HS2022 第25類:塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント(Salt; sulphur; earths and stone; plastering materials, lime and cement)

用語は以下で統一します。

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 昇華硫黄/沈降硫黄/コロイド硫黄 → 第28類 2802 (世界関税機関)
    • アースカラー(酸化鉄として70%以上) → 第28類 2821 (世界関税機関)
    • ドロマイトラミングミックス → 第38類 3816(HS2022で明確化) (世界関税機関)
    • 舗装用の石・縁石・敷石/モザイクキューブ等/屋根用スレート → 第68類 6801〜6803 (世界関税機関)
    • 筆記・図画用チョーク/テーラースチョーク → 第96類 9609(天然チョーク2509と混同注意) (世界関税機関)
    • ビリヤードチョーク → 第95類 9504 (世界関税機関)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度:粗品/洗浄/粉砕等の“物理処理まで”か、焼成・混合・化学的処理までしているか(注1が強い) (世界関税機関)
    2. 鉱石(第26類)との境界:砂でも“金属含有砂(metal-bearing sands)”は第26類へ(2505の但書) (世界関税機関)
    3. 第68類(石・セメント等の製品)との境界:石材が“製品化(タイル・舗装石など)”されると第68類へ飛びやすい(注2(f)) (世界関税機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 石綿(アスベスト):2524自体だけでなく「石綿を含有するおそれのある製品」も輸入手続が絡みやすい(後述) (厚生労働省)
    • HS改正影響:HS2017の2518.30(ドロマイトラミングミックス)がHS2022で3816へ移行(過年度データ・契約で旧コードが残ると事故りやすい) (税関ポータル)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し文言+注)が最優先です。第25類は注(Notes)が加工度と除外を強く縛るため、品名の印象より「注に合うか」を先に見ます。 (世界関税機関)
    • GIR6(号=6桁):6桁の分岐は、典型的に「粉状/塊」「焼成の有無」「用途を示す文言(道路用骨材など)」「成分割合(例:CaF2 97%)」で割れます。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(鉱物名):石英なのか珪砂なのか、カオリンなのか他の粘土なのか、など。
    • 状態(形状・粒度):粉末・フレーク・ブロック、砕石、粒状など。
    • 加工度(重要):洗浄・粉砕・ふるい分け=“OK寄り”、焼成・混合・特定用途向けの調製=“NG寄り”。(ただし見出し自体が「whether or not calcined」を許すものもあります) (世界関税機関)
    • 用途が見出しで条件になっていないか:例)2521は「石灰・セメント製造用の石灰石」寄りの見出し、2517は道路・鉄道バラスト等に使う砕石等が中心。 (世界関税機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:鉱物性生産品か?(第5部:第25〜27類)
    • 鉱物・土石・塩・硫黄・石灰・セメント系 → 次へ
    • 化学品として“反応・精製”をしている → 第28類〜(要検討)
  • Step2:加工度チェック(第25類注1)
    • 粗品/洗浄/粉砕/粉状化/ふるい分け/浮遊選鉱・磁選等(結晶法除く)まで → 第25類候補 (世界関税機関)
    • 焼成・混合・見出しで許される処理を超える加工 → 原則として第25類から外れやすい(見出しで明示的に許す例外は別途) (世界関税機関)
  • Step3:除外規定(注2)に当たらないか
    • 昇華硫黄(2802)/鉄分70%以上のアースカラー(2821)/ドロマイトラミングミックス(3816)/舗装石(6801等)/筆記用チョーク(9609)…など (世界関税機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第25類 ↔ 第26類:砂でも「金属含有砂」は第26類(2505の但書)。 (世界関税機関)
    • 第25類 ↔ 第28類:硫黄・石灰など“同じ元素/化合物名”でも、形態(昇華・沈降)や処理で第28類へ。 (世界関税機関)
    • 第25類 ↔ 第68類:石材が“建材製品”まで加工されると第68類へ(注2(f))。 (世界関税機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2501塩(食塩・変性塩含む)、純塩化ナトリウム、海水工業用塩、食用塩、海水添加(固結防止等)を含み得るが、調製の程度に注意 (世界関税機関)
2502焼いていない黄鉄鉱黄鉄鉱(未焙焼)焙焼したものは別検討 (世界関税機関)
2503硫黄(昇華・沈降・コロイドを除く)粉状硫黄、塊状硫黄昇華硫黄等は2802へ(注2(a)) (世界関税機関)
2504天然黒鉛粉状黒鉛、フレーク黒鉛天然/人工(別類)で分かれやすい (世界関税機関)
2505天然砂(全種)※第26類の金属含有砂を除く珪砂、鋳物砂、砂「金属含有砂」は第26類(但書) (世界関税機関)
2506石英(砂を除く)、珪岩(石英岩)石英塊、珪岩ブロック砂(2505)との区別に注意 (世界関税機関)
2507カオリン等のカオリン質粘土(焼成の有無を問わない)カオリン、焼成カオリン“焼成OK”が明記されている点が重要 (世界関税機関)
2508その他の粘土等(膨張粘土=6806除外)、耐火鉱物等(焼成の有無を問わないもの含む)ベントナイト、耐火粘土、ムライト等「膨張粘土」は6806へ(見出し内で除外) (世界関税機関)
2509チョーク(天然)天然チョーク(原料)“筆記用チョーク”は9609へ(注2(k)) (世界関税機関)
2510天然リン酸塩等リン鉱石系(天然リン酸塩)粉砕の有無で号分岐 (世界関税機関)
2511重晶石、炭酸バリウム(焼成の有無問わず)※酸化バリウム除外バライト、ウィザライト酸化バリウム(2816)除外が明記 (世界関税機関)
2512珪質の化石粉等(焼成可)※見掛比重1以下珪藻土、キースルグール数値条件「見掛比重1以下」 (世界関税機関)
2513軽石・エメリ等の天然研磨材(加熱処理可)軽石、ガーネット砂研磨材用途でも“天然”か等確認 (世界関税機関)
2514スレート(粗/単純切断まで)スレート原石、スレートブロック屋根用等の製品は6803(注2(f)) (世界関税機関)
2515大理石等の建築石材(見掛比重2.5以上)/アラバスター大理石ブロック2.5以上要件、加工度(“単純切断まで”) (世界関税機関)
2516花崗岩等の建築石材(粗/単純切断まで)花崗岩ブロック、砂岩ブロックタイル等は第68類へ行きやすい (世界関税機関)
2517砂利・砕石等(道路/鉄道バラスト等)/タールマカダム等砕石、道床バラスト、タールマカダム注3により“2517優先”の特則あり (世界関税機関)
2518ドロマイト(焼成・焼結の有無を問わない)ドロマイト、焼成ドロマイトドロマイトラミングミックスは3816へ (世界関税機関)
2519菱苦土石、溶融マグネシア、焼結マグネシア、酸化マグネシウム等マグネサイト、マグネシア“耐火原料”でも混合・調製は注意 (世界関税機関)
2520石膏・無水石膏、プラスター(焼石膏等)天然石膏、焼石膏(プラスター)石膏/プラスターで号分岐 (世界関税機関)
2521石灰石フラックス等(石灰/セメント製造に用いる種類)石灰石(製造用)建築石材(2515/2516)との峻別 (世界関税機関)
2522生石灰・消石灰・水硬性石灰(ただし2825の酸化/水酸化Ca除外)生石灰、消石灰2825除外の注意(化学品との境界) (世界関税機関)
2523各種セメント(ポルトランド、アルミナ等)/クリンカーセメントクリンカー、白色セメント“クリンカー”と“セメント”で分岐 (世界関税機関)
2524石綿(アスベスト)クリソタイル等規制・禁止が絡む(後述) (世界関税機関)
2525雲母(スプリッティング含む)/雲母くず雲母、雲母粉粉・くずで号分岐 (世界関税機関)
2526ステアタイト(滑石岩)、タルクタルク、滑石“粉砕の有無”で号分岐 (世界関税機関)
2527(欠番)現行HSでは見出しなしHS版違いの古い資料で出てきたら要注意 (世界関税機関)
2528天然ホウ酸塩等(焼成可)ホウ砂鉱、天然ホウ酸(85%以下)“天然か/分離品か”など確認 (世界関税機関)
2529長石、白榴石等、蛍石(フルオルスパー)長石、蛍石蛍石はCaF2含有率で号分岐(97%) (世界関税機関)
2530他に該当しない鉱物バーミキュライト(未膨張)、天然硫酸Mg等注4で例示あり(“未膨張”など) (世界関税機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 粉砕・粉末化の有無(例:2526.10/2526.20) (世界関税機関)
    • 焼成(calcined)・焼結(sintered)の有無(例:2518、2512 等で明示) (世界関税機関)
    • 用途・性質を示す文言(例:2517 “road metalling / ballast”等) (世界関税機関)
    • 成分割合の閾値(例:蛍石CaF2 97%) (世界関税機関)
    • 物性値の閾値(例:2512 見掛比重1以下、2515 見掛比重2.5以上) (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2505.10(珪砂・石英砂) vs 2505.90(その他の天然砂) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:砂の鉱物学的性状(シリカ/石英砂か、それ以外か)
      • 判断に必要な情報:鉱物成分(SiO₂比率、粒度)、用途(鋳物・ガラス原料等)、試験成績
      • 典型的な誤り:「鋳物砂」を用途だけで決めてしまい、実体がシリカ砂なのに“その他”へ入れる
    2. 2507.00(カオリン・カオリン質粘土) vs 2508.xx(その他の粘土等) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:粘土の鉱物種(カオリン系か、ベントナイト等か)
      • 判断に必要な情報:鉱物分析(XRD等)、製造工程(焼成の有無は両方で許容され得る点に注意) (世界関税機関)
      • 典型的な誤り:「白い粘土=カオリン」と決め打ち(実際は他粘土・混合の可能性)
    3. 2515/2516(建築石材ブロック等) vs 2517.41/2517.49(石材の粒・粉) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:**ブロック/スラブ(粗・単純切断)**なのか、粒・チップ・粉なのか
      • 判断に必要な情報:形状(ブロック・スラブ・粒)、加工(研磨・表面加工の有無)、用途(骨材等)
      • 典型的な誤り:大理石チップを「大理石(2515)」とだけ見て分類(実際は2517.41/49)
    4. 2517の“優先ルール”(類注3):2517に該当し得るなら他の項より2517へ (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:同じ“石”でも、道路用砕石・バラスト等の性格を持つか
      • 判断に必要な情報:用途(契約書・仕様)、粒度規格、写真、試験成績
      • 典型的な誤り:「素材は花崗岩だから2516」とし、砕石用途(2517)を見落とす
    5. 2518(ドロマイト) vs 3816(ドロマイトラミングミックス) (税関ポータル)
      • どこで分かれるか:ドロマイトそのもの(焼成/焼結含む)か、**耐火物の“ミックス(ラミングミックス)”**として調製されたものか
      • 判断に必要な情報:配合(混合の有無、結合材・添加物)、用途(耐火物施工用)、SDS/仕様書
      • 典型的な誤り:HS2017の感覚で2518.30相当として申告(HS2022では注2(e)で除外され3816へ) (世界関税機関)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第5部(鉱物性生産品:第25〜27類)は、部注が設定されていない扱いで運用される例があり、実務上は各類(Chapter)注の影響が大きいです。 (カナダ国境サービス機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「第25類に入るか」は**第25類の注(加工度・除外)**が実質の基準になります。
      例:同じ硫黄でも「昇華硫黄」は注2(a)で第28類へ、一般硫黄は2503へ。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (部注がない前提なので)“部注で飛ぶ”というより、各類注・見出しの除外で飛ぶのが典型です(第25類注2 → 第28類/第38類/第68類 等)。 (世界関税機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(加工度の上限):粗品、洗浄、粉砕、粉状化、ふるい分け、浮遊選鉱・磁選等の物理処理(結晶法除く)まで。焼成・混合・過度の加工は原則含まない。またアンチダスティング剤の添加は、用途特化にならない範囲で許容。 (世界関税機関)
    • 注2(除外):昇華硫黄(2802)、鉄分70%以上のアースカラー(2821)、ドロマイトラミングミックス(3816)、舗装石・モザイク等(6801〜6803)、筆記用チョーク(9609)等。 (世界関税機関)
    • 注3(2517優先):2517と他項の両方に該当し得る場合は、2517へ。 (世界関税機関)
    • 注4(2530の例示):未膨張のバーミキュライト等、アースカラー、琥珀、海泡石(加工の程度に制限あり)等が例示。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 明確な“定義語”より、加工度を縛る規定(注1)が実務上の“定義”として機能します。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 注2(a) 昇華硫黄等 → 2802
    • 注2(b) Fe₂O₃として70%以上のアースカラー → 2821
    • 注2(e) ドロマイトラミングミックス → 3816
    • 注2(f) 舗装用石・モザイク等・屋根用スレート → 6801〜6803
    • 注2(ij)/(k) ビリヤードチョーク → 9504、筆記用/テーラースチョーク → 9609 (世界関税機関)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:加工度(注1)で第25類に残る/外れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 工程(洗浄・粉砕・ふるい・選鉱・焼成・混合の有無)
      • 添加剤の有無と目的(アンチダスティングか、用途特化か)
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程フロー、SDS/MSDS、成分表、粒度分布、写真、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • “原料鉱物っぽい”という印象で第25類に入れるが、実際は焼成・混合で別章に該当(注1/注2の見落とし) (世界関税機関)
  • 影響ポイント2:除外(注2)の“飛び先”が明確に決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 該当品が注2(a)〜(k)のどれに当たるか(硫黄の形態、鉄分割合、用途/製品形態など)
    • 現場で集める証憑:
      • 分析表(Fe₂O₃%、CaF₂%等)、形態説明(昇華・沈降等)、用途資料
    • 誤分類の典型:
      • 天然チョーク(2509)と筆記用チョーク(9609)を混同する (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:2517優先(注3)で“素材”より“区分ルール”が勝つ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 道路用骨材/バラスト等の性格(用途・粒度)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途契約、規格書、粒度試験、荷姿写真
    • 誤分類の典型:
      • 花崗岩砕石を、素材(2516)で分類してしまう(注3の特則見落とし) (世界関税機関)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:“硫黄=2503”と決め打ちし、昇華硫黄等を含めてしまう
    • なぜ起きる:品名が同じ「硫黄」だから
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注2(a)で昇華硫黄等は第28類(2802)へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 硫黄の製法・形態(昇華/沈降/コロイド/通常)をSDSで確認
      • 取引品名に“sublimed / precipitated”が入っていないか確認
  2. 間違い:アースカラーを2530や2508で申告したが、Fe₂O₃として70%以上だった
    • なぜ起きる:顔料用途=土石類という思い込み
    • 正しい考え方:注2(b)で70%以上は2821へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 分析表でFe₂O₃換算を必ず取得(社内:品質保証/分析部門に依頼)
      • 仕様書に「iron oxide content」を記載させる
  3. 間違い:砂を2505にしたが、実は金属含有砂だった
    • なぜ起きる:「砂=2505」と思い込む
    • 正しい考え方:2505は「第26類の金属含有砂を除く」と明記 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 鉱物名(例:イルメナイト砂、ジルコン砂等)・金属含有の有無を確認
      • “metal-bearing sands / mineral sands”の表記がないかチェック
  4. 間違い:石材タイル・舗装石を2515/2516で申告
    • なぜ起きる:素材が大理石・花崗岩だから
    • 正しい考え方:注2(f)で舗装用石・モザイク等は第68類へ(6801〜6803等) (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 加工度(切断・研磨・面取り・規格形状)を写真と図面で確認
      • “tile / setts / curbstone / flagstone / mosaic”の文言をインボイスで拾う
  5. 間違い:砕石を素材の項(2515/2516)で分類し、2517(砕石等)を外す
    • なぜ起きる:素材名に引っ張られる
    • 正しい考え方:注3により、2517に該当し得る場合は2517へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 用途(道路/鉄道/コンクリ骨材)の確認、粒度規格の入手
      • 砕石かブロックか(荷姿写真)を必須資料にする
  6. 間違い:ドロマイトラミングミックスを2518のまま運用(過年度踏襲)
    • なぜ起きる:HS2017時代のコード・マスタが残る
    • 正しい考え方:HS2022で注2(e)により第25類から除外、3816へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • “ramming mix”の有無(配合品か)を仕様書で確認
      • HS改正時に「対象品目の再棚卸し」を実施(購買・生産・通関の合同)
  7. 間違い:天然チョーク(2509)と筆記用チョーク(9609)を混同
    • なぜ起きる:日本語でどちらも「チョーク」
    • 正しい考え方:注2(k)で筆記用/テーラー用は9609へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 形態(スティック状、包装、ブランド)と用途(筆記/図画)を確認
      • “chalk sticks / writing chalk”表記があれば要注意
  8. 間違い:蛍石(フルオルスパー)の号を分析なしで決める
    • なぜ起きる:外観で判断できない
    • 正しい考え方:2529.21/2529.22はCaF₂含有率97%で分岐 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • CaF₂%の試験成績書を必須化(購買条件に入れる)
      • サプライヤーが出せない場合は第三者分析

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れます)。
    • 例:同じ“耐火材料系”でも、HS2022でドロマイトラミングミックスが3816へ移ると、適用PSRそのものが変わり得ます。 (税関ポータル)
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品のHSは合っているが、非原産材料のHSがズレていてCTC判定が崩れる
    • “混合・調製”で章が変わるのに、原料の感覚で第25類のまま扱う

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • RCEPのPSR(付属書3A)は、原文としてはHS2012に基づく旨が明記されています。 (Australian Border Force Website)
  • 一方で、RCEPはHS2022へトランスポーズ(移し替え)したPSRが採択され、2023-01-01から各締約国で実施とされています(日本の公表資料でも同趣旨)。 (外務省)
  • CPTPPは、PSRや関税約束が(少なくとも当初は)HS2012ベースで確定している旨の説明があります。 (Australian Border Force Website)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定本文/運用文書でどのHS版を参照するかを確認
    • 会社のHSマスタ(HS2022)と協定PSR(HS2012等)の間は、税関・関係当局が出すトランスポーズ版/対応表を使って突合(独自変換は事故の元)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 原産性判断に必要になりやすい情報
    • 材料表(BOM)、原価(RVCの場合)、工程フロー、原産国
    • 非原産材料のHS(少なくとも6桁)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 原産地申告(自己申告を含む)では、最低限のデータ要件としてHSの分類(6桁)が含まれる旨のガイダンスがあります。 (税関ポータル)
  • 実務Tip(第25類らしい論点)
    • 「採掘しただけ」なのか、「焼成・混合」したのかで、WO(完全生産品)相当の整理になるか、CTC/RVCが要るかが変わりやすい

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更(移行)/削除2518.30 → 3816.00ドロマイトラミングミックスを第25類から第38類へ移行(第25類注2(e)で除外、3816に含める)旧マスタ踏襲で誤申告・PSR誤適用リスク。耐火物原料の扱い見直しが必要 (税関ポータル)
HS2017→HS2022文言修正/範囲明確化第25類 注2(e)第25類の除外に「ドロマイトラミングミックス(3816)」を追加第25類に残れないことが明確化。仕様書で“ramming mix”確認が必須 (税関ポータル)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、各国税関の解説等):
    • 日本税関公表の HS2022–HS2017 相関表で、3816.00に「dolomite ramming mix」が含まれ、HS2017の2518.30から移る扱いが示されています。 (税関ポータル)
    • 日本税関のHS2022解説資料で、「第25類のドロマイトラミングミックスを第38類へ移行」する趣旨(耐火セラミック分野の発展等)を説明しています。 (税関ポータル)
    • HS条文(HS2022 第25類注2(e))として、ドロマイトラミングミックスが第25類から除外されることが明記されています。 (世界関税機関)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • 相関表で「旧:2518.30 → 新:3816.00」の移転が示されていること、かつ HS2022の注2(e) で第25類から除外されることから、「第25類ではなく第38類(3816)で扱うのがHS2022の整理」と判断できます。 (税関ポータル)
  • 補足(相関表の位置づけ):
    • WCOの相関表は“実施を助けるガイド”であり法的地位はない旨も説明されています。最終判断は各国税関に依ります。 (世界関税機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れでの整理(主要なもの)
    • 本回答で一次資料として根拠を示せている範囲では、**第25類で明確に大きな動きとして確認できるのはHS2017→HS2022の「ドロマイトラミングミックス移行」**です。 (税関ポータル)
    • それ以前(HS2007→2012→2017)の第25類内の改正については、取引対象品目が多い場合、WCO/税関の相関表で個別確認する運用を推奨します(協定PSRのHS版差も絡むため)。
  • 参考としての“欠番”注意:
    • 第25類には [25.27] のように見出しが設定されていない番号が存在します(古い資料・社内コードで「2527」を見た場合はHS版と対応関係の点検が必要です)。 (世界関税機関)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“ramming mix”を原料ドロマイトとして申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注2(e)(ドロマイトラミングミックスは第25類除外) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:インボイスが “Dolomite” とだけ書き、混合・施工用の実態が伝わらない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、原産地判断や契約価格条件の見直し(一般論)
    • 予防策:仕様書に「ramming mix」「binder有無」「用途(耐火物施工)」を明記
  • 事例名:石材を“ブロック”扱いで申告したが実は舗装石
    • 誤りの内容:注2(f)(舗装用石等は第68類へ) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:“setts/curbstone/flagstone”を訳さず「石材」としてしまう
    • 典型的な影響:検査強化、分類補正(一般論)
    • 予防策:写真・寸法図、加工内容(面取り、規格形状)を事前提出
  • 事例名:天然チョーク原料と筆記用チョークの混同
    • 誤りの内容:注2(k)(筆記用/テーラー用は9609) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:品名が “chalk” のみ
    • 典型的な影響:税率差・統計誤り、補正(一般論)
    • 予防策:用途(筆記か原料か)、形状(スティック包装か粉体か)を明確化
  • 事例名:昇華硫黄を2503で申告
    • 誤りの内容:注2(a)に抵触(2802へ) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:化学品サプライヤーのSDS情報を通関へ共有していない
    • 典型的な影響:差し戻し、検査、補正(一般論)
    • 予防策:SDSと製法(sublimed等)の共有を必須に

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • **食用の塩(食品)**は、食品衛生法に基づき輸入届出が必要で、検疫所で審査・検査要否判断が行われます(届出済証が通関で必要になるケース)。 (厚生労働省)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 第25類そのものは“動植物”ではないため通常は中心論点になりません(ただし混載品・副材料は別途)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 第25類は一般に原料鉱物が多く、個別該非は品目・用途次第です(特定用途向けの調製品や関連装置等は別章の可能性)。
    • その他の許認可・届出
      • 石綿(アスベスト):労働安全衛生法の枠組みで、石綿や一定濃度超で含有する製品等の製造・輸入等が禁止とされる旨が示されています。 (厚生労働省)
      • 「石綿を含有するおそれのある製品」の輸入通関では、許可証や確認資料の取り扱い等、税関通知で通関実務が示されている例があります。 (税関ポータル)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品:厚生労働省(食品等輸入手続) (厚生労働省)
    • 石綿:厚生労働省(石綿関係情報・通関手続情報) (厚生労働省)
    • 税関実務:税関通知・税関相談(必要に応じて)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 食品:成分・製造工程資料、必要に応じ衛生証明・試験成績書、届出済証 (ジェトロ)
    • 石綿:SDS、非含有証明/試験、(例外輸入なら)許可証写し等 (税関ポータル)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 鉱物名(英名・学名)、用途、形状(粉/粒/ブロック)
    • 工程(洗浄・粉砕・焼成・混合・添加剤)
    • 分析表(Fe₂O₃%、CaF₂%、粒度、比重など)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第25類注1(加工度)、注2(除外)、注3(2517優先)
    • 第26類(鉱石)・第28類(化学品)・第68類(石材製品)への飛び先を再点検 (世界関税機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に “calcined / sintered / ramming mix / chalk / setts” 等の要注意語がないか
    • 代表写真、仕様書、SDSを添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品(食用塩等):食品衛生法の輸入届出 (厚生労働省)
    • 石綿:禁止・確認・通関手続(該当可能性があれば最優先で確認) (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Edition(HS2022の位置づけ、補完改正、相関表案内)[参照日:2026-02-18] (世界関税機関)
    • WCO HS2022 Chapter 25(条文:見出し・注・6桁構造)[参照日:2026-02-18] (世界関税機関)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 日本税関:第25類 類注(注1〜4、除外含む)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:HS2022改正資料(ドロマイトラミングミックスの移行説明)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:HS2022–HS2017 相関表(3816.00/2518.30 等)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:原産地(PSR)検索ポータル[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:原産地申告(自己申告)ガイド(最低限データ要件にHS6桁等)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
  • その他(規制・手続)
    • 厚生労働省:石綿含有製品等の製造・輸入等の禁止に関する情報(法令抜粋含む)[参照日:2026-02-18] (厚生労働省)
    • 日本税関:労働安全衛生法に係る有害物等の輸入通関手続(石綿関連の通関実務含む)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法の輸入届出)[参照日:2026-02-18] (厚生労働省)
    • JETRO:塩の輸入手続(日本)[参照日:2026-02-18] (ジェトロ)
    • (参考)第5部(鉱物性生産品)の部注がない扱いの例(カナダ税関:Section Notesの案内)[参照日:2026-02-18] (カナダ国境サービス機関)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第24類:たばこ及び製造たばこ代用品、非燃焼吸引用の物品(ニコチンを含有するかしないかを問わない。)並びにニコチンを含有するその他の物品(ニコチンを人体に摂取するためのものに限る。)Tobacco and manufactured tobacco substitutes; products, whether or not containing nicotine, intended for inhalation without combustion; other nicotine containing products intended for the intake of nicotine into the human body)

  • 対象:HS2022 第24類(Chapter 24)
  • 類名:たばこ及び製造たばこ代用品、非燃焼吸引用の物品(ニコチンを含有するかしないかを問わない。)並びにニコチンを含有するその他の物品(ニコチンを人体に摂取するためのものに限る。)
    (英語:Tobacco and manufactured tobacco substitutes; products, whether or not containing nicotine, intended for inhalation without combustion; other nicotine containing products intended for the intake of nicotine into the human body) (世界税関機関)
  • 対象国・実務前提:日本/両方(輸入・輸出)
  • 主な想定品目・用途(任意):葉たばこ(未製造たばこ)、くずたばこ、紙巻たばこ・葉巻、手巻き用刻みたばこ、パイプたばこ、水パイプ(シーシャ)用たばこ、かみたばこ・かぎたばこ、加熱式たばこ用スティック/カプセル、電子たばこ用リキッド(ニコチン有無)、ニコチンパウチ、ニコチンガム/パッチ等
  • 参照するFTA/EPA(任意):CPTPP、RCEP、日EU・EPA など(協定が参照するHS版は要確認)
  • 免責事項:このプロンプト末尾に固定文として既に貼付済み(変更しない)

冒頭で用語を統一します:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 葉たばこ(未製造)、骨(中骨)付き/除去済み、発酵・乾燥済みの葉(ただし「そのまま喫煙用」レベルは別途注意)→ 2401 (世界税関機関)
    • くずたばこ(製造工程で出る端切れ・茎・ダスト等) → 2401.30 (世界税関機関)
    • 紙巻たばこ・葉巻・シガリロ(燃焼して喫煙する一般的なもの)→ 2402 (世界税関機関)
    • 喫煙用たばこ(パイプ用/手巻き用刻み等)・かみたばこ・かぎたばこ・シートたばこ・たばこエキス → 2403 (世界税関機関)
    • 非燃焼吸引用(加熱式たばこ、ニコチン入り/なしの電子たばこ用リキッド等)ニコチン摂取用(経口/経皮等) → 2404 (世界税関機関)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 薬用の紙巻たばこ → 第30類(注1) (世界税関機関)
    • ニコチン(単離したアルカロイドとしての「物質」) → 29.39(第24類の解説で除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 殺虫剤(たばこエキス由来でも、製品として殺虫剤) → 38.08(除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 大麻等の喫煙用混合物(「製造たばこ代用品」に見えても除外)→ 12.11(除外例示) (税関ウェブサイト)
    • 電子たばこ機器のみ(加熱器・バッテリー等):多くは機械/電気機器として第84/85類側で検討(ただし、リキッド等と供給機構が一体の使い捨て電子たばこは24.04に含める整理が示されています) (税関ウェブサイト)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 燃焼(=火を付けて燃やす)か/非燃焼吸引(=燃やさずに吸う)か:非燃焼吸引の定義が注で明確化されています。 (世界税関機関)
    • 同じ形状でも24.04に該当するなら24.04優先(注2:第24.04項の優先規定) (世界税関機関)
    • (24.04内の分岐)たばこ/再生たばこを含むか、ニコチンを含むか、摂取方法は何か(経口/経皮等) (世界税関機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 加熱式たばこ(スティック等)を「紙巻たばこ(2402)」で申告してしまう:注2により24.04へ寄せるべきケースがあり、関税・国内税・規制手続の前提が崩れやすいです。 (世界税関機関)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し文言+注)**がほぼ全てです。第24類は、類注(注1〜3)と号注(水パイプたばこ定義)が「分岐ルール」そのものになっています。 (世界税関機関)
    • GIR6(号のレベルでの比較):24.04は号体系が新設され、**「ニコチン含有」「摂取方法(経口/経皮)」**で分かれます。 (世界税関機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 用途:燃焼して喫煙か、加熱や気化で吸引か、噛む/嗅ぐ/貼る等で摂取か
    • 成分:たばこ/再生たばこ有無、ニコチン有無(濃度・形態)、代用品(たばこ代用物/ニコチン代用物)の有無
    • 状態:葉・くず(原料)か、刻み/混合(喫煙可能)か、カートリッジ/リキッド等(機器用)か

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:物品が「たばこ(植物)そのもの」か?
    • 未製造たばこ(葉の状態、骨付き/除去済み等)・くずたばこ → 2401 (世界税関機関)
  • Step2:燃焼して喫煙する「紙巻/葉巻/シガリロ」か?
  • Step3:上記以外の「製造たばこ」や「たばこ代用品」か?(刻み、パイプ用、かみ/かぎ、シート、エキス等)
  • Step4:非燃焼吸引(加熱・気化等で燃やさず吸う)か、または「ニコチン摂取用」か?
  • Step5:「純粋なニコチン」「殺虫剤」「医薬品」等に当たらないか?
    • 純ニコチン → 29.39、殺虫剤 → 38.08、医薬品(薬用紙巻等)→ 30類などへ。 (税関ウェブサイト)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第24類(たばこ関連) vs 第29類(ニコチンという化学物質):単離したニコチンは第29類側。 (税関ウェブサイト)
    • 第24類 vs 第30類(医薬品):少なくとも「薬用の紙巻たばこ」は第30類に除外。 (世界税関機関)
    • 2402(燃焼喫煙) vs 2404(非燃焼吸引):注3の定義で判定し、注2で2404が優先。 (世界税関機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2401たばこ(未製造)/くずたばこ葉たばこ(乾燥葉・発酵葉)、中骨除去済み葉、製造くず(茎・端切れ・粉)「そのまま喫煙に供されるもの」は2403側に寄ることがあるため、加工度と用途確認。 (税関ウェブサイト)
2402葉巻・シェルート・シガリロ・紙巻(たばこ/代用品)一般的な紙巻、葉巻、シガリロ燃焼して喫煙する類型。非燃焼吸引用は24.04へ(注2)。 (税関ウェブサイト)
2403その他の製造たばこ・製造たばこ代用品/再生たばこ/たばこエキス等パイプ/手巻き用刻み、かみたばこ、かぎたばこ、シーシャ用(水パイプたばこ)、シートたばこ、たばこエキス水パイプたばこ(2403.11)は号注定義あり。たばこを含まない水パイプ用は2403.11から除外。 (世界税関機関)
2404非燃焼吸引用(たばこ/再生たばこ/ニコチン/代用品)+その他のニコチン摂取用加熱式たばこスティック、ニコチン入り電子たばこ用リキッド、ニコチンパッチ/ガム/パウチ、使い捨て電子たばこ注2:24.04と他項に同時該当なら24.04。号は「たばこ含有」「ニコチン含有」「経口/経皮」等で分岐。 (世界税関機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 2401(未製造・くず):骨付き/骨除去/くずたばこ(製造くず) (世界税関機関)
    • 2403(水パイプ):水パイプで喫煙する用途+「たばこ+グリセリン混合物」という定義 (世界税関機関)
    • 2404(非燃焼吸引・ニコチン摂取)
      • 非燃焼吸引で たばこ/再生たばこを含有 → 2404.11
      • 非燃焼吸引で ニコチン含有(たばこ以外) → 2404.12
      • 非燃焼吸引の その他(ニコチンなし等) → 2404.19
      • その他(吸引以外でニコチン摂取)で 経口/経皮/その他 → 2404.91 / 2404.92 / 2404.99 (世界税関機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2402(紙巻たばこ) vs 2404(加熱式/非燃焼吸引)
      • どこで分かれるか:燃焼して喫煙か/燃焼を伴わない吸引か(注3)+同時該当なら2404優先(注2)
      • 判断に必要な情報:使用方法(火を付けるか、加熱器を使うか)、製品仕様(「heated」「heat-not-burn」「for heating device」等)、取説・カタログ
      • 典型的な誤り:形状が紙巻に似ているだけで2402に寄せる (世界税関機関)
    2. 2403.11(水パイプたばこ) vs 2403.19(その他の喫煙用たばこ)
      • どこで分かれるか:水パイプ用途+「たばこ+グリセリン混合物」定義を満たすか
      • 判断に必要な情報:成分表(グリセリン有無)、用途表示(shisha/hookah等)
      • 典型的な誤り:水パイプ用=自動的に2403.11、と決め打ち(たばこ不含有品は2403.11除外) (世界税関機関)
    3. 2404.12(その他・ニコチン含有) vs 2404.19(その他)
      • どこで分かれるか:ニコチンの含有有無
      • 判断に必要な情報:成分表、MSDS、規格書(mg/mL等)
      • 典型的な誤り:ニコチン濃度が低い/「ノンニコチン」表示だけで判断(実測/仕様の裏取りが必要) (世界税関機関)
    4. 2403(たばこを含む噛み・嗅ぎ等) vs 2404.91/92/99(ニコチン摂取用)
      • どこで分かれるか:たばこ/再生たばこの含有有無+摂取方法(経口/経皮/その他)
      • 判断に必要な情報:原材料(たばこ葉粉末か、抽出ニコチンか)、用途(NRT/娯楽)
      • 典型的な誤り:「ニコチンパウチ」=必ず2404、または必ず2403、と固定してしまう(中身次第) (税関ウェブサイト)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第24類は、実務上は部注よりも「類注(注1〜3)」と「号注(水パイプ)」が決定打になりやすい類です。 (世界税関機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば「紙巻に見える」製品でも、燃焼しない加熱式であれば類注(注2・注3)を優先して24.04を検討します。 (世界税関機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 実務では「他章に飛ぶ」の多くは**類注・解説で明示される除外(29.39、30類、38.08等)**で起きます。 (税関ウェブサイト)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:薬用の紙巻たばこは第30類へ。 (世界税関機関)
    • 注2:24.04に該当し得るなら、同じ第24類内の他項よりも24.04を優先。 (世界税関機関)
    • 注3:24.04の「非燃焼吸引」は、加熱供給その他の方法による吸引で、燃焼を伴わないもの。 (世界税関機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「非燃焼吸引」:燃焼を伴わない吸引(heated delivery 等を含む) (世界税関機関)
    • 「水パイプたばこ(2403.11)」:水パイプで喫煙するためで、たばこ+グリセリン混合物(香料・糖蜜等の有無は問わない)。ただし「たばこ不含有」の水パイプ用は2403.11から除外。 (世界税関機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:注2(24.04優先)で「見た目分類」が崩れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 非燃焼吸引(注3)に該当する使用態様か
      • 同じ第24類の2402/2403と併記されるような外観でも、用途が加熱・気化か
    • 現場で集める証憑:
      • 取扱説明書、製品仕様書(加熱式・気化式の説明)、製品写真(加熱器の有無)、メーカーWebカタログ
    • 誤分類の典型:
      • 加熱式スティックを「紙巻たばこ(2402)」として申告 (世界税関機関)
  • 影響ポイント2:注3の「非燃焼吸引」定義が、2404と2402/2403の境界を作る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 燃焼を伴うか(点火・燃焼の有無)、加熱供給でエアロゾルを吸う設計か
    • 現場で集める証憑:
      • 火を使う/使わない説明、加熱温度、消耗品(スティック/カートリッジ)の仕様
    • 誤分類の典型:
      • 「煙が出る=燃焼」と思い込み、非燃焼吸引の24.04を見落とす (世界税関機関)
  • 影響ポイント3:号注(水パイプたばこ定義)で2403.11が狭くなる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • たばこ+グリセリン混合物か、用途が水パイプ喫煙か
      • たばこ不含有なら2403.11除外(別号検討)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、原材料由来、用途表示(shisha/hookah)
    • 誤分類の典型:
      • たばこ不含有の水パイプ用「ハーブ製品」を2403.11としてしまう (世界税関機関)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:加熱式たばこスティックを2402(紙巻たばこ)で申告
    • なぜ起きる:形状・包装が紙巻に似ている/品名に「cigarette」が入る
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):非燃焼吸引なら24.04、かつ注2で24.04優先 (世界税関機関)
    • 予防策:取説・仕様書で「加熱」「燃焼しない」記載を回収し、税関相談用に保存
  2. 間違い:電子たばこ用ニコチン溶液を「化学調製品(3824等)」で固定
    • なぜ起きる:成分(PG/VG/香料)を化学品として見てしまう
    • 正しい考え方:24.04の例示として電子たばこ用のニコチン含有溶液が挙げられています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:ニコチン有無・用途(vaping用)を仕様書で明確化
  3. 間違い:使い捨て電子たばこ本体を「電気機器(第85類等)」と決め打ち
    • なぜ起きる:バッテリー・加熱機構があるため機器扱いに引っ張られる
    • 正しい考え方:リキッド等と供給機構が一体で使い捨て設計のものは、24.04に含める整理が示されています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:充填/再充電可否、リキッド同梱一体かを製品仕様で確認
  4. 間違い:たばこ加工くず(茎・ダスト等)を2403(喫煙用)へ
    • なぜ起きる:「たばこだから製造たばこ」と思い込み
    • 正しい考え方:くずたばこは2401.30。用途(原料)と状態(くず)で判断 (世界税関機関)
    • 予防策:写真、工程図(発生工程)、粒度・形状データを添付
  5. 間違い:水パイプ関連製品をすべて2403.11に
    • なぜ起きる:「シーシャ=2403.11」という短絡
    • 正しい考え方:2403.11は「たばこ+グリセリン混合物」等の定義、かつたばこ不含有品は除外 (世界税関機関)
    • 予防策:原材料(たばこ含有の有無)を証明できる成分表を必須化
  6. 間違い:ニコチン(単離品)を2403/2404へ
    • なぜ起きる:「たばこ由来=第24類」と誤解
    • 正しい考え方:ニコチン(アルカロイド)は29.39へ(除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 予防策:CAS/純度・化学名・MSDSで「単離物質」か「摂取用製品」かを区別
  7. 間違い:ニコチン含有電子たばこ関連製品の規制区分を見落とす
    • なぜ起きる:HS分類と国内規制(医薬品等)を切り離して考えない
    • 正しい考え方:厚労省は(少なくとも2010年時点で)ニコチンが医薬品成分であり、ニコチン含有の場合は承認が必要と説明しています (厚生労働省)
    • 予防策:分類と並行して、成分(ニコチン)・販売形態(業として)・用途を法令担当に回付
  8. 間違い:手巻きたばこセット(たばこ+巻紙)を「紙巻(2402)」扱い
    • なぜ起きる:最終的に紙巻形状になるため
    • 正しい考え方:日本税関の分類例では、刻みたばこをパウチ包装し巻紙同封のセットを2403.19(その他)と整理しています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:セット内容(巻紙同封の有無)と刻み幅等を仕様・写真で固定

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    • 24.04の新設により、同じ「たばこ関連」でもHS2017時代の2403に寄っていた品がHS2022では2404側になるケースがあります。PSRの章・項の範囲がズレると、原産性判定(CTH/CTSH/RVC等)の前提が崩れます。 (世界税関機関)
  • よくある落とし穴:
    • 材料側HS(香料、PG/VG、ニコチン等)と最終製品HS(2404等)の混同
    • 製品が「非燃焼吸引」か否か(2402/2403/2404境界)を曖昧なままPSRに当てはめる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 実務ポイント:
    • 協定や税率表が参照するHS版がHS2022と一致しない場合、PSRや譲許表上のコードは旧版ベースで書かれていることがあります。
    • このときは、(旧→新)の対応付け(トランスポジション)を行い、協定上の条文・運用に沿って整理します。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず最終製品をHS2022で確定
    • 次に相関表(WCO等)でHS2017側の対応コードを確認
    • 協定で要求されるPSR判定は、協定が参照するHS版に合わせて読替え

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • ニコチン含有の有無、用途(vaping用/NRT等)は、分類だけでなく規制確認にも再利用できるため、仕様書・MSDSの保管が重要です。 (税関ウェブサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022新設(+既存からの移行)2404「非燃焼吸引」製品、その他のニコチン摂取用製品を独立見出し化。章注に2404優先非燃焼吸引の定義を追加。 (世界税関機関)加熱式/電子たばこ・ニコチン製品の分類が2403等から2404へ移り、通関・原産地の前提コードが変わりやすい。
HS2017→HS2022分割/範囲変更(移行元の縮小)2403.99 → 2404.11/12/19 等WCO相関表では、HS2017の2403.99からHS2022の2404系列へ対応付けが示される。 (世界税関機関)旧HSで「その他の製造たばこ等」に入っていた非燃焼吸引製品が、HS2022では2404側に整理される。
HS2017→HS2022新設(移行)2404.91 / 2404.92 / 2404.99WCO相関表では、経口・経皮等のニコチン摂取用が、旧版の2106.90/3824.99/2939.69等から2404へ対応付け。 (世界税関機関)「食品調製品」「化学調製品」「化学物質」側に散っていたニコチン製品の整理が変わる可能性(規制とHSは別だが、社内台帳は見直し要)。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)
    • WCO HS2022 第24類の条文(章名、注1〜3、見出し2401〜2404) (世界税関機関)
    • WCO Correlation Tables(HS2017→HS2022)での2403→2404、2106/3824/2939→2404等の対応 (世界税関機関)
    • 日本税関「関税率表解説 第24類」(24r.pdf:24.04の号体系、除外・具体例) (税関ウェブサイト)
    • 日本税関 通達別紙(HS2022改正の新旧対照・24.04の例示:ニコチン溶液、加熱式たばこ、使い捨て電子たばこ、NRT等) (税関ウェブサイト)
    • 日本税関(HS2017/HS2012等)第24類注の公表資料(注が注1中心で、HS2022の注2・注3が存在しないことの確認) (税関ウェブサイト)
  • “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”
    • WCO条文(HS2022)では、Chapter 24にheading 24.04が存在し、注2(24.04優先)・注3(非燃焼吸引の定義)が明記されています。 (世界税関機関)
    • 一方、日本税関が公表するHS2017/HS2012の第24類注では、注1と水パイプたばこの号注のみで、HS2022で追加された注2・注3は見当たりません。 (税関ウェブサイト)
    • さらにWCO相関表で、HS2017側の2403.99等からHS2022側の2404.11/12/19等へ対応づけが示されているため、「24.04の新設が単なる文言変更ではなく、実際に分類上の受け皿を移した」改正だと整理できます。 (世界税関機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(確認できた範囲)を表で整理します。

版の流れ主なポイント(第24類)旧コード→新コード(代表)根拠(確認できた資料)
HS2006/HS2007第24類注は注1(薬用紙巻の除外)中心(当該資料範囲では24.04の記載なし)日本税関公表の当該年版資料 (税関ウェブサイト)
HS2012/HS2017水パイプたばこ(2403.11)の号注が掲載され、なお注は注1中心(当該資料範囲では24.04の記載なし)日本税関公表の当該年版資料 (税関ウェブサイト)
HS2017→HS202224.04新設注2(24.04優先)注3(非燃焼吸引定義)例:2403.99 → 2404.11/12/19 等WCO条文+相関表、日本税関新旧対照 (世界税関機関)

※HS2007→HS2012→HS2017の「見出し・号の全体差分」については、本回答で参照できた一次資料が「注(Notes)」中心のため、第24類全コード表の網羅的な増減までは断定していません。ただし、少なくとも「24.04と注2・注3」はHS2022で明確に追加されています。 (世界税関機関)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名:加熱式スティックを「紙巻(2402)」で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):非燃焼吸引なのに24.04を見落とし(注2・注3の趣旨) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:品名がcigarette/外観が紙巻に近い
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延(一般論)
    • 予防策:取説・カタログで「燃焼しない」「加熱式」を明確化し、事前教示も検討
  • 事例名:ニコチン入りリキッドを化学調製品で処理
    • 誤りの内容:24.04で例示される「電子たばこ用ニコチン溶液」を見落とし (税関ウェブサイト)
    • 起きやすい状況:香料・溶剤中心の配合で、化学品担当が分類
    • 典型的な影響:コード差による税率・規制照会のやり直し
    • 予防策:成分表(ニコチン有無)と用途(vaping用)を必須添付
  • 事例名:水パイプ用(たばこ不含有)を2403.11に
    • 誤りの内容:2403.11の号注で「たばこ不含有品は除外」 (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:「shisha」名称だけで分類
    • 典型的な影響:差替え・検査(一般論)
    • 予防策:たばこ含有の有無をMSDS/原材料で証明
  • 事例名:手巻きたばこセットを2402へ
    • 誤りの内容:税関分類例の整理に反する(巻紙同封でも2403.19扱い) (税関ウェブサイト)
    • 起きやすい状況:「最終的に紙巻になる」発想
    • 典型的な影響:申告訂正(一般論)
    • 予防策:セット内容・刻み幅・用途表示を資料化

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • その他の許認可・届出(たばこ事業関係):
      • 自ら輸入した製造たばこを「販売を業として」行う場合、たばこ事業法に基づく特定販売業の登録が必要とされています(財務省・税関が窓口)。 (財務省)
      • 製造たばこの小売販売を業として行う場合は、たばこ事業法に基づく小売販売業の許可が必要とされています。 (財務省)
      • 実務上は、登録/許可だけでなく、製品によっては財務省側で「認可されるたばこか」等の事前確認が推奨されています(税関資料で注意喚起)。 (税関ウェブサイト)
    • その他(医薬品・成分規制の観点):
      • 厚労省は過去の報道発表で、ニコチンは医薬品成分であり、ニコチンを含む電子たばこは(当時)承認が必要で、当時国内で承認された製品はない、と説明しています(制度・運用は改正され得るため最新確認が必要)。 (厚生労働省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 財務省(たばこ事業:特定販売業登録、小売許可) (財務省)
    • 税関(特定販売業登録の手続案内等) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省(ニコチン含有製品の医薬品該当性等の注意喚起・通知) (厚生労働省)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表(ニコチン有無・濃度)、MSDS、カタログ、使用方法(燃焼/非燃焼)、構造図(使い捨て一体型か等)
    • たばこ事業関係:販売形態(業として/小売)を整理した社内メモ、登録/許可の要否判定メモ

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • たばこ/再生たばこ含有の有無
    • ニコチン含有の有無(濃度)
    • 使用態様:燃焼/非燃焼吸引/経口/経皮/その他
    • 形状:葉・くず・刻み・シート・カートリッジ・リキッド・使い捨て一体型 など (世界税関機関)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注2(24.04優先)・注3(非燃焼吸引定義)に照らして矛盾がないか (世界税関機関)
    • ニコチン単離品(29.39)、殺虫剤(38.08)、薬用紙巻(30類)等の除外に当たらないか (税関ウェブサイト)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスには「heated」「without combustion」「nicotine-containing」「for vaping」「for oral application」等、分岐に効く情報を入れる
    • 仕様書・成分表・写真を申告補足資料として準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • HS2022の2404にした場合、協定が旧HS参照なら相関表で旧コードにマッピングしてPSRを読む (世界税関機関)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 販売を業として行うなら、特定販売業登録・小売許可の要否を確認 (財務省)
    • ニコチン含有品は医薬品該当性等の観点で最新の行政情報を確認 (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO「HS Nomenclature 2022 – Chapter 24」 (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
    • WCO「HS 2017–HS 2022 Correlation Tables」 (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
  • 日本 税関・公的機関のガイド
  • 財務省(たばこ事業)
    • 財務省「製造たばこ特定販売業の登録の申請」 (財務省)(参照日:2026-02-17)
    • 財務省「製造たばこの小売販売業の許可」 (財務省)(参照日:2026-02-17)
    • 東京税関「製造たばこに関する特定販売業の登録手続きについて(PDF)」 (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • 厚生労働省(注意喚起)
    • 厚労省 報道発表(2010-08-18)「ニコチンを含む電子タバコへの注意…」 (厚生労働省)(参照日:2026-02-17)
  • 旧版(改正前の確認用)
    • 日本税関(HS2017/HS2012/HS2007/HS2006)第24類注(輸出用データ) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第23類:食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼料(Residues and waste from the food industries; prepared animal fodder)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 魚粉・肉かす等(食用に適しないもの)(例:魚粉、ミートミール)→ 23.01
    • ふすま等の製粉残渣(例:小麦ふすま、とうもろこしふすま)→ 23.02
    • ビートパルプ・バガス・醸造かす(例:砂糖製造残渣、ビール粕、蒸留粕、清酒かす)→ 23.03 (税関ウェブサイト)
    • 大豆油かす等の油脂抽出残渣(油かす)(例:大豆かす、なたね油かす)→ 23.04〜23.06
    • 犬猫用ペットフード(小売用) → 23.09(2309.10) (税関ウェブサイト)
    • 配合飼料・発酵飼料などの“飼料用調製品” → 23.09(2309.90) (税関ウェブサイト)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • (人の)食用としての調製食品・食品原料(例:食品としてのたん白加工品など)→ 多くは第16〜22類・第21類など(個別判断)
    • 油さい(油脂精製で生じる残渣) → 15.22(油さい)
    • 大豆由来でも“たん白濃縮物”等(加工度が高いもの) → 21.06へ行きやすい(2304からの除外として言及あり)
    • 糖みつ(モラセス)そのもの → 17類(例:17.03)へ行きやすい(23.03の“砂糖製造のくず”とは別物として注意)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 単体の“残渣・副産物”か/混合・栄養添加・発酵などで“飼料用に調製”されたものか
      • 前者は 23.01〜23.08、後者は 23.09 へ寄りやすい(特に23.08と23.09が境界)。(税関ウェブサイト)
    2. 犬猫用で“小売用にしたもの”か
    3. 油脂抽出残渣(油かす)か/油さい(15.22)や高加工たん白(21.06)か
      • 同じ“大豆由来”でも分岐します。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 飼料(23類)と食品(16〜22類など)の取り違え:規制(飼料安全・検疫)や表示、原産地規則(PSR)の適用がズレ、通関遅延・追加対応が起きやすいです。(農林水産省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:項(見出し)の文言+部注/類注で決めるのが基本です。第23類は「○○由来の残渣」「食用に適しない」「飼料用の調製品」など、文言に要件が多いため、品名だけで飛びつくと事故りやすいです。(税関ウェブサイト)
    • GIR3(b):配合飼料やプレミックス等、複数材料の混合品で競合する場合に、「全体としての重要な特性(多くは“飼料用に調製された”という性格)」で整理します(ただし23.09の要件を満たすかを先に確認)。(税関ウェブサイト)
    • GIR6:2309.10(犬猫・小売)と2309.90(その他)など、6桁での分岐に必須です。(税関ウェブサイト)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 由来(どの産業工程の残渣か):製粉、でん粉製造、砂糖製造、醸造/蒸留、油脂抽出…
    • 用途・販売形態:飼料向け表示、対象動物(犬猫か家畜か)、小売包装かバルクか
    • 加工度:単なる搾りかす/ふすまか、発酵・栄養添加・成形までしているか
    • 食用適否(23.01は明確に要件)
    • 形状(ペレット等):第IV部の部注で「ペレット」の定義があります(後述)。(税関ウェブサイト)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:用途・表示
    • 飼料(動物給餌)目的ですか?(ラベル、SDS/仕様書、販売先で確認)
  • Step2:単体の残渣・副産物か
    • はい → Step3へ
    • いいえ(混合・栄養添加・発酵・成形などで“飼料用に調製”)→ 原則 23.09 を検討 (税関ウェブサイト)
  • Step3:どの工程由来か(代表)
    • 食用に適しない肉/魚粉等 → 23.01
    • 製粉のふすま等 → 23.02
    • でん粉/砂糖/醸造蒸留のかす → 23.03
    • 油脂抽出の油かす → 23.04〜23.06
    • ワイン澱・酒石 → 23.07
    • 上記に当てはまらないが飼料に使う植物性残渣等 → 23.08
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 23.08(植物性残渣等) vs 23.09(飼料用調製品):加工度・混合の有無・“調製”の実態で分かれます。
    • 23.04(大豆油かす等) vs 21.06(たん白加工品):同じ大豆由来でも「油脂抽出残渣」か「たん白濃縮・分離等の高度加工」かで分岐。
    • 23.03(バガス等) vs 23.09(発酵・調製飼料):発酵・糖みつ添加の目的等で分岐(事例あり)。(税関ウェブサイト)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第23類の4桁は少ないため全列挙します(文言はWCO HS2022に基づく要約)。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2301食用に適しない肉・魚等の粉/ミール/ペレット、グリーブス魚粉、ミートミール、グリーブス**“食用に適しない”**が要件。食用グレードなら別類へ行き得ます。
2302穀物・豆類のふるい分け/製粉等の残渣(ペレット含む)小麦ふすま、とうもろこしふすま由来が製粉・ふるい分け等であること。穀物種別で6桁分岐。
2303でん粉製造残渣等、ビートパルプ/バガス等、醸造/蒸留かす(ペレット含む)コーングルテンフィード等、ビートパルプ、バガス、ビール粕、蒸留粕、清酒かす工程由来で6桁分岐。清酒かす等は国内運用で成分・性状確認が重要。(税関ウェブサイト)
2304大豆油の抽出後の油かす等(ペレット含む)大豆かす(大豆ミール)日本の解説では繊維状でない脱脂大豆粉を含む旨の説明あり。一方で**油さい(15.22)たん白濃縮物(21.06)**等は除外として注意。
2305落花生油の抽出後の油かす等落花生かす23.04/23.05は“特定油種の抽出残渣”として独立。
2306その他の植物性又は微生物性油脂の抽出後の油かす等(ペレット含む)なたね油かす、ひまわり油かす、綿実油かす、コプラミール等HS2022で見出しが**microbial(微生物性)**を含む形に整理(後述)。2306.41は“低エルカ酸”の定義に注意。
2307ワイン澱、酒石ワイン澱(lees)、酒石(argol)ぶどう搾りかす等は23.08側に行く場合もあり得るので要確認。
2308飼料用の植物材料・植物くず・残渣・副産物(他に特掲なし)柑橘パルプ、ぶどう粕、草粉等“残渣・副産物”としての性格が強いもの。23.09との境界が頻出。
2309飼料用の調製品犬猫用ペットフード、配合飼料、プレミックス類注により「加工で原材料の本質を失った飼料」等を含み得る。2309.10は犬猫用小売。(税関ウェブサイト)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 由来工程(製粉/でん粉/砂糖/醸造蒸留/油脂抽出)→ 2302/2303/2304-2306の分岐
    • 対象動物・小売形態(犬猫・小売包装)→ 2309.10/2309.90
    • 規格・定義が参照されるケース
      • 「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)→ 部注(第IV部)(税関ウェブサイト)
      • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」→ 第12類の号注定義を参照
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2309.10(犬猫・小売) vs 2309.90(その他)
      • どこで分かれるか:犬または猫用で、小売用にしたものか。
      • 判断に必要な情報:対象動物の表示、JAN/小売パッケージ写真、1包装重量、販売形態(EC小売・業務用)、容器形態。
      • 典型的な誤り:缶詰のキャットフードを「食品っぽい」ので16類等に寄せてしまう。実務上は2309.10に分類された事例があります。(税関ウェブサイト)
    2. 2303.20(バガス等) vs 2309.90(発酵・調製飼料)
      • どこで分かれるか:単なる砂糖製造残渣(バガス)か、**飼料に供するため積極的に加工(発酵等)**した“飼料用調製品”か。
      • 判断に必要な情報:工程(アンモニア処理、糖みつ混合、乳酸菌発酵等)、添加目的(結合剤か発酵促進か)、形状(キューブ等)。
      • 典型的な誤り:「原料はバガスだから2303.20」と短絡。発酵・加工の実態で2309.90になった事例があります。(税関ウェブサイト)
    3. 2304(大豆油かす) vs 2306(その他油かす)
      • どこで分かれるか:油種が大豆か、落花生以外の他油種/微生物油か。
      • 判断に必要な情報:抽出対象油脂(大豆油/なたね油/ひまわり油/微生物油など)、製造工程、原料証明。
      • 典型的な誤り:油種が混在、または“植物由来だから2306”と雑に振る。
    4. 2306.41(低エルカ酸なたね/からし菜) vs 2306.49(その他)
      • どこで分かれるか:原料種子が「低エルカ酸」の定義に当たるか(第12類の定義参照)。
      • 判断に必要な情報:品種情報、分析(エルカ酸)、サプライヤー仕様書。
      • 典型的な誤り:なたね由来を全部2306.41にしてしまう。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第IV部(第16類〜第24類)の部注で、「ペレット」の定義が置かれています。要旨としては「直接圧縮、または全重量の3%以下の結合剤で固めたもの」を指します。(税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第23類の多くの項は「ペレット状であるかないかを問わない」と書かれており、HS6桁の所属自体は“ペレットか否か”で変わらないことが多いです。
    • ただし日本の国内コード(統計品目番号)では、ペレット/キューブ等の形状や包装で細分・税率・適用区分が変わることがあるため、部注の定義が効いてきます(付録A参照)。(税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第23類では「ペレット」定義が主で、他章へ飛ばすタイプの部注は相対的に少ないです(ただし、食品側(16〜22類)との境界はGIRと各類注の影響が大きい)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:23.09項の範囲
      • 23.09には、他に特掲されない飼料用物品で、植物/動物材料を加工して原材料の本質的特性を失う程度になったもの等を含み得ます(ただし、同様の加工から生じる植物くず・残渣・副産物は除く、という構造)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ペレット」:第IV部部注の定義(結合剤3%以下等)を参照。(税関ウェブサイト)
    • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」:第12類の号注定義を参照(第23類の号注が参照を指示)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 日本の解説では、23.04(大豆油かす)に関連して、**油さい(15.22)**や、**脱脂大豆粉から得たたん白濃縮物等(21.06)**が除外として触れられています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:23.08(残渣)と23.09(調製飼料)の境界
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ①混合の有無(単体か、配合か)
      • ②加工の程度(発酵・栄養添加・安定化・成形など)
      • ③“飼料用に調製”された意図(工程設計・添加目的)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(原材料比率100%合計)、製造工程フロー、添加物リスト、栄養成分保証、用途表示ラベル、写真(形状/包装)。
    • 誤分類の典型:
      • “原料がバガスだから”と2303.20に固定 → 発酵工程・糖みつ添加目的等から2309.90になった事例がある(発酵バガス)。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント2:23.09内の犬猫用(2309.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 犬猫用であること(表示・販売資料)、小売用(個装)であること、給与方法(そのまま与える形)。
    • 現場で集める証憑:
      • 外装/ラベル画像、SKU情報、販売チャネル、容器仕様。
    • 誤分類の典型:
      • 缶入りキャットフードを「食品缶詰」の感覚で別章へ → 2309.10として整理された事例がある。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント3:油かす(23.04〜23.06)と“油さい(15.22)/たん白加工品(21.06)”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • どの工程で出たものか(油脂抽出後の固形残渣か、精製工程の沈殿/スカムか、たん白濃縮/分離工程品か)。
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程、SDS、工程内での位置づけ、粗脂肪/粗たん白/繊維の分析。
    • 誤分類の典型:
      • “大豆由来”だけで2304固定 → 除外に当たり得る(15.22や21.06)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:配合飼料(混合・ペレット)を、原料のどれか(例:ふすま=2302、油かす=2304)で申告してしまう
    • なぜ起きる:インボイス品名が「corn/wheat/soy meal mix」等で、原料名が前面に出る。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):混合・調製され「飼料用に供する種類の調製品」として23.09に整理されることがある(配合飼料の分類事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:原料割合、製造工程(混合/成形)、用途表示、成分保証。
      • 社内質問例:「これは単一副産物?それとも意図して配合・調製している?」「対象動物と給与方法は?」
  2. 間違い:バガス(2303.20)と“発酵バガス飼料”(2309.90)を同一視
    • なぜ起きる:原料が同じ「バガス」なので、工程差を見落とす。
    • 正しい考え方:発酵・添加・成形等で飼料用に積極加工された場合、23.09側に寄る(発酵バガスの事例)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:発酵条件、糖みつ等の添加目的(結合剤か栄養源か)、形状(キューブ等)。
      • 社内質問例:「添加は“固めるため”だけ?それとも発酵促進・栄養調整?」
  3. 間違い:犬猫用ペットフードを“食品っぽい”ので16類/21類にしてしまう
    • なぜ起きる:缶詰・レトルト等、人の食品に近い見た目。
    • 正しい考え方:犬猫用で小売用なら2309.10(事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:犬猫用表示、包装形態(小売)、給与方法。
      • 社内質問例:「これは“人が食べる用途”は一切ない?」「小売用(消費者向け個装)?」
  4. 間違い:大豆由来の高たん白製品を全部2304(大豆油かす)に入れる
    • なぜ起きる:「脱脂大豆」「大豆ミール」周辺の用語が紛らわしい。
    • 正しい考え方:日本の解説で、23.04に含まれる範囲と、**21.06等へ除外され得る“たん白濃縮物等”**の注意が示されています。
    • 予防策:
      • 確認資料:繊維状か否か、たん白濃縮/分離の工程有無、最終用途(食品原料か飼料原料か)。
      • 社内質問例:「油の抽出残渣?それともたん白を“製品化”する工程が入っている?」
  5. 間違い:“油かす”と“油さい(15.22)”を混同
    • なぜ起きる:どちらも油脂関連の残渣で見た目が似る。
    • 正しい考え方:油脂抽出後の固形残渣は23.04〜23.06側、精製工程の油さい等は15.22側が典型(解説で言及)。
    • 予防策:
      • 確認資料:工程図(抽出後か精製後か)、脂肪分、含水率。
  6. 間違い:「ペレット」表示だけで“ペレット状”と決めつける
    • なぜ起きる:商流用語の“pellet”と関税率表上の定義がズレる可能性。
    • 正しい考え方:部注で「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:成形方法、結合剤の種類と添加率、粒径/形状。
  7. 間違い:清酒かす等(醸造かす)の性状確認不足
    • なぜ起きる:インボイスに「sake lees」等としか書かれず、アルコール残存や状態が不明。
    • 正しい考え方:日本の詳細解説では清酒かすの定義(例:純アルコール量の目安)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:アルコール分分析、製法、乾燥の有無。
  8. 間違い:23.08(植物性残渣)と23.09(飼料用調製品)の境界で、“用途だけ”で決める
    • なぜ起きる:どちらも飼料用途で、品名が似る。
    • 正しい考え方:23.09の類注が示す「加工により本質的特性を失う程度」など、加工度がポイント。
    • 予防策:
      • 確認資料:顕微鏡的な組織残存の有無(必要なら)、製造工程、混合/添加の有無。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HSを誤ると、適用すべきPSR(CTH/CTSH/RVC等)自体が変わり、原産性判断が崩れます。
  • 第23類は「残渣・飼料用調製品」で材料が多岐にわたるため、BOM上の材料HSが散りやすく、CTH/CTSHの判定がブレやすいです(特に2309の配合飼料)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定は、**交渉・締結時点のHS版(例:HS2012、HS2017等)**でPSRや譲許表が作られていることがあります。
  • 例(一次資料/公的資料から確認できるもの):
    • 日EU EPA:PSR(Annex 3-B)で「Harmonized System classification (2017)」として整理されています。(外務省)
    • 日豪EPA:JETROの実務マニュアルで、関税率・品目別規則等が2012年版HSコードで規定されている旨が説明されています。(JETRO)
    • RCEP:運用上、PSRがHS2012で参照できることや、時期によりHS2022への移行が関係する旨のガイダンス例があります(国・時期で取扱いが変わり得るので要確認)。(Australian Border Force Website)
  • 実務対応(一般論):
    • ① まず協定のPSRが参照するHS版を確認
    • ② 申告で使うHS(現行の実行関税率表/輸出統計品目表)との間で**トランスポジション(旧→新対応)**を整理
    • ③ 税関のPSR検索等で、変換リンクや対応表を使って確認(日本税関のPSR検索画面では、HS版の相互変換への案内があります)。(税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(最低限):
    • 材料表(BOM)・材料原産国・材料HS(可能なら6桁)
    • 配合比率、工程(混合・発酵・加熱・乾燥・成形等)、RVC計算の前提(EXW/FOB)
  • 証明書類・保存(一般論):
    • 仕様書・分析表・製造記録・仕入書・原産地証明関連の記録を、協定・国内法に沿って保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)23.06「vegetable fats or oils」→「vegetable or microbial fats or oils」へ(微生物油脂由来の油かす等を明確に包含)微細藻類・酵母等の微生物油脂の抽出残渣が、23.06側で整理しやすくなる。契約書・工程資料に“microbial oil extraction residue”が出てくる案件で重要。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断のしかた:
    • WCOが公開するHS2017版とHS2022版のChapter 23の条文PDFを比較すると、23.06の見出し文言が上表のとおり変更されていることが確認できます。
  • 補足:
    • この変更は「6桁コードの新設/削除」というより、見出しの範囲の明確化です。実務では、取引品が「微生物油脂の抽出残渣」に該当するかを、工程資料で説明できるようにすることが重要です。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第23類は、長期的には“見た目が似た残渣”が統合されることがあります。WCOの旧版条文から確認できる主要点を、可能な範囲で整理します。(世界税関機関)

版の流れ主要な追加・削除・再編(要旨)旧コード→新コード(目安)実務メモ
HS2002→HS200723.02の「米由来(2302.20)」が見当たらなくなり、穀物系の整理が簡素化2302.20(Of rice)→ 2302.40(Of other cereals)へ吸収“米ぬか/米ふすま”は、現行では一般に2302.40側で整理する発想になります(国内コードは別途)。(世界税関機関)
HS2002→HS200723.06の「とうもろこし胚芽(2306.70)」が統合2306.70(Of maize germ)→ 2306.90(Other)へ吸収“corn germ oilcake”系は2306.90側で整理されやすいです。(世界税関機関)
HS2007→HS2017大きな6桁構造変更は限定的(少なくとも条文上は同じ構造を維持)第23類は「工程由来」で安定している一方、23.08/23.09の境界が実務では難所。(世界税関機関)
HS2017→HS202223.06の文言に「microbial」が追加微生物油脂の抽出残渣案件で要注意。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):発酵バガスを“単なるバガス”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):23.09の“飼料用調製品”該当性を見落とし、23.03側で処理。
    • 起きやすい状況:インボイスに「bagasse」だけ、工程情報が出てこない。
    • 典型的な影響:税番更正、追加資料要求、検査強化・通関遅延。
    • 予防策:工程(発酵・糖みつ添加目的)を仕様書に明記し、必要なら事前教示。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:缶詰キャットフードを食品(人用)として申告
    • 誤りの内容:犬猫用小売の2309.10に該当し得るのに、別章へ。
    • 起きやすい状況:外観が人用缶詰に近く、社内で食品担当が処理。
    • 典型的な影響:税関照会、資料追加、HS更正、(国内コード差で)税率や統計がズレる。
    • 予防策:犬猫用表示・給与方法・包装を提出できるようにする。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:大豆由来高たん白品の2304固定
    • 誤りの内容:23.04の範囲と、21.06等に除外され得る品の区別が不十分。
    • 起きやすい状況:「soy protein」「defatted soy flour」など曖昧な品名。
    • 典型的な影響:税率差・原産地規則(CTH/CTSH)差で、EPA適用可否が崩れる。
    • 予防策:工程(たん白濃縮/分離の有無)、分析表、用途を揃えて事前確認。
  • 事例名:清酒かすの性状未確認で分類が揺れる
    • 誤りの内容:醸造かすとしての性状確認(アルコール残存等)を省略。
    • 起きやすい状況:副産物で仕様書が薄い。
    • 典型的な影響:追加分析要求、通関遅延。
    • 予防策:日本の詳細解説で示されるような指標(例:純アルコール量の目安)を踏まえ、分析・工程証跡を用意。(税関ウェブサイト)

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ):
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 飼料安全法(飼料・飼料添加物):輸入飼料・飼料添加物は基準・規格、禁止物質等の対象になり得ます。具体の手続(届出等)は品目・成分・用途で変わるため、MAFF/FAMICの案内で確認が必要です。(農林水産省)
      • ペットフード安全法(犬猫用):犬猫用のペットフードは別法体系で届出・基準等の枠組みがあります。(環境省)
    • 植物検疫
      • 乾草・わら等、植物性材料を含む飼料・敷料は、植物検疫の対象になり得ます(相手国・品目で要件が変動)。(famic.go.jp)
    • 動物検疫
      • 動物由来原料(肉骨粉等)や、牧草等の一部は動物検疫の観点で制限・条件が課される場合があります。(農林水産省)
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 第23類は一般に該当頻度は高くありませんが、混合物に該当物質が含まれる場合等は別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 農林水産省(飼料・飼料添加物、ペットフード)
    • FAMIC(手続・通知等)
    • 植物防疫所(植物検疫)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、原料由来証明、製造工程、SDS、用途表示(対象動物)、包装仕様、分析成績(必要に応じてアルコール分・油分・たん白等)。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料(100%合計)・添加物
    • 製造工程(どの産業の“残渣”か、調製の有無)
    • 用途(対象動物、給与方法)、販売形態(小売/業務用)
    • 写真(形状:粉・フレーク・ペレット・キューブ、包装)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 23.09の類注を踏まえ、23.08/23.09の境界を再点検
    • 油かす(23.04〜23.06)と油さい(15.22)/高加工たん白(21.06)を再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が“residue”“meal”“feed”程度なら、工程由来・用途が伝わる補足を添付
    • 犬猫用なら小売包装資料を必ず添付(2309.10判定の要) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017等)を確認し、必要ならHS変換 (外務省)
    • BOMの材料HSと工程証跡を整備(混合飼料は特に重要)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 飼料安全法、ペットフード安全法、植物/動物検疫の該当性を確認 (農林水産省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・旧版含む)
    • HS2022 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2017 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2007 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
    • HS2002 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説 第23類(23r.pdf) (参照日:2026-02-17)
    • 第IV部 部注(ペレット定義等、4b.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 第23類の詳細解説(清酒かす等、23rd.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:配合飼料(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:発酵バガス(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:キャットフード(2309.10) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索(HS版変換案内含む) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス(例示)
    • 日EU EPA Annex 3-B(PSR、HS2017表記) (外務省)(参照日:2026-02-17)
    • JETRO:日豪EPA活用マニュアル(HS2012言及) (JETRO)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP(全文) (ASEAN Main Portal)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP運用ガイダンス例(PSR/HS移行に言及) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-17)
    • 日インドネシア協定:品目別規則改正(HS版運用に言及) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • 規制・許認可(日本)
    • MAFF:飼料安全法関連(輸入手続等) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • FAMIC:飼料・ペットフード関連手続案内 (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 環境省:ペットフード安全法Q&A (環境省)(参照日:2026-02-17)
    • 植物防疫所(植物検疫) (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

※ここは**HS6桁ではなく日本の国内コード(統計品目番号等)**の話です。国際共通のHS(6桁)と混同しないでください。

  • 2309.10(犬猫用・小売)では、日本の国内コードで犬/猫、気密容器入り等の区分が設けられていることがあります。キャットフード事例では統計番号レベルまで示されています。(税関ウェブサイト)
  • 2309.90(その他)では、国内運用上、ペレット状・キューブ状など形状や“基材が何か”で細分されることがあります。
  • 形状判断の前提として、第IV部部注の「ペレット」定義(結合剤3%以下等)が参照され得ます。(税関ウェブサイト)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論):
    • 製品概要(用途・対象動物)、原材料比率、製造工程、写真(形状・包装)、分析表(必要に応じて)、想定HS(自社案)
  • 日本税関の公開事例は、**品目分類事例(PDF)**が具体的で、特に23.09(配合飼料、発酵バガス、キャットフード)のような“境界が難しい品”の参考になります。(税関ウェブサイト)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第22類:飲料、アルコール及び食酢(Beverages, spirits and vinegar)

用語(本資料内の統一):類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. アルコール分(20℃での容量%):2202の「非アルコール飲料」は 0.5%以下(0.5%超は22.03〜22.06または22.08へ) (世界税関機関)
    2. “飲料”か“飲料にならない料理用”か:料理用調製で飲用不可なら 2103 へ飛ぶ(食酢を除く) (世界税関機関)
    3. エタノール/蒸留酒の80%境界・変性の有無:未変性エタノール 80%以上→220780%未満→2208、変性は度数不問で2207 (世界税関機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「ノンアル」「微アル」飲料:HS上は0.5%の線引きがある一方、国内法(酒税法等)の“酒類”定義は別なので、通関・規制・社内管理の前提がズレやすいです。 (JETRO)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:まずは見出し文言と注(部注/類注)で判定します。第22類は
      • 料理用に調製して飲料不適 → 2103
      • 「非アルコール飲料」の定義(0.5%以下)
      • アルコール分の測定温度(20℃)
        といった“結論を変える注”が明確です。 (世界税関機関)
    • GIR6:6桁(号)レベルでは、アルコール分・容器容量・変性の有無・酒類の種類で枝分かれします(例:2202.91/2202.99、2204.21/2204.22/2204.29、2207.10/2207.20)。 (世界税関機関)
    • (補足)混合が絡む場合:2206自体が「発酵酒の混合」等を含むため、実務上は**“発酵酒ベースの混合なのか/蒸留酒(スピリッツ)を加えたのか”**が重要になります。 (世界税関機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • アルコール分(ABV):20℃での容量%で判断(0.5%・80%が重要な境界) (世界税関機関)
    • 製法:発酵(ビール/ワイン/その他発酵酒)か、蒸留・精製(スピリッツ/エタノール)か (税関ウェブサイト)
    • “ジュース”か“清涼飲料”か:2202は2009のジュースを除外(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
    • 容器容量や発泡条件:ワインの一部は容器容量で6桁が分岐し、発泡ワインは圧力条件で定義されます (世界税関機関)
    • 用途(料理用):飲めないように調製された場合は大きく飛びます (世界税関機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「飲用(飲料)」としての性格が中心ですか?
    • Yes → Step2へ
    • No(料理用に調製して飲めない) → 原則 2103(ただし食酢は2209の可能性) (世界税関機関)
  • Step2:アルコール分(20℃、容量%)を確認
  • Step3:非アルコール側(0.5%以下)
    • 砂糖/香味料なしの水・氷・雪 → 2201
    • 砂糖/香味料入りの水、またはその他の非アルコール飲料 → 2202
  • Step4:アルコール側(0.5%超)
    • 麦芽から作ったビール → 2203
    • 生鮮ぶどう由来のワイン/マスト → 2204(発泡等の条件も確認) (世界税関機関)
    • ベルモット等(ぶどう酒を植物/芳香物質で香味付け) → 2205 (世界税関機関)
    • その他の発酵酒(清酒、シードル等)や発酵酒の混合 → 2206 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%以上)または変性アルコール → 2207 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%未満)や蒸留酒/リキュール等 → 2208 (世界税関機関)
    • 食酢・食酢代用物 → 2209(ただし酢酸10%超は2915) (世界税関機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第22類 vs 第20類(2009ジュース):ジュースとしての性格か、清涼飲料としての性格か
    • 第22類 vs 第21類(2103/2106等):料理用調製品・飲料ベース(濃縮/シロップ)
    • 第22類 vs 第29類(2915酢酸):酢酸濃度10%超かどうか (世界税関機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2201砂糖等や香味料を加えていない水、氷・雪ミネラルウォーター、炭酸水(無糖)、氷砂糖/香味料入りは2202。蒸留水等の純水は2853。海水は2501。 (世界税関機関)
2202砂糖等や香味料入りの水、その他の非アルコール飲料(2009のジュース除く)コーラ、スポーツドリンク、エナジードリンク、ノンアルビール「非アルコール」は0.5%以下。果実/ナット/野菜ジュース(2009)は除外。 (世界税関機関)
2203麦芽から作ったビールビール0.5%以下のノンアルビールは2202.91へ行く可能性。 (世界税関機関)
2204生鮮ぶどうのワイン(強化含む)、ぶどうマスト(2009除く)ワイン、ポート、ぶどうマスト発泡ワインの定義あり(圧力条件)。容器容量で6桁分岐。料理用で飲用不可なら2103へ。 (世界税関機関)
2205ベルモット等:植物・芳香物質で香味付けした生鮮ぶどうワインベルモット、アロマワイン容器容量で6桁分岐。ベースが「ぶどうワイン」である点が重要。 (世界税関機関)
2206その他の発酵酒、発酵酒の混合、発酵酒+非アル飲料の混合(他項除く)清酒、シードル、ペリー、ミードビール/ワイン/ベルモットは別項。蒸留酒を加えたリキュール等は2208寄りになりやすい。 (世界税関機関)
2207未変性エタノール(80%以上)、変性アルコール(度数不問)工業用高濃度エタノール、変性アルコール80%境界(未変性)。変性かどうかは仕様・添加物で確認(国により変性剤が異なる)。 (世界税関機関)
2208未変性エタノール(80%未満)、蒸留酒・リキュール等ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、リキュール果汁等にアルコールを加え0.5%超の飲料も含まれ得る(例外除く)。 (世界税関機関)
2209食酢、食酢代用物穀物酢、ワインビネガー、りんご酢酢酸の含有量が全重量の10%超の水溶液は2915へ。 (世界税関機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(よく使うもの)の整理
    • アルコール分(ABV)
      • 0.5%以下 → 2201/2202側へ(ただし製品形態により別章もあり)
      • 0.5%超 → 22.03〜22.06 または 22.08 へ (世界税関機関)
    • 未変性エタノールの80%境界
    • 変性の有無:変性アルコールは 2207.20(度数不問) (世界税関機関)
    • 容器容量(ワイン/ベルモット):2L以下、2L超10L以下、その他で分岐(2204/2205) (世界税関機関)
    • 発泡(スパークリングワイン):20℃で密閉容器内の圧力が一定以上(3 bar以上) (世界税関機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • (A) 2202.91(ノンアルビール) vs 2203.00(ビール)
      • どこで分かれるか:アルコール分が 0.5%以下かどうか(“非アルコール飲料”定義) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:成分/製法、ABV試験成績(20℃換算)、商品仕様書
      • 典型的な誤り:「ビールに見える/麦芽由来」だけで2203にしてしまう(0.5%以下なら2202.91の可能性)
    • (B) 2202(清涼飲料) vs 2009(果実・ナット・野菜ジュース)
      • どこで分かれるか:商品が“ジュース(2009)”としての性格か、“その他の飲料(2202)”か。2202は2009ジュースを除外します。 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:原材料比率、製造工程(搾汁か、調製飲料か)、最終製品の表示・仕様
      • 典型的な誤り:「果汁入り飲料は全部2202」と決め打ち(果汁主体なら2009の可能性が残る)
    • (C) 2207(エタノール) vs 2208(スピリッツ/80%未満エタノール)
      • どこで分かれるか:未変性エタノールの 80%境界、および 変性の有無 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:ABV(20℃)、SDS/仕様書、変性剤の添加有無・種類
      • 典型的な誤り:
        • 高濃度でも80%未満なのに2207にする
        • 変性アルコールを飲料用として扱い2208にする(変性は2207.20)
    • (D) 2206(発酵酒) vs 2208(蒸留酒・リキュール等)
      • どこで分かれるか:発酵のみで得た酒か、蒸留酒ベース/アルコール添加で“スピリッツ系”になっているか
      • 判断に必要な情報:製造工程(発酵/蒸留/添加)、原材料、ABV、商品説明
      • 典型的な誤り:果実系のお酒を全部2206とする(蒸留酒に果実等を漬けたリキュールは2208寄りになりやすい) (税関ウェブサイト)
    • (E) 2209(食酢) vs 2915(酢酸水溶液)
      • どこで分かれるか:酢酸含有量が全重量の 10%超なら2915へ(類注の除外) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:酢酸含有量(w/w%)、SDS/成分表、用途(食用/工業用)
      • 典型的な誤り:工業用の酢酸溶液を“食酢っぽい”として2209にしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第22類が属する**第4部(Section IV)**の部注は、少なくとも「ペレット」の定義を置いています。 (税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第22類の典型的な飲料分類では「ペレット」定義に直接当たるケースは多くありません。
    • ただし、飲料原料(例:固形化した副原料等)を取り扱う場合、別章でペレット定義が効くことがあり得る、という程度の位置づけです。 (税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第22類に関しては、部注よりも**類注(第22類注)**の除外規定(料理用、酢酸濃度、医薬品等)の方が「飛び先」を作る主役です。 (世界税関機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • (除外)料理用に調製して飲料に適さないもの(食酢を除く)は主として2103へ (世界税関機関)
    • (除外)海水は2501、**純水(蒸留水等)**は2853へ (世界税関機関)
    • (除外)酢酸10%超の水溶液は2915へ (世界税関機関)
    • (除外)医薬品は3003/3004、香料・化粧品は33類へ (世界税関機関)
    • **アルコール分の測定温度(20℃)**が定義され、22類だけでなく20・21類にも関係します (世界税関機関)
    • **2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)**が明記されています (世界税関機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「非アルコール飲料」(2202用):アルコール分(20℃、容量%)が 0.5%以下 (世界税関機関)
    • 「スパークリングワイン」(2204.10用):20℃の密閉容器で、ゲージ圧力が 3 bar以上 (世界税関機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:0.5%の境界(2202の非アルコール定義)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ABV(20℃の容量%)の試験成績
      • 発酵が進む可能性(輸送中の再発酵等)の有無(商品設計・保存条件) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:仕様書、分析表(ABV)、成分表、製造工程図、商品ラベル案
    • 誤分類の典型:
      • “ノンアル/微アル”表記だけで2202と決める(0.5%超なら酒類側へ)
      • 逆に、0.5%以下でも「ビールに似ている」だけで2203にする
  • 影響ポイント2:料理用調製(飲料として不適)→2103へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 食塩・香辛料等の添加、飲用に適さない処理の有無
      • 取引実態(“調味料”として販売・用途が固定されているか) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:配合表、用途説明、製品仕様(塩分等)、カタログ、ラベル
    • 誤分類の典型:料理用ワインを「ワインだから2204」としてしまう
  • 影響ポイント3:酢酸10%超 → 2915(2209から除外)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):酢酸含有量(重量%)、用途(食用/工業用)、SDS (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:成分分析、SDS、用途説明書
    • 誤分類の典型:工業用酢酸溶液を「酢だから2209」にしてしまう
  • 影響ポイント4:スパークリングワイン定義(2204.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):20℃で密閉容器内の圧力(3 bar以上か) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:製品規格書(ガス圧)、製造仕様、ラベル表示
    • 誤分類の典型:発泡性をうたうワインを全部2204.10にする(圧力条件未確認)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:果汁入り飲料を一律で2202にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目や商品名が“ドリンク”で、2009ジュース除外を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):2202は2009の果実・ナット・野菜ジュースを除外(見出し文言) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:原材料配合比率、製造工程(搾汁/調製)、Brix等
      • 社内で聞く質問例:「これは“ジュース(搾った液)”が主体ですか?それとも水や糖類等で調製した飲料ですか?」
  2. 間違い:ノンアルビールを2203(ビール)にする/逆にビールを2202にする
    • なぜ起きる:商品名・見た目で決め、0.5%定義を確認しない
    • 正しい考え方:2202の非アルコール飲料=0.5%以下(類注)。0.5%超なら22.03〜22.06/22.08。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV試験成績(20℃)、仕様書
      • 質問例:「ABV(20℃換算)は何%ですか?ロットで変動しますか?」
  3. 間違い:濃縮シロップ/原液(割材)を“飲料”として2202にする
    • なぜ起きる:用途が飲用でも、輸入形態が“原液”である点を見落とす
    • 正しい考え方:輸入形態が“調製品”の場合、21類(例:2106)など他章が候補になり得ます(製品の状態で判断)
    • 予防策:
      • 資料:使用方法(希釈倍率)、製品形態(そのまま飲めるか)、ラベル
      • 質問例:「この製品はそのまま飲用に供されますか?希釈や調合が前提ですか?」
  4. 間違い:料理用ワイン(塩分等で飲めない)を2204にする
    • なぜ起きる:原料がワイン=2204と短絡し、料理用調製の除外を見落とす
    • 正しい考え方:料理用に調製して飲用不適(2209を除く)は主として2103へ(類注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:配合表(塩・香辛料)、用途表示、販売形態
      • 質問例:「飲用できますか?塩分/香辛料等の添加はありますか?」
  5. 間違い:“発酵飲料”を全部2206とする
    • なぜ起きる:発酵という言葉だけで判断し、蒸留酒添加(リキュール化)を確認しない
    • 正しい考え方:2206はビール/ワイン/ベルモット以外の発酵酒等。蒸留酒・リキュール等は2208寄り。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:製造工程(蒸留の有無、添加アルコールの種類)、ABV
      • 質問例:「蒸留酒(スピリッツ)の添加がありますか?あるなら何を、いつ加えますか?」
  6. 間違い:エタノールを2207/2208で取り違える
    • なぜ起きる:80%境界、変性の有無を見落とす
    • 正しい考え方:未変性80%以上→2207、未変性80%未満→2208、変性は度数不問で2207(見出し) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV(20℃)、SDS、変性剤情報
      • 質問例:「変性剤は入っていますか?ABVはいくつですか?」
  7. 間違い:スパークリングワイン(2204.10)要件を確認しない
    • なぜ起きる:“発泡性”という宣伝文句で判断してしまう
    • 正しい考え方:2204.10の「スパークリングワイン」には圧力定義がある(号注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ガス圧(20℃)、製品規格
      • 質問例:「20℃密閉でのゲージ圧は何barですか?」
  8. 間違い:食酢(2209)と酢酸水溶液(2915)を混同
    • なぜ起きる:どちらも“酢酸”に見えるため、濃度と用途を確認しない
    • 正しい考え方:酢酸が全重量の10%超の水溶液は2915(類注で2209から除外) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:成分分析(w/w%)、SDS
      • 質問例:「酢酸含有量は何%(重量)ですか?食用グレードですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    • PSRは通常、**HS(主に6桁)**を前提に書かれているため、最終製品のHSを誤ると、PSRの読み替えや適用条文がズレ、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:2204ワイン)だけ見て、非原産材料側のHS(例えば添加酒精や香料の分類)を適当に置く
    • 製造工程の評価軸(CTC/RVC/特定工程など)がPSRと噛み合っていない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記(一般論):
    • CPTPP:PSR(品目別規則)の表が HS2012 を前提に提示されている例が確認できます。 (international.gc.ca)
    • RCEP:協定のPSR(Annex 3A)は HS2012 版として提供されている資料があります。 (Australian Border Force Website)
      • 一方で、日本側運用としては、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用しつつ、一定の附属書は最終版提供までHS2012を適用し続ける旨の整理が示されています。 (経済産業省)
    • 日EU EPA:日本税関の原産地手続の説明資料では、申告書類等での関税分類番号を HS2012(6桁) として扱う旨が示されています(協定運用上の版ズレに注意)。 (税関ウェブサイト)
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意:
    • 現行の輸出入申告はHS2022であっても、PSR参照はHS2012のまま、ということが起き得ます。
    • 第22類は大枠の構造は安定していますが、2202や2204のように過去版で6桁構造が変わった領域は特に注意が必要です(後述の第8章参照)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず「協定が参照するHS版」を確定(税関/公的ガイドで確認)
    • 旧HS→新HSの対応(相関表、税関のPSR変換表)を当て、PSRの適用対象が変わらないかチェックする (税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • そろえるべき基本データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定が参照するHS版で整理)
    • RVC計算が必要な場合は、算定式と対象コストの根拠資料
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 申告書の記載事項として、**HS2012(6桁)**の記載が求められる場面がある旨が整理されています。 (税関ウェブサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)2202(見出し文言)2202の除外対象ジュースが「果実・野菜」から「果実・ナット・野菜」へ明確化(2009との整合) (世界税関機関)ナット系(例:ナッツ飲料/ジュース)の取扱いで、2009との関係をより意識して確認が必要
HS2017→HS2022範囲変更(他類への移管の影響)2202.99(ex)→3006.93相関表上、2202.99の一部が新設の3006.93(臨床試験用のプラセボ等)へ移る扱いが示されている (税関ウェブサイト)医療・治験関連の“飲料形態”キットが混在する案件では、飲料としての思い込み分類を避ける
HS2017→HS2022変更なし(構造維持)2201〜2209(概ね)第22類の4桁骨格は維持(上記の文言/範囲影響を除く) (世界税関機関)過去データの比較は可能だが、2202周辺は版差/範囲差に注意

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 見出し文言(2202)の「ナット」追加は、WCOのHS2017版とHS2022版の章テキスト比較で確認できます(HS2017は“fruit or vegetable”、HS2022は“fruit, nut or vegetable”)。 (世界税関機関)
  • 2202.99の一部が3006.93へ移る影響は、WCO相関表(HS2022↔HS2017)において 2202.99(ex)→3006.93 が記載されていることに基づき、範囲影響として整理しました。 (税関ウェブサイト)
  • 上記以外については、WCOのHS2022章テキスト(第22類)における4桁の構成が2201〜2209であること、HS2017章テキストと同様の骨格であることから「概ね変更なし」と判断しています。 (世界税関機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第22類は4桁レベルは比較的安定ですが、6桁の分割が過去にあります。主要点を「旧コード→新コード」中心に整理します。

時系列主な追加・削除・再編旧コード→新コード(代表)実務メモ
HS2007→HS2012大枠は維持(主要な6桁構造は概ね同様) (世界税関機関)2007/2012とも2202は2202.90(Other)で、ノンアルビールはまだ独立6桁ではない (世界税関機関)
HS2012→HS20172202の6桁分割2202.90 → 2202.91(ノンアルビール) + 2202.99(その他) (世界税関機関)ノンアルビールを独立で統計把握できるようになった(実務では“ビール類似”でも0.5%定義を同時に確認) (世界税関機関)
HS2012→HS20172204の6桁分割(容器容量)2204.29(Other)から 2204.22(2L超10L以下) を新設し分割 (税関ウェブサイト)Bag-in-Box等の流通形態で誤りやすい(容器容量の証拠が必要)
HS2012→HS2017見出し文言の例示追加2206.00(Other fermented beverages)の例示に saké を追加 (世界税関機関)清酒が2206であることの理解を補強(コード自体は2206.00のまま)
HS2017→HS20222202見出し文言の調整2202の除外ジュースに nut を追加 (世界税関機関)ナッツ系ジュース/飲料の分類検討で2009との整合を意識

※「旧コード→新コード(または行き先不明)」の観点では、第22類は「別章へ完全移管でコードが消える」より、6桁分割文言調整が中心です(上表のとおり)。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):料理用ワインを“ワイン(2204)”で申告してしまった
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第22類注で、料理用に調製し飲料不適(食酢除く)は除外(主として2103) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“Cooking wine”でも、社内が「ワインだから2204」と処理
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、説明資料の追加提出、通関遅延
    • 予防策:塩分/香辛料等の配合確認、用途説明書を揃えて事前相談
  • 事例名(短く):“微アル飲料”を2202で申告したが、実測で0.5%超
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)に抵触し、酒類側(22.03〜22.06/22.08)となる (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:輸送中の再発酵、ロット差、表示上“low alcohol”をノンアル扱い
    • 典型的な影響:分類更正、課税関係/規制確認のやり直し、検査強化
    • 予防策:ABV仕様の保証、輸送条件管理、輸入前の分析成績取得
  • 事例名(短く):Bag-in-Boxワインの容器容量を確認せず2204.29で処理
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2204は容器容量で6桁が分岐(2204.21/2204.22/2204.29) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:外装だけ見て容量を勘違い(2L超10L以下を見落とす)
    • 典型的な影響:統計・税率・通関処理の訂正
    • 予防策:製品仕様書(容量)、梱包明細(L表示)、ラベル写真をセットで保管
  • 事例名(短く):工業用酢酸溶液を“食酢(2209)”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):酢酸10%超の水溶液は2915に除外される (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:英語品名が“Vinegar-like / Acetic solution”など曖昧
    • 典型的な影響:分類更正、危険物/化学品としての追加確認、遅延
    • 予防策:SDSで濃度確認、用途(食用/工業用)を明確にした書類整備

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 飲料(酒類を含む)を販売・営業使用目的で輸入する場合、食品衛生法に基づく輸入届出等の手続が必要とされています(検疫所で審査・必要に応じ検査判断)。 (厚生労働省)
    • 確認先:厚生労働省(食品等輸入手続)、各検疫所窓口 (厚生労働省)
  • その他の許認可・届出(酒類)
    • 酒類を輸入し、販売する場合は、酒税法に基づく酒類販売業免許が必要とされる旨が税関の案内等で整理されています。 (税関ウェブサイト)
    • 確認先:国税庁(酒類販売業免許)、税関(カスタムスアンサー) (国税庁)
    • 実務注意:HSの「非アルコール(0.5%)」と、酒税法上の“酒類”の線引きは一致しない点があるため、HS分類だけで国内規制判断を固定しないことが重要です。 (JETRO)
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 一般的な飲料は該当しにくいですが、高濃度エタノール等は用途・仕様により別観点の確認が必要になる場合があります(個別確認)。
  • その他(安全・危険物)
    • エタノール等の高濃度アルコールは、保管・取扱数量により消防法上の危険物(第四類・アルコール類)該当が問題となり得ます(濃度は重量%基準など、表示換算の注意あり)。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 確認先:所轄消防署、消防庁/自治体消防のガイド (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、製造工程表、分析表(ABV、酢酸濃度等)、SDS(化学品該当時)、ラベル案
    • 輸入届出関連書類(検疫所向け) (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 2202の0.5%定義、2209の酢酸10%除外、料理用調製の除外(2103)を再確認 (世界税関機関)
    • 2009ジュース除外の確認(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が曖昧(“drink base”“acetic solution”等)なら仕様書・成分表添付
    • 申告単位(L、kg等)と内容量の整合
    • 酒類の場合、酒税・免許・届出が別途絡むことを前提に社内で役割分担 (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 実行関税率表(2022年版)第22類 注(和文PDF)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 関税率表解説(第22類 解説PDF)※例示・実務解釈(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 第4部 部注(ペレット定義)和文PDF(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 税関:カスタムスアンサー「酒類の輸入について」(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(参照日:2026-02-17) (厚生労働省)
    • 東京消防庁:消毒用アルコールの取扱い(参照日:2026-02-17) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 日本税関:我が国の原産地規則(手続資料、HS2012記載等)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:Annex 3-D(PSR、HS2012表記例:カナダ政府公開)(参照日:2026-02-17) (international.gc.ca)
    • RCEP:Annex 3A(PSR、HS2012版PDF例:ABF公開)(参照日:2026-02-17) (Australian Border Force Website)
    • 経済産業省:RCEP原産地証明(2023-01-01以降PSRはHS2022使用等)(参照日:2026-02-17) (経済産業省)
  • その他
    • JETRO:アルコール飲料の輸入手続Q&A(HS上0.5%等と国内法の差の注意)(参照日:2026-02-17) (JETRO)
    • UNSD:HS2017 220291とHS2012 220290の対応情報(参照日:2026-02-17) (unstats.un.org)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第21類:各種調製食料品 Miscellaneous edible preparations

用語(本資料内で統一します):類=Chapter、項=Heading 4桁、号=Subheading 6桁、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • インスタントコーヒー(コーヒー抽出物・濃縮物)や、そのベースとなる濃縮エキス(2101)
    • ベーカーズイースト等の酵母(活性/不活性)やベーキングパウダー(2102)
    • しょうゆ、トマトケチャップ、各種ソース、混合調味料(2103)
    • スープストック、ブイヨン、粉末スープなど(2104)
    • ベビーフードのうち要件を満たす「均質化複合調製食料品」(2104.20)
    • アイスクリーム、シャーベット等の食用氷(2105)
    • たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、その他の「他に特掲されない食品調製品」(2106)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 乾燥混合野菜(例:乾燥スープミックスの具材だけ)→ 0712(乾燥野菜)(wcoomd.org)
    • コーヒー豆、焙煎コーヒー代用品でコーヒーを含むもの → 0901(コーヒー)(wcoomd.org)
    • 香味を付けた茶(フレーバーティー)→ 0902(茶)(wcoomd.org)
    • スパイス単品や混合スパイス(概ね「香辛料」の範囲)→ 0904〜0910(wcoomd.org)
    • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫などが重量20%超の食品調製品 → 第16類(1601〜1605等)に飛ぶ可能性(wcoomd.org)
    • 禁煙補助等のニコチン製品(HS2022で整理されたもの)→ 2404(wcoomd.org)
    • 医薬品としての酵母(医薬品扱いのもの)→ 3003/3004(wcoomd.org)
    • 調製酵素 → 3507(wcoomd.org)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「他に特掲されない食品調製品」2106に入れたくなる前に、注の除外と他章の特掲を全部確認する(2106は“最後の受け皿”)。(wcoomd.org)
    2. 肉・魚介・昆虫等が重量20%超か(ただし21.03/21.04は例外で残り得る)。(wcoomd.org)
    3. ベビーフードが2104.20の定義に当てはまるか(均質化、用途、容器重量250g以下など)。(wcoomd.org)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 健康食品・サプリ・栄養補助食品を、食品(2106)として扱うか、医薬品(3004等)寄りかで、規制・表示・税率・審査が変わりやすい
    • RCEP/CPTPP等のPSRがHS版(HS2012/2017/2022)で違う場合、コードの取り違えが原産性判断を崩します。(財務省関税局)

1. 区分の考え方

1-1. 分類の基本ルール

  • この類で特に効くGIR(一般論)
    • GIR1(見出し+注で決める):第21類は、類注の除外(例:乾燥混合野菜、香辛料、2404、医薬品、調製酵素、そして「肉・魚介・昆虫20%超」など)が強く効きます。(wcoomd.org)
    • GIR3(混合物・調製品):ソース、シーズニング、粉末飲料、複合食品は混合物が多いので、どの性質が“本質”か(又は特掲があるか)を確認します。
    • GIR6(6桁は同列比較):2101.11/2101.12、2104.10/2104.20、2106.10/2106.90など、6桁内の分岐は用途・性状・表示で詰めます。(wcoomd.org)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 成分(配合比、重量%):特に「肉・魚介・昆虫20%超」判定、たんぱく濃縮かどうか
    • 状態・加工度:抽出物・濃縮物か、粉末ミックスか、最終食品か
    • 用途・表示:ソース用途、スープ用途、乳幼児用・食餌療法用、禁煙補助、医薬的効能表示の有無
    • 形状・包装:瓶詰/小袋/スティック、2104.20の“容器重量250g以下”など (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー

  • Step1:食用の「調製品」か
    • 食品用途で、通常の食用形態(粉末、ペースト、液体、固形)か
    • 医薬的効能が前面に出る/投与量が医薬品形態なら第30類の可能性
  • Step2:第21類の中の特掲(2101〜2105)に当たるか
    • コーヒー/茶/マテの抽出物(2101)
    • 酵母・ベーキングパウダー(2102)
    • ソース・混合調味料(2103)
    • スープ・均質化複合調製食料品(2104)
    • アイスクリーム等(2105)(wcoomd.org)
  • Step3:当たらなければ2106を検討
    • ただし「他に特掲されない」前提なので、第16/17/18/19/20/22/23/30/35/24.04等の可能性を先に潰す
    • とくに類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、そして20%ルール)をチェック (wcoomd.org)
  • よく迷う境界
    • 第21類 vs 第9類:フレーバーティー、スパイス、コーヒー代用品(コーヒー含有)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第16類:肉・魚介・昆虫の含有率が高い複合食品(20%超)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第30類:サプリ/禁煙補助/健康食品の“医薬品性”
    • 第21類 vs 第22類:飲料(完成品)か、飲料用調製品(ベース)か

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁項の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2101コーヒー・茶・マテの抽出物等/それらを基にした調製品/焙煎チコリー等インスタントコーヒー粉、コーヒー濃縮液、紅茶エキス、チコリーコーヒー「焙煎コーヒー代用品でコーヒー含有」は0901に寄り得る点に注意。抽出物は2101側に戻る場合あり。(wcoomd.org)
2102酵母(活性/不活性)等、死滅単細胞微生物、ベーキングパウダードライイースト、栄養酵母、ベーキングパウダーワクチン(3002)は除外。医薬品としての酵母は3003/3004。(wcoomd.org)
2103ソース等、混合調味料、マスタードしょうゆ、ケチャップ、焼肉のたれ、粉末シーズニングスパイス単体/混合スパイスは第9類へ。混合調味料でも「香辛料の範囲」か「調味料」かを吟味。(wcoomd.org)
2104スープ・ブロス等/均質化複合調製食料品粉末スープ、ブイヨン、ベビーフード(ピューレ)2104.20は定義が厳格(用途・均質化・容器重量250g以下等)。(wcoomd.org)
2105アイスクリーム等の食用氷アイスクリーム、ソルベ、かき氷用氷菓「アイスの素(粉末)」などは通常2105ではなく原材料側(例:1901/2106等)を疑う。
2106他に特掲されない食品調製品たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、各種食品ベース2106は“最後の受け皿”。除外(2404、3006.93等の移転を含む)や第16類20%ルールに注意。(wcoomd.org)

上表の見出し構成はHS2022条文(第21類の項・号)に基づき整理しています。(wcoomd.org)

2-2. 6桁号で実務上重要な分岐

  • 分岐条件の整理
    • 2101(抽出物 vs 調製品)
      • 抽出物・エッセンス・濃縮物そのもの → 2101.11(コーヒー)/2101.20(茶・マテ)
      • 「抽出物を基にした調製品」や「コーヒーを基にした調製品」 → 2101.12
      • 焙煎チコリー等・焙煎代用品とその抽出物等 → 2101.30
      • 必要情報:原材料(コーヒー豆/抽出物/糖/乳等)、製造工程(抽出の有無)、用途表示(飲料ベースか)(wcoomd.org)
    • 2102(活性 vs 不活性)
      • パン酵母等(発酵能がある)→ 2102.10
      • 栄養酵母等(不活性)・死滅単細胞微生物 → 2102.20
      • ベーキングパウダー → 2102.30
      • 必要情報:製品規格書(生菌/死菌、発酵力)、用途(製パン/栄養補助/培地等)(wcoomd.org)
    • 2103(しょうゆ等の特掲 vs その他)
      • しょうゆ → 2103.10
      • ケチャップ等トマトソース → 2103.20
      • マスタード → 2103.30
      • その他ソース・混合調味料 → 2103.90
      • 必要情報:主原料、味付けの目的(ソース/シーズニング)、スパイスだけの混合か(第9類との境界)(wcoomd.org)
    • 2104(スープ類 vs 均質化複合調製食料品)
      • スープ・ブロス・その調製品 → 2104.10
      • 均質化複合調製食料品 → 2104.20(定義に合うかが全て)
      • 必要情報:容器の正味重量(250g以下か)、対象(乳幼児/食餌療法)、均質化の程度(目視で粒が残るか)(wcoomd.org)
    • 2106(たんぱく濃縮物・テクスチャード vs その他)
      • たんぱく濃縮物・テクスチャードプロテイン → 2106.10
      • その他 → 2106.90
      • 必要情報:たんぱく含有率、原料(大豆/えんどう/乳等)、形状(粒状・繊維状・肉代替用)、用途(一般食品原料か)(wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 2101.11 vs 2101.12
      • どこで分かれるか:抽出物そのものか、抽出物やコーヒーを“基にした調製品”か
      • 判断に必要な情報:配合表(糖・乳・香料等の添加)、最終用途(そのまま溶かして飲める等)
      • 典型的な誤り:「インスタント飲料=全部2101.11」と決め打ちする (wcoomd.org)
    • 2102.10 vs 2102.20
      • どこで分かれるか:活性(発酵能)か不活性か
      • 判断に必要な情報:規格書、検査成績(生菌数等)、製造(乾燥・失活)
      • 典型的な誤り:「ブリューワーズイースト=活性」と思い込む (wcoomd.org)
    • 2104.10 vs 2104.20
      • どこで分かれるか:2104.20の厳格な定義に合うか(用途・均質化・容器重量)
      • 判断に必要な情報:ラベル、容器重量、対象年齢表示、物性(ペースト状で均質か)
      • 典型的な誤り:ベビーフード全般を2104.20に寄せる (wcoomd.org)
    • 2106.10 vs 2106.90
      • どこで分かれるか:たんぱく濃縮物/テクスチャードプロテインに該当するか
      • 判断に必要な情報:成分分析(たんぱく比率)、用途(肉代替等)、加工状態
      • 典型的な誤り:プロテイン入り菓子やサプリを全部2106.10にする(実態は“その他”のことも)(wcoomd.org)

3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味

3-1. 関連する部注

  • ポイント要約:
    • 第21類が属する第IV部には「ペレット」の定義があり、結合剤の添加割合が重量3%以下などの条件が示されています(第IV部内で“ペレット”という語が出る場合の共通理解)。(wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ブイヨンやだしの固形キューブ/粒状品について、商品説明で“pellets(粒状)”と表現されることがあります。定義に合うかは、製造方法・結合剤割合などの確認材料になります。(wcoomd.org)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第IV部注よりも、実務上は**第21類類注(下記3-2)**の除外規定の方が「他章に飛ぶ」場面が多いです(第9類・第16類・第24類・第30類・第35類)。(wcoomd.org)

3-2. この類の類注

  • ポイント要約:
    • 第21類は、類注で次を明確に除外します:
      • 乾燥混合野菜(0712)
      • コーヒーを含む焙煎代用品(0901)
      • 香味を付けた茶(0902)
      • 香辛料(0904〜0910)
      • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超の食品調製品(第16類)
      • 2404(ニコチン製品)
      • 医薬品としての酵母(3003/3004)
      • 調製酵素(3507)(wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • **均質化複合調製食料品(2104.20)**は、用途(乳幼児用・食餌療法用等)、均質化の程度、容器の正味重量(250g以下)など複数要件で定義されます。(wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • とくに重要:肉・魚介・昆虫などが重量20%超(ただし21.03/21.04は例外)→ 第16類。(wcoomd.org)
    • HS2022で整理された**2404(ニコチン関連製品)**は第21類から除外。(wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響

  • 影響ポイント1:肉・魚介・昆虫など重量20%超で第16類に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか:
      • 配合割合(重量%):肉、内臓、血、昆虫、魚、甲殻類、軟体動物等の合計が20%を超えるか(wcoomd.org)
      • 対象品が**21.03(ソース等)または21.04(スープ等)**に該当するか(ここは例外扱い)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • レシピ/配合表、BOM、原材料規格書
      • 製造工程図(肉エキス添加のタイミング等)
      • ラベル表示(原材料名・含有量表示があれば)
    • 誤分類の典型:
      • 肉エキス入りの複合調味料を「食品調製品2106」で申告してしまい、20%超で第16類指摘を受ける
  • 影響ポイント2:焙煎コーヒー代用品の扱い
    • 何を見れば判断できるか:
      • 「焙煎代用品(例:チコリー等)」にコーヒーが含まれるか(含まれる場合、代用品そのものは0901側に寄る)(wcoomd.org)
      • ただし、その抽出物等は2101に分類され得る(例外の戻し)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • 原材料配合、焙煎の有無、抽出工程の有無、製品仕様(抽出物かどうか)
    • 誤分類の典型:
      • コーヒーを少量含む代用コーヒーを、2101.30(焙煎代用品)として固定してしまう(実態は0901側を検討要)
  • 影響ポイント3:2104.20 均質化複合調製食料品の定義
    • 何を見れば判断できるか:
      • 対象用途(乳幼児用、食餌療法用)
      • 均質化の程度(ほぼ均一で、微小な具は許容され得る)
      • 容器の正味重量が250g以下か(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • パッケージ(内容量表示)、商品カタログ、用途説明
      • サンプル写真(中身の状態)
    • 誤分類の典型:
      • 300gの大容量ベビーフードを2104.20としてしまう

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:とりあえず2106(その他の食品調製品)に入れる
    • なぜ起きる:品名が「〇〇ミックス」「〇〇ベース」で、見出しが分かりにくい
    • 正しい考え方:2106は「他に特掲されない」前提。類注の除外(第9類、2404、3003/3004、3507、20%ルール等)と、他章の特掲を先に潰す。(wcoomd.org)
    • 予防策:配合表・用途・包装形態・広告表示を必ず揃え、候補章を逆引きで潰す(第19類、22類、30類なども同時に検討)
  2. 間違い:混合調味料を全部「香辛料(第9類)」にする
    • なぜ起きる:見た目が粉末でスパイスっぽい
    • 正しい考え方:類注で「香辛料(0904〜0910)」は第21類から除外されますが、ソース/混合調味料としての性格が強い場合は2103を検討します(配合と用途が鍵)。(wcoomd.org)
    • 予防策:スパイス単体か、塩・糖・うま味調味料等を含む“調味料製品”かを配合表で整理。用途(料理の味付け/テーブル用)も確認
  3. 間違い:肉エキス入りの複合食品を2106にしてしまう
    • なぜ起きる:「調味ベース」なので食品調製品と思い込む
    • 正しい考え方:21.03/21.04以外の食品調製品で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超なら第16類に飛ぶ可能性があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:肉・魚介・昆虫等の重量%をレシピで必ず算出(原材料の含水差にも注意)。20%前後なら分析・証憑を厚く
  4. 間違い:フレーバーティーを2106や2101にしてしまう
    • なぜ起きる:香料入り=“調製”と捉える
    • 正しい考え方:類注で「香味を付けた茶」は0902に除外されています。(wcoomd.org)
    • 予防策:原料が茶葉主体で香味付けか、抽出物・濃縮物かを工程で確認
  5. 間違い:ベビーフードを一律2104.20にする
    • なぜ起きる:乳幼児用=2104.20と短絡
    • 正しい考え方:2104.20は用途だけでなく、均質化・容器重量250g以下等の定義要件があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:SKUごとに内容量と中身の状態(均質化)を確認。容器サイズ違いでコードが変わり得る前提で管理
  6. 間違い:禁煙補助のニコチン製品を「食品(2106)」扱いする
    • なぜ起きる:ガム/タブレット等で“食品っぽい”
    • 正しい考え方:HS2022では、禁煙補助等のニコチン関連製品が2404へ移ったことで、2106.90の範囲が狭くなった旨が相関表で示されています。(財務省関税局)
    • 予防策:成分(ニコチン有無)と用途(禁煙補助等)を必ず確認し、2404や医薬品(30類)可能性も含めて整理

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSRの関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します
    • 例:同じ「粉末ミックス」でも、2106なのか1901なのかでPSR(CTH/CTSH/RVC等)が変わり、原産性判断の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 原材料(非原産材料)のHSがズレていてCTC判定が崩れる
    • 最終品を「とりあえず2106」にした結果、PSRが本来より厳しくなる/緩くなる
    • 工程要件(ブレンド等)を満たすと誤解してしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い

  • 協定によって、採用しているHS版(HS2002/2007/2012/2017/2022等)が異なります。日本税関のPSR検索ページでも、協定のHS版で検索すべきこと、輸入申告は最新HSを使うことが注意喚起されています。(財務省関税局)
  • 例(一次資料で確認できるもの)
    • CPTPP:PSR表に「HS Classification (HS2012)」と明記されています。(内閣府)
    • 日EU・EPA:PSR(Annex 3-B)の列見出しに「Harmonized System classification (2017)」と明記されています。(外務省)
    • RCEP:日本の運用として、2023年1月1日以降、PSRはHS2022版で運用する一方、税率差ルール関係の付属書I付録は(最終版が整うまで)HS2012を継続適用する旨が経産省ページに明記されています。(経済産業省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定が採用するHS版」でPSRを確定
    • そのうえで、輸出入実務で使う最新HS(例:HS2022)へ、WCO相関表等で対応付け
    • 対応付けが1:1でない(分割/統合/範囲変更)場合は、協定本文・当局ガイダンスに沿って判断(必要なら税関照会)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 揃えるべきデータ(最低限)
    • 材料表(BOM)、原価、工程フロー
    • 産品のHS6桁(最終製品)と、非原産材料のHS6桁
    • 仕入先・原産国、原材料仕様書、配合割合
    • RVC計算の前提(EXW/FOB、控除項目)
  • 証明書類・保存(一般論)
    • 原産地証明書または自己申告の根拠資料
    • 監査に耐えるよう、品目分類根拠(注・類注・比較表)もセットで保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い

7-1. 変更点サマリー

比較変更タイプ該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更2106.902106.90の範囲が狭くなった(禁煙補助等のニコチン製品が新設2404へ移転、臨床試験キット等が3006.93へ移転、食用昆虫が一定条件で第16類へ移転など)(財務省関税局)2106.90に“入っていたと思っていた商品”が他章へ移る可能性。過去判定の棚卸しが必要
HS2017→HS2022範囲変更第21類類注の運用第21類類注で、肉・魚介等の20%ルールに「昆虫」が含まれ、かつ2404除外等が明確化(wcoomd.org)食用昆虫を含む複合食品、禁煙補助品の分類が変わり得る

7-2. 違うことになった根拠

  • 参照した根拠資料
    • WCO作成のHS2017→HS2022相関表(日本税関サイト掲載PDF)にて、2106.90の範囲が新設2404・新設3006.93等への移転により狭くなった旨が明記されています。(財務省関税局)
    • HS2022 第21類類注で、2404の除外および**肉・魚介・昆虫等20%超の除外(第16類)**が規定されています。(wcoomd.org)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • 相関表の「2106.90」行の備考に、移転理由(2404への移転、3006.93への移転、昆虫の移転等)が列挙されているため、コード自体(2106.90)は存続しても、対象範囲が縮小したと判断できます。(財務省関税局)
    • 併せて、HS2022の第21類類注で2404除外が明確に書かれているため、実務上も2106側に残さない整理が必要です。(wcoomd.org)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第21類は、HS2007→2012→2017の期間では、WCO相関表(改正があるコードのみを列挙する形式)上、6桁レベルの第21類改正が特に見当たらないため、大枠の構造(2101〜2106)は比較的安定してきたと整理できます。(財務省関税局)

一方、HS2017→2022では、2106.90の範囲縮小という「コード自体は同じでも対象が動く」タイプの変更が示されています。(財務省関税局)

版の移行第21類の主要な見え方旧コード→新コードの例
HS2007→HS2012(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)主要なコード番号レベルでは大きな移動が目立たない
HS2012→HS2017(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)同上
HS2017→HS20222106.90の範囲縮小(2404、3006.93、昆虫関連の移転など) (財務省関税局)例:禁煙補助等ニコチン製品が2404へ(2106.90から外れる)

9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:肉エキス入り「万能だし粉」を2106で申告
    • 誤りの内容:21.03/21.04以外で、肉等が重量20%超 → 第16類へ、という除外に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:品名が「だし」「シーズニング」で、スープ(2104)か食品調製品(2106)かを曖昧にした
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、成分確認のための検査・遅延
    • 予防策:レシピで重量%を算出し、2104に当たるか、当たらない場合は20%ルールで第16類に飛ぶかを事前整理
  • 事例名:フレーバーティーを「調製品」扱いで第21類申告
    • 誤りの内容:「香味を付けた茶」は第9類(0902)へ除外 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:ティーバッグに香料・果皮等を加えており、加工度が高いと誤認
    • 典型的な影響:差し戻し、分類補正、原産地規則の再計算
    • 予防策:茶葉主体か、抽出物主体かを工程と配合で確認
  • 事例名:ベビーフードの大容量品を2104.20で申告
    • 誤りの内容:2104.20は容器重量250g以下等の定義要件に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:同一ブランドで小容量(2104.20相当)と大容量が混在
    • 典型的な影響:品番ごとの再分類、書類差替え、通関遅延
    • 予防策:SKU単位で内容量・用途表示・均質化の程度をチェックし、マスターを分ける
  • 事例名:禁煙補助のニコチンガムを2106申告
    • 誤りの内容:HS2022で2404に移るタイプの品を2106.90に残してしまう (財務省関税局)
    • 起きやすい状況:食品のガムと同じノリで処理
    • 典型的な影響:規制当局対応(成分・用途確認)、分類更正
    • 予防策:ニコチン含有の有無、用途(禁煙補助等)を規格書で確認し、2404/30類も含めて整理

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品衛生法に基づく輸入届出:食品等を業として輸入する場合、原則として都度の輸入届出が必要で、届出済みであることの確認が輸入許可に関係します。(mhlw.go.jp)
    • 動物検疫(該当する場合)
      • 肉製品等の持込み・輸入には検査証明書や検査が必要となる旨が案内されています(対象品目は個別確認が必要)。(財務省関税局)
    • 植物検疫(該当する場合)
      • 植物・植物由来原料(香辛料原料等)は、状態によって検疫対象になり得ます。(農林水産省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 食品衛生(輸入届出):厚生労働省(MHLW)輸入食品監視関連ページ (mhlw.go.jp)
    • 税関手続:税関(食品衛生法の届出確認の流れ等)(財務省関税局)
    • 動物検疫:農林水産省 動物検疫所(AQS)(農林水産省)
    • 植物検疫:植物防疫所(Plant Protection Stations)(農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 原材料一覧、配合割合、製造工程、成分規格
    • ラベル案(日本語表示の要否)
    • 食品衛生法の輸入届出書類、検査成績書(必要な場合)
    • 動物由来原料を含む場合の衛生証明書等(必要な場合)

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 配合表(重量%)、原材料規格書、用途、形状、包装形態、製造工程
    • 「肉・魚介・昆虫等」の含有割合(20%判定用)
    • ベビーフードなら内容量(250g以下か)と均質化の状態
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、20%ルール)を再点検 (wcoomd.org)
    • 2106にした場合は「他に特掲されない」の確認記録を残す
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名が「food preparation」だけになっていないか(具体名+用途+主要成分)
    • 規格書・成分表・カタログを添付できる状態か
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が採用するHS版でPSRを確認(CPTPPはHS2012等)(内閣府)
    • HS版の違いがある場合は相関表でトランスポーズし、根拠を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生法の輸入届出要否の確認 (mhlw.go.jp)
    • 動物由来原料・植物由来原料の検疫対象確認 (農林水産省)

12. 参考資料 出典

  • WCO
    • HS Nomenclature 2022 第21類(各種調製食料品)の条文PDF(類注・号の構成)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
    • HS Nomenclature 2022 第IV部 部注(pellets定義)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
  • 日本 税関・公的機関
    • WCO相関表 HS2022→HS2017(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2017→HS2012(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2012→HS2007(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 税関「品目別原産地規則」検索ページ(HS版の違いに関する注意喚起、相関表リンク)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 厚生労働省 輸入食品の手続(食品衛生法の輸入届出)(mhlw.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 税関(東京税関)食品衛生法に関する案内(届出→税関提出の流れ)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 動物検疫所(動物・肉製品の持込み/輸入検査案内)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 植物防疫所(植物検疫の概要)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 経済産業省 RCEPの原産地証明手続(2023年以降PSRはHS2022等)(経済産業省)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書
    • CPTPP(TPP)Annex 3-D Product-Specific Rules of Origin(HS2012明記)(内閣府)(参照日:2026-02-17)
    • Annex 3-B Product Specific Rules of Origin(HS2017明記、外務省PDF)(外務省)(参照日:2026-02-17)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第20類:野菜、果実、ナットその他の植物の部分の調製品(Preparations of vegetables, fruit, nuts or other parts of plants)

※用語統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 酢・酢酸で漬けた野菜の加工品(例:きゅうりのピクルス)→ 2001 (wcoomd.org)
    • 酢以外で保存したトマト加工品(例:トマトペースト、ホールトマト缶)→ 2002 (wcoomd.org)
    • きのこ・トリュフの加工品(例:マッシュルーム水煮缶)→ 2003 (wcoomd.org)
    • (酢以外で)調製・保存された野菜(冷凍なら2004/非冷凍なら2005。例:冷凍味付け野菜、ポテトチップス)→ 2004/2005 (wcoomd.org)
    • ジャム、マーマレード、フルーツピューレ等(加熱調製) → 2007 (wcoomd.org)
    • 果実・ナッツ等のその他の調製・保存品(例:缶詰フルーツ、ローストナッツ)→ 2008 (wcoomd.org)
    • 果汁・野菜汁(非発酵、アルコール無添加)(例:オレンジジュース濃縮、トマトジュース)→ 2009 (wcoomd.org)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 生鮮・冷蔵・単なる冷凍・乾燥など「第7類/第8類/第11類が想定する処理」にとどまるもの → 第7類/第8類/第11類へ(例:冷凍ブロッコリー=0710側に寄りやすい) (wcoomd.org)
    • 植物油脂(例:オリーブ油、ココナッツ油)→ 第15類 (wcoomd.org)
    • 肉・魚介・昆虫等が一定割合を超える調製食料品(例:ミートソース缶で肉が多い等)→ 第16類へ飛びやすい(※20類注で除外される考え方) (wcoomd.org)
    • ベーカリー製品(例:フルーツパイ、ジャム入りクッキー)→ 1905 (wcoomd.org)
    • ホモジナイズされた複合食品(複数原料のベビーフード等) → 2104 (wcoomd.org)
    • 砂糖菓子・チョコ菓子の形状に作られた果実ゼリー等 → 1704 または 1806 (wcoomd.org)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「保存・調製の方法」:酢・酢酸か/それ以外か、冷凍か/非冷凍か (wcoomd.org)
    2. 「食品としての性格」:ジュース(2009)なのか、清涼飲料(2202)なのか、発酵(2206等)なのか
    3. 類注の地雷肉・魚介・昆虫の含有割合砂糖菓子形状トマトジュースの固形分(7%) (wcoomd.org)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **2009(果汁)⇔ 2202(飲料)**の取り違え:関税率・国内規制・表示・原産地規則(PSR)すべてに影響しやすい
    • 肉入り野菜調製品の取り違え:第16類に飛ぶと税率・統計・規制が変わりやすい (wcoomd.org)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+部注/類注):第20類は「調製・保存」という言葉に引っ張られがちですが、類注の除外(例:1905、2104、1704/1806)を最優先で確認します。 (wcoomd.org)
    • GIR6(6桁の選定):同じ項でも、果実/ナッツの種類、冷凍か否か、均質化(ホモジナイズ)か、Brix値などで分かれます。 (wcoomd.org)
    • (混合・セットのとき)GIR3:フルーツミックス、ナッツミックス、果汁ブレンドはGIR3の発想(「本質的特性」や「最後の号」など)を使う場面があります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 状態:冷凍/非冷凍、ペースト/固形、均質化の有無、密封容器か
    • 加工度:単なる冷凍・乾燥か、加熱調理した“調製品”か
    • 保存手段:酢・酢酸、砂糖、油、塩、加熱殺菌、密封缶詰 等
    • 配合:肉・魚介・昆虫の比率、菓子形状か、アルコール(発酵/添加)の有無 (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:**植物由来(野菜・果実・ナッツ等)**が主体の食品ですか?
    • いいえ → 第20類以外の可能性(第16類、第21類、第22類など)
  • Step2:処理は第7類/第8類/第11類で想定される“基本処理”(例:単なる冷凍・乾燥)にとどまりますか?
    • はい → 原則として第7類/第8類/第11類を優先(第20類注の除外を意識) (wcoomd.org)
    • いいえ → Step3へ
  • Step3:保存方法は?
    • 酢・酢酸で保存 → 2001 (wcoomd.org)
    • トマトが対象で、酢以外で保存 → 2002(※トマトジュース固形分7%も要注意) (wcoomd.org)
    • きのこ/トリュフで酢以外 → 2003 (wcoomd.org)
    • その他の野菜で酢以外 → 冷凍なら2004/非冷凍なら2005 (wcoomd.org)
    • 砂糖で保存(ドレイン、グラッセ等) → 2006 (wcoomd.org)
    • ジャム・マーマレード等の加熱調製品 → 2007(“加熱調製”の考え方あり) (wcoomd.org)
    • 上記以外の果実/ナッツ等の調製・保存品 → 2008 (wcoomd.org)
    • 果汁/野菜汁(非発酵、アルコール無添加) → 2009(ABV0.5%の考え方) (wcoomd.org)
  • Step4:類注の除外に当たりませんか?
    • 砂糖菓子形状(1704/1806)、ベーカリー(1905)、複合ベビーフード(2104)、肉等が多い(16類)など (wcoomd.org)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第7類/第8類(生鮮・単純加工) vs 第20類(調製・保存)
    • 第20類(果汁) vs 第22類(飲料・発酵)
    • 第20類(ジャム等) vs 第17類/第18類(菓子)
    • 第20類(野菜調製品) vs 第21類(ソース/スープ等) (wcoomd.org)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2001酢・酢酸で調製/保存した野菜・果実・ナッツ等ピクルス(きゅうり、玉ねぎ等)、酢漬けミックス野菜酢/酢酸が保存の本体かが核心。単なる塩漬け等は別検討。 (wcoomd.org)
2002トマトの調製/保存品(酢・酢酸以外)トマトペースト、ホールトマト缶**トマトジュース固形分7%**で2002側になる論点あり。ケチャップ等は2103側に寄りやすい。 (wcoomd.org)
2003きのこ・トリュフの調製/保存品(酢・酢酸以外)マッシュルーム水煮缶、きのこオイル漬けきのこ種別で号が分かれる。 (wcoomd.org)
2004その他野菜の調製/保存品(酢以外)冷凍冷凍フライドポテト(調理済み)、冷凍味付け野菜「単なる冷凍」なら第7類側の可能性。調理・味付け・ソース等の有無を確認。 (wcoomd.org)
2005その他野菜の調製/保存品(酢以外)非冷凍ポテトチップス、野菜ペースト、スイートコーン缶**ホモジナイズ(ベビーフード)**は定義・容器重量で分岐。 (wcoomd.org)
2006砂糖で保存した野菜・果実・ナッツ等砂糖漬け果皮、グラッセ、結晶果実「砂糖保存(ドレイン/グラッセ)」の性格がポイント。菓子形状は1704/1806の可能性。 (wcoomd.org)
2007ジャム等(加熱調製品)ジャム、マーマレード、フルーツピューレ/ペースト“加熱調製”の意味(粘度上昇等)に注意。菓子形状のゼリー等は1704/1806へ。 (wcoomd.org)
2008果実・ナッツ等のその他の調製/保存品(他に含まれない)缶詰フルーツ、果実シロップ漬、ローストアーモンド、ピーナッツバター等ナッツ種別・果実種別で細分。**植物部位が薬用・香料用等(12.11)**との境界あり。 (wcoomd.org)
2009果汁/ナッツジュース/野菜汁(非発酵、アルコール無添加)オレンジ濃縮果汁、りんごジュース、トマトジュース、ココナッツウォーターABV0.5%超なら外れる可能性。Brix値で細分される号がある。 (wcoomd.org)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(第20類で頻出)
    • 保存方法:酢・酢酸(2001)/それ以外(2002〜2009) (wcoomd.org)
    • 冷凍か否か:2004(冷凍)/2005(非冷凍) (wcoomd.org)
    • 特定品目の優先:トマト(2002)、きのこ/トリュフ(2003)、ジャム系(2007)、果汁(2009) (wcoomd.org)
    • 均質化(ホモジナイズ)+小容量容器:2005.10、2007.10(ベビーフード等) (wcoomd.org)
    • トマトジュース固形分(乾燥重量)7%:2009側に見えても2002側に寄る“例外” (wcoomd.org)
    • 果汁のBrix値(糖度):特定の果汁号でBrix定義があり、実務では成分証明が必要になりがち (wcoomd.org)
    • アルコール:2009は「非発酵・アルコール無添加」で、解釈上の上限(0.5%)の考え方がある (wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2002(トマト加工) vs 2103(ソース類)
      • どこで分かれるか:トマト“そのもの”の保存品(ペースト、ホール等)か、調味料としてのソース
      • 判断に必要な情報:配合(砂糖・香辛料・酢等)、用途(調味用か主材料か)、粘度・容器表示
      • 典型的な誤り:「トマト系=2002」で一括
      • 根拠観点:第20類注の除外先として第21類が出てくる場面が多い(ソースは21類側に寄りやすい) (wcoomd.org)
    2. 2007(ジャム等) vs 1704/1806(菓子)
      • どこで分かれるか:パンに塗る等のジャム/ペーストか、砂糖菓子・チョコ菓子の形状
      • 判断に必要な情報:形状(個片・ゼリー菓子)、糖衣の有無、チョコ被覆の有無、販売形態
      • 典型的な誤り:フルーツゼリー菓子を「果実ゼリー=2007」にしてしまう
      • 根拠:第20類注で、砂糖菓子形状の果実ゼリー等は1704/1806へ除外される旨が示されます。 (wcoomd.org)
    3. 2009(果汁) vs 2202(清涼飲料)/2206(発酵飲料)
      • どこで分かれるか:非発酵のジュースか、飲料として調整されたもの(加水・香料・炭酸等)か、発酵(アルコール)したものか
      • 判断に必要な情報:原材料(加水、香料、炭酸)、発酵の有無、アルコール度数(分析)、表示(ジュース含有率)
      • 典型的な誤り:「ジュース飲料」を2009で申告
      • 根拠観点:2009はアルコール無添加で、解釈上0.5%超は外れる方向の整理があります。 (wcoomd.org)
    4. 2004(冷凍野菜調製品) vs 第7類(単なる冷凍野菜)
      • どこで分かれるか:冷凍しているだけか、調理・味付け・調製されているか
      • 判断に必要な情報:加熱工程、味付け、ソース、衣、油での調理有無、商品仕様書
      • 典型的な誤り:冷凍=2004と決め打ち
      • 根拠観点:第20類注で、基本処理の範囲なら第7類等に残る発想が示されます。 (wcoomd.org)
    5. 2008(ナッツ加工) vs 第8類(ナッツ)
      • どこで分かれるか:生・乾燥等の未調製か、ロースト・味付け・ペースト等の調製
      • 判断に必要な情報:焙煎、塩・油・砂糖、ペースト化の有無
      • 典型的な誤り:ローストナッツを第8類のまま扱う

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第20類が属する**第IV部(調製食料品、飲料等)**の部注として、用語「pellets(ペレット)」の定義が置かれています。 (wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第20類そのものでは頻出ではありませんが、同じ部の他章(第23類の飼料等)で「ペレット」形状の扱いに影響します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第20類より、むしろ第23類等で「ペレット」該当性が問題化しやすいです(第20類で直接“他章に飛ぶ”トリガーとしては、類注の方が重要です)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第20類は「植物由来の調製・保存品」ですが、第7類/第8類/第11類の基本処理の範囲にとどまるものは第20類にしない発想が明記されています。 (wcoomd.org)
    • 植物油脂(第15類)肉・魚介・昆虫等が一定割合を超える調製食料品(第16類)ベーカリー(1905)、**ホモジナイズ複合食品(2104)**などが除外されます。 (wcoomd.org)
    • 2007・2008は、砂糖菓子/チョコ菓子の形状のものを除外します(1704/1806)。 (wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • トマトジュース固形分(乾燥重量)7%:この条件に当たるトマトジュースは、例外的に2002側に整理されます。 (wcoomd.org)
    • 2007の「加熱調製(obtained by cooking)」:加熱により粘度を上げる等の調製を指す整理があります。 (wcoomd.org)
    • 2009の「アルコール無添加」:解釈上、アルコール度数0.5%を超えない範囲で捉える整理があります。 (wcoomd.org)
    • ホモジナイズ品(2005.10/2007.10):均質化され、密封容器・小容量(ネット重量上限)等の条件で定義されます。 (wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 第15類(植物油脂) (wcoomd.org)
    • 第16類(肉・魚介・昆虫等が一定割合超) (wcoomd.org)
    • 1905(ベーカリー) (wcoomd.org)
    • 2104(ホモジナイズ複合食品) (wcoomd.org)
    • 1704/1806(砂糖菓子/チョコ菓子形状の果実ゼリー等) (wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「肉・魚介・昆虫等が多い」=第16類に飛ぶ可能性
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 成分表(重量%)、レシピ、製造仕様、最終製品の配合比
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表/レシピ、原材料規格書、栄養成分表示の根拠、製造工程表
    • 誤分類の典型:
      • 「野菜が主役に見える」だけで2005等にしてしまい、実は肉が多い
    • 根拠:第20類注で一定割合超の調製食料品が除外される旨が示されています。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント2:砂糖菓子形状(1704/1806)を2007/2008に入れてしまう
    • 必要情報:
      • 形状(個片/キャンディ形状)、糖衣、チョコ掛け、販売形態(菓子コーナーか等)
    • 証憑:
      • 製品写真、商品規格書、包装表示(名称・用途)
    • 誤分類の典型:
      • “fruit jelly”の英語表示だけで2007に決める
    • 根拠:2007/2008の適用除外として1704/1806が明示されています。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント3:トマトジュースの固形分7%(2002へ)
    • 必要情報:
      • 乾燥重量%(分析表)、濃縮度、Brixや固形分の社内規格
    • 証憑:
      • 試験成績書(外部試験所)、メーカーの規格書
    • 誤分類の典型:
      • 「ジュース=2009」で固定し、濃いトマトジュース/濃縮品の例外を見落とす (wcoomd.org)
  • 影響ポイント4:ホモジナイズ(ベビーフード等)+容器重量
    • 必要情報:
      • 均質化の有無(裏ごし等)、容器の密封性、内容量(ネット重量)
    • 証憑:
      • 製造工程図、製品規格書、包装仕様(内容量)
    • 誤分類の典型:
      • ベビーフードっぽいが、容器が大きく条件外 → 2005.10/2007.10に誤投入 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント5:2009(果汁)の“非発酵/アルコール無添加”
    • 必要情報:
      • 発酵の有無、アルコール度数、添加アルコールの有無
    • 証憑:
      • 製造工程、分析表、ラベル表示
    • 誤分類の典型:
      • 微発酵飲料(発酵果汁系)を2009に入れる (wcoomd.org)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:冷凍ブロッコリー(無味付け)を2004で申告
    • なぜ起きる:冷凍=2004と短絡
    • 正しい考え方:単なる冷凍など“基本処理”にとどまるなら第7類側を優先する発想(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 仕様書で「加熱調理済みか/味付けか/ソース・油の付着」を確認
      • 社内質問例:「この商品は“解凍したらそのまま食べられる”状態ですか?」
  2. 間違い:トマトケチャップを2002
    • なぜ起きる:トマト加工=2002と思い込み
    • 正しい考え方:調味用ソースは第21類(2103)側に寄りやすい
    • 予防策:
      • 原材料(砂糖・酢・香辛料)と用途(調味料)を確認
      • 商品名ではなく“性格(ソースか)”で判断
  3. 間違い:フルーツグミ/ゼリー菓子を2007
    • なぜ起きる:“fruit jelly”の語感
    • 正しい考え方:砂糖菓子/チョコ菓子形状なら1704/1806に除外されうる(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 形状写真・販売形態・配合(ゼラチン等)を入手
      • 社内質問例:「これは“塗る/添える食品”か、“つまむ菓子”か?」
  4. 間違い:ローストナッツを第8類(生ナッツ)
    • なぜ起きる:原料がナッツだから
    • 正しい考え方:焙煎・味付け等で“調製”されていれば2008側
    • 予防策:焙煎工程・味付け(油、塩、砂糖)を確認
  5. 間違い:肉入り野菜調製品(例:ミートソース、肉入り豆煮込み)を2005
    • なぜ起きる:見た目が野菜主体
    • 正しい考え方:肉・魚介・昆虫等の割合で第16類に飛ぶ可能性(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 配合表の重量%を必ず入手(推測しない)
      • “肉の含有率は何%ですか?”を仕入先に質問
  6. 間違い:トマトジュース濃厚品を2009で固定
    • なぜ起きる:「ジュース=2009」
    • 正しい考え方:固形分7%の例外で2002側に整理される論点(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:分析表(乾燥重量%)を取得し、判定根拠を社内保存
  7. 間違い:ベビーフードっぽい製品を2007.10(ホモジナイズ)に入れるが容器重量条件を見落とす
    • なぜ起きる:用途(乳幼児用)だけで判断
    • 正しい考え方:均質化+密封+内容量などの条件を満たすか確認(類注/号注) (wcoomd.org)
    • 予防策:包装仕様(ネット重量)と工程(裏ごし等)を入手
  8. 間違い:「ジュース飲料」(加水・香料・炭酸)を2009
    • なぜ起きる:ラベルに“juice”がある
    • 正しい考え方:清涼飲料(第22類)側の検討が必要。発酵や度数も確認
    • 予防策:配合(加水比率、香料、炭酸)とアルコール度数の証憑を揃える (wcoomd.org)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。誤分類すると、適用すべきPSR自体がズレて原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品だけでなく、主要材料のHSも関係(CTH/CTSH、例外材料の扱い)
    • 2009(果汁)と2202(飲料)を取り違えると、PSRが大きく変わりやすい

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 例:
    • RCEPのPSR(Annex 3A)はHS2012に基づく旨が明記されています(日本税関の英語版資料)。 (税関ポータル)
    • 日本ではRCEP原産地証明に関して、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用する運用が案内されています(ただし一部の付録は移行完了までHS2012継続等の注意あり)。 (経済産業省)
    • CPTPP(TPP11)の関税譲許表/PSRはHS2012ベースで作られている資料が存在します(例:Tariff Schedule of Japan (HS2012))。 (内閣官房)
  • 実務注意:
    • **通関申告は“最新HS”**を使う一方、PSR検索は協定が採用するHS版で行う必要があります(税関ポータルでも注意喚起)。 (税関ポータル)
    • 旧→新対応は、WCO相関表を使って“6桁レベルでの橋渡し”を行い、協定の運用文書に従います。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須になりやすい情報:
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定が採用するHS版で)
    • 果汁製品なら:原料果汁の産地、濃縮/還元工程、糖類・添加物の有無
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 仕入書・製造記録・配合表・分析表(Brix、固形分、アルコール等)を、協定・国内制度の保存期間に従って保管

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(見出し)2009見出しが「果実又はナットのジュース(ココナッツウォーターを含む)…」のように整理され、ココナッツウォーター等の明確化が見られます(6桁体系自体は維持)。 (wcoomd.org)2009と2202の境界議論で、ココナッツウォーター等が2009側に位置づけられる説明材料になり得ます。
HS2017→HS2022文言修正(類注)第20類注除外規定の中で、植物油脂(第15類)の明示、また肉等の除外に昆虫が加わるなど、時勢に合わせた整理が見られます。 (wcoomd.org)植物油脂・昆虫入り製品などで「20類と思い込む」誤りの予防に有効。
HS2017→HS2022変更なし(番号体系)2001〜2009(6桁)WCO掲載のHS2017/HS2022の第20類(見出し・号)を比較すると、4桁・6桁の番号体系は同一で、主に注記・文言整理が中心です。 (wcoomd.org)システム改修は軽い一方、注記起因の判断(2009/2202等)に注意。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCOが公開するHS条文PDF(HS2017とHS2022の第20類)を参照しました。 (wcoomd.org)
  • これらを比較すると、2001〜2009の項/号の番号体系(4桁・6桁)は維持されている一方で、
    • 2009の見出しで「nut juices」「coconut water」の言及が入るなど、見出し文言の整理
    • 第20類注で植物油脂の明示や昆虫の言及など、注記の文言整理
      が確認できます。 (wcoomd.org)
  • したがって、「HS2017→HS2022で第20類は“コード番号の大改正”ではなく、“注記・見出しの明確化”が中心」と判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な流れ(HS2007→2012→2017→2022)で、第20類に関係する代表的な追加・削除・再編を整理します。

版の移行変更タイプ旧コード新コード変更の要旨(代表)参考
HS2007→HS2012削除(統合)2003.20(トリュフ)2003.90へ統合2003.20が削除され、きのこ・トリュフ系の整理が一本化(低取引量が理由として示される)(wcoomd.org)
HS2007→HS2012新設/改番2008.92(混合品)等2008.93(クランベリー)新設、2008.97へ改番 等クランベリー等を別建てにし、混合品の整理番号が変更された旨が示される(wcoomd.org)
HS2007→HS2012新設(分割)2009.80(その他単一果実/野菜汁)2009.81(クランベリー汁)新設、残部が2009.89へクランベリー汁を独立させた旨が示される(wcoomd.org)
HS2012→HS2017範囲変更(残余号の調整)2008.99(Other)2008.99(番号は同じ)12.11の範囲拡大に伴い、2008.99の一部が12.11へ移る可能性が示される(残余号のスコープ調整)(wcoomd.org)
HS2017→HS2022文言修正(注・見出し)番号体系は維持しつつ、2009見出しや類注の明確化が中心(wcoomd.org)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「トマトケチャップを2002で申告」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):実態がソース類(第21類側)なのにトマト加工(2002)と誤認
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “Tomato product” 等で曖昧
    • 典型的な影響:修正申告、関税差、説明資料の追加提出、同種品の照会増
    • 予防策:配合(香辛料・酢・砂糖)、用途(調味用)を仕様書で確認
  • 事例名:「フルーツグミを2007(ジャム等)で申告」
    • 誤りの内容:砂糖菓子形状のため1704/1806側の可能性(2007/2008の除外に触れる) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:“Fruit jelly”表記のみで判断
    • 典型的な影響:分類更正、食品表示・原産地規則の再確認
    • 予防策:形状写真・製品カテゴリー(菓子か)・チョコ被覆の有無を揃える
  • 事例名:「肉入り豆煮込みを2005で申告」
    • 誤りの内容:肉等の含有割合次第で第16類に飛ぶ可能性(類注の除外) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:具材が混ざるレトルト、ミールキット
    • 典型的な影響:追加納税、検査強化、次回以降のサンプル提出
    • 予防策:配合表(重量%)を入手し、境界は事前教示を検討
  • 事例名:「微発酵果汁飲料を2009で申告」
    • 誤りの内容:2009は非発酵・アルコール無添加の枠で整理される(0.5%論点) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:コンブチャ等の発酵系、自然発酵が起きうる製品
    • 典型的な影響:アルコール度数の再検査、分類変更、酒税等の論点(取引国による)
    • 予防策:工程(発酵工程の有無)と度数分析表を事前に確保

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法に基づく輸入届出:販売/営業用の食品等を輸入する場合、輸入者に届出義務があり、検疫所で審査・検査要否判断が行われます。 (厚生労働省)
    • 実務で準備しがちな資料(一般論):
      • 原材料・添加物情報、製造工程、成分規格、製造者情報、表示案(日本語ラベル)等
  • 植物検疫(植物防疫法)
    • 加工の程度により、植物検疫の対象にならないケースがあります(例:高度に加工されたもの、密閉された乾燥香辛料等)。 (農林水産省)
    • ただし、加工品でも対象となることがあるため、品目ごとに確認が必要です。
  • その他の許認可・届出
    • 食品表示(輸入加工食品):国内販売を想定するなら、食品表示基準に沿った表示(原材料・添加物・アレルゲン等)が必要になります(消費者庁ガイド参照)。 (内閣官房デジタル庁)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
  • 実務での準備物(一般論)
    • HS分類:仕様書、写真、成分表、製造工程、用途説明(販売資料)
    • 規制:添加物規格、原産地、衛生証明(必要な場合)、ラベル案

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料と配合比(重量%)
    • 加工工程(加熱、発酵、冷凍、味付け)
    • 保存手段(酢/酢酸、砂糖、油、塩、密封)
    • 形状(菓子形状か、ソースか、ジュースか)
    • 必要なら分析(Brix、固形分、アルコール)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第20類注の除外(15類、16類、1905、2104、1704/1806)に触れていないか (wcoomd.org)
    • 2009の場合:非発酵・アルコール・加水/香料の有無
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名が抽象的(“prepared food”)になっていないか
    • 内容量、容器形態、保存方法が分かる資料を添付できるか
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定採用HS版でPSR確認(税関ポータルの注意喚起どおり) (税関ポータル)
    • 材料HS、原産国、工程、RVC計算の前提資料
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 Chapter 20(0420_2022e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO HS2017 Chapter 20(0420_2017e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2007→HS2012(Table I)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2012→HS2017(Table I)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Section IV Note(0400_2022e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:品目別原産地規則ポータル(HS版の違いに関する注意喚起、相関表リンク)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 税関:事前教示回答(品目分類)検索(制度案内)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 税関:Eメールを利用した事前教示制度(品目分類)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法に基づく輸入届出)参照日:2026-02-16 (厚生労働省)
    • 植物防疫所:輸入植物検疫の対象とならない植物(高度加工品等)参照日:2026-02-16 (農林水産省)
    • 消費者庁:食品表示ガイド(加工食品等の表示)参照日:2026-02-16 (内閣官房デジタル庁)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:Product-Specific Rules(Annex 3A)がHS2012ベースである旨(日本税関資料)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • RCEP:2023-01-01以降のPSRをHS2022で扱う旨(経済産業省案内)参照日:2026-02-16 (経済産業省)
    • CPTPP:Tariff Schedule of Japan (HS2012)(TPP関連資料)参照日:2026-02-16 (内閣官房)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品写真(外装・中身・ラベル)
    • ②原材料一覧と配合比(重量%)
    • ③製造工程(加熱・発酵・冷凍・味付け・密封)
    • ④用途(そのまま食べる/調味用/飲料等)
    • ⑤(果汁・濃縮等)分析値:Brix、固形分、アルコール度数
  • 探し方
    • 税関の**「事前教示回答(品目分類)」検索**で、類似品の公開事例をキーワード検索できます。 (税関ポータル)
    • 個別案件は、税関が案内する手続(Eメール活用等)に沿って照会します。 (税関ポータル)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第19類:穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリー製品 Preparations of cereals, flour, starch or milk; pastrycooks’ products 

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 乳幼児用の調製食料品(小売用)→ 1901.10(例:ベビーフード用シリアル、粉ミルク系の調製品)
    • **ミックス・ドウ(生地)**で、ベーカリー製品(1905)を作るためのもの → 1901.20(例:ホットケーキミックス、ピザ生地の未加熱品)
    • パスタ・めん類・クスクス → 1902(例:スパゲッティ、マカロニ、即席めん、ラビオリ等の詰物パスタ、クスクス)
    • タピオカパール等(でん粉から調製、粒・フレーク等)→ 1903.00
    • 朝食用シリアル/穀物を膨張・焙焼・前加熱等で調製したもの → 1904(例:コーンフレーク、グラノーラ、プレクック米)
    • パン・菓子・ビスケット等のベーカリー製品 → 1905(例:パン、ケーキ、クッキー、ワッフル、ライスペーパー等)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 肉・魚介・昆虫等の含有量が全重量の20%超の調製食料品(※1902の詰物パスタを除く)→ 第16類
    • ココア高含有
      • 穀粉・でん粉等ベースで、完全脱脂ココア換算で40%以上1806
      • 0401〜0404ベースで、完全脱脂ココア換算で5%以上1806
    • 1904系の穀物調製品で、完全脱脂ココア換算で6%超またはチョコ等(1806)で完全被覆1806
    • 動物飼料用に特に調製したビスケット等2309
    • 医薬品等第30類
    • **コーヒー代用物(焙煎穀物など)**は、形態・表示・包装によって 2101 側に寄ることがあります(例:ティーバッグ入り等)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「製品(1905)」か「ミックス・生地(1901.20)」か(ピザ生地が典型)
    • ココア含有量の閾値(40%/5%/6%、しかも「完全脱脂ココア換算」)
    • 肉・魚介・昆虫等が20%超か(※詰物パスタ例外あり)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • FTA/EPA原産地(PSR):HS付番を誤ると、適用すべきPSR自体が変わり、原産性判断が崩れます(再発給・追徴・否認リスク)。
    • 1901 vs 2106(砂糖・甘味料の比率が高い粉末ミックス等)で税率や規制・統計が変わりやすいです。

1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか

1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:見出し(項の文言)と**注(類注・部注)**でまず当てに行きます。第19類は注の「除外(20%肉等、ココア閾値)」が強力で、ここを外すとズレます。
    • GIR6:6桁(号)は、同一項内で**「卵入り」「詰物」「穀物の加工形態」「ビスケット類」**などの性質で分かれます(1902/1904/1905が典型)。
    • GIR3(b):セット/混合(例:めん+スープ添付、穀物+茶葉混合など)は「本質的特性」で判断する場面が出ます(後述:即席めん、玄米茶)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 成分:穀物・粉・でん粉・乳製品の割合、肉・魚介・昆虫等の含有量、ココア量、砂糖・甘味料比率
    • 加工度:膨張・焙焼・前加熱調理の有無(1904)、焼成済みか(1905)
    • 形状:粒/フレーク/粉末/めん状/パン状など(1902/1903/1904/1905の分かれ目)
    • 包装・表示・用途:ティーバッグ入りか、調味料添付か、乳幼児用表示か、動物飼料用に特化か

1-2. 判定フロー 疑似フローチャート

  • Step1:「調製食料品」か
    • 食用の調製品・ベーカリー製品なら第IV部(第16〜24類)側を検討。
  • Step2:第19類の入口チェック
    • 穀物・粉・でん粉・ミルク由来の調製品、またはベーカリー製品なら第19類が候補。
  • Step3:注で“落とす”(除外判定)
    • 肉・魚介・昆虫等が20%超(※詰物パスタ1902を除く)→ 第16類へ
    • ココア含有が閾値超(1901は40%/5%、1904は6%や完全被覆)→ 1806へ
    • 動物飼料用ビスケット → 2309へ、医薬品 → 第30類へ
  • Step4:項(4桁)を決める
    • めん・パスタ・クスクス → 1902
    • タピオカパール等 → 1903
    • 膨張/焙焼シリアル、前加熱穀物等 → 1904
    • 焼成したパン・菓子・ビスケット等 → 1905
    • 上記以外の粉・でん粉・乳製品由来の調製品、ベーカリー用ミックス・生地 → 1901
  • Step5:号(6桁)で絞る(卵/詰物/形態など)
  • よく迷う境界:
    • 1901 vs 1905:ミックス・生地か、焼成済みの製品か(ピザで頻出)
    • 1904 vs 2101:玄米茶・焙煎穀物系(割合・形態・包装)
    • 1901 vs 2106:砂糖・甘味料の比率が高い粉末ミックス
    • 1904 vs 1806:チョコ被覆・ココア6%超のシリアル系

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1901麦芽エキス、穀粉・でん粉・乳製品由来の調製食料品、ベーカリー用ミックス/生地乳幼児用調製品、ホットケーキミックス、グラタン/ソース用粉、未加熱ピザ生地などココア閾値(粉系40%未満/乳系5%未満)を超えると1806へ。ミックス/生地(1901.20)と焼成品(1905)を混同しない。
1902パスタ、めん類、詰物パスタ、クスクススパゲッティ、マカロニ、即席めん、ラビオリ、クスクス「詰物パスタ」は肉等20%超でも第19類に残る例外。即席めんは1902.30の概念整理が重要(冷凍・冷蔵は除外など)。
1903タピオカ(でん粉から調製、粒・フレーク等)タピオカパール、タピオカフレークでん粉由来で、粒・真珠状など特有の形態。単なるでん粉(第11類)等との切り分けが必要。
1904穀物の膨張・焙焼品、穀粒/フレーク等の前加熱調理・その他の調製品コーンフレーク、オートミール系朝食シリアル、プレクック米、玄米茶(条件あり)ココア6%超またはチョコ完全被覆は1806。砂糖がけで砂糖菓子性→1704の可能性。玄米茶は割合で1904/2101が分かれやすい。
1905パン、菓子、ケーキ、ビスケット等のベーカリー製品、ライスペーパー等食パン、クッキー、クラッカー、ケーキ、ワッフル、ピザ(焼成済み)焼成済みが基本。肉等20%超は第16類へ飛ぶ可能性(製品次第)。ココア有無は問わない。

2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐

  • 分岐条件の整理
    • 1901
      • 1901.10:乳幼児向け・小売包装(表示・用途・形態が鍵)
      • 1901.20:1905製品を作るためのミックス・生地(未加熱のピザ生地などが例)
      • 1901.90:その他(ただしHS2022では“外へ動いた”ものがある=後述)
    • 1902
      • 1902.11 / 1902.19:未調理・非詰物で「卵入り」か否か
      • 1902.20:詰物パスタ(肉等の含有が多くても例外的に19類)
      • 1902.30:その他パスタ(即席めん等がここに来るケースが多い)
      • 1902.40:クスクス
    • 1904
      • 1904.10:穀物等の膨張・焙焼品(例:コーンフレーク等)
      • 1904.20:未焙焼フレーク由来や混合フレーク等
      • 1904.30:ブルガー小麦
      • 1904.90:その他(HS2022で“外へ動く”可能性が増えた=昆虫等)
    • 1905
      • 1905.31:スイートビスケット、1905.32:ワッフル/ウエハー、1905.10/20/40/90:その他の類型
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
    • 1901.20(ミックス/生地) vs 1905(焼成済みベーカリー製品)
      • どこで分かれるか:未加熱の生地・ドウか、焼成・加熱済み製品
        例:未調理ピザは1901.20寄り、事前に生地を加熱したものや完成ピザは1905寄りの考え方が示されています。
      • 判断に必要な情報:製造工程(焼成の有無)、輸入形態(冷凍/冷蔵/常温)、商品写真、商品規格書
      • 典型的な誤り:「ピザ=1905」と決め打ちして、生地段階を見落とす
    • 1901(粉・穀粉調製品) vs 2106(その他の調製食料品)
      • どこで分かれるか:日本実務の一例として、砂糖その他甘味料が70%以下→1901、70%超→2106という取り扱い基準が示されています。
      • 判断に必要な情報:配合比(砂糖・甘味料の種類含む)、BOM、分析表
      • 典型的な誤り:粉末ミックスを全部1901に入れてしまう
    • 1904(穀物調製品) vs 2101(茶・コーヒー等の調製品)
      • どこで分かれるか:玄米茶は、玄米(花含む)が50%以上→1904、50%未満→2101という整理が示されています。
      • 判断に必要な情報:玄米と茶葉の配合比、商品名・表示、用途説明
      • 典型的な誤り:「お茶=2101」で固定してしまう
    • 1902.30(即席めん等) vs 1902.11/1902.19(未調理パスタ)
      • どこで分かれるか:即席めんは、調味料添付または味付け済みで、簡便な調理で食用、かつ冷凍・冷蔵ではない等の条件で概念整理されています。
      • 判断に必要な情報:調味料の添付有無、保存形態(常温/冷凍/冷蔵)、調理方法、製品仕様
      • 典型的な誤り:乾麺=全部「未調理パスタ」側に寄せる
    • 1904(穀物調製品) vs 1806(ココア調製品)
      • どこで分かれるか:1904はココア6%超(完全脱脂換算)やチョコ等で完全被覆を除外し1806へ。
      • 判断に必要な情報:ココア分析(完全脱脂換算)、被覆の状態(全体被覆か)、原材料表
      • 典型的な誤り:シリアルバーを見た目で1904に入れる

3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味

3-1. 関連する部注 Section Notes

  • ポイント要約:
    • 第IV部の部注として、用語「pellets(ペレット)」の定義(結着剤3%以下等)が置かれています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第19類そのものは主に粉・焼成品が中心ですが、**第23類(飼料等)**側で「ペレット」の概念が効く場面があります。第19類の除外(動物飼料用ビスケット→2309)に落ちた後、2309内で形態がペレットか否かが論点になる可能性があります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第19類→2309へ飛ぶ(動物飼料用に特に調製したビスケット等)

3-2. この類の類注 Chapter Notes

  • ポイント要約:
    • 注1:除外(20%肉等、動物飼料用ビスケット、医薬品)
    • 注2:1901の「ひき割り(groats)」「粉(flour/meal)」の定義(特定の植物粉は除外)
    • 注3:1904の除外(ココア6%超、チョコ等で完全被覆 → 1806)
    • 注4:1904の「その他の調製」の意味(第10類/第11類の加工度を超える)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「その他の調製をしたもの」(1904)=第10類または第11類で想定する加工度を超える調製・加工。
    • ココア含有量(注3、及び1901の見出し文言)について、日本税関解説ではテオブロミン+カフェインの合計×31で算定する旨が示されています(実務上、分析・算定方法の確認が重要)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 肉・魚介・昆虫等20%超(※1902詰物パスタ除く)→ 第16類
    • 動物飼料用ビスケット等 → 2309
    • 医薬品等 → 第30類
    • 1904のココア6%超・完全被覆 → 1806
    • 1901のココア閾値超(40%/5%)→ 1806(解説で明示)

4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:肉・魚介・昆虫等の20%ルールで第16類へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 肉、くず肉、血、魚、甲殻類、軟体動物、その他水棲無脊椎動物、昆虫類の合計重量比
      • 詰物パスタ(1902.20)か否か(例外)
    • 現場で集める証憑:
      • レシピ(配合表)、BOM、原材料規格書、分析表、製造工程図、商品写真
    • 誤分類の典型:
      • ミートパイ/肉入り菓子パン等を、見た目で1905に入れる(実際は肉等比率次第で16類へ)
  • 影響ポイント2:ココア閾値・完全脱脂換算・被覆の有無で1806へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 1901:完全脱脂ココア換算で40%未満(粉系)/5%未満(乳系)か
      • 1904:完全脱脂ココア換算で6%超か、1806のチョコ等で完全に覆われている
      • ココア算定方法(日本税関解説:テオブロミン+カフェイン×31)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、分析成績書(ココア換算根拠がわかるもの)、原材料表、被覆状態が分かる写真
    • 誤分類の典型:
      • チョコがけシリアル・バーを1904にしてしまう(注3で1806へ)
  • 影響ポイント3:1904の「その他の調製」概念で、第10類/第11類との境界が動く
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 単なる製粉・圧ぺん等(第10/11類で想定)を超えて、前加熱調理・膨張・焙焼・調味付けなどがあるか
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程(加熱・乾燥条件)、規格書、用途説明(朝食用等)
    • 誤分類の典型:
      • 「穀物=第10類」と早合点し、プレクック米・朝食用シリアルを見落とす

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:ピザを全部1905にしてしまう
    • なぜ起きる:品名が「ピザ」だと焼成品のイメージが強い
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):未調理(未加熱)のピザ生地段階は、ミックス・生地(1901.20)側で検討し、焼成済みは1905側で検討する整理が示されています。
    • 予防策:工程(焼成の有無)、輸入時の状態(冷凍/常温)、写真、商品説明書を必ず回収
  2. 間違い:チョコがけシリアル/シリアルバーを1904に入れる
    • なぜ起きる:主原料が穀物=1904と思い込み
    • 正しい考え方:1904は、ココア6%超(完全脱脂換算)や1806チョコ等で完全被覆したものを除外し、1806へ飛ぶ注があります。
    • 予防策:被覆状態の写真、配合比、ココア算定根拠(分析)を事前に取得
  3. 間違い:肉入りの菓子パン/パイを1905に固定
    • なぜ起きる:「パン・パイ=1905」の固定観念
    • 正しい考え方:肉・魚介・昆虫等が合計20%超なら、原則第16類へ(ただし詰物パスタ1902は例外)。
    • 予防策:肉等の含有量(重量比)をBOMで明確化、詰物パスタ例外の該当性も確認
  4. 間違い:粉末ミックス(甘味料多)を全部1901に入れる
    • なぜ起きる:「粉=1901」の短絡、砂糖割合の確認不足
    • 正しい考え方:日本実務の一例として、砂糖その他甘味料が70%超なら2106側になる基準が示されています。
    • 予防策:甘味料の総量(種類も含む)を配合表で管理し、判断基準に照らす
  5. 間違い:即席めんを「乾麺=未調理パスタ」側(1902.11/1902.19)に寄せる
    • なぜ起きる:形状が麺で同じ、調味料添付の意味を軽視
    • 正しい考え方:即席めんは、調味料添付/味付け、簡便な調理で食用、冷凍・冷蔵でない等の条件で概念整理されています(1902.30の範囲理解が重要)。
    • 予防策:調味料の有無、保存温度帯、調理手順を商品仕様書で明確化
  6. 間違い:玄米茶を「茶=2101」で固定
    • なぜ起きる:販売上のカテゴリー(お茶)で分類してしまう
    • 正しい考え方:玄米(花含む)が50%以上なら1904、50%未満なら2101という整理が示されています。
    • 予防策:配合比(玄米・茶葉)を取得し、「本質的特性」を説明できる資料を準備
  7. 間違い:焙煎麦(麦茶原料)を無条件に「コーヒー代用物(2101)」へ
    • なぜ起きる:焙煎穀物=コーヒー代用物と思い込み
    • 正しい考え方:ティーバッグ入り等「コーヒー代用物」としての明確性がある場合に2101寄りになり、バルクは19類寄りという整理が示されています。
    • 予防策:包装形態(ティーバッグ/バルク)、表示(用途)、販売形態の資料を確保
  8. 間違い:ココア含有量を「原材料表示」だけで判断
    • なぜ起きる:完全脱脂換算や算定方法の理解不足
    • 正しい考え方:日本税関解説では、テオブロミン+カフェイン×31でココア換算する旨が示されています(分析が必要な場面あり)。
    • 予防策:ココア換算の算定根拠(分析成績書、算定式)を用意

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第19類は、同じ「食品」でも1901/1904/1905/2106などでPSRが変わりやすく、誤分類=誤った原産性判断になりがちです。
  • よくある落とし穴
    • 最終製品は第19類でも、材料(砂糖・乳製品・ココア等)のHSが別章になり、CTC判定が変わる
    • 「調製の程度」や「本質的特性」の説明不足で、HSがぶれてPSRが揺れる

6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012/2017/2022のズレ

  • CPTPP
    • PSRはHS2012で最終化された旨がガイドで示されています。
  • RCEP
    • 品目別規則(Annex 3A)はHS2012に基づくと明記されています。
    • ただし、RCEPでは**HS2022へ技術的更新(transposed PSR)**した版を採択し、2023-01-01から適用する旨が公表されています(運用上、どの版を参照するか要確認)。
  • 日EU EPA
    • EU側情報では、日EU EPAの関税上の分類はHS2017コードを用いる旨が示されています(PSRも同じ版前提で確認するのが安全です)。
  • 日英EPA(UK-Japan CEPA)
    • 英国政府・JETRO資料で、PSRがHS2017に基づく旨が示されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず**通関用(現行)**のHS(例:HS2022、かつ国内コード)を確定
    • 次に、協定参照HS版(HS2012/2017等)でPSRを引くために、WCO相関表や各当局の対応表で紐付ける
    • 相関が「ex(部分)」になる場合は、コードだけでなく品名・範囲で一致させる(安易な機械変換は危険)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 必須データ
    • 材料表(BOM/レシピ)、原価、工程(加熱・焙焼・乾燥等)、原産国、非原産材料のHS(協定参照版で)
    • ココア・乳・砂糖の含有比率(第19類は境界が比率で動きやすい)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 供給者宣誓、製造工程説明、成分表、インボイス・B/L等、協定に沿った保存(社内規程化推奨)
    • HS版ズレの説明資料(相関表、技術的更新資料)を添付できるようにする

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠

7-1. 変更点サマリー

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更1901.90(ex)ヨーグルトに穀物・ベーカリー製品等を加えたものが、乳製品側の新サブヘディング(0403.20)へ移る等により、1901.90の範囲が狭くなった旨が相関表で示されています。乳系+穀物入り製品を1901.90と決め打ちすると誤りになり得る。
HS2017→HS2022範囲変更1901.90(ex)、1904.90(ex)昆虫を20%超含む調製品が第16類側へ移る等で、1901.90/1904.90の範囲が狭くなる旨が相関表で示されています。“昆虫入りシリアル”など新商品で分類が動く。肉等20%ルールの対象に「昆虫」が明記される点に注意。
HS2017→HS2022文言修正・明確化(関連類注)第18類注(影響は1902にも)HS2017では第18類注が1902を除外しておらず、ココア含有パスタが18類・19類どちらにも分類し得る状態があったが、HS2022で第18類注に1902を除外する旨を規定して明確化した、という趣旨の説明が示されています。ココア含有パスタ等の境界で、章間の優先関係が明確化。

7-2. 違うことになった根拠

  • 参照した根拠資料
    • WCOのHS2017↔HS2022相関表(Table I)で、1901.90や1904.90の範囲が「ex(部分)」扱いとなり、ヨーグルト関連の移動や昆虫関連の移動により範囲が狭くなった旨が説明されています。
    • HS2022の第19類注(条文)では、除外対象に「insects(昆虫)」が含まれています。
    • 日本税関のHS2022改正解説資料で、第18類注に1902を除外する規定を追加して分類の重複可能性を解消する趣旨が示されています。
  • どう判断したか(文章)
    • 相関表の「ex」は「同じ6桁でも範囲が一部だけ移った/範囲が変化した」ことを意味するため、HS2022では1901.90・1904.90の中身が一部外へ動いていると判断しました(ヨーグルト系、昆虫含有の調製品など)。
    • また、HS2022条文で第19類注の除外対象に昆虫が含まれるため、肉・魚介と同様に“20%超”判定が必要になる領域が拡張したと整理しました。
    • さらに、章間(第18類と第19類)の優先関係について、日本税関資料がHS2022での条文整備を説明しているため、ココア含有パスタ等の扱いが明確化されたと判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れ(第19類の大枠)
    • HS2007時点でも第19類は1901〜1905の構成で、注(20%肉等、1904のココア6%除外等)も同様の枠組みで掲載されています。
    • HS2022でも同じく1901〜1905の構成です。
  • 主要な追加・削除・再編(可能な範囲)
    • HS2007→HS2022で、見出し構成(1901〜1905)は維持されつつ、HS2022では相関表が示す通り1901.90/1904.90の範囲が一部変更(ヨーグルト系の移動、昆虫関連の移動)となっています。
  • 旧コード→新コード(代表的な“行き先”)
    • 1901.90(2017の一部)→ 0403.20(2022の新サブヘディング側へ)という移動が示されています(ヨーグルト関連)。
    • 昆虫20%超含有の調製品:1901.90/1904.90等の一部 → 1602.90(第16類)へ移る旨が示されています。
  • 補足
    • HS2012/2017の第19類内の細かな変遷(6桁単位)は、案件ごとにWCO相関表での確認が安全です(“ex”の有無が重要)。

9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:肉入りパイを1905で申告してしまう
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第19類注1(a)(肉等20%超は第16類へ)
    • 起きやすい状況:商品名が「パイ」「パン」で、肉の比率(重量)が把握できていない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:配合表で肉等比率を確定し、境界品は事前教示を検討
  • 事例名:チョコがけシリアルバーを1904で申告
    • 誤りの内容:第19類注3(ココア6%超・完全被覆は除外)
    • 起きやすい状況:主原料が穀物で「シリアル」と認識、被覆やココア換算を未確認
    • 典型的な影響:コード変更、税率差による追徴、表示・規制確認のやり直し
    • 予防策:被覆写真、配合比、ココア分析(完全脱脂換算)を準備
  • 事例名:甘味料比率が高い粉末ミックスを1901で申告
    • 誤りの内容:1901と2106の境界(甘味料70%超の扱い)
    • 起きやすい状況:BOMが輸出者側でブラックボックス、糖アルコール等の扱いを見落とす
    • 典型的な影響:統計・関税・原産地PSRへの影響、差戻し
    • 予防策:甘味料総量(種類含む)を取得し、基準に当てはめる
  • 事例名:玄米茶を2101固定で申告
    • 誤りの内容:本質的特性(玄米割合)に基づく取り扱いを見落とす
    • 起きやすい状況:社内カテゴリが「茶」だけで管理
    • 典型的な影響:HS差異によりPSR・関税率・統計が変わる
    • 予防策:配合比と説明資料(仕様書、配合表)を整備

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品衛生法に基づく輸入届出:販売・営業用の食品等を輸入する場合、検疫所に輸入届出が必要で、届出なしでは販売・営業使用できない旨が示されています。
    • 動物検疫(該当する場合)
      • 乳・乳製品が含まれる(1901など)場合、動物検疫所による乳製品の検疫が必要になるケースがあります(輸入検査申請、証明書提出等)。
    • 植物検疫(該当する場合)
      • 植物由来品でも、高度に加工され病害虫付着のおそれがない加工品等は植物検疫の対象外になり得る旨が示されています。加工度・形態によるため、案件ごとに植物防疫所情報で確認が必要です。
    • その他
      • 食品表示・アレルゲン表示などは国内流通段階で別途要件が発生し得ます(本資料では一般論に留めます)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 厚生労働省(輸入食品監視・食品等輸入手続)
    • 農林水産省 動物検疫所(乳製品)
    • 農林水産省 植物防疫所(植物検疫の要否)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 原材料表、製造工程、成分規格、衛生証明書(必要な場合)、検査成績書(必要な場合)、ラベル案、写真

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料一覧+配合比(重量%)、肉・魚介・昆虫等の比率、ココア換算根拠、砂糖/甘味料比率
    • 加工工程(焼成・焙焼・膨張・前加熱調理・乾燥)、最終形態(粉・粒・フレーク・めん・パン)
    • 包装形態(ティーバッグ、調味料添付、乳幼児用小売包装)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1:肉等20%超か(詰物パスタ例外の該当性含む)
    • 注3:1904のココア6%・被覆要件
    • 1901と2106の境界(甘味料比率、用途)
    • 玄米茶など混合品は本質的特性(割合)を説明できるか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「pasta」「baking mix」「breakfast cereal」等の機能・形態を反映
    • 仕様書・カタログ・写真を添付可能に(境界品ほど重要)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定参照HS版(CPTPP/RCEP=HS2012、日EU/日英=HS2017等)を確認し、相関表で整合
    • BOM、原価、工程証憑、サプライヤー宣誓の保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生法の輸入届出(検疫所)
    • 乳製品があれば動物検疫所(MAFF)
    • 植物検疫の要否(加工度で対象外になり得るが、必ず確認)

12. 参考資料 出典

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS Nomenclature 2022 Chapter 19(条文:注・見出し) (参照日:2026-02-16)
    • HS Nomenclature 2022 Section IV Note(pellets定義) (参照日:2026-02-16)
    • Correlation Tables HS 2017–2022 Table I(1901.90/1904.90の範囲変更等) (参照日:2026-02-16)
    • HS Nomenclature 2007 Chapter 19(旧版の構成確認) (参照日:2026-02-16)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説」第19類(ココア換算等の実務的説明) (参照日:2026-02-16)
    • 税関「分類例規」第19類(砂糖比率70%、即席めん、玄米茶等の取扱い) (参照日:2026-02-16)
    • 税関 HS2022改正解説資料(第18類注の明確化等) (参照日:2026-02-16)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:PSRがHS2012で最終化された旨(ガイド) (参照日:2026-02-16)
    • RCEP:Annex 3AがHS2012に基づく旨、およびHS2022へ技術的更新されたPSRの適用(公表資料) (参照日:2026-02-16)
    • 日EU EPA:HS2017コード利用(EU Access2Markets) (参照日:2026-02-16)
    • 日英EPA(UK-Japan CEPA):PSRがHS2017基準(英国政府・JETRO) (参照日:2026-02-16)
    • 日本税関:協定により参照HS版が異なる旨(注意喚起) (参照日:2026-02-16)
  • 規制(輸入手続)
    • 厚生労働省:食品衛生法に基づく輸入手続・輸入届出 (参照日:2026-02-16)
    • 農林水産省 動物検疫所:乳製品の検疫 (参照日:2026-02-16)
    • 農林水産省 植物防疫所:植物検疫の対象外となる加工品の考え方 (参照日:2026-02-16)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第17類:糖類及び砂糖菓子(Sugars and sugar confectionery)実務向け整理

用語は次のとおり統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
なお、HSは6桁(号)までが国際共通で、7桁目以降は各国の国内細分(国内コード)です。日本の統計品目番号(9桁)などは国内コードです。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • サトウキビ糖・てん菜糖、純粋しょ糖(固形)(例:グラニュー糖、角砂糖、氷砂糖)=主に1701
    • 乳糖(ラクトース)・ぶどう糖(グルコース)・果糖(フルクトース)、それらのシロップ(無香味・無着色)=主に1702
    • 糖蜜(モラセス)=1703
    • 砂糖菓子(ココアを含まないもの:キャンディ、グミ等)、チューインガム、(括弧書きで)ホワイトチョコレート=1704
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • ココアを含む砂糖菓子・チョコレート菓子 → 第18類 1806(類注の除外)
    • 化学的に純粋な糖で、しょ糖・乳糖・麦芽糖・ぶどう糖・果糖以外(例:キシロース等)→ 第29類 2940(類注の除外)
    • 医薬品・医薬用途の製品(例:医薬的効能を標榜するトローチ等)→ 第30類(類注の除外)
    • 天然はちみつ → 第4類 0409(1702の「人工はちみつ」と混同注意)
    • 砂糖を含むが「菓子」ではない加工食品(例:飲料・ソース・調製品)→ 第20〜22類や第21類(用途・性状次第)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 固形のしょ糖(1701)か/その他の糖・シロップ(1702)か(固形か、糖の種類・組成は何か)
    2. 砂糖菓子(1704)か/ココア含有で18類(1806)か(原材料にココアがあるか)
    3. 1702のシロップ類は“乾燥状態での果糖%”で号が分かれる(<20%、20〜<50%、>50%、インバートシュガー等)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 日本では砂糖・異性化糖・加糖調製品に関して、**価格調整制度(調整金の徴収等)**が絡む場合があり、コード誤りがコスト・申告修正・契約条件(DDP等)に波及しやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIRは、まず**GIR1(見出しと注で決める)**です。第17類は、類注(除外)と見出し文言で範囲が比較的明確です。
  • 次に**GIR6(6桁の分岐)**が重要です。たとえば1701の「原糖」定義(旋光度/しょ糖含有)や、1702の「乾燥状態の果糖%」など、注(Subheading Notes)に基づく数値条件で号が変わります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 糖の種類(しょ糖/乳糖/ぶどう糖/果糖/混合/人工はちみつ/キャラメル)
    • 状態(固形か、シロップか)
    • 添加(香料・着色料の有無。1702のシロップは“無香味・無着色”が基本条件)
    • 菓子かどうか(“砂糖菓子”の性状:そのまま嗜好品として食べる体裁か)
    • ココアの有無(1704 vs 1806)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:その品は「糖そのもの」か「糖を主とする菓子」か?
    • 糖そのもの(原料糖、糖粉、糖シロップ、糖蜜)→ Step2へ
    • 菓子(ガム・キャンディ・グミ・ホワイトチョコ等)→ Step4へ
  • Step2:糖そのものの場合、固形のしょ糖か?
    • しょ糖(固形)中心 → 1701候補
    • それ以外(乳糖・ぶどう糖・果糖、各種糖シロップ、人工はちみつ、キャラメル等)→ 1702候補
  • Step3:1701/1702の6桁分岐を詰める
    • 1701:原糖(1701.12/13/14)か、着色/香味付け(1701.91)か、その他(1701.99)か
    • 1702:乳糖99%要件、乾燥状態での果糖%、インバートシュガー除外などを確認
  • Step4:菓子の場合、ココアを含むか
    • ココアを含む → 1806へ(第17類は類注で除外)
    • ココアを含まない → 1704へ(ガムは1704.10、その他は1704.90)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第17類(1704) vs 第18類(1806):ココア有無
    • 第17類(1702のシロップ) vs 第21類(調製食料品):香味・着色の有無/用途(飲料ベース等)
    • 第17類(1704) vs 第30類:医薬品としての性格(効能標榜・有効成分・用法用量表示など)

2. 主な項(4桁)とその内容

第17類の4桁見出し(項)は実務上も少数で、基本は全列挙で十分です。

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1701サトウキビ糖・てん菜糖、純粋しょ糖(固形)グラニュー糖、角砂糖、氷砂糖、着色糖固形が前提。原糖の判定は注の定義(旋光度/しょ糖含有)に依存。着色/香味付けは別号。
1702その他の糖(乳糖・麦芽糖・ぶどう糖・果糖等)、糖シロップ(無香味無着色)、人工はちみつ、キャラメル乳糖粉、コーンシロップ、HFCS、メープルシロップ、人工はちみつ、カラメル1702のシロップは無香味・無着色が基本。6桁は**乾燥状態の果糖%**等で分岐。
1703糖の抽出・精製で生じる糖蜜(モラセス)サトウキビ糖蜜、ビートモラセス「糖蜜」であること(製造工程由来)を説明できる資料が重要。
1704ココアを含まない砂糖菓子(ガム含む、ホワイトチョコ含む)チューインガム、キャンディ、グミ、ホワイトチョコココア含有は除外(1806へ)。臨床試験キット等の特殊品は別章へ移る場合あり。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 1701(しょ糖・固形)
      • 「原糖」の定義:乾燥状態のしょ糖含有(旋光度で表される基準)で判断します。
      • 1701.13は「遠心分離なしのサトウキビ糖」等、製法・性状要件があるため、製造工程情報が必須です。
    • 1702(その他の糖・シロップ)
      • 乳糖は「乾物換算で99%以上」など含有率要件があります。
      • ぶどう糖シロップ/果糖シロップは「乾燥状態での果糖重量%」が鍵(<20、20〜<50、>50、インバートシュガー除外等)。
    • 1704(砂糖菓子)
      • ガム(1704.10)かその他(1704.90)か。
      • ココア有無で18類に飛びます(類注除外)。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1704.90(ココアなし砂糖菓子) vs 1806(ココア入り菓子)
      • どこで分かれるか:原材料に**ココア(粉、ペースト等)**が入るか。
      • 判断に必要な情報:配合表、原材料表示、製造仕様書。
      • 典型的な誤り:「チョコ味=ココア入り」と早合点、または逆に微量ココアを見落とし。
    2. 1702.30 vs 1702.40(ぶどう糖/ぶどう糖シロップ:果糖%の閾値)
      • どこで分かれるか:乾燥状態の果糖が20%未満か、20%以上50%未満か。
      • 判断に必要な情報:分析表(乾物換算の果糖%)、水分、算定根拠。
      • 典型的な誤り:液体の“そのまま濃度”で果糖%を見てしまい、乾物換算にしていない。
    3. 1702.60 vs 1702.90(果糖シロップ/インバートシュガー等)
      • どこで分かれるか:乾燥状態の果糖が50%を超えるか、**インバートシュガーやブレンド(50%果糖のものを含む)**か。
      • 判断に必要な情報:糖組成(果糖/ぶどう糖/しょ糖)、インバートか否か、製法。
      • 典型的な誤り:HFCSとインバートシュガーを混同。
    4. 1701.13 vs 1701.14(原糖の中のサトウキビ糖)
      • どこで分かれるか:1701.13は「遠心分離なしのサトウキビ糖」等、注で要件が限定されます。
      • 判断に必要な情報:製造工程(遠心分離の有無)、しょ糖含有(旋光度)、外観/結晶性状。
      • 典型的な誤り:「黒糖/パネラ=1701.13」と決め打ちして、工程・旋光度を確認しない。
    5. 1704.90(砂糖菓子) vs 3006.93(臨床試験用のプラセボ等)(HS2022で特に注意)
      • どこで分かれるか:医薬品の臨床試験で使う「プラセボ/盲検キット」で、計量投与形態等の要件に当たるか。
      • 判断に必要な情報:用途(臨床試験か)、梱包形態(計量投与)、ラベル、治験関連書類。
      • 典型的な誤り:外観が菓子に似ているため1704.90で申告。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第17類が属する**第IV部(調製食料品等)**の部注には、「ペレット」の定義(特定の項で使う)があります。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第17類そのものでは「ペレット」は通常出てきませんが、糖蜜等を混ぜた飼料用調製品など、別章(例:第23類)の検討に入る場面で、形状(ペレット)を問われることがあります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 砂糖・糖蜜を含むが、用途・配合から「飼料用の調製品」と評価される場合は、第17類ではなく第23類(2309等)の検討が必要になります(部注自体は定義補助、最終は見出しと注の総合判断)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第17類は、次のタイプを明示的に除外します:
      1. ココアを含む砂糖菓子(18.06へ)
      2. しょ糖・乳糖・麦芽糖・ぶどう糖・果糖以外の「化学的に純粋な糖」等(29.40へ)
      3. 医薬品等(第30類へ)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「原糖(raw sugar)」:1701の特定の号に関して、乾燥状態のしょ糖含有(旋光度)で定義されます。
    • 1701.13(特定のサトウキビ糖):遠心分離なし等の製法・性状が条件になっています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • ココア含有の砂糖菓子 → 第18類 1806
    • 上記以外の化学的に純粋な糖など → 第29類 2940
    • 医薬品等 → 第30類(3003/3004等)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:1701の「原糖」判定(1701.12/13/14)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 乾燥状態のしょ糖含有(旋光度)
      • 香味・着色の添加の有無
      • 固形かどうか
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • COA(分析証明:しょ糖%・水分・灰分など)、製造工程(精製/遠心分離の有無)、製品写真(結晶・色調)、用途(精製原料か食用直売か)
    • 誤分類の典型:
      • 「原糖=茶色い砂糖」と思い込み、旋光度(しょ糖%)の根拠がないまま1701.14等で申告。
  • 影響ポイント2:1701.13(遠心分離なしのサトウキビ糖等)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 遠心分離工程の有無、旋光度レンジ、結晶の性状など(注の要件)
    • 現場で集める証憑:
      • 製糖工程図、製造者の工程説明、品質規格書(旋光度)、外観写真、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • “パネラ/ジャガリー/黒糖”という商品名だけで1701.13に固定してしまう。
  • 影響ポイント3:1702(シロップ類)の乾燥状態果糖%
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 果糖含有(乾物換算)、インバートシュガー該当性、香味/着色の有無
    • 現場で集める証憑:
      • 成分分析(果糖/ぶどう糖/しょ糖、固形分、水分)、製法(酵素異性化か、しょ糖転化か)、SDS/規格書
    • 誤分類の典型:
      • 「HFCS 55」など表示を見て“55%果糖”だと思うが、乾物換算かどうか不明なまま申告。
  • 影響ポイント4:類注の除外(1704↔1806、17類↔29類/30類)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ココア原料の有無(配合表)、化学的純度(対象糖の種類)、医薬的効能標榜・用途・有効成分
    • 現場で集める証憑:
      • 原材料表示、配合表、COA、ラベル、広告表示資料、製品の使用説明書
    • 誤分類の典型:
      • 「のど飴」を常に1704とみなし、医薬品該当性(第30類)を検討しない。
  • 影響ポイント5:HS2022での1704.90の範囲(他章新設による“実質的な除外”)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 「臨床試験用プラセボ/盲検キット」等の用途・梱包(計量投与)
      • 食用昆虫を一定割合以上含むか(成分・配合)
    • 現場で集める証憑:
      • 治験関連書類、製品仕様書、配合表、分析表
    • 誤分類の典型:
      • 見た目が菓子に近い=1704.90、と判断してしまう。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「黒糖/ブラウンシュガー」を一律に“原糖”として1701.14等で申告
    • なぜ起きる:商品名・色で判断しがち。原糖の定義(旋光度/乾燥状態しょ糖)を見ていない。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):原糖は注の定義で判定。1701の各号は“原糖かどうか”“製法(1701.13)”“添加の有無”で分岐します。
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • COA(旋光度/しょ糖%・水分)、製造工程(遠心分離の有無)
      • 質問例:「この砂糖は遠心分離していますか?」「しょ糖の分析値(乾物)は?」
  2. 間違い:液糖(シロップ)を1701(固形しょ糖)で申告
    • なぜ起きる:「砂糖=1701」という固定観念。
    • 正しい考え方:1701は「固形」のしょ糖。シロップは1702側の検討が基本(ただし香味・着色の有無に注意)。
    • 予防策:
      • 仕様書で「形状(固形/液状)」「添加物(香料・着色)」を必ず確認。
  3. 間違い:1702(ぶどう糖シロップ/HFCS)の号を果糖%の“湿量”で判定
    • なぜ起きる:ラベルの糖度表示をそのまま使い、乾物換算の概念が抜ける。
    • 正しい考え方:1702.30/1702.40/1702.60は「乾燥状態での果糖重量%」がキー。
    • 予防策:
      • COAに「dry basis」の果糖%を明記させる/水分と固形分から社内で換算根拠を保存。
  4. 間違い:乳糖をすべて1702.11(99%以上)で申告
    • なぜ起きる:粉末=高純度と思い込み。
    • 正しい考え方:1702.11は「乾物換算で乳糖99%以上」等の要件があるため、満たさなければ1702.19等。
    • 予防策:
      • ロット別COAで乳糖%(anhydrous換算)を取得。
  5. 間違い:ココア入りキャンディを1704(ココアなし砂糖菓子)で申告
    • なぜ起きる:「砂糖菓子=1704」とだけ理解し、類注の除外(ココア)を見落とす。
    • 正しい考え方:第17類はココア含有の砂糖菓子を除外(1806へ)。
    • 予防策:
      • 原材料表で「cocoa/cacao/chocolate」系をチェック。微量でも確認。
  6. 間違い:ホワイトチョコレートを“チョコだから”1806に固定
    • なぜ起きる:商品カテゴリ(市場用語)で判断。
    • 正しい考え方:HSの見出し上、1704は括弧書きでホワイトチョコレートを含める構造です(ただし実務では配合・性状確認が必要)。
    • 予防策:
      • HS見出し(括弧書き含む)に立ち返り、配合表で「ココア固形分」の有無を確認。
  7. 間違い:人工はちみつを0409(天然はちみつ)で申告
    • なぜ起きる:品名が“honey”だから。
    • 正しい考え方:1702は「人工はちみつ(天然混合含む)」を含み、天然はちみつは別章(第4類)です。
    • 予防策:
      • 原材料由来(蜂蜜か、糖液調製か)を仕様書で明確化。
  8. 間違い:糖蜜(モラセス)と“糖蜜入り飼料”を同じ1703で扱う
    • なぜ起きる:「molasses」という単語だけで判断。
    • 正しい考え方:1703は糖の抽出・精製で生じる糖蜜そのもの。配合・用途が飼料用調製品なら第23類の検討が必要。
    • 予防策:
      • 配合表・用途(人用/飼料用)、形状(ペレット等)を確認。
  9. 間違い:臨床試験用のプラセボ(菓子様外観)を1704.90で申告
    • なぜ起きる:外観と一般用途で判断してしまう。
    • 正しい考え方:HS2022では、臨床試験用のプラセボ/盲検キット等が別章に移った影響で、1704.90の範囲が狭くなっています。
    • 予防策:
      • 用途確認(治験か)、梱包形態(計量投与)、試験計画書の有無を確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。**最終製品のHS(6桁)**が違うと、CTC(関税分類変更)基準やRVC基準の見方が変わり、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 「材料のHS」と「最終製品のHS」を混同する
    • 1702のように成分比率で号が分かれる品目で、号を誤りPSRを誤選択する

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに参照するHS版が異なります。たとえば(日本関連の例):
    • CPTPP:HS2012
    • 日EU・EPA:HS2017
    • RCEP:HS2022
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意:
    • PSR検索は協定のHS版で行い、実際の通関(国内コード)とは“見かけの番号”がズレることがあります(トランスポジションが必要)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • WCO相関表(Correlation Tables)は実装支援のガイドですが、法的な分類決定ではない旨の注意書きがあります。実務は輸入国税関の運用・国内相関表も確認します。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 砂糖類は“糖含有量”や“シロップ組成”が品目とPSRの前提になりやすいので、次を保存すると後で強いです:
    • COA(糖組成、水分、乾物換算の果糖%)
    • 製造工程(異性化工程、転化工程、精製工程)
    • 製品ラベル(用途・表示)
  • 証明書類・保存要件:協定・相手国で異なるため、協定ガイドと通関実務で要確認(一般論)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更(他章新設に伴う移管)1704.90臨床試験用プラセボ/盲検キット等が新設コード(3006.93)へ移るなどにより、1704.90の範囲が狭くなった。加えて食用昆虫一定割合以上の製品が別章へ移る影響も示されている。砂糖菓子様の物品でも用途・成分で17類外となり得る。用途確認(治験等)や配合確認(昆虫等)を追加しないと誤分類リスク。
HS2017→HS2022変更なし(構造維持)1701〜1704(大枠)第17類の4桁構造自体は維持(1701/1702/1703/1704)。ただし「同じ番号でも範囲が変わる」ケースがあるため相関表注記を確認。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
    • WCO「HS2022–HS2017 Correlation Tables(Table I)」の備考欄に、1704.90の範囲が、(i) 臨床試験用プラセボ/盲検キットの新設コード(3006.93)への移管等により狭くなった旨が示されています。
    • 同じくWCO相関表は、表自体が「実装支援のガイドであり法的地位を持たない」旨を明記しています。
    • HS2022の第17類(見出し・類注・小分類注)はWCOの章別条文(Chapter 17)で確認しました。
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • 「1704.90の番号自体は同じ」でも、WCO相関表(Table I)の備考で“移管により範囲が狭くなった”ことが明示されているため、**変更タイプは“範囲変更”**と判断しました。
  • 変更がない部分:
    • 第17類の見出し体系(1701〜1704)や、1701/1702/1703/1704の基本構造はHS2017とHS2022で維持されているため「構造変更は限定的」と整理しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な流れとして、第17類では HS2007→HS2012で1701の原糖サブ見出しが整理された点が目立ちます。

版の流れ主要な追加・削除・再編(例)旧コード→新コード(または行き先)実務上の意味
HS2007→HS20121701の原糖区分の再編(サトウキビ原糖の細分が変更)1701.11(サトウキビ原糖)→(再編)1701.13/1701.14へ“サトウキビ原糖”でも製法・性状によって号が分かれるため、工程情報・旋光度の管理が重要に。
HS2012→HS2017大枠は維持(この章の条文上は同様の体系)(実務上は多くが継続)取引実務では、相手国のHS運用や国内コード更新の影響に注意。
HS2017→HS2022コード維持だが1704.90の範囲が実質的に狭まる1704.90(範囲変更)/一部が3006.93等へ見た目で1704.90に寄せない。用途(治験等)確認を手順化。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「チョコ味キャンディ」を1704で申告して差し戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):ココア含有の砂糖菓子は第17類から除外(18.06へ)。
    • 起きやすい状況:香料・ココアパウダーの微量配合を見落とす/原材料表が英語で読み飛ばし。
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延。
    • 予防策:配合表・原材料表の“cocoa”チェックを申告前チェックに組み込み。
  • 事例名(短く):非遠心のサトウキビ糖(パネラ等)を1701.99で処理
    • 誤りの内容:1701.13の要件(工程・旋光度など)検討不足。
    • 起きやすい状況:仕入先のスペック不足、商品名だけで登録。
    • 典型的な影響:統計・規制・特恵の前提が崩れる、税関照会で資料追加。
    • 予防策:工程図・COA(旋光度)を初回輸入時に必須化。
  • 事例名(短く):HFCSの果糖%誤りで1702.30/1702.40が逆転
    • 誤りの内容:乾燥状態の果糖%で分岐する号を、湿量のまま判断。
    • 起きやすい状況:スペックシートにdry basisの記載がない。
    • 典型的な影響:税率・制度負担・原産地規則のズレ、再分析対応。
    • 予防策:dry basisの果糖%をサプライヤーに要求、計算根拠を保存。
  • 事例名(短く):治験用プラセボを“キャンディ”として1704.90で申告
    • 誤りの内容:HS2022で一部が3006.93へ移管された趣旨を踏まえず、外観で1704.90に寄せた。
    • 起きやすい状況:医療系部門と貿易部門の情報断絶。
    • 典型的な影響:分類訂正だけでなく、医薬関連の追加確認や通関遅延。
    • 予防策:用途確認(治験か)をHS判定シートの必須項目にする。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等):
      • 砂糖・菓子類は基本的に「食品」に該当し、輸入時には**食品衛生法に基づく輸入届出(食品等輸入届出)**や規格基準(添加物、残留農薬等)の確認が実務上の中心になります。
    • その他(制度・行政運用):
      • 砂糖・異性化糖・加糖調製品等について、**砂糖・でん粉の価格調整制度(調整金徴収・交付金等)**が運用されています(制度の対象・手続は品目や取引形態で要確認)。
      • 輸入関連法令の一覧でも、砂糖・でん粉に関する法令が挙げられています。
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制:
      • 通常、第17類の糖類・菓子は該当しにくいです(例外があれば個別確認)。
    • 安全保障貿易管理:
      • 通常は該当しにくいですが、用途・相手先で別途審査が必要な場合があります。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品:厚生労働省(輸入食品監視・輸入届出)
    • 砂糖制度:農畜産業振興機構(ALIC)/関係法令(砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律)
    • 通関:税関(品目分類・事前教示など)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(糖組成、添加物)、COA(しょ糖/果糖%・乾物換算)、製造工程図、原材料表、写真、サンプル
    • 制度対象の可能性がある場合:契約条件(誰が制度負担/手続を担うか)、ALIC関連の手続確認、輸出時の返還制度の可能性など

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 形状:固形/粉末/シロップ
    • 糖の種類:しょ糖/乳糖/ぶどう糖/果糖/混合/人工はちみつ/キャラメル
    • 添加:香料・着色料・ココア・乳成分・昆虫由来等
    • 用途:食用一般/医薬的用途/治験用途/飼料用途
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 1704ならココア有無(18類除外)
    • 1701原糖なら旋光度(しょ糖)根拠、1701.13要件(工程)
    • 1702シロップなら乾物換算果糖%と無香味無着色
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名は「sucrose / glucose syrup / HFCS 55 / molasses」など成分が伝わる表現に
    • COA・仕様書を初回輸入や変更時に添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017/2022)を確認し、トランスポジションの要否を判断
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生法の輸入届出、添加物の適否、残留農薬等の確認
    • 砂糖・異性化糖・加糖調製品等の制度対象性確認(必要ならALIC確認)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 17(Sugars and sugar confectionery) (参照日:2026-02-16)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Section IV Notes (参照日:2026-02-16)
    • WCO Correlation Tables HS 2017–2022(イントロ/注意書き) (参照日:2026-02-16)
    • WCO Correlation Tables HS 2017–2022:Table I(1704.90の範囲変更の備考等) (参照日:2026-02-16)
    • WCO HS Nomenclature 2017:Chapter 17 (参照日:2026-02-16)
    • WCO HS Nomenclature 2012:Chapter 17 (参照日:2026-02-16)
    • WCO HS Nomenclature 2007:Chapter 17 (参照日:2026-02-16)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 厚生労働省:食品等の輸入手続(輸入届出等) (参照日:2026-02-16)
    • 日本税関:輸入関連法令リスト(砂糖・でん粉関連の法令を含む) (参照日:2026-02-16)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • EPA相談デスク(協定ごとの採用HS版の一覧を含む) (参照日:2026-02-16)
    • 税関:協定により参照HS版が異なる旨(PSR関連) (参照日:2026-02-16)
  • その他(業界団体、公的統計等)
    • ALIC:Sugar & Starch(価格調整制度の説明) (参照日:2026-02-16)
    • ALIC:砂糖の価格調整制度の仕組み(資料) (参照日:2026-02-16)
    • Japanese Law Translation:Act on Price Adjustment of Sugar and Starch (参照日:2026-02-16)
    • ALIC:調整金徴収業務(輸出時返還の記載等) (参照日:2026-02-16)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 製品説明(用途、食用/治験/飼料など)
    • 成分表(糖組成、ココア有無、添加物)
    • 製造工程(遠心分離の有無、異性化/転化の工程)
    • 分析表(乾物換算の果糖%・しょ糖%など、分岐条件に直結する項目)
    • 写真(外観・包装)、サンプル(必要な場合)
  • 実務メモ
    • 第17類は数値要件(旋光度、乾物換算果糖%)が出やすいので、税関照会前提でロット別COAの取得をルーチン化すると、初回輸入や監査対応が早くなります。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第16類:肉、魚、甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊椎動物又は昆虫類の調製品(Preparations of meat, of fish or of crustaceans, molluscs or other aquatic invertebrates, or of insects)

  • HS2022 第16類:肉、魚、甲殻類、軟体動物若しくはその他の水棲無脊椎動物又は昆虫類の調製品(Preparations of meat, of fish or of crustaceans, molluscs or other aquatic invertebrates, or of insects)実務向け整理 (Australian Border Force Website)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • ソーセージ類(肉・くず肉・血ベースのもの)や、それを基にした食品(1601)
    • ハム・ベーコン・缶詰肉・加熱済み肉加工品など「肉(くず肉・血)」の調製品/保存品(1602)
    • 肉・魚介のエキス/ジュース(1603)
    • ツナ缶・サバ缶・いわし油漬けなど「魚の調製品/保存品」(1604)
    • エビ・カニ・貝・イカ/タコ・ナマコ・クラゲ等の調製品/保存品(1605)
    • 食用昆虫の調製品(一定条件下で第16類に含めることを明確化) (税関ポータル)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 生鮮・冷蔵・冷凍の肉(第2類)/塩蔵・乾燥・燻製の肉は多くが第2類(例:0210)側で検討
    • 生鮮・冷蔵・冷凍の魚介(第3類)/燻製の魚介は多くが第3類(例:0305)側で検討
    • **食用昆虫そのもの(未調製)**は第4類(0410.10 など)側(※「調製品」は第16類) (税関ポータル)
    • 詰物をしたパスタ等(第19.02項)— 第16類注2(20%ルール)の適用除外 (税関ポータル)
    • ソース類(2103)やスープ類(2104)— 第16類注2(20%ルール)の適用除外 (税関ポータル)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「単なる一次加工(冷凍・塩蔵・乾燥・燻製)」か「調製・調理(加熱・味付・缶詰等)」か(第2/3類 ↔ 第16類)
    2. 複合食品の“20%ルール”(第16類注2)+例外(19.02、21.03、21.04) (税関ポータル)
    3. 魚(1604)か、甲殻類/軟体動物/その他水棲無脊椎(1605)か、肉(1601/1602)か(主原料と形態で決める)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食肉加工品の輸入:日本では食肉・食肉製品は動物検疫の対象になり得て、書類不備だと通関・搬入が止まりやすい(一般論) (農林水産省)
    • キャビア:ワシントン条約(CITES)関連でラベリング/手続が論点になり得る(一般論) (経済産業省)
    • EPA/FTA:協定の参照HS版がHS2022と違うと、PSR選択や証明書記載HSがズレる(一般論) (経済産業省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • **GIR1(見出し文言+注)**が最重要です。第16類は「調製品/保存品」の世界なので、**類注(特に注2)**で“複合食品の行き先”が変わります。 (税関ポータル)
  • **GIR3(混合物・複合品)**が効きやすいです。例えば「肉+魚介」「肉+野菜+ソース」などは、
    • 第16類注2の条件に当たれば第16類に入り、複数の対象成分を含む場合は最大重量の成分の項へという整理になります(ただし例外あり)。 (税関ポータル)
  • **GIR6(6桁の号の決め方)**では、魚種・容器(密閉/非密閉)・“均質化”など、号の分岐条件を順番に当てます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 主原料(肉/魚/甲殻類/軟体動物/その他無脊椎/昆虫)
    • 加工度(生鮮・冷凍・塩蔵・乾燥・燻製 ↔ 調理・味付・缶詰・瓶詰)
    • 形態(ホール/切身/ミンチ/練り)
    • 用途(そのまま食べる/調味料的/スープ基材)
    • レシピ(重量%)(20%ルールの判定に必須) (税関ポータル)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:主原料が肉/魚介/昆虫の「調製品・保存品」か?
    • ただの生鮮・冷蔵・冷凍 → 第2類/第3類側をまず検討
    • 調理、味付、缶詰、瓶詰、レトルト等 → 第16類が候補
  • Step2:複合食品なら注2(20%ルール)に当たるか?
    • “対象成分の合計が20%超”なら原則第16類
    • ただし 19.02(詰物パスタ)21.03(ソース)/21.04(スープ) は注2の適用除外 (税関ポータル)
  • Step3:第16類内で項(4桁)を決める
    • ソーセージ系 → 1601
    • その他の肉・くず肉・血(+昆虫の調製品もここへ入る場合あり) → 1602
    • エキス/ジュース → 1603
    • 魚(+キャビア) → 1604
    • 甲殻類・軟体動物・その他水棲無脊椎 → 1605
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第2類(肉)vs 第16類(肉の調製品):加熱済み・調理済み・缶詰化で第16類寄り
    • 第3類(魚介)vs 第16類(魚介の調製品):缶詰・瓶詰・味付など“調製/保存”の度合い
    • 第16類 vs 第21類(ソース/スープ):製品の性格が“ソース/スープ”として成立するか(注2の例外がある) (税関ポータル)
    • 第4類(食用昆虫そのもの)vs 第16類(昆虫の調製品) (税関ポータル)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1601ソーセージ類(肉・くず肉・血)およびこれを基とする調製食料品ウインナー、サラミ、ブラッドソーセージ“ソーセージ様”の形態・性格か。単なる肉塊/切身は1602側のことが多い
1602その他の肉・くず肉・血(+昆虫の調製品を含み得る)の調製品/保存品ハム、ベーコン、コンビーフ、レバーペースト、肉団子、昆虫スナック(条件次第)**注2(20%ルール)**で複合食品がここに落ちることがある。1602.10(均質化)など号分岐が多い (税関ポータル)
1603肉・魚介のエキス/ジュースブイヨン濃縮、魚介エキス“調味料/エキス”としての性格。ソース(2103)やスープ(2104)との境界は用途・濃度・成分で要検討
1604魚の調製品/保存品、キャビア・代用品ツナ缶、サバ缶、いわし油漬け、魚卵加工、キャビア1604.11〜.19(ホール/ピースで“ミンチでない”魚)と1604.20(その他の調製魚)の区分。キャビアは1604.31/.32 (外務省)
1605甲殻類・軟体動物・その他水棲無脊椎の調製品/保存品えび加工、カニ缶、貝柱加工、いか/たこ加工、なまこ、うに、くらげ**密閉容器(airtight)**かで号が分かれる品目あり(例:えび 1605.21/1605.29)。種別サブヘディングが多い (外務省)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で多いもの)
    • 食品の性格(ソーセージ/エキス/魚介加工/肉加工)
    • 主原料の種別(魚種、甲殻類/軟体動物/その他無脊椎)
    • 加工形態(ホール/ピース/ミンチ、均質化)
    • 包装形態(密閉容器か)(特に1605の一部) (外務省)
    • **複合食品の含有量(>20%)**と例外(19.02、21.03、21.04) (税関ポータル)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1602.10(均質化調製品) vs 1602.90(その他)
      • どこで分かれるか:**“均質化(homogenised)”**され、乳幼児食等の性格を持つか
      • 判断に必要な情報:製造工程(均質化の有無)、粒度、用途、包装形態、表示(ベビーフード等)
      • 典型的な誤り:「ペースト状だから均質化」と短絡(実際は単なるペーストで1602.90相当のことも)
    2. 1604.11〜1604.19(魚:ホール/ピース、ミンチでない) vs 1604.20(その他の調製魚)
      • どこで分かれるか:**“ミンチでない魚”**として列挙魚種に当たるか/それ以外(練り製品、ミンチ、成形品等)か
      • 判断に必要な情報:形状(切身/ほぐし/すり身)、製造工程、商品写真、商品規格書
      • 典型的な誤り:魚種だけで1604.14(マグロ等)にしてしまう(実際はミンチ・成形で1604.20のことがある) (外務省)
    3. 1604.31(キャビア) vs 1604.32(キャビア代用品)
      • どこで分かれるか:**魚卵由来の“キャビア”**か、代用品(別原料で魚卵様にしたもの)か
      • 判断に必要な情報:原材料表示、魚種/卵の有無、製法、商品説明書
      • 典型的な誤り:「粒状=キャビア」と誤認(代用品である場合) (外務省)
    4. 1605.21(えび:密閉容器でない) vs 1605.29(えび:その他)
      • どこで分かれるか:**airtight container(密閉容器)**に該当するか
      • 判断に必要な情報:容器仕様、密閉の定義(実務上は容器の構造・密封性を資料で確認)
      • 典型的な誤り:レトルトパウチを“密閉でない”扱いにしてしまう (外務省)
    5. 第16類注2(20%ルール)による「第16類」 vs 第21類(ソース/スープ)や第19.02(詰物パスタ)
      • どこで分かれるか:肉等(+昆虫等)の合計が全重量の20%超か、かつ **例外品(19.02/21.03/21.04)**に当たらないか (税関ポータル)
      • 判断に必要な情報:配合表(重量%)、内容量、製品の性格(ソース/スープ/パスタ該当性)
      • 典型的な誤り:「肉が多い=必ず第16類」と決め打ち(ソース/スープなら例外に当たり得る) (税関ポータル)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第16類は**第IV部(調製食料品等)**に属します。第IV部注では、統計等で出てくる **“ペレット(pellets)”**の定義が置かれています(主に飼料等で実務影響)。 (Australian Border Force Website)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:第23類の飼料用ペレット等で「ペレット扱い」の解釈に影響(第16類そのものでは頻出ではないが、同じ部内なので“部注の存在”は知っておくと安全です)。 (Australian Border Force Website)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 代表的には第23類(飼料)などで影響(第16類から直接飛ぶというより、部内の用語定義として横断的に効くタイプ)。 (Australian Border Force Website)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • **注2(いわゆる20%ルール)**が最大の実務ポイントです。
      • ソーセージ、肉、くず肉、血、(HS2022では)昆虫類、魚介等を1種以上含み、含有量合計が全重量の20%を超える調製食料品は原則として第16類。
      • 2種以上含む場合は最大重量の成分が属する項へ。
      • ただし 19.02(詰物パスタ) と **21.03(ソース)/21.04(スープ)**は例外。 (税関ポータル)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 例:1602.10(均質化調製品)の定義はサブヘディング注で示されます(均質化・小売用容器・幼児食等の性格)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 例外として明示されているのは 19.02、21.03、21.04(注2の適用除外)。 (税関ポータル)
    • また、食用昆虫については「食用の昆虫類は第2類に分類されない」「調製品は第16類に含まれるよう明確化」と整理されています。 (税関ポータル)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:複合食品の行き先が“重量%”で変わる(注2:20%ルール)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):配合表(重量%)、内容量、製品の用途(ソース/スープ/パスタ該当性) (税関ポータル)
    • 現場で集める証憑:レシピ/配合表、BOM、栄養成分表示(参考)、製造工程表、商品写真
    • 誤分類の典型:
      • 「肉入りだから第16類」としてしまい、実は**ソース(2103)**として成立するのに見落とす
      • 逆に「加工食品だから2106(その他の調製食料品)」に逃がす(注2で第16類に入るケースを取り逃がす) (税関ポータル)
  • 影響ポイント2:HS2022で“昆虫類”が第16類の射程に明確に入った
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):昆虫由来原料の有無・重量%、“調製品”か否か(未調製なら第4類側) (税関ポータル)
    • 現場で集める証憑:原材料規格書、製造工程、商品仕様書、成分表
    • 誤分類の典型:昆虫スナックを菓子(1704等)やその他調製食品(2106)に固定してしまう(注2や相関表では第16類への移り得ることが示されている) (税関ポータル)
  • 影響ポイント3:ココア含有の肉料理(チリ等)の“揺れ”を抑える方向の改正(結果的に第16類側が明確化)
    • 何を見れば判断できるか:ココア含有の有無、肉比率、製品の性格(肉料理か、ココア調製品か) (税関ポータル)
    • 現場で集める証憑:配合表、用途説明、商品ラベル、製法
    • 誤分類の典型:ココアが入っているだけで第18類へ寄せる(改正背景ではチリシチュー等が論点になった) (税関ポータル)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:加熱済みの肉加工品を第2類(肉)にしてしまう
    • なぜ起きる:品名が“肉”で、加工度を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第16類は“調製品/保存品”で、加工度(調理・缶詰等)で第2類と分かれます(一般論)
    • 予防策:製造工程(加熱・味付・缶詰)を仕様書で確認し、写真で状態確認
  2. 間違い:ツナ缶・サバ缶を第3類(魚介)で申告してしまう
    • なぜ起きる:原材料が魚で、缶詰=保存品の意識が薄い
    • 正しい考え方:第16類1604は“調製/保存した魚”が対象 (外務省)
    • 予防策:包装・保存形態(缶/瓶/レトルト)を資料化、商品説明の“prepared/preserved”表現を確認
  3. 間違い:肉入り複合食品を2106(その他調製食料品)に“逃がす”
    • なぜ起きる:複合食品は2106に入ると思い込み
    • 正しい考え方:第16類注2(20%ルール)に該当すると第16類へ(ただし例外あり) (税関ポータル)
    • 予防策:配合表(重量%)を必ず入手し、注2→例外(19.02/21.03/21.04)をチェック
  4. 間違い:ソース(2103)やスープ(2104)を、肉含有が多いから第16類にしてしまう
    • なぜ起きる:注2の“例外”を見落とす
    • 正しい考え方:注2は21.03/21.04には適用しない(ソース/スープとして成立する場合はそちらを検討) (税関ポータル)
    • 予防策:用途(かける/希釈してスープ)・粘度・食べ方の情報を商品説明で確認
  5. 間違い:キャビア代用品を“キャビア”として1604.31にしてしまう
    • なぜ起きる:外観が似ている
    • 正しい考え方:キャビア(1604.31)と代用品(1604.32)は分かれている (外務省)
    • 予防策:原材料(魚卵か、代替原料か)・製法資料・表示を必ず確認
  6. 間違い:えび加工品の“密閉容器”判定を曖昧にして1605.21/1605.29を誤る
    • なぜ起きる:容器仕様を分類資料に入れない
    • 正しい考え方:1605の一部は“airtight container”で号が分岐 (外務省)
    • 予防策:容器の仕様書、包装形態写真、ラベルの表示(缶/瓶/レトルト)を添付
  7. 間違い:魚肉練り製品(かまぼこ等)を魚種だけで1604.11〜.19に寄せる
    • なぜ起きる:魚製品=魚種分類だと思い込み
    • 正しい考え方:1604.11〜.19は“魚(ミンチでない)”の列挙、練り・成形は1604.20側の検討余地 (外務省)
    • 予防策:形状(ミンチ/練り)・工程(すり身化)を必ず確認
  8. 間違い:昆虫スナックを菓子(1704)に固定してしまう
    • なぜ起きる:見た目がスナック菓子で、昆虫の扱いが新しい
    • 正しい考え方:HS2022では昆虫食の分類が整理され、昆虫の調製品は第16類に含まれ得る。相関表でも他類からの移りが示される (税関ポータル)
    • 予防策:昆虫含有量(重量%)と“調製品”性(味付・加工度)を仕様書で確定

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品HSが違うと、必要なCTC(関税分類変更)やRVCの評価軸が変わり、原産性判断が崩れます(一般論)。 (経済産業省)
  • よくある落とし穴:
    • 原材料のHS(例:生肉/冷凍魚)と最終品(調製品)のHSを混同
    • “セット/混合”の扱いで、HSがズレたままPSRを見てしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本の輸出入申告など国内手続は、2022年1月1日からHS2022表記で運用されています。 (経済産業省)
  • しかし、EPA/FTAのPSRは協定ごとに参照するHS版が異なるため、証明書に記載すべきHSやPSR表の読み方が変わります。 (経済産業省)
  • 代表例(実務で遭遇頻度が高いもの):
    • RCEP:PSR附属書はHS2012に基づく旨が明記 (税関ポータル)
    • CPTPP:PSR(Annex 3-D 等)はHS2012ベースと解説される (Australian Border Force Website)
    • 日EU・EPA:PSR表(Annex 3-B)は**HS分類(2017)**として構成 (外務省)
    • (参考)MOFA掲載のあるPSR附属書では「本附属書は2017年1月1日改正のHSに基づく」と明記されている例があります (外務省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 協定参照HS(例:HS2012)のPSR表でルールを確認しつつ、国内申告(HS2022)とのコード対応表(相関表)で突合します。
    • 第16類はHS2022で**“昆虫”の位置づけが明確化**されているため、昆虫食品は特に“旧HSでどこに置いていたか”の履歴確認が重要です。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえる:
    • BOM(原材料表)、原産国、非原産材料のHS、製造工程、原価(RVCの場合)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 仕入書・製造記録・配合表・工程表など、HSの裏付けになる資料を“後から説明できる形”で保存
    • 自己申告制度の場合も、検証対応できるように整理(協定・税関ガイドに従う) (税関ポータル)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更(明確化)第16類(類名・注2)食用昆虫(調製品)を第16類に含めることを明確化(注2の対象成分にも昆虫が入る) (税関ポータル)昆虫食品の分類が「各国ばらつき→統一方向」。既存の社内マスタ見直しが必要
HS2017→HS2022範囲変更(相関上の移替)1601.00 / 1602.10 / 1602.90昆虫調製品が、状況により他類(例:2106等)から第16類へ移り得ることを相関表が示す (税関ポータル)昆虫スナック等で、過去の分類根拠・取引実態の再点検が必要
HS2017→HS2022文言修正(除外明確化)第18類注(関連)ココア含有の肉等調製品が第18類にも分類され得る“揺れ”を抑える方向で、第16類側が明確化 (税関ポータル)「ココア入りチリ」等での分類争点が減り、説明がしやすくなる

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、以下を参照しました:
    • WCO相関表(HS2022↔HS2017):食用昆虫の取扱いを明確化する改正で、1601.00/1602.10/1602.90 への相関が示されます。 (税関ポータル)
    • 日本税関のHS2022解説資料:食用昆虫を第4類(昆虫そのもの)・第16類(調製品)に整理し、第2類には分類しないことを明確化、またココア含有の肉料理の論点を提示しています。 (税関ポータル)
  • これらの資料に基づき、「第16類はHS2022で昆虫調製品を射程に明示的に取り込んだ(範囲明確化/拡張)」、また「ココア含有の肉料理などの境界が整理され、実務上は第16類側が説明しやすくなった」と判断しました。 (税関ポータル)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要論点だけ、実務向けに“代表例”を整理します(第16類は大規模再編が頻繁な章ではないため、ポイントを絞ります)。

版の流れ主な追加・削除・再編(第16類)旧コード→新コード(例)コメント
HS2007→HS2012“その他水棲無脊椎”の一部が独立し、監視・統計のために細分された例例:1605.90(その他)→ 1605.61(なまこ)、1605.62(うに)、1605.63(くらげ)等へ細分 (goods-schedules.wto.org)1605内の種別管理が細かくなり、取引データの精度が上がる
HS2012→HS2017(少なくともWCO相関表で目立つ“第16類の大規模な6桁再編”は限定的) (税関ポータル)実務では“コード自体”よりも、各国国内細分や解釈(説明資料)の差に注意
HS2017→HS2022食用昆虫の体系整備(調製品を第16類へ)1601.00/1602.10/1602.90 等の範囲に昆虫調製品が入る整理 (税関ポータル)昆虫食品の分類統一により、過去の分類慣行とのズレが発生し得る

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):肉入り調製食品を2106で申告して差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第16類注2(20%ルール)の見落とし (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:レトルト/冷凍の総菜で、品名が曖昧(“prepared food”)
    • 典型的な影響:修正申告、関税率再計算、原産地証明や規制要件の再点検
    • 予防策:配合表(重量%)を申告前に確保、注2→例外までチェック
  • 事例名:ソース(2103)なのに“肉が多い”として1602で申告
    • 誤りの内容:注2の例外(21.03)を見落とし (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:ミートソース/カレーソース等で、用途説明が不足
    • 典型的な影響:分類是正、課税価格・関税率の差、統計誤り
    • 予防策:用途(ソース用途)・粘度・食べ方を商品仕様書に明記
  • 事例名:動物検疫対象品なのに必要書類が揃わず保留
    • 誤りの内容:分類自体より、規制(動物検疫)手続の見落とし
    • 起きやすい状況:ハム・ソーセージ等を輸入、検疫証明等の準備不足
    • 典型的な影響:搬入遅延、保管料、最悪の場合返送/廃棄(一般論) (農林水産省)
    • 予防策:輸入前に動物検疫の要否を確認し、必要な証明書・申請を段取り
  • 事例名:昆虫スナックを菓子で申告→第16類へ更正
    • 誤りの内容:HS2022で整理された昆虫調製品の扱い(注2・相関の趣旨)を反映できていない (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:新規商材で社内HSマスタが未整備
    • 典型的な影響:統計・関税・PSRのやり直し
    • 予防策:原材料(昆虫重量%)と加工度の根拠資料を整備し、必要なら事前教示を検討
  • 事例名:キャビア輸出でCITESラベル/制度対応が不十分
    • 誤りの内容:CITES決議に基づく制度(登録・ラベリング等)を理解していない(手続面) (経済産業省)
    • 起きやすい状況:新規にキャビア輸出を開始
    • 典型的な影響:通関での照会、出荷遅延、取引停止リスク
    • 予防策:METI/水産庁の公表資料を確認し、ラベル・登録・申請の社内手順を整備

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法(輸入届出):販売・営業用の食品等を輸入する場合、輸入者に輸入届出義務があり、検疫所で審査・検査要否判断が行われます。 (厚生労働省)
    • 動物検疫(食肉・食肉製品):肉・臓器は「加工品(ジャーキー、ハム、ソーセージ等)を含め」動物検疫の対象となり得ます。輸入時に検査・証明が必要なケースがあります。 (農林水産省)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • **キャビア(チョウザメ目の加工卵)**はCITESの枠組みでラベリング等が論点になります(制度説明・導入が公表されています)。 (経済産業省)
    • 取引形態(輸出/再輸出/個人携帯)で要件が変わり得るため、必ず最新の公的情報で確認(一般論)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第16類は通常は安全保障輸出管理の中心ではありませんが、特定の用途・相手先・制裁対象等の一般的チェックは別途必要です(一般論)。
  • その他の許認可・届出
    • 製品により、食品表示、添加物規制、残留基準等の論点(食品衛生側)が発生します(一般論)。 (厚生労働省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 成分・配合表、製造工程表、写真、カタログ、輸入届出書類一式
    • 動物検疫対象なら輸出国政府機関の証明等、CITES対象なら許可・ラベル等

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料(肉/魚介/昆虫)と重量%(注2判定用)
    • 加工状態(加熱、味付、缶詰、瓶詰、冷凍等)
    • 形状(ホール/切身/ミンチ/練り)、魚種・種別
    • 容器(密閉容器か)情報(1605の一部)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注2の20%ルールの適用/例外(19.02/21.03/21.04)
    • 1604の“ミンチでない魚” vs “その他の調製魚”の整合
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名を「prepared/preserved」「canned」「seasoned」等、実態に合わせる
    • 配合表・工程表・写真を“説明できる形”で添付・保管
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第15類:動物性、植物性又は微生物性の油脂及びその分解生産物、調製食用脂並びに動物性又は植物性のろう(Animal, vegetable or microbial fats and oils and their cleavage products; prepared edible fats; animal or vegetable waxes)

用語の統一:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**で記載します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 大豆油、落花生油、オリーブ油、パーム油、菜種油などの油脂(化学的改質なし)(1507〜1515) (世界税関機構)
    • 水素添加・エステル交換等した油脂(ただし「さらに調製」していないもの)(1516) (世界税関機構)
    • マーガリンや、複数油脂の食用の混合・調製品(1517) (世界税関機構)
    • 化学的に改質(酸化・重合・硫黄化等)した油脂、または食用でない油脂混合物(1518) (世界税関機構)
    • 粗製グリセリン(1520)、ミツロウ等のろう(1521)、油滓・残留物(1522) (世界税関機構)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 第02.09項の豚又は家きんの脂肪(0209) (税関ポータル)
    • カカオ脂(ココアバター)(1804) (税関ポータル)
    • バター等(0405)を重量15%超含む調製食料品 → 主として第21類(例:スプレッド状の調製品が21類に回ることがある) (税関ポータル)
    • 油かす(搾りかす・抽出かす)(2304〜2306)や獣脂かす(2301) (税関ポータル)
    • 脂肪酸、せっけん、化粧品、調製ろう、硫酸化油等(第6部=主に第29類/第33類/第34類/第38類などに飛びやすい) (税関ポータル)
    • ファクチス(油由来の加硫ゴム様物質)(4002) (税関ポータル)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「化学的改質なし」か/「化学的改質あり」か(1501〜1517 vs 1518 など) (世界税関機構)
    2. 「さらに調製」しているか(1516 vs 1517) (世界税関機構)
    3. (頻出)オリーブ油:溶剤抽出か否か(1509 vs 1510)/菜種油:低エルカ酸か否か(1514.11/1514.19) (税関ポータル)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食用油脂は**食品衛生(輸入届出・検査)**と絡みやすく、遅延・保管コストが出やすい(とくに初回輸入・新製造者)。 (厚生労働省)
    • FTA/EPAの原産地で、HSの付番ミスがPSR選択ミスにつながり、特恵否認になり得ます(RCEP/CPTPP等はHS版も要注意)。 (税関ポータル)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注で決める):第15類は**類注(除外・定義)**が強く、まず注で「入る/除外」を固めます(例:オリーブの溶剤抽出油は1509に入れない、など)。 (税関ポータル)
    • GIR6(6桁は同列比較):例えば1509はHS2022で細分が増え、1509.20/30/40/90のどれかを定義(酸度・カテゴリー)で落とします。 (税関ポータル)
    • GIR3(混合物・複合品):マーガリン等の「混合・調製」では、1516/1517/1518の境界が問題になり、性状・用途・加工工程が鍵になります。 (世界税関機構)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 原料の由来(動物・植物・微生物) (世界税関機構)
    • 加工度(粗製/精製、脱ガム、脱酸、脱臭、脱色など)
    • 改質の有無(水素添加、エステル交換、酸化、重合など) (世界税関機構)
    • 用途(食用/工業用)混合・乳化しているか(1517に寄る)
    • 抽出方法(圧搾 vs 溶剤抽出:特にオリーブ) (税関ポータル)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:まず除外チェック
    • 0209(豚/家きん脂肪)、1804(カカオ脂)、21類(0405>15%の調製食料品)、23類(油かす)、第6部(脂肪酸・せっけん等)、4002(ファクチス)に当たらないか確認。 (税関ポータル)
  • Step2:品目タイプを決める
    • 「単体油脂/分別物」か、「混合・調製(食用)」か、「化学改質」か、「ろう/残渣/粗製グリセリン」か。 (世界税関機構)
  • Step3:改質・調製の度合いで分岐
    • 化学的改質なし → 1501〜1515
    • 水素添加等(1516に列挙された処理)で、さらに調製していない → 1516 (世界税関機構)
    • 食用の混合・調製(マーガリン等) → 1517 (世界税関機構)
    • 1516以外の化学的改質、または食用でない混合物等 → 1518 (世界税関機構)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第15類 vs 第21類:バター等(0405)を重量15%超含む“食用調製品”は21類に飛びやすい。 (世界税関機構)
    • 第15類 vs 第23類:油かす(搾りかす・抽出かす)は23類、15.22は“処理残渣”で性格が違う。 (税関ポータル)
    • 1509 vs 1510:オリーブ由来でも、溶剤抽出油は1510へ。 (税関ポータル)
    • 1516 vs 1517 vs 1518:水素添加等で「さらに調製なし」=1516、食用の混合・調製=1517、それ以外の化学改質/非食用混合=1518。 (世界税関機構)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1501豚脂・家きん脂肪(0209/1503除く)ラード等0209(別章)や1503(ステアリン等)との線引き。 (世界税関機構)
1502牛・羊・山羊の脂肪(1503除く)牛脂(タロー)1503の「油・ステアリン等」でないか確認。 (世界税関機構)
1503ラードステアリン等(乳化・混合・調製なし)ラード油、タロー油「混合/調製」すると1517等に寄る可能性。 (世界税関機構)
1504魚・海生哺乳類の油脂(化学改質なし)魚肝油、魚油精製は可、化学改質すると1516/1518側も検討。 (世界税関機構)
1505羊毛脂(ラノリン)等ラノリン化粧品原料は33類へ飛びやすい点に注意(製品形態次第)。 (世界税関機構)
1506その他の動物性油脂(化学改質なし)骨脂等動物由来の規制(検疫)にも注意(後述)。 (世界税関機構)
1507大豆油(化学改質なし)1507.10 粗製/脱ガム等多くが「粗製/その他」で分岐。 (世界税関機構)
1508落花生油ピーナッツ油粗製/その他で分岐。 (世界税関機構)
1509オリーブ油エクストラバージン等HS2022で細分増。溶剤抽出油は1510へ。 (世界税関機構)
1510オリーブから得た「その他の油」等(オリーブ搾りかす油等)オリーブポマース油1509との境界は注2(溶剤抽出)。 (世界税関機構)
1511パーム油パーム油(粗製/その他)パーム核油(1513)と混同注意。 (世界税関機構)
1512ひまわり/サフラワー/綿実油綿実油等ひまわり/綿実でサブ区分が違う。 (世界税関機構)
1513やし(コプラ)油・パーム核油・ババス油ココナッツ油、パーム核油1511(パーム油)と区別(原料が違う)。 (世界税関機構)
1514菜種/からし菜種油キャノーラ油等低エルカ酸(1514.11/19)は定義あり(<2%)。 (税関ポータル)
1515その他の固定植物性又は微生物性油脂亜麻仁油、とうもろこし油、ひまし油、ゴマ油、微生物油HS2022で「微生物性」追加・新号あり。 (世界税関機構)
1516動物/植物/微生物の油脂:水素添加等(さらに調製なし)硬化油(ショートニング原料)1517(調製食用)との線引きが重要。 (世界税関機構)
1517マーガリン、食用混合・調製油脂(1516除く)マーガリン、ファットスプレッド日本税関の事前教示でも事例あり。 (世界税関機構)
15181516以外の化学改質油脂、非食用混合・調製油脂乾性油、酸化油、工業用混合油等注3「単に変性」は1518に入れない。 (税関ポータル)
1519欠番(使用なし)HSの番号体系上の欠番。 (世界税関機構)
1520粗製グリセリン、グリセリン水・灰液粗製グリセリン純品(化学的単一物質)は別章(例:第29類)になり得る。 (世界税関機構)
1521植物ろう、ミツロウ等、鯨ろう等ミツロウ、カルナバろう「調製ろう(例:ワックスブレンド)」は34類等へ飛びやすい。 (世界税関機構)
1522デグラス、油脂/ろうの処理残渣ソープストック、油さい等注4で具体例列挙(これらは1522へ)。 (税関ポータル)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類でよく出る“軸”)
    • 粗製(Crude)か/その他(精製等)か:多くの油(1507, 1508, 1511〜1514, 1515等)が「粗製/その他」で分岐します。 (世界税関機構)
    • オリーブ油のカテゴリー:1509.20(Extra virgin)、1509.30(Virgin)、1509.40(Other virgin)、1509.90(Other)。特に1509.30は酸度(オレイン酸換算2.0g/100g以下)+Codex標準に基づく区別が条件。 (税関ポータル)
    • 菜種油の低エルカ酸:1514.11/1514.19は「エルカ酸2%未満」の定義があり、分析値が要ります。 (税関ポータル)
    • 微生物由来の油脂:1515.60(微生物性油脂)、1516.30(微生物性油脂:水素添加等)など、由来の確認が必要。 (世界税関機構)
    • 1516/1517/1518の線引き:加工内容(何をしたか)と最終形態(食用調製か、工業用か)が決定打になります。 (世界税関機構)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1509(オリーブ油) vs 1510(オリーブ由来のその他油)
      • どこで分かれるか:溶剤抽出の有無(溶剤抽出油は1509に入らず1510)。 (税関ポータル)
      • 判断に必要な情報:
        • 製造工程(圧搾/遠心分離/溶剤抽出)
        • 製造者の工程フロー、COA、SDS(溶剤の使用有無)
      • 典型的な誤り:品名が「olive oil」だから1509に入れてしまう(実はpomace/solvent extracted)。
    2. 1514.11/1514.19(低エルカ酸菜種油) vs 1514.91/1514.99(その他菜種油)
      • どこで分かれるか:エルカ酸含有率2%未満かどうか(固定油)。 (税関ポータル)
      • 判断に必要な情報:
        • エルカ酸の分析結果(ロット別COA)
        • 原料種別(キャノーラ等の品種情報)
      • 典型的な誤り:「菜種油=キャノーラ」と決め打ちして低エルカ酸扱いにする。
    3. 1516(硬化油等:さらに調製なし) vs 1517(マーガリン等の食用調製)
      • どこで分かれるか:1516は「水素添加等した油脂」だが、**“さらに調製していない”**ことが前提。食用の混合・乳化・スプレッド化等は1517に寄りやすい。 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:
        • 工程(乳化、加塩、香料添加、ビタミン添加、結晶化制御などの有無)
        • 形状(固形スプレッド、液体マーガリン等)
        • 用途(家庭用/業務用、パン塗布用等)
      • 典型的な誤り:硬化油を含むから1516、としてしまう(実際はマーガリン工程を経て1517)。
      • 補足例:植物性油脂・乳化剤・香料等の混合物について、日本税関の事前教示事例があります(工程・配合が分類根拠になる典型)。 (税関ポータル)
    4. 1518(化学改質油) vs “単に変性”した油(→元の項へ)
      • どこで分かれるか:注3により、「単に変性」した油脂は1518に入れず、元の油脂の項へ。 (税関ポータル)
      • 判断に必要な情報:
        • 変性の目的と方法(食用不可にする添加・臭い付け等)
        • 化学改質(酸化・重合等)を実際にしているか
      • 典型的な誤り:「変性=化学改質」と誤解して1518へ。
    5. 1520(粗製グリセリン) vs(参考)化学的に純なグリセリン(別章になり得る)
      • どこで分かれるか:「粗製」か、化学的に単一で高純度か(用途・規格・純度)。 (世界税関機構)
      • 判断に必要な情報:
        • 純度、規格書(USP/EP等)、不純物組成
        • 製造工程(副生粗製か、精製工程済みか)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第15類は第3部(Section III)に属しますが、実務上の分岐は**第15類の類注(Notes)と号注(Subheading Notes)**が中心です。 (世界税関機構)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:オリーブ油の「溶剤抽出は1509でなく1510」というルールは、見出しよりも注で確定します。 (税関ポータル)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (第15類では)他章へのジャンプは主に類注1の除外規定で起きます(0209/1804/21類/23類/第6部/4002)。 (世界税関機構)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:この類に含めない物品(除外先の章・項が列挙) (税関ポータル)
    • 注2:1509(オリーブ油)には溶剤抽出油を含めない→1510へ (税関ポータル)
    • 注3:1518には単に変性した油脂を含めない→元の油脂の項へ (税関ポータル)
    • 注4:ソープストック等の残留物は1522へ (税関ポータル)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 号注(Subheading Notes)
      • 1509.30の「バージンオリーブ油」:**酸度(オレイン酸換算2.0g/100g以下)**かつCodex標準の特性で区別可能。 (税関ポータル)
      • 1514.11/1514.19の「低エルカ酸菜種油」:エルカ酸が全重量2%未満の固定油。 (税関ポータル)
    • 備考(実務上よく使う定義)
      • 「酸価」:油脂1g中の遊離脂肪酸の中和に要するKOH mg数。 (税関ポータル)
      • 1518の「脱水」:油を構成するヒドロキシ脂肪酸の水酸基を除くこと。 (税関ポータル)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 0209、1804、(0405>15%含有の食用調製品は主に)21類、2301/2304〜2306、第6部の諸品、4002。 (税関ポータル)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:オリーブ油(1509)とオリーブ搾りかす油等(1510)の分岐
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程図、製造者宣誓書、SDS(溶剤)、COA、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • “olive oil”表記の製品を全て1509にしてしまう(pomace oilを見落とす)。
  • 影響ポイント2:「単に変性」した油脂は1518ではない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 変性の内容(着臭・着色・微量添加等)と、化学反応を伴う改質かどうか (税関ポータル)
    • 現場で集める証憑:
      • 変性剤の配合表、SDS、工程条件、用途説明(工業用等)
    • 誤分類の典型:
      • 「変性=化学改質」と誤解し、1518へ寄せる。
  • 影響ポイント3:1522(残留物)への飛び
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • それが「油かす(23類)」なのか、「精製・処理工程から出る残留物(1522)」なのか
      • 具体例として、ソープストック、油さい、ステアリンピッチ等は1522とされます。 (税関ポータル)
    • 現場で集める証憑:
      • どの工程から出た副産物か(工程図)、サンプル写真、成分分析
    • 誤分類の典型:
      • “residue”と書いてあるだけで23類に入れてしまう/逆に油かすを1522にしてしまう。
  • 影響ポイント4:1514(低エルカ酸)の定義が税番を変える
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
    • 現場で集める証憑:
      • COA(脂肪酸組成)、規格書、品種情報
    • 誤分類の典型:
      • “canola”と書いてあるだけで低エルカ酸に決め打ち。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:溶剤抽出のオリーブ由来油を1509(オリーブ油)にする
    • なぜ起きる:商品名が「olive oil」「pomace」が小さく、工程情報が通関側に伝わらない。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注2により、溶剤抽出油は1509ではなく1510。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:製造工程図、溶剤使用の有無が分かる書類(SDS/宣誓書)
      • 社内で聞く質問例:「この油は圧搾ですか?溶剤抽出ですか?原料は搾りかす(pomace)ですか?」
  2. 間違い:キャノーラ油を無条件に1514.11/1514.19(低エルカ酸)にする
    • なぜ起きる:取引上の“通称”と、HS上の定義がズレる。
    • 正しい考え方:低エルカ酸は「エルカ酸2%未満」の定義に合う必要がある。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • COA(脂肪酸組成)をロットで入手・保管
      • 「2%未満の根拠(試験法・結果)」を提出できるようにする
  3. 間違い:硬化油(部分水素添加)を、元の油(1507等)のままにする
    • なぜ起きる:精製と改質(水素添加等)を混同。
    • 正しい考え方:水素添加・エステル交換等で「さらに調製していない」なら1516。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • 工程表で「hydrogenated/inter-esterified」等の処理有無を確認
      • MSDSや製品仕様に“hydrogenated”表記があるかチェック
  4. 間違い:マーガリンを1516(硬化油)にする
    • なぜ起きる:原料に硬化油が含まれるため。
    • 正しい考え方:マーガリン等の食用混合・調製は1517(1516を除く)。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • 乳化工程、添加物(乳化剤・香料等)、最終形状(スプレッド)の有無を確認
      • 日本税関の事前教示事例の類似性を確認(工程が重要)。 (税関ポータル)
  5. 間違い:「変性油=1518」と決めつける
    • なぜ起きる:「変性」の言葉が曖昧(denatured / modified を混同)。
    • 正しい考え方:注3により「単に変性」は1518に入れず、元の油の項へ。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 変性の目的・方法を文書化(食用不可化のための添加のみか、化学反応を伴う改質か)
      • SDS・配合表を提出資料に含める
  6. 間違い:粗製グリセリン(1520)と、精製グリセリン(別章)を混同
    • なぜ起きる:取引書類に “glycerin” としか書かれない。
    • 正しい考え方:1520は「粗製グリセリン等」。高純度の化学品は別章もあり得る(製品規格で判断)。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • COA(純度、不純物、水分)と規格(USP/EP等)の有無を確認
      • 工程(副生粗製か、蒸留等の精製品か)を確認
  7. 間違い:油かす(23類)を1522(残留物)にする/逆
    • なぜ起きる:“residue/cake”の英語だけで判断。
    • 正しい考え方:注1(d)は油かす(2304〜2306)を除外、注4は特定残留物を1522とする。 (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 「油を搾った後の固形か(cake)」「精製工程で出る滓か(soap-stock等)」を工程図で区別
      • サンプル写真・水分/油分分析を用意
  8. 間違い:ミツロウ等(1521)と、調製ろう(第34類等)を混同
    • なぜ起きる:ワックスは用途が広く、混合品が多い。
    • 正しい考え方:1521はろうそのもの(植物ろう、ミツロウ等)。混合・調製されると別章候補。 (世界税関機構)
    • 予防策:
      • 配合(他のろう・樹脂・溶剤)と最終用途(研磨、コーティング等)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第15類は**「油脂の種類(項/号)」の違いHS版改正での細分**があり、コードがズレるとPSRの適用条文自体が変わります。 (世界税関機構)
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品のHSは合っているが、非原産材料のHSが曖昧(例:添加物・乳化剤・香料は第15類ではなく第29/33類等になることがある)
    • 1516/1517/1518の境界を誤り、PSRの章・項が変わる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 参照協定が未指定のため、ここでは代表例と「確認方法」を示します。
  • 代表例(原産地規則・PSRで参照するHS版):
    • RCEP:PSR(附属書3A)はHS2012に基づく旨が明記されています。 (税関ポータル)
    • CPTPP(TPP11):日本税関の解説資料で、産品の関税分類番号をHS2012年版で扱う旨が示されています。 (税関ポータル)
    • 日EU EPA:EU側の実務ガイド等で、HS分類(2017)に基づく説明があります(実務上、コード参照版の確認が必要)。 (Cdnw8)
  • ズレる場合の注意(一般論):
    • 通関申告は輸入国の現行HS(例:HS2022)で行いつつ、原産地判定は協定が参照するHS版(例:HS2012)でPSRを見る、という二重管理が起こり得ます。 (税関ポータル)
    • 日本では、協定により**HS2022へのトランスポーズ(旧→新対応)**資料が案内される場合があります(例:HS2022ベースでPSR表示に関する注意書き)。 (外務省)
  • 実務の確認先:
    • 日本税関の品目別原産地規則(PSR)検索は、協定ごとに参照HS版が表示されます。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算前提
    • 食用油脂の混合・調製(1517)では、**配合比率と工程(乳化・加塩等)**が重要
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 自己申告(CPTPP等)では、HS6桁や原産基準の記載が必要で、裏付け記録の提示を求められることがあります。 (税関ポータル)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(細分化)15091509.10(HS2017)相当が、1509.20/1509.30/1509.40等に再編(オリーブ油カテゴリー識別のため)。 (世界税関機構)オリーブ油輸入で、品名だけでなく酸度・区分資料が必須に。
HS2017→HS2022分割(細分化)15101510.00(HS2017)相当が、1510.10/1510.90に再編(オリーブ搾りかす油等の識別強化)。 (世界税関機構)1510が「粗製/その他」で管理しやすくなる。工程資料の重要性増。
HS2017→HS2022新設+範囲変更1515.60微生物由来油脂を独立号として新設(1515.90から切出し)。 (世界税関機構)発酵油脂等で**由来証明(微生物)**が必要に。
HS2017→HS2022新設+範囲調整1516.301516.20(植物性)から微生物由来を独立識別。 (世界税関機構)1516の分類で「植物性/微生物性」の確認が必要に。
HS2017→HS2022文言修正(範囲拡張)第15類全般見出し・類名に「microbial(微生物性)」が入る。 (世界税関機構)新規素材(微生物油脂)の受け皿が明確化。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • オリーブ油(1509)とオリーブ搾りかす油等(1510)は、WCO相関表で「1509.10 → 1509.20/30/40 へ再編」「1510.00 → 1510.10/90 へ再編」と示され、同時にWCO HS2022条文でも新しい号が明確に列挙されています。 (世界税関機構)
    • 微生物油脂については、WCO相関表で1515.60および1516.30の新設(切出し)が示され、HS2022条文側でも見出しが「vegetable or microbial」となっています。 (世界税関機構)
    • 日本語の実務では、1509.30の定義(酸度2.0g/100g)や1514の低エルカ酸定義(2%未満)を、日本税関注で確認できます。 (税関ポータル)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第15類で実務に影響しやすい範囲に絞って整理します(網羅表ではありません)。

版の流れ主な追加・削除・再編旧コード→新コード(概要)コメント
HS2002→HS2007削除1515.40(Tung oil)削除 → 1515.90へ集約(低取引量等の理由が示される) (税関ポータル)“tung oil”が独立コードでなくなる点に注意(古い契約書・統計で残存)。
HS2017→HS2022再編1509.10 → 1509.20/30/40 等 (世界税関機構)オリーブ油の細分が増え、分析/証明資料が必要に。
HS2017→HS2022再編1510.00 → 1510.10/90 (世界税関機構)1510の粗製/その他分岐が明確に。
HS2017→HS2022追加1515.60 新設、1516.30 新設 (世界税関機構)微生物油脂を独立識別。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“Olive oil”の一括1509申告で差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注2(溶剤抽出油は1509に含めない)に抵触。 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が曖昧(olive oil/pomace oil混在)。
    • 典型的な影響:修正申告、追加資料要求、検査・遅延。
    • 予防策:工程証明(溶剤抽出の有無)を事前に入手・提出。
  • 事例名:“Denatured oil”を1518で申告したが否認
    • 誤りの内容:注3(単に変性した油脂は1518に含めない)に抵触。 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:英語のdenatured/modifiedの意味を取り違える。
    • 典型的な影響:税番訂正、関税率差・統計訂正。
    • 予防策:変性の内容(添加のみか/化学改質か)をSDS・配合で説明。
  • 事例名:油かす(23類)と1522(残渣)の取り違え
    • 誤りの内容:注1(d)・注4の理解不足。 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:“residue”や“cake”の訳語だけで判断。
    • 典型的な影響:品目分類修正、場合により規制区分・手続のやり直し。
    • 予防策:発生工程・物性(固形/液状、油分)を資料化。
  • 事例名:マーガリンの1516申告(硬化油扱い)
    • 誤りの内容:1517(食用混合・調製)を見落とし。 (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:原料に硬化油が含まれる、業務用で説明が少ない。
    • 典型的な影響:税関から工程・配合資料の追加提出要求。
    • 予防策:乳化工程・添加物・最終形状(スプレッド等)を提示。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ):
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食用油脂(食用植物油、マーガリン等)は、輸入時に**食品衛生法に基づく「食品等輸入届出」**と、審査・必要に応じた検査があります(検疫所窓口)。 (厚生労働省)
    • 動物検疫(動物由来油脂の場合)
      • 畜産物の輸入は、指定検疫物や家畜衛生条件・証明書等が関係する場合があります(動物検疫所)。 (農林水産省)
      • ※油脂の形態・用途・由来で扱いが変わり得るため、該当するかは動物検疫所の対象物情報で要確認。
    • 植物検疫(植物由来の場合)
      • 一般論として、高度に加工された植物加工品は植物検疫の対象外となる場合がありますが、個別判断が必要です(植物防疫所の案内)。 (農林水産省)
    • 安全保障貿易管理
      • 第15類の一般的な食用油脂は該当しにくい一方、用途(軍用・化学用途)や輸出先で別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書・成分表、製造工程表、COA、SDS、写真、用途説明
    • 初回輸入は特に、検疫所から求められる可能性のある資料(原材料・製造工程説明等)を事前に整備 (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料(由来:動物/植物/微生物)、脂肪酸組成、純度、含水、添加物の有無
    • 製造工程:圧搾/溶剤抽出、水素添加、エステル交換、乳化、化学改質の有無
    • 用途:食用/工業用、最終形状(液体/固形/スプレッド)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1で他章に飛ばないか(0209/1804/21類/23類/第6部/4002) (税関ポータル)
    • 注2(1509↔1510)、注3(1518と変性)、注4(1522)を再確認 (税関ポータル)
    • 号注:1509.30(酸度等)、1514(低エルカ酸)など、定義根拠の資料があるか (税関ポータル)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「olive pomace oil」「hydrogenated vegetable oil」等、工程が分かる記載に寄せる
    • 補足資料:工程図、COA、SDS、写真
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(HS2012/2017等)を確認(PSR検索で確認) (税関ポータル)
    • BOM、非原産材料HS、工程、原価・RVC根拠を保存(自己申告対応) (税関ポータル)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO「HS Nomenclature 2022 Edition」Chapter 15(0315_2022E) (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)
    • WCO「HS Nomenclature 2017 Edition」Chapter 15(0315_2017E) (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)
    • WCO「HS2022 Correlation Table(Table I)」 (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)
  • 日本(税関・公的機関)のガイド
    • 日本税関:第15類 注(15r.pdf、HS2022) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続について (厚生労働省)(参照日:2026-02-15)
    • 農林水産省 動物検疫所:畜産物の輸出入 (農林水産省)(参照日:2026-02-15)
    • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の対象とならない植物について (農林水産省)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索 (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:RCEP原産地規則の概要(HS2012言及あり) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:TPP11(CPTPP)原産地規則について(HS2012言及あり) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:自己申告/原産地手続のガイド(CPTPP) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • 日本税関:事前教示回答事例(例:マーガリン) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
  • その他(相関表等)
    • 日本税関:HS2007-HS2002相関資料(1515.40削除の記載あり) (税関ポータル)(参照日:2026-02-15)
    • HS2002(参考)第15類(1515.40の存在確認) (世界税関機構)(参照日:2026-02-15)

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