HS2022 第65類:帽子及びその部分品(Headgear and parts thereof)

本文での用語(統一)

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 完成した帽子・ヘッドギア(例:布製キャップ、ニット帽、フェルト帽子、麦わら帽子など。構造により6504.00または6505.00、または6506に該当)
    • ストロー等の帯状素材を編む・組み立てた帽子(完成品):6504.00
    • 帽子用の未成形素材(例:フェルトの帽体・フード等の成形前):6501.00
    • 帯状素材を編む等して作った未成形の帽子形状(ブロック成形前、裏地なし、装飾なし等):6502.00
    • 安全用ヘッドギア(保護目的のヘルメット等):6506.10
    • 帽子の部分品(つば、汗止めバンド、あごひも等):6507.00
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 中古の帽子(着用済みのヘッドギア):第63類 63.09
    • 石綿(アスベスト)製のヘッドギア:第68類 68.12
    • 人形用の帽子、玩具の帽子、仮装・カーニバル用品としての帽子:第95類
    • かつら、つけ毛等(人毛製品等):第67類(別類)
    • 帽子の部品ではない「単体のヘッドバンド(服飾雑貨)」:多くは第61類または第62類の衣類附属品(材質・編みか織りかで分岐)になりやすい(6507.00は「for headgear」が要件)
    • ヘアピン・ヘアクリップ等の整髪用具:第96類 96.15等になりやすい(第65類ではない)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 完成品か、未成形素材か(6501/6502 か、6504/6505/6506 か)
    • 帯状素材を編む・組み立てたものか(6502/6504)か、布地を裁断・縫製等で成形したものか(6505)
    • 部品(6507)か、単体の服飾雑貨(61類/62類等)か
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • ヘルメット類:関税分類だけでなく、日本国内で販売する場合に製品安全規制(PSC等)が絡み得ます。分類の取り違いで社内の規制チェックが漏れると、差止め・回収リスクが上がります。
    • 毛皮・皮革・羽毛等を用いた帽子:素材の種によりCITES(ワシントン条約)手続が必要になり得ます。インボイス等に学術名の記載を求められる場面もあるため、調達段階から種情報を確保するのが安全です。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:見出し文言と注(類注)で、まず「完成品か」「未成形か」「除外に当たらないか」を決めます。第65類は注1と注2が実務上の分岐点です。
    • GIR6:第6506号の中で、安全用(6506.10)か、それ以外の材質区分(6506.91/6506.99)かを決めるときに使います。
    • GIR2(a):帽子が未完成でも、完成品としての本質(essential character)を備える場合に影響します(例:装飾が未装着、あごひもが別送など)。この判断は製品状態と取引実態の整理が必須です。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:フェルト、布、編物、ストロー状の帯素材、ゴム・プラスチック等
    • 製造方法:帯素材の編組・組立か、布地の裁断縫製か(注2の分岐に直結)
    • 状態:未成形素材(ブロック成形前、裏地なし、装飾なし等)か、完成品か
    • 用途:安全用(保護目的)か、一般のファッション用途か
    • 取引単位:帽子本体か、部品(つば、汗止め等)か

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:
    • 対象物は「帽子・ヘッドギア」または「その部分品」ですか。
    • 部品として輸入されるなら、まず6507.00候補です(ただし「for headgear」、つまり帽子用部品としての客観性が重要)。
  • Step2:
    • 除外に当たりませんか(注1)。
    • 中古の帽子なら63.09、石綿製なら68.12、人形用や玩具・仮装用途なら第95類です。
  • Step3:
    • 未成形素材か、完成品か。
    • フェルトの帽体・フード等で、成形前かつつばが出来ていない等の要件なら6501.00。
    • 帯状素材を編む・組み立てた「未成形の帽子形状」で、成形前・裏地なし・装飾なし等なら6502.00。
  • Step4:
    • 完成品の場合、帯状素材を編む・組み立てたものですか。
    • はい:6504.00(裏地や装飾があっても可)。
    • いいえ:編物または布地等(ストリップではない)から成形した帽子なら6505.00が中心です(フェルト帽子もここに含まれ得ます)。
  • Step5:
    • 上記に当てはまらない「その他のヘッドギア」なら6506。
    • 安全用なら6506.10、それ以外はゴム・プラスチック製なら6506.91、その他材質なら6506.99です。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第65類と第63類(63.09):新品か中古(着用済み)か。
    • 第65類と第95類:玩具・仮装用品としての帽子か、通常の帽子か。
    • 6502.00と6504.00:未成形の帽子形状か、完成品か(裏地・装飾・ブロック成形の有無等)。
    • 6507.00と61類/62類:帽子用の部品か、単体の服飾雑貨(ヘッドバンド等)か。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第65類は4桁見出しが少ないため、全列挙します。出典はHS2022の第65類見出しです。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
6501フェルト製の帽子用未成形素材(帽体、フード等)フェルトの帽体、フェルトフード、未成形のフェルト帽子素材成形済みや完成品は別(多くは6505へ)。「成形前」「つばが出来ていない」等の状態確認が重要
6502帯状素材を編む等して作った未成形の帽子形状ストロー等の帽子ボディ(未成形)、ブレード組立の帽子形状注2に注意。縫製で作った帽子形状は原則ここに入らない(例外あり)
6504帯状素材を編む等して作った完成した帽子麦わら帽子、ラフィア帽、帯素材組立の帽子6502との境界は完成度(成形、裏地、装飾等)。裏地・装飾の有無で6502に戻らない
6505編物または布地等から作った帽子、ヘアネットニット帽、キャップ、ベレー、フェルト帽子、ヘアネット「ストリップではない布地」から成形した帽子が中心。ヘアネットは材質を問わずここ
6506その他のヘッドギア(安全用含む)保護用ヘルメット、プラスチック製簡易ヘッドカバー等号の分岐が重要(6506.10/6506.91/6506.99)
6507帽子の部分品つば、汗止めバンド、帽子芯、あごひも等単体の服飾雑貨と混同しやすい。用途・形状・取付け前提の客観資料が必要

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 状態:未成形か完成品か(6501/6502 と 6504/6505/6506 を分ける)
    • 製造方法:帯状素材を編む・組み立てたか、布地を裁断・縫製等で成形したか(6502/6504 と 6505 の境界、注2が効く)
    • 用途:安全用か(6506.10)
    • 材質:ゴム・プラスチックか(6506.91)それ以外か(6506.99)
    • 部品か完成品か(6507.00 と 6504/6505/6506 の境界)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
  1. 6502.00 と 6504.00(未成形の帽子形状か、完成品か)
  • どこで分かれるか:
    • 6502.00は、帯状素材を編む等して作った「帽子形状」でも、成形前で、つばが出来ておらず、裏地も装飾もない等の未完成状態が前提です。
    • 6504.00は、同じく帯状素材由来でも、完成した帽子(裏地や装飾があっても良い)です。
  • 判断に必要な情報:
    • 仕入仕様書(成形工程の有無、つば加工の有無、裏地・装飾の有無)
    • 商品写真(内側、縫製部、汗止め、装飾、つばの状態)
    • サンプルの現物確認
  • 典型的な誤り:
    • 麦わら帽子の完成品を「帽子形状」として6502.00に入れてしまう(完成度を見落とす)
  1. 注2が絡む 6502.00 と 6505.00(縫製で作った帽子形状の扱い)
  • どこで分かれるか:
    • 注2により、縫製で作った帽子形状は原則として6502.00に入りません(例外として、帯状素材を渦巻き状に縫って得るものは除外されない趣旨です)。
    • したがって、パネルを裁断して縫い合わせたキャップ等は、多くの場合6505.00側で検討します。
  • 判断に必要な情報:
    • 工程図(ストリップを渦巻き状に縫うのか、布パネル縫製なのか)
    • 材料形態(ストリップなのか、布地なのか)
  • 典型的な誤り:
    • 「未成形っぽい」という見た目だけで6502.00に寄せ、注2の縫製要件を確認しない
  1. 6506.10 と 6506.91/6506.99(安全用か、それ以外か)
  • どこで分かれるか:
    • 6506.10は安全用ヘッドギアです。
    • 安全用でない「その他」は材質で6506.91(ゴム・プラスチック)と6506.99(その他材質)に分かれます。
  • 判断に必要な情報:
    • 仕様書(保護目的、適用規格、対象リスク、構造)
    • 取扱説明書、カタログ(用途表示)
    • 日本で販売する場合はPSC等の規制対象かの確認(分類とは別軸だが実務で同時に確認すると漏れが減ります)
  • 典型的な誤り:
    • 見た目がプラスチックだからと6506.91にしてしまい、安全用(6506.10)かを検討しない
  1. 6507.00 と 61類/62類(帽子の部品か、単体の服飾雑貨か)
  • どこで分かれるか:
    • 6507.00は「for headgear」、つまり帽子に取り付けて使用する部品としての性格が必要です(汗止め、つば、あごひも等)。
    • 一方、単体で着用するヘッドバンド等は、多くの場合衣類附属品として第61類または第62類で検討します(材質・編みか織りか等で分岐)。
  • 判断に必要な情報:
    • 当該品が特定の帽子に組み込まれる設計か(取付け穴、形状、寸法、部品番号)
    • セット売りの有無、部品としての取引書類(部品表、BOM)
  • 典型的な誤り:
    • スポーツ用ヘッドバンドを「Head-bands」の語だけで6507.00に入れてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第65類は第12部(Section XII)に属します。HS2022の目次構成上、第12部には部注(Section Notes)が置かれていない体裁です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 部注での横断定義に頼らず、まずは第65類の類注(注1・注2)と見出し文言で整理するのが近道です(例:中古帽子は注1で63.09へ、縫製の帽子形状は注2で6502から外れる)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第12部では部注による飛び先より、類注(注1)による飛び先(63.09、68.12、95類)の影響が大きいです。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:中古帽子は63.09、石綿製ヘッドギアは68.12、人形用・玩具の帽子やカーニバル用品は95類に除外されます。
    • 注2:6502(帽子形状)の範囲を狭める注で、縫製で作った帽子形状は原則6502に入らないことを示します(例外的に、帯状素材を渦巻き状に縫うだけで得るものは対象外としない趣旨)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 第65類の注自体に詳細な定義条項は多くありません。実務では、見出し文言にある状態語(blocked to shape、made brims、lined、trimmed等)を、製品仕様と工程で裏付けることが重要です。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 中古帽子:63.09
    • 石綿製ヘッドギア:68.12
    • 人形用・玩具の帽子、カーニバル用品:95類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:中古帽子かどうか(注1(a))
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 着用済みか(中古衣類としての取引か)
      • 梱包・ロット(中古衣類としての輸入形態か)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕入契約書、インボイスの品名・状態表示(used等)
      • 写真(摩耗、汚れ、タグ状態)
    • 誤分類の典型:
      • 中古帽子を新品の帽子として65類で申告し、注1(a)の除外を見落とす
  • 影響ポイント2:縫製で作った帽子形状の扱い(注2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 帽子形状が「帯状素材を編む・組み立てた」ものか
      • 「縫製」で形状化しているか(ただし例外の縫製形態があり得る)
    • 現場で集める証憑:
      • 工程図、製造指図書、材料の形態(ストリップか布地か)
      • サンプル(断面、縫い目の有無、渦巻き縫いかパネル縫製か)
    • 誤分類の典型:
      • 未成形に見えるという理由だけで6502.00に寄せ、注2の要件確認を省略する
  • 影響ポイント3:玩具・仮装用途の帽子(注1(c))
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 対象顧客(子ども向け玩具か、通常の衣料品か)
      • 耐久性・機能(通常の帽子としての使用に耐えるか)
      • 販売表示(仮装、コスチューム、カーニバル用途の明示)
    • 現場で集める証憑:
      • 商品パッケージ、EC表示、カタログ
      • 材質・縫製仕様、対象年齢表示
    • 誤分類の典型:
      • 仮装用の帽子を通常の帽子として6505.00で申告してしまう

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:
    • 麦わら帽子の完成品を6502.00(未成形の帽子形状)で申告する
    • なぜ起きる:
      • 「ストロー素材だから6502」と短絡し、完成度(裏地・装飾・成形)を確認しない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 6502.00は成形前で裏地なし・装飾なし等の未成形要件が前提で、完成した帽子は6504.00側で検討します。
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 仕様書で「ブロック成形の有無」「裏地・汗止め・装飾の有無」を確認
      • 質問例:これは完成品として販売されますか、それとも帽子工場で最終加工しますか
  2. 間違い:
    • パネル縫製のキャップを6502.00に入れる
    • なぜ起きる:
      • 「帽子形状」という語感で6502に寄せ、注2を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 注2により、縫製で作った帽子形状は原則として6502に入りません。キャップのように布地を裁断・縫製して作るものは6505.00が中心です。
    • 予防策:
      • 工程図と材料形態(ストリップか布地か)を必ず入手
      • 質問例:材料は帯状のブレードですか、布地(生地幅の反物)ですか
  3. 間違い:
    • ヘルメットを材質だけで「プラスチック製品」として他章(例:プラスチック製その他製品)に寄せる
    • なぜ起きる:
      • 材質先行で分類し、帽子・ヘッドギアという機能を軽視する
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 第65類には「その他のヘッドギア」および「安全用ヘッドギア」(6506.10)が設けられており、まず第65類の見出しで検討します。
    • 予防策:
      • 用途と構造(保護目的、衝撃吸収材、あごひも等)を仕様書で確認
      • 質問例:これは保護具として販売されますか。適合規格や試験はありますか
  4. 間違い:
    • スポーツ用ヘッドバンドを6507.00(帽子部品)で申告する
    • なぜ起きる:
      • 見出しの「Head-bands」という語だけを見て判断する
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 6507.00は「for headgear」つまり帽子の部品であることが要件です。単体で着用するヘッドバンドは衣類附属品(第61類/第62類など)側で検討します。
    • 予防策:
      • 「帽子に組み込む部品か」を確認(取付け形状、部品番号、BOM)
      • 質問例:この品は帽子の部品として帽子工場に納入されますか、それとも単体で小売されますか
  5. 間違い:
    • 中古帽子を新品扱いで第65類に入れる
    • なぜ起きる:
      • 仕入先の状態表示が曖昧、またはインボイス表記が不適切
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 注1(a)で、中古帽子は63.09へ除外されます。
    • 予防策:
      • インボイスに新品・中古の状態を明確化、写真で状態証跡を保存
      • 質問例:これは着用済みですか、デッドストック(未使用)ですか
  6. 間違い:
    • 仮装用の帽子(安価なコスチューム品)を通常の帽子として6505.00で申告する
    • なぜ起きる:
      • 見た目が帽子なので第65類と決め打ちする
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 注1(c)で、人形用帽子、玩具の帽子、カーニバル用品は第95類へ除外されます。
    • 予防策:
      • 商品表示(対象年齢、仮装用途、イベント用品)を確認
      • 質問例:通常のアパレル売場で販売されますか、パーティー用品として販売されますか
  7. 間違い:
    • 帽子の「つば」単体を帽子本体(6505等)として申告する
    • なぜ起きる:
      • 部品扱いの意識が弱く、完成品の分類に引っ張られる
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • つば、あごひも等の部品は6507.00が設けられています。
    • 予防策:
      • 品目が単体部品か、帽子一式かを明確化(セット構成表)
      • 質問例:帽子本体は含まれていますか。単品部品として梱包されていますか
  8. 間違い:
    • 毛皮・皮革・羽毛等の素材を使う帽子で、CITES確認を行わない
    • なぜ起きる:
      • 帽子分類(第65類)に意識が向き、素材の種規制を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • CITESは「種」に着目する規制で、毛皮製品や皮革製品等が対象になり得ます。税関や関係省庁の案内に従い、対象種か確認し、必要書類(輸出国許可書等)を準備します。
    • 予防策:
      • 仕入先から学術名、原産国、飼育・採取区分等を取得し、インボイス記載方針を決める

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第65類は見出し数が少ない一方、6504(ストリップ由来)と6505(布地等由来)で製造工程の実態が大きく異なるため、コードを誤るとPSRの読み替えや材料HSの整理が崩れやすいです。
  • よくある落とし穴(一般論)
    • 最終製品HS(例:6505.00)と、材料HS(布地、糸、ストリップ等)の対応が整理できていない
    • セット品(帽子と部品、ヘルメットと付属品)で、どこまでが「最終製品」に含まれるか曖昧

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 経済連携協定等によって、採用しているHSコードの版(HS2002、HS2007、HS2012、HS2017など)が異なる旨が税関の原産地規則検索画面でも注意喚起されています。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意(一般論)
    • 協定側は旧HSでPSRを規定しているのに、社内がHS2022で分類してしまい、誤ったPSRを参照する
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 相関表で旧コードと新コードの対応を確認し、協定が参照するHS版でPSRを確定してから、社内管理コード(HS2022)へ対応付けします

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 収集すべき基本データ(一般論)
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 帽子の場合は特に、材料形態(ストリップか布地か)と加工工程(編組、縫製、成形)を記録しておくとPSR検討が安定します
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 協定ごとの保存期間・保存方法に従い、BOM、仕入書類、製造記録、原産地証明関連書類を保管します

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第65類のHS6桁構成に変更なし)6501.00、6502.00、6504.00、6505.00、6506.10、6506.91、6506.99、6507.00第65類の見出しと号の構成が同一HS6桁レベルのコード移行対応は原則不要。社内マスタは国内コード細分や統計品目表の改正有無を別途確認

根拠として、HS2017とHS2022の第65類の見出し・号(6501.00〜6507.00)が一致していることを確認しています。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料
    • WCO HS2017 第65類(見出し・号):6501.00、6502.00、6504.00、6505.00、6506.10、6506.91、6506.99、6507.00
    • WCO HS2022 第65類(見出し・号):6501.00、6502.00、6504.00、6505.00、6506.10、6506.91、6506.99、6507.00
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • 上記2つのWCO公式のHS品目表(2017版と2022版)で、第65類の見出しと6桁号の並び・文言が一致しているため、HS2017→HS2022の改正で第65類のHS6桁レベルの新設・削除・分割・統合・範囲変更はないと整理しました。
    • ただし、各国の国内コード(8桁・9桁等)や統計品目表細分は改正により変動し得るため、輸入申告・原産地規則適用で使用するコード体系に応じて、最新の国内資料で再確認が必要です(国内コードはHS6桁とは別物です)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第65類は、HS2002→HS2007→HS2012の過程で、いくつかの6桁号の削除・統合が確認できます。HS2012以降(2012→2017→2022)は見出し・号が同一です。

改正(旧→新)変更タイプ旧コード新コード(または行き先)変更の要旨根拠
HS2002→HS2007削除(統合)6503.006505.90に統合(範囲吸収)6503.00が削除され、6505.90側に整理(貿易量僅少による削除という説明)WCO品目表比較 / 相関表(削除理由)
HS2002→HS2007削除(統合)6506.926506.99に統合(範囲吸収)6506.92(毛皮製)が削除され、6506.99側に整理(貿易量僅少による削除という説明)WCO品目表比較 / 相関表(削除理由)
HS2007→HS2012削除(統合)6505.10、6505.906505.00に統合6505.10と6505.90が削除され、6505.00に統合(貿易量僅少による削除という説明)WCO品目表比較 / 相関表(削除理由)
HS2012→HS2017変更なし該当なし該当なし第65類の見出し・号は同一
HS2017→HS2022変更なし該当なし該当なし第65類の見出し・号は同一

補足(実務メモ)

  • HS2007以降の品目表では、見出し番号としての65.03は角括弧付きで表示されており(いわゆる欠番扱い)、HS2002に存在した6503.00の削除後も、見出し番号自体は将来のために予約されている体裁です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):完成品のストロー帽子を6502.00で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):
      • 6502.00の「未成形」前提(成形前、裏地なし、装飾なし等)に合わないのに6502として申告
    • 起きやすい状況:
      • 商品名が「hat body」「hat shape」など曖昧、現物確認なし
    • 典型的な影響(一般論):
      • 修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延
    • 予防策:
      • 仕様書で「裏地・装飾・成形工程」を確認し、写真で証跡化
  • 事例名(短く):仮装用ミニハットを通常の帽子として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):
      • 注1(c)の除外(玩具の帽子やカーニバル用品は第95類)を見落とす
    • 起きやすい状況:
      • イベント用品をアパレルとして扱う、EC表示を確認しない
    • 典型的な影響(一般論):
      • 修正申告、税率差、統計誤り
    • 予防策:
      • 対象年齢、用途表示、パッケージを保存して用途の客観性を確保
  • 事例名(短く):スポーツヘッドバンドを6507.00で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):
      • 6507.00は帽子用部品であり、単体の服飾雑貨を含むとは限らない(「for headgear」の要件を確認しない)
    • 起きやすい状況:
      • 英文品名「headband」をそのまま解釈してしまう
    • 典型的な影響(一般論):
      • 修正申告、社内マスタの連鎖誤り
    • 予防策:
      • 取付け前提の形状・寸法、BOM、部品番号の提出準備
  • 事例名(短く):中古帽子を新品扱いで第65類申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):
      • 注1(a)の除外(中古帽子は63.09)を見落とす
    • 起きやすい状況:
      • インボイスに状態表示がなく、税関が新品と判断できない
    • 典型的な影響(一般論):
      • 検査強化、差止め、修正申告
    • 予防策:
      • 中古の場合は状態表示・写真・ロット情報を整備し、適切な分類へ誘導

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

日本前提で、第65類で実務上つまずきやすい規制を、該当があるものだけ整理します。

  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 通常の完成した帽子は、動物検疫の対象にならないことが多い一方、動物由来の「皮、毛、羽、角」等は持込み規制・検査対象となり得ます。動物検疫所の案内では、皮や毛などは対象になり得る一方で、革製バッグや羊毛セーター等の完成品は対象外である旨も示されています。帽子がどの状態か(完成品か、未加工材料か)を踏まえて確認してください。
    • 指定検疫物に該当する場合、輸出国政府機関の検査証明書が必要になるなど手続があります。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 毛皮製品、羽毛製品、皮革製品などは、対象種であれば種の保存法等に基づく規制や手続が必要になり得ます。
    • 税関はワシントン条約に関する案内ページを設けており、皮革製品等も対象になり得ることを示しています。
    • 経済産業省の案内では、対象種の場合、まず輸出国が発行するCITES輸出許可書(再輸出証明書)が必要で、規制対象外であることを税関が確認しやすいようインボイス等へ学術名等を記載する旨が示されています。
  • その他の許認可・届出(日本国内販売時の製品安全)
    • 乗車用ヘルメットは、消費生活用製品安全法の特定製品に指定され、PSCマークのない製品を販売・陳列することが禁止される旨が経済産業省資料で示されています(工事用ヘルメット等は含まれない、という注意も記載)。輸入して国内販売する場合は、分類とは別軸で必ず製品安全手続を確認してください。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 種規制:税関のワシントン条約案内、環境省(種の保存法)、経済産業省(CITES手続)
    • 製品安全(ヘルメット):経済産業省 製品安全(消費生活用製品安全法)
    • 検疫:農林水産省 動物検疫所(指定検疫物と手続)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 材質情報(表地、芯材、裏地、付属品)
    • 製造工程(編組か縫製か、成形工程)
    • 用途表示(安全用か、仮装用品か)
    • 規制が絡む場合:学術名等の種情報、許可書、製品安全の適合確認資料

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(フェルト、布、編物、ストリップ、プラ等)
    • 製造方法(編組、組立、縫製、成形)
    • 状態(未成形素材か完成品か)
    • 用途(安全用、仮装用途、通常用途)
    • 写真(外観、内側、縫製部、つば、汗止め、表示タグ)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1の除外(中古63.09、石綿68.12、玩具95類)に当たらないか
    • 注2により6502に入らない縫製形状ではないか
    • 部品(6507)か単体雑貨かの客観資料が揃っているか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名に、材質・用途・状態(未成形、完成品、安全用、中古等)を反映
    • サンプル写真・カタログ・仕様書を、照会に備えて一式化
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版の確認(税関の注意喚起あり)
    • BOM、工程、原産国、非原産材料のHS整理
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • CITES対象の素材がないか(学術名が取れるか)
    • 乗車用ヘルメットの製品安全(PSC等)に該当しないか
    • 動物検疫の対象状態ではないか(完成品か材料か)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 Nomenclature Chapter 65(Headgear and parts thereof)
    • WCO HS2017 Nomenclature Chapter 65(比較用)
    • WCO HS2012 Nomenclature Chapter 65(比較用)
    • WCO HS2007 Nomenclature Chapter 65(比較用)
    • WCO HS2002 Nomenclature Chapter 65(比較用)
    • WCO HS2022 Table of contents(Section XIIの構成確認)
    • 参照日:2026-02-25
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 日本税関 品目別原産地規則検索(HS版の違いに関する注意喚起)
    • 日本税関 ワシントン条約(CITES)案内
    • 経済産業省 消費生活用製品安全法(特定製品に乗車用ヘルメットを含む)
    • 経済産業省 PSCマークのない乗車用ヘルメットに関する注意資料
    • 環境省 ワシントン条約と種の保存法(規制対象や手続の説明)
    • 経済産業省 ワシントン条約規制対象種の調べ方(輸入時の基本手続、インボイス記載の考え方)
    • 農林水産省 動物検疫所(畜産物等の検疫対象と手続)
    • 参照日:2026-02-25
  • 相関表(旧版→新版対応)
    • HS2007-HS2002 相関表(6503.00、6506.92の削除理由等)
    • HS2012-HS2007 相関表(6505.10、6505.90の削除理由等)
    • 参照日:2026-02-25

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 国内コード(8桁/9桁等)はHS6桁の上に各国が独自に設ける細分であり、HS6桁と混同しないでください。
  • 実務上は、インボイス・通関システム・統計で使う国内コードを、日本税関の実行関税率表や検索機能で最新確認する運用が安全です(改正で細分が動く可能性があるため、本稿では固定の国内コード例は列挙しません)。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 税関の事前教示制度(品目分類)は、輸入前に税番や税率について照会し、税関から回答を得られる制度です。重要取引では、社内判断だけでなく活用を検討すると再分類リスクを下げられます。
  • 探し方(日本税関の公開情報)
    • 事前教示回答(品目分類)を検索:公開可能な事前教示回答(一般的品名、税番、貨物概要等)を検索できます。
    • 品目分類検索:輸入は実行関税率表、部注類注、関税率表解説・分類例規、輸入貨物の品目分類事例等が検索対象です。
    • 輸入貨物の品目分類事例:参考となる事例が類別に掲載されています。
  • 相談が早い情報(一般論)
    • 写真(外観と内側)、素材構成、製造方法(編組か縫製か、成形工程)、用途(安全用か、玩具か)、サンプル可否
    • 部品の場合は、取り付け先の帽子の情報、部品番号、寸法図、BOM

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。