タイ税関が電子機器パーツのHSコード解釈を厳格化

実務で最も警戒すべきポイントは2つあります。
1つ目は、通関時の分類(HS)に対する追加資料要求が増え、通関の初速が落ちること。
2つ目は、通関後の事後調査で分類差を指摘され、追徴や手続き負担が増えることです。

タイでは以前から、関税分類の解釈相違がFTA適用可否や追徴に直結しやすいという指摘があります。JETROは、タイ税関の関税分類解釈を起点に、輸入時または事後調査でHS相違を指摘され、過去に遡及して負担が生じる事例に言及しています。(JETRO)
さらに近年は、当局側がデジタル化と監査高度化を進め、HSコードを含む申告の正確性をより厳密に検証する方向性が明確です。タイの税関・税務環境が厳格化し、税関当局が事後調査やAI活用を強化している旨が、PwC Thailandの発信でも説明されています。(PwC)

以下、電子機器パーツに焦点を当てて、何が起きやすいのか、企業はどう備えるべきかを、HSコード実務の観点で整理します。


1. 「厳格化」が意味するもの:現場では何が変わるか

ニュースの見出しが「HSコード解釈の厳格化」である場合、現場で起きやすい変化は概ね次の3類型です。

  1. 申告時のエビデンス要求が増える
    インボイス品名が抽象的、部品用途が曖昧、仕様が不足している場合に、カタログ、仕様書、写真、構成部材、機能説明の追加提出を求められやすくなります。郵便・小口領域でも、タイ向けは2026年1月1日以降、通関電子データの要求が強化され、不十分・不正確だと遅延や返送リスクが高まると日本郵便が注意喚起しています(6桁HS推奨、詳細な品名等)。(郵便局 | 日本郵便株式会社)
  2. 部品か完成品か、複合品かの線引きが厳しくなる
    電子部品はモジュール化が進み、「単なる部品」ではなく、特定機能を完結するユニットとして評価されやすい領域です。ここを税関側が厳密に見始めると、分類が変わるだけでなく、必要許認可や税率、FTA適用実務まで連鎖します。
  3. 事後調査での再判定が増える
    タイ当局は事後調査の仕組みを整備し、輸入時は迅速化しつつ、後段で精緻に確認する運用を強めています。(PwC)
    この局面では、同一品目を継続輸入している企業ほど、過去分まで一括で影響が出ます。

2. なぜ「電子機器パーツ」が狙われやすいのか

電子機器パーツは、税関分類の観点で「揉めやすい条件」が揃っています。

  • 製品の多様化が速く、機能と構造が短期間で変わる
  • 部品と完成品の境界が曖昧になりやすい(モジュール、組立品、キット)
  • 章またぎ(第84類・第85類・第90類など)が起きやすい
  • HSの違いが、関税だけでなく規制(許認可、標準、禁制)やFTA実務に波及しやすい

加えて、タイでは従来から「担当官によりHSコードの解釈が異なる」「判断基準の透明性が課題」といった指摘が、日本側の対外要望の中で繰り返し表面化しています。(jmcti.org)


3. 電子機器パーツで頻出する分類論点(実務での地雷)

ここからは、企業側が社内チェックリストに落とし込みやすい形で、論点を整理します。個別のHS番号断定が目的ではなく、税関から質問される論点を先回りして潰すことが目的です。

論点A 部品(parts)として認められるか

チェック観点

  • 当該パーツは、特定の機器に専ら又は主として使用されるか
  • 単体で独立した機能を発揮するか(測定、変換、通信、制御など)
  • ソフトウェアを搭載し、単体で特定機能を完結するか
  • 外観上、完成品の性格が強いか(筐体、表示、入出力、電源等)

用意する証跡

  • 用途を特定できる資料(組込先の型式、図面、取付位置、BOM上の位置付け)
  • 単体機能の範囲が分かる資料(仕様書、ブロック図、入出力仕様)
  • 市販汎用品か専用品かの説明

論点B 複合機能品の「本質」判定

チェック観点

  • 複数機能がある場合、主要機能は何か
  • 主要機能を支える部材構成は何か(価値、体積、役割)
  • 測定機能があるのか、制御機能があるのか、単なる信号変換か

用意する証跡

  • 機能説明(何を入力し、何を出力し、何を達成する製品か)
  • 構成部材表(主要IC、センサー素子、電源、通信部等)
  • 動作モードと使用シーン

論点C 通関・FTAでの「HS不一致」リスク

タイでは、原産地証明書に記載されたHSと、輸入通関で税関が判断するHSが不一致とされ、FTA税率が認められない相談が多いとJETROが指摘しています。(JETRO)
分類厳格化局面では、この不一致が起きる頻度が上がります。

用意する証跡

  • FTAで使うHS(協定上の基準年・桁数)と、通関で使うHS(現行税番)の対応関係
  • 相手国輸入者と合意したHS見解メモ
  • 分類根拠(後述の分類ドシエ)

4. 会社が今日から整備すべき「分類ドシエ」最低限セット

電子機器パーツで通関が止まりやすい会社ほど、HSを「番号」ではなく「判断記録」として持っていません。厳格化局面で効くのは、次のような最低限のドシエです。

  • 製品概要:用途、組込先、製品写真
  • 機能説明:入力、処理、出力、主要機能
  • 仕様書:電気仕様、通信仕様、測定範囲等
  • 構成部材:主要部品表、基板実装の有無、ソフトウェア搭載の有無
  • 分類ロジック:どの論点で分岐し、なぜその結論か(社内判定メモで可)
  • 取引実態:インボイス品名、型番体系、梱包形態、セット有無
  • 運用履歴:過去の申告実績、指摘履歴、差戻し履歴

タイでは、事前教示制度の活用が推奨される一方、回答まで時間を要することもある、という現場声もJETROが報告しています。(JETRO)
だからこそ、事前教示を待つ間も「自社の説明責任」を果たせる形に整えることが先決です。


5. タイで揉めたときの実務手順:止めない、燃やさない

1) まずは「分類の争点」を言語化する

税関とのやり取りが長期化する企業は、争点が整理できていないことが多いです。
部品か完成品か、主要機能は何か、どこが章またぎか。争点を1枚にまとめて提出できるようにします。

2) 早期に「事前教示」または「分類判断の相談ルート」に載せる

タイでは、輸入時に関税分類解釈の確認を税関側に依頼する運用も紹介されています。(JETRO)
社内で抱え込まず、輸入者・通関業者と一体で、当局照会の段取りを作るのが現実的です。

3) 係争中でも貨物を止めない選択肢を準備する

分類が確定しない場合でも、保証金を積んで通関を進め、後で結論を受ける運用があります。タイの電子輸入手続きマニュアルでも、HS分類を争う場合の保証金・異議の扱いが説明されています。(ccc.customs.go.th)


6. まとめ:厳格化局面で勝つ会社は「番号」より「根拠」を持つ

電子機器パーツのHS分類は、技術進化で曖昧さが増える一方、税関側はデジタル化と監査高度化で、説明責任の水準を引き上げています。(PwC)
このギャップを埋める最短ルートは、分類ドシエを整備し、部品・複合機能・章またぎの論点を先回りして潰すことです。

厳格化は、正しく準備した企業にとっては「予見可能性を上げるチャンス」にもなります。通関を止めず、追徴を防ぎ、FTAも取りこぼさないために、まずは自社の電子部品トップ品目から、分類根拠の棚卸しを始めてください。

■HS2028■④e-bike、ドローン、清掃ロボット関連のHSコード

番号の付け替えではなく、分類の境界線が動く

2028年1月1日発効予定のHS2028は、WCO(世界税関機構)の改正勧告(Article 16 Recommendation)に基づく新しいHS版で、299セットの改正を含みます。改正の狙いとして「新製品や国際標準の反映により分類を容易にする」例に、e-bike、清掃ロボット、ドローンが明示されています。

本稿では、公開一次情報で確度高く言える範囲に絞り、これら3分野でどのような影響が出やすいかを、ビジネスマン向けに整理します。
注意点として、改正勧告の全文(どのHS6桁がどう変わるか)は、各国の国内実装や相関表の整備と合わせて最終確認が必要です。ここでは、確定情報と、実務的に起きやすい影響を分けて説明します。(世界税関機関)


1. まず押さえるべき「影響の出方」

e-bike、ドローン、清掃ロボットに共通するリスクは、分類が揺れやすい境界線にいることです。

・製品の実態は同じでも、呼び方や用途説明で章がブレる
・自律機能やソフト機能の追加で、従来の品名表現に当てにくくなる
・各国が独自に細分(8桁、10桁)してきた分野が、HS(最初の6桁)側で整え直される

HS2028はまさにこの「当てにくい分野」を整える方向が公式説明で示されています。


2. ドローンはここが具体的に動く

自律補助機能があっても、8806で迷わない方向へ

ドローン(無人航空機)は、HS2022で見出し8806が新設され、重量区分などで細分されています。ところが近年は、帰還(Return to Home)や障害物回避のような補助的な自律機能が標準化し、「remote-controlled flight only(遠隔操縦のみ)」という文言だと実態とズレる場面が出てきました。

この点について、WCOのHS見直し小委員会(RSC)で、8806.2の品名表現を
remote-controlled flight only から remote-controlled flight, with or without auxiliary autonomous flight
へ改める合意があったこと、さらに「remote-controlled flight」の意味を定義する章注案が提案され、HS委員会へ送付されHS2028で採択され得ることが、米国政府の公開ページで具体的に説明されています。(貿易庁 | Trade.gov)

企業実務への影響は次の通りです。
・自律補助機能付きドローンでも、遠隔操縦型として8806の枠内に位置づけやすくなる
・「自律機能があるから別分類」といった誤解による差戻しや照会が減りやすい
・一方で、重量区分や用途区分(旅客運送設計など)の判定は引き続き重要

現場で必要になる証跡は、従来の仕様書に加え、操縦形態(遠隔操縦を前提にし、補助的自律機能を含むこと)、最大離陸重量、運用形態の説明です。(貿易庁 | Trade.gov)


3. 清掃ロボットはここが具体的に動く

85.08の文言や扱いを明確化する動きが出ている

清掃ロボットは、家庭用のロボット掃除機だけでなく、床洗浄、モップ掛け、業務用の自走清掃など形態が広がり、各国で分類が揺れやすい分野です。

まず現状の参考として、米国CBPの分類例では、Wi-Fi接続のロボット掃除機が「self-drive(自律走行)モード」を備えていても、真空式掃除機として8508に分類されています。(customsmobile.com)
つまり、少なくとも一部当局実務では「ロボットであること」自体は85.08から外れる理由になっていません。

一方、HS見直しの議論では、清掃ロボットについて「見出し85.08の品名表現を修正する可能性」が議題として挙がっています。HS見直し小委員会のドラフト議題(公開ファイル)には、見出し85.08に関して cleaning robots を対象とした品名修正の可能性が明記されています。(nbr.gov.bd)
さらに、WCO職員によるHS改正案の説明資料でも、清掃ロボットが改正テーマとして列挙されています。(unstats.un.org)

企業実務への影響は次の通りです。
・清掃ロボットを85.08など既存の枠に当てやすくするため、品名や注記の整備が進む可能性
・国ごとにバラついていた「ロボット清掃機器」の扱いが寄っていき、税番の安定度が上がりやすい
・逆に、これまで別章で運用していた場合は、HS2028切替時に品目マスターの見直しが必要

社内で先に整えるべきデータ項目は、清掃方式(吸引、ブラシ、モップ、洗浄液の有無)、ダスト容器の有無と容量、電動機内蔵、用途(家庭用か業務用か)、自走の有無です。ここが揃うと、切替時に分類根拠の再作成が速くなります。(customsmobile.com)


4. e-bikeは何が起きやすいか

国別の細分が先行しており、HS6桁側で整理されやすい領域

e-bikeは、HS2028で分類容易化の例として明示されています。
一方で、公開情報だけで「HS6桁が何番に分割される」と断定できる段階の資料は限られます。そこで本稿では、企業にとって現実的に起きやすい影響を、確度の高い観察事実から整理します。

観察事実として、e-bikeはすでに多くの国・地域で細分管理が先行しています。
例えば英国の公開ガイダンスでは、ペダルアシスト型電動自転車を8711 60 10(CNの区分)として扱う説明が示されています。(GOV.UK)
EUの文書でも、通常の電動自転車とスピード型電動自転車を別コードで扱ってきた経緯が記されています。(EUR-Lex)
またEUは、e-bikeがHS8711 60に分類されることを前提に、原産地の非優遇ルールの情報提供を行っています。(Taxation and Customs Union)

この状況は、次を意味します。
・HS6桁(国際共通の最初の6桁)では一括でも、各国が8桁以降で分けて管理せざるを得なかった
・その結果、国をまたぐと「同じe-bikeのはずが統計や社内マスター上は別物」になりやすい
・HS2028が分類容易化を狙う以上、HS6桁側で境界線を明確にする方向の議論が入りやすい

企業実務への影響は、コードが変わるかどうか以前に、判定に必要な客観仕様を揃えることが必須になる点です。
特に次の仕様は、将来の区分整理の基礎データとして重要度が高いです。
・ペダルアシストか、スロットル主体か
・定格出力、最高速度、車両区分の根拠
・バッテリー仕様と同梱形態
・車体重量、用途(公道、私有地、貨物用途など)

これらが揃っていないと、HS2028切替後に取引先や通関業者から「仕様を出してほしい」が集中し、出荷が止まりやすくなります。


5. 3分野共通の社内アクション

2028年に止まらないための最小セット

  1. 品目マスターに、分類に効く仕様項目を追加する
    e-bikeは出力と車両性、ドローンは操縦形態と重量、清掃ロボは清掃方式と機能で、まずは項目を揃えるのが最優先です。(貿易庁 | Trade.gov)
  2. HS2022とHS2028を二重管理できる設計にする
    切替日は2028年1月1日です。HS6桁が変わると、申告、原産地、統計、契約表示まで連鎖します。WCOもHS2028の公表と発効タイムラインを示しています。(世界税関機関)
  3. 争点になりやすい品目は、分類根拠メモを先に作る
    新技術系は「なぜその章なのか」を後から説明できることが、照会対応と監査対応のコストを決めます。HS2028はまさに、こうした分野の分類容易化を目的に含む改正です。

まとめ

HS2028で e-bike、ドローン、清掃ロボットが影響を受けやすい理由は、製品の進化速度が速く、従来の品名表現だけでは境界が曖昧になりやすいからです。EUの公式説明でも、これらが分類容易化の対象例として挙げられています。

ドローンは、補助的自律機能を前提に8806の文言を更新する提案が具体的に示されており、HS2028で採択され得ます。(貿易庁 | Trade.gov)
清掃ロボットも、85.08の扱いを明確化する議論が確認でき、実務上の揺れを抑える方向が見えます。(nbr.gov.bd)
e-bikeは各国で細分管理が先行しており、HS6桁側で整理が入りやすい領域です。(GOV.UK)

■HS2028■③ヘルスケア食品サプリメントと食品強化用ミックス関連のHSコード

2106一括運用が通用しにくくなる理由と、企業が備えるべき実務ポイント

2028年1月1日に発効するHS2028は、WCOが取りまとめた299セットの改正で、社会・環境・健康・セキュリティ上の要請を反映しつつ、分類のしやすさと監視のしやすさを高める方向で設計されています。EUの公式説明でも、改正の具体例として食品サプリメントと食品強化用ミックスが明示されています。
またWCOは、HS2028の改正勧告がまとまり、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効する流れを示しています。(世界税関機関)

本稿では、食品サプリメントと食品強化用ミックスについて、HS2028で想定される変化の方向性と、企業実務で起きる影響を、一次情報に基づく範囲で整理します。
注意点として、どのHS6桁が新設・統合・移動するかの確定は、WCOが公表するHS2028法文と相関表で最終確認する必要があります。一方で、分野として改正対象に入ること自体は公式資料で確認できます。


1. なぜ食品サプリと食品強化ミックスがHS改正のテーマになるのか

理由は大きく2つあります。

1つ目は、税関が識別したい商品が増えたことです。
食品サプリは、健康志向の高まりとともに市場が拡大し、形態もカプセル、錠剤、ゼリー、粉末、液体飲料など多様化しました。その結果、食品としての調製品なのか、飲料なのか、医薬品に近いのか、境界で分類のブレが起きやすくなっています。EUの裁判例でも、食品サプリの液体形態をめぐり、2106と2202の境界が争点になっています。(EUR-Lex)

2つ目は、食品強化が政策目的と結びつきやすいことです。
食品強化は、ビタミンやミネラルなどの微量栄養素を食品に添加して栄養状態の改善を狙う施策で、国や地域で制度設計されやすい分野です。WHOも食品強化の定義と目的を整理しています。(世界保健機関)
この分野で使われる食品強化用ミックスは、最終食品ではなく、製造工程で投入されるプレミックスであることが多く、貿易・統計・監視の観点から識別ニーズが高い商品群です。HS2028では、こうしたニーズを踏まえた区分整備が例示されています。


2. HS2028で起きやすい変化の方向性

確度高く言えることと、実務上の見立て

2-1. 確度高く言えること

・HS2028の改正テーマとして、食品サプリメントと食品強化用ミックスが公式文書で明示されている
・HS2028は分類を容易にし、政府・産業・社会目的のモニタリングに資する区分を整備する方向で改正される
・WCOの関連組織でも、dietary supplementsの分類改正に関わる論点がHS2028の提案群として扱われている(世界税関機関)

2-2. 実務上の見立て

ここからは、上記の公式方針と、現行運用での争点を踏まえた見立てです。断言ではなく、影響が出る典型パターンとして整理します。

・HS6桁レベルで、食品サプリと食品強化ミックスを識別しやすい区分が追加される可能性
現状、多くの国で食品サプリは2106に寄せられがちですが、液体形態では2202側との境界問題も起きています。(EUR-Lex)
HS2028が分類容易化を狙う以上、こうした境界での判断基準や区分の粒度が調整される可能性があります。

・食品強化用ミックスは、最終食品と区別して追跡できる方向へ
食品強化のプレミックスは、最終製品ではなく、製造用投入材として動くため、統計・監視上は別管理したいニーズがあります。HS2028が食品強化用ミックスを例示したのは、その識別力を上げる方向性を示唆します。


3. 企業にとっての具体的な影響

何が増え、どこで止まりやすくなるか

3-1. 食品サプリは、品名よりも形態と用途情報が重要になる

現行でも、カプセルや錠剤など、摂取量が明確な形態のサプリは2106に分類されるという説明が政府ガイダンスにあります。(GOV.UK)
一方、液体形態は飲料(2202)側との境界問題があり、実務上の照会・差戻しが起きやすい類型です。(EUR-Lex)

HS2028で区分が細かくなると、通関で求められやすい情報は次の方向になります。
・形態:カプセル、錠剤、粉末、ゼリー、液体など
・表示と用途:サプリとしての摂取目的か、嗜好飲料か
・成分構成:ビタミン・ミネラル、植物抽出物、たん白、糖類などの主成分
・包装:小分けか、業務用バルクか

結論として、これまで商品名だけで通っていたものが、仕様書と表示情報まで含めて説明責任が重くなる可能性があります。

3-2. 食品強化用ミックスは、製造投入材としての説明が必要になる

食品強化用ミックスは、最終食品ではなく、微量栄養素を既定量で投入するためのプレミックスです。食品強化自体が公衆衛生と結びつくため、成分や用途の説明が重要になります。(世界保健機関)

実務で問われやすいのは次の点です。
・用途:最終食品向けか、飼料向けか
・投入先:小麦粉、米、塩、乳製品、飲料など
・組成:微量栄養素の種類と濃度、担体、固結防止剤等
・流通形態:業務用バルクか、消費者向け包装か

HS2028で識別力が上がると、これらの情報が分類の前提として必要になり、社内マスターに持たせないと運用が詰まりやすくなります。


4. すぐ始められる社内準備

ビジネス側の実装コストを下げる順番

  1. 対象品目の棚卸しを、形態と用途で切る
    ・食品サプリ:固形の摂取量明確品、液体形態、ゼリー・粉末
    ・食品強化ミックス:製造投入材、バルク、投入先が複数のもの
  2. 製品情報の最小セットを統一する
    ・原材料組成表、仕様書、ラベル表示、用途説明
    ・業務用は投入先と投入量の情報
  3. 現行分類の争点を先に潰す
    ・2106と2202の境界になり得る液体系サプリは、根拠と説明資料を強化する(EUR-Lex)
  4. HS2022とHS2028の二重管理を前提にデータ設計する
    ・WCOの公表テキストと相関表を受けた一括置換ができるよう、品目ID軸で履歴を持つ(世界税関機関)

まとめ

HS2028では、食品サプリメントと食品強化用ミックスが改正対象として明示され、分類をしやすくし、モニタリングにも使える品目体系へ寄せる方向が公式に示されています。
企業にとっての本質的な影響は、コードが変わることそのものよりも、分類に必要な情報が増え、説明責任が重くなることです。特に液体形態のサプリは、現行でも2106と2202の境界が争点になり得るため、HS2028移行で照会が増えやすい領域です。(EUR-Lex)

今やるべきことは、対象品目を形態と用途で棚卸しし、成分と表示を含む最小証跡セットを揃え、HS2028の公表テキストと相関表が出た瞬間にマスター改修へ移れる状態を作ることです。(世界税関機関)

主要国の事前分類申請と審査リードタイム比較

事前分類申請とは、輸出入申告の前に税関当局へ品目分類(HSコードや統計品目番号など)について照会し、公式な判断(裁定、事前教示、Advance ruling、BTIなど)を得る手続です。品目分類は関税率だけでなく、原産地規則の適用、輸入規制、統計、アンチダンピング課税などの前提となるため、誤分類はコスト増や通関遅延、修正申告やペナルティの原因となり得ます。事前に公式判断を確保しておくことで、通関の予見可能性と社内の見積精度を高めることができます。​

ただし、国や地域ごとに制度名、起算点、審査に要する標準日数、例外時の扱いが異なります。本稿では、各当局が公開しているサービス標準や法定期限を基準に、主要国のリードタイムを比較します。

比較の前提

リードタイムの起算点が国ごとに異なる

同じ「30日」でも、申請書の受理日から数える国もあれば、必要資料が揃った時点から数える国、または受理可否の審査期間と本審査期間が分かれている国があります。本稿の比較表では、当局資料が明示する起算点も併記します。​

追加資料要求や分析が入ると期限が延長される

多くの国で、追加資料の提出待ち期間や、試験・分析・専門家照会などの期間が標準期限の計算から除外される、または回答期限が延長される扱いとなっています。各制度の注意点も表と解説に反映します。​

本稿で扱うのは「品目分類」に関する事前判断

各国には原産地や関税評価、表示・マーキングまで含む包括的な事前教示制度もありますが、本稿は主に品目分類の事前判断に焦点を当てます。​

主要国の審査リードタイム比較表

国・地域制度の呼称(代表例)公表されている目安の審査リードタイム起算点・補足(要点)
日本事前教示制度(関税分類)原則30日以内文書照会の受付後、30日以内の早期回答に努める旨が案内されている​。
韓国品목분류 사전심사(品目分類事前審査)原則30日(一定の場合は15日)申請書受付日から30日が処理期限。緊急性が高い特定事由では15日。委員会審議、補正、試験・分析、対外照会などの期間は期限計算から除外される​。
豪州Tariff Advice通常30日(需要集中時は長期化あり)通常状況でのサービス標準が30日と明示。混雑時は長くなる可能性がある​。
中国商品归类预裁定(事前裁定)受理後60日(受理判断は10日以内)申請書と関連資料受領後10日以内に受理可否を判断し、受理後60日以内に決定書を発行。化验・検測・鑑定・専門家論証などに要する時間は60日に算入しない​。
EUBTI(Binding Tariff Information)受理後120日申請受領後30日以内に受理判断、その後、受理後120日でBTI決定を発行。例外的に延長の可能性あり​。
英国(グレートブリテン)Advance Tariff Ruling30〜120日申請後、30〜120日で返信すると明記​。
英国(北アイルランド)Binding Tariff Information decision120日を目標申請に対し120日以内の回答を目標とする旨が明記​。
カナダCBSA Advance Rulings必要情報受領後120日以内申請に必要な情報を全て受領してから120日以内が標準。追加情報を求めた場合、その受領後に120日のカウントが始まる​。
米国USMCA関連のAdvance ruling120日(延長要因あり)申請受領後120日以内にAdvance ruling letterを発行する旨が規定される一方、追加情報提出や他機関情報取得、ラボ分析が必要な場合は回答時間が延長され得る​。

リードタイムの分類

リードタイムを基準に分類すると、主要国は次の3グループに整理できます。

約30日グループ

日本、韓国、豪州がこの水準に位置します。いずれも、書類の完成度が高く、追加照会や試験が不要なケースでは短期間で結論が出やすい設計となっています。​

約60日グループ

中国は受理後60日が基本で、受理判断10日と組み合わせた制度設計です。ただし、化学分析や鑑定などの期間が60日に算入されないため、対象品目によっては実務上の所要日数が伸びる可能性があります。​

約120日グループ

EU、カナダ、米国(USMCA手続上)、英国(制度によって30〜120日、または120日目標)が概ねこの範囲です。EUは受理判断フェーズと受理後の決定フェーズが明確に分かれており、制度上は受理後120日に整理されています。​

リードタイムが延びる典型要因

次の要因は、多くの国で「期限延長」または「期限計算から除外」として扱われ、実務上の想定日数を押し上げます。

追加資料の要求と提出待ち

カナダでは、追加情報の提出後に120日のサービス標準が開始すると明示されています。米国(USMCA手続)でも、補足情報の提出が回答時間を延長し得る旨が記載されています。​

試験、分析、鑑定、専門家照会

韓国は、試験・分析や専門機関照会などの期間を期限計算から除外する旨が明確です。中国も、化验・検測・鑑定・専門家論証などの期間は60日に算入しないと明記しています。​

需要集中や繁忙期

豪州は、通常30日のサービス標準に加え、需要が多い時期は長くなる可能性を明示しています。

例外的な延長規定

EUは、受理後120日が基本である一方、例外的に延長され得る旨が示されています。​

実務で使える申請準備のポイント

リードタイムの短縮と回答の確実性を高めるため、国をまたいで通用する実務ポイントを整理します。

申請書の製品説明を分類ロジックに直結させる

以下の情報を明確に記載することが重要です。

  • 機能、用途、作動原理
  • 材質、成分比、構造(層構造、部品構成)
  • 製造工程(分類論点が工程に依存する場合)
  • 型番ごとの差異(どこまで同一品として扱えるか)

補助資料を最初から揃える

カタログ、仕様書、図面、写真、成分表や試験成績書などを初回提出時に揃えることが重要です。必要に応じてサンプル提出の可否も検討してください。追加資料要求が発生すると、各国で期限が延びたり、起算点が実質リセットされたりします。​

期限の「数字」だけでなく「起算点」を社内で統一管理する

例えばEUは、受理判断に最大30日、その後に受理後120日という設計なので、社内計画では単純な120日ではなく、受理前後を分けて見積もる方が安全です。中国も、受理可否の判断10日と受理後60日が示されており、同様に二段階で管理した方が誤差が減ります。​

リードタイムを逆算して「申請の締切日」を決める

以下のステップで社内スケジュールを設計します。

  • 新製品ローンチ、初回出荷、価格確定、契約締結など、分類が前提となるマイルストーンを列挙
  • 対象国の標準日数に、追加資料や試験のバッファを上乗せ
  • 輸出者と輸入者で、どちらが申請主体かも事前に合意

まとめ

主要国の事前分類の審査リードタイムは、30日、60日、120日という目安に概ね収れんします。ただし、実際の所要日数は、起算点、追加資料、試験・分析、当局の繁忙などで変動します。公式に示された「標準日数」は、「完全な情報が揃っている」ことを前提に設計されているケースが多いため、最も効果的な短縮策は初回提出の完成度を上げて追加照会を減らすことです。​

HS2028と品目分類アップデートを経営課題に変える方法 2028年1月1日に向けた企業の実務ロードマップ


はじめに

HS改正は、関税コストやEPA・FTAの原産地判定、輸出入規制、社内マスタやBIの集計軸まで、企業の意思決定に直結する基盤データの更新です。特にHSの改正は、現場が気づいた時にはシステム改修やデータ整備が間に合わず、誤申告やコスト増に繋がるケースが起きやすいテーマです。

この記事では、メールの要点を踏まえつつ、HS2028の背景、企業に起こる現実的な影響、そして今から取るべき準備を、経営・事業サイドの視点で整理します。根拠は一次情報を優先し、公式発表を中心に組み立てます。wcoomd

まず結論:今日のメールが示す3つの意味

メールの短い文面を、ビジネス視点で言い換えるとポイントは次の3つです。

HS2028はすでに「準備段階」ではなく「実装計画を動かす段階」に入っている

WCOの第75回HS委員会は、2025年3月にHS2028改正勧告(Article 16 Recommendation)を暫定採択しました。 この勧告は2025年末に正式採択され、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効する予定です。 つまり、企業に残された時間は「まだ2年ある」ではなく、「本格対応のための猶予が実質2年しかない」という意味です。strtrade+1​

HS2022からHS2028へのマッピングは、通関だけでなく社内データの変換作業である

メールが示唆する「HS2022→HS2028のマッピング開始」は、単なるコード置換ではありません。多くの場合、旧コード1つが新コード複数に分岐したり、統合されたりします。結果として、商品マスタ、BOM、購買カテゴリ、輸出入統計の集計軸まで影響します。WCOのHS委員会第76回会合(2025年9月)では、HS2022とHS2028の相関表(Correlation Tables)の作成に着手し、改善された形式を採用することで明確性と使いやすさを高める方針が示されました。customsmanager+1​

国別の関税率表・規制の追随で、実際のコストとリスクが確定する

HSは世界共通の6桁ですが、各国はその先の桁で自国の関税率表や統計品目表を作ります。したがって、企業にとっての本番は「自社が輸出入する国で、いつ、どのように関税率表や規制が改正されるか」です。米国ではUSITCが2025年8月にHTS改正のための調査(Investigation No. 1205-032)を開始し、2026年2月に予備案を公表、2026年9月に大統領へ報告する予定です。 これは、主要国がすでに国内実装に動き出していることを示す分かりやすい例です。usitc+1​

HS2028の公式タイムラインを整理する

意思決定で重要なのは、社内の工程表に落とせる形で公式の流れを押さえることです。

2025年3月
WCOのHS委員会第75回会合がHS2028改正勧告(Article 16 Recommendation)を暫定採択しました。 改正パッケージは299セットの改正で構成されています。aeb+2​

2025年6月
WCO理事会がHS2028改正案を採択し、HS条約締約国に回付しました。 締約国は6か月の留保期間中に異議を提起できます。tarifftel

2025年12月末
正式採択の予定です。wcoomd+1​

2026年1月
HS2028勧告が公表されます。 これが企業にとって全体像を把握できる最初のタイミングです。strtrade+2​

2028年1月1日
HS2028が発効し、各国の関税率表・統計品目表が順次HS2028ベースへ切替わります。tarifftel+2​

このスケジュールを見ると、企業が主導できる余地が大きいのは2026年から2027年にかけてです。ここでマスタ整備と影響分析を終えておかないと、2028年直前は各国の実装情報が押し寄せ、火消し型の対応になりがちです。

そもそもHS改正とは何を変えるのか

HSは6桁の国際共通コードで、各国・地域はこれに独自の枝番を付けて関税率表や統計品目表を運用しています。EUでは、HS6桁を土台に8桁のCN(Combined Nomenclature)が構成され、通関や統計に使われます。 つまり、国際共通部分(最初の6桁)が動くと、その上に乗る各国の体系が連鎖的に動きます。siccode

ビジネスに効くポイントは次の通りです。

  • HS改正は「商品名の辞書の更新」ではなく、企業の基幹データキーの更新
  • 同じ商品でも、分類ロジック(用途、材質、機能など)によって別コードになり得る
  • コードが変わると、関税率だけでなく、規制判定や社内集計も変わる

HS2028の方向性:なぜ改正されるのか

HS2028の改正は、単なる整理ではなく「政策目的を持ったアップデート」です。299セットの改正は、貿易パターンの変化、新技術の登場、そして社会・環境・安全保障上の要請に対応するためです。 具体例として、プラスチック廃棄物、ワクチン等の健康関連品目、農業分野で重要度が増した品目群、食品強化用のミックス、食品サプリメント、eバイク、半導体やトランスデューサ、清掃ロボット、ドローンなど、新製品・市場変化を踏まえた分類の整合が含まれます。aeb+2​

この点は経営層にとって重要です。なぜならHS改正は、次のような企業リスクを「構造的に増やす」からです。

  • 新技術領域は製品定義が早く変わり、分類根拠が揺らぎやすい
  • 環境・安全保障領域は規制との紐付けが強く、誤分類のペナルティが重くなりやすい
  • 簡素化の名目で統合・削除が起きると、旧データとの連続性が崩れ、集計・比較が難しくなる

「分類」アップデートが企業を揺らす理由

メール題名にあるClassificationは、単にHS改正だけでなく、日々積み上がる分類判断(分類裁定、分類意見、解説書の改正など)も含むと捉えるのが実務的です。

WCOのHS委員会は、HSの統一的解釈のために分類判断や解説の改正を継続的に行っています。第75回会合では105件の改正案、5件の解説注改正を採択し、第76回会合(2025年9月)では40件の分類決定を採択、21件の新規分類意見を作成し、2件の既存意見を削除しました。 また、HS2028とHS2022の相関表の議論も開始されています。wcoomd+2​

ここから導ける実務の教訓は明確です。分類は一度決めて終わりではなく、制度側の判断が積み重なっていく領域です。HS2028の大改正は、その積み重ねが一気に体系変更として表面化するイベントだと言えます。

ビジネスへの影響を「5つの損益項目」で見る

HS改正は通関や貿易管理の話に見えますが、事業PLの要素に分解すると、経営会議で議論しやすくなります。

関税と輸送を含む着地原価(landed cost)

HSコードが変われば、各国の関税率表で適用税率が変わる可能性があります。税率が同じでも、追加要件(統計単位、特別措置、規制コード付与など)が付くことがあります。国別の実装が確定するまで見通しは立ちにくいので、影響が大きい品目から順にシナリオ分析するのが現実的です。usitc

EPA・FTAの原産地判定

多くの協定では関税分類(項、号など)を使って原産地規則を定義します。HSが改正されると、ルールの適用解釈や、協定側の改訂・経過措置が論点になります。調達や生産設計の意思決定に影響するため、貿易管理部門だけに閉じない論点です。

輸出入規制・社内コンプライアンス

HSコードが規制の入口になっているケースは少なくありません。分類の精度がコンプライアンスの前提になります。

需要・売上・粗利の分析軸

HSを商品分類のキーとして社内集計に流用している企業は多いはずです。HS変更は、経営ダッシュボードの前年対比や市場シェア分析の連続性を壊し得ます。ここは財務・経営企画が早めに関与すべき領域です。

取引条件・価格交渉

関税コストが変われば、価格改定や契約条項(関税負担、価格改定条項、長期契約の見直し)に波及します。特にBtoBで長期契約が多い業界は、HS改正が「誰が追加コストを負担するか」の交渉材料になります。

2026年から始める実務ロードマップ

ここからが本題です。HS2028対応は、プロジェクトとして切り出すと成功確率が上がります。おすすめは次の6ステップです。

ステップ1 影響が大きい領域の棚卸し

  • 輸出入額上位の品目
  • 規制対象や監査頻度が高い品目
  • FTA利用比率が高い品目
  • 新技術カテゴリ(例:電子部品、機器、電池、環境関連など)

ステップ2 分類根拠の整備

コードだけを並べても、変更時に判断が揺れます。製品仕様、用途、材質、機能、構造、技術資料など、分類根拠の証跡を揃えます。

ステップ3 HS2022からHS2028へのマッピング設計

相関表を使う場合でも、単純な置換ではなく、分岐・統合の扱いが肝になります。WCO側でも相関表は重要な実装ツールとして議論されています。 社内では「自社の品目がどの分岐に該当するか」を決める必要があります。customsmanager+1​

ステップ4 国別の実装情報を監視する仕組みを作る

HSは各国で枝番と税率が付くため、国別ウォッチが必要です。特に輸出入量が多い国は、官報、税関告示、関税率表改正、関連機関のパブコメなどを定常監視に入れます。米国向け取引がある場合、USITCのHTS改正プロセスのように、ドラフトが公表されるタイミングを先に工程表へ入れられます。starusa+1​

ステップ5 システムとデータのバージョン管理を実装する

HSの年版(例:HS2022、HS2028)と適用期間をデータ項目として持ち、いつの時点でどのHS体系を使ったのかを追える設計にします。ここを曖昧にすると、監査対応とBIの整合が崩れます。

ステップ6 社外パートナーとの同期

通関業者、フォワーダー、海外子会社、主要サプライヤーに対し、いつから何を切り替えるかを共有します。データ連携をしている場合は、マッピングテーブルの配布・受領、テスト計画まで含めます。

経営層が見ておくべきKPI

現場任せにすると、進捗が見えません。次の指標は、経営側でもモニタリングしやすいです。

  • 売上または輸出入額の上位80パーセントを占める品目のうち、HS2028影響分析が完了した比率
  • マッピングで分岐・統合が発生する品目数(ここが工数とリスクの中心)
  • 規制対象品目の再確認完了率
  • 主要国別の実装情報収集状況(ドラフト入手、社内反映、テスト完了)

まとめ:HS2028は一度きりのイベントではない

HS2028は大きな節目ですが、そこがゴールではありません。WCOは継続的にHSの解釈と適用の統一を推進しており、今後も定期的な改正サイクルが続きます。 つまり、企業としては「改正のたびに頑張る」のではなく、「改正に強い運用能力」を作ることが投資対効果の高い戦略になります。wcoomd+1​

HSは通関のための番号に見えて、実態は利益管理と規制対応の共通キーです。今日のメールをきっかけに、2028年の切替を、リスク回避だけでなく、データ基盤整備と意思決定スピード向上の機会として設計していくのが得策です。


  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced
  3. https://www.customsmanager.info/post/wco-hs-decisions-what-changed-hsc-76-customs-manager-ltd
  4. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/october/harmonized-system-committee-concludes-its-76th-session-with-remarkable-outcomes.aspx
  5. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  6. https://starusa.org/trade-news/usitc-investigation-launched-on-2028-harmonized-tariff-schedule-changes-to-align-with-global-standards/
  7. https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php
  8. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  9. https://siccode.com/page/combined-nomenclature-cn
  10. https://global-scm.com/blog/?p=3091
  11. https://www.scribd.com/document/899687945/75
  12. https://www.internationaltradenews.co.uk/issue80/next_edition_of_harmonised_system_to_be_available_from_january_2026.htm
  13. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/hs_classification-decisions.aspx
  14. https://global-scm.com/hscf/archives/466
  15. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx?stf=1
  16. https://catts.eu/wco-wto-updates-april-2025/
  17. https://www.tariffnumber.com/info/combined-nomenclature

HTSUS2026版:8桁差分の実務チェックリスト

HTSUS 2026で「8桁差分」を見落とさないための実務チェックリスト
ビジネス現場で役に立つ、差分確認から社内展開までのやり方

米国向けの輸入ビジネスでは、HTSUSの番号は「一度決めたら終わり」ではありません。usitc
HTSUSは議会立法や大統領布告などを通じて改正され、年次版の発行に加えて補遺やオンライン改訂が入る仕組みで運用されています。usitc+1​
USITCは、年次版(Basic Edition)を毎年公表したうえで、その後も電子版HTSを補遺・改訂のたびに更新し、PrefaceやChange Recordで変更点を示すことを明確にしています。(例:2024年Supplement発行告知など)usitc

そのため、年度が変わるタイミングや途中改訂のタイミングで、同じ品物でも該当する番号や読み方が動く可能性がある、という前提で実務を設計する必要があります。usitc

この記事では、HTSUS 2026を念頭に、8桁レベルの差分を業務として潰し込むためのチェックリストを、現場目線で解説します。
結論として、差分確認は関税率の確認だけでは不十分です。
番号の新設・統合・付け替え、条文やインデントの更新、注釈の変更、章98・99の適用関係まで含め、社内マスタと通関実務に確実に反映するところまでを一連のプロセスとして組み込むことが重要です。usitc


なぜ「8桁」を軸に見るのか

まず、実務で混乱が起きやすいポイントから整理します。

  • HTSUSは4桁がHeading、6桁と8桁がSubheadingという階層構造になっています。usitc
  • 法的なテキスト(legal text)は8桁レベルで完結し、関税率も8桁レベルで割り当てられます。usitc
  • 一方、実務上の輸入申告では10桁の番号を入力します。usitc

10桁は「8桁の法的サブヘディング+2桁の統計サフィックス(statistical suffix)」で構成され、統計上は重要ですが、統計サフィックスとその説明文、数量単位は「法的テキストではなく、行政的に採用されたもの」とされています。usitc
それでも、USITCは「輸入申告では10桁番号を使わなければならない」と明記しています。usitc

ここから導かれる実務上のポイントは次のとおりです。

  • 8桁差分は、関税率や法的な区分の変更に直結しやすい。usitc
  • 10桁差分は、統計区分や申告要件(報告単位など)の整合性に直結しやすい。usitc
  • どちらも放置すると、申告の不備や誤課税、統計不整合のリスクになる。usitc

したがって、まず8桁差分を軸に影響評価を行い、そのうえで10桁レベルまで落とし込んで通関入力に耐える形に仕上げる、という順番が実務的に有効です。usitc


「8桁差分」で何が変わり得るか

差分の中身を、現場で起こりがちなパターンに分解します。
ここが曖昧なままだと、チェックリストが単なる作業レベルに留まり、抜け漏れが増えます。

1. 番号の新設・統合・付け替え

  • ある品目が細分化されて新しい8桁が増える。
  • 複数の8桁が統合されて廃止される。
  • 条文再編に伴い、番号が付け替えられる。

4桁・6桁レベルのHS構造はWCOで国際的に合意された枠組みであり、一定周期で改正が行われます。
その枠組みの下で、米国は8桁および10桁レベルに独自の細分(domestic detail)を設けており、国内運用上の事情に応じて改訂が行われることがあります。wcoomd+1​

2. 文言やインデントの変更

番号自体が同じでも、次のような変更で対象範囲の読み方が変わることがあります。

  • 説明文の追加・削除・書き換え。
  • インデントレベルの変更(同じ見出し配下か、より狭い範囲の規定か)。

USITCは、HTSの分類では電子検索だけでは不十分で、条文の構造を確認し、同一インデントレベルで最も具体的な規定を選ぶ必要があると説明しています。usitc

3. 注釈(Notes・Additional U.S. Notesなど)の変更

法的テキストは、見出しや番号だけでは完結しません。

  • 一般解釈規則(GRI)。
  • Section Notes / Chapter Notes / Subheading Notes。
  • Additional U.S. Notes など。

USITCは、法的テキストは解釈規則や各種注釈、見出し・小見出しの用語で構成され、タイトル(章名など)は便宜上のものであり法的効力はないと説明しています。usitc
タイトルや脚注だけを見て判断すると、法的根拠のある条文を見落とすリスクがあります。usitc

4. 関税率や特恵の見え方の変更

HTSUSの税率欄には、次のような情報が並びます。

  • 一般税率(General)。
  • 特恵税率(各種FTAや特恵制度)。
  • 国別の追加税や特別列(必要に応じて)。

USITCは、特恵欄の記号や税率は協定や優遇制度の適用を示すものであり、条件を満たしていても輸入者が申告で主張しない場合は一般税率が適用されることがあると説明しています。usitc
差分確認では、番号変更だけでなく、税率欄や特恵プログラムの記号の変化もセットで確認する必要があります。usitc

5. 章98・章99の適用関係の変化

多くの貨物は章01〜97で分類されますが、場合によっては章98や章99により別扱いとなることがあります。usitc
差分確認で章99の参照や追加措置が絡む場合、通常分類(章01〜97)の更新だけ見て終わると危険です。
また、USITC FAQは、脚注やエンドノートは法的効力を持たない一方で、他のHTSコードや追加情報へユーザーを誘導するために用いられることを説明しています。usitc
参照先の変更や参照の新設は、実務上の追加確認ポイントになります。


HTSUS 2026版でまずやるべきこと

ここから「実務チェックリスト」に入ります。
読み進めながら、そのまま社内のタスクに落とし込める構成にしています。

ステップ0 範囲と責任分界を最初に固定する

最初に決めるべきは、細かい作業量ではなく「責任とスコープ」です。

  • 対象範囲
    • 全SKUを対象とするか。
    • 対米輸入SKUのみを対象にするか。
    • 直近1年出荷SKUなどに絞るか。
  • 判断責任
    • 分類の一次責任者。
    • 最終承認者(マネージャー、コンプライアンス担当など)。
    • ブローカーとの窓口担当。
  • 反映先
    • ERP品目マスタのHTSUS番号・税率ロジック。
    • 通関指示書やインボイス、品目説明テンプレート。
    • 見積・原価計算ロジック、契約条項(関税負担条件など)。
  • 期限
    • 年次版切替の適用日。
    • 途中改訂(Supplement)の反映タイミング。

USITCの案内でも、輸入品の分類責任はまず輸入者にあり、HTSの解釈と適用はCBPの所掌であると整理されています。usitc
社内で責任分界が曖昧なままだと、差分が見つかった際に判断や承認が止まりやすくなります。


実務チェックリスト:8桁差分を「業務として」潰す手順

以下が本題のステップです。
チェック項目は多いですが、「順番」を固定しておくことで手戻りを減らせます。

ステップ1 公式データを入手し、版と改訂を固定する

最優先は、「どのデータを正とするか」を固定することです。

  • 入手元はUSITCの公式HTS(電子版)を基準にする。usitc
  • 2026年Basic Editionだけでなく、当年の補遺・改訂を含めた参照範囲を決める。usitc
  • PrefaceとChange Record(変更履歴)を必ず確認する運用を決める。usitc

USITCは、電子版HTSを補遺や改訂が出るたびに更新し、その変更点をPrefaceとChange Recordに示すと説明しています。usitc

さらに、業務システムに取り込みやすい形でのデータ入手も押さえておくと効率的です。
Data.govでは、USITCが提供するHTS Basic EditionがCSV・Excel・JSON形式で公開されており、マスタ更新や差分抽出の入口として実務上使いやすい形になっています(現時点で2024版の公表が確認できる)。usitc

ステップ2 差分抽出は「番号」だけでなく「法的テキストの変化」を拾う

差分抽出でよくある落とし穴は、「番号の増減だけ見て終わる」ことです。
現場で使えるレベルにするには、差分を次の観点に分類して管理します。

  • 8桁の新設。
  • 8桁の廃止。
  • 8桁番号の付け替え(条文の移動・再構成)。
  • 説明文の変更(対象範囲に影響しやすい)。
  • 注釈の変更(General Rules、Section Notes、Chapter Notes、Subheading Notes、Additional U.S. Notesなど)。
  • 税率欄・特恵欄の変化。
  • 10桁統計サフィックス(Stat. suffix)の新設・統合・削除・説明変更。

USITC FAQは、法的テキストは解釈規則や各種注釈、見出し・小見出しの用語で構成され、タイトルは法的効力を持たないと説明しています。usitc
番号比較だけでは拾えない差分が、この「テキスト側」の変更に集約されます。usitc

ステップ3 影響度トリアージで、先に見るべきSKUを決める

全件を同じ熱量で見ると、担当者が疲弊します。
ビジネスインパクトを起点に、優先順位の軸を明確にしておきます。

  • 金額インパクト:年間輸入額が大きいSKU。
  • 税率インパクト:税率が高い、あるいは追加措置(章99など)が絡む可能性があるSKU。
  • 品質・規制インパクト:分類変更で規制・許認可や届出義務が変わり得るSKU。
  • 納期インパクト:通関で止まると生産が止まる重要部材。
  • 監査インパクト:過去にCBPや税関から指摘実績のある分類群。

狙いは、「全部を完璧にすること」ではなく、「ビジネス損失が大きい領域から優先的に堅めること」です。

ステップ4 各SKUの「分類根拠」を更新し、監査証跡を残す

差分が出たSKUは、「番号だけ付け替え」ではなく、分類根拠そのものの見直しが必要です。

最低限そろえておきたい根拠情報の例は次のとおりです。

  • 商品の用途と実際の使用形態。
  • 材質構成比(重量比・体積比・価額比など)と主要機能。
  • 仕様書、図面、写真、成分表。
  • セット品か単品か(GRI 3の可能性)。
  • 商業上の品目説明と、実態との整合。

USITCガイドは、電子検索だけで分類できないこと、同じインデントレベルの規定を比較して最も具体的な規定を選ぶことの重要性を指摘しています。usitc
根拠情報が薄いと、この比較・検証作業ができず、後の監査にも耐えにくくなります。

ステップ5 迷ったらCROSSと拘束力ある判断を使い分ける

判断が割れる領域では、参照できる公式情報を増やすのが得策です。

  • 既存判断の探索:CBPのCROSSで類似品目のruling(公表判断)を検索する。
  • 不確実性が高い場合:事前に拘束力のあるrulingをCBPへ申請することを検討する。ecfr

Trade.govは、CROSSをHTS番号に関する拘束力のあるrulingsを含む公式データベースとして紹介しています。usitc
また、CBPへのruling requestについては、19 CFR 177.2で、関連する事実関係を完全に記載すること、用途、商業上の呼称、複数素材なら比率など分類に関係する情報を含めるべきことが具体的に定められています。law.cornell+1​
これらは、社内で分類根拠を整理する際のチェックリストとしても有用です。

ステップ6 税率と特恵の影響を「8桁で」把握し、「10桁で」申告可能にする

実務では、「10桁の差分=税率差分」と誤解されることが少なくありません。

USITCは、10桁番号は8桁の法的区分に統計サフィックスを加えたものであり、同じ8桁配下の10桁統計番号は同一の関税率を適用されると説明しています。usitc
したがって、税率影響の一次評価は8桁レベルで行うのが合理的です。usitc

一方、特恵税率については次の点が重要です。

  • 特恵欄は、協定や優遇制度の適用可否と税率を示す欄である。
  • 条件を満たしていても、輸入者が申告で特恵を主張しない場合は一般税率となることがある。

USITC FAQも、特恵欄の記号や税率が協定等の適用を示し、主張しなければ一般税率が適用されるケースがあると説明しています。usitc
差分確認では、「番号や税率」だけでなく、「特恵の見え方・適用欄の変化」まで確認する必要があります。usitc

さらに、HS改正時に原産地規則側の改訂が必ずしも同時に完了していない場合があることが、公的ガイダンスでも指摘されています。wcoomd+1​
更新された見出し・小見出しと既存の原産地規則との間で整合しない場合には、所管当局や専門家への相談を検討すべきであり、担当者が見落としがちなポイントです。wcoomd

ステップ7 章98・章99や参照注記を必ず確認する

差分が章99の追加措置や参照変更に関係している場合、通常分類の更新だけでは不十分です。

USITC FAQは、脚注(footnotes)やエンドノート(endnotes)は法的効力を持たないが、ユーザーを他のHTSコードや追加情報へ誘導するために用いられると説明しています。usitc
差分確認では、次のような変化を軽視しないことが安全です。

  • 章98・章99への参照が新たに追加された。
  • 既存の参照先HTSコードが変更された。
  • 参照注記が削除され、別の注記に整理された。

これらは、追加税・免税扱い・特別プログラム等に関する確認漏れにつながり得ます。

ステップ8 社内マスタとブローカー指示を「同日に」更新できる形に整える

差分を確認しただけでは、現場に影響が届きません。
最低でも以下の対象に反映する設計が必要です。

  • ERP・品目マスタのHTSUS番号と税率ロジック。
  • インボイスおよび品目説明テンプレート。
  • ブローカー向け通関指示書(HTSUS 10桁・特恵主張方針)。
  • 見積・原価計算の税率ロジック。
  • 社内の分類根拠ファイルと監査用資料。

ここで重要なのが「10桁入力の必須性」です。
USITCは、統計サフィックス自体は法的テキストではない一方、輸入申告では10桁番号を使用する必要があると明確に述べています。usitc
社内マスタが8桁止まりの企業は、差分対応の最終工程として必ず10桁まで落とし込むフローを組み込むべきです。usitc

ステップ9 継続監視を仕組みとして組み込む

HTSUSは「年次版だけ見ていればよい」わけではありません。

USITCは、HTSが議会立法や大統領布告等により定期的に改正され、年次版に加えて途中改訂(補遺)があり、電子版は補遺や改訂のたび即時更新されると説明しています。usitc+1​
継続監視はコストではなく、誤申告リスクを下げるための保険と位置づけるべきです。

加えて、中長期ではHS自体の大きな改正にも備える必要があります。
USITCの告知や業界情報では、USITCが「Recommended Modifications in the HTS, 2028」の調査を開始し、WCOによるHS 2028改正に整合させるための改訂案を大統領に勧告するプロセスが説明されています。strtrade+1​
WCOは、2025年のHSCでHS 2028改正の勧告案を暫定採択し、2025年末の正式採択後、2026年1月に公表、2028年1月1日発効を予定していると案内しています。wcoomd
一見先の話に見えますが、分類設計やデータ基盤の刷新を見据えるうえで無視できない情報です。usitc+1​


付録:印刷して使える「HTSUS 2026 8桁差分」チェックリスト

社内でそのままタスク化できるよう、チェックボックス形式に整理します。

  • 参照するHTSUSの版(Basic Edition)と改訂範囲(Supplement等)を固定した。usitc
  • 公式データの入手元をUSITC(電子版・Data.gov等)に統一した。usitc
  • PrefaceとChange Recordを確認する運用を決めた。usitc
  • 8桁の追加・廃止・付け替えを抽出した。usitc
  • 説明文とインデントの変化を抽出した。usitc
  • 解釈規則や各種注釈(Section Notes、Chapter Notes、Additional U.S. Notes等)の変化を抽出した。usitc
  • 影響SKUをトリアージし、ビジネスインパクトに応じて優先度を付けた。
  • 影響SKUごとに分類根拠を更新し、証跡を整備した。law.cornell
  • CROSSで類似の公表判断(rulings)を確認した。usitc
  • 判断が割れるSKUについて、ruling request(19 CFR 177.2)の要否を検討した。ecfr+1​
  • 税率影響は8桁で一次評価し、10桁レベルまで落として申告可能な状態にした。usitc
  • 特恵の主張要件と原産地規則の整合を確認し、必要に応じて当局への確認方針を決めた。wcoomd+1​
  • 章98・章99との関係、参照注記や脚注の変化を確認した。usitc
  • ERP品目マスタとブローカー向け通関指示書を同じタイミングで更新した。usitc
  • 監査証跡として、根拠資料と判断履歴を体系的に保管した。law.cornell
  • 年次版だけでなく、途中改訂も含めた継続監視プロセスを開始した。usitc+1​

まとめ:8桁差分は「分類作業」ではなく「経営の保全策」

HTSUSの差分対応は、現場では分類担当だけの仕事に見えがちです。
しかし実際には、コスト、納期、コンプライアンス、監査対応をまとめて守るための仕組みづくりです。

8桁差分を起点に、法的テキストの変化まで拾い、影響SKUを絞って分類根拠を更新し、10桁の申告要件まで落とし込んだうえで、ブローカーと同じタイミングで更新する。
この一連のサイクルを回せる会社は、年度更新やHS大改正のたびに慌てずに済むようになります。usitc+1​

必要であれば、このチェックリストを貴社の業態(食品、化学品、機械、アパレル、医療機器など)の特性に合わせ、「優先度の付け方」と「根拠資料の型」まで落とし込んだ業種別版に再構成することも可能です。

  1. https://www.usitc.gov/harmonized_tariff_information/frequently_asked_questions
  2. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  3. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/august/next-round-of-htsus-modifications-anticipated-to-take-effect-in-2028
  4. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  5. https://www.ecfr.gov/current/title-19/chapter-I/part-177/subpart-A/section-177.2
  6. https://www.law.cornell.edu/cfr/text/19/177.2
  7. https://www.usitc.gov/faq_subsection/definitions_and_classifications
  8. https://www.dhl.com/discover/en-my/faq/customs/shipping-regulations
  9. https://www.federalregister.gov/documents/2023/05/22/2023-10047/revisions-and-confidentiality-determinations-for-data-elements-under-the-greenhouse-gas-reporting
  10. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2022-06-21/pdf/2022-09660.pdf
  11. https://www.epa.gov/system/files/documents/2023-05/Supplemental%20Proposal%20and%20Preamble%20to%20GHGRP%20June%202022%20Proposal.pdf
  12. https://www.govinfo.gov/link/cfr/19/177?link-type=pdf§ionnum=2&year=mostrecent
  13. https://www.hitachi-automotive.us/Supplier/Handbook/Supplier%20Handbook%20Condensed%2010.13.2021.pdf
  14. https://www.scribd.com/document/920512893/Global-Sourcing-in-the-Textile-and-Apparel-Industry-Jung-Ha-Brookshire-Z-Library
  15. https://www.ecfr.gov/current/title-19/chapter-I/part-177

自動車用センサー群のHS2028切替判断を深掘りする


車載センサーは、いまやクルマの付加価値の中心です。ところが貿易実務の現場では、センサーは関税分類が揺れやすい代表格でもあります 。なぜなら、車両の部品なのか、電気機器なのか、計測機器なのか、あるいは半導体デバイスなのかという境界線上に立ち続けているからです。wcoomd

そして2028年1月1日にHS2028が発効します 。HSの最初の6桁が変われば、輸出入申告、原産地証明、社内マスター、取引先との品目管理まで連鎖的に影響します。特にセンサー群は、分類根拠が曖昧なままだと、切替時に一斉に火を噴きやすい領域です。aeb+1​

この記事では、HS2028で自動車用センサー群の切替判断をどう進めるべきかを、経営・事業・SCM・貿易管理の目線で、実務に落とせる形まで深掘りします。制度の正確性を優先し、確度の高い一次情報に基づいて整理します。

まず押さえるべきHS2028の公式タイムライン

HS2028は、単に「2028年に番号が変わる」という話ではありません。準備の起点は2026年1月です 。wcoomd

世界税関機構(WCO)は、2025年3月の第75回HSC会合でHS2028改正勧告を暫定採択し、2025年12月末に正式採択された後、2026年1月に公表され、2028年1月1日に発効すると明記しています 。aeb+1​

またWCOは、HS2028と現行HS2022の相関表(Correlation Tables)を整備しており、実装のための重要な参照資料になると説明しています 。global-scm+2​

つまり企業側の現実的な勝負どころは、2026年から2027年にかけて、どれだけ分類根拠とマスター整備を詰められるかです。

なぜ自動車用センサーは分類が揺れやすいのか

車両部品扱いにしたくても、HSのルールがそれを許さないケースがある

現場で頻出する誤解は「車に使うのだから車両部品(第87類)でよい」という発想です。ところが、HSは用途だけで決める体系ではありません 。janronconsult

HSのSection XVII(車両等のセクション)のNote 2では、「部品・付属品」として分類されないものを明確に列挙しており、その中に「第85類の電気機器」と「第90類の機器(計測・検査等)」が含まれます 。traide+1​

言い換えると、あるセンサーが第85類や第90類に該当するなら、たとえ車載専用品であっても、原則として車両部品として分類できない構造になっています 。ここが、センサー分類の根本的な難しさです。janronconsult

半導体としてのセンサーという概念が、すでにHSの中に組み込まれている

HS2022では、半導体デバイスの定義の中で「Semiconductor-based sensor(半導体ベースのセンサー)」が定義されています 。圧力、加速度、磁場、光、湿度などの物理・化学量を検知し、電気信号へ変換するもの、という考え方です 。hts.usitc

さらに重要なのは、これらの定義に該当する物品について、見出し8541や8542が他の見出しより優先される、という優先規定が存在する点です 。customsmobile

この構造があるため、同じ「センサー」という呼び名でも、

  • 半導体デバイスとしてのセンサー
  • 計測機器としてのセンサー
  • 電気機器としてのセンサー
  • 車両部品としてのセンサー

に分岐し得ます。HS2028への切替判断は、この分岐を放置したまま相関表だけで置換すると、高確率で破綻します。

切替判断の前提を揃える

HS2028対応は、コードの付け替え作業ではなく、分類根拠の棚卸しです。センサー群では特に、次の2つを先に揃えると後工程が崩れにくくなります。

製品群を「素子」「モジュール」「アセンブリ」で分ける

自動車用センサーと一口に言っても、輸出入される姿が違います。分類が変わるのは、むしろここです。

  • 素子寄り: ダイ、ウェハ、パッケージICに近いもの
  • モジュール寄り: PCB、コネクタ、筐体、補正回路、通信インタフェースを含むもの
  • アセンブリ寄り: ハーネス一体、ブラケット一体、車両の特定機能ユニットに統合されたもの

同じ機能を担うセンサーでも、この姿の違いで候補章が変わることがあり、HS2028の相関表だけでは吸収できません。

技術情報は「分類のための記述」に翻訳して整理する

分類の議論で行き詰まる会社ほど、設計資料があっても分類判断に必要な記述になっていません。最低限、次の項目を製品ごとに揃えると判断速度が上がります。

  • 検知対象(圧力、加速度、光、電磁波など)と検知原理
  • 出力が電気信号なのか、データ通信なのか
  • 内蔵回路の範囲(信号変換のみか、演算・制御まで含むか)
  • 実装形態(半導体チップ、パッケージ、基板実装、筐体一体)
  • 車両以外への転用可能性(専用品か汎用品か)
  • 輸出入時の構成品(付属品、ケーブル、ソフトの扱い)

この翻訳ができると、HSのセクション注・類注の適用可否を論理的に追えるようになります。

自動車用センサー群のHS2028切替判断フレーム

ここからが本題です。HS2028の切替判断を、意思決定と実装の両面で崩れにくい形にします。

ステップ1 現行コードの根拠を分類する

まず、現行HSコードが「なぜそのコードなのか」を4つに分類します。

  • 税関の文書回答や事前教示に基づく
  • 類似品の公的な分類事例に基づく
  • 通関業者や取引先の提示を採用した
  • 社内慣行で決めた

この4つは、HS2028移行時のリスクがまったく違います。特に、後ろ2つは相関表を当てる前に根拠の再構築が必要です。

ステップ2 まず6桁で論点を収束させる

HSは6桁が国際共通の基礎で、各国はその下に細分を付けます。HS2028の改正も、まず6桁のレベルで構造が変わります 。wcoomd

センサー群の切替判断は、いきなり国別の細分(日本の9桁など)から詰めるより、6桁の所属の筋を通した方が早く確実です。ここで重要になるのが、前述のセクション注です 。車両部品に寄せたくても、第85類や第90類に該当するなら排除される可能性があることを先に踏まえます。janronconsult

ステップ3 相関表は「置換表」ではなく「出発点」として使う

WCOはHS2028とHS2022の相関表を整備し、実装の重要な参照資料になるとしています 。wcoomd

ただし、相関表は次を保証しません。

  • 旧分類が正しかったこと
  • 国別の細分がそのまま対応すること
  • 複合品やモジュールの本質的な所属判断

したがって、相関表を当てた後に、センサー群の中でも境界品目だけは必ず再判定の対象に残すのが実務的です。

ステップ4 影響評価は関税だけで終わらせない

ビジネス判断としての切替では、税率だけを見ると失敗します。特に自動車部品はEPA利用比率が高く、原産地規則との整合が利益に直結します。

つまりHS2028切替は、関税率の変更だけでなく、原産地判定ロジックや、協定バージョン管理にも波及します 。global-scm

判断が難しいセンサー群ほど、事前教示を戦略的に使う

センサーは、複合品・新技術・半導体境界の要素が重なりやすく、社内だけで決め切るとブレます。ここで効くのが税関の事前教示です。

日本税関は、輸入前に関税分類と税率を照会し、文書による回答を得られる制度として事前教示を案内しています 。これにより、原価計算や販売計画を立てやすくなり、申告前に税番が固まることで通関が円滑になるとされています 。global-scm

さらに、文書による回答は原則として一定期間尊重されることや、全国の税関で一貫して扱われることなど、実務上の安定性も示されています 。global-scm

HS2028の切替判断では、全品目を事前教示に出す必要はありません。費用対効果が高いのは、次のタイプです。

  • 8708(車両部品)と85類・90類の境界にいるセンサー
  • 素子とモジュールの境界にいる製品(同じ型番でも出荷形態が複数ある)
  • 高関税国向けで、税率差が利益を左右する製品
  • EPA適用可否が案件の採算を左右する製品

経営と現場が合意しやすい「切替判断」の落としどころ

ここまでの話を、意思決定に落とし込みます。ポイントは、分類の正解を当てることより、社内で再現可能な判断基準を作ることです。

切替判断を3層に分ける

センサー群は、製品ごとに確実性が違います。判断を次の3層に分けると、意思決定が進みます。

  • 確定層: 公的根拠があり、HS2028でも相関表で素直に移れる見込みが高い
  • 要検証層: 相関表は引けるが、境界論点が残るため再判定が必要
  • 要外部確定層: 事前教示や主要国の判断を取りに行くべき

この区分があると、2026年に全社的な作業量とコストを見積もれます。

マスターは二重持ちが現実解になりやすい

HS2028の発効日は2028年1月1日です 。輸入申告は原則その時点で最新HSで行う前提になるため、直前での一括更新は危険です 。wcoomd+2​

多くの企業で現実的なのは、

  • 現行HS(運用用)
  • 次期HS(HS2028想定)

をマスターで併存させ、取引・国・時点で使い分けられる設計にすることです。特に、協定ごとにHSバージョンが違う原産地判定では、この設計が後から効いてきます。

2026年からの実務ロードマップ

最後に、企業の動き方を具体化します。WCOの公式スケジュールに合わせると、2026年が準備の起点です 。wcoomd

2026年上期

  • WCO公表のHS2028改正内容を精読し、センサー群の影響範囲を特定
  • 現行分類の根拠を棚卸しし、要検証層と要外部確定層を切り分け
  • 相関表を使った一次マッピングの試作を開始(暫定)

2026年下期から2027年

  • 境界品目の再判定と、社内分類基準の文書化
  • 必要品目は事前教示の取得を進める(特に高関税国、EPA重要品)
  • ERP、PLM、貿易システム、顧客提出書類の二重コード運用を設計

2027年下期から2028年直前

  • 国別細分の確定版への置換、最終テスト
  • 取引先との品目マスター突合、インボイス記載やEDI影響の最終確認
  • 発効日に合わせて運用切替

まとめ

自動車用センサー群のHS2028切替判断で一番危険なのは、相関表で機械的に置き換え、現行の分類根拠の弱さをそのまま引き継ぐことです。センサーは、第87類の車両部品に見えても、第85類や第90類に該当すれば部品扱いが排除され得るという、HSの構造的な難しさを抱えています 。janronconsult

一方で、タイムラインは明確です。2026年1月に改正勧告が公表され、2028年1月1日に発効します 。aeb+1​

この2年の間に、センサー群を素子・モジュール・アセンブリで棚卸しし、根拠の強い分類に再構築し、必要なものは事前教示で確定させ、マスターとシステムを二重運用に耐える形へ整備する。これが、経営にとっても現場にとっても、最も損失が出にくい切替判断になります。


  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php
  3. https://global-scm.com/blog/?p=3091
  4. https://transx.com/wco-issues-correlation-tables-for-the-2022-harmonized-system-changes/
  5. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition/correlation-tables-hs-2017-2022.aspx
  6. https://www.janronconsult.com/analysis-of-section-xvii-of-the-hs-nomenclature/
  7. https://traide.ai/en/blog/customs-tariff-and-vehicle-parts-how-to-classify-them
  8. https://hts.usitc.gov/search?query=8542
  9. https://www.customsmobile.com/rulings/docview?doc_id=NY+N020350&highlight=NY+N020350
  10. https://global-scm.com/hscf/wp-content/uploads/2026/01/HS2028_Strategic_Roadmap.pdf
  11. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  12. https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/events/2019/hs-conference/semiconductors-and-the-future-of-the-hs_sia-white-paper_april-2019.pdf?la=fr
  13. https://www.youtube.com/watch?v=1tMy0_mKtR4
  14. https://www.freightamigo.com/en/blog/logistics/navigating-the-semiconductor-industry-logistics-imports-and-innovation/
  15. https://www.semiconductors.org/wp-content/uploads/2018/05/21st-WSC-Joint-Statement-May-2017-Kyoto-Final.pdf
  16. https://tradeint.com/insights/a-deep-dive-into-hs-code-8541-definition-chapter-section-exporters-examples/
  17. https://www.customs.go.jp/kyotsu/yogosyu.htm
  18. https://rulesoforigin.org/rules/8541
  19. https://www.jetro.go.jp/world/qa/J-150902.html

HS2028と半導体分類の前提


半導体は、関税・原産地・輸出入規制・統計・契約条件まで巻き込んでビジネスを動かす中核品目です。 その土台となるのが、HSコードを中心とした品目分類であり、2028年1月1日に次期版HS(通称HS2028)が発効します。wcoomd+1​

WCOの公表では、HS2028に向けた改正パッケージは「299セットの改正」としてHS委員会(HSC)で暫定採択され、2025年末のWCO理事会(Council)での正式採択を経て、2026年1月に公表され、2028年1月1日に発効するタイムラインが示されています。 HS改正は単なる「コード表の更新」ではなく、発効日をまたぐ取引、在庫、長期契約、サプライチェーン全体のデータ連携に一斉に影響します。global-scm+2​


なぜERP対応が重くなるのか

WCOは、HS改正の実装には「事実上約2年半」の準備期間が必要であると整理しており、その中に相関表(Correlation Tables)の整備、解説書改正、各国の関税率表・関連法令改正、システム更新を含めています。 企業側では、ERPや関連システムのマスタ更新・インターフェース改修・周辺業務の見直しが、このスケジュールに乗って進むことになります。wcoomd+1​

つまりHS改正は、貿易実務だけでなく「データとシステムの大規模改修」を前提にした国際ルールであり、その中核にERPが位置します。youtube​


HS2028で半導体が注目される理由

WCOや各国解説によれば、HS2028改正は新技術や貿易実態の変化への対応を目的としており、その改正議題の一つとして半導体および半導体ベースのトランスデューサー(一般に各種センサー類を含む)が明示されています。 このため、半導体は「たまたま変わるかもしれない品目」ではなく、「改正射程に入っている品目」と位置づけられます。global-scm+1​

半導体とその周辺(センサー、モジュール、基板、製造装置、材料)は、次の広い領域に直結します。global-scm+1​

  • 関税とコスト:HSコードは関税率、追加関税、免税措置の起点であり、特に地政学的に政策が動きやすい分野ほど分類精度がコストに直結する。
  • 原産地判定とFTA/EPA:品目別規則(PSR)はHSコードに紐づくのが一般的であり、版が変わると参照関係や運用が揺れる。
  • 輸出入申告とリードタイム:差戻しや照会は出荷遅延や違約リスクにつながる。
  • 統計・KPI・管理会計:HSコードは通関統計だけでなく社内品目体系にも使われるため、分類変更は前年対比やカテゴリ別粗利の見え方を変える。

半導体分類が難しい理由

8541と8542を軸とする体系

現行HS2022では、半導体デバイスは8541、電子集積回路は8542が分類の中心です。tsukanshi+1​

  • 8541:半導体デバイス(ダイオード、トランジスタ、半導体ベースの変換器=トランスデューサー等)kanzei+1​
  • 8541.51:半導体ベースの変換器(semiconductor-based transducers)dutyskip+1​
  • 8542:電子集積回路(プロセッサ・コントローラ、メモリ、アンプ、その他、などの6桁区分)deepbeez

このように、半導体は「とりあえず電子部品」で片付ける領域ではなく、国際的に細かい切り分けが前提の領域です。tsukanshi

境界線で起きやすい3つの論点

半導体分類で揉めやすいポイントは、そのままERPマスタ設計上の事故ポイントと重なります。global-scm

  • 単体デバイスか、集積回路か、モジュールか
    同じ「チップ」に見えても、ウェハ、ダイ、パッケージ、マルチチップ、モジュール化などで扱いが変わります。 これに合わせて過去の改正や注釈が見直されてきました。global-scm
  • トランスデューサー(センサー)なのか、測定機器なのか
    素子単体か、ハウジングや補正回路を含むか、表示や制御機能を持つかで、8541系・90類等との境界が変わります。 ERP上で「品目名」と「型番」だけでは、こうした属性差が情報として落ちてしまい、後で分類根拠を再構成できません。deepbeez+2​
  • 部品か、特定機器の部分品か
    多用途な半導体は、機器側の部品として見たくなる一方で、注釈上は半導体側の番号を優先する考え方が採られる例があります。 このため、どの属性に基づいて分類したかをERP内で残せる設計が必須になります。deepbeez+1​

ERP設計の中核思想

HS2028対応を「HSコードの置換作業」として捉えると失敗しやすく、「分類データの版管理プロジェクト」として設計する必要があります。 半導体分類のHS2028対応において、ERPに求められる設計思想は次の4点です。global-scm+2​

設計思想1:HSコードを「値」ではなく「版付きデータ」として持つ

ERPの品目マスタにHSコード欄が1つだけ、という設計はリスクが高く、少なくとも以下を持たせる必要があります。global-scm

  • HS版(例:HS2022、HS2028)を明示するフィールド
  • 有効開始日・有効終了日
  • 判定根拠(社内判断メモ、仕様書リンク、事前教示・裁決、通関士見解など)を紐づける仕組み

HS2028は2028年1月1日発効であり、発効日前後にまたがる出荷・輸入は必ず発生します。 日付で切り替えられない設計は、現場を破綻させます。wcoomd+1​

設計思想2:グローバル6桁と国別拡張桁を分離する

HSは6桁が国際共通で、その下の桁は各国が独自に拡張します。 ERPでは、グローバル6桁と国別桁を論理的に分離した方が安定します。tarifftel+1​
推奨される持ち方の例:

  • グローバルHS6桁(全社共通キー)
  • 国別品目番号(各国の追加桁、必要な国だけ)
  • 取引条件別例外(委託加工、キット、サンプル等)の管理テーブル

こうしておくと、HS2028で6桁が動く場合でも、国別追加桁・国内制度変更を切り離して管理できます。global-scm

設計思想3:品目属性を「分類可能な粒度」で持つ

半導体分類で効いてくる属性は、型番だけでは表現できません。 最低限、次のような属性をERP内で保持する必要があります。global-scm+1​

  • 形態:ウェハ、ダイ、パッケージ、モジュール、基板実装品
  • 種別:半導体デバイス、半導体ベースのトランスデューサー、電子集積回路、部分品
  • 構成:単体、マルチチップ、複合化(マルチコンポーネント等)
  • 機能カテゴリ:プロセッサ・コントローラ、メモリ、アンプ等(8542の区分に対応)

設計思想4:分類変更を「ワークフロー」として扱う

Excelマッピングで置換して終わらせ、登録ルールや承認フローを変えないのが、HS改正対応で最も危険なパターンです。global-scm

  • 誰が、いつ、どの根拠で、どの版のHSコードに変更したか
    を、ERP内の承認フローとログで追える状態にする必要があります。 分類は監査対象であり、「説明可能性」がガバナンスの中核となります。global-scm

HS2028に向けたERP実装ステップ

HS2028改正に対して半導体関連企業が現実的に動くためのステップを、業務成果物ベースで整理します。global-scm

ステップ1:影響範囲の確定

成果物:対象品目リスト、リスク優先度、責任部門の割当。global-scm

  • 自社品目を、半導体関連の観点でセグメント(ディスクリート、IC、センサー素子、モジュール、基板実装品、部分品、試作品等)。
  • 売上・調達額、国別取引量、関税影響、監査リスクを軸に優先度を付与。

半導体は品番数が多いため、全品目を同じ熱量で扱うと破綻します。リスクベースで切るのが現実的です。global-scm

ステップ2:ERPデータモデル改修

成果物:マスタ項目設計、版管理設計、入出力IF仕様。global-scm
必須要件:

  • HS版と有効日管理
  • 国別コードの分離
  • 根拠資料リンク・分類メモ・承認フロー
  • 申告システム、通関業者、物流EDIとの連携項目の整合

ステップ3:HS2022→HS2028マッピング設計

成果物:マッピングルール、例外判断基準、再判定フロー。global-scm

  • WCO相関表に基づく自動変換範囲を定義(一対一は自動、分岐は再判定へ)。global-scm
  • 再判定に必要な技術情報の収集ルート(設計、品質、サプライヤー)を整備。半導体は「データがない」ことが最大のボトルネックになりやすい領域です。global-scm

ステップ4:周辺業務への波及対応

成果物:業務手順書改定、教育資料、統制ポイント設計。global-scm
見落とされやすい連鎖:

  • 原産地判定ロジック(PSR参照、社内原産地計算)
  • 価格条件(関税転嫁条項、DPP・見積ロジック)
  • 出荷停止ルール(HS未設定・承認未了・例外コード)
  • 監査対応(説明責任を果たせる資料保管)

ステップ5:テストと切替計画

成果物:移行手順、発効日跨ぎテスト、例外取引テスト。global-scm
半導体企業で必須となるテスト例:

  • 2027年末受注・2028年初出荷
  • 2027年末輸入・2028年以降補正申告
  • 返品・無償交換・サンプル・修理逆流
  • 同一品目の複数国出荷(国別桁の相違)

ステップ6:運用定着

成果物:分類ガバナンス、定期棚卸、モニタリング指標。global-scm

  • 分類変更の窓口を一本化。
  • 仕様変更・製造委託先変更・梱包形態変更など、変更検知の仕組みを整備。
  • 申告差戻し率、分類照会件数、監査指摘件数をKPI化。

よくある失敗パターンと回避策

  • 失敗1:HSコード欄だけ差し替えて終わる
    回避策:有効日・版・根拠・承認の4点セットでデータモデルを設計し、まずERP内の「データの姿」を変える。global-scm
  • 失敗2:センサーやモジュールを一括で同じ分類に寄せる
    回避策:形態と機能を属性として持ち、分類判断の再現性を確保する。半導体は同一カテゴリに見えて境界論点が多い領域です。global-scm
  • 失敗3:国別実装差を無視してグローバル統一を強行する
    回避策:グローバル6桁と国別桁を分離し、国別例外を許容する設計にする。tarifftel+1​
  • 失敗4:発効日を跨ぐ取引の例外処理が決まっていない
    回避策:受注日、出荷日、輸入申告日、インボイス日など、どの日付でHSを確定するかを業務ルールとして明文化し、システム参照日付を統一する。global-scm

経営層に伝えるべきポイント

HS2028対応は貿易部門だけのテーマではなく、半導体・センサー領域では分類が政策と市場の両方に直結しやすいため、ERP全体に影響が及びます。 WCOの議論やEU文書でも、改正対象例として半導体・トランスデューサーが挙げられており、今後の相関表や各国実装で具体的なコード変更が明らかになります。global-scm+2​

だからこそ、HS2028対応を「一度きりの置換作業」と見るのではなく、「分類データを版管理し、説明可能な形で維持できる企業体質への転換」として位置づける方が、投資対効果は高くなります。global-scm+1​


本稿の要点整理

  • HS2028は2028年1月1日発効、2026年1月公表のスケジュールで進んでいる。wcoomd
  • HS2028勧告パッケージは299セットの改正から成り、半導体ベースのトランスデューサーを含む半導体・センサー領域が改正議題に含まれている。global-scm
  • 半導体は8541・8542を軸に国際的に細分化されており、トランスデューサーやIC区分など、ERPで属性を持たないと分類根拠を再現できない領域である。kanzei+2​
  • ERP対応の核心は、HSコードを「版・有効日・根拠付きのデータ」として管理し、グローバル6桁と国別桁を分離し、分類変更をワークフロー化する設計にある。global-scm+1​
  1. https://global-scm.com/blog/?p=3807
  2. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  3. https://global-scm.com/blog/?p=3325
  4. https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/topics/nomenclature/activities-and-programmes/exploratory-study-on-a-possible-strategic-review-of-the-hs/final-report-of-the-hs-exploratory-study-2024-english.pdf?db=web
  5. https://www.youtube.com/watch?v=1tMy0_mKtR4
  6. https://global-scm.com/blog/
  7. https://global-scm.com/hscf/archives/34
  8. https://tsukanshi.com/hscode/code/14416/
  9. https://www.kanzei.or.jp/statistical/tariff/detail/index/j/854151000%E2%80%A0
  10. https://www.dutyskip.com/hs-browse/8541-51-semiconductor-based-transducers
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  12. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  13. https://global-scm.com/hscf/archives/477
  14. https://www.youtube.com/watch?v=Mtvc5-iCCeM
  15. https://global-scm.com/hscf/

税関監査に強いHS分類は「1ページ」で決まる


監査対応HS分類ドシエ:1ページテンプレートの実務的活用法

HSコードの結論が合っているだけでは、監査対応として十分ではありません 。監査の場で問われるのは、結論そのもの以上に「なぜその分類になるのかを、第三者が追体験できるか」です 。wcoomd+1​

税関監査は、通関時点の申告書類だけでは見えない取引実態を、帳簿や記録、業務プロセスまで遡って確認します 。WCOのポストクリアランス監査(PCA)ガイドラインでも、PCAは企業の商業システムや財務・非財務記録を体系的に検証してコンプライアンスを測定する枠組みであり、関連する帳簿、記録、業務システム、商業データを検査して申告の正確性を確認するものと定義されています 。rocb-europe+1​

この前提に立つと、監査対応で強いのは「説明できるHS分類」を平時から標準化している企業です 。その中心となるのが、今回のテーマである「監査対応HS分類ドシエ:1ページテンプレート」です 。wcoomd

1ページテンプレートとは何か

1ページテンプレートは、HS分類の判断を「短く、順番を正しく」まとめるための結論サマリーです 。具体的には、次の情報を固定の型で並べます。wcoomd

  • 製品概要(用途、材質、機能、構成)
  • 結論コード(HS6桁と各国の国内細分)
  • 適用したGRI(解釈通則)の番号
  • 決め手になった事実(主機能、材質比率、セット構成など)
  • 主な根拠(関係注、項の文言、Explanatory Notes、事前教示の有無)

ポイントは、監査官や社内監査、外部監査の誰が読んでも「同じ理解に到達できる」ことです 。口頭説明に頼るのではなく、説明が文書の構造として再現できる状態を作ります 。wcoomd

なぜ「1ページ」が監査に効くのか

理由1:監査の質問は「事実」と「根拠」に集約される

監査での典型質問は次の3つです 。wcoomd

  • その製品は、何でできていて、何をするものか
  • なぜその項目に入るのか(別の項目ではないのか)
  • その判断を裏づける公的根拠や証跡は何か

1ページテンプレートは、この質問に最短距離で答えるための設計になっています 。wcoomd

理由2:HS分類は後から見返すほど難しくなる

分類は、当時の製品仕様、当時の法令や運用、当時入手できた資料に依存します 。監査が過去に遡る性質を持つ以上、「当時の合理性」を示せる形で残すことが重要です 。rocb-europe+1​

理由3:国別コード混線を最初から防げる

HSの世界共通部分は4桁または6桁で、7桁目以降は各国が独自に細分を定めます 。日本では輸出入それぞれに細分を設定し、統計品目番号は9桁で運用されています 。この構造を無視して「どの国の何桁の話か」が混ざると、監査でも社内でも議論が迷子になります 。1ページでHS6桁と国内細分を分けて書くのは、混線防止として非常に効果があります 。wcoomd+2​

1ページテンプレートの書き方

ここからは、テンプレートの各欄を「監査で効く書き方」に落として解説します。

1. 製品概要

ここは結論より先に、製品の実態を定義する欄です 。曖昧な商品名より、分類に効く情報を優先します。wcoomd

書くべき観点の例

  • 原材料、材質、組成、比率
  • 構造(単体か、複合品か、セットか)
  • 機能(主機能は何か、補助機能は何か)
  • 用途(何に使う前提で設計されたか)
  • 製造方法、加工度

WCOのHS解釈通則でも、分類には物品の正しい情報が必要で、原材料や性状、構造などの把握が重要だとされています 。wikipedia

実務のコツ

  • 営業資料のキャッチコピーは捨てる
  • 技術仕様書、BOM、図面、写真で言い切れる事実だけを書く
  • 数量や型番が多い製品は、共通仕様と差分を分ける(差分が分類に影響するかを明記)

2. 結論コード

ここは、結論を短く、しかし誤解なく書く欄です 。wcoomd

最低限分ける項目

  • HS6桁(世界共通の6桁)
  • 各国の国内細分(日本の統計品目番号、米国HTSUS、EUのCNなど)

1ページテンプレートが「HS6桁と各国の国内細分」を分けて書くことを推奨しているのは、監査での混線を防ぐためです 。wcoomd

実務のコツ

  • 輸入と輸出でコード体系が違う国もあるので、対象国を明示する
  • 社内システムのコードと税関申告のコードがズレる場合は対応表を持つ
  • コードだけでなく、項の文言(見出し)も併記する

3. 適用したGRI

この欄が、1ページテンプレートの骨格です 。wcoomd

GRI(解釈通則)は、HS分類の適用順序を与えるルールで、見出しや注から始め、必要に応じて次のルールへ進みます 。WCOが公開しているGRI解説でも、分類は原則として「項の文言と部注・類注に従って」決めることがまず示されています 。wikipedia

書き方の例

  • GRI1で決まるなら、GRI1だけ書く(多くはここで決まる)
  • セット、複合品、混合物などで迷うなら、GRI2やGRI3までの適用関係を書く
  • GRI4以降は「適用不要」と明記するだけでも監査では親切

実務のコツ

  • GRI番号は飾りではなく、論理の順番を固定するためのもの
  • 文章量より「どのルールで、どこまで検討したか」を明確にする

4. 決め手になった事実

ここは、監査で最も質問される欄です 。結論を支えた事実を、監査官が検証できる形で書きます 。wcoomd

よくある決め手の型

  • 主機能が何か(複数機能がある製品)
  • 重要な特性がどれか(複合品、セット)
  • 材質比率がどれか(混合品、複合材料)
  • 提示の態様がどうか(未完成品、未組立、分解品)

GRI本文でも、未完成品や未組立品、混合物、複合品、セットなどの扱いがルールとして示されています 。globalior+1​

実務のコツ

  • 決め手の事実は、必ず裏取り資料とセットで書く
  • 判断(だからA)と事実(BOMで樹脂が何パーセント)を混ぜない

5. 主な根拠

根拠は、できるだけ「公的で、追跡可能」なものから並べます 。wcoomd

優先順位のイメージ

  1. 項の文言、部注・類注
  2. 解説書(Explanatory Notes)
  3. 事前教示、裁決例、ルーリングなど当局判断
  4. 業界資料や社内資料(補助)

Explanatory Notesは、HS条約の一部ではないものの、WCO理事会の承認により国際レベルでのHSの公式解釈であり、制度に不可欠な補完資料とされています 。wcoomd+1​

事前教示を根拠にできると強い

EUのBTI(Binding Tariff Information)は、税関当局による分類に関する法的な決定で、原則3年間有効であり、申請者とEU域内の全税関当局を拘束すると説明されています 。国や制度は異なりますが、「当局の判断を根拠として紐づける」ことは監査で強い設計になります 。tulli+2​

実務のコツ

  • 根拠はリンク集ではなく、結論に効いた順に絞る
  • 根拠ごとに、どの文言がどの主張を支えるかを1行で添える

6. 添付証跡

監査対応での強さは「証跡が揃っているか」で決まります 。日本の税関FAQでも、輸入者は帳簿や契約書、インボイス、パッキングリストなど申告内容を明らかにできる書類や電子データを保存する必要があるとされています(保存期間の規定もあり) 。customs

1ページには、証跡そのものを貼る必要はありません 。むしろ「どこにあるか」を管理できる一覧が重要です 。wcoomd

  • 仕様書、図面、写真
  • BOM、材質証明、試験成績書
  • 製品カタログ(ただし事実が書かれている部分)
  • 製造工程図(加工度が分類に効く場合)
  • 当局照会記録、回答、事前教示番号

実務のコツ

  • 証跡には版数と日付を付け、分類判断時点のものを特定できるようにする
  • 監査は過去に遡るので、後から差し替えた資料が混ざらないようにする

7. 変更管理

分類は一度決めたら終わりではありません 。HS品目表は技術革新などに対応するため、概ね5年ごとに大幅改正が行われます 。wcoomd+1​

制度改正だけでなく、社内側の仕様変更も分類に影響します 。1ページに「再判定トリガー」と「次回見直し日」を書いておくと、監査での説明が一段楽になります 。wcoomd

1ページテンプレート例(ダミー記入例)

以下は、構造を掴むための架空例です 。実在のHSコードや特定製品の分類を示すものではありません。wcoomd


【基本情報】

  • 品目名:携帯用電源機能付き照明器具(仮)
  • 対象国:日本(輸入)、EU(輸出)
  • 版数:v1.0
  • 作成日:2026-01-12
  • 作成者:貿易管理部
  • 承認:法務、経理、事業部

【製品概要(事実)】

  • 用途:携帯用途の照明
  • 機能:照明機能が主、外部機器への給電は補助
  • 構成:照明本体、内蔵電池、充電用端子
  • 材質:樹脂筐体、金属端子
  • 提示形態:完成品として提示

【結論コード】

  • HS6桁:XXXX.XX(仮)
  • 日本の国内細分:XXXX.XX-XXX(仮)
  • EUの国内細分:XXXX.XX-XX(仮)
  • 項の文言(要約):携帯用の照明器具(仮)

【適用GRI】

  • GRI1:項の文言と関係注により候補を特定
  • GRI3:複合機能があるため主要特性(主機能)で整理
  • GRI4以降:適用不要

【決め手になった事実】

  • 販売形態と使用実態から、購買目的は照明機能
  • 給電機能は補助で、照明機能を代替しない
  • 仕様書vAと製品写真で、照明部が製品価値の中心であることを確認

【主な根拠】

  • 該当項の文言
  • 関係する部注・類注
  • Explanatory Notes該当箇所(参照先記載)
  • 当局照会:なし
  • 事前教示:取得検討(EU向けはBTI検討)

【添付証跡(所在)】

  • 仕様書:PLMフォルダ パスA
  • BOM:ERP 品目マスタB
  • 製品写真:品質管理フォルダC
  • インボイス雛形:経理フォルダD

【変更管理】

  • 再判定トリガー:光源方式変更、電池容量変更、セット品化、HS改正
  • 次回見直し予定:半年後または仕様変更時

よくある失敗と、1ページでの予防線

1ページテンプレートは、ミスをゼロにする魔法ではありません 。ただし「失敗の型」を早期に見える化できます 。代表例は次の通りです。wcoomd

  • 仕入先コードをそのまま採用して根拠が残らない
  • 検索結果だけで決め、注や項の文言に戻らない
  • HS6桁と国別細分が混ざって議論が崩れる
  • 仕様変更が分類に反映されない

これらは、1ページに「事実」「GRI」「根拠」「変更管理」を型として置くだけで、かなりの確率で防げます 。wcoomd

導入の進め方(現場で回るやり方)

いきなり全品目を完璧にしようとすると止まります 。ビジネスとして回すなら、優先順位と運用設計が重要です。wcoomd

おすすめのステップ

  1. 取扱品目を、売上上位、関税インパクト上位、規制インパクト上位で並べ替える
  2. 上位から1ページテンプレートを先に作り、詳細資料は後追いで紐づける
  3. 1ページのレビュー担当を固定し、表現と粒度を揃える
  4. コード決定に必要な仕様項目を、設計変更プロセスに組み込む
  5. 事前教示やルーリング取得の基準を決める(争点になりやすい品目から)
  6. 保存先と版管理ルールを決める(監査は過去を見るため)
  7. 半年または年次で棚卸しし、HS改正や仕様変更を反映する

まとめ

監査対応で本当に効くのは、担当者の経験や気合ではなく「説明できる分類」を標準化していることです 。1ページテンプレートは、その標準化を始めるための最小単位であり、監査で問われる論点を最短距離で押さえられます 。wcoomd

最後に重要な注意点として、HS分類の最終判断は各国税関にあります 。この記事は一般的な実務設計の考え方であり、個別案件の法的助言ではありません 。実案件では、対象国の法令・運用、最新の当局情報、製品仕様の確定版に基づいて判断し、必要に応じて専門家や当局への照会を行ってください 。wcoomd

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  3. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/overview/what-is-the-harmonized-system.aspx
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  6. https://www.globalior.com/general-rules-of-interpretation-general-interpretative-rules-of-classification-rule-3/
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