HS2022 第48類:紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品(Paper and paperboard; articles of paper pulp, of paper or of paperboard)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
また、HSコードは原則6桁、日本の国内コード(輸入統計品目等)は8桁/9桁等の細分がある点を混同しないでください。


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 新聞用紙(ニュースプリント)4801(定義あり)
    • コピー用紙・印刷用の非塗工紙(A4等を含む)4802
    • 段ボール原紙(クラフトライナー、フルーティング等)4804/4805
    • 塗工紙(無機物塗工:コート紙等)4810、その他の塗工・含浸・ラミネート紙 4811
    • 段ボール箱・紙袋などの包装容器 4819
    • トイレットペーパー、ティッシュ等(ロール幅36cm以下等)4818
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 木材パルプ・古紙(回収紙)そのもの → 第47類(例:古紙 4707)
    • プラスチック層が全厚の過半を占める紙/板紙のラミネート材(壁紙4814を除く)→ 第39類
    • 写真感光紙(3701〜3704)・試薬含浸紙(3822)など → 第37類/第38類
    • 研磨紙(サンドペーパー)→ 6805
    • (重要)紙っぽく見える紙おむつ・生理用ナプキン等第96類 9619(第48類注で除外)
    • 印刷内容が主用途に対して「付随的でない」印刷物 → 第49類(例外:4814/4821)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「紙の素材(ロール/シート)」か「紙の製品(成形品・容器・事務用品)」か(概ね 4801〜4811 vs 4812〜4823)
    2. サイズ(ロール幅/シート寸法):4803〜4809は一定サイズ以上に限定(小ロール等は別項へ行きがち)
    3. 印刷・意匠の意味合い:印刷が「単なる付随」かどうかで48類↔49類が分かれる(例外あり)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 紙×プラスチックの複合材(ラミネート):39類に飛ぶ条件(厚み比)を見落としやすい
    • 包装(4819)×印刷(49類):販促物扱いになると章が変わり得る
    • 衛生用品:過去(HS2007)では48類にいた品目がHS2012で9619へ移動した経緯があり、社内品名が古いと事故りやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出しと注で決める):第48類は、類注(特にサイズ制限・除外・定義)が強く効きます。まず類注で“そもそも48類に残るか”を確認します。
    • GIR6(6桁の決定):4802・4804・4805等は、重量・繊維組成・強度指標(Mullen、CMT等)で6桁が変わります(サブヘディング注に定義あり)。
    • GIR3(複合品・組合せ品):例:紙+樹脂の多層材は「どの層が本質か」以前に、類注で39類へ飛ぶ条件があるため、まず注を優先して確認します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:繊維(機械パルプ比率、漂白/未漂白)、塗工材(無機 vs 樹脂)、含浸の有無
    • 状態:ロール/シート、幅・寸法、加工度(塗工・ラミネート・型抜き・成形)
    • 用途:新聞印刷用、包装用、衛生用、壁装用、ラベル用等(注で定義される用途概念あり)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:パルプ/古紙の段階か?
    • はい → 第47類(例:木材パルプ、古紙)へ
    • いいえ → Step2へ
  • Step2:形がロール/シート中心の「紙そのもの」か?
    • はい → 4801〜4811を中心に検討(新聞用紙/印刷用紙/クラフト/塗工紙など)
    • いいえ(箱・袋・帳簿・ラベル・成形品等) → Step3へ
  • Step3:「紙製品」なら機能で分岐
    • 壁紙 → 4814(定義:幅45〜160cmなど)
    • トイレット/ティッシュ等(幅36cm以下ロール等) → 4818
    • 包装容器(箱・袋) → 4819
    • 事務・文具(ノート、バインダー等) → 4820
    • ラベル → 4821(印刷されても原則ここ)
    • その他(紙コップ、モールドパルプ品等) → 4823
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 48類 ↔ 39類:プラスチック層が厚いラミネートは39類(壁紙は例外)
    • 48類 ↔ 49類:印刷が主用途に対して付随的でないと49類(例外:4814/4821)
    • 4818 ↔ 9619:おむつ等の衛生用品は9619(48類から除外)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

※見出しの要旨はHS条文(HS2022)を実務向けに要約しています。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4801新聞用紙(ニュースプリント)新聞輪転用紙類注でニュースプリント定義あり(繊維比率・粗さ・坪量・寸法)
4802筆記・印刷等の非塗工紙/板紙(手すき含む)コピー用紙、印刷用紙、手すき和紙類注で4802の定義あり(灰分・白色度・破裂指数等)。フィルター紙等は除外
4803衛生用原紙・同種紙、セルロース繊維の綿状物等(ロール/シート)ティッシュ原紙、タオル原紙4803〜4809は一定サイズ以上のみ(類注8)
4804非塗工クラフト紙/板紙クラフトライナー、重袋用紙「クラフト」の定義(類注6)+サブヘディング注で強度要件あり
4805その他の非塗工紙/板紙(注3程度の加工まで)フルーティング、中芯原紙、テストライナー等サブヘディング注にCMT・Mullen等の定義あり
4806パーチメント紙・耐脂紙・グラシン紙・トレーシング等グラシン紙、トレーシングペーパー特殊紙系。用途よりも紙の種類/性状で判断
4807複合紙/複合板紙(貼り合わせ)合紙、積層紙(非塗工)表面塗工/含浸があると他項へ行く場合
4808段ボール状・しわ加工等の紙/板紙片面段ボール、エンボス紙形状加工の有無(コルゲート等)
4809カーボン紙・ノーカーボン紙等(ロール/シート)カーボン紙(大判)、複写紙(大判)サイズ条件(類注8)。小判・箱入り等は4816へ行きやすい
4810無機物(カオリン等)塗工紙/板紙(他塗工なし)コート紙(無機塗工)「無機塗工+他塗工なし」が核(他コートがあると4811寄り)
4811それ以外の塗工/含浸/被覆/ラミネート紙等(ロール/シート)粘着紙、PEラミ紙、タール紙プラ層が過半厚だと39類(壁紙除く)
4812紙パルプ製フィルターブロック等紙パルプのフィルターブロック形状が「ブロック/板」タイプ
4813巻紙(シガレットペーパー)巻紙、巻紙チューブ幅5cm以下ロール等の区分あり
4814壁紙・類似壁装材、紙製窓透明材壁紙、ボーダー、壁面パネル幅45〜160cm等の定義。床にも使えるものは4823へ
4815(欠番:HSで未使用)HS条文上「[48.15]」として欠番扱い
48164809以外の複写紙等、謄写版原紙、オフセット用原紙箱入りカーボン紙、ノーカーボン紙、小巻見出しで4809除外が明示。小判・セット品で出やすい
4817封筒・レターカード等、文具セット封筒、ポストカード、レターセット内容物が「紙製文具の詰合せ」か確認
4818トイレット紙等(幅36cm以下ロール等)、家庭/衛生/病院用紙製品、紙製衣類等トイレットペーパー、ティッシュ、紙タオルおむつ等は9619。4818は紙・セルロース綿状物の家庭/衛生用途
4819紙製の箱・袋など包装容器、事務用の箱類等段ボール箱、紙袋、ファイル箱印刷が販促主用途だと49類の検討余地(類注12)
4820帳簿・ノート等、バインダー、事務用フォーム等ノート、手帳、バインダールーズシートは除外(類注10)
4821紙/板紙のラベル(印刷の有無を問わず)シールラベル、下げ札類注12の例外で印刷されても48類に残る
4822紙製ボビン等(糸巻き芯など)糸巻き芯、紙管繊維用かその他かで区分あり
4823その他(型抜き紙、紙食器、モールドパルプ品等)紙コップ、紙皿、卵トレー、フィルター紙壁紙でも床にも使えるものはここ(類注9)。ジャカード用穿孔カード等も例示

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類でよく出る軸)
    • 寸法:ロール幅(36cm/28cm/45〜160cmなど)、シート寸法(例:A4相当の上限)
    • 塗工の種類:無機塗工(4810)か、樹脂/粘着等(4811)か
    • 繊維の由来/比率:機械パルプ比率(ニュースプリントや軽量塗工紙の定義で登場)
    • 物性試験値:Mullen破裂強さ、破裂指数、CMT、引裂/引張(段ボール原紙で重要)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4801(ニュースプリント) vs 4802(筆記・印刷用の非塗工紙)
      • どこで分かれるか:ニュースプリントは**定義(繊維比率・粗さ・坪量・寸法)**を満たす必要
      • 判断に必要な情報:
        • 機械/ケミ機械パルプ由来繊維比率(≥50%か)
        • 坪量(40〜65 g/m²か)
        • 表面粗さ(Parker Print Surf)
        • ロール幅/シート寸法(>28cm等)
      • 典型的な誤り:単に「新聞に使う紙」だから4801、と用途だけで決めてしまう
    2. 4803(衛生用原紙:大判ロール/シート) vs 4818(トイレット/ティッシュ等:小幅ロール等)
      • どこで分かれるか:4803等(4803〜4809)は幅36cm超等のサイズ条件がある一方、4818は幅36cm以下ロール等が明示
      • 判断に必要な情報:ロール幅、シート寸法、最終用途(家庭/衛生用途としての形態)
      • 典型的な誤り:「ティッシュ原紙(大判)」を、完成品(4818)と混同
    3. 4804(クラフト紙/板紙)内部の区分(例:クラフトライナー/重袋用紙)
      • どこで分かれるか:サブヘディング注で、重量と強度(Mullen等)、または破裂指数・伸び等の要件が設定
      • 判断に必要な情報:紙の抄造方式(machine-finished等)、坪量、Mullen破裂強さ、引裂/引張、伸び(試験成績書)
      • 典型的な誤り:仕入先の呼称「kraftliner」「sack kraft」をそのまま信じ、試験条件・規格根拠を確認しない
    4. 4810(無機塗工) vs 4811(その他の塗工・含浸・ラミネート等)
      • どこで分かれるか:
        • 4810:カオリン等無機物塗工で、かつ「他の塗工がない」タイプ
        • 4811:粘着、樹脂含浸/被覆、タール/アスファルト、プラ被覆(接着剤を除く)等
      • 判断に必要な情報:塗工層の材質(無機/有機)、多層構成、接着剤の有無、仕様書(層構成図)
      • 典型的な誤り:見た目が「コート紙」だから4810、と塗工の種類を確認しない
    5. 4809(複写紙:大判ロール/シート) vs 4816(4809以外の複写紙・ステンシル等)
      • どこで分かれるか:4816は「4809以外」が明記され、実務上は小判・箱入り・セット形態で4816に寄りやすい
      • 判断に必要な情報:ロール幅/シート寸法(類注8の条件に該当するか)、梱包形態、用途(謄写/オフセット用の原紙か)
      • 典型的な誤り:ノーカーボン紙を一律4809としてしまう(サイズ・形態の確認不足)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第48類が属する第X部(Section X)は、部注(Section Notes)の規定が置かれていない構成です(他部では“Section Notes”が明示されるのに対し、Section Xは章立てのみ)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 部注で一括定義されないため、第48類注(定義・除外・サイズ条件)を最優先で確認します(例:ニュースプリント定義、壁紙定義、印刷の扱い等)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (本部は部注がないため)類注による他章移動が主です(例:39類、49類、96類への移動)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(重要なもの)
    • 注2(除外):石けん含浸紙(3401)、感光紙(37類)、試薬含浸紙(3822)、プラ層が厚い複合材(39類)等を除外
    • 注4(ニュースプリント定義):機械/ケミ機械繊維≥50%、坪量40〜65g/m²、粗さ>2.5µm等
    • 注5(4802定義):灰分・白色度・破裂指数・厚さ等の条件。フィルター紙等は4802に入らない
    • 注7(4801〜4811のタイブレーク):複数見出しに該当する場合は番号が後の見出し
    • 注8(サイズ条件):4803〜4809は幅36cm超等に限定
    • 注9(壁紙定義):幅45〜160cm等、床にも使えるものは4823へ
    • 注12(印刷の扱い):印刷が主用途に対して付随的でなければ49類(例外:4814/4821)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ニュースプリント」定義:上記注4
    • 「クラフト紙・クラフト板紙」定義:総繊維の80%以上が化学サルフェート/ソーダ法繊維
    • 4802の「筆記・印刷等用紙」定義:上記注5(灰分等)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • プラ層が過半厚の紙/板紙ラミネート(壁紙4814除く)→ 第39類
    • 研磨紙 → 6805、金属箔貼り紙 → 第14/15部が多い
    • 衛生用品(ナプキン・おむつ等)→ 第96類 9619
    • 印刷が付随的でない紙製品 → 第49類(例外あり)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:紙×プラスチック複合材の扱い(48類↔39類)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 断面構成(紙層とプラ層の厚み比)
      • プラ層が「全厚の過半」か
      • 壁装材(4814)に該当するか
    • 現場で集める証憑:
      • 層構成図、仕様書、材料証明、断面写真、厚み測定結果
    • 誤分類の典型:
      • 「紙にフィルムを貼っただけだから4811」と判断→実は39類要件に該当
  • 影響ポイント2:サイズ条件(4803〜4809の適用範囲)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ロール幅(36cm超か)
      • シート寸法(片辺>36cmかつ他辺>15cmか)
      • 小判・最終消費形態(例:トイレット紙)か
    • 現場で集める証憑:
      • 図面、梱包仕様、製品ラベルの寸法表示、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • 小巻の複写紙を4809(大判用)にしてしまう
  • 影響ポイント3:壁紙(4814)定義と「床にも使える」製品(4823)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ロール幅が45〜160cmか
      • 壁/天井装飾向けの表面加工か
      • 床材としても適する設計か(→4823)
    • 現場で集める証憑:
      • 施工用途の資料(カタログ)、幅、表面材の説明、施工方法
    • 誤分類の典型:
      • 「壁にも貼れる」床材を4814にしてしまう(注9で4823)
  • 影響ポイント4:印刷の意味合い(48類↔49類、例外あり)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 印刷が主用途に対して“付随(incidental/subsidiary)”かどうか
      • 4814(壁紙)・4821(ラベル)に該当するか
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真、デザイン面積/内容、用途説明、販売形態(販促物か)
    • 誤分類の典型:
      • 商品パッケージ(4819)と販促印刷物(49類)の線引きを品名だけで判断
  • 影響ポイント5:4801〜4811の“最後の見出し優先”ルール(注7)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • どの見出し説明に該当してしまうか(複数該当の有無)
    • 現場で集める証憑:
      • 加工内容一覧(塗工/含浸/印刷/表面サイズ等)
    • 誤分類の典型:
      • 複数見出しに該当し得るのに、先に見つけた見出しで固定してしまう

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:紙おむつ・生理用ナプキン等を4818にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目が「紙っぽい」「衛生用品」なので48類に寄せがち
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第48類注で第96類(例:9619)を除外
    • 予防策:
      • 確認資料:製品構成(吸収体・不織布等)、用途(おむつ/ナプキン/ライナー)
      • 社内質問例:「これは紙製品ですか?それとも吸収性衛生用品(9619相当)ですか?」
  2. 間違い:紙+プラのラミネートを一律4811にしてしまう
    • なぜ起きる:表面が紙なので“紙製品”だと思い込む
    • 正しい考え方:プラ層が過半厚だと39類(壁紙4814を除く)
    • 予防策:
      • 確認資料:断面図、厚み測定、材質証明
      • 社内質問例:「プラ層は何µm?全体厚みは?過半ですか?」
  3. 間違い:4803(原紙)と4818(完成品)を混同
    • なぜ起きる:「ティッシュ」「トイレット」という商品名で判断してしまう
    • 正しい考え方:4803〜4809はサイズ条件があり、4818は幅36cm以下ロール等が明示
    • 予防策:
      • 確認資料:ロール幅・シート寸法、出荷形態(原紙か最終消費形態か)
      • 社内質問例:「これは加工前の原紙ロールですか?最終消費者向けの小巻ですか?」
  4. 間違い:4809(複写紙)と4816(4809以外の複写紙等)を取り違える
    • なぜ起きる:「ノーカーボン紙=4809」と固定観念
    • 正しい考え方:4816は見出しで4809を除外し、形態(小判・箱入り等)で4816に寄ることが多い
    • 予防策:
      • 確認資料:寸法(類注8該当か)、梱包、用途(ステンシル/オフセット原紙か)
      • 社内質問例:「ロール幅は36cm超?シートは大判?箱入りセット?」
  5. 間違い:コート紙を全部4810(無機塗工)にしてしまう
    • なぜ起きる:「コート紙」という業界用語が広い
    • 正しい考え方:4810は無機塗工で“他の塗工がない”前提。樹脂・粘着等が絡むと4811側
    • 予防策:
      • 確認資料:塗工材の成分(無機/有機)、層構成
      • 社内質問例:「塗工はカオリン系?樹脂系?粘着剤は?」
  6. 間違い:段ボール原紙の4804/4805で、強度要件を確認せずに分類
    • なぜ起きる:仕入先の品名(kraftliner/testliner等)を鵜呑みにする
    • 正しい考え方:サブヘディング注にMullen、CMT、破裂指数等の定義がある
    • 予防策:
      • 確認資料:試験成績書(Mullen、CMT30等)、坪量、原料(回収パルプ比率)
      • 社内質問例:「テストライナー(回収パルプ主体)ですか?CMT値/Mullenは?」
  7. 間違い:壁紙(4814)の定義(幅・用途)を見落とす
    • なぜ起きる:見た目が“壁紙っぽい”で判断
    • 正しい考え方:幅45〜160cm等の定義。床にも使えるものは4823
    • 予防策:
      • 確認資料:ロール幅、用途(壁/天井専用か床兼用か)
      • 社内質問例:「床にも施工可能な仕様(耐摩耗等)ですか?」
  8. 間違い:印刷が多い紙製品を48類のままにする/逆に49類に飛ばしすぎる
    • なぜ起きる:印刷の“主従関係”が曖昧
    • 正しい考え方:印刷が主用途に対して付随的でないと49類(ただし4814/4821は例外)
    • 予防策:
      • 確認資料:印刷内容(文章・絵柄の役割)、販売形態(販促物か容器か)
      • 社内質問例:「印刷は識別・装飾程度?それとも内容物(情報)が商品価値ですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。
    例:段ボール箱(4819)なのに、紙原紙(4804/4805)でPSRを見てしまうと、工程・材料評価軸がズレて原産性判断が崩れます
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品HSと材料HS(原紙・接着剤・フィルム等)を混同
    • 「紙製」としてまとめ、39類相当のラミ材を材料側で見落とす

(実務ツール例)日本税関のPSR検索・相関表案内は、協定別に参照しやすい入口になります。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定によってPSRが参照するHS版が異なることがあります(HS2022の6桁とズレる場合あり)。
    • 例:RCEPのPSR付属書はHS2012ベースで構成されている旨が示されています。
    • 例:協定付属書が2017年改正HS(HS2017)ベースである旨が明記されている例があります。
  • ズレる場合の注意(一般論):
    • 協定が参照するHS版に合わせてPSRを確認
    • HS2022で社内管理している場合は、**相関表(旧→新)**で突合

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(一般論)
    • 材料表(BOM)、材料ごとの原産国、非原産材料のHS、原価
    • 工程表(どこで抄紙/塗工/ラミネート/製袋/製箱を行うか)
    • 製品仕様(坪量、層構成、塗工材、用途)
  • 証明書類・保存要件:協定・運用で異なるため、最新ガイドを確認(一般論)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正第48類注2(q)例示の「napkin liners for babies」→「napkin liners」に変更“おむつライナー”類の除外(96類扱い)をより一般化して誤解を減らす可能性
HS2017→HS2022文言修正第48類注12「not merely incidental」→「not merely subsidiary」に変更48類↔49類の境界(印刷の主従)説明の表現が変化。実務上は「印刷が主用途か」をより明確に確認したい
HS2017→HS2022(実務上)変更なしHS6桁(第48類)HS2017↔HS2022の相関表上、第48類の6桁改編対象が見当たらない(=新設/分割/統合なしの扱い)6桁番号の大規模な組替え対応は原則不要(ただし国内コードは別途改正あり得る)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料
    • WCOのHS条文(HS2017 第48類、HS2022 第48類)を比較し、類注2(q)と類注12の文言差を確認しました。
    • WCOのHS2017↔HS2022相関表(Table I/II)を参照し、第48類の6桁改編(新設/分割/統合)に該当する掲載が見当たらないことを根拠に、「6桁レベルの構造変更は原則なし」と整理しました。
  • 何が変わったと判断したか
    • コード体系(6桁)の大枠は維持されつつ、類注(解釈ルール)の文言が一部更新された、と判断しています。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

※ここは「可能な範囲で」の整理です。第48類は大規模な見出し再編が相対的に少ない一方、**衛生用品の移動(HS2012)**のように周辺章の新設が第48類の実務に大きく影響した例があります。

版の流れ主要な追加・削除・再編旧コード → 新コード(または行き先)実務メモ
HS2007→HS2012新設(章外の新見出し)4818.40(衛生用品) → 9619.00(新設)以前の社内マスタ/品名が「4818.40」起点のままだと誤分類リスクが高い
HS2012→HS2017(注の整理)ニュースプリント定義に寸法適用条件が付いた等(類注の精緻化)定義・サイズ条件を“用途”だけで代替しない運用が重要
HS2017→HS2022文言修正類注2(q)、類注12の表現変更印刷の主従、衛生用品除外の確認をより丁寧に

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):紙ラミネート材を4811で申告→39類該当
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第48類注2(g)(プラ層が過半厚なら39類、壁紙除く)
    • 起きやすい状況:商品名が「ラミネート紙」「紙パック材」等で、層厚比を確認していない
    • 典型的な影響:分類更正、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:断面図・厚み測定を添付して事前相談(教示)も検討
  • 事例名:おむつライナーを4818で申告→9619
    • 誤りの内容:第48類注2(q)(96類の衛生用品を除外)
    • 起きやすい状況:社内の旧HS(2007時代)情報や通称で運用している
    • 典型的な影響:分類更正、税率差の追徴、規制(表示/安全)確認のやり直し(一般論)
    • 予防策:用途(衛生用品)・構造(吸収体)を明確化、HS改正履歴をマスタに反映
  • 事例名:販促用の印刷物付き紙製品を48類で申告→49類
    • 誤りの内容:第48類注12(印刷が主用途に対し付随的でない場合は49類。例外4814/4821)
    • 起きやすい状況:パッケージとチラシ/カタログの混載、インボイス品名が曖昧
    • 典型的な影響:部分的に分類差替え、仕分け検査、通関遅延(一般論)
    • 予防策:品目ごとに用途説明・写真を用意し、混載でも品名を分離記載
  • 事例名:壁紙の要件未確認で4814申告→4823
    • 誤りの内容:第48類注9(幅・用途要件、床兼用は4823)
    • 起きやすい状況:建材カタログで「壁/床どちらもOK」なのに壁紙扱いしてしまう
    • 典型的な影響:分類更正、追加納税、サンプル提出要求(一般論)
    • 予防策:用途(床施工の可否)を明記、ロール幅・表面材仕様を提出

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • **食品用の器具・容器包装(紙コップ、紙皿、食品包装紙など)として輸入し、販売/営業使用する場合、食品衛生法に基づく輸入届出(検疫所)**が必要となる枠組みがあります。
    • 「器具・容器包装」には規格・基準があり、適合確認が求められます(一般論)。
    • 準備物(一般論):材質情報、カラー写真、パーツリスト、試験成績書など(検疫所案内に例示)。
  • その他の許認可・届出
    • 国内販売時の表示:ティシュ/トイレットペーパー等は、消費者向け表示のガイド(寸法・枚数等)があります(輸入通関そのものとは別論点ですが、販売まで見据える場合に要確認)。
  • 安全保障貿易管理
    • 第48類一般は典型的なリスト規制品ではないことが多いですが、最終用途・仕様で別管理が乗る可能性はゼロではないため、社内の輸出管理フローで確認してください(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 厚生労働省(食品等輸入手続、器具・容器包装)
    • 検疫所(輸入届出・必要資料)
    • 消費者庁(家庭用品表示のガイド)
    • 日本税関(関税率表・解説、PSR検索等)
  • 実務での準備物(一般論):
    • HS分類根拠:仕様書、組成表、層構成図、寸法、用途説明、写真、試験成績書(必要なら)
    • 規制対応:食品接触用途なら材質情報・試験成績書・届出用情報

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 形状:ロール/シート/成形品、ロール幅・シート寸法
    • 材質:繊維(機械パルプ比率、漂白/未漂白)、塗工材(無機/樹脂)、層構成
    • 加工:塗工、含浸、ラミネート、粘着、印刷(内容と役割)
    • 用途:新聞、包装、衛生、壁装、事務用品、食品接触の有無
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 39類へ飛ぶ条件(プラ層過半)を確認
    • 印刷が付随的か(48↔49)を確認
    • 衛生用品(9619)除外を確認
    • サイズ条件(4803〜4809)を確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「紙」「箱」だけでなく、用途+材質+形状+加工まで書く
    • 必要に応じて写真・仕様書を添付(税関照会対策)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終製品HSでPSRを確認(材料HSも整理)
    • HS版ズレがないか(相関表で突合)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品用の器具・容器包装なら輸入届出と基準適合確認
    • 国内販売時表示(ティシュ/トイレット等)も並行確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS Nomenclature 2022:Chapter 48 (参照日:2026-02-22)
    • HS Nomenclature 2017:Chapter 48 (参照日:2026-02-22)
    • HS Correlation Tables(HS2017↔HS2022:Table I/II) (参照日:2026-02-22)
    • HS Nomenclature 2007:Chapter 48(旧版) (参照日:2026-02-22)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 日本税関:第48類(HS2022)類注(和文PDF) (参照日:2026-02-22)
    • 相関表(HS2007↔HS2012)PDF(日本税関掲載) (参照日:2026-02-22)
    • PSR検索等(日本税関) (参照日:2026-02-22)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:PSR付属書がHS2012ベースである旨の資料例 (参照日:2026-02-22)
    • HS2017ベースの付属書である旨が明記された資料例(外務省) (参照日:2026-02-22)
  • 規制(日本)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(器具・容器包装を含む) (参照日:2026-02-22)
    • 厚生労働省:Utensils, Containers, and Packaging(規格・基準) (参照日:2026-02-22)
    • 検疫所(例:輸入届出の準備資料案内) (参照日:2026-02-22)
    • 消費者庁:ティシュ/トイレットペーパー表示ガイド (参照日:2026-02-22)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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