ファーストセールの土台となった「日商岩井(Nissho Iwai)事件」って何?

結論
サプライチェーンに「メーカー → 商社(中間業者) → 米国の買い手」という三者売買があるときでも、条件を満たせばメーカー→商社の“最初の売買価格”で関税評価してよい、と連邦巡回控訴裁(CAFC)がはっきり示した有名判決です。以後の“ファーストセール”の土台になりました。Justia Law


何が起きた?

  • 当事者と品目
    メーカー=川崎重工(日本)、中間業者=日商岩井、米国の買い手=NY州の公共交通当局(MTA)。品目は地下鉄の車両Justia Law
  • 争点
    米国税関(当時)は**「商社→MTAの価格(高い方)」で関税計算。日商岩井側は「メーカー→商社の価格(低い方)」**を使うべきと主張。Justia Law
  • 判決(1992年)
    連邦巡回控訴裁は商社→MTA価格ではなく、メーカー→商社価格で評価すべきと判断し、下級審(CIT)の判断を覆しました。Justia Law

何を基準にしたの?(“Nisshoテスト”)

判決は、最初の売買価格を使える条件を整理しました。要はこの3点です:

  1. 米国向けに明確に仕向けられている(clearly destined for the U.S.)
  2. **真正な売買(bona fide sale)**がある
  3. アームズレングス(関連者間でも価格が歪んでいない)
    これらを満たすとき、メーカー→中間業者の価格を取引価格(transaction value)として採用できる、と明記しています。Justia Law

その後、実務ではどう運用されている?

  • 財務省決定 T.D. 96-87CBP裁決が、Nisshoの考え方を具体化。
    「インポーター申告価格が原則」だけど、上の3条件を書面で立証できれば**“ファーストセール”が使える**、という運用が確立。必要書類は契約/PO/各段のインボイス・支払証跡/B/Lなど完全なペーパートレイルCustoms Mobile
  • CBPの**インフォームド・コンプライアンス(ICP)でも、“真正な売買”と“米国向け売買”**の確認ポイントが案内されています。U.S. Customs and Border Protection

ビジネス目線での要点

  • イメージ
    メーカー(日本) → 商社(海外) → 米国輸入者
    ↑この左側の最初の価格で評価できれば課税ベースが下がる関税コストが下がる。ただし3条件+証憑がカギ。Justia LawCustoms Mobile
  • 実務Tip:三者でNDA→書類共有→数SKUで試行照会対応の型を作って横展開。CBPはケースバイケースで見るので、書類の厚みが成否を分けます。Customs Mobile

米国輸入で関税を削減する「ファーストセール」ルール

米国への輸入ビジネスで関税コストを合法的に削減できる手法をご存知でしょうか?「ファーストセール(First Sale)」という制度を活用すれば、関税の計算基礎となる価格を下げることで、実質的な関税額を削減できます。

ファーストセールとは?

基本的な仕組み

通常の輸入では、サプライチェーンに複数の売買が存在します:

メーカー → 中間業者 → 米国輸入者

一般的には最後の売買価格(中間業者→輸入者)が通関価格となりますが、ファーストセールルールを適用すると、最初の売買価格(メーカー→中間業者)を通関価格として使用できます。

削減効果の例:

  • メーカー価格:$80
  • 中間業者への販売価格:$100
  • 関税率:10%

通常の場合:$100 × 10% = $10の関税
ファーストセール適用:$80 × 10% = $8の関税($2/個の削減)

適用に必要な3つの条件

1. ボナファイド(真正)な売買であること

  • 所有権と危険負担の実質的な移転
  • 対価の授受が実際に行われている
  • 委託販売(コンサインメント)は対象外

2. 米国向け輸出のための売買であること

  • 売買時点で米国向けが明確に特定されている
  • 仕様書や梱包に米国向けの記載がある

3. アームズレングス価格(本来利害関係のある国外企業の当事者間(独立企業間)取引で成立すると認められる価格)であること

  • 関連者間でも価格が関係性に左右されていない
  • 通常の市場価格と同等である

この考え方は「Nissho Iwai」判決以降、CBP(米国税関国境警備局)のガイダンスにも明記されており、確立された制度となっています。

実務での導入手順

ステップ1:対象商品の選定と効果試算

優先順位の付け方:

  • 価格差が大きい商品
  • 関税率が高い商品
  • 取引量が多い商品

これらの要素から削減効果を試算し、インパクトの大きいものから着手します。

ステップ2:取引スキームの可視化

確認すべきポイント:

  • 各段階のインコタームズ
  • 所有権移転のタイミング
  • 危険負担の移転時点
  • 商品の物流ルート(直送か迂回か)

フローチャートを作成し、売買の実態を明確にします。

ステップ3:3条件のセルフチェック

必要な証憑の例:

  • 発注書(P/O)、請求書、支払い証跡
  • 売買契約書
  • 船荷証券(B/L)
  • 所有権・危険負担に関する条項
  • 米国向けであることを示す書類

ステップ4:エビデンス収集の徹底

CBPは「取引の完全な紙のトレイル(一つの取引に関連するすべての書類や記録を時系列順に整理した文書の記録のこと)」を重視します。以下の書類を体系的に整理:

  • 購買発注書(P/O)
  • 売買契約書
  • インボイス
  • 支払い証跡
  • 出荷書類一式
  • 社内往来文書
  • ロイヤリティやアシスト情報(該当する場合)

ステップ5:申告時の適切な表示

First Saleで申告する品目には、CBP Form 7501またはACEシステムの行レベルで「F」インジケーターを付与する必要があります。

ステップ6:パイロット運用からSOP(標準作業手順書)化へ

  1. パイロット段階:影響の大きい数品番で試行
  2. 検証段階:CF-28(情報提供要求)への対応体制構築
  3. 展開段階:問題がなければ全社展開
  4. 定着化:年次でエビデンスの棚卸しと見直し

ステップ7:事前教示の活用(必要に応じて)

不確実性が高い案件では、Part 177に基づく事前教示(バリュエーション)を取得し、当局の見解を確認してから本格導入することも可能です。

制度の信頼性と最近の動向

法的根拠の確立

CBPの公式ガイダンス「Bona Fide Sales and Sales for Exportation to the United States」により、要件と考え方が明確に整理されています。

Meyer事件による明確化(2024年)

最近の「Meyer」事件では、連邦巡回区控訴裁判所が重要な判断を示しました:

  • 「非市場経済国だから一律不可」という過剰な要件は不適切
  • 本質は関係者間で価格が歪んでいないかの検証
  • 適切な証拠があれば、中国製品でも適用可能

導入時の注意点とリスク管理

よくある課題

1. サプライヤーの協力確保

  • メーカーの原価・利益情報の開示が必要
  • NDA(秘密保持契約)の締結が重要

2. エビデンス不備による否認リスク

  • 不十分な証憑は否認の原因に
  • 事前の準備と整理が必須

3. 申告実務の負荷増大

  • 「F」インジケーターの管理体制
  • 社内SOPの整備と教育

4. 監査・照会への対応体制

  • CF-28/CF-29への迅速対応
  • 合理的注意(reasonable care)の証明

5. 誤適用の防止

  • 委託販売は対象外
  • 売買の実態確認が重要

まずは何から始めるべきか

初期アクションプラン

  1. 優先度設定:価格差×関税率×取引量で対象品を選定
  2. 関係者調整:三者間でNDAを締結し、情報共有体制を構築
  3. 小規模試行:パイロット品目でFirst Sale申告を実施
  4. 体制整備:照会対応テンプレートとSOPを準備
  5. 段階的展開:成功事例を基に適用範囲を拡大

まとめ

ファーストセールは、適切に活用すれば大幅な関税削減を実現できる強力なツールです。ただし、成功のカギは徹底した証憑管理CBPの要求への対応体制にあります。

リスクを適切に管理しながら段階的に導入することで、持続可能なコスト削減を実現できるでしょう。特に、取引量が多く、サプライチェーンに複数の売買が存在する企業にとっては、検討する価値が十分にあります。

重要なのは、これが「抜け道」ではなく、CBPが認める正当な評価方法であるという点です。適切な要件を満たし、透明性を保って運用すれば、安心して活用できる制度なのです。

2025年8月8日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

国名関税率出所備考
日本15%(Reuters)既存税率15%以上品目への“積み上げ課税”を巡り日米で解釈対立(日本は回避、米国は適用余地)
欧州連合(EU)15%上限(既存15%以上は追加0%)(The White House)“no stacking” 条項を明文化
イギリス10%(ガーディアン)発効90日後に再協議予定
カナダ35%(ポリティコ)USMCA原産品は免除、第三国経由品には+40%の迂回防止課徴金
メキシコ25%(Al Jazeera)交渉継続のため25%を90日間据え置き
韓国15%(The White House)KORUS優遇なし、自動車等すべての品目対象
中国10%(暫定)→30%*(Al Jazeera)*8月12日まで10%、協議失敗時30%へ引上げ
インド50%(Bloomberg.com)既存25%+ロシア産原油問題で追加25%(21日猶予後発効)
ブラジル50%(Reuters)ボルソナロ訴追への報復とされ、WTO協議を要請
スイス39%(The White House)時計・精密機械産業に打撃
オーストラリア10%(ガーディアン)ベースラインのみ、増税回避
南アフリカ30%(The White House)鉱物・医薬品は一部除外
インドネシア19%(The White House)日米欧と並び枠組み合意済み
ベトナム20%(The White House)
フィリピン19%(The White House)
マレーシア19%(The White House)
台湾20%(The White House)中国圧力に配慮し個別レート設定
タイ19%(The White House)
トルコ15%(The White House)デジタル課税(DST)問題で追加措置の可能性
イスラエル15%(The White House)

補足

  • EU以外は「相互関税」を既存MFNに“上乗せ”する仕組みです。日本は「上乗せしない」と主張する一方、米国実務は依然不透明なため留意してください。
  • 中国の10%→30%移行やインドへの追加25%など、時限・条件付きの引上げが含まれます。実務適用前に HSコード単位で連邦官報・CBP通達を必ず確認してください。

日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”


日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”

2025年8月時点の最新状況

8月7日、米国は日本製品に対し15%の相互関税を発動しました。これに対し日本政府は「合意内容と異なる」と強く反発し、貿易摩擦が再燃する懸念が高まっています。


日本の立場:合意不履行への強い懸念

  • 合意の前提
    • 既存関税が15%以上の品目には新たな相互関税を課さない
    • 15%未満の品目は、既存関税と合わせて**上限15%**に抑える
  • 問題点
    米国の大統領令にはこの「上限」規定が反映されておらず、一部品目で実質的に15%超となる恐れが浮上。
  • 日本政府の対応
    • 「認識に齟齬はない」としつつ、米国に即時是正を要求
    • 閣僚レベルを含むあらゆる外交ルートで交渉を継続

米国の立場:貿易赤字是正が最優先

  • 基本方針
    対日貿易赤字の縮小が最重要課題。相互関税はその“圧力装置”と位置付け。
  • 追加関税の例
    鉄鋼・アルミ製品に**最大50%**の関税を課すなど、強硬姿勢を維持。
  • 優先順位
    「公平な取引」と赤字是正が大局的目標。合意細部よりも結果重視の姿勢が色濃い。

まとめ:交わらない優先順位

  • 日本:ルールに基づく合意履行を最重視
  • 米国:貿易赤字削減という結果を最優先
  • 不安定要因
    日本は法的整合性と手続きの正当性を訴え、米国は国内政治・経済のニーズを背景に“力の外交”を展開。両者の立場の隔たりが、今後の日米貿易関係を揺さぶる火種となっています。

2025年8月7日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は 2025 年 8 月 7 日時点 で公表・報道されている最新「相互関税」一覧を、8 月 6 日の追加大統領令による インドへの+25 % 制裁関税(8 月 27 日発効予定) を反映して更新したものです。フォーマットは昨日までと同一です。基礎データは 7 月 31 日付大統領令 Annex I と、8 月 6 日付「Addressing Threats to the United States by the Government of the Russian Federation」を引用しています。The White House+1

国名関税率出所備考
アフガニスタン15%同上2025-08-07 発効
アルジェリア30%同上同上
アンゴラ15%同上同上
バングラデシュ20%同上同上
ボリビア15%同上同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%同上同上
ボツワナ15%同上同上
ブラジル10%同上同上
ブルネイ25%同上同上
カンボジア19%同上同上
カメルーン15%同上同上
チャド15%同上同上
コスタリカ15%同上同上
コートジボワール15%同上同上
コンゴ民主共和国15%同上同上
エクアドル15%同上同上
赤道ギニア15%同上同上
欧州連合(Column 1 Duty Rate ≥ 15 %)0%同上Column 1 Duty Rate が15 %以上
欧州連合(Column 1 Duty Rate < 15 %)15 % − Column 1 関税同上Column 1 Duty Rate が15 %未満
フォークランド諸島10%同上同上
フィジー15%同上同上
ガーナ15%同上同上
ガイアナ15%同上同上
アイスランド15%同上同上
インド25 % → 50 %(2025-08-27 発効)EO (2025-07-31) Annex I + EO (2025-08-06)追加25 %はロシア産原油制裁関税。21 日後発効で合計50 %
インドネシア19%同上2025-08-07 発効
イラク35%同上同上
イスラエル15%同上同上
日本15%同上同上
ヨルダン15%同上同上
カザフスタン25%同上同上
ラオス40%同上同上
レソト15%同上同上
リビア30%同上同上
リヒテンシュタイン15%同上同上
マダガスカル15%同上同上
マラウイ15%同上同上
マレーシア19%同上同上
モーリシャス15%同上同上
モルドバ25%同上同上
モザンビーク15%同上同上
ミャンマー40%同上同上
ナミビア15%同上同上
ナウル15%同上同上
ニュージーランド15%同上同上
ニカラグア18%同上同上
ナイジェリア15%同上同上
北マケドニア15%同上同上
ノルウェー15%同上同上
パキスタン19%同上同上
パプアニューギニア15%同上同上
フィリピン19%同上同上
セルビア35%同上同上
南アフリカ30%同上同上
韓国15%同上同上
スリランカ20%同上同上
スイス39%同上同上
シリア41%同上同上
台湾20%同上同上
タイ19%同上同上
トリニダード・トバゴ15%同上同上
チュニジア25%同上同上
トルコ15%同上同上
ウガンダ15%同上同上
英国10%同上同上
バヌアツ15%同上同上
ベネズエラ15%同上同上
ベトナム20%同上同上
ザンビア15%同上同上
ジンバブエ15%同上同上

補足・解説

  • インドのみ変更
    • 8 月 6 日付 EO により 追加 25 % が課され、合計 50 %(25 % [相互関税]+25 % [制裁関税])となります。発効は 2025-08-27 0:01 EDT。経過措置として、同時刻以前に最終輸送モードに乗った貨物は 9 月 17 日まで旧税率が適用。The White House
  • その他の国・地域
    • 7 月 31 日 EO Annex I 以降、現時点では追加改訂なし。相互関税未掲載国には追加 10 % が適用される点に変更ありません。The White House

HS Code Finderの使い方:意見が違う場合のその理屈づけを理解する

スマートリングのHSコードの見解が国によって違っています。最新の商品なのでそういうこともありますが、違う場合に、その論点を明らかにすることができるのはうれしいです。

ご指摘のとおり、スマートリングのような新しい技術を使った製品は、国や地域によってHSコードの解釈が異なる場合があります。これは、製品のどの機能を「本質的な特性」と見なすかについて、各国の税関で見解が分かれる可能性があるためです。

現状をまとめると、主に以下の2つのHSコードが候補となり、地域によって判断が異なっています。


考えられるHSコードと各地域の傾向

候補1:HSコード 8517.62

  • 分類: データ通信用の機器(音声、画像その他のデータを送受信・変換するための機器)
  • 考え方: スマートリングを、スマートフォンと連携してデータを送受信する「通信デバイス」として捉える見方です。通知の表示、音楽の操作、NFC決済などの機能が重視される場合、この分類になる可能性が高まります。
  • 該当する地域: 欧州(EU)で有力な候補
    • EUでは、同様のウェアラブルデバイスである「スマートウォッチ」が、通信機能を理由にこの8517.62に分類される傾向が強いです。スマートリングについても、双方向のデータ通信機能があれば、同様に分類される可能性が高いと考えられます。

候補2:HSコード 9031.80

  • 分類: 測定用・検査用の機器(他の項に該当しないもの)
  • 考え方: スマートリングを、心拍数や睡眠、活動量などの生体データを「測定・検査するセンサーデバイス」として捉える見方です。通信はあくまで測定データを転送するための補助的な機能と解釈されます。
  • 該当する地域: 米国で分類実績あり
    • 先日お伝えした通り、米国税関は「Samsung Galaxy Smart Ring」について、複数の機能(測定、通信など)のうち、解釈通則3(c)(等しく考慮に値する項のうち、数字上の配列で最後に来る項に分類する)を適用し、この9031.80に分類しました。

比較まとめ

HSコード (Code)分類の根拠となる機能判断する可能性のある地域・根拠
8517.62通信機能を重視EUで有力。 スマートフォンからの通知受信や、双方向のデータ連携が主機能と判断される場合。
9031.80測定・検査機能を重視米国で実績あり。 主に生体データを記録・測定するセンサーとしての役割が主機能と判断される場合。

結論と日本での対応

現時点では、日本の税関がどちらの解釈を採用するかを示す公的な分類事例(事前教示)は見当たりません。

そのため、日本に輸入する際のHSコードは、製品の具体的な機能(NFC決済や通知機能の有無など)を税関に提示し、どちらのHSコードが妥当か判断を仰ぐ必要があります。

【最も確実な対応】

このような解釈が分かれる製品については、輸入前に日本の税関へ事前教示の照会を行うことを強くお勧めします。これにより、輸入申告前に正しいHSコードと関税率が確定するため、後々のトラブルを避けることができます。

AIを使ったHS Code Finder システム:スマートリングに関して調べてみた

現在、HSコードを特定するAIモデルを作っています。

せっかくですので、モデルの一例とその結果について皆さんに見てもらおうと思います。

AI: PerplexityでAIエンジンはChatGPTのo3-proを使ってモデルを構築

特定する商品:「スマートリング」という言葉で検索。スマートリングとはこのような商品。(写真は判断材料にしていない)

結果は以下の通り。

スマートリングのHSコード推定結果

推定HSコード: 8517.62

HSコードの詳細説明

スマートリングは、**第85類(電気機器及びその部分品)85.17項(電話機、携帯回線網用その他の無線回線網用の電話及びその他の機器)**に分類される可能性が最も高いと推定されます123。

具体的には、8517.62(音声、画像その他のデータを受信、変換、送信又は再生するための機器)に該当すると考えられます。この分類は、スマートリングが持つ以下の機能特性に基づいています:

主要機能と分類根拠

通信・データ処理機能

  • Bluetooth通信によるスマートフォン連携
  • データの送受信・同期機能
  • 通知機能(振動アラート等)

センサー機能

  • 心拍数モニタリング
  • 体温測定
  • 睡眠追跡
  • 活動量計測(歩数、消費カロリー)
  • 血中酸素濃度測定(SpO2)

分類上の争点

スマートリングの分類については、以下の可能性があり議論の余地があります:

  1. 85.17項(通信機器) – データ通信・処理機能が主要な場合
  2. 90.19項(その他の治療用機器) – 健康モニタリング機能を医療機器として捉える場合
  3. 71.17項(身辺用模造細貨類) – 装飾品としての側面(ただし電子機器のため可能性は極めて低い)

現在の国際的な分類傾向では、スマートリングの多機能性とデータ通信機能の重要性から、スマートウォッチと同様に85.17項に分類されることが一般的です12。

追加情報の必要性

より正確なHSコード判定のため、以下の情報があると精度が向上します:

  • 具体的な機能仕様(搭載センサーの詳細)
  • 通信方式(Bluetooth、NFC等の対応規格)
  • 主要な用途(健康管理中心/フィットネス中心/通知機能中心)
  • 素材・構造(リング本体の材質、防水性能等)
  • 電源方式(充電式/電池交換式)

類似製品との分類比較

スマートリングは、スマートウォッチやフィットネストラッカーと同様の機能を持つため、これらと同じ分類基準が適用される傾向があります3。ただし、形状や装着部位の違いは分類には影響しません。

推定精度:60%

この推定精度は、スマートリングという比較的新しい製品カテゴリーであること、また具体的な機能仕様により分類が変わる可能性があることを考慮しています。最終的な確認は、製品の詳細仕様を基に税関当局への事前教示照会をお勧めします。

  1. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/1fa0e9f5-6d79-43ff-ab8b-10c4cfd4898d/HSkoto-20221226-HSkotoFu-Fan-noJi-Chu-FFTAkonsaruteinku-Gu-Chuan-Shi.pdf
  2. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/2d9e3888-443f-4818-91f9-09744677de62/hainta1.pdf
  3. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/8afb091c-abf7-403f-bf09-e0d61e024c18/20250729_Yuan-Chan-Di-Gui-Ze-toPin-Mu-Fen-Lei.pdf
  4. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/a3cde781-612f-4951-9ec3-63ff5ff0bc5b/Ri-Ben-Guan-Shui-Xie-Hui-20121005-HSShang-Pin-intetukusu.pdf
  5. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/e1ebf537-8530-4e95-98e2-ca56ef2d5802/HS-Ji-Jie-Lei-noBu-Fen-Pin.pdf
  6. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/ca8da24d-3b03-4f9f-b290-7e676286fb9b/HSGuan-Shui-Lu-Biao-noJie-Shi-niGuan-suruTong-Ze-Chang-Lai-Tou-SMALL.pdf
  7. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/6003745f-16c4-4a0b-b128-6b9fc7699964/International-Regulations.pdf
  8. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/f4dd2ad4-4bbd-471b-8599-c720063b9d22/Shui-Guan-20250622-Guan-Shui-noShuo-Ming.pdf

この結果を皆さんはどう思われますか。

モデルの校正としては、与えられた文言で推定したHSコードとその推定精度も示しています。


そして、AIをClaude Opus 4.1 Thinkingに切り替えて再度チャレンジ。(枠組は、Perplexityのまま)

結果はこちら

スマートリングのHSコード推定結果

推定HSコード: 8517.62

HSコードの詳細説明

スマートリングは、**第85類(電気機器及びその部分品)85.17項(電話機、携帯回線網用その他の無線回線網用の電話及びその他の機器)**に分類される可能性が最も高いと推定されます。

具体的には、**8517.62号(音声、画像その他のデータを受信、変換、送信又は再生するための機器)**に該当すると考えられます。

分類の根拠

主要機能による分類判断

  • データ通信機能:Bluetooth、NFCによるスマートフォンとの連携
  • センサーデータ処理:心拍数、体温、睡眠パターン、活動量の測定・記録
  • 通知機能:振動による着信・メッセージ通知

国際的な分類傾向

  • WCO(世界税関機構)のウェアラブルデバイス分類指針
  • 類似製品(スマートウォッチ、フィットネストラッカー)の分類事例

分類上の争点と代替可能性

HSコード候補項目名適用可能性
8517.62通信機器(データ送受信機器)最有力 – 通信・データ処理が主機能
9019.20治療用機器(オゾン吸入器、酸素吸入器等)医療機器認証取得品の場合のみ検討
9018.90その他の医療用機器診断・治療目的が明確な場合
7117.19身辺用模造細貨類電子機能により該当しない

より正確な判定のための追加情報

HSコードの精度向上のため、以下の情報があると有用です:

製品仕様関連

  • 搭載センサーの詳細(心拍、SpO2、体温、加速度計等)
  • 通信規格(Bluetooth バージョン、NFC対応有無)
  • バッテリー仕様(充電式/交換式、連続使用時間)

用途・販売形態

  • 主要用途の明示(健康管理/フィットネス/医療用)
  • 医療機器認証の有無(各国の認証状況)
  • 製品カタログにおける機能説明

材質・構造

  • リング本体の材質(チタン、セラミック、樹脂等)
  • 防水性能(IPX等級)
  • サイズ展開と調整機能

推定の情報源

  • HS2022(最新版統一システム)の分類基準
  • 日本税関の事前教示事例
  • WCOのウェアラブルデバイス分類ガイドライン
  • 類似製品の国際分類事例

推定精度:60%

この精度評価は以下の要因を考慮しています:

  • スマートリングは比較的新しい製品カテゴリーであり、分類事例が限定的
  • 機能の多様性により、製品仕様次第で分類が変動する可能性
  • 医療用途と一般用途の境界が不明確な場合がある

最終的な確認は、具体的な製品仕様書を添えて税関当局への事前教示照会を行うことを強く推奨します。


商品的には意見が分れるようです。最後に以下の様な意見を添付します。

推定HSコード: 9031.80(第一候補)/ 8517.62(第二候補)

HSコードの詳細説明と分類の争点

Samsung Galaxy Smart Ringの分類については、実際に国際的な議論が存在しており、以下の2つの分類可能性があります:

1. 第90.31項(9031.80) – 測定用・検査用の機器

米国税関国境保護局(CBP)の公式判定では、Samsung Galaxy Smart Ringは9031.80.8085(測定用・検査用の機器、器具及び機械)に分類されています。この分類は以下の機能に基づいています:

  • 生体信号の測定機能が主要機能として認識
  • 心拍数、体温、血中酸素濃度の継続的な測定
  • 睡眠パターンや活動量の定量的測定

2. 第85.17項(8517.62) – 通信機器

一方、類似のスマートウォッチ(Samsung Galaxy Gear、Apple Watch等)は8517.62に分類される事例があり、スマートリングも同様に分類される可能性があります:

  • Bluetooth通信機能によるデータ送受信
  • スマートフォンとの連携による通知機能
  • データの変換・送信・処理機能

Samsung Galaxy Smart Ringの具体的機能

製品の実際の機能仕様に基づく分析

機能カテゴリー詳細仕様
センサー技術– 加速度センサー(身体の動きと活動を追跡)
– 光学生体信号センサー(心拍数モニタリング)
– 皮膚温度センサー(睡眠中の体温変化測定)
通信機能– Bluetooth接続によるスマートフォン連携
– データの同期と送信
– 通知の受信(振動アラート)
測定・分析機能– エネルギースコアの算出
– 睡眠の質の分析
– 月経周期トラッキング
– 自動ワークアウト検出
物理仕様– 幅7mm、厚さ2.6mm、重量2.3g
– チタニウム製フレーム
– 10ATM防水性能

分類判定の根拠と考察

9031.80を支持する要因:

  • 米国CBPの公式判定実績がある
  • 健康指標の継続的な測定が主要機能
  • センサーによる生体データの定量的測定に重点

8517.62を支持する要因:

  • Galaxy AIによるデータ処理・分析機能
  • Bluetooth通信による常時接続とデータ送受信
  • スマートウォッチと同等の多機能性

地域による分類の相違可能性

HSコードの適用は各国・地域の税関当局により異なる可能性があり:

  • 米国:9031.80.8085として分類
  • 日本・EU:8517.62として分類される可能性も

追加確認が必要な情報

より正確な判定のため、以下の情報があると有用です:

  • 輸入国・地域の指定
  • 医療機器認証の有無
  • 主要用途の明確化(健康モニタリング中心か、通信機能中心か)
  • 販売時の製品カテゴリー表記

推定精度:75%

Samsung Galaxy Smart Ringについては米国での公式分類事例(9031.80)が存在するため、一般的なスマートリングより高い確度で推定できます。ただし、日本を含む他国での分類は異なる可能性があるため、最終的には輸入予定国の税関当局への事前教示照会を強く推奨します。

FTA-BPOセミナー012 「HSコード:汎用品と専用品」

FTA-BPOセミナー012 「HSコード:汎用品と専用品」の日時が決まりました。
人気のHSコード解説、今回は汎用品と専用品に焦点を当てます。
HSコードを付番するときに悩む点、汎用品なのか専用品なのか。その難関を専門家篠崎氏が解説します

■■ 講演者 ■■
一般社団法人日本通関業連合会 講師 篠﨑 透 氏

■■ 開催日時 ■■
2025年10月15日(水) 14:00~15:00

■■ 開催場所 ■■
Webのみでの開催(Teams利用予定)

セミナーへのご参加は、実際にFTAを活用する企業に限定させていただきます。
お申し込みの後、セミナー当日午前中にご参加頂く方にリンクをお送りいたします。

■■ 申込み ■■
こちらからお申し込み下さい。

2025年8月6日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は 2025年8月6日 時点で確認できる米国「相互関税(Reciprocal Tariffs)」の最新一覧です。
基本データは 7 月 31 日付 Executive Order 添付 Annex I のレートを基礎に、8 月 1 日以降に判明した追加変更・停止措置を上書きしています。The White House
太字は前回(8 月 4 日版)から更新があった国・地域です。

国名関税率出所備考
アフガニスタン15%Annex I
アルジェリア30%Annex I
アンゴラ15%Annex I
バングラデシュ20%Annex I
ボリビア15%Annex I
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%Annex I
ボツワナ15%Annex I
ブラジル50%大統領令(7/30) ウォール・ストリート・ジャーナル基礎10%+追加40%
ブルネイ25%Annex I
カンボジア19%Annex I
カメルーン15%Annex I
チャド15%Annex I
コスタリカ15%Annex I
コートジボワール15%Annex I
コンゴ民共和国15%Annex I
エクアドル15%Annex I
赤道ギニア15%Annex I
フォークランド諸島10%Annex I
フィジー15%Annex I
ガーナ15%Annex I
ガイアナ15%Annex I
アイスランド15%Annex I
インド25%大統領令(8/1) インディアタイムズ追加引上げ検討中(8/5発言)
インドネシア19%Annex I
イラク35%Annex I
イスラエル15%Annex I
日本15%Annex I
ヨルダン15%Annex I
カザフスタン25%Annex I
ラオス40%Annex I
レソト15%Annex I
リビア30%Annex I
リヒテンシュタイン15%Annex I
スイス39%FT報道(8/6) フィナンシャル・タイムズ交渉中
マダガスカル15%Annex I
マラウイ15%Annex I
マレーシア19%Annex I
モーリシャス15%Annex I
モルドバ25%Annex I
モザンビーク15%Annex I
ミャンマー40%Annex I
ナミビア15%Annex I
ナウル15%Annex I
メキシコ―(30%課税を90日停止中)Reuters(8/5) ReutersUSMCA適用品は無税;停止期間中は追加関税なし
ニュージーランド15%Annex I
ニカラグア18%Annex I
ナイジェリア15%Annex I
北マケドニア15%Annex I
ノルウェー15%Annex I
パキスタン19%Annex I
パプアニューギニア15%Annex I
フィリピン19%Annex I
セルビア35%Annex I
南アフリカ30%Annex I
韓国15%Annex I
スリランカ20%Annex I
カナダ35%別途大統領令(7/31) ウィルマー・ヘイルフェンタニル対策名目
シリア41%Annex I
台湾20%Annex I
タイ19%Annex I
トリニダード・トバゴ15%Annex I
チュニジア25%Annex I
トルコ15%Annex I
ウガンダ15%Annex I
イギリス10%Annex I
バヌアツ15%Annex I
ベネズエラ15%Annex I
ベトナム20%Annex I
ザンビア15%Annex I
ジンバブエ15%Annex I
欧州連合(EU)0〜15%Annex I既存MFNが15%未満の場合「差額上乗せ」
その他(Annex I非掲載国)10%大統領令一律追加関税

主要アップデートの概要

運用上の注意

  1. 表は追加関税のみを示しています。基礎10%の「ユニバーサル関税」が残る場合があるため、実効税率は別途確認してください。
  2. 一部品目(鉄鋼・アルミ、自動車、自動車部品、銅など)は他の通商措置(Section 232 等)の対象であり、重複課税に注意が必要です。
  3. 政府間交渉や制裁の進展により、レートは随時変更されます。輸入実務では 最新の大統領令・連邦官報(Federal Register)CBP CSMS を必ず確認してください。