HS2022 第28類:無機化学品及び貴金属、希土類金属、放射性元素又は同位元素の無機又は有機の化合物(Inorganic chemicals; organic or inorganic compounds of precious metals, of rare-earth metals, of radioactive elements or of isotopes)

  • 用語の統一:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**とします。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 塩素、アルゴン等の化学的に単一の元素(例:塩素ガス 2801、アルゴン 2804)
    • 無機酸(例:塩酸 2806、硫酸 2807、硝酸 2808)
    • 無機塩基・酸化物・水酸化物(例:アンモニア 2814、苛性ソーダ 2815、アルミナ/水酸化アルミ 2818、酸化チタン 2823)
    • 各種の無機塩(硫酸塩・硝酸塩・リン酸塩 等)(例:硫酸塩 2833、硝酸塩 2834、リン酸塩 2835)
    • 過酸化水素(2847)
    • 貴金属化合物・放射性元素/同位体関連(2843、2844、2845、2846 など)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 混合物・調製品(例:用途に合わせて配合した洗浄剤・触媒配合品など)→第38類(特に 3824)へ行きやすい(「化学的に単一」かが鍵)
    • 水以外の溶媒に溶かした溶液で、輸送安全のための通常形態を超え「特定用途に適する」もの →第38類(3824)へ行きやすい(例:アンモニアのアルコール溶液等)
    • 肥料としての性格が強いもの(第31類の注に該当)→第31類(肥料)
    • ルミノホア用無機物(蛍光体用途など)→ 3206、ガラスフリット→3207
    • 貴金属そのもの・貴金属合金、貴石等 →第71類
    • **金属(純金属・合金等)**として扱うべきもの →第15部(Section XV)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「化学的に単一(separate chemically defined)」か/混合物・調製品か(SDS・CAS・製法で確認)
    2. 溶液の扱い:水溶液は原則OK、他溶媒は条件付き(安全/輸送上の通常形態か、特定用途化していないか)
    3. 放射性元素・同位体:2844/2845/2843/2846/2852は「該当すれば他に行かない」原則(部注)+HS2022で細分が増えた
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **規制対象(毒劇物、化審法、輸出管理等)**の化学品:HS誤りが、許認可・届出・輸出許可要否の判断ミスに直結しやすい
    • 放射性同位体(2844/2845):HS2022で細分化され、旧コード運用のままだと誤付番が起きやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し・注で決める):第28類は「化学的に単一の元素・化合物」を中心に、注で範囲(溶液、安定剤、除外)を決めています。まず**類注(Chapter Notes)**で「この類に入る形態か/除外か」を確定します。
    • GIR6(号=6桁の比較):同じ項でも「濃縮同位体」「特定の放射性元素」「純度(例:Si 99.99%)」など、号の条件で割れます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • CAS番号・化学式・組成(純度、濃度)
    • 状態(固体/液体/水溶液/他溶媒溶液/コロイド)
    • 添加剤の目的(保存/輸送のための安定剤なのか、用途特化の配合なのか)
    • 放射能(比放射能、同位体の種類)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「無機化学品」か?
    • 有機化合物主体なら第29類(ただし第28類には例外的に“有機物”が入る範囲もある:2843〜2846、2852等)
  • Step2:「化学的に単一の元素/化合物」か?
    • 製造工程由来の不純物は許容されますが、特定用途に適するよう意図的に残した/加えた場合は「不純物」扱いにならない可能性があります(=調製品寄り)
  • Step3:形態が類注1の範囲内か?
    • 水溶液は原則OK
    • 他溶媒溶液は「安全/輸送のための通常形態」等の条件付き(用途特化なら除外)
  • Step4:除外規定に当たらないか?
    • 第31類(肥料)・第32類(蛍光体/ガラスフリット)・第38類(調製品)・第71類(貴金属等)・第15部(金属等)などへ飛ぶパターンを点検
  • Step5:該当項(4桁)→該当号(6桁)へ
    • 放射性・同位体は部注の「他に行かない」原則が強いので先に確認
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第28類 vs 第38類:化学的に単一(+許容される溶液/添加)か、用途特化の調製品か
    • 第28類 vs 第31類:肥料の注に該当するか(例:カルシウムシアナミド等は第31類へ除外され得る)
    • 第28類 vs 第15部(金属・合金):金属材料としての性格か、化合物(例:りん銅の条件)か
    • 第28類 vs 第3818:電子工業用にドープ処理した元素でも、形状がウェハ等なら3818

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第28類は項数が多いため、実務重要(頻出・誤分類多・規制/原産地に効く)を中心に列挙し、残りは「その他」でまとめます。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2801ハロゲン元素(塩素等)塩素ガス、ヨウ素危険物・規制物質になりやすい。単体元素としての形態確認。
2804水素・レアガス・他の非金属水素、アルゴン、窒素、酸素、シリコンシリコンは純度で号が分岐(例:99.99%)
2806塩化水素(塩酸)等塩酸、クロロスルホン酸水溶液/濃度、用途特化の調製かを確認。
2807硫酸・発煙硫酸硫酸、オレウム濃度・形態(発煙)で税率/危険物対応が変わることがある(国内コードでは細分し得る)。
2808硝酸等硝酸危険性・規制(毒劇等)確認が実務上重要。
2811その他の無機酸・非金属の酸化物フッ化水素酸、二酸化炭素等HS2017以降、シアン化水素が号として独立
2812非金属のハロゲン化物等ホスゲン(※溶媒形態注意)等2812.10が細分化(2812.11〜2812.19)
2814アンモニア無水アンモニア、アンモニア水無水/水溶液で号が分岐。他溶媒溶液は除外され得る例あり。
2815水酸化ナトリウム等苛性ソーダ固形、苛性ソーダ液固形/水溶液で号分岐
2818アルミナ・水酸化アルミ等アルミナ粉末、水酸化アルミコロイド溶液は第38類への例あり
2823酸化チタン顔料用TiO₂顔料用途(第32類)との境界に注意(ただし酸化チタン自体は28類側)。
2827塩化物(塩化アンモニウム等)塩化アンモニウム、塩化カルシウム金属塩としての整理が必要(塩/酸/酸化物の取り違えが多い)。
2833硫酸塩・ミョウバン等硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム第31類(肥料)用途・形態との関係に注意。
2834硝酸塩・亜硝酸塩硝酸カリウム、硝酸塩類危険性・規制確認が重要。
2835リン酸塩・ポリリン酸塩リン酸二ナトリウム、トリポリリン酸Na等洗剤用途等で調製品化(第38類)しやすい。
2840ホウ酸塩等ホウ砂、過ホウ酸塩2847(過酸化水素)など安定化の考え方とセットで理解。
2843貴金属のコロイド・化合物硝酸銀、金化合物部注で「該当すれば他に行かない」(Section VI Note 1(B))
2844放射性元素・放射性同位体等トリチウム等、放射性残留物HS2022で2844.41〜2844.44に細分
28452844以外の同位体等重水、B-10濃縮、Li-6濃縮、He-3等HS2022で2845.20〜2845.40が新設
2847過酸化水素過酸化水素水安定剤添加はOKの範囲あり(例:ホウ酸で安定化)
2852水銀の化合物塩化水銀等**2852.10(化学的に単一)**の定義あり
2853りん化物等・その他無機化合物りん化物、蒸留水/導電率水、液体空気等りん銅(P>15%)が含まれる(注)
その他上記以外の無機酸、酸化物、各種塩など多数例:クロム酸塩、シアン化物、ケイ酸塩…「金属塩/過酸塩のみ」等の類注(28.26〜28.42)を意識

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 純度基準(例:シリコンの重量比 99.99% 以上か)
    • 溶液区分(無水/水溶液、溶媒が水以外の場合の扱い)
    • 同位体の種類・濃縮の有無(HS2022で細分が増加)
    • 「化学的に単一」か否か(2852.10の定義など)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2804.61(Si 99.99%以上) vs 2804.69(その他のSi)
      • どこで分かれるか:シリコンの重量百分率(分析値)
      • 判断に必要な情報:分析成績書(CoA)、純度規格、SDS
      • 典型的な誤り:電子材料用途=高純度と決めつけて 2804.61 にしてしまう(実測が必要)
    2. 2844(放射性元素/同位体等)内の細分(HS2022)
      • どこで分かれるか:2844.41(トリチウム)、2844.42(列挙元素群)、2844.43(その他)、2844.44(放射性残留物)
      • 判断に必要な情報:同位体名、核種情報、比放射能、輸送書類(クラス7等)、供給者証明
      • 典型的な誤り:旧HS(2017)の「2844.40」感覚で括ってしまう(HS2022では細分)
    3. 2845(2844以外の同位体)内の細分(HS2022)
      • どこで分かれるか:2845.10(重水)に加えて、2845.20(B-10濃縮)、2845.30(Li-6濃縮)、2845.40(He-3)が新設
      • 判断に必要な情報:同位体組成、濃縮率、用途(ただし用途ではなく「物」基準)
      • 典型的な誤り:重水以外を「2845.90その他」に入れてしまう(HS2022では分ける)
    4. 2852.10(化学的に単一の水銀化合物) vs 2852.90(その他)
      • どこで分かれるか:類注・章注の要件を満たす「化学的に単一」かどうか(号注で定義)
      • 判断に必要な情報:化学式、CAS、純度、混合/製剤の有無
      • 典型的な誤り:水銀を含む“混合物”を 2852.10 に入れてしまう(要件未満)
    5. 2853.10(シアノゲン塩化物) vs 2853.90(その他)
      • どこで分かれるか:特定品名か否か
      • 判断に必要な情報:化学名、CAS、SDS
      • 典型的な誤り:類似のシアン系化合物(2837/2838等)と混同

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • **部注(Section VI Note 1)**は、放射性・貴金属化合物など一部見出しに「排他性」を与えます。
      • 2844・2845に該当する物品は、他のどの見出しにも分類しない
      • 2843・2846・2852も同様に(2844/2845に従属)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば「放射性残留物」や「特定の放射性同位体」を含む混合物でも、2844の定義に合えば2844優先という発想になります(まず2844/2845を疑う)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 逆に、2844/2845に該当しない(または章注の閾値等を満たさない)場合、通常の無機化学品として28類内の別項、または調製品として38類へ行く検討に戻ります。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:この類は原則として「化学的に単一の元素・化合物」+(水溶液、一定条件の他溶媒溶液、必要な安定剤・固結防止剤、識別/安全のための着色・防じん剤)を含みます。
    • 注3:多くの除外(第31類、第32類、第38類、第71類、第15部等)が列挙されています。
    • 注5:2826〜2842は基本的に金属塩・アンモニウム塩・過酸塩のみ。二重塩・錯塩は原則 2842。
    • 注6:2844の対象と、放射能の閾値(比放射能 74 Bq/g 超)等を規定。
    • 注7:2853に「りん銅(P>15%)」を含める(合金側に行かせないための実務上のくぎ刺し)。
    • 注8:電子工業用ドープ処理した元素は、棒/円柱等なら28類、ウェハ等に切れば 3818。
    • 号注:2852.10「化学的に単一」の定義を置く。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「不純物」:製造工程(精製含む)に直接起因する未反応原料・原料由来不純物・試薬・副産物等。ただし用途特化のため意図的に残した/加えた場合は不純物とみなされないことがある、という整理が重要です。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 水以外の溶媒溶液で、用途特化に当たるもの → 3824 等(例示あり)
    • 肥料関係の注に当たるもの → 第31類
    • ルミノホア用無機物 → 3206、ガラスフリット → 3207

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:溶媒(特に水以外)・コロイドで 38類に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 溶媒の種類(水/アルコール/ベンゼン等)
      • その溶解が「輸送安全等の通常形態」か、用途特化か
      • コロイド/分散体かどうか(粒径・分散媒)
    • 現場で集める証憑:
      • SDS(溶媒・濃度・用途)
      • 技術資料(製品が“溶液として販売する必然性”の説明)
      • 取引形態(容器、濃度、危険物対応)
    • 誤分類の典型:
      • アンモニアのアルコール溶液や、塩化カルボニル(ホスゲン)のベンゼン溶液など、28類のつもりで申告してしまう(実務例として 3824 側に整理され得る)
  • 影響ポイント2:安定剤添加はOKでも、“用途を作る配合”はNG
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 添加剤の目的(保存/輸送のためか、反応性付与・触媒化など用途特化か)
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表、製造工程図、SDS、品質規格書
    • 誤分類の典型:
      • ホウ酸で安定化した過酸化水素は28類(2847)に整理され得る一方、過酸化ナトリウムを触媒と混合する等、用途特化の混合物は 3824 側に寄る、という考え方を見落とす
  • 影響ポイント3:放射性・同位体は“先に疑う”+HS2022細分に注意
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 同位体の種類(トリチウム等)、濃縮の有無(B-10、Li-6、He-3等)
    • 現場で集める証憑:
      • 同位体証明、分析結果、輸送書類、法規制関連書類(該当する場合)
    • 誤分類の典型:
      • HS2017の「2844.40」運用のまま、HS2022でも雑に「その他」で申告してしまう

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:“純度が高い=化学的に単一”と決めつける
    • なぜ起きる:化学品は「高純度=単一」と思いがちだが、用途特化で意図的に添加/残留させている場合がある
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第28類注1の枠は「単一」+限定された添加に限る。不純物の考え方も「工程由来」に限定される
    • 予防策:
      • SDSの「成分」「安定剤」「用途」を確認
      • 仕入先へ質問例:「添加剤は“保存/輸送”目的ですか?用途を作る配合ですか?」
  2. 間違い:水以外の溶媒に溶かした溶液を、そのまま28類に入れる
    • なぜ起きる:水溶液OKの感覚が他溶媒にも拡張されがち
    • 正しい考え方:他溶媒は条件付きで、用途特化なら除外され得る(例示あり)
    • 予防策:
      • 「なぜその溶媒か」を書面化(輸送安全上の通常形態か)
      • 取引仕様(濃度・容器・用途)を保存
  3. 間違い:コロイド溶液(分散体)を“溶液”として28類に入れる
    • なぜ起きる:「溶けている=溶液」と誤認
    • 正しい考え方:コロイド状ディスパージョンは 3824 側に整理され得る例が示されている
    • 予防策:
      • 粒径、分散状態(懸濁/コロイド)を技術資料で確認
      • SDSの形態欄(分散液/懸濁液/コロイド)を確認
  4. 間違い:肥料用途の塩類を、無条件で28類の塩に入れる
    • なぜ起きる:化学式だけで判断しがち
    • 正しい考え方:第31類の注に該当する場合は除外され得る
    • 予防策:
      • 用途・表示・包装形態(肥料としての流通か)を確認
      • 製品ラベル/規格書を保存
  5. 間違い:電子工業用ドープ元素を形状無視で28類に入れる
    • なぜ起きる:材料名(Si)だけで判断
    • 正しい考え方:棒/円柱等なら28類、ウェハ/ディスク状なら3818
    • 予防策:
      • 写真・図面で形状を証憑化
      • 「加工工程(切断/研磨)」有無を確認
  6. 間違い:放射性関連を“その他の化合物”として28類一般品に入れる
    • なぜ起きる:危険物/規制の観点とHSの排他性(部注)を分けて考えられていない
    • 正しい考え方:2844/2845は該当すれば他へ行かない(部注)+HS2022で細分が増えた
    • 予防策:
      • 同位体・比放射能の証明を必須資料化
      • HS版(2017/2022)を必ず明記して社内共有
  7. 間違い:りん銅を金属合金側(第74類等)で処理してしまう
    • なぜ起きる:取引現場では「合金材料」と呼ばれるため
    • 正しい考え方:注で 2853 に含める条件が明示されている(P>15%)
    • 予防策:
      • 成分証明(P%)を入手
      • 材料規格(JIS等)との整合を確認
  8. 間違い:6桁の純度・濃縮条件を確認せず“用途”で決める
    • なぜ起きる:「電子材料だから高純度/濃縮」と推定で処理
    • 正しい考え方:28類は用途よりも化学的性状・組成が中心(例:Si 99.99%等)
    • 予防策:
      • CoAの添付をルール化
      • 仕入先へ質問例:「保証純度は?測定方法は?同位体組成は?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。化学品は特に、材料(原料)も化学品であることが多く、最終品HSを誤ると「CTH/CTSH」や「RVC」の判定設計が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 原料は28類だが、最終品が38類(調製品)に飛ぶのに気づかず、PSRを誤る
    • 同位体・放射性の細分を誤り、PSR表の該当行を取り違える(HS2022で細分増)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに、PSR表が参照するHS版(HS2012参照 等)が異なる場合があります。必ず協定付属書(PSR表の凡例)で確認してください。
  • HS2022とズレる場合の注意:
    • 旧版のサブヘディングが、HS2022で分割/統合されている可能性があります(例:2844、2845の細分化)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定の参照HS版でPSRを読み、必要に応じて相関表でHS2022コードへマッピングして社内管理する
    • 申告用HS(通関)と、原産性判定用のHS版が違う場合は、両方を記録

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(化学品で特に重要):
    • 材料表(BOM):原料名、CAS、純度、濃度、形態(溶液/粉末)
    • 工程:混合・溶解・反応・精製の有無(「化学的に単一」/「調製品」判断にも直結)
    • 非原産材料のHS(原料側)
    • RVC計算の前提(必要な場合)
  • 証明書類・保存(一般論):
    • CoA、SDS、工程図、購買記録、原産地証明関連書類を保存(協定ごとの保存年限は要確認)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(細分新設)2844.40 → 2844.41〜2844.442844.40(その他の放射性元素・同位体等)を細分し、特定同位体(例:トリチウム等)・残留物を分ける旧「2844.40」運用のままだと誤付番。輸出管理・統計・規制対応の突合がずれる
HS2017→HS2022分割(細分新設)2845.90 → 2845.20〜2845.40(+2845.90)2845.90(その他の同位体等)から、B-10濃縮、Li-6濃縮、He-3等を独立同位体製品の分類精度が要求される。証明書類(同位体組成)の重要性が増す

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料に基づく整理:
    • WCOの相関表(HS2022→HS2017)では、**2844.40の細分(2844.41〜2844.44)および2845.90の細分(2845.20〜2845.40)**が明示され、いずれも「特定同位体等のモニタリング/管理のため」といった趣旨で説明されています。
    • HS2022の第28類条文でも、2844に2844.41〜2844.44、2845に2845.20〜2845.40が実際に収載されています。
  • 上記以外の第28類の主要部分については、相関表上の変更列挙が限定的であり、実務上は「放射性・同位体」周辺が主な改正点になります(ただし、最終確認は必ず最新版条文で行ってください)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(第28類の実務影響が大きいもの中心)
版の変化主な追加・削除・再編(要旨)旧コード→新コード(代表)根拠の例
HS2007→HS2012水銀化合物(2852)を「化学的に単一」かで細分し、見出し範囲も拡張2852.00 → 2852.10 / 2852.90相関表(2012→2007)に記載
HS2012→HS2017シアン化水素を独立サブヘディング化(旧)2811.19の一部 → 2811.12相関表(2017→2012)に記載
HS2012→HS20172812.10(塩化物等)を複数サブヘディングへ細分(2812.11〜2812.19)2812.10 → 2812.11〜2812.19相関表(2017→2012)に記載
HS2012→HS20172848(りん化物)を削除し、2853へ取り込み。2853は 2853.10/2853.90へ細分2848.00 → 2853(範囲拡張)/ 2853.00 → 2853.10/2853.90相関表(2017→2012)に記載
HS2017→HS20222844.40を細分(2844.41〜2844.44)2844.40 → 2844.41〜2844.44相関表(2022→2017)
HS2017→HS20222845.90を細分(2845.20〜2845.40)2845.90 → 2845.20〜2845.40(+2845.90)相関表(2022→2017)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“安定化”のつもりが“用途特化配合”扱い
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注1の許容範囲(安定剤等)を超え、実質的に調製品(38類)とみなされ得る
    • 起きやすい状況:触媒・反応促進剤・界面活性剤等を加えて「使える形」にして販売
    • 典型的な影響:修正申告、品目分類の差し戻し、追加資料要求
    • 予防策:配合目的を「保存/輸送」か「用途」かで整理し、SDS・配合表を準備
  • 事例名:他溶媒溶液を“単一化学品”として申告
    • 誤りの内容:水以外の溶媒溶液で、注1(c)の条件を満たさないのに28類で申告
    • 起きやすい状況:危険物として溶媒希釈して輸送しているケース
    • 典型的な影響:分類変更(3824等)、危険物/規制の再判定、遅延
    • 予防策:「通常・必要な溶解」根拠(輸送要件、危険性評価)を用意
  • 事例名:ドープSiウェハを28類のSiで申告
    • 誤りの内容:注8に反し、ウェハ状を28類に入れる(本来は3818)
    • 起きやすい状況:材料部門が「Si原料」として処理
    • 典型的な影響:分類修正、関税・統計の修正、審査強化
    • 予防策:形状写真・加工工程・用途をセットで事前教示相談
  • 事例名:放射性同位体を旧HS感覚で“その他”処理
    • 誤りの内容:HS2022で細分された2844/2845を旧コード(2017)の括りで処理
    • 起きやすい状況:社内マスターがHS2017のまま、更新未実施
    • 典型的な影響:輸出管理チェックの漏れ/過剰、統計不整合、税関照会
    • 予防策:HS版を明記し、同位体証明と照合して更新

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、第28類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 本類は食品検疫よりも、化学物質規制・危険物・輸出管理が中心になりがちです(品目により例外あり)。
  • その他の許認可・届出(化学品で頻出)
    • 毒物及び劇物取締法(毒劇物):対象物質を製造・輸入・販売等する場合、業態に応じた規制があり得ます(登録等)。
    • 化審法(化学物質の審査及び製造等の規制):製造・輸入事業者の届出等の枠組みがあり、混合物の場合の取扱い(一定割合など)に言及するガイダンスもあります。
    • 安全保障貿易管理(輸出管理)
      • リスト規制品だけでなく、用途・需要者等により許可が必要となるキャッチオール規制の枠組みが示されています。
      • 放射性同位体や特定化学品は輸出管理上も要注意(該当の有無は別途スペック確認)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 毒劇物:厚生労働省(毒物及び劇物取締法関連)
    • 化審法:経済産業省(化審法ポータル/届出手続)
    • 輸出管理:経済産業省(安全保障貿易管理、キャッチオール)
  • 実務での準備物(一般論):
    • SDS、CoA、CAS、化学式、濃度、用途、写真(形状)、工程資料、(該当時)同位体証明・放射能情報
    • 税関照会に備えた説明資料(「単一化学品である根拠」「溶媒形態の必然性」など)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 化学名(IUPAC/慣用名)、CAS、化学式、純度/濃度、SDS(成分表)
    • 形態(固体/水溶液/他溶媒溶液/コロイド/ペースト)
    • 添加剤の有無と目的(保存/輸送か、用途付与か)
    • 放射性/同位体:核種・濃縮率・比放射能(該当時)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第28類注1(溶液・添加の許容範囲)を満たすか
    • 第31類/第38類へ飛ぶ要素(肥料性・調製品化・他溶媒/コロイド)を再点検
    • 放射性関連は部注の排他性を再確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名は「一般名」だけでなく濃度・形態を付す(例:Sodium hydroxide solution 48%)
    • CoA・SDSの添付/即時提示準備
    • HS版(HS2022)での6桁確定(特に2844/2845)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終品HSと、協定参照HS版の整合
    • 原料HS・工程(混合/反応/精製)の説明可能性
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 毒劇物該当性、化審法の届出要否、輸出管理(リスト/キャッチオール)を並行で確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 第28類(Chapter 28) (参照日:2026-02-19)
    • WCO HS2022 Section VI Notes (参照日:2026-02-19)
    • WCO Table I(HS2022→HS2017 相関表) (参照日:2026-02-19)
    • WCO HS2017 第28類(Chapter 28) (参照日:2026-02-19)
    • WCO HS2012 第28類(Chapter 28) (参照日:2026-02-19)
    • WCO HS2007 第28類(Chapter 28) (参照日:2026-02-19)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:関税率表の解説(第28類) (参照日:2026-02-19)
    • 厚生労働省:毒物及び劇物取締法(規制概要) (参照日:2026-02-19)
    • 厚生労働省(地方厚生局):毒物・劇物の輸入(販売/授与目的等) (参照日:2026-02-19)
    • 経済産業省:化審法ポータル (参照日:2026-02-19)
    • 経済産業省:化審法の輸入数量届出ガイダンス (参照日:2026-02-19)
    • 経済産業省:キャッチオール規制 (参照日:2026-02-19)
    • 経済産業省:安全保障貿易管理の概要資料 (参照日:2026-02-19)

※Web参照は「参照日(YYYY-MM-DD)」も併記

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第27類:鉱物性燃料、鉱物油及びこれらの蒸留製品;瀝青質物質;鉱物性ろう(Mineral fuels, mineral oils and products of their distillation; bituminous substances; mineral waxes)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 石炭(一般炭・無煙炭など)・石炭ブリケット(2701)
    • 原油(2709)
    • ガソリン/灯油/軽油/重油/潤滑油などの石油由来の油(ただし「粗以外」)(2710)
    • **LPG・天然ガス(LNG含む)**などの石油ガス・その他のガス状炭化水素(2711)
    • **パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム(ワセリン)**等の鉱物性ろう(2712)
    • 天然アスファルト/ビチューメン、タールサンド等(2714、2715)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 分離した化学的に単一の有機化合物(例:ベンゼン単体等)→原則第29類(ただし純メタン・純プロパンは2711)
    • 医薬品第30類(3003/3004)
    • 混合不飽和炭化水素で、規定の品目に該当するもの → 33.01/33.02/38.05へ(注の除外)
    • 液状の合成ポリオレフィンで、規定の蒸留条件に該当するもの → 第39類(注2の除外)
    • 石油を“主成分”としない化学調製品(燃料添加剤・溶剤配合品など)→第38類(例:3811等になりやすい)※個別判定
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 原油(2709)か、精製・調製された油(2710)か(「粗」かどうか)
    2. 2710の中で、**“石油油が重量70%以上で主成分”**か/**廃油(waste oils)**か
    3. 石炭(2701)で、無煙炭/瀝青炭/その他を決めるための揮発分・発熱量(試験成績が要)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 燃料系(揮発油・軽油等):日本では備蓄法・品確法の手続や、税関での確認・書類提出が絡み、分類のズレが手続遅延に直結しやすいです(後述)。
    • 廃油(2710のwaste oils):商流上「再生油」や「使用済み油」など呼称が揺れやすく、**“廃棄物/廃油扱い”**の有無で提出資料・規制確認が増えます(後述)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注で決める)が中心です。第27類は、品名よりも注(Notes)の定義・除外が実務の分岐点になりやすいです(例:2710の「waste oils」定義、注2の“石油油”の範囲)。
    • **GIR6(6桁の分岐)**では、**試験値(蒸留曲線・揮発分・発熱量・含有割合)**がそのまま分岐条件になっています。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 第27類は「燃料」「油」「ガス」など商業名が強いですが、HSはしばしば**“どう作られたか(石油/石炭タール/ビチューメン由来)”や、“成分・蒸留特性”**で分かれます。
    • 典型例:
      • 同じ「溶剤」でも、石炭タール蒸留由来で芳香族優勢なら2707寄り、石油油ベースで2710寄り、さらに化学調製なら第38類寄り…という具合に、由来と組成が重要です。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「鉱物性燃料・鉱物油・蒸留製品・瀝青質物質・鉱物性ろう・電気エネルギー」か?
    • YES → Step2へ
    • NO → 他類(例:第29類・第38類・第39類など)を検討
  • Step2:形状・性状で大分類
    • 固体燃料(石炭・褐炭・泥炭・コークス等)→ 2701〜2704中心
    • ガス(石油ガス・天然ガス等)→ 2711中心
    • 液体油(原油/精製油/調製品/廃油)→ 2709 or 2710中心
    • タール・ピッチ・ビチューメン・混合物→ 2706〜2708、2713〜2715
  • Step3:注(Notes)で“落とし穴”を潰す
    • 分離した単一有機化合物(第29類)ではないか
    • 2710の「石油油」定義(注2)に入るか/合成ポリオレフィン除外に当たらないか
    • 2710の「waste oils」(注3)に当たるか
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第27類(2710) vs 第38類(調製品:添加剤/溶剤/ブレンド):石油油が重量70%以上かつ主成分かどうかが大きい分岐になりやすいです。
    • 第27類(2710) vs 第39類(合成ポリオレフィン):注2の除外条件(蒸留性状)に当たると第39類へ飛びます。
    • 2707(石炭タール蒸留油) vs 2710(石油油):芳香族/非芳香族の優勢、由来、蒸留特性が鍵です。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • この類(第27類)の4桁見出しは多すぎないため、全列挙します(HS2022条文ベース)。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2701石炭・石炭から製造した固形燃料一般炭、無煙炭、石炭ブリケット無煙炭/瀝青炭の判定に揮発分・発熱量(6桁で厳密)
2702褐炭(ジェット除く)褐炭、成型褐炭ジェットは除外(他章)
2703泥炭泥炭、泥炭リター園芸用途でも“泥炭”自体はここ
2704コークス、半成コークス、レトルトカーボンコークス、半成コークス原料(石炭/褐炭/泥炭)問わず該当
2705石炭ガス等(石油ガス等を除く)発生炉ガス、水性ガス、石炭ガス**2711(石油ガス・その他ガス状炭化水素)**との境界
2706石炭/褐炭/泥炭由来のタール等石炭タール、再構成タール2707(高温タール蒸留油)との区別
2707高温石炭タールの蒸留油等(芳香族が優勢)ベンゼン/トルエン留分、クレオソート油芳香族優勢がポイント。特定物質は50wt%超条件(6桁注)
2708ピッチ、ピッチコークスコールタールピッチ、ピッチコークス2713(石油コークス等)と取り違え注意
2709原油(石油油・瀝青鉱物油の“粗”)原油、オイルサンド由来の粗油「粗」かどうか(精製・調製していないか)
2710石油油等(粗以外)、70wt%以上で主成分の調製品、廃油ガソリン、灯油、軽油、潤滑油、使用済み油70wt%主成分、およびwaste oils定義が最重要
2711石油ガス・その他のガス状炭化水素LNG/LPG、プロパン、ブタン、天然ガス液化か気体か、天然ガスかLPGか等で分岐
2712ペトロラタム、パラフィンワックス等の鉱物性ろうワセリン、パラフィンワックス第34類の「調製ワックス」等との境界に注意
2713石油コークス、石油ビチューメン、残留物石油コークス、アスファルト(石油ビチューメン)2708(ピッチ)/2714(天然)/2715(混合物)と区別
2714天然アスファルト/ビチューメン、タールサンド等天然アスファルト、タールサンド2713(石油由来ビチューメン)との“天然/石油由来”
2715ビチューメン混合物(舗装材等)アスファルト混合物(路盤材)「混合物・調製品」としての性格が強い
2716電気エネルギー電力(国際的にはここ)国・制度で取扱いが異なることがあるため実務要確認

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
    第27類は、6桁レベルで次のような**“試験・分析ドリブン”**な分岐が多いです。
    • 石炭(2701):揮発分(乾燥・無鉱物ベース)や発熱量(湿潤・無鉱物ベース)
    • 芳香族留分(2707):特定物質(ベンゼン等)50wt%超、蒸留条件(例:250℃までの留出割合)
    • 石油油(2710)
      • 「軽質油」扱いの定義(210℃で90vol%留出)
      • 「バイオディーゼル」含有の定義(脂肪酸モノアルキルエステル)
      • 「廃油」定義(使用済み、スラッジ、油水エマルジョン等)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2707(石炭タール蒸留油) vs 2710(石油油・調製品/廃油)
      • どこで分かれるか:
        • 2707は芳香族成分が非芳香族より重い(“芳香族優勢”)タイプの蒸留油が中心です。
        • 2710は「石油油(注2で定義)を主成分として含む」油・調製品・廃油が中心です。
      • 判断に必要な情報:原料由来(石炭タール由来か)、成分分析(芳香族/非芳香族比)、SDS、蒸留性状。
      • 典型的な誤り:商品名だけで「溶剤=2710」としてしまう(実際は2707や第38類の調製溶剤の場合)。
    2. 2710.12(“軽質油”) vs 2710.19(その他)
      • どこで分かれるか:2710.12の「軽質油・調製品」は210℃で90vol%以上留出が基準です(ISO 3405)。
      • 判断に必要な情報:蒸留試験(ISO 3405相当)、留出曲線、試験成績書。
      • 典型的な誤り:「ガソリンっぽい」外観で2710.12に寄せる(試験値が不足)。
    3. 2710.20(バイオディーゼル含有・70wt%以上の石油油系) vs 2710.12/2710.19
      • どこで分かれるか:バイオディーゼルは注で定義された**脂肪酸のモノアルキルエステル(燃料用)**が対象です。
      • 判断に必要な情報:FAME含有の有無・割合、原料(動植物/微生物由来)、SDS/分析(GC等)。
      • 典型的な誤り:Bxx燃料(例:B5/B20)を、単に2710.19で申告してしまう。
    4. 2710(製品油) vs 2710(waste oils:廃油)
      • どこで分かれるか:「waste oils」は注で、主に石油油からなる廃棄物で、使用済み潤滑油やタンクスラッジ等が例示されています。
      • 判断に必要な情報:使用履歴、汚染・添加剤、タンク洗浄由来か、エマルジョンか、売買契約(再利用目的でも“廃”扱いになることがある)。
      • 典型的な誤り:再生目的だからといって“製品”扱いで2710.19等にしてしまう。
    5. 2701.11(無煙炭) vs 2701.12(瀝青炭) vs 2701.19(その他)
      • どこで分かれるか:
        • 無煙炭:揮発分が14%以下(乾燥・無鉱物ベース)
        • 瀝青炭:揮発分が14%超かつ発熱量が5,833kcal/kg以上(湿潤・無鉱物ベース)
      • 判断に必要な情報:工業分析(揮発分)、発熱量試験、分析条件(ベース換算)。
      • 典型的な誤り:産地や商習慣分類(steam coal等)だけでHSを決める。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    第27類が属する**第V部(鉱物性生産品)について、WCO公開のHS2022構成(目次)上、部注(Section Notes)の掲載は確認されません。実務上は、まず類注(Chapter Notes)**が支配的です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第27類は、部注よりも**類注(注1〜注3)と、号注(Subheading Notes 1〜5)**が直接分岐を作ります。
      • 例:使用済み潤滑油は、注3の定義に当たると「waste oils」として扱う、など。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (部注による“飛び”はこの部では限定的なため)主に類注で他章へ飛びます(次節)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(除外):分離した単一有機化合物(ただし純メタン・純プロパンは2711へ)、医薬品(30類)、特定の混合不飽和炭化水素(33.01/33.02/38.05)は第27類から除外。
    • 注2(2710の“石油油”の範囲):2710でいう「石油油等」は、石油由来に限らず、非芳香族成分の重量が芳香族成分を上回る“類似油”も含み得ます。一方で、一定条件の液状合成ポリオレフィンは除外(第39類)
    • 注3(waste oils定義):主に石油油等からなる廃棄物で、水混入の有無を問わず、使用済み油・タンクスラッジ・油水エマルジョン等が例示。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • waste oils(廃油):上記注3の範囲(例示を含む)。
    • (注2関連)“石油油等”の参照範囲:芳香族/非芳香族比、合成ポリオレフィン除外の蒸留条件。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 分離した単一有機化合物 → 第29類(例外:純メタン・純プロパンは2711)
    • 液状合成ポリオレフィン(所定の蒸留条件)→ 第39類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:2710の対象になる“石油油等”か(注2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 芳香族/非芳香族の重量比較、蒸留性状(合成ポリオレフィン除外の確認)
    • 現場で集める証憑:SDS、成分表(炭化水素組成)、蒸留試験成績、製造工程(由来が石油か合成か)。
    • 誤分類の典型:
      • PAO等の合成基油を「鉱物油っぽい」だけで2710に入れる(実は注2の除外に当たり得る)。
  • 影響ポイント2:“waste oils(廃油)”に当たるか(注3)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • その油が「一次製品として使用に適さない」状態か、タンクスラッジ/油水混合物か、使用済みか。
    • 現場で集める証憑:使用履歴(メンテ記録)、汚染・添加剤分析、回収工程図、写真、MSDS、取引契約(廃棄物/再資源化)。
    • 誤分類の典型:
      • 再生原料という名目で製品油扱い(2710.19等)にしてしまい、注3該当の指摘を受ける。
  • 影響ポイント3:石炭の“無煙炭/瀝青炭”判定(号注1・2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):揮発分%(乾燥・無鉱物)、発熱量(湿潤・無鉱物)。
    • 現場で集める証憑:分析成績書(試験方法、ベース換算の明記)、サンプル採取条件。
    • 誤分類の典型:
      • 産地証明だけで無煙炭とする/一般炭とする(試験値が無い)。
  • 影響ポイント4:2710.12“軽質油”の判定(号注4)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):ISO 3405の蒸留で210℃までに90vol%留出。
    • 現場で集める証憑:蒸留試験表、品質規格書、ロット管理。
    • 誤分類の典型:
      • “灯油/軽油”の商業名だけで軽質/その他を決める。
  • 影響ポイント5:バイオディーゼルの定義(号注5)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):脂肪酸モノアルキルエステル(燃料用)か、由来(動物/植物/微生物)。
    • 現場で集める証憑:FAME分析、原料情報、SDS。
    • 誤分類の典型:
      • “バイオ燃料”という表現だけで2710.20相当と判断(実際は別章の化学品のことも)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「ガソリン」「灯油」等の品名だけで2710.12/2710.19を決める
    • なぜ起きる:商流名とHS分岐(蒸留条件)が一致すると思い込みやすいです。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):2710.12は**蒸留(210℃で90vol%)**という定義(号注4)で決まります。
    • 予防策:蒸留試験成績(ISO 3405)を必ず入手。社内質問例:「この品はD86/ISO3405の蒸留表がありますか?」
  2. 間違い:使用済み潤滑油を“製品油”として申告(waste oilsの見落とし)
    • なぜ起きる:「再生目的=製品」と誤認しやすいです。
    • 正しい考え方:注3は、使用済み潤滑油等をwaste oilsとして例示しています。
    • 予防策:使用履歴、汚染状況、回収工程を提出資料に反映。社内質問例:「この油は一度設備で使用しましたか?汚染物は何ですか?」
  3. 間違い:PAO等の合成基油を2710に入れる
    • なぜ起きる:「見た目が鉱物油」「用途が潤滑油ベース」という理由で寄せがちです。
    • 正しい考え方:注2は、一定条件の**液状合成ポリオレフィンを除外(第39類)**しています。
    • 予防策:蒸留性状(300℃での留出率)やポリオレフィン由来を確認。社内質問例:「基油は鉱油ですか、合成(PAO等)ですか?」
  4. 間違い:石炭タール蒸留油(2707)を2710にしてしまう
    • なぜ起きる:SDS上の“hydrocarbon solvent”表記だけで石油系と誤認。
    • 正しい考え方:2707は芳香族が非芳香族より優勢の蒸留油等が中心です。
    • 予防策:原料(高温石炭タール由来か)と芳香族/非芳香族比の確認。社内質問例:「原料は石炭タールですか?GCで芳香族比率は?」
  5. 間違い:ベンゼン/トルエン等の留分を“混合物だから”として2707.99に入れる
    • なぜ起きる:物質含有割合の閾値を見落としがちです。
    • 正しい考え方:号注3により、ベンゼン等は50wt%超なら該当サブヘディングで扱います。
    • 予防策:主要成分の重量%を分析で確定。社内質問例:「ベンゼン/トルエン/キシレンの含有率(wt%)は?」
  6. 間違い:“石油系添加剤(例:オクタン価向上剤)”を2710にする
    • なぜ起きる:「燃料に混ぜるもの=燃料HS」と短絡しがちです。
    • 正しい考え方:2710は石油油が主成分等の枠(70wt%・主成分)で捉える必要があり、添加剤は第38類(調製品)側に寄ることがあります。
    • 予防策:石油油の含有率(70wt%基準)と“主成分”かを確認。SDSと配合表を収集。
  7. 間違い:石炭(2701)で無煙炭/瀝青炭を“呼称”だけで決める
    • なぜ起きる:契約名(steam coal等)とHS定義がズレることがあります。
    • 正しい考え方:無煙炭・瀝青炭は号注1・2の試験値定義です。
    • 予防策:分析成績書(揮発分・発熱量)を必須化。
  8. 間違い:2712(鉱物性ろう)と、他章の“調製ワックス”を混同
    • なぜ起きる:「ワックス=2712」と思いがちです。
    • 正しい考え方:2712は鉱物性ろう等の範囲で、添加剤入り・調製品は他章の可能性があります(個別検討)。
    • 予防策:成分(添加剤の有無)・用途・製造工程を確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 第27類は、(1)**採掘・産出(WO:完全生産)**が取りやすい品目(石炭・原油等)と、(2)精製・混合が絡む品目(2710の調製品等)が混在します。
    • HSを誤ると、PSR(CTH/CTSH/RVC/特定工程など)の前提が崩れて、原産性判断が“やり直し”になります。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 「原油→精製油」の場合、**工程(精製・混合)**がPSRで問われることがあります。
    • 2710の“調製品”側は、材料(添加剤等)のHS把握が必要になる場面があります。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • 協定・国により参照するHS版が異なる場合があるため、協定本文・運用ガイダンス・税関が出すトランスポーズ版を必ず確認してください。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 実務では、税関が**HS2022表記でPSR一覧(対応表)**を出していることがあります(例:日本税関のRCEP PSR資料は「HS Code (HS 2022)」表記)。
    • “PSRの表がHS2022”でも、裏では旧版ベースの構造が残る場合があるため、疑義があれば税関資料の注記・対応関係を確認します。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 旧HSでPSRが書かれている場合は、WCO相関表(Correlation Tables)で旧→新を機械的に置換せず、品目範囲(見出しの意味)が同一かを確認します。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 2710の調製品は特に、配合表(石油油の重量%・添加剤)と工程(ブレンド/精製/再生)が重要です。
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 産地証明・採掘証明・製造工程図・試験成績(蒸留・成分)など、分類で集めた資料がそのまま原産性の裏付けにもなります。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(号注5:2710関連)「バイオディーゼル」定義が、動物・植物由来に加え微生物由来を含む表現に更新微生物由来の燃料用FAMEを扱う場合、定義適合の説明がしやすくなる
HS2017→HS2022変更なし(6桁の改廃なし)第27類全般WCO相関表(HS2017↔HS2022)上、第27類の6桁改廃・移動の記載は確認されない通常は従前の6桁設計のまま運用。ただし国内コードや制度要件は別途確認

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)
    • WCO公開のHS2017 第27類条文HS2022 第27類条文を比較し、号注5(biodiesel定義)が「animal or vegetable」→「animal, vegetable or microbial」へ更新されている点を確認しました。
    • また、WCOの**HS2017↔HS2022相関表(Table I)**では、第27類の6桁コード改廃・移動の記載が確認されず、構造変更(新設/分割等)はないと整理しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(主要論点のみ)
版の変更主要な追加・削除・再編旧コード→新コード(または行き先)コメント
HS2007→HS2012**バイオディーゼル含有(石油油70wt%以上)**のサブヘディング新設(旧)ex2710.11/ ex2710.19 →(新)2710.20 等相関表に「2710.20新設」および定義(号注5)が明記
HS2012→HS2017第27類の6桁改廃の記載なしWCO相関表に第27類の変更記載が確認されない
HS2017→HS2022第27類の6桁改廃は原則なし(ただし定義文言更新あり)号注5に微生物由来が追加

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):使用済み作動油を“製品油”で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注3(waste oils定義)の見落とし
    • 起きやすい状況:再生業者向け輸入で「原料=商品」と誤認、SDSも新品用を流用
    • 典型的な影響:修正申告、追加資料要求、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:使用履歴/汚染分析/回収工程を事前準備、必要に応じて事前教示
  • 事例名(短く):合成基油(PAO)を2710で申告
    • 誤りの内容:注2の除外(合成ポリオレフィンの蒸留条件)に抵触し得る
    • 起きやすい状況:「鉱物油代替」用途で、商流名が“base oil”
    • 典型的な影響:品目更正、提出資料(蒸留試験等)の追加、評価やり直し
    • 予防策:原料系統・蒸留性状の試験成績を準備、SDSで合成由来を明確化
  • 事例名(短く):“軽質油”判定の試験がなく2710.12で申告
    • 誤りの内容:号注4(210℃で90vol%留出)の根拠不足
    • 起きやすい状況:スポット輸入・ブレンド品で、品質証明が簡略
    • 典型的な影響:検査・サンプル採取、通関遅延
    • 予防策:ISO 3405の蒸留表をロットごとに確保、契約で提供を義務化
  • 事例名(短く):石炭の品位区分(無煙炭/瀝青炭)を呼称で決定
    • 誤りの内容:号注1・2(揮発分・発熱量)の不適合
    • 起きやすい状況:長期契約で“通称”が固定、試験ベース換算が不統一
    • 典型的な影響:税番差替え、統計訂正、追加資料要求
    • 予防策:分析方法・換算ベースを統一し、成績書フォーマットを標準化

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 第27類は一般にSPSより、危険物・エネルギー関連の手続が中心です。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 通常は該当しません。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 対象国・用途・制裁等で変動します。個別取引で最新の法令・告示を確認してください(一般論)。
  • その他の許認可・届出
    1. 石油の輸入に関する登録・届出(備蓄法・品確法)
      • 石油の輸入を行う場合、備蓄法に基づく登録や、輸入後の品確法に基づく届出・規格適合確認が必要となる旨が公的に案内されています(対象油種の例示あり)。
      • 税関手続面でも、原油・揮発油・灯油・軽油・重油の輸入通関に関し、当局間文書として取扱いが示されています。
      • さらに、(国内制度上の区分として)原油は2709.00等、揮発油等は2710各号等を参照して整理されている例があります(国内コードの参照であり、HS6桁と混同しない)。
    2. 危険物規制(消防法:第4類引火性液体など)
      • ガソリン・灯油・軽油・重油等は、消防法令上の「引火性液体」区分・引火点基準等があり、保管・取扱い・施設要件に影響します(例:第1石油類/第2石油類…)。
    3. 高圧ガス(LPG/LNG等):輸入検査等
      • 高圧ガスを輸入した者は、輸入検査を受け、適合が認められるまで移動できない等の手続が示されています(法令条文引用は避け要約)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省(資源エネルギー庁・各経産局):備蓄法/品確法関連の手続案内
    • 財務省・税関:石油輸入通関の取扱いに関する通達等
    • 消防庁・消防本部:危険物(消防法)関係
    • 都道府県(高圧ガス)・指定機関:輸入検査等
  • 実務での準備物(一般論):
    • 製品SDS、成分表、蒸留試験/引火点試験等の成績書、用途説明
    • 備蓄法登録関連の書面(必要な場合)、品確法届出関連の書面(対象油種の場合)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 由来(石油/石炭タール/天然ビチューメン/合成)
    • 形状(固体/液体/ガス)、用途(燃料/原料/舗装/潤滑)
    • SDS、成分表、蒸留曲線、揮発分/発熱量(石炭)、引火点(危険物該当性確認用)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 2710:注2(石油油範囲)/注3(waste oils)/70wt%・主成分の当てはめ
    • 2701:号注の数値要件(揮発分・発熱量)
    • 2707:芳香族優勢、50wt%超条件
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は商流名だけでなく「例:petroleum oils (other than crude), containing biodiesel…」等、HSの観点が伝わる表現を検討
    • 日本の統計単位は、**KG、MT、KL、L、CM(立方メートル)**等が使われます(単位略号は税関の一覧で確認可能)。
    • 廃油該当の可能性がある場合:使用履歴・回収工程・分析結果を添付
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版と、税関が公表するPSR表(HS2022表記か)を確認
    • 原油→精製油の場合、工程証憑(製油所工程、ブレンド記録)を整備
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 備蓄法登録・品確法届出の要否(対象油種、用途)
    • 危険物(消防法)区分の確認(引火点等)
    • LPG/LNG等:高圧ガス輸入検査等の確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS2022 Chapter 27(条文・注・号注) (参照日:2026-02-19)
    • HS2017 Chapter 27(条文・注・号注) (参照日:2026-02-19)
    • Correlation Tables HS 2017–2022(Table I 等) (参照日:2026-02-19)
    • Correlating HS2012 to HS2007(Table I:2710.20新設の記載) (参照日:2026-02-19)
    • Correlating HS2017 to HS2012(Table I:第27類の改廃記載確認用) (参照日:2026-02-19)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 日本税関:統計単位の略号一覧(KG, KL, L, MT, CM 等) (参照日:2026-02-19)
    • 経済産業省関東経済産業局:揮発油等の輸入に関する各種届出(備蓄法・品確法の手続案内) (参照日:2026-02-19)
    • 財務省関税局・税関:備蓄法に基づく原油等の輸入通関取扱い(通達) (参照日:2026-02-19)
    • 消防庁:消防法令抜粋(危険物の定義・引火点区分等) (参照日:2026-02-19)
    • 高圧ガス保安協会(KHK):高圧ガス輸入の申請手続き(輸入検査等の概要) (参照日:2026-02-19)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 日本税関:RCEP Product-Specific Rule(HS Code (HS 2022) 表記のPSR一覧) (参照日:2026-02-19)
  • その他(業界団体、公的統計等)
    • (必要に応じて)石油/LPガス業界団体の品質規格・試験方法資料、船積・保管の危険物取扱ガイド等

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第26類:鉱石、スラグ及び灰 Ores, slag and ash

用語は次で統一します。類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

この章は「超要約」です。

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 鉄鉱石・鉄精鉱(ペレットでない粉鉱も、ペレット等の凝結品も:2601)
    • 銅鉱(銅精鉱):2603
    • ウラン鉱・トリウム鉱(精鉱含む):2612
    • 製鉄・製鋼由来の粒状スラグ(スラグサンド):2618
    • 金属や砒素を含むスラグ・灰・残留物(ただし条件あり:2620)
    • 都市廃棄物の焼却灰:2621.10
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先も併記):
    • 道路用路盤材として加工したスラグ等(マカダム状) → 25.17
    • 石油タンクのスラッジ(主として石油) → 27.10
    • 塩基性スラグ(肥料用途のもの等) → 第31類
    • スラグウール/ロックウール等の鉱物繊維 → 68.06
    • 貴金属の回収目的のスクラップ → 71.12 または(HS2022では)85.49
    • 銅・ニッケル・コバルトのマット(溶錬で得たもの) → 第XV部(卑金属)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「鉱石(ore)」の定義に当てはまるか(類注2の範囲)
    2. スラグ/灰/残留物は“発生源”が製鉄・製鋼か、それ以外か、都市ごみ焼却か(2618/2619/2620/2621の分岐)
    3. 2620の中では**「主成分の金属」砒素・水銀・タリウム等**の有無で号が割れる
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 2620/2621(灰・残留物)が“廃棄物”扱いになり得るとき(バーゼル法等の手続)
    • **2612(ウラン・トリウム鉱)**で、核原料物質としての手続が絡むとき

1. 区分の考え方

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • 第26類は、ほぼ**GIR1(品目表の文言+注)**で決まります。特に効くのは次です。
    • 類注1(除外):ここに該当すると、最初から第26類ではありません
    • 類注2(“ores”の定義):2601〜2617に入るかどうかの「入口」
    • 類注3(2620の適用条件):2620に入れるための条件が明示されています
  • 号(6桁)の決定はGIR6で、同じ階層(6桁同士)の文言と注で判断します(例:2601.11 vs 2601.12、2620.11/19/…)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質・化学形態:鉱物(鉱石)か、化学品(酸化物・塩等)か
    • 加工度:選鉱レベルか、化学処理・焼成などで“鉱石”の範囲を超えたか(類注2の考え方)
    • 発生源:製鉄・製鋼由来か/それ以外の工業由来か/都市ごみ焼却か(2618/2619/2620/2621)
    • 用途:2620は「金属抽出」や「金属化合物製造の原料」等、用途(種類)が条件になる

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:まず「除外」に当たらないか確認
    • 道路用に加工したスラグ(25.17)、石油スラッジ(27.10)、肥料の塩基性スラグ(31類)、鉱物繊維(68.06)、貴金属回収用スクラップ(71.12/85.49)、銅・ニッケル・コバルトのマット(第XV部)などは第26類ではありません。
  • Step2:2601〜2617の「鉱石・精鉱」か?
    • 類注2の“ore”に当てはまる(冶金用の鉱物種で、過度な加工をしていない)なら、金属別に2601〜2617へ。
    • 当てはまらない場合はStep3へ。
  • Step3:製鉄・製鋼由来のスラグ/くずか?
    • 粒状スラグ(スラグサンド) → 2618
    • 粒状以外のスラグ・ドロス・スケール等(製鉄・製鋼由来) → 2619
    • それ以外ならStep4へ。
  • Step4:製鉄・製鋼以外由来のスラグ/灰/残留物か?
    • 金属・砒素等を含み、かつ類注3の用途条件に合う → 2620(主成分等で号決定)
    • 都市廃棄物の焼却灰 → 2621.10(2620から除外される)
    • その他のスラグ・灰 → 2621.90
  • よく迷う境界(例):
    • 25.17(路盤材) vs 2618/2619(製鉄由来スラグ)
    • 2620(工業用金属回収等の残留物) vs 2621(都市ごみ焼却灰を含む“その他”)
    • 2616(貴金属鉱) vs 71.12/85.49(貴金属回収用スクラップ)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2601鉄鉱石・鉄精鉱(焼いた硫化鉄鉱を含む)鉄鉱石(粉鉱/ペレット)、焼いた硫化鉄鉱2601.11 非凝結 / 2601.12 凝結 / 2601.20 焼いた硫化鉄鉱
2602マンガン鉱・マンガン精鉱(乾燥重量でMn20%以上の含鉄マンガン鉱含む)マンガン鉱**Mn20%以上(乾燥重量)**の文言が鍵
2603銅鉱・銅精鉱銅精鉱「マット(溶錬品)」は類注1で第XV部へ
2604ニッケル鉱・ニッケル精鉱ニッケル精鉱ニッケルマットは除外(第XV部)
2605コバルト鉱・コバルト精鉱コバルト精鉱コバルトマットは除外(第XV部)
2606アルミニウム鉱・精鉱ボーキサイト等化学処理で酸化アルミ等になっていれば28類側の検討が必要(一般論)
2607鉛鉱・精鉱鉛精鉱2620(鉛を主成分とする残留物)と混同しない
2608亜鉛鉱・精鉱亜鉛精鉱2620(亜鉛主成分の残留物)と混同しない
2609すず鉱・精鉱すず精鉱
2610クロム鉱・精鉱クロム鉄鉱等
2611タングステン鉱・精鉱灰重石等の精鉱
2612ウラン鉱/トリウム鉱・精鉱ウラン鉱、トリウム鉱核原料物質として他法令の手続が絡む可能性
2613モリブデン鉱・精鉱焼いたモリブデン精鉱/その他2613.10(焼いたもの)vs 2613.90(その他)
2614チタン鉱・精鉱イルメナイト等の精鉱類注2の“ore”か、酸化チタン等の化学品かの見極め(一般論)
2615ニオブ/タンタル/バナジウム/ジルコニウム鉱・精鉱ジルコンサンド等2615.10(ジルコニウム)vs 2615.90(その他)
2616貴金属鉱・精鉱銀鉱/銀精鉱、金銀含有鉱等2616.10(銀)vs 2616.90(その他)。回収目的のスクラップは除外
2617その他の鉱・精鉱アンチモン鉱、その他未列挙の金属鉱2617.10(アンチモン)vs 2617.90(その他)
2618製鉄・製鋼の粒状スラグ(スラグサンド)高炉スラグの粒状品粒状であることがポイント
2619製鉄・製鋼のスラグ/ドロス/スケール等(粒状以外)スケール、ドロス等2618(粒状)と混同しない
2620(鉄鋼由来以外の)金属・砒素等含有のスラグ/灰/残留物亜鉛灰、鉛含有残留物、砒素含有残留物等類注3の「用途条件」と、主成分金属等で号を選ぶ
2621その他のスラグ・灰(都市ごみ焼却灰含む)都市ごみ焼却灰、海草灰(ケルプ)2621.10(都市ごみ焼却灰)と2621.90(その他)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐

第26類は、号の分岐が「少ない項」と「2620のように細かい項」で差が大きいです。実務で効きやすい分岐だけに絞ります。

  • 分岐条件の整理(代表)
    • 形状(凝結の有無):2601.11(非凝結)/ 2601.12(凝結)
    • 焙焼の有無:2613.10(焼いたモリブデン)/ 2613.90(その他)
    • 鉱種(ウラン/トリウム、銀/その他貴金属、アンチモン/その他):2612、2616、2617の分岐
    • 発生源・用途・含有主成分:2620/2621の分岐
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(例:2〜5組)
    1. 2601.11 vs 2601.12(鉄鉱の非凝結/凝結)
      • どこで分かれるか:ペレット化・焼結等で凝結しているか
      • 判断に必要な情報:製品形状(粉鉱/ペレット)、粒度、製造工程(焼結/ペレタイジングの有無)
      • 典型的な誤り:「粉状だが微量バインダー使用→凝結扱い」と早合点(実態の形状で整理)
    2. 2612.10 vs 2612.20(ウラン鉱/トリウム鉱)
      • どこで分かれるか:主対象がウラン系かトリウム系か
      • 判断に必要な情報:分析表(U/Th含有)、鉱物名、用途(核原料物質該当性の確認は別途)
      • 典型的な誤り:レアアース原料等の中にU/Thが混在しているのに、別鉱種として扱い見落とす
    3. 2616.10 vs 2616.90(銀鉱/その他貴金属鉱)
      • どこで分かれるか:銀鉱(銀精鉱)として扱うか、その他の貴金属鉱か
      • 判断に必要な情報:主要回収対象(Agか、Au/Pt等か)、品位(分析)
      • 典型的な誤り:回収目的の「スクラップ」を“鉱”と呼んで2616に寄せる(類注1(f)で除外の可能性)
    4. 2620(各号) vs 2621.10(都市ごみ焼却灰)
      • どこで分かれるか:都市廃棄物の焼却由来かどうか
      • 判断に必要な情報:発生源(自治体施設の焼却灰か、工場工程の灰か)、産廃/一廃区分資料、工程説明
      • 典型的な誤り:重金属を含むので「2620だろう」と決め打ち(類注3で“都市ごみ焼却灰”は2621)
    5. 2620の中の号選択(“主として○○を含む”)
      • どこで分かれるか:
        • 亜鉛主成分:2620.11(ハードジンクスペルター)/ 2620.19(その他)
        • 鉛主成分:2620.21(加鉛ガソリン等由来スラッジ)/ 2620.29(その他)
        • 銅主成分:2620.30
        • アルミ主成分:2620.40
        • 砒素・水銀・タリウム等(抽出/化合物製造用):2620.60
        • その他(特定金属含有):2620.91 / 2620.99
      • 判断に必要な情報:元素分析(主成分の判定)、発生源・用途(特に2620.60)、SDS/試験成績
      • 典型的な誤り:主成分判定を「含有している」レベルで判断する/2620.60を“有害だから”で選ぶ(用途条件がある)

3. 部注と類注の詳細解釈

この章は「条文をそのまま引用せず、実務的に何を意味するか」を整理します。

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第26類は**第05部(鉱物性生産品)**に属しますが、WCOの目次上、第05部には“部注(Section Notes)”が設けられていない構成です(部注があるのは第06部など)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • したがって、第26類の判断は基本的に類注(Chapter Notes)と各見出し文言が中心になります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第05部の部注で飛ぶのではなく、**第26類の類注1(除外)**で他類・他項へ飛ぶのが典型です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:第26類に入らないもの(除外)
      • 路盤材(25.17)、マグネサイト(25.19)、石油スラッジ(27.10)、塩基性スラグ(31類)、鉱物繊維(68.06)、貴金属回収用スクラップ(71.12/85.49)、銅・ニッケル・コバルトのマット(第XV部)など。
    • 類注2:2601〜2617における“鉱石(ores)”の考え方
      • 冶金目的で金属抽出に使われる鉱物種(Hg、28.44の金属、または第XIV・XV部の金属)を指し、非冶金用途でも対象になり得る一方、冶金業で通常といえない加工をしたものは除外、という構造です。
    • 類注3:2620の適用条件
      • 2620は「鉄鋼由来以外」のスラグ/灰/残留物で、一定の産業用途(抽出・金属化合物原料等)に使われる種類のものに限る、かつ都市ごみ焼却灰は2621へ、という整理です。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 2620.21の定義(加鉛ガソリン等のスラッジ):加鉛ガソリンや加鉛アンチノック剤の貯蔵タンクから出るスラッジで、主として鉛やその化合物等からなる旨が注で示されています(要約)。
    • 砒素・水銀・タリウム等を含む残留物の扱い:抽出や化合物製造に用いる種類のものは2620.60に分類する旨が注で示されています(要約)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 上記類注1の各除外先が、そのまま除外先です。特に、貴金属スクラップはHS2022では71.12に加え85.49も明示される点に注意が必要です。

4. 類注が分類に与える影響

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を見える化します。

  • 影響ポイント1:“鉱石(2601〜2617)”に入るかどうか
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 鉱物名(鉱物種)/主要金属/用途(冶金用か)
      • 加工の程度(選鉱の範囲か、化学処理・焼成等で別物になっていないか)
      • 類注2の範囲に当てはまるか
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書、鉱物分析(XRF等)、品位表、SDS、工程図(破砕・選鉱・焙焼など)、写真(形状)
    • 誤分類の典型:
      • 鉱石を「化学品(28類)」として申告/逆に化学処理済み品を「鉱石」として申告(いずれも審査で突かれやすい)
  • 影響ポイント2:スラグ・灰・残留物(2618/2619/2620/2621)の“発生源”と“用途条件”
    • 何を見れば判断できるか:
      • 製鉄・製鋼由来か(2618/2619)
      • それ以外の産業由来で、金属抽出等に用いる種類か(2620の条件)
      • 都市ごみ焼却由来か(2621.10)
    • 現場で集める証憑:
      • 発生元の工程説明書、排出事業者証明、分析、用途説明、廃棄物該当性の社内判断資料
    • 誤分類の典型:
      • 2620の「用途条件」を確認せず、単に重金属含有で2620に寄せる
  • 影響ポイント3:除外(類注1)を見落とす
    • 何を見れば判断できるか:
      • 「道路用に加工」→ 25.17
      • 「貴金属回収用スクラップ」→ 71.12/85.49
      • 「マット(溶錬品)」→ 第XV部
    • 現場で集める証憑:
      • 用途資料、加工内容、溶錬工程の有無、回収目的の契約・仕様(リサイクル契約書等)
    • 誤分類の典型:
      • 「鉱石っぽい黒い粉」=鉱石、と短絡して2603等へ。実は回収用スクラップで除外、というパターン。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:道路用の路盤材として加工したスラグを2618/2619で申告
    • なぜ起きる:見た目が「スラグ」なので製鉄スラグ扱いに寄せてしまう
    • 正しい考え方:類注1で、マカダム状にしたスラグ等は25.17へ除外
    • 予防策:用途(道路材)と加工状態(粒度調整・混合・締固め前提)を確認。カタログ・用途仕様を入手。
  2. 間違い:都市ごみ焼却灰を2620(金属含有残留物)で申告
    • なぜ起きる:重金属含有=2620と決め打ち
    • 正しい考え方:類注3で、都市廃棄物焼却灰は2620から外れ2621へ
    • 予防策:発生源(自治体焼却施設か)を証憑で固める。排出元証明・工程説明・分析報告をセットで保管。
  3. 間違い:銅マットを「銅鉱(2603)」として扱う
    • なぜ起きる:取引名が“concentrate/matte”で混乱しやすい
    • 正しい考え方:類注1で、銅・ニッケル・コバルトのマット(溶錬品)は第26類から除外され第XV部
    • 予防策:工程(溶錬=smelting)の有無を確認。製造フロー・SDSで“matte”の定義を確認。
  4. 間違い:貴金属回収目的のスクラップを2616(貴金属鉱)で申告
    • なぜ起きる:貴金属含有=「貴金属鉱」に寄せてしまう
    • 正しい考え方:類注1(f)で回収目的のスクラップは除外。HS2022では71.12に加え85.49も参照される
    • 予防策:原材料の出自(鉱山由来か、製造・廃棄物由来か)と「回収目的」を契約・仕様で確認。
  5. 間違い:**非凝結の鉄鉱石(粉鉱)**を2601.12(凝結)で申告
    • なぜ起きる:輸送形態(バルク)だけで判断
    • 正しい考え方:2601.11(非凝結)と2601.12(凝結)の区別は形状・工程に基づく
    • 予防策:粉鉱/ペレット等の形状、製造工程、粒度分布を入手。
  6. 間違い:2620.60を「有害金属が入っているから」と安易に選ぶ
    • なぜ起きる:砒素・水銀・タリウム等があると条件反射で2620.60
    • 正しい考え方:2620.60は注で“抽出・化合物製造に用いる種類”という用途条件が示される(要約)
    • 予防策:用途(回収工程で使うのか)と取引実態(回収業者向けか)を確認。用途説明書を添付。
  7. 間違い:石油タンク由来スラッジを2620/2621で申告
    • なぜ起きる:スラッジ=灰・残留物という連想
    • 正しい考え方:類注1で、石油タンクのスラッジ(主として石油)は27.10へ除外
    • 予防策:成分(主として鉱物か油分か)をSDS/分析で確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第26類は特に、
    • 「鉱石(2601〜2617)」なのか
    • 「残留物(2620/2621)」なのか
    • 「スクラップ(71.12/85.49等)」なのか
      で、PSRの考え方(WO/CTH/RVC等)が大きく変わり得ます。
  • よくある落とし穴(一般論)
    • 原産性判定は「最終製品HS」だけでなく、非原産材料のHS、工程(選鉱・焙焼・回収等)も絡みます。
    • “廃棄物・スクラップ”は協定上「締約国内で得られたもの(WO)」に当たり得る場合もありますが、定義・条件は協定ごとに確認が必要です(一般論)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定本文・付属書(PSR)が参照するHS版は、協定により異なります。
  • 例としてRCEPは、PSRをHS2022にトランスポーズした版が採択され、当事国が2023年1月1日から実施する旨が日本税関資料に示されています。
  • HS版がズレる場合の注意(一般論)
    • HS改正でコード体系が変わった場合、旧HSでのPSRを新HSに読み替える必要があります。
    • その際は、WCOの相関表(Correlation tables)等を使って“旧→新”を機械的に当て、さらに範囲(スコープ)の変更がないかを確認します。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程(採掘→選鉱→焙焼→回収等)、原産国
  • 非原産材料のHS(少なくとも6桁)、RVC計算に使う前提資料
  • 証明書類・保存要件(一般論):協定別の保存年限、検認対応のための証憑(分析表、工程図、契約書)をセットで。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い

7-1. 変更点サマリー(表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022(6桁の)変更なし26.01〜26.21(HS6桁)WCOのHS2017–2022相関表(Table I/II)に第26類のサブヘディングが掲載されていない=少なくともHS6桁の新設・分割・統合等は示されていないHS6桁レベルの付番は原則そのまま。ただし国内細分は別途確認
HS2017→HS2022文言修正(注の参照先追加)類注1(f)貴金属回収目的のスクラップの除外先に、71.12に加えて85.49が追記された“回収目的スクラップ”の分類先が71.12だけとは限らない点に注意(HS2022の取扱い)

7-2. 「違うことになった根拠」

  • 6桁変更なしの根拠(読み取り):
    • WCOはHS2017→HS2022の相関表(Correlation tables)を公開しており、Table I/IIは改正で影響を受けるサブヘディング等の整理に用いられます。
    • そのTable I/IIに第26類(26.01〜26.21)のサブヘディングが見当たらないため、少なくともHS6桁体系の新設・分割・統合等は示されていない、と整理できます(※“相関表に載らない変更がゼロ”という意味ではなく、HS6桁の構造変更が表に現れていない、という趣旨)。
  • 類注1(f)の参照追加の根拠:
    • HS2017の類注1(f)は除外先として71.12のみを挙げています。
    • HS2022の類注1(f)は除外先として71.12に加え85.49も挙げています。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第26類は、少なくともHS2007以降、26.01〜26.21(2601〜2621)の骨格が大きく変わっていない部類です(条文比較ベース)。

期間主な追加・削除・再編対象コード備考(旧→新対応)
HS2007→HS2012大きな変更の示唆なし(見出し・号構造は同様)2601〜2621対応:実質変更なし(本類内)
HS2012→HS2017大きな変更の示唆なし(見出し・号構造は同様)2601〜2621対応:実質変更なし(本類内)
HS2017→HS2022類注1(f)の参照先に85.49が追加類注1(f)(除外)旧:71.12 → 新:71.12/85.49(除外先追加)

※上表は「HS6桁(国際6桁)」の話です。各国の国内コード(8桁/9桁等)は別途変わり得ます。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名:都市ごみ焼却灰を2620で申告して差戻し
    • 誤りの内容(どの類注に抵触):類注3の「都市ごみ焼却灰は2621」趣旨を無視
    • 起きやすい状況:分析表だけ提出し、発生源資料がない
    • 典型的な影響:修正申告、追加資料要求、検査強化、通関遅延
    • 予防策:発生源証明(自治体施設証明等)+工程説明+分析をセットで準備。廃棄物規制の事前確認も。
  • 事例名:銅マットを“銅精鉱”として2603申告
    • 誤りの内容:類注1(g)の除外(マットは第XV部)に抵触
    • 起きやすい状況:売買名がconcentrate/matteで混在
    • 典型的な影響:分類差戻し、関税率・規制判定や原産地判断のやり直し
    • 予防策:溶錬工程の有無、製品性状(硫化物マット等)を仕様書で確認。
  • 事例名:道路用スラグ路盤材を2618/2619で申告
    • 誤りの内容:類注1(a)の除外(25.17)に抵触
    • 起きやすい状況:スラグという名称だけで判断
    • 典型的な影響:用途確認で差戻し
    • 予防策:用途・加工(マカダム状)をカタログで明確化。
  • 事例名:ウラン/トリウム含有鉱石の規制手続漏れ
    • 誤りの内容:分類は2612でも、核原料物質として手続が必要な場合に未対応
    • 起きやすい状況:レアメタル原料の副成分としてU/Thが混在
    • 典型的な影響:保留、追加手続、遅延
    • 予防策:輸入前に含有確認(分析)→ NRA/関係省庁の手続要否を確認。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

以下は日本前提の一般的な論点です(全品目に一律でかかるわけではありません)。

  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 第26類は通常、動植物検疫の主戦場ではありません(ただし付着物等で例外はあり得ます)。
  • 安全保障貿易管理・核関連
    • **ウラン鉱・トリウム鉱(2612)**は、核原料物質として、数量等に応じて許可・届出等が必要になり得ます(原子炉等規制法関係)。原子力規制委員会(NRA)は、ウランやトリウムの鉱石を扱う場合に手続が必要となり得る旨を案内しています。
    • また、経済産業省は「原子力関連貨物の輸入」ページで、関連法令に基づく管理・報告等に触れています。
  • 廃棄物・バーゼル条約(Basel)関連
    • スラグ・灰・残留物(2620/2621)は、貨物の性状・取引実態によっては「廃棄物」や「特定有害廃棄物等」として越境移動の管理対象になり得ます。経産省はバーゼル条約・バーゼル法の枠組みとして、外為法に基づく承認や環境大臣確認等が必要となる旨を説明しています。
    • 環境省資料やJETROのQ&Aでも、輸入承認等の手続の概要が整理されています。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 核関連:原子力規制委員会(NRA)、経済産業省(貿易管理)
    • 廃棄物・バーゼル:経済産業省(バーゼル法)、環境省、税関
  • 実務での準備物(一般論)
    • 分析表(元素組成)、SDS、工程説明、発生源証明(残留物・焼却灰など)、用途説明(回収目的等)
    • 規制該当性の社内判定メモ(誰が・何を根拠に・いつ判断したか)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 製品名(取引名)だけでなく、鉱物名・主成分・含有率・形状(粉/ペレット/粒状等)
    • 加工工程(選鉱、焙焼、溶錬、焼却、回収工程など)
    • 発生源(鉱山由来/製鉄由来/その他工業由来/自治体焼却由来)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1の除外(25.17、27.10、31類、68.06、71.12/85.49、第XV部)に当たらないか
    • 2620なら類注3の条件(用途・都市ごみ焼却灰除外)を満たすか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名:鉱種・形状・工程(例:“Iron ore fines, non-agglomerated”相当)を誤解なく
    • 数量単位:第26類は統計単位が**MT(トン)**になりやすい(日本の統計品目表でもMTが示される例が多い)
    • 添付:分析表、工程図、写真、用途説明
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版、PSRの確認(必要なら相関表で読み替え)
    • 証憑の保存設計(検認対応)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 2612(ウラン/トリウム)→ NRA/関係法令の手続要否確認
    • 2620/2621(灰・残留物)→ 廃棄物・バーゼル該当性の事前相談

12. 参考資料(出典)

※参照日:2026-02-19

  • WCO(HS条文)
    • HS2022 第26類(Chapter 26)条文(Notes/Heading list)
    • HS2017 第26類(Chapter 26)条文
    • HS2012 第26類(Chapter 26)条文
    • HS2007 第26類(Chapter 26)条文
    • HS2017–2022 Correlation tables(Table I/II および案内ページ)
  • 日本:税関・公的機関
    • RCEP:HS2022にトランスポーズされたPSR(日本税関資料)
    • 原子力規制委員会(NRA):核原料物質(ウラン・トリウム鉱石等)の取引・取扱い案内
    • 経済産業省:原子力関連貨物の輸入案内
    • 経済産業省:バーゼル条約・バーゼル法の概要
    • 環境省:特定有害廃棄物等の輸出入管理制度(概要資料)
    • JETRO:バーゼル条約規定廃棄物の輸出入手続きQ&A
  • 国内コード(参考:民間提供データ)
    • 日本関税協会 web輸出統計品目表(第26類の統計コード例・単位)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点

  • **HS6桁(国際)に対して、日本では統計・NACCS用に「-000」等を付した国内コード(統計品目番号)**が使われます。例:
    • 2601.11 → 2601.11-000(鉄鉱:非凝結)
    • 2612.10 → 2612.10-000(ウラン鉱)
    • 2620.11 → 2620.11-000(ハードジンクスペルター)
    • 2621.10 → 2621.10-000(都市ごみ焼却灰)
  • 単位は、同表の例では第26類は**MT(トン)**が多いです(統計第II単位がMT)。
  • 注意点:国内コードの細分は改正で変わることがあるため、実務では必ず最新の統計品目表(実行関税率表)で確認してください。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方

  • 事前教示(一般論)で早くするコツ:次の情報が揃うと相談が進みやすいです。
    • ①品名(取引名+一般名)
    • ②用途(冶金用/回収用/道路材等)
    • ③成分(分析表)
    • ④製造工程(工程図)
    • ⑤写真(形状:粉/粒/ペレット等)
    • ⑥SDS(残留物・灰は特に有効)
  • 第26類は「鉱石か/残留物か/スクラップか」で結論が変わりやすいので、除外(類注1)に当たらない根拠もセットにすると実務的です。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

2月前半のBMS・センサー分類スナップショットを深掘りする

2026年の税番見直しで、コストとリスクを同時に下げる実務ガイド


はじめに

BMSと各種センサーは、EVや蓄電システム、産業機械、IoT機器の中核部品です。一方で、見た目が似ていても「電池として提示されるのか」「制御盤として提示されるのか」「半導体センサーとして提示されるのか」によって、税番の方向性が大きく変わります。

HSは世界共通の6桁が出発点ですが、実務では各国で統計細分や運用差が生じます。日本でも、輸出入統計品目番号は6桁HSコードに国内3桁を付した9桁で運用されます。ここを理解していないと、社内マスターの整合が崩れ、仕入先や海外拠点との会話が噛み合いません。

本記事では、2026年2月前半に見直しておきたい観点として、BMSとセンサーの分類論点を「判断の軸」と「実務の落とし穴」に分けて整理します。最終的に、経営・調達・物流の意思決定に使える形まで落とし込みます。


2月前半のスナップショット

この時期に優先度が上がりやすい論点は次の5つです。

  1. BMSが電池パックの一部として提示されるのか、制御ユニットとして提示されるのか
  2. センサーがHS2022で新設された「半導体ベースの変換器」の範囲に入るのか
  3. センサーが「測定機器」として第90類に寄るのか、それとも「半導体デバイス」に寄るのか
  4. 基板やユニットが、単なる印刷回路なのか、制御盤なのか、特定機器の部分品なのか
  5. 社内の品名、仕様書、BOM、梱包形態が「提示態様」を曖昧にしていないか

これらは関税率だけの話ではありません。原産地判定、輸出管理、顧客への価格提示、輸送書類の整合など、ビジネスの下流工程に連鎖します。


BMS分類を深掘りする

まず押さえる前提

HS分類の基本は、品目表の文言と部注・類注に基づいて判断することです。複合品やセットなど複数の要素がある場合は、「重要な特性」を与える要素で判断するという考え方が軸になります(WCO解釈通則3(b))。

この原則を前提に、BMSは実務上、次の2タイプに分けて考えると誤分類が減ります。


タイプ1:セルやモジュールを含む、電池パック内蔵型BMS

セルを含む構成で外観上も電源として提示される場合、論点は「電池として提示されているか」に収束します。日本の関税率表では、リチウムイオン蓄電池は第85類の8507.60に位置づけられます。

米国の事例では、BMSがリチウムイオンセルを含み電源として機能する提示態様において、セルが不可欠である点などを踏まえ、電気蓄電池の範囲で扱う判断が示されています(HQ H155376、第三者アーカイブに掲載)。

実務上のポイントは次の3点です。

①見積・契約段階で「セル入りか」を明確化する 同じBMSという品名でも、セル入りとセル無しで分類候補が分かれます。品名だけで処理すると誤分類が起きやすくなります。

②梱包と提示資料が「電池らしさ」を強めるかを点検する 仕様書や梱包ラベルに「power source」「battery pack」という表現が中心になっていると、電池としての提示性が強まります。

③部分品輸入の可能性も並走して検討する 電池そのものではなく「蓄電池の部分品」として提示されるケースもあり、8507.90が候補になる局面があります。


タイプ2:セルを含まない、制御ユニット型BMS

セルを含まない場合、BMSは「電池」より「制御」「監視」「保護」「配電」に軸足が移ります。候補になりやすいのが次の領域です。

① 第85類 8537.10(制御・配電用の盤) 8537は、電気の制御または配電用の盤・パネル等で、機器を二以上備えるものなどを含みます。BMSがヒューズ、スイッチング、遮断、配電・制御を担い、盤としての提示態様が強い場合に論点になります。8537.10は電圧1,000V以下のものが対象です。

② 第90類 9032.89(自動調整機器) 9032は自動調整・自動制御の機器で、電気式のものを含む区分があります。BMSが測定値に基づいて充放電を自動制御し、制御装置として提示される場合に候補として浮上しやすい領域です。

③ 部分品としての8538.90、または印刷回路としての8534.00 BMSが特定の制御盤や機器に専ら又は主として使用される部品として提示される場合、8538.90が論点になります。単に印刷回路として提示される場合は8534.00が候補になる局面があります。

ここで重要なのは、BMSを「基板」「ユニット」「制御盤」「部分品」のどれとして提示しているかを、書類と現物の両方で整合させることです。技術的に同じ回路でも、通関上の提示態様が違えば、分類ロジックが変わります。

BMS分類で必ず確認すべき質問

社内でレビューするときは、次の問いに答えられるようにしておくと判断がブレにくくなります。

  1. セルを含むか。含むなら、どこまでが一体か
  2. 電池としての機能(蓄電と出力)が主か、制御が主か
  3. 遮断、保護、配電などの電気的機能がどの部品で実現されるか
  4. 単体で機能するか、特定の機器に専用か
  5. 提示資料における主たる用途の説明は何か

センサー分類を深掘りする

HS2022で重要度が上がった「半導体ベースの変換器」

センサー分類で見落としが増えやすいのが、HS2022改正で新設された「半導体ベースの変換器」です。税関関税協会の解説FAQでも、従来は多数のHSコード(例:第84.31項、第84.66項、第84.73項等)に分類されていたものが、今次改正により特定のコード(8541.51)に分類されることとなった旨が明確に説明されています。

日本の関税率表でも、8541.51として「半導体ベースの変換器」が明確に掲げられています。

ビジネス上の意味はシンプルです。センサーを「測定機器」として第90類に入れていた慣行が、製品によっては見直し対象になり得るということです。特に、半導体素子としての提示性が強い場合や、モジュール構成が軽い場合に論点になりやすくなります。

センサーを3層で整理する

実務では、センサーを次の3層で整理すると、社内マスターの混乱を防げます。

① 半導体デバイス寄り 半導体ベースの変換器(8541.51)など。

② 測定機器寄り(第90類) 温度計などの9025(電気式を含む区分あり)、圧力測定などの9026.20(電気式を含む区分あり)、その他の測定・検査機器としての9031.80など。

③ 組込み・部分品寄り 特定の装置の部品として提示されるケース。基板単体の提示なら8534.00、制御系の部品なら8538.90などの論点が出ます。

ありがちな落とし穴

落とし穴①:センサーという品名だけで第90類に寄せてしまう HS2022以降、半導体ベースの変換器に該当する可能性があるため、まず「半導体デバイスとしての提示態様か」を確認する必要があります。

落とし穴②:基板付きセンサーを無条件で印刷回路扱いにしてしまう 基板があるだけで8534.00に固定すると、センサー機能が重要な特性を与えるケースでズレが出ます。複合品のときは重要な特性の見極めが必要です。

落とし穴③:電気式の測定機器区分の取りこぼし 例えば圧力測定の9026.20には電気式の区分が存在します。電気式であること自体が分類の枝分かれになることがあります。

落とし穴④:通信機能付きセンサーモジュール 無線やネットワーク機能を持つモジュールは、通信機器との境界が論点になり得ます。製品構成が千差万別なため、仕様書と提示態様の精査が欠かせません。


1枚で整理する:BMSとセンサーの候補マップ

以下は、社内で議論を始めるための「候補の地図」です。確定税番ではなく、製品の提示態様ごとに論点が出やすい方向性として使ってください。

対象提示態様の典型論点になりやすい区分例(日本の6桁起点)
BMS(セル入り)電池パックとして機能・提示8507.60(リチウムイオン蓄電池)
BMS(セル無し)制御盤・制御ユニットとして提示8537.10(制御・配電用の盤等)、9032.89(自動調整機器)
BMS関連の部品盤・開閉器等に専用の部品として提示8538.90(部分品)
基板単体印刷回路として提示8534.00(印刷回路)
半導体センサー半導体デバイスとして提示8541.51(半導体ベースの変換器)
温度・圧力などの測定機器測定機器として提示9025(温度計等)、9026(圧力等)、9031(その他の測定・検査)

この表の各行が根拠を持つのは、日本の関税率表上の各品目説明とHSの解釈通則の考え方に基づきます。


2月後半に向けたアクションプラン

社内マスターを6桁と9桁で二層化する

日本の輸出入統計品目番号は、6桁HSに国内3桁が付いた9桁です。海外拠点や仕入先との会話は6桁で合わせ、申告や統計管理は9桁で運用する二層構造が有効です。

事前教示とBTIで、分類の不確実性を取り除く

分類で迷う製品は、早めに当局の判断を取りに行くほうが、監査・遅延・追加課税のリスクを下げられます。

日本の事前教示制度では、サンプル、写真、原材料、加工工程などの資料を添えて照会でき、文書による回答は原則3年間にわたって全国の税関で尊重されます。口頭照会は「参考」扱いにとどまり、文書回答とは効力が異なる点に注意が必要です。

EUのBTI(拘束的関税情報) は、一般に3年間EU全域で有効な法的決定として位置づけられており、すべてのEU加盟国の税関を拘束します。

分類ファイルを標準化する

監査対応まで見据えるなら、最低限、次のセットを製品ごとに揃えることを推奨します。

  1. 製品仕様書と機能説明(何を測り、何を制御し、何を保護するか)
  2. 構成部品表(主要部品、ヒューズや開閉器の有無、半導体センサーの有無)
  3. 写真、図面、外形、端子・コネクタ情報
  4. 梱包形態と同梱物(単体かセットか)
  5. 社内判断メモ(解釈通則の当てはめ、重要な特性の根拠)

このファイルがあるだけで、担当者が変わっても判断が再現でき、国別運用差に直面したときも修正が効きます。


まとめ

BMSとセンサーの分類は、単なるコード当てはめではなく、製品の提示態様と重要な特性を言語化する作業です。2月前半の見直しでは、次の順で整理すると迷いが減ります。

  1. セルを含むか、電池として提示されるか
  2. 制御盤か、自動調整機器か、部分品か
  3. センサーは半導体ベースの変換器か、測定機器か
  4. 基板は印刷回路か、制御系の部品か
  5. 6桁と9桁のマスター整合、当局照会の準備

ここまでを固めれば、分類ブレによる原価の揺れ、通関の差戻し、顧客への価格再提示といったビジネス上の手戻りを現実的に減らせます。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の製品や取引に対する法令上の助言、関税分類の確定判断、申告指示を行うものではありません。関税分類は、各国税関の規定、部注・類注、解釈通則、貨物の仕様、提示態様、契約条件、同梱物等により結論が変わる場合があります。実務適用にあたっては、最新の関係法令・公表資料を確認のうえ、必要に応じて税関の事前教示制度や専門家へ照会してください。

BMS・センサー分類 実務アクションパック

製品仕様の揺れに負けない、HSコード区分を社内で回し切るための実務設計


電動化とIoTが進むほど、BMS(Battery Management System)と各種センサーは、輸出入の現場で「分類が割れやすい」代表格です。理由は単純で、どちらも電池・制御・計測の境界に立つ部品やモジュールになりやすく、輸入形態(単体か、ユニットか、完成品の一部か)によって客観的性格が変わるからです。

しかもHSコードは、6桁までは国際的に共通でも、各国はその先を拡張して運用します。たとえば日本は9桁の統計品目番号を使い、6桁HSと国内コードの組み合わせで申告します。輸出と輸入で国内コードが一致しないこともあります。つまり、同じ製品でも「国」「輸出入」「申告実務」の条件によって結論が揺れやすいのが現実です。

そこで本記事では、BMSとセンサーの区分を短期間で安定させるための「BMS・センサー分類:実務アクションパック」を、ビジネス実務の観点から深掘りします。目指すのは、単発の正解探しではなく、社内で再現できる判断の仕組みを作ることです。


1. まず押さえるべき前提

HSコードは情報ではなく、運用のインフラである

1-1. HSは6桁までが世界共通——ただし最新版の読み替えが必要

HSは世界の貿易品目を体系化した分類で、WCO(世界税関機構)が管理しています。定期的な改正を重ねており、2022年1月1日に発効したHS 2022(2022年版)は、WCO公表資料によれば最新の改正版に位置付けられています。WCOはさらに、加速改正手続き(accelerated amendment process)の枠組みの下で、一定の品目について継続的な更新を進めています。

一方、各国の関税率表は6桁HSを基礎にしつつ、8桁や10桁などに拡張して詳細管理します。EUではCN(Combined Nomenclature)が8桁、TARIC(統合関税品目番号)が10桁という体系で運用されます。

1-2. 事業インパクトは「関税」だけではない

BMSやセンサーの分類が崩れると、次の領域に連鎖します。

  • 関税・通関の遅延、追加資料要請
  • 原産地(EPA/FTA)の判定、原価計算への波及
  • 輸出管理や規制品目スクリーニングの誤判定
  • 取引先への見積価格や納期コミットの崩れ

つまり分類は、貿易実務にとどまらず、営業・調達・設計変更管理・マスタ管理までを含む業務基盤です。


2. BMSの分類をブレさせない「3つの分岐」

同じBMSでも、輸入形態で見える性格が変わる

BMSは大きく次の3パターンに分けると、実務が回しやすくなります。


分岐A:電池セルと一体で入ってくるか

一体なら「電池として扱う」根拠が取りやすい

HSの第85類では、見出し8507(電気蓄電池)について、「蓄電池には、蓄電・給電機能に寄与する、または損傷から保護する付属部品を伴って提示されるものを含む」とされており、例として電気コネクタ、温度制御装置(サーミスタ等)、回路保護装置が挙げられています。電池が組み込まれる機器の保護筐体の一部を含む場合もある、という趣旨です。

この注記が実務上有力なのは、BMSが「電池を成立させる付属要素」として説明しやすいからです。セルと制御基板、温度保護、筐体などを含む構成は、製品の客観的性格が電池に寄りやすくなります。

米国の公開裁定(HQ H155376)でも、セルや基板などから成るBMSを、電池機能を支える構成として見出し8507に分類した例が示されています。EUの品目実務でも、BMSを含む一体型の電池システムをCNコード8507 60 00(リチウムイオン蓄電池)に紐づけて扱う記載が、EUR-Lex掲載の関税規則文書に見られます。

実務アクション セル同梱や電池ユニット形態であれば、BMS単体の機能説明より先に「8507注記に当てはまる付属部品か」を起点に整理すると、社内合意が速まります。


分岐B:配電・制御の盤やユニットとして成立しているか

成立しているなら「制御・配電機器」側の検討が必要

見出し8537は、8535や8536の機器を2つ以上備えた、電気の制御または配電用の盤・パネル・コンソール等を対象にします。

BMSが「電池の付属」ではなく、設備側の制御盤として独立している場合、8537が候補になり得ます。たとえば、充放電設備やラックの電力系統を制御する盤で、遮断・切替・保護を担う構成(リレー、遮断器、端子台など)が明確に備わり、盤としての客観的特性が強いケースです。

実務アクション 仕様書や図面から、8536に該当し得る構成要素(スイッチング・保護・接続の機器)を洗い出し、盤としての成立性を確認します。


分岐C:計測・監視・制御の「機能装置」寄りか

機能装置なら「計測・自動制御」側も同時に検討する

BMSは電池の保護・監視・均等化・通信まで含むことが多く、制御ロジックが強い場合があります。このとき、次の観点で計測・自動制御側の候補が浮上します。

  • 9031:その他の測定・検査機器(第90類で他に特掲されないもの)
  • 9032:自動調整または制御用の機器

実務アクション BMSの要件定義を、保護(過電流遮断等)・調整(セルバランス等)・計測(電圧・温度等)・通信(CAN等)に分解し、どの機能が「客観的性格の中心」かを社内で文章化します。ここを曖昧にしたままHS番号だけ決めると、設計変更のたびに崩れます。


3. センサー分類は「完成した計測機器」か「素子・IC」かで世界が変わる

実務で迷うポイントを先に固定する

センサーは、同じ測定対象でも製品の完成度によって分類が変わりやすい領域です。実務では、まず形態を次の2つに分けます。


3-1. 完成した計測機器・計測装置として販売されるセンサー

第90類の見出しから当てにいく

代表的な見出しは以下のとおりです。

  • 9025:温度計、湿度計、気圧計など
  • 9026:流量、液位、圧力など(液体・気体の変数)
  • 9031:第90類の他の見出しに特掲されない測定・検査機器
  • 9032:自動調整または制御用機器

実務アクション 型番単位で「測るだけ」か「制御まで自動でやる」かを分けます。センサーが単独で測定値を出すだけなら9025や9026側の検討が中心です。設定値に基づき弁やモータ等を制御する仕組みが本体に組み込まれ、客観的に自動制御装置といえる場合は9032が視野に入ります。


3-2. センサー素子・トランスデューサー・ICとして販売されるセンサー

第85類の注記を起点に整理する

第85類の注記では、半導体デバイスの定義に「半導体ベースのトランスデューサー」が含まれており、物理・化学現象を電気信号へ変換するデバイスとして定義されています。また8541および8542が他の見出しに優先する趣旨も示されています。

つまり、センサーが「計測機器」ではなく「半導体素子やICとしての性格」が強い場合、8541(半導体デバイス)や8542(電子集積回路)の検討が実務上不可欠になります。

実務アクション センサーを次の3層に分けて仕様を集めます。

  • 素子層:半導体ベースのセンサー素子、MEMS、ダイ
  • 回路層:信号処理IC、アンプ、A/D、制御IC
  • 製品層:筐体、表示、通信、校正、電源、取り付け機構

この分解をすると、同じ「圧力センサー」でも、素子販売か計測装置販売かで論点が別物になることが、社内で共有しやすくなります。


4. 実務アクションパックの中身

現場が止まらないための成果物を「テンプレ化」する

実務アクションパックは、結論のHS番号よりも、結論に至るプロセスと証跡を先に整えることを重視します。推奨の成果物は次の6点です。


成果物1:製品インテークシート

設計部門から最短で情報を取るための共通フォーマット

以下の項目が揃えば一次判断が可能になります。

  • 製品名、型番、用途、販売形態(単体・キット・ユニット組み込み)
  • 機能分解(計測・制御・保護・通信・電力変換など)
  • 構成部品(セル有無、半導体素子、保護回路、スイッチング機器等)
  • 入出力(電圧範囲、通信規格、アナログ・デジタル)
  • 写真、外観図、ブロック図、主要仕様書

成果物2:BMS分岐チャート

セル同梱・盤成立・計測機能寄りの三分岐で迷いを減らす

チャートは難しくするほど運用されません。実務では次の問いを順番に当てます。

  1. セルと一体で提示されるか
  2. 8535/8536の機器を複数備えた盤として成立しているか
  3. 自動制御の装置として客観的性格が立つか
  4. それでも残る場合は、他の見出しの該当性と除外規定を確認する

この順番にするだけで、会議が「候補の羅列」から「論点の絞り込み」に変わります。


成果物3:センサー分岐チャート

完成計測機器か素子・ICかを最初に固定する

  1. 表示・校正・出力が揃っていて、計測機器として販売されるか
  2. 目的変数が温度・圧力・流量などで、特定の見出しに当てられるか
  3. 自動調整または制御まで行う装置か
  4. 半導体素子・ICとしての性格が強いか

成果物4:分類メモ

関係者が同じ文章を読めるようにする1枚資料

分類メモの核となる6項目です。

  1. 申告対象の客観的特性(何が、何をするものか)
  2. 候補見出しと採否理由
  3. 採用した見出しの根拠(注記、定義、類似事例など)
  4. 除外した見出しの理由
  5. 適用範囲(どのSKU、どの仕様まで同一扱いか)
  6. 変更管理のトリガー(セル仕様・IC変更・筐体変更など)

成果物5:エビデンスパック

税関照会や社内監査に耐える証拠一式

米国では関税分類の裁定申請(19 CFR 177.2)において、物品の完全な記述・用途・写真やサンプルなどの提出が求められます。日本の事前教示でも書面回答が税関検査で尊重されること、EUでもBTI(拘束的関税情報)が法的確実性の手段として位置づけられていることは共通しており、いずれも判断のための資料の質が問われます。


成果物6:マスタ連携の運用設計

分類を「知識」から「データ」へ落とす

分類は担当者の頭の中に置いた瞬間に崩れます。SKUマスタに次を持たせます。

  • HSコード(国別の桁まで)
  • 適用開始日と根拠資料リンク
  • 仕様の前提条件
  • 設計変更時の再判定フラグ

5. 30日で立ち上げる運用ロードマップ

分類プロジェクトを短期で「仕組み化」する

1週目:対象範囲と型番棚卸し

  • 対象SKUの一覧化
  • 輸入形態別にグルーピング(セル同梱・単体基板・計測装置など)
  • 不明点を設計に返すための質問票を確定

2週目:一次分類と論点リスト化

  • 候補見出しの一次当て
  • 分岐チャートで論点を残す
  • 関係者レビュー会を30分単位で回す

3週目:証跡整備とリスク分類

  • 分類メモをSKU単位で固定
  • 高リスク品は事前教示・裁定の検討対象に上げる
  • 監査に耐えるフォルダ構造を作る

4週目:マスタ実装と変更管理の接続

  • ERPや貿易システムへ反映
  • 設計変更プロセスに分類再判定を組み込む
  • 月次で差分レビューを回す

6. 実務で起きがちな失敗と先回りの打ち手

仕様の説明が「機能」だけで終わっている

税関や監査で問われるのは客観的特性です。ブロック図、構成部品、形態、提示のされ方を揃えます。

国別の桁の違いを放置している

HS6桁は共通でも、国別の拡張桁は運用が分かれます。日本は9桁で申告し、国内コードの扱いもあります。EUはCN8桁を基礎にし、TARICで10桁まで管理します。

口頭の回答を「正式」と誤解している

日本の事前教示制度では、書面回答が尊重される一方、口頭回答は原則として税関検査で尊重されません。実務は必ず書面と証跡に寄せます。


参考資料

  1. WCO HS Nomenclature 2022(2022年1月1日発効、加速改正手続きの枠組みも参照)
  2. 米国商務省 ITA:HSは6桁共通、構造の概説
  3. 日本の統計品目番号(9桁は6桁HSと国内コードの組み合わせ)
  4. 第85類 注記(8507の付属部品、半導体ベースのトランスデューサー定義など)—Census.gov(米国Schedule B / HTS)
  5. 国連統計部(UNSD)HS見出しの定義:9025、9026、9031、9032、8536、8537、8541、8542
  6. EU:BTIプロセスのガイダンス(CN8桁、TARIC10桁、BTIの位置付け等)—Taxation and Customs Union
  7. 日本税関:事前教示(品目分類)制度の概要(書面回答の尊重、有効期間など)
  8. 米国:関税分類の裁定申請に求められる記載事項(19 CFR 177.2)—Cornell LII
  9. 米国公開裁定 HQ H155376(BMSを8507として扱う論旨の例)—Customs Mobile


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、関税分類、法令解釈、通関手続等に関する助言または保証を行うものではありません。実際のHSコードや統計品目番号の決定は、商品の客観的特性、提示形態、取引条件、各国の関税率表および税関の運用等により異なり得ます。必ず最新の法令・通達・関係当局の公表情報を確認し、必要に応じて税関への事前教示申請や通関士、弁護士等の専門家へご相談ください。本記事の内容は正確性に配慮して作成していますが、完全性、最新性、特定目的への適合性を保証するものではなく、本記事の情報に基づいて生じた損害について一切の責任を負いません。

HS2022 第25類:塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント(Salt; sulphur; earths and stone; plastering materials, lime and cement)

用語は以下で統一します。

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 昇華硫黄/沈降硫黄/コロイド硫黄 → 第28類 2802 (世界関税機関)
    • アースカラー(酸化鉄として70%以上) → 第28類 2821 (世界関税機関)
    • ドロマイトラミングミックス → 第38類 3816(HS2022で明確化) (世界関税機関)
    • 舗装用の石・縁石・敷石/モザイクキューブ等/屋根用スレート → 第68類 6801〜6803 (世界関税機関)
    • 筆記・図画用チョーク/テーラースチョーク → 第96類 9609(天然チョーク2509と混同注意) (世界関税機関)
    • ビリヤードチョーク → 第95類 9504 (世界関税機関)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度:粗品/洗浄/粉砕等の“物理処理まで”か、焼成・混合・化学的処理までしているか(注1が強い) (世界関税機関)
    2. 鉱石(第26類)との境界:砂でも“金属含有砂(metal-bearing sands)”は第26類へ(2505の但書) (世界関税機関)
    3. 第68類(石・セメント等の製品)との境界:石材が“製品化(タイル・舗装石など)”されると第68類へ飛びやすい(注2(f)) (世界関税機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 石綿(アスベスト):2524自体だけでなく「石綿を含有するおそれのある製品」も輸入手続が絡みやすい(後述) (厚生労働省)
    • HS改正影響:HS2017の2518.30(ドロマイトラミングミックス)がHS2022で3816へ移行(過年度データ・契約で旧コードが残ると事故りやすい) (税関ポータル)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し文言+注)が最優先です。第25類は注(Notes)が加工度と除外を強く縛るため、品名の印象より「注に合うか」を先に見ます。 (世界関税機関)
    • GIR6(号=6桁):6桁の分岐は、典型的に「粉状/塊」「焼成の有無」「用途を示す文言(道路用骨材など)」「成分割合(例:CaF2 97%)」で割れます。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(鉱物名):石英なのか珪砂なのか、カオリンなのか他の粘土なのか、など。
    • 状態(形状・粒度):粉末・フレーク・ブロック、砕石、粒状など。
    • 加工度(重要):洗浄・粉砕・ふるい分け=“OK寄り”、焼成・混合・特定用途向けの調製=“NG寄り”。(ただし見出し自体が「whether or not calcined」を許すものもあります) (世界関税機関)
    • 用途が見出しで条件になっていないか:例)2521は「石灰・セメント製造用の石灰石」寄りの見出し、2517は道路・鉄道バラスト等に使う砕石等が中心。 (世界関税機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:鉱物性生産品か?(第5部:第25〜27類)
    • 鉱物・土石・塩・硫黄・石灰・セメント系 → 次へ
    • 化学品として“反応・精製”をしている → 第28類〜(要検討)
  • Step2:加工度チェック(第25類注1)
    • 粗品/洗浄/粉砕/粉状化/ふるい分け/浮遊選鉱・磁選等(結晶法除く)まで → 第25類候補 (世界関税機関)
    • 焼成・混合・見出しで許される処理を超える加工 → 原則として第25類から外れやすい(見出しで明示的に許す例外は別途) (世界関税機関)
  • Step3:除外規定(注2)に当たらないか
    • 昇華硫黄(2802)/鉄分70%以上のアースカラー(2821)/ドロマイトラミングミックス(3816)/舗装石(6801等)/筆記用チョーク(9609)…など (世界関税機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第25類 ↔ 第26類:砂でも「金属含有砂」は第26類(2505の但書)。 (世界関税機関)
    • 第25類 ↔ 第28類:硫黄・石灰など“同じ元素/化合物名”でも、形態(昇華・沈降)や処理で第28類へ。 (世界関税機関)
    • 第25類 ↔ 第68類:石材が“建材製品”まで加工されると第68類へ(注2(f))。 (世界関税機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2501塩(食塩・変性塩含む)、純塩化ナトリウム、海水工業用塩、食用塩、海水添加(固結防止等)を含み得るが、調製の程度に注意 (世界関税機関)
2502焼いていない黄鉄鉱黄鉄鉱(未焙焼)焙焼したものは別検討 (世界関税機関)
2503硫黄(昇華・沈降・コロイドを除く)粉状硫黄、塊状硫黄昇華硫黄等は2802へ(注2(a)) (世界関税機関)
2504天然黒鉛粉状黒鉛、フレーク黒鉛天然/人工(別類)で分かれやすい (世界関税機関)
2505天然砂(全種)※第26類の金属含有砂を除く珪砂、鋳物砂、砂「金属含有砂」は第26類(但書) (世界関税機関)
2506石英(砂を除く)、珪岩(石英岩)石英塊、珪岩ブロック砂(2505)との区別に注意 (世界関税機関)
2507カオリン等のカオリン質粘土(焼成の有無を問わない)カオリン、焼成カオリン“焼成OK”が明記されている点が重要 (世界関税機関)
2508その他の粘土等(膨張粘土=6806除外)、耐火鉱物等(焼成の有無を問わないもの含む)ベントナイト、耐火粘土、ムライト等「膨張粘土」は6806へ(見出し内で除外) (世界関税機関)
2509チョーク(天然)天然チョーク(原料)“筆記用チョーク”は9609へ(注2(k)) (世界関税機関)
2510天然リン酸塩等リン鉱石系(天然リン酸塩)粉砕の有無で号分岐 (世界関税機関)
2511重晶石、炭酸バリウム(焼成の有無問わず)※酸化バリウム除外バライト、ウィザライト酸化バリウム(2816)除外が明記 (世界関税機関)
2512珪質の化石粉等(焼成可)※見掛比重1以下珪藻土、キースルグール数値条件「見掛比重1以下」 (世界関税機関)
2513軽石・エメリ等の天然研磨材(加熱処理可)軽石、ガーネット砂研磨材用途でも“天然”か等確認 (世界関税機関)
2514スレート(粗/単純切断まで)スレート原石、スレートブロック屋根用等の製品は6803(注2(f)) (世界関税機関)
2515大理石等の建築石材(見掛比重2.5以上)/アラバスター大理石ブロック2.5以上要件、加工度(“単純切断まで”) (世界関税機関)
2516花崗岩等の建築石材(粗/単純切断まで)花崗岩ブロック、砂岩ブロックタイル等は第68類へ行きやすい (世界関税機関)
2517砂利・砕石等(道路/鉄道バラスト等)/タールマカダム等砕石、道床バラスト、タールマカダム注3により“2517優先”の特則あり (世界関税機関)
2518ドロマイト(焼成・焼結の有無を問わない)ドロマイト、焼成ドロマイトドロマイトラミングミックスは3816へ (世界関税機関)
2519菱苦土石、溶融マグネシア、焼結マグネシア、酸化マグネシウム等マグネサイト、マグネシア“耐火原料”でも混合・調製は注意 (世界関税機関)
2520石膏・無水石膏、プラスター(焼石膏等)天然石膏、焼石膏(プラスター)石膏/プラスターで号分岐 (世界関税機関)
2521石灰石フラックス等(石灰/セメント製造に用いる種類)石灰石(製造用)建築石材(2515/2516)との峻別 (世界関税機関)
2522生石灰・消石灰・水硬性石灰(ただし2825の酸化/水酸化Ca除外)生石灰、消石灰2825除外の注意(化学品との境界) (世界関税機関)
2523各種セメント(ポルトランド、アルミナ等)/クリンカーセメントクリンカー、白色セメント“クリンカー”と“セメント”で分岐 (世界関税機関)
2524石綿(アスベスト)クリソタイル等規制・禁止が絡む(後述) (世界関税機関)
2525雲母(スプリッティング含む)/雲母くず雲母、雲母粉粉・くずで号分岐 (世界関税機関)
2526ステアタイト(滑石岩)、タルクタルク、滑石“粉砕の有無”で号分岐 (世界関税機関)
2527(欠番)現行HSでは見出しなしHS版違いの古い資料で出てきたら要注意 (世界関税機関)
2528天然ホウ酸塩等(焼成可)ホウ砂鉱、天然ホウ酸(85%以下)“天然か/分離品か”など確認 (世界関税機関)
2529長石、白榴石等、蛍石(フルオルスパー)長石、蛍石蛍石はCaF2含有率で号分岐(97%) (世界関税機関)
2530他に該当しない鉱物バーミキュライト(未膨張)、天然硫酸Mg等注4で例示あり(“未膨張”など) (世界関税機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 粉砕・粉末化の有無(例:2526.10/2526.20) (世界関税機関)
    • 焼成(calcined)・焼結(sintered)の有無(例:2518、2512 等で明示) (世界関税機関)
    • 用途・性質を示す文言(例:2517 “road metalling / ballast”等) (世界関税機関)
    • 成分割合の閾値(例:蛍石CaF2 97%) (世界関税機関)
    • 物性値の閾値(例:2512 見掛比重1以下、2515 見掛比重2.5以上) (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2505.10(珪砂・石英砂) vs 2505.90(その他の天然砂) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:砂の鉱物学的性状(シリカ/石英砂か、それ以外か)
      • 判断に必要な情報:鉱物成分(SiO₂比率、粒度)、用途(鋳物・ガラス原料等)、試験成績
      • 典型的な誤り:「鋳物砂」を用途だけで決めてしまい、実体がシリカ砂なのに“その他”へ入れる
    2. 2507.00(カオリン・カオリン質粘土) vs 2508.xx(その他の粘土等) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:粘土の鉱物種(カオリン系か、ベントナイト等か)
      • 判断に必要な情報:鉱物分析(XRD等)、製造工程(焼成の有無は両方で許容され得る点に注意) (世界関税機関)
      • 典型的な誤り:「白い粘土=カオリン」と決め打ち(実際は他粘土・混合の可能性)
    3. 2515/2516(建築石材ブロック等) vs 2517.41/2517.49(石材の粒・粉) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:**ブロック/スラブ(粗・単純切断)**なのか、粒・チップ・粉なのか
      • 判断に必要な情報:形状(ブロック・スラブ・粒)、加工(研磨・表面加工の有無)、用途(骨材等)
      • 典型的な誤り:大理石チップを「大理石(2515)」とだけ見て分類(実際は2517.41/49)
    4. 2517の“優先ルール”(類注3):2517に該当し得るなら他の項より2517へ (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:同じ“石”でも、道路用砕石・バラスト等の性格を持つか
      • 判断に必要な情報:用途(契約書・仕様)、粒度規格、写真、試験成績
      • 典型的な誤り:「素材は花崗岩だから2516」とし、砕石用途(2517)を見落とす
    5. 2518(ドロマイト) vs 3816(ドロマイトラミングミックス) (税関ポータル)
      • どこで分かれるか:ドロマイトそのもの(焼成/焼結含む)か、**耐火物の“ミックス(ラミングミックス)”**として調製されたものか
      • 判断に必要な情報:配合(混合の有無、結合材・添加物)、用途(耐火物施工用)、SDS/仕様書
      • 典型的な誤り:HS2017の感覚で2518.30相当として申告(HS2022では注2(e)で除外され3816へ) (世界関税機関)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第5部(鉱物性生産品:第25〜27類)は、部注が設定されていない扱いで運用される例があり、実務上は各類(Chapter)注の影響が大きいです。 (カナダ国境サービス機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「第25類に入るか」は**第25類の注(加工度・除外)**が実質の基準になります。
      例:同じ硫黄でも「昇華硫黄」は注2(a)で第28類へ、一般硫黄は2503へ。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (部注がない前提なので)“部注で飛ぶ”というより、各類注・見出しの除外で飛ぶのが典型です(第25類注2 → 第28類/第38類/第68類 等)。 (世界関税機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(加工度の上限):粗品、洗浄、粉砕、粉状化、ふるい分け、浮遊選鉱・磁選等の物理処理(結晶法除く)まで。焼成・混合・過度の加工は原則含まない。またアンチダスティング剤の添加は、用途特化にならない範囲で許容。 (世界関税機関)
    • 注2(除外):昇華硫黄(2802)、鉄分70%以上のアースカラー(2821)、ドロマイトラミングミックス(3816)、舗装石・モザイク等(6801〜6803)、筆記用チョーク(9609)等。 (世界関税機関)
    • 注3(2517優先):2517と他項の両方に該当し得る場合は、2517へ。 (世界関税機関)
    • 注4(2530の例示):未膨張のバーミキュライト等、アースカラー、琥珀、海泡石(加工の程度に制限あり)等が例示。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 明確な“定義語”より、加工度を縛る規定(注1)が実務上の“定義”として機能します。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 注2(a) 昇華硫黄等 → 2802
    • 注2(b) Fe₂O₃として70%以上のアースカラー → 2821
    • 注2(e) ドロマイトラミングミックス → 3816
    • 注2(f) 舗装用石・モザイク等・屋根用スレート → 6801〜6803
    • 注2(ij)/(k) ビリヤードチョーク → 9504、筆記用/テーラースチョーク → 9609 (世界関税機関)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:加工度(注1)で第25類に残る/外れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 工程(洗浄・粉砕・ふるい・選鉱・焼成・混合の有無)
      • 添加剤の有無と目的(アンチダスティングか、用途特化か)
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程フロー、SDS/MSDS、成分表、粒度分布、写真、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • “原料鉱物っぽい”という印象で第25類に入れるが、実際は焼成・混合で別章に該当(注1/注2の見落とし) (世界関税機関)
  • 影響ポイント2:除外(注2)の“飛び先”が明確に決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 該当品が注2(a)〜(k)のどれに当たるか(硫黄の形態、鉄分割合、用途/製品形態など)
    • 現場で集める証憑:
      • 分析表(Fe₂O₃%、CaF₂%等)、形態説明(昇華・沈降等)、用途資料
    • 誤分類の典型:
      • 天然チョーク(2509)と筆記用チョーク(9609)を混同する (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:2517優先(注3)で“素材”より“区分ルール”が勝つ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 道路用骨材/バラスト等の性格(用途・粒度)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途契約、規格書、粒度試験、荷姿写真
    • 誤分類の典型:
      • 花崗岩砕石を、素材(2516)で分類してしまう(注3の特則見落とし) (世界関税機関)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:“硫黄=2503”と決め打ちし、昇華硫黄等を含めてしまう
    • なぜ起きる:品名が同じ「硫黄」だから
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注2(a)で昇華硫黄等は第28類(2802)へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 硫黄の製法・形態(昇華/沈降/コロイド/通常)をSDSで確認
      • 取引品名に“sublimed / precipitated”が入っていないか確認
  2. 間違い:アースカラーを2530や2508で申告したが、Fe₂O₃として70%以上だった
    • なぜ起きる:顔料用途=土石類という思い込み
    • 正しい考え方:注2(b)で70%以上は2821へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 分析表でFe₂O₃換算を必ず取得(社内:品質保証/分析部門に依頼)
      • 仕様書に「iron oxide content」を記載させる
  3. 間違い:砂を2505にしたが、実は金属含有砂だった
    • なぜ起きる:「砂=2505」と思い込む
    • 正しい考え方:2505は「第26類の金属含有砂を除く」と明記 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 鉱物名(例:イルメナイト砂、ジルコン砂等)・金属含有の有無を確認
      • “metal-bearing sands / mineral sands”の表記がないかチェック
  4. 間違い:石材タイル・舗装石を2515/2516で申告
    • なぜ起きる:素材が大理石・花崗岩だから
    • 正しい考え方:注2(f)で舗装用石・モザイク等は第68類へ(6801〜6803等) (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 加工度(切断・研磨・面取り・規格形状)を写真と図面で確認
      • “tile / setts / curbstone / flagstone / mosaic”の文言をインボイスで拾う
  5. 間違い:砕石を素材の項(2515/2516)で分類し、2517(砕石等)を外す
    • なぜ起きる:素材名に引っ張られる
    • 正しい考え方:注3により、2517に該当し得る場合は2517へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 用途(道路/鉄道/コンクリ骨材)の確認、粒度規格の入手
      • 砕石かブロックか(荷姿写真)を必須資料にする
  6. 間違い:ドロマイトラミングミックスを2518のまま運用(過年度踏襲)
    • なぜ起きる:HS2017時代のコード・マスタが残る
    • 正しい考え方:HS2022で注2(e)により第25類から除外、3816へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • “ramming mix”の有無(配合品か)を仕様書で確認
      • HS改正時に「対象品目の再棚卸し」を実施(購買・生産・通関の合同)
  7. 間違い:天然チョーク(2509)と筆記用チョーク(9609)を混同
    • なぜ起きる:日本語でどちらも「チョーク」
    • 正しい考え方:注2(k)で筆記用/テーラー用は9609へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 形態(スティック状、包装、ブランド)と用途(筆記/図画)を確認
      • “chalk sticks / writing chalk”表記があれば要注意
  8. 間違い:蛍石(フルオルスパー)の号を分析なしで決める
    • なぜ起きる:外観で判断できない
    • 正しい考え方:2529.21/2529.22はCaF₂含有率97%で分岐 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • CaF₂%の試験成績書を必須化(購買条件に入れる)
      • サプライヤーが出せない場合は第三者分析

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れます)。
    • 例:同じ“耐火材料系”でも、HS2022でドロマイトラミングミックスが3816へ移ると、適用PSRそのものが変わり得ます。 (税関ポータル)
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品のHSは合っているが、非原産材料のHSがズレていてCTC判定が崩れる
    • “混合・調製”で章が変わるのに、原料の感覚で第25類のまま扱う

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • RCEPのPSR(付属書3A)は、原文としてはHS2012に基づく旨が明記されています。 (Australian Border Force Website)
  • 一方で、RCEPはHS2022へトランスポーズ(移し替え)したPSRが採択され、2023-01-01から各締約国で実施とされています(日本の公表資料でも同趣旨)。 (外務省)
  • CPTPPは、PSRや関税約束が(少なくとも当初は)HS2012ベースで確定している旨の説明があります。 (Australian Border Force Website)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定本文/運用文書でどのHS版を参照するかを確認
    • 会社のHSマスタ(HS2022)と協定PSR(HS2012等)の間は、税関・関係当局が出すトランスポーズ版/対応表を使って突合(独自変換は事故の元)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 原産性判断に必要になりやすい情報
    • 材料表(BOM)、原価(RVCの場合)、工程フロー、原産国
    • 非原産材料のHS(少なくとも6桁)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 原産地申告(自己申告を含む)では、最低限のデータ要件としてHSの分類(6桁)が含まれる旨のガイダンスがあります。 (税関ポータル)
  • 実務Tip(第25類らしい論点)
    • 「採掘しただけ」なのか、「焼成・混合」したのかで、WO(完全生産品)相当の整理になるか、CTC/RVCが要るかが変わりやすい

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更(移行)/削除2518.30 → 3816.00ドロマイトラミングミックスを第25類から第38類へ移行(第25類注2(e)で除外、3816に含める)旧マスタ踏襲で誤申告・PSR誤適用リスク。耐火物原料の扱い見直しが必要 (税関ポータル)
HS2017→HS2022文言修正/範囲明確化第25類 注2(e)第25類の除外に「ドロマイトラミングミックス(3816)」を追加第25類に残れないことが明確化。仕様書で“ramming mix”確認が必須 (税関ポータル)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、各国税関の解説等):
    • 日本税関公表の HS2022–HS2017 相関表で、3816.00に「dolomite ramming mix」が含まれ、HS2017の2518.30から移る扱いが示されています。 (税関ポータル)
    • 日本税関のHS2022解説資料で、「第25類のドロマイトラミングミックスを第38類へ移行」する趣旨(耐火セラミック分野の発展等)を説明しています。 (税関ポータル)
    • HS条文(HS2022 第25類注2(e))として、ドロマイトラミングミックスが第25類から除外されることが明記されています。 (世界関税機関)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • 相関表で「旧:2518.30 → 新:3816.00」の移転が示されていること、かつ HS2022の注2(e) で第25類から除外されることから、「第25類ではなく第38類(3816)で扱うのがHS2022の整理」と判断できます。 (税関ポータル)
  • 補足(相関表の位置づけ):
    • WCOの相関表は“実施を助けるガイド”であり法的地位はない旨も説明されています。最終判断は各国税関に依ります。 (世界関税機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れでの整理(主要なもの)
    • 本回答で一次資料として根拠を示せている範囲では、**第25類で明確に大きな動きとして確認できるのはHS2017→HS2022の「ドロマイトラミングミックス移行」**です。 (税関ポータル)
    • それ以前(HS2007→2012→2017)の第25類内の改正については、取引対象品目が多い場合、WCO/税関の相関表で個別確認する運用を推奨します(協定PSRのHS版差も絡むため)。
  • 参考としての“欠番”注意:
    • 第25類には [25.27] のように見出しが設定されていない番号が存在します(古い資料・社内コードで「2527」を見た場合はHS版と対応関係の点検が必要です)。 (世界関税機関)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“ramming mix”を原料ドロマイトとして申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注2(e)(ドロマイトラミングミックスは第25類除外) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:インボイスが “Dolomite” とだけ書き、混合・施工用の実態が伝わらない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、原産地判断や契約価格条件の見直し(一般論)
    • 予防策:仕様書に「ramming mix」「binder有無」「用途(耐火物施工)」を明記
  • 事例名:石材を“ブロック”扱いで申告したが実は舗装石
    • 誤りの内容:注2(f)(舗装用石等は第68類へ) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:“setts/curbstone/flagstone”を訳さず「石材」としてしまう
    • 典型的な影響:検査強化、分類補正(一般論)
    • 予防策:写真・寸法図、加工内容(面取り、規格形状)を事前提出
  • 事例名:天然チョーク原料と筆記用チョークの混同
    • 誤りの内容:注2(k)(筆記用/テーラー用は9609) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:品名が “chalk” のみ
    • 典型的な影響:税率差・統計誤り、補正(一般論)
    • 予防策:用途(筆記か原料か)、形状(スティック包装か粉体か)を明確化
  • 事例名:昇華硫黄を2503で申告
    • 誤りの内容:注2(a)に抵触(2802へ) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:化学品サプライヤーのSDS情報を通関へ共有していない
    • 典型的な影響:差し戻し、検査、補正(一般論)
    • 予防策:SDSと製法(sublimed等)の共有を必須に

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • **食用の塩(食品)**は、食品衛生法に基づき輸入届出が必要で、検疫所で審査・検査要否判断が行われます(届出済証が通関で必要になるケース)。 (厚生労働省)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 第25類そのものは“動植物”ではないため通常は中心論点になりません(ただし混載品・副材料は別途)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 第25類は一般に原料鉱物が多く、個別該非は品目・用途次第です(特定用途向けの調製品や関連装置等は別章の可能性)。
    • その他の許認可・届出
      • 石綿(アスベスト):労働安全衛生法の枠組みで、石綿や一定濃度超で含有する製品等の製造・輸入等が禁止とされる旨が示されています。 (厚生労働省)
      • 「石綿を含有するおそれのある製品」の輸入通関では、許可証や確認資料の取り扱い等、税関通知で通関実務が示されている例があります。 (税関ポータル)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品:厚生労働省(食品等輸入手続) (厚生労働省)
    • 石綿:厚生労働省(石綿関係情報・通関手続情報) (厚生労働省)
    • 税関実務:税関通知・税関相談(必要に応じて)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 食品:成分・製造工程資料、必要に応じ衛生証明・試験成績書、届出済証 (ジェトロ)
    • 石綿:SDS、非含有証明/試験、(例外輸入なら)許可証写し等 (税関ポータル)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 鉱物名(英名・学名)、用途、形状(粉/粒/ブロック)
    • 工程(洗浄・粉砕・焼成・混合・添加剤)
    • 分析表(Fe₂O₃%、CaF₂%、粒度、比重など)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第25類注1(加工度)、注2(除外)、注3(2517優先)
    • 第26類(鉱石)・第28類(化学品)・第68類(石材製品)への飛び先を再点検 (世界関税機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に “calcined / sintered / ramming mix / chalk / setts” 等の要注意語がないか
    • 代表写真、仕様書、SDSを添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品(食用塩等):食品衛生法の輸入届出 (厚生労働省)
    • 石綿:禁止・確認・通関手続(該当可能性があれば最優先で確認) (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Edition(HS2022の位置づけ、補完改正、相関表案内)[参照日:2026-02-18] (世界関税機関)
    • WCO HS2022 Chapter 25(条文:見出し・注・6桁構造)[参照日:2026-02-18] (世界関税機関)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 日本税関:第25類 類注(注1〜4、除外含む)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:HS2022改正資料(ドロマイトラミングミックスの移行説明)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:HS2022–HS2017 相関表(3816.00/2518.30 等)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:原産地(PSR)検索ポータル[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:原産地申告(自己申告)ガイド(最低限データ要件にHS6桁等)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
  • その他(規制・手続)
    • 厚生労働省:石綿含有製品等の製造・輸入等の禁止に関する情報(法令抜粋含む)[参照日:2026-02-18] (厚生労働省)
    • 日本税関:労働安全衛生法に係る有害物等の輸入通関手続(石綿関連の通関実務含む)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法の輸入届出)[参照日:2026-02-18] (厚生労働省)
    • JETRO:塩の輸入手続(日本)[参照日:2026-02-18] (ジェトロ)
    • (参考)第5部(鉱物性生産品)の部注がない扱いの例(カナダ税関:Section Notesの案内)[参照日:2026-02-18] (カナダ国境サービス機関)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第24類:たばこ及び製造たばこ代用品、非燃焼吸引用の物品(ニコチンを含有するかしないかを問わない。)並びにニコチンを含有するその他の物品(ニコチンを人体に摂取するためのものに限る。)Tobacco and manufactured tobacco substitutes; products, whether or not containing nicotine, intended for inhalation without combustion; other nicotine containing products intended for the intake of nicotine into the human body)

  • 対象:HS2022 第24類(Chapter 24)
  • 類名:たばこ及び製造たばこ代用品、非燃焼吸引用の物品(ニコチンを含有するかしないかを問わない。)並びにニコチンを含有するその他の物品(ニコチンを人体に摂取するためのものに限る。)
    (英語:Tobacco and manufactured tobacco substitutes; products, whether or not containing nicotine, intended for inhalation without combustion; other nicotine containing products intended for the intake of nicotine into the human body) (世界税関機関)
  • 対象国・実務前提:日本/両方(輸入・輸出)
  • 主な想定品目・用途(任意):葉たばこ(未製造たばこ)、くずたばこ、紙巻たばこ・葉巻、手巻き用刻みたばこ、パイプたばこ、水パイプ(シーシャ)用たばこ、かみたばこ・かぎたばこ、加熱式たばこ用スティック/カプセル、電子たばこ用リキッド(ニコチン有無)、ニコチンパウチ、ニコチンガム/パッチ等
  • 参照するFTA/EPA(任意):CPTPP、RCEP、日EU・EPA など(協定が参照するHS版は要確認)
  • 免責事項:このプロンプト末尾に固定文として既に貼付済み(変更しない)

冒頭で用語を統一します:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 葉たばこ(未製造)、骨(中骨)付き/除去済み、発酵・乾燥済みの葉(ただし「そのまま喫煙用」レベルは別途注意)→ 2401 (世界税関機関)
    • くずたばこ(製造工程で出る端切れ・茎・ダスト等) → 2401.30 (世界税関機関)
    • 紙巻たばこ・葉巻・シガリロ(燃焼して喫煙する一般的なもの)→ 2402 (世界税関機関)
    • 喫煙用たばこ(パイプ用/手巻き用刻み等)・かみたばこ・かぎたばこ・シートたばこ・たばこエキス → 2403 (世界税関機関)
    • 非燃焼吸引用(加熱式たばこ、ニコチン入り/なしの電子たばこ用リキッド等)ニコチン摂取用(経口/経皮等) → 2404 (世界税関機関)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 薬用の紙巻たばこ → 第30類(注1) (世界税関機関)
    • ニコチン(単離したアルカロイドとしての「物質」) → 29.39(第24類の解説で除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 殺虫剤(たばこエキス由来でも、製品として殺虫剤) → 38.08(除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 大麻等の喫煙用混合物(「製造たばこ代用品」に見えても除外)→ 12.11(除外例示) (税関ウェブサイト)
    • 電子たばこ機器のみ(加熱器・バッテリー等):多くは機械/電気機器として第84/85類側で検討(ただし、リキッド等と供給機構が一体の使い捨て電子たばこは24.04に含める整理が示されています) (税関ウェブサイト)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 燃焼(=火を付けて燃やす)か/非燃焼吸引(=燃やさずに吸う)か:非燃焼吸引の定義が注で明確化されています。 (世界税関機関)
    • 同じ形状でも24.04に該当するなら24.04優先(注2:第24.04項の優先規定) (世界税関機関)
    • (24.04内の分岐)たばこ/再生たばこを含むか、ニコチンを含むか、摂取方法は何か(経口/経皮等) (世界税関機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 加熱式たばこ(スティック等)を「紙巻たばこ(2402)」で申告してしまう:注2により24.04へ寄せるべきケースがあり、関税・国内税・規制手続の前提が崩れやすいです。 (世界税関機関)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し文言+注)**がほぼ全てです。第24類は、類注(注1〜3)と号注(水パイプたばこ定義)が「分岐ルール」そのものになっています。 (世界税関機関)
    • GIR6(号のレベルでの比較):24.04は号体系が新設され、**「ニコチン含有」「摂取方法(経口/経皮)」**で分かれます。 (世界税関機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 用途:燃焼して喫煙か、加熱や気化で吸引か、噛む/嗅ぐ/貼る等で摂取か
    • 成分:たばこ/再生たばこ有無、ニコチン有無(濃度・形態)、代用品(たばこ代用物/ニコチン代用物)の有無
    • 状態:葉・くず(原料)か、刻み/混合(喫煙可能)か、カートリッジ/リキッド等(機器用)か

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:物品が「たばこ(植物)そのもの」か?
    • 未製造たばこ(葉の状態、骨付き/除去済み等)・くずたばこ → 2401 (世界税関機関)
  • Step2:燃焼して喫煙する「紙巻/葉巻/シガリロ」か?
  • Step3:上記以外の「製造たばこ」や「たばこ代用品」か?(刻み、パイプ用、かみ/かぎ、シート、エキス等)
  • Step4:非燃焼吸引(加熱・気化等で燃やさず吸う)か、または「ニコチン摂取用」か?
  • Step5:「純粋なニコチン」「殺虫剤」「医薬品」等に当たらないか?
    • 純ニコチン → 29.39、殺虫剤 → 38.08、医薬品(薬用紙巻等)→ 30類などへ。 (税関ウェブサイト)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第24類(たばこ関連) vs 第29類(ニコチンという化学物質):単離したニコチンは第29類側。 (税関ウェブサイト)
    • 第24類 vs 第30類(医薬品):少なくとも「薬用の紙巻たばこ」は第30類に除外。 (世界税関機関)
    • 2402(燃焼喫煙) vs 2404(非燃焼吸引):注3の定義で判定し、注2で2404が優先。 (世界税関機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2401たばこ(未製造)/くずたばこ葉たばこ(乾燥葉・発酵葉)、中骨除去済み葉、製造くず(茎・端切れ・粉)「そのまま喫煙に供されるもの」は2403側に寄ることがあるため、加工度と用途確認。 (税関ウェブサイト)
2402葉巻・シェルート・シガリロ・紙巻(たばこ/代用品)一般的な紙巻、葉巻、シガリロ燃焼して喫煙する類型。非燃焼吸引用は24.04へ(注2)。 (税関ウェブサイト)
2403その他の製造たばこ・製造たばこ代用品/再生たばこ/たばこエキス等パイプ/手巻き用刻み、かみたばこ、かぎたばこ、シーシャ用(水パイプたばこ)、シートたばこ、たばこエキス水パイプたばこ(2403.11)は号注定義あり。たばこを含まない水パイプ用は2403.11から除外。 (世界税関機関)
2404非燃焼吸引用(たばこ/再生たばこ/ニコチン/代用品)+その他のニコチン摂取用加熱式たばこスティック、ニコチン入り電子たばこ用リキッド、ニコチンパッチ/ガム/パウチ、使い捨て電子たばこ注2:24.04と他項に同時該当なら24.04。号は「たばこ含有」「ニコチン含有」「経口/経皮」等で分岐。 (世界税関機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 2401(未製造・くず):骨付き/骨除去/くずたばこ(製造くず) (世界税関機関)
    • 2403(水パイプ):水パイプで喫煙する用途+「たばこ+グリセリン混合物」という定義 (世界税関機関)
    • 2404(非燃焼吸引・ニコチン摂取)
      • 非燃焼吸引で たばこ/再生たばこを含有 → 2404.11
      • 非燃焼吸引で ニコチン含有(たばこ以外) → 2404.12
      • 非燃焼吸引の その他(ニコチンなし等) → 2404.19
      • その他(吸引以外でニコチン摂取)で 経口/経皮/その他 → 2404.91 / 2404.92 / 2404.99 (世界税関機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2402(紙巻たばこ) vs 2404(加熱式/非燃焼吸引)
      • どこで分かれるか:燃焼して喫煙か/燃焼を伴わない吸引か(注3)+同時該当なら2404優先(注2)
      • 判断に必要な情報:使用方法(火を付けるか、加熱器を使うか)、製品仕様(「heated」「heat-not-burn」「for heating device」等)、取説・カタログ
      • 典型的な誤り:形状が紙巻に似ているだけで2402に寄せる (世界税関機関)
    2. 2403.11(水パイプたばこ) vs 2403.19(その他の喫煙用たばこ)
      • どこで分かれるか:水パイプ用途+「たばこ+グリセリン混合物」定義を満たすか
      • 判断に必要な情報:成分表(グリセリン有無)、用途表示(shisha/hookah等)
      • 典型的な誤り:水パイプ用=自動的に2403.11、と決め打ち(たばこ不含有品は2403.11除外) (世界税関機関)
    3. 2404.12(その他・ニコチン含有) vs 2404.19(その他)
      • どこで分かれるか:ニコチンの含有有無
      • 判断に必要な情報:成分表、MSDS、規格書(mg/mL等)
      • 典型的な誤り:ニコチン濃度が低い/「ノンニコチン」表示だけで判断(実測/仕様の裏取りが必要) (世界税関機関)
    4. 2403(たばこを含む噛み・嗅ぎ等) vs 2404.91/92/99(ニコチン摂取用)
      • どこで分かれるか:たばこ/再生たばこの含有有無+摂取方法(経口/経皮/その他)
      • 判断に必要な情報:原材料(たばこ葉粉末か、抽出ニコチンか)、用途(NRT/娯楽)
      • 典型的な誤り:「ニコチンパウチ」=必ず2404、または必ず2403、と固定してしまう(中身次第) (税関ウェブサイト)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第24類は、実務上は部注よりも「類注(注1〜3)」と「号注(水パイプ)」が決定打になりやすい類です。 (世界税関機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば「紙巻に見える」製品でも、燃焼しない加熱式であれば類注(注2・注3)を優先して24.04を検討します。 (世界税関機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 実務では「他章に飛ぶ」の多くは**類注・解説で明示される除外(29.39、30類、38.08等)**で起きます。 (税関ウェブサイト)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:薬用の紙巻たばこは第30類へ。 (世界税関機関)
    • 注2:24.04に該当し得るなら、同じ第24類内の他項よりも24.04を優先。 (世界税関機関)
    • 注3:24.04の「非燃焼吸引」は、加熱供給その他の方法による吸引で、燃焼を伴わないもの。 (世界税関機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「非燃焼吸引」:燃焼を伴わない吸引(heated delivery 等を含む) (世界税関機関)
    • 「水パイプたばこ(2403.11)」:水パイプで喫煙するためで、たばこ+グリセリン混合物(香料・糖蜜等の有無は問わない)。ただし「たばこ不含有」の水パイプ用は2403.11から除外。 (世界税関機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:注2(24.04優先)で「見た目分類」が崩れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 非燃焼吸引(注3)に該当する使用態様か
      • 同じ第24類の2402/2403と併記されるような外観でも、用途が加熱・気化か
    • 現場で集める証憑:
      • 取扱説明書、製品仕様書(加熱式・気化式の説明)、製品写真(加熱器の有無)、メーカーWebカタログ
    • 誤分類の典型:
      • 加熱式スティックを「紙巻たばこ(2402)」として申告 (世界税関機関)
  • 影響ポイント2:注3の「非燃焼吸引」定義が、2404と2402/2403の境界を作る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 燃焼を伴うか(点火・燃焼の有無)、加熱供給でエアロゾルを吸う設計か
    • 現場で集める証憑:
      • 火を使う/使わない説明、加熱温度、消耗品(スティック/カートリッジ)の仕様
    • 誤分類の典型:
      • 「煙が出る=燃焼」と思い込み、非燃焼吸引の24.04を見落とす (世界税関機関)
  • 影響ポイント3:号注(水パイプたばこ定義)で2403.11が狭くなる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • たばこ+グリセリン混合物か、用途が水パイプ喫煙か
      • たばこ不含有なら2403.11除外(別号検討)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、原材料由来、用途表示(shisha/hookah)
    • 誤分類の典型:
      • たばこ不含有の水パイプ用「ハーブ製品」を2403.11としてしまう (世界税関機関)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:加熱式たばこスティックを2402(紙巻たばこ)で申告
    • なぜ起きる:形状・包装が紙巻に似ている/品名に「cigarette」が入る
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):非燃焼吸引なら24.04、かつ注2で24.04優先 (世界税関機関)
    • 予防策:取説・仕様書で「加熱」「燃焼しない」記載を回収し、税関相談用に保存
  2. 間違い:電子たばこ用ニコチン溶液を「化学調製品(3824等)」で固定
    • なぜ起きる:成分(PG/VG/香料)を化学品として見てしまう
    • 正しい考え方:24.04の例示として電子たばこ用のニコチン含有溶液が挙げられています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:ニコチン有無・用途(vaping用)を仕様書で明確化
  3. 間違い:使い捨て電子たばこ本体を「電気機器(第85類等)」と決め打ち
    • なぜ起きる:バッテリー・加熱機構があるため機器扱いに引っ張られる
    • 正しい考え方:リキッド等と供給機構が一体で使い捨て設計のものは、24.04に含める整理が示されています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:充填/再充電可否、リキッド同梱一体かを製品仕様で確認
  4. 間違い:たばこ加工くず(茎・ダスト等)を2403(喫煙用)へ
    • なぜ起きる:「たばこだから製造たばこ」と思い込み
    • 正しい考え方:くずたばこは2401.30。用途(原料)と状態(くず)で判断 (世界税関機関)
    • 予防策:写真、工程図(発生工程)、粒度・形状データを添付
  5. 間違い:水パイプ関連製品をすべて2403.11に
    • なぜ起きる:「シーシャ=2403.11」という短絡
    • 正しい考え方:2403.11は「たばこ+グリセリン混合物」等の定義、かつたばこ不含有品は除外 (世界税関機関)
    • 予防策:原材料(たばこ含有の有無)を証明できる成分表を必須化
  6. 間違い:ニコチン(単離品)を2403/2404へ
    • なぜ起きる:「たばこ由来=第24類」と誤解
    • 正しい考え方:ニコチン(アルカロイド)は29.39へ(除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 予防策:CAS/純度・化学名・MSDSで「単離物質」か「摂取用製品」かを区別
  7. 間違い:ニコチン含有電子たばこ関連製品の規制区分を見落とす
    • なぜ起きる:HS分類と国内規制(医薬品等)を切り離して考えない
    • 正しい考え方:厚労省は(少なくとも2010年時点で)ニコチンが医薬品成分であり、ニコチン含有の場合は承認が必要と説明しています (厚生労働省)
    • 予防策:分類と並行して、成分(ニコチン)・販売形態(業として)・用途を法令担当に回付
  8. 間違い:手巻きたばこセット(たばこ+巻紙)を「紙巻(2402)」扱い
    • なぜ起きる:最終的に紙巻形状になるため
    • 正しい考え方:日本税関の分類例では、刻みたばこをパウチ包装し巻紙同封のセットを2403.19(その他)と整理しています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:セット内容(巻紙同封の有無)と刻み幅等を仕様・写真で固定

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    • 24.04の新設により、同じ「たばこ関連」でもHS2017時代の2403に寄っていた品がHS2022では2404側になるケースがあります。PSRの章・項の範囲がズレると、原産性判定(CTH/CTSH/RVC等)の前提が崩れます。 (世界税関機関)
  • よくある落とし穴:
    • 材料側HS(香料、PG/VG、ニコチン等)と最終製品HS(2404等)の混同
    • 製品が「非燃焼吸引」か否か(2402/2403/2404境界)を曖昧なままPSRに当てはめる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 実務ポイント:
    • 協定や税率表が参照するHS版がHS2022と一致しない場合、PSRや譲許表上のコードは旧版ベースで書かれていることがあります。
    • このときは、(旧→新)の対応付け(トランスポジション)を行い、協定上の条文・運用に沿って整理します。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず最終製品をHS2022で確定
    • 次に相関表(WCO等)でHS2017側の対応コードを確認
    • 協定で要求されるPSR判定は、協定が参照するHS版に合わせて読替え

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • ニコチン含有の有無、用途(vaping用/NRT等)は、分類だけでなく規制確認にも再利用できるため、仕様書・MSDSの保管が重要です。 (税関ウェブサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022新設(+既存からの移行)2404「非燃焼吸引」製品、その他のニコチン摂取用製品を独立見出し化。章注に2404優先非燃焼吸引の定義を追加。 (世界税関機関)加熱式/電子たばこ・ニコチン製品の分類が2403等から2404へ移り、通関・原産地の前提コードが変わりやすい。
HS2017→HS2022分割/範囲変更(移行元の縮小)2403.99 → 2404.11/12/19 等WCO相関表では、HS2017の2403.99からHS2022の2404系列へ対応付けが示される。 (世界税関機関)旧HSで「その他の製造たばこ等」に入っていた非燃焼吸引製品が、HS2022では2404側に整理される。
HS2017→HS2022新設(移行)2404.91 / 2404.92 / 2404.99WCO相関表では、経口・経皮等のニコチン摂取用が、旧版の2106.90/3824.99/2939.69等から2404へ対応付け。 (世界税関機関)「食品調製品」「化学調製品」「化学物質」側に散っていたニコチン製品の整理が変わる可能性(規制とHSは別だが、社内台帳は見直し要)。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)
    • WCO HS2022 第24類の条文(章名、注1〜3、見出し2401〜2404) (世界税関機関)
    • WCO Correlation Tables(HS2017→HS2022)での2403→2404、2106/3824/2939→2404等の対応 (世界税関機関)
    • 日本税関「関税率表解説 第24類」(24r.pdf:24.04の号体系、除外・具体例) (税関ウェブサイト)
    • 日本税関 通達別紙(HS2022改正の新旧対照・24.04の例示:ニコチン溶液、加熱式たばこ、使い捨て電子たばこ、NRT等) (税関ウェブサイト)
    • 日本税関(HS2017/HS2012等)第24類注の公表資料(注が注1中心で、HS2022の注2・注3が存在しないことの確認) (税関ウェブサイト)
  • “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”
    • WCO条文(HS2022)では、Chapter 24にheading 24.04が存在し、注2(24.04優先)・注3(非燃焼吸引の定義)が明記されています。 (世界税関機関)
    • 一方、日本税関が公表するHS2017/HS2012の第24類注では、注1と水パイプたばこの号注のみで、HS2022で追加された注2・注3は見当たりません。 (税関ウェブサイト)
    • さらにWCO相関表で、HS2017側の2403.99等からHS2022側の2404.11/12/19等へ対応づけが示されているため、「24.04の新設が単なる文言変更ではなく、実際に分類上の受け皿を移した」改正だと整理できます。 (世界税関機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(確認できた範囲)を表で整理します。

版の流れ主なポイント(第24類)旧コード→新コード(代表)根拠(確認できた資料)
HS2006/HS2007第24類注は注1(薬用紙巻の除外)中心(当該資料範囲では24.04の記載なし)日本税関公表の当該年版資料 (税関ウェブサイト)
HS2012/HS2017水パイプたばこ(2403.11)の号注が掲載され、なお注は注1中心(当該資料範囲では24.04の記載なし)日本税関公表の当該年版資料 (税関ウェブサイト)
HS2017→HS202224.04新設注2(24.04優先)注3(非燃焼吸引定義)例:2403.99 → 2404.11/12/19 等WCO条文+相関表、日本税関新旧対照 (世界税関機関)

※HS2007→HS2012→HS2017の「見出し・号の全体差分」については、本回答で参照できた一次資料が「注(Notes)」中心のため、第24類全コード表の網羅的な増減までは断定していません。ただし、少なくとも「24.04と注2・注3」はHS2022で明確に追加されています。 (世界税関機関)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名:加熱式スティックを「紙巻(2402)」で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):非燃焼吸引なのに24.04を見落とし(注2・注3の趣旨) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:品名がcigarette/外観が紙巻に近い
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延(一般論)
    • 予防策:取説・カタログで「燃焼しない」「加熱式」を明確化し、事前教示も検討
  • 事例名:ニコチン入りリキッドを化学調製品で処理
    • 誤りの内容:24.04で例示される「電子たばこ用ニコチン溶液」を見落とし (税関ウェブサイト)
    • 起きやすい状況:香料・溶剤中心の配合で、化学品担当が分類
    • 典型的な影響:コード差による税率・規制照会のやり直し
    • 予防策:成分表(ニコチン有無)と用途(vaping用)を必須添付
  • 事例名:水パイプ用(たばこ不含有)を2403.11に
    • 誤りの内容:2403.11の号注で「たばこ不含有品は除外」 (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:「shisha」名称だけで分類
    • 典型的な影響:差替え・検査(一般論)
    • 予防策:たばこ含有の有無をMSDS/原材料で証明
  • 事例名:手巻きたばこセットを2402へ
    • 誤りの内容:税関分類例の整理に反する(巻紙同封でも2403.19扱い) (税関ウェブサイト)
    • 起きやすい状況:「最終的に紙巻になる」発想
    • 典型的な影響:申告訂正(一般論)
    • 予防策:セット内容・刻み幅・用途表示を資料化

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • その他の許認可・届出(たばこ事業関係):
      • 自ら輸入した製造たばこを「販売を業として」行う場合、たばこ事業法に基づく特定販売業の登録が必要とされています(財務省・税関が窓口)。 (財務省)
      • 製造たばこの小売販売を業として行う場合は、たばこ事業法に基づく小売販売業の許可が必要とされています。 (財務省)
      • 実務上は、登録/許可だけでなく、製品によっては財務省側で「認可されるたばこか」等の事前確認が推奨されています(税関資料で注意喚起)。 (税関ウェブサイト)
    • その他(医薬品・成分規制の観点):
      • 厚労省は過去の報道発表で、ニコチンは医薬品成分であり、ニコチンを含む電子たばこは(当時)承認が必要で、当時国内で承認された製品はない、と説明しています(制度・運用は改正され得るため最新確認が必要)。 (厚生労働省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 財務省(たばこ事業:特定販売業登録、小売許可) (財務省)
    • 税関(特定販売業登録の手続案内等) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省(ニコチン含有製品の医薬品該当性等の注意喚起・通知) (厚生労働省)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表(ニコチン有無・濃度)、MSDS、カタログ、使用方法(燃焼/非燃焼)、構造図(使い捨て一体型か等)
    • たばこ事業関係:販売形態(業として/小売)を整理した社内メモ、登録/許可の要否判定メモ

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • たばこ/再生たばこ含有の有無
    • ニコチン含有の有無(濃度)
    • 使用態様:燃焼/非燃焼吸引/経口/経皮/その他
    • 形状:葉・くず・刻み・シート・カートリッジ・リキッド・使い捨て一体型 など (世界税関機関)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注2(24.04優先)・注3(非燃焼吸引定義)に照らして矛盾がないか (世界税関機関)
    • ニコチン単離品(29.39)、殺虫剤(38.08)、薬用紙巻(30類)等の除外に当たらないか (税関ウェブサイト)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスには「heated」「without combustion」「nicotine-containing」「for vaping」「for oral application」等、分岐に効く情報を入れる
    • 仕様書・成分表・写真を申告補足資料として準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • HS2022の2404にした場合、協定が旧HS参照なら相関表で旧コードにマッピングしてPSRを読む (世界税関機関)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 販売を業として行うなら、特定販売業登録・小売許可の要否を確認 (財務省)
    • ニコチン含有品は医薬品該当性等の観点で最新の行政情報を確認 (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO「HS Nomenclature 2022 – Chapter 24」 (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
    • WCO「HS 2017–HS 2022 Correlation Tables」 (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
  • 日本 税関・公的機関のガイド
  • 財務省(たばこ事業)
    • 財務省「製造たばこ特定販売業の登録の申請」 (財務省)(参照日:2026-02-17)
    • 財務省「製造たばこの小売販売業の許可」 (財務省)(参照日:2026-02-17)
    • 東京税関「製造たばこに関する特定販売業の登録手続きについて(PDF)」 (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • 厚生労働省(注意喚起)
    • 厚労省 報道発表(2010-08-18)「ニコチンを含む電子タバコへの注意…」 (厚生労働省)(参照日:2026-02-17)
  • 旧版(改正前の確認用)
    • 日本税関(HS2017/HS2012/HS2007/HS2006)第24類注(輸出用データ) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第23類:食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼料(Residues and waste from the food industries; prepared animal fodder)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 魚粉・肉かす等(食用に適しないもの)(例:魚粉、ミートミール)→ 23.01
    • ふすま等の製粉残渣(例:小麦ふすま、とうもろこしふすま)→ 23.02
    • ビートパルプ・バガス・醸造かす(例:砂糖製造残渣、ビール粕、蒸留粕、清酒かす)→ 23.03 (税関ウェブサイト)
    • 大豆油かす等の油脂抽出残渣(油かす)(例:大豆かす、なたね油かす)→ 23.04〜23.06
    • 犬猫用ペットフード(小売用) → 23.09(2309.10) (税関ウェブサイト)
    • 配合飼料・発酵飼料などの“飼料用調製品” → 23.09(2309.90) (税関ウェブサイト)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • (人の)食用としての調製食品・食品原料(例:食品としてのたん白加工品など)→ 多くは第16〜22類・第21類など(個別判断)
    • 油さい(油脂精製で生じる残渣) → 15.22(油さい)
    • 大豆由来でも“たん白濃縮物”等(加工度が高いもの) → 21.06へ行きやすい(2304からの除外として言及あり)
    • 糖みつ(モラセス)そのもの → 17類(例:17.03)へ行きやすい(23.03の“砂糖製造のくず”とは別物として注意)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 単体の“残渣・副産物”か/混合・栄養添加・発酵などで“飼料用に調製”されたものか
      • 前者は 23.01〜23.08、後者は 23.09 へ寄りやすい(特に23.08と23.09が境界)。(税関ウェブサイト)
    2. 犬猫用で“小売用にしたもの”か
    3. 油脂抽出残渣(油かす)か/油さい(15.22)や高加工たん白(21.06)か
      • 同じ“大豆由来”でも分岐します。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 飼料(23類)と食品(16〜22類など)の取り違え:規制(飼料安全・検疫)や表示、原産地規則(PSR)の適用がズレ、通関遅延・追加対応が起きやすいです。(農林水産省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:項(見出し)の文言+部注/類注で決めるのが基本です。第23類は「○○由来の残渣」「食用に適しない」「飼料用の調製品」など、文言に要件が多いため、品名だけで飛びつくと事故りやすいです。(税関ウェブサイト)
    • GIR3(b):配合飼料やプレミックス等、複数材料の混合品で競合する場合に、「全体としての重要な特性(多くは“飼料用に調製された”という性格)」で整理します(ただし23.09の要件を満たすかを先に確認)。(税関ウェブサイト)
    • GIR6:2309.10(犬猫・小売)と2309.90(その他)など、6桁での分岐に必須です。(税関ウェブサイト)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 由来(どの産業工程の残渣か):製粉、でん粉製造、砂糖製造、醸造/蒸留、油脂抽出…
    • 用途・販売形態:飼料向け表示、対象動物(犬猫か家畜か)、小売包装かバルクか
    • 加工度:単なる搾りかす/ふすまか、発酵・栄養添加・成形までしているか
    • 食用適否(23.01は明確に要件)
    • 形状(ペレット等):第IV部の部注で「ペレット」の定義があります(後述)。(税関ウェブサイト)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:用途・表示
    • 飼料(動物給餌)目的ですか?(ラベル、SDS/仕様書、販売先で確認)
  • Step2:単体の残渣・副産物か
    • はい → Step3へ
    • いいえ(混合・栄養添加・発酵・成形などで“飼料用に調製”)→ 原則 23.09 を検討 (税関ウェブサイト)
  • Step3:どの工程由来か(代表)
    • 食用に適しない肉/魚粉等 → 23.01
    • 製粉のふすま等 → 23.02
    • でん粉/砂糖/醸造蒸留のかす → 23.03
    • 油脂抽出の油かす → 23.04〜23.06
    • ワイン澱・酒石 → 23.07
    • 上記に当てはまらないが飼料に使う植物性残渣等 → 23.08
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 23.08(植物性残渣等) vs 23.09(飼料用調製品):加工度・混合の有無・“調製”の実態で分かれます。
    • 23.04(大豆油かす等) vs 21.06(たん白加工品):同じ大豆由来でも「油脂抽出残渣」か「たん白濃縮・分離等の高度加工」かで分岐。
    • 23.03(バガス等) vs 23.09(発酵・調製飼料):発酵・糖みつ添加の目的等で分岐(事例あり)。(税関ウェブサイト)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第23類の4桁は少ないため全列挙します(文言はWCO HS2022に基づく要約)。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2301食用に適しない肉・魚等の粉/ミール/ペレット、グリーブス魚粉、ミートミール、グリーブス**“食用に適しない”**が要件。食用グレードなら別類へ行き得ます。
2302穀物・豆類のふるい分け/製粉等の残渣(ペレット含む)小麦ふすま、とうもろこしふすま由来が製粉・ふるい分け等であること。穀物種別で6桁分岐。
2303でん粉製造残渣等、ビートパルプ/バガス等、醸造/蒸留かす(ペレット含む)コーングルテンフィード等、ビートパルプ、バガス、ビール粕、蒸留粕、清酒かす工程由来で6桁分岐。清酒かす等は国内運用で成分・性状確認が重要。(税関ウェブサイト)
2304大豆油の抽出後の油かす等(ペレット含む)大豆かす(大豆ミール)日本の解説では繊維状でない脱脂大豆粉を含む旨の説明あり。一方で**油さい(15.22)たん白濃縮物(21.06)**等は除外として注意。
2305落花生油の抽出後の油かす等落花生かす23.04/23.05は“特定油種の抽出残渣”として独立。
2306その他の植物性又は微生物性油脂の抽出後の油かす等(ペレット含む)なたね油かす、ひまわり油かす、綿実油かす、コプラミール等HS2022で見出しが**microbial(微生物性)**を含む形に整理(後述)。2306.41は“低エルカ酸”の定義に注意。
2307ワイン澱、酒石ワイン澱(lees)、酒石(argol)ぶどう搾りかす等は23.08側に行く場合もあり得るので要確認。
2308飼料用の植物材料・植物くず・残渣・副産物(他に特掲なし)柑橘パルプ、ぶどう粕、草粉等“残渣・副産物”としての性格が強いもの。23.09との境界が頻出。
2309飼料用の調製品犬猫用ペットフード、配合飼料、プレミックス類注により「加工で原材料の本質を失った飼料」等を含み得る。2309.10は犬猫用小売。(税関ウェブサイト)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 由来工程(製粉/でん粉/砂糖/醸造蒸留/油脂抽出)→ 2302/2303/2304-2306の分岐
    • 対象動物・小売形態(犬猫・小売包装)→ 2309.10/2309.90
    • 規格・定義が参照されるケース
      • 「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)→ 部注(第IV部)(税関ウェブサイト)
      • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」→ 第12類の号注定義を参照
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2309.10(犬猫・小売) vs 2309.90(その他)
      • どこで分かれるか:犬または猫用で、小売用にしたものか。
      • 判断に必要な情報:対象動物の表示、JAN/小売パッケージ写真、1包装重量、販売形態(EC小売・業務用)、容器形態。
      • 典型的な誤り:缶詰のキャットフードを「食品っぽい」ので16類等に寄せてしまう。実務上は2309.10に分類された事例があります。(税関ウェブサイト)
    2. 2303.20(バガス等) vs 2309.90(発酵・調製飼料)
      • どこで分かれるか:単なる砂糖製造残渣(バガス)か、**飼料に供するため積極的に加工(発酵等)**した“飼料用調製品”か。
      • 判断に必要な情報:工程(アンモニア処理、糖みつ混合、乳酸菌発酵等)、添加目的(結合剤か発酵促進か)、形状(キューブ等)。
      • 典型的な誤り:「原料はバガスだから2303.20」と短絡。発酵・加工の実態で2309.90になった事例があります。(税関ウェブサイト)
    3. 2304(大豆油かす) vs 2306(その他油かす)
      • どこで分かれるか:油種が大豆か、落花生以外の他油種/微生物油か。
      • 判断に必要な情報:抽出対象油脂(大豆油/なたね油/ひまわり油/微生物油など)、製造工程、原料証明。
      • 典型的な誤り:油種が混在、または“植物由来だから2306”と雑に振る。
    4. 2306.41(低エルカ酸なたね/からし菜) vs 2306.49(その他)
      • どこで分かれるか:原料種子が「低エルカ酸」の定義に当たるか(第12類の定義参照)。
      • 判断に必要な情報:品種情報、分析(エルカ酸)、サプライヤー仕様書。
      • 典型的な誤り:なたね由来を全部2306.41にしてしまう。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第IV部(第16類〜第24類)の部注で、「ペレット」の定義が置かれています。要旨としては「直接圧縮、または全重量の3%以下の結合剤で固めたもの」を指します。(税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第23類の多くの項は「ペレット状であるかないかを問わない」と書かれており、HS6桁の所属自体は“ペレットか否か”で変わらないことが多いです。
    • ただし日本の国内コード(統計品目番号)では、ペレット/キューブ等の形状や包装で細分・税率・適用区分が変わることがあるため、部注の定義が効いてきます(付録A参照)。(税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第23類では「ペレット」定義が主で、他章へ飛ばすタイプの部注は相対的に少ないです(ただし、食品側(16〜22類)との境界はGIRと各類注の影響が大きい)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:23.09項の範囲
      • 23.09には、他に特掲されない飼料用物品で、植物/動物材料を加工して原材料の本質的特性を失う程度になったもの等を含み得ます(ただし、同様の加工から生じる植物くず・残渣・副産物は除く、という構造)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ペレット」:第IV部部注の定義(結合剤3%以下等)を参照。(税関ウェブサイト)
    • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」:第12類の号注定義を参照(第23類の号注が参照を指示)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 日本の解説では、23.04(大豆油かす)に関連して、**油さい(15.22)**や、**脱脂大豆粉から得たたん白濃縮物等(21.06)**が除外として触れられています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:23.08(残渣)と23.09(調製飼料)の境界
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ①混合の有無(単体か、配合か)
      • ②加工の程度(発酵・栄養添加・安定化・成形など)
      • ③“飼料用に調製”された意図(工程設計・添加目的)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(原材料比率100%合計)、製造工程フロー、添加物リスト、栄養成分保証、用途表示ラベル、写真(形状/包装)。
    • 誤分類の典型:
      • “原料がバガスだから”と2303.20に固定 → 発酵工程・糖みつ添加目的等から2309.90になった事例がある(発酵バガス)。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント2:23.09内の犬猫用(2309.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 犬猫用であること(表示・販売資料)、小売用(個装)であること、給与方法(そのまま与える形)。
    • 現場で集める証憑:
      • 外装/ラベル画像、SKU情報、販売チャネル、容器仕様。
    • 誤分類の典型:
      • 缶入りキャットフードを「食品缶詰」の感覚で別章へ → 2309.10として整理された事例がある。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント3:油かす(23.04〜23.06)と“油さい(15.22)/たん白加工品(21.06)”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • どの工程で出たものか(油脂抽出後の固形残渣か、精製工程の沈殿/スカムか、たん白濃縮/分離工程品か)。
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程、SDS、工程内での位置づけ、粗脂肪/粗たん白/繊維の分析。
    • 誤分類の典型:
      • “大豆由来”だけで2304固定 → 除外に当たり得る(15.22や21.06)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:配合飼料(混合・ペレット)を、原料のどれか(例:ふすま=2302、油かす=2304)で申告してしまう
    • なぜ起きる:インボイス品名が「corn/wheat/soy meal mix」等で、原料名が前面に出る。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):混合・調製され「飼料用に供する種類の調製品」として23.09に整理されることがある(配合飼料の分類事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:原料割合、製造工程(混合/成形)、用途表示、成分保証。
      • 社内質問例:「これは単一副産物?それとも意図して配合・調製している?」「対象動物と給与方法は?」
  2. 間違い:バガス(2303.20)と“発酵バガス飼料”(2309.90)を同一視
    • なぜ起きる:原料が同じ「バガス」なので、工程差を見落とす。
    • 正しい考え方:発酵・添加・成形等で飼料用に積極加工された場合、23.09側に寄る(発酵バガスの事例)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:発酵条件、糖みつ等の添加目的(結合剤か栄養源か)、形状(キューブ等)。
      • 社内質問例:「添加は“固めるため”だけ?それとも発酵促進・栄養調整?」
  3. 間違い:犬猫用ペットフードを“食品っぽい”ので16類/21類にしてしまう
    • なぜ起きる:缶詰・レトルト等、人の食品に近い見た目。
    • 正しい考え方:犬猫用で小売用なら2309.10(事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:犬猫用表示、包装形態(小売)、給与方法。
      • 社内質問例:「これは“人が食べる用途”は一切ない?」「小売用(消費者向け個装)?」
  4. 間違い:大豆由来の高たん白製品を全部2304(大豆油かす)に入れる
    • なぜ起きる:「脱脂大豆」「大豆ミール」周辺の用語が紛らわしい。
    • 正しい考え方:日本の解説で、23.04に含まれる範囲と、**21.06等へ除外され得る“たん白濃縮物等”**の注意が示されています。
    • 予防策:
      • 確認資料:繊維状か否か、たん白濃縮/分離の工程有無、最終用途(食品原料か飼料原料か)。
      • 社内質問例:「油の抽出残渣?それともたん白を“製品化”する工程が入っている?」
  5. 間違い:“油かす”と“油さい(15.22)”を混同
    • なぜ起きる:どちらも油脂関連の残渣で見た目が似る。
    • 正しい考え方:油脂抽出後の固形残渣は23.04〜23.06側、精製工程の油さい等は15.22側が典型(解説で言及)。
    • 予防策:
      • 確認資料:工程図(抽出後か精製後か)、脂肪分、含水率。
  6. 間違い:「ペレット」表示だけで“ペレット状”と決めつける
    • なぜ起きる:商流用語の“pellet”と関税率表上の定義がズレる可能性。
    • 正しい考え方:部注で「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:成形方法、結合剤の種類と添加率、粒径/形状。
  7. 間違い:清酒かす等(醸造かす)の性状確認不足
    • なぜ起きる:インボイスに「sake lees」等としか書かれず、アルコール残存や状態が不明。
    • 正しい考え方:日本の詳細解説では清酒かすの定義(例:純アルコール量の目安)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:アルコール分分析、製法、乾燥の有無。
  8. 間違い:23.08(植物性残渣)と23.09(飼料用調製品)の境界で、“用途だけ”で決める
    • なぜ起きる:どちらも飼料用途で、品名が似る。
    • 正しい考え方:23.09の類注が示す「加工により本質的特性を失う程度」など、加工度がポイント。
    • 予防策:
      • 確認資料:顕微鏡的な組織残存の有無(必要なら)、製造工程、混合/添加の有無。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HSを誤ると、適用すべきPSR(CTH/CTSH/RVC等)自体が変わり、原産性判断が崩れます。
  • 第23類は「残渣・飼料用調製品」で材料が多岐にわたるため、BOM上の材料HSが散りやすく、CTH/CTSHの判定がブレやすいです(特に2309の配合飼料)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定は、**交渉・締結時点のHS版(例:HS2012、HS2017等)**でPSRや譲許表が作られていることがあります。
  • 例(一次資料/公的資料から確認できるもの):
    • 日EU EPA:PSR(Annex 3-B)で「Harmonized System classification (2017)」として整理されています。(外務省)
    • 日豪EPA:JETROの実務マニュアルで、関税率・品目別規則等が2012年版HSコードで規定されている旨が説明されています。(JETRO)
    • RCEP:運用上、PSRがHS2012で参照できることや、時期によりHS2022への移行が関係する旨のガイダンス例があります(国・時期で取扱いが変わり得るので要確認)。(Australian Border Force Website)
  • 実務対応(一般論):
    • ① まず協定のPSRが参照するHS版を確認
    • ② 申告で使うHS(現行の実行関税率表/輸出統計品目表)との間で**トランスポジション(旧→新対応)**を整理
    • ③ 税関のPSR検索等で、変換リンクや対応表を使って確認(日本税関のPSR検索画面では、HS版の相互変換への案内があります)。(税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(最低限):
    • 材料表(BOM)・材料原産国・材料HS(可能なら6桁)
    • 配合比率、工程(混合・発酵・加熱・乾燥・成形等)、RVC計算の前提(EXW/FOB)
  • 証明書類・保存(一般論):
    • 仕様書・分析表・製造記録・仕入書・原産地証明関連の記録を、協定・国内法に沿って保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)23.06「vegetable fats or oils」→「vegetable or microbial fats or oils」へ(微生物油脂由来の油かす等を明確に包含)微細藻類・酵母等の微生物油脂の抽出残渣が、23.06側で整理しやすくなる。契約書・工程資料に“microbial oil extraction residue”が出てくる案件で重要。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断のしかた:
    • WCOが公開するHS2017版とHS2022版のChapter 23の条文PDFを比較すると、23.06の見出し文言が上表のとおり変更されていることが確認できます。
  • 補足:
    • この変更は「6桁コードの新設/削除」というより、見出しの範囲の明確化です。実務では、取引品が「微生物油脂の抽出残渣」に該当するかを、工程資料で説明できるようにすることが重要です。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第23類は、長期的には“見た目が似た残渣”が統合されることがあります。WCOの旧版条文から確認できる主要点を、可能な範囲で整理します。(世界税関機関)

版の流れ主要な追加・削除・再編(要旨)旧コード→新コード(目安)実務メモ
HS2002→HS200723.02の「米由来(2302.20)」が見当たらなくなり、穀物系の整理が簡素化2302.20(Of rice)→ 2302.40(Of other cereals)へ吸収“米ぬか/米ふすま”は、現行では一般に2302.40側で整理する発想になります(国内コードは別途)。(世界税関機関)
HS2002→HS200723.06の「とうもろこし胚芽(2306.70)」が統合2306.70(Of maize germ)→ 2306.90(Other)へ吸収“corn germ oilcake”系は2306.90側で整理されやすいです。(世界税関機関)
HS2007→HS2017大きな6桁構造変更は限定的(少なくとも条文上は同じ構造を維持)第23類は「工程由来」で安定している一方、23.08/23.09の境界が実務では難所。(世界税関機関)
HS2017→HS202223.06の文言に「microbial」が追加微生物油脂の抽出残渣案件で要注意。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):発酵バガスを“単なるバガス”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):23.09の“飼料用調製品”該当性を見落とし、23.03側で処理。
    • 起きやすい状況:インボイスに「bagasse」だけ、工程情報が出てこない。
    • 典型的な影響:税番更正、追加資料要求、検査強化・通関遅延。
    • 予防策:工程(発酵・糖みつ添加目的)を仕様書に明記し、必要なら事前教示。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:缶詰キャットフードを食品(人用)として申告
    • 誤りの内容:犬猫用小売の2309.10に該当し得るのに、別章へ。
    • 起きやすい状況:外観が人用缶詰に近く、社内で食品担当が処理。
    • 典型的な影響:税関照会、資料追加、HS更正、(国内コード差で)税率や統計がズレる。
    • 予防策:犬猫用表示・給与方法・包装を提出できるようにする。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:大豆由来高たん白品の2304固定
    • 誤りの内容:23.04の範囲と、21.06等に除外され得る品の区別が不十分。
    • 起きやすい状況:「soy protein」「defatted soy flour」など曖昧な品名。
    • 典型的な影響:税率差・原産地規則(CTH/CTSH)差で、EPA適用可否が崩れる。
    • 予防策:工程(たん白濃縮/分離の有無)、分析表、用途を揃えて事前確認。
  • 事例名:清酒かすの性状未確認で分類が揺れる
    • 誤りの内容:醸造かすとしての性状確認(アルコール残存等)を省略。
    • 起きやすい状況:副産物で仕様書が薄い。
    • 典型的な影響:追加分析要求、通関遅延。
    • 予防策:日本の詳細解説で示されるような指標(例:純アルコール量の目安)を踏まえ、分析・工程証跡を用意。(税関ウェブサイト)

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ):
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 飼料安全法(飼料・飼料添加物):輸入飼料・飼料添加物は基準・規格、禁止物質等の対象になり得ます。具体の手続(届出等)は品目・成分・用途で変わるため、MAFF/FAMICの案内で確認が必要です。(農林水産省)
      • ペットフード安全法(犬猫用):犬猫用のペットフードは別法体系で届出・基準等の枠組みがあります。(環境省)
    • 植物検疫
      • 乾草・わら等、植物性材料を含む飼料・敷料は、植物検疫の対象になり得ます(相手国・品目で要件が変動)。(famic.go.jp)
    • 動物検疫
      • 動物由来原料(肉骨粉等)や、牧草等の一部は動物検疫の観点で制限・条件が課される場合があります。(農林水産省)
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 第23類は一般に該当頻度は高くありませんが、混合物に該当物質が含まれる場合等は別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 農林水産省(飼料・飼料添加物、ペットフード)
    • FAMIC(手続・通知等)
    • 植物防疫所(植物検疫)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、原料由来証明、製造工程、SDS、用途表示(対象動物)、包装仕様、分析成績(必要に応じてアルコール分・油分・たん白等)。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料(100%合計)・添加物
    • 製造工程(どの産業の“残渣”か、調製の有無)
    • 用途(対象動物、給与方法)、販売形態(小売/業務用)
    • 写真(形状:粉・フレーク・ペレット・キューブ、包装)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 23.09の類注を踏まえ、23.08/23.09の境界を再点検
    • 油かす(23.04〜23.06)と油さい(15.22)/高加工たん白(21.06)を再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が“residue”“meal”“feed”程度なら、工程由来・用途が伝わる補足を添付
    • 犬猫用なら小売包装資料を必ず添付(2309.10判定の要) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017等)を確認し、必要ならHS変換 (外務省)
    • BOMの材料HSと工程証跡を整備(混合飼料は特に重要)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 飼料安全法、ペットフード安全法、植物/動物検疫の該当性を確認 (農林水産省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・旧版含む)
    • HS2022 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2017 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2007 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
    • HS2002 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説 第23類(23r.pdf) (参照日:2026-02-17)
    • 第IV部 部注(ペレット定義等、4b.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 第23類の詳細解説(清酒かす等、23rd.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:配合飼料(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:発酵バガス(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:キャットフード(2309.10) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索(HS版変換案内含む) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス(例示)
    • 日EU EPA Annex 3-B(PSR、HS2017表記) (外務省)(参照日:2026-02-17)
    • JETRO:日豪EPA活用マニュアル(HS2012言及) (JETRO)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP(全文) (ASEAN Main Portal)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP運用ガイダンス例(PSR/HS移行に言及) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-17)
    • 日インドネシア協定:品目別規則改正(HS版運用に言及) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • 規制・許認可(日本)
    • MAFF:飼料安全法関連(輸入手続等) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • FAMIC:飼料・ペットフード関連手続案内 (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 環境省:ペットフード安全法Q&A (環境省)(参照日:2026-02-17)
    • 植物防疫所(植物検疫) (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

※ここは**HS6桁ではなく日本の国内コード(統計品目番号等)**の話です。国際共通のHS(6桁)と混同しないでください。

  • 2309.10(犬猫用・小売)では、日本の国内コードで犬/猫、気密容器入り等の区分が設けられていることがあります。キャットフード事例では統計番号レベルまで示されています。(税関ウェブサイト)
  • 2309.90(その他)では、国内運用上、ペレット状・キューブ状など形状や“基材が何か”で細分されることがあります。
  • 形状判断の前提として、第IV部部注の「ペレット」定義(結合剤3%以下等)が参照され得ます。(税関ウェブサイト)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論):
    • 製品概要(用途・対象動物)、原材料比率、製造工程、写真(形状・包装)、分析表(必要に応じて)、想定HS(自社案)
  • 日本税関の公開事例は、**品目分類事例(PDF)**が具体的で、特に23.09(配合飼料、発酵バガス、キャットフード)のような“境界が難しい品”の参考になります。(税関ウェブサイト)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第22類:飲料、アルコール及び食酢(Beverages, spirits and vinegar)

用語(本資料内の統一):類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. アルコール分(20℃での容量%):2202の「非アルコール飲料」は 0.5%以下(0.5%超は22.03〜22.06または22.08へ) (世界税関機関)
    2. “飲料”か“飲料にならない料理用”か:料理用調製で飲用不可なら 2103 へ飛ぶ(食酢を除く) (世界税関機関)
    3. エタノール/蒸留酒の80%境界・変性の有無:未変性エタノール 80%以上→220780%未満→2208、変性は度数不問で2207 (世界税関機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「ノンアル」「微アル」飲料:HS上は0.5%の線引きがある一方、国内法(酒税法等)の“酒類”定義は別なので、通関・規制・社内管理の前提がズレやすいです。 (JETRO)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:まずは見出し文言と注(部注/類注)で判定します。第22類は
      • 料理用に調製して飲料不適 → 2103
      • 「非アルコール飲料」の定義(0.5%以下)
      • アルコール分の測定温度(20℃)
        といった“結論を変える注”が明確です。 (世界税関機関)
    • GIR6:6桁(号)レベルでは、アルコール分・容器容量・変性の有無・酒類の種類で枝分かれします(例:2202.91/2202.99、2204.21/2204.22/2204.29、2207.10/2207.20)。 (世界税関機関)
    • (補足)混合が絡む場合:2206自体が「発酵酒の混合」等を含むため、実務上は**“発酵酒ベースの混合なのか/蒸留酒(スピリッツ)を加えたのか”**が重要になります。 (世界税関機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • アルコール分(ABV):20℃での容量%で判断(0.5%・80%が重要な境界) (世界税関機関)
    • 製法:発酵(ビール/ワイン/その他発酵酒)か、蒸留・精製(スピリッツ/エタノール)か (税関ウェブサイト)
    • “ジュース”か“清涼飲料”か:2202は2009のジュースを除外(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
    • 容器容量や発泡条件:ワインの一部は容器容量で6桁が分岐し、発泡ワインは圧力条件で定義されます (世界税関機関)
    • 用途(料理用):飲めないように調製された場合は大きく飛びます (世界税関機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「飲用(飲料)」としての性格が中心ですか?
    • Yes → Step2へ
    • No(料理用に調製して飲めない) → 原則 2103(ただし食酢は2209の可能性) (世界税関機関)
  • Step2:アルコール分(20℃、容量%)を確認
  • Step3:非アルコール側(0.5%以下)
    • 砂糖/香味料なしの水・氷・雪 → 2201
    • 砂糖/香味料入りの水、またはその他の非アルコール飲料 → 2202
  • Step4:アルコール側(0.5%超)
    • 麦芽から作ったビール → 2203
    • 生鮮ぶどう由来のワイン/マスト → 2204(発泡等の条件も確認) (世界税関機関)
    • ベルモット等(ぶどう酒を植物/芳香物質で香味付け) → 2205 (世界税関機関)
    • その他の発酵酒(清酒、シードル等)や発酵酒の混合 → 2206 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%以上)または変性アルコール → 2207 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%未満)や蒸留酒/リキュール等 → 2208 (世界税関機関)
    • 食酢・食酢代用物 → 2209(ただし酢酸10%超は2915) (世界税関機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第22類 vs 第20類(2009ジュース):ジュースとしての性格か、清涼飲料としての性格か
    • 第22類 vs 第21類(2103/2106等):料理用調製品・飲料ベース(濃縮/シロップ)
    • 第22類 vs 第29類(2915酢酸):酢酸濃度10%超かどうか (世界税関機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2201砂糖等や香味料を加えていない水、氷・雪ミネラルウォーター、炭酸水(無糖)、氷砂糖/香味料入りは2202。蒸留水等の純水は2853。海水は2501。 (世界税関機関)
2202砂糖等や香味料入りの水、その他の非アルコール飲料(2009のジュース除く)コーラ、スポーツドリンク、エナジードリンク、ノンアルビール「非アルコール」は0.5%以下。果実/ナット/野菜ジュース(2009)は除外。 (世界税関機関)
2203麦芽から作ったビールビール0.5%以下のノンアルビールは2202.91へ行く可能性。 (世界税関機関)
2204生鮮ぶどうのワイン(強化含む)、ぶどうマスト(2009除く)ワイン、ポート、ぶどうマスト発泡ワインの定義あり(圧力条件)。容器容量で6桁分岐。料理用で飲用不可なら2103へ。 (世界税関機関)
2205ベルモット等:植物・芳香物質で香味付けした生鮮ぶどうワインベルモット、アロマワイン容器容量で6桁分岐。ベースが「ぶどうワイン」である点が重要。 (世界税関機関)
2206その他の発酵酒、発酵酒の混合、発酵酒+非アル飲料の混合(他項除く)清酒、シードル、ペリー、ミードビール/ワイン/ベルモットは別項。蒸留酒を加えたリキュール等は2208寄りになりやすい。 (世界税関機関)
2207未変性エタノール(80%以上)、変性アルコール(度数不問)工業用高濃度エタノール、変性アルコール80%境界(未変性)。変性かどうかは仕様・添加物で確認(国により変性剤が異なる)。 (世界税関機関)
2208未変性エタノール(80%未満)、蒸留酒・リキュール等ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、リキュール果汁等にアルコールを加え0.5%超の飲料も含まれ得る(例外除く)。 (世界税関機関)
2209食酢、食酢代用物穀物酢、ワインビネガー、りんご酢酢酸の含有量が全重量の10%超の水溶液は2915へ。 (世界税関機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(よく使うもの)の整理
    • アルコール分(ABV)
      • 0.5%以下 → 2201/2202側へ(ただし製品形態により別章もあり)
      • 0.5%超 → 22.03〜22.06 または 22.08 へ (世界税関機関)
    • 未変性エタノールの80%境界
    • 変性の有無:変性アルコールは 2207.20(度数不問) (世界税関機関)
    • 容器容量(ワイン/ベルモット):2L以下、2L超10L以下、その他で分岐(2204/2205) (世界税関機関)
    • 発泡(スパークリングワイン):20℃で密閉容器内の圧力が一定以上(3 bar以上) (世界税関機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • (A) 2202.91(ノンアルビール) vs 2203.00(ビール)
      • どこで分かれるか:アルコール分が 0.5%以下かどうか(“非アルコール飲料”定義) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:成分/製法、ABV試験成績(20℃換算)、商品仕様書
      • 典型的な誤り:「ビールに見える/麦芽由来」だけで2203にしてしまう(0.5%以下なら2202.91の可能性)
    • (B) 2202(清涼飲料) vs 2009(果実・ナット・野菜ジュース)
      • どこで分かれるか:商品が“ジュース(2009)”としての性格か、“その他の飲料(2202)”か。2202は2009ジュースを除外します。 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:原材料比率、製造工程(搾汁か、調製飲料か)、最終製品の表示・仕様
      • 典型的な誤り:「果汁入り飲料は全部2202」と決め打ち(果汁主体なら2009の可能性が残る)
    • (C) 2207(エタノール) vs 2208(スピリッツ/80%未満エタノール)
      • どこで分かれるか:未変性エタノールの 80%境界、および 変性の有無 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:ABV(20℃)、SDS/仕様書、変性剤の添加有無・種類
      • 典型的な誤り:
        • 高濃度でも80%未満なのに2207にする
        • 変性アルコールを飲料用として扱い2208にする(変性は2207.20)
    • (D) 2206(発酵酒) vs 2208(蒸留酒・リキュール等)
      • どこで分かれるか:発酵のみで得た酒か、蒸留酒ベース/アルコール添加で“スピリッツ系”になっているか
      • 判断に必要な情報:製造工程(発酵/蒸留/添加)、原材料、ABV、商品説明
      • 典型的な誤り:果実系のお酒を全部2206とする(蒸留酒に果実等を漬けたリキュールは2208寄りになりやすい) (税関ウェブサイト)
    • (E) 2209(食酢) vs 2915(酢酸水溶液)
      • どこで分かれるか:酢酸含有量が全重量の 10%超なら2915へ(類注の除外) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:酢酸含有量(w/w%)、SDS/成分表、用途(食用/工業用)
      • 典型的な誤り:工業用の酢酸溶液を“食酢っぽい”として2209にしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第22類が属する**第4部(Section IV)**の部注は、少なくとも「ペレット」の定義を置いています。 (税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第22類の典型的な飲料分類では「ペレット」定義に直接当たるケースは多くありません。
    • ただし、飲料原料(例:固形化した副原料等)を取り扱う場合、別章でペレット定義が効くことがあり得る、という程度の位置づけです。 (税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第22類に関しては、部注よりも**類注(第22類注)**の除外規定(料理用、酢酸濃度、医薬品等)の方が「飛び先」を作る主役です。 (世界税関機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • (除外)料理用に調製して飲料に適さないもの(食酢を除く)は主として2103へ (世界税関機関)
    • (除外)海水は2501、**純水(蒸留水等)**は2853へ (世界税関機関)
    • (除外)酢酸10%超の水溶液は2915へ (世界税関機関)
    • (除外)医薬品は3003/3004、香料・化粧品は33類へ (世界税関機関)
    • **アルコール分の測定温度(20℃)**が定義され、22類だけでなく20・21類にも関係します (世界税関機関)
    • **2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)**が明記されています (世界税関機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「非アルコール飲料」(2202用):アルコール分(20℃、容量%)が 0.5%以下 (世界税関機関)
    • 「スパークリングワイン」(2204.10用):20℃の密閉容器で、ゲージ圧力が 3 bar以上 (世界税関機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:0.5%の境界(2202の非アルコール定義)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ABV(20℃の容量%)の試験成績
      • 発酵が進む可能性(輸送中の再発酵等)の有無(商品設計・保存条件) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:仕様書、分析表(ABV)、成分表、製造工程図、商品ラベル案
    • 誤分類の典型:
      • “ノンアル/微アル”表記だけで2202と決める(0.5%超なら酒類側へ)
      • 逆に、0.5%以下でも「ビールに似ている」だけで2203にする
  • 影響ポイント2:料理用調製(飲料として不適)→2103へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 食塩・香辛料等の添加、飲用に適さない処理の有無
      • 取引実態(“調味料”として販売・用途が固定されているか) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:配合表、用途説明、製品仕様(塩分等)、カタログ、ラベル
    • 誤分類の典型:料理用ワインを「ワインだから2204」としてしまう
  • 影響ポイント3:酢酸10%超 → 2915(2209から除外)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):酢酸含有量(重量%)、用途(食用/工業用)、SDS (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:成分分析、SDS、用途説明書
    • 誤分類の典型:工業用酢酸溶液を「酢だから2209」にしてしまう
  • 影響ポイント4:スパークリングワイン定義(2204.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):20℃で密閉容器内の圧力(3 bar以上か) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:製品規格書(ガス圧)、製造仕様、ラベル表示
    • 誤分類の典型:発泡性をうたうワインを全部2204.10にする(圧力条件未確認)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:果汁入り飲料を一律で2202にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目や商品名が“ドリンク”で、2009ジュース除外を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):2202は2009の果実・ナット・野菜ジュースを除外(見出し文言) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:原材料配合比率、製造工程(搾汁/調製)、Brix等
      • 社内で聞く質問例:「これは“ジュース(搾った液)”が主体ですか?それとも水や糖類等で調製した飲料ですか?」
  2. 間違い:ノンアルビールを2203(ビール)にする/逆にビールを2202にする
    • なぜ起きる:商品名・見た目で決め、0.5%定義を確認しない
    • 正しい考え方:2202の非アルコール飲料=0.5%以下(類注)。0.5%超なら22.03〜22.06/22.08。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV試験成績(20℃)、仕様書
      • 質問例:「ABV(20℃換算)は何%ですか?ロットで変動しますか?」
  3. 間違い:濃縮シロップ/原液(割材)を“飲料”として2202にする
    • なぜ起きる:用途が飲用でも、輸入形態が“原液”である点を見落とす
    • 正しい考え方:輸入形態が“調製品”の場合、21類(例:2106)など他章が候補になり得ます(製品の状態で判断)
    • 予防策:
      • 資料:使用方法(希釈倍率)、製品形態(そのまま飲めるか)、ラベル
      • 質問例:「この製品はそのまま飲用に供されますか?希釈や調合が前提ですか?」
  4. 間違い:料理用ワイン(塩分等で飲めない)を2204にする
    • なぜ起きる:原料がワイン=2204と短絡し、料理用調製の除外を見落とす
    • 正しい考え方:料理用に調製して飲用不適(2209を除く)は主として2103へ(類注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:配合表(塩・香辛料)、用途表示、販売形態
      • 質問例:「飲用できますか?塩分/香辛料等の添加はありますか?」
  5. 間違い:“発酵飲料”を全部2206とする
    • なぜ起きる:発酵という言葉だけで判断し、蒸留酒添加(リキュール化)を確認しない
    • 正しい考え方:2206はビール/ワイン/ベルモット以外の発酵酒等。蒸留酒・リキュール等は2208寄り。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:製造工程(蒸留の有無、添加アルコールの種類)、ABV
      • 質問例:「蒸留酒(スピリッツ)の添加がありますか?あるなら何を、いつ加えますか?」
  6. 間違い:エタノールを2207/2208で取り違える
    • なぜ起きる:80%境界、変性の有無を見落とす
    • 正しい考え方:未変性80%以上→2207、未変性80%未満→2208、変性は度数不問で2207(見出し) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV(20℃)、SDS、変性剤情報
      • 質問例:「変性剤は入っていますか?ABVはいくつですか?」
  7. 間違い:スパークリングワイン(2204.10)要件を確認しない
    • なぜ起きる:“発泡性”という宣伝文句で判断してしまう
    • 正しい考え方:2204.10の「スパークリングワイン」には圧力定義がある(号注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ガス圧(20℃)、製品規格
      • 質問例:「20℃密閉でのゲージ圧は何barですか?」
  8. 間違い:食酢(2209)と酢酸水溶液(2915)を混同
    • なぜ起きる:どちらも“酢酸”に見えるため、濃度と用途を確認しない
    • 正しい考え方:酢酸が全重量の10%超の水溶液は2915(類注で2209から除外) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:成分分析(w/w%)、SDS
      • 質問例:「酢酸含有量は何%(重量)ですか?食用グレードですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    • PSRは通常、**HS(主に6桁)**を前提に書かれているため、最終製品のHSを誤ると、PSRの読み替えや適用条文がズレ、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:2204ワイン)だけ見て、非原産材料側のHS(例えば添加酒精や香料の分類)を適当に置く
    • 製造工程の評価軸(CTC/RVC/特定工程など)がPSRと噛み合っていない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記(一般論):
    • CPTPP:PSR(品目別規則)の表が HS2012 を前提に提示されている例が確認できます。 (international.gc.ca)
    • RCEP:協定のPSR(Annex 3A)は HS2012 版として提供されている資料があります。 (Australian Border Force Website)
      • 一方で、日本側運用としては、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用しつつ、一定の附属書は最終版提供までHS2012を適用し続ける旨の整理が示されています。 (経済産業省)
    • 日EU EPA:日本税関の原産地手続の説明資料では、申告書類等での関税分類番号を HS2012(6桁) として扱う旨が示されています(協定運用上の版ズレに注意)。 (税関ウェブサイト)
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意:
    • 現行の輸出入申告はHS2022であっても、PSR参照はHS2012のまま、ということが起き得ます。
    • 第22類は大枠の構造は安定していますが、2202や2204のように過去版で6桁構造が変わった領域は特に注意が必要です(後述の第8章参照)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず「協定が参照するHS版」を確定(税関/公的ガイドで確認)
    • 旧HS→新HSの対応(相関表、税関のPSR変換表)を当て、PSRの適用対象が変わらないかチェックする (税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • そろえるべき基本データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定が参照するHS版で整理)
    • RVC計算が必要な場合は、算定式と対象コストの根拠資料
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 申告書の記載事項として、**HS2012(6桁)**の記載が求められる場面がある旨が整理されています。 (税関ウェブサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)2202(見出し文言)2202の除外対象ジュースが「果実・野菜」から「果実・ナット・野菜」へ明確化(2009との整合) (世界税関機関)ナット系(例:ナッツ飲料/ジュース)の取扱いで、2009との関係をより意識して確認が必要
HS2017→HS2022範囲変更(他類への移管の影響)2202.99(ex)→3006.93相関表上、2202.99の一部が新設の3006.93(臨床試験用のプラセボ等)へ移る扱いが示されている (税関ウェブサイト)医療・治験関連の“飲料形態”キットが混在する案件では、飲料としての思い込み分類を避ける
HS2017→HS2022変更なし(構造維持)2201〜2209(概ね)第22類の4桁骨格は維持(上記の文言/範囲影響を除く) (世界税関機関)過去データの比較は可能だが、2202周辺は版差/範囲差に注意

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 見出し文言(2202)の「ナット」追加は、WCOのHS2017版とHS2022版の章テキスト比較で確認できます(HS2017は“fruit or vegetable”、HS2022は“fruit, nut or vegetable”)。 (世界税関機関)
  • 2202.99の一部が3006.93へ移る影響は、WCO相関表(HS2022↔HS2017)において 2202.99(ex)→3006.93 が記載されていることに基づき、範囲影響として整理しました。 (税関ウェブサイト)
  • 上記以外については、WCOのHS2022章テキスト(第22類)における4桁の構成が2201〜2209であること、HS2017章テキストと同様の骨格であることから「概ね変更なし」と判断しています。 (世界税関機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第22類は4桁レベルは比較的安定ですが、6桁の分割が過去にあります。主要点を「旧コード→新コード」中心に整理します。

時系列主な追加・削除・再編旧コード→新コード(代表)実務メモ
HS2007→HS2012大枠は維持(主要な6桁構造は概ね同様) (世界税関機関)2007/2012とも2202は2202.90(Other)で、ノンアルビールはまだ独立6桁ではない (世界税関機関)
HS2012→HS20172202の6桁分割2202.90 → 2202.91(ノンアルビール) + 2202.99(その他) (世界税関機関)ノンアルビールを独立で統計把握できるようになった(実務では“ビール類似”でも0.5%定義を同時に確認) (世界税関機関)
HS2012→HS20172204の6桁分割(容器容量)2204.29(Other)から 2204.22(2L超10L以下) を新設し分割 (税関ウェブサイト)Bag-in-Box等の流通形態で誤りやすい(容器容量の証拠が必要)
HS2012→HS2017見出し文言の例示追加2206.00(Other fermented beverages)の例示に saké を追加 (世界税関機関)清酒が2206であることの理解を補強(コード自体は2206.00のまま)
HS2017→HS20222202見出し文言の調整2202の除外ジュースに nut を追加 (世界税関機関)ナッツ系ジュース/飲料の分類検討で2009との整合を意識

※「旧コード→新コード(または行き先不明)」の観点では、第22類は「別章へ完全移管でコードが消える」より、6桁分割文言調整が中心です(上表のとおり)。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):料理用ワインを“ワイン(2204)”で申告してしまった
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第22類注で、料理用に調製し飲料不適(食酢除く)は除外(主として2103) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“Cooking wine”でも、社内が「ワインだから2204」と処理
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、説明資料の追加提出、通関遅延
    • 予防策:塩分/香辛料等の配合確認、用途説明書を揃えて事前相談
  • 事例名(短く):“微アル飲料”を2202で申告したが、実測で0.5%超
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)に抵触し、酒類側(22.03〜22.06/22.08)となる (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:輸送中の再発酵、ロット差、表示上“low alcohol”をノンアル扱い
    • 典型的な影響:分類更正、課税関係/規制確認のやり直し、検査強化
    • 予防策:ABV仕様の保証、輸送条件管理、輸入前の分析成績取得
  • 事例名(短く):Bag-in-Boxワインの容器容量を確認せず2204.29で処理
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2204は容器容量で6桁が分岐(2204.21/2204.22/2204.29) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:外装だけ見て容量を勘違い(2L超10L以下を見落とす)
    • 典型的な影響:統計・税率・通関処理の訂正
    • 予防策:製品仕様書(容量)、梱包明細(L表示)、ラベル写真をセットで保管
  • 事例名(短く):工業用酢酸溶液を“食酢(2209)”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):酢酸10%超の水溶液は2915に除外される (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:英語品名が“Vinegar-like / Acetic solution”など曖昧
    • 典型的な影響:分類更正、危険物/化学品としての追加確認、遅延
    • 予防策:SDSで濃度確認、用途(食用/工業用)を明確にした書類整備

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 飲料(酒類を含む)を販売・営業使用目的で輸入する場合、食品衛生法に基づく輸入届出等の手続が必要とされています(検疫所で審査・必要に応じ検査判断)。 (厚生労働省)
    • 確認先:厚生労働省(食品等輸入手続)、各検疫所窓口 (厚生労働省)
  • その他の許認可・届出(酒類)
    • 酒類を輸入し、販売する場合は、酒税法に基づく酒類販売業免許が必要とされる旨が税関の案内等で整理されています。 (税関ウェブサイト)
    • 確認先:国税庁(酒類販売業免許)、税関(カスタムスアンサー) (国税庁)
    • 実務注意:HSの「非アルコール(0.5%)」と、酒税法上の“酒類”の線引きは一致しない点があるため、HS分類だけで国内規制判断を固定しないことが重要です。 (JETRO)
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 一般的な飲料は該当しにくいですが、高濃度エタノール等は用途・仕様により別観点の確認が必要になる場合があります(個別確認)。
  • その他(安全・危険物)
    • エタノール等の高濃度アルコールは、保管・取扱数量により消防法上の危険物(第四類・アルコール類)該当が問題となり得ます(濃度は重量%基準など、表示換算の注意あり)。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 確認先:所轄消防署、消防庁/自治体消防のガイド (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、製造工程表、分析表(ABV、酢酸濃度等)、SDS(化学品該当時)、ラベル案
    • 輸入届出関連書類(検疫所向け) (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 2202の0.5%定義、2209の酢酸10%除外、料理用調製の除外(2103)を再確認 (世界税関機関)
    • 2009ジュース除外の確認(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が曖昧(“drink base”“acetic solution”等)なら仕様書・成分表添付
    • 申告単位(L、kg等)と内容量の整合
    • 酒類の場合、酒税・免許・届出が別途絡むことを前提に社内で役割分担 (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 実行関税率表(2022年版)第22類 注(和文PDF)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 関税率表解説(第22類 解説PDF)※例示・実務解釈(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 第4部 部注(ペレット定義)和文PDF(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 税関:カスタムスアンサー「酒類の輸入について」(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(参照日:2026-02-17) (厚生労働省)
    • 東京消防庁:消毒用アルコールの取扱い(参照日:2026-02-17) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 日本税関:我が国の原産地規則(手続資料、HS2012記載等)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:Annex 3-D(PSR、HS2012表記例:カナダ政府公開)(参照日:2026-02-17) (international.gc.ca)
    • RCEP:Annex 3A(PSR、HS2012版PDF例:ABF公開)(参照日:2026-02-17) (Australian Border Force Website)
    • 経済産業省:RCEP原産地証明(2023-01-01以降PSRはHS2022使用等)(参照日:2026-02-17) (経済産業省)
  • その他
    • JETRO:アルコール飲料の輸入手続Q&A(HS上0.5%等と国内法の差の注意)(参照日:2026-02-17) (JETRO)
    • UNSD:HS2017 220291とHS2012 220290の対応情報(参照日:2026-02-17) (unstats.un.org)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第21類:各種調製食料品 Miscellaneous edible preparations

用語(本資料内で統一します):類=Chapter、項=Heading 4桁、号=Subheading 6桁、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • インスタントコーヒー(コーヒー抽出物・濃縮物)や、そのベースとなる濃縮エキス(2101)
    • ベーカーズイースト等の酵母(活性/不活性)やベーキングパウダー(2102)
    • しょうゆ、トマトケチャップ、各種ソース、混合調味料(2103)
    • スープストック、ブイヨン、粉末スープなど(2104)
    • ベビーフードのうち要件を満たす「均質化複合調製食料品」(2104.20)
    • アイスクリーム、シャーベット等の食用氷(2105)
    • たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、その他の「他に特掲されない食品調製品」(2106)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 乾燥混合野菜(例:乾燥スープミックスの具材だけ)→ 0712(乾燥野菜)(wcoomd.org)
    • コーヒー豆、焙煎コーヒー代用品でコーヒーを含むもの → 0901(コーヒー)(wcoomd.org)
    • 香味を付けた茶(フレーバーティー)→ 0902(茶)(wcoomd.org)
    • スパイス単品や混合スパイス(概ね「香辛料」の範囲)→ 0904〜0910(wcoomd.org)
    • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫などが重量20%超の食品調製品 → 第16類(1601〜1605等)に飛ぶ可能性(wcoomd.org)
    • 禁煙補助等のニコチン製品(HS2022で整理されたもの)→ 2404(wcoomd.org)
    • 医薬品としての酵母(医薬品扱いのもの)→ 3003/3004(wcoomd.org)
    • 調製酵素 → 3507(wcoomd.org)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「他に特掲されない食品調製品」2106に入れたくなる前に、注の除外と他章の特掲を全部確認する(2106は“最後の受け皿”)。(wcoomd.org)
    2. 肉・魚介・昆虫等が重量20%超か(ただし21.03/21.04は例外で残り得る)。(wcoomd.org)
    3. ベビーフードが2104.20の定義に当てはまるか(均質化、用途、容器重量250g以下など)。(wcoomd.org)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 健康食品・サプリ・栄養補助食品を、食品(2106)として扱うか、医薬品(3004等)寄りかで、規制・表示・税率・審査が変わりやすい
    • RCEP/CPTPP等のPSRがHS版(HS2012/2017/2022)で違う場合、コードの取り違えが原産性判断を崩します。(財務省関税局)

1. 区分の考え方

1-1. 分類の基本ルール

  • この類で特に効くGIR(一般論)
    • GIR1(見出し+注で決める):第21類は、類注の除外(例:乾燥混合野菜、香辛料、2404、医薬品、調製酵素、そして「肉・魚介・昆虫20%超」など)が強く効きます。(wcoomd.org)
    • GIR3(混合物・調製品):ソース、シーズニング、粉末飲料、複合食品は混合物が多いので、どの性質が“本質”か(又は特掲があるか)を確認します。
    • GIR6(6桁は同列比較):2101.11/2101.12、2104.10/2104.20、2106.10/2106.90など、6桁内の分岐は用途・性状・表示で詰めます。(wcoomd.org)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 成分(配合比、重量%):特に「肉・魚介・昆虫20%超」判定、たんぱく濃縮かどうか
    • 状態・加工度:抽出物・濃縮物か、粉末ミックスか、最終食品か
    • 用途・表示:ソース用途、スープ用途、乳幼児用・食餌療法用、禁煙補助、医薬的効能表示の有無
    • 形状・包装:瓶詰/小袋/スティック、2104.20の“容器重量250g以下”など (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー

  • Step1:食用の「調製品」か
    • 食品用途で、通常の食用形態(粉末、ペースト、液体、固形)か
    • 医薬的効能が前面に出る/投与量が医薬品形態なら第30類の可能性
  • Step2:第21類の中の特掲(2101〜2105)に当たるか
    • コーヒー/茶/マテの抽出物(2101)
    • 酵母・ベーキングパウダー(2102)
    • ソース・混合調味料(2103)
    • スープ・均質化複合調製食料品(2104)
    • アイスクリーム等(2105)(wcoomd.org)
  • Step3:当たらなければ2106を検討
    • ただし「他に特掲されない」前提なので、第16/17/18/19/20/22/23/30/35/24.04等の可能性を先に潰す
    • とくに類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、そして20%ルール)をチェック (wcoomd.org)
  • よく迷う境界
    • 第21類 vs 第9類:フレーバーティー、スパイス、コーヒー代用品(コーヒー含有)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第16類:肉・魚介・昆虫の含有率が高い複合食品(20%超)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第30類:サプリ/禁煙補助/健康食品の“医薬品性”
    • 第21類 vs 第22類:飲料(完成品)か、飲料用調製品(ベース)か

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁項の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2101コーヒー・茶・マテの抽出物等/それらを基にした調製品/焙煎チコリー等インスタントコーヒー粉、コーヒー濃縮液、紅茶エキス、チコリーコーヒー「焙煎コーヒー代用品でコーヒー含有」は0901に寄り得る点に注意。抽出物は2101側に戻る場合あり。(wcoomd.org)
2102酵母(活性/不活性)等、死滅単細胞微生物、ベーキングパウダードライイースト、栄養酵母、ベーキングパウダーワクチン(3002)は除外。医薬品としての酵母は3003/3004。(wcoomd.org)
2103ソース等、混合調味料、マスタードしょうゆ、ケチャップ、焼肉のたれ、粉末シーズニングスパイス単体/混合スパイスは第9類へ。混合調味料でも「香辛料の範囲」か「調味料」かを吟味。(wcoomd.org)
2104スープ・ブロス等/均質化複合調製食料品粉末スープ、ブイヨン、ベビーフード(ピューレ)2104.20は定義が厳格(用途・均質化・容器重量250g以下等)。(wcoomd.org)
2105アイスクリーム等の食用氷アイスクリーム、ソルベ、かき氷用氷菓「アイスの素(粉末)」などは通常2105ではなく原材料側(例:1901/2106等)を疑う。
2106他に特掲されない食品調製品たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、各種食品ベース2106は“最後の受け皿”。除外(2404、3006.93等の移転を含む)や第16類20%ルールに注意。(wcoomd.org)

上表の見出し構成はHS2022条文(第21類の項・号)に基づき整理しています。(wcoomd.org)

2-2. 6桁号で実務上重要な分岐

  • 分岐条件の整理
    • 2101(抽出物 vs 調製品)
      • 抽出物・エッセンス・濃縮物そのもの → 2101.11(コーヒー)/2101.20(茶・マテ)
      • 「抽出物を基にした調製品」や「コーヒーを基にした調製品」 → 2101.12
      • 焙煎チコリー等・焙煎代用品とその抽出物等 → 2101.30
      • 必要情報:原材料(コーヒー豆/抽出物/糖/乳等)、製造工程(抽出の有無)、用途表示(飲料ベースか)(wcoomd.org)
    • 2102(活性 vs 不活性)
      • パン酵母等(発酵能がある)→ 2102.10
      • 栄養酵母等(不活性)・死滅単細胞微生物 → 2102.20
      • ベーキングパウダー → 2102.30
      • 必要情報:製品規格書(生菌/死菌、発酵力)、用途(製パン/栄養補助/培地等)(wcoomd.org)
    • 2103(しょうゆ等の特掲 vs その他)
      • しょうゆ → 2103.10
      • ケチャップ等トマトソース → 2103.20
      • マスタード → 2103.30
      • その他ソース・混合調味料 → 2103.90
      • 必要情報:主原料、味付けの目的(ソース/シーズニング)、スパイスだけの混合か(第9類との境界)(wcoomd.org)
    • 2104(スープ類 vs 均質化複合調製食料品)
      • スープ・ブロス・その調製品 → 2104.10
      • 均質化複合調製食料品 → 2104.20(定義に合うかが全て)
      • 必要情報:容器の正味重量(250g以下か)、対象(乳幼児/食餌療法)、均質化の程度(目視で粒が残るか)(wcoomd.org)
    • 2106(たんぱく濃縮物・テクスチャード vs その他)
      • たんぱく濃縮物・テクスチャードプロテイン → 2106.10
      • その他 → 2106.90
      • 必要情報:たんぱく含有率、原料(大豆/えんどう/乳等)、形状(粒状・繊維状・肉代替用)、用途(一般食品原料か)(wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 2101.11 vs 2101.12
      • どこで分かれるか:抽出物そのものか、抽出物やコーヒーを“基にした調製品”か
      • 判断に必要な情報:配合表(糖・乳・香料等の添加)、最終用途(そのまま溶かして飲める等)
      • 典型的な誤り:「インスタント飲料=全部2101.11」と決め打ちする (wcoomd.org)
    • 2102.10 vs 2102.20
      • どこで分かれるか:活性(発酵能)か不活性か
      • 判断に必要な情報:規格書、検査成績(生菌数等)、製造(乾燥・失活)
      • 典型的な誤り:「ブリューワーズイースト=活性」と思い込む (wcoomd.org)
    • 2104.10 vs 2104.20
      • どこで分かれるか:2104.20の厳格な定義に合うか(用途・均質化・容器重量)
      • 判断に必要な情報:ラベル、容器重量、対象年齢表示、物性(ペースト状で均質か)
      • 典型的な誤り:ベビーフード全般を2104.20に寄せる (wcoomd.org)
    • 2106.10 vs 2106.90
      • どこで分かれるか:たんぱく濃縮物/テクスチャードプロテインに該当するか
      • 判断に必要な情報:成分分析(たんぱく比率)、用途(肉代替等)、加工状態
      • 典型的な誤り:プロテイン入り菓子やサプリを全部2106.10にする(実態は“その他”のことも)(wcoomd.org)

3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味

3-1. 関連する部注

  • ポイント要約:
    • 第21類が属する第IV部には「ペレット」の定義があり、結合剤の添加割合が重量3%以下などの条件が示されています(第IV部内で“ペレット”という語が出る場合の共通理解)。(wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ブイヨンやだしの固形キューブ/粒状品について、商品説明で“pellets(粒状)”と表現されることがあります。定義に合うかは、製造方法・結合剤割合などの確認材料になります。(wcoomd.org)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第IV部注よりも、実務上は**第21類類注(下記3-2)**の除外規定の方が「他章に飛ぶ」場面が多いです(第9類・第16類・第24類・第30類・第35類)。(wcoomd.org)

3-2. この類の類注

  • ポイント要約:
    • 第21類は、類注で次を明確に除外します:
      • 乾燥混合野菜(0712)
      • コーヒーを含む焙煎代用品(0901)
      • 香味を付けた茶(0902)
      • 香辛料(0904〜0910)
      • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超の食品調製品(第16類)
      • 2404(ニコチン製品)
      • 医薬品としての酵母(3003/3004)
      • 調製酵素(3507)(wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • **均質化複合調製食料品(2104.20)**は、用途(乳幼児用・食餌療法用等)、均質化の程度、容器の正味重量(250g以下)など複数要件で定義されます。(wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • とくに重要:肉・魚介・昆虫などが重量20%超(ただし21.03/21.04は例外)→ 第16類。(wcoomd.org)
    • HS2022で整理された**2404(ニコチン関連製品)**は第21類から除外。(wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響

  • 影響ポイント1:肉・魚介・昆虫など重量20%超で第16類に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか:
      • 配合割合(重量%):肉、内臓、血、昆虫、魚、甲殻類、軟体動物等の合計が20%を超えるか(wcoomd.org)
      • 対象品が**21.03(ソース等)または21.04(スープ等)**に該当するか(ここは例外扱い)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • レシピ/配合表、BOM、原材料規格書
      • 製造工程図(肉エキス添加のタイミング等)
      • ラベル表示(原材料名・含有量表示があれば)
    • 誤分類の典型:
      • 肉エキス入りの複合調味料を「食品調製品2106」で申告してしまい、20%超で第16類指摘を受ける
  • 影響ポイント2:焙煎コーヒー代用品の扱い
    • 何を見れば判断できるか:
      • 「焙煎代用品(例:チコリー等)」にコーヒーが含まれるか(含まれる場合、代用品そのものは0901側に寄る)(wcoomd.org)
      • ただし、その抽出物等は2101に分類され得る(例外の戻し)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • 原材料配合、焙煎の有無、抽出工程の有無、製品仕様(抽出物かどうか)
    • 誤分類の典型:
      • コーヒーを少量含む代用コーヒーを、2101.30(焙煎代用品)として固定してしまう(実態は0901側を検討要)
  • 影響ポイント3:2104.20 均質化複合調製食料品の定義
    • 何を見れば判断できるか:
      • 対象用途(乳幼児用、食餌療法用)
      • 均質化の程度(ほぼ均一で、微小な具は許容され得る)
      • 容器の正味重量が250g以下か(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • パッケージ(内容量表示)、商品カタログ、用途説明
      • サンプル写真(中身の状態)
    • 誤分類の典型:
      • 300gの大容量ベビーフードを2104.20としてしまう

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:とりあえず2106(その他の食品調製品)に入れる
    • なぜ起きる:品名が「〇〇ミックス」「〇〇ベース」で、見出しが分かりにくい
    • 正しい考え方:2106は「他に特掲されない」前提。類注の除外(第9類、2404、3003/3004、3507、20%ルール等)と、他章の特掲を先に潰す。(wcoomd.org)
    • 予防策:配合表・用途・包装形態・広告表示を必ず揃え、候補章を逆引きで潰す(第19類、22類、30類なども同時に検討)
  2. 間違い:混合調味料を全部「香辛料(第9類)」にする
    • なぜ起きる:見た目が粉末でスパイスっぽい
    • 正しい考え方:類注で「香辛料(0904〜0910)」は第21類から除外されますが、ソース/混合調味料としての性格が強い場合は2103を検討します(配合と用途が鍵)。(wcoomd.org)
    • 予防策:スパイス単体か、塩・糖・うま味調味料等を含む“調味料製品”かを配合表で整理。用途(料理の味付け/テーブル用)も確認
  3. 間違い:肉エキス入りの複合食品を2106にしてしまう
    • なぜ起きる:「調味ベース」なので食品調製品と思い込む
    • 正しい考え方:21.03/21.04以外の食品調製品で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超なら第16類に飛ぶ可能性があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:肉・魚介・昆虫等の重量%をレシピで必ず算出(原材料の含水差にも注意)。20%前後なら分析・証憑を厚く
  4. 間違い:フレーバーティーを2106や2101にしてしまう
    • なぜ起きる:香料入り=“調製”と捉える
    • 正しい考え方:類注で「香味を付けた茶」は0902に除外されています。(wcoomd.org)
    • 予防策:原料が茶葉主体で香味付けか、抽出物・濃縮物かを工程で確認
  5. 間違い:ベビーフードを一律2104.20にする
    • なぜ起きる:乳幼児用=2104.20と短絡
    • 正しい考え方:2104.20は用途だけでなく、均質化・容器重量250g以下等の定義要件があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:SKUごとに内容量と中身の状態(均質化)を確認。容器サイズ違いでコードが変わり得る前提で管理
  6. 間違い:禁煙補助のニコチン製品を「食品(2106)」扱いする
    • なぜ起きる:ガム/タブレット等で“食品っぽい”
    • 正しい考え方:HS2022では、禁煙補助等のニコチン関連製品が2404へ移ったことで、2106.90の範囲が狭くなった旨が相関表で示されています。(財務省関税局)
    • 予防策:成分(ニコチン有無)と用途(禁煙補助等)を必ず確認し、2404や医薬品(30類)可能性も含めて整理

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSRの関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します
    • 例:同じ「粉末ミックス」でも、2106なのか1901なのかでPSR(CTH/CTSH/RVC等)が変わり、原産性判断の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 原材料(非原産材料)のHSがズレていてCTC判定が崩れる
    • 最終品を「とりあえず2106」にした結果、PSRが本来より厳しくなる/緩くなる
    • 工程要件(ブレンド等)を満たすと誤解してしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い

  • 協定によって、採用しているHS版(HS2002/2007/2012/2017/2022等)が異なります。日本税関のPSR検索ページでも、協定のHS版で検索すべきこと、輸入申告は最新HSを使うことが注意喚起されています。(財務省関税局)
  • 例(一次資料で確認できるもの)
    • CPTPP:PSR表に「HS Classification (HS2012)」と明記されています。(内閣府)
    • 日EU・EPA:PSR(Annex 3-B)の列見出しに「Harmonized System classification (2017)」と明記されています。(外務省)
    • RCEP:日本の運用として、2023年1月1日以降、PSRはHS2022版で運用する一方、税率差ルール関係の付属書I付録は(最終版が整うまで)HS2012を継続適用する旨が経産省ページに明記されています。(経済産業省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定が採用するHS版」でPSRを確定
    • そのうえで、輸出入実務で使う最新HS(例:HS2022)へ、WCO相関表等で対応付け
    • 対応付けが1:1でない(分割/統合/範囲変更)場合は、協定本文・当局ガイダンスに沿って判断(必要なら税関照会)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 揃えるべきデータ(最低限)
    • 材料表(BOM)、原価、工程フロー
    • 産品のHS6桁(最終製品)と、非原産材料のHS6桁
    • 仕入先・原産国、原材料仕様書、配合割合
    • RVC計算の前提(EXW/FOB、控除項目)
  • 証明書類・保存(一般論)
    • 原産地証明書または自己申告の根拠資料
    • 監査に耐えるよう、品目分類根拠(注・類注・比較表)もセットで保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い

7-1. 変更点サマリー

比較変更タイプ該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更2106.902106.90の範囲が狭くなった(禁煙補助等のニコチン製品が新設2404へ移転、臨床試験キット等が3006.93へ移転、食用昆虫が一定条件で第16類へ移転など)(財務省関税局)2106.90に“入っていたと思っていた商品”が他章へ移る可能性。過去判定の棚卸しが必要
HS2017→HS2022範囲変更第21類類注の運用第21類類注で、肉・魚介等の20%ルールに「昆虫」が含まれ、かつ2404除外等が明確化(wcoomd.org)食用昆虫を含む複合食品、禁煙補助品の分類が変わり得る

7-2. 違うことになった根拠

  • 参照した根拠資料
    • WCO作成のHS2017→HS2022相関表(日本税関サイト掲載PDF)にて、2106.90の範囲が新設2404・新設3006.93等への移転により狭くなった旨が明記されています。(財務省関税局)
    • HS2022 第21類類注で、2404の除外および**肉・魚介・昆虫等20%超の除外(第16類)**が規定されています。(wcoomd.org)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • 相関表の「2106.90」行の備考に、移転理由(2404への移転、3006.93への移転、昆虫の移転等)が列挙されているため、コード自体(2106.90)は存続しても、対象範囲が縮小したと判断できます。(財務省関税局)
    • 併せて、HS2022の第21類類注で2404除外が明確に書かれているため、実務上も2106側に残さない整理が必要です。(wcoomd.org)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第21類は、HS2007→2012→2017の期間では、WCO相関表(改正があるコードのみを列挙する形式)上、6桁レベルの第21類改正が特に見当たらないため、大枠の構造(2101〜2106)は比較的安定してきたと整理できます。(財務省関税局)

一方、HS2017→2022では、2106.90の範囲縮小という「コード自体は同じでも対象が動く」タイプの変更が示されています。(財務省関税局)

版の移行第21類の主要な見え方旧コード→新コードの例
HS2007→HS2012(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)主要なコード番号レベルでは大きな移動が目立たない
HS2012→HS2017(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)同上
HS2017→HS20222106.90の範囲縮小(2404、3006.93、昆虫関連の移転など) (財務省関税局)例:禁煙補助等ニコチン製品が2404へ(2106.90から外れる)

9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:肉エキス入り「万能だし粉」を2106で申告
    • 誤りの内容:21.03/21.04以外で、肉等が重量20%超 → 第16類へ、という除外に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:品名が「だし」「シーズニング」で、スープ(2104)か食品調製品(2106)かを曖昧にした
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、成分確認のための検査・遅延
    • 予防策:レシピで重量%を算出し、2104に当たるか、当たらない場合は20%ルールで第16類に飛ぶかを事前整理
  • 事例名:フレーバーティーを「調製品」扱いで第21類申告
    • 誤りの内容:「香味を付けた茶」は第9類(0902)へ除外 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:ティーバッグに香料・果皮等を加えており、加工度が高いと誤認
    • 典型的な影響:差し戻し、分類補正、原産地規則の再計算
    • 予防策:茶葉主体か、抽出物主体かを工程と配合で確認
  • 事例名:ベビーフードの大容量品を2104.20で申告
    • 誤りの内容:2104.20は容器重量250g以下等の定義要件に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:同一ブランドで小容量(2104.20相当)と大容量が混在
    • 典型的な影響:品番ごとの再分類、書類差替え、通関遅延
    • 予防策:SKU単位で内容量・用途表示・均質化の程度をチェックし、マスターを分ける
  • 事例名:禁煙補助のニコチンガムを2106申告
    • 誤りの内容:HS2022で2404に移るタイプの品を2106.90に残してしまう (財務省関税局)
    • 起きやすい状況:食品のガムと同じノリで処理
    • 典型的な影響:規制当局対応(成分・用途確認)、分類更正
    • 予防策:ニコチン含有の有無、用途(禁煙補助等)を規格書で確認し、2404/30類も含めて整理

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品衛生法に基づく輸入届出:食品等を業として輸入する場合、原則として都度の輸入届出が必要で、届出済みであることの確認が輸入許可に関係します。(mhlw.go.jp)
    • 動物検疫(該当する場合)
      • 肉製品等の持込み・輸入には検査証明書や検査が必要となる旨が案内されています(対象品目は個別確認が必要)。(財務省関税局)
    • 植物検疫(該当する場合)
      • 植物・植物由来原料(香辛料原料等)は、状態によって検疫対象になり得ます。(農林水産省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 食品衛生(輸入届出):厚生労働省(MHLW)輸入食品監視関連ページ (mhlw.go.jp)
    • 税関手続:税関(食品衛生法の届出確認の流れ等)(財務省関税局)
    • 動物検疫:農林水産省 動物検疫所(AQS)(農林水産省)
    • 植物検疫:植物防疫所(Plant Protection Stations)(農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 原材料一覧、配合割合、製造工程、成分規格
    • ラベル案(日本語表示の要否)
    • 食品衛生法の輸入届出書類、検査成績書(必要な場合)
    • 動物由来原料を含む場合の衛生証明書等(必要な場合)

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 配合表(重量%)、原材料規格書、用途、形状、包装形態、製造工程
    • 「肉・魚介・昆虫等」の含有割合(20%判定用)
    • ベビーフードなら内容量(250g以下か)と均質化の状態
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、20%ルール)を再点検 (wcoomd.org)
    • 2106にした場合は「他に特掲されない」の確認記録を残す
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名が「food preparation」だけになっていないか(具体名+用途+主要成分)
    • 規格書・成分表・カタログを添付できる状態か
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が採用するHS版でPSRを確認(CPTPPはHS2012等)(内閣府)
    • HS版の違いがある場合は相関表でトランスポーズし、根拠を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生法の輸入届出要否の確認 (mhlw.go.jp)
    • 動物由来原料・植物由来原料の検疫対象確認 (農林水産省)

12. 参考資料 出典

  • WCO
    • HS Nomenclature 2022 第21類(各種調製食料品)の条文PDF(類注・号の構成)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
    • HS Nomenclature 2022 第IV部 部注(pellets定義)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
  • 日本 税関・公的機関
    • WCO相関表 HS2022→HS2017(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2017→HS2012(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2012→HS2007(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 税関「品目別原産地規則」検索ページ(HS版の違いに関する注意喚起、相関表リンク)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 厚生労働省 輸入食品の手続(食品衛生法の輸入届出)(mhlw.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 税関(東京税関)食品衛生法に関する案内(届出→税関提出の流れ)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 動物検疫所(動物・肉製品の持込み/輸入検査案内)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 植物防疫所(植物検疫の概要)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 経済産業省 RCEPの原産地証明手続(2023年以降PSRはHS2022等)(経済産業省)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書
    • CPTPP(TPP)Annex 3-D Product-Specific Rules of Origin(HS2012明記)(内閣府)(参照日:2026-02-17)
    • Annex 3-B Product Specific Rules of Origin(HS2017明記、外務省PDF)(外務省)(参照日:2026-02-17)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。