- 用語:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 書籍・冊子・リーフレット(単票でも可)や、百科事典・辞書(49.01)
- 新聞・雑誌などの定期刊行物(49.02。ただし例外あり)
- 地図・海図・アトラス・壁地図・印刷した地球儀(49.05)
- 未使用の切手・収入印紙、銀行券、株券などの証券類(49.07)
- ポスター、写真、広告印刷物、カタログ等の「その他の印刷物」(49.11)
- (重要)「印刷」は、複写機コピー、ADP(コンピュータ)出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含みます(=“プリントアウト”も含み得る)。
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 透明ベース上の写真のネガ・ポジ(フィルム等):第37類
- 浮出し(立体)地図・浮出し地球儀:90.23
- トランプ等の遊戯用カード:第95類
- オリジナルの版画(銅版画・木版画等):97.02/切手のコレクターズ品・初日カバー等:97.04/製作後100年超の骨董等:第97類
- 壁紙(48.14)や紙製ラベル(48.21)は、たとえ印刷が重要でも第48類側に残る扱いがある点に注意(例外扱い)。
- プラスチック/ゴム製品でも、印刷(文字・絵等)が用途に対して「副次的でない」場合、第49類に来ることがあります(ただし 39.18/39.19 は除外)。
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 印刷の位置づけ:その物品の本質・用途が「印刷されていること」で決まるか、単なる装飾/副次的か。
- 49.01(本) vs 49.11(広告・ポスター等):広告が本質目的の出版物は49.01に入らず49.11へ。
- 49.05(地図等) vs 90.23(浮出し/立体):立体は90.23で、印刷有無は関係なし。
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 旧コード(HS2017)で「4905.10(地球儀)」を使ってしまう(HS2022で再編)。協定PSRや社内マスタとのズレが起きやすいです。
- 広告カタログを49.01(書籍)扱いにしてしまい、49.11(広告印刷物)との不整合で税関照会が増える。
- 49.07(未使用切手/銀行券等)と、97.04(切手コレクター品等)を取り違える(内容によっては規制・審査も絡みやすい)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1(見出し+注で決める):第49類は「類注(注1〜6)」が境界線そのものです。たとえば、広告目的出版物は49.01から外れて49.11へ(注5)など、注が結論を決めます。
- GIR6(6桁の号まで落とす):49.05はHS2022で号が再編され、49.11も号区分(広告/写真等/その他)が実務上効きます。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 物理形態:単票か、製本されているか、ページ番号があるか、セット物か。
- 内容/主目的:広告が主か、教育・情報・芸術鑑賞が主か。
- 印刷の意味合い:コピー/プリンタ出力も「印刷」になり得ますが、単なる装飾模様や色彩印刷だけでは第49類の「印刷物」扱いにならない点に注意。
- 素材(紙以外もあり得る):プラスチック/ゴム製でも、印刷が用途に対して副次的でなければ第49類へ(例外あり)。
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:まず「そもそも第49類か?」(注1の除外をチェック)
- 透明ベースの写真ネガ/ポジ → 第37類
- 浮出し地図・浮出し地球儀 → 90.23
- トランプ等 → 第95類
- 版画(オリジナル)/切手コレクター品/骨董(100年超) → 第97類
- Step2:「印刷物/文書」と言えるか(注2)
- コピー、プリンタ出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含めて“印刷”扱いになり得ます。
- Step3:項(4桁)を選ぶ
- 書籍・冊子系 → 49.01(ただし広告目的は49.11へ)
- 新聞・雑誌等の定期刊行物 → 49.02(ただし例外で49.01へ行くケースあり)
- 地図・海図・地球儀(印刷) → 49.05
- 未使用切手・銀行券等 → 49.07
- それ以外の印刷物(広告、ポスター、写真等) → 49.11
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第48類(紙製品) vs 第49類(印刷物):印刷が包装等の本来用途に対して副次的なら48類、印刷が本質なら49類、という整理が基本(ただし48.14/48.21等の例外に注意)。
- 第39類(プラスチック製品)/第40類(ゴム製品) vs 第49類:印刷が副次的でない場合は49類へ(ただし39.18/39.19は除外)。
- 90.23(浮出し) vs 49.05(印刷地図等):立体かどうかが決定打。
- 第97類(美術品・収集品・骨董) vs 第49類:オリジナル版画や収集切手、骨董(100年超)は第97類。
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
- 原則:第49類は項が少ないため全列挙します。
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 4901 | 印刷した書籍、冊子、リーフレット等(単票含む) | 書籍、教科書、取説、マニュアル、百科事典・辞書 | 定期刊行物でも「紙以外で製本」「複数号を単一カバーでセット」は4901へ(類注3)。広告目的出版物は4901×で4911(類注5)。 |
| 4902 | 新聞、雑誌等の定期刊行物 | 新聞、週刊誌、学会誌 | 4902は通常の定期刊行物。例外で4901へ飛ぶケースあり(類注3)。 |
| 4903 | 幼児用の絵本、ぬり絵等 | 絵本、ぬり絵帳 | 「絵が主体・文章が副次的」が条件(類注6)。 |
| 4904 | 楽譜(印刷/手稿) | 楽譜集、スコア | 記録媒体(CD等)は別類。 |
| 4905 | 地図・海図等(印刷) | アトラス、壁地図、海図、印刷地球儀 | 浮出し(立体)は90.23で除外(類注1(b))。HS2022で号が再編(4905.20/4905.90)。 |
| 4906 | 建築・工業等の設計図等(手書き原図等) | 手書きの設計図、青焼き・感光複写、カーボンコピー | 見出しの文言が限定的(手書き原図/特定の複写等)。CADプリント等は判断要(後述)。 |
| 4907 | 未使用切手・印紙・銀行券等 | 未使用切手、収入印紙、銀行券、株券・債券、小切手用紙 | 収集品(初日カバー等)は97.04側(類注1(d))。 |
| 4908 | 転写紙(デカール) | デカール、転写シール、転写タトゥー | 焼付け用(vitrifiable)かどうかで号分岐。 |
| 4909 | 絵葉書・グリーティングカード等 | ポストカード、メッセージカード | 4909はカード類に特化。 |
| 4910 | カレンダー | 壁掛けカレンダー、卓上カレンダー | HS6桁は4910.00(国内コードで細分がある場合あり)。 |
| 4911 | その他の印刷物(写真含む) | 広告物、カタログ、ポスター、パンフ、写真 | 「広告が本質目的の出版物」はここ(類注5)。49.01との境界が頻出。 |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(この類で効きやすいもの)
- 形態(単票/製本/セット):4901.10(単票)など
- 発行頻度:4902.10(週4回以上)
- 書籍形式か否か:4905.20(書籍形態) vs 4905.90(その他)
- 用途(広告):4911.10(広告印刷物)
- 内容(写真・デザイン):4911.91(写真・図案等)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 4901(書籍) vs 4911.10(広告物)
- どこで分かれるか:出版物が「本質的に広告目的」か(類注5)。
- 判断に必要な情報:表紙/奥付、目次、広告比率というより「目的」(販促配布か、一般向け出版か)、配布形態(展示会配布/DM等)、価格設定(無料配布か)。
- 典型的な誤り:「冊子=本」で4901に寄せる(広告カタログを4901扱い)。
- 4902(定期刊行物) vs 4901(例外で4901へ)
- どこで分かれるか:定期刊行物でも「紙以外で製本」「複数号を単一カバーでセット」なら4901(類注3)。
- 判断に必要な情報:製本材料(紙/非紙)、セットの形態、同梱される号数。
- 4905(印刷地図等) vs 9023(浮出し/立体)
- どこで分かれるか:立体(浮出し)かどうか(類注1(b))。
- 判断に必要な情報:断面構造、凹凸の有無、素材・成形方法、写真。
- 4907(未使用切手等) vs 9704(収集品)
- どこで分かれるか:収集・コレクターズ性(初日カバー等)や、類注1(d)で第97類へ除外されるか。
- 判断に必要な情報:未使用か(消印の有無)、コレクター向けセット/台紙、発行国・額面、流通実態。
- 4905の“旧→新”コード誤用(HS2017→HS2022)
- どこで分かれるか:HS2022では4905.10(地球儀)が削除され、4905.20/4905.90に再編。
- 判断に必要な情報:取引で参照しているHS版(社内マスタ、相手国タリフ、協定PSRのHS版)。
- 4901(書籍) vs 4911.10(広告物)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第49類が属する第10部(Section X)には部注がありません(=この部は部注なしで章が並ぶ構成)。
- ただし、他部の部注が「第49類へ飛ばす」ことがあり、特に第7部(プラスチック・ゴム)注2が実務上重要です。
- 実務での意味(具体例つき):
- プラスチック製のサインプレートや装飾パネルでも、印刷(文字・絵)が用途に対して副次的でない場合は第49類に分類され得ます(ただし39.18/39.19は除外)。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 「プラスチック製品だから第39類」と決め打ち → 実際は印刷が本質で第49類(第7部注2)
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約(注1〜6):
- 注1:写真フィルム、浮出し地図、トランプ、オリジナル版画、切手収集品、骨董等を除外(第37類、90.23、95類、97類へ)。
- 注2:「印刷」にはコピー、ADP出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含む。
- 注3:定期刊行物でも、紙以外で製本・複数号セットは49.01へ。
- 注4:49.01に含まれる“コレクション/付属絵画/製本用の部分”の扱い。文章を伴わない絵・挿絵は49.11へ。
- 注5:広告が本質目的の出版物は49.01ではなく49.11。
- 注6:49.03の「幼児用の絵本」定義(絵が主、文章が従)。
- 用語定義(定義がある場合):
- 「印刷したもの」:上記注2の範囲(コピー/ADP出力等)+実務解説では、印刷キャラクターの形態は問わない一方、単なる装飾印刷・繰り返し模様は含めない、という整理が示されています。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 注1の除外(第37類、90.23、第95類、第97類)に加え、実務解説では48.14/48.21、39.18/39.19等は印刷の重要性にかかわらず第49類に入らない旨が整理されています。
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:「広告目的」かどうかで 49.01 ⇄ 49.11 が入れ替わる(注5)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 目的(販促配布/カタログ/観光案内か、一般出版か)
- 内容構成(製品紹介の比重、価格表、注文方法、問い合わせ先の強調)
- 配布形態(展示会配布、DM、店頭無料配布 など)
- 現場で集める証憑:
- 現物/見本、PDFデータ、目次、奥付、配布案内(「販促物」表記)、社内の用途説明
- 誤分類の典型:
- 「ページがある=本」→4901に入れてしまい、税関から「本質的に広告」と見られて4911へ修正。
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:定期刊行物でも 49.02 ⇄ 49.01 に飛ぶ(注3)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 製本材料(紙か否か)、複数号を単一カバーでセットしているか
- 現場で集める証憑:
- 製本仕様(材質)、商品写真、セット構成(何号分か)
- 誤分類の典型:
- 「雑誌=4902」で固定 → 実は非紙で製本されていて4901。
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:“印刷”の定義が広い(注2)=プリンタ出力やコピーも第49類候補
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 製造方法(コピー、プリンタ、写真、感光複写、型押し等)
- 単なる装飾模様か、情報伝達(文字・図)か
- 現場で集める証憑:
- 製造工程説明、印刷方式、サンプル画像
- 誤分類の典型:
- 「印刷物はオフセット等だけ」と誤解して除外、または逆に装飾印刷を49類へ寄せる。
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント4:素材起点で決め打ちしない(第48類・第39類等との境界)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 素材(紙/プラ/繊維等)+印刷が用途に対して副次的か否か
- 例外(39.18/39.19、48.14/48.21)の有無
- 現場で集める証憑:
- 材料構成、用途説明、製品カタログ、使用シーン写真
- 誤分類の典型:
- 「紙=48類」「プラ=39類」で固定し、印刷の位置づけを見ない。
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:製品カタログ(販促冊子)を4901(書籍)にしてしまう
- なぜ起きる:冊子形態=本と短絡しがち。
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):広告が本質目的なら49.01ではなく49.11(類注5)。
- 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
- 「配布目的は?(販促/販売付属/一般販売)」
- 目次・奥付・配布方法の資料、現物PDFを保管
- 間違い:雑誌を4902に固定し、非紙で製本されたもの/複数号セットを見落とす
- なぜ起きる:一般常識(雑誌=4902)に引っ張られる。
- 正しい考え方:注3で49.01へ移るケースが明示。
- 予防策:
- 「表紙/製本は紙?プラ?布?」
- 「複数号が1つのカバーで売られている?」を現物で確認
- 間違い:文章のないポスター/絵だけの印刷物を4901(書籍)側に寄せる
- なぜ起きる:「美術品の複製集」等の誤解。
- 正しい考え方:49.01の“製本用部分”等の説明がある一方、文章を伴わない絵・挿絵は49.11へ(注4)。
- 予防策:
- 文章(テキスト)があるか、ページ番号があるか、製本前提かを確認
- 間違い:立体(浮出し)地図・地球儀を4905にする
- なぜ起きる:地図/地球儀=4905と短絡。
- 正しい考え方:浮出し(立体)は90.23へ除外(注1(b))。
- 予防策:
- 製品写真(側面)、凹凸加工の有無、素材・成形方法の確認
- 間違い:未使用切手/印紙(4907)と、切手収集品(9704)を混同
- なぜ起きる:「切手」だけで判断しがち。
- 正しい考え方:類注1(d)で97.04の収集品等が除外されている。
- 予防策:
- 「消印の有無」「初日カバーか」「コレクター向け台紙/セットか」を確認
- 間違い:紙製品の印刷物をすべて第49類にしてしまう
- なぜ起きる:「印刷されている=49類」の誤解。
- 正しい考え方:紙・板紙製品で印刷が本来用途に対し副次的なら48類、例外(48.14/48.21等)もある。
- 予防策:
- 用途(包装/文具/掲示/広告)を用途説明書で確認
- 48.14(壁紙)、48.21(ラベル)該当の有無をチェック
- 間違い:プラスチック製サイン等を39類に固定してしまう
- なぜ起きる:素材起点で判断してしまう。
- 正しい考え方:第7部注2で、印刷が副次的でない場合は第49類(ただし39.18/39.19は除外)。
- 予防策:
- 「印刷(文字・絵)がないと用途が成立するか?」を社内に確認
- 39.18/39.19該当(床材/壁材など)も合わせてチェック
- 間違い:HS2017の4905.10(地球儀)をそのまま使い続ける
- なぜ起きる:社内マスタや取引先資料が更新されていない。
- 正しい考え方:HS2022で49.05が再編され、4905.10は削除、4905.20/4905.90へ。
- 予防策:
- 参照HS版を明示(HS2017/2022)
- 相関表(旧→新)を社内で固定資料化
- 間違い:設計図・図面を何でも4906にしてしまう
- なぜ起きる:品名(図面)だけで判断。
- 正しい考え方:4906は見出し上「手書き原図」等に限定されるため、CADプリント等は内容・作成方法・形態を踏まえて4911等の可能性も含め検討が必要。
- 予防策:
- 作成方法(手書き/青焼き/プリンタ出力)と、取引実態(技術資料一式か、単なる図面配布物か)を確認
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS(6桁)を誤ると、適用すべきPSR(CTH/CTSH/RVC等)の前提が崩れます。
- よくある落とし穴:
- 「販促カタログ(4911.10)」を「書籍(4901)」としてPSRを見てしまう
- 49.05の旧コード(4905.10等)で協定のPSRを引いてしまう(HS版ズレ)
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 協定ごとに採用しているHS版が異なるため、税関のPSR検索画面でも「協定が採用するHS版で検索する」注意が明記されています(申告は最新HS)。
- RCEPは、当初HS2012ベースでしたが、HS2022に置き換えた品目別規則が採択され、2023/1/1から実施とされています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
- 協定本文/PSRが旧HSの場合、相関表で旧6桁→新6桁に対応付けしてからPSRを読みに行きます(特に49.05は2022で号が動いたため注意)。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 証明書類・保存要件(一般論):
- 製造工程フロー、購買証憑、印刷工程(国内/国外)、委託加工契約書
- 税関向け説明資料(製品見本、カタログ、仕様書)
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 削除+再編(号の名称変更/範囲調整) | 4905.10 / 4905.91 / 4905.99 → 4905.20 / 4905.90 | 4905.10(地球儀)削除。4905.91→4905.20、4905.99→4905.90へ名称変更。削除分(地球儀)は4905.90へ移管し、範囲も調整。 | 社内マスタ・過去データ・協定PSRのHS版がズレると、誤コード使用・PSR誤適用が起きやすい。 |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 根拠資料として、HS2017版とHS2022版の第49類のコード表(49.05の号構成が異なる)を確認しました。
- さらに、相関表(HS2022-HS2017)では、「49.05は取引量が少ない4905.10を削除して再編」、「4905.91/4905.99をそれぞれ4905.20/4905.90に改称」、**「4905.10の物品は4905.90へ移管し範囲を調整」**と説明されています。
- 上記より、第49類でHS2017→HS2022における主要な構造変更は、少なくとも49.05の号再編であると判断しました(他の49.01〜49.11は同一の号構造に見えます)。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
- HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理します(第49類は大きな再編が少なく、確認できる主要差分は49.05です)。
| 期間 | 追加/削除/再編(概要) | 旧コード → 新コード(または行き先不明) | メモ |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 大きな変更なし(少なくとも49.01〜49.11の主要構造は同様) | — | HS2012の日本税関表でも49.05は4905.10/4905.91/4905.99構成。 |
| HS2012→HS2017 | 大きな変更なし(49.05も従来構成) | — | HS2017でも4905.10/4905.91/4905.99。 |
| HS2017→HS2022 | 49.05を再編(4905.10削除、改称・範囲調整) | 4905.10(地球儀)→ 4905.90 へ移管、4905.91→4905.20、4905.99→4905.90 | 相関表に理由(低取引量)と移管先が明記。 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):「展示会カタログ」を書籍(4901)で申告
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):広告目的出版物は4901に含まれず4911(類注5)。
- 起きやすい状況:インボイス品名が “catalogue/booklet” 程度で、内容確認せずに本扱い。
- 典型的な影響:修正申告、追加納税(税率差がある場合)、分類根拠資料の追加提出要求。
- 予防策:現物PDF・目次・配布目的の説明書を準備し、広告目的かどうかを事前に整理。
- 事例名:雑誌セット(2号を1パック)を4902で申告
- 誤りの内容:複数号を単一カバーでセットした定期刊行物は4901(類注3)。
- 起きやすい状況:量販店向けの「合本・特装版」や販促セット。
- 典型的な影響:分類訂正、通関遅延(現物確認が増える)。
- 予防策:販売形態(セット構成)と包装状態の写真を提出資料に入れる。
- 事例名:立体地球儀を4905で申告
- 誤りの内容:浮出し(立体)地球儀は90.23(類注1(b))。
- 起きやすい状況:「地球儀=4905」と思い込み、立体加工の有無を見ない。
- 典型的な影響:税関で現物検査、分類差し戻し。
- 予防策:断面写真・仕様(凹凸/成形)を事前に準備。
- 事例名:未使用切手セットを4907で申告したが、初日カバー等が混在
- 誤りの内容:97.04(初日カバー等の収集品)が混在すると第97類側へ(類注1(d))。
- 起きやすい状況:コレクター向け商品を「未使用切手」と一括で扱う。
- 典型的な影響:分類のやり直し、内容物ごとの分割申告を求められる。
- 予防策:商品構成リスト(消印/初日カバーの有無)を作り、品目分割の要否を事前に検討。
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- 通常の印刷物(紙製品)自体は、動植物検疫の中心品目ではありません(ただし梱包材が木材の場合は別途留意)。
- ワシントン条約(CITES)等の種規制
- 印刷物そのものは通常対象外ですが、装丁・表紙に規制素材(象牙等)が使われる特殊ケースでは別途確認が必要です(章97や章42等に飛ぶ可能性もあり)。
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 第49類には「設計図・図案・仕様書的な文書」が登場しますが、外為法上の“技術データ”は文書や設計図、仕様書、マニュアル等を含むとされ、冊子の送付・持ち出しも「技術の提供」になり得ます(内容が規制対象技術に該当する場合)。
- 実務上は、HS分類(49類)とは別軸で、**該非判定(貨物/技術)**と取引審査が必要になることがあります。
- その他の許認可・届出
- 輸入禁止(日本):税関は、わいせつ物等(公序良俗を害するもの)、児童ポルノ、知的財産権侵害物品、偽造・変造紙幣や有価証券等の輸入を禁止事項として掲げています(印刷物・出版物はここに該当し得ます)。
- 文化財の輸出:国宝・重要文化財等は原則輸出禁止/許可制で、輸出には文化庁の許可等が必要になる旨が公表されています(古文書・古地図・古書などが該当する場合あり)。
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 税関:輸出入禁止・規制品目(禁止物品・知財侵害物品等)
- 経産省:安全保障貿易管理(技術提供Q&A/ガイダンス)
- 文化庁:文化財の国際関連・輸出関連情報
- 実務での準備物(一般論):
- 印刷物の現物見本/データ(PDF)、用途説明、販売形態(有償/無償、販促配布等)
- 4907/97.04絡みは、消印有無・セット構成表
- 技術資料(図面等)絡みは、該非判定資料、最終需要者・用途、社内承認記録
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 現物/写真(表紙・裏表紙・中面)、サイズ、ページ数、製本材料(紙/非紙)
- 内容の主目的(広告/教育/情報/芸術鑑賞)
- 印刷方式(コピー/プリンタ/写真/感光複写等)
- 立体(浮出し)加工の有無(地図・地球儀)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 類注1の除外(37類、90.23、95類、97類)を再確認
- 49.01/49.11の広告判定(類注5)
- 49.05のHS版(2017/2022)を確認(4905.10の誤用防止)
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- 品名は「catalogue」「poster」等の曖昧語だけにしない(広告用/販売用、定期刊行物セット等の補足)
- 税関提出用に、現物PDF・写真・仕様書を添付できる状態にする
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定のHS版でPSRを確認(税関も注意喚起)。
- RCEPなどHS2022置換の有無も確認。
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 禁止物品(わいせつ物、児童ポルノ、知財侵害等)に該当しないかチェック
- 技術資料(図面等)の海外提供に該当する場合、METIガイダンスで該非・許可要否を確認
- 古書・古文書等で文化財該当の可能性がある場合、文化庁・税関の確認手続へ
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
- WCO HS2022 Chapter 49(見出し・類注) (参照日:2026-02-22)
- WCO HS2017 Chapter 49(見出し・類注) (参照日:2026-02-22)
- HS2017→HS2022 相関表(49.05の再編理由・移管先) (参照日:2026-02-22)
- WCO HS2022 Table of Contents(Section Xに部注がない構成確認) (参照日:2026-02-22)
- 日本税関・公的機関のガイド
- 実行関税率表(第49類 類注)49r.pdf (参照日:2026-02-22)
- 関税率表解説(第49類)49r.pdf(印刷の実務的整理、48/39等との境界) (参照日:2026-02-22)
- 第7部注(プラスチック/ゴムの印刷物→49類)E7b.pdf (参照日:2026-02-22)
- 輸出入禁止・規制(禁止物品:わいせつ物、児童ポルノ、知財侵害等) (参照日:2026-02-22)
- RCEP:HS2022版品目別規則の採択・実施(2023/1/1〜) (参照日:2026-02-22)
- 品目別原産地規則(HS版違い注意)検索画面 (参照日:2026-02-22)
- 安全保障貿易管理(日本)
- 経産省:安全保障貿易管理Q&A(技術=文書・設計図・仕様書等を含む) (参照日:2026-02-22)
- 経産省:安全保障貿易管理ガイダンス(技術データ例、冊子送付等) (参照日:2026-02-22)
- 文化財(輸出)
- 文化庁:文化財の海外持ち出し(原則禁止/制限の説明) (参照日:2026-02-22)
- 経産省:国宝・重要文化財等の輸出に関する案内 (参照日:2026-02-22)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
