HS2022 第73類:鉄鋼製品(Articles of iron or steel)

  • 用語:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
  • 注意:ここで扱うのは原則**HS(6桁)です。日本の国内コード(9桁等)**は別物なので、触れる場合は「国内コード」と明記します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 鉄鋼製の管・パイプ・中空形材(鋳鉄/継目無/溶接などで区分)
    • 鉄鋼製の管継手(エルボ、フランジ等)
    • 鉄鋼製の構造物・構造物の部分(橋、鉄骨、足場材等)
    • 鉄鋼製のタンク・ドラム・ガス容器(ボンベ)
    • 鉄鋼製のボルト・ナット等の締結具
    • 鉄鋼製の厨房用品・衛生器具(鍋類、流し台等)
      ※第73類の見出し構成はHS条文に基づきます。
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 鉄鋼の一次製品(板、棒、形鋼、線材など) → 第72類(鉄鋼)に行きやすい(「製品」ではなく「素材形状」)
    • 機械・電気機器の部分品(ただし“一般用の部分品”は別)→ 多くは第84類・85類(部注で第15部から除外の考え方)
    • 鍵・蝶番・取っ手等の金物 → 第83類(卑金属製の雑品)に行きやすい
    • プレハブ建物 → 94.06(第94類)に除外される(第73類の構造物とは別扱いになり得る)
    • 医療用インプラント向けに専用設計されたボルト等 → 90.21(HS 9021)になり得る(HS2022の「一般用の部分品」定義で例外が明確化)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 第72類(素材形状)か、第73類(“製品”)か
    2. 「機械の部品」か「一般用の部分品(parts of general use)」か(ボルト/管継手/チェーン等は“部品”扱いでも機械の類に行かないのが原則)
    3. 鋼管・容器は製造方法/寸法/容量で号が変わりやすい(例:外径406.4mm、容量300L、50Lなど)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 鋼管(7304〜7306):号違いで税率・統計・規制・原産地判定(PSR)が連鎖して崩れる
    • ガス容器(7311):通関前後で高圧ガス関係の検査・手続が絡む場合がある(日本)
    • 締結具(7318):機械部品に見えるため誤って第84/85類に入れがち(ただし原則“一般用の部分品”)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIRを、ビジネスマン向けに説明します:
    • GIR1(見出し・注で決める):第73類は、部注・類注が強く効きます。まず「第15部注」→「第73類注」→「見出し」の順で当てはめます。
    • GIR6(号まで落とす):鋼管・容器・金網などは、号で寸法/容量/製造方法が分かれるので、最後はGIR6で精緻化します。
    • (ケースにより)GIR2(a):未完成品でも完成品の性格を持てば同様に扱われることがあります(例:穴あけ済みの鉄骨部材など)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:鋳鉄か、ステンレス鋼か、非合金鋼か、合金鋼か(鋳鉄の定義は類注で重要)
    • 製造方法:継目無か、溶接か、鋳造か(鋼管で決定的)
    • 状態・加工度:構造物用に“準備された”部材か(7308)/単なる形鋼か(第72類寄り)
    • 用途:家庭用非電気調理器具(7321)/暖房用ラジエータ(7322)/衛生器具(7324)など

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:鉄または鋼の「製品」か?
    • 板・棒・線材など“素材形状”なら第72類を優先検討
    • “用途が立っている形状”なら第73類へ
  • Step2:部注で第15部から除外されないか?
    • 機械・電気機器(第16部)などに該当すると第15部から除外され得ます。
    • ただし 73.07/73.12/73.15/73.17/73.18 は「一般用の部分品」に該当しやすく、機械の“部分”と見えても第73類に残るのが原則です。
  • Step3:第73類のどの項(4桁)か?
    • 形状・機能でまず項を決め、次に号で寸法・材質・製造方法を詰めます。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第72類(鉄鋼) vs 第73類(鉄鋼製品):素材形状か、用途が立つ“製品”か
    • 第73類 vs 第83類(卑金属製雑品):鍵/蝶番/建具金物等は83類寄り
    • 第73類 vs 第84/85類(機械・電気の部品):ただし“一般用の部分品”は73類に残りやすい

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:
    • 第73類は4桁見出しが 7301〜7326 と体系的なので、全列挙します(実務上も全体像が重要)。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
7301矢板・溶接形鋼等矢板、溶接アングル形鋼でも「溶接形鋼」等の範囲に注意
7302鉄道/軌道用の線路用材レール、まくら木(クロスタイ)、継目板“線路の固定・接合に特化”が鍵
7303鋳鉄製の管ダクタイル鋳鉄管など「鋳鉄」の定義は類注で確認
7304継目無(シームレス)管シームレス鋼管、油井管(継目無)用途・鋼種・加工(冷間等)で号が分岐
7305外径406.4mm超の円形断面管大口径鋼管(溶接等)外径406.4mmがキー
7306その他の管(溶接等)溶接鋼管、角パイプ溶接/断面形状/鋼種で号が分岐
7307管継手フランジ、エルボ、ソケット「一般用の部分品」該当が多い
7308構造物・その部分等鉄骨、橋梁部材、足場材プレハブ建物(94.06)除外に注意
7309容量300L超のタンク等大型貯槽、タンク300L超・機械/加熱装置なし
7310容量300L以下のドラム等ドラム缶、一斗缶、ペール缶50L境界など号で分岐
7311圧縮/液化ガス容器ガスボンベ、シリンダー“ガス用”は7311、規制実務に注意
7312撚り線・ワイヤロープ等ワイヤロープ、スリング電気絶縁の有無(“not electrically insulated”)
7313有刺鉄線等有刺鉄線、フェンス用線材フェンス用途の典型
7314金網・金網フェンス・エキスパンドメタル溶接金網、メッシュ、エキスパンド線径・目合い等で号分岐あり
7315チェーンローラチェーン等「一般用の部分品」該当が多い
7316いかり等アンカー、グラップネル船舶用品でも本項に残ることがある
7317釘・ステープル等釘、タッカー針(83.05除外)83.05(文具用等)との切分け
7318ねじ・ボルト・ナット等ボルト、ナット、リベット「一般用の部分品」該当が多い
7319縫針・安全ピン等手縫針、安全ピン、まち針現行HSは7319.40等の区分
7320ばねコイルばね、板ばねばねの形状で号が分岐
7321非電気の家庭用調理器等ガスコンロ、薪ストーブ“non-electric”が鍵
7322非電気の暖房用ラジエータ等セントラルヒーティング用ラジエータ“not electrically heated”が鍵
7323家庭用品・金たわし等鍋、フライパン、金たわし鋳鉄・ステンレス等で号分岐
7324衛生器具流し台、洗面器、浴槽7323(厨房用品)と混同しがち
7325その他の鋳鉄製品等鋳物のマンホール蓋等鋳物(cast)の扱いに注意
7326その他の鉄鋼製品ブラケット、金具、雑多な鉄製品“他に該当しない”の最後の受け皿

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • 鋼管(7304/7305/7306):継目無/その他、外径406.4mm、断面形状、鋼種(ステンレス等)、用途(ラインパイプ等)
    • 容器(7309/7310/7311):ガス用か否か、容量300L、さらに7310は50Lなど
    • 金網(7314):溶接交点の有無、線径、目合い、めっき/樹脂被覆等(例:線径3mm以上・目合い100cm²以上で特定号)
    • 締結具(7317/7318/7319):ねじ山の有無、用途(手縫針等は7319)、一般用の部分品該当
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 7304(継目無) vs 7306(溶接等)
      • どこで分かれるか:製造方法(seamless か、welded/open seam か)
      • 判断に必要な情報:製造工程(ミルシート/工程図)、製造方法の記載、規格(JIS/ASTM等)、断面形状
      • 典型的な誤り:「溶接なのに“鋼管”という品名だけで7304扱い」
    2. 7305(外径406.4mm超) vs 7306(その他)
      • どこで分かれるか:外径406.4mm超かどうか
      • 判断に必要な情報:外径(mm)、円形断面か、仕様書
      • 典型的な誤り:「大口径だが外径を確認せず7306で申告」
    3. 7309(>300L) vs 7310(≤300L)
      • どこで分かれるか:容量300L超/以下、機械/加熱装置の有無
      • 判断に必要な情報:容量(L)、構造図、付属機器(攪拌機・ヒーター等)の有無
      • 典型的な誤り:「300L境界を見落とす」「付属装置付きなのに7309/7310で処理」
    4. 7310(一般容器) vs 7311(圧縮/液化ガス用容器)
      • どこで分かれるか:ガス(圧縮/液化)用途かどうか
      • 判断に必要な情報:充填内容物、圧力設計、用途説明、ラベル、UN番号等
      • 典型的な誤り:「空のガスボンベを“容器”として7310にしてしまう」
      • 付随論点:日本では高圧ガス関係の輸入検査が絡むことがあるため、事前確認が重要です。
    5. 7318(一般のねじ等) vs 9021(医療用インプラント用に専用設計)
      • どこで分かれるか:「一般用の部分品」定義の中で、インプラント専用設計品は除外され得る点(HS2022)
      • 判断に必要な情報:医療用途、インプラント専用設計(形状・材質・規格)、医療機器カタログ、承認情報
      • 典型的な誤り:「手術用の骨ねじ等を“ねじ”として7318で固定」

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第15部注は「第15部に含まれないもの(除外)」と「部内共通の定義(一般用の部分品、複合品等)」が分類を強く左右します。
    • 特に重要なのが 注2(parts of general use)注7(複合製品の扱い) です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • **ボルト(7318)**は、機械に使われても「機械の部分」ではなく、原則として7318に残りやすい(=“一般用の部分品”)。
    • **管継手(7307)**も同様に“一般用の部分品”に該当しやすく、設備の一部に組み込まれても7307を基点に検討します。
    • 複合品(例:鉄+ステンレス+銅の組合せ)の場合、原則は重量で優勢な卑金属で分類し、さらに「鉄と鋼は同一金属扱い」とされます。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第16部(機械・電気)該当:機械としての本体・部品に吸収されるケース
    • 第94類(家具・照明・プレハブ等)該当:構造物(7308)と見えても、94類へ飛ぶケース(品目の性格次第)
    • 医療用インプラント(90.21):HS2022で「一般用の部分品」から除外され得る旨が明確化

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:鋳鉄(cast iron)の定義(鋳造で、鉄が他元素より重量優勢、かつ第72類注で定義される鋼の組成に該当しないもの)
    • 類注2:この類でいう**wire(線)**は、断面形状を問わず、断面寸法が16mmを超えない熱間/冷間成形品
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 上記の「鋳鉄」「wire」は、鋼管・金網等で“言葉の感覚”とズレることがあるため、必ず注の定義に寄せて判断します。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 類注自体は定義中心ですが、部注側の除外(第16部・第94類等)が実務上の除外として効きます。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:「鋳鉄」該当かどうかで、鋳鉄管(7303)や鋳物製品(7325)に寄る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 材質(鋳鉄/鋼)、化学成分(主要元素の重量比)
      • 製造方法(鋳造か否か)
    • 現場で集める証憑:
      • ミルシート、材質証明、成分分析表、製造工程表
    • 誤分類の典型:
      • 「見た目が黒い=鋳鉄」と決めつける(実際は鋼)
  • 影響ポイント2:wireの定義(16mm)で、線材・金網の解釈がズレる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 断面最大寸法(mm)、断面形状、加工履歴(熱間/冷間)
    • 現場で集める証憑:
      • 図面、寸法表、製造仕様書
    • 誤分類の典型:
      • “wire”を日常語の「細い線」だと思い込み、寸法確認を省略する

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:溶接鋼管を7304(継目無)で申告
    • なぜ起きる:品名が「鋼管」で、製造方法が書類に出ない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):見出しが製造方法で分かれているため、工程情報が必要(7304/7306の構造)
    • 予防策:
      • 仕様書に「seamless/welded」の明記
      • ミルシートや規格票を入手
  2. 間違い:外径406.4mm超の管を7306に入れる
    • なぜ起きる:外径を“呼び径”で見てしまう
    • 正しい考え方:7305は外径406.4mm超を明示している
    • 予防策:
      • 外径(mm)の実測/図面値を確認
      • 呼び径→外径換算表を社内標準化
  3. 間違い:容量300L境界(7309/7310)を見落とす
    • なぜ起きる:容器の用途だけ見て容量を見ない
    • 正しい考え方:7309は300L超、7310は300L以下の構造
    • 予防策:
      • 容量(L)と「機械/加熱装置の有無」をチェック項目化
  4. 間違い:ガスボンベ(7311)を一般容器(7310)扱い
    • なぜ起きる:「空容器=一般容器」と誤解
    • 正しい考え方:7311は圧縮/液化ガス用容器、7310は“ガス以外”の一般容器
    • 予防策:
      • 内容物・用途(ガス充填)・圧力設計の確認
      • 日本向けは高圧ガス関係の輸入検査要否も事前確認
  5. 間違い:ボルト/ナットを機械(第84/85類)の部品として申告
    • なぜ起きる:実際に機械の部品として使うため
    • 正しい考え方:73.07/73.12/73.15/73.17/73.18は“一般用の部分品”として扱われ、機械の「部分」扱いにならない方向に働く
    • 予防策:
      • 「一般用の部分品」該当性チェック(ボルト、管継手、チェーン等)
  6. 間違い:医療用インプラント専用設計のねじ等を7318に固定
    • なぜ起きる:形状がボルト/ねじに見える
    • 正しい考え方:HS2022の部注で、インプラント専用設計品は“一般用の部分品”から除外され得る(90.21へ)
    • 予防策:
      • 医療用途・専用設計の有無を確認(医療機器カタログ、用途説明、規格)
  7. 間違い:金網(7314)の号を線径/目合い確認なしで決める
    • なぜ起きる:品名が「メッシュ」「フェンス」だけ
    • 正しい考え方:溶接交点・線径・目合いで号分岐(例:線径3mm以上・目合い100cm²以上など)
    • 予防策:
      • 寸法表(線径、目合い)、表面処理(亜鉛めっき/樹脂被覆)を取得
  8. 間違い:構造物用に“準備された”部材を第72類の形鋼で処理
    • なぜ起きる:材料形状がH形鋼等に見える
    • 正しい考え方:7308は、構造物や「構造物用に準備された板・棒・形材等」を含む構造で、加工状態が重要
    • 予防策:
      • 穴あけ、切断、溶接、取付け用加工の有無(図面・工程)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品HSを誤ると、PSR適用も誤り、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 材料のHS最終製品のHSを取り違える
    • 鋼管(7304/7306)などで製造方法を誤り、PSRの「CTH/CTSH」判定がズレる
    • “一般用の部分品”(7318等)を機械部品として扱い、材料HSが崩れる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに、PSR(品目別規則)が参照するHS版が異なります。代表例:
    • RCEP:日本外務省は、原産地証明に記載するHSコードと原産品判定基準は、2023/1/1以降 HS2022へ転置(transposed)されたPSRを基礎にする旨を案内しています。
    • CPTPP:PSR検索は**HS2012での分類(6桁)**が必要、という説明があります(輸入国の関税率表・申告コードは別版を使うケースあり)。
    • 日EU EPA:PSR附属書(Annex 3-B)はHarmonized System classification (2017) を明記しています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
      1. 協定本文/公式ガイダンスで「参照HS版」を確定
      1. 旧版→新版の対応表(転置PSR、相関表)で、旧コード側でPSRを読み、必要なら新版に写像
      1. 取引で使う書類(原産地証明、申告)ごとに「どのHS版で書くか」を統一

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(最低限)
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS(協定が参照するHS版)
    • RVC計算の前提(控除法/積上げ法等、協定ごとのルール)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕様書・工程表・計算根拠・仕入書・製造記録を、協定・国内法の保存要件に沿って保管

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更(部注)第15部 注2(“一般用の部分品”)/90.21「一般用の部分品」に含まれる73.07等について、医療用インプラント専用設計品(90.21)は除外され得る旨が明確化医療用途の締結具等で、7318固定の誤りを防ぐ。医療カタログ等の証憑が重要
HS2017→HS2022(確認範囲では)変更記載なし第73類(6桁)HS2022改正の相関表(改正項目の表)では、730/731/732で始まる記載が見当たらない(=第73類の号レベル改正は少なくとも当該表には現れていない)HS6桁の大改正は相対的に少ない可能性。ただし国内細分は国別に改正され得るため注意

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料と判断プロセス:
    • **根拠1:第15部 注2(HS2022)**には、73.07等を「一般用の部分品」とする規定の中で、医療用インプラント専用設計品(90.21)を除く旨が書かれています。
    • **根拠2:第15部 注2(HS2017)**には、同じ「一般用の部分品」定義はあるものの、インプラント除外の文言が確認できません
    • 以上より、「HS2017→HS2022で、一般用の部分品定義にインプラント例外が追加された」と整理しました(部注改正)。
  • 第73類自体(見出し・号)については、改正相関表(改正点の表)上で第73類に関する記載が確認できないため、「少なくとも当該表が対象とする改正点としては大きく現れていない」と控えめに記載しています。
  • なお、HS2022には**補完改正(complementary amendments)**が設定されることがあります。運用時点の版(発効日)も確認してください。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • 第73類の中でも、旧版→新版で号(6桁)の再編が起きた例があります(代表例):
    • 例:73.19(縫針・安全ピン等)
      • HS2007では 7319.20(安全ピン)、7319.30(その他のピン)に分かれていた一方、HS2022では 7319.40(安全ピンその他のピン)というまとまりで示されています。
  • ただし、「いつの改正(HS2012/2017)で統合されたか」まで厳密に追うには、各版の条文(該当版)または公式相関表での確認が必要です(ここでは“少なくともHS2007→HS2022で差がある”ことを示しています)。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「機械部品」名目でボルトを84類申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第15部 注2(一般用の部分品)の考え方を無視
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “parts for machine” だけ、部品表の提出が薄い
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延(一般論)
    • 予防策:ボルト/ナット等は「7318の可能性」を最初に立て、寸法・規格・用途証明を添付
  • 事例名:鋼管の製造方法違いで号が変更
    • 誤りの内容:継目無(7304)と溶接(7306)を取り違え
    • 起きやすい状況:調達先が複数で、ミルシート形式がバラバラ
    • 典型的な影響:税率差・統計・原産地判定のズレ(一般論)
    • 予防策:ミルシート(製造方法)を必須添付、社内で規格の標準化
  • 事例名:ガスボンベの誤分類+高圧ガス手続の見落とし
    • 誤りの内容:7311相当を7310扱い等で申告、関連手続の確認漏れ
    • 起きやすい状況:空容器・付属バルブの扱いが曖昧
    • 典型的な影響:通関保留、追加書類要求、搬出遅延(一般論)
    • 予防策:用途(ガス用)・規格・輸入検査要否を事前確認
  • 事例名:医療用インプラントねじの分類差
    • 誤りの内容:7318固定(一般用の部分品)としてしまう
    • 起きやすい状況:医療用途情報が貿易書類に出てこない
    • 典型的な影響:規制・税率・統計・原産地の連鎖ズレ(一般論)
    • 予防策:医療用途・専用設計の証憑(カタログ/承認情報)を準備し、必要なら事前教示を活用

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 第73類は食品そのものではないためSPSの中心ではありませんが、用途(食品接触)や製品規格により別途要件が付くケースはあり得ます(個別確認)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第73類自体は通常対象外。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第73類そのものが一律規制対象ではありません。用途・仕様・最終需要者により確認が必要になる場合があるため、社内の輸出管理フローに組み込みます(一般論)。
  • その他の許認可・届出(日本で実務に出やすい例)
    • 高圧ガス(7311など):日本では、高圧ガスとその容器について、輸入後の移動等に輸入検査が関係する旨が制度上示されています(詳細は陸揚地の都道府県・関係機関へ確認)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税番の事前確認:日本税関の事前教示(品目分類)
    • 高圧ガス:経済産業省(高圧ガス保安法関係)や関連機関(KHK等)、陸揚地都道府県窓口
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(材質・寸法・製造方法)、図面、写真、用途説明、カタログ
    • 規制対象が疑われる場合:適用法令に基づく証明書・検査書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(鋳鉄/鋼/ステンレス等)、製造方法(鋳造/継目無/溶接)、寸法(外径・肉厚・線径・目合い)、容量(L)、用途
    • 図面、ミルシート、工程表、カタログ、写真
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第15部注(一般用の部分品、複合品、除外)を確認
    • 第73類注(鋳鉄/ワイヤ定義)を確認
    • 迷う境界(72類/83類/84-85類/94類)を再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「seamless/welded」「OD」「capacity」など判定要素を入れる
    • 必要に応じて仕様書・図面を添付
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版を確認(RCEP/CPTPP/日EU EPA等)
    • BOM、非原産材料HS、工程、原価計算根拠を揃える
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 7311等の可能性がある場合、高圧ガス関連の輸入検査要否を事前確認
    • 不明点は税関の事前教示も活用

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS2022 第15部 注(Base metals and articles of base metal)
    • HS2017 第15部 注(比較用)
    • HS2022 第73類(Articles of iron or steel)
    • HS2007 第73類(旧版比較用)
    • HS2022関連(補完改正の案内等)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 事前教示(品目分類)制度(Advance Classification Ruling System)
    • HS2022改正相関表(改正点の表として参照)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:外務省ページ(HS2022転置PSRの案内)
    • RCEP:HS2022転置PSR(採択/実施時期の説明を含む資料例)
    • CPTPP:PSRはHS2012で分類して参照(輸入者向けガイド例)
    • 日EU EPA:PSR附属書(HS2017明記)
  • その他(業界団体、公的統計等)
    • 高圧ガス保安(輸入検査の概説)
    • 経済産業省(高圧ガス保安法の輸入検査に関する案内例)
    • 参照日:2026-02-27

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。