用語の統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 火薬(推進薬。銃用・ロケット用などの推進目的のもの):3601
- 調製した爆薬(推進薬以外の爆薬。ダイナマイト等の「混合物」としての爆薬):3602
- 導火線・導爆線・雷管等(爆破の附属品):3603(HS2022では用途別に6桁が細分化)
- 花火、信号用フレア、霧中信号用品などの火工品:3604
- マッチ(火工品を除く):3605
- フェロセリウム(発火石)や、一定の「調製燃料」(固形燃料・小型ライター用燃料・付け木等):3606
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 化学的に単一の化合物(原則):第28類または第29類へ(例:未調製の硝酸塩類、単一化合物の爆発性物質など)。ただし類注2(a)(b)に該当する「燃料用途の成形品」等は例外で第36類に残る
- ニトロセルロース(綿火薬などとして言及されがちでも、物としてはプラスチック系の見出しへ):39.12
- 写真用のせん光材料:37.07
- 化学ルミネセンス(いわゆるケミカルライト等):38.24
- 爆薬入りの空包、銃砲弾用の信管・カートリッジケース等:93.06
- ライター本体・ライター部品:96.13(3606.10は「補充燃料」側の話で、ライター本体ではありません)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 化学的に単一の化合物か、調製した混合物・成形品か(類注1・2が分岐点)
- 3606.10に当たるか(ライター補充用の容器、かつ容量300立方センチメートル以下)
- 3604.10(花火)か3604.90(信号用等のその他の火工品)か(用途・設計思想で分岐)
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 火薬類は日本では輸入許可・承認等の法規制が絡みやすく、HSの誤りが許認可・危険品輸送・保険・保管要件に波及しやすいです(通関の遅延や差止め、返送・廃棄リスクも実務上は無視できません)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1(見出し+注で決める):第36類は「類注」が強い類です。特に、類注1(単一化合物の原則除外)と類注2(3606の範囲を限定)が、分類先を大きく左右します。
- GIR6(6桁の決定):HS2022では3603が6桁で細分化されたため、3603を使うときはGIR6で確実に落とし込みが必要です。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 用途:推進(3601)か、破壊・爆破(3602)か、信号・照明・娯楽(3604)か
- 物の状態:単一化合物(28/29へ行きやすい)か、混合物・調製品(36に入りやすい)か
- 形状・包装:固形燃料が「タブレット状」等に成形されているか、ライター補充用の小型容器か(3606の分岐)
- 規制・危険物情報:SDS、UN番号、危険物クラスは、HSの根拠資料としても「説明の一貫性」を作るのに有効です(ただしUN分類とHSは別体系なので、そのまま自動一致はしません)
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:その物は「爆発・発火・燃焼効果」を目的とした製品か、またはそれに直接使われる附属品か
- はい:Step2へ
- いいえ:第36類以外(例:化学ルミネセンスは38.24、写真用フラッシュは37.07など)
- Step2:化学的に単一の化合物として提示されているか(混合物ではないか)
- はい:原則として第28類または第29類(ただし、類注2(a)(b)に当てはまる燃料用途の成形品・小型容器入り燃料は例外で3606)
- いいえ(混合物・調製品・完成品):Step3へ
- Step3:4桁(項)を当てる
- 推進薬:3601
- 調製爆薬:3602
- 導火線・雷管等:3603
- 火工品(花火・信号等):3604
- マッチ:3605
- フェロセリウム、固形燃料、ライター補充燃料、付け木等:3606
- Step4:6桁(号)を当てる(分岐があるのは主に3603・3604・3606)
- 3603:用途別(導火線、導爆線、火管、雷管、イグナイター、電気雷管)
- 3604:花火(3604.10)か、その他の火工品(3604.90)
- 3606:小型容器入りのライター補充燃料(3606.10)か、それ以外(3606.90)
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第36類と第28/29類:単一化合物か、調製品か(類注1・2)
- 第36類と第93類:弾薬・空包・信管等(93.06)との線引き
- 第36類と第37類:写真用フラッシュ(37.07)
- 第36類と第38類:化学ルミネセンス、使い捨てカイロ等(38.24)
- 第36類と第96類:ライター本体・部品(96.13)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
原則:第36類の4桁見出しは少ないため全列挙します。
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 3601 | 火薬(推進薬) | 黒色火薬、無煙火薬、ロケット推進薬など | 推進目的の火薬。単一化合物は原則28/29へ。ニトロセルロースは39.12に飛びやすい点に注意 |
| 3602 | 爆薬(調製したもの、推進薬以外) | ダイナマイト、ANFO等の「混合物」としての爆薬 | 単一化合物の爆発性物質は28/29へ(例:単体の硝酸塩など)。「調製(混合・感度調整等)」が鍵 |
| 3603 | 導火線・導爆線・火管・雷管・イグナイター・電気雷管 | 導火線、導爆線、雷管(電気雷管含む)など | HS2022で6桁細分化(3603.10〜3603.60)。弾薬の構成品は93.06に行き得る |
| 3604 | 花火、信号用フレア等の火工品 | 花火、信号用ロケット、霧中信号、玩具用雷管(ロールキャップ等) | 3604.10(花火)と3604.90(その他)。写真用フラッシュは37.07、化学ルミネセンスは38.24 |
| 3605 | マッチ(3604の火工品を除く) | 木軸マッチ、紙軸マッチ等 | ベンガルマッチ等の火工品は3604。用途・構造で見極め |
| 3606 | フェロセリウム等の発火性合金、及び類注2の可燃性材料の製品 | 発火石、固形燃料タブレット、ライター補充燃料(小型缶)、付け木 | 類注2で範囲が限定。3606.10は「ライター補充用」かつ「300cm3以下」。ライター本体・部品は96.13 |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件(この類でよく効く軸)
- 3603:機能(導火線か、導爆線か、雷管か等)
- 3604:用途(娯楽用の「花火」か、信号・救難等の「その他」か)
- 3606:包装・用途(ライター補充用の容器か、固形燃料の成形品か、付け木等か。特に300cm3要件)
- 3603(HS2022)の6桁区分(業務での見分けポイント)
| 号(6桁) | 名称の要旨 | 典型例 | 判断に必要な情報(例) |
|---|---|---|---|
| 3603.10 | 導火線 | 時間差で燃焼して火炎を伝える導火線 | 構造(外被+心薬)、用途(雷管へ火炎を伝達) |
| 3603.20 | 導爆線 | 爆発を伝えるコード(detonating cord) | 中心薬(爆薬)を持つか、爆発伝達用途か |
| 3603.30 | 火管 | 打撃等で着火する小型点火具(percussion caps) | 製品の作動方式(打撃着火か等) |
| 3603.40 | 雷管(電気雷管除く) | 起爆用キャップ(detonating caps) | 電気式か否か、用途(起爆) |
| 3603.50 | イグナイター | 点火具(igniters) | 何を点火する部品か、電気雷管との区別 |
| 3603.60 | 電気雷管 | 電気式の起爆具(electric detonators) | 電気点火・信号線等の仕様 |
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 3603.10(導火線)と3603.20(導爆線)
- どこで分かれるか:火炎伝達(燃焼)か、爆発伝達(起爆)か
- 判断に必要な情報:用途、構造、SDS、製品仕様書(「爆発を伝える」記載の有無)
- 典型的な誤り:ケーブル状だから導爆線と決め打ちする(実は導火線)
- 3603.40(雷管)と3603.60(電気雷管)
- どこで分かれるか:電気式で起爆するか
- 判断に必要な情報:電気点火の有無、リード線、点火方式の説明資料
- 典型的な誤り:商品名に「雷管」とあるだけで電気式の判定をしない
- 3604.10(花火)と3604.90(その他の火工品)
- どこで分かれるか:娯楽用の花火か、信号・救難・霧中信号等の用途か
- 判断に必要な情報:用途(玩具・娯楽か、救難信号か)、取扱説明、認証情報、カタログ
- 典型的な誤り:発光するから全部「花火」としてしまう(信号用フレア等が混在)
- 3606.10(ライター補充燃料)と3606.90(その他)
- どこで分かれるか:容器が「ライターの充てんに使用する種類」かつ「300cm3以下」か
- 判断に必要な情報:容器容量(仕様・表示)、用途表示(refill/for lighters 等)、販売形態
- 典型的な誤り:小型ガス缶だから3606.10とする(用途がライター補充ではない/容量要件を満たさない)
- 3604(火工品)と38.24(化学ルミネセンス等)
- どこで分かれるか:燃焼・爆発で光るか、化学反応(ルミネセンス)で光るか
- 判断に必要な情報:発光原理、SDS、構造(火薬の有無)
- 典型的な誤り:光る棒状製品を花火扱いにする
- 3603.10(導火線)と3603.20(導爆線)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第36類は第6部(化学工業品等)の中にあり、部注には「セット」や「小売用包装」など、化学品でよく出る論点が整理されています。特に、複数の成分がセットで提示され混合して使うタイプは、一定条件のもと「混合後の製品」を基準に分類する考え方が示されています。
- 実務での意味(具体例つき):
- 火薬類そのものというより、化学品全般に共通する注意点ですが、同梱セット・小分け包装・用途表示が分類根拠になり得ます。第36類では、3606の「燃料用途の成形品」や「小型容器入り燃料」がまさに包装・形状で範囲が決まるため、部注の考え方(包装や提示方法が分類に影響し得る)を意識しておくと整理が楽になります。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 第36類の外形に見えても、実質が写真用フラッシュ(37.07)や化学ルミネセンス(38.24)なら、その見出しへ行きます(除外の考え方の具体例として有用です)。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 類注1:この類は、原則として「化学的に単一の化合物」を含みません(例外は類注2(a)(b)に該当するもの)。つまり、単体化学品は28/29へ行きやすく、36類は「混合物」や「完成品」に寄りやすい、という大原則です。
- 類注2:3606の「可燃性材料の製品」を、(a)固形燃料等、(b)小型ライター用燃料(300cm3以下)、(c)付け木等に限定しています。3606に入るかどうかは、この限定に当たるかが全てです。
- 用語定義(定義がある場合):
- 3606の「可燃性材料の製品」は、類注2に列挙される範囲に限る、という定義運用になります(列挙外は「可燃性」でも原則対象外)。
- 300立方センチメートル(300cm3)要件は、容器容量で客観的に判断します。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 写真用のせん光材料:37.07
- 化学ルミネセンス製品:38.24
- 弾薬関連(空包、信管、カートリッジケース等):93.06
- ライター本体・部品:96.13
- ニトロセルロース(綿火薬など):39.12
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。
- 影響ポイント1:単一化合物か、調製品か(類注1)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 成分表(単一物質か混合か)
- SDS(化学品名、組成、混合物区分)
- 製造工程(混合・感度調整・成形の有無)
- 現場で集める証憑:
- SDS、仕様書、COA(分析証明)、配合表、カタログ
- 誤分類の典型:
- 爆発性があるという理由だけで3602へ入れてしまう(実際は単一化合物で28/29へ)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:3606の範囲限定(類注2)と「300cm3」要件
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 用途表示(ライター補充用か)
- 容器容量(300cm3以下か)
- 形状(固形燃料がタブレット等か)
- 現場で集める証憑:
- 容器仕様(寸法・容量)、ラベル、外箱表示、製品写真、SDS
- 誤分類の典型:
- 小型の燃料缶というだけで3606.10としてしまい、容量要件や用途要件を落とす
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:3604の「花火」か「その他火工品」か
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 使用目的(娯楽用か、救難・信号用か)
- 取扱説明、販売先、法規・規格上の区分(可能な範囲で)
- 現場で集める証憑:
- カタログ、用途説明、製品写真、輸送・保管区分資料(危険品情報)
- 誤分類の典型:
- 「発光=花火」で3604.10に固定してしまい、信号用フレア等を混在させる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:単一化合物の爆発性物質を3602(爆薬)に入れる
- なぜ起きる:名称が「爆薬」っぽい、危険物だから36類だと思い込む
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):類注1により、単一化合物は原則として36類に入らず、28/29へ行きます(例外は3606の一部)。
- 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
- SDSで「単一物質」か「混合物」かを確認
- 社内質問例:配合して感度調整していますか。成形して燃料用途ですか。
- 間違い:綿火薬(ニトロセルロース)を3601(火薬)に入れる
- なぜ起きる:「火薬」という用途イメージで分類してしまう
- 正しい考え方:ニトロセルロースは36類から除外され、39.12が示されています。
- 予防策:
- 製品が「ニトロセルロース樹脂」なのか「推進薬として調製済み」なのかを分けて資料化
- 間違い:弾薬・空包・信管などを3603/3602に入れる
- なぜ起きる:中に火薬が入っているので同じと考える
- 正しい考え方:弾薬等は93.06へ除外され得ます(日本の解説でも明示)。
- 予防策:
- 社内質問例:最終用途は弾薬(カートリッジ)ですか。薬室・ケースを伴いますか。
- 間違い:玩具用の雷管(ロールキャップ等)を3605(マッチ)に入れる
- なぜ起きる:「点火」「小型」で近いと感じる
- 正しい考え方:玩具用雷管は火工品として3604に含まれる例が示されています。
- 予防策:
- 製品がマッチか火工品か(燃焼の効果・構造)を写真付きで整理
- 間違い:写真用フラッシュ材料を3604に入れる
- なぜ起きる:「せん光=火工品」と短絡する
- 正しい考え方:写真用のせん光材料は37.07へ除外されます。
- 予防策:
- 社内質問例:写真撮影・撮影機材向けの消耗材ですか。
- 間違い:ケミカルライト(化学ルミネセンス)を3604に入れる
- なぜ起きる:「光る=火工品」と思い込む
- 正しい考え方:化学ルミネセンス現象で光る製品は38.24へ除外されます。
- 予防策:
- 発光原理(燃焼か化学反応か)を仕様書で確認
- 間違い:使い捨てカイロを3606(調製燃料)に入れる
- なぜ起きる:「熱を出す=燃料」と捉える
- 正しい考え方:光や炎を出さない発熱反応で熱を生じる使い捨てカイロは38.24へ除外されます。
- 予防策:
- 「燃焼」か「酸化等の発熱反応」かを確認
- 間違い:ライター補充燃料のつもりで、容量要件を見ずに3606.10に入れる
- なぜ起きる:商品カテゴリ名だけで分類してしまう
- 正しい考え方:3606.10は容器容量300cm3以下に限定されています。
- 予防策:
- 容器容量(ml・cm3)を必ず取得し、資料に残す
- 社内質問例:容器容量は何mlですか。用途はライター補充に限定ですか。
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。HSがずれると、適用すべきPSR(CTH/CTSH、RVC、工程基準など)の特定自体がずれ、原産性判断が崩れます。
- この類は3603がHS2022で細分化されたため、協定が旧版HSを参照している場合、PSR側のコード体系に戻して評価する必要が出やすい類です。
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 日本税関の公表資料では、協定ごとに参照HS版が異なることが明示されています(例):
- CPTPP:HS2012
- 日EU・EPA、日英協定、日米貿易協定:HS2017
- RCEP:2022年12月31日まではHS2012、2023年1月1日以降はHS2022
- 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
- 日本の輸入申告では最新の国内コード(基礎はHS2022)を使う一方、PSRや譲許表は協定の参照HS版で書かれているため、同じ「製品」でもコードの見え方が変わります。
- 第36類では、3603が典型で、HS2017では3603.00だったものがHS2022では3603.10〜3603.60に分かれています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- まず協定が参照するHS版でPSRを確認
- 次に、WCOの相関表(correlation table)等で新旧コードの対応を把握
- 社内のBOM・原価計算・工程記録の「品目番号」は、協定版HSと申告用HSの両方の管理ができるようにしておくと、監査・事後確認に強くなります。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 第36類は規制産品になりやすいので、原産地資料に加えて、許認可・SDS・危険物情報もセットで整備すると通関が安定します(分類根拠の説明にもなります)。
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 分割(6桁細分化) | 3603.00 → 3603.10/20/30/40/50/60 | 3603が用途別に細分化 | 協定参照HS版とのズレが発生しやすい。PSR調査・統計・輸出管理での粒度が上がる |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)
- WCO HS2017のChapter 36では、3603は3603.00の単一号でした。
- WCO HS2022のChapter 36では、3603が3603.10〜3603.60に細分化されています。
- WCOのHS2022↔HS2017相関表(Table I)でも、3603.10〜3603.60が「ex 3603.00」からの細分化であること、及び細分化の趣旨(監視・統制の目的)が示されています。
- “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”
- 上記WCO一次資料(HS2017章別表、HS2022章別表、相関表)を突合し、3601/3602/3604/3605/3606の構造が同一である一方、3603のみ6桁が新設された点を変更点と判断しました。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第36類は、HS2007→HS2012→HS2017→HS2022の流れで見ると、見出し構造の大枠は維持され、HS2022で3603が6桁細分化されたのが目立つ変更です。
| 版 | 主要論点 | 旧コード→新コード(または行き先) |
|---|---|---|
| HS2007 | 3603は3603.00 | 3603.00(継続) |
| HS2012 | 3603は3603.00 | 3603.00(継続) |
| HS2017 | 3603は3603.00 | 3603.00(継続) |
| HS2022 | 3603を用途別に細分化 | 3603.00 → 3603.10/20/30/40/50/60 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):ライター補充燃料の容量要件見落とし
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):3606.10の「300cm3以下」要件を確認せず申告(類注2(b))
- 起きやすい状況:仕入先が複数サイズを扱っており、社内マスターが一括で3606.10になっている
- 典型的な影響:コード修正、税率差・規制照合のやり直し、輸入許可手続きの遅延
- 予防策:容器容量(仕様・写真)を品番ごとに保存し、マスターで条件管理する
- 事例名:化学ルミネセンス製品を火工品として申告
- 誤りの内容:3604に入れたが、除外(38.24)に該当
- 起きやすい状況:商品名が「light stick」「glow stick」で発光するため花火扱いした
- 典型的な影響:規制照合の誤り、危険品区分の誤前提、検査・補足資料要求
- 予防策:発光原理と火薬の有無をSDSで確認
- 事例名:単一化合物の爆発性物質を3602に入れてしまう
- 誤りの内容:類注1の原則(単一化合物は除外)を見落とし
- 起きやすい状況:危険物ラベルだけで分類を決める
- 典型的な影響:税番差替え、規制・許認可の前提が崩れる
- 予防策:混合物か単一物質かを必ず書面で確定
- 事例名:玩具用雷管をマッチとして申告
- 誤りの内容:3605ではなく3604側の火工品
- 起きやすい状況:小売商品で外観が似ている
- 典型的な影響:分類補正、危険品取り扱いの再確認
- 予防策:構造(火工剤の有無)と用途(玩具の効果)で整理
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 火薬類取締法:火薬類の輸入には許可が必要となる場合があります(法令上の規定・運用の確認が必須)。
- 経済産業省(貿易管理)側の手続:火薬類の輸入に関する承認・申請手続の案内が公表されています。
- 税関で確認する他法令:火薬類取締法が輸入関係他法令として整理されています(税関での確認対象になり得る)。
- 記載の分類軸(該当がある項目のみ書く)
- その他の許認可・届出:
- 火薬類:用途(産業用・玩具用等)や品目により、所管官庁・都道府県等で手続が分かれ得るため、輸入前に必ず行政窓口・通関業者と手続確認が必要です。
- その他の許認可・届出:
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 経済産業省(火薬類の輸入手続案内)
- e-Gov法令検索(火薬類取締法、施行規則)
- 税関(輸入関係他法令の案内)
- 実務での準備物(一般論):
- HS分類根拠:仕様書、SDS、製品写真、用途説明、包装仕様(容量含む)
- 規制対応:許可申請に必要な書類、輸送危険物情報(UN番号等)、保管・輸送計画
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 製品の機能(推進・爆破・信号・娯楽・点火・燃料)
- 組成(単一物質か混合物か)、SDS入手
- 形状・包装(固形燃料の形、ライター燃料の容器容量、ラベル表示)
- 製品写真(外観、ラベル、危険表示)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 類注1・2を満たすか(単一化合物、3606の限定範囲)
- 93.06、37.07、38.24、96.13等の除外に該当しないか
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名を用途が分かる表現に(例:signal flare / fireworks / lighter refill fuel 等)
- 数量単位(個数・重量など)を実態に合わせる
- 税関照会に備えて、SDS・仕様書・写真を即時提出できる状態に
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定の参照HS版を確認(CPTPP=HS2012等)
- HS2022申告コードと協定HSコードの対応(3603は特に注意)
- 原産資料(BOM、工程、原価、保存)を整備
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 火薬類取締法等の許可要否を、品目・用途・数量で確認
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS条文、相関表、改正パッケージ等)
- WCO HS Nomenclature 2022 Chapter 36(0636_2022E)参照日:2026-02-21
- WCO HS Nomenclature 2017 Chapter 36(0636_2017E)参照日:2026-02-21
- WCO HS Nomenclature 2012 Chapter 36(0636-2012E)参照日:2026-02-21
- WCO HS Nomenclature 2007 Chapter 36(0636_2007E)参照日:2026-02-21
- WCO Correlation Table(HS2022↔HS2017、Table I)参照日:2026-02-21
- WCO HS2022 Section VI Notes(0600_2022E)参照日:2026-02-21
- 日本(税関・公的機関)のガイド
- 税関:関税率表解説 第36類(36r.pdf)参照日:2026-02-21
- 税関:EPA原産地規則マニュアル(協定参照HS版の一覧を含む)参照日:2026-02-21
- 税関:税関で確認する輸入関係他法令の概要(火薬類取締法の整理)参照日:2026-02-21
- 日本(所管省庁・法令)
- 経済産業省:火薬類の輸入(手続案内)参照日:2026-02-21
- e-Gov法令検索:火薬類取締法 参照日:2026-02-21
- e-Gov法令検索:火薬類取締法施行規則 参照日:2026-02-21
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。







