メキシコの関税引き上げで影響を受ける自動車部品の詳細なHSコードと関税率

自動車部品の関税引き上げ概要

自動車部品は主にHS第8708類、第8409類、第8511類、第8512類に分類され、関税率は品目により7パーセントから36パーセントの範囲で引き上げられています。特徴的なのは、一律の税率ではなく、部品の種類や機能により異なる税率が設定されている点です。global-scm+1

主要自動車部品のHSコードと関税率

HS 8708類(自動車部品および付属品)

HS 8708類は自動車部品の中核となる分類で、以下の具体的な品目が対象となっています。global-scm+1

HSコード品目新関税率備考
8708.10.03バンパーおよびその部分品の一部25%バンパー関連部品
8708.29.06車体関連部品の一部36%最高税率の一つ
8708.29.99車体のその他部分品および付属品7%~35%自動車内装用部品を含む
8708.40.08ギアボックス用途の鍛造品の一部35%トランスミッション関連

HS 8708類全体としては、主要自動車部品はおおむね25パーセントの関税率となっていますが、一部7パーセントや35パーセントの品目も存在します。これは部品表、いわゆるBOM単位で「どこが上がるか」を切り分ける必要があることを意味します。global-scm+1

HS 8409類(エンジン部品)

エンジンおよびその部分品のHS 8409類も関税引き上げの対象となっています。具体的な税率は品目により7パーセントから36パーセントの範囲です。nikkei+1

HS 8511類(電気点火・始動装置)

自動車用の電気点火装置、始動装置およびその部分品が含まれます。これらも7パーセントから36パーセントの範囲で関税が引き上げられています。global-scm+1

HS 8512類(照明・信号装置)

自動車用の照明装置、信号装置およびその部分品が対象です。同様に7パーセントから36パーセントの税率が適用されます。nikkei+1

PROSEC対象外の自動車部品38品目

重要な注意点として、今回MFN、つまり一般最恵国待遇関税率が引き上げられた自動車部品のうち、38品目についてはPROSEC、すなわち産業分野別生産促進プログラムの優遇税率が設定されていません。[global-scm]​

これらの品目は従来MFN関税率が0パーセントだったため、そもそもPROSECの対象として登録されていませんでした。今回の改正により、これらの品目をタイや中国、インドネシア、インドなどメキシコのFTA非締結国から輸入する場合、レグラ・オクターバ、つまり特別無関税輸入許可を申請して許可を得ない限り、7パーセントから35パーセントのMFN関税率負担が生じます。[global-scm]​

具体的な38品目のリストはジェトロのビジネス短信の添付資料表1に掲載されています。[global-scm]​

FTA締結国からの輸入における優位性

日本原産品の扱い

日本はメキシコとの間で日墨EPA、すなわち日本メキシコ経済連携協定、およびCPTPP、すなわち環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定を締結しています。これらの協定を活用した輸入には関税引き上げの影響が出ません。jetro+1

重要なのは「FTA締結国だから大丈夫」ではなく、「原産地規則を満たし、証憑が揃い、申告が回っているから大丈夫」という点です。FTA相手国からの出荷であっても、商品が原産として認められない場合、つまり第三国原産のまま、工程不足、証憑不備などの場合は、FTA特恵が使えずMFN、つまり引上げ後のコストになります。mof+1

非FTA締結国からの影響

メキシコとFTAを締結していない主要国からの自動車部品輸入は大きな影響を受けます。日系自動車部品メーカーのメキシコにおける製造拠点数は534カ所あり、日本から以外にもタイ、中国、ベトナム、インドネシアなどから部材を輸入し、メキシコにおける製品製造に用いています。[global-scm]​

ベトナムからの輸入についてはCPTPPを活用して無・低関税で輸入することが可能ですが、こうした自由貿易協定をメキシコと締結していない国、つまりタイ、中国、インドネシア、インドからの輸入は今回の引き上げの影響を受けます。[global-scm]​

アフターマーケット用部品の特別な注意点

PROSECやレグラ・オクターバは製品製造に用いる部材や機械設備の輸入にのみ適用できるため、アフターマーケット用の補修部品には適用できません。crdb+1

補修部品を複数国で製造しており、その中に日本などFTA締結国が含まれている場合、FTA締結国からの調達に切り替えた方が無難です。アフター用の部品については、日本などFTA締結国からの輸入に切り替えるなどの対応が求められます。nikkei+1

実務上の対応手順

第一段階:該当品目の棚卸し

メキシコ向けの輸出品目を完成車、主要部品、材料、設備に分け、各品目についてメキシコの関税分類8桁で通関しているコードを回収します。官報の改定対象に入っているかを照合し、8703、8704、8708は優先的に確認します。[global-scm]​

重要なのは、社内のHSコードではなく、メキシコ側で実際に申告しているコードに合わせることです。現場では「日本側の品目コード」と「メキシコ側の申告コード」がズレているケースが珍しくありません。[global-scm]​

第二段階:原産地の棚卸し

現行取引が協定税率で入っているか、一般税率で入っているかをメキシコ側に確認します。協定を使っているなら、原産地証憑の型式、保管場所、更新頻度、例外品目の扱いを点検します。協定を使っていないなら、使えない理由を分類します。原産性不足、証明が間に合わない、体制がないなどの理由を特定します。[global-scm]​

第三段階:コスト影響の試算

対象品目について、関税率、課税価格、つまりCIFベース、輸入頻度を並べ、関税増分を部品単価、車両1台当たり原価、年間影響額に落とします。完成車は50パーセントが見える一方、部品は25パーセント以外も存在するため、品目別に計算しないと誤差が大きくなります。[global-scm]​

第四段階:調達先の見直し

HS 8708の中でも税率は一様ではないため、自社のBOM、つまり部品表のどこが改定対象かを特定し、代替可能な部材から順に入れ替えると費用対効果が出やすいです。今回の改定は「非FTAルートのコスト上昇」を意味するため、調達国の選定や、メキシコ域内生産、FTA圏内調達への切替が定石になります。[global-scm]​

関税率の特徴と戦略的対応

自動車部品の関税率は一律ではなく、7パーセント、25パーセント、35パーセント、36パーセントなど複数のレンジが混在しています。どこに該当するかで採算は別物になるため、HS分類の確定が最優先です。global-scm+1

部品や部材は、メキシコ側の生産、つまり調達に乗るかどうかで価格転嫁の構造が変わります。特に8708は税率が一律ではなく、部品表単位で「どこが上がるか」を切り分ける必要があります。[global-scm]​

今回のメキシコ関税改定は、完成車と部品の収益構造を短期間で変え得るイベントです。メキシコ側の申告HSコードで改定対象を特定し、FTA適用の可否を証憑と申告運用まで含めて点検し、増分関税を品目別に試算し、価格と契約に落とすことが求められます。[global-scm]​

免責事項

:本情報は2026年2月時点の公表情報に基づくものであり、個別案件の通関判断を目的とするものではありません。実際の適用は品目の詳細分類、原産地証明の有無、申告実務により異なるため、個別案件は現地通関業者および専門家にご確認ください。

メキシコの一般関税率引き上げで影響を受ける主要品目

改正の全体像

2026年1月1日から施行された輸出入関税法改正では、合計1,463品目(HSコード8桁ベース)が対象となり、関税率は5パーセントから最大50パーセントの範囲で引き上げられています。対象は20以上のHS類にまたがり、多岐にわたる産業分野に影響を及ぼします。mof+3

業界別主要HSコード一覧

自動車産業(最大50パーセント)

完成乗用車

関税率50パーセントが適用される完成乗用車のHSコードは以下の通りです。nikkei+1

  • HS 8703.22.99(ピストン式内燃機関乗用車、排気量1,000cc超1,500cc以下)
  • HS 8703.23.99(ピストン式内燃機関乗用車、排気量1,500cc超3,000cc以下)
  • HS 8703.24.99(ピストン式内燃機関乗用車、排気量3,000cc超)
  • HS 8703.32.99(ディーゼル乗用車、排気量1,500cc超2,500cc以下)
  • HS 8703.33.99(ディーゼル乗用車、排気量2,500cc超)
  • HS 8703.40.99(ハイブリッド車)
  • HS 8703.60.99(電気自動車)
  • HS 8703.80.01(その他の自動車)

トラック・商用車

トラックおよび商用車も50パーセントの関税が課されます。[nikkei]​

  • HS 8704.21.99(ディーゼルトラック、総重量5トン以下)
  • HS 8704.31.99(ガソリントラック、総重量5トン以下)
  • HS 8704.41.99(ディーゼルトラック、総重量5トン超20トン以下)
  • HS 8704.51.99(ガソリントラック、総重量5トン超)
  • HS 8704.60.02(電気トラック)

自動車部品

自動車部品は7パーセントから36パーセントの範囲で引き上げられています。mof+1

  • HS 8708.x(自動車部品・付属品全般)
  • HS 8409.x(エンジン部品)
  • HS 8511.x(電気点火装置、始動装置)
  • HS 8512.x(照明装置、信号装置)

繊維・アパレル産業(最大35パーセント)

繊維製品は最大35パーセント、繊維材料は10パーセントから15パーセントへ引き上げられました。global-scm+1

  • HS第50類~第63類(繊維製品全般)
  • 繊維製品の関税率:20パーセントから35パーセントへ
  • 繊維材料の関税率:10パーセントから15パーセントへ

鉄鋼・金属産業(最大25パーセント)

鉄鋼製品は合計201品目が対象となり、多くが25パーセントまで引き上げられました。jetro+1

  • HS第72類(鉄鋼)
  • HS第73類(鉄鋼製品)
  • HS第76類(アルミニウムおよびその製品)

関税率は品目により5パーセントから25パーセントの範囲です。[mof.go]​

プラスチック産業

  • HS第39類(プラスチックおよびその製品)

具体的な税率は品目により異なりますが、多くが5パーセントから20パーセントの範囲で引き上げられています。jetro+1

履物産業

  • HS第64類(履物、ゲートルその他これらに類する物品およびこれらの部分品)

繊維・履物分野は、従来の暫定措置が今回恒久化された分野です。[mof.go]​

家具・家庭用品

  • HS第94類(家具、寝具、マットレス、照明器具など)
  • HS第70類(ガラスおよびガラス製品)

玩具・スポーツ用品

  • HS第95類(玩具、遊戯用具、運動用具およびその部分品・付属品)

家電・電子機器

  • HS第84類(原子炉、ボイラー、機械類および機器)の一部
  • HS第85類(電気機器およびその部分品)の一部

紙・板紙産業

  • HS第48類(紙および板紙、製紙用パルプ、紙または板紙の製品)

皮革製品

  • HS第41類~第43類(皮革および毛皮)

オートバイ・トレーラー

  • HS 8711.x(オートバイ)
  • HS 8716.x(トレーラーおよびセミトレーラー)

関税率の分布

引き上げ後の関税率は以下の水準に分布しています。[mof.go]​

  • 5パーセント
  • 7パーセント
  • 10パーセント
  • 14パーセント
  • 15パーセント
  • 18パーセント
  • 20パーセント
  • 22パーセント
  • 25パーセント
  • 30パーセント
  • 35パーセント
  • 36パーセント
  • 45パーセント
  • 50パーセント(最高税率、完成車と一部トラックのみ)

完成車の特定の関税番号では50パーセントが適用され、自動車部品は25パーセントから36パーセントの範囲が中心です。[mof.go]​

新規課税品目

1,463品目のうち、316品目は以前は無税(duty-free)だったものが、今回初めて関税が課されることになりました。また、1,463品目のうち約41パーセントは2024年の大統領令で既に引き上げ済みの内容を制度化し、残り59パーセントが新規に追加された品目です。[mof.go]​

重要な注意事項

FTA締結国の優位性

日本はメキシコとの間で日墨EPA(経済連携協定)およびCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定)を締結しているため、日本原産品にはこれらの協定に基づく特恵税率(大半が0パーセント)が適用されます。今回のMFN(最恵国待遇)関税率の引き上げは、原産地規則を満たし適切に申告できる限り、FTA締結国の原産品には影響を及ぼしません。ailaw+2

原産地証明の重要性

FTA相手国からの出荷であっても、商品が原産として認められない場合(第三国原産のまま、工程不足、証憑不備など)は、FTA特恵が使えずMFN(引上げ後)のコストになります。出荷国と原産国は別物であり、中国原産の部品や完成品を日本経由でメキシコへ流しても、原産地が中国のままなら非FTA原産として引上げ後の税率が適用されます。[mof.go]​

PROSEC制度の活用

PROSEC(産業分野別生産促進プログラム)は、自動車、電子機器、鉄鋼、化学、繊維など特定セクターで原材料・部品・機械を減免税率(0パーセントを含む)で輸入可能にするプログラムです。自動車産業は第XIX業種として登録されており、該当業種ほど効果が大きいため積極的な活用が推奨されます。[crdb]​

実務上の対応

企業は自社の輸入品目(TIGIE8桁)を洗い出し、1,463品目の対象に入っているかを確認する必要があります。対象品目については、HSコードの正確な特定、原産地証明の取得、FTA活用の徹底、調達先の見直しなど、包括的な対応が求められます。global-scm+1

免責事項

:本情報は2026年2月時点の公表情報に基づくものであり、個別案件の法令判断や通関助言を目的とするものではありません。実際の適用は品目の分類、原産地事実、申告実務、当局運用により左右されるため、個別案件は現地通関業者・専門家と一次情報で確認してください。[mof.go]​

メキシコ自動車関税の即時実務整理

2026年1月1日施行の「関税引き上げ」を、経営判断と現場オペレーションに落とす

2025年12月29日、メキシコは官報(DOF)で輸入関税(IGI)を改定する政令を公布し、2026年1月1日から発効しました。対象は1,463の関税分類(タリフライン)に及び、税率は5%から50%まで引き上げられています。改定は多業種に広がりますが、完成車と主要部品が直撃領域で、サプライチェーンの意思決定を即座に迫る内容です。 (Sidof)

本稿では、関税率の事実関係を官報の条文ベースで押さえたうえで、輸出者(サプライヤー)と輸入者(メキシコ側)双方が「今日から何を変えるべきか」を、優先順位付きで整理します。


1 何が変わったのか

ポイントは「特定国向け関税」ではなく、「一般税率(IGI)の底上げ」です。メキシコと自由貿易協定(FTA)がある国であっても、協定の原産地規則を満たせない取引では一般税率が適用されます。つまり、実務上は「FTAを使えない輸入(または使わない輸入)」のコストが上がった、と理解するのが正確です。 (ジェトロ)

施行日は2026年1月1日です。官報の経過規定(Transitorios)で明記されています。 (Sidof)

加えて、同じ経過規定で、メキシコ経済省が「FTAが発効していない国からの輸入」について、国内の投入財確保の観点から追加の制度的手当てを実施し得る旨も書き込まれました。今後、例外措置やプログラムの調整が出る可能性があるため、改定後もウォッチが必要です。 (Sidof)


2 自動車で何が上がったのか

官報本文には、対象のHSコード(メキシコの関税分類)と税率が列挙されています。自動車関連では、完成車(HS 8703、8704)で50%が確認できます。あわせて、自動車部品(HS 8708)でも25%、35%、36%、一部7%など、品目により幅をもって設定されています。 (Sidof)

実務で効く範囲が伝わるよう、代表例を抜粋して示します(全件ではありません)。

区分代表例(メキシコ関税分類)政令で確認できる税率(IGI)コメント
乗用車8703.22.99、8703.23.99 ほか50%乗用車の複数区分で50%が列記
電気乗用車8703.80.01(電気、ただし中古を除く)50%EVでも50%が明記
貨物車8704.21.99、8704.31.99、8704.41.99 ほか50%トラック側も50%が列記
電気貨物車8704.60.02(電気、ただし中古を除く)50%商用EVも対象
部品(例)8708.10.03(バンパー類の一部)25%品目ごとに税率が異なる
部品(例)8708.40.08(ギアボックス用途の鍛造品の一部)35%部材系も対象に含まれる
部品(例)8708.29.06(車体関連の一部)36%25%以外の設定も存在

この改定は、報道上「非FTA国からの完成車が20%前後から最大50%へ」などと説明されることが多く、完成車・部品を中心にコスト上昇が見込まれるという整理は概ね一致します。 (El Economista)


3 経営に効く論点は3つだけ

現場には論点が大量に発生しますが、経営判断としては次の3点に集約できます。

論点1 FTAが使える取引か(使えている取引か)

今回上がったのは一般税率です。従って、同じ部品でも、協定税率で輸入できれば影響は限定されます。一方で、原産地規則が曖昧なまま輸出している、証憑が弱い、サプライヤー宣誓が遅れる、といった状態だと、一般税率適用で一気にコストが跳ねます。 (ジェトロ)

論点2 完成車か、部品か、部材かで打ち手が変わる

完成車は関税が価格に直結します。部品や部材は、メキシコ側の生産(調達)に乗るかどうかで、価格転嫁の構造が変わります。特に8708は税率が一律ではなく、部品表(BOM)単位で「どこが上がるか」を切り分ける必要があります。 (Sidof)

論点3 今後の例外・プログラム調整の余地がある

経過規定で、経済省が投入財確保のための法的手当てを実施し得ることが明記されました。現時点で何が出るかは確定していませんが、メキシコ側のプログラム(産業分野別の優遇制度など)に動きが出る可能性は、実務上の重要リスクです。 (Sidof)


4 即時にやること 72時間で終えるチェックリスト

ここからが本題です。輸出者が主体でも、輸入者(メキシコの通関主体)と握らない限り対策は回りません。最短で回る順番に並べます。

1 該当品目の棚卸し(HSコード起点)

・メキシコ向けの輸出品目を、完成車、主要部品、材料、設備に分ける
・各品目について、メキシコの関税分類(8桁)で通関しているコードを回収する
・官報の改定対象に入っているかを照合する(8703、8704、8708は優先) (Sidof)

ここで重要なのは、社内のHSコードではなく、メキシコ側で実際に申告しているコードに合わせることです。現場では「日本側の品目コード」と「メキシコ側の申告コード」がズレているケースが珍しくありません。

2 原産地の棚卸し(FTA適用可否起点)

・現行取引が協定税率で入っているか、一般税率で入っているかをメキシコ側に確認する
・協定を使っているなら、原産地証憑の型式、保管場所、更新頻度、例外品目の扱いを点検する
・協定を使っていないなら、使えない理由を分類する(原産性不足、証明が間に合わない、体制がない、など)

「FTA締結国だから大丈夫」ではなく、「原産地規則を満たし、証憑が揃い、申告が回っているから大丈夫」です。 (ジェトロ)

3 コスト影響の即時計算(価格改定の根拠を作る)

・対象品目について、関税率、課税価格(CIFベース)、輸入頻度を並べる
・関税増分を、部品単価、車両1台当たり原価、年間影響額に落とす
・誰が負担するか(売価転嫁、仕入値調整、物流条件変更、在庫吸収)を役員判断に上げる

完成車は50%が見える一方、部品は25%以外も存在します。品目別に計算しないと誤差が大きくなります。 (Sidof)

4 契約とインコタームズの見直し(揉める前に線を引く)

・関税増分を誰が負担するかを、契約条項と運用で一致させる
・価格条項の改定ルール(発効日、遡及、在庫の扱い)を明文化する
・メキシコ側での通関主体(輸入者)の責任範囲を明確化する


5 中期で効く打ち手 30日で設計する

短期対応の次は、構造対応です。

A 調達国と生産地の再設計

今回の改定は「非FTAルートのコスト上昇」を意味します。従って、調達国の選定や、メキシコ域内生産、FTA圏内調達への切替が、定石になります。報道でも、非FTA国からの輸入が影響を受ける構図が繰り返し指摘されています。 (Reuters)

B 部品表(BOM)単位での関税最適化

8708の中でも税率は一様ではありません。自社のBOMのどこが改定対象かを特定し、代替可能な部材から順に入れ替えると、費用対効果が出やすいです。 (Sidof)

C 例外・支援策のウォッチ体制

経過規定により、経済省が投入財確保のための制度手当てを行い得ることが明記されています。追加の告示や運用が出た場合、先に気づいた企業がコスト面で優位に立ちます。 (Sidof)


6 まとめ

今回のメキシコ関税改定は、完成車と部品の収益構造を短期間で変え得るイベントです。結論はシンプルで、やるべきことは次の順番です。

・メキシコ側の申告HSコードで改定対象を特定する
・FTA適用の可否を、証憑と申告運用まで含めて点検する
・増分関税を品目別に試算し、価格と契約に落とす
・中期では、調達国、生産地、BOMの再設計に踏み込む
・経済省の追加措置の可能性を前提に、官報・通達を継続監視する (Sidof)

繊維分野のIMMEX/PROSEC運用更新を深掘りする

メキシコ向けサプライチェーンの実務を、制度変更で崩さないために

メキシコで繊維・アパレルの製造や輸出入を行う企業にとって、IMMEXとPROSECはコスト構造を決める中核制度です。ところが2024年末以降、繊維・アパレル分野を名指しする形で、関税(IGI)の一時引き上げと、IMMEXによる完成品の一部取扱い制限が制度として明文化され、運用設計を更新しないと、輸入可否や納期、原価、監査対応に連鎖的な影響が出やすい環境に変わりました。

本稿では、繊維分野の現場で起きやすい論点に絞り、何が変わり、何を更新すべきかを、ビジネス判断に落ちる形で整理します。


1. まず整理したいIMMEXとPROSECの役割分担

制度名はセットで語られがちですが、目的と効き方は別物です。誤解したまま設計すると、制度の「穴」ではなく「地雷」を踏みます。

IMMEXとは何か

IMMEXは、輸出を前提にメキシコ国内で製造やサービス提供を行う企業に対し、原材料や部材などの投入物を関税負担を抑えて受け入れやすくする枠組みとして説明されます。運用の肝は、輸入したものを適正用途に使い、所定の期限内に戻す(輸出やリターン等で整理する)ことです。

そして、制度は近年「使い方」を強く問う方向へ動いています。完成品を入れて国内に滞留させるような運用が問題視され、IMMEXの取消しや取締りが実際に公表されています。

PROSECとは何か

PROSEC(セクター別振興プログラム)は、指定セクターの生産者が、特定の原材料・中間材・機械等を輸入する際のIGIを優遇する制度です。PROSECには「繊維・アパレル」セクターが明記されており、繊維関連の品目が対象に含まれます。

重要なのは、PROSECはIMMEXの代替ではないという点です。IMMEXが「輸出加工のための一時輸入」を軸に設計されるのに対し、PROSECは「対象品目の輸入関税率そのものを低くする」設計です。国内販売を含むビジネスでも使われる余地があり、逆に言えば、IMMEXで通らなくなった領域をPROSECで置き換える発想は、ケースによっては有効ですが、制度目的と輸入形態(暫定か確定か)を揃えないと成立しません。


2. 繊維分野で押さえるべき運用更新の核心

ここからが本題です。現場の設計を変えるべき「制度の変化」を、繊維分野に絞って押さえます。

更新点1 2024年12月19日、繊維・アパレルに対する関税引き上げとIMMEX制限が明文化

2024年12月19日付の政令で、繊維・アパレル分野に対して次の方針が示されています。

  1. 一時的な関税(IGI)引き上げ
    アパレル(縫製品)に関する138の関税分類に35%、繊維に関する17の関税分類に15%の一時関税を設定する旨が示され、適用は2026年4月23日までの「暫定措置」として規定されています。
  2. IMMEXで「完成品」の一時輸入を原則不可にする方向
    縫製された完成品に該当する関税分類(章61、62、63および特定の寝具類の一部)が、IMMEXによる一時輸入の対象から外れる方向が明確に示されました。一方で、裁断済み生地に該当する一部の関税分類は例外として扱う考え方も併記されています。

制度文面には、輸入と輸出(リターン)の数量ギャップが記載されており、運用実態を根拠に「戻っていない」ことが問題視されている点が読み取れます。
つまり、繊維分野のIMMEXは、単なる書類整合ではなく、実際のフローとして「投入して、加工して、戻す」を裏付けられる運用へ戻すことが求められていると理解すべきです。

ビジネス上の含意はシンプルです。
完成品寄りの輸入をIMMEXに寄せていた企業ほど、調達形態の見直しが必要になり、見直しが間に合わないと「輸入できない」「輸入できても原価が跳ねる」「監査で説明が破綻する」のいずれかが起きやすくなります。

更新点2 PROSECは繊維分野で品目追加が続いている

PROSEC側も動いています。2024年8月の改正では、繊維・アパレル産業(セクターXX)に関連する品目として、高強力ポリエステル糸などに関する関税分類が追加されています。

これは「関税優遇の対象が、川上の素材や工業用テキスタイルへ拡張・調整されている」ことを示唆します。繊維分野の競争力や供給網の強化を狙う政策の流れとして、原材料や中間材に寄せた投資判断と相性が良い一方、完成品の輸入を薄利で回すモデルとは、制度設計の方向がズレていきます。

更新点3 IMMEXの「禁止品目リスト(Anexo I)」は広がる傾向

2025年8月の改正では、完成品の靴(章64の一部)がAnexo Iに追加され、IMMEXでの一時輸入ができない品目が拡大しました。
靴は繊維そのものではありませんが、「完成品の一時輸入を通じた国内滞留」に対して、制度側が対象品目を広げながら抑えにいく流れが読み取れます。繊維・アパレル企業としては、章61〜63に限らず、完成品扱いされる境界領域の品目でも、同様の視点で見られると考えて運用を固めるのが安全です。


3. 現場が更新すべき運用ポイント

制度の変更点を知っても、運用に落ちていなければ意味がありません。ここでは、繊維分野の企業が更新すべき論点を、失敗パターンから逆算してまとめます。

1 品目分類と「完成品」「裁断生地」の境界管理をやり直す

2024年12月の政令は、完成品として扱われる領域と、裁断生地として扱われる領域を明確に意識した書きぶりです。
このため、次のようなズレが致命傷になりやすくなります。

・実物はほぼ完成品なのに、社内マスター上は中間材扱い
・原産地表示、ラベル付け、梱包形態が完成品寄りで、説明が通りにくい
・輸出側の品目(完成品)と輸入側の品目(中間材)の紐付けが弱く、戻した証明ができない

対応は、単にHSコードを見直すだけでは不十分です。
品目定義、検品基準、ラベル工程、梱包仕様、輸出時の品目マスターを含めて「完成品扱いされる要素」を潰し込み、税関や監査に耐える説明線を作る必要があります。

2 IMMEXとPROSECの併用設計を再構築する

完成品に近いものをIMMEXで回していた企業は、モデルを2つに分けて考えると整理が速いです。

・輸出向け加工モデル
原材料や中間材を輸入し、メキシコで工程価値を乗せ、輸出でクローズする。IMMEXと相性が良い。

・国内販売も見据えた製造モデル
国内向けの確定輸入が避けられない場合、PROSECでIGIを抑えられる余地がある。PROSECの繊維セクターには対象品目が明記されており、品目更新も進んでいる。

この切り分けが曖昧なまま、現場が同じ品目を同じ手順で処理し続けると、輸入形態の不整合が起き、結果として関税・IVA・監査対応の三重苦を招きます。

3 輸入者登録とSector 11の要件を「前倒し」で固める

メキシコでは輸入者としての登録(Padrón)が前提になります。SATの案内では、RFCが有効であること、e.firmaが有効であること、税務義務の履行状況が良好であること、住所が確認可能であること等が要件として示されています。
さらに、特定品目ではセクター別登録が必要になり、繊維・アパレルはSector 11に該当します。

ここで重要なのは、登録そのものよりも、登録維持の前提条件です。
税務のステータスや住所の状態は、制度側が自動チェックしやすい領域で、IMMEX側の要件とも連動しているため、輸入手続き以前に崩れていると、現場はどうにもなりません。

4 繊維・アパレルの自動輸入許可(Permiso Automático)は運用設計が必須

繊維・アパレルでは、自動輸入許可が絡む場面が出ます。公開されている手続情報では、次が重要ポイントです。

・許可の有効期間は60日で、内容変更はできない
・申請時に商業インボイスの写しとスペイン語訳の添付が必要
・海上港を通す場合、手続上追加書類(輸出書類)とスペイン語訳が求められる
・原則として、関税分類、品名、単価、原産国などの条件ごとに許可が必要
・申請自体はデジタル窓口で処理され、発行後、一定の営業日経過後に有効となる旨が示されている
・許可情報とインボイス等の記載が不一致だと無効になり得る

つまり、自動許可は「申請して終わり」ではなく、見積や発注の段階で、単価・原産国・品名・分類が固まっていないと、運用が詰みます。

実務設計としては、営業が値決めをした後に貿易が慌てるのではなく、
品目マスターと見積条件を連動させ、変更が起きたら許可も取り直す前提で、リードタイムを最初から織り込むのが現実的です。

なお、VUCEMの手続マニュアルでも、申請のステップや添付書類をPDFで提出する流れが示されています。申請の属人化を防ぐため、社内手順書の更新対象にする価値があります。

5 IMMEXの在庫管理と年次報告は「監査前提」で作り直す

IMMEXは、在庫管理と証跡が崩れた瞬間に、制度メリットが裏返ります。

・年次報告
IMMEX保有企業は、売上や輸出実績等の年次報告を電子的に提出する義務があり、提出遅延は制度上の停止につながり得ることが明記されています。

・要件維持
e.firma、RFC、住所、税務上のリスト該当有無、納税状況など、制度側が求める前提条件が列挙されており、これを落とすと止まる構造です。

・在庫管理システム(Anexo 24)
特定の認証企業では、輸入・輸出等の情報を48時間以内に更新し、当局がオンラインでアクセスできるようにし、ユーザー名とパスワードを当局へ提供する旨が明記されています。

そして、取締りの動きも現実に進んでいます。公式発表の中で、制度を悪用して完成品を国内販売している疑いを理由に、IMMEXの取消しを進めている旨が示されています。

繊維分野の運用更新とは、要するに次の問いに答えられる状態を作ることです。
何を入れ、どの工程で付加価値をつけ、いつ、どの形で戻したのか。
この一本線を、品目・数量・単価・原産国・許可情報まで含めて説明できるかどうかが勝負になります。


4. すぐに使える運用更新ロードマップ

最後に、実務に落とすための手順を、社内プロジェクトとして回しやすい形にまとめます。

フェーズ1 影響判定

・自社が扱う全品目を、章61〜63や関連する寝具類の領域に照らして棚卸しする
・完成品寄りの輸入がないか、輸入形態(暫定か確定か)と用途を再確認する
・輸出でクローズできない品目がある場合、制度設計(モデル分離)を検討する

フェーズ2 手続と登録の整備

・Padrón登録の前提条件(RFC、e.firma、納税状況、住所)を点検する
・繊維・アパレルに該当する場合、Sector 11の要件を確認し、必要書類と責任部署を決める

フェーズ3 許可と品目マスターの統合

・自動輸入許可が必要な品目について、インボイス、スペイン語訳、原産国、単価、品名をマスター化する
・見積条件の変更が許可の再取得につながる前提で、営業と貿易のハンドオフを作り直す

フェーズ4 IMMEX証跡の耐監査化

・Anexo 24の更新時間、オンラインアクセス、当局対応の手順を、ITと貿易で共通理解にする
・年次報告の締切(社内締切を前倒し)と、要件維持(税務ステータス)の定期チェックをカレンダー化する


結び

繊維分野のIMMEX/PROSEC運用更新は、制度の要約を覚えることではありません。
完成品と中間材の境界、許可と見積条件の同期、輸入と輸出の紐付け、年次報告と在庫管理の証跡。これらを一本線でつなぐ「運用の設計図」を更新することです。

制度変更はコスト要因にもリスク要因にもなりますが、逆に言えば、先に運用を更新した企業ほど、納期の読みと原価の安定を取り戻しやすくなります。メキシコの繊維ビジネスを続けるなら、いまは制度対応を「一回限りの対応」ではなく、運用の常態に組み込むタイミングです。


メキシコ関税法改正が施行、通関責任を拡大 日本企業が今すぐ見直すべき実務ポイント


2025年11月19日、メキシコの連邦官報(Diario Oficial de la Federación, DOF)に、Ley Aduanera(一般に「関税法」「通関法」と訳される税関手続の基本法)の大規模改正を定める政令が公布されました。改正は原則として2026年1月1日に施行され、一部の段階的施行事項については1~3か月の猶予期間が設けられています。今回の改正は、関税率そのものを変える話というより、通関手続と事後監査を前提にしたコンプライアンス運用を作り替える内容です。特に、通関業者(Agente Aduanal)・通関会社(Agencia Aduanal)と、輸入者・輸出者の責任分担が実務上大きく変わります。trade+5​

以下、ビジネスマン向けに「何が変わり」「何を変えるべきか」を実務目線で整理します。

1. 何が一番変わったのか 通関責任が広がり、免責が狭くなった

改正の核心は、通関業者側の注意義務と責任が強化され、従来第54条で認められていた責任の免除規定が廃止された点です。これまで通関業者は、輸入者・輸出者から提供された情報の不正確性や虚偽について一定の免責が認められていましたが、今回の改正でこれが撤廃され、関与する全ての外国貿易取引について完全な連帯責任を負うことが明確化されました。結果として、通関業者は分類(HS・メキシコのNICO)や価格(課税価格)により保守的になり、通関前の照会・追加書類要請・取扱い拒否が増える可能性があります。braumillerlaw+4​

2. 通関業者は「共同責任」を負う範囲が拡大

制度面では、通関業者(agente aduanal)とそのパートナーである通関会社(agencia aduanal)が、当該会社が扱った案件に関する関税等や相殺関税(反ダンピング等を含む概念)の支払いについて連帯責任を負う方向が明確化されています。加えて、ライセンスの有効期間や更新の枠組みが強化され、新たに関税評議会(Customs Council)が創設されました。この評議会は、財務省(SHCP)、税務管理局(SAT)、国家関税庁(ANAM)、汚職・良好ガバナンス省の代表で構成され、通関業者免許や通関会社の認可の付与、更新、停止、取消を管理します。alvarezandmarsal+4​

実務的には、通関会社が「顧客の審査(KYC相当)」と「案件ごとの証憑整備」を以前より強く要求する流れになります。通関業者は、輸出者および輸入者が完全に特定され、インフラを有し、連邦税法第69-B条に基づき列挙された納税者と関係がないことを証明するファイルを維持することが義務付けられました。hklaw

3. 企業側は「電子ファイル(通関ファイル)」整備が必須級になる

今回の改正では、各輸入申告に紐づく電子ファイル(Electronic File)に入れるべき情報・証憑の要求水準が引き上げられています。従来は通関申告書とその付属書類のコピーのみで足りましたが、改正後は以下を含む包括的な書類が求められます:wcoomd+1​

  • 商業送り状(commercial invoice)
  • 推定価格を下回る製品の保証
  • デジタル税務証憑(CFDI)および取引に関与する物品の支払証明
  • 輸送費、保険、関連サービス費用
  • 取引に関連する契約書
  • 関税評価額への加算を裏付ける書類
  • 外国貿易取引の実行を証明するその他の書類や記録

これは「通関時に出せばよい」ではなく、後日の税関・税務当局による検証に耐える形で、最初から揃える運用への転換を意味します。なお、関税法規則第81条で規定されるこれらの書類要件は2025年12月9日から義務化されています。kpmg+3​

4. 通関業者の「直接責任」になり得る典型例が追加・明確化

改正により、通関業者・通関会社が税関当局に対して直接責任を負い得る場面が拡大しています。専門家解説では、例えば次のような類型が指摘されています:ey+1​

  • 分類(HS・NICO)の正確な決定を怠った場合
  • 関税、税金、手数料の正確な決定を怠った場合
  • 正しい通関制度と関税分類の適用を怠った場合
  • 輸入者または輸出者が通関および外国貿易義務への適合を証明する全ての書類を保有していることの確認を怠った場合braumillerlaw

要するに「分類・申告設計の誤り」が通関業者側のリスクとして跳ね返りやすくなります。

5. 保証(推定価格など)とRFE関連は段階施行に注意

改正は原則2026年1月1日施行ですが、一部条項は段階的に発効します:garrigues+1​

  • 2026年2月1日発効: 推定価格(estimated price)を下回る申告価格で輸入する場合の関税保証口座の預託解除期間が6か月から12か月に延長mexicoreport+1​
  • 2026年4月1日発効: 戦略的保税制度(Recinto Fiscalizado Estratégico, RFE)への物品搬入時の関税保証口座を通じた保証義務wcoomd

資金繰りと通関リードタイムに直結するため、CFO視点でも早めの影響試算が必要です。dlapiper

6. IMMEXや一時輸入・移転取引は、連鎖責任リスクが増える

IMMEX(マキラドーラ・輸出製造サービス産業促進プログラム)などで使われる一時輸入品のバーチャル移転(virtual operations)について、重要な義務が追加されました。alvarezandmarsal+2​

改正第112条の最終段落により、輸出者およびバーチャル輸入者は、バーチャル取引に関する電子ファイルを相互に共有することが義務付けられます。さらに、バーチャル輸出者は、バーチャル移転される物品の一部である一時輸入品に適用された生産プロセスを証明する情報と書類を共有しなければなりません。wcoomd

加えて、第59条第X項の追加により、一時輸入品を移転する者は、移転回数にかかわらず、発生した税金について連帯責任を負うことが規定されました。これにより、無関係会社間のバーチャル運用では、電子ファイル共有や工程情報の提示が実務障壁になり、バーチャル通関申告ツールの使用が抑制される可能性があります。wcoomd

また、IMMMEXおよびRFE企業は、相互運用可能なトレーサビリティ、在庫、遠隔監視システムの導入が義務付けられ、実施した工業プロセスの十分な証拠を維持することが求められます。alvarezandmarsal

7. 罰金の大幅引き上げ

改正により、特定の違反に対する罰金が大幅に引き上げられました:global-scm+1​

  • IMMEXプログラム企業が、プログラムで認可されていない物品を一時輸入した場合
  • 非関税規制および制限への適合を証明しない場合
  • 外国供給者の名称、商号が虚偽または存在しない、または記載された住所で特定できない場合

これらの場合、物品の商業価値の250%から300%相当の罰金が科されます。ただし、関税法で規定される罰金の割引制度は有効であり、税額が確定する前に適用できます。ey+1​

8. 企業にとっての「機会」もある 事後の特恵申請ルート

改正の中には、FTA等の原産性があるのに輸入時点で特恵を使わなかった場合に、後から特恵適用を申請して関税を回収できる方向の手当ても含まれていると整理されています。実務上は、原産地証明とトレーサビリティがより厳格に問われる前提で、回収機会が広がる可能性があります。

9. 日本企業の実務チェックリスト まず90日でやること

(1) 通関会社との契約見直し

  • 提出書類の範囲、提出期限、虚偽情報が出た場合の責任分担
  • 追加調査・保留・取扱い拒否の基準と連絡フロー
  • 連帯責任体制下での費用負担とリスク配分

(2) 分類ガバナンスの整備

  • HSとNICOの根拠資料(スペック、用途、構成、類似品比較)を社内標準化
  • 迷う品目は事前教示(ruling)や見解取得の検討(時間がかかる前提で計画)wcoomd
  • 改正により、分類についての事前教示はSATに提出することが明確化されましたwcoomd

(3) 価格(課税価格)と移転価格の整合

  • ロイヤルティ、金型、運賃保険など加算要素の整理
  • 支払証憑(CFDI)と契約書を案件ファイルに紐付け
  • 信用状(Letter of Credit)を通じた保証の活用検討wcoomd

(4) 電子通関ファイルのテンプレ化

  • 「最低限これが揃わないと通関に出さない」基準を作る
  • CFDIやCarta Porte(運送状)などメキシコ特有証憑を物流会社にも要求
  • 2025年12月9日からの義務化に対応した運用確立kpmg+1​

(5) IMMEX・RFEは運用棚卸し

  • 一時輸入の移転(バーチャル取引)、在庫整合、工程証明の出し方を再点検
  • 電子ファイル共有と生産プロセス情報開示の影響評価
  • 保証や滞留期限変更による資金影響を試算(2026年4月1日発効)wcoomd

(6) 監査対応の訓練

  • 直近6か月分をサンプル監査し、穴(分類・価格・原産地・証憑欠落)を潰す
  • SATおよびANAMの共同事後監査権限に備えるbraumillerlaw

まとめ 通関は「書類提出業務」から「監査対応業務」へ

今回の改正は、メキシコ側の通関が「通して終わり」ではなく「後で検証される前提」で再設計されたと見るのが安全です。通関業者の免責規定が廃止され、完全な連帯責任体制に移行したことで、通関会社が慎重化するほど、企業側の準備不足がそのまま遅延・追加コスト・差押えリスクに直結します。まずは、分類・価格・原産地・証憑の4点を、案件単位で再現可能にすることが最優先です。qima+3​

また、連邦執行府は、改正公布後120日以内(2026年3月19日まで)に関税法規則を改正する必要があるため、今後の規則改正にも注視が必要です。global-scm



免責: 本稿は一般情報であり、個別案件の法的助言ではありません。最終判断はメキシコ現地の通関会社・専門家と確認してください。

  1. https://www.trade.gov/market-intelligence/mexico-customs-law-reform
  2. https://www.alvarezandmarsal.com/thought-leadership/mexico-s-2026-customs-law-key-changes-for-global-trade
  3. https://www.braumillerlaw.com/new-mexican-customs-law-nueva-ley-aduanera-de-mexico/
  4. https://blog.qima.com/esg/customs-law-mexico-2026
  5. https://www.garrigues.com/en_GB/new/mexico-decree-published-amending-adding-and-repealing-various-provisions-customs-law
  6. https://global-scm.com/hscf/archives/134
  7. https://www.hklaw.com/en/insights/publications/2025/09/reforma-a-ley-aduanera-y-ley-de-los-impuestos-generales
  8. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  9. https://kpmg.com/us/en/taxnewsflash/news/2026/01/mexico-general-foreign-trade-rules-2026-import-export-duties-law.html
  10. https://www.ey.com/es_mx/technical/tax/boletines-fiscales/amendments-customs-law-2026
  11. https://www.mexicoreport.com/2025/12/general-foreign-trade-rules-for-2026-are-published/
  12. https://www.dlapiper.com/en/insights/publications/2025/11/mexico-amends-customs-law-and-federal-tax-code
  13. https://www.livingstonintl.com/important-update-on-mexicos-customs-reforms-and-potential-border-delays/
  14. https://www.linkedin.com/posts/alejandrocardenagalvan_shipping-into-mexico-big-change-just-landed-activity-7396940392908275712-xjaI
  15. https://www.diputados.gob.mx/LeyesBiblio/pdf/LAdua.pdf
  16. https://ccianet.org/wp-content/uploads/2025/10/CCIA-Comments-for-the-2026-USTR-National-Trade-Estimate-Report.pdf
  17. https://www.ciat.org/Biblioteca/Revista/Revista_51/Ingles/Rev_51_En.pdf
  18. https://web.wtocenter.org.tw/downFiles/13577/405261/00uTKxYz1Cs0000000000BtV3n711111QVIwnuKvKJmS7KSJbX8gngQw6jLlybuRYQ6NnCg00000ssilQbJxATV4otQc8ttviP111110hlzg==
  19. http://www.sice.oas.org/ctyindex/col/WTO/ENGLISH/s472_e.pdf

メキシコ、非FTA対象で約1,400品目の関税引上げ


2026年1月1日から、メキシコは輸入関税率表(TIGIE)上の1,463タリフラインについて、一般税率(MFN)を引き上げる制度改正を施行しました。官報(DOF)に掲載された改正法令は、2025年12月29日に公布され、2026年1月1日に発効しています。whitecase+4​

ニュース見出しでは「非FTA品目」と表現されがちですが、実務上の理解はもう一段丁寧にする必要があります。改正はあくまでMFNを上げる仕組みであり、FTAの特恵(原産品としての優遇税率)は、原産地規則を満たし適切に申告できる限り、引き続き適用余地があります。craneww+2​

まず押さえる要点

今回の改正を、ビジネスの意思決定に必要な粒度で整理すると次のとおりです。

項目内容
改正の本質MFN関税率の引上げ(対象は特定の関税番号)
対象規模1,463タリフラインwhitecase+2​
施行日2026年1月1日mexiconewsdaily+2​
対象外の考え方FTA優遇を適用できる原産品は原則影響なし(原産地証明と適切な申告が前提)whitecase+1​
有効期限無期限(恒久化)whitecase

対象規模(1,463タリフライン)やFTA適用時の取り扱い、対象業界の全体像は、複数の専門機関・法律事務所・当局解説で一致しています。clarkhill+3​

どんな品目が影響を受けるのか

対象は20以上の章にまたがり、自動車・部品、繊維・アパレル、プラスチック、鉄鋼、家電、アルミ、履物、紙・板紙、皮革製品、家具、ガラス、玩具、二輪、トレーラーなど幅広い業界に及びます。trade+3​

税率水準は品目ごとに異なり、引上げ後の関税率は5%、7%、10%、14%、15%、18%、20%、22%、25%、30%、35%、36%、45%、50%のレンジに分布します。完成乗用車の特定の関税番号(8703.22.99、8703.23.99、8703.24.99、8703.32.99、8703.33.99、8703.40.99、8703.60.99、8703.80.01)では50%が適用されます。自動車部品は25%から36%の範囲が中心です。mexiconewsdaily+4​

また、今回の動きは従来の大統領令ベースの措置を、法律改正により恒久化・拡大する性格があると解説されています。具体的には、1,463タリフラインのうち約41%は2024年の大統領令で既に引上げ済みの内容を制度化し、残り59%が新規に追加された品目です。繊維・履物・アパレルは既存措置の「恒久化」、それ以外の分野は「新規にカバー拡大」という見方が示されています。jdsupra+1​

さらに、316タリフラインは以前は無税(duty-free)だったものが、今回初めて関税が課されることになりました。whitecase

「非FTA品目」とは実務で何を意味するか

ここが誤解ポイントです。影響を受けるかどうかは「仕向地に着いたときの原産性」と「申告の正しさ」で決まります。

FTA相手国からの出荷でも、原産地規則を満たさなければMFNが適用され得る

たとえば日本からメキシコに輸出しても、商品が日本原産として認められない場合(第三国原産のまま、工程不足、証憑不備など)は、FTA特恵が使えずMFN(引上げ後)のコストになります。trade

「出荷国」と「原産国」は別物

中国原産の部品や完成品を日本経由でメキシコへ流しても、原産地が中国のままなら、非FTA原産として引上げ後の税率が問題になります。報道や解説でも、非FTA国(中国、インド、韓国、インドネシア、タイ、ロシア、トルコ、台湾、ブラジルなど)を念頭に置いた制度設計と整理されています。mohawkglobal+2​

書類不備は、税率の取りこぼしに直結する

当局解説では、通関での分類・価格・書類整合性に対する目線が強まり、輸出者側もインボイス、仕様書、原産地証明などの精度が重要になると示されています。2026年の一般対外貿易規則(GFTR)では、通関業者向けの新たな書類要件、通関手続きの裏付け書類、バーチャル輸入申告の記録保管など、より多くの書類を作成・保管する義務が追加されています。kpmg+1​

日本企業にとっての影響シナリオ

影響は「メキシコ向けの輸出」だけでなく、「メキシコの顧客が非FTA原産品を調達しているか」によっても変わります。

シナリオA:メキシコ向け部材の中に非FTA原産が多い

自社が日本から輸出していても、実態は第三国原産のままというケースでは、顧客側の輸入コストが上がります。結果として、価格交渉、発注数量、調達先見直しの圧力が出やすくなります。mohawkglobal+1​

シナリオB:完成車・主要部材など、税率の上振れが大きい領域に該当

完成車の特定関税番号では50%水準が適用され、部材でも複数レンジ(7%、10%、25%、36%など)が混在します。どこに該当するかで採算は別物になるため、HS分類の確定が最優先です。forvismazars+1​

シナリオC:FTA適用の社内運用が弱く、取りこぼしが発生しやすい

今回のようにMFNが上がる局面では、これまで「面倒なのでMFNで払っていた」取引が急に高コストになります。原産性の棚卸しと証憑整備は、守りではなく利益改善の打ち手になります。forvismazars

すぐにやるべき実務チェックリスト

以下の順番で手当てすると、短期間で影響可視化まで到達できます。

影響品目の棚卸し

  • メキシコの関税番号(フラクシオン)まで落として、該当有無を判定
  • 該当の場合、引上げ後の税率レンジ(5~50%)で着地コストを試算strtrade+1​

原産地の再判定

  • 日墨EPA、CPTPPなどで原産性を確保できるか
  • 部材原産地の収集、サプライヤー証明の更新、証憑の監査耐性を強化whitecase+1​

通関実務の点検

  • インボイス品名、技術仕様、分類根拠、価格根拠が一貫しているか
  • メキシコ側ブローカーと、申告データの突合ルールを先に決めておくkpmg+1​
  • 2026年のGFTRで追加された書類要件(通関業者向け文書、裏付け書類、記録保管)への対応を確認kpmg

IMMEX制度利用者向けの追加確認

2026年のGFTRでは、IMMEX(マキラドーラ)プログラム下での繊維・アパレル製品の輸入に新たな制限が設けられています。該当する企業は、プログラム適用要件の変更を確認する必要があります。kpmg

制度の背景と政策意図

メキシコ政府は、この改正を単なる歳入確保措置ではなく、「戦略的な政策ツール」として位置づけています。背景には次の狙いがあります。tbaglobal+1​

  • 国内製造業の保護と雇用確保trade+1​
  • アジア諸国、特に中国からの輸入への依存低減mexiconewsdaily+1​
  • グローバルバリューチェーンへの統合が期待された技術移転や国内付加価値向上につながっていない現状への対応whitecase
  • 国家開発計画との整合whitecase

メキシコ経済大臣のマルセロ・エブラード氏は、この措置がメキシコの総輸入の約8.6%に影響を与えると述べています。中国からの輸入はメキシコ総輸入の約19.96%を占め、中国製車両はメキシコ市場の18.1%のシェアを持っており、特に自動車セクターへの影響が大きいとみられています。tbaglobal

まとめ

メキシコの関税引上げは、1,463タリフライン規模でMFNが上がる政策転換です。最大の論点は、非FTA原産品と、FTA原産でも運用不備で特恵を取りこぼす取引がコスト増になり得ること。逆に言えば、HS分類と原産地証憑を固め、FTA適用の確度を上げられる企業ほど、影響を吸収しやすい局面です。clarkhill+3​

改正は2026年1月1日に発効し、有効期限は無期限です。早期の対応準備が、コスト管理と競争優位の確保に直結します。mexiconewsdaily+2​


免責事項: 本稿は2026年1月時点の公表情報に基づく一般情報であり、個別案件の法令判断や通関助言を目的とするものではありません。実際の適用は、品目の分類、原産地事実、申告実務、当局運用により左右されます。個別案件は現地通関業者・専門家と一次情報で確認してください。

  1. https://www.whitecase.com/insight-alert/mexico-formalizes-and-expands-import-tariffs-more-1400-products-key-impacts
  2. https://mexiconewsdaily.com/news/mexico-tariffs-go-into-effect-china/
  3. https://www.forvismazars.com/mx/en/insights/forvis-mazars-in-mexico-thought-leadership/foreign-trade-customs-alert/changes-in-foreign-trade-for-2026-in-mexico
  4. https://www.tid.gov.hk/en/tradecircular/2025/ci11102025.html?categoryId=18
  5. https://www.opportimes.com/en/tariff-increases-in-mexico-on-countries-without-trade-agreements-come-into-effect-on-january-1/
  6. https://www.craneww.com/knowledge-center/trade-advisory-notices/mexicos-2026-tariff-reform/
  7. https://www.clarkhill.com/news-events/news/mexico-approves-significant-tariff-increases-on-imports-from-non-fta-countries/
  8. https://kpmg.com/us/en/taxnewsflash/news/2026/01/mexico-general-foreign-trade-rules-2026-import-export-duties-law.html
  9. https://www.trade.gov/market-intelligence/mexico-customs-law-reform
  10. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/december/mexico-to-significantly-increase-import-duties-as-of-jan-1
  11. https://mohawkglobal.com/trade-translation/mexico-approves-tariff-increases-on-imports-from-non-fta-countries/
  12. https://www.jdsupra.com/legalnews/mexico-proposes-significant-customs-and-3809818/
  13. https://tbaglobal.com/mexico-set-to-introduce-tariffs-of-up-to-50/
  14. https://www.foley.com/zh/insights/publications/2025/12/mexican-january-2026-tariff-tsunami-maquilas-arent-immune/
  15. https://www.internationaltradecomplianceupdate.com/category/customsimports/
  16. https://globaltradealert.org/state-act/95864-mexico-import-duty-increase-on-1462-products-december-2025
  17. https://cuestacampos.com/en/new-energy-regulation-in-mexico/
  18. https://www.estrategiaaduanera.mx/cambios-a-la-ligie-en-mexico/

メキシコ関税引上げとUSMCA適用の盲点

メキシコ調達と北米輸出のコストが想定外に膨らむ理由

2026年1月1日、メキシコは一般最恵国税率(MFN)を広範囲に引き上げました。対象はHS8桁で1,463品目、税率は5%から最大50%まで引き上げられ、繊維・履物、鉄鋼、自動車・自動車部品、プラスチック製品など、サプライチェーンの裾野が広い分野が含まれます。natlawreview+1

このニュースを見て「うちはUSMCAで北米向け輸出だから大丈夫」と判断すると、原価とキャッシュフローで痛い目を見ることがあります。盲点は一言で言えば、完成品の無税と部材の関税コストは別物という点です。

まず結論:今回の関税引上げで起きること

次の3点が、実務インパクトの核心です。

1つ目:メキシコとFTAがない国からの輸入コストが上がる
中国、インド、韓国、タイ、インドネシアなど、メキシコとFTAを持たない国からの輸入が主な影響対象になります。linkedin

2つ目:FTA締結国でも、特恵を使わなければMFNが適用される
日本は日墨EPAやCPTPPにより多くの品目で特恵税率が見込めますが、特恵申告をせずに輸出するとMFNが適用される点が重要です。vemaps

3つ目:USMCA輸出でも、メキシコ側の部材関税がコストとして残り得る
特にIMMEXなど関税繰延べスキームを使う企業ほど、USMCA第2.5条の規律が効いてきます。tuttlelaw+1

何が変わったのか:メキシコ関税引上げの整理

メキシコ上院は2025年12月10日、輸出入関税法(LIGIE)の改正を可決し、2026年1月1日から新税率を適用する流れになりました。対象の品目数1,463は維持されましたが、途中で115品目が入れ替わっているため、過去のリストで判断するのは危険です。trade+1

また、旅客車の一部は50%への引上げが維持されるなど、分野によってはインパクトが極端に大きくなり得ます。vemaps+1

盲点1 非FTA国だけの話ではない

日本企業の現場で起きやすい誤解は「日本は対象外だから無関係」というものです。実務の実態は次の通りです。

  • 日本原産であっても、日墨EPAやCPTPPの特恵申告をしなければMFNが適用されるvemaps
  • サプライヤーから原産情報が得られず、特恵が使えない輸入が増えると、関税コストが一気に顕在化する

JETROも、特恵税率の適用には原産地証明書の取得など所定手続きが必要で、手続きをしない場合はMFN税率になる点を明示しています。vemaps

盲点2 USMCAがあっても、メキシコ側の部材関税は消えない

USMCAは北米域内の完成品取引を無税化しやすくする仕組みですが、メキシコが域外から輸入する部材にかかる関税まで自動でゼロにするものではありません。ここで効いてくるのが、**USMCA第2.5条(Drawback and Duty Deferral Programs)**です。prodensa+1

ポイントは2つあります

1. 関税繰延べは、輸出時に精算が起き得る
USMCA第2.5条は、一定の条件下で関税還付や関税繰延べを利用して実質的に関税負担を回避することを制限します。条文上、関税繰延べ制度で輸入した物品を他の締約国へ輸出する場合、輸出側は国内消費向けに引き出したかのように関税を賦課し、その上で限定的に免除・減額できる、という構造です。cbsa-asfc+1

メキシコのMFNが上がると、この精算額の上限(実務的にはLesser of the Twoと呼ばれる差額)が大きくなり、キャッシュフローと原価に直撃します。natlawreview+1

具体例(自動車部品)linkedin+1

  • メキシコ輸入時の非FTA部材関税(2026年):25%
  • 米国輸出時の完成品関税(USMCA不適合):10%
  • → IMMEX企業は米国側10%のみ相殺可能で、残り15%はメキシコで納付義務が発生

2. 60日ルールが資金繰りを揺らす
USMCA第2.5条には、輸出先で支払った関税額の証憑を一定期間内に提示できない場合、輸出側がいったん関税を徴収する建付けがあります。米国・カナダでは、関連する規定として60日という期限が条文運用上の重要な目安になります。tuttlelaw+1

書類が遅れるだけで、想定外の納付が先に発生し、後追いで調整する形になり得ます。cbsa-asfc

盲点3 USMCAの適用は「原産性の主張と証明」が前提

もう一つの落とし穴は、USMCAでの特恵申告は証明の運用が整っていないと簡単に崩れることです。

USMCAでは特定の様式の原産地証明書は要求されません。その代わり、Annex 5-Aに定められた最低限のデータ要素を含む認証(Certification)を、任意の形式で提示できることが求められます。preferredship+1

実務で効くのはここです

  • 形式自由という言葉を、証憑管理が不要と誤解する
  • HS6桁を含む要素が必要なのに、分類とBOMの紐付けが曖昧ustr
  • 輸出者・生産者・輸入者の誰が認証するかが社内で決まっていないpreferredship

結果として、米国側でUSMCA特恵が崩れ米国関税が発生するだけでなく、メキシコ側の関税繰延べ精算も別問題として残り、二重にダメージを受ける構図になります。natlawreview

企業が今すぐやるべき実務チェック

最後に、ビジネスマン向けに優先順位順で整理します。

1 影響品目の特定

  • 自社の輸入品目(TIGIE 8桁)を洗い出し、1,463品目の対象に入っているか確認trade
  • 途中で品目の入れ替えがあるため、最新版のリストで確認するvemaps

2 調達国とFTA利用有無の棚卸し

  • FTA締結国原産でも、特恵を使っているかを取引単位で確認
  • 特恵未利用の取引を優先して是正するvemaps

3 IMMEXなど関税繰延べの前提更新

  • 「輸入時は無税」ではなく「輸出時に精算が起き得る」前提で原価を組み直すprodensa+1
  • USMCA第2.5条に基づく差額精算(Lesser of the Two)、証憑の提出期限(60日)を、社内KPIとして管理するtuttlelaw+1

4 USMCA認証と証憑の整備

  • 認証は様式自由だが、最低限のデータ要素(HS6桁含む)が必要ustr+1
  • 誰が認証するか、どこに保管するか、更新頻度を決めるpreferredship

まとめ

メキシコの関税引上げは、単なる対外政策ではなく、北米サプライチェーンの原価構造を変えるイベントです。特に、IMMEXを使って域外部材を投入し、USMCAで北米に輸出するモデルほど影響が出やすい構造にあります。trade+2

対策の第一歩はシンプルです。品目、原産地、FTA利用、関税繰延べ、USMCA認証。この5点を一本の台帳でつなぐこと。ここがつながると、コスト試算、取引条件の見直し、調達転換の優先順位が一気に明確になります。


注意事項

本稿は一般的な情報提供であり、個別案件の法務・通関判断を代替するものではありません。最終判断は当局公表資料や専門家確認で行ってください。


  1. https://natlawreview.com/article/mexican-january-2026-tariff-tsunami-maquilas-arent-immune
  2. https://www.trade.gov/market-intelligence/mexico-customs-law-reform
  3. https://www.linkedin.com/pulse/mexicos-january-2026-tariff-shift-what-means-imports-supply-tian-16cfc
  4. https://vemaps.com/mexico/mx-06
  5. https://www.tuttlelaw.com/newsletters/2020/7-28-20_usmca_drawback.html
  6. https://www.prodensa.com/insights/blog/the-immex-framework
  7. https://www.cbsa-asfc.gc.ca/publications/dm-md/pdf/d7-4-3-eng.pdf
  8. https://preferredship.com/wp-content/uploads/2020/06/USMCA_CoO_US.pdf
  9. https://ustr.gov/sites/default/files/files/agreements/FTA/USMCA/Text/05_Origin_Procedures.pdf
  10. https://www.foley.com/ko/insights/publications/2025/12/mexican-january-2026-tariff-tsunami-maquilas-arent-immune/
  11. https://www.jdsupra.com/legalnews/mexico-approves-significant-tariff-5879289/
  12. https://news.globalialogisticsnetwork.com/2025/11/07/interview-with-globalia-monterrey-a-look-at-mexicos-2026-trade-reforms/
  13. https://www.craneww.com/knowledge-center/trade-advisory-notices/mexicos-2026-tariff-reform/
  14. https://www.jdsupra.com/legalnews/mexico-proposes-significant-customs-and-3809818/
  15. https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/seminar/orb-200701/doc1.pdf
  16. https://www.trade.gov/sites/default/files/2023-09/fulltext.pdf
  17. https://www.afslaw.com/perspectives/alerts/who-can-make-usmca-certification
  18. https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/11e020.pdf
  19. https://www.pcbusa.com/post/how-to-fill-out-certification-of-origin-under-cusma-usmca-t-mec
  20. https://www.customs.go.jp/roo/english/procedure/index.htm
  21. https://biblioteca.cejamericas.org/bitstream/handle/2015/2837/Mexican_government_changes_IMMEX_regime.pdf?sequence=1&isAllowed=y

メキシコが非FTA品目に最大50%関税へ:2026年1月1日発効、企業が押さえる実務ポイント

2025年12月29日、メキシコ政府は官報(DOF)で輸入関税(一般税率)を広範に引き上げる政令を公布し、2026年1月1日に発効しました。対象はTIGIE(メキシコ関税率表)上の1,463税番に及び、非FTA国由来の調達や、FTAを使わない輸入に対してコスト・調達戦略・通関実務を一段と厳しくします。

改正の概要

項目内容備考
関税率最大50%(多くは5~35%)2026年1月1日発効。対象は1,463税番(TIGIE 8桁)、20以上の分野にまたがる改正
対象国非FTA国(中国、韓国、インド、インドネシア、ブラジル等)メキシコと発効済みFTAを持たない国が対象
有効期限無期限過去の一時措置と異なり、恒久的な法改正
出所DOF、Reuters、White & Case米国商務省・KPMG・法律事務所等の解説に基づく

何が変わったのか:「一般税率(MFN)の底上げ」が核心

今回の改正は、メキシコの輸入関税(IGI)のうち、特定の税番に設定されている一般税率(MFN税率)を引き上げるものです。

実務上の重要ポイント:

  • 「輸入相手国が非FTAかどうか」だけでなく、「当該貨物がFTAの特恵税率を適用できるか(原産地証明・ルール充足・申告)」で負担が決まる
  • FTAが適用できれば、改正後でも特恵税率が優先され、税率引上げの影響を受けない
  • メキシコは現在52カ国とFTAを発効しており、これらの国からの原産品は従来の特恵税率が引き続き適用される

つまり、「非FTA国からの輸入」という表現は正確には「FTA特恵が適用されない輸入」を意味します。


どの品目が重いのか:最大50%は完成車と一部トラック、広い裾野は繊維・鋼材・消費財

全体像としては、関税引上げは多数品目に及びつつ、税率の山は概ね5~35%に集中し、特定の品目で50%が出ます。

最大50%対象品目

完成乗用車:

  • HS 8703.22.99、8703.23.99、8703.24.99
  • HS 8703.32.99、8703.33.99、8703.40.99
  • HS 8703.60.99、8703.80.01など

トラック・電気自動車:

  • HS 8704.21.99、8704.31.99、8704.41.99
  • HS 8704.51.99、8704.60.02など

これらは過去の暫定措置で既に50%が適用されていましたが、今回の改正で恒久化されました。

多くの品目:5~35%が中心

  • 自動車部品:HS 8708.x、8409.x、8511.x、8512.xなど、7~36%の範囲
  • 繊維・衣類:最大35%(繊維製品は20%→35%、繊維材料は10%→15%への引上げ事例あり)
  • その他産業材:プラスチック、鉄鋼、アルミニウム、履物、家具、玩具、家電、紙・段ボール、皮革製品、ガラス、オートバイ、トレーラーなど

なぜ今か:産業防衛と対外関係、そして歳入

政府側は、国内産業と雇用の保護を前面に出しています。Reuters報道では、敏感分野(特に繊維)の雇用を守る狙いと、追加歳入の見込みが言及されています。

背景データ:

  • メキシコの繊維産業は2024年に雇用が最低水準に落ち込んでおり、特に中国製品との価格競争が背景にある
  • 中国からメキシコへの電気自動車輸入は、2024年11月に前年比2,367%増の19,344台を記録
  • こうした急増が政策転換の引き金の一つとなったと見られる

一方で、市場では「米国との連携強化」や、USMCA(米墨加協定)見直しを見据えた対中姿勢の調整といった見方も出ています。


日本企業にとっての現実:メキシコ現法の調達網に直撃しやすい

日本企業(特に自動車・部品)は、メキシコ国内生産のためにアジアから部材を入れる構造が一般的です。タイ、中国、ベトナム、インドネシア等からの調達に触れつつ、メキシコとFTAを結んでいない国からの輸入は引上げの影響を受けます。

FTA締結状況による差異

同じアジア調達でも差が出ます:

  • 日本:CPTPP(環太平洋パートナーシップ協定)、日墨EPA経由で無税・低税率の道がある
  • 非締結国:中国、韓国、インド、インドネシア等からの調達は負担増になりやすい

自動車は「50%」という数字が与えるインパクトが大きい

完成車に最大50%がかかる設計は、単に輸入コストが上がるだけでなく、以下に波及します:

  • 在庫政策
  • 価格政策
  • 販売戦略

加えて部品でも税率7~36%(品目による)という設計がされており、BOM(部品表)全体で効いてきます。


IMMEX(マキラ)でも「完全に無関係」とは言い切れない

IMMEXは一時輸入の関税免除が前提になりがちですが、輸出先やUSMCAの関税繰延べ規律(いわゆる「Lesser of the Two」ルール)次第で、結果的にメキシコ側で関税負担が発生し得る点を押さえる必要があります。

USMCA「Lesser of the Two」ルール

USMCA第2.5条では、メキシコで免除・還付される関税額は、以下のいずれか低い方を上限とします:

  1. 第一USMCA国(メキシコ)への輸入時に支払った関税
  2. 第二USMCA国(米国・カナダ)への輸出・輸入時に課される関税

具体例:

非FTA国から25%の関税で部材をメキシコに輸入し、完成品を米国に輸出する際、完成品がUSMCA原産にならないケースを考えます。米国側の関税が0%(USMCA適格でない場合)の場合、メキシコ側で免除できる関税は0%となり、25%がコスト化します。

IMMEX運用の厳格化

2024年12月には302品目がIMMEXプログラムで輸入できない品目リストに追加されるなど、プログラム自体の運用も厳格化されています。


企業が取るべき実務アクション:最短で効く順に

1. 対象判定

自社品目のTIGIE 8桁を特定し、改正対象かを機械的に照合する。通関業者任せにせず社内でも持つことが重要です。

2. 原産地の再設計

FTA適用可否を棚卸しし、使えるものは確実に使う。

チェックポイント:

  • 原産地証明の取得
  • CTC(関税分類変更基準)/VA(付加価値基準)の充足
  • サプライヤー証憑の整備

メキシコはCPTPP、USMCA、日墨EPA、EU-メキシコFTAなど多数のFTAを持ち、適切に活用すれば特恵税率が維持できます。

3. 調達先の見直し

非FTA国依存の部材は、FTA圏内調達や加工工程の再配置で「特恵が取れる形」に寄せられないか検討する。

代替調達先の選択肢:

  • 日本・タイ:CPTPP経由
  • 欧州:EU-メキシコFTA
  • USMCA圏内:米国・カナダ

特に中国依存度が高い部材は、上記への代替が現実的な選択肢になります。

4. 価格・契約

関税増分の負担者(売手・買手)と価格改定条項、インコタームズ、長納期品の在庫方針を再確認。

特に注意: 2026年1月1日以前に契約したが納品が1月以降になる案件は、契約上の関税負担条項を精査すべきです。

5. 制度活用

PROSEC(分野別振興プログラム)の活用:

  • 輸出要件なし
  • 自動車、電子機器、鉄鋼、化学、繊維など特定セクターで原材料・部品・機械を減免税率(ゼロを含む)で輸入可能
  • 該当業種ほど効果が大きい

その他、メキシコ側の産業施策・許可スキームの適用余地を確認する。

6. 当局運用の監視

メキシコ政府は「競争的条件での投入材確保」のために関税調整の仕組みを設け得る、という示唆もあるため、続報を前提にしておく。

並行する執行環境の厳格化:

  • 2026年1月1日発効の税関法改正では、過少申告調査期間が6カ月→12カ月に延長
  • コンプライアンス強化が同時進行

まとめ:2026年は「メキシコ向けの関税コスト」を前提にサプライチェーンを作り直す年

今回の改正は、単発の引上げというより、メキシコが「非FTA調達のコスト」を明確に上げに来たシグナルです。

押さえるべき特徴:

  • 改正は無期限で、過去の暫定措置とは異なり法律として恒久化
  • 短期は通関コストの増加
  • 長期は調達先・原産地設計・対米輸出規律(USMCA)まで含めた再設計が論点に

最優先アクション:

  1. 対象税番の照合
  2. FTA適用の取りこぼしゼロ化

この2点から着手するのが最も費用対効果が高い一手です。


免責事項

本稿は一般情報であり、個別案件は貴社の通関実務・契約条件・原産地構成により結論が変わります。最終判断は通関士・現地専門家と一次資料でご確認ください。


出典

[1] U.S. International Trade Administration
[2] KPMG Mexico
[3] International Trade Compliance Update
[4] Opportimes
[5] White & Case
[6] FedEx International
[7] Clark Hill
[8] XPDEL
[9] Carscoops
[10] Foley & Lardner
[11] LinkedIn (Michael Tian)
[12] Tuttle Law
[13] U.S. International Trade Administration
[14] DLA Piper
[15] Stratego
[16] Mijares, Angoitia, Cortés y Fuentes

「インド提案のメキシコPTA構想」——“関税ショック”への最短リスクヘッジ


「インド提案のメキシコPTA構想」——“関税ショック”への最短リスクヘッジ

2025年12月、インド政府はメキシコとの**Preferential Trade Agreement(PTA:特恵貿易協定)**締結を提案し、すでにオンライン会合を経て技術協議フェーズに入ったと報じられています。 この動きは「新規FTA交渉のスタート」というよりも、2026年1月1日から段階的に適用される、最大50%のメキシコ輸入関税引き上げへの実務的な危機対応と位置づける方が現実的です。timesofindia.indiatimes+3

いま何が起きているか(3行要約)

  • メキシコ議会は、FTA未締結国からの一部輸入品について、5〜50%の関税を課す法案を承認し、約1,400品目が対象となる見通しです(主に自動車、部品、繊維、鉄鋼、プラスチック、履物など)。reuters+2
  • インドは、自国の対メキシコ輸出(2024年輸出額約57億ドル)のうち、およそ20億ドル規模が今回の関税で打撃を受け得ると試算し、**PTAによる部分的な関税優遇で“穴を開ける”**戦略を示しています。tradingeconomics+2
  • 背景には、USMCA(2026年見直し)をにらんだ米国の対中強硬路線と、それに歩調を合わせたメキシコのサプライチェーン再編・国内産業保護という政治経済文脈があります。table+2

背景:メキシコの“非FTA国向け”関税引き上げの狙い

今回の措置は、特定国のみを狙い撃ちするというより、「メキシコとFTAを持つか否か」で世界を二分する設計になっています。 USMCA、CPTPP、日墨EPAなどの協定パートナーは優遇または現状維持となる一方、インド、中国、韓国、タイなど非FTA国は高関税MFN枠に押し込まれ、競争力が大きく低下する構図です。aa+2

メキシコ政府は、この関税引き上げの目的として、国内産業・雇用の保護、貿易不均衡の是正、特にアジア製品からの輸入代替と北米サプライチェーンへの組み込み強化を掲げています。 併せて、財政赤字の縮小に向けた関税収入増も副次的な目的とされています。financialpost+3


影響の輪郭:どの業界が“刺さる”のか

報道ベースで、メキシコが高関税対象として想定している主なセクターは以下の通りです。reuters+2

  • 自動車・二輪・部品(完成車、部品、関連金属)reuters+2
  • 繊維・衣料・履物reuters+2
  • 鉄鋼・その他金属製品gmk+2
  • プラスチック、ゴム・皮革製品、その他工業製品aa+2

インドの対メキシコ輸出は、2024年時点で約57億〜57.3億ドル規模とされ、このうち自動車、部品、繊維、鉄鋼など約20億ドル相当が新関税で大きな影響を受け得るとインド政府は見込んでいます。timesofindia.indiatimes+2


核心論点:なぜ「FTA」ではなく「PTA」なのか

インド当局者の発言から読み取れるロジックを整理すると、次の3点に収斂します。tradingview+2

  1. WTOで争いにくい構造
    メキシコは、WTOにおける譲許表(bound rate)の範囲内でMFN税率を引き上げる形をとっており、形式上はWTO義務に反しない設計です。 インド側も、「MFNベースの引き上げである以上、WTOでの法的救済の余地は限定的」とコメントしています。tradingview+1
  2. 包括的FTAは時間切れリスクが大きい
    包括的FTA交渉は、サービス、投資、政府調達、知財など幅広い分野が交渉対象となり、通常は数年単位を要します。 一方、メキシコの新関税は2026年1月1日から適用開始予定であり、このタイムラインにフルスコープFTAを間に合わせる現実性は低いと見られています。indiainmexico+3
  3. PTAなら“影響品目だけ”を優先的に救える
    PTAは、関税譲許の範囲を特定品目や限定セクターに絞り込み、関税ショックが大きい品目群に的を絞った救済設計が可能です。 インド当局者も、PTAを「影響緩和のための迅速な解決策」と位置付けており、まずは貨物貿易にフォーカスした限定的スキームから着手する構想と報じられています。economictimes+2

PTAが動き出した場合、企業実務はどう変わるか

PTAは「締結=ゴール」ではなく、「締結=実務負荷の立ち上がり」です。企業側で特に重要になる論点は次の3つです。

  1. 対象品目の線引き(自社SKUが入るか)
    PTAは、影響の大きいHS品目に絞って関税優遇を設定する設計になりやすく、品目リストに載る/載らないで明暗が分かれます。 企業としては、HSコード×原産国別に「PTA対象・非対象」を瞬時に判定できる体制が必要です。reuters+1
  2. 原産地規則(ROO)と証明の“必須化”
    関税優遇の適用には、PTAで定める原産地規則を満たし、インボイスや原産地証明書等で原産性を立証することが前提条件となります。 インド製品であっても、部材が多国籍にまたがる場合は、BOMレベルでのトレースとサプライヤー宣誓の取得がボトルネックになり得ます。itj.dgciskol+1
  3. 中継・積替え取引への監視強化リスク
    今回の関税引き上げの政治的背景には、米国が問題視する**迂回(trans-shipment)**対策やサプライチェーンの透明性強化があります。 PTAを通じた優遇が広がるほど、メキシコ税関は書類・物流経路の整合性チェックを強化し、コンプライアンス体制の差が実務リスクの差として顕在化する可能性があります。table+2

日本企業にとっての“見落としやすい示唆”

日本企業は、「日墨EPA」「CPTPP」といった枠組みにより、メキシコ向け輸出で相対的に有利なポジションを維持しているケースが少なくありません。 しかし、次のようなケースでは、今回のインド・メキシコPTA構想とメキシコ関税引き上げの影響を軽視すべきではありません。indiainmexico+1

  • メキシコ拠点がインドから部品・素材を調達している場合
    関税引き上げがそのままインプットコスト増に直結し、価格転嫁・設計変更・調達先多角化が不可避となる可能性があります。businesstoday+2
  • メキシコ市場でインド企業と競合している場合
    一時的には、インド製品が高関税で不利になり、日本製品が優位に立つ可能性があります。 しかし、PTAによってインド製品の関税負担が軽減されれば、「関税差による優位性」が短期間で失われるシナリオを織り込む必要があります。businesstoday+3

企業の打ち手(今日からできる順)

  • HSコード×原産国×契約条件ベースの影響試算
    どのHSにどの関税率がかかるのか、インド経由品がどの程度コスト上昇するのかを早期に可視化します。reuters+1
  • 価格条項・インコタームズ・再交渉条項の棚卸し
    関税負担がどこに帰属する契約かを洗い出し、価格見直しやサプライチェーン再設計の余地を確認します。newindianexpress+1
  • 原産地証明スキームの設計
    BOM精査、サプライヤー宣誓・定期監査、トレース体制の整備など、PTA適用に耐えうる証憑基盤を準備します。itj.dgciskol+1
  • 代替調達・代替生産シナリオの検討
    メキシコとFTAを持つ国からの調達・生産への切り替え余地を検証し、インド依存度の高い部材の「第二ソース」を確保します。financialpost+1
  • 業界団体・現地商工会との情報ライン構築
    品目リストや具体的税率の最終確定、PTAのスコープについて、一次情報を継続的に取得できるチャネルを確保します。timesofindia.indiatimes+1

今後の見通し:短期はPTA、長期はFTA(ただし政治次第)

インドとメキシコは、すでにオンライン会合を通じてPTAの技術協議を開始しており、短期的には**「高関税の影響が大きい品目をPTAでピンポイント救済する」方向**が現実的と見られます。tradingview+2

一方で、より包括的なFTAに発展するかどうかは、2026年USMCA見直しを含む対米関係、対中政策、メキシコ国内産業保護の政治力学に大きく左右されます。 企業としては、「短期:PTAによる部分的な関税差」「中長期:FTAや北米サプライチェーン再編による構造変化」の両方を織り込んだシナリオプランニングが必要です。bloomberg+4


本稿は公開情報に基づくビジネス上の一般的解説であり、特定の取引・案件に対する法務・税務・通関上の助言を構成するものではありません。具体的な案件については、協定正文・国内実施法・通関実務を確認のうえ、専門家への相談を推奨します。

  1. https://www.reuters.com/world/india/india-talks-with-mexico-over-tariffs-threatening-2-billion-exports-2025-12-15/
  2. https://timesofindia.indiatimes.com/business/india-business/trade-talks-india-mexico-open-dialogue-to-blunt-tariff-shock-preferential-pact-on-the-table/articleshow/125976849.cms
  3. https://www.reuters.com/business/retail-consumer/mexicos-senate-approves-tariff-hikes-chinese-other-asian-imports-2025-12-11/
  4. https://www.aa.com.tr/en/americas/mexican-senate-approves-up-to-50-tariffs-on-imports-from-china-asian-nations/3768289
  5. https://financialpost.com/news/mexico-50-tariffs-chinese-asian-imports
  6. https://tradingeconomics.com/india/exports/mexico
  7. https://table.media/en/china/news-en/mexico-import-tariffs-against-china-and-other-asian-countries
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  10. https://gmk.center/en/news/mexico-approves-tariff-increases-on-chinese-and-other-asian-imports/
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  14. http://itj.dgciskol.gov.in/hsLagNXcDNZLrfxnFiuzppuA3ckWhBLyT8a0cJ41.pdf
  15. https://www.businesstoday.in/india/story/india-mexico-trade-faces-new-headwinds-amid-threat-of-up-to-50-tariff-on-asian-goods-506267-2025-12-11
  16. https://www.newindianexpress.com/business/2025/Dec/12/mexico-to-impose-up-to-50-tariff-on-indian-exports
  17. https://www.reuters.com/business/tariffs/
  18. https://www.facebook.com/etnow/posts/50-tariff-india-engaged-with-mexico-over-unilateral-hike-fta-talks-soon-read-/1274343104724591/
  19. https://timesofindia.indiatimes.com/business/india-business/trade-deficit-narrows-november-deficit-drops-to-24-53-billion-compared-to-41-68-billion-in-october-check-details/articleshow/125974431.cms
  20. https://tradingeconomics.com/mexico/imports/india

メキシコ関税法改正:2026年1月施行へ――電子通関ファイルと罰則強化で「見える化」される貿易実務


1. 何が起きたのか:19年の大改正、2026年1月から本格スタート

2025年11月19日、メキシコ政府は官報(Diario Oficial de la Federación)で「関税法(Ley Aduanera)の改正・追加・削除」を定める大きな政令を公布しました。対象条文はなんと113条に及びます。(info.expeditors.com)

この改正は、

  • 2026年1月1日に原則施行
  • 一部の条文は施行後1か月または3か月後に段階的に適用

というスケジュールになっています。(dlapiper.com)

改正の狙いとして、各種解説では共通して次の点を挙げています。

  • 通関手続のデジタル化・トレーサビリティの徹底
  • 税関当局(SAT・ANAM)の統制強化と税収拡大
  • 密輸・過少申告・虚偽原産地証明など「huachicol fiscal(税の抜け穴)」への対策 (GPF ASESORIA DE NEGOCIOS)

日本企業にとっては、「関税率が上がる」話ではなく、通関実務の管理・証憑・ITシステムが一気に重くなる改正と理解するのが出発点です。

なお、日本語で「メキシコ関税法」と呼ばれることが多い法律は、ここでいう**「Ley Aduanera(税関法)」です。
別に
関税率表を定める「一般輸入・輸出税法(LIGIE)」の改正案(約1,400品目の関税引き上げ)は、今回とは別トラック**で進んでおり、後述のとおり審議が先送りされています。(dlapiper.com)


2. 改正の3つの柱

2-1. 電子通関ファイルの中身が激変:契約書・支払証憑まで必須に

今回の改正で、電子通関ファイル(expediente electrónico aduanero)に保管すべき資料の最低要件が、質・量ともに大きく引き上げられました。

KPMG や各種法律事務所の解説では、以下のような書類が**「最低限」**求められるとされています。(KPMG)

  • インボイス、B/Lなど従来の通関書類に加え
  • 電子税務証憑(CFDI)
  • 国内輸送用のCFDI+Carta Porte補完(車両・ルート・ドライバー情報を含む)(alvarezandmarsal.com)
  • 送金明細・銀行振込記録
  • 保険料・運賃・その他通関関連コストの支払証憑
  • 売買・委託加工・リースなど関連契約書一式
  • 価値申告・バリュエーション分析(Transfer Pricing との整合が問われる部分)

さらに、通関ファイルと在庫管理システム・監視カメラ・トラッキング情報を連動させた「統合電子システム」の義務化が、保税蔵置場やRFE(Recinto Fiscalizado Estratégico)などにも課されます。これらのシステムには、税関当局がリモートで常時アクセスできることが要求されています。(GPF ASESORIA DE NEGOCIOS)

👉 日本企業への含意

  • 「インボイス+パッキングリストさえあれば通関できる」という世界は終わりに近づいている
  • メキシコ子会社の会計・契約・物流情報を、通関ファイルに一元紐づける体制が必要
  • 日本本社側も、契約スキームや価格決定ロジックを説明できる形で文書化しておかないと、監査で突かれやすくなる

2-2. 通関業者(ブローカー)・倉庫・物流事業者への規制強化

(1) 「一生モノ」だった通関士ライセンスが20年更新制+3年ごとの認証に

これまで、メキシコの通関業者(agente aduanal)は、実務上「終身ライセンス」とも言える形で活動してきました。
しかし改正後は、以下のように制度が大きく変わります。(GPF ASESORIA DE NEGOCIOS)

  • 通関士ライセンスの有効期間:20年(同期間の更新可)
  • ライセンスは個人的かつ譲渡不可
  • 3年ごとの技術認定(試験・更新)が義務化
  • 公職にある者は、通関士ライセンスを取得・維持できない
  • 繰り返しの違反や重い犯罪での訴追・起訴で、停止・取消のリスクが大幅増

さらに、これまで存在した**「荷主が虚偽情報を出した場合はブローカーは免責」という条項が削除**され、
荷主の誤った申告に対しても、通関業者が連帯責任を負う方向に転じています。(alvarezandmarsal.com)

>その結果、通関業者は「自分を守るために、荷主へのデューデリジェンスと社内監査を強化せざるを得ない」と各所で指摘されています。(dlapiper.com)

(2) 倉庫・保税区画へのハイレベルなシステム要件

保税蔵置場やRFEなどの施設については、電子在庫管理・ビデオ監視・リアルタイム追跡などのシステム導入が、許可要件として明文化されます。(GPF ASESORIA DE NEGOCIOS)

  • 税関電子システムとの相互接続(インターオペラビリティ)
  • 当局への24時間リモートアクセス
  • 物流・在庫データと通関ファイルの一致性

を求められるため、IT投資なしに倉庫ビジネスを続けることは難しくなります。

(3) 物流・ECオペレーターにも直接規制

Expeditors のまとめによれば、改正は以下のようなプレイヤーにも直接影響を与えます。(info.expeditors.com)

  • 輸入貨物を保管する一般倉庫
  • 航空・宅配便などのクーリエ事業者(簡易通関スキームの明文化)
  • 越境ECプラットフォーム(登録義務や上限の見直し)

👉 日本企業への含意

  • ブローカー側がリスクを嫌い、書類の要求水準や質問のレベルが一段と厳しくなる
  • 「今まで付き合いでやってくれていた」ブローカーが、リスクの高い貨物の取扱いを断る可能性も
  • メキシコ側の倉庫・3PLに対し、システム要件・コンプライアンス状況を確認するデューデリジェンスが必要

2-3. 罰則・税務リスクの大幅強化

関税法そのものに加え、連邦税法典(Código Fiscal de la Federación)の改正もセットで行われ、
密輸・脱税・虚偽申告に対する行政・刑事リスクがかなり強化されています。(dlapiper.com)

代表的なポイントは以下の通りです。

  • 制限品・禁止品の輸入や、非関税措置(NOM・衛生規制・許可等)の不履行に対して
    貨物価値の250〜300%に相当する罰金が科され得る(dlapiper.com)
  • 価値申告(Manifestación de Valor)や電子価格証明(COVE)での誤り
    ⇒ 1件あたり約29,000〜53,500ペソの罰金(約25〜45万円規模)(alvarezandmarsal.com)
  • ラベリング違反、申告住所に貨物が存在しない場合など、新たな差押え(embargo)事由が追加(alvarezandmarsal.com)
  • FTA上の特恵関税を不正に得るための虚偽原産地証明について、
    税法典上の**「脱税」「虚偽申告」等の刑事リスク**が明確化(dlapiper.com)

👉 日本企業への含意

  • RCEP・日メキシコEPA・USMCA原産地証明などをメキシコ側が利用する場合、
    日本本社が出すサプライヤー証明や原産地情報に虚偽・過失があると、メキシコ側で刑事リスクに直結する可能性
  • 移転価格税制のみならず、関税バリュエーションの整合性が、これまで以上に重要な経営課題になる

3. IMMEX・RFEなど製造優遇スキームへの直撃

今回の改正は、単なる「通関ルール改正」にとどまらず、IMMEX・RFEといった製造優遇スキームに特に厳しいメッセージを発しています。(dlapiper.com)

3-1. RFE(Recinto Fiscalizado Estratégico)

  • RFEへの貨物導入にあたり、関税保証口座や信用状による保証義務を明文化(dlapiper.com)
  • 貨物の加工・保管・分配等を行う場合、実際に工程が行われたことを示す技術・会計資料を保持しなければならない
  • RFEが港・税関と隣接していない場合、認定された「認定商業パートナー(socio comercial certificado)」のみが輸送・通関を実施可(dlapiper.com)

3-2. IMMEX(マキラ)企業

  • IMMEX間の移転取引について、**拡張版の通関ファイル(Article 59 V)**を作成・保管する義務
    • 通常の通関書類に加え、工程資料・原材料使用実績・会計記録などを含めて一体管理 (dlapiper.com)
  • 在庫管理・工程トレーサビリティ・リモート監査に対応できるシステム導入が必須

DLA Piper は、これらの改正を踏まえ、2026年にメキシコの貿易税収が約1517億ペソから2547億ペソに増加するとの政府見通しを紹介しており、その相当部分が監査・検査強化による追加徴収と見られています。(dlapiper.com)

👉 日本企業への含意

  • メキシコでの組立・加工拠点(マキラ・IMMEX工場)を持つ企業は、最優先で影響分析が必要
  • 工場内の在庫管理・実績データと、通関データ・会計データの**「三位一体」管理**が求められる
  • RFEを活用した在庫バッファ・再輸出スキームは、保証や証憑負担の増加を前提に再設計すべき段階

4. 「関税率引き上げ法案(LIGIE改正)」との関係

今回の関税法(Ley Aduanera)改正とは別に、メキシコ政府は一般輸入・輸出税法(LIGIE)の大改正案も提出しています。

  • 1,463の関税分類を改正し、主にFTAのない国(中国など)からの輸入品に35%前後の高関税を課す構想(Eje Central)
  • しかし、このLIGIE改正案は、議会での審議が先送りされ、現行会期末の2027年8月31日まで棚上げされる可能性があるとDLA Piperは指摘しています。(dlapiper.com)
  • とはいえ、大統領は緊急権限に基づき個別に関税を引き上げる権限を維持しており、完全にリスクが消えたわけではありません。(dlapiper.com)

したがって、

  • 「2026年1月に変わるのは主に手続と罰則」
  • 「関税率そのものの大幅引き上げ(LIGIE改正)は、別の政治日程で動き続けている」

という二重の時間軸でメキシコリスクを見ておく必要があります。


5. 日本企業が今からやるべき5つのチェックポイント

最後に、日本のビジネスマンの視点で、2026年1月までに最低限チェックしたいポイントを整理します。

5-1. メキシコ側の「電子通関ファイル」体制の棚卸し

  • メキシコ法人がどの程度、
    • CFDI+Carta Porte
    • 契約書・見積り・支払証憑
    • バリュエーション資料
      一元的に保管・紐づけできているかを確認
  • ERP・WMS・TMS と通関システムが「バラバラ」になっている場合、
    2025年のうちに統合作業をどこまで進められるかが勝負

5-2. 通関ブローカーとの関係性の再構築

  • 改正後は、ブローカーも自らのライセンスを守るために保守的になります
  • 現在取引しているブローカーに対し:
    • 改正関税法への対応方針
    • 必要書類の増加や、質問項目の変化
    • 社内監査(due diligence)の頻度
      事前にすり合わせておくことが重要です

5-3. IMMEX・RFE利用スキームの総点検

  • 工場の在庫・工程データと通関データが、
    「いつでも監査対応できるレベル」でリンクしているかを確認
  • RFE利用を検討・利用中の企業は、
    • 保証口座・信用状のコスト
    • 限定された輸送業者・通関業者の利用制約
      を考慮してビジネスケースの再計算が必要です

5-4. 原産地証明・バリュエーションのガバナンス強化

  • 日本本社が発行する
    • サプライヤー証明
    • 原産地証明用の情報
    • 移転価格ポリシー
      が、メキシコでの通関・税務監査に耐えうる文書になっているか再点検
  • 特に、虚偽原産地証明に対する刑事リスクが明確化されたため、
    FTA/EPA対応部門と税務・コンプライアンス部門の連携が必須です。(dlapiper.com)

5-5. メキシコを「低コスト拠点」とだけ見ない

  • 改正は明らかに、「税関・税務コンプライアンスが重い国」としてのメキシコを前提にした制度設計です
  • 中国+1、USMCA向け生産拠点としての魅力は依然高いものの、
    「安い・緩いからメキシコ」という発想は通用しなくなるタイミングと言えます

6. まとめ:2026年のメキシコは「通関DX+監査強化」元年

  • 2025年11月19日に公布された関税法改正は、113条を一気にいじる大規模な制度変更であり、
    2026年1月1日から本格施行されます。(info.expeditors.com)
  • 中心テーマは
    • 電子通関ファイルとITシステムの義務化・高度化
    • 通関業者・倉庫・IMMEX/RFEへの規制強化
    • 罰則・刑事リスクの大幅引き上げ
      であり、実務の透明性と当局の監視能力を一気に高める内容です。
  • 関税率そのものをいじるLIGIE改正案(約1,400品目の高関税化)は、
    議会で先送りされたとはいえ、政治状況次第で再浮上し得るリスクとして残っています。(dlapiper.com)

日本企業としては、

「関税率はまだ上がっていないから安心」ではなく、
「通関・税務コンプライアンスの管理レベルを2026年仕様に引き上げる」

という発想で準備を進めることが重要です。


※本記事は、KPMG、DLA Piper、Alvarez & Marsal、Mijares、Expeditors など複数の専門家レポートを比較・確認したうえで、ビジネス向けに要約したものです。個別案件への適用には、必ず現地の専門家・顧問弁護士等の助言を受けてください。(KPMG)