HS2022 第8類:食用の果実及びナット(ナッツ);かんきつ類又はメロンの皮(Edible fruit and nuts; peel of citrus fruit or melons)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 生鮮(※冷蔵=chilled含む)の果実:りんご、ぶどう、桃、さくらんぼ、柑橘類 など(0805/0806/0808/0809等)
    • 生鮮または乾燥のナッツ:アーモンド、くるみ、ピスタチオ、松の実 など(0801/0802)
    • 冷凍果実・ナッツ(加糖の有無を問わない):冷凍いちご、冷凍ベリー など(0811)
    • 暫定保存(例:ブライン、亜硫酸水等)で“そのまま食べられない状態”の果実・ナッツ(0812)
    • 乾燥果実(ただし、08.01〜08.06以外の乾燥果実は0813へ):ドライアップル、プルーン、ドライアプリコット等(0813)
    • かんきつ類又はメロンの皮(生・冷凍・乾燥・暫定保存):乾燥オレンジピール等(0814)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 食用でない果実・ナッツ → 第8類では扱わない(別章/別品目の可能性)。
    • 落花生(ピーナッツ/ground-nuts)(未調理) → 第12類 1202(油糧種子側)。
    • 砂糖漬け(ドレインド/グラッセ/結晶化)果実・ナッツ・果皮 → 第20類 2006(糖蔵)。
    • 缶詰・瓶詰・ジャム・ペースト・その他調製/保存(ロースト、塩味、味付け等を含む) → 第20類 2007/2008等(内容次第)。
    • 果汁(果実/ナッツ/野菜のジュース) → 第20類 2009。
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 状態:生鮮/冷蔵、冷凍、乾燥、暫定保存(0812)、果皮(0814)で大きく枝分かれします。
    2. 加工度:第8類は「基本的に未調製」。砂糖漬け・ジャム・缶詰・ロースト等は第20類へ寄りやすいです。
    3. 品目の“種別”:落花生は第12類(1202)で、第8類の他ナッツと扱いが分かれます。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **暫定保存(0812)**を2008(調製/保存)や生鮮(0809等)で申告して差戻し・検査強化になるケース(状態・食用適否の説明不足が原因)。
    • **松の実(pine nuts)**はHS2022で6桁が分割され、旧版前提のままだと原産地規則・統計・社内マスタが崩れやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し文言+注):第8類は「状態(fresh/frozen/dried/provisionally preserved)」が見出しや類注で明確なので、まずGIR1で骨格が決まります。
    • GIR6(6桁の選択):同じ項でも「殻付き/むき身」「品種・果実種」などで6桁が分かれます(例:0802.91/0802.92)。
    • GIR3(混合物・セット):0813.50(ミックス)など、混合が分類を左右します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • **状態(冷蔵/冷凍/乾燥/暫定保存)**は、商品名より優先して確認します(温度帯・保存液・水分活性など)。
    • 加工度(加糖、加熱、ロースト、味付け、缶詰、ピューレ、ジュース化)を確認し、第20類へ飛ぶかどうかを先に潰します。
    • 食用か否か(工業用・飼料用・種子用等)も重要です(食用でないと第8類から外れ得ます)。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「果実/ナッツ/柑橘・メロンの皮」か?(野菜・種子・加工食品ではないか)
  • Step2:食用か?(食用でない場合は第8類から外れる可能性)
  • Step3:状態はどれか?
    • 生鮮/冷蔵 → 0801〜0810の該当項へ
    • 冷凍 → 0811
    • 乾燥 → 0801〜0806(品目が該当する場合)または0813(その他乾燥果実/ミックス)
    • 暫定保存(輸送・保管目的で保存液等、かつその状態で即時食用不可)→ 0812
    • 皮(柑橘/メロン)→ 0814
  • Step4:加工度チェック:糖蔵・ジャム・缶詰・調製/保存・ジュース等なら第20類(2006/2007/2008/2009)へ。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第8類(未調製) vs 第20類(調製/保存):加糖・加熱・ロースト・味付け・缶詰など「調製」が入ったら第20類寄り。
    • 0812(暫定保存) vs 0809/0810(生鮮):保存液やSO2等で“そのまま食べられない状態”かが鍵。
    • 0802(ナッツ) vs 1202(落花生):落花生は別章。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0801ココナッツ、ブラジルナッツ、カシューナッツ(生鮮/乾燥)ココナッツ、カシューナッツ殻付き/むき身等で6桁分岐。
0802その他のナッツ(生鮮/乾燥)アーモンド、くるみ、ピスタチオ、松の実殻付き/むき身が主要分岐。松の実はHS2022で6桁が分割。
0803バナナ(プランテン含む)(生鮮/乾燥)バナナ、プランテン乾燥でも0803内。
0804デーツ、いちじく、パイン、アボカド、マンゴー等(生鮮/乾燥)デーツ、ドライいちじく乾燥でも0804内(0813ではない)。
0805かんきつ類(生鮮/乾燥)オレンジ、みかん、レモン0805.21/22等(品種)で分岐。
0806ぶどう(生鮮/乾燥)生食用ぶどう、干しぶどう乾燥ぶどう(レーズン)は0806.20。
0807メロン(スイカ含む)・パパイヤ(生鮮)スイカ、メロン、パパイヤメロンは0807.11/0807.19等で分岐。
0808りんご・梨・マルメロ(生鮮)りんご、梨、マルメロHS2012で梨/マルメロが細分化された経緯あり。
0809あんず、さくらんぼ、もも、すもも等(生鮮)さくらんぼ、桃、プラムさくらんぼは酸果/その他で分岐。
0810その他の果実(生鮮)いちご、キウイ、柿、ベリー類HS2012で柿(0810.70)等が独立。
0811果実・ナッツ(冷凍)冷凍いちご、冷凍ベリー加糖の有無で即「第20類」とは限らない点に注意。
0812果実・ナッツ(暫定保存:即時食用不可)ブライン漬けチェリー(原料用)“輸送・保管のための暫定保存のみ”で、かつ即時食用不可が条件。
0813乾燥果実(0801〜0806以外)+ナッツ/乾燥果実ミックスドライアップル、プルーン、ミックスドライフルーツレーズン(0806.20)等は0813ではない。混合は0813.50へ。
0814かんきつ類又はメロンの皮乾燥オレンジピール皮は果実本体と別項。暫定保存(ブライン等)もここに含まれ得る。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 殻付き/むき身:ナッツ類(0801/0802)は典型的に殻の有無で分岐します。
    • 果実の種類(品種・属):柑橘(0805)や一部ベリー(0810/0811)などは、種別で6桁が分かれます。
    • 状態:冷凍(0811)、暫定保存(0812)、乾燥(0803/0804/0806 or 0813)で“項そのもの”が変わります。
    • 「乾燥としての性格を保持」:乾燥果実に油・少量糖液等を添加しても、乾燥としての性格を保つ範囲なら第8類に残り得ます。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 松の実:0802.91/0802.92/0802.99(HS2022)
      • どこで分かれるか:松の実の殻付き(0802.91)か、むき身(0802.92)か、その他(0802.99)。
      • 判断に必要な情報:殻の有無、製品写真、規格書(“shelled”/“in shell”表記)、HS移行の有無(マスタがHS2017のままか)。
      • 典型的な誤り:旧「0802.90(その他)」のまま固定してしまい、原産地規則や統計がズレる。
    2. みかん・クレメンタイン等:0805.21/0805.22/0805.29
      • どこで分かれるか:マンダリン(タンジェリン・温州みかん等)/クレメンタイン/その他の近縁ハイブリッド。
      • 判断に必要な情報:品種名(学名・商業名)、産地の品種表示、カタログ・ラベル表示。
      • 典型的な誤り:「みかん類」を全部“その他(0805.90等)”に寄せる、または国内コードと混同する。
    3. 冷凍(0811) vs 暫定保存(0812)
      • どこで分かれるか:凍結状態か、保存液等で暫定保存され“そのまま食べられない状態”か。
      • 判断に必要な情報:温度条件、保存媒体(ブライン/亜硫酸水等)、食用適否(即時消費できるか)、工程・用途(原料用か)。
      • 典型的な誤り:ブライン漬け原料を「生鮮」扱いで0809にしてしまう。
    4. 乾燥ぶどう(0806.20) vs 乾燥果実(0813)
      • どこで分かれるか:ぶどうは乾燥でも0806に残る一方、りんご等は乾燥で0813へ行くことが多い。
      • 判断に必要な情報:原料果実が何か(学名/一般名)、製品規格。
      • 典型的な誤り:ドライフルーツを一律0813にしてしまい、レーズンを誤る。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第8類が属する**第II部(VEGETABLE PRODUCTS)**には、「pellets(ペレット)」の定義があります(結着剤は原則3%以下等)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば、果実由来の固形化品(ペレット状)を扱う場合、「ペレット」定義に当てはまるかで、別品目(飼料、調製品など)との境界検討が必要になることがあります(第8類に残るとは限りません)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • ペレット化され、かつ用途・加工度が「調製品・飼料」側で説明されると、第8類ではなく別章(例:第20類や第23類等)検討が必要になります(具体は製品実態次第)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第8類注の核):
    1. 食用でない果実・ナッツは除外(第8類の前提は“edible”)。
    2. 冷蔵(chilled)は生鮮と同じ項で分類(冷蔵=別項にはならない)。
    3. 乾燥果実・乾燥ナッツの軽微な処理(再水和の一部、軽度加熱、硫黄処理、保存料、少量糖液、油の添加など)をしても、乾燥としての性格を保つなら第8類に残り得る。
    4. 0812(暫定保存)の適用条件:輸送・保管のための暫定保存のみで、かつその状態で即時食用不可であること。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「暫定保存(provisionally preserved)」の考え方は、類注で“目的(輸送・保管)”と“食用適否(その状態で即時食用不可)”が条件として明示されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 食用でない果実・ナッツは第8類から外れます。
    • 砂糖漬け等の調製・保存が入ると、第20類(2006/2008等)へ寄ります。
    • 落花生(未調理)は第12類 1202。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:冷蔵(chilled)=生鮮と同じ項
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):輸送温度帯(冷蔵/冷凍)、HS上の状態表示(fresh/chilled/frozen)。
    • 現場で集める証憑:温度記録、インボイス記載(chilled)、物流仕様書。
    • 誤分類の典型:「冷蔵だから別項」と誤解し、別章(調製品側)へ寄せる。
  • 影響ポイント2:乾燥果実の“軽微な処理”は第8類に残り得る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):添加物の種類と量(保存料、油、糖液の少量等)、処理目的(保存/外観維持)、最終品が“乾燥としての性格”を保持しているか。
    • 現場で集める証憑:成分表、製造工程、添加量、製品写真(べたつき/シロップ漬け等の程度確認)。
    • 誤分類の典型:少量の糖液・油の添加を理由に、すぐ第20類(2008等)へ飛ばしてしまう(実態は乾燥の範囲内)。
  • 影響ポイント3:0812(暫定保存)に入る条件が“目的+即時食用不可”で決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):保存媒体(SO2、ブライン等)、用途(加工原料用か)、その状態で食べられるか。
    • 現場で集める証憑:SDS/成分(亜硫酸等)、工程図、用途説明書(加工原料である旨)、サンプル写真。
    • 誤分類の典型:ブライン漬け原料を「生鮮さくらんぼ(0809)」にしてしまう/逆に、普通に食べられる塩味ナッツを0812にしてしまう(後者は2008寄り)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ロースト・塩味ナッツを0802(ナッツ)で申告
    • なぜ起きる:品名が「ピスタチオ」「アーモンド」で止まってしまい、加工度(ロースト・味付け)を見落とす。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):調製/保存が入ると第20類(2008等)側で検討。
    • 予防策:仕様書に「roasted/salted/flavored」の有無、油脂・調味料、包装形態(スナック用途)を確認。
  2. 間違い:ブライン漬け(暫定保存)チェリーを生鮮(0809)で申告
    • なぜ起きる:外観が“果実”で、生鮮と同じに見える。
    • 正しい考え方:輸送・保管のための暫定保存で、その状態で即時食用不可なら0812。
    • 予防策:保存媒体(ブライン等)と“即時食用不可”の説明資料(用途:加工原料)を用意。
  3. 間違い:乾燥果実をすべて0813に寄せる(レーズン等も含めてしまう)
    • なぜ起きる:0813を「ドライフルーツ一般」と誤解。
    • 正しい考え方:ぶどう(0806.20)など、乾燥でも0801〜0806に残る品目がある。
    • 予防策:原料果実名を必ず確認し、「0801〜0806該当か」を先に判定。
  4. 間違い:冷凍果実(0811)を“加工品”として2008へ
    • なぜ起きる:「冷凍=加工」と短絡。
    • 正しい考え方:第8類に冷凍(0811)が明確にあり、加糖があっても直ちに2008とは限らない。
    • 予防策:調製/保存の有無(加熱、シロップ漬け、缶詰等)と、HS上の状態(frozen)を分けて整理。
  5. 間違い:“冷蔵(chilled)”を別扱いして誤った項へ
    • なぜ起きる:chilledを「別の加工状態」と誤解。
    • 正しい考え方:類注で、冷蔵は対応する生鮮と同じ項。
    • 予防策:温度帯(冷蔵/冷凍)を物流資料で証明し、chilledはfresh側で検討する癖をつける。
  6. 間違い:落花生(ピーナッツ)を0802(その他ナッツ)へ
    • なぜ起きる:日常用語で“ピーナッツ=ナッツ”のため。
    • 正しい考え方:落花生(未調理)は第12類1202。
    • 予防策:原料がground-nutsかどうか、ローストの有無を確認(ローストなら2008側も検討)。
  7. 間違い:乾燥果実の軽微な処理(少量油・保存料等)を理由に第20類へ
    • なぜ起きる:添加物があると自動的に「調製品」と判断してしまう。
    • 正しい考え方:乾燥としての性格を保持する範囲の処理は第8類に残り得る。
    • 予防策:添加目的・添加量、製品の食感/状態(シロップ漬けではない)を文書化。
  8. 間違い:HS版の違い(2017↔2022)を無視して6桁を旧コードで固定
    • なぜ起きる:社内マスタやPSR判定が旧版のまま運用されている。
    • 正しい考え方:松の実のようにHS2022で6桁が分割される例がある。
    • 予防策:協定・統計・申告が参照するHS版を確認し、相関表でマッピングしてから判断する。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • PSRは「最終製品のHS(多くは6桁や4桁)」を起点に選びます。分類がズレると、適用すべきCTC(関税分類変更)・RVC等の判断軸が崩れます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 材料が第8類(例:0806干しぶどう)でも、最終製品が第20類(例:2008の調製品)になるとPSRが変わります。
    • 「冷凍(0811)」「暫定保存(0812)」「乾燥(0813/0806.20)」の取り違えが、そのままPSRミスに直結します。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • 協定・運用文書によって参照HS版が異なることがあります(例:運用上、HS2022へ“トランスポーズ(置換)”したPSRを別途用意する等)。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 日本税関サイトでは、PSR検索やHS版変換(相関表参照)への導線があります。
    • RCEPでは、HS2022に置換したPSRが採択され、一定時期から実施される旨が示されています(協定・運用文書で確認が必要)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定が参照するHS版」を確定 → 次にWCO相関表で旧↔新を対応付け → 最後に“実際の貨物の分類(GIR+注)”がどちらの版でも同じ商品を指すかを確認、という順が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 原料果実/ナッツがどの状態(生鮮/冷凍/乾燥/暫定保存)かでHSが変わるため、工程表とBOMの整合が重要です。
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 原産地証明で問われやすいのは、**工程説明(どこで何をしたか)**と、材料のHS・原産地の根拠です。社内で監査対応できる形で保存する運用を推奨します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割0802.90 → 0802.91/0802.92/0802.99松の実を「殻付き/むき身」で識別できるよう細分化HSマスタ更新、統計・PSR・契約書(HS記載)見直しが必要
HS2017→HS2022文言修正(実務上は明確化)第8類注(0812の適用条件の書きぶり)HS2022では0812の適用条件(暫定保存・即時食用不可)を注で明確化している(HS2017は0812見出し文に例示が中心)0812該当性の説明資料(用途・食用適否)の重要性が上がる

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)と判断の筋道:
    • **松の実(pine nuts)**について、HS2022↔HS2017相関表において「0802.90が0802.91/0802.92/0802.99に分割された」旨と、その理由(貿易量増加等)が記載されています。これに基づき、HS2022では松の実が6桁で識別されると判断しました。
    • 実際のHS2022第8類の見出し(0802.91/0802.92/0802.99)が条文上存在することを、WCO公表のHS2022第8類テキストで確認しています。
    • 0812については、HS2022の第8類注に適用条件が明示されている一方、HS2017の同章テキストでは注が1〜3で、0812の説明は見出し文として記載されています。これを「表現・配置の明確化」と整理しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れ(第8類で実務影響が出やすい例)
    | 変更サイクル | 旧コード → 新コード(例) | 変更の趣旨(要旨) | 実務メモ |
    |—|—|—|—|
    | HS2007→HS2012 | ex0810.90 → 0810.30(スグリ等)/0810.70(柿) | 0810.90の一部を細分化 | 旧マスタで「その他果実」に寄っているとズレやすい |
    | HS2007→HS2012 | 0808.20 → 0808.30(梨)/0808.40(マルメロ) | 梨とマルメロの識別 | 産品説明に“quince”が混在すると誤りが出やすい |
    | HS2012→HS2017 | ex0805.20 → 0805.21(マンダリン等)/0805.22(クレメンタイン)/0805.29 | みかん類の細分化 | 品種情報(ラベル・学名)を強化 |
    | HS2017→HS2022 | 0802.90 → 0802.91/0802.92/0802.99 | 松の実の殻付き/むき身を識別 | サプライヤーに“in shell / shelled”証明を依頼 |

※上表は第8類の“代表例”です。全品目の網羅対応は、WCO相関表(および日本税関の導線)で個別に確認する運用が安全です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ブライン漬けチェリーを生鮮申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):0812の要件(暫定保存・即時食用不可)を見落とし、0809で申告。
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“cherries”のみで、保存状態が書かれていない。
    • 典型的な影響:検査・書類補正、分類更正、通関遅延(一般論)。
    • 予防策:保存媒体・用途(加工原料)・即時食用不可を、仕様書やSDSで裏付け。
  • 事例名:ロースト塩味ナッツを0802申告
    • 誤りの内容:調製/保存品(第20類)相当の可能性を検討せず、第8類で固定。
    • 起きやすい状況:“nuts”の単語だけで分類、加工度情報が不足。
    • 典型的な影響:税番差による税率・統計・規制手続きの修正(一般論)。
    • 予防策:製造工程(roasted/salted/flavored)と配合表を必ず取得。
  • 事例名:乾燥果実の“軽微な処理”を理由に第20類へ誤分類
    • 誤りの内容:乾燥果実の許容処理(保存・外観目的の軽微処理)を越えていないのに第20類へ。
    • 起きやすい状況:少量の糖液・油の添加があると即「調製」と誤認。
    • 典型的な影響:税番更正、原産地規則の再計算(一般論)。
    • 予防策:添加量と“乾燥の性格保持”を説明できる資料整備。
  • 事例名:松の実を旧0802.90のまま申告
    • 誤りの内容:HS2022で細分化された松の実(0802.91/0802.92)を反映しない。
    • 起きやすい状況:社内マスタがHS2017のまま、取引先も旧コード表記。
    • 典型的な影響:統計誤り、PSR選定ミス、社内/顧客監査での指摘(一般論)。
    • 予防策:HS版管理(適用開始日)をマスタ項目化し、相関表で更新。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 植物検疫(植物防疫所):海外から植物(果実等)を日本へ持ち込む場合、輸出国政府発行の**植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)**の提示と輸入検査が必要になる旨が案内されています(対象範囲は品目で異なる)。
      • 食品衛生法(厚生労働省):販売・営業用の食品等を輸入する場合、輸入者に輸入届出義務があり、検疫所で審査・検査要否判断が行われます。
      • 実務上、税関手続では「検疫所で確認済の届出書(写し可)を税関へ提出する」流れが説明されています(手続は最新案内に従う)。
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 第8類の一般的果実・ナッツはCITES頻出ではありませんが、希少植物由来など例外があり得るため、原料の学名と規制該当性を個別確認してください(一般論)。
    • 安全保障貿易管理
      • 第8類は一般に該当しにくいですが、最終用途・輸出先・混載品によっては別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(Plant Quarantine Inspections)
    • 食品衛生:厚生労働省「食品等輸入手続」および検疫所窓口
  • 実務での準備物(一般論):
    • インボイス・パッキングリスト、製品仕様書(状態・加工度・添加物)、成分表、写真
    • 植物検疫証明書(必要な場合)
    • 食品等輸入届出(必要な場合)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 商品の状態:生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥/暫定保存(ブライン等)/皮(ピール)
    • 加工度:加糖、加熱、ロースト、味付け、缶詰、ジュース化の有無
    • ナッツは殻の有無(in shell / shelled)、果実は品種(特に柑橘/ベリー類)
    • 落花生(ground-nuts)か否か
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • chilled=生鮮扱いの確認
    • 乾燥の軽微処理が許容範囲か(乾燥の性格保持)
    • 0812の要件(暫定保存・即時食用不可)を満たすか
    • 第20類へ飛ぶ加工度がないか(2006/2008/2009等)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「状態(frozen/dried/brined等)」と「品種/殻の有無」を入れる
    • 仕様書・成分表・写真を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版を確認 → 相関表で対応付け
    • 材料HSと最終製品HSが一致しているか(第8類→第20類に変わっていないか)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫(必要な場合)証明書・輸入検査
    • 食品衛生法の輸入届出(必要な場合)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文)
    • HS2022 Chapter 8(Edible fruit and nuts…)参照日:2026-02-14
    • HS2022 Chapter 12(1202 Ground-nuts…)参照日:2026-02-14
    • HS2022 Chapter 20(2006/2008/2009等)参照日:2026-02-14
    • HS2022 Section II Note(“pellets”定義)参照日:2026-02-14
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • HS相関表(HS2022↔HS2017)参照日:2026-02-14
    • HS相関表(HS2017↔HS2012)参照日:2026-02-14
    • HS相関表(HS2012↔HS2007)参照日:2026-02-14
    • 品目別原産地規則(PSR)検索・HS版変換の導線(日本税関)参照日:2026-02-14
    • 事前教示回答(品目分類)(日本税関)参照日:2026-02-14
  • 日本の検疫・衛生(SPS等)
    • 植物防疫所:Plant Quarantine Inspections(輸入時の植物検疫証明書・検査等)参照日:2026-02-14
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法に基づく輸入届出)参照日:2026-02-14
    • 税関(例:東京税関)案内:食品衛生法手続の流れ(検疫所届出→税関確認)参照日:2026-02-14

※Web参照は「参照日(YYYY-MM-DD)」も併記

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

コメントを残す