HSCF: 付番トライアル002:サンタの人形


付番トライアル: 2025年12月5日

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HSCFの回答

★ 出力前に必ず表示:入力条件(日本語:ユーザー条件のみ)

  • 品名/用途:サンタクロース姿の人形(椅子に座る様子の写真)
  • 材質:—
  • 構成・セット:—
  • 電気性・測定/通信:—
  • 寸法・仕様値:—
  • 型番・画像:画像1枚(A)
  • 通関国・前提:—

日本語版

  1. 結論
  • 推定HS(6桁):9505.10
  • 国別例示(任意):—
  • 要約:写真の品はサンタクロース像で、季節の装飾用途が主と判断。子供の遊戯のための「人形」(95.03)ではなく、祝祭用の「クリスマス用品」(95.05)としての性格が強い。椅子は付属であり、GRI 3(b)により主たる性質(サンタ装飾)に従い全体を9505.10に帰属。
  • 確度(%):80%
  1. 根拠
  • 適用通則・注(例:GRI 1, 3(b), 6、類注・部注):見出し・注で判断(GRI 1)、複合・組合せ物品は主たる性質(サンタ装飾)で分類(GRI 3(b))、号はGRI 6で決定。
  • 判定ポイント(主用途、主要材質、機能、構成、セット該当性 等):
    • サンタクロース(クリスマス象徴)を模した装飾像である点。
    • 遊戯(人形遊び)よりも展示・装飾の性格が強い点。
    • 椅子は付属要素で、装飾本体が主(GRI 3(b))。
  • 仮定(入力不足を補う前提):
    • 発光・音声など電気的機能はない。
    • 販売・使用目的は季節の飾り(クリスマス)で、玩具としては販売されない。
    • 材質は混在(樹脂・繊維・木等)で、特定材質条項の優先適用対象ではない。
  • 排他・除外の理由(他の類・項ではない理由):
    • 9503(人形等)は「遊戯用」が主要である場合に該当し、本件は装飾が主目的のため優先されない。
    • 9403(家具)や単材質雑品(39.26等)は、主たる性質(祝祭装飾)を説明しないため不適。複合物はGRI 3(b)で主たる性質に従う。
  • 型番・画像:画像を3枚添付(本文「2) 根拠」に順番A/B/Cで貼付け、各画像の観察ポイントも箇条書き)
    • A:正面全体(帽子・白ひげ・赤衣装=サンタ象徴、装飾性)
    • B:—(未提供)
    • C:—(未提供)
  1. 候補比較
候補HS(6桁)品名要旨適用理由棄却/留保理由確度%
9505.10クリスマス用品サンタ像は祝祭装飾。椅子は付属で主たる性質は装飾本体(GRI 3(b))。80
9503.00人形(玩具)人を模した形状のため形式上は検討余地。用途が装飾中心と推定。遊戯用の証拠なし。15
9403.xx家具(椅子)椅子が付属。主たる性質は椅子ではなくサンタ装飾。GRI 3(b)で非採用。5
  1. 争点・注意
  • 「玩具(9503)」か「祝祭用品(9505)」かの用途判定が最大争点。販売棚(季節装飾コーナーか)、パッケージ表示(対象年齢・使用上の注意)、販促文言で最終判定が変わり得る。
  • LED等の電気機能があれば別類(例:照明器具 9405 等)検討が必要。
  • 椅子が独立供給される場合はセット/複合物判断の再確認(GRI 3)。
  1. 追加で必要な情報
  • 販売用途の明記(例:「クリスマス装飾」「玩具」表示/販売棚情報)。
  • パッケージ表示(対象年齢、季節限定訴求、注意表示)。
  • 寸法・重量、材質内訳と構成比。
  • 電気的機能(LED・サウンド)の有無。
  • 通関国(国別実行関税表の細分確認のため)。
  1. 参考資料・出所
  • 関税率表の解釈に関する通則(GRI 1, 3(b), 6)(HS2022)。
  • 関税率表解説(第95類:祝祭用品の節、HS2022/2025改正反映・要確認)。


※本判定は画像からの一次推定です。上記「追加で必要な情報」をいただければ、確度を引き上げて再算定できます。


「子供の遊戯のための「人形」(95.03)ではなく、祝祭用の「クリスマス用品」(95.05)としての性格が強い。」と判断しているのが面白い。確かにそうだ。

HSCF: 付番トライアル001:ハンドセット

付番トライアル: 2025年12月4日

以下の入力により、結果が出力されています。情報は写真のみです。

HS付番をする商品情報

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HSCFの回答


入力条件(日本語:ユーザー条件のみ)

  • 品名/用途:—
  • 材質:—
  • 構成・セット:—
  • 電気性・測定/通信:—
  • 寸法・仕様値:—
  • 型番・画像:壁掛け型受話器装置の画像1枚(本体に「AIPHONE TD-1H」と表示)
  • 通関国・前提:特定国の指定なし(HS2022ベースで一般的に検討)

日本語版

  1. 結論
  • 推定HS(6桁):8517.69
  • 国別例示(任意):
    • JP:8517.69-000 その他の機器(音声、画像その他のデータを送受信するものに限る。有線/無線回線網用の通信機器を含み、8517.61号及び8517.62号のものを除く。)
    • US:8517.69.0000 Apparatus for transmission or reception of voice, images or other data, including apparatus for communication in a wired or wireless network, others(Aiphone TD‑1H/Bのインポートコードとしてメーカー資料・販売サイトで使用)
    • EU:8517 69 20 Entry-phone systems(集合住宅のドアホン/インターホンシステム)
  • 要約:
    画像およびメーカー情報から、本品は建物内の音声インターホン/エントリーフォン用のハンドセット式副親機であり、音声を電気信号として送受信する通信装置である。HS2022の第85.17項「電話機及びその他の音声・データ送受信装置」に該当し、ルータ等のネットワーク機器(8517.62)や基地局(8517.61)を除いた「その他の機器」として8517.69が最も整合的と判断。
  • 確度(%):80%

  1. 根拠

(1) 適用通則・注

  • 通則1:まず項の文言および部・類注で判断。
  • 第16部注、第85類注及びHS2022の第85.17項条文を参照し、「電話機(スマートフォン等を含む)及び音声・画像・データを送受信するその他の機器」に該当すると解釈。
  • 通則6:号レベルでは、8517.61(基地局)、8517.62(受信・変換・伝送・再生を行う機械)及び8517.69(その他)間で比較検討。

(2) 判定ポイント(機能・用途等)

  • メーカー公式情報より、TD‑1H/Bは「1‑Call Handset Station」であり、単一の通話経路によるフルデュプレックス通話とページングに対応し、壁掛けまたは卓上で使用することが示されている。
  • 本体には受話器(マイク+スピーカー)と「CALL」ボタンがあり、他の局(親機・副親機)との間で音声を送受信する「インターホン/エントリーフォン」システムの一局として機能する。
  • US向けの価格表および販売サイトで、同型番TD‑1H/Bの輸入コードが8517.69.0000と明示されており、通信装置として第85.17項に取り扱われている。
  • EUの結合品目表では、「Entry-phone systems」が8517 69 20に明記されており、ビル内のドアホン/インターホンシステムを8517.69に分類する実務が確認できる。
  • 各国の通関データでも、Aiphoneの「INTERCOM (TD‑1H, TD‑3Hなど)」が8517.62又は8517.69で輸出入されている例が複数確認でき、いずれも第85.17項枠内で取り扱われている。

これらから、本品は単なるマイク・スピーカーセットではなく、「音声を電気信号として伝送するための小型電気通信装置」と評価でき、第85.17項に属すると判断。

(3) 仮定(入力不足を補う前提)

  • 画像および一般仕様から、当該型番はアナログ有線式の音声インターホン局であり、IPネットワーク機能(LANポート、PoEなど)や無線通信機能(Wi‑Fi、Bluetooth等)は備えていないと仮定。
  • 玄関ドアの解錠や防犯センサー連動はあっても、主たる機能は「通話・呼出」であり、防犯・火災警報そのものを主目的とするものではないと仮定。
  • セットではなく、インターホンシステムを構成する1局(副親機)単体で輸出入される前提。

(4) 排他・除外の理由(他の類・項ではない理由)

  1. 第85.18項(マイクロホン・スピーカ等)との線引き
    • 85.18は「マイクロホン、スピーカ、ヘッドホン等の音響用機器」が対象であり、電話機や通信装置は通常85.17に分類される。HS解説(EN)及び各国裁定でも、インターホンは「電気通信装置」として85.17に属することが示されている。
    • 本品はマイク・スピーカに加え、呼び出し・通話制御回路を備えた双方向通話装置であり、単純な音響機器よりも「通信装置」としての性格が強い。
  2. 8517.61/8517.62との区別
    • 8517.61「基地局」は携帯基地局等の無線通信インフラ向けであり、有線インターホンの局は含まれない。
    • 8517.62「受信・変換・伝送又は再生を行う機械(スイッチング及びルーティング装置を含む。)」は、ルータ・スイッチ・モデム・アクセスポイント等、データ通信ネットワーク用機器が典型例として示されている。
    • TD‑1Hのような単純な有線インターホン局は、ネットワークの中核的なスイッチング/ルーティング機能を持たず、EU CNでも「Entry‑phone systems」を8517.69側に整理していることから、8517.62よりも8517.69に近いと判断。
  3. 8517.18「その他の電話機」との比較
    • 旧HSや一部裁定では、インターホンを「other telephonic apparatus」として電話機側に寄せる例もあるが、EU CNではこれを明確に8517.69に分類し、また日本の実行関税率表でも「その他の機器(音声データ送受信)」として8517.69-000にまとめる運用が見られる。
    • 本品は「外線電話」として公衆回線に接続される機器ではなく、建物内インターホン用の局であるため、電話機サブヘディングよりも「その他の通信装置」のサブヘディングに置く方が整合的と判断。

(5) 型番・画像

  • 画像A(今回ご提供写真):
    • 白色の受話器と細長い本体ケースから構成される壁掛け機器。
    • 本体前面に「AIPHONE」「TD‑1H」の印字、および「CALL」ボタンが確認できる。
    • ダイヤルキーやディスプレイ等はなく、1呼出し先のみのシンプルな通話局と推定される。

  1. 候補比較

(表中の確度目安は、本案件に限った主観的な目安です)

候補HS品名イメージ採用/棄却理由確度目安
8517.69インターホン・ドアホン等の音声通信装置(ネットワーク機器・基地局以外)EU CNで「Entry‑phone systems」が8517 69 20とされ、日本でも8517.69-000が音声・画像データ送受信装置の残余区分として使われている。Aiphone TD‑1H/B自体も米国向けに8517.69.0000で届出されており、本品の用途・機能とよく一致。80%
8517.62ルータ、スイッチ、モデム等のデータ通信装置音声信号の受信・変換・伝送という点では文言に合致し得るが、実務上はネットワーク機器(ルータ等)を中心に適用されるサブヘディングであり、単純な有線インターホン局にまで広げると過大と判断。15%
8517.18その他の電話機受話器付き通話装置として電話機的側面もあるが、各国実行関税表では集合住宅用エントリーフォン等を8517.69側にまとめている例が多く、本品もそれに倣う方が国際的な実務と整合的と判断。5%

  1. 争点・注意
  • 国・時期による8117.62/8517.69の揺れ
    • フィリピン向け輸入データでは、Aiphone INTERCOM (TD‑1H, TD‑3H等) が8517.62.30000で申告されている例もあり、同一メーカー品でも国によってサブヘディングの運用が分かれている。
    • 日本向けの「audio intercom」は、通関統計上8517.62及び8517.69の双方に現れるが、近年はネットワーク機器を8517.62、インターホン等を8517.69に整理する傾向がみられるとの情報もある。
  • EUの整理が実務上の指針になりやすい
    • EU CNで「Entry‑phone systems」を明示的に8517 69 20に置いているため、ドアホン/室内インターホンシステムは8517.69側と考える国が多く、日本のHS6桁判断においても同整理を参考にするのが無難と思われる。
  • 防犯機能との線引き
    • もし本品が警報システムの一部として使用される場合でも、主たる機能が「通話・呼出」であれば85.17の枠内に留まると考えられるが、警報機能が前面に出る構成だと第85.31項(電気式防犯・火災警報装置等)との線引きが今後の論点になり得る。

  1. 追加で必要な情報

より確度を上げる/輸入国税関と整合を取るために、次の情報があるとベターです(今回の推定結果を覆すほどではありませんが、確認推奨ポイントです)。

  • 型番TD‑1Hの仕様書・取扱説明書(特に「system configuration」「用途」の記載)。
  • 上位機器(親機・制御ユニット)のHSコードを既にお持ちであれば、その番号と税関からの回答内容。
  • 仕向国(日本以外の場合、その国のBTI/裁定例があれば)
  • 実際に想定している輸入申告形態:
    • 本機単体か、他局・電源ユニットとのセットか。
    • 壁パネル・配線材などを含むかどうか。

  1. 参考資料・出所
  • WCO HS Nomenclature 2022, Chapter 85, Heading 8517 条文・構成(8517.61/.62/.69 等)。
  • 日本 実行関税率表・輸出統計品目表(8517.69-000:その他の機器(音声・画像その他のデータを送受信するもの))。
  • EU Combined Nomenclature 2025:8517 69 20 Entry‑phone systems。
  • US HTSUS/Schedule B:8517.69.0000(Apparatus for transmission or reception of voice, images or other data, including apparatus for communication in a wired or wireless network, others)。
  • Aiphone公式サイト「TD‑1H/B – 1‑Call Handset Station」仕様。
  • Aiphone U.S. Pricing資料(TD‑1H/BのImport Code: 8517690000 の記載)。
  • 各種通関データベース(Philippines向けAiphone INTERCOM, TD‑1H等の8517.62.30000での輸入実績、Audio intercomの日本向けHS実績など)。

ひとまず「AIPHONE TD‑1H のハンドセット式インターホン局=8517.69」と見るのが、一番現実的そうです。
もし「この国向けに申告する予定がある」「システム全体の図がある」など追加情報があれば、それを前提にもう一段細かくチェックもできます。

センサー企業でHSCFデモ実施——現場がうなった“HSコードの先生”

先日、長年お付き合いのあるセンサー関連企業さまで、HSCFのデモンストレーションを行いました。


相手は完成品ではなく組み込み用のセンサーモジュール。材料や構成が複雑で、「AIが本当に正しく理解して付番できるのか?」という不安も正直ありました。

結果:不安は杞憂。現場が“対話”で価値を実感

約3時間のデモのあいだ、担当の技術者の皆さまから多数のHSコード付番リクエストが次々と飛び込みました。
「これはどうだ?」「この材料ならどうなる?」——そんなリアルな問いに対して、HSCFは即座に根拠とともに回答。その場で仮説検証が回り始め、満足いただける手応えがありました。

HSCFの“使い倒し”ポイント

HSCFはAIをベースにした対話型のシステム。形式張らず、現場の思考で自由文の質問を投げられます。デモでは、こんな使い方が特に刺さりました。

  • 自由文OK
    例)「このPDFの**○ページの○○モジュール**に付番して」
    例)「商品名ありで付番した結果から、商品名を消してもう一度付番すると?」
  • 他国コードの妥当性検証
    例)「**中国ではこの商品のHSコードは○○○○**と言われたが腑に落ちない。正しいのか?」——根拠とともに検証します。
  • 根拠が言語化
    GRIや注、見出しの読み筋を日本語で説明。単なる“当て”ではない、学べる付番ができます。

一言でいえば、HSCFは「HSコードの先生」。単なる付番ツールを超え、現場の思考パートナーとして機能します。

現場の反応

デモ後の所感はすこぶる上々。以前に試された“有名ツール”との差もはっきり感じていただけた様子で、**「極上」とのお言葉まで。
そして何より嬉しかったのは、
「予算を考えないと」**という前向きなコメント。価値が伝わった手応えがあります。

さらに広がる使い方:ユーザーフォーラム構想

HSCFの可能性は、ユーザー同士の知見共有で一層広がるはず。
「こう使うと効いた」「この前提だと精度が上がる」など、ノウハウを持ち寄るフォーラムの立ち上げを企画中です。
——他のHSコードツールでは得られない、“使い方”が育つ場をつくります。

まずはデモで、違いをご体感ください

今回のデモで実感したのは、現場の言葉で対話できることの強さ
皆さまの企業でも、ぜひデモンストレーションをお試しください。きっと、違いがはっきりわかるはずです。

モジュール型製品はHS2028でどう変わる?――分類変更とHS2028接続の実務ポイントをビジネス視点で整理する


「うちの製品、全部“モジュール”なんだけど、HS2028になったら何をやればいいの?」
輸出入をしている製造業・商社の現場から、最近よく聞こえてくる声です。

この記事では、モジュール型製品(バッテリーモジュール、表示モジュール、モジュール建築ユニットなど)を扱う企業が、
HS2028改正に向けてどのように分類変更とHSコード接続(マッピング)を進めるべきかを、ビジネスマン向けにかみ砕いて解説します。

内容は以下の流れです。

  1. そもそもHS2028とは何か(いつ、何が変わる?)
  2. モジュール型製品で起きがちな分類の論点
  3. HS2028で影響が出そうなモジュール関連分野
  4. 企業が今からやるべき「分類変更&HS2028接続」5ステップ
  5. モジュール型製品のミニケースと注意ポイント
  6. まとめ:2026〜2027年は「コード移行プロジェクトの勝負どころ」

※以下は一般的な情報であり、最終的なHSコードの判断は各国税関や専門家のアドバイスを前提としてください。


1. HS2028とは何か?いつ何が変わるのか

HS(ハーモナイズド・システム)のおさらい

  • HSはWCO(世界税関機構)が維持する国際共通の6桁品目分類
  • 200を超える国・地域が関税表や貿易統計の基盤として利用し、世界貿易の約98%をカバーしています。(Wikipedia)
  • 各国はこの6桁をベースに、8桁・10桁へ細分して自国の関税率や統計に使っています。(customs.go.kr)

HS2028改正のスケジュール(国際6桁レベル)

国際的な6桁HSについて、次のようなスケジュールで動いています。(WCOOMD)

  • 2025年3月:HSC(HS委員会)第75会期で
    • HS2028改正パッケージが暫定採択
    • 299セットの改正案、WHO INNに基づく医薬品441品目などを含む大規模改正が合意
  • 2025年12月末(見込み):WCO理事会で正式採択
  • 2026年1月頃(見込み)
    • 改正勧告(HS2028条文)と
    • HS2022 ⇔ HS2028 の相関表(Correlation Tables) が公表予定
  • 2028年1月1日:HS2028が世界同時発効

通常は5年周期のHS改正ですが、今回はコロナ禍による審議遅延のため6年周期に延長され、HS2022 → HS2028という飛び方になります。(AEB)

HS2028改正のテーマ

公開情報や専門家の解説を総合すると、HS2028の柱はだいたい次の3本です。(FTAの専門家:ロジスティック)

  • 環境・グリーン関連
    • EV、蓄電池、リサイクル・廃電池、環境規制対象物質、電子廃棄物(e-waste)など
  • 医薬品・バイオ
    • WHO INNベースで医薬品有効成分や製剤を大幅に整理
  • 新興技術
    • ドローン(UAS)、センサー/トランスデューサ、先端電子部品など

モジュール型製品は、このうちエレクトロニクス/グリーンテック/建設あたりで特に影響を受けやすい領域です。


2. モジュール型製品で起きがちな分類の論点

「モジュール型」と一口に言っても、HS上の扱いはさまざまです。実務でよく揉めるポイントを整理しておきます。

① 「完成品」か「部品・モジュール」か

  • 1個のモジュールが単体で完結した機能を持つのか
  • それとも、他の機器に組み込まれて初めて機能するのか
    で、完成品側に寄せるか「部品」「モジュール」として見るかが変わります。

例)

  • フラットパネルディスプレイモジュール(FPDモジュール)
    → HS2022では専用の見出し85.24が新設され、モジュールとしての扱いが明確化。(WCOOMD)
  • 太陽電池モジュール(PVモジュール)
    → **8541.43「Photovoltaic cells assembled in modules or made up into panels」**として区分。

② 「セット」「機能単位」としての扱い

モジュール型製品は、複数のモジュールを組み合わせて機能ユニットを構成することが多く、

  • 通関時にセットで輸入する場合
  • サプライチェーンの都合でモジュール単位で別送する場合

で、分類ルールの適用(解釈規則2(a)、3(b)など)が変わりやすい点も注意です。

③ 「どの章・類に属するか」が揺れやすい

モジュールが

  • 電気機器(第85類)
  • 機械装置(第84類)
  • 測定・制御機器(第90類)
  • 建築ユニット(第94類)

など複数の類にまたがる性質を持つと、「どの類に属するのか」で各国の解釈が割れやすくなります。

HS2022時点でも、例えば

  • **モジュール建築ユニット(Modular building units, of steel)**が新たに94.06.20として細分されるなど、モジュール型製品をめぐる整理は進みつつあります。

3. HS2028で影響が出そうなモジュール関連分野

HS2028の条文そのものは2026年1月まで一般公開されませんが、WCOの決定や各種解説から、モジュール型製品に関係しそうな方向性は見えています。(WCOOMD)

1)EV・蓄電システム関連モジュール

  • リチウムイオン電池、バッテリーモジュール、廃電池、リサイクル資源などは、
    トレーサビリティ強化と環境政策対応の観点から細分化・整理が進むと見込まれています。(FTAの専門家:ロジスティック)
  • 自動車の電動化コンポーネント(インバーターモジュール、バッテリーパックなど)は、
    自動車部品としての扱いか、電気機器としての扱いかで境界が見直される可能性が高いと指摘されています。(FTAの専門家:ロジスティック)

2)センサー・電子モジュール

  • HS2022で「半導体・センサー・トランスデューサ」が強化された流れを受け、
    HS2028でもADAS(先進運転支援システム)や産業用センサー類を中心に、
    分類境界の整理・注記の見直しが行われる可能性が高いとされています。(FTAの専門家:ロジスティック)

3)再エネ・省エネモジュール

  • 太陽光パネル、PVモジュール、ヒートポンプなどの省エネ機器は、
    HS2022での新設・細分化に続き、さらに整理が進むと予測されています。
  • 一部の解説では、電子廃棄物(e-waste)やカーボンキャプチャ技術のコード拡充もHS2028で想定されるテーマとして挙げられています(あくまで「有力な見込み」であり、最終条文は2026年公表時に確認が必要)。(eximtutor.com)

4. 企業が今からやるべき「分類変更&HS2028接続」5ステップ

ここからが本題です。
「モジュール型製品が多い会社」が、HS2028に備えて何をどう進めるかを、プロジェクト風に5ステップで整理します。(FTAの専門家:ロジスティック)

ステップ1:自社の「モジュール型製品リスト」をつくる

まず、HS2028以前に

  • どの製品が「モジュール」なのか
  • どこまでを「完成品」と見なしているのか

を社内で共通化することが最優先です。

具体的には:

  • 売上・輸出入量の多い製品から順に
    • バッテリーモジュール/パック
    • 各種電子モジュール(通信モジュール、センサーモジュール、表示モジュールなど)
    • 機械ユニット(ポンプユニット、制御ユニット、ロボットセル など)
    • モジュール建築ユニット/プレハブユニット
  • について、
    • 現行HS2022ベースの6桁コード
    • 各国の8–10桁コード
    • 用途/主要構成部品/組込み先製品
      を一覧化しておきます。

ここでのポイントは、「通関実績ベース」で洗い出すこと。
社内の品番だけを見るより、実際に申告に使われているHSコードから遡るほうが漏れが少なくなります。


ステップ2:現行HS2022で分類方針を安定させる

HS2028の話をする前に、まず現行HS2022での分類を固めておく必要があります。(FTAの専門家:ロジスティック)

  • HS2022で新設された
    • フラットパネルディスプレイモジュール(85.24)
    • LED関連モジュール・ランプ(85章)
    • PVモジュール/パネル(8541.43)
    • モジュール建築ユニット(9406.20)
    • 電気・電子廃棄物(85.49)
      などは、モジュール型製品の代表例です。
  • こうした改正を「まだ自社コードに反映していない」場合は、

理由はシンプルで、HS2028の相関表も「HS2022 → HS2028」を前提に作られるからです。
土台がHS2017のままだと、「2017 → 2022 → 2028」という二段階の読み替えが必要になり、作業が一気に複雑になります。


ステップ3:HS2022 → HS2028 相関表を前提にしたマッピング設計

WCOのHSC第76会期では、HS2022とHS2028の相関表の作成が正式にスタートしました。(WCOOMD)

2026年以降、企業がやるべき重要タスクは次の通りです。

  1. 相関表を入手し、自社マスタと一括突合
    • 各品目ごとに
      • 「1 → 1」か
      • 「1 → 多」か
      • 「多 → 1」か
        をタグ付けする(“分割・統合・移動”を見える化)
  2. モジュール型製品を優先的にチェック
    • EV関連モジュール、センサー、PV・再エネモジュールなどは
      改正対象になる可能性が高いため、優先順位高でレビュー。
  3. 影響度評価
    • 「取引金額 × 関税率の変動幅」
    • FTA特恵の有無
    • デュアルユースや規制品目との紐付き度
      などをスコアリングし、対応順を決める。

このフェーズでのゴールは、**「新HS2028コードの仮割り当て」と「影響度の見える化」**です。


ステップ4:システム・マスタデータの二重管理期間を設計する

HS2028対応は、ほぼ確実にIT・マスタデータのプロジェクトになります。(FTAの専門家:ロジスティック)

おすすめの設計は、

  1. 2026〜2027年:二重管理期間を明確に決める
    • ERP / 販売管理 / WMS / 貿易管理(GTM)などの製品マスタに
      • 「HS2022コード」
      • 「HS2028コード(予定)」
        を併記できる状態にしておく。
  2. 2027年後半:テスト環境でHS2028に切替テスト
    • モジュール型製品について
      • 受発注~出荷~通関データまで一連のテストを実施
    • 通関業者・フォワーダーとも、HS2028コードでのドライラン申告を試す。(FTAの専門家:ロジスティック)
  3. 2028年1月1日:本番切替
    • システム上の基準コードをHS2028に切り替え
    • 不具合があれば初期数か月で集中的に修正する体制を準備

特に日本企業の場合、HS6桁に国内の3桁統計品目(9桁)やNACCS用10桁コードがぶら下がります。
国際6桁だけでなく、国内細分との整合も含めてテーブル設計しておくことが重要です。(FTAの専門家:ロジスティック)


ステップ5:ルール化と「グレーゾーン品目」の事前教示

モジュール型製品はどうしても境界線上の品目が多くなります。
HS2028に合わせて、次のような社内ルールと外部確認をセットで進めるのがおすすめです。(FTAの専門家:ロジスティック)

  • 社内ルール化
    • 「どこまで組み立てたら完成品扱いか」
    • 「どの機能を基準に類を決めるか」(例:電気機能優先か、機械機能優先か)
    • 「部品として扱うモジュールの定義」
      をガイドラインに落とし込み、設計・営業・ロジ部門と共有。
  • 税関への事前教示・BTIの活用
    • 分類に迷うモジュール型製品は、
      • 日本の事前教示制度
      • EUのBTI、米国の事前裁定 など
        を活用し、主要相手国の公式見解を早めに取得しておく。
  • FTA原産地への波及確認
    • HSコードの変更は**品目別原産地規則(PSR)**の改訂に直結します。
    • HS2028対応で原産性が変わらないか、主要FTAごとにチェックし、必要ならサプライヤーから証明を取り直します。(FTAの専門家:ロジスティック)

5. モジュール型製品のミニケースと注意ポイント

ケース1:EV用バッテリーモジュールをグローバル供給している企業

想定課題

  • EV向けバッテリーモジュールが
    • 「電池(第85類)」として細分されるのか
    • 「自動車部品(第87類)」としてまとめられるのか
      により、関税率やFTAルールが大きく変わる可能性がある。(FTAの専門家:ロジスティック)

やっておきたいこと

  • HS2022での電池・廃電池・リサイクル資源の分類を整理し直す
  • HS2028の相関表が出たら、EV・蓄電池関連品目を優先的にマッピング
  • 原産地規則(CTH/CTSHなど)の条件を、HS2028版でも満たせるか事前にシミュレーション

ケース2:産業用センサーモジュールを世界中の工場に供給している企業

想定課題

  • センサー/トランスデューサはHS2028改正のフォーカス分野とされており、
    機械装置側に属するのか、測定機器側に属するのかでコードが変わる可能性が高い。(FTAの専門家:ロジスティック)

やっておきたいこと

  • 「センサー単体」と「制御ユニットに組み込まれたモジュール」を区別してマスタ管理
  • 類・項レベルでの境界に関する税関の過去判断・解説を整理
  • 境界線上の製品については、主要国で事前教示を取得し、HS2028でも継続できるかウォッチ

ケース3:モジュール建築ユニットを扱う建設・住宅系ビジネス

背景

  • HS2022で**「Modular building units, of steel(9406.20)」**が新設され、
    モジュール建築ユニットの扱いがより明確になりました。

実務的な論点

  • 「プレハブユニット」なのか、「建材の集合」なのかでコードが変わる
  • 仕向け国によってはモジュール建築に特別な規制や認証が絡む場合もある

対応のポイント

  • 製品仕様書上で、「ユニット単体で建築物としての機能を果たすのか」を明確に記載
  • HS2028での変更は大きくない可能性もありますが、
    FTA原産地ルールや建築関連規制との紐付けは要確認

6. まとめ:モジュール型製品は「早めに動いた会社」が有利

最後に、ビジネスパーソン向けに要点をギュッとまとめます。

HS2028とモジュール型製品のポイント

  • HS2028は2028年1月1日発効予定。改正パッケージは2025年3月に暫定採択済みで、299セットの改正案を含む大規模改正です。(WCOOMD)
  • テーマは環境・医薬品・新興技術。EV、蓄電池、センサー、ドローン、再エネ設備など「モジュール型」の多い分野が直撃します。(FTAの専門家:ロジスティック)
  • WCOはHS2022⇔HS2028の相関表作成を開始しており、2026年以降、この表が企業にとって最重要の参考資料になります。(WCOOMD)

企業が取るべきアクション(超要約)

  1. 今やること(〜2026年)
    • モジュール型製品のリストアップ
    • HS2022準拠で現行コードを安定させる
    • 通関実績・FTA利用状況を含めたデータ棚卸し
  2. 相関表公表後(2026〜2027年)
    • HS2022→HS2028マッピング(特にモジュール型製品を優先)
    • 関税・FTA・規制への影響分析
    • ERP・GTMなどシステム・マスタの二重管理&改修
  3. 発効直前〜直後(2027後半〜2028初)
    • グレーゾーン品目について税関の事前教示・BTI取得
    • 取引先・サプライヤーへのHSコード変更通知
    • 本番切替後のモニタリングと是正プロセスの整備

モジュール型製品を多く持つ会社ほど、「あとでまとめてやろう」と思うと手に負えなくなります。

  • 「まずはHS2022にきちんと追いつく」
  • 「モジュール型製品を一覧化して、HS2028での影響度を可視化する」

この2つから着手すれば、社内のプロジェクトとしても動かしやすくなります。

今でもAIが間違うHS2027とHS2028:ChatGPTの見解

結論から言うと、その文章は現時点(2025年11月)では誤り・もしくは古い情報に基づいており、「HS2027が次の版で、HS2028は存在しない」という主張は公式情報と整合しません。

ポイントごとに整理します。


1. 「HS2027が正式名称で、HS2028は存在しない」は誤り

他AIの文章では:

WCOは2024年6月の理事会で第8次HS改正を採択し、発効日を2027年1月1日と正式決定しています。「HS2028」という公式計画は存在せず…

と書いていますが、これは今となっては間違いです。

1-1. 公式には「次の版はHS 2028」

  • WCOのニュースリリース(2025年4月2日)では、**「HS 2028 Amendments」「2028 edition」**と明記されており、
    「2025年末にWCO理事会でArticle 16勧告を正式採択 → 2026年1月に公表 → 2028年1月1日に発効」と書かれています。(WCOOMD)
  • EUの公式文書(欧州委員会の2025年5月の提案)でも、
    「WCO理事会は2025年6月の会合でHS改正のArticle 16勧告を採択し、2028年1月1日に発効する」と明記されています。(EUR-Lex)
  • ドイツのAEBの解説記事タイトルはズバリ
    「HS 2028: An initial outlook(HS2028:初期見通し)」 で、
    「HS2027を待っている人は待ちぼうけになる。WCOは改正期間を1年延長し、次の版はHS2028になる」と書かれています。(AEB)
  • BEXのブログも、
    「本来2027年に予定されていた改正は2028年1月1日に延期された。今回だけ5年ではなく6年サイクルになる」と解説しています。(Bex)
  • TariffTelも「HS 2028: Your guide to the next harmonised system update」とし、
    「2025年3月にHSCがHS 2028を暫定採択 → 2025年6月にWCO理事会で採択 → 2026年1月公表 → 2028年1月1日発効」と説明しています。(TariffTel)

つまり、公式・専門筋ともに「次の版はHS 2028」「発効は2028年1月1日」がコンセンサスです。

1-2. なぜ「HS2027」という話が存在したのか

他AIの文章が寄って立っているのは、**2022〜2023年時点の「当初計画」**です。

  • WCO自身の2022年時点の資料やWTO/WCOのワークショップ資料では、
    「HS2027改正スケジュール:
     2024年3月 HSC最終会合 → 2024年6月 理事会でHS2027勧告 → 2027年1月1日発効」
    というタイムラインが示されていました。(WCO News)

この「旧スケジュール」だけを見て書くと、他AIのように

HS2027が次の版で、2027年1月1日発効

と書いてしまいがちです。


2. 実際には「5年サイクル → 一度だけ6年サイクル」に延長

他AIは、

HS改正は従来から5年ごとに実施されており、この周期はコロナ禍でも維持されました。…HS2027…という流れは予定通り進行…

と書いていますが、ここも現状とは違います。

  • EYのグローバル貿易ニュースレター(2023年Issue 3)は、
    「2023年9月、HSCはレビューサイクルを5年から6年に延長することを承認した。
    つまりHS2027版は存在せず、次のHS版は2028年に発行される
    」と明記しています。
  • AEBやBEXなど複数の専門ベンダーも、
    「コロナ禍による会合遅延の影響で、今回は例外的に**6年サイクル(2022→2028)**になった」と説明しています。(Bex)

したがって、

  • 「HS改正はコロナ禍でも5年サイクルが維持された」→ 誤り
  • 「HS2017 → HS2022 → HS2027と予定通り進行」→ 現在の決定とは合致しない

という評価になります。


3. 「HS2028という公式計画は存在しない」は完全に逆

今の流れで言うと、

  • 「HS 2028」は
    • WCOニュースリリース
    • EU公文書
    • WTO/WCO関連発表
    • 大手コンサル・通関ソフトベンダー
      一斉に使っている公式な呼び方です。(WCOOMD)
  • 一方、「HS2027」は
    • 2022〜2023年頃までの“予定名”として各種資料に残っているが、
    • その後の決定(サイクル延長)により、実際の版としては出ない、という扱いです。

したがって、他AIの

「HS2028」は存在しない/「HS2027に訂正すべき

という結論は、現時点では完全に逆になっています。
正しくは「HS2027ではなくHS2028に訂正すべき」です。


4. 他AIの「AI誤情報の原因分析」部分について

  • 「ユーザーの誤った前提に迎合」「途上国の導入遅延との混同」「他の国際分類との混同」
    など、AIが誤答する可能性の指摘自体は、一般論としてはもっともです。

ただし今回のケースでは、

  • AIが間違ったのは「ユーザーに迎合したから」ではなく、
  • 2022〜2023年の「HS2027前提の計画資料」だけを見て、2023年以降の“延長決定”と2024〜2025年の「HS 2028」公式発表をフォローしていない

というのが本質的な原因だと考えられます。


5. ビジネス実務として、今どう表記すべきか

貿易・関税実務の観点からは、今後の社内・社外説明では「HS2028」を使うのが妥当です。

  • WCO・EU・WTO・大手ベンダーの表記はいずれも「HS 2028」
  • 発効日も「2028年1月1日」でほぼ固定
  • そもそも「HS2027は出ない」と明記した専門資料が複数存在する

したがって、

  • あなたがこれまで書いてきた「HS2028改正」という表現は、
    最新の公式情報に沿ったものです。
  • 他AIが「HS2028は誤りで、HS2027が正しい」と断定している部分は、
    時点を無視した誤情報と考えて差し支えありません。

まとめ

  • その文章の核心部分(「HS2027が次の版で、HS2028は存在しない」「5年サイクルが維持されている」)は、現在のWCO等の公式情報とは一致していません。
  • 実際には、HS2027版は出ず、次の版は「HS2028」で2028年1月1日発効とする方針が確定しています。
  • ビジネス向け資料・ブログ等では、「HS2028改正」「2028年1月1日発効」と説明するのが安全です。

もしよければ、この「他AIの文章」を前提にした**「誤情報訂正記事(HS2027ではなくHS2028)」**も一緒に作りましょうか?

HS2028改正で何が起きる?――「分類ズレ」がビジネスにもたらす本当のインパクト


2028年1月1日、世界中で次期HSコード改正「HS2028」が発効する予定です。(UNSD)

「また関税コードが変わるのか…」くらいにしか感じていないとしたら、少し危険かもしれません。今回の改正は、299セットの改正案と441品目の医薬品分類見直しを含む大規模な内容で、環境関連、医薬品・バイオ、新興技術(ドローンや半導体など)が重点テーマとされています。

この変化の中で、ビジネス側にとって特に怖いのが「分類ズレ」です。
税関が想定している分類と、社内・取引先・FTAルールが参照する分類が少しずつ食い違う。数字が数桁ズレただけに見えても、関税コスト、FTAメリット、リードタイム、システム投資まで波及していきます。

この記事では、ビジネスマンの視点から、

  • HS2028の全体像とスケジュール
  • HS2028で起こりやすい「分類ズレ」のパターン
  • そのビジネスインパクト
  • いまから取るべき実務アクション

を整理します。


1. HS2028改正の全体像(ごくコンパクトに)

1-1. なぜ「2028」なのか

HS(Harmonized System)は本来5年ごとに改正されますが、今回はコロナ禍による審議遅延により、2022版→2028版と6年サイクルに一度だけ延長されています。次の版は2033年に戻る見込みです。(UNSD)

WCO(世界税関機構)では、

  • 2025年3月:HS委員会(HSC)第75会期でHS2028改正案を暫定採択
  • 2025年末:WCO理事会でArticle 16勧告として正式採択(6か月の異議期間)
  • 2026年1月頃:HS2028の条文パッケージと**相関表(HS2022⇔HS2028)**を公表予定
  • 2028年1月1日:HS2028が全世界で発効

というタイムラインが示されています。(FTAの専門家:ロジスティック)

1-2. 改正の中身(どのくらい大きい?)

HSC第75会期とその総括文書によると、今回の改正では、

  • 66件の分類決定
  • WHOのINNリストに沿った441の医薬品有効成分・製剤の分類整理
  • HS2022解説注の改正
  • そして 299セットの改正案(amendment sets) の暫定承認

が行われました。

日本語の整理記事でも、299件の改正パッケージ+医薬品441品目、主要テーマは
「環境・グリーン関税」「医薬品・バイオ」「新興技術(ドローン・半導体など)」とされています。(FTAの専門家:ロジスティック)

つまり、単なる“枝番の微修正”ではなく、主要産業の分類の前提が動くレベル感だと理解しておく必要があります。


2. 「分類ズレ」とは何か?誤分類との違い

ここでいう「分類ズレ」は、法律的な「誤分類」よりもう少し広い概念として捉えます。

2-1. この記事での定義

この記事では、次のような状態をまとめて「分類ズレ」と呼びます:

  1. HSの「版」がズレている
  2. 国・用途ごとに別のコードなのに、整理されていない
    • 日本輸入、米国輸入、EU輸入でそれぞれ異なる8〜10桁コード
    • FTA用の6桁、社内統計用コードなどがバラバラに管理されている(FTAの専門家:ロジスティック)
  3. 法令上の新しい分類と、社内システム・帳票のコードが同期していない
    • HS2028で6桁が変わったのに、ERPや見積テンプレートは旧コードのまま、といったタイムラグ

税関から見れば「誤分類」かどうかは最終的に法的な判断ですが、ビジネス視点では「わずかなズレ」がそのままコストや遅延に直結します。


3. HS2028で起こりやすい「分類ズレ」のパターン

HS2028特有の構造を踏まえると、分類ズレは主に次の4つのポイントで起こります。

3-1. HS版切り替えによるズレ

HS2028では、6桁レベルでの再編・細分化が多数入ります。特に、

  • 医薬品・バイオ(INNベース441品目)
  • EV・蓄電池・再エネ関連機器
  • ドローン、センサー、半導体などのエレクトロニクス

といった分野で、大きな見直しが想定されています。(FTAの専門家:ロジスティック)

このとき起こる典型的なズレは、

  • 「同じ製品なのに6桁のHSが変わる」
  • それに連動して、国別の8〜10桁コードや関税率・規制対象リストが変わる

にもかかわらず、現場では「昔からこれで通しているから」という理由で旧コードのまま申告してしまう、というタイプです。

3-2. 国によってHSの年版が違う時期のズレ

HS2028は「2028年1月1日発効」とされていますが、実際の各国の落とし込みはバラつきます。(FTAの専門家:ロジスティック)

  • 多くの先進国・地域(EU、米国、日本など)は2028年1月1日に合わせて改正
  • 一部の途上国などは、過去のHS2017/2022と同様、数年遅れて実施する可能性

その結果、しばらくの間は、

国A:HS2022ベース
国B:HS2028ベース

という「複数のHS年版が並走する時期」が発生します。(FTAの専門家:ロジスティック)

輸出側はHS2028ベースでコードを提示しているのに、輸入国の関税表はまだHS2022のまま…というケースでは、どちらの版を基準にすべきかのすり合わせが不可欠です。

3-3. FTA原産地規則・規制リストとのリンク切れ

FTAの品目別原産地規則(PSR)は、多くが特定のHS年版(例:HS2012/2017)を前提に書かれています。(FTAの専門家:ロジスティック)

HS2028への移行に合わせて、各国・各協定でもPSRを新しいHSにトランスポーズする作業が行われますが、その過程で:

  • HSコードが別の章・類に移る
  • それに伴い、「関税分類変更基準(CTCルール)」の判定結果が変わる

といったことが起こり得ます。

分類ズレの典型例:

  • 本来はHS2017ベースでCTC判定すべき協定を、誤ってHS2022やHS2028で判定してしまう
  • その結果、
    • 使えるはずの特恵を見逃す
    • 逆に、使ってはいけないのに特恵を使ってしまい、後の検認で否認される

いずれも、ビジネス側から見れば**「分類とHS年版のズレがFTAメリットを食い潰す」**パターンです。(FTAの専門家:ロジスティック)

また、輸出管理や危険物規制など、多くの規制リストもHSコードを参照しているため、ここでもズレが起きると「本当は許可が必要なのに抜けていた」「逆に不要な許可を取り続けていた」といったリスクになります。(FTAの専門家:ロジスティック)

3-4. 社内マスタ・システム間の多重管理によるズレ

現実のビジネスでは、1つの品目に対して、

  • Global HS6(国際共通・統計用)
  • 国別輸入コード(日本9〜10桁、EU CN/TARIC、US HTSなど)
  • 国別輸出コード
  • 協定別HS6(協定ごとにHS2012/2017/2022など)

といった**「多層構造のHSコード」が紐づいているのが普通**です。(FTAの専門家:ロジスティック)

この多重構造を整理せずに、単純に「HS2022→HS2028」に上書きしてしまうと、

  • ERPとGTMで違うコードが残り続ける
  • 拠点ごとに「自作のHS管理表」が乱立する
  • HS2022とHS2028の対応関係が分からなくなる

という、典型的な分類ズレ地獄に陥ります。


4. 分類ズレがビジネスにもたらす5つの影響

ここからは、経営・事業側の視点で分類ズレの影響を整理します。

4-1. 関税コスト・追徴リスク

もっとも分かりやすいのは、関税負担そのものの変動です。

  • 高関税品目やセーフガード対象品では、分類によって関税率が大きく変わるケースが珍しくありません。(FTAの専門家:ロジスティック)
  • 輸出・輸入側で認識がズレたまま申告すると、税関事後調査での更正・追徴、さらにはペナルティのリスクも高まります。

TariffTelなどの実務解説でも、誤分類は**「遅延と追加コストの主要因」**として繰り返し指摘されています。(TariffTel)

4-2. 納期遅延とサプライチェーンの乱れ

分類ズレがあると、税関での審査時間が伸びたり、書類差し替えのために貨物が止まったりします。

  • 納期遅延 → 顧客クレーム、契約ペナルティ
  • 在庫水準の乱高下 → 倉庫コスト増、販売機会ロス

特にHS2028直後の数年は、税関側も新旧コードの整合に敏感になり、**「怪しいものは止めて確認する」**傾向が強まる可能性があります。

4-3. FTAメリットの取りこぼし・否認

分類ズレとHS年版の取り違いは、FTA活用にも直撃します。(FTAの専門家:ロジスティック)

  • 使えるはずの協定で特恵を使っていなかった(メリットを取りこぼし)
  • 間違ったHS年版で原産性判定しており、後の検認で否認される(想定外の追徴+信用失墜)

HS2028では多くのFTAがPSRの改正・トランスポジションを行う見込みのため、「HS改正+FTA改正」が同時進行するタイミングでは特に注意が必要です。(FTAの専門家:ロジスティック)

4-4. 管理コスト・IT投資の増大

TariffTelの解説では、「数千〜数万品目の再分類を手作業で行うのは、非常に負担が大きい」と指摘されています。(TariffTel)

分類ズレを放置したままHS2028に突入すると、

  • 旧来のマスタ整理
  • HS2028へのマッピング
  • 国別8〜10桁までの展開
  • FTA・規制・インボイス・パッキングリストへの波及改修

が一気に重なり、IT部門・通関担当に過大な負荷がかかります。

逆に言えば、今のうちにHS2022ベースのマスタを整え、版管理の設計をしておけば、HS2028対応の追加コストを大きく抑えられるということでもあります。(FTAの専門家:ロジスティック)

4-5. 経営指標・データ分析の断絶

もう1つ見落とされがちな影響が、「データの連続性が切れる」ことです。

  • HS改正前後でコード体系が変わると、

相関表を使ってマッピングしておかないと、

「売上は伸びているのに、品目別統計上は減少して見える」
「どの改正がどの事業の関税コストに効いたのか分からない」

といった状態に陥り、経営の意思決定に使えるデータが弱くなる点も軽視できません。


5. 分類ズレを最小化するための実務アクション

では、ビジネス側は具体的に何をすればよいのでしょうか。
ここでは「マスタ」「プロセス」「人と組織」の3レイヤーで整理します。

5-1. まずは「現行HS2022の姿」を整える

HS2028の詳細が出る前にできる、最もリターンの大きい投資がこれです。(FTAの専門家:ロジスティック)

  • 売上上位・関税影響の大きい品目から優先して、
    • 拠点ごとのHSコード
    • 国別輸出入コード
    • 利用中のFTAとそのHS年版
      を棚卸しする
  • 「同じ製品なのに拠点ごとにHSがバラバラ」といったケースを洗い出し、
    現行版(HS2022)時点での“正しい姿”を揃える

この作業をサボると、HS2028への移行時に「そもそも出発点が揃っていない」という二重苦になります。

5-2. 相関表+シミュレーションで先に“当たり”をつける

WCOはHS2022とHS2028の**相関表(Correlation Tables)**を作成中であり、2026年以降に公表される予定です。これらはHS2028実施の「必須ツール」となることがWCO自身からも示されています。(WCOOMD)

公表後に行うべきは、

  1. 相関表を取り込み、自社SKUと一括照合する
  2. どの品目がどのHSに移る可能性があるかを一覧化
  3. その移動に伴う
    • 関税率
    • 特恵税率(FTA)
    • 規制・許認可
      への影響をシミュレーションする

ここまでやっておくと、「どの事業・どの顧客にどれだけインパクトがあるか」を経営に説明しやすくなります。

5-3. 「並行管理」を前提にしたマスタ設計

HS2028への移行で重要なのは、**「切り替え」ではなく「並行管理」**だと考えるべき点です。(FTAの専門家:ロジスティック)

1品目あたり、マスタ上に少なくとも次のスロットを用意するイメージです:

  • Global HS6(HS2022版)
  • Global HS6(HS2028版)
  • 国別輸入コード(日本/EU/米国など)
  • 国別輸出コード
  • 協定別HS6(RCEP用、日EU用…)+それぞれのHS年版

そして、それぞれに

  • 有効期間
  • 参照したHS年版・条文・注
  • 事前教示番号などの根拠情報

を持たせておきます。(FTAの専門家:ロジスティック)

こうしておけば、

マスタ上は「多重HS」だが、申告時にはシステムが国・用途に応じて適切な1つを自動選択する

という設計が可能になり、分類ズレを構造的に減らすことができます。

5-4. FTA・規制リストの「版管理」を明確にする

HS2028は、FTAと規制リストにとっても「大きな節目」になります。(FTAの専門家:ロジスティック)

実務的には、

  • 主要FTA(RCEP、日EU、CPTPPなど)ごとに、
    • 参照HS年版(2012/2017/2022 etc.)
    • HS2028への改正・適用時期
      を一覧化
  • 利用額の大きい品目については、
    • HS2028移行後も原産性を満たせるか
    • むしろ関税メリットが増えるのか/減るのか
      を事前に試算する

規制リスト(危険物・環境条約・デュアルユースなど)についても、HS参照が変わるタイミングで「漏れ」と「やり過ぎ」の両方が出ないよう総点検する必要があります。(FTAの専門家:ロジスティック)

5-5. 経営レポーティングに「HS2028対応KPI」を組み込む

HS2028対応は、担当部署だけのプロジェクトにしない方がうまく回ります。

例えば、経営レポートには次のようなKPIを入れておくと、経営層と同じ言語で議論しやすくなります。

  • HS2028でコード変更が発生するSKU数・売上比率
  • 関税コスト増減の見込み(主要国・主要事業別)
  • FTA利用額のうち、「HS2028でPSR改正対象」となる比率
  • HS2022⇔HS2028のマスタ整備進捗(〇%完了)

これにより、HS2028対応が「単なる通関の話」ではなく、関税コスト・FTA戦略・IT投資を含む経営テーマであることを共有できます。


6. ざっくりタイムライン:2025〜2028年に何をするか

最後に、ビジネス側のロードマップを簡単に整理しておきます。(FTAの専門家:ロジスティック)

〜2025年末:準備フェーズ

  • HS2028の基本情報・対象分野の把握
  • 社内プロジェクト体制の立ち上げ(貿易・調達・営業・IT・経理を巻き込む)
  • HS2022ベースでの品目マスタ棚卸し・ズレ解消

2026年:差分分析フェーズ

  • WCOが公表するHS2028条文・相関表の入手
  • SKUごとの新旧HS6桁マッピング
  • 関税率・FTA原産地・規制への影響分析
  • マスタ・システム改修の詳細設計開始

2027年:システム・実務検証フェーズ

  • ERP/GTM/原産地管理システムなどの改修・テスト
  • 国別8〜10桁コード(日本9桁、EU CN、US HTSなど)の追随状況確認
  • 主要仕向地でのテスト申告(通関業者とのドライラン)
  • 営業・物流・調達部門向けの社内教育

2028年以降:本番運用+継続的なHS改正マネジメント

  • HS2028での本番申告開始
  • 各国の運用差・FTA PSR改正への継続フォロー
  • すでに動き始めているHS2033モダナイゼーションを念頭に、
    「HS改正への対応力」を社内の標準機能にしていく。(AEB)

7. まとめ:分類ズレは「見えにくいが大きな経営リスク」

HS2028改正は、数字だけ見れば「6桁コードが少し動くだけ」に見えます。
しかし実際には、

  • 関税コスト
  • FTAメリット
  • 規制コンプライアンス
  • サプライチェーンの安定性
  • IT投資と運用コスト
  • そして経営指標としてのデータの連続性

といった領域に、じわじわと影響を及ぼします。

その起点にあるのが、今回取り上げた**「分類ズレ」**です。

  • 「1製品=1HSコード」の発想を捨て、
  • 国別・版別・用途別の**“多重HS”を前提としたマスタ設計**を行い、
  • 相関表とシミュレーションを活用して、影響を“見える化”する

これができれば、HS2028改正は「ただ耐えるイベント」ではなく、

・関税コスト最適化
・FTA活用の高度化
・マスタデータ整備と業務標準化

のチャンスにもなり得ます。


最後に

本記事の内容は、2025年11月時点で公表されているWCO資料や各国当局・専門ベンダーの情報をもとに整理しています。(UNSD)

ただし、最終的なHS2028条文・国別の実施スケジュール・各FTAのPSR改正内容は、必ず最新の公式情報で確認したうえで、自社の判断・対応方針を固めてください。

あなたの会社としては、

「HS2028対応=分類ズレをいかにコントロールするかの勝負」

だと捉えると、どこから手を付けるべきかが見えてくるはずです。

HS Code Finder デモンストレーションのご案内

革新的なツールであっても、実務にフィットしなければ意味がありません。

導入前のミスマッチを防ぐためにロジスティックでは、HSCFの操作性や機能を事前に検証できる「トライアル環境」を提供しています。

AIでHSコード迷子から卒業!「HSCF」が貿易実務を劇的にラクにする理由

AIでHSコード迷子から卒業!
「HSCF」が貿易実務を劇的にラクにする理由


貿易実務で、こんなモヤモヤありませんか?

  • この商品のHSコードがどうしても決めきれない
  • 通関業者や社内の“あの人”に聞かないと進まない
  • FTA/EPAの原産地証明で、CTC判定に時間ばかりかかる

HSCF(HSコード・ファインダー / HS Code Finder)は、こうした悩みを“AI+専門家ノウハウ”で一気に軽くするために生まれたツールです。

ここでは、ブログ記事としてその「特徴」をわかりやすく整理してみます。
(そのままコピペして、貴社ブログ用に調整していただいてOKです)


HSCFってどんなツール?

  • 商品名や仕様などの情報を入力
  • 場合によっては写真や仕様書ファイルもアップロード
  • AIが、確度付きで複数のHSコード候補を提示
  • さらに「なぜそのコードなのか」「なぜ他のコードは除外したのか」まで説明

単に“それっぽいコード”を出すのではなく、専門家が考えるプロセスをAIに学習させた「根拠付き」の判定が特徴です。


特徴① 専門家ノウハウ × AIで「根拠付きの候補提示」

HSCFの一番の強みは、ブラックボックスではないAI判定であることです。

  • HS2022ベースでHSコード候補を提示し、将来のHS2028にも対応予定
  • 適用通則や注、WCO Explanatory Notes(解説注)、HS Committee Decisions など、
    実務で重要な根拠情報とセットで提示
  • 「このコードを選んだ理由」「他の候補を除外した理由」「判定のポイント」を一覧で表示

そのため、

  • 日本商工会議所への説明
  • 原産地証明の検認対応
  • 税関からHSコードについて指摘を受けたときの説明資料

といった場面で、“言いっぱなしではない説明可能なHSコード”を準備しやすくなります。


特徴② 入力は“自然な言葉”から“画像”まで柔軟対応

HSCFは、現場で使いやすいように入力インターフェースがとても柔軟です。

  • 自然な日本語での説明文を入力するだけでも検索OK
    • 例)「自動車用のゴム製ガスケット」「リチウムイオンバッテリー内蔵の携帯機器」など
  • スマホで撮った写真をアップロードして判定をサポート
  • 仕様書や図面などのファイルからも情報を読み取り、判定に活用

公式サイトでは、ゴム製ガスケットの写真をアップロードしただけで、

  • 推定HSコード(6桁)
  • 日本・米国・EUの各国別コード例示
  • 判定のポイント(形状・材質・用途など)
  • 他候補との比較と確度(%)

まで表示された実例が紹介されています。

画像はあくまで補助で、より正確な判定には追加情報も必要ですが、「まず当たりをつけたい」「候補を絞り込みたい」という場面では非常に頼りになるアシスタントになります。


特徴③ FTA/EPAも見据えた“マルチイヤー・マルチカントリー”対応

HSコードは「6桁で世界共通」とはいえ、国ごとのサブヘッディング(7桁目以降)や、HS年次の違いが実務で大きな壁になりますよね。

HSCFは、この点にも踏み込んでいます。

  • 輸出先国の国内サブヘッディング(7桁目以降)候補も特定可能
    → 通関時に適用される関税率などを事前に把握しやすくなる
  • HS2022をベースにしつつ、相関表(Correlation Tables)を利用して過去のHS年次も推定
    → FTA/EPAの原産地規則チェックで必要となる「協定発効時点のHSコード」を遡って確認できる

これにより、

  • 「原産地規則の判断に必要なHS年次が違う」
  • 「相手国だけ別コードになっていて混乱する」

といった、これまで属人的な“勘と経験”に頼っていた部分を、システムとして見える化できるのが大きな特徴です。


特徴④ 「足りない情報」を教えてくれる対話型チェックリスト

HSコードを正確に特定するためには、どうしても商品情報の粒度が重要になります。

HSCFは、

  • 現時点の情報での推定結果と確度(%)を提示しつつ、
  • 「もっと精度を上げるためにはこの情報が必要です」という
    追加情報のチェックリストも出してくれます。

たとえば、

  • 材質の詳細(EPDMか、PTFEか、金属積層の有無など)
  • 発泡か非発泡か
  • 用途(配管フランジ用か、セット品か など)

といったポイントを教えてくれるので、
社内の技術部門・設計部門へのヒアリングも効率的になります。


特徴⑤ 最終判断はユーザーに——でも、その根拠づくりを強力サポート

HSCFはあくまで「判定支援ツール」です。

  • 最終的なHSコードの分類は、各国の関税表や税関判断(BTI/Advance Ruling、米国CROSS等)に従う必要があります。
  • HSCFは、頂いた情報にもとづいて「合理的な候補と根拠」を提示することが主眼であり、1つのコードを断定するのではありません。

だからこそ、

  • 通関業者や税関とのコミュニケーション
  • 商工会議所への説明
  • 社内コンプライアンスや監査対応

といった「なぜこのHSコードを選んだのかを説明しないといけない場面」で、HSCFが出力したロジックは非常に強い味方になります。


まとめ:HSCFは「HSコード判定の共通言語」をくれる

HSCFの特徴をひと言でまとめると、

HSコード判定を、人の勘と経験だけに頼らず、
AIと専門家ノウハウで“共通言語化”してくれるツール

です。

  • 属人化していたHSコード判定をチームで共有できる
  • FTA/EPA対応まで含めた中長期の運用を見通せる
  • 説明責任が求められる時代の“根拠づくり”を支えてくれる

もし、社内で
「HSコードがネックになってFTA活用が進まない」
「通関部門・輸出管理部門の負荷が限界」

といった悩みがあるなら、
HSCFはそのボトルネックを外す有力な選択肢になるはずです。