HS2022 第25類:塩、硫黄、土石類、プラスター、石灰及びセメント(Salt; sulphur; earths and stone; plastering materials, lime and cement)

用語は以下で統一します。

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 昇華硫黄/沈降硫黄/コロイド硫黄 → 第28類 2802 (世界関税機関)
    • アースカラー(酸化鉄として70%以上) → 第28類 2821 (世界関税機関)
    • ドロマイトラミングミックス → 第38類 3816(HS2022で明確化) (世界関税機関)
    • 舗装用の石・縁石・敷石/モザイクキューブ等/屋根用スレート → 第68類 6801〜6803 (世界関税機関)
    • 筆記・図画用チョーク/テーラースチョーク → 第96類 9609(天然チョーク2509と混同注意) (世界関税機関)
    • ビリヤードチョーク → 第95類 9504 (世界関税機関)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 加工度:粗品/洗浄/粉砕等の“物理処理まで”か、焼成・混合・化学的処理までしているか(注1が強い) (世界関税機関)
    2. 鉱石(第26類)との境界:砂でも“金属含有砂(metal-bearing sands)”は第26類へ(2505の但書) (世界関税機関)
    3. 第68類(石・セメント等の製品)との境界:石材が“製品化(タイル・舗装石など)”されると第68類へ飛びやすい(注2(f)) (世界関税機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 石綿(アスベスト):2524自体だけでなく「石綿を含有するおそれのある製品」も輸入手続が絡みやすい(後述) (厚生労働省)
    • HS改正影響:HS2017の2518.30(ドロマイトラミングミックス)がHS2022で3816へ移行(過年度データ・契約で旧コードが残ると事故りやすい) (税関ポータル)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し文言+注)が最優先です。第25類は注(Notes)が加工度と除外を強く縛るため、品名の印象より「注に合うか」を先に見ます。 (世界関税機関)
    • GIR6(号=6桁):6桁の分岐は、典型的に「粉状/塊」「焼成の有無」「用途を示す文言(道路用骨材など)」「成分割合(例:CaF2 97%)」で割れます。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(鉱物名):石英なのか珪砂なのか、カオリンなのか他の粘土なのか、など。
    • 状態(形状・粒度):粉末・フレーク・ブロック、砕石、粒状など。
    • 加工度(重要):洗浄・粉砕・ふるい分け=“OK寄り”、焼成・混合・特定用途向けの調製=“NG寄り”。(ただし見出し自体が「whether or not calcined」を許すものもあります) (世界関税機関)
    • 用途が見出しで条件になっていないか:例)2521は「石灰・セメント製造用の石灰石」寄りの見出し、2517は道路・鉄道バラスト等に使う砕石等が中心。 (世界関税機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:鉱物性生産品か?(第5部:第25〜27類)
    • 鉱物・土石・塩・硫黄・石灰・セメント系 → 次へ
    • 化学品として“反応・精製”をしている → 第28類〜(要検討)
  • Step2:加工度チェック(第25類注1)
    • 粗品/洗浄/粉砕/粉状化/ふるい分け/浮遊選鉱・磁選等(結晶法除く)まで → 第25類候補 (世界関税機関)
    • 焼成・混合・見出しで許される処理を超える加工 → 原則として第25類から外れやすい(見出しで明示的に許す例外は別途) (世界関税機関)
  • Step3:除外規定(注2)に当たらないか
    • 昇華硫黄(2802)/鉄分70%以上のアースカラー(2821)/ドロマイトラミングミックス(3816)/舗装石(6801等)/筆記用チョーク(9609)…など (世界関税機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第25類 ↔ 第26類:砂でも「金属含有砂」は第26類(2505の但書)。 (世界関税機関)
    • 第25類 ↔ 第28類:硫黄・石灰など“同じ元素/化合物名”でも、形態(昇華・沈降)や処理で第28類へ。 (世界関税機関)
    • 第25類 ↔ 第68類:石材が“建材製品”まで加工されると第68類へ(注2(f))。 (世界関税機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2501塩(食塩・変性塩含む)、純塩化ナトリウム、海水工業用塩、食用塩、海水添加(固結防止等)を含み得るが、調製の程度に注意 (世界関税機関)
2502焼いていない黄鉄鉱黄鉄鉱(未焙焼)焙焼したものは別検討 (世界関税機関)
2503硫黄(昇華・沈降・コロイドを除く)粉状硫黄、塊状硫黄昇華硫黄等は2802へ(注2(a)) (世界関税機関)
2504天然黒鉛粉状黒鉛、フレーク黒鉛天然/人工(別類)で分かれやすい (世界関税機関)
2505天然砂(全種)※第26類の金属含有砂を除く珪砂、鋳物砂、砂「金属含有砂」は第26類(但書) (世界関税機関)
2506石英(砂を除く)、珪岩(石英岩)石英塊、珪岩ブロック砂(2505)との区別に注意 (世界関税機関)
2507カオリン等のカオリン質粘土(焼成の有無を問わない)カオリン、焼成カオリン“焼成OK”が明記されている点が重要 (世界関税機関)
2508その他の粘土等(膨張粘土=6806除外)、耐火鉱物等(焼成の有無を問わないもの含む)ベントナイト、耐火粘土、ムライト等「膨張粘土」は6806へ(見出し内で除外) (世界関税機関)
2509チョーク(天然)天然チョーク(原料)“筆記用チョーク”は9609へ(注2(k)) (世界関税機関)
2510天然リン酸塩等リン鉱石系(天然リン酸塩)粉砕の有無で号分岐 (世界関税機関)
2511重晶石、炭酸バリウム(焼成の有無問わず)※酸化バリウム除外バライト、ウィザライト酸化バリウム(2816)除外が明記 (世界関税機関)
2512珪質の化石粉等(焼成可)※見掛比重1以下珪藻土、キースルグール数値条件「見掛比重1以下」 (世界関税機関)
2513軽石・エメリ等の天然研磨材(加熱処理可)軽石、ガーネット砂研磨材用途でも“天然”か等確認 (世界関税機関)
2514スレート(粗/単純切断まで)スレート原石、スレートブロック屋根用等の製品は6803(注2(f)) (世界関税機関)
2515大理石等の建築石材(見掛比重2.5以上)/アラバスター大理石ブロック2.5以上要件、加工度(“単純切断まで”) (世界関税機関)
2516花崗岩等の建築石材(粗/単純切断まで)花崗岩ブロック、砂岩ブロックタイル等は第68類へ行きやすい (世界関税機関)
2517砂利・砕石等(道路/鉄道バラスト等)/タールマカダム等砕石、道床バラスト、タールマカダム注3により“2517優先”の特則あり (世界関税機関)
2518ドロマイト(焼成・焼結の有無を問わない)ドロマイト、焼成ドロマイトドロマイトラミングミックスは3816へ (世界関税機関)
2519菱苦土石、溶融マグネシア、焼結マグネシア、酸化マグネシウム等マグネサイト、マグネシア“耐火原料”でも混合・調製は注意 (世界関税機関)
2520石膏・無水石膏、プラスター(焼石膏等)天然石膏、焼石膏(プラスター)石膏/プラスターで号分岐 (世界関税機関)
2521石灰石フラックス等(石灰/セメント製造に用いる種類)石灰石(製造用)建築石材(2515/2516)との峻別 (世界関税機関)
2522生石灰・消石灰・水硬性石灰(ただし2825の酸化/水酸化Ca除外)生石灰、消石灰2825除外の注意(化学品との境界) (世界関税機関)
2523各種セメント(ポルトランド、アルミナ等)/クリンカーセメントクリンカー、白色セメント“クリンカー”と“セメント”で分岐 (世界関税機関)
2524石綿(アスベスト)クリソタイル等規制・禁止が絡む(後述) (世界関税機関)
2525雲母(スプリッティング含む)/雲母くず雲母、雲母粉粉・くずで号分岐 (世界関税機関)
2526ステアタイト(滑石岩)、タルクタルク、滑石“粉砕の有無”で号分岐 (世界関税機関)
2527(欠番)現行HSでは見出しなしHS版違いの古い資料で出てきたら要注意 (世界関税機関)
2528天然ホウ酸塩等(焼成可)ホウ砂鉱、天然ホウ酸(85%以下)“天然か/分離品か”など確認 (世界関税機関)
2529長石、白榴石等、蛍石(フルオルスパー)長石、蛍石蛍石はCaF2含有率で号分岐(97%) (世界関税機関)
2530他に該当しない鉱物バーミキュライト(未膨張)、天然硫酸Mg等注4で例示あり(“未膨張”など) (世界関税機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 粉砕・粉末化の有無(例:2526.10/2526.20) (世界関税機関)
    • 焼成(calcined)・焼結(sintered)の有無(例:2518、2512 等で明示) (世界関税機関)
    • 用途・性質を示す文言(例:2517 “road metalling / ballast”等) (世界関税機関)
    • 成分割合の閾値(例:蛍石CaF2 97%) (世界関税機関)
    • 物性値の閾値(例:2512 見掛比重1以下、2515 見掛比重2.5以上) (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2505.10(珪砂・石英砂) vs 2505.90(その他の天然砂) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:砂の鉱物学的性状(シリカ/石英砂か、それ以外か)
      • 判断に必要な情報:鉱物成分(SiO₂比率、粒度)、用途(鋳物・ガラス原料等)、試験成績
      • 典型的な誤り:「鋳物砂」を用途だけで決めてしまい、実体がシリカ砂なのに“その他”へ入れる
    2. 2507.00(カオリン・カオリン質粘土) vs 2508.xx(その他の粘土等) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:粘土の鉱物種(カオリン系か、ベントナイト等か)
      • 判断に必要な情報:鉱物分析(XRD等)、製造工程(焼成の有無は両方で許容され得る点に注意) (世界関税機関)
      • 典型的な誤り:「白い粘土=カオリン」と決め打ち(実際は他粘土・混合の可能性)
    3. 2515/2516(建築石材ブロック等) vs 2517.41/2517.49(石材の粒・粉) (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:**ブロック/スラブ(粗・単純切断)**なのか、粒・チップ・粉なのか
      • 判断に必要な情報:形状(ブロック・スラブ・粒)、加工(研磨・表面加工の有無)、用途(骨材等)
      • 典型的な誤り:大理石チップを「大理石(2515)」とだけ見て分類(実際は2517.41/49)
    4. 2517の“優先ルール”(類注3):2517に該当し得るなら他の項より2517へ (世界関税機関)
      • どこで分かれるか:同じ“石”でも、道路用砕石・バラスト等の性格を持つか
      • 判断に必要な情報:用途(契約書・仕様)、粒度規格、写真、試験成績
      • 典型的な誤り:「素材は花崗岩だから2516」とし、砕石用途(2517)を見落とす
    5. 2518(ドロマイト) vs 3816(ドロマイトラミングミックス) (税関ポータル)
      • どこで分かれるか:ドロマイトそのもの(焼成/焼結含む)か、**耐火物の“ミックス(ラミングミックス)”**として調製されたものか
      • 判断に必要な情報:配合(混合の有無、結合材・添加物)、用途(耐火物施工用)、SDS/仕様書
      • 典型的な誤り:HS2017の感覚で2518.30相当として申告(HS2022では注2(e)で除外され3816へ) (世界関税機関)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第5部(鉱物性生産品:第25〜27類)は、部注が設定されていない扱いで運用される例があり、実務上は各類(Chapter)注の影響が大きいです。 (カナダ国境サービス機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「第25類に入るか」は**第25類の注(加工度・除外)**が実質の基準になります。
      例:同じ硫黄でも「昇華硫黄」は注2(a)で第28類へ、一般硫黄は2503へ。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (部注がない前提なので)“部注で飛ぶ”というより、各類注・見出しの除外で飛ぶのが典型です(第25類注2 → 第28類/第38類/第68類 等)。 (世界関税機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(加工度の上限):粗品、洗浄、粉砕、粉状化、ふるい分け、浮遊選鉱・磁選等の物理処理(結晶法除く)まで。焼成・混合・過度の加工は原則含まない。またアンチダスティング剤の添加は、用途特化にならない範囲で許容。 (世界関税機関)
    • 注2(除外):昇華硫黄(2802)、鉄分70%以上のアースカラー(2821)、ドロマイトラミングミックス(3816)、舗装石・モザイク等(6801〜6803)、筆記用チョーク(9609)等。 (世界関税機関)
    • 注3(2517優先):2517と他項の両方に該当し得る場合は、2517へ。 (世界関税機関)
    • 注4(2530の例示):未膨張のバーミキュライト等、アースカラー、琥珀、海泡石(加工の程度に制限あり)等が例示。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 明確な“定義語”より、加工度を縛る規定(注1)が実務上の“定義”として機能します。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 注2(a) 昇華硫黄等 → 2802
    • 注2(b) Fe₂O₃として70%以上のアースカラー → 2821
    • 注2(e) ドロマイトラミングミックス → 3816
    • 注2(f) 舗装用石・モザイク等・屋根用スレート → 6801〜6803
    • 注2(ij)/(k) ビリヤードチョーク → 9504、筆記用/テーラースチョーク → 9609 (世界関税機関)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:加工度(注1)で第25類に残る/外れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 工程(洗浄・粉砕・ふるい・選鉱・焼成・混合の有無)
      • 添加剤の有無と目的(アンチダスティングか、用途特化か)
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程フロー、SDS/MSDS、成分表、粒度分布、写真、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • “原料鉱物っぽい”という印象で第25類に入れるが、実際は焼成・混合で別章に該当(注1/注2の見落とし) (世界関税機関)
  • 影響ポイント2:除外(注2)の“飛び先”が明確に決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 該当品が注2(a)〜(k)のどれに当たるか(硫黄の形態、鉄分割合、用途/製品形態など)
    • 現場で集める証憑:
      • 分析表(Fe₂O₃%、CaF₂%等)、形態説明(昇華・沈降等)、用途資料
    • 誤分類の典型:
      • 天然チョーク(2509)と筆記用チョーク(9609)を混同する (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:2517優先(注3)で“素材”より“区分ルール”が勝つ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 道路用骨材/バラスト等の性格(用途・粒度)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途契約、規格書、粒度試験、荷姿写真
    • 誤分類の典型:
      • 花崗岩砕石を、素材(2516)で分類してしまう(注3の特則見落とし) (世界関税機関)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:“硫黄=2503”と決め打ちし、昇華硫黄等を含めてしまう
    • なぜ起きる:品名が同じ「硫黄」だから
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注2(a)で昇華硫黄等は第28類(2802)へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 硫黄の製法・形態(昇華/沈降/コロイド/通常)をSDSで確認
      • 取引品名に“sublimed / precipitated”が入っていないか確認
  2. 間違い:アースカラーを2530や2508で申告したが、Fe₂O₃として70%以上だった
    • なぜ起きる:顔料用途=土石類という思い込み
    • 正しい考え方:注2(b)で70%以上は2821へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 分析表でFe₂O₃換算を必ず取得(社内:品質保証/分析部門に依頼)
      • 仕様書に「iron oxide content」を記載させる
  3. 間違い:砂を2505にしたが、実は金属含有砂だった
    • なぜ起きる:「砂=2505」と思い込む
    • 正しい考え方:2505は「第26類の金属含有砂を除く」と明記 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 鉱物名(例:イルメナイト砂、ジルコン砂等)・金属含有の有無を確認
      • “metal-bearing sands / mineral sands”の表記がないかチェック
  4. 間違い:石材タイル・舗装石を2515/2516で申告
    • なぜ起きる:素材が大理石・花崗岩だから
    • 正しい考え方:注2(f)で舗装用石・モザイク等は第68類へ(6801〜6803等) (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 加工度(切断・研磨・面取り・規格形状)を写真と図面で確認
      • “tile / setts / curbstone / flagstone / mosaic”の文言をインボイスで拾う
  5. 間違い:砕石を素材の項(2515/2516)で分類し、2517(砕石等)を外す
    • なぜ起きる:素材名に引っ張られる
    • 正しい考え方:注3により、2517に該当し得る場合は2517へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 用途(道路/鉄道/コンクリ骨材)の確認、粒度規格の入手
      • 砕石かブロックか(荷姿写真)を必須資料にする
  6. 間違い:ドロマイトラミングミックスを2518のまま運用(過年度踏襲)
    • なぜ起きる:HS2017時代のコード・マスタが残る
    • 正しい考え方:HS2022で注2(e)により第25類から除外、3816へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • “ramming mix”の有無(配合品か)を仕様書で確認
      • HS改正時に「対象品目の再棚卸し」を実施(購買・生産・通関の合同)
  7. 間違い:天然チョーク(2509)と筆記用チョーク(9609)を混同
    • なぜ起きる:日本語でどちらも「チョーク」
    • 正しい考え方:注2(k)で筆記用/テーラー用は9609へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 形態(スティック状、包装、ブランド)と用途(筆記/図画)を確認
      • “chalk sticks / writing chalk”表記があれば要注意
  8. 間違い:蛍石(フルオルスパー)の号を分析なしで決める
    • なぜ起きる:外観で判断できない
    • 正しい考え方:2529.21/2529.22はCaF₂含有率97%で分岐 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • CaF₂%の試験成績書を必須化(購買条件に入れる)
      • サプライヤーが出せない場合は第三者分析

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れます)。
    • 例:同じ“耐火材料系”でも、HS2022でドロマイトラミングミックスが3816へ移ると、適用PSRそのものが変わり得ます。 (税関ポータル)
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品のHSは合っているが、非原産材料のHSがズレていてCTC判定が崩れる
    • “混合・調製”で章が変わるのに、原料の感覚で第25類のまま扱う

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • RCEPのPSR(付属書3A)は、原文としてはHS2012に基づく旨が明記されています。 (Australian Border Force Website)
  • 一方で、RCEPはHS2022へトランスポーズ(移し替え)したPSRが採択され、2023-01-01から各締約国で実施とされています(日本の公表資料でも同趣旨)。 (外務省)
  • CPTPPは、PSRや関税約束が(少なくとも当初は)HS2012ベースで確定している旨の説明があります。 (Australian Border Force Website)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定本文/運用文書でどのHS版を参照するかを確認
    • 会社のHSマスタ(HS2022)と協定PSR(HS2012等)の間は、税関・関係当局が出すトランスポーズ版/対応表を使って突合(独自変換は事故の元)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 原産性判断に必要になりやすい情報
    • 材料表(BOM)、原価(RVCの場合)、工程フロー、原産国
    • 非原産材料のHS(少なくとも6桁)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 原産地申告(自己申告を含む)では、最低限のデータ要件としてHSの分類(6桁)が含まれる旨のガイダンスがあります。 (税関ポータル)
  • 実務Tip(第25類らしい論点)
    • 「採掘しただけ」なのか、「焼成・混合」したのかで、WO(完全生産品)相当の整理になるか、CTC/RVCが要るかが変わりやすい

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更(移行)/削除2518.30 → 3816.00ドロマイトラミングミックスを第25類から第38類へ移行(第25類注2(e)で除外、3816に含める)旧マスタ踏襲で誤申告・PSR誤適用リスク。耐火物原料の扱い見直しが必要 (税関ポータル)
HS2017→HS2022文言修正/範囲明確化第25類 注2(e)第25類の除外に「ドロマイトラミングミックス(3816)」を追加第25類に残れないことが明確化。仕様書で“ramming mix”確認が必須 (税関ポータル)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、各国税関の解説等):
    • 日本税関公表の HS2022–HS2017 相関表で、3816.00に「dolomite ramming mix」が含まれ、HS2017の2518.30から移る扱いが示されています。 (税関ポータル)
    • 日本税関のHS2022解説資料で、「第25類のドロマイトラミングミックスを第38類へ移行」する趣旨(耐火セラミック分野の発展等)を説明しています。 (税関ポータル)
    • HS条文(HS2022 第25類注2(e))として、ドロマイトラミングミックスが第25類から除外されることが明記されています。 (世界関税機関)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • 相関表で「旧:2518.30 → 新:3816.00」の移転が示されていること、かつ HS2022の注2(e) で第25類から除外されることから、「第25類ではなく第38類(3816)で扱うのがHS2022の整理」と判断できます。 (税関ポータル)
  • 補足(相関表の位置づけ):
    • WCOの相関表は“実施を助けるガイド”であり法的地位はない旨も説明されています。最終判断は各国税関に依ります。 (世界関税機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れでの整理(主要なもの)
    • 本回答で一次資料として根拠を示せている範囲では、**第25類で明確に大きな動きとして確認できるのはHS2017→HS2022の「ドロマイトラミングミックス移行」**です。 (税関ポータル)
    • それ以前(HS2007→2012→2017)の第25類内の改正については、取引対象品目が多い場合、WCO/税関の相関表で個別確認する運用を推奨します(協定PSRのHS版差も絡むため)。
  • 参考としての“欠番”注意:
    • 第25類には [25.27] のように見出しが設定されていない番号が存在します(古い資料・社内コードで「2527」を見た場合はHS版と対応関係の点検が必要です)。 (世界関税機関)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“ramming mix”を原料ドロマイトとして申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注2(e)(ドロマイトラミングミックスは第25類除外) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:インボイスが “Dolomite” とだけ書き、混合・施工用の実態が伝わらない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、原産地判断や契約価格条件の見直し(一般論)
    • 予防策:仕様書に「ramming mix」「binder有無」「用途(耐火物施工)」を明記
  • 事例名:石材を“ブロック”扱いで申告したが実は舗装石
    • 誤りの内容:注2(f)(舗装用石等は第68類へ) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:“setts/curbstone/flagstone”を訳さず「石材」としてしまう
    • 典型的な影響:検査強化、分類補正(一般論)
    • 予防策:写真・寸法図、加工内容(面取り、規格形状)を事前提出
  • 事例名:天然チョーク原料と筆記用チョークの混同
    • 誤りの内容:注2(k)(筆記用/テーラー用は9609) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:品名が “chalk” のみ
    • 典型的な影響:税率差・統計誤り、補正(一般論)
    • 予防策:用途(筆記か原料か)、形状(スティック包装か粉体か)を明確化
  • 事例名:昇華硫黄を2503で申告
    • 誤りの内容:注2(a)に抵触(2802へ) (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:化学品サプライヤーのSDS情報を通関へ共有していない
    • 典型的な影響:差し戻し、検査、補正(一般論)
    • 予防策:SDSと製法(sublimed等)の共有を必須に

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • **食用の塩(食品)**は、食品衛生法に基づき輸入届出が必要で、検疫所で審査・検査要否判断が行われます(届出済証が通関で必要になるケース)。 (厚生労働省)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 第25類そのものは“動植物”ではないため通常は中心論点になりません(ただし混載品・副材料は別途)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 第25類は一般に原料鉱物が多く、個別該非は品目・用途次第です(特定用途向けの調製品や関連装置等は別章の可能性)。
    • その他の許認可・届出
      • 石綿(アスベスト):労働安全衛生法の枠組みで、石綿や一定濃度超で含有する製品等の製造・輸入等が禁止とされる旨が示されています。 (厚生労働省)
      • 「石綿を含有するおそれのある製品」の輸入通関では、許可証や確認資料の取り扱い等、税関通知で通関実務が示されている例があります。 (税関ポータル)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品:厚生労働省(食品等輸入手続) (厚生労働省)
    • 石綿:厚生労働省(石綿関係情報・通関手続情報) (厚生労働省)
    • 税関実務:税関通知・税関相談(必要に応じて)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 食品:成分・製造工程資料、必要に応じ衛生証明・試験成績書、届出済証 (ジェトロ)
    • 石綿:SDS、非含有証明/試験、(例外輸入なら)許可証写し等 (税関ポータル)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 鉱物名(英名・学名)、用途、形状(粉/粒/ブロック)
    • 工程(洗浄・粉砕・焼成・混合・添加剤)
    • 分析表(Fe₂O₃%、CaF₂%、粒度、比重など)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第25類注1(加工度)、注2(除外)、注3(2517優先)
    • 第26類(鉱石)・第28類(化学品)・第68類(石材製品)への飛び先を再点検 (世界関税機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に “calcined / sintered / ramming mix / chalk / setts” 等の要注意語がないか
    • 代表写真、仕様書、SDSを添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品(食用塩等):食品衛生法の輸入届出 (厚生労働省)
    • 石綿:禁止・確認・通関手続(該当可能性があれば最優先で確認) (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Edition(HS2022の位置づけ、補完改正、相関表案内)[参照日:2026-02-18] (世界関税機関)
    • WCO HS2022 Chapter 25(条文:見出し・注・6桁構造)[参照日:2026-02-18] (世界関税機関)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 日本税関:第25類 類注(注1〜4、除外含む)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:HS2022改正資料(ドロマイトラミングミックスの移行説明)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:HS2022–HS2017 相関表(3816.00/2518.30 等)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:原産地(PSR)検索ポータル[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 日本税関:原産地申告(自己申告)ガイド(最低限データ要件にHS6桁等)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
  • その他(規制・手続)
    • 厚生労働省:石綿含有製品等の製造・輸入等の禁止に関する情報(法令抜粋含む)[参照日:2026-02-18] (厚生労働省)
    • 日本税関:労働安全衛生法に係る有害物等の輸入通関手続(石綿関連の通関実務含む)[参照日:2026-02-18] (税関ポータル)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法の輸入届出)[参照日:2026-02-18] (厚生労働省)
    • JETRO:塩の輸入手続(日本)[参照日:2026-02-18] (ジェトロ)
    • (参考)第5部(鉱物性生産品)の部注がない扱いの例(カナダ税関:Section Notesの案内)[参照日:2026-02-18] (カナダ国境サービス機関)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

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投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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