用語(この文書内の統一)
- 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
- 原則として「HS(6桁)」を中心に説明します。日本の「国内コード(統計品目番号等、8桁/9桁)」に触れる場合は、その旨を明記します。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 丸太・粗の木材(例:皮付き丸太、防腐剤処理した丸太)→ 44.03
- 製材(厚さ6mm超、例:板材、角材、フィンガージョイント材)→ 44.07
- 単板・ベニヤシート(厚さ6mm以下)→ 44.08
- 合板・LVL・ブロックボード等の積層材 → 44.12
- 木質ペレット/木質ブリケット → 44.01(HS2022でペレット4401.31、ブリケット4401.32が明確化)
- 木炭(殻・ナット炭を含む、凝結の有無問わず)→ 44.02
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 活性炭(Activated charcoal)→ 第38類 38.02(木炭44.02と混同多い)
- 香料・殺虫/殺菌等に主として用いる木材チップ/粉(用途で除外)→ 12.11
- 染色・なめし用の木材チップ/粉 → 14.04
- かご細工物等(枝条細工物・編組品)→ 第46類
- 家具(木製でも)→ 第94類(例:椅子・机・キャビネット等)
- 機械・車両の部分品やキャビネット等(木製でも)→ 第16部/第17部側へ(除外規定あり)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 「加工度」:丸太(44.03)→ 製材(44.07)→ 連続的に成形(44.09)→ 建具等の“建築用部材”(44.18)の順に、加工・形状でコードが変わりやすいです。
- 厚さ6mm:6mm超=44.07、6mm以下の単板=44.08、これが基礎の分岐です。
- 木質ペレット vs 木質ブリケット:HS2022では定義(寸法・結合剤割合)が明記され、誤ると統計・規制・原産地で影響が出やすいです。
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- **植物検疫(木材害虫)**の対象確認が遅れ、到着後に検査・燻蒸等で保管料/遅延が発生するケース(丸太・製材・梱包材等)。
- **CITES(種規制)**対象の木材(例:一部のローズウッド等)を含む製品で、許可がなく差止め・積戻し等のリスク。
- **FTA/EPAのPSR(品目別規則)**がHS版(2012/2017等)で書かれているのに、HS2022のコードのまま当てはめて誤判定。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1(見出し+注):第44類は「材質+加工段階」で整理されているため、まず品名(見出し文言)と類注(Chapter Notes)が最重要です。
- GIR6(号の比較):ペレット/ブリケット、樹種、寸法(例:粗材の最小断面寸法15cm)など、6桁で条件が入るところが多いです。
- GIR3(b)(複合品の本質):木材+プラスチック/断熱材などの複合パネルは、“どちらが本質か”で第39類などに飛ぶことがあります(例:木材が単なる支持材なら39類側)。
- 「品名だけで決めない」ための観点(第44類で特に重要)
- 用途:香料/殺虫/染色用の木材粉は第44類から除外(12.11、14.04)。
- 状態・加工度:粗材(44.03)か、製材(44.07)か、連続成形(44.09)か、建具(44.18)か。
- 寸法条件:厚さ6mm、粗材の最小断面寸法15cm等。
- 形状(成形の有無):溝付き・面取りなど“連続的に成形”されていると44.09へ。
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:木材(または竹等の木質材料)ですか?
- いいえ → 第44類以外(材質別の部/類へ)
- はい → Step2へ(※「木」の参照は、文脈上不要でない限り竹等も含む扱い)
- Step2:第44類の除外品に当たりませんか?
- 活性炭→ 38.02
- 香料/殺虫剤等用途の木材粉→ 12.11
- 染色/なめし用木材粉→ 14.04
- かご細工物→ 46類
- 家具→ 94類
(その他除外多数)
- Step3:加工段階はどこですか?
- 燃料材・チップ・のこくず・木くず・ペレット/ブリケット → 44.01
- 木炭 → 44.02
- 丸太・粗材 → 44.03
- 製材(厚さ6mm超)→ 44.07
- 単板(厚さ6mm以下)→ 44.08
- 連続成形材(溝・面取り等)→ 44.09
- 木質ボード(パーティクル/OSB/MDF等)→ 44.10/44.11
- 合板・LVL・ブロックボード等の積層材 → 44.12
- Step4:“板材”ではなく“物品(記事)”ですか?
- 梱包材(箱・パレット等)→ 44.15
- 建具・建築用部材(窓/ドア/床板/構造用木材等)→ 44.18
- 食卓用品・台所用品(箸・まな板等)→ 44.19
- 装飾品・小箱等 → 44.20
- その他の木製品(衣類用ハンガー、棺等)→ 44.21
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 44.02(木炭) vs 38.02(活性炭)
- 第44類(木材製品) vs 第94類(家具)
- 第44類(木質ボード) vs 第39類(プラスチックパネル等):木材が“本質”か“支持体”か
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 4401 | 薪材、木材チップ/小片、のこくず・木くず(凝結の有無問わず) | 薪、チップ、木質ペレット、木質ブリケット、のこくず | ペレット/ブリケットはHS定義あり(寸法・結合剤)/用途が香料・染色等なら除外 |
| 4402 | 木炭(殻・ナット炭を含む、凝結の有無問わず) | 木炭、竹炭、ココナッツ殻炭、炭ブリケット | 活性炭は38.02へ/「殻・ナット炭」区分あり |
| 4403 | 粗の木材(皮/辺材の有無、粗角の有無、保存処理の有無) | 丸太、原木、防腐処理材 | 樹種・寸法(最小断面15cm等)で6桁が分かれる/“家具の特性”があると94類へ注意 |
| 4404 | たが材、割り材、杭・支柱(縦引き除く)、粗削りの棒等 | 杭、ポール、傘柄用粗棒 | “縦にひいた”製材は44.07側へ行きやすい |
| 4405 | 木毛・木粉 | 木毛、木粉 | 用途(香料/染色)で12.11/14.04に飛ばないか確認 |
| 4406 | 木製の鉄道/軌道用まくら木 | 枕木 | 防腐処理の有無で下位区分 |
| 4407 | 製材等(厚さ6mm超、プレーナー/サンダー/エンドジョイント可) | 板材、角材、フィンガージョイント材 | 連続成形(溝・面取り等)すると44.09へ |
| 4408 | 単板等(厚さ6mm以下) | ベニヤシート、突板、合板用単板 | 6mm境界が重要/積層材からスライスした単板も含まれ得る |
| 4409 | 連続的に成形した木材(溝・面取り等、寄木床用条片など) | フローリング材(未組立)、羽目板 | 44.07との境界:連続成形の有無 |
| 4410 | パーティクルボード、OSB等 | PB、OSB、ワァーボード | 木材以外の“木質材料”も対象/外層・用途で他類に行くことも |
| 4411 | 繊維板(MDF等) | MDF、HDF、断熱用ファイバーボード | 密度・厚さで下位区分 |
| 4412 | 合板、化粧板、類する積層木材(LVL・ブロックボード等含む) | 合板、化粧合板、LVL、ブロックボード | “外層の材”や“LVL/ブロックボード”区分があり、HS2022で整理強化 |
| 4413 | 高密化木材(densified wood) | 圧縮木材、電気絶縁用途の高密化材 | 「高密化木材」の定義あり |
| 4414 | 木製の額縁等 | 額縁、写真立て枠 | “熱帯産木材”など下位区分(HS2022で明確化) |
| 4415 | 木製梱包材(箱・クレート・ドラム等、パレット等) | 木箱、パレット、ケーブルドラム | 物流資材はここに集約されやすい |
| 4416 | 木製樽・桶等(樽材含む) | ワイン樽、桶、樽板 | |
| 4417 | 木製の工具柄等 | ほうき柄、工具柄、靴型 | ただし“刃などの作業部”が特定材料なら44.17除外(82類注意) |
| 4418 | 建具・建築用木工品(窓・ドア・床板・構造用木材等) | 窓枠、ドア枠、床板、型枠、CLT、集成材 | HS2022で「構造用エンジニアード材(glulam/CLT/I形梁等)」を独立細分 |
| 4419 | 木製食卓用品・台所用品 | まな板、木製食器、割箸 | 竹製・熱帯材などの区分あり |
| 4420 | 寄木細工・象がん、木製装飾品、木製小箱など | 宝石箱、木製オーナメント | “木製家具様の物品(ただし94類該当除く)”も含み得る |
| 4421 | その他の木製品 | 衣類用ハンガー、棺、その他雑品 | HS2022で棺の号が明確化 |
(上表はHS2022 第44類の見出し構造に基づく要約です。)
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件(よく効くもの)
- 寸法:製材「厚さ6mm超」(44.07)と、単板「厚さ6mm以下」(44.08)。
- 形状加工:溝・本実・面取り等の“連続成形”→ 44.09。
- 凝結形状と定義:木質ペレット(4401.31)/ブリケット(4401.32)は寸法・結合剤割合が定義で固定。
- 樹種/グループ:粗材(44.03)や製材(44.07)、合板(44.12)は樹種別区分が目立ちます。
- “エンジニアード構造用木材”か否か:44.18の中で glulam/CLT/I形梁などが独立。
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 4401.31(木質ペレット) vs 4401.32(木質ブリケット) vs 4401.39(その他の凝結品)
- どこで分かれるか:
- ペレット=直径25mm以下・長さ100mm以下の円筒状(結合剤は重量3%以下まで)
- ブリケット=最小断面寸法25mm超の立方/多面体/円筒状(結合剤は重量3%以下まで)
- 判断に必要な情報:粒径(直径・長さ)、断面寸法、結合剤(バインダー)の有無と割合、製造工程(圧縮のみか添加ありか)。
- 典型的な誤り:見た目だけでペレット/ブリケットを誤判定、または「木くず」だけで4401.49等に入れてしまう。
- どこで分かれるか:
- 4402(木炭) vs 3802(活性炭)
- どこで分かれるか:活性化(賦活)処理の有無。活性炭は第44類の注で除外が明記されています。
- 判断に必要な情報:製造工程(賦活工程の有無)、比表面積等の仕様、用途(吸着剤用途)、SDS/技術資料。
- 典型的な誤り:「チャコール=活性炭」と思い込み、44.02に入れてしまう(または逆)。
- 4407(製材) vs 4409(連続成形材)
- どこで分かれるか:溝・本実・面取りなど、**縁/端/面の“連続的成形”**があるか。44.07はプレーナー/サンダー/エンドジョイントは許容ですが、連続成形は44.09側です。
- 判断に必要な情報:断面図、加工工程(モルダー加工の有無)、製品図面・写真。
- 典型的な誤り:フローリング材(本実付き)を「板材」として44.07にしてしまう。
- 44.10(パーティクル/OSB等) vs 44.11(MDF等) vs 44.12(合板・LVL等)
- どこで分かれるか:
- 44.10:粒子(チップ/ストランド等)を樹脂等で成形
- 44.11:繊維(ファイバー)ベース(MDF等)
- 44.12:単板(ベニヤ)を積層、またはLVL/ブロックボード等の積層木材
- 判断に必要な情報:断面写真、構成(粒子/繊維/単板)、密度、製法、接着剤種類。
- 典型的な誤り:LVLを「合板の一種」として“その他合板”に入れてしまう(HS2022ではLVL区分が独立)。
- どこで分かれるか:
- 4418.81〜4418.83(構造用エンジニアード材) vs 4418.30(柱・梁等)/4412(LVL等)
- どこで分かれるか:
- 44.18の中で、glulam(集成材)、CLT、I形梁などは「Engineered structural timber products」として独立。
- 判断に必要な情報:製品規格(CLT/集成材の規格、層構成)、用途(構造材としての使用)、断面形状、JAS/JIS/EN等の証明。
- 典型的な誤り:CLTを“合板(4412)”や“その他の建具(4418.99)”として申告してしまう(HS2022で細分された点を見落とす)。
- どこで分かれるか:
- 4401.31(木質ペレット) vs 4401.32(木質ブリケット) vs 4401.39(その他の凝結品)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第44類はSection IX(第9部)に属しますが、実務上は**第44類の類注(Chapter Notes)**が中心で、加えて他部(例:第16部/第17部)の物品は第44類から除外され得ます。
- 実務での意味(具体例つき):
- 木製の機械カバー・車両部品のように、機械/車両の“部分品・付属品”としての性格が強いと、第44類ではなく第16部/第17部の側で検討が必要になります(第44類注で例示)。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 第44類注1に列挙された除外(活性炭、家具、かご細工物等)に該当した場合に、他類へ飛びます。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 注1(除外):用途(香料/殺虫/染色)や品目(活性炭、家具、46類品、機械部品等)で広く除外。
- 注2(高密化木材の定義):化学的または物理的処理により密度・硬度が増し、機械強度や耐性が向上した木材を「densified wood」と定義。
- 注3(4414〜4421の適用拡張):これらの“木製品の見出し”は、通常の木材だけでなく、パーティクルボード/繊維板/積層材/高密化木材で作った同種の物品にも適用。
- 注4(ボード類の加工):44.10〜44.12の板材は、44.09相当の形状に加工しても、それだけで他見出しの“物品”の性格を持たない限り、引き続き44.10〜44.12に留まる考え方。
- 注5(4417の除外):木製工具柄等でも、刃などの作業部が特定材料(82類注1に列挙)でできている工具は4417に入れない。
- 注6(“木”の扱い):文脈上不要でない限り、「木」には竹など木質材料も含む。
- 用語定義(定義がある場合):
- 高密化木材(densified wood)の定義(注2)
- 木質ペレット(4401.31)/木質ブリケット(4401.32)の定義(Subheading Notes)
- S-P-F(4407.13)/Hem-fir(4407.14)の定義(Subheading Notes)
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 活性炭 → 38.02
- 家具 → 94類
- かご細工物等 → 46類
- 香料・殺虫等用木材粉 → 12.11
- 染色・なめし用木材粉 → 14.04
(ほか多数)
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:木質ペレット/ブリケットの定義(4401.31/4401.32)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):寸法(直径・長さ・最小断面寸法)、形状、結合剤割合(≤3%)。
- 現場で集める証憑:製品仕様書、粒度分布/寸法規格、製造工程図、試験成績、写真。
- 誤分類の典型:ペレットを「木くず(非凝結)」扱い、またはブリケットをペレット扱い。
- 影響ポイント2:板材(4410〜4412)の“加工しても留まる”ルール(注4)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):加工内容(曲げ・溝加工・穴あけ等)、最終物品としての機能/形状(建具や家具部品になっているか)。
- 現場で集める証憑:加工工程、断面図、用途説明、カタログ。
- 誤分類の典型:単なる加工板を「44.18(建具)」や「44.21(その他物品)」へ飛ばしてしまう、または逆に“完成した建具部材”なのに板材のままにする。
- 影響ポイント3:“木”に竹等を含む(注6)
- 何を見れば判断できるか:材料が竹であるか、用途が編組(plaiting)目的か。
- 証憑:材質証明、用途説明、製品写真。
- 誤分類の典型:竹製品を何でも第44類に入れる(編組用の粗材は14.01、かご細工物は46類等に飛ぶ)
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:木炭(44.02)を活性炭(38.02)として申告/逆
- なぜ起きる:商品名に「チャコール」「活性」「脱臭」等が混在し、工程(賦活)の確認が省略される。
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第44類注1で活性炭(38.02)が除外されるため、賦活処理の有無が決定点です。
- 予防策:
- 確認すべき資料:製造工程、比表面積、用途、SDS
- 社内で聞く質問例:「賦活処理(薬品/蒸気等)はしていますか?」「吸着材用途ですか?」
- 間違い:木質ペレット(4401.31)と木質ブリケット(4401.32)を混同
- なぜ起きる:両方とも“圧縮固形燃料”で見た目が似ている。
- 正しい考え方:Subheading Notesで寸法・形状・結合剤割合が明確に定義されています。
- 予防策:
- 確認資料:寸法規格、写真、結合剤割合(≤3%)
- 質問例:「直径は何mm?長さは?最小断面寸法は?」「バインダーは何%?」
- 間違い:製材(44.07)と連続成形材(44.09)の取り違え
- なぜ起きる:インボイス品名が “lumber”“wood board”程度で、加工内容が書かれていない。
- 正しい考え方:溝・面取り等の“連続成形”があれば44.09。
- 予防策:
- 確認資料:断面図、加工工程(モルダー等)、現物写真(端部)
- 質問例:「本実加工(tongue & groove)は?面取りは?溝は?」
- 間違い:LVLを“合板(4412.2/4412.9)”のその他として処理
- なぜ起きる:現場で「合板の一種」と呼ばれることが多い。
- 正しい考え方:HS2022ではLVLが4412.41〜4412.49として区分されます。
- 予防策:
- 確認資料:構成(単板積層で繊維方向が概ね同方向か)、規格(LVL表示)、製造工程
- 質問例:「これはLVL規格品ですか?単板は同方向に積層ですか?」
- 間違い:CLT/集成材(glulam)を“その他の建具(4418.99)”や“板材(4412)”として申告
- なぜ起きる:エンジニアード材の新設細分(HS2022)を把握していない。
- 正しい考え方:44.18の中で、構造用エンジニアード材(4418.81〜4418.83等)として独立。
- 予防策:
- 確認資料:JAS/JIS/EN等の規格証明、層構成、用途(構造材)
- 質問例:「CLT(X-lam)ですか?集成材ですか?I形梁ですか?」
- 間違い:木製パレットを“木製品(4421)”として申告
- なぜ起きる:輸送具としての認識が弱く、雑品扱いにしてしまう。
- 正しい考え方:木製パレット類は44.15に明示されています。
- 予防策:
- 確認資料:用途(荷役・保管)、形状写真
- 質問例:「これはパレット/パレットカラーですか?箱ですか?」
- 間違い:“木材を裏打ちしたプラスチックパネル”を木材ボード(44.10等)で申告
- なぜ起きる:外観が木目で、木材が主材に見える。
- 正しい考え方:木材が単なる支持体なら第39類側に寄る場合がある一方、構造要素として木材が本質なら44.10に属し得る、という考え方が示されています。
- 予防策:
- 確認資料:層構成、厚さ、機能(強度の主体)、用途
- 質問例:「どの層が強度を担いますか?木材は装飾/支持どちらですか?」
- 間違い:“ログ家具”を家具(94類)でなく粗材(44.03)として扱う/逆
- なぜ起きる:丸太を少し加工しただけのものが“家具”として販売される。
- 正しい考え方:家具としての特性(完成品としての機能・形状)を備えているかが鍵。税関の分類例では、単に皮を剥ぎ寸法を揃えただけで家具特性がなければ粗材(44.03)と判断された例があります。
- 予防策:
- 確認資料:組立状態、使用機能、写真(完成状態)
- 質問例:「座面・脚等があり椅子として機能しますか?単なる丸太加工材ですか?」
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。第44類は「原材料(丸太/単板/ボード)→製品(合板/建具)」の工程でHSが変わりやすく、最終製品のHSを誤ると、PSR(CTH/CTSH、RVC等)の判定軸が崩れます。
- よくある落とし穴:
- 材料(例:単板44.08、接着剤35類等)のHSと、最終製品(合板44.12、建具44.18)のHSを混同
- LVL/CLT等、HS2022で細分された品目を旧コードのままPSRに当てはめる
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 協定のPSRは「参照するHS版」が明記されていることが多いです。
- 例:RCEPのPSRはHS2012に基づくとされます。
- 例:日EU・EPAのPSR(Annex 3-B)はHS2017に基づく旨が示されています。
- HS2022でコードが変わった品目(例:木質ブリケット、CLT等)では、**「協定のHS版」⇔「現行の通関HS(HS2022)」の対応付け(トランスポジション)**が必要です。対応付けには、WCO/税関が公表する相関表が実務の基礎になります。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 典型的に必要:
- BOM(材料表)、工程フロー、原産国、非原産材料のHS(協定参照版でのコード)、材料原価/製造原価(RVC計算が必要な場合)
- 証明書類・保存要件(一般論):
- 仕様書、製造記録、購買証憑、原産材料証明、相関表によるHS対応メモ(監査対応のため)
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 分割/新設 | 4401.32 | 木質ブリケットを独立(ペレット4401.31と並列化) | バイオマス燃料でコードの取り違えが起きやすい。寸法・結合剤割合の確認が必須 |
| HS2017→HS2022 | 構造見直し | 4401.41/4401.49 | 非凝結のこくず(Sawdust)とその他を明確化 | 木くずの“状態(凝結/非凝結)”の確認が重要に |
| HS2017→HS2022 | 新設 | 4402.20 | 殻・ナット由来の木炭を独立 | ココナッツ殻炭等の分類が明確に(統計・規制で影響) |
| HS2017→HS2022 | 分割/新設 | 4403.42 | 粗材でTeakを独立 | 熱帯材の樹種特定(証明)要求が増える |
| HS2017→HS2022 | 新設 | 4407.13/4407.14 | 針葉樹製材で混合林由来のS-P-F、Hem-firを独立定義 | 北米材の証明(樹種グループ)を揃えないと誤分類しやすい |
| HS2017→HS2022 | 新設 | 4407.23 | 熱帯材製材でTeakを独立 | 4403と同様に樹種確認が重要 |
| HS2017→HS2022 | 再編(カテゴリ新設) | 4412.41〜4412.49 | LVL(Laminated veneered lumber)を独立カテゴリ化 | LVLを“その他合板”で申告するとズレる |
| HS2017→HS2022 | 再編(カテゴリ新設) | 4412.51〜4412.59 | ブロックボード等を独立カテゴリ化 | 建材系の積層材でコード選択が変わる |
| HS2017→HS2022 | 新設/再編 | 4418.81〜4418.83 | 構造用エンジニアード材(glulam/CLT/I形梁)を独立 | 建築用途で最重要の改正。品名・規格が通関書類に必要 |
| HS2017→HS2022 | 新設 | 4419.20 | 木製食卓用品で熱帯材を独立 | “熱帯材”判定(材種)で分岐 |
| HS2017→HS2022 | 新設 | 4421.20 | 棺を独立 | 雑品扱いの誤りを減らす |
(根拠:HS2017-HS2022相関表およびHS2022条文の見出し構造)
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 参照した根拠資料:
- 税関公表の HS2017↔HS2022 相関表(該当コードの新設・分割・再編と、備考(remarks))
- HS2022 第44類(条文・注・Subheading Notes)(新設号の定義や見出し構造)
- どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
- 例:木質ブリケット(4401.32)は、相関表で新設・分割として示され、同時にHS2022のSubheading Notesで「wood briquettes」の定義(結合剤≤3%・最小断面>25mm等)が置かれているため、HS2017時点の“その他凝結品”から独立したと判断できます。
- 例:4418.81〜4418.83は、HS2022の見出しで「Engineered structural timber products」として明確に区分され、相関表でも再編の対象として示されているため、HS2017の「その他建具」等からの整理・細分が起きたと判断できます。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
主要なもの(代表例)を整理します(網羅は相関表で確認してください)。
| 変化の流れ | 主な追加・削除・再編(第44類の代表) | 旧コード→新コード(代表例) | 根拠 |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 木質ペレットを独立(4401.31新設) | 旧4401.30の一部 → 新4401.31 | WCO相関表で新設が示され、ペレット定義はSubheading Noteで規定 |
| HS2012→HS2017 | 燃料材を針葉樹/非針葉樹に細分(4401.11/12等) | 旧4401.10 → 新4401.11/12 | 相関表の備考(高い貿易量により細分) |
| HS2012→HS2017 | のこくず・木くずを「凝結」「非凝結」に大括りで整理 | 旧4401.39等 → 新4401.39/4401.40 | 相関表の備考(凝結/非凝結の整理) |
| HS2012→HS2017 | “tropical wood”の取扱い拡大(Subheading Note削除の影響) | 範囲拡大(コードは維持/再編あり) | 相関表の備考(tropical wood範囲拡大) |
| HS2017→HS2022 | 木質ブリケット独立、非凝結のこくず明確化、殻炭新設など | 旧4401.39/40 → 新4401.31/32/39/41/49、旧4402.90等→新4402.20等 | HS2017↔HS2022相関表とHS2022条文 |
| HS2017→HS2022 | LVL・ブロックボード等のカテゴリ独立、CLT/集成材等の細分 | 旧4412/4418の一部 → 新4412.4x/5x、4418.81〜 | HS2022条文の見出し構造と相関表 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):「チャコール」輸入で活性炭扱いされ差止め
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第44類注1で活性炭は除外(38.02)なのに、工程・仕様の疎明ができない。
- 起きやすい状況:インボイス品名が “charcoal”のみ、SDSなし。
- 典型的な影響:修正申告、検査・説明要求、遅延。
- 予防策:賦活有無の工程説明、比表面積等の仕様提示、事前教示の検討。
- 事例名:木質ペレットとブリケットの誤申告で統計・規制側から照会
- 誤りの内容:Subheading Notesの定義(寸法・結合剤割合)に合わない号で申告。
- 起きやすい状況:梱包単位(袋/バラ)だけ見て分類、寸法未確認。
- 影響:修正、追加資料提出、場合により検査強化。
- 予防策:寸法スペック・写真・工程図を事前に揃える。
- 事例名:木質ボード+プラスチック断熱層の建材パネルで類違い
- 誤りの内容:本質がどちらか(木材が構造主体か、プラスチックが主体か)の判断ミス。
- 起きやすい状況:商品名が“insulation panel”で層構成が不明。
- 影響:税番変更、税率差、説明資料要求。
- 予防策:層構成(厚さ、材質、機能)をカタログと断面図で明示。
- 事例名:CLTを合板(4412)で申告し、建築用途で照会
- 誤りの内容:HS2022で構造用エンジニアード材(4418.82)として細分された点を見落とし。
- 起きやすい状況:現場呼称が“mass timber panel”“engineered wood panel”で曖昧。
- 影響:修正申告、規格書提出、納期遅延。
- 予防策:規格(CLT)と用途を明記、事前教示活用。
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
検疫・衛生(SPS等)
- 植物検疫(木材・木製品)
- 木材・木製梱包材等は、害虫侵入防止の観点で植物検疫の確認対象になりやすいです。輸入時に必要な場合、植物防疫所の証明等を税関手続で求められます。
- 木材こん包材(WPM:ISPM 15)
- 国際物流で使う木材こん包材(パレット等)は、ISPM15(熱処理/くん蒸・マーキング等)に基づく要件が運用されています。
ワシントン条約(CITES)等の種規制
- 特定の木材種(例:一部のローズウッド等)はCITES対象となり得ます。日本では経産省(METI)等の手続が関係します。
- 実務上は「学名(属種)で対象判定」になることが多いので、樹種証明(学名)・製品の含有部位が重要です。
その他(合法性・サステナビリティ)
- クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通・利用促進)
- 木材・木材製品の合法性確認(サプライチェーン管理)が実務上重要です。
- (輸出の場合の例)EU向けでは森林減少に関する規制(EUDR)対応が論点になる場合があります(対象品目・要求は相手国制度を要確認)。
確認先(行政・公式ガイド・窓口)
- 植物検疫:植物防疫所(MAFF)/税関(必要書類の案内)
- CITES:経済産業省等の案内
- 合法性:林野庁(クリーンウッド法関連)
実務での準備物(一般論)
- 樹種(学名)・材質証明、工程説明、写真(外観/断面)、検疫要否確認メモ、CITES該当性の調査結果、合法性(デューデリジェンス)資料。
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 材質:木材種(針葉/広葉、可能なら学名)、竹等の有無
- 加工度:丸太/製材/単板/ボード/建具/梱包材/雑品
- 寸法:厚さ(6mm境界)、断面寸法(例:粗材の15cm基準)、ペレット/ブリケット寸法
- 構成:複合材(木+プラ等)の層構成、機能(本質)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 活性炭・家具・かご細工物等の除外に該当しないか
- 44.10〜44.12の加工板が、他見出しの“物品”に該当するほど完成していないか(注4)
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名に「加工内容(T&G、面取り、CLT、glulam等)」を入れる
- 仕様書・断面図・写真を添付できる状態にする
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定の参照HS版(HS2012/2017等)を確認(RCEP、日EU等)
- 相関表でHS2022コード↔協定参照コードを対応付け
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 植物検疫の要否(木材・木製梱包材)
- CITES該当性(樹種・学名)
- 合法性(クリーンウッド法、顧客要求)
12. 参考資料(出典)
- WCO:HS2022 Nomenclature 第44類(条文・注・Subheading Notes)(参照日:2026-02-21)
- 日本税関:関税率表解説 第44類(44r.pdf)(参照日:2026-02-21)
- 日本税関:HS2017↔HS2022 相関表(参照日:2026-02-21)
- 日本税関:HS2017↔HS2012 相関表(参照日:2026-02-21)
- WCO:HS2012↔HS2007 相関表(参照日:2026-02-21)
- 日本税関:分類例規(ホワイトラワン等、分類例を含む資料)(参照日:2026-02-21)
- 植物検疫(MAFF/植物防疫所)および税関案内(参照日:2026-02-21)
- CITES(経産省)案内、木材種のガイダンス(参照日:2026-02-21)
- クリーンウッド法(林野庁)/日本法令外国語訳(参照日:2026-02-21)
- RCEP/日EU・EPA:PSR(参照HS版の根拠)(参照日:2026-02-21)
付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)
ここでは「HS6桁」ではなく、日本の**国内コード(統計品目番号等)**で実務影響が出やすい観点を一般的に示します(年度改正があるため、必ず最新版の関税率表で確認してください)。
- 単位が揺れやすい(代表例)
- 丸太など粗材(44.03系)は**立方メートル(m³)**系の単位で扱われることが多い
- ペレット・木炭などは**重量(kg/トン)**系の単位になりやすい
(国内コードの単位は「Webタリフ」等で“Unit”欄に表示されます。略号の意味も同資料で確認できます。)
- NACCS用/統計用の細分(例)
- 44.19(食卓用品)などは、国内コードで「割箸の有無」「竹製の有無」など実務上の枝番が設定されていることがあります。
付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)
- どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
- 製品写真(全体・端部・断面)、寸法表、材質(樹種/学名含む)、用途、加工工程、カタログ、サンプル可否
- 複合材は層構成(厚さ・材質・機能)
- 日本税関の主な探し方
- 事前教示回答(品目分類):公開可能な回答を検索できます。
- 輸入貨物の品目分類事例:参考となる事例が類別で掲載されています。
- 事前教示(品目分類)は回答が審査で尊重され、有効期間(例:3年)などの制度説明があります。
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
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