用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 生鮮・冷蔵のじゃがいも(種いも含む)・トマト・玉ねぎ等(0701〜0709)
- 冷凍野菜(未調製、または「水煮/蒸煮」まで)例:冷凍ブロッコリー、冷凍枝豆(0710)
- ブライン等で「仮保存」され、そのまま食べられない野菜(0711)
- 乾燥野菜(未調製)例:乾燥玉ねぎ、乾燥きのこ(0712)
- 乾燥豆類(殻を除いたもの)例:乾燥ひよこ豆、乾燥レンズ豆(0713)
- でん粉・イヌリンの多い根・塊茎(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥、ペレット含む)例:さつまいも、キャッサバ、ヤム、タロ(0714)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先も併記):
- 飼料用(フォレージ)作物 → 第12類 1214(類注1で除外)
- 乾燥した唐辛子(Capsicum/Pimenta)や粉砕・粉末の同果実 → 第9類 0904(類注4で除外)
- 乾燥豆類でも「粉・ミール・粉末」 → 第11類 1106(類注3(d))
- じゃがいものフレーク/粉/顆粒/ペレット等 → 第11類 1105(類注3(c))
- 酢漬け・缶詰・調理済み等の「調製・保存野菜」 → 多くは第20類(例:2001/2004等)に寄りやすい(第7類は“未調製”が基本)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 状態・加工度:生鮮/冷蔵(0701〜0709)か、冷凍(0710)か、仮保存(0711)か、乾燥(0712/0713)か、でん粉質根菜(0714)か。
- 「乾燥」でも行き先が割れる:乾燥野菜(0712)なのか、乾燥豆類(0713)なのか、粉類(1105/1106等)なのか。
- 仮保存(0711)と調製・保存(第20類)の境界:その状態で直ちに食べられるか、輸送・保管のための処理に留まるか。
- この類で特に誤分類が高コストになりやすい場面:
- FTA/EPAでPSR(品目別規則)を使うとき:HS6桁の取り違いが、原産性判断そのものを崩します(後述)。

1. 区分の考え方
1-1. 分類の基本ルール
- この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)
- GIR1:見出しの文言と、部注・類注(Notes)で決めます。第7類は、類注で「野菜(vegetables)の範囲」や「乾燥品の除外先」が具体的に指定されるため、まず注を読むのが最短です。
- GIR6:6桁(号)の決定は、同レベルの号同士を比較し、必要に応じて部注・類注も使います。第7類は同じ4桁でも“状態”で別項に分かれているため、6桁決定前に「冷凍・乾燥・仮保存」等を確定させるのがコツです。
- GIR2(b)/GIR3(b):混合品・ミックス(例:冷凍ミックスベジ、乾燥野菜ミックス)は、専用の号(0710.90、0712.90、0711.90等)に行きやすい一方、ソース等が付くと第20類等へ飛ぶことがあります。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 加工度:切断・乾燥・冷凍・ブライン仮保存・加熱(蒸煮/水煮)・味付け・油漬け・酢漬け等
- “その状態で食べられるか”:0711の決定要素(仮保存)に直結します。
- 形状(粉・フレーク・ペレット):粉・フレーク等は第11類へ除外される場合があります。
参考:加工状態と行き先の目安(実務用)
| 商品状態/加工度 | よく行く項(4桁) | 典型例 | 境界で見るポイント |
|---|---|---|---|
| 生鮮/冷蔵 | 0701〜0709、0714 | 生の玉ねぎ、トマト、生しいたけ、さつまいも | 味付け・調理なしが基本 |
| 冷凍(未調製、または蒸煮/水煮まで) | 0710 | 冷凍ブロッコリー、冷凍枝豆、冷凍スイートコーン | 油調・味付け・ソース付きは第20類等に寄りやすい |
| 仮保存(そのまま食用不可) | 0711 | ブライン漬けオリーブ(脱塩前) | “輸送・保管のため”かつ“直ちに消費不可” |
| 乾燥(未調製) | 0712/0713/0714 | 乾燥玉ねぎ、乾燥しいたけ、乾燥ひよこ豆 | 粉類は第11類へ飛ぶ場合(類注3) |
| 調製・保存(酢漬け/缶詰/調理冷凍等) | 多くは第20類等 | ピクルス、トマトソース、フレンチフライ | “食品としての完成度”と添加物・調味が鍵 |
1-2. 判定フロー
- Step1:対象が「食用の野菜」または「でん粉/イヌリンの多い根・塊茎」かを確認
- 飼料用(フォレージ)なら第12類1214へ(類注1)。
- Step2:状態・加工度を確定
- 生鮮/冷蔵 → 0701〜0709(または0714)
- 冷凍(未調製または蒸煮/水煮まで)→ 0710(または0714)
- 仮保存(ブライン、亜硫酸ガス等)で当該状態で食用不可 → 0711
- 乾燥(未調製)→ 0712/0713/0714(ただし粉・フレーク等は第11類へ)
- Step3:どの野菜グループかを確認して4桁(項)へ
- じゃがいも(0701)、トマト(0702)、ねぎ類(0703)、アブラナ科(0704)、レタス/チコリ(0705)、根菜(0706)、きゅうり(0707)、生鮮豆類(0708)、その他(0709)…
- よく迷う境界(例):
- 0711(仮保存) vs 第20類(酢漬け・調製保存)
- 0712(乾燥野菜) vs 0713(乾燥豆類) vs 第11類(粉・フレーク等)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 0701 | じゃがいも(生鮮/冷蔵) | 生食用じゃがいも、種いも | 種いもは0701.10/冷凍は0710.10/乾燥でも粉・フレーク等は1105へ(類注3(c)) |
| 0702 | トマト(生鮮/冷蔵) | 生鮮トマト | 冷凍は0710/調製保存(ソース等)は第20類へ寄りやすい |
| 0703 | たまねぎ・にんにく・ねぎ類(生鮮/冷蔵) | 玉ねぎ、にんにく、長ねぎ | 0703.10(玉ねぎ等)/0703.20(にんにく)等に分岐 |
| 0704 | キャベツ類・カリフラワー・ブロッコリー等(生鮮/冷蔵) | キャベツ、ブロッコリー | 0704.10(カリフラワー/ブロッコリー)等。HS2022で0704.10の範囲が拡大(後述) |
| 0705 | レタス・チコリ(生鮮/冷蔵) | 玉レタス、チコリ | レタス/チコリで号が分かれる |
| 0706 | にんじん・かぶ・ラディッシュ等の根菜(生鮮/冷蔵) | にんじん、大根、ビーツ | でん粉質根菜(さつまいも等)は0714側が本線 |
| 0707 | きゅうり・ガーキン(生鮮/冷蔵) | きゅうり、ピクルス原料のガーキン | 仮保存は0711.40の可能性 |
| 0708 | 豆類(生鮮/冷蔵、さや付き/むき) | えんどう、いんげん、枝豆(生鮮) | 乾燥は0713へ。冷凍は0710.21/22等へ |
| 0709 | その他の野菜(生鮮/冷蔵) | アスパラ、なす、ピーマン、生しいたけ、生トリュフ、オリーブ(生) | 類注2で「野菜」の範囲が拡張(オリーブ等もここに入り得る) |
| 0710 | 冷凍野菜(未調製、または蒸煮/水煮) | 冷凍ブロッコリー、冷凍スイートコーン、冷凍ミックス | 味付け・油調・ソース付きは第20類等へ飛びやすい |
| 0711 | 野菜の仮保存(当該状態で食用不可) | ブライン漬けオリーブ、ブライン漬けきゅうり | 類注5の定義(輸送・保管のため、かつ直ちに食べられない)が核心 |
| 0712 | 乾燥野菜(未調製) | 乾燥玉ねぎ、乾燥きのこ、乾燥野菜ミックス | 類注3で除外先あり:乾燥豆類→0713、じゃがいも粉等→1105、乾燥豆粉→1106等 |
| 0713 | 乾燥豆類(殻を除いたもの) | 乾燥ひよこ豆、乾燥レンズ豆、乾燥小豆 | 大豆は通常第12類1201側が本線になりやすいので要注意(個別確認) |
| 0714 | でん粉/イヌリンの多い根・塊茎等 | キャッサバ、さつまいも、ヤム、タロ、サゴ髄 | ペレット形状は部注の“pellets”定義も確認(結着材≤3%等) |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐
- 分岐条件の整理
- 品目そのものの違い:例)0703.10(玉ねぎ等)/0703.20(にんにく)
- 用途や取引上の区分:0701.10(種いも)/0701.90(その他)
- 状態:生鮮(070x)⇔冷凍(0710)⇔仮保存(0711)⇔乾燥(0712/0713)
- 形状(粉・フレーク・ペレット):じゃがいも粉等→1105、乾燥豆粉→1106など(類注3)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(例)
- 0711(仮保存) vs 第20類(調製・保存)
- どこで分かれるか:当該状態で直ちに食べられるか/輸送・保管目的の処理に留まるか
- 判断に必要な情報:保存方法(ブライン濃度、亜硫酸処理等)、食用可否、用途(後工程の脱塩・加工の有無)
- 典型的な誤り:ブライン漬け=「ピクルス」と決め打ちして第20類へ(実態が仮保存なら0711)
- 0712(乾燥野菜) vs 0713(乾燥豆類)
- どこで分かれるか:乾燥品が「豆類(殻を除いたもの)」かどうか(0713)、それ以外の乾燥野菜か(0712)
- 判断に必要な情報:品目(豆種)、殻の有無、割り・皮むきの有無
- 典型的な誤り:乾燥えんどうを0712側で申告(類注3(a)で0713)
- 0712(乾燥) vs 第11類(粉・フレーク等)
- どこで分かれるか:乾燥品が「粉・ミール・粉末・フレーク・顆粒・ペレット」等に該当するか(じゃがいも→1105、乾燥豆→1106等)
- 判断に必要な情報:粒度、形状(粉/フレーク/顆粒/ペレット)、原料(じゃがいもか豆類か)
- 典型的な誤り:マッシュポテト用フレークを0712扱い(実際は1105)
- 0709.60(生鮮の唐辛子等) vs 0904(乾燥唐辛子等)
- どこで分かれるか:乾燥しているか(乾燥なら類注4で第9類へ)
- 判断に必要な情報:水分、乾燥工程の有無、粉砕の有無
- 典型的な誤り:乾燥唐辛子を「乾燥野菜」として0712へ(類注4で除外)
- きのこ・トリュフの細分(HS2022の重要変更)
- どこで分かれるか:生鮮(0709)か乾燥(0712)かの上で、種・属で号が分かれる(例:しいたけ、松茸、トリュフ等が独立)
- 判断に必要な情報:学名・属(Agaricus/Boletus等)、商品仕様書、ラベル表示
- 典型的な誤り:従来の「その他」コードのまま運用して統計・PSRで齟齬が出る
- 0711(仮保存) vs 第20類(調製・保存)
3. 部注と類注の詳細解釈
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第2部(野菜製品)では「ペレット(pellets)」の定義があり、圧縮で固めたものまたは結着材(binder)を重量3%以下で加えたものを指す、とされています。
- 実務での意味(具体例つき):
- 0714は「…ペレットの形状であるか否かを問わない」とされているため、キャッサバ等をペレット化していても、結着材が3%を超えると「ペレットの定義」から外れる可能性があり、他類(食品調製品側等)に寄る論点が出ます。まずは結着材比率と製法を確認します。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 「ペレットに見える」=必ずしも部注上のpelletsではない(結着材比率の確認が必要)。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 類注1:飼料用(フォレージ)作物は第12類1214へ。
- 類注2:0709〜0712の「vegetables」には、オリーブ、ケーパー、かぼちゃ類、スイートコーン、唐辛子等(生鮮)や、食用きのこ・トリュフ等も含む(= これらが“野菜”として扱われ得る)。
- 類注3:0712(乾燥野菜)に入るもの/入らないものを明確化。乾燥豆類(0713)や、甘味トウモロコシの一定形態(第11類)、じゃがいも粉等(1105)、乾燥豆粉(1106)などは除外。
- 類注4:乾燥した唐辛子等(Capsicum/Pimenta)や粉砕・粉末は第9類0904へ。
- 類注5:0711(仮保存)は「輸送・保管のための処理に限る」かつ「その状態で直ちに消費できない」ことが条件。
- 用語定義(定義がある場合):
- 「仮保存」の定義(類注5)と、「pellets」の定義(部注)が実務上のキーポイントです。
- 除外規定(除外先も明記):
- 飼料用(1214)、乾燥唐辛子等(0904)、じゃがいも粉等(1105)、乾燥豆粉(1106)など。
4. 類注が分類に与える影響
- 影響ポイント1:類注2による「野菜」概念の拡張
- 何を見れば判断できるか:品目の同定(オリーブ、かぼちゃ類、きのこ等)と、対象見出し(0709〜0712)
- 現場で集める証憑:商品カタログ、学名/品種情報、写真、ラベル表示
- 誤分類の典型:「オリーブ=果実だから第8類」と決め打ち(第7類0709で扱われ得る点を見落とす)
- 影響ポイント2:類注3による「乾燥=0712」思い込みの崩れ
- 何を見れば判断できるか:乾燥品が豆類(0713)か、粉・フレーク等(第11類)か
- 現場で集める証憑:粒度/形状仕様(粉、フレーク、顆粒、ペレット)、製造工程図、原料情報
- 誤分類の典型:マッシュポテト用フレークを0712扱い(類注3(c)で1105)
- 影響ポイント3:類注5による0711(仮保存)の条件
- 何を見れば判断できるか:保存目的(輸送・保管か)、当該状態での食用可否
- 現場で集める証憑:製造仕様(ブライン濃度、亜硫酸処理等)、用途説明(後工程の脱塩・加工)、サンプル写真
- 誤分類の典型:ブライン漬けを全て「調製・保存(第20類)」扱い(実態が仮保存なら0711)
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:種いも(じゃがいも)を“植物の種・球根”扱いで第6類に寄せる
- なぜ起きる:用途が「植付用」なので“苗・球根”と連想しやすい
- 正しい考え方:第7類0701に「Seed(種)」が明示されています(0701.10)。
- 予防策:品目名に「seed potato」等が入っても、まず0701を起点に確認。仕様書で「生鮮/冷蔵」「種いも」区分を確認。
- 間違い:乾燥唐辛子を0712(乾燥野菜)で申告
- なぜ起きる:「乾燥した野菜」と見える
- 正しい考え方:類注4で、乾燥したCapsicum/Pimenta果実は第9類0904へ除外されています。
- 予防策:乾燥唐辛子・パプリカ・チリ等は「第7類に残るか」を類注4で必ず確認。水分・乾燥工程情報も揃える。
- 間違い:ブライン漬けオリーブを“ピクルス”扱いで第20類に決め打ち
- なぜ起きる:外観が加工食品で、食卓用途を想像しやすい
- 正しい考え方:0711は「輸送・保管のための仮保存」かつ「当該状態で直ちに消費不可」の場合に適用(類注5)。
- 予防策:ブライン濃度、脱塩の有無、食用可否、用途(原料か即食か)を必ず確認。
- 間違い:乾燥えんどう豆を0712(乾燥野菜)に入れる
- なぜ起きる:豆も広義の“野菜”に見える
- 正しい考え方:類注3(a)で、乾燥豆類(殻を除いたもの)は0713へ(0712から除外)。
- 予防策:乾燥品は「豆類か否か」「殻の有無」をチェックし、0713表のどれに当たるかまで落とし込む。
- 間違い:ひよこ豆粉・レンズ豆粉を0713(乾燥豆)として扱う
- なぜ起きる:原料が豆なので0713と短絡
- 正しい考え方:類注3(d)で、乾燥豆類の粉等は第11類1106へ。
- 予防策:粉体は粒度・製法(製粉)を確認し、「粉=第11類の可能性」を最初から疑う。
- 間違い:マッシュポテトフレーク(乾燥)を0712扱い
- なぜ起きる:「乾燥じゃがいも=乾燥野菜」発想
- 正しい考え方:類注3(c)で、じゃがいもの粉・フレーク等は1105へ。
- 予防策:形状がフレーク/顆粒/ペレットの場合は、1105(じゃがいも)・1106(豆)などを必ず当てる。
- 間違い:冷凍野菜の味付け品を0710に入れる
- なぜ起きる:「冷凍野菜」と呼ばれるため
- 正しい考え方:0710は“未調製”または蒸煮/水煮まで。味付け・油調・ソース付き等で調製度が上がると第20類等に寄りやすい(境界確認が必要)。
- 予防策:原材料表示(油・調味料・添加物)、加熱工程(揚げ/焼き)を確認。
- 間違い:きのこ類を旧来の「その他」号で固定運用
- なぜ起きる:過去の実績コードを踏襲しがち
- 正しい考え方:HS2022で生鮮きのこ(0709)と乾燥きのこ(0712)が細分化されています(後述)。
- 予防策:学名・品種情報を取引書類に残し、HS2022対応の号へ更新する。
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS6桁がズレると、適用すべきPSR条文・要件(CTC/RVC/工程要件等)が変わり、原産性判断が崩れます。
- よくある落とし穴
- 原材料のHSと最終製品HSを混同(例:乾燥豆「粒」0713と、豆粉1106)
- HS2022で細分化された品目(きのこ等)を旧HSのコード感覚で扱う
6-2. 協定が参照するHS版の違い
- 経済連携協定等によって、採用しているHSバージョン(HS2002/2007/2012/2017等)が異なります。検索やPSR参照時は「協定が採用するHS版」で確認する必要があります。
- 例:日EU・EPAでは、説明資料で「関税分類番号(6桁、HS2017年版)」として整理されています(実務では“協定が参照するHS版”の確認が前提)。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- 輸入申告は原則「最新のHS」を使う一方、PSRは協定参照HSで読む必要があるため、必要に応じて相関表(correlation table)で突合します。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 必要データ(一般論)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算前提
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 請求書、製造記録、原材料証明、輸送書類、工程資料などを協定・社内規程に沿って保存
- 迷ったときの社内質問例
- 「この商品は当該状態で食べられますか?(0711判定)」
- 「粉・フレーク・顆粒・ペレットのどれですか?粒度規格は?(1105/1106判定)」
- 「学名(属)は何ですか?(きのこ号の特定)」
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い
7-1. 変更点サマリー
| 比較 | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 範囲変更 | 0704.10 | 0704.10の範囲を拡大し、ブロッコリーを同号にまとめる趣旨 | ブロッコリー関連の統計・社内マスター・PSR参照コードの更新が必要 |
| HS2017→HS2022 | 分割 | 0709.59 | 0709.59(その他のきのこ等)を細分化し、Boletus、Cantharellus、しいたけ、松茸、トリュフ等を独立号化 | きのこ・トリュフのHS6が変わる可能性。過去実績コードの踏襲は要注意 |
| HS2017→HS2022 | 分割 | 0712.39 | 0712.39(その他の乾燥きのこ等)を細分化し、しいたけ(0712.34)を独立号化 | 乾燥しいたけのコード変更により、関税率・PSR・統計の再確認が必要 |
| HS2017→HS2022 | 文言修正/定義明確化 | 類注5(0711関連) | 0711の「仮保存」の概念を注で明確化(輸送・保管のための処理に限り、直ちに消費できないもの) | 0711と第20類の境界で誤分類を減らす一方、要件確認(食用可否等)が必須 |
7-2. 「違うことになった根拠」
- 0704.10(カリフラワー・ブロッコリー)の範囲変更は、HS2022-HS2017相関表(WCO相関表を税関が掲載)で「0704.10の範囲拡大」趣旨として示されています。また、HS2017の見出しが“headed broccoli”であるのに対し、HS2022では“broccoli”と記載されている点も整合します。
- 0709(きのこ・トリュフ)および0712(乾燥きのこ等)の細分化は、同相関表で「取引量増加によりトリュフ・特定きのこを個別識別するため」として示されています。HS2017の0709.59/0712.39が、HS2022で複数号に分割されていることから、コード更新が必要と判断できます。
- 類注5(0711の仮保存定義)は、HS2017の類注には見当たらず、HS2022の類注として追加されているため、運用上の“定義明確化”が入ったと整理できます。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
主要な追加・削除・再編(第7類に関係するものを中心に、可能な範囲で整理):
| 改正期 | 変更タイプ | 旧コード → 新コード(例) | 変更の要旨 | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 分割/新設 | 0709.90 → 0709.91/0709.92/0709.93/0709.99 | 0709.90を、アーティチョーク・オリーブ・かぼちゃ類等に細分化 | WCO相関表(税関掲載) |
| HS2007→HS2012 | 新設 | ex0713.39 → 0713.34/0713.35(+0713.39) | バンバラ豆・ササゲ等を独立識別 | 同上 |
| HS2007→HS2012 | 新設 | ex0713.90 → 0713.60 | キマメ(pigeon peas)を独立識別 | 同上 |
| HS2007→HS2012 | 分割/新設 | ex0714.90 → 0714.30/0714.40/0714.50 | ヤム・タロ・ヤウティアを独立識別 | 同上 |
| HS2012→HS2017 | 変更なし(確認できた範囲) | — | 相関表上、第7類で大きな変更は見当たらない(少なくともTable Iに掲載なし) | HS2017-HS2012相関表(税関掲載) |
| HS2017→HS2022 | 範囲変更 | 0704.10 | ブロッコリー関連の号の範囲調整 | HS2022-HS2017相関表 |
| HS2017→HS2022 | 分割 | 0709.59 → 0709.52〜0709.56/0709.59 | きのこ・トリュフの細分化 | 同上 |
| HS2017→HS2022 | 分割 | 0712.39 → 0712.34/0712.39 | 乾燥しいたけ等の細分化 | 同上 |
※「HS2012→HS2017:変更なし」は、相関表(変更箇所を列挙する資料)に第7類の改正が掲載されていない、という意味での整理です。運用上は、各協定の参照HS版・国内コード(8桁/9桁)改正等も別途確認してください。
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名:乾燥唐辛子を乾燥野菜で申告
- 誤りの内容:類注4に抵触(乾燥Capsicum/Pimentaは第9類0904へ除外)
- 起きやすい状況:品名が「dried chili」「paprika」で、野菜扱いに引っ張られる
- 典型的な影響:税番訂正、関税率・規制・原産地判断のやり直し、検査強化・遅延(一般論)
- 予防策:水分・乾燥工程の有無、粉砕の有無を確認し、類注4を必ずチェック
- 事例名:ブライン漬けオリーブをピクルス扱い
- 誤りの内容:類注5の要件確認不足(仮保存で当該状態で食用不可なら0711)
- 起きやすい状況:「brined=pickled」と短絡、用途(原料/即食)の確認不足
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査・遅延(一般論)
- 予防策:ブライン条件、脱塩工程、食用可否の記載を仕様書・契約で明確化
- 事例名:乾燥えんどう豆を0712で申告
- 誤りの内容:類注3(a)に抵触(乾燥豆類は0713)
- 起きやすい状況:「乾燥=0712」の社内ルール化
- 典型的な影響:税番訂正、原産地PSRの再選定、遅延(一般論)
- 予防策:乾燥品は「豆類か否か」を最初に確認するチェック項目を入れる
- 事例名:マッシュポテトフレークを0712で申告
- 誤りの内容:類注3(c)に抵触(じゃがいもフレーク等は1105)
- 起きやすい状況:食品加工品の形状情報(フレーク/顆粒)が通関資料に反映されない
- 典型的な影響:分類差替え、追加納税、検査・遅延(一般論)
- 予防策:粒度・形状(粉/フレーク/顆粒/ペレット)をインボイス品名に入れる
- 事例名:飼料用フォレージを第7類で申告
- 誤りの内容:類注1に抵触(フォレージは1214)
- 起きやすい状況:植物名だけで“野菜”と誤認
- 典型的な影響:分類訂正、許認可・検疫の手戻り、遅延(一般論)
- 予防策:用途(食用/飼料用)を契約・仕様で明確にし、類注1を確認
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- 植物検疫(植物防疫所):生鮮野菜等は植物検疫の対象になり得て、輸入時に植物防疫所で検査が行われます。
- 旅行者・小口でも植物類の持込みはルールがあり、違反時の罰則等にも触れられています(貨物は取引形態に応じた正式手続が必要)。
- 食品衛生法(厚生労働省):販売・営業用に食品等を輸入する場合、原則として輸入者に輸入届出義務があります(法第27条)。検疫所で届出・審査/検査が行われ、届出なしに販売等はできません。
- CITES等の種規制
- 第7類の一般的な野菜はCITESの典型対象ではありませんが、取引品目が野生採取・希少種に関わる場合は個別確認が必要です(一般論)。
- 安全保障貿易管理
- 通常の食用野菜は該当しにくいですが、用途・相手先等による確認は別途必要です(一般論)。
- 検疫・衛生(SPS等)
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
- 植物防疫所(輸入検疫/輸出検疫)
- 厚生労働省(輸入食品監視、輸入届出)
- 税関(通関手続、食品衛生法の届出確認の流れ等)
- 実務での準備物(一般論)
- 植物検疫:品目情報、原産地、(必要な場合)輸出国の証明書、梱包状態、検査対応
- 食品衛生:原材料・製造方法・添加物情報、衛生証明や検査成績、ラベル案、輸入届出関連書類
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 生鮮/冷凍/乾燥/仮保存の別、加熱方法(蒸煮/水煮/油調等)、味付け・添加物の有無
- 形状(粉・フレーク・顆粒・ペレット)、結着材の有無と比率(ペレット定義)
- きのこ類は学名・属(Agaricus/Boletus等)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 類注1(飼料用1214)、類注3(0712の除外先)、類注4(乾燥唐辛子0904)、類注5(0711)
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- 「frozen」「dried」「in brine」等の状態を品名に明記
- 粉/フレーク等の形状も明記(1105/1106に効く)
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が参照するHS版を確認(PSR検索画面の注意書きに留意)
- 相関表でHS版差を吸収(必要に応じて)
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 植物検疫の要否(品目・原産地・形態で変動)
- 食品衛生法の輸入届出(販売・営業用の食品等)
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS条文・注)
- HS2022 Chapter 7(見出し・類注)
- HS2022 Section II Note(pellets定義)
- HS2022 GIR(General Rules for the Interpretation)
- HS2017 Chapter 7(改正比較用)
- HS2007 Chapter 7(改正比較用)
- 相関表(旧版→新版)
- HS2022-HS2017 相関表(税関掲載、WCO相関表)
- HS2012-HS2007 相関表(税関掲載、WCO相関表)
- HS2017-HS2012 相関表(税関掲載)
- 日本:税関・公的機関
- 税関:品目別原産地規則(PSR)検索の注意(HS版)
- 税関:日EU・EPA原産地規則(説明資料)
- 植物防疫所:植物検疫(輸入検疫の概要)
- 厚生労働省:食品衛生法に基づく輸入手続(輸入届出)
- 税関:事前教示(品目分類)制度
※参照日:2026-02-13
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
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