る貨物だけでなく、**「中国起源のレアアース」や「中国技術を使った製品」**が世界を回る際にも、中国の許可が必要になり得る設計です。

IEAもこの10月の措置について、レアアース関連製品・部品・アセンブリを広く対象とすることで、エネルギー・自動車・防衛・半導体など多くの戦略産業のサプライチェーンに重大なリスクをもたらすと分析しています。(IEA)

2-3. 規制強化の結果:価格高騰とサプライチェーン混乱

こうした規制の強化により、

  • 4〜5月の輸出量の急減
  • 欧州など輸入側でのレアアース価格高騰(中国国内価格の最大6倍に達したケースも)(IEA)
  • EVや産業用モーター向け磁石の供給不安

といった問題が顕在化しました。

EUは、中国による重要原材料の「武器化」への懸念から、**「ReSourceEU」**という約30億ユーロ規模の戦略を打ち出し、調達先の多角化・リサイクル・国内鉱山開発などを進める方針を発表しています。(The Guardian)


3. 11月〜12月:輸出許可「簡素化」の中身

3-1. 11月:新たなライセンス制度を業界に事前説明

11月7日付のロイター日本語記事によれば、中国商務部は一部のレアアース輸出企業に対し、新たなライセンス制度の設計に着手したことを伝え、業界向けの説明会で必要書類の概要などを示しました。(Reuters Japan)

  • 新ライセンスの有効期間は1年
  • 輸出拡大につながる可能性がある一方、
    4月に導入された広範な輸出規制の撤廃ではないことが強調されています。(Reuters Japan)
  • 防衛など機密分野に関わるユーザー向けの許可取得は、むしろより難しくなる可能性が高いとの見方も示されています。(Reuters Japan)

この時点では、まだ「制度設計中」であり、企業側は必要書類の準備や顧客からの情報収集を進めている段階でした。(Reuters Japan)

3-2. 12月初旬:一般ライセンスの発給が始動

12月に入ると、いよいよ具体的な動きが報じられます。

  • 12月2日:
    中国が新しい「簡素化された輸出ライセンス」の第1弾を発給したと報道。対象は、
    • JL Mag Rare Earth
    • 寧波韻昇(Ningbo Yunsheng)
    • 北京中科三環高技術(Beijing Zhong Ke San Huan High-Tech)
      といった大手レアアース磁石メーカー3社。(MINING.COM)
  • 12月4日:
    商務部の定例会見で、「中国は一般ライセンスなどの円滑化措置を積極的に活用し、二重用途品目の合法的な貿易を促進している」と説明。
    さらに、**「レアアース関連品目の輸出許可申請が民生用である限り、政府は速やかに承認してきた」**と報道官がコメントしています。(Reuters)

ここで言う**「一般ライセンス(general licence)」**とは、

  • 特定の輸出者→特定の顧客(または顧客グループ)
  • 有効期間:1年間
  • その期間中の複数出荷をカバー(出荷ごとの個別許可申請が不要または大幅に簡略)

といった形の包括許可です。(MINING.COM)

一方で、

  • 既存の両用途ライセンス制度(dual-use licensing)はそのまま維持
  • 一般ライセンスの対象は、現時点では主に大手レアアース企業に限られる

ことも明確にされています。(Reuters)

3-3. 「簡素化」の効果:輸出量は目に見えて回復

12月8日に発表された中国税関データでは、2025年11月のレアアース輸出が前月比26.5%増の5,493.9トンと急増し、2カ月連続の増加となりました。1〜11月累計では前年同期比11.6%増です。(Reuters Japan)

  • 4月の規制導入で数カ月続いた混乱のあと、
    10月末の米中首脳会談でレアアース輸出加速で合意 → 一般ライセンス発給 → 輸出増加
    という流れが数字にも表れています。(Reuters Japan)

EU商工会議所は、この新しいライセンス制度が**「バイヤーに安定性と予見可能性をもたらす」**として一定の歓迎を示しつつも、依然として申請手続きの透明性や遅延リスクへの懸念を表明しています。(MINING.COM)


4. 何が「簡素化」され、何が変わっていないのか

4-1. 簡素化されたポイント

① 出荷ごとの申請 → 顧客単位の包括許可

従来:

  • 輸出ごとに個別の許可申請が必要
  • 申請のたびにエンドユーザー情報や用途説明の書類を用意する必要があり、
    その都度審査・判断が行われていた

今回の一般ライセンス:

  • 一定の条件を満たす輸出者と顧客の組み合わせに対して、1年間有効な包括許可を付与
  • 期間中の個々の出荷に対する書類作成・審査の負担が大きく軽減
  • 特に大量・定期的な取引を行う自動車・家電・産業機械向けの磁石にとって、リードタイム短縮が期待されます。(MINING.COM)

② 民生用途についての実務上の「グリーン・チャンネル」化

商務部報道官は、
民生用のレアアース関連輸出申請は、すべて適時に承認してきた」と述べています。(Reuters)

一般ライセンスは、この方針を制度面から裏付けるもので、

  • 民生用途でコンプライアンス要件を満たす顧客・輸出者に対しては、
    安定的に輸出を続けられるルートを用意する
    というメッセージと言えます。

4-2. 変わっていない(むしろ強化されている)ポイント

① 規制対象品目と「安全保障」重視の姿勢はそのまま

  • 4月4日に導入された重希土7元素+関連化合物・磁石の輸出管理(IEA)
  • 10月9日の公告第61号・62号による、原材料・設備・技術・海外製品を含む広範な管理(JETRO)

これらの法的枠組みは一切撤廃されていません。

② 軍事用途・ハイリスク顧客向けはむしろ厳格

公告や関連解説では、

  • 軍事用途が含まれる輸出
  • 中国の輸出管理リスト・ウォッチリスト掲載の輸入業者・エンドユーザー向け輸出

については、**原則として許可しない(=事実上の禁輸に近い扱い)**としています。(JETRO)

一般ライセンスの主な対象は民生用途であり、防衛・高度軍事技術に関わるユーザーについては、依然として厳しい個別審査+不許可リスクが残ります。(Reuters Japan)

③ 域外適用(海外製品への影響)も継続

10月の措置で導入された、

  • 「中国起源のレアアースを含む海外製品」
  • 「中国のレアアース関連技術を用いて海外で製造された製品」

に対する中国側ライセンス義務も、2025年12月以降に順次適用範囲が拡大される方向です。(China Briefing)

一般ライセンスで出荷がスムーズになったとしても、**「どこで、どの技術で作った、どれだけ中国起源が含まれるか」**という情報開示を求められる構図は、今後も変わりません。


5. なぜ今、輸出許可を簡素化したのか

いくつか要因が重なっています。

5-1. 米中首脳会談での政治的ディール

報道によれば、今回の一般ライセンス導入は、10月末に韓国で行われたトランプ米大統領と習近平国家主席の首脳会談での合意事項の一つでした。(Reuters)

  • 米国側:レアアース・磁石の供給不安で自動車・防衛産業への影響が懸念
  • 中国側:米国の追加関税などへの対抗措置として輸出規制カードを切りつつも、「信頼できる供給国」としてのイメージも維持したい

その折衷として、
**「規制の枠組みは維持しつつ、民生用途や信頼できる顧客向けには輸出を加速する」**という一般ライセンスが位置づけられたと見るのが自然です。(MINING.COM)

5-2. EUなどからの「脱中国」圧力

EUは、レアアースや永久磁石の調達の約9割を中国に依存している現状から、ReSourceEUという30億ユーロ規模の戦略を打ち出し、場合によっては**「企業に対して調達先の多角化を法的に義務づける」**可能性にも言及しています。(The Guardian)

中国としても、あまりに強硬な輸出統制を続ければ、

  • EU・米国・日本・豪州などが本気で代替サプライチェーン構築に動く
  • 中長期的には、自国のレアアース産業の需要基盤を失う

リスクがあります。

一般ライセンスによる「緩和のポーズ」は、
**「安全保障上のレバーは握り続けつつ、過度なデカップリングを避ける」**ためのバランス調整と見ることができます。(IEA)


6. 世界のサプライチェーンへの影響

6-1. 短期的には「一息つける」方向

  • 大手磁石メーカー3社が一般ライセンスを取得したことで、
    彼らからの供給を受ける自動車・家電・産業機械メーカーは、リードタイムや出荷の滞留リスクが緩和される見込みです。(MINING.COM)
  • 11月の輸出量回復からも、実際にボトルネックがかなり解消されつつあることがうかがえます。(Reuters Japan)

6-2. 中長期的には「リスクはむしろ見える化されただけ」

一方で、

  • 規制対象品目は拡大済み
  • 軍事・高度技術用途への輸出禁止方針は明確
  • 域外適用により、海外の加工拠点や再輸出にも中国の許可が絡む

という構図は変わっていません。(China Briefing)

今回の簡素化をきっかけに、

  • 「誰が一般ライセンスの対象になっているのか」
  • 「どの用途・エンドユーザーならスムーズに許可が出るのか」
  • 「どのラインが依然として高リスクなのか」

が、企業側から見るとよりはっきり可視化されたとも言えます。

IEAも、中国のレアアース支配力と輸出規制のエスカレーションが、エネルギー・自動車・防衛・AIデータセンターなど幅広い産業に継続的なリスクをもたらすと指摘しており、今回の一般ライセンスはそのリスクを一時的に和らげる措置に過ぎないと見るべきでしょう。(IEA)


7. 日本企業・投資家への practical な示唆

最後に、日本の製造業・商社・投資家の立場から、実務的に意識しておきたいポイントをまとめます。

7-1. サプライチェーンの「どこで中国にひっかかるか」を棚卸し

  • 原材料(酸化物・金属)
  • 中間製品(磁石、ターゲット材など)
  • 完成品(モーター、アクチュエーター、電子部品)

のどの段階で、

  • 中国原産レアアースがどれだけ含まれるか
  • 中国の技術・設備を使っているか

なるべく定量的に把握しておくことが重要です。

10月の措置により、海外で製造された製品でも、中国起源のレアアースが一定割合以上含まれていれば、中国の輸出ライセンスが必要になるケースがあります。(China Briefing)

7-2. 取引先の「ライセンスステータス」を確認

  • 主要な磁石・材料メーカーが一般ライセンスを取得しているか
  • そのライセンスの対象顧客に自社・自グループが含まれているか
  • 軍事・デュアルユース色が濃い用途の場合、どの程度の審査・遅延リスクがあるか

を、取引先・現地法人を通じて確認しておくと、調達リスクの見積もり精度が上がります。

一般ライセンスの有無は、今後**「調達先を選ぶ際の条件」**の一つになっていく可能性があります。(MINING.COM)

7-3. 中・長期的な「脱一極依存」戦略

  • 代替サプライヤー(非中国産レアアース、代替磁石)の開拓
  • レアアースリサイクル・磁石回収スキームへの投資
  • レアアース使用量を減らす設計(モーター構造や制御技術の工夫)

などは、中期的な競争力とレジリエンスの両面で重要性が高まっています。

EUや米国も同様の方向に政策資金をつけ始めているため、「レアアース依存を下げる技術・ビジネス」は、今後も政策的な追い風を受けやすい領域と考えられます。(The Guardian)


8. まとめ

  • 2025年12月の「レアアース輸出許可の簡素化」は、
    一般ライセンスという1年有効の包括許可を導入し、民生用途を中心に輸出プロセスをスムーズにする措置。(Reuters)
  • しかし、4月以降の厳格な輸出管理や、10月の域外適用的なルールはそのまま維持されており、安全保障を軸にしたコントロールの枠組みはむしろ強化されたまま。(JETRO)
  • 短期的には供給不安が和らぎ、輸出量も回復しているが、
    中長期的には「中国レアアースへの過度な依存」という構造リスクは依然として大きい。(Reuters Japan)
  • 日本企業としては、
    1. どこで中国に依存しているかの棚卸し
    2. 取引先のライセンス状況の把握
    3. 中長期の脱一極依存・リサイクル・代替技術戦略
    を組み合わせて、**「中国の一挙手一投足に振り回されにくい体制」**を構築していくことが、これまで以上に重要になってきます。

この記事の内容をもとに、もし「自社のこの部品はどこが危なそうか」「この業界への影響をもう少し具体的に知りたい」といったテーマがあれば、業種や立場を教えてもらえれば、さらに絞った整理もできます。

対中ビジネスアップデート:レアアース輸出規制の現状と見通し(2025年11月20日版)

【エグゼクティブ・サマリー】

赤澤経産相は11月18日、中国のレアアース輸出管理措置について「現時点で特段の変更はない」と述べました。これは、高市首相の台湾関連発言により日中関係が緊張する中にあっても、11月上旬に合意された「対中規制の1年間暫定停止」という現状(ステータス・クオ)が維持されていることを確認するものです。企業にとっては「危機が去った」わけではなく、「1年間の対策猶予期間が確保された」と解釈し、サプライチェーン強靱化を急ぐ必要があります。


1. 経産相発言の事実と核心

  • 日時・発言者:2025年11月18日/赤澤亮正 経済産業相
  • 発言内容:「中国によるレアアース等の輸出管理措置について、現時点で『特段の変更はない』」
  • ビジネス上の含意
    • 直近(11月11日頃)、米中協議の結果として中国側が発表した**「レアアース輸出規制の1年間暫定停止」**の枠組みが、その後の政治的摩擦(後述)によって覆されていないことを確認しました。
    • 中国側が即座に「報復」へ転じていないことへの安堵を示すメッセージです。

2. 背景:2025年秋の「規制ショック」と「一時休戦」

これまでの経緯を時系列で整理します。

  1. 規制の厳格化(10月9日)
    • 中国商務省が「国家安全」を理由に、レアアースの採掘・精錬技術および磁石製造技術の輸出管理を強化。サプライチェーン全体への許可制導入を発表しました。
  2. 国際的な反発と米中合意(10月~11月上旬)
    • 米国:次期トランプ政権のベセント財務長官(指名候補)らが「重大な誤り」と猛反発。対中100%関税のカードを切り、激しい応酬となりました。
    • 一時停止の発表(11月11日):米中協議の進展を受け、中国側は上記規制の**「1年間の暫定停止」**を発表。市場には一時的な安堵が広がりました。

3. 政治リスクの再燃:「変更なし」発言が出た真の理由

なぜ今、改めて「変更なし」の確認が必要だったのか。それは、「一時停止」の合意が吹き飛びかねない新たな火種が発生したためです。

  • 高市首相の「台湾発言」
    • 高市早苗首相による台湾有事・安全保障に関する発言に対し、中国側が猛反発。「日本へのレアアース輸出を全面禁止すべき」との強硬論が中国国内で再燃しています。
  • 発言の意図
    • 赤澤経産相のコメントは、こうした政治的緊張にもかかわらず、**「現時点では中国当局が実務上の『ちゃぶ台返し(規制停止の撤回)』には動いていない」**という事実を市場に伝え、パニックを抑制する狙いがあります。

4. 企業への実務的示唆

「変更なし」=「安全」ではありません。現状は**「首の皮一枚で繋がっている休戦状態」**です。

(1) 短期(今後12カ月):不安定な調達環境

  • 猶予期間の活用:中国側の「1年間停止」措置が有効な間に、現行契約に基づく在庫積み増しを推奨します。
  • 突発的遅延への備え:制度上は「停止」でも、現場レベルの通関遅延(サイレントな嫌がらせ)が発生するリスクは常在します。

(2) 中長期:構造的なデカップリング準備

  • 代替調達の加速:IEAなども指摘する通り、中国への依存(採掘70%、精錬90%超)は構造的なボトルネックです。
  • 技術投資:重希土類フリー磁石やリサイクル技術への投資は、もはや「環境対応」ではなく「BCP(事業継続計画)」の要です。

5. アクションプラン(推奨事項)

  1. 在庫ポリシーの見直し:重要品目については、「ジャストインタイム」から「ジャストインケース(有事対応)」へ切り替え、数ヶ月分のバッファを持つ。
  2. 契約条項の確認:米中・日中の政治的対立による輸出停止を「不可抗力(Force Majeure)」として処理できるか、法務部門と再確認する。
  3. 情報収集の定例化:中国商務省の公式発表だけでなく、ジェトロや専門商社のレポートを通じ、実務運用(ライセンス発給状況)の定点観測を行う。

「中国のレアアース輸出規制に対するアメリカの11月1日からの中国に対する追加関税100%」詳細アップデートと日本ビジネスマンが知るべき点

60秒サマリー

米国は11月1日から対中輸入に「追加関税100%」を課すと発表。既存関税に上乗せで適用され、総負担は多くの品目で130%前後に達する見通し。加えて「重要ソフトウェア」の対中輸出規制も導入方針。発表は大統領のTruth Social投稿によるもので、詳細は未公表。状況次第で発動時期を前倒しまたは撤回する可能性に言及。

背景は中国のレアアース輸出規制の強化。中国はホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウムの5元素を新たに規制対象に追加し、計12元素を規制下に置いた。精製装置・資材の輸出も規制対象とし、域外適用的な運用方針を打ち出した(中国産レアアースを0.1%以上含む磁石は審査対象)。主な発効は11月8日、一部は12月1日。

マーケットは株安・円高で反応。S&P500は2.7%安、ナスダックは3.6%安、円は対ドルで強含み。現行の米中「関税休戦」は11月10日に期限を迎える。

何が「決まった」か速報ベース

正確さに関しては、努力していますが、最終的には個々人でご確認下さい。

米側の措置

対中追加関税100%: 11月1日(またはそれ以前)に発動と大統領がTruth Socialで明言。既存の関税に「上乗せ」する形で適用。

重要ソフトウェアの対中輸出規制: 同じく11月1日から導入方針。ただし「重要ソフトウェア」の定義・該当ECCN・許可プロセス等の詳細は未公表。

背景: 今回の措置は中国のレアアース規制拡大への対抗。現行の米中関税休戦は11月10日に期限を迎える見通しで、11月1日発動は期限の9日前。

撤回条件への言及: 中国がレアアース規制を撤回すれば、追加関税の取り下げ余地があるとの発言も(ただし確約ではない)。

実務メモ: 現時点ではSNSでの政治判断の発表段階。HSコード範囲、免除、経過措置(積送中除外)などの実装細則は未発表。過去の追加関税(例:2025年2月の措置)の際は「船積み済み・積送中」への短期的な経過措置が官報で規定された前例あり(今回も同様とは限らないが注視が必要)。

中国側:レアアース規制の最新ポイント

規制拡大の中身: 5元素(Ho/Er/Tm/Eu/Yb)を追加し、計12元素を規制対象とした。精製技術・装置など多数を規制リストに追加。軍需用途は不許可、先端半導体関連は厳格審査。

域外適用の示唆: 中国資材・設備を使う海外生産や、中国レアアースを0.1%以上含む磁石製品についても中国の輸出許可が必要になり得るとの運用を明記。執行の実効性は未解明だが、サプライ停止リスクが抑止力として機能。

スケジュール: 規制拡大の主要部分は11月8日発効、一部規制は12月1日発効。

マーケットの初期反応(10月10-11日)

米株急落: S&P500は2.7%安(182ポイント減)、ナスダックは3.6%安(820ポイント減)、ダウは1.9%安(878ポイント減)。4月以来の大幅下落。円高進行も観測。

まだ不明な点(実務で「宿題」となる箇所)

適用範囲(HS): 一律100%を全品目に上乗せするのか、除外・猶予の設計はあるのか。官報(Federal Register)またはCBP通知待ち。

「重要ソフトウェア」の線引き: 対象ECCN、クラウド/SaaSやリモートアップデート等の「無形輸出」の扱い。BISからの追加ルールが出るまで社内フローは暫定対応が必要。

移行措置(積送中除外): 前例はあるが、今回の有無・期間は未定。

米中の追加対抗措置: 米側の輸出規制拡張、中国側の対抗課税・許可運用厳格化などの次手。

日本ビジネスが「今すぐ」押さえるべき要点

価格・コストと供給(11月1日リスク)

中国生産→米国向けの最終製品・部材は実質的に100%コスト上乗せが前提に(既存関税と合算で総負担は130%前後の水準に達する見立て)。在庫・出荷計画の前倒しや価格条項の見直しが急務。

原産地・迂回の誤解を回避

第三国経由の転送では原産地(CN)は変わらない。実質的な原産地変更(substantial transformation)や工程移管が必要。通関当局の取締り強化が予想され、形式的な迂回は高リスク。

レアアース・磁石のボトルネック

EV、風力、産業機械、HDD、ロボットなど磁石・レアアース多用業種は二重の供給制約(中国側規制+米側コスト増)に直面。BOM再点検、代替材・代替サプライヤの即時探索を。中国は処理で約90%、磁石で90%超のシェアを持つ。

米拠点からの「無形輸出」管理

米国子会社・米在勤者が関与するソフト配信、リモート保守、AIモデル提供等は輸出に当たり得る。「重要ソフトウェア」定義確定まで、対中向けの新規提供・更新に暫定ゲートを設け、案件審査を義務化。

契約・物流・金融の実務

価格転嫁条項(サーチャージ/関税条項)の発動条件を確認。インコタームズ(DAP/DDP等)に応じた関税負担者を明確化。船積みカット・通関所要の前倒しを運送・通関業者と共有。為替・金利・在庫のヘッジ方針を更新。積送中例外の有無に注意。

業界別・影響の当たり所(早見)

自動車(EV/HEV): 駆動用NdFeB磁石、モータ、パワエレ部材のレアアース依存+米向け中国生産部材のコスト急騰。

産業機械・ロボット: サーボモータ用磁石・精密センサ類の供給不確実性。

エレクトロニクス: 磁石(スピーカー/HDD)、レアアース触媒、中国EMS由来の部材などで影響波及。

再エネ(風力): 永久磁石式発電機で依存度が高く、調達・価格圧力が強まりやすい。

直近2週間の「ウォッチポイント」

米官報(Federal Register): 対象品目(HTS)、移行措置(積送中除外の有無・期間)、免除申請(除外枠)の有無。

米商務省BISの追加告示: 「重要ソフトウェア」定義・ライセンス運用の詳細。

中国商務部(MOFCOM)の運用通知: 許可審査の実際の厳格度、防衛・先端半導体関連の扱い。

米中首脳外交イベントの有無と追加対抗措置: 米側の輸出規制拡張、中国側の対抗課税・許可厳格化。

すぐに着手したい実務アクション(チェックリスト)

48時間以内

  • 米向けCN原産の出荷案件を全件洗い出し(最終製品・部材・補修品)。船積み前倒しの可否判断。
  • BOM単位でのCN原産比率と関税転嫁条項の有無を確認、価格・納期の顧客コミュニケーション草案を用意。
  • 米拠点からの対中ソフト配信の一時ゲート(新規配信・更新・リモート保守の承認制)を導入。

1週間以内

  • サプライヤ・代替源のRFI/RFQ開始(磁石・触媒・精製工程の代替可否)。
  • 通関ブローカー・フォワーダーと移行措置の有無を前提に申告ライン確認。
  • 契約・約款(価格調整・不可抗力・通関責任)見直し案のドラフト化。

今月内

  • 工程移管(原産地変更)の実行可能性評価と投資稟議の素案。
  • 在庫・為替・金利のヘッジ更新とシナリオ別PL感応度の提示。

主な修正点

  1. SNSプラットフォーム名の明記: 「SNS投稿」→「Truth Social投稿」に修正
  2. ナスダック下落率の修正: 「約3.5%安」→「3.6%安」に修正
  3. 中国レアアース規制の対象元素数: 「5元素を新たに規制対象に追加」に加え「計12元素」を明記
  4. 磁石の審査基準: 「微量以上」→「0.1%以上」に具体化
  5. 中国のシェア: 「9割超」→「処理で約90%、磁石で90%超」と詳細化
  6. 文章構成: 読みやすさ向上のため、セクション構成を整理し、重複を削減