用語の統一:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- カゼイン/カゼイナート(乳由来たんぱく質・塩)や、(条件により)カゼイングルー(3501)
- 卵白アルブミン、ミルクアルブミン、(条件により)ホエイたんぱく濃縮物(WPC)(3502)
- ゼラチン(長方形/正方形シートを含む)、アイシングラス等(3503)
- ペプトン、その他のたんぱく質系物質(他に該当しないもの)や皮粉(3504)
- デキストリン/変性でん粉、およびでん粉系の膠着剤(3505)
- 調製接着剤(工業用接着剤・小売用接着剤1kg以下を含む)(3506)、酵素・調製酵素(3507)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 酵母 → 第21類(21.02)
- (治療用・予防用に調製した)血液分画物や医薬品 → 第30類(※血液アルブミンでも用途・調製状態で分岐)
- 洗浄用途の酵素系調製品(酵素入り洗剤など) → 第34類(例:洗浄・浸せき用)
- なめし前処理用の酵素系調製品 → 第32類(32.02)
- 硬化たんぱく質(硬化カゼイン/硬化ゼラチン等) → 第39類(39.13)
- (定義を超える)でん粉分解物:還元糖が乾燥状態で10%超 → 第17類(17.02)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 「ホエイたんぱく濃縮物」:乾燥基準で80%超かどうか(3502か、別章か)
- 「デキストリン」:還元糖(乾燥基準)が10%以下かどうか(3505か17.02か)
- 接着剤:小売用(1kg以下)か/2液セットか/用途が“接着”か(3506に寄るか、他章か)
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 食品原料(WPC、ゼラチン、酵素、変性でん粉)は、関税だけでなく、**輸入手続(食品衛生・動物検疫)**や、**EPAのPSR(品目別規則)**にも連鎖しやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1(見出し+注で決める):第35類は「類注(除外規定・定義)」が強いです。例えば、酵母は21.02、洗浄用途の酵素系調製品は第34類に飛びます。
- GIR6(号=6桁の比較):3502(卵白の乾燥/その他)や3506(小売用1kg以下/その他)など、6桁で要件が明確なものがあります。
- (重要)Section VI 注2・注3の使いどころ:
- 注2:小売用・計量単位で販売などの理由で35.06に該当する場合、他の見出しではなく35.06に固定する趣旨です。
- 注3:2液型接着剤(樹脂+硬化剤)のように、混合して製品(Section VI/VIIの物品)を得るセットは、条件を満たすと得られる製品の見出しで分類します。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 成分(由来:乳/卵/魚/植物、たんぱく含量、糖含量、添加物)
- 状態(乾燥/液状/シート/成形品、硬化の有無)
- 用途(食品原料、培地、洗浄、なめし、接着、写真等)
- 販売形態(小売包装、セット品、正味重量)
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:物品が「たんぱく系物質/変性でん粉/接着剤/酵素(または調製品)」かを確認
- Step2:第35類注の除外に当たらないか確認(酵母、医薬品、洗浄用途の酵素系調製品、硬化たんぱく質 等)
- Step3:該当しそうな**項(3501〜3507)**を当てる
- 乳たんぱく(カゼイン)→3501
- アルブミン(卵白、血清、ミルク、WPC80%超)→3502
- ゼラチン/動物にかわ→3503
- ペプトン/その他たんぱく系物質/皮粉→3504
- 変性でん粉/デキストリン/でん粉系のり→3505
- 調製接着剤/小売用1kg以下接着剤→3506
- 酵素/調製酵素→3507
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 3502(WPC80%超)↔ 04.04(WPC80%以下)
- 3505(デキストリン)↔ 17.02(還元糖10%超)
- 3507(酵素)↔ 第34類(酵素系洗浄調製品)/32.02(なめし前処理用酵素調製品)
- 3503(ゼラチンシート)↔ 96.02(切抜き・成形品)/49類(印刷物)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
- 原則:第35類は4桁見出しが少ないため全列挙します。
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 3501 | カゼイン、カゼイナート、カゼイン誘導体、カゼイングルー | 酸カゼイン、ナトリウムカゼイナート、工業用カゼイン糊 | 小売用1kg以下の「接着剤」としての包装なら3506へ寄りやすい/硬化カゼインは39.13へ |
| 3502 | アルブミン類(WPC80%超を含む)、アルブミナート等 | 乾燥卵白、血清アルブミン(非治療用)、WPC(乾燥基準80%超) | WPC80%超がポイント(計算方法も)/治療・予防用に調製した血液アルブミンは30類へ |
| 3503 | ゼラチン、ゼラチン誘導体、アイシングラス、動物性にかわ(カゼイン糊除く) | 食品用ゼラチン、写真用ゼラチン、魚膠 | シート形状(長方形/正方形)/切抜き・成形品は96.02へ、印刷業のゼラチン製品は49類へ |
| 3504 | ペプトン等、その他たんぱく質系物質(他に該当しないもの)、皮粉 | ペプトン(培地用)、コラーゲンペプチド原料、皮粉(タンニン定量用) | 食品添加目的の「調製食料品」扱いになると21.06へ行き得る/酵素は3507へ |
| 3505 | デキストリン・変性でん粉、でん粉/デキストリン系の膠着剤 | マルトデキストリン、糊化済でん粉、アセチル化でん粉、でん粉糊 | デキストリン定義:還元糖10%以下/アセチル化でん粉はDS値で実務基準あり(日本) |
| 3506 | 調製膠着剤・調製接着剤、小売用1kg以下接着剤 | 瞬間接着剤、エポキシ接着剤(工業用/小売用)、接着剤粉末 | 小売用1kg以下が独立要件(3506.10)/マスチック等(32.14)や“接着性が主目的でない”調製品(38.09等)は除外 |
| 3507 | 酵素、他に該当しない調製酵素 | レンネット、アミラーゼ、プロテアーゼ、酵素ブレンド | 洗浄用途の酵素系調製品は34類、なめし前処理用は32.02へ除外 |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(この類でよく出る軸)
- 含有率(乾燥基準):WPCの「ホエイたんぱく80%超」
- 糖(還元糖)の割合(乾燥基準):デキストリン定義「10%以下」
- 包装形態・正味重量:小売用接着剤「1kg以下」
- 形状(シート形状/成形品):ゼラチンシート(長方形/正方形)か
- 用途(洗浄・なめし等):酵素が“洗浄調製品”なら第34類へ
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 3502(アルブミン類) vs 0404(ホエイ等)
- どこで分かれるか:ホエイたんぱく濃縮物が「乾燥基準で80%超」かどうか。超えると3502側に入る整理です。
- 判断に必要な情報:
- 乾燥基準のホエイたんぱく含有率(COA/分析表)
- 計算根拠(窒素量×換算係数など:日本の解説では計算方法の言及あり)
- 典型的な誤り:「乳由来=第4類」と短絡して04.04へ固定する。
- 3505(デキストリン/変性でん粉) vs 1702(糖類)
- どこで分かれるか:でん粉分解物のうち、還元糖(ぶどう糖換算)が乾燥基準で10%以下なら「デキストリン」扱い(3505)になり得ます。10%を超えると17.02へ。
- 判断に必要な情報:還元糖の分析(乾燥基準、換算方法)
- 典型的な誤り:「マルトデキストリン=必ず3505」または「糖っぽい=必ず17.02」。
- 3505(変性でん粉) vs 1108(でん粉)(日本で特に実務的)
- どこで分かれるか:一般論として、変性したでん粉は3505寄りですが、アセチル化でん粉は「DS値が非常に低いと区別困難」なため、日本の分類例規ではDS値0.01以上を変性でん粉として扱う整理が示されています。
- 判断に必要な情報:DS(Degree of Substitution)の試験成績、製造方法、用途(増粘・糊化特性など)
- 典型的な誤り:DSや変性内容を確認せず、品名だけで3505に決めてしまう。
- 3506(調製接着剤) vs 39類/32.08/32.14/38.09 等
- どこで分かれるか:
- 「接着剤として調製されたもの」か(用途・配合・形態)
- 小売用で1kg以下なら3506.10がまず候補
- マスチック・充てん料的性格が強いものは32.14へ除外され得ます(税関解説で言及)。
- 判断に必要な情報:SDS、配合(樹脂・溶剤・充填材)、用途説明(接着か、充填/シールか)、包装仕様(正味重量)
- 典型的な誤り:「樹脂が主成分だから39類」として、調製接着剤の要件や小売条件を見落とす。
- どこで分かれるか:
- 3507(酵素/調製酵素) vs 34類(洗浄調製品)/32.02(なめし前処理)
- どこで分かれるか:第35類注で、洗浄・浸せき用途の酵素系調製品は第34類、なめし前処理用の酵素系調製品は32.02へ除外されます。
- 判断に必要な情報:用途(洗浄/工業触媒/食品加工)、添加成分(界面活性剤の有無)、商品形態(洗剤として販売か)
- 典型的な誤り:「酵素が入っている=3507」と決め打ちする。
- 3502(アルブミン類) vs 0404(ホエイ等)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- Section VI 注2:一定の品目(例:35.06)について、小売用・計量形態等の条件で当該見出しに該当するなら、他の見出しに移さないという整理です。
- Section VI 注3:複数構成要素を「混合して」製品を得るセットは、条件を満たすとその製品の見出しで分類します(2液接着剤などが典型)。
- 実務での意味(具体例つき):
- 「エポキシ樹脂+硬化剤」が同梱された2液接着剤キット:単なる樹脂や硬化剤単品ではなく、セットとして“接着剤”の性格が明確なら注3の考え方で扱います(最終的には見出し要件で3506に寄ることが多いです)。
- 小売用チューブ入り瞬間接着剤(正味20gなど):注2の趣旨も踏まえ、小売用・1kg以下の要件を満たすなら3506.10が強い候補になります。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 35.06に該当する「小売用」形態の判断を落とすと、39類等に誤って寄せてしまいがちです(注2の発想でブレーキをかけるのが実務的)。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 第35類注1は、酵母、医薬品(血液分画物等)、なめし前処理用酵素調製品、洗浄用途の酵素調製品、硬化たんぱく質、印刷業のゼラチン製品などを除外します。
- 第35類注2は、35.05の「デキストリン」の定義を置き、還元糖(ぶどう糖換算)が乾燥基準で10%以下とする線引きを明確化しています。
- 用語定義(定義がある場合):
- 「デキストリン」:でん粉分解物のうち、還元糖(ぶどう糖換算)が乾燥状態で10%以下のもの。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 酵母 → 21.02
- 洗浄用途の酵素系調製品 → 第34類
- なめし前処理用の酵素系調製品 → 32.02
- 硬化たんぱく質 → 39.13
- 印刷業のゼラチン製品 → 第49類
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:でん粉分解物が「35.05(デキストリン)」か「17.02」か
- 何を見れば判断できるか(必要情報):還元糖(ぶどう糖換算)の含有率(乾燥基準)
- 現場で集める証憑:成分表、試験成績書(糖組成・還元糖)、製造工程(酸/酵素分解の程度)
- 誤分類の典型:「デキストリン」という商流名だけで3505にする/逆に甘いから17.02にする
- 根拠:類注2で10%基準が示されます。
- 影響ポイント2:WPC(ホエイたんぱく濃縮物)が「3502」か「0404」か
- 何を見れば判断できるか(必要情報):乾燥基準のホエイたんぱく含有率(80%超か)
- 現場で集める証憑:COA、窒素量からの計算根拠(換算)、製品仕様書(WPC80/WPC90等)
- 誤分類の典型:乳由来なので第4類に固定する
- 根拠:3502の見出しにWPCの要件が含まれ、日本の解説でも80%超/以下の分岐と計算方法の考え方が整理されています。
- 影響ポイント3:酵素が「3507」か、用途で「32.02/34類」へ飛ぶか
- 何を見れば判断できるか(必要情報):用途(なめし前処理か、洗浄用途か、その他の工業用途か)/界面活性剤の有無
- 現場で集める証憑:SDS、用途資料、ラベル表示、販売形態(洗剤としての表示)
- 誤分類の典型:酵素入り洗剤を3507にしてしまう
- 根拠:類注1で用途別の除外が明確です。
- 影響ポイント4:ゼラチンが「3503」か「96.02/49類」へ飛ぶか
- 何を見れば判断できるか(必要情報):形状(長方形/正方形シートか、その他形状か)/印刷物か
- 現場で集める証憑:写真(寸法が分かる)、製品図面、用途、加工内容(印刷、成形)
- 誤分類の典型:円形に打ち抜いたゼラチンを3503のまま申告
- 根拠:見出し要旨・解説で、シート形状や他類(96.02、49類)への分岐が示されています。
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:WPC(高たんぱく)を0404で申告
- なぜ起きる:乳由来=第4類という思い込み、仕様書に「WPC」としか書かれない
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):3502はWPC(乾燥基準80%超)を包含する趣旨が見出しに明記されています。
- 予防策:COAで乾燥基準たんぱく%を確認し、計算根拠(窒素換算等)も保存
- 間違い:マルトデキストリンを一律3505(または一律1702)にする
- なぜ起きる:商品名が紛らわしい(糖っぽい/でん粉っぽい)
- 正しい考え方:類注2の「還元糖10%」で線引き。超えると17.02に行き得ます。
- 予防策:還元糖(乾燥基準)の分析結果を入手し、ロット差の有無も確認
- 間違い:アセチル化でん粉を“変性だから”と無条件で3505
- なぜ起きる:変性の程度(DS値)を確認していない
- 正しい考え方:日本の分類例規では、アセチル化でん粉はDS値0.01以上を変性でん粉として扱う整理が示されています。
- 予防策:DS値の試験成績を必須資料化(仕様書のテンプレに組み込む)
- 間違い:小売用(1kg以下)の接着剤を、原料樹脂(39類)として申告
- なぜ起きる:成分(樹脂)だけ見て用途・包装を見ない
- 正しい考え方:35.06は「小売用で1kg以下」の接着剤を明確に含み、Section VI 注2の趣旨も踏まえます。
- 予防策:包装形態(小売用表示、NET重量)をインボイス・仕様書に明記
- 間違い:2液接着剤キットを、樹脂と硬化剤で別々の品目として分類
- なぜ起きる:出荷形態(セット)を見落とす
- 正しい考え方:Section VI 注3は、混合して製品を得るセットの分類方針を示します。
- 予防策:セット梱包の写真、同梱構成、混合比、用途(接着)を資料化
- 間違い:酵素入り洗剤を3507(酵素)で申告
- なぜ起きる:主成分が酵素だと思い込む/洗剤としての販売実態を軽視
- 正しい考え方:類注1で「洗浄用途の酵素系調製品」は第34類へ除外されます。
- 予防策:界面活性剤の有無、洗浄用途表示、SDS・ラベルで用途を確認
- 間違い:円形に切り抜いたゼラチンシートを3503のまま申告
- なぜ起きる:原料がゼラチンなので見出しを固定してしまう
- 正しい考え方:3503で扱うシートは形状要件があり、切抜き・成形品は別項へ行き得ます。
- 予防策:形状(寸法・図面)、加工内容(打ち抜き・成形)を提出資料に入れる
- 間違い:たんぱく質加水分解物(食品用途)を3504と決め打ち
- なぜ起きる:「たんぱく質=第35類」という単純化
- 正しい考え方:税関解説では、成分・用途により21.06へ除外され得る例が示されています(調製食料品の添加物として使用するもの等)。
- 予防策:用途(食品原料か工業原料か)、食塩等の混合状況、最終製品としての提示形態を確認
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れます)。
- よくある落とし穴:
- 「最終製品HS」と「材料HS」を取り違える
- 同じ“酵素”でも、洗剤(34類)側に落ちるとPSRが全く変わる
- WPCの80%基準など、閾値でHSが変わるとPSRも変わります
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 税関のPSR検索画面でも、協定ごとに採用HS版が異なること、輸入申告は最新HSを使うことが注意書きされています。
- 例:RCEPは譲許表がHS2012ベースで、申告時は最新HSへ読み替える必要がある旨が税関資料で説明されています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- ①まず輸入国(日本)の最新HS(HS2022)でHS6桁を確定
- ②協定が参照するHS版(HS2012/2017等)へ、相関表(Correlation Table)で対応付け
- ③対応付けたコードでPSRを確認し、必要な工程・原価情報を当てはめる
- 相関表の入手先として、WCOおよび税関の案内があります。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 証明書類・保存要件(一般論):工程フロー、歩留まり、外注工程、分析成績書(含有率閾値品目は特に)
- 分類が揺れやすい品目(WPC、でん粉分解物、酵素系調製品、接着剤キット)は、分類根拠(閾値・用途・包装)もセットで保存がおすすめです。
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 変更なし(少なくとも第35類のHS6桁体系) | 3501〜3507 | 見出し構成・号(6桁)が同一 | 第35類内の6桁付番は基本的に継続利用(ただし各国の国内コード改正は別途確認) |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 根拠資料として、WCO公表のHS2017版・HS2022版の第35類(Chapter 35)の見出し・号を比較すると、3501〜3507の構成は同一です。
- また、WCOの相関表(Table I)は「HS2022で範囲が変わった、または新設されたサブヘディング」を列挙する趣旨ですが、第35類の主要コード(3501、3507等)は当該表に現れないことを確認できます(=変更対象として挙げられていない)。
- したがって、HS2017→HS2022で第35類(HS6桁)に実務上のコード変更はないと整理できます(※国内コードは国ごとに改正あり得るため別確認)。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
- HS2007→2012→2017→2022の流れで、少なくとも公開されているWCOの各版の第35類を見る限り、3501〜3507の見出し・号の枠組みは一貫しています。
| 版(例) | 主要コードの追加・削除・再編 | 旧コード→新コード(対応) | コメント |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 大きな再編なし(3501〜3507の枠組み維持) | 3501→3501 … 3507→3507 | 第35類の基本体系は安定 |
| HS2012→HS2017 | 大きな再編なし | 同上 | 見出し・号の構成が同一 |
| HS2017→HS2022 | 大きな再編なし | 同上 | 相関表でも変更対象として現れない整理 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):WPCの80%判定を示せず通関が止まる
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):3502に入る根拠(乾燥基準80%超)を提出できず、04.04側との境界が不明確
- 起きやすい状況:インボイス品名が「Whey protein concentrate」のみ、COAなし
- 典型的な影響:分類保留、追加資料要請、検査・分析、通関遅延
- 予防策:COA(乾燥基準たんぱく%)と計算根拠を事前に準備・保存
- 事例名(短く):“デキストリン”表示だが還元糖10%超で更正
- 誤りの内容:類注2の10%基準に照らすと17.02相当だった
- 起きやすい状況:サプライヤー名義で「dextrin」と表記されているだけ
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、以後の検査強化
- 予防策:還元糖分析(乾燥基準)の提出、ロットばらつき確認
- 事例名(短く):酵素入り洗剤を3507で申告し、34類へ振替
- 誤りの内容:類注1で洗浄用途の酵素系調製品は第34類へ除外
- 起きやすい状況:主成分が酵素で、担当者が“酵素=3507”と誤認
- 典型的な影響:再分類、SDS確認の追加、通関遅延
- 予防策:用途表示・界面活性剤の有無・SDSで「洗浄調製品」該当性を先に潰す
- 事例名(短く):小売用接着剤(1kg以下)を39類で申告し差戻し
- 誤りの内容:35.06(小売用1kg以下)を見落とし
- 起きやすい状況:成分(樹脂)だけで分類、包装仕様書がない
- 典型的な影響:修正申告、資料再提出、遅延
- 予防策:包装形態(小売用、NET重量)をインボイス・Packing Listに明記
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- 食品・食品添加物(ゼラチン、変性でん粉、酵素、たんぱく原料等)として輸入する場合、食品衛生法に基づく輸入届出などの手続が必要です(検疫所で受付・審査)。
- 酵素が食品添加物(加工助剤等)として扱われる場合、関連の基準・評価の枠組みが存在します(製品の位置づけ確認が重要)。
- 動物由来(動物検疫等)
- ゼラチン等の動物由来原料は、品目・由来・加工度によって、動物検疫所での手続や輸入条件の確認が必要になる場合があります。
- 化学物質管理(SDS/ラベル等)
- 接着剤(3506)は配合化学品であることが多く、成分によっては化管法SDS制度の対象(指定化学物質を一定含有率以上含む製品など)となり、他事業者への譲渡・提供時にSDS情報提供が求められます。
- 溶剤系接着剤は引火性等の危険有害性の観点から、輸送・保管・表示で別途要件が出ることがあります(製品SDSで確認が実務的です)。
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 食品等:厚生労働省(食品等輸入手続/検疫所)
- 動物由来:農林水産省 動物検疫所
- SDS等:経済産業省(化管法SDS制度)
- 実務での準備物(一般論):
- 食品系:原材料表、製造方法、添加物の使用状況、成分規格、COA
- 動物由来:原料部位・由来国、加工工程、必要に応じ輸出国証明書
- 接着剤・化学品:SDS、成分表(秘密情報は要相談)、用途、危険有害性情報、包装仕様
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 何由来の製品か(乳/卵/魚/植物/微生物)
- 乾燥基準の含有率(WPC80%など閾値)
- 還元糖(デキストリン10%)、DS値(アセチル化でん粉0.01)
- 用途(食品、洗浄、なめし、接着、培地、印刷等)
- 形状(シート/成形品/粉/液)・硬化の有無
- 包装(小売用か、正味重量、セット品か)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 第35類注の除外に当たらないか(酵母、洗浄用途酵素調製品、硬化たんぱく質等)
- 3502↔0404、3505↔1702、3507↔34類の境界を再点検
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- 「WPC」「maltodextrin」「enzyme preparation」「adhesive」など曖昧品名の補足(成分・用途・閾値根拠)
- 写真、SDS、COA、工程図(特に境界品)
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定のHS版(HS2012/2017等)と最新HSのズレを確認
- 相関表で読み替え、PSR適用コードを確定
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 食品用途:食品衛生法の輸入届出
- 動物由来:動物検疫手続の要否
- 接着剤:SDS/ラベルの義務対象確認
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
- HS2022 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
- HS2017 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
- HS2012 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
- HS2007 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
- Section VI Notes(注2・注3) (参照日:2026-02-20)
- Correlation Tables HS2017–HS2022(Table Iの位置づけ説明) (参照日:2026-02-20)
- Table I(検索上、3501/3507が現れない確認) (参照日:2026-02-20)
- 日本税関・公的機関のガイド
- 関税率表解説(第35類) (参照日:2026-02-20)
- 分類例規:アセチル化でん粉(DS値0.01) (参照日:2026-02-20)
- 品目別原産地規則(PSR)検索(HS版注意) (参照日:2026-02-20)
- HS2022改正(税関案内) (参照日:2026-02-20)
- RCEPとHS版の読み替え注意(税関資料) (参照日:2026-02-20)
- 規制(食品・動物検疫・化学物質)
- 食品等輸入手続(厚労省) (参照日:2026-02-20)
- 動物検疫所:輸入畜産物の検査手続 (参照日:2026-02-20)
- 動物性加工たん白質等の輸入検疫(ゼラチン等に触れる資料) (参照日:2026-02-20)
- 化管法SDS制度(対象物質/対象事業者/Q&A) (参照日:2026-02-20)
- その他(実務に有用)
- 税関:事前教示回答(品目分類) (参照日:2026-02-20)
- 税関:輸入貨物の品目分類事例 (参照日:2026-02-20)
- 税関:関税率表解説・分類例規の案内 (参照日:2026-02-20)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
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