用語は次で統一します。
- 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 家畜ふん堆肥・堆肥・植物性残さ由来肥料などの動物性・植物性肥料(3101)
- 尿素(水溶液を含む)(3102.10)
- 硫酸アンモニウム(3102.21)、硝酸アンモニウム(水溶液を含む)(3102.30)
- 過リン酸石灰(単・重・三重)(3103.11/3103.19)
- 塩化カリウム(3104.20)・硫酸カリウム(3104.30)
- 家庭園芸用の小袋肥料(総重量10kg以下)やタブレット状肥料(3105.10)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 動物の血:第05.11項(=第31類には入らない)
- 化学的に単一の化合物(原則):第31類注の例外(注2(a)・3(a)・4(a)・5)に当たらない限り、**第28類/第29類(無機/有機化学品)**側で検討
- 例:肥料用途でも「単一化合物」として扱われるものがあり得ます(SDS・純度で要確認)。
- 培養した塩化カリウム結晶(1個2.5g以上):第38.24項、塩化カリウムから製造した光学用品:第90.01項
- 肥料成分(N/P/K)を主要成分として含まない“土壌改良材・調整材”:第31.05項「その他の肥料」の定義に当てはまらず、他章(例:鉱物・化学品・調製品)を検討
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 包装・形状:タブレット状 or 総重量10kg以下の包装なら、まず 3105.10を最優先で確認(“この類の物品”を含む点が重要)
- 化学的に単一の化合物か:単一化合物は原則除外。ただし、注で列挙された例外(尿素等、MAP/DAP等)は第31類に残る
- 肥料成分の組合せ(Nのみ/Pのみ/Kのみ/複合):3102/3103/3104/3105の基本分岐
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- **10kg境界(総重量)**で3102〜3104/3101→3105.10へ“跳ぶ”のに気づかず、統計・原産地・社内マスタが崩れるケース
- **MAP/DAP(りん酸一/二アンモニウム)**を、リン酸肥料(3103)や無機化学品(28類)として扱ってしまうケース(注で3105に指定)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1(見出し+注)が最重要です。第31類は、類注(注2〜4)が「この項に入るのは列挙した品目だけ」と強く限定しています。よって、似ているからといって通則2(b)等で勝手に範囲拡大できません。日本税関の通則解説でも、第31類注を例に「範囲を拡大して含めることはできない」旨が明示されています。
- GIR6(号の選択):特に 3103(過リン酸塩のP2O5含有率)、3105(NP系の“硝酸塩+りん酸塩”有無)など、成分分析・化学形態がないと6桁が決まりません。
- 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
- 用途:肥料として使用する種類か(注6の「その他の肥料」要件に直結)
- 成分:N/P/Kの有無・組合せ、化学形態(硝酸塩・りん酸塩など)、含有率(P2O5等)
- 状態:固体/液体、水溶液/アンモニア溶液、被覆(コーティング)等
- 包装:総重量10kg以下か、タブレット状か(3105.10分岐)
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:肥料用途(施肥)として使用する種類か?
- YES → Step2へ
- NO/不明 → 注6の要件を満たさない可能性。土壌改良材・調製品・化学品等(他章)を並行検討
- Step2:第31類注1の除外に当たらないか?
- 動物の血(05.11)→ 除外
- 化学的に単一の化合物 → 原則除外(ただし注2(a)・3(a)・4(a)・5の例外は残る)
- 培養KCl結晶(2.5g/個以上)やKCl光学用品 → 除外
- Step3:包装・形状のチェック
- タブレット状/同様の形状 または 総重量10kg以下の包装 → 3105.10
- それ以外 → Step4へ
- Step4:MAP/DAP(りん酸一/二アンモニウム)か?
- YES(純粋か否かを問わず、両者の混合も含む)→ 3105(3105.40/3105.30)
- NO → Step5へ
- Step5:動植物性肥料(堆肥など)か?
- YES → 3101
- NO → Step6へ
- Step6:ミネラル/化学肥料で、Nのみ/Pのみ/Kのみか、複合か
- Nのみ(注2に列挙の範囲)→ 3102
- Pのみ(注3に列挙の範囲)→ 3103
- Kのみ(注4に列挙の範囲)→ 3104
- NPK/NP/PK/その他(注6の「その他の肥料」要件を満たす)→ 3105(.20/.51/.59/.60/.90)
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第31類 vs 第28/29類:単一化合物(SDSで高純度・一定組成)だと、第31類注1(b)で除外されることがあります(例外として尿素等は残る)。
- 第31類 vs 第38類:肥料成分のない土壌調整材や、KCl培養結晶(2.5g/個以上)等で境界が出ます。
- 3102/3103/3104 vs 3105:10kg以下包装(総重量)・タブレット、または複合(NPK/NP/PK)で3105へ。
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 3101 | 動物性・植物性肥料(混合/化学処理を含む) | 堆肥、家畜ふん堆肥、植物残さ肥料、油かす系肥料 | 動物の血(05.11)は除外。10kg以下包装・タブレットなら3105.10が先に来得ます。 |
| 3102 | 窒素質の鉱物性・化学肥料 | 尿素、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、硝酸ナトリウム、尿素+硝安溶液(UAN) | 類注2で列挙された範囲のみ。10kg以下包装等は除外(→3105.10)。 |
| 3103 | りん酸質の鉱物性・化学肥料 | 過リン酸石灰、焼成リン鉱石、塩基性スラグ | 類注3で列挙された範囲のみ。過リン酸はP2O5含有率で3103.11/3103.19。CaHPO4はF≥0.2%条件に注意。10kg以下包装等は除外(→3105.10)。 |
| 3104 | 加里質の鉱物性・化学肥料 | 塩化カリウム、硫酸カリウム、粗の天然カリ塩 | 類注4で列挙された範囲のみ。培養KCl結晶(2.5g/個以上)は除外(38.24)。10kg以下包装等は除外(→3105.10)。 |
| 3105 | NPK複合、その他肥料、及び「この類の物品のうち」小包装/タブレット | NPK複合肥料、DAP、MAP、NP肥料、PK肥料、被覆尿素等の調製肥料、家庭園芸用小袋 | 3105.10(タブレット/総重量≤10kg)が非常に強い分岐。MAP/DAPは注5で3105指定。「その他の肥料」は注6の要件(N/P/Kを主要成分として含む)あり。 |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(この類で頻出)
- 包装(総重量10kg以下)/タブレット状:3105.10
- MAP/DAP:3105.40(MAPおよびMAP+DAP混合)、3105.30(DAP)
- 過リン酸石灰(3103系):P2O5が 35%以上 → 3103.11、その他 → 3103.19
- NP肥料(3105.5x):「硝酸塩+りん酸塩を含む」→ 3105.51、その他 → 3105.59
- “単一化合物”判定:注1(b)の原則除外に当たると、そもそも第31類から外れます(例外:尿素等、MAP/DAP等)。
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 3102.xx(バルク) vs 3105.10(小包装/タブレット)
- どこで分かれるか:総重量10kg以下包装か、タブレット等か
- 判断に必要な情報:包装形態、総重量(グロス)、販売形態(家庭園芸用か等)
- 典型的な誤り:ネット重量だけ見て10kg以下と誤判断、または小袋でも3102のままにしてしまう
- 3103.11 vs 3103.19(過リン酸塩)
- どこで分かれるか:P2O5含有率35%の閾値
- 判断に必要な情報:成分分析(P2O5%)、規格書
- 典型的な誤り:「過リン酸=全部同じ」として一括で扱う
- 3105.30/3105.40(DAP/MAP) vs 3103/28類
- どこで分かれるか:注5によりMAP/DAPは3105に固定
- 判断に必要な情報:化学名称(SDS)、成分(NH4+とPO4の形態)、混合か
- 典型的な誤り:リン酸肥料=3103に寄せる/化学品として28類に寄せる
- 3105.51 vs 3105.59(NP肥料)
- どこで分かれるか:「硝酸塩(nitrates)とりん酸塩(phosphates)を含む」か
- 判断に必要な情報:原料・反応系、イオン形態、SDS、配合表
- 典型的な誤り:NとPが入っていれば一括で3105.59にしてしまう
- 3104.20(KCl) vs 注1(c)除外(培養KCl結晶等)
- どこで分かれるか:培養結晶で1個2.5g以上等の条件
- 判断に必要な情報:結晶の製法(培養か)、単体重量、用途(光学等)
- 典型的な誤り:KClは全部3104.20と決め打ちする
- 3102.xx(バルク) vs 3105.10(小包装/タブレット)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第31類が属する**第6部(化学工業等)**には、「複数成分を“セット”で提示し、混合して化学品(第6部または第7部の製品)を作るもの」の分類ルールがあります。条件(同梱・一緒に使うことが明確・相互補完)が揃うと、完成品(混合後の製品)側の見出しで分類します。
- 実務での意味(具体例つき):
- 例:**液体肥料のA液/B液(混合して使う)**を“セット”で輸入し、包装態様が部注の要件を満たす場合、個別に分けて分類するのではなく、混合後の「肥料」としての分類(第31類側)を検討する、という発想になります。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- セットが「肥料」ではなく、混合後に第7部(プラスチック等)や第38類(調製化学品)相当の製品になる場合、その完成品側見出しに寄る可能性があります。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 注1:第31類に入らないもの(動物の血/単一化合物の原則除外/培養KCl結晶等)を明確化
- 注2〜4:3102/3103/3104は「列挙品目だけ」。さらに3105の形状・包装(10kg等)にしたものは除外(=3105側へ)
- 注5:MAP/DAPは(純否問わず)必ず3105
- 注6:3105の「その他の肥料」は、肥料用途で、主要成分としてN/P/Kのいずれかを含むものに限定
- 用語定義(定義がある場合):
- 「その他の肥料」=肥料用途かつN/P/Kを主要成分として含む(注6)
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 動物の血 → 05.11
- 培養KCl結晶(一定条件) → 38.24、KCl光学用品 → 90.01
- 単一化合物(例外以外) → 28類/29類側で検討
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。
- 影響ポイント1:10kg以下包装/タブレット → 3105.10へジャンプ
- 何を見れば判断できるか(必要情報):包装仕様、ラベル表示、総重量(グロス)、形状(粒状/錠剤等)
- 現場で集める証憑:製品梱包仕様書、外装写真、SKU一覧、出荷形態(小売向け/業務向け)
- 誤分類の典型:業務用と同じつもりで3102〜3104のまま申告、またはネット重量で判断してしまう
- 影響ポイント2:単一化合物の原則除外(ただし注の例外は残る)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):SDS、CAS、純度、化学式、製造プロセス(反応生成物か単離精製品か)
- 現場で集める証憑:SDS、CoA(分析証明)、規格書、製造工程図
- 誤分類の典型:「肥料用途だから第31類」と決め打ちして、注1(b)のフィルターを飛ばす
- 影響ポイント3:MAP/DAP固定(注5)と、分析値閾値(例:P2O5 35%)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):化学名称(MAP/DAPか)、P2O5含有率(過リン酸)、特定成分(例:CaHPO4のF含有率0.2%)
- 現場で集める証憑:成分分析(P2O5、F等)、SDS、原料配合表
- 誤分類の典型:MAP/DAPを3103に寄せる/過リン酸を分析なしで3103.11に寄せる
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:小袋の尿素(例:5kg×2袋)を3102.10のままにする
- なぜ起きる:成分(尿素)だけ見て、包装条件(総重量10kg以下/タブレット)を後回しにする
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):3105は「この類の物品で、10kg以下包装/タブレット」を含むため、まず3105.10を確認します。
- 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
- 仕様書:外装の総重量、販売単位(小売/業務)
- 質問例:「輸入時の最小包装単位は?グロス何kg?」
- 間違い:DAP/MAPを3103(りん酸質肥料)や28類に分類してしまう
- なぜ起きる:リン酸系=3103という思い込み、または単一化合物=28類という思い込み
- 正しい考え方:注5によりMAP/DAP(純否問わず、混合含む)は3105に分類します。
- 予防策:
- SDSで化学名称を確定(MAP/DAPか)
- 質問例:「製品は“りん酸一アンモニウム/二アンモニウム”そのものですか?混合比は?」
- 間違い:“肥料用途の単一化合物”を第31類に入れてしまう
- なぜ起きる:用途優先で、注1(b)の「単一化合物は原則除外」を見落とす
- 正しい考え方:単一化合物は原則第31類から外れます(ただし注2(a)・3(a)・4(a)・5で例外指定されたものは第31類)。
- 予防策:
- SDS・純度・CASで「単一化合物か/調製品か」を先に判定
- 質問例:「純度は何%?副成分は工程由来か、意図的添加か?」
- 間違い:被覆尿素(硫黄/樹脂コーティング等)を“尿素だから3102.10”と決める
- なぜ起きる:基材が尿素なので3102に寄せたくなる
- 正しい考え方:3102は類注2の列挙品目に限られ、添加・被覆の態様によっては「その他の肥料(3105.90)」側が現実的になります。日本税関の事前教示公開事例でも、尿素に硫黄等を被覆した肥料が3105.90-000とされている例があります(国内コード)。
- 予防策:
- 被覆材(硫黄、樹脂、ワックス等)の種類・割合を把握
- 質問例:「被覆目的は徐放性?被覆材の重量%は?」
- 間違い:過リン酸塩を3103.11(P2O5 35%以上)と決め打ち
- なぜ起きる:品名(トリプル過リン酸等)だけで高濃度だと思い込む
- 正しい考え方:3103.11/3103.19はP2O5含有率35%で分かれます。分析値が必要です。
- 予防策:
- 成分分析(P2O5%)を調達
- 質問例:「保証成分(P2O5)は何%?測定方法は?」
- 間違い:NP肥料を3105.51/3105.59で取り違える
- なぜ起きる:NとPが入っていれば同じ、と見てしまう
- 正しい考え方:3105.51は「硝酸塩とりん酸塩を含む」、3105.59はそれ以外です。化学形態がポイントです。
- 予防策:
- SDSで硝酸態N/りん酸態Pの有無を確認
- 質問例:「窒素源は硝酸塩系?アンモニア態?尿素態?」
- 間違い:リン酸肥料(3103)に、無機非肥料成分を混ぜた製品を“3105”に寄せてしまう
- なぜ起きる:「混合=3105」と短絡する
- 正しい考え方:類注3(c)は、列挙品目(例:重過リン酸石灰)と白亜・石膏等の“肥料でない無機物”の混合でも3103に入り得ることを示します。日本税関の分類事例でも、重過リン酸石灰等を混合した肥料が3103.90(国内コード3103.90-000)とされています。
- 予防策:
- “混ぜた相手”が何か(白亜/石膏/他無機)を確認
- 質問例:「混合相手は肥料成分か、担体(非肥料)か?」
- 間違い:堆肥等(3101)を、10kg以下の小売包装でも3101のままにする
- なぜ起きる:3105が“鉱物/化学肥料の見出し”に見え、小売包装規定が3101にも及ぶと気づかない
- 正しい考え方:3105.10は「この類の物品(=Chapter 31全体)」の小包装/タブレットを含むため、3101相当品でも包装によって3105.10を検討します。
- 予防策:
- “家庭園芸用”SKUは別管理(3105.10候補)
- 質問例:「同一製品で業務用(20kg)と小売用(5kg)が混在していない?」
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。例えば、同じ尿素系でも小袋(3105.10)とバルク(3102.10)でPSRが変わり得るため、誤分類すると原産性判断(CTH/CTSH/RVC等)の前提が崩れます。
- よくある落とし穴
- 最終製品HSだけでなく、主要原材料のHSもCTC判定の前提になる
- “肥料”のつもりで進めたが、注1(b)で第28/29類に移り、PSRが別物になる
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 協定・制度によって参照するHS版が異なることがあります。日本税関のPSR検索等でも、協定が参照するHS版を意識して検索する必要がある旨が示されています。
- 第31類で実務上効く例(ズレの具体例)
- HS2012では3103.10(過リン酸塩)、HS2017以降は3103.11/3103.19に分割されています。協定がHS2012参照のPSRであれば、旧コード(3103.10)側で規則が書かれている可能性があるため、トランスポジションが必要です。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM):原材料の原産国、HS(可能なら6桁以上)、含有比率
- 原価情報:RVC計算の基礎(協定で定義が異なるため、計算式と対象コストを協定に合わせる)
- 工程情報:混合・造粒・被覆などで「製造」評価がどう変わるか
- 証明書類・保存:自己申告/第三者証明の要否、保存年限(協定・国内運用で要確認)
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 変更なし(実務上の号体系差分なし) | 3101〜3105 | WCOのChapter 31(注・見出し/号)ベースで差分が見当たりません | HS更新対応は比較的軽い(ただし国内細分・税率・他法令は別途確認) |
| (参考)HS2012→HS2017 | 分割 | 3103.10 → 3103.11/3103.19 | 過リン酸塩(superphosphates)をP2O5含有率35%で分割 | FTA/EPA等がHS2012参照だとトランスポジションが必要 |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- HS2017→HS2022について
- 根拠資料として、WCOが公開するHS2017版とHS2022版のChapter 31(注および見出し/号の列挙)を突合しました。その結果、3101〜3105の範囲で条文・号体系に差分が見当たらないため、「変更なし」と整理しています。
- HS2012→HS2017について(参考として重要)
- WCO相関表(HS2017→HS2012)において、3103.10が3103.11/3103.19へ分割され、3103.11はP2O5 35%以上を対象とする旨が明示されています。
- 併せて、HS2012版のChapter 31では3103.10が単一号、HS2022版では3103.11/3103.19となっていることを確認しました。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第31類(肥料)について、主要な再編が確認できるポイントを整理します(HS6桁中心)。
| 期間 | 主要な追加・削除・再編 | 旧コード→新コード(目安) | 補足 |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 主要な再編なし(少なくとも3103の構造は維持) | 3103.10(継続) | HS2007/2012のChapter 31に3103.10が存在 |
| HS2012→HS2017 | 3103.10の分割 | 3103.10 → 3103.11(P2O5≥35%)/3103.19(その他) | WCO相関表で分割理由(監視・統計目的の細分化)が説明 |
| HS2017→HS2022 | 主要な再編なし | 3101〜3105(継続) | HS2017/2022のChapter 31で同一体系 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):小袋肥料なのにバルクコードで申告
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):3105.10の包装要件を見落とし(見出し文言の優先)
- 起きやすい状況:業務用(20kg)と家庭園芸用(1〜5kg)が同一マスタで運用
- 典型的な影響:申告更正、統計・協定税率管理の修正、社内PSR判定のやり直し
- 予防策:SKU単位で包装(グロス)を必須属性化、輸入前レビューで3105.10チェック
- 事例名:MAP/DAPを3103で申告
- 誤りの内容:注5(MAP/DAPは3105へ)を無視
- 起きやすい状況:品名が「リン酸肥料」「リン安」等で、実体がMAP/DAP
- 典型的な影響:税番更正、原産地規則(PSR)の再評価、商品マスタの是正
- 予防策:SDSの化学名でMAP/DAP判定→3105固定、品名ルール(和名+化学名併記)
- 事例名:単一化合物を“肥料だから31類”で処理
- 誤りの内容:注1(b)(単一化合物の原則除外)を見落とし
- 起きやすい状況:化学メーカー品で高純度、しかし用途が肥料
- 典型的な影響:税番更正、規制該当性(化学品側の法令)確認のやり直し
- 予防策:SDS/純度で「単一化合物か」を最初に判定、注の例外(尿素等)と照合
- 事例名:A液/B液(混合して使う肥料)を別々に申告して整合が崩れる
- 誤りの内容:部注(セット)・実態(混合して使用)と申告形態が不整合
- 起きやすい状況:物流上A/Bを別品番で管理し、通関も別建てにしてしまう
- 典型的な影響:説明資料の追加提出、審査長期化
- 予防策:提示形態(同梱/セット)を整理し、混合後製品の分類根拠を準備
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- 第31類は動植物由来のもの(堆肥等)も含むため、成分・由来によっては別途(検疫/環境/廃棄物系)論点が出ることがあります。ここは個別品目で行政照会が必要です(一般論)。
- その他の許認可・届出(日本の肥料制度)
- 肥料を生産・輸入・販売する場合、原則として「肥料の品質の確保等に関する法律」に基づく登録・届出・表示が必要とされています。
- 輸入通関に際しても、肥料の種類(普通肥料/外国生産肥料/指定混合肥料/特殊肥料)に応じて、登録証・証明書等を輸入関係書類と対査確認する運用が示されています。
- 輸出入で証明書が必要な場合、農林水産省の案内に沿って申請する枠組みがあります。
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 化学品・肥料の一部は用途・成分によって別途確認が必要な場合があります。輸出時は社内の該非判定フロー(SDS・成分・用途)に載せてください(一般論)。
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 農林水産省:肥料制度、輸入時の税関確認、輸出入証明
- 税関:品目分類(通則・解説)、事前教示(後述)
- 実務での準備物(一般論):
- 肥料法関連:登録証/仮登録証/各種証明書、製品名の整合(インボイス品名と登録名)
- 分類根拠:SDS、成分表(N/P/K、P2O5、F等)、配合・製造工程、包装仕様(グロス)
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 化学名(MAP/DAP等)、SDS、CAS、純度
- N/P/K含有(保証成分)、P2O5、必要ならF含有(CaHPO4系)
- 製造工程(混合・造粒・被覆・溶液化)
- 包装仕様:最小販売単位、総重量(グロス)、タブレット/スティック等の形状
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 注1の除外(血、単一化合物、培養KCl結晶等)を再点検
- 3102〜3104が「列挙品目のみ」である点を再点検(通則解説の指摘も踏まえる)
- 3105.10(10kg以下/タブレット)に当たらないか再点検
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名:一般名+化学名(例:monoammonium phosphate)
- 同一製品の包装違い(20kg/5kg)を同一税番で運用していないか
- 税関説明用:写真、SDS、成分保証書、包装仕様書
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が参照するHS版(HS2012等)を確認し、必要ならトランスポジション(3103.10→3103.11/19)
- BOM、原産国、工程、RVC/CTCの根拠資料を保存
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 肥料法:登録・届出の要否、輸入時の証明書類の準備
- 物流:危険物該当がないかSDSで確認(一般論)
12. 参考資料(出典)
- WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 31 “Fertilisers”(注・見出し/号) (参照日:2026-02-20)
- WCO HS Nomenclature 2017:Chapter 31 “Fertilisers” (参照日:2026-02-20)
- WCO HS Nomenclature 2012:Chapter 31 “Fertilisers” (参照日:2026-02-20)
- WCO HS Nomenclature 2007:Chapter 31 “Fertilisers” (参照日:2026-02-20)
- WCO HS2022:Section VI Notes(セットの扱い等) (参照日:2026-02-20)
- 日本税関:関税率表の解釈に関する通則(解説。第31類注を例示) (参照日:2026-02-20)
- 日本税関:関税率表解説 第31類(類注) (参照日:2026-02-20)
- 日本税関:HS2017-HS2012 相関表(3103.10分割の根拠) (参照日:2026-02-20)
- 農林水産省:肥料の品質と安全性の確保(肥料制度の全体像) (参照日:2026-02-20)
- 農林水産省:輸入肥料の税関確認事務(通達・確認書類の考え方) (参照日:2026-02-20)
- 農林水産省:肥料の輸出・輸入証明 (参照日:2026-02-20)
- 日本税関:分類事例(肥料 3103.90 の例。国内コード記載あり) (参照日:2026-02-20)
- 日本税関:Advance Classification Ruling System(事前教示制度・英語) (参照日:2026-02-20)
- 日本税関:文書による事前教示照会書 記載例(品目分類) (参照日:2026-02-20)
- 日本税関:PSR検索(HS版の違いに留意する旨) (参照日:2026-02-20)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
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