HS2022 第56類:ウォッディング、フェルト、不織布及び特殊糸並びにひも、綱及びケーブル並びにこれらの製品(Wadding, felt and nonwovens; special yarns; twine, cordage, ropes and cables and articles thereof)

用語の約束(本稿内):部=Section、類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、注=Notes(部注/類注)

第56類は、ウォッディング(詰物材)、フェルト、不織布といったシート状素材に加えて、特殊糸、ひも・綱・ロープ・ケーブル、網、そしてそれらの製品までを扱います。材料・構造・加工(塗布、被覆、積層)によって第39類(プラスチック)や第40類(ゴム)、さらに第96類(衛生用品)に飛ぶため、見た目や品名だけで決めると誤分類が起きやすい類です。

この記事は、ビジネスマンが社内で分類の初期判断をするために、どこでコードが変わるか、何の資料が必要かを実務目線で整理したものです。最終判断は税関に委ねられるため、重要案件は事前教示や専門家相談も前提にしてください。


1. まず全体像:第56類の9つの項(4桁)で地図を作る

第56類は、5601から5609までの9項で構成されています。まずは製品がどのグループに属するか(詰物材か、フェルトか、不織布か、糸か、ロープか、網か、製品か)を決めると、分類が一気に安定します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(現場での呼び名)最初に確認する分岐ポイント
5601ウォッディング及びその製品、フロック、繊維ダスト等詰綿、キルト用綿、フィルター用ロッド、フロック繊維長(フロックは5mm以下)、製品が衛生用品か
5602フェルトニードルフェルト、工業用フェルトフェルト定義(ニードル、ステッチボンディング含む)、プラやゴムでの処理状態
5603不織布スパンボンド、メルトブローン、湿式不織布、フィルター材目付(25/70/150g/㎡境界)、片面か両面かのプラ・ゴム被覆
5604ゴム糸等、ゴムやプラを被覆した糸・ストリップ等ゴム糸の被覆糸、被覆糸、被覆ストリップ被覆が肉眼で判別できるか(見えない場合は他章)
5605金属を交えた糸メタリックヤーン金属の形態(糸・ストリップ・粉)、装飾用か補強用か
5606ジンプヤーン、シェニールヤーン、ループウェールヤーンファンシーヤーン、シェニール糸糸の構造(毛羽立ち、房状、ループ構造)
5607ひも、綱、ロープ、ケーブル農業用ひも、PPロープ、係船ロープ部注の定義(デシテックス閾値)、組物かどうか
5608結び網地、漁網等の網漁網、安全ネット、虫よけネット結び網地か、製品化された網か、編み網か
5609糸・ひも・綱等の製品(他に該当しない)靴ひも、衣類用ひも、なわばしご等他の見出しに特掲がないか、除外例(42.01、59.11等)

上表の根拠は、WCOのHS2022第56章条文と、日本税関の第56類注・解説です。


2. 最重要:第56類の注(Notes)で必ず飛び先をチェックする

第56類は「注」を外すと別の類に移る代表例が多いです。実務では、見出しの前に注を読む方が早いケースが多々あります。

2-1. 注1:第56類に入らない代表例

次のようなものは第56類から除外されます。品名が不織布やフェルトに見えても、分類先が変わります。

  • 香料・化粧品、石けん・洗浄剤、磨き料、織物柔軟剤などを含浸・塗布等したウォッディング、フェルト、不織布で、繊維が単なる媒体になっているもの
    例:洗浄成分を含んだシート等は、第33類、第34.01項、第34.05項、第38.09項など側で検討が必要です。
  • 第58.11項の紡織用繊維の物品(いわゆるキルティング品など)
  • 研磨材の粉や粒をフェルトや不織布に付着させたもの(68.05)
  • 雲母をフェルトや不織布で裏張りしたもの(68.14)
  • 金属はくをフェルトや不織布で裏張りしたもの(主に第14部・第15部)
  • 生理用ナプキン、タンポン、おむつ、おむつ中敷き等(96.19)
    不織布や吸収体が主材料でも、衛生用品としての完成品は第96類に移るのが典型です。

2-2. 注3:フェルトと不織布は、プラやゴムでの処理があっても第56類に残る場合がある

56.02(フェルト)と56.03(不織布)は、プラスチック又はゴムで含浸・塗布・被覆・積層したものも含みます。さらに、56.03はプラやゴムが結合剤になっている不織布も含みます。

ただし、次の条件に当たると第39類や第40類へ移ります。ここが誤分類の最大ポイントです。

  • フェルトで、繊維重量が全重量の50%以下、またはプラ・ゴムの中に完全に埋め込まれている
  • 不織布で、プラ・ゴムの中に完全に埋め込まれている、または両面が完全にプラ・ゴムで塗布・被覆され、肉眼で判別できる
  • 多泡性プラやセルラーラバーの板・シート等にフェルトや不織布を結合し、繊維が補強目的だけで使われている

このルールは第56類注で明示されています。

2-3. 注4:56.04は、被覆が肉眼で見えないなら対象外

56.04はゴムやプラスチックで被覆した糸等を扱いますが、被覆が肉眼で判別できないものは56.04に入らず、通常は第50類から第55類や第54.04・54.05へ戻ります。色の変化だけでは被覆の有無を判断しません。


3. 5601から5603の勝負どころ:詰物材、フェルト、不織布の境界を整理する

3-1. 5601(ウォッディング、フロック等)でよくある実務用途

ウォッディングは詰物として肩当て、衣類の内張り、家具、包装材、衛生用途などに幅広く使われます。反物状や一定寸法に切ったもの、ほかに特掲のないウォッディング製品も含まれます。

5601はウォッディングだけでなく、次も含みます。

  • 長さ5mm以下の繊維(フロック)
  • 紡織用繊維のダスト、ミルネップ

実務で確認すべき資料は、繊維長(最大値を含む分布)と、製造工程(切断、粉砕、回収くずなど)です。

3-2. ウォッディングと不織布が混同される理由と見分け方

日本税関の解説では、ウォッディングの内部層は不織布より分離しやすい傾向がある一方、粘着材処理が内部層まで浸透している場合は、内部層が分離できても56.03の不織布に属し得る点が注意事項として示されています。

社内での質問例

  • 接合は何で行っていますか(熱、針、接着剤、ラテックス等)
  • 接着剤は表面だけですか、内部層まで浸透していますか
  • 目付(g/㎡)と厚みはどれくらいですか
  • 層構造(片面被覆、両面被覆、積層順序)はどうなっていますか

3-3. 5602(フェルト)と5603(不織布)の境界でつまずきやすい点

第56類注では、フェルトの定義にニードルルームフェルトと、ウェブ自体の繊維を使うステッチボンディングによる織物類を含むとされています。

日本税関の解説では、ニードルルームの製法や用途(断熱、防音など)に触れつつ、ニードリングが補助的である場合や、短繊維ウェブと長繊維ウェブをニードルした物品は不織布とみなす旨が示されています。フェルトと不織布は製法と構造の説明が必要になる典型です。

3-4. 5603(不織布)は目付で号が動く

HS6桁では、不織布は大きく次のように分かれます。

  • 人造繊維の長繊維製のもの:5603.11から5603.14(目付が25、70、150g/㎡境界)
  • その他:5603.91から5603.94(同じく目付境界)

このため、仕入先仕様書に必ず「目付(g/㎡)」を入れることが重要です。

3-5. 実務に役立つ分類例(日本税関の分類例規から)

分類の考え方が具体的に分かる例として、次が公開されています。

  • 5601.22:シガレットフィルター用のロッド(アセチルセルロース繊維を処理し紙で包んだもの)
  • 5601.30:ナイロン糸の破片(約2から6mmに切断しタイヤ補強材に使用)
  • 5603.12又は5603.13:湿式集積で製造、セルロース繊維を混合し結合剤を含浸した不織布(60から80g/㎡)
  • 5603.14:PVCシートにPP不織布の裏張りを結合したテーブルクロス(第56類注3を踏まえた整理)

分類例の読み方としては、品名よりも「構造」「工程」「数値(長さ、目付、含浸)」に着目すると、社内判断で再現しやすくなります。


4. 5604から5606:特殊糸の実務ポイント

4-1. 5604(ゴム糸等)で最初に見るべきこと

56.04は、ゴム糸やゴムコード(繊維で被覆したもの)、さらに繊維糸や54.04・54.05のストリップ等でゴム・プラスチックを含浸・塗布・被覆・シースしたものを扱います。

ただし、被覆が肉眼で判別できない場合は56.04ではなく、通常は糸として第50類から第55類、または54.04・54.05へ戻ります。ここは第56類注4で明示されています。

社内での質問例

  • 被覆は目視で分かりますか(断面写真も含む)
  • 被覆材はゴムですか、プラスチックですか
  • 被覆の範囲は全面ですか、部分ですか
  • ベースは糸ですか、ストリップですか

4-2. 5605(金属を交えた糸)は、装飾用のメタリックヤーンが典型

56.05は、繊維糸または54.04・54.05のストリップ等に、金属を糸・ストリップ・粉の形で組み合わせたものや、金属で被覆したものを扱います。

誤りが起きやすいポイント

  • 補強目的の金属線入りロープは、部注の定義により56.07扱いになる場合があります(下の5607参照)。

4-3. 5606(ジンプ、シェニール、ループウェール)は構造説明が必要

56.06は、ジンプヤーン、シェニールヤーン、ループウェールヤーンなど、構造が特殊な糸を扱います。

日本税関の解説では、シェニールヤーンの構造や、フロックを付着して得るタイプなども説明されています。外観の毛羽立ちだけでなく、製造方法や糸構造の説明があると分類が安定します。

分類例規には、手芸用の毛羽立った糸が5606.00に分類された事例があります。


5. 5607(ひも、綱、ロープ、ケーブル)の最大の落とし穴は部注の定義

5-1. 糸なのか、ひも・綱なのかはデシテックスで決まる場合がある

第11部注3では、一定の条件を満たす糸を「ひも、綱、ロープ、ケーブル」とみなす定義が置かれています。特に人造繊維は10,000デシテックスを超えると対象になります。

主な閾値(要約)

  • 絹または絹くず:20,000デシテックス超
  • 人造繊維:10,000デシテックス超(第54章の複数モノフィラメント糸なども含む)
  • 麻や亜麻:研磨や光沢加工の有無で閾値が異なる
  • コイヤ:3プライ以上
  • その他植物繊維:20,000デシテックス超
  • 金属糸で補強されたもの

ただし例外も多く、毛糸や紙糸は原則としてこの定義から外れる、56.05や56.06は除外される、などの整理が同じ部注にあります。

社内での質問例

  • 総繊度(デシテックス、テックス)はいくつですか
  • 単糸か、双糸か、ケーブルか
  • ねん糸数(m当たりのより数)はいくつですか
  • 金属補強はありますか(装飾か補強か)

5-2. 5607の対象は、よったものだけでなく組んだものも含む

56.07は、よることや組むことによって製造されるひも、綱、ケーブルを扱い、組んだものは単位長さ当たりの重量にかかわらず対象になり得ます。58.08の組ひもとの違いは、用途に適するようにち密で硬く組まれている点などで説明されています。

5-3. 5607.21と5607.41(結束用・包装用ひも)は強度要件が実務で効く

HS6桁では、サイザル等の結束用・包装用ひも(5607.21)と、ポリエチレン又はポリプロピレンの結束用・包装用ひも(5607.41)が別掲されています。

日本税関の解説では、これらが一定の切断力の最少値を満たすことを前提に説明され、サイザル等では長さ当たりの仕様から切断力を求める式、ポリエチレン・ポリプロピレンでは切断力と結び目強度の考え方が示されています。実務では、強度試験成績書や仕様(kg当たり長さなど)を確実に取るのが安全です。

5-4. 実務に役立つ分類例

分類例規では、パラフィンワックスを薄く含浸させたポリエステル糸を密に編組し、機械用のコードとして使うものが5607.50に整理された事例があります。


6. 5608(網)と5609(その他の製品)は、似たもの排除が重要

6-1. 5608は「結び網地」と「製品にした網」

56.08は、ひも・綱から作った結び網地と、製品にした漁網その他の網を扱います。結び網地は56.07のひも等から作られ、58.04のチュール等とは区別されます。

製品にした網は、漁網、安全ネット、運搬用ネット、ハンモック、虫よけ網などが例示され、リングやおもり、浮き等の付属品があっても分類に影響しない旨が説明されています。

除外として、反物状の編み網(第60類)、ヘアネット(65.05)、運動用ネット(第95類)などが挙げられています。

6-2. 5609は「糸やひも等の製品」だが、他項や他類へ逃げるものが多い

56.09は、糸、54.04・54.05のストリップ等、56.07のひも・綱・ケーブルなどの製品で、他の項に該当しないものを扱います。靴ひも、衣類用ひも、引き綱、船のフェンダー、なわばしご、皿ふき等の例が挙げられています。

一方で、手綱など(42.01)、特定機械用の一定寸法コード(59.11)、組みひもから製造された靴ひもが63.07になる例、ロープソール(64.06)など、除外も具体的に示されています。56.09は最後の受け皿なので、除外を先に潰す方が安全です。


7. よくある誤分類8選(原因と対策)

  1. 間違い:おむつや生理用品を不織布(5603)で申告する
  • なぜ起きる:材料が不織布で、見た目がシートだからです。
  • 正しい考え方:衛生用品の完成品は第96.19項として第56類から除外されます。
  • 予防策:用途と完成品かどうかを確認し、製品仕様で「衛生用品用途」「吸収体の有無」「形状」を固定します。
  1. 間違い:薬剤や洗浄成分を含浸したシートを5601や5603にしてしまう
  • なぜ起きる:基材が不織布であるためです。
  • 正しい考え方:繊維が単なる媒体となる場合は、第33類、第34類、第38類などへ移る可能性があります。
  • 予防策:含浸物の成分と機能、製品の本質(基材か薬剤か)を仕様書で確認します。
  1. 間違い:片面PVCラミネート不織布を第39類のプラスチックシートとして処理する
  • なぜ起きる:表面がプラスチックに見えるためです。
  • 正しい考え方:不織布がプラで被覆・積層されても、条件次第で56.03に残ります。両面被覆で肉眼判別できる等の条件で第39類へ移ります。
  • 予防策:両面被覆か、埋め込みか、繊維重量割合、補強目的かを確認し、断面写真と構成比を回収します。
  1. 間違い:ウォッディング(5601)と不織布(5603)を外観だけで決める
  • なぜ起きる:どちらもふわっとしたシートに見えるためです。
  • 正しい考え方:接着剤が内部層まで浸透するなど、工程や構造で5603扱いになり得ると解説されています。
  • 予防策:製造工程(熱、針、接着剤)と層構造を聞き、試験成績書や工程図を取得します。
  1. 間違い:フェルト(5602)と不織布(5603)の境界で、ニードルパンチ品を全部フェルト扱いにする
  • なぜ起きる:ニードル=フェルトという思い込みです。
  • 正しい考え方:フェルト定義と、不織布とみなすケースが説明されています。
  • 予防策:基材の有無、接合方法、最終物性、用途説明をセットで集めます。
  1. 間違い:被覆糸を56.04に入れたが、被覆が肉眼で判別できない
  • なぜ起きる:色が変わっているだけで被覆と誤認するためです。
  • 正しい考え方:肉眼で判別できない被覆は56.04の対象外です。
  • 予防策:断面観察、被覆厚、写真、被覆材のMSDSを確認します。
  1. 間違い:太い人造繊維糸を第54類や第55類の糸として扱い続ける
  • なぜ起きる:糸の延長として理解してしまうためです。
  • 正しい考え方:第11部注3で、人造繊維が10,000デシテックス超などの条件でひも・綱扱いになります(例外もあり)。
  • 予防策:デシテックス、より数、構造、例外該当の有無を確認します。
  1. 間違い:網を5608に入れたが、実は編み網やスポーツ用ネットだった
  • なぜ起きる:網という言葉で一括りにするためです。
  • 正しい考え方:反物状の編み網は第60類、スポーツ用ネットは第95類など、除外が明記されています。
  • 予防策:製造方法(結び網か編みか)、用途(スポーツ用か)を明確にします。

8. 現場で揃えると分類が強くなる資料

第56類は構造と数値が命です。インボイス品名より、次の資料が最重要です。

  • 構成表(層構造、材料名、重量割合、繊維重量割合)
  • 仕様書(目付g/㎡、厚み、繊維種、繊維長、デシテックス、より数)
  • 加工情報(含浸・塗布・被覆・積層の有無、両面か片面か、結合剤の種類)
  • 物性資料(切断力、結び目強度、耐候性など。特に5607.21、5607.41を狙う場合)
  • 写真(表裏、断面、巻姿、梱包、用途が分かる状態)
  • 用途説明(衛生用品か、工業用フィルターか、包装用か、漁網か等)

9. まとめ:第56類の最短チェックリスト

  • Step1:製品の形は何か(ウォッディング、フェルト、不織布、糸、ひも、網、製品)
  • Step2:第56類注1の除外に当たらないか(特に96.19、58.11、研磨材付きなど)
  • Step3:フェルト・不織布のプラ・ゴム被覆は、注3で第39類・第40類へ飛ばないか(両面被覆、埋め込み、50%以下など)
  • Step4:56.04は被覆が肉眼で見えるか(見えないなら他章)
  • Step5:5603は目付(25/70/150g/㎡)を確定したか
  • Step6:5607は第11部注3のデシテックス閾値と例外を確認したか
  • Step7:5608と5609は除外先(第60類、第95類、59.11等)を最後に確認したか

参考資料(出典、参照日:2026-02-24)

  • WCO:HS2022 Chapter 56(見出し、章注、号体系)
  • 日本税関:第56類 注(類注)
  • 日本税関:関税率表解説 第56類(総説、各項解説、境界・除外の実務説明)
  • WCO:HS2022 Section XI Notes(第11部注3など、ひも・綱の定義、made upの考え方)
  • 日本税関:分類例規(第56類の具体事例)
  • 日本税関:関税率表解説 新旧対照表(HS2022改正時の記載変更の確認用)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第55類:人造繊維の短繊維及びその織物(Man-made staple fibres)

用語の約束(本稿内):部=Section、類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、注=Notes(部注/類注)

第55類は、人造繊維の短繊維(ステープル)を中心に、一定条件を満たす長繊維のトウ(tow)、人造繊維のくず、紡績糸、織物までを扱う類です。実務では、品名の印象だけで決めると外しやすく、特に「トウの数値要件」「縫糸かどうか」「小売用かどうか」「混用比率と織物の目付」でコードが動きます。


1. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

1-1. 第55類に入る代表例

  • 合成繊維の長繊維のトウ(一定要件を満たすもの):ポリエステルトウ、ナイロン系トウなど(55.01)
  • 再生繊維又は半合成繊維の長繊維のトウ:アセテートトウなど(55.02)
  • 合成短繊維(紡績準備の処理をしていない):ポリエステル短繊維(ベール梱包)など(55.03)
  • 再生繊維又は半合成繊維の短繊維(紡績準備の処理をしていない):ビスコース短繊維など(55.04)
  • 人造繊維のくず:ノイル、糸くず、反毛した繊維など(55.05)
  • 紡績準備後の短繊維:カード、コーム等を経た短繊維や処理済みくず(55.06、55.07)
  • 縫糸:人造繊維短繊維の縫糸(55.08)
  • 紡績糸(縫糸を除く):小売用でない糸(55.09、55.10)/小売用の糸(55.11)
  • 織物:合成短繊維の織物(55.12〜55.15)/再生・半合成短繊維の織物(55.16)

1-2. 第55類から除外されやすい代表例(除外先の目安)

  • 長繊維の糸や織物など、第54類(人造繊維の長繊維)で扱うもの(例:フィラメント糸、長繊維織物など)
  • 長さが5ミリメートル以下の紡織用繊維(フロック)、繊維ダスト、ミルネップ:56.01
  • 炭素繊維及びその製品:68.15
  • ガラス繊維及びその製品:70.19
  • 石綿および石綿製品(該当する場合):25.24、68.12、68.13

2. 最重要ポイント:トウ(tow)の数値要件で55.01/55.02に入るかが決まる

第55類の類注(注1)は、55.01と55.02に入る「トウ」を数値条件で限定しています。条件を満たさないと、55.03/55.04や、第54類など別の行先になり得ます。

2-1. 55.01/55.02に入るトウの要件(5条件)

判定項目基準実務メモ
長さ2メートルを超える2メートル以下なら55.03または55.04に回る可能性が高いです
より数1メートルにつき5未満仕様書で撚りの有無と撚り数を確認します
単糸繊度構成する1本の長繊維が67デシテックス未満67デシテックス以上の長繊維が混じると別分類リスクが上がります
延伸合成繊維のトウは延伸済みで、長さの2倍を超えて伸びない延伸の有無は分類トラブルの典型ポイントです
総繊度1束につき20,000デシテックス超20,000以下だと55.01から外れる可能性があります

上の要件は、第55類の類注(注1)として明示されています。

2-2. トウが55.01/55.02から外れる典型パターン

  • 長さが2メートル以下のトウは、55.03または55.04に属します(要件を満たしていても「長さ」で落ちます)。
  • 55.01の説明では、総繊度が20,000デシテックス以下のものや、延伸していない長繊維(状況により)は54.02側へ行く例が示されています。トウとフィラメント糸の境界では、総繊度と延伸が特に効きます。
  • 構成する1本の長繊維が67デシテックス以上など、単糸繊度が大きい場合は、54.04や39類になることがある旨が示されています(素材が「繊維」扱いか、プラスチックのストリップ等扱いかまで波及します)。

3. 第55類の地図:項(4桁)の全体像

まずは「何の形状か(短繊維/トウ/くず/糸/織物)」で項が決まります。次に、合成か再生・半合成か、紡績準備の有無、小売用かどうか、混用・目付などで号(6桁)へ落とします。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
5501合成繊維の長繊維のトウポリエステルトウ、ナイロン系トウ類注1の5条件を満たすトウだけ
5502再生繊維又は半合成繊維の長繊維のトウアセテートトウ55.01の考え方を準用(合成の延伸条件を除く考え方)
5503合成短繊維(カード・コーム等の処理前)PSFベール(未カード)長さ2m以下のトウがここへ入る場合あり
5504再生・半合成短繊維(カード・コーム等の処理前)ビスコース短繊維(未カード)5503と同様の考え方
5505人造繊維のくず(ノイル、糸くず、反毛など)スピニングくず、反毛繊維フロック(56.01)と混同しやすい
5506合成短繊維(カード・コーム等の処理後)カード済みPSF、トップ等紡績準備の有無が分岐
5507再生・半合成短繊維(カード・コーム等の処理後)カード済みビスコース短繊維5506と同様
5508人造繊維短繊維の縫糸縫製用のミシン糸部注の「縫糸」定義で判定
5509合成短繊維の紡績糸(小売用でない、縫糸除く)工業用コーン糸小売用かどうかで5511に動く
5510再生・半合成短繊維の紡績糸(小売用でない、縫糸除く)ビスコース糸(工業用)5509と同様
5511人造繊維短繊維の紡績糸(小売用、縫糸除く)小巻の手芸糸小売用の定義は部注で数値条件あり
5512合成短繊維の織物(合成短繊維が85パーセント以上)ポリエステル短繊維主体の服地85パーセント判定が重要
5513合成短繊維の織物(85パーセント未満、綿が主、170g/㎡以下)T/C薄地(目付軽め)85パーセント未満、綿が主、目付170以下
5514合成短繊維の織物(85パーセント未満、綿が主、170g/㎡超)T/C厚地(目付重め)目付170超で5514へ
5515その他の合成短繊維の織物混用の多い合繊短繊維織物「綿が主」条件に当てはまらない等
5516再生・半合成短繊維の織物レーヨン短繊維織物再生・半合成側の織物

項の範囲はHSの見出し(WCO)と、日本税関の解説で確認できます。


4. 6桁(号)で実務上重要な分岐

4-1. 5508(縫糸)か、5509〜5511(縫糸以外の糸)か

縫糸は「複数(合糸)またはケーブル糸であること」「支持体に巻かれた状態で重量が1,000g以下」「縫糸としての仕上げ」「最終撚りがZ撚り」という部注の定義で判定します。単に品名がミシン糸でも、定義に当てはまらないと縫糸として扱えないことがあります。

4-2. 5511(小売用)か、5509/5510(小売用でない)か

「小売用にしたもの」は、支持体に巻いた糸の重量や、玉巻・かせの重量、また工業用形態(コップ、管、ピルン等)などの例外で定義されています。実務では、包装形態と重量、用途(手芸用か工業用か)の証拠が必要です。

4-3. 5512〜5514で頻出する「85パーセント」と「170g/㎡」

織物側の頻出分岐は次の2つです。

  • 合成短繊維が全重量の85パーセント以上なら、基本的に5512(合成短繊維の織物)側の枠になります。
  • 合成短繊維が85パーセント未満で、混用繊維の全部又は大部分が綿で、目付が170g/㎡以下なら5513、170g/㎡を超えるなら5514です。

ここでの「綿が主」「85パーセント判定」「目付」は、インボイスの品名だけでは確定できません。試験成績書、混用率表、織物仕様(g/㎡)が必要になります。

4-4. 55.05(くず)と56.01(フロック等)の境界

第55類の解説では、56.01の「長さ5ミリメートル以下の繊維(フロック)」や「フロック、ダスト、ミルネップ」は第55類に入らないと明示されています。くずの形状や粒度が細かいと、55.05ではなく56.01へ行く可能性があるため、繊維長の情報が重要です。

4-5. 混用繊維の基本ルール(第11部注2)

第50類〜第55類の混用繊維は、原則として「重量が最も大きい繊維」で分類します。どれも優勢でない場合は「後ろに出てくる見出し(最後に記載された繊維側)」で分類するルールです。混用率の算定根拠(製品全体の重量比)を確実に取るのが安全です。


5. 判定フロー(迷ったときの順番)

社内の一次判定は、次の順番にすると手戻りが減ります。

  1. 材質の確定
  • そもそも「人造繊維」に該当するかを確認します。定義は第54類の注で示され、合成繊維と再生・半合成繊維の区分もここで整理されます。
  1. 形状の確定(ここで項がほぼ決まります)
  • トウか(55.01/55.02の候補)
  • 短繊維か(55.03/55.04/55.06/55.07の候補)
  • くずか(55.05の候補)
  • 糸か(55.08〜55.11の候補)
  • 織物か(55.12〜55.16の候補)
  1. トウの場合は、類注1の数値条件をチェック
  • 5条件を満たせば55.01/55.02
  • 長さ2メートル以下など条件外なら55.03/55.04等に回り得る
  • 総繊度や延伸などで第54類へ動く可能性もあるため注意
  1. 短繊維の場合は「紡績準備の処理」の有無をチェック
  • カード、コーム等の処理前:55.03/55.04
  • 処理後:55.06/55.07
  1. 糸の場合は「縫糸」か「小売用」かを先に確定
  • 縫糸(55.08)は部注の定義で判定
  • それ以外は、小売用(5511)か小売用でない(5509/5510)かを部注の定義で判定
  1. 織物の場合は「85パーセント」「綿が主」「目付170g/㎡」をチェック
  • 5512〜5514の分岐が頻出です。混用の扱い(部注2)も同時に確認します。

6. よくある誤分類と、社内での防ぎ方

  1. 間違い:トウを55.01/55.02に入れたが、実は類注1の要件を満たしていない
  • なぜ起きる:品名がtowで、数値条件(長さ、総繊度、延伸など)を取らずに決めてしまうためです。
  • 正しい考え方:55.01/55.02は類注1の5条件を全て満たすトウに限定されます。
  • 予防策:供給者仕様書で「長さ」「撚り」「単糸繊度」「延伸」「総繊度」を必ず回収します。
  1. 間違い:長さ2メートル以下のトウを55.01にした
  • なぜ起きる:トウはトウ、という思い込みで長さ条件を見落とします。
  • 正しい考え方:2メートル以下は55.03または55.04へ回る旨が明記されています。
  • 予防策:梱包状態だけでなく、トウの実測値または製造仕様の長さ情報を取得します。
  1. 間違い:55.05(くず)と56.01(フロック等)を取り違えた
  • なぜ起きる:どちらも「繊維の細片」に見え、見た目で判断してしまうためです。
  • 正しい考え方:フロックは長さ5ミリメートル以下として56.01側で整理され、55類から除外されます。
  • 予防策:繊維長(分布)と製造由来(切断か、粉砕か、紡績くずか)を確認します。
  1. 間違い:縫糸(55.08)を、単に小巻だから5511にした
  • なぜ起きる:小巻=小売用糸、という見た目判断になりがちです。
  • 正しい考え方:縫糸は部注で定義され、Z撚り、仕上げ、支持体重量などの要件で判定します。
  • 予防策:糸の撚り方向、仕上げ(縫糸用の処理)、支持体込み重量を確認します。
  1. 間違い:5511(小売用)か5509/5510(小売用でない)かを包装形態だけで決めた
  • なぜ起きる:ラベルや箱の有無で判断してしまうためです。
  • 正しい考え方:「小売用」は重量条件や工業用形態の例外を含む定義で決まります。
  • 予防策:支持体込み重量、玉巻・かせ重量、工業用形態(コップ等)かどうかを仕様書と現物写真で確認します。
  1. 間違い:織物で「85パーセント」判定を、糸番手や混率表示だけで推定した
  • なぜ起きる:混率ラベルと実重量比が一致している前提で進めてしまうためです。
  • 正しい考え方:見出し条件は重量比です。部注2の混用ルールも含め、製品全体の重量比で判定します。
  • 予防策:混用率の試験成績書、BOM、製造ロットの混率管理記録を取得します。
  1. 間違い:5513と5514を取り違えた(目付170g/㎡の見落とし)
  • なぜ起きる:混用条件だけ見て、目付を確認しないためです。
  • 正しい考え方:5513は170g/㎡以下、5514は170g/㎡超で明確に分かれます。
  • 予防策:検査成績書または製品仕様でg/㎡を取得し、対象生地がどちらに該当するかを記録します。
  1. 間違い:第55類のつもりで進めたが、実は炭素繊維やガラス繊維だった
  • なぜ起きる:用途や外観が似ており、材料定義を飛ばしてしまうためです。
  • 正しい考え方:炭素繊維(68.15)やガラス繊維(70.19)は第55類から除外されます。
  • 予防策:材質証明(MSDS、材料証明書)で繊維種を確定してから分類に入ります。

7. HS2017からHS2022で変わった点(第55類で実務に効きやすいところ)

第55類では、少なくともHS2017からHS2022への変更として、55.01(合成繊維の長繊維のトウ)の一部で細分が入っています。

比較(HS2017→HS2022)変更タイプ該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017の5501.10(ナイロンその他のポリアミドのトウ)→ HS2022で分割分割5501.11(アラミド)/5501.19(その他)アラミドのトウを別掲して識別性を上げるマスタの旧コード踏襲に注意。アラミド関係の取引は統計・管理面で誤りが見つかりやすい

この分割の趣旨として、相関表の備考では「二重用途品目の監視・管理を容易にするため」と記載されています。


8. 参考資料(出典、参照日:2026-02-24)

  • 日本税関:第55類(人造繊維の短繊維及びその織物)類注
  • 日本税関:関税率表解説 第55類(総説、各項解説、除外例、数値条件)
  • WCO:HS2022 Chapter 55(Man-made staple fibres)
  • WCO:HS2022 Section XI Notes(混用ルール、小売用、縫糸の定義など)
  • WCO:HS2022 Chapter 54(人造繊維の定義、Chapter 55のトウとの関係)
  • 日本税関:第54類注(人造繊維の定義、日本語)
  • 日本税関:関税率表解説 第56類(56.01 フロック等の説明)
  • WCO:HS2022 Chapter 56(56.01でフロックを5mm以下とする見出し)
  • WCO相関表(HS2017–HS2022):5501.10の細分理由(dual use監視等)
  • WCO:HS2017 Chapter 55(旧コード体系の確認)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第54類:人造繊維の長繊維並びに人造繊維の織物及びストリップその他これに類する人造繊維製品(Manmade filaments; strip and the like of manmade textile materials)

冒頭で用語を統一します。**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

第54類は「合成繊維・再生繊維(レーヨン等)の“長繊維(フィラメント)”」と、その織物/モノフィラメント/ストリップを扱います。まずは**“長繊維か短繊維か”、次に“縫糸か否か”、さらに“小売用(小巻)か工業用(コーン等)か”、最後にモノフィラメントやコーティング有無**を詰めると迷いが激減します。 (世界税関機構)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

この類に入る代表例

  • 合成フィラメント縫糸(ポリエステル縫糸・ナイロン縫糸の小巻)→ 5401 (世界税関機構)
  • 工業用の合成フィラメント糸(コーン巻のポリエステル/ナイロン糸、POY含む)→ 5402 (世界税関機構)
  • 再生繊維フィラメント糸(レーヨン糸等、縫糸でない)→ 5403 (世界税関機構)
  • 合成モノフィラメント(67dtex以上、断面寸法≦1mm)や合成ストリップ(見掛け幅≦5mm) → 5404 (世界税関機構)
  • 合成長繊維の織物(コーティング等のない一般織物/産業資材織物の一部)→ 5407 (世界税関機構)
  • 再生繊維長繊維の織物(アセテート含む) → 5408 (世界税関機構)

この類から除外されやすい代表例

  • 人造繊維のトウ(tow):第55類へ(例:合成長繊維トウ 5501 等) (世界税関機構)
  • 太物の“ひも・ロープ”扱い:一定条件を満たす糸は「twine/cordage/ropes/cables」として第56類(5607等)になり得る (世界税関機構)
  • タイヤコード織物:第59類 5902(“tyre cord fabric”として別建て) (世界税関機構)
  • プラスチックで目視できるコーティング等のある織物:第59類 5903 等へ移り得る (世界税関機構)
  • 断面寸法が1mm超のプラスチックモノフィラメント幅5mm超のプラスチックストリップ:第11部(繊維)から外れ、第39類側になり得る (世界税関機構)
  • デンタルフロス:第11部から除外(3306) (世界税関機構)

実務での最重要分岐

  • 縫糸(5401)か、縫糸以外の糸か:定義(重量・仕上げ・撚り方向)で決まります (世界税関機構)
  • 小売用(5406)か、非小売用(5402/5403)か:小売用の定義は包装形態・重量・例外で決まります (世界税関機構)
  • モノフィラメント/ストリップ(5404/5405)か、フィラメント糸(5402/5403)か:67dtex、断面寸法1mm、見掛け幅5mmが効きます (世界税関機構)

この類で誤分類が高コストになりやすい場面

  • EPA/FTAでPSR(品目別規則)が変わる場面:HSの付番を誤ると原産性判断が崩れます (税関総合情報)
  • 工業用高強力糸・産業資材(ロープ扱い/59類扱いとの境界):関税率・規制・統計が変わりやすい領域です (世界税関機構)

1. 区分の考え方

1-1. 分類の基本ルール

この類はGIR1(見出しと注の文言)が最重要です。特に「部注(Section XI Notes)」の定義が、項(5401〜5408)をまたいで効きます。次に、6桁の切り分けはGIR6で「同じレベルの号の文言+該当する注」で詰めます。 (世界税関機構)

「品名だけで決めない」ための観点は次の通りです。

  • 繊維の種類:合成(polyester/nylon等)か、再生(viscose rayon/acetate等)か (世界税関機構)
  • 形状:マルチフィラメント糸か、モノフィラメントか、ストリップか (世界税関機構)
  • 状態:縫糸として仕上げ済みか、工業用巻き(コーン/コップ等)か、小巻(小売用)か (世界税関機構)
  • 性能:高強力(high tenacity)該当か(cN/texの閾値) (世界税関機構)
  • 織物の場合:高強力糸由来、ストリップ由来、Note 9の「平行糸層の布」該当、コーティング等の有無 (世界税関機構)

1-2. 判定フロー

  • Step1:繊維の部(第11部)に残るか(プラスチック形状物、デンタルフロス等の除外を先に確認) (世界税関機構)
  • Step2:短繊維(第55類)ではなく、長繊維(フィラメント)か(トウは第55類へ) (世界税関機構)
  • Step3:縫糸か(5401の定義:重量・仕上げ・Z撚り) (世界税関機構)
  • Step4:縫糸でなければ、小売用の糸か(5406)/非小売用か(5402/5403) (世界税関機構)
  • Step5:合成(synthetic)か再生(artificial)かで 5402 と 5403、織物なら 5407 と 5408 を分ける (世界税関機構)
  • Step6:糸ではなくモノフィラメント/ストリップなら 5404(合成)/5405(再生)へ(67dtex・断面寸法・幅を確認) (世界税関機構)
  • Step7:織物なら 5407/5408 の中で「高強力」「ストリップ由来」「Note 9布」等の号を確認 (世界税関機構)
  • Step8:**タイヤコード織物(5902)目視できるコーティング(5903等)**など、59類に飛ばないか最終チェック (世界税関機構)

よく迷う境界例

  • 第54類(織物)↔ 第59類(産業用・コーティング布):タイヤコード織物(5902)、プラスチック含浸・被覆(5903)等 (世界税関機構)
  • 第54類(糸)↔ 第56類(ひも・ロープ):太さ(dtex)条件で“twine/cordage”扱いになり得る (世界税関機構)
  • 第54類(長繊維)↔ 第55類(短繊維・トウ):トウは54.02/54.03に含まれません (世界税関機構)

2. 主な項とその内容

2-1. 4桁の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
5401合成フィラメント縫糸ポリエステル縫糸、ナイロン縫糸(小巻)縫糸の定義(重量・仕上げ・Z撚り)を満たすか
5402合成フィラメント糸(縫糸除く、非小売用)工業用ナイロン糸、ポリエステル糸、POY小売用なら5406。高強力/伸縮糸等で号が分かれる
5403再生フィラメント糸(縫糸除く、非小売用)レーヨン糸、キュプラ糸小売用なら5406。高強力の定義に注意
5404合成モノフィラメント(67dtex以上・断面≦1mm)/合成ストリップ(幅≦5mm)ブラシ用モノフィラ、人工ストロー材断面寸法>1mmや幅>5mmは繊維から外れる可能性
5405再生モノフィラメント(67dtex以上・断面≦1mm)/再生ストリップ(幅≦5mm)レーヨン系のストリップ等54.05材料の織物は5408側に含み得る(見出しに明記)
5406人造繊維フィラメント糸(縫糸除く、小売用)手芸糸(小巻・玉巻)小売用の定義(包装形態・重量・例外)で決まる
5407合成フィラメント織物(54.04材料の織物含む)裏地、産業資材織物の一部5902(タイヤコード)・5903(コーティング)との境界。Note 9布は別号
5408再生フィラメント織物(54.05材料の織物含む)レーヨン織物、アセテート織物日本側備考でアセテート等の扱いに注意

出典:WCO HS2022 第54章(見出し)および日本の第54類注記。 (世界税関機構)

2-2. 6桁で実務上重要な分岐

重要な「定義・閾値」早見表

論点実務で効く基準どこに書いてあるか
縫糸(5401)複糸/ケーブル糸で、支持体込み重量≦1,000g、縫糸用に仕上げ、最終Z撚り部注(Section XI Note 5)
小売用(5406)包装形態(リール/玉/かせ等)+重量基準(例:人造長繊維糸は85g基準が頻出)+例外(工業用ボビン等は除外)部注(Section XI Note 4)
高強力(high tenacity)ナイロン/ポリエステル:単糸>60 cN/tex、複糸/ケーブル>53 cN/tex。ビスコース:>27 cN/tex部注(Section XI Note 6)
“ひも・ロープ扱い”人造繊維糸で 10,000dtex超 などは“twine/cordage”扱い(ただし例外あり)部注(Section XI Note 3)
elastomeric yarn合成繊維フィラメント(テクスチャード除く)で、3倍伸長で切れず、2倍伸長後5分以内に1.5倍以下まで戻る部注(Section XI Note 13)
ポリアミドの範囲polyamides に aramids を含む部注(Section XI Note 12)

出典:WCO HS2022 Section XI Notes(第11部注)。 (世界税関機構)

間違えやすい6桁ペア/グループ

  1. 5401(縫糸) vs 5402/5403(糸)
  • どこで分かれるか:縫糸の定義(1,000g、仕上げ、Z撚り)を満たすか (世界税関機構)
  • 判断に必要な情報:撚り方向(S/Z)、仕上げ(ワックス/樹脂等)、巻き重量(支持体込み)
  • 典型的な誤り:「縫製に使う予定」だけで縫糸扱いにしてしまう(実物の“縫糸仕様”が必要)
  1. 5406(小売用) vs 5402/5403(非小売用)
  • どこで分かれるか:包装形態と重量が定義内か、かつ例外(工業用支持体)に当たらないか (世界税関機構)
  • 判断に必要な情報:支持体込み重量、包装形態(リール/玉/かせ/分割かせ)、工業用ボビン形状の有無
  • 典型的な誤り:85g/125gだけ見て即断(「工業用形態なら除外」など例外条件を落とす)
  1. 5402/5403(糸) vs 5404/5405(モノフィラメント/ストリップ)
  • どこで分かれるか:モノフィラメントが 67dtex以上か、断面寸法が 1mm以下か。ストリップは見掛け幅 5mm以下か (世界税関機構)
  • 判断に必要な情報:dtex、断面寸法、見掛け幅、材質(合成/再生)
  1. 5402(太糸) vs 5607(ひも・ロープ)
  • どこで分かれるか:人造繊維糸が 10,000dtex超等で“twine/cordage”扱いになるか(例外あり) (世界税関機構)
  • 判断に必要な情報:dtex、単糸/複糸/ケーブル、モノフィラの束か、撚り(特に例外の有無)
  1. 5407(織物) vs 5902/5903(第59類)
  • どこで分かれるか:**タイヤコード織物(5902)**か/**プラスチック含浸・被覆が目視できる(5903)**等か (世界税関機構)
  • 判断に必要な情報:用途(タイヤ補強)、織物仕様、コーティングの種類・目視可否、積層構造

3. 部注と類注の詳細解釈

3-1. 関連する部注

  • ポイント要約
    • 部注3:一定条件の太い糸は“twine/cordage/ropes/cables”扱いにし、56類側へ寄せるルール(ただし例外あり) (世界税関機構)
    • 部注4:小売用の定義(包装・重量)と例外(工業用形態など) (世界税関機構)
    • 部注5:縫糸の定義(1,000g、仕上げ、Z撚り) (世界税関機構)
    • 部注6:高強力(high tenacity)判定のcN/tex閾値 (世界税関機構)
    • 部注9:平行糸層を接着・熱で結合した“織物”も織物として扱う(5407.30等) (世界税関機構)
    • 部注12:ポリアミドにアラミドを含む(= 5402.11等に効く) (世界税関機構)
    • 部注13:elastomeric yarn(伸縮糸)定義 (世界税関機構)
    • 部注8:Note 7の「made up(製品化)」に該当すると、原則として54章の織物・糸ではなく56〜63章側へ行く、という大枠 (世界税関機構)
  • 実務での意味(具体例つき)
    • 小巻で販売されていても、工業用コップ/コーン等“工業用途を示す形態”なら「小売用」から外れる可能性があります(5406に寄せない) (世界税関機構)
    • 高強力は「商品名」ではなく**tenacity(cN/tex)**で確定します。仕様書に“high tenacity”と書かれていても、閾値未達なら該当しません (世界税関機構)
    • 平行糸層の接着布(Note 9)は、見た目が“織り”っぽくなくても、定義に当てはまれば織物として扱われます (世界税関機構)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン

3-2. この類の類注

  • ポイント要約
    • 類注1:人造繊維(man-made fibres)の定義。合成(synthetic)と再生(artificial)の区別を明示し、**54.04/54.05のストリップ類は“人造繊維とみなさない”**旨も書かれています (世界税関機構)
    • 類注2:54.02/54.03にトウ(第55類)を含まない (世界税関機構)
  • 用語定義
    • 合成繊維=有機単量体の重合等で得るもの(例:ポリエステル、ポリアミド等)/再生繊維=セルロース等を溶解・化学処理して得るもの(例:ビスコース、キュプラ、アセテート等) (世界税関機構)
  • 除外規定

4. 類注が分類に与える影響

この章の目的は「類注・部注があるからこそ起きる分岐」を見える化することです。

  • 影響ポイント1:縫糸か否かで 5401 と 5402/5403 が割れる
    • 何を見れば判断できるか:支持体込み重量≦1,000g、縫糸用仕上げ、最終Z撚り (世界税関機構)
    • 現場で集める証憑:撚り方向写真、仕様書(仕上げ)、包装重量の実測、製品カタログ
    • 誤分類の典型:「縫製に使うから縫糸」→ 実物が工業糸(未仕上げ/撚り条件不一致)で5402が正しい
  • 影響ポイント2:小売用定義で 5406 と 5402/5403 が割れる
    • 何を見れば判断できるか:包装形態(リール/玉/かせ等)と重量、例外(工業用形態) (世界税関機構)
    • 現場で集める証憑:包装写真、支持体込み重量、巻き取り形状(コップ/コーン/ピルン等)、販売形態(一般消費者向けか工業向けか)
    • 誤分類の典型:重量だけで5406扱い→ 工業用途を示す支持体で例外に該当し、5402/5403に戻る
  • 影響ポイント3:高強力判定で 5402/5403 の号が変わる
    • 何を見れば判断できるか:cN/texの閾値(単糸・複糸で閾値が違う) (世界税関機構)
    • 現場で集める証憑:試験成績書、メーカー仕様(denier→tex換算根拠含む)、糸構成(単糸/複糸/ケーブル)
    • 誤分類の典型:「強い=高強力」→ 閾値未達/単糸・複糸の区別漏れ
  • 影響ポイント4:モノフィラ/ストリップの閾値で 5404/5405 へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか:67dtex、断面寸法≦1mm、見掛け幅≦5mm (世界税関機構)
    • 現場で集める証憑:図面、ノギス測定、dtexデータ、サンプル写真
    • 誤分類の典型:モノフィラを“糸”として5402へ → 67dtex以上なら5404側の可能性
  • 影響ポイント5:Note 9布の定義で 5407.30 等に割れる
    • 何を見れば判断できるか:平行糸層を接着/熱で結合しているか (世界税関機構)
    • 現場で集める証憑:製造工程図、断面観察、接着剤の有無(MSDS等)
    • 誤分類の典型:見た目が織物っぽくない→ Note 9該当を見落とす

5. 分類でよくある間違い

  1. 間違い:縫糸を5402/5403で申告
    • なぜ起きる:インボイス品名が “polyester filament yarn” 等で縫糸用途が書かれない
    • 正しい考え方:縫糸は定義(Note 5)で決まる (世界税関機構)
    • 予防策:撚り方向(Z)・仕上げ有無・支持体込み重量を仕様書に明記
  2. 間違い:小巻(小売用)を5402/5403で申告
    • なぜ起きる:小売用の定義を「小さい巻き=小売用」と誤解
    • 正しい考え方:包装形態と重量、例外まで含めてNote 4で判定 (世界税関機構)
    • 予防策:包装写真、支持体込み重量、巻き形状(コーン/コップ等)を提出資料化
  3. 間違い:工業用コーン巻きを5406(小売用)にしてしまう
    • なぜ起きる:重量基準だけ満たしているように見える
    • 正しい考え方:工業用途を示す支持体・形態は例外になり得る (世界税関機構)
    • 予防策:包装形態の説明(cops, cones等)をインボイスに追記、カタログ添付
  4. 間違い:太番手糸を5402のままにする(実は56類相当)
    • なぜ起きる:dtexを確認せず、糸=54章と決め打ち
    • 正しい考え方:一定条件でtwine/cordage扱い(Note 3)。ただし例外も必ず確認 (世界税関機構)
    • 予防策:dtex、撚り、構成(単糸/複糸/ケーブル)を社内で標準取得
  5. 間違い:モノフィラメントを5402で申告
    • なぜ起きる:“monofilament yarn”という呼び方に引きずられる
    • 正しい考え方:67dtex以上・断面寸法≦1mmなら5404/5405側が基本 (世界税関機構)
    • 予防策:断面寸法・dtexの数値を仕様書に必須項目化
  6. 間違い:コーティング織物を5407/5408で申告
    • なぜ起きる:基材が54章織物なので、そのまま申告しがち
    • 正しい考え方:5902(タイヤコード)や5903(プラスチック含浸・被覆等)など、59類が別建て (世界税関機構)
    • 予防策:コーティングの種類、目視可否、用途(タイヤ補強等)をヒアリング
  7. 間違い:レーヨンを合成繊維として扱い5402へ
    • なぜ起きる:“人工=合成”の誤解
    • 正しい考え方:合成(synthetic)と再生(artificial)の区分は類注で決まる (世界税関機構)
    • 予防策:原料ポリマー(セルロース系か)をMSDS/原料証明で確認
  8. 間違い:アラミドをポリアミド扱いから外してしまう
    • なぜ起きる:商品名(aramid)で別素材と誤認
    • 正しい考え方:部注12でpolyamidesにaramidsを含む (世界税関機構)
    • 予防策:材質表記に「aramid=polyamideの一種」注記、メーカー資料添付

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSRの関係

  • HSの付番(少なくとも6桁)が、PSR(品目別規則)の検索キーになります。誤分類すると、材料側HS・工程評価・RVC計算が全部ずれます。 (税関総合情報)
  • 典型的な落とし穴
    • 原料(ポリマー/チップ)と糸・織物のHSを混同
    • 小売用(5406)と非小売用(5402/5403)を取り違え、PSRが変わる

6-2. 協定が参照するHS版の違い

実務では「自社の申告HS(通常は最新運用)」と「協定附属書が参照するHS版」がズレることがあります。

  • 日EU・EPA:PSR表の列見出しに「Harmonized System classification (2017)」と明記されています
  • CPTPP(TPP11):PSRの見出しに「HS Classification (HS2012)」と明記されています (内閣官房)
  • RCEP:HS2022に置換されたPSRが2022年6月30日に採択され、2023年1月1日から実施と明記されています (税関総合情報)

ズレる場合の注意(一般論)

  • 協定が旧HS版参照の場合、**相関表(トランスポジション)**で旧→新の対応付けをしてからPSR適用を検討します。
  • HS2012→HS2017では54.02の一部に新設号(例:5402.53、5402.63)があり、旧版の“その他”から分岐したことが示されています。 (税関総合情報)

6-3. 実務チェック

  • そろえるデータ
    • BOM(材料表)、原価、工程フロー、原産国、非原産材料のHS、糸/織物の仕様(dtex、tenacity、包装形態)
  • 書類(一般論)
    • 原産地証明書類・自己申告の根拠資料、保存要件に沿った保管(協定・国で異なるため最新確認)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い

7-1. 変更点サマリー

比較変更タイプ該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし第54類(5401〜5408)見出し・注に実質的な改正は確認されませんHS6桁運用は原則同様。国内コードや協定参照HS版のズレには別途注意

根拠:WCO HS2017とHS2022の第54章本文(見出し・注)を突合すると同一であることを確認。 (世界税関機構)

7-2. 違うことになった根拠

  • 第54章について、WCOのHS2017版とHS2022版の章本文(NotesとHeadings)を比較し、見出し構造(5401〜5408)および章注が一致することから「HS2017→HS2022での変更なし」と整理しています。 (世界税関機構)
  • ただし、**国内コード(8桁/9桁等)**は国ごとに改正があり得るため、日本の統計番号・税率等は別途最新表で確認してください(HS6桁と混同しない)。 (税関総合情報)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第54類は、HS2007→2012→2017→2022の流れで「章立ての大枠」は安定していますが、HS2012→HS2017で54.02の一部に新設号が確認できます。

期間主な追加・削除・再編旧コード→新コードの例
HS2007→HS2012第54類で大きな再編は確認されません― (世界税関機構)
HS2012→HS20175402.53(単糸・PP)と5402.63(複糸・PP)を新設旧:ex5402.59 → 新:5402.53(一定範囲)/旧:ex5402.69 → 新:5402.63(一定範囲) (税関総合情報)
HS2017→HS2022第54類で大きな再編は確認されません― (世界税関機構)

補足:ここでの“ex”は「旧号の一部が新号へ移る」ことを示す一般的な表現です(相関表の書き方)。 (税関総合情報)


9. 類注違反による通関トラブル

  • 事例名:縫糸要件未確認で5401申告
    • 誤りの内容:Note 5(縫糸定義)を満たさない糸を縫糸扱い (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“sewing yarn”など曖昧
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:撚り方向・仕上げ・重量の根拠資料を事前に揃える
  • 事例名:小売用の例外を落として5406申告
    • 誤りの内容:Note 4(小売用定義)の例外(工業用形態)を無視 (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:重量基準だけで判断、写真なし
    • 典型的な影響:差戻し・補正、到着後の用途確認要求(一般論)
    • 予防策:包装写真・支持体形状をインボイス/明細に明記
  • 事例名:太糸のロープ扱い(56類)を見落として54類申告
    • 誤りの内容:Note 3(twine/cordage定義)未確認 (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:dtexデータが社内にない、単糸/複糸不明
    • 典型的な影響:統計誤り、規制・原産地判断のやり直し(一般論)
    • 予防策:dtex・構成・撚りの標準取得
  • 事例名:コーティング織物を5407のまま申告
    • 誤りの内容:第59類 5903等の対象(含浸・被覆)を見落とし (世界税関機構)
    • 起きやすい状況:基材が54類なので思考停止
    • 典型的な影響:差戻し、サンプル提出、通関遅延(一般論)
    • 予防策:コーティング仕様(目視可否)を仕様書で提示

10. 輸出入規制事項

日本前提で、第54類に関係しやすい「実務上の注意点」を挙げます(該当する場合のみ確認してください)。

  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 第54類自体は食品・動植物ではないため、一般にSPSの中心領域ではありません(ただし最終製品用途によって別途あり得ます)。
  • その他の許認可・届出
    • 有害物質を含有する家庭用品の規制:家庭用繊維製品等について、アゾ化合物(特定芳香族アミン生成)などの基準が整理されています。対象品目・試験法・基準値はMHLW資料で確認が必要です。 (e-Gov 法令検索)
    • 家庭用品品質表示(繊維製品の表示):国内販売向けでは、繊維組成・取扱い方法等の表示ルールが規程・ガイドで示されています。 (e-Gov 法令検索)
    • 安全保障貿易管理(輸出):高性能繊維等は、HSではなく仕様(性能・用途等)で該当性を確認する必要があるため、METIの最新リスト・解釈資料で確認してください。 (e-Gov 法令検索)
  • 確認先
  • 実務での準備物(一般論)
    • 繊維:組成証明、染料/加工剤情報、試験成績書(必要時)
    • 糸/モノフィラ:dtex、tenacity、断面寸法、包装形態資料
    • 織物:コーティング仕様、用途説明、工程フロー

11. 実務チェックリスト

  • 分類前チェック
    • 材質(合成/再生)、糸構成(単糸/複糸/ケーブル)、dtex、tenacity、撚り方向、モノフィラ寸法、ストリップ幅
    • 包装形態(リール/玉/かせ/コーン/コップ)、支持体込み重量
  • 分類後チェック
    • 部注3/4/5/6/9/12/13の該当性(twine、小売用、縫糸、高強力、Note 9布、アラミド、伸縮糸) (世界税関機構)
    • 59類(5902/5903等)への飛びを再確認 (世界税関機構)
  • 申告前チェック
    • インボイス品名に「材質+形状+用途+規格(dtex/tenacity/寸法/包装)」を入れる
    • 補足資料(仕様書・写真・工程図)を同梱できる体制
  • FTA/EPAチェック
    • 協定が参照するHS版を確認し、必要なら相関表で照合
    • BOM、原価、工程、原産国、非原産材料HS、RVC計算根拠
  • 規制チェック

12. 参考資料

  • WCO(HS2022条文)
  • 日本税関・公的機関
  • FTA/EPA本文・付属書
    • 日EU・EPA:Annex 3-A/PSR表(HS classification (2017) 表記)
    • CPTPP:Annex 3-D(HS Classification (HS2012) 表記) (内閣官房)
    • RCEP:Transposed PSR in HS2022(採択日・実施日明記) (税関総合情報)
  • 規制(日本)
    • 有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(e-Gov) (e-Gov 法令検索)
    • 規制基準概要(MHLW) (厚生労働省)
    • 家庭用品品質表示法(e-Gov)および繊維製品品質表示規程・ガイド(消費者庁) (e-Gov 法令検索)
    • 参照日:2026-02-23

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第53類:その他の植物性紡織用繊維及びその織物並びに紙糸及びその織物★(Other vegetable textile fibres; paper yarn and woven fabrics of paper yarn)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 亜麻(フラックス)繊維(生・レッティング済・破砕/スカッチ/ハックル等の「精紡前」まで)と、そのトウ・くず(5301)
    • 大麻(True hemp / Cannabis sativa L.)繊維(精紡前)と、そのトウ・くず(5302)
    • ジュート等の靭皮繊維(亜麻・大麻・ラミー以外)と、そのトウ・くず(5303)
    • ココやし(コイヤ)、アバカ、ラミー、サイザル等の「その他の植物性紡織用繊維」(精紡前)と、そのトウ/ノイル/くず(5305)
    • 紙のストリップを撚って作る「紙糸」(5308、通常は5308.90側で扱われます)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 綿(コットン)・綿織物:第52類(第53類ではありません)
    • 「ひも・綱・ロープ」として扱うべき太い糸(線密度や構成で判定):第56類 5607(“twine, cordage, ropes and cables”)
    • 紙を単に折り重ねたストリップ(撚っていない):第48類(紙製品側)
    • 紙のストリップを交錯(組物・編組的)させた「組物状」のもの:46.01(第46類)
    • 織物が「裁断・縫製済み=製品(made up)」になっているもの:第63類など(部注の“made up”定義で移動)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 形状・段階:**繊維(精紡前)**か、か、織物か(5301〜5305/5306〜5308/5309〜5311)
    2. 糸の太さ・構成:**糸(Ch.53)**か、**ひも・綱(5607)**か(線密度/仕上げ/撚り本数等)
    3. 紙系:**紙糸(撚って糸)**か、単なる紙ストリップ/紙製品か、**紙ストリップの組物(46.01)**か
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 大麻(ヘンプ)関連:HS分類(5302/5308など)とは別に、日本の薬物規制・取扱規制の確認が必須で、誤認すると通関差止・行政対応につながり得ます。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:見出し文言(例:Flax yarn / paper yarn / woven fabrics)と部注(第11部注)でまず決めます。第53類は「素材(植物繊維/紙)」と「形状(繊維・糸・織物)」が軸です。
    • GIR6:号(6桁)では、特に
      • 5301/5302/5303の「生・レッティング」vs「その他」、
      • 5306/5307の「単糸」vs「マルチプル/ケーブル」、
      • 5309の「亜麻85%」閾値、
      • 5310の「漂白してない」
        が実務分岐になります。
    • 混紡・混用が出たら、まず第11部注(混合繊維の取扱い=重量優先など)を当ててから該当章・項を決めます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 植物名(可能なら学名)と繊維の種類(亜麻/ジュート/ラミー/コイヤ/サイザル等)
    • 加工状態(生、レッティング、破砕・スカッチ・ハックル、精紡済み/未)
    • 糸なら:線密度(decitex)、仕上げ(polished/glazedの有無)、撚り本数(ply)・編組の有無(braidedかどうか)
    • 織物なら:繊維混率(重量%)、漂白/染色/プリントの状態

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「繊維素材」か「糸」か「織物」か「出来上がり製品(袋など)」か?
    • 繊維(精紡前)→ Step2
    • 糸 → Step3
    • 織物 → Step4
    • 裁断・縫製済み(made up)→ 第63類等を優先検討
  • Step2(繊維):亜麻(5301)/大麻(5302)/ジュート等靭皮(5303)/その他植物繊維(5305)へ
    • サイザル等は5305側で扱うのが現行(HS2022に5304は欠番)。
  • Step3(糸):亜麻糸(5306)/ジュート糸(5307)/その他植物繊維の糸+紙糸(5308)
    • ただし、線密度等の条件で“twine/rope”に当たると56.07へ移動します(例:亜麻/大麻の太糸、3本撚り以上のコイヤ等)。
  • Step4(織物):亜麻織物(5309)/ジュート等の織物(5310)/その他植物繊維・紙糸の織物(5311)
    • 紙ストリップを交錯させた「組物状(plaiting)」は46.01へ(5311ではない)。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第53類(紙糸) vs 第48類(折り重ねただけの紙ストリップ)
    • 第53類(糸) vs 第56類(ひも・綱・ロープ:線密度/構成で判定)
    • 第53類(織物) vs 第63類(出来上がり品:made up)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
5301亜麻(精紡前)+トウ/くず亜麻の生繊維、レッティング済亜麻、亜麻トウ「精紡前」まで。糸になれば5306。
5302大麻(True hemp, Cannabis sativa L.)繊維(精紡前)+トウ/くずヘンプ繊維(生/レッティング)規制(大麻関連)はHSと別軸で必確認。
5303ジュート等の靭皮繊維(亜麻/大麻/ラミー除く)ジュート、ケナフ等の繊維(精紡前)「麻」名称が紛らわしい(ケナフ等は5303側の例が多い)。
5304(欠番)HS2022では使用しない([53.04])(該当なし:旧版でサイザル等に使われた時期あり)古い資料で5304が出ることがありますが、HS2022では欠番。履歴は後述(§8)。
5305コイヤ/アバカ/ラミー等+その他植物繊維(精紡前)コイヤ繊維、アバカ、ラミー、サイザル、アロエ繊維など第14類に行く未加工葉(アルファ等)は除外(加工度が鍵)。
5306亜麻糸リネン糸(単糸/双糸/ケーブル)太さ等で56.07に飛ぶ場合あり(部注)。
5307ジュート等(5303)の糸ジュート糸、ケナフ糸同上(56.07判定に注意)。
5308その他植物繊維の糸/紙糸コイヤヤーン、ヘンプヤーン、紙糸紙糸は「紙ストリップを撚ったもの」。単に折っただけは48類。
5309亜麻織物リネン生地(衣料・寝具・テーブルリネン等)亜麻重量比85%が号分岐。漂白/染色区分あり。
5310ジュート等(5303)の織物麻袋用ジュート生地、基布漂白してない/その他。出来上がり袋は63類検討。
5311その他植物繊維の織物/紙糸織物ラミー織物、紙糸織物、包装用生地紙ストリップの組物(46.01)は除外。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 原料状態:生/レッティング(5301.10、5302.10、5303.10) vs その他加工済(5301.21/29、5302.90、5303.90)
    • トウ・くず:5301.30 など(用途が充填/製紙でも含む)
    • 糸の形態:単糸 vs マルチプル/ケーブル(5306.10/20、5307.10/20)
    • 織物の組成閾値:亜麻織物は「亜麻85%以上」かどうか(5309)
    • 漂白区分:5309や5310の「unbleached/bleached/other」は第11部の定義で判断(“unbleached/bleached woven fabric”等)
    • 糸 vs 綱(56.07):線密度・仕上げ・撚り本数等で“twine/rope”扱いになると章が変わる
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 5301.10(生/レッティング亜麻) vs 5301.21/29(破砕・スカッチ等) vs 5301.30(トウ/くず)
      • どこで分かれるか:加工工程(retted / broken / scutched / hackled)と、トウ/くずかどうか
      • 判断に必要な情報:工程フロー、写真(繊維束/トウ)、品名に「tow」「waste」表記の有無
      • 典型的な誤り:「トウ」を単に“未加工繊維”として5301.10側に寄せてしまう
    2. 5308(紙糸) vs 第48類(紙ストリップ)
      • どこで分かれるか:紙を“撚って糸にしているか”。単に折り重ねただけは紙製品扱い
      • 判断に必要な情報:製造方法(twist/rollingの有無)、サンプル写真、用途(織物用糸か)
      • 典型的な誤り:紙バンド(折り畳み)を「紙糸」と呼んで5308に入れる
    3. 5308(糸) vs 5607(ひも・綱)
      • どこで分かれるか:第11部注で“twine/rope”に該当する線密度等か(例:亜麻/大麻の閾値、3本撚り以上のコイヤ等)
      • 判断に必要な情報:線密度(decitex)、polished/glazedの有無、ply数、金属補強の有無
      • 典型的な誤り:太いヘンプ糸を5308のまま申告(実は5607)
    4. 5309(亜麻85%以上) vs 5309(85%未満)
      • どこで分かれるか:重量比85%
      • 判断に必要な情報:混率表(重量%)、試験成績書、仕様書(gsm/組成)
      • 典型的な誤り:「見た目リネン」で85%超と決め打ち
    5. 5311(紙糸織物) vs 46.01(紙ストリップの交錯品)
      • どこで分かれるか:素材が“紙糸(yarn)”として織られた織物か、紙ストリップを交錯させた組物か
      • 判断に必要な情報:原糸が「紙糸」か(撚り有無)、組織(織物/組物)、製法資料
      • 典型的な誤り:紙ストリップの組物マットを5311で申告

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 混用繊維(2種以上):第11部注2により、基本は「重量が最も多い繊維」で分類。優劣がつかない場合は、該当見出しのうち番号が後ろのもの。
    • 糸が“ひも・綱”になる基準(部注3):亜麻/大麻/コイヤ/その他植物繊維は、線密度・仕上げ・ply数等で“twine/rope”扱いになり、5607へ。例:
      • 亜麻または大麻:polished/glazedで1,429 decitex以上、または未仕上げで20,000 decitex超
      • コイヤ:3本撚り以上
      • その他植物繊維:20,000 decitex超
      • 金属糸で補強したもの 等
    • made up(部注7・8):裁断・縫製済み等は、Ch.50〜55(=繊維・糸・織物)から外れ、Ch.56〜63側で扱うのが原則。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ヘンプ糸でも、線密度が大きく“綱”判定になると、5308ではなく5607(税率・規制・原産地規則の前提が変わる)
    • 例:ジュート生地(5310)を裁断して縫製した「袋」なら、織物ではなく出来上がり製品側(第63類)を検討
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 太糸・多本撚り → 5607(twine/rope)
    • 裁断・縫製済み → 56〜63(made up)
    • 紙ストリップ(撚りなし/折り重ね) → 第48類

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • HS2022の第53類は、類注(Chapter Notes)そのものは置かれておらず、実務上は見出し文言と第11部注で分岐する作りです(条文構造上)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「unbleached/bleached/printed」等は第11部の定義を使用します(織物区分の根拠)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 紙糸の除外(折り重ね紙=48類、紙糸の組綱=56.07 等)は、第53類の解説上も明示されています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。
※第53類は類注自体が薄いので、第11部注(Section Notes)起因の分岐を中心に整理します。

  • 影響ポイント1:混紡・混用(第11部注2)で“素材章”がズレる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):繊維混率(重量%)、複合素材の内訳(例:亜麻80%+綿20%)
    • 現場で集める証憑:仕様書、混率証明、試験成績書(繊維鑑別)、BOM
    • 誤分類の典型:外観だけで「リネン(5309の85%以上)」と判断し、実際は85%未満だった
  • 影響ポイント2:“糸”が“綱(5607)”に飛ぶ(第11部注3:線密度等)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):decitex(線密度)、polished/glazedの有無、ply数(特にコイヤ)、金属補強の有無
    • 現場で集める証憑:メーカー仕様(線密度/番手換算表)、試験データ、サンプル写真、加工工程
    • 誤分類の典型:「ヘンプヤーン」と呼ばれているため5308で申告したが、実測線密度で5607判定
  • 影響ポイント3:織物が“made up”扱いでCh.53から外れる(第11部注7・8)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):裁断形状(四角形以外)、縫製/ヘム処理、完成品としての使用可能性
    • 現場で集める証憑:製品写真、寸法図、縫製仕様、出荷形態(ロールか完成品か)
    • 誤分類の典型:ジュート布を「袋完成品」なのに5310で申告
  • 影響ポイント4:紙系(紙糸/紙ストリップ/紙の組物)で章が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):撚って糸にしているか、単なる折り重ねか、紙ストリップ交錯品か
    • 現場で集める証憑:製造方法説明、原材料(紙ストリップ幅・撚り工程)、サンプル
    • 誤分類の典型:紙ストリップ交錯品を「紙糸織物」と誤認し5311へ

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:日本語の「麻」表記だけで、5302(大麻)/5303(ジュート等)/5305(ラミー等)を取り違える
    • なぜ起きる:商習慣名(○○hemp、○○flax)が多く、植物学的な区別が曖昧
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):見出しは「True hemp(Cannabis sativa L.)」など植物を特定しています。
    • 予防策:
      • 確認資料:学名/原料植物、繊維採取部位(靭皮/葉など)、工程図
      • 社内質問例:「この“hemp”はCannabis sativa L.ですか?Kenaf/Agave系では?」
  2. 間違い:サイザル等を「5304」として扱う(古いコード参照)
    • なぜ起きる:旧版のHSや民間サイト情報が残っている
    • 正しい考え方:HS2022の条文では[53.04]が欠番で、サイザル等は5305の説明例として扱われます。
    • 予防策:HS版(HS2022)を明示した一次資料でコード表を引く/旧コードの履歴は相関表で確認
  3. 間違い:紙ストリップ(折り重ね)を紙糸(5308)に入れる
    • なぜ起きる:「紙糸」「紙紐」の呼称が製法を反映しないことがある
    • 正しい考え方:紙糸は紙ストリップを“撚る/ローリング”して糸化したもの。折り重ねは48類扱い。
    • 予防策:製造工程の有無(twist/rolling)をサプライヤーに確認し、写真/動画/工程図を保存
  4. 間違い:太いヘンプ/亜麻糸を5306/5308のまま申告(実は5607)
    • なぜ起きる:線密度(decitex)での“綱判定”を見落とす
    • 正しい考え方:第11部注3にある線密度・仕上げ・ply数で“twine/rope”扱いに変わります。
    • 予防策:仕様書にdecitex/番手/ply/仕上げ(polished/glazed)を必須項目として入れる
  5. 間違い:紙糸を編んだ綱(braided)を5308に入れる
    • なぜ起きる:「紙糸だから第53類」と決め打ち
    • 正しい考え方:紙糸自体は5308でも、**組んだ綱(braided cordage)**は除外され得ます(56.07等)。
    • 予防策:編組(braided)か単なる撚り合わせかを図面・現物で判定
  6. 間違い:亜麻織物(5309)で「85%閾値」を見ずに号を決める
    • なぜ起きる:混率が外観で分からない/BOMがない
    • 正しい考え方:5309は亜麻含有量85%で号が分かれます。
    • 予防策:混率証明/試験成績書をインボイス・仕様書と紐づけて保管
  7. 間違い:ジュート織物(5310)を「袋(完成品)」と同列に扱う
    • なぜ起きる:ロール生地と縫製済み袋の区別が曖昧
    • 正しい考え方:裁断・縫製済み等は“made up”でCh.53から外れる可能性。
    • 予防策:出荷形態(ロール/裁断/縫製)を品名・仕様書に明記
  8. 間違い:アルファ/エスパルト等の「未加工葉」を5305に入れる
    • なぜ起きる:「繊維っぽい」見た目で判断
    • 正しい考え方:紡織用途を示す加工(ロール、破砕、コーム等)をした場合のみ5305側に来る趣旨(未加工は第14類側)。
    • 予防策:加工状態の証憑(工程、写真)を入手し、用途(紡績/ブラシ/詰物等)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第53類は「繊維→糸→織物」ステージが明確で、HSの取り違いがそのままPSRの条文適用違いになります。
  • よくある落とし穴:
    • 材料側のHS(例:植物繊維=5305)と、最終製品側(例:織物=5311、袋完成品=Ch.63)の取り違い
    • “糸”と“綱(5607)”の境界(線密度)でPSRの見出しが変わる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 例(代表例として):
    • **CPTPP(TPP11)**の繊維・衣類のPSR(Annex 4-A)は「HS2012分類」で提示されています。
    • RCEPのPSR(Annex 3A)は「HS2012版に基づく」旨が明記されています。
  • 日本税関のPSR検索画面でも、EPAごとに採用HS版(HS2002/2007/2012/2017…)が異なるため、協定が採用するHS版で検索するよう注意喚起されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定本文のHS版と、輸入申告で使う最新HS(HS2022)がズレる場合、**協定側PSRをHS2022へ読み替え(transposed PSR)**して運用することがあります。例えばRCEPについて、日本の外務省は「原産地証明に記載するHSコード等はHS2022へ転置したPSRに基づく」旨を注記しています(適用開始日も明記)。
    • 転置の考え方(一般論)はWCOのガイダンスも参照すると安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須データ:
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 「糸/綱」境界の根拠データ(decitex、ply、仕上げ)
    • 織物の混率(重量%)と仕上げ状態(漂白/染色等)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 協定・運用により異なるため、税関・商工会議所等のガイドに沿って、根拠資料(仕様書・試験成績・工程)を保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第53類のHS6桁レベル)5301〜5311([53.04]欠番含む構造も同様)見出し/号の体系は同一HS付番自体の見直し対応は基本不要(ただし国内コードや協定側HS版には注意)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCOのHS2022第53類(項・号一覧)と、WCOのHS2017第53類(項・号一覧)を突合し、5301〜5311の見出し・号構造が一致することを確認しました。
  • したがって、**HS2017→HS2022の第53類は「変更なし」**と整理します(HS6桁ベース)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第53類はHS2017→HS2022では安定していますが、**古い版(HS2002→HS2007)で大きな整理(5304の消滅)**があります。

版の流れ主な追加・削除・再編旧コード→新コード(または行き先)実務メモ
HS2002→HS20075304(サイザル等)を含む複数の細分が整理され、5305.00へ統合(低取引量を理由とする削除・統合の趣旨が相関資料で説明)(例)HS2002の5304.10/5304.90 等 → HS2007の5305.00 に統合旧資料で「5304」を見た場合は、HS版を確認して読み替えが必要
HS2007→HS2012大きな再編なし(5305.00のまま)HS2012でも[53.04]は欠番構造
HS2012→HS2017大きな再編なし
HS2017→HS2022大きな再編なし

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):紙糸と紙ストリップの取り違い
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):紙を折っただけのストリップを「紙糸」として5308申告(実際は48類側)
    • 起きやすい状況:品名が“paper yarn”“paper cord”で統一されていない
    • 典型的な影響:分類更正、必要書類追加、検査・遅延
    • 予防策:製法(撚り/折り)を仕様書に明記し、写真を添付
  • 事例名:太いヘンプ糸を“糸(5308)”で申告
    • 誤りの内容:第11部注3の“twine/rope”条件に該当するのに5607へ移していない
    • 起きやすい状況:線密度データが無い/番手換算の誤り
    • 典型的な影響:追加納税、原産地規則の再計算、分類照会対応
    • 予防策:decitex/ply/仕上げ情報を仕入先から取得し、申告資料に添付
  • 事例名:紙ストリップ交錯品(46.01)を紙糸織物(5311)で申告
    • 誤りの内容:53.11の除外(紙ストリップの交錯品は46.01)を見落とし
    • 起きやすい状況:マット/帽体/バッグ材料など「織物っぽい」製品
    • 典型的な影響:分類更正、取引先の関税コスト見直し
    • 予防策:原糸が紙糸(撚りあり)か、紙ストリップの組物かを製法で判定
  • 事例名:ジュート織物ロールと袋完成品の混同
    • 誤りの内容:縫製済み袋を5310(織物)として申告(made upでCh.63側の可能性)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“jute bag cloth”など曖昧
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、納期遅延
    • 予防策:出荷形態(ロール/裁断/縫製)を品名欄に必ず入れる

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物検疫は、原則「病害虫が付着する可能性のある植物は検査対象」という考え方で運用され、高度加工品等は対象外となる整理があります(ただし個別判断)。
    • 例えば、中古の植物由来包装材などは別途「検疫指定物品」として扱われ得るため、ジュート袋などの用途・中古/新品・汚れ(土壌付着)には注意が必要です。
    • 確認先:植物防疫所(MAFF)/輸入港での検査手続(必要に応じて輸出国の植物検疫証明書)
    • 実務での準備物(一般論):成分/原料植物、加工工程、用途、梱包状態、汚れ・土壌付着の有無、必要なら輸出国側証明
  • その他の許認可・届出(大麻関連:該当する場合)
    • 第53類には「True hemp(Cannabis sativa L.)」の繊維・糸が含まれますが、HS分類と国内規制(薬物規制・栽培規制)は別物です。
    • 2024年12月12日に、いわゆる大麻取締法等の改正法が施行され、法体系・定義(例:大麻草=Cannabis sativa L.、大麻の定義等)が整理されています。
    • “種子や成熟した茎”およびその製品の扱い(除外規定等)も条文・通知で細かく整理されているため、ヘンプ繊維製品の輸入は、成分・部位・形状・含有成分等を含めて所管官庁の最新情報で確認してください。
    • 確認先:厚生労働省(医薬局等の通知・Q&A)、税関の他法令確認窓口(必要に応じて専門家・事前相談)
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第53類の一般的な繊維・織物は該当しにくい一方、用途・特殊加工(軍用資材等)で別途規制対象となり得るため、用途と仕様を確認してください(一般論)。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料植物(可能なら学名)/繊維種(亜麻・ジュート・ラミー・コイヤ・紙等)
    • 加工状態(精紡前/糸/織物/完成品)、工程図、写真
    • 糸の場合:decitex、ply、polished/glazed、金属補強の有無
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • “糸→綱(5607)”の判定(第11部注3)
    • “made up”でCh.53から外れないか(第11部注7・8)
    • 紙系は48類・46.01との境界を再確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 「roll生地」か「縫製済み」かを品名に明記
    • 混率(重量%)・漂白/染色状態の記載
    • 必要に応じてサンプル写真・仕様書添付
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の採用HS版でPSR確認(税関の注意喚起に従う)
    • トランスポジション(HS2022読み替え)の要否(例:RCEP)
    • BOM、原価、工程、材料HS、証憑保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫:加工度・中古/新品・土壌付着等で要否判断(植物防疫所へ)
    • ヘンプ関連:成分・部位・形状等の規制適合性を所管官庁情報で確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 53(参照日:2026-02-22)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Section XI Notes(参照日:2026-02-22)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説」第53類(参照日:2026-02-22)
    • 税関「品目別原産地規則」検索画面(HS版注意喚起)(参照日:2026-02-22)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP(TPP)Annex 4-A(Textiles and Apparel PSR:HS2012表記)(参照日:2026-02-22)
    • RCEP Annex 3A(PSR:HS2012に基づく旨の記載)(参照日:2026-02-22)
    • 外務省:PSRのHS2022転置に関する注記(参照日:2026-02-22)
    • WCO:Preferential ROOのTechnical Updateガイド(参照日:2026-02-22)
  • 規制・検疫(日本)
    • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の考え方(対象外の考え方含む)(参照日:2026-02-22)
    • 税関通達(輸入植物等の通関取扱い・検疫指定物品の考え方等)(参照日:2026-02-22)
    • 厚生労働省:大麻関係法改正の施行通知(参照日:2026-02-22)
    • 警察庁:改正内容の説明資料(施行日・除外規定等)(参照日:2026-02-22)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第51類:羊毛、繊獣毛、粗獣毛及び馬毛の糸並びにこれらの織物(Wool, fine or coarse animal hair; horsehair yarn and woven fabric)

※用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • **羊毛(sheep/lamb)**の原毛(未カード・未コーム)…例:剪毛したグリースウール(5101)
    • カシミヤ、アルパカ、モヘヤ等の獣毛(未カード・未コーム)…例:カシミヤ原毛(5102.11)
    • 羊毛・獣毛のくず(ノイル等)…例:コーミング工程のノイル(5103.10)
    • 羊毛・獣毛の反毛(ガーネットしたもの)…例:反毛原料(5104)
    • 羊毛・獣毛のトップ/カード・コームしたもの…例:羊毛トップ(5105)
    • 毛糸(糸)や毛織物(織物)…例:小売用毛糸(5109)、梳(そ)毛織物(5112)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 羊毛付きの原皮(毛皮付き皮):原毛ではなく原皮扱いになりやすい(41.02 または 43.01)
    • ブラシ製造用の獣毛・剛毛:粗獣毛の定義から除外(05.02)
    • 馬毛(単毛)や馬毛のくず:第51類の「馬毛の糸・織物」とは別で、馬毛そのものは 05.11(※第5類注で定義)
    • フェルト・不織布・特殊糸・ロープ等:加工形態により第56類(例:フェルト 56.02)に移りやすい
    • コーティング/工業用(技術的用途)の織物:条件次第で第59類(例:59.11)に移りやすい
    • 衣類・出来上がり品(made up):第61〜63類へ(「裁断・縫製・裾処理」等があると外れやすい)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 素材の定義:羊毛(sheep/lamb)か、繊獣毛(カシミヤ等)か、粗獣毛か、馬毛か(類注の定義)
    • 加工段階:原毛(未カード/未コーム)→トップ(カード/コーム)→糸→織物、どこまで加工されているか
    • 糸の「小売用」判定:5106/5107/5108(小売用でない)か、5109(小売用)か
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **希少種由来(例:ビクーニャ)**はCITES/種の保存法の規制が絡み、通関だけでなく譲渡規制・表示要件まで影響します(分類ミス+規制見落としが高コスト)。
    • 未洗浄の毛・毛類は動物検疫(指定検疫物)対象になり得て、書類不備で止まりやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)を、ビジネスマン向けに説明
    • GIR1(見出し+注で決める)が中心です。第51類は「素材(羊毛/繊獣毛/粗獣毛/馬毛)」と「加工段階(原毛→トップ→糸→織物)」で見出しがほぼ決まるため、まず類注(素材定義)と項の文言に当てはめます。
    • **GIR6(6桁は6桁同士の比較)**で、たとえば「5101.11(剪毛)」か「5101.19(その他)」のように、同一項内で条件(状態・種類)を詰めます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • “wool”表記=羊毛(5101)とは限りません。HS上の「羊毛」は羊・子羊に限定され、カシミヤ等は「繊獣毛」(5102など)です。
    • カード(carded)/コーム(combed)済みか糸が小売用の形態かなど、加工度・包装形態が決定打になります。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:繊維原料・糸・織物か/出来上がり品かを確認
    • 裁断・縫製・裾処理などのmade upなら第61〜63類側を疑います。
  • Step2:素材の定義を確定(類注)
    • 羊毛(sheep/lamb)/繊獣毛(カシミヤ等)/粗獣毛/馬毛(単毛は05.11)を切り分けます。
  • Step3:加工段階を確定
    • 原毛(未カード/未コーム:5101/5102)→くず(5103)→反毛(5104)→トップ(5105)→糸(5106〜5110)→織物(5111〜5113)。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第51類 vs 第05類:馬毛(単毛)・ブラシ毛は第05類へ(05.11/05.02)。
    • 第51類 vs 第59類:工業用(技術的用途)やコーティング等で59章へ(例:59.11)。
    • 第51類(糸)内の分岐:小売用(5109)か、工業用(5106〜5108)か。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第51類は4桁見出しが多くないため全列挙します。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
5101羊毛(未カード・未コーム)グリースウール、洗い上げ羊毛「羊毛」は羊・子羊に限定。原皮(毛付き皮)は除外。
5102繊獣毛・粗獣毛(未カード・未コーム)カシミヤ原毛、アルパカ原毛、やぎ毛カシミヤ(5102.11)か否か、繊獣毛か粗獣毛か(類注定義)。
5103羊毛・獣毛のくず(反毛除く)ノイル、落ち綿状のくず、糸くず反毛(5104)と混同注意。フロック等は56.01へ行く場合あり。
5104反毛(ガーネットしたもの)反毛原料(shoddy原料)くず(5103)と区別:ガーネット工程の有無が鍵。
5105羊毛・獣毛(カード/コーム済み、トップ等)羊毛トップ、カシミヤトップ「小塊状のコーム羊毛」等、見出しで明示。
5106カード羊毛糸(小売用でない)工業用コーン巻き毛糸5109(小売用)との境界は包装形態・重量基準。
5107コーム羊毛糸(小売用でない)梳毛糸(工業用)5106(カード)との区別=紡績工程(梳毛/紡毛)。
5108繊獣毛糸(小売用でない)カシミヤ糸(工業用)、モヘヤ糸カード/コーム(5108.10/5108.20)で分岐。
5109羊毛または繊獣毛の小売用糸手編み用毛糸玉「小売用にした糸」定義(部注)で判定。
5110粗獣毛糸または馬毛糸馬毛糸、粗獣毛糸「馬毛そのもの(単毛)」は05.11、糸はここ。
5111カード羊毛/カード繊獣毛の織物紡毛織物(厚地)85%基準、重量300g/m²基準、混用(化繊)で分岐。
5112コーム羊毛/コーム繊獣毛の織物梳毛スーツ地85%基準、重量200g/m²基準、混用(化繊)で分岐。
5113粗獣毛または馬毛の織物芯地、内装材、馬毛の織物工業用織物(59.11)に該当すると除外。

(根拠:HS2022 第51類の見出し・号体系、および日本税関解説の類注・総説)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 状態(原毛):グリース(脂付き)/洗い上げ(脱脂)/化炭処理の有無(5101)
    • 種類(獣毛):カシミヤか、その他の繊獣毛か、粗獣毛か(5102、5105)
    • 工程(糸):カード糸(5106)かコーム糸(5107)、繊獣毛糸(5108)か
    • 包装(糸):「小売用にした糸」か(5109)
    • 組成と重量(織物):85%以上ルール、g/m²(5111は300、5112は200)
    • 混用相手(織物):主に/専ら「人造繊維フィラメント」か「ステープル」か(5111.20/5111.30、5112.20/5112.30)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • (1) 5101(羊毛・未カード/未コーム) vs 5105(カード/コーム羊毛・トップ)
      • どこで分かれるか:カード/コーム工程を経ているか、トップ等の形態か。
      • 判断に必要な情報:製造工程(カード・コーム有無)、形状(トップ、スライバー等)、写真。
      • 典型的な誤り:「洗い上げ=加工品」と誤解して5105へ寄せる(洗浄だけなら5101のままのことが多い)。
    • (2) 5103(くず) vs 5104(反毛)
      • どこで分かれるか:ガーネット(反毛)工程を経た“再生繊維状”か、単なるくず(ノイル、落ち綿状)か。
      • 判断に必要な情報:発生工程(ガーネット工程の有無)、繊維の状態(長さ・絡み・混入物)、仕様書。
      • 典型的な誤り:「再生原料=全部5104」としてしまい、ノイル等(5103)を誤る。
    • (3) 5106/5107/5108(小売用でない糸) vs 5109(小売用糸)
      • どこで分かれるか:部注の「小売用にした糸」定義(巻き方・重量・支持体など)に該当するか。
      • 判断に必要な情報:1個当たり重量、巻き形態(玉・かせ・コーン等)、ラベル、デシテックス(dtex)、単糸/双糸。
      • 典型的な誤り:工業用コーン巻きを「毛糸=5109」としてしまう。
    • (4) 5111(カード系織物) vs 5112(コーム系織物)
      • どこで分かれるか:使用糸がカード(紡毛)かコーム(梳毛)か。重量基準(300/200)や85%基準は“項内”の分岐。
      • 判断に必要な情報:糸種(梳毛/紡毛)、織物規格(目付g/m²)、混用率(重量%)。
      • 典型的な誤り:「スーツ地=5112」と決め打ち(実際はカード系もあり得る)。
    • (5) 5113(粗獣毛/馬毛織物) vs 5911(技術的用途の織物)
      • どこで分かれるか:工業用・技術的用途に該当する性状/用途か(59.11側の要件確認)。
      • 判断に必要な情報:用途(フィルター/ふるい等)、仕様(目開き、耐熱等)、販売形態(産業資材用途の明確性)。
      • 典型的な誤り:「馬毛の織物=必ず5113」として工業用織物の除外を見落とす。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 混用(異なる繊維が混ざる)時の原則:第50〜55類の多くは、原則として“重量で優勢な繊維”で分類し、同程度なら番号が後の見出しへ寄せる考え方です(部注で整理)。
    • **「小売用にした糸」**の定義:糸の分類(5106〜5109)で決定打になります。
    • 太さ(dtex)でロープ扱いに飛ぶルールはありますが、羊毛・獣毛糸は原則としてその例外に入る点が実務的に重要です(=太い毛糸だから即56.07とはしない)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ウール50%+ポリエステル50%の織物は、「名称」ではなく混用率(重量%)で判断します。優勢がなければ、該当する見出しのうち番号が後の方へ寄るルールを使います。
    • 例:手編み用の毛糸玉でも、重量・巻き方・支持体が定義を満たさなければ小売用にならず、5106〜5108側に残ることがあります(例外規定も含め確認)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • **「made up」**の扱い:裁断・縫製などが入ると、第50〜55類(原料〜織物の章)ではなく、56〜63類(出来上がり品側)へ。
    • 工業用(技術的用途):織物でも条件により59.11へ。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第51類の類注は、まず**「羊毛」「繊獣毛」「粗獣毛」を定義し、粗獣毛からブラシ毛(05.02)馬毛(05.11)**を除外しています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 羊毛:羊・子羊の天然繊維。
    • 繊獣毛:カシミヤやぎ、アルパカ、ラマ、ビクナ、らくだ、やく、うさぎ等の毛(類注列挙の範囲)。
    • 粗獣毛:上記以外の獣毛(ただしブラシ毛・馬毛は除外)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • ブラシ製造用の獣毛・剛毛 → 05.02
    • 馬毛(単毛)・馬毛のくず → 05.11(馬毛の糸・織物は第51類側)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:“wool”表記の誤解(羊毛≠獣毛全般)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):動物種(sheep/lambか、goat/camelid等か)、原産証明や検査書、商品説明書。
    • 現場で集める証憑:仕様書(素材名+学名/動物名)、混用率証明、写真、サプライヤー宣誓書。
    • 誤分類の典型:「カシミヤ=高級ウール」として5101(羊毛)へ入れてしまう(正しくは5102/5105/5108/5109等)。
  • 影響ポイント2:粗獣毛の定義からの除外(ブラシ毛・馬毛)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):用途(ブラシ用か)、部位(たてがみ/尾毛か)、原料形態(単毛か糸か)。
    • 現場で集める証憑:用途資料(ブラシ用途/繊維用途)、工程表(紡績の有無)、サンプル写真。
    • 誤分類の典型:馬毛(単毛)を5110(糸)扱いにしてしまう/ブラシ毛を粗獣毛として5102へ入れてしまう。
  • 影響ポイント3:混用(ウール×化繊等)の“重量ルール”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):繊維ごとの重量%(試験成績書がベスト)。
    • 現場で集める証憑:組成分析(JIS等の試験)、BOM、糸番手・目付(織物)。
    • 誤分類の典型:名称や用途で「ウール製」と決め打ちし、重量優勢の化繊側を見落とす。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:カシミヤ原毛を「羊毛(5101)」で申告
    • なぜ起きる:商流で“cashmere wool”などと呼ばれ、HS上の「羊毛」定義(sheep/lamb限定)を見落とすため。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):類注で羊毛と繊獣毛が別定義。カシミヤは繊獣毛側(5102.11等)へ。
    • 予防策:サプライヤーに「動物種」「学名」「混用率」を必ず確認。品名は「cashmere hair」等に寄せて記載。
  2. 間違い:カード/コーム済み(トップ等)を未カード扱い(5101/5102)で申告
    • なぜ起きる:洗浄とカード/コームを混同しやすい。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):カード/コーム済みは5105(トップ等)。未カード/未コームは5101/5102。
    • 予防策:工程フロー(カード・コーム有無)と形状(トップ/スライバー)写真を入手。
  3. 間違い:工業用コーン巻き糸を「小売用毛糸(5109)」にしてしまう
    • なぜ起きる:毛糸=小売用という先入観。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):「小売用にした糸」は部注定義で判定。工業用形態なら5106〜5108へ。
    • 予防策:1個当たり重量、巻き形態(コーン/チーズ/玉)、ラベル有無、dtexを確認。
  4. 間違い:ノイル等の「くず(5103)」を「反毛(5104)」にしてしまう(または逆)
    • なぜ起きる:どちらも“再生・端材”に見えるため。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):5103はくず(ノイル等)、5104はガーネット工程で得た反毛。
    • 予防策:発生工程(紡績くず/反毛工程)を仕入先に確認し、製造記録を保管。
  5. 間違い:馬毛(単毛)を「馬毛糸(5110)」で申告
    • なぜ起きる:馬毛という単語が同じで混乱。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):馬毛そのものは05.11、馬毛“糸”や“織物”が第51類。
    • 予防策:形態(単毛/糸/織物)を写真で証明。用途も併記。
  6. 間違い:毛織物(5111/5112)を、コーティング・ラミネートの有無を確認せず申告
    • なぜ起きる:表面処理が軽微に見える、または情報が伝わらない。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):コーティング・技術的用途等は第59類に移る可能性。
    • 予防策:断面写真、樹脂種別、コート量、用途(工業資材か衣料か)を確認。
  7. 間違い:カード織物(5111)とコーム織物(5112)を用途だけで決める
    • なぜ起きる:「スーツ=梳毛」などの経験則。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):見出しは糸の種類(カード/コーム)で分かれる。
    • 予防策:糸種(梳毛/紡毛)を製造側に確認し、規格書を添付。
  8. 間違い:獣毛を通常の繊維原料として扱い、動物検疫・CITESを見落とす
    • なぜ起きる:繊維=“非食品だから規制なし”と誤解。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):毛類は指定検疫物になり得る。ビクーニャ等はCITES/種の保存法が絡む。
    • 予防策:仕入先から「動物種」「処理状態(洗浄・消毒)」「CITES許可の要否」を事前に確認し、手続担当(通関+法規)を巻き込む。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 例:同じ「毛糸」でも、5106/5107/5108/5109でPSRが変わり得ます。まず**最終製品のHS(国内コード含む)**が確定しないと、材料側のHSや工程の評価がズレます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 原料(トップ5105)→糸(5106〜)→織物(5111〜)と工程段階でHSが動くため、材料HSを“完成品と同じ”にしてしまうのが典型的な落とし穴です。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • たとえばRCEPは当初HS2012ベースでしたが、HS2022に置換したPSRが採択され、2023-01-01から実施されています。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 協定や税関のPSR検索で指定すべきHS版を誤ると、PSR適用自体を間違えます。税関の原産地規則ポータル等で確認してください。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • HS改正時はWCO相関表等で旧→新を確認し、製品側HSだけでなく材料側HSも同様に見直すのが安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 繊維は混用が多いので、重量%(ウール/化繊等)をBOMに落としておくとPSR検討が速いです。
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入証明、工程表、加工記録、試験成績(混用率・目付)、原産地資料を取引単位で保存(協定ごとの年限は協定・運用で確認)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくともHS6桁の構造)5101〜5113見出し・号の体系が同一付番ロジックは継続。国内コードの改定有無は国別に要確認。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 変更なし
    • HS2017版とHS2022版の第51類の見出し・号(5101〜5113)を比較すると、構造が同一です。
    • さらに、WCOのHS2017↔HS2022相関表は“変更・新設がある号”を中心に掲載する趣旨で公表されていますが、第51類の号(5101等)は変更対象として現れません(=少なくともHS6桁の改廃は見当たりません)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理
    (※第51類は、少なくともここで参照した各版のHS6桁体系では大きな改廃が確認できません。)
期間主な追加・削除・再編(HS6桁)旧コード→新コードの対応
HS2007→HS2012変更なし(5101〜5113の体系維持)該当なし
HS2012→HS2017変更なし(5101〜5113の体系維持)該当なし
HS2017→HS2022変更なし(5101〜5113の体系維持)該当なし

根拠:各版の第51類条文(コード表)の比較。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“カシミヤ=羊毛”でHS誤り
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):類注の定義(羊毛と繊獣毛の区別)を無視。
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“cashmere wool”のみ、素材証明なし。
    • 典型的な影響:修正申告、関税差額、原産地規則(PSR)再判定。
    • 予防策:動物種・混用率の証明を添付し、品名に“cashmere hair”など識別を入れる。
  • 事例名:馬毛(単毛)を5110/5113で申告
    • 誤りの内容:馬毛(単毛)は05.11であり、第51類の対象は馬毛「糸」または「織物」。
    • 起きやすい状況:原料名だけで分類、形態(糸化の有無)を確認しない。
    • 典型的な影響:分類差替え、書類差戻し、検査対応。
    • 予防策:形態写真(単毛/糸/織物)と用途資料を準備。
  • 事例名:工業用の馬毛織物を5113で申告
    • 誤りの内容:59.11の技術的用途の織物に該当する可能性を未確認。
    • 起きやすい状況:用途が「ふるい・フィルター」なのに衣料用途として申告。
    • 典型的な影響:用途確認・資料追加要求、修正申告。
    • 予防策:用途仕様書(工業資材か否か)・性能表・販売形態を事前提出。
  • 事例名:未洗浄毛類の動物検疫手続の見落とし
    • 誤りの内容:指定検疫物(毛等)に該当するのに、検査証明書や申請手続が未整備。
    • 起きやすい状況:繊維担当のみで進め、法規(動物検疫)を見ない。
    • 典型的な影響:搬入停止、保留、追加書類、納期遅延。
    • 予防策:出荷前に動物検疫所の手続・必要書類を確認し、通関計画に組み込む。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 動物検疫(家畜伝染病予防法):指定検疫物には、対象動物およびその「皮・毛」等が含まれます。輸入時は検査申請・証明書添付等が必要になる場合があります。
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • **ビクーニャ(Vicugna vicugna)**は国内法(種の保存法)で国際希少野生動植物種に指定され、毛や毛皮製品等の譲渡が原則禁止(登録等の例外あり)。
      • CITES上も、特定個体群の毛を用いた製品は要件(原産国表示ロゴ等)やCITES許可書提出が求められる旨の案内があります。
    • その他の許認可・届出
      • 繊維製品の品質表示:最終製品として日本国内で販売する場合、混用率表示等のルール(繊維製品品質表示規程)が実務上重要です(輸入通関そのものとは別軸ですが、商流で要求されやすい)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 動物検疫所(MAFF):指定検疫物・輸入畜産物の検査手続
    • 経産省:CITES(ビクーニャ表示等)
    • 環境省:種の保存法(ビクーニャ製品の譲渡規制)
    • 消費者庁:繊維製品の表示
  • 実務での準備物(一般論):
    • 動物検疫:品名・数量・原産国、処理状態(洗浄/消毒)、輸出国政府機関の証明書、輸入検査申請書類。
    • CITES/種の保存法:動物種特定資料、CITES許可書/証明書、必要表示(ロゴ等)、国内登録の要否確認。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種(羊/やぎ/ラクダ科など)、混用率(重量%)、形態(原毛/トップ/糸/織物)、カード/コームの有無
    • 原毛なら:グリース/洗い上げ/化炭処理の有無
    • 糸なら:単糸/双糸、dtex、1個重量、巻き形態(玉/かせ/コーン)、ラベル表示
    • 織物なら:目付(g/m²)、組織、混用相手(化繊フィラメント/ステープル)、用途(衣料/芯地/工業資材)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注の定義(羊毛/繊獣毛/粗獣毛/馬毛)に矛盾がないか
    • 小売用糸判定(5109)を部注定義で再確認
    • 工業用織物(59.11)やコーティング(59章)への飛びを用途・性状で再確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「wool(羊毛)」を使う場合、羊由来である根拠資料を添付
    • 混用率証明、工程表、写真、目付・糸番手などの規格書を準備
    • 日本の**国内コード(9桁等)**はHS6桁と別物なので、国内表で再確認(通関業者とすり合わせ)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 税関ポータル等で対象協定・HS版を確認し、PSRを特定
    • BOM(材料HS・原産国・重量/原価)、工程情報、RVC計算の前提を揃える
    • 証憑保存(協定ごとに要件確認)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫:指定検疫物(毛等)に該当するか、検査証明書が必要か
    • CITES/種の保存法:ビクーニャ等の希少種由来か、表示・許可・登録が必要か

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS2022 Chapter 51(見出し・号、定義) (参照日:2026-02-22)
    • HS2017 Chapter 51(比較用) (参照日:2026-02-22)
    • Section XI Notes(混用・小売用糸等) (参照日:2026-02-22)
    • Correlation Tables HS2017–2022(Table I/II、位置づけ) (参照日:2026-02-22)
    • Chapter 5 Notes(馬毛の定義・05.11での扱い) (参照日:2026-02-22)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:関税率表解説 第51類(類注・総説・除外例) (参照日:2026-02-22)
    • 税関:事前教示(制度概要/注意点、Eメール事前教示) (参照日:2026-02-22)
    • 税関:RCEPのHS2022版PSR採択(2023-01-01実施) (参照日:2026-02-22)
    • 外務省:RCEPのHS2022置換PSR(運用開始等) (参照日:2026-02-22)
  • 検疫・規制
    • 動物検疫所:検査が必要な物(指定検疫物等)/輸入畜産物の検査手続 (参照日:2026-02-22)
    • 経産省:ビクーニャ毛製品の表示(ロゴ等)とCITES許可書提出 (参照日:2026-02-22)
    • 環境省:ビクーナ製品の譲渡規制(種の保存法) (参照日:2026-02-22)
    • 消費者庁:繊維製品品質表示規程/表示ガイド (参照日:2026-02-22)

※Web参照は「参照日(2026-02-22)」を付記しました。


免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第50類:絹及び絹織物(Silk)

※用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 繰糸に適する繭(5001)
    • 生糸(よってないもの)(5002)
    • 絹のくず(繰糸に適しない繭、糸くず、反毛した繊維、ノイル等)(5003)
    • 絹糸(フィラメント系:生糸をよった・合糸したもの等、ただし小売用を除く)(5004)
    • 絹紡糸(絹くずを紡績した糸、ただし小売用を除く)(5005)
    • 絹織物(反物状の織物。号は「ノイル織物」「85%以上」「その他」に分かれる)(5007)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 「製品にしたもの」(スカーフ等の縫製済み・縁縫い済み、形状裁断済みなど)→第61〜63類等へ(部注の定義でChapter 50の対象外)
    • 絹糸でも太さ(線密度)が一定以上で「ひも・綱等」扱いになるもの → 第56類 56.07(部注)
    • 殺菌した天然てぐす → 30.06、釣針付き・釣糸として製品化 → 95.07、模造カットガット → 56.04(関税率表解説上の典型除外)
    • 絹織物のぼろ(ウエス等) → 第63類(関税率表解説)
    • 「シルク風」でも実態がポリエステル等の化学繊維 → 第54/55類など(材質で決まる:表示名に注意)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 何の段階か(繭→生糸→くず→糸→織物→“製品”)
    2. 糸は“小売用にしたもの”か(5004/5005 vs 5006)
    3. 織物は ノイルか/85%以上か/その他か(5007.10/20/90)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • FTA/EPAのPSR(品目別規則)適用で、最終品HSがズレて原産性判断が崩れる(特に糸・織物は材料HSも絡む)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注で決める):第50類は見出し(繭・生糸・絹くず・糸・織物)と第11部注(混用、製品、糸の小売用等)の影響が大きいです。
    • GIR6(6桁内の選択):特に5007は6桁号が3つ(5007.10/20/90)に分かれ、重量割合(85%)やノイルの有無で分岐します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 材質(本当に絹か):表示や商習慣名(“シルク調”)ではなく、繊維組成で判断します(混用は重量優先ルール)。
    • 状態(繊維→糸→織物→製品):反物か、縫製・裁断済みかで章が変わります(“製品にしたもの”はChapter 50から外れる)。
    • 包装・販売形態(糸):同じ糸でも“小売用”か否かで 5004/5005 と 5006 が分かれます。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:その貨物は「絹(silk)」由来の原料/糸/織物ですか?(組成・試験表・仕様書で確認)
  • Step2:形態はどれですか?
    • 繭 → Step3へ
    • 生糸(よってない) → 5002へ
    • 絹くず(未紡績) → 5003へ
    • 糸(フィラメント/紡績糸) → Step4へ
    • 織物(反物状) → Step5へ
    • “製品”(縁縫い、形状裁断、縫製、セット等) → Chapter 50ではなく第61〜63類等をまず疑う
  • Step3(繭):繰糸に適するか?
    • 適する → 5001
    • 適さない(穴あき・汚損・損傷等)→ 5003(絹のくず)
  • Step4(糸):どちらの糸ですか?
    • 生糸由来の絹糸(フィラメント系)→ 5004
    • 絹くず由来の紡績糸(絹紡糸・絹紡紬糸等)→ 5005
      そのうえで 小売用にしたもの なら 5006(絹糸/絹紡糸)へ。
  • Step5(織物):5007の中で分岐
    • ノイル絹の織物 → 5007.10
    • その他で、絹(または絹くず(ノイル除く))が重量85%以上 → 5007.20
    • その他 → 5007.90
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第50類(反物) vs 第61〜63類(製品):縁縫い済みスカーフ等は“製品”扱いになりやすい
    • 第50類の糸 vs 第56類 56.07(ひも・綱):線密度(デシテックス)で飛ぶ
    • 絹混用 vs 他繊維章:重量優先+同率なら“後順位”の章へ(部注)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
5001繭(繰糸に適するもの)繰糸用の蚕繭「繰糸に適する」かが最大分岐。不可なら5003へ
5002生糸(よってない)生糸(かせ、ボビン等)“わずかなより”が生じ得るが、ねん糸(5004)と混同注意
5003絹のくず繰糸に不適な繭、フロス、ノイル、反毛繊維まだ「糸」になっていない段階。ぼろ(63類)、フロック等(56.01)などは除外
5004絹糸(絹くず紡績糸・小売用を除く)オーガンヂー糸、トラム糸、クレープツイスト等小売用(5006)と、線密度が大きい“ひも・綱”(56.07)を除外
5005絹紡糸・絹紡紬糸(小売用を除く)絹くず(ノイル等)を紡績した糸小売用(5006)と“ひも・綱”(56.07)除外。短繊維紡績が前提
5006小売用にした絹糸/絹紡糸+天然てぐす手芸用の絹糸(小巻)、天然てぐす「小売用」の定義(重量・形態・例外)に注意。殺菌てぐす(30.06)・釣糸製品(95.07)等は除外
5007絹又は絹くずの織物羽二重、シャンタン、ちりめん、透け織物等反物状の織物が前提。6桁でノイル/85%以上/その他に分岐

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で出やすい軸)
    • 品質/適性:繭が「繰糸に適する」か(5001 vs 5003)
    • ねん糸か否か:生糸(よってない)か、ねん糸か(5002 vs 5004)
    • 原料(フィラメント/短繊維):生糸由来の絹糸(5004)か、絹くず由来の紡績糸(5005)
    • 小売用の形態:5004/5005 か 5006 か(部注の“小売用にしたもの”定義)
    • 織物の内訳:ノイル織物/85%以上/その他(5007.10/20/90)
    • 線密度(デシテックス):一定以上で“ひも・綱”扱い→第56類へ(特に絹は20,000デシテックス超が目安)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 5001.00(繰糸用繭) vs 5003.00(絹のくず)
      • どこで分かれるか:繰糸して生糸にできる品質かどうか
      • 判断に必要な情報:仕入仕様(A品/B品)、欠点(穴・汚れ・損傷)、用途(繰糸/紡績原料)
      • 典型的な誤り:「繭=5001」と決め打ちし、実態は繰糸不可で5003
    • 5002.00(生糸・無ねん) vs 5004.00(絹糸・ねん糸等)
      • どこで分かれるか:「よってない」か、ねん糸工程を経た糸か
      • 判断に必要な情報:製造工程、より数、用途(織物のたて糸等)
      • 典型的な誤り:生糸に“わずかなより”があることを根拠に5004へ寄せる(生糸の範囲を要確認)
    • 5004.00/5005.00(小売用でない糸) vs 5006.00(小売用糸)
      • どこで分かれるか:包装形態・重量などが「小売用にしたもの」の条件に合うか
      • 判断に必要な情報:1個当たり重量(支持体含む)、形態(ボール/かせ/カード/工業用コップ等)、ラベル表示(手芸用等)
      • 典型的な誤り:工業用の大巻を5006にしてしまう/逆に手芸用小巻を5004にしてしまう
    • 5007.10(ノイル織物)/5007.20(85%以上)/5007.90(その他)
      • どこで分かれるか:①ノイル糸由来か、②絹(または絹くず(ノイル除く))が重量85%以上か
      • 判断に必要な情報:繊維組成(重量%)、糸種(ノイル糸か)、混用相手(綿/毛/化繊等)
      • 典型的な誤り:「絹が主だから5007.20」としてしまい、実際は85%未満で5007.90

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 混用繊維の扱い:第50〜55類等の混用品は、原則「重量が最大の繊維」とみなして分類(同率なら“後順位”の見出しへ)。
    • “小売用にしたもの”の定義(糸):支持体込み重量の上限(絹は85g等)、形態、例外が定義されています。5004/5005/5006の分岐に直結します。
    • 線密度が大きい糸の扱い(ひも・綱等):絹や絹くずの糸でも、一定のデシテックスを超えると“twine/cordage/ropes/cables”扱いになり得ます。
    • “製品にしたもの”の定義:裁断形状、縁縫い、縫製、完成品などは“製品”とされ、Chapter 50(反物・原料段階)から外れます。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:絹60%×綿40%の反物
      → 混用ルールで「絹が優勢」とみなして第50類(5007)へ。ただし85%未満なので 5007.90 が有力です(例外・詳細は要確認)。
    • 例:手芸用の絹糸(小巻・小玉)
      → 条件を満たすなら5006(小売用)になり、工業用の大巻(コップ等)なら5004/5005側になりやすいです。
    • 例:**スカーフ用の絹反物(未縫製)**は5007の範囲でも、縁縫い済みスカーフは“製品にしたもの”で別章へ飛びます。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 糸が太くて **56.07(ひも・綱等)**へ
    • 反物が 縁縫い・裁断・縫製されて第61〜63類等へ

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • HS2022の第50類は、条文上の独自の類注(Chapter Notes)が置かれていない構成で、実務上は「各項の見出し文言」と「第11部注」が主な根拠になります。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 法的定義は部注側が中心です。一方、日本税関の関税率表解説では、第50類の「絹」には家蚕由来に限らず野蚕等も含める旨の説明があります(実務の解釈補助)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 類注ではなく、主に部注・見出し・解説で除外が整理されます(例:殺菌てぐす→30.06、釣糸製品→95.07 等)。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。
※第50類は独自類注がないため、実務上“同等に効く”第11部注(混用、小売用、製品、ひも・綱)を中心に整理します。

  • 影響ポイント1:「小売用にしたもの」かどうかで、5004/5005⇄5006が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 1個当たり重量(支持体含む)
      • 形態(カード/リール/ボール/かせ/工業用コップ等)
      • 表示(手芸用、家庭用、工業用など)
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真(包装含む)、梱包仕様書、製品ラベル、単位重量表
    • 誤分類の典型:
      • “絹糸=5004”と一括して、手芸用小巻(本来5006)の可能性を落とす
  • 影響ポイント2:線密度(デシテックス)が大きい糸は、56.07へ飛び得る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 線密度(dtex)・太さの仕様、用途(ロープ用途か)
    • 現場で集める証憑:
      • 技術仕様書、試験成績(線密度)、用途説明、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • ロープ用途の太い絹コードを5004/5005/5006で申告してしまう
  • 影響ポイント3:“反物”と“製品”の差で、5007⇄61〜63類が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 裁断形状(長方形以外か)、縁処理(縁縫い・房付け等)、縫製有無、完成品としての使用可能性
    • 現場で集める証憑:
      • 物品写真(端部アップ)、寸法図、加工工程表、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • 縁縫い済みスカーフを「絹織物(反物)」として5007申告

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:絹スカーフ(縁縫い済み)を5007(絹織物)にしてしまう
    • なぜ起きる:素材が絹=第50類、という思い込み
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):縁縫い・完成状態は“製品にしたもの”に該当し、Chapter 50の対象外(部注)
    • 予防策:
      • 確認資料:端部の加工写真、縫製有無、販売形態(完成品か反物か)
      • 社内質問例:「これは反物として加工工程に回る?そのまま消費者が使う?」
  2. 間違い:手芸用の絹糸を5004/5005(小売用でない糸)で申告
    • なぜ起きる:糸の分類=原料(フィラメント/紡績)だけで決めてしまう
    • 正しい考え方:部注の“小売用にしたもの”定義で5006に移る可能性がある
    • 予防策:
      • 確認資料:1個重量、支持体形状、ラベル表示
      • 社内質問例:「この糸は工場で使う?それとも店頭で1個単位で売る?」
  3. 間違い:繰糸に不適な繭を5001(繰糸用繭)にしてしまう
    • なぜ起きる:「繭=5001」と短絡し、品質区分を確認していない
    • 正しい考え方:繰糸に適しない繭は絹くず(5003)側に整理される(解説で明確)
    • 予防策:
      • 確認資料:検品基準、用途(繰糸/紡績原料)、不良率・汚損情報
  4. 間違い:生糸(5002)と、ねん糸(5004)を混同
    • なぜ起きる:生糸にも工程上“わずかなより”が生じ得る点を誤解
    • 正しい考え方:5002は「よってない」が前提。ねん糸工程の有無で5004を検討(解説参照)
    • 予防策:
      • 確認資料:より数、工程図、製造方法の説明
  5. 間違い:ノイル絹の織物を5007.20(85%以上)に入れてしまう
    • なぜ起きる:“ノイル”という糸種を把握していない
    • 正しい考え方:5007.10が「ノイル織物」として独立している
    • 予防策:
      • 確認資料:使用糸の種類(ノイル糸か)、糸メーカー仕様
  6. 間違い:絹混用織物を、商習慣名(例:ウール混)だけで第51類へ
    • なぜ起きる:マーケ名称とHS分類を混同
    • 正しい考え方:第11部注の混用ルールは“重量優先”(同率なら後順位)
    • 予防策:
      • 確認資料:混率(重量%)の試験表、原糸仕様
      • 社内質問例:「重量%は?証明書はある?同率ではない?」
  7. 間違い:太い絹コードを5004等にしてしまい、56.07を見落とす
    • なぜ起きる:線密度(dtex)を確認していない
    • 正しい考え方:部注で、絹/絹くず糸が一定のdtex超で“ひも・綱等”扱いになり得る
    • 予防策:
      • 確認資料:dtexデータ、用途(ロープ用途か)、引張強度など
  8. 間違い:コーティング/ラミネートした絹織物を5007のまま申告
    • なぜ起きる:表地が絹なので“絹織物”と判断してしまう
    • 正しい考え方:含浸・被覆等により第59類やプラスチックの章へ移る可能性がある(部注の除外構造を踏まえ要検討)
    • 予防策:
      • 確認資料:断面写真、コーティング材質・厚み、機能説明(防水等)
  9. 間違い:殺菌済み天然てぐす(医療用)を5006にしてしまう
    • なぜ起きる:素材だけで判断し、“用途・状態(殺菌)”を見落とす
    • 正しい考え方:関税率表解説上、殺菌した天然てぐすは30.06へ除外される
    • 予防策:
      • 確認資料:医療用途表示、殺菌証明、包装(滅菌パック等)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。糸・織物は「原料のHS」と「最終品のHS」の両方が原産性判断に絡みやすいです。
  • よくある落とし穴:
    • 最終品(例:絹織物5007)を誤って“製品”(第61〜63類)側にしてしまい、PSRが別物になる
    • 混用の重量%を誤認し、章自体がズレる(PSR以前にHSが崩れる)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本税関のPSR検索画面でも、協定ごとに採用HSバージョンが異なり、違う版で検索すると誤りが出得る旨が明示されています。
  • 例(代表):
    • RCEPは、品目別規則(PSR)がHS2022に置換され、2023-01-01から実施と案内されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • ① 通関申告:原則「最新のHS(輸入国税関の現行)」
    • ② 原産地規則:協定が参照するHS版に合わせてPSRを当てる
    • ③ 版ズレがある場合:相関表(新旧対応)を使ってコード対応を確認し、**“最終的に適用するPSRはどれか”**を固定する

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 収集すべき基礎データ(例):
    • 材料表(BOM)、各材料の原産国、非原産材料のHS(可能なら6桁)、工程(紡績・製織・染色等)、原価情報(RVCがある場合)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 工程証憑(工程表、外注加工証明)、仕入書類、試験成績(混率)、製造記録を整備しておくと、事後検証に強くなります。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくとも第50類の見出し/号は同一)5001〜5007(含む5007.10/20/90)第50類の構成(繭・生糸・絹くず・糸・織物、及び5007の3分岐)は同一コード移行対応は原則不要(ただし国内コードは別途確認)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料に基づく確認結果:
    • WCOのHS2017版とHS2022版のChapter 50一覧を比較すると、5001.00〜5006.00と、5007.10/5007.20/5007.90の構成・文言が一致しており、HS6桁レベルでの新設/分割/統合等は確認できません。
    • 補助的に、WCOが公表するHS2017–2022相関表(Table I)は「変更のあった相関」を列挙する性格の資料であり、そこに第50類コードが現れないことからも、第50類に改正影響が小さいことが示唆されます(※相関表の性格上、“未掲載=不変”の確認補助として位置づけ)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(主要なもの)
    | 版の移行 | 主な追加/削除/再編 | 旧コード → 新コード(例) | コメント |
    |—|—|—|—|
    | HS2007→HS2012 | 主要な改正なし(第50類は同一構成) | 5001〜5007(同一) | WCOの各版一覧で一致 |
    | HS2012→HS2017 | 主要な改正なし | 5001〜5007(同一) | WCOの一覧で確認 |
    | HS2017→HS2022 | 主要な改正なし | 5001〜5007(同一) | WCOの一覧で確認 |

※補足:上表はHS6桁(国際統一)ベースです。日本の**国内コード(統計品目番号)**は改正や運用で細分・変更され得るため、実務では最新版の輸入統計品目表・輸出統計品目表で別途確認してください。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「手芸用絹糸」を工業用として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):小売用定義(部注)を見ずに5004/5005で申告
    • 起きやすい状況:品名が “silk yarn” だけ、重量・形態の情報が通関書類に無い
    • 典型的な影響:税番更正、追加資料要求、審査長期化
    • 予防策:包装写真、1個重量、ラベル(手芸用)を事前に添付
  • 事例名(短く):太い絹コードを5004で申告→56.07へ更正
    • 誤りの内容:線密度(デシテックス)による“ひも・綱等”判定の見落とし(部注)
    • 起きやすい状況:「糸」として輸入するが用途はロープ・結束
    • 典型的な影響:分類差し戻し、追加納税(税率差がある場合)、検査強化
    • 予防策:dtexの仕様書、用途説明(織物用かロープ用か)を準備
  • 事例名(短く):絹の反物と“製品”の取り違え(5007⇄61〜63類)
    • 誤りの内容:縁縫い・裁断等で“製品にしたもの”に該当するのに5007申告(部注)
    • 起きやすい状況:スカーフ/ストールを「生地」と称して輸入
    • 典型的な影響:更正、関税率・原産地規則の再確認、納期遅延
    • 予防策:端部加工の有無を明確化(写真)、製造工程表を添付
  • 事例名(短く):天然てぐすの用途違い(5006⇄30.06/95.07)
    • 誤りの内容:殺菌済み(医療用)や釣針付き等の状態を見落とす(解説上の除外)
    • 起きやすい状況:同じ“gut”でも用途・状態が混在
    • 典型的な影響:分類更正、他法令確認(医療機器等)に波及
    • 予防策:用途証明、殺菌証明、セット内容の明細を用意

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 絹織物などの繊維製品は、食品等の検疫とは別系統ですが、国内販売段階で有害物質規制(後述)や表示義務が問題になりやすいです。
  • その他の許認可・届出(国内流通で頻出)
    • 家庭用品品質表示法(繊維製品品質表示規程):繊維製品の組成表示、取扱い表示、表示者名等のルールが定められています(輸入者は販売時の表示責任に注意)。
    • 有害物質を含有する家庭用品の規制:ホルムアルデヒド等の基準や、アゾ染料に関する規定など、繊維製品に関わる規制が整理されています(特に乳幼児用等は厳しめ)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 表示:消費者庁(家庭用品品質表示法/繊維製品)
    • 有害物質:厚生労働省(関連法令・通知等)
    • 分類:税関(品目分類、事前教示)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 繊維混率試験(重量%)、染料・加工情報(樹脂加工、形態安定等)、製品表示案(ラベル)、用途説明(乳幼児用か等)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料段階の確認(繭/生糸/くず/糸/織物/製品)
    • 組成(重量%)と証明書(試験成績、メーカー仕様)
    • 糸の場合:線密度(dtex)、より数、包装形態(小売用か)
    • 織物の場合:反物か、裁断・縁処理の有無
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 小売用の判定(5006)を部注で再確認
    • “製品にしたもの”該当性(第61〜63類への飛び)確認
    • ノイル/85%/その他(5007.10/20/90)確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「silk fabric / silk yarn」だけでなく、混率、用途、状態(retail/industrial)を追記
    • 写真、仕様書、試験表を添付できる体制
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • PSR検索時に協定のHS版を確認(版ズレ注意)
    • BOM、工程、非原産材料HS、原価資料の保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 表示(繊維製品品質表示)
    • 有害物質(ホルムアルデヒド等、アゾ染料等)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Section XI Notes(1100_2022e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Chapter 50 “Silk”(1150_2022e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO HS Nomenclature 2017 Chapter 50 “Silk”(1150_2017e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO HS Nomenclature 2007 Chapter 50 “Silk”(1150_2007e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO Correlation Tables HS2017–HS2022(Table I, en)/相関表ページ(参照日:2026-02-22)
  • 日本 税関・公的機関のガイド
    • 税関:関税率表解説 第50類(50r.pdf)/第11部 総説(11b.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • 税関:EPA・原産地規則ポータル/品目別原産地規則検索(参照日:2026-02-22)
    • 税関:RCEP(HS2022版PSRの実施案内等)(参照日:2026-02-22)
    • 税関:品目分類の事前教示制度(参照日:2026-02-22)
  • その他(表示・化学物質等)
    • 消費者庁:家庭用品品質表示法/繊維製品品質表示規程・表示ガイド(参照日:2026-02-22)
    • 厚生労働省:有害物質を含有する家庭用品の規制(法令・通知等)/施行規則(参照日:2026-02-22)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 絹製品は「形態差(反物か製品か)」「小売用か」「混率(重量%)」「糸の線密度・より数」などが結論を左右しやすいです。
    • 事前教示(品目分類)に出す/照会する際に有効なセット:
      • ① 現物写真(全体・端部・包装)
      • ② 仕様書(混率・dtex・より数・幅/重量/目付)
      • ③ 工程図(繰糸→撚糸→製織→染色など)
      • ④ 用途(手芸用/工業用、反物販売/完成品販売)
  • 探し方(日本税関の公開情報)
    • 税関は、公開可能な**事前教示回答(品目分類)**を検索できる仕組みを用意しています。キーワード(例:「絹糸」「スカーフ」「織物」)や税番で横断検索し、近い事例の論点(決め手が何か)を把握すると効率的です。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第49類:印刷した書籍、新聞、絵画その他の印刷物並びに手書き文書、タイプ文書、設計図及び図案(Printed books, newspapers, pictures and other products of the printing industry; manuscripts, typescripts and plans)

  • 用語:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 書籍・冊子・リーフレット(単票でも可)や、百科事典・辞書(49.01)
    • 新聞・雑誌などの定期刊行物(49.02。ただし例外あり)
    • 地図・海図・アトラス・壁地図・印刷した地球儀(49.05)
    • 未使用の切手・収入印紙、銀行券、株券などの証券類(49.07)
    • ポスター、写真、広告印刷物、カタログ等の「その他の印刷物」(49.11)
    • (重要)「印刷」は、複写機コピー、ADP(コンピュータ)出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含みます(=“プリントアウト”も含み得る)。
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 透明ベース上の写真のネガ・ポジ(フィルム等):第37類
    • 浮出し(立体)地図・浮出し地球儀:90.23
    • トランプ等の遊戯用カード:第95類
    • オリジナルの版画(銅版画・木版画等):97.02/切手のコレクターズ品・初日カバー等:97.04/製作後100年超の骨董等:第97類
    • 壁紙(48.14)や紙製ラベル(48.21)は、たとえ印刷が重要でも第48類側に残る扱いがある点に注意(例外扱い)。
    • プラスチック/ゴム製品でも、印刷(文字・絵等)が用途に対して「副次的でない」場合、第49類に来ることがあります(ただし 39.18/39.19 は除外)。
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 印刷の位置づけ:その物品の本質・用途が「印刷されていること」で決まるか、単なる装飾/副次的か。
    2. 49.01(本) vs 49.11(広告・ポスター等):広告が本質目的の出版物は49.01に入らず49.11へ。
    3. 49.05(地図等) vs 90.23(浮出し/立体):立体は90.23で、印刷有無は関係なし。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 旧コード(HS2017)で「4905.10(地球儀)」を使ってしまう(HS2022で再編)。協定PSRや社内マスタとのズレが起きやすいです。
    • 広告カタログを49.01(書籍)扱いにしてしまい、49.11(広告印刷物)との不整合で税関照会が増える。
    • 49.07(未使用切手/銀行券等)と、97.04(切手コレクター品等)を取り違える(内容によっては規制・審査も絡みやすい)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注で決める):第49類は「類注(注1〜6)」が境界線そのものです。たとえば、広告目的出版物は49.01から外れて49.11へ(注5)など、注が結論を決めます。
    • GIR6(6桁の号まで落とす):49.05はHS2022で号が再編され、49.11も号区分(広告/写真等/その他)が実務上効きます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 物理形態:単票か、製本されているか、ページ番号があるか、セット物か。
    • 内容/主目的:広告が主か、教育・情報・芸術鑑賞が主か。
    • 印刷の意味合い:コピー/プリンタ出力も「印刷」になり得ますが、単なる装飾模様や色彩印刷だけでは第49類の「印刷物」扱いにならない点に注意。
    • 素材(紙以外もあり得る):プラスチック/ゴム製でも、印刷が用途に対して副次的でなければ第49類へ(例外あり)。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:まず「そもそも第49類か?」(注1の除外をチェック)
    • 透明ベースの写真ネガ/ポジ → 第37類
    • 浮出し地図・浮出し地球儀 → 90.23
    • トランプ等 → 第95類
    • 版画(オリジナル)/切手コレクター品/骨董(100年超) → 第97類
  • Step2:「印刷物/文書」と言えるか(注2)
    • コピー、プリンタ出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含めて“印刷”扱いになり得ます。
  • Step3:項(4桁)を選ぶ
    • 書籍・冊子系 → 49.01(ただし広告目的は49.11へ)
    • 新聞・雑誌等の定期刊行物 → 49.02(ただし例外で49.01へ行くケースあり)
    • 地図・海図・地球儀(印刷) → 49.05
    • 未使用切手・銀行券等 → 49.07
    • それ以外の印刷物(広告、ポスター、写真等) → 49.11
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第48類(紙製品) vs 第49類(印刷物):印刷が包装等の本来用途に対して副次的なら48類、印刷が本質なら49類、という整理が基本(ただし48.14/48.21等の例外に注意)。
    • 第39類(プラスチック製品)/第40類(ゴム製品) vs 第49類:印刷が副次的でない場合は49類へ(ただし39.18/39.19は除外)。
    • 90.23(浮出し) vs 49.05(印刷地図等):立体かどうかが決定打。
    • 第97類(美術品・収集品・骨董) vs 第49類:オリジナル版画や収集切手、骨董(100年超)は第97類。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第49類は項が少ないため全列挙します。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4901印刷した書籍、冊子、リーフレット等(単票含む)書籍、教科書、取説、マニュアル、百科事典・辞書定期刊行物でも「紙以外で製本」「複数号を単一カバーでセット」は4901へ(類注3)。広告目的出版物は4901×で4911(類注5)。
4902新聞、雑誌等の定期刊行物新聞、週刊誌、学会誌4902は通常の定期刊行物。例外で4901へ飛ぶケースあり(類注3)。
4903幼児用の絵本、ぬり絵等絵本、ぬり絵帳「絵が主体・文章が副次的」が条件(類注6)。
4904楽譜(印刷/手稿)楽譜集、スコア記録媒体(CD等)は別類。
4905地図・海図等(印刷)アトラス、壁地図、海図、印刷地球儀浮出し(立体)は90.23で除外(類注1(b))。HS2022で号が再編(4905.20/4905.90)。
4906建築・工業等の設計図等(手書き原図等)手書きの設計図、青焼き・感光複写、カーボンコピー見出しの文言が限定的(手書き原図/特定の複写等)。CADプリント等は判断要(後述)。
4907未使用切手・印紙・銀行券等未使用切手、収入印紙、銀行券、株券・債券、小切手用紙収集品(初日カバー等)は97.04側(類注1(d))。
4908転写紙(デカール)デカール、転写シール、転写タトゥー焼付け用(vitrifiable)かどうかで号分岐。
4909絵葉書・グリーティングカード等ポストカード、メッセージカード4909はカード類に特化。
4910カレンダー壁掛けカレンダー、卓上カレンダーHS6桁は4910.00(国内コードで細分がある場合あり)。
4911その他の印刷物(写真含む)広告物、カタログ、ポスター、パンフ、写真「広告が本質目的の出版物」はここ(類注5)。49.01との境界が頻出。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で効きやすいもの)
    • 形態(単票/製本/セット):4901.10(単票)など
    • 発行頻度:4902.10(週4回以上)
    • 書籍形式か否か:4905.20(書籍形態) vs 4905.90(その他)
    • 用途(広告):4911.10(広告印刷物)
    • 内容(写真・デザイン):4911.91(写真・図案等)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4901(書籍) vs 4911.10(広告物)
      • どこで分かれるか:出版物が「本質的に広告目的」か(類注5)。
      • 判断に必要な情報:表紙/奥付、目次、広告比率というより「目的」(販促配布か、一般向け出版か)、配布形態(展示会配布/DM等)、価格設定(無料配布か)。
      • 典型的な誤り:「冊子=本」で4901に寄せる(広告カタログを4901扱い)。
    2. 4902(定期刊行物) vs 4901(例外で4901へ)
      • どこで分かれるか:定期刊行物でも「紙以外で製本」「複数号を単一カバーでセット」なら4901(類注3)。
      • 判断に必要な情報:製本材料(紙/非紙)、セットの形態、同梱される号数。
    3. 4905(印刷地図等) vs 9023(浮出し/立体)
      • どこで分かれるか:立体(浮出し)かどうか(類注1(b))。
      • 判断に必要な情報:断面構造、凹凸の有無、素材・成形方法、写真。
    4. 4907(未使用切手等) vs 9704(収集品)
      • どこで分かれるか:収集・コレクターズ性(初日カバー等)や、類注1(d)で第97類へ除外されるか。
      • 判断に必要な情報:未使用か(消印の有無)、コレクター向けセット/台紙、発行国・額面、流通実態。
    5. 4905の“旧→新”コード誤用(HS2017→HS2022)
      • どこで分かれるか:HS2022では4905.10(地球儀)が削除され、4905.20/4905.90に再編。
      • 判断に必要な情報:取引で参照しているHS版(社内マスタ、相手国タリフ、協定PSRのHS版)。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第49類が属する第10部(Section X)には部注がありません(=この部は部注なしで章が並ぶ構成)。
    • ただし、他部の部注が「第49類へ飛ばす」ことがあり、特に第7部(プラスチック・ゴム)注2が実務上重要です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • プラスチック製のサインプレートや装飾パネルでも、印刷(文字・絵)が用途に対して副次的でない場合は第49類に分類され得ます(ただし39.18/39.19は除外)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「プラスチック製品だから第39類」と決め打ち → 実際は印刷が本質で第49類(第7部注2)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(注1〜6):
    • 注1:写真フィルム、浮出し地図、トランプ、オリジナル版画、切手収集品、骨董等を除外(第37類、90.23、95類、97類へ)。
    • 注2:「印刷」にはコピー、ADP出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含む。
    • 注3:定期刊行物でも、紙以外で製本・複数号セットは49.01へ。
    • 注4:49.01に含まれる“コレクション/付属絵画/製本用の部分”の扱い。文章を伴わない絵・挿絵は49.11へ。
    • 注5:広告が本質目的の出版物は49.01ではなく49.11。
    • 注6:49.03の「幼児用の絵本」定義(絵が主、文章が従)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「印刷したもの」:上記注2の範囲(コピー/ADP出力等)+実務解説では、印刷キャラクターの形態は問わない一方、単なる装飾印刷・繰り返し模様は含めない、という整理が示されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 注1の除外(第37類、90.23、第95類、第97類)に加え、実務解説では48.14/48.21、39.18/39.19等は印刷の重要性にかかわらず第49類に入らない旨が整理されています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「広告目的」かどうかで 49.01 ⇄ 49.11 が入れ替わる(注5)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 目的(販促配布/カタログ/観光案内か、一般出版か)
      • 内容構成(製品紹介の比重、価格表、注文方法、問い合わせ先の強調)
      • 配布形態(展示会配布、DM、店頭無料配布 など)
    • 現場で集める証憑:
      • 現物/見本、PDFデータ、目次、奥付、配布案内(「販促物」表記)、社内の用途説明
    • 誤分類の典型:
      • 「ページがある=本」→4901に入れてしまい、税関から「本質的に広告」と見られて4911へ修正。
  • 影響ポイント2:定期刊行物でも 49.02 ⇄ 49.01 に飛ぶ(注3)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製本材料(紙か否か)、複数号を単一カバーでセットしているか
    • 現場で集める証憑:
      • 製本仕様(材質)、商品写真、セット構成(何号分か)
    • 誤分類の典型:
      • 「雑誌=4902」で固定 → 実は非紙で製本されていて4901。
  • 影響ポイント3:“印刷”の定義が広い(注2)=プリンタ出力やコピーも第49類候補
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製造方法(コピー、プリンタ、写真、感光複写、型押し等)
      • 単なる装飾模様か、情報伝達(文字・図)か
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程説明、印刷方式、サンプル画像
    • 誤分類の典型:
      • 「印刷物はオフセット等だけ」と誤解して除外、または逆に装飾印刷を49類へ寄せる。
  • 影響ポイント4:素材起点で決め打ちしない(第48類・第39類等との境界)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 素材(紙/プラ/繊維等)+印刷が用途に対して副次的か否か
      • 例外(39.18/39.19、48.14/48.21)の有無
    • 現場で集める証憑:
      • 材料構成、用途説明、製品カタログ、使用シーン写真
    • 誤分類の典型:
      • 「紙=48類」「プラ=39類」で固定し、印刷の位置づけを見ない。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:製品カタログ(販促冊子)を4901(書籍)にしてしまう
    • なぜ起きる:冊子形態=本と短絡しがち。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):広告が本質目的なら49.01ではなく49.11(類注5)。
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 「配布目的は?(販促/販売付属/一般販売)」
      • 目次・奥付・配布方法の資料、現物PDFを保管
  2. 間違い:雑誌を4902に固定し、非紙で製本されたもの/複数号セットを見落とす
    • なぜ起きる:一般常識(雑誌=4902)に引っ張られる。
    • 正しい考え方:注3で49.01へ移るケースが明示。
    • 予防策:
      • 「表紙/製本は紙?プラ?布?」
      • 「複数号が1つのカバーで売られている?」を現物で確認
  3. 間違い:文章のないポスター/絵だけの印刷物を4901(書籍)側に寄せる
    • なぜ起きる:「美術品の複製集」等の誤解。
    • 正しい考え方:49.01の“製本用部分”等の説明がある一方、文章を伴わない絵・挿絵は49.11へ(注4)。
    • 予防策:
      • 文章(テキスト)があるか、ページ番号があるか、製本前提かを確認
  4. 間違い:立体(浮出し)地図・地球儀を4905にする
    • なぜ起きる:地図/地球儀=4905と短絡。
    • 正しい考え方:浮出し(立体)は90.23へ除外(注1(b))。
    • 予防策:
      • 製品写真(側面)、凹凸加工の有無、素材・成形方法の確認
  5. 間違い:未使用切手/印紙(4907)と、切手収集品(9704)を混同
    • なぜ起きる:「切手」だけで判断しがち。
    • 正しい考え方:類注1(d)で97.04の収集品等が除外されている。
    • 予防策:
      • 「消印の有無」「初日カバーか」「コレクター向け台紙/セットか」を確認
  6. 間違い:紙製品の印刷物をすべて第49類にしてしまう
    • なぜ起きる:「印刷されている=49類」の誤解。
    • 正しい考え方:紙・板紙製品で印刷が本来用途に対し副次的なら48類、例外(48.14/48.21等)もある。
    • 予防策:
      • 用途(包装/文具/掲示/広告)を用途説明書で確認
      • 48.14(壁紙)、48.21(ラベル)該当の有無をチェック
  7. 間違い:プラスチック製サイン等を39類に固定してしまう
    • なぜ起きる:素材起点で判断してしまう。
    • 正しい考え方:第7部注2で、印刷が副次的でない場合は第49類(ただし39.18/39.19は除外)。
    • 予防策:
      • 「印刷(文字・絵)がないと用途が成立するか?」を社内に確認
      • 39.18/39.19該当(床材/壁材など)も合わせてチェック
  8. 間違い:HS2017の4905.10(地球儀)をそのまま使い続ける
    • なぜ起きる:社内マスタや取引先資料が更新されていない。
    • 正しい考え方:HS2022で49.05が再編され、4905.10は削除、4905.20/4905.90へ。
    • 予防策:
      • 参照HS版を明示(HS2017/2022)
      • 相関表(旧→新)を社内で固定資料化
  9. 間違い:設計図・図面を何でも4906にしてしまう
    • なぜ起きる:品名(図面)だけで判断。
    • 正しい考え方:4906は見出し上「手書き原図」等に限定されるため、CADプリント等は内容・作成方法・形態を踏まえて4911等の可能性も含め検討が必要。
    • 予防策:
      • 作成方法(手書き/青焼き/プリンタ出力)と、取引実態(技術資料一式か、単なる図面配布物か)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS(6桁)を誤ると、適用すべきPSR(CTH/CTSH/RVC等)の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 「販促カタログ(4911.10)」を「書籍(4901)」としてPSRを見てしまう
    • 49.05の旧コード(4905.10等)で協定のPSRを引いてしまう(HS版ズレ)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに採用しているHS版が異なるため、税関のPSR検索画面でも「協定が採用するHS版で検索する」注意が明記されています(申告は最新HS)。
  • RCEPは、当初HS2012ベースでしたが、HS2022に置き換えた品目別規則が採択され、2023/1/1から実施とされています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定本文/PSRが旧HSの場合、相関表で旧6桁→新6桁に対応付けしてからPSRを読みに行きます(特に49.05は2022で号が動いたため注意)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 製造工程フロー、購買証憑、印刷工程(国内/国外)、委託加工契約書
    • 税関向け説明資料(製品見本、カタログ、仕様書)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022削除+再編(号の名称変更/範囲調整)4905.10 / 4905.91 / 4905.99 → 4905.20 / 4905.904905.10(地球儀)削除。4905.91→4905.20、4905.99→4905.90へ名称変更。削除分(地球儀)は4905.90へ移管し、範囲も調整。社内マスタ・過去データ・協定PSRのHS版がズレると、誤コード使用・PSR誤適用が起きやすい。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、HS2017版とHS2022版の第49類のコード表(49.05の号構成が異なる)を確認しました。
  • さらに、相関表(HS2022-HS2017)では、「49.05は取引量が少ない4905.10を削除して再編」「4905.91/4905.99をそれぞれ4905.20/4905.90に改称」、**「4905.10の物品は4905.90へ移管し範囲を調整」**と説明されています。
  • 上記より、第49類でHS2017→HS2022における主要な構造変更は、少なくとも49.05の号再編であると判断しました(他の49.01〜49.11は同一の号構造に見えます)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理します(第49類は大きな再編が少なく、確認できる主要差分は49.05です)。
期間追加/削除/再編(概要)旧コード → 新コード(または行き先不明)メモ
HS2007→HS2012大きな変更なし(少なくとも49.01〜49.11の主要構造は同様)HS2012の日本税関表でも49.05は4905.10/4905.91/4905.99構成。
HS2012→HS2017大きな変更なし(49.05も従来構成)HS2017でも4905.10/4905.91/4905.99。
HS2017→HS202249.05を再編(4905.10削除、改称・範囲調整)4905.10(地球儀)→ 4905.90 へ移管、4905.91→4905.20、4905.99→4905.90相関表に理由(低取引量)と移管先が明記。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「展示会カタログ」を書籍(4901)で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):広告目的出版物は4901に含まれず4911(類注5)。
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “catalogue/booklet” 程度で、内容確認せずに本扱い。
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税(税率差がある場合)、分類根拠資料の追加提出要求。
    • 予防策:現物PDF・目次・配布目的の説明書を準備し、広告目的かどうかを事前に整理。
  • 事例名:雑誌セット(2号を1パック)を4902で申告
    • 誤りの内容:複数号を単一カバーでセットした定期刊行物は4901(類注3)。
    • 起きやすい状況:量販店向けの「合本・特装版」や販促セット。
    • 典型的な影響:分類訂正、通関遅延(現物確認が増える)。
    • 予防策:販売形態(セット構成)と包装状態の写真を提出資料に入れる。
  • 事例名:立体地球儀を4905で申告
    • 誤りの内容:浮出し(立体)地球儀は90.23(類注1(b))。
    • 起きやすい状況:「地球儀=4905」と思い込み、立体加工の有無を見ない。
    • 典型的な影響:税関で現物検査、分類差し戻し。
    • 予防策:断面写真・仕様(凹凸/成形)を事前に準備。
  • 事例名:未使用切手セットを4907で申告したが、初日カバー等が混在
    • 誤りの内容:97.04(初日カバー等の収集品)が混在すると第97類側へ(類注1(d))。
    • 起きやすい状況:コレクター向け商品を「未使用切手」と一括で扱う。
    • 典型的な影響:分類のやり直し、内容物ごとの分割申告を求められる。
    • 予防策:商品構成リスト(消印/初日カバーの有無)を作り、品目分割の要否を事前に検討。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 通常の印刷物(紙製品)自体は、動植物検疫の中心品目ではありません(ただし梱包材が木材の場合は別途留意)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 印刷物そのものは通常対象外ですが、装丁・表紙に規制素材(象牙等)が使われる特殊ケースでは別途確認が必要です(章97や章42等に飛ぶ可能性もあり)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第49類には「設計図・図案・仕様書的な文書」が登場しますが、外為法上の“技術データ”は文書や設計図、仕様書、マニュアル等を含むとされ、冊子の送付・持ち出しも「技術の提供」になり得ます(内容が規制対象技術に該当する場合)。
    • 実務上は、HS分類(49類)とは別軸で、**該非判定(貨物/技術)**と取引審査が必要になることがあります。
  • その他の許認可・届出
    • 輸入禁止(日本):税関は、わいせつ物等(公序良俗を害するもの)、児童ポルノ、知的財産権侵害物品、偽造・変造紙幣や有価証券等の輸入を禁止事項として掲げています(印刷物・出版物はここに該当し得ます)。
    • 文化財の輸出:国宝・重要文化財等は原則輸出禁止/許可制で、輸出には文化庁の許可等が必要になる旨が公表されています(古文書・古地図・古書などが該当する場合あり)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関:輸出入禁止・規制品目(禁止物品・知財侵害物品等)
    • 経産省:安全保障貿易管理(技術提供Q&A/ガイダンス)
    • 文化庁:文化財の国際関連・輸出関連情報
  • 実務での準備物(一般論):
    • 印刷物の現物見本/データ(PDF)、用途説明、販売形態(有償/無償、販促配布等)
    • 4907/97.04絡みは、消印有無・セット構成表
    • 技術資料(図面等)絡みは、該非判定資料、最終需要者・用途、社内承認記録

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 現物/写真(表紙・裏表紙・中面)、サイズ、ページ数、製本材料(紙/非紙)
    • 内容の主目的(広告/教育/情報/芸術鑑賞)
    • 印刷方式(コピー/プリンタ/写真/感光複写等)
    • 立体(浮出し)加工の有無(地図・地球儀)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1の除外(37類、90.23、95類、97類)を再確認
    • 49.01/49.11の広告判定(類注5)
    • 49.05のHS版(2017/2022)を確認(4905.10の誤用防止)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「catalogue」「poster」等の曖昧語だけにしない(広告用/販売用、定期刊行物セット等の補足)
    • 税関提出用に、現物PDF・写真・仕様書を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定のHS版でPSRを確認(税関も注意喚起)。
    • RCEPなどHS2022置換の有無も確認。
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 禁止物品(わいせつ物、児童ポルノ、知財侵害等)に該当しないかチェック
    • 技術資料(図面等)の海外提供に該当する場合、METIガイダンスで該非・許可要否を確認
    • 古書・古文書等で文化財該当の可能性がある場合、文化庁・税関の確認手続へ

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 Chapter 49(見出し・類注) (参照日:2026-02-22)
    • WCO HS2017 Chapter 49(見出し・類注) (参照日:2026-02-22)
    • HS2017→HS2022 相関表(49.05の再編理由・移管先) (参照日:2026-02-22)
    • WCO HS2022 Table of Contents(Section Xに部注がない構成確認) (参照日:2026-02-22)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 実行関税率表(第49類 類注)49r.pdf (参照日:2026-02-22)
    • 関税率表解説(第49類)49r.pdf(印刷の実務的整理、48/39等との境界) (参照日:2026-02-22)
    • 第7部注(プラスチック/ゴムの印刷物→49類)E7b.pdf (参照日:2026-02-22)
    • 輸出入禁止・規制(禁止物品:わいせつ物、児童ポルノ、知財侵害等) (参照日:2026-02-22)
    • RCEP:HS2022版品目別規則の採択・実施(2023/1/1〜) (参照日:2026-02-22)
    • 品目別原産地規則(HS版違い注意)検索画面 (参照日:2026-02-22)
  • 安全保障貿易管理(日本)
    • 経産省:安全保障貿易管理Q&A(技術=文書・設計図・仕様書等を含む) (参照日:2026-02-22)
    • 経産省:安全保障貿易管理ガイダンス(技術データ例、冊子送付等) (参照日:2026-02-22)
  • 文化財(輸出)
    • 文化庁:文化財の海外持ち出し(原則禁止/制限の説明) (参照日:2026-02-22)
    • 経産省:国宝・重要文化財等の輸出に関する案内 (参照日:2026-02-22)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第47類:木材パルプ、繊維性セルロース材料のパルプ及び古紙(Pulp of wood or of other fibrous cellulosic material; recovered (waste and scrap) paper or paperboard)実務向け整理

  • 用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
  • 本資料でいう「HSコード」は原則6桁(号)までを指します。**8桁/9桁等は国内コード(日本の統計品目番号等)**として区別します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 木材パルプ(機械パルプ:例 GWP/TMP等)→ 4701
    • 化学木材パルプ(溶解パルプ)→ 4702
    • クラフトパルプ等(ソーダ/硫酸塩、溶解用以外)→ 4703
    • サルファイトパルプ等(亜硫酸、溶解用以外)→ 4704
    • 古紙由来の繊維パルプ(古紙を解繊して“パルプ”になったもの)→ 4706.20
    • 回収した古紙(段ボール古紙・新聞古紙・混合古紙など)→ 4707
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 紙・板紙そのもの(製品としての紙、ロール紙等)→ 第48類(4801〜)へ行きやすい
    • 紙製品(袋、箱、ティッシュ等)→ 第48類
    • 紙以外の繊維くず(ウエス等)第63類 6310(繊維製のぼろ)
    • セルロース誘導体(セルロースアセテート等)第39類(例:3912) へ行きやすい(※“パルプ”ではなく化学加工品)
    • 木材チップ/木くず第44類(例:4401) へ行きやすい(※パルプ化前)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「パルプ」か「古紙(紙くず)」か(4706 vs 4707)
    2. 化学木材パルプが“溶解用(4702)”に該当するか(類注の定義条件を満たすか)
    3. 木材由来か/木材以外(竹・綿リンター等)由来か(4701-4705 vs 4706)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **4702(溶解パルプ)**は類注に“数値基準”があるため、裏付け(試験成績等)が弱いと税関照会・再分類になりやすいです。
    • **4707(古紙)**は、環境法令上の「廃棄物」該当性が絡むと、通関以前に手続・許可が問題化し得ます(後述)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:見出し(品目名)と、関連する注(類注)でまず決めます。第47類は「製造工程(機械/化学/複合)」「原料(木材/その他繊維性セルロース/古紙)」「漂白の有無」「樹種(針葉樹/非針葉樹)」が見出し構造に直結します。
    • GIR6:6桁(号)レベルの分岐(例:4703.11/19/21/29)を、同じ論理で当てはめます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要):
    • 状態:紙(シート/ロール)なのか、解繊されたパルプなのか、単なる**古紙(くず)**なのか
    • 製造方法:機械パルプ/化学パルプ(クラフト・サルファイト)/機械+化学の複合
    • 品質情報:漂白の有無、樹種、(溶解パルプなら)不溶解分・灰分などの分析値

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:これは「紙・板紙(製品)」ですか?それとも「パルプ」または「古紙(くず)」ですか?
    • 紙・板紙(製品)→ 原則 第48類へ(第47類ではない)
    • パルプ/古紙(くず)→ Step2へ
  • Step2:古紙(くず)そのものですか?(回収した紙/板紙が、裁断・選別程度で“紙の形”を保っている)
    • Yes → 4707(古紙)へ
    • No(解繊してスラリー/シート化前の繊維状態=パルプ)→ Step3へ
  • Step3:パルプの原料は木材ですか?
    • 木材 → Step4へ
    • 木材以外(綿リンター、竹、古紙由来など)→ 4706へ(細分は2-2参照)
  • Step4:木材パルプの製法は?
    • 機械 → 4701
    • 化学 → Step5へ
    • 機械+化学の複合 → 4705
  • Step5:化学木材パルプは「溶解用(4702)」の定義を満たしますか?(類注の数値条件)
    • Yes → 4702
    • No → プロセスで分岐:クラフト等(4703)/サルファイト(4704)
  • よく迷う境界:
    • 4706.20(古紙由来“パルプ”) vs 4707(古紙そのもの)
    • 4702(溶解パルプ) vs 4703/4704(溶解用以外の化学木材パルプ)
    • 第47類(パルプ/古紙) vs 第48類(紙・板紙・紙製品)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第47類は4桁(項)が少ないため、全列挙します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4701機械木材パルプ砕木パルプ(GWP)、TMP等木材由来・機械処理主体。化学パルプは4702-4704。
4702化学木材パルプ(溶解用)溶解パルプ(レーヨン/セルロース誘導体原料)類注に数値定義(NaOH不溶解分・灰分)。満たさなければ4703/4704へ。
4703化学木材パルプ(ソーダ/硫酸塩=クラフト)、溶解用以外クラフトパルプ(未晒/晒)未漂白/漂白、針葉樹/非針葉樹で6桁分岐。
4704化学木材パルプ(亜硫酸=サルファイト)、溶解用以外サルファイトパルプ(未晒/晒)未漂白/漂白、針葉樹/非針葉樹で6桁分岐。
4705機械的工程+化学的工程の組合せで得た木材パルプCMP/CTMP等(木材由来の複合パルプ)木材由来に限る。木材以外(竹等)の複合は4706.93側。
4706古紙由来繊維パルプ又はその他繊維性セルロース材料のパルプ古紙パルプ、綿リンターパルプ、竹パルプ「紙くず」状態は4707。木材由来は4701-4705。
4707古紙(回収した紙・板紙のくず)段ボール古紙、新聞古紙、混合古紙“紙の形”を保つ回収くず。汚染・混合は規制や別分類論点。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 製法:機械(4701)/化学(4702-4704)/複合(4705、4706.93)
    • 用途・品質(定義):溶解用(4702)は類注で数値定義(試験条件つき)
    • 漂白:未漂白 vs 半漂白/漂白(4703、4704の下位分岐)
    • 樹種:針葉樹 vs 非針葉樹(4703、4704)
    • 古紙の“状態”:パルプ化済み(4706.20)か、古紙のまま(4707)
    • 古紙の種類:クラフト/段ボール系(4707.10)、漂白化学パルプ主体の紙(4707.20)、機械パルプ主体(4707.30)、その他混合(4707.90)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4702(溶解用) vs 4703/4704(溶解用以外の化学木材パルプ)
      • どこで分かれるか:類注の数値条件を満たすか
        • 試験:18% NaOH溶液(20℃)に1時間浸漬後の不溶解分
        • 基準:ソーダ/硫酸塩(クラフト)系は不溶解分 92%以上、亜硫酸(サルファイト)系は88%以上、さらにサルファイト系は灰分 0.15%以下
      • 判断に必要な情報:製法(クラフト/サルファイト)、分析成績(不溶解分・灰分)、製品仕様書(溶解用途のグレード)
      • 典型的な誤り:「用途が“レーヨン用”と聞いた」だけで4702にしてしまい、分析値がなく否認される
    2. 4703(クラフト等) vs 4704(サルファイト)
      • どこで分かれるか:化学パルプの製造プロセス(硫酸塩/ソーダか、亜硫酸か)
      • 判断に必要な情報:メーカーの工程情報(Kraft / Sulphite)、SDS、仕様書(製法の記載)
      • 典型的な誤り:「硫黄を使う=サルファイト」と短絡し、クラフト(硫酸塩)を4704にしてしまう
    3. 4706.20(古紙由来パルプ) vs 4707(古紙)
      • どこで分かれるか:“紙くず”のままか、解繊してパルプになっているか
      • 判断に必要な情報:写真(ベール状の古紙か、パルプシート/フレークか)、工程(離解・脱墨の有無)、形状(繊維化)
      • 典型的な誤り:「原料は古紙」なので4707と申告したが、実物は既にパルプ化された4706.20だった
    4. 4705(木材の複合パルプ) vs 4706.93(木材以外の複合パルプ)
      • どこで分かれるか:原料が木材か、その他繊維性セルロース材料か
      • 判断に必要な情報:原料(木材/竹/バガス等)、製法(機械+化学)
      • 典型的な誤り:竹パルプ(4706.30)や非木材パルプを「木材パルプの一種」と誤認して4705にしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第10部(Section X:第47〜49類)には、部注(Section Notes)が置かれていません(WCOのHS構成上、Section Xでは“Section Notes”の記載がなく、Chapter 47〜49が列挙されています)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「部注で一括定義される」タイプではないため、第47類は“類注(Chapter Notes)”と各見出し(Heading)の語が判断の軸です。
    • ただし、境界(第48類の紙・板紙、他部の化学品・繊維くず等)は多いので、他類側の注・定義で除外されるパターンは現場で起きます。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • Section Xに部注がないため、ここは「該当なし」とし、実務上は「類注」や「第48類側の定義・除外」で飛ぶと整理するのが安全です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第47類の類注(注)は実務上ほぼ1点で、4702(化学木材パルプ:溶解用)の定義を数値で定めています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「化学木材パルプ(溶解用)」=
      • 18%水酸化ナトリウム溶液(20℃)に1時間浸漬後の不溶解分が
        • ソーダ/硫酸塩(クラフト)系:92%以上
        • 亜硫酸(サルファイト)系:88%以上
      • かつサルファイト系は灰分が0.15%以下
        という要件を満たすもの。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 上記条件を満たさない化学木材パルプは、4702ではなく、製法に応じて **4703(クラフト等)または4704(サルファイト)**に分類されます(“溶解用以外”側)。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です(第47類は主に1点)。

  • 影響ポイント1:4702(溶解パルプ)に入れるための“分析条件”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製法(クラフト/サルファイト)
      • 不溶解分(NaOH試験条件つき)
      • (サルファイトの場合)灰分
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • メーカー仕様書(Dissolving pulpである旨と、試験値)
      • 試験成績書(NaOH不溶解分%、灰分%)
      • 製造工程概要(Kraft/Sulphite)
    • 誤分類の典型:
      • 「用途が化学繊維だから」「名称がdissolving pulpだから」で4702とし、数値基準の裏付け不足で4703/4704に更正される

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:“古紙”と聞いたので全部4707にしてしまう(実際は古紙由来パルプ)
    • なぜ起きる:原料(古紙)に引っ張られ、製品状態(パルプ化済み)を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):古紙そのものは4707、古紙から得た繊維パルプは4706.20
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 写真:ベール古紙か?パルプシート/フレークか?
      • 工程:離解・脱墨済みか?
      • 社内質問例:「出荷形態は“紙のまま”ですか、“繊維化(パルプ化)”されていますか?」
  2. 間違い:4702(溶解用)を“用途”だけで決めてしまう
    • なぜ起きる:営業資料や通称(dissolving)に依存し、類注の数値要件を確認しない
    • 正しい考え方:4702は**類注の定義(NaOH不溶解分・灰分)**を満たす必要
    • 予防策:
      • 試験成績書の入手(不溶解分%、灰分%)
      • 社内質問例:「4702の類注試験値(92/88、灰分0.15)は取れていますか?」
  3. 間違い:クラフト(硫酸塩)とサルファイト(亜硫酸)を混同(4703と4704の取り違え)
    • なぜ起きる:「硫黄を使う」など曖昧な理解で工程を特定できない
    • 正しい考え方:見出しは製法で分かれる(4703=ソーダ/硫酸塩、4704=亜硫酸)
    • 予防策:
      • 仕様書に「Kraft / Sulphite」を明記させる
      • 社内質問例:「蒸解薬品は何ですか?工程名(Kraft/Sulphite)は?」
  4. 間違い:漂白・未漂白を“白さの見た目”で判断
    • なぜ起きる:色味は保管・混入で変わり得る/半漂白もある
    • 正しい考え方:4703・4704は未漂白半漂白/漂白で号が分かれる
    • 予防策:
      • 仕様書で「Unbleached / Semi-bleached / Bleached」を確認
      • 社内質問例:「漂白工程(漂白剤の使用)の有無は?」
  5. 間違い:針葉樹/非針葉樹の確認不足(4703.11/19などの誤り)
    • なぜ起きる:混合材・購入材で樹種情報が伝わらない
    • 正しい考え方:4703・4704は針葉樹/非針葉樹で号が分かれる
    • 予防策:
      • 樹種(softwood/hardwood)の証明(仕様書、供給契約、製造ロット情報)
  6. 間違い:木材パルプ(4705)と非木材パルプ(4706)を混同
    • なぜ起きる:「パルプ=木材」という思い込み
    • 正しい考え方:4706は「古紙由来 or その他の繊維性セルロース材料」のパルプ
    • 予防策:
      • 原料の特定(竹、バガス、綿リンター等)
      • 社内質問例:「原料は木材100%ですか?非木材繊維は入っていますか?」
  7. 間違い:HS6桁と国内コード(8/9桁)を混同して書類が不一致
    • なぜ起きる:通関書類・原産地資料・販売管理で桁数がバラバラ
    • 正しい考え方:HSは6桁までが国際共通。8/9桁は国内コード。PSRも原則HS版(6桁)基準で読む
    • 予防策:
      • 社内マスターに「HS6桁」「国内コード」を別欄管理
      • インボイスはHS6桁を併記し、国内コードは必要時のみ別記
  8. 間違い:“紙のロール”を47類(パルプ/古紙)と誤認
    • なぜ起きる:「原料工程の途中」という説明で、実物の状態確認が不足
    • 正しい考え方:紙・板紙としての形状であれば原則48類側(紙・板紙)
    • 予防策:
      • 写真・サンプル確認(シート/ロールか、パルプシート/フレークか)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れる):
    • 例:4707(古紙)を4706(古紙由来パルプ)と誤ると、PSR(CTH/WO等)の前提が変わり、原産性の結論が変わり得ます。
  • よくある落とし穴:
    • 材料のHS(古紙・薬品・木材チップ等)と最終製品のHS(パルプ/古紙)を取り違える
    • “工程基準(製造行為)”がPSRにある場合、工程記録が必要なのに、BOMだけで判断してしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定本文・付属書のPSRは、協定ごとに参照HS版が異なります(一般論として、必ず協定側の版を確認します)。
  • 例(本資料で参照した範囲の一次資料ベース):
    • RCEP:PSR(Annex 3A)は HS2012版ベースである旨が明記されています。
      • さらに、RCEPではPSRのHS2022へのトランスポーズ(移し替え)が採択され、各国で実施されている旨の解説資料もあります(運用は当事国ごとに最新確認が必要)。
    • CPTPP(TPP11):PSRや関税コミットメントは、**2017年直前のHS(HS2012)**で確定した旨のガイドがあります。
    • 日EU・EPA:PSRの付属書(Annex 3-B)に「Harmonized System classification (2017)」と明記されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 通関は最新の国内コードで申告しつつ、PSRは協定が参照するHS版で読む必要があるため、相関表(correlation table)で“協定HS → 現行HS”を対応づけます。日本税関のPSR検索画面でも相関表参照が案内されています。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 基本データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 第47類で“集め方が重要”になりやすい証憑:
    • 4701-4705(木材パルプ):木材原料の原産、蒸解・漂白工程、購入パルプなら製造国証明
    • 4707(古紙):どこで回収(収集)されたかの証憑(回収地/集荷記録等)※協定ルールにより扱いが異なるため要確認
  • 証明書類・保存要件:
    • 協定別の保管年限・様式があるため、社内手順書に落とし込み(一般論)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくとも6桁体系・見出し構造)4701〜4707WCO公開のHS2017・HS2022のChapter 47の見出し/号が同一協定や社内マスターの移行負荷は小さい(※国内細分は別途)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCO公開のHS 2017版 Chapter 47 と、HS 2022版 Chapter 47 を比較すると、見出し(4701〜4707)および6桁(号)の列挙が同一であることを確認しました。
  • したがって:
    • HS2017→HS2022において、第47類は6桁レベルの新設・削除・分割・統合といった再編は確認できません(本資料で参照した一次資料ベース)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

ここでは、HS2007→2012→2017→2022の流れで、第47類(4701〜4707)の主要な動きを整理します。

版間追加・削除・再編の有無該当コード内容(要旨)旧コード→新コード
HS2007→HS2012実質「文言の明確化」(コード体系は維持)4706.932007では“semi-chemical”表現、2012では“機械+化学の組合せで得た”表現に明確化(同一概念の説明整理)4706.93 → 4706.93
HS2012→HS2017変更なし(6桁体系)4701〜4707見出し・号の列挙が同一変更なし
HS2017→HS2022変更なし(6桁体系)4701〜4707見出し・号の列挙が同一変更なし

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):溶解パルプ(4702)と申告したが、試験値が揃わない
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):4702の類注定義(不溶解分・灰分)を満たす裏付け不十分
    • 起きやすい状況:品名が“dissolving pulp”、用途がレーヨン向け、という情報だけで申告
    • 典型的な影響:更正(4703/4704への変更)、審査・照会で通関遅延
    • 予防策:メーカー試験成績書(NaOH不溶解分%、灰分%)を事前入手・保存
  • 事例名(短く):古紙(4707)輸入で“廃棄物該当”を指摘され手続停止
    • 誤りの内容:HS分類以前に、環境法令上の手続(バーゼル法/廃棄物処理法)確認不足
    • 起きやすい状況:混合・汚損・異物混入の古紙、用途説明が曖昧(単なる処分目的と見られる等)
    • 典型的な影響:貨物留置、追加書類要求、関係省庁確認で遅延
    • 予防策:品質基準(異物/汚染)と用途(再生利用)を明確化、必要なら事前相談
  • 事例名(短く):古紙由来パルプ(4706.20)を古紙(4707)で申告
    • 誤りの内容:製品状態(パルプ化済み)の取り違え
    • 起きやすい状況:取引名が「DIP(脱墨パルプ)」等でも、現物確認が弱い
    • 典型的な影響:分類更正、統計・原産地・契約条件(価格/歩留まり)への影響
    • 予防策:写真・サンプル・工程(離解/脱墨)を申告資料に残す
  • 事例名(短く):紙ロールをパルプとして申告(47類 vs 48類)
    • 誤りの内容:紙・板紙(第48類)を第47類として申告(状態の誤認)
    • 起きやすい状況:「原紙」「半製品」という社内呼称に引っ張られる
    • 典型的な影響:分類更正、税番差による規制・統計・PSR判断のやり直し
    • 予防策:形状(シート/ロール)と物性(紙かパルプか)を最優先で確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ):
    • その他の許認可・届出(廃棄物の越境移動関連)
      • 古紙(4707)や、汚損・混合物を含む貨物は、状況によってバーゼル法(特定有害廃棄物等)や廃棄物処理法の枠組みで手続が必要になる可能性があります。
        • 経産省(METI)はバーゼル法の概要・手引きを公表しています。
        • 環境省(MOE)は廃棄物等の輸出入手続・申請先を整理しています。
      • 実務ポイント:HSコードが4707でも、環境法上の「廃棄物該当性」は別途判断になり得るため、品質(汚染・混合)と用途(再生利用)を明確化し、必要なら事前相談が安全です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省:バーゼル法(越境移動規制)関連ページ
    • 環境省:廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入/手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • 貨物の性状説明(写真、成分/異物、含水率、梱包)
    • 用途(再生利用工程、受入先の処理能力・工程)
    • 取引契約書(再生利用目的、品質条件、受入拒否時の返送条項)
    • 必要に応じて、関係省庁の事前相談記録

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • パルプか?古紙か?紙製品か?(写真・サンプル)
    • 原料(木材/非木材/古紙)、製法(機械/化学/複合)
    • 漂白の有無、樹種(針葉樹/非針葉樹)
    • 溶解パルプ主張なら:不溶解分・灰分の試験値
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 4702の類注条件を満たす証憑があるか
    • 4706.20と4707の境界(パルプ化の有無)を再確認
    • 国内コード(8/9桁)を使う場面では、HS6桁との整合を確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「pulp / recovered paper」等、状態が分かる記載
    • 必要に応じて工程概要・仕様書を添付
    • 数量単位(重量ベースが一般的)とドライベースの扱い確認(契約条件)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017等)を確認
    • 相関表で協定HSと現行HSの対応付け(必要な場合)
    • 木材原料や古紙回収地など、原産性の根拠資料を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 4707などで廃棄物該当性が疑われる場合:バーゼル法/廃棄物処理法の手続要否確認
    • 汚損・混合・異物混入リスクの事前評価(検査・滞留対策)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • WCO HS2022 Chapter 47(見出し・号、類注)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2017 Chapter 47(比較用)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2012/2007 Chapter 47(改正履歴確認)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2022 Table of Contents(Section Xに部注がないことの確認)〔参照日: 2026-02-22〕
  • 日本 税関・公的機関
    • 日本税関:第47類の類注(4702定義の和文)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索画面(相関表案内含む)〔参照日: 2026-02-22〕
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:Product-Specific Rules(Annex 3A)がHS2012版に基づく旨(日本税関公表資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • CPTPP:PSR等がHS2012で確定した旨のガイド(豪州当局資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 日EU・EPA:Annex 3-B(PSR)がHS2017分類に基づく旨(MOFA公表資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • (参考)RCEP PSRのHS2022トランスポーズに関する解説(JETRO資料)〔参照日: 2026-02-22〕
  • 規制(廃棄物越境移動)
    • 経済産業省:バーゼル条約・バーゼル法(概要・手引き等)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 環境省:廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入/手続(申請先等)〔参照日: 2026-02-22〕

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第46類:わら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物(Manufactures of straw, of esparto or of other plaiting materials; basketware and wickerwork)

用語(本文中で統一します)

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

根拠となるHSの範囲は「HS(6桁)」です。日本の「国内コード(統計番号など)」に触れる場合は、必ず「国内コード」と明記します。


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 竹・籐(ラタン)・わら等の組物材料で作った「すだれ」「ござ」「むしろ」「マット類」(シート状のもの)→主に 4601
    • 組物材料から直接造形した「かご」「バスケット」「収納用品」「枝条細工物(ウィッカー)」→主に 4602
    • プラスチックの単繊維・ストリップ等を“編んで”作ったかご(いわゆる人工ラタン系の編み)→4602.90(代表的)
    • **紡績してない天然繊維(例:マニラ麻)**を束ねて組んだ材料から作るマット等(「糸」ではなく“未紡績繊維束”がポイント)→46類側に寄りやすい
    • へちま(loofah)の製品 → 4602(号は材質等で判断)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 壁面被覆材(ストロー等を貼った壁紙など)→ 48.14(類注で除外)
    • ひも・綱・ロープ・ケーブル(組んであるか否かを問わない)→ 56.07(類注で除外)
    • 履物・帽子(及びその部分品)→ 第64類・第65類(類注で除外)
    • かご細工製の車両・車体(例:ベビーカー等の“車両”扱い)→ 第87類(類注で除外)
    • 籐(ラタン)家具・照明器具(椅子、テーブル、ランプ等)→ 第94類(類注で除外)
    • 編んでいない成形プラスチックのバスケット(射出成形等)→ 第39類側(※46類は「組物材料」+編組プロセスが核)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 材料が「組物材料(plaiting materials)」に該当するか(単繊維/ストリップ、未紡績繊維束を含む一方、第54類の単繊維等は除外など)
    2. 形状が「シート状素材・すだれ等(4601)」か、「直接造形した製品(4602)」か
    3. 類注の除外(48.14/56.07/94類など)に当たらないか
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「バッグ」等の品名だけで 42.02 に寄せる誤り(42類注で46.02を明確に除外
    • 「プラスチック製=39類」と短絡し、編組(組物)構造を見落とす誤り(税関の分類事例でも 46.02 扱いが示されます)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)を、ビジネスマン向けに説明
    • GIR1(見出し+部注/類注で決める):第46類は、類注で「組物材料」の定義と除外(48.14/56.07/94類等)が明確なので、まずここで大枠が決まります。
    • GIR6(6桁レベルの選択):4601/4602の中で、竹・籐・その他植物性・その他(例:プラスチック)へ振り分けます。
    • GIR3(複合材・セット):鉄フレーム+編組チューブ等の複合品は「何が本質か(重要な特性)」が争点になりやすいです(実例として、編組部分を“組物材料”と捉え 46.02 とした事例があります)。
    • GIR2(a)(未完成・未組立):未組立のバスケットキット等でも、提示時点で完成品の重要な特性があれば完成品扱いになる可能性があります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(素材):竹/籐/わら/いぐさ/紙ストリップ/プラ単繊維など(類注の“組物材料”の範囲確認が必須)。
    • 製法(編む・組む・平行に束ねて綴じる等):46類は“編組(plaiting/interlacing)に適する状態・形状”という製法適合が軸です。
    • 最終形状:シート状(マット/すだれ等)か、立体物(かご等)かで 4601/4602 が分かれやすいです。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:素材は「組物材料」か?
    • 例:わら、竹、籐、いぐさ、木のストリップ、未紡績天然繊維束、プラ単繊維/ストリップ、紙ストリップ → Yes
    • 例:糸(yarn)、紡織用繊維のロービング、第54類の単繊維/ストリップ → 原則 No(46類注で除外)
  • Step2:形状・用途はどちらか?
    • 4601:プラット(さなだ)・類似品、または“平行に束ねて綴じた/織った”シート状(例:すだれ、ござ、マット)
    • 4602:組物材料から直接造形した立体物、または 4601 の物品から作った製品(例:かご、収納バスケット)
  • Step3:類注の除外(他章へ飛ぶ)に当たらないか?
    • 壁面被覆材(48.14)/ひも・綱(56.07)/履物・帽子(64/65)/車両・車体(87)/家具・照明(94)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 46類(編組) vs 39類(成形プラスチック雑貨):**“編んでいるか”**が決定打になりやすいです。
    • 46.02(組物材料製のバッグ等) vs 42.02(旅行用具・バッグ類):42類注で 46.02 を除外しています(品名「バッグ」で短絡しない)。
    • 46類(シート状のすだれ等) vs 48.14(壁面被覆材):壁紙用途は 48.14 側へ。
    • 46.02(かご) vs 94類(籐家具):椅子・テーブル等の“家具機能”は 94類へ(類注で除外)。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第46類は4桁見出しが少ないため「全列挙」です。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4601さなだ・組物材料のシート状品(敷物、すだれ等を含む)竹すだれ、ござ、むしろ、マット、平行に束ねて綴じたシート「組物材料」の範囲が前提。壁面被覆材(48.14)やひも・綱(56.07)は類注で除外。
4602かご細工物・枝条細工物等(組物材料から直接造形/4601から製造)+へちま製品籐かご、竹かご、収納バスケット、編組プラチューブかご、へちま製品家具・照明(94類)や車両(87類)は類注で除外。バッグ形状でも“組物材料製”なら 42.02 ではなく 46.02 へ。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
    第46類の6桁分岐は、主に (A)品目タイプ(マット/すだれ等か、それ以外か)(B)材料(竹/籐/その他植物性/その他=プラ等) の組合せです。
    • 4601系(シート状/さなだ等)
      • 4601.21/22/29:植物材料製の「敷物・すだれ等」グループで、竹・籐・その他に分岐
      • 4601.92/93/94/99:**その他(上記以外)**で、竹・籐・その他植物性・その他に分岐
    • 4602系(かご等の立体製品)
      • 4602.11/12/19:植物材料製(竹・籐・その他)
      • 4602.90:その他の材料(例:プラスチックストリップ等で編んだかご)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4602.19(植物材料のその他) vs 4602.90(その他材料)
      • どこで分かれるか:素材が「植物材料」か(竹/籐以外の植物を含む)/それ以外(プラ単繊維・ストリップ等)か
      • 判断に必要な情報:原材料の材質証明(仕様書、材質表示、SDS)、写真(編組構造)、場合によりサンプル
      • 典型的な誤り:「プラスチック製だから39類」「雑貨だから39類」と短絡(実際は 46.02 とされた例あり)
    2. 4601.21(竹の敷物・すだれ等) vs 4601.92(竹のその他)
      • どこで分かれるか:製品が「敷物・すだれ等(シート状の完成品寄り)」か、あるいは「さなだ等の材料・その他」か
      • 判断に必要な情報:用途(完成品として使用するか、加工用材料か)、形状(縁加工の有無など)、販売形態
      • 典型的な誤り:シート状なら何でも“敷物”扱いにしてしまう(実態は加工用さなだ等)
    3. 4601.94(その他植物材料) vs 4601.99(その他)
      • どこで分かれるか:「その他植物材料」か、それ以外(紙ストリップ、プラストリップ等)か
      • 判断に必要な情報:素材の定義(植物か、紙か、プラか)、材料構成比、層構造(貼り合わせ等)
      • 典型的な誤り:「紙っぽい=紙製品(48類)」と決め打ち(紙ストリップは“組物材料”に含まれ得る)
    4. 42.02(バッグ類) vs 46.02(組物材料製のバッグ等)(※HS6同士の比較ではありませんが誤り頻出)
      • どこで分かれるか:バッグ形状でも、組物材料製の製品は42.02から除外され46.02へ
      • 判断に必要な情報:外面素材(革/繊維/プラシートではなく“編組した組物材料”か)、製法(編み)
      • 典型的な誤り:インボイス品名「handbag」で42.02に分類してしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第46類(Section IX)は、実務上は**第46類注(Chapter Notes)**が中心で、ここで「組物材料」の定義・除外を押さえるのが近道です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • “材質が植物っぽい”ではなく、**編組(plaiting)に適する形状(ストリップ・単繊維等)**かどうかが鍵です。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • この部(Section IX)では、典型的には**類注(第46類注2)**により 48.14/56.07/94類等へ飛びます。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:**「組物材料」**の定義(含むもの/含まないものを列挙)
    • 類注2:第46類に含めないもの(48.14、56.07、64/65、87、94)
    • 類注3:4601の用語「平行につないだ物品」の意味(シート状にしたもの、綴じ材が紡績糸か否かは不問)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「組物材料」:編組・組合せ等に適する状態/形状の材料。植物材料のストリップだけでなく、未紡績の天然繊維、プラ単繊維・ストリップ、紙ストリップも含み得る一方、第54類の単繊維・ストリップ等は除外とされています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 壁面被覆材(48.14)/ひも・綱・ケーブル(56.07)/履物・帽子(64/65)/車両・車体(87)/家具・照明(94)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:“素材が何か”より先に「組物材料」該当性(形状・状態)を見る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 材料がストリップ/単繊維/未紡績繊維束など「編める形」か
      • 第54類の単繊維等に該当しないか(糸・フィラメント扱いの可能性)
    • 現場で集める証憑:仕様書(寸法・形状)、SDS/材質証明、製造工程図、現物写真(編組構造)
    • 誤分類の典型:
      • “プラスチック製=39類”としてしまい、編組構造と類注1(プラ単繊維等も組物材料に含む)を見落とす
  • 影響ポイント2:ひも・綱(56.07)への除外で、46類の「編み」と56類の「ロープ」が分かれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 物品が“シート状(すだれ・マット等)/立体物(かご)”なのか、“ロープ状(綱)”なのか
      • ロープ状の場合、類注2(b)で56.07へ除外
    • 現場で集める証憑:形状写真、用途説明、商品カタログ、梱包形態
    • 誤分類の典型:
      • “編んである=46類”と誤認し、56.07(ひも・綱)を見落とす
  • 影響ポイント3:家具・照明(94類)への除外で、籐製品が46.02から外れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 物品の本質が「収納用のかご」なのか、「座る/置く等の家具機能」なのか、「照明器具」なのか
      • 家具・照明は類注2(e)で94類へ
    • 現場で集める証憑:用途説明、寸法・耐荷重、組立説明書、電気部品有無(照明の場合)
    • 誤分類の典型:
      • 籐椅子を「籐製=46.02」としてしまう(実際は家具)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ストローハンドバッグ等を 42.02(バッグ)で申告
    • なぜ起きる:インボイス品名が“bag/handbag”で、形状(バッグ)だけ見てしまう
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):42類注で「組物材料の製品(46.02)」を 42.02 から除外しています。素材が組物材料で、製法が編組なら 46.02 を検討します。
    • 予防策:外面素材(編組材か)、製法、材料一覧(BOM)を事前に確認。「外面は何でできていますか?(革/繊維/シート状プラではなく、編んだストロー等ですか?)」を社内質問に入れる。
  2. 間違い:プラスチック製の“編みかご”を 39類(プラスチック製家庭用品等)へ短絡
    • なぜ起きる:材質だけで決め、46類注1がプラ単繊維/ストリップ等を「組物材料」に含める点を見落とす
    • 正しい考え方:編組したプラチューブのかごを 46.02(4602.90)とした税関分類事例があり、編組構造・類注1が根拠になります。
    • 予防策:写真(編組構造)、材質証明、工程(編み込みか/成形か)を必須提出物に。
  3. 間違い:籐(ラタン)椅子・家具を 46.02 で申告
    • なぜ起きる:「籐=かご細工」という先入観
    • 正しい考え方:第46類注2(e)で第94類(家具・照明等)を除外。籐椅子は家具として94類側が原則です。
    • 予防策:用途(座る/置く/照明等)を確認し、家具機能なら 94類を起点に再検討。商品仕様(耐荷重・組立)を回収。
  4. 間違い:ロープ状の物品(なわ等)を 46類で申告
    • なぜ起きる:“組んである=46類”という誤解
    • 正しい考え方:第46類注2(b)で、ひも・綱・ケーブル(56.07)を46類から除外。
    • 予防策:形状がロープ状かシート状か、用途(結束/吊り下げ/敷物)を確認。サンプル写真を税番検討票に添付。
  5. 間違い:ストロー等の壁面材(壁紙)を 4601(マット類)にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目が「シート状」なので 4601 に寄せがち
    • 正しい考え方:第46類注2(a)で 48.14(壁面被覆材)を除外。壁面被覆用途は48類側を検討します。
    • 予防策:用途(壁面施工用か)、裏面処理(接着剤塗布等)、施工方法の資料を入手。
  6. 間違い:竹箸・竹の板材など、編組していない竹製品を 46類に入れる
    • なぜ起きる:「竹=組物材料」の連想
    • 正しい考え方:46類は“組物材料として編組した製品”が中心。編組していない竹の木製品は第44類側の検討が通常です(※最終判断は個別仕様)。
    • 予防策:製法(編む/組む/切削・成形)を工程表で確認し、編組がない場合は44類など他類も併走検討。
  7. 間違い:未紡績天然繊維束を“糸”と誤認し、56類/58類へ寄せる
    • なぜ起きる:繊維=紡織品と決めつける
    • 正しい考え方:46類注1は「紡績してない天然の紡織用繊維」を組物材料に含めます。分類例規でも、未紡績束→46類側で整理されています。
    • 予防策:繊維が“紡績されているか(糸か)”を仕様で確認。束の写真・断面・撚りの有無を保存。
  8. 間違い:4601(シート状)と4602(直接造形品)を混同
    • なぜ起きる:どちらも“編み物”に見える
    • 正しい考え方:4602は「直接造形した製品」または「4601から製造した製品」。立体物の最終製品は4602に寄りやすいです。
    • 予防策:販売形態(完成品/中間材)、形状(立体/シート)、用途(収納/敷物)をチェックシート化。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    PSRは通常、最終製品のHS(多くは6桁)で引かれます。第46類は「バッグ」等で42.02と誤るとPSRが別物になり、原産性判断(CTC/RVC等)を誤るリスクがあります。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 最終製品が 4602 なのに、材料(例:プラストリップ)側のHSだけで議論してしまう
    • “組物材料”の定義(未紡績繊維束など)を誤り、材料HSがずれる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    例(日本の代表例):
    • CPTPP(TPP11):HS2012参照
    • 日EU・EPA:HS2017参照
    • RCEP:HS2012ベースからHS2022へ置換されたPSRが採択され、2023-01-01からHS2022版PSRで運用
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 自社の品番管理がHS2022でも、協定がHS2012/2017参照なら、PSRはその版で読まないとズレます。
    • RCEPは、PSRはHS2022に置換でも、制度運用上「HS2012を暫定的に使う部分が残る」旨の注意喚起があります(税率差ルール関連)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 旧版HS→新版HSの対応は、相関表・当局ガイダンスでコードの“読み替え”を行い、PSRの対象コードを確定します(協定・税関ガイダンス優先)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 組物材料(例:籐ストリップ、プラストリップ等)のHS、原産国、重量/価額
    • 加工工程(編組・縫製・フレーム組立)と、それがPSRの「工程基準」に関係するか
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 協定・税関ガイダンスに従い、サプライヤー証明、工程資料、計算根拠を保存(年限・形式は協定ごとに要確認)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第46類としての項・号構成/類注に実質変更なし)4601/4602(Chapter 46)4桁は2項、6桁区分(竹/籐/その他植物/その他)と類注の除外構造が同一分類ロジックは継続。協定(PSR)が参照するHS版(2012/2017/2022)の違いには引き続き注意。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)と判断根拠
    • WCOのHS条文(HS2022 Chapter 46)では、項(46.01/46.02)、号(4601.21〜、4602.90など)、類注1〜3が示されています。
    • WCOの旧版条文(HS2007 Chapter 46)を確認すると、同一の項・号構成と同趣旨の類注が掲載されています。
    • 以上より、少なくともHS2007→HS2022の間で、第46類のHS6レベルの骨格(4601/4602の構造、類注の主要要素)は維持されていると判断できます(中間版のHS2012/2017でも大幅改変があった形跡は通常相関表等に現れます)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第46類は、少なくともHS2007とHS2022で項・号の枠組みが同一であり、主要な追加・削除・再編は確認できません。

(整理表:主要コードの“同一維持”の確認)

変遷主要コード旧コード→新コード(または行き先不明)メモ
HS2007→HS2012→HS2017→HS202246014601→4601(変更なし)竹/籐/その他の区分構造が維持
HS2007→HS2012→HS2017→HS202246024602→4602(変更なし)植物材料(竹/籐/その他)+その他(例:プラ)構造が維持

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ストロー壁紙を4601で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第46類注2(a)(48.14の壁面被覆材は除外)
    • 起きやすい状況:品名が「ストローマット」「シート」で、用途(壁面施工)を書かない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化・遅延(一般論)
    • 予防策:用途(壁面被覆)・施工方法・裏面処理を資料化し、48.14との比較メモを残す。
  • 事例名(短く):なわ・綱を46類で申告
    • 誤りの内容:第46類注2(b)(56.07のひも・綱等は除外)
    • 起きやすい状況:輸送・梱包資材として「編んだ素材」だけで判断
    • 典型的な影響:修正申告、分類照会、遅延(一般論)
    • 予防策:形状(ロープ状/シート状)を写真で明確化。用途(結束用/敷物用)をインボイス品名に反映。
  • 事例名(短く):籐(ラタン)椅子を4602で申告
    • 誤りの内容:第46類注2(e)(家具は94類)
    • 起きやすい状況:「籐=かご細工」と素材名で判断、用途(座る家具)を見落とす
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化(一般論)
    • 予防策:商品カテゴリ(家具)・用途・耐荷重・組立説明書で94類を先に確認。
  • 事例名(短く):編組プラチューブかごを39類で申告
    • 誤りの内容:第46類注1(プラ単繊維・ストリップ等を組物材料に含む)を見落とす
    • 起きやすい状況:材質欄に「plastic」だけ書かれ、編組構造の説明・写真がない
    • 典型的な影響:分類差戻し、サンプル提出、遅延(一般論)
    • 予防策:編組構造が分かる写真+税関の類注根拠メモを準備(類似事例の存在も参考)。
  • 事例名(短く):ストローバッグを4202で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):42類注3(A)(b)(46.02を除外)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が「handbag」「shopping bag」だけ
    • 典型的な影響:税番更正、税率・原産地規則(PSR)見直し(一般論)
    • 予防策:外面素材(編組材)と製法(plaited)を品名・明細に入れる。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • {日本}前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物検疫(植物防疫所)
      • 輸入植物検疫は、病害虫付着のおそれがある植物が対象で、高度に加工されたもの等は対象外になり得ると整理されています(ただし個別判断)。
      • 一方で、規程上「わら類(稲わら、麦わら、なわ、むしろ等)」が検疫対象として扱われる場面があるため、わら・むしろ等は要注意です(検査や消毒等の措置が規定され得ます)。
      • 税関手続では、植物防疫所の証明等が関税法70条の「他法令証明」として扱われる運用整理があります(該当時は書類不備で止まりやすい)。
    • (用途によって)動物検疫(家畜伝染病予防法)
      • わら・乾草は、用途・態様により動物検疫の対象となる整理があります(例:飼料・敷料用途等)。取り扱いは事前確認が安全です。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第46類の典型素材(竹・籐等)はCITESの中心ではないことが多い一方、材料植物がCITES掲載種に該当する場合は、輸出国のCITES許可書等や、種によっては日本側の輸入承認等が必要になります。
    • 確認のコツ:通称名ではなく、可能なら学名(属・種)まで押さえて照合します。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第46類の一般的な民生雑貨は該当しにくい傾向ですが、輸出先・用途・付属品(例:照明の電気部品等)によって別観点が入ることがあります(個別確認)。
  • その他の許認可・届出
    • 中古品(中古のむしろ等)や植物由来品の一部は、検疫指定物品として追加要件が出る可能性があるため、取引形態(新品/中古)も確認します。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関:関税率表解説・分類例規、カスタムスアンサー
    • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の対象/FAQ
    • 経済産業省/税関:CITES輸入手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(材質・寸法・製法)、写真、用途説明、材料証明(SDS等)、必要に応じて検疫・CITES書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材料:竹/籐/わら/紙/プラ単繊維・ストリップ等(混材の場合は割合も)
    • 製法:編組(plaiting)か、成形(molded)か、貼り合わせ(wall covering)か
    • 形状:シート状(4601寄り)/立体物(4602寄り)
    • 仕様資料:写真、カタログ、工程図、サンプル
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1(組物材料の定義)と類注2(除外)を再確認
    • バッグ形状なら42類注(46.02除外)も横断確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「plaited / woven」「material(bamboo/rattan/PP strip等)」を入れて誤解を減らす
    • 国内コードで面積申告が必要なもの(例:畳表)等は計算法に注意(付録A参照)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS年版(2012/2017/2022)を確認し、必要なら相関表で読み替え
    • BOM、非原産材料HS、工程、原価(RVCなら計算根拠)を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • わら・むしろ等:植物検疫(場合により動物検疫)を事前確認
    • 素材植物の学名が不明な場合:CITES該当性を確認(該当ならMETI/税関手続)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • HS Nomenclature 2022 – Chapter 46(0946_2022E) (参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2007 – Chapter 46(0946_2007E) (参照日:2026-02-21)
    • Correlation Tables HS 2017–2022(案内ページ) (参照日:2026-02-21)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表(輸入統計品目表)の解釈に関する通則(tuusoku) (参照日:2026-02-21)
    • 第46類 類注(46r.pdf) (参照日:2026-02-21)
    • 分類例規(46rd.pdf:畳表/畳床、むしろ等の国内コード論点) (参照日:2026-02-21)
    • 分類事例:ポリエチレン製チューブを組み上げたかご(46.02) (参照日:2026-02-21)
    • 第42類 解説(42r.pdf:42.02から46.02を除外する注) (参照日:2026-02-21)
  • 検疫・規制
    • 植物防疫所:輸入植物検疫の対象とならない植物(概要) (参照日:2026-02-21)
    • 植物防疫所:輸入植物検疫規程(わら類等の取扱いの例) (参照日:2026-02-21)
    • 税関通達:輸入植物等の通関時取扱い(他法令証明の扱い等) (参照日:2026-02-21)
    • 農林水産省(動物検疫関連):わら及び乾草の輸入検疫要領 (参照日:2026-02-21)
    • 経産省:ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約該当物品の輸入規制(カスタムスアンサー等) (参照日:2026-02-21)
    • 外務省:ワシントン条約(CITES)の概要 (参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 税関:RCEP協定 HS2022版PSRの採択・実施(案内) (参照日:2026-02-21)
    • 外務省:RCEP協定 HS2022に従ったPSR採択(案内) (参照日:2026-02-21)
    • 経産省:RCEP(税率差ルール)手続に関する注意(HS版の扱い) (参照日:2026-02-21)
    • 税関:協定・法令等/EPAとは (参照日:2026-02-21)
    • 税関:TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA 原産地規則(実務編) (参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第45類:コルク及びその製品(Cork and articles of cork)

本資料では、**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**として用語を統一します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 天然コルク(粗のもの/単に調製したもの)、コルクくず、破砕・粒状・粉砕コルク(例:粒状コルク断熱材、コルク粉)〔45.01〕
    • 鬼皮を除いたコルク、粗く角にしたコルク、長方形(正方形含む)ブロック・板・シート・ストリップ、角が鋭い栓用ブランク〔45.02〕
    • 天然コルクの製品(例:コルク栓、丸縁ブランク、ディスク/ワッシャー、マット、ハンドル、ガスケット等)〔45.03〕
    • 凝集コルク(アグロメレート)とその製品(例:パネル、ブロック、タイル、円柱・円盤、その他成形品)〔45.04〕
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 履物・履物部分品(例:コルク底・コルク中敷き等)→ 第64類(類注で除外)
    • 帽子・帽子部分品(例:コルクを用いた帽体/つば等)→ 第65類(類注で除外)
    • 玩具・遊戯用具・運動用具等(例:釣り糸用のうき等を含む)→ 第95類(類注で除外)
    • 卑金属製の王冠(クラウンキャップ)+コルクディスク83.09(「金属製品」が本体のため)
    • コルク製カートリッジワッド93.06
    • リノリウム等の床材としての性質を持つもの59.04(凝集コルクの説明上の除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 天然コルクか/凝集コルク(粒を固めたもの)か(45.03⇔45.04の分岐)
    • 「素材の形(ブロック・板・シート・ストリップ)」段階か/「製品(栓・マット等)」か(45.02⇔45.03の分岐)
    • コルクが“主役”か“従属部品”か(複合栓・注ぎ口付き栓等はGIR3(b)で他章へ行くことあり)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食品用の栓・栓部材(輸入):HS誤りが原因で、原産地規則(PSR)選択ミスや、食品接触材としての届出・試験要否の判断がずれる可能性があります(結果:通関遅延・追加対応)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(品目表の文言+注):第45類は類注(除外)が短く明確なので、まず「履物/帽子/第95類か」を注で落とします。
    • GIR6(号=6桁の選択):45.01/45.03/45.04は6桁で用途・形状が分かれるため、最終的に6桁の文言で詰めます。
    • GIR3(b)(複合品・結合品):例えば「注ぎ口(プラスチック)+コルク栓」のように、コルクが従属的な場合は、全体に本質的特性を与える材料/部分で分類が変わります(第45類にならないことがある)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:天然コルクか、粒状コルクを固めた凝集コルクか(接着剤使用の有無も含む)。
    • 加工度/形状:粗・単に調製(45.01)→鬼皮除去・角取り/長方形素材(45.02)→製品(45.03)という“加工段階”の発想が重要です。
    • 用途(客観用途):栓、密封ディスク、マット、断熱材、釣り用うき等で他類へ飛びやすいです。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:「履物・帽子・玩具/スポーツ用品」用途/形態か?
    • Yes → 第64/65/95類へ(第45類注で除外)
    • No → Step2へ
  • Step2:天然コルクか/凝集コルクか?
    • 天然 → Step3へ(45.01/45.02/45.03のどれか)
    • 凝集(粒を固めたもの)→ 45.04(ただし床材の“リノリウム的性質”が強い場合は59.04の可能性)
  • Step3:天然コルクの場合、素材段階か製品か?
    • 粗・単に調製/くず/粒状・粉状 → 45.01
    • 鬼皮除去・粗く角にした/長方形素材・角が鋭いブランク → 45.02
    • 上記以外で「栓・マット・ガスケット等の製品」→ 45.03
  • Step4:6桁で確定(例:栓なら4503.10、その他製品は4503.90…)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 45.02(長方形素材) vs 45.03(製品):長方形以外の形状に切った板・シート等は「製品」扱いになりやすいです。
    • 45.03(天然製品) vs 45.04(凝集製品):見た目が似ていても、粒を固めた“凝集”かどうかが決定的です。
    • 45.03(コルク部品) vs 83.09/93.06/95類:王冠、弾薬部材、釣り用具など、用途・組合せで他類へ移ります。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4501天然コルク(粗・単に調製)、コルクくず、破砕/粒状/粉砕コルク剥いだままのコルク樹皮、トリミングコルク、コルクくず、粒状コルク鬼皮除去や粗く角取りしたものは4502へ。凝集(固めた)ものは4504へ。
4502天然コルク(鬼皮を除いたもの等)・長方形ブロック/板/シート等(鋭角ブランク含む)debacked cork、粗く角にしたコルク、長方形のコルク板、角が鋭い栓用ブランク長方形以外に切った板等は“製品”扱いで4503へ。丸縁ブランクは4503へ。
4503天然コルクの製品ワイン用コルク栓、ディスク/ワッシャー、マット、ハンドル、ガスケット複合栓でコルクが従属なら他類へ。王冠(83.09)、弾薬ワッド(93.06)、釣り糸うき等(95)に注意。
4504凝集コルク(結合剤あり/なし)とその製品凝集コルクパネル、コルクタイル、円柱・円盤、断熱材成形品床材でリノリウム等の性質が強い場合は59.04の可能性。

(出典:WCO HS2022 Chapter 45、税関「関税率表解説」第45類)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で多い軸)
    • 加工度:粗/単に調製(4501.10)⇔鬼皮除去・角取り(4502.00)⇔製品(4503/4504)
    • 形状:長方形素材(4502.00)⇔長方形以外に成形・切断(4503扱いになりやすい)
    • 天然 vs 凝集:天然製品(4503)⇔凝集製品(4504)
    • 用途(栓か否か):栓(4503.10)⇔その他(4503.90)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4501.10(粗/単に調製) vs 4502.00(鬼皮除去・粗く角取り・長方形素材)
      • どこで分かれるか:鬼皮を完全に除去したか/粗く角にして両面が平行に近いか、長方形素材に加工したか。
      • 判断に必要な情報:加工工程(削り・焼き・洗浄・蒸気処理の有無)、写真(表裏・端部)、寸法形状、製品仕様書。
      • 典型的な誤り:「表面清浄=鬼皮除去」と誤認して4502にしてしまう(実際は4501.10の範囲)。
    2. 4502.00(鋭角ブランク含む) vs 4503.10(栓・丸縁ブランク)
      • どこで分かれるか:角が鋭い(鋭角)ブランク=4502縁が丸いブランク(栓として確認可能)=4503.10
      • 判断に必要な情報:ブランクの形状(角の丸み)、用途(栓としての同定可能性)、加工(面取り/丸め)。
      • 典型的な誤り:栓用ブランクを全部4502に寄せる(“丸縁”の要件を見落とす)。
    3. 4503.10(栓) vs 4503.90(その他)
      • どこで分かれるか:容器を閉鎖する「栓」か、ディスク・ワッシャー・マット等の「その他製品」か。
      • 判断に必要な情報:用途(容器閉鎖か)、形状(円柱・角柱形等)、販売形態(栓として販売されるか)。
      • 典型的な誤り:王冠用の薄いコルクディスクを「栓」として4503.10にする(一般に4503.90側で扱われる注意点あり)。
    4. 4503(コルク部品) vs 83.09(王冠)
      • どこで分かれるか:卑金属製の王冠が本体でコルクが裏張りなら83.09へ。
      • 判断に必要な情報:構成(王冠+裏張り材)、主要材料、完成品としての機能。
      • 典型的な誤り:コルクが入っているだけで第45類に寄せる。
    5. 4504(凝集コルク) vs 59.04(リノリウム等の床材)
      • どこで分かれるか:凝集コルクでも、リノリウム等に類する床材としての性質を持つ場合は59.04側の検討が必要。
      • 判断に必要な情報:組成(コルク粉+樹脂/油等)、裏打ち(繊維基材の有無)、製品規格・用途(床材としての性能)。
      • 典型的な誤り:床材は全部4504と決め打ちする。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第45類が属する第9部(Section IX)には、独立した「部注(Section Notes)」が置かれていません(WCOの章立て上、Section IXは章(44〜46)の列挙から始まります)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「部注で一括除外」というより、各類注(Chapter Notes)と見出し文言で境界を作る部です。
    • したがって第45類は、まず**類注(第45類注1)**を最優先で確認するのが近道です。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 該当なし(※飛び先は主に第45類注と、各項の解説上の除外で発生します)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第45類注はシンプルで、(a)履物(第64類)、(b)帽子(第65類)、(c)第95類の物品を除外します。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 類注自体に詳細定義は多くありませんが、実務上は「天然コルク」「凝集コルク」「鬼皮除去」などを、解説(Explanatory Notes相当)で具体化して考えます。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 履物・履物部分品 → 第64類
    • 帽子・帽子部分品 → 第65類
    • 玩具・遊戯用具・運動用具等 → 第95類
    • 参考:解説上、王冠(83.09)、**カートリッジワッド(93.06)**なども第45類から外れる例として挙げられています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:用途が第64類/第65類/第95類に当たると、コルク製でも第45類に残れない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製品カテゴリ(靴か、帽子か、玩具・スポーツ用品か)
      • 使用実態(例:釣り糸用のうき=釣り用具としての扱い)
    • 現場で集める証憑:
      • 商品カタログ/EC表示(用途表示)
      • 形状写真(装着部位が履物/帽子か、スポーツ用具の一部か)
      • セット構成(玩具セット等)
    • 誤分類の典型:
      • 「素材がコルクだから45類」と決め打ちし、用途(履物・帽子・スポーツ用途)を見落とす。
  • 影響ポイント2:“漁網用”のうき(例示)と、“釣り糸用”のうき(除外例示)のように、同じ“うき”でも帰属が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • うきが「漁網に取り付ける資材」なのか、「釣り糸の仕掛け(釣り用具)」なのか
      • 販売チャネル(漁業資材か、レジャーフィッシング用品か)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途説明(仕様書・パッケージ)
      • 使用写真、取付方法図
    • 誤分類の典型:
      • うきを一律に45.03へ入れる(第95類側の可能性を確認しない)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「コルクシート=全部4502」としてしまう
    • なぜ起きる:形状(シート)だけ見て、天然/凝集長方形以外の成形を見ないため。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):4502は「天然コルクの長方形素材」が中心。凝集なら4504、長方形以外に切断・成形して“製品”なら4503寄りになります。
    • 予防策:
      • 仕様書に「天然/凝集」「粒状を固めたか」「接着剤の有無」を入れる
      • 図面で“長方形(正方形含む)”かどうかを明確化
  2. 間違い:4501.10(単に調製)と4502.00(鬼皮除去)を取り違える
    • なぜ起きる:「表面処理=鬼皮除去」と思い込みやすい。
    • 正しい考え方:4501.10には、表面清浄・端部整理・殺菌、温湯/蒸気処理後に平坦化したもの等が含まれ得る一方、鬼皮を除いたものや粗く角取りしたものは4502側です。
    • 予防策:
      • 工程表(削り・焼き・剥離の範囲)を入手
      • 表裏の写真を要求(外皮が残っているかの確認)
  3. 間違い:栓用ブランクを全部4502.00にしてしまう
    • なぜ起きる:「ブランク=素材」という先入観。
    • 正しい考え方:鋭角ブランクは4502に含まれる一方、縁が丸い等、栓として確認可能なブランクは4503.10側に入る扱いがあります。
    • 予防策:
      • 角の形状(面取り/丸め)を仕様書に記載
      • “最終用途(栓)としての同定可能性”を明示
  4. 間違い:「注ぎ口付き栓(ポアラー)」を4503.10にしてしまう
    • なぜ起きる:商品名が「コルク栓」として売られているため。
    • 正しい考え方:金属・プラスチックの注ぎ口が主体で、コルクが従属なら、GIR3(b)で本質的特性により他類へ行き得ます(解説でも“コルクが従属的な栓”は他項へ、という趣旨が示されています)。
    • 予防策:
      • 部品構成比(材料・重量・価額)と機能の中心を整理
      • “コルク部分が交換可能か/単なる保持部材か”を確認
  5. 間違い:王冠(クラウンキャップ)を「コルク部材があるから45類」とする
    • なぜ起きる:裏張り材(コルク)だけに注目する。
    • 正しい考え方:卑金属製王冠であれば、裏張りがコルクでも83.09側が示されます。
    • 予防策:
      • 完成品の主要材質(外殻)と機能(密封機構)で分類検討
      • “裏張り材だけ別HS”と考えない
  6. 間違い:コルク製カートリッジワッドを45類に入れる
    • なぜ起きる:材質がコルクで、見た目がディスク/ワッシャーに似るため。
    • 正しい考え方:弾薬部材は93.06に行く除外例が示されています。
    • 予防策:
      • 用途(弾薬・カートリッジ用途)をインボイス/仕様書に明示
      • ミリタリー/狩猟用途の有無を社内ヒアリング
  7. 間違い:凝集コルク床材を全部4504にしてしまう
    • なぜ起きる:「コルク床=4504」と単純化するため。
    • 正しい考え方:凝集コルクでも、リノリウム等に類する床材としての性質がある場合は59.04の検討が必要(解説上の注意)。
    • 予防策:
      • 組成(コルク粉+油/樹脂/充填材)・裏打ち(繊維)を確認
      • MSDS/SDS・技術データシートを入手
  8. 間違い:ガスケット/シールを単品の45類で申告するが、実は“セット”として8484に該当
    • なぜ起きる:部品単品発想でセット性を見落とす。
    • 正しい考え方:解説では、ガスケット等でも「84.84項に含まれる取りそろえてセットにしたもの」は除外される旨が示されています。
    • 予防策:
      • 梱包明細(セット同梱の有無)を確認
      • “用途が特定機械のシールセットか”をヒアリング

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること
    • PSRは通常、項(4桁)や号(6桁)単位で規則が決まるため、例えば「4503(天然コルク製品)」か「4504(凝集コルク製品)」かを誤ると、原産性判断の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 材料のHSと最終製品のHSを混同(材料が4501でも、最終が4503/4504になり得る)
    • 複合品(キャップ付き栓など)でGIR3(b)の結果が変わる→PSRも変わる可能性

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 経済連携協定等によって、採用しているHSコードのバージョンが異なり、協定が採用していないHS版で検索すると結果が誤る可能性がある旨が税関PSR検索画面で注意喚起されています。
  • 具体例(代表例として)
    • RCEP:当初はHS2012に基づくPSRでしたが、税関案内では「HS2022に置き換えたPSRが採択され、2023/1/1から実施」とされています。
    • 日EU・EPA:EU側案内(Access2Markets)では、関税確認に用いる品目コードはHS(HS2017)に基づく旨が示されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①通関申告は原則「最新の国内コード」で行う
    • ②原産地証明・PSR判断は「協定が参照するHS版」で行う
    • ③必要に応じて、旧HS版⇔新HS版の対応(トランスポジション)を使って整合させる
      (この運用の注意喚起自体は税関のPSR検索画面・案内にも記載があります。)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • コルク原料(4501/4502)→加工(成形・凝集・打抜き等)→最終品(4503/4504)を工程で説明できるようにする
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 税関の原産地規則マニュアル等、協定別の運用ガイドを参照し、必要書類(材料証明、製造工程資料、計算根拠等)を保存します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし第45類(4501〜4504)見出し・号の構成が同一章内のコード移行対応は原則不要(ただし国内コードや協定HS版の差は別途注意)
HS2012→HS2017変更なし第45類(4501〜4504)同上同上
HS2007→HS2012変更なし第45類(4501〜4504)同上同上

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料
    • WCOのHS条文(Chapter 45)について、HS2007/2012/2017/2022の各版を突合し、項(45.01〜45.04)および号(4501.10/4501.90/4502.00/4503.10/4503.90/4504.10/4504.90)の構成・文言が実質的に同一であることを確認しました。
  • 何が変わったと判断したか
    • 上記のとおり、**第45類に関しては改正(新設/削除/分割/統合等)が確認できないため、「変更なし」**と整理しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第45類は、少なくともHS2007→HS2012→HS2017→HS2022の範囲で、主要コード体系(4501〜4504、各6桁)が継続しています。

HS2007HS2012HS2017HS2022備考
4501450145014501継続(同一構成:4501.10/4501.90)
4502450245024502継続(4502.00)
4503450345034503継続(4503.10/4503.90)
4504450445044504継続(4504.10/4504.90)

※ただし、**各国の国内コード(8桁/9桁等)**や、FTA/EPAが参照するHS版は別問題として変動し得ます(後述)。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):コルク中敷きの45類申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第45類注で「履物・部分品(第64類)」除外に抵触
    • 起きやすい状況:商品名が「コルクインソール」「コルクソール」で材質が強調される
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:用途(履物の部分品)を先に確定し、64類を起点に検討。写真・装着例を添付。
  • 事例名:コルク製帽体パーツの45類申告
    • 誤りの内容:第45類注で「帽子・部分品(第65類)」除外に抵触
    • 起きやすい状況:ハンドメイド材料として輸入し、品名が曖昧
    • 典型的な影響:差止・補正要求・説明資料追加(一般論)
    • 予防策:最終用途(帽子部材)と形状(つば/帽体)を明示、65類で検討。
  • 事例名:釣り糸用コルクうきの45類申告
    • 誤りの内容:第45類注で「第95類の物品」除外に抵触(解説でも釣り糸用うきが例示)
    • 起きやすい状況:漁網用資材(45.03側)と混同
    • 典型的な影響:税番更正、通関遅延(一般論)
    • 予防策:用途証明(釣り用具か漁業資材か)を仕様書・販売資料で明確化。
  • 事例名:“スポーツ用”コルク部材の45類申告
    • 誤りの内容:第45類注の「運動用具等(第95類)」除外に抵触
    • 起きやすい状況:「スポーツ用品の部品」でも材質がコルクだと45類に寄せがち
    • 典型的な影響:追加資料要求、分類変更(一般論)
    • 予防策:第95類の範囲確認、機能・用途で判断。必要なら事前教示。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物検疫(輸入):植物防疫所の案内では、「籐及びコルク」は輸入植物検疫の対象とならないとされています。税関のカスタムスアンサー(植物防疫法)でも、コルクは検査不要の例として記載されています。
    • 食品衛生(輸入・用途次第):販売・営業用に輸入する「食品等」には、食品、添加物、器具、容器包装等が含まれ、検疫所への輸入届出が必要とされています。コルク栓等が「容器包装」や「器具」に該当し得るため、食品用途(ワイン・飲料の栓等)では該当性を確認してください。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • コルク(Quercus suber等)自体は通常CITESの典型対象ではありませんが、輸入国側の規制は別途あり得るため、産地・樹種の特定が必要な取引は注意してください(一般論)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第45類単体は一般に該当しにくいですが、最終用途・最終需要者・他部材との組合せで審査が必要になるケースはあり得ます(一般論)。
  • その他の許認可・届出
    • 輸出先がEU等の場合:食品接触材(Food Contact Materials)規制への適合情報提供が求められることがあり得ます(包装・栓用途の場合)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(「対象とならない植物」等)
    • 食品衛生:厚生労働省「食品等輸入手続」/検疫所窓口
    • FTA/EPA:税関(PSR検索、協定別案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(材質、天然/凝集、加工工程)
    • 写真(表裏・端部・断面)
    • 成分/材料情報(接着剤や裏打ち材がある場合)
    • 用途資料(食品用途・スポーツ用途・履物/帽子用途などの判断資料)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 天然コルクか凝集コルクか(製法、粒状の有無)
    • 形状(長方形素材か、成形品か、栓か)
    • 複合品なら構成部材(材質・重量・価額・機能)と“主役”はどれか
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第45類注:履物(64)・帽子(65)・第95類に該当しないか
    • 解説上の典型除外:83.09/93.06/59.04等の検討漏れがないか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “cork sheet”“cork stopper”など曖昧品名を避け、加工度・用途を補う
    • 画像・仕様書を添付できる体制(税関照会対策)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版でPSR確認(HS版ズレ注意)
    • BOM、工程説明、原価/付加価値計算根拠を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫:コルクは原則対象外の整理(ただし例外がないか念のため確認)
    • 食品用途:器具・容器包装該当性と輸入届出の要否を確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • HS Nomenclature 2022:Chapter 45 “Cork and articles of cork”(参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2017:Chapter 45(参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2012:Chapter 45(参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2007:Chapter 45(参照日:2026-02-21)
  • 日本 税関・公的機関
    • 税関「関税率表解説」第45類(参照日:2026-02-21)
    • 税関 カスタムスアンサー(植物防疫法:コルクは検査不要の例)(参照日:2026-02-21)
    • 税関:品目別原産地規則(PSR)検索画面(HS版違い注意)(参照日:2026-02-21)
    • 税関:RCEP(HS2022版PSR採択の案内)(参照日:2026-02-21)
    • 税関:事前教示(品目分類)検索(参照日:2026-02-21)
  • 日本(衛生・検疫)
    • 農林水産省 植物防疫所「輸入植物検疫の対象とならない植物」(籐及びコルク)(参照日:2026-02-21)
    • 厚生労働省「食品等輸入手続」(器具・容器包装を含む)(参照日:2026-02-21)
  • 輸出先規制(例)
    • JETRO:EUの食品接触材(FCM)に関する留意点(参照日:2026-02-21)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 注意:以下は国内コード(統計品目番号)の例です。HS(6桁)とは別で、改正されることがあります。申告時点の最新版で確認してください。
  • 例(日本の関税率表・統計コード例:2012年版の表示)
    • HS 4501.10 → 国内コード例 4501.10-000
    • HS 4501.90 → 国内コード例 4501.90-000
    • HS 4502.00 → 国内コード例 4502.00-000
    • HS 4503.10 → 国内コード例 4503.10-000
    • HS 4503.90 → 国内コード例 4503.90-000
    • HS 4504.10 → 国内コード例 4504.10-000
    • HS 4504.90 → 国内コード例 4504.90-000

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品概要(用途・機能) ②材質(天然/凝集、結合剤) ③加工工程 ④形状寸法図 ⑤写真(表裏・断面) ⑥サンプル(可能なら)
  • 探し方
    • 税関の「事前教示回答(品目分類)」は、一般的品名・税番・貨物概要等で検索できます。
    • 英語でもAdvance Rulingの概要が整理されています(海外拠点向け説明に便利)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。