0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 0501:未加工の人毛(洗浄・梳毛程度を含む)や人毛くず
- 0502:豚毛・猪毛、アナグマ毛など「ブラシ用の毛」
- 0504:魚以外の動物の腸・膀胱・胃(ソーセージの天然ケーシング原料など)
- 0505:清浄・消毒・保存処理までの羽毛・ダウン(それ以上の加工は別類へ)
- 0506/0507/0508:骨・角芯・象牙・べっ甲・サンゴ・貝殻等(未加工〜簡易処理で、形に切り出していないもの)
- 0510/0511:動物由来の医薬用原料(一定の状態のもの)、動物精液、魚由来原料、その他「他に当たらない動物性生産品」など(号の切り分けあり) (Fiji Revenue & Customs Service)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 食用の動物性産品:原則として第4類/第16類等(ただし「腸・胃・膀胱」や「動物血(液状・乾燥)」は例外的に第5類に残ることがある) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 原皮・原毛皮(毛皮を含む):第41類/第43類(ただし、特定の鳥の皮(羽毛付き)や、原皮の切り屑等が第5類に来得る例外あり) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 動物の繊維原料(羊毛・獣毛など):原則として第XI部(繊維)側(例外として「馬毛」は第5類側で扱う旨の定義あり) (Fiji Revenue & Customs Service)
- ブラシ製造用に“結束・房状に加工された毛(タフト等)”:9603(準備された結び目・房) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 加工して形ができている象牙・骨・サンゴ等(彫刻品、切り出し品):多くは第96類(例:9601)等へ(「未加工〜簡易処理・未切り出し」かが鍵)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 加工度(未加工/洗浄・消毒・保存処理まで/染色・漂白・成形・切り出し済み など)
- 材質の定義が注で拡張される(例:「ivory(象牙)」の扱い、「horsehair(馬毛)」の定義) (Fiji Revenue & Customs Service)
- “他に該当しない”の前に、除外(他章)を潰す(食用、皮革、繊維、刷毛用タフト等)
- この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- **ワシントン条約(CITES)対象の素材(象牙・べっ甲・サンゴ等)**を含む貨物:分類以前に、そもそも輸出入可否・許可書類で止まる可能性があります。 (jetro.go.jp)
- 動物検疫の対象になり得る動物由来物(骨・血・皮・毛・羽・角・精液等):通関前工程(検疫・証明書)で遅延しやすいです。 (maff.go.jp)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR:
- **GIR1(見出し+注)**がほぼ勝負です。第5類は「他に該当しない動物性生産品」という性格が強く、類注(Notes 1〜4)での除外・定義がそのまま分類の結論に直結します。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- GIR6(号レベルの決定):特に0511は「牛の精液」「魚由来」「その他」で号が割れます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 「品名だけで決めない」ための観点(第5類で効きやすい軸):
- 用途:食用か、工業用か、医薬原料か、ブラシ用か(※用途が見出し文言に入っている例がある)
- 材質:何の動物由来か(象牙の定義拡張などに注意) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 状態・加工度:「unworked/simply prepared/not cut to shape」等の条件を満たすか
- 形状:粉末・くず・層状、束ね品(タフト)など
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:動物由来か?
- はい → Step2へ
- いいえ → 第5類ではありません
- Step2:食用の動物性産品か?
- はい → 原則 第4類/第16類等を検討
- ただし、腸・膀胱・胃(魚以外)、および 動物血(液状・乾燥) は第5類側に残り得る例外として注で扱われます(=「食用だから即除外」と決めない)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- Step3:皮・毛皮(原皮)か?
- はい → 原則 第41類/第43類
- ただし、羽毛付きの鳥の皮(0505)や、原皮の切り屑等(0511に来得る)など、注に出る例外あり。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- Step4:繊維原料(羊毛など)としての動物毛か?
- はい → 原則 第XI部(繊維)
- ただし、**馬毛(定義上は“馬・牛のたてがみ/尾の毛”)は第5類側(0511)**に来得ます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- Step5:ブラシ製造用に“準備されたタフト(結び目・房)”になっているか?
- はい → 9603
- いいえ → Step6へ (Fiji Revenue & Customs Service)
- Step6:この類のどの項に当たるかを当てにいく
- 人毛 → 0501
- 豚毛/獣毛(ブラシ用)→ 0502
- 腸等 → 0504
- 羽毛・ダウン(洗浄等まで)→ 0505
- 骨・角芯 → 0506
- 象牙・べっ甲・鯨骨等 → 0507
- サンゴ・貝殻・甲いか骨等 → 0508
- 特定の動物由来医薬原料(一定状態)→ 0510
- その他(牛精液、魚由来、馬毛、原皮くず等を含む)→ 0511 (Fiji Revenue & Customs Service)
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第5類 ↔ 第67類(人毛・羽毛の“加工品”側)
- 第5類 ↔ 第96類(骨・象牙・サンゴ等が“切り出し・彫刻・成形済み”になったら移る)
- 第5類 ↔ 第XI部(繊維原料としての動物毛)
- 第5類 ↔ 第23類(魚粉・ペレット等の飼料原料)
- 第5類 ↔ 第30類/第35類(医薬品/抽出物/ゼラチン等に加工が進んだ場合)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
以下はHS2022の第5類(Chapter 5)の項を、実務目線で要約して整理したものです。 (Fiji Revenue & Customs Service)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 0501 | 未加工の人毛、人毛くず | カツラ原料の人毛束(未加工)、人毛くず | 「加工(working)」の程度が鍵。長さで選別しても一定条件なら未加工扱い(類注2)。加工済み(染色・脱色・パーマ・根元揃え等)は別類になり得る (Fiji Revenue & Customs Service) |
| 0502 | 豚毛・猪毛、アナグマ毛等のブラシ用毛、くず | 歯ブラシ/ヘアブラシ用の豚毛、刷毛用獣毛 | “ブラシ用毛”の性格が強い。タフト等に「準備」されると9603へ除外 (Fiji Revenue & Customs Service) |
| 0504 | (魚以外の)腸・膀胱・胃(各種状態) | 天然ケーシング(塩蔵腸) | 魚は除外(文言)。ソーセージ用腸と、医療用縫合糸等(滅菌済み等)との境界に注意 |
| 0505 | 羽毛・羽毛付き鳥皮、ダウン(清浄/消毒/保存処理まで) | ダウン原料、羽毛原料 | 洗浄・消毒・保存処理までが範囲。染色・装飾加工・製品化は第67類などへ移りやすい (Fiji Revenue & Customs Service) |
| 0506 | 骨・角芯(未加工/脱脂/簡易処理・未切り出し)、粉・くず | 骨片、角芯、骨粉(範囲内のもの) | 「切り出して形がある」かどうかが決定的。ゼラチン等に加工が進むと別類(例:第35類)へ |
| 0507 | 象牙・べっ甲・鯨骨・角・ひづめ等(未加工/簡易処理・未切り出し)、粉・くず | 象牙原材、角材、爪・くちばし等の原材 | “ivory(象牙)”の定義が広い(類注3:カバ・セイウチ等の牙、サイ角、動物の歯等も含み得る)。CITES等の規制面も要注意 (Fiji Revenue & Customs Service) |
| 0508 | サンゴ・貝殻・甲いか骨等(未加工/簡易処理・未切り出し)、粉・くず | サンゴ原材、貝殻、甲いか骨 | 加工してビーズ状・装飾品状になると別類へ。サンゴはCITES対象になり得る (Fiji Revenue & Customs Service) |
| 0510 | アンバーグリス等、乾燥胆汁、腺などの医薬原料(一定状態) | ムスク、胆汁、腺(医薬原料) | 「医薬原料として使われる動物性産品」+「鮮冷/凍結/仮保存」等の状態がキー。抽出・製剤化が進むと第30類側へ寄る可能性 |
| 0511 | その他の動物性生産品(他に該当しない)、第1類/第3類の死体(食用不適)など | 牛の精液、魚由来原料、馬毛、原皮の切り屑等 | “その他”の受け皿。ただし号で(牛精液/魚由来/その他)に割れる。類注4により「馬毛」はここへ来得る (Fiji Revenue & Customs Service) |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
第5類は「項(4桁)」よりも、**“加工度”と“除外(他章)”**で事故が起きやすい一方、6桁でも押さえるべき割れ方があります。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 分岐条件の整理(頻出)
- 0502:**豚毛等(0502.10)**か、それ以外(0502.90)か
- 0505:**充てん用羽毛・ダウン(0505.10)**か、それ以外(0505.90)か
- 0506:**酸処理骨(ossein等:0506.10)**か、その他(0506.90)か
- 0507:**象牙(0507.10)**か、その他(0507.90)か(※象牙の定義に注意)
- 0511:牛の精液(0511.10)/魚・水生無脊椎動物由来等(0511.91)/その他(0511.99) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 0501(未加工人毛) ↔(他類)人毛の加工品(例:かつら材料)
- どこで分かれるか:「working(加工)」に当たる処理があるか
- 判断に必要な情報:工程(洗浄・消毒・漂白・染色・パーマ・根元揃え・束ね方)、写真
- 典型的な誤り:「長さ選別した=加工品」と誤認(類注2は、一定条件の“長さ選別”は加工とみなさない旨) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 0502(毛そのもの) ↔ 9603(準備されたタフト等)
- どこで分かれるか:毛が結び目/房状に“準備”されているか
- 判断に必要な情報:輸入形態(束ね方、台座への固定有無)、商品説明(“tuft”“knot”等)
- 典型的な誤り:ブラシ用毛は全部0502と思い込む(類注1(d)で除外) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 0505(洗浄/消毒/保存処理までの羽毛) ↔(他類)染色・装飾加工済み羽毛
- どこで分かれるか:第5類は“それ以上加工していない”範囲に限定される(文言上の制約) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 判断に必要な情報:加工工程、SDS/仕様、着色の有無、用途(装飾品か詰物材か)
- 0507.10(象牙) ↔ 0507.90(その他)
- どこで分かれるか:材質が“ivory”に該当するか(類注3で定義が広い) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 判断に必要な情報:動物種、部位(牙・歯・角)、成分鑑別、由来証明
- 典型的な誤り:「象(ゾウ)だけが象牙」と誤認
- 0511.10/0511.91/0511.99
- どこで分かれるか:牛精液か、魚等の由来か、それ以外か (Fiji Revenue & Customs Service)
- 判断に必要な情報:動物種、用途(繁殖用・研究用等)、形状(液体/凍結等)
- 0501(未加工人毛) ↔(他類)人毛の加工品(例:かつら材料)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第5類は「第I部(動物)」の中でも、**“他に該当しない動物性の原材料”**が集まりやすい類です。
- 実務では、部注そのものよりも、(a)類注の除外、(b)他部(第XI部=繊維、第VIII部=皮革等)への飛び先をセットで把握するのが有効です。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 実務での意味(具体例つき):
- 「毛だから第5類」と決めず、繊維原料(第XI部)なのか、ブラシ用(第5類0502)なのか、タフト(9603)なのかを工程・形状で見ます。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 動物の繊維原料 → 第XI部
- 原皮・毛皮 → 第41類/第43類
- 刷毛・ブラシの部材として準備された毛 → 9603 (Fiji Revenue & Customs Service)
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
第5類の類注(Notes)は、実務の分岐点がそのまま書かれているタイプです。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- ポイント要約:
- 類注1(除外):
- 食用の動物性産品は原則除外(ただし腸等・動物血は例外)
- 皮・毛皮は原則除外(ただし0505や、0511に来得る“原皮くず”の例外が注示)
- 動物の繊維原料は原則除外(ただし馬毛は例外)
- ブラシ用に準備された結び目・房(タフト)は9603へ除外 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 類注2(0501の“加工”の考え方):一定条件の長さ選別は加工とみなさない (Fiji Revenue & Customs Service)
- 類注3(象牙の定義):象以外の牙・歯・サイ角等も“ivory”とみなす枠組み (Fiji Revenue & Customs Service)
- 類注4(馬毛の定義と帰属):馬毛=(馬/牛の)たてがみ・尾の毛、そして馬毛は0511に含まれ得る (Fiji Revenue & Customs Service)
- 類注1(除外):
- 用語定義(定義がある場合):
- “ivory(象牙)”の範囲(類注3) (Fiji Revenue & Customs Service)
- “horsehair(馬毛)”の意味(類注4) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 食用の動物性産品 → 原則 第4類/第16類等(例外あり) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 原皮・毛皮 → 第41類/第43類 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 動物の繊維原料 → 第XI部 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 準備されたタフト等 → 9603 (Fiji Revenue & Customs Service)
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。
- 影響ポイント1:“食用”かどうかで単純に切れない(例外がある)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 取引実態(食用向けか、工業・飼料・医薬原料か)
- 品目の性状(腸・膀胱・胃なのか、動物血なのか)
- 現場で集める証憑:
- 仕様書、用途説明、製造工程、写真、成分/由来情報
- 誤分類の典型:
- 「食用っぽい」だけで第4類/第16類へ飛ばし、注の例外(腸・動物血)を見落とす (Fiji Revenue & Customs Service)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:馬毛は“動物繊維”でも第XI部とは限らない
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 毛の種類(たてがみ/尾か)、動物種(馬/牛由来か)
- 形状(毛束、くず、層状等)
- 現場で集める証憑:
- 仕様書(由来部位・動物種)、写真、鑑別結果
- 誤分類の典型:
- 「動物毛=繊維=第XI部」と短絡し、**類注4による“馬毛の扱い”**を落とす (Fiji Revenue & Customs Service)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:“象牙”の定義が広く、材質鑑別ミスが分類ミスになる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 素材が牙・歯・角のどれか、動物種
- 現場で集める証憑:
- 材質鑑別、由来証明、CITES関連書類(該当時)
- 誤分類の典型:
- 象以外の素材を「骨・角」として0506/0507.90等へ寄せてしまう (Fiji Revenue & Customs Service)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:長さで選別した人毛を“加工品”として別類にしてしまう
- なぜ起きる:選別=加工と誤解しやすい
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):0501では、一定条件の長さ選別は加工とみなさない旨の整理があります(類注2)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 予防策:
- 「根元と毛先が揃うように並べているか」「染色・漂白・パーマ等の処理があるか」を仕様書に明記
- 入荷形態(束・ネット・テープ固定等)の写真を保管
- 間違い:ブラシ用の毛束(タフト)を0502で申告
- なぜ起きる:素材が豚毛等なので0502と思い込みやすい
- 正しい考え方:ブラシ用に準備された結び目・房は9603へ除外(類注1(d))。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 予防策:
- 形状(結束方法、台座、接着の有無)を確認
- サプライヤーに「tuft / knot / prepared for brush making」の有無を質問
- 間違い:染色・装飾加工済みの羽毛を0505のまま
- なぜ起きる:羽毛=0505の固定観念
- 正しい考え方:0505は洗浄・消毒・保存処理まで等、“それ以上の加工がない”範囲に寄ります(見出しの条件)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 予防策:
- 加工工程(染色・漂白・カール等)を工程表で確認
- 用途(詰物材か装飾材か)をインボイスに補足
- 間違い:天然ケーシング用の腸(0504)を“肉製品”として扱う/逆に、加工済みを0504に残す
- なぜ起きる:食用・畜産物のイメージで分類が揺れる
- 正しい考え方:0504は「腸・膀胱・胃(魚以外)」が対象(見出し文言)。一方、滅菌済み縫合糸など用途・加工度によっては第30類等へ移る可能性もあります(加工度で判断)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 予防策:
- 「用途(食品用ケーシングか医療用か)」と「滅菌の有無」を確認
- 動物検疫対象性も並行確認(後述) (maff.go.jp)
- 間違い:骨や象牙・サンゴなど“切り出して形ができている”のに第5類で申告
- なぜ起きる:材料名(骨・象牙)に引っ張られる
- 正しい考え方:第5類(0506/0507/0508)は基本的に“未加工〜簡易処理・未切り出し”が中心。成形・彫刻・ビーズ状等は第96類等へ寄ります(加工度が決定的)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 予防策:
- 形状写真(寸法が分かるもの)を必ず取得
- 加工工程(切断・穴あけ・研磨・彫刻)を工程表で確認
- 間違い:“象牙=ゾウの牙だけ”として0507.10の対象を狭く見てしまう
- なぜ起きる:一般用語の象牙と、HSの定義がズレる
- 正しい考え方:HSの類注では“ivory”の範囲を広く扱う整理があります(類注3)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 予防策:
- 動物種・部位の証明(原産証明とは別に「材質由来」資料)を用意
- CITES対象可能性を早期にチェック (税関総合情報)
- 間違い:0511(魚由来)と、魚粉等(第23類)を混同
- なぜ起きる:“魚のくず=飼料”でひとまとめにしがち
- 正しい考え方:0511.91は魚等由来の“その他”が来得ますが、粉・ミール・ペレット等は第23類側を検討すべき場面があります(形状・用途・見出し文言で詰める)。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- 予防策:
- 形状(粉末/ペレット/液体/固形片)と用途(飼料/肥料/抽出用)を確認
- 製造工程(乾燥・粉砕の程度)を入手
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します
- 第5類は「原材料(animal products)」として流通することも多く、**最終製品だけでなく“材料のHS”**が原産性判断(CTH/CC/RVC等)の前提になります。
- よくある落とし穴
- 材料側の分類(例:毛が0502なのか、繊維として第XI部なのか)がズレる
- 医薬原料(0510/0511相当)が、抽出・精製により別章へ移っているのに材料HSを据え置く
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 日本の国内実務(通関・統計番号)はHS改正で更新されますが、EPA/FTAのPSRや譲許表は“協定が参照するHS版”で作られているため、ズレが出ます。 (経済産業省)
- 例(一般論+代表的な動き):
- RCEPは、PSRのHS2022対応(トランスポーズ表)を2023-01-01から使用する運用が案内されています。 (jetro.go.jp)
- 一方で、CPTPPなど一部協定・ガイドでは、約束税率・PSRがHS2012ベースで整理されている旨が説明されることがあります(=協定文書のHS版確認が必須)。 (Australian Border Force Website)
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- ①協定のPSRが参照するHS版を特定 → ②旧HSのコードでPSRを当てる → ③新HS(通関で使うHS2022)に対応付け → ④材料HSや工程要件を再確認
- 特に第5類は、“削除された/使われない番号(例:0503等)”が古い資料に残っているケースがあり得るため、番号だけで判断しないことが重要です。 (Fiji Revenue & Customs Service)
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 収集すべき情報(例)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
- 非原産材料のHS(6桁レベルは最低限)
- 動物由来の場合:動物種、採取・処理場所、検疫関連書類の有無
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 協定ごとに異なるため、自己申告/第三者証明の方式、保存年限、監査対応を確認
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
(注)WCOのHS2017→HS2022相関表(Table I/II)は「改正で影響を受けるコード」を中心に整理されています。 (世界税関機構)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 変更なし(第5類に関する改正記載が確認できないため) | 第5類(0501,0502,0504〜0508,0510,0511) | WCO相関表(改正反映表)で第5類の改正対象として示されない範囲では、HS2017→HS2022で大きな構造変更は見込みにくい | 通関実務は基本的に“加工度・除外先”の論点が中心。協定HS版のズレ(HS2012/2017)には引き続き注意 (世界税関機構) |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 参照した根拠資料
- WCO:HS2017↔HS2022 相関表(Table I/II) (世界税関機構)
- HS2022の見出し・類注の確認用として、HS2022準拠の関税率表(例:Fiji Customs Tariff HS2022) (Fiji Revenue & Customs Service)
- どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
- WCO相関表は「改正で影響を受ける見出し・号」を整理する資料であり、第5類コードが改正対象として現れない範囲では、HS2017→HS2022で第5類の大きな改正はない(=変更なし)と整理しました。 (世界税関機構)
- 加えて、HS2022側の第5類の類注(Notes 1〜4)と、主要号(0511.10/0511.91/0511.99等)の構造を確認し、少なくともHS2022における実務分岐が上記整理で説明可能であることを確認しました。 (Fiji Revenue & Customs Service)
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第5類は「他に該当しない動物性産品」の性格から、協定・統計などで参照するHS版によって“見慣れない番号”が出てくることがあります。特に“馬毛”は、類注により0511側で扱う整理が明示されています。 (Fiji Revenue & Customs Service)
主要論点(実務向け):
- HS2022(少なくともHS2022準拠の関税率表)では、第5類の見出し列挙に0503が現れず、馬毛は類注4で0511に含まれ得ると整理されています。 (Fiji Revenue & Customs Service)
- そのため、古い資料・協定(HS2012等)で0503等の番号が出てくる場合は、トランスポジション(旧→新)で0511側へ対応付ける必要が生じ得ます(協定・当局資料で確認)。 (経済産業省)
(整理表:主要な“見た目のズレ”に絞った例)
| 版の流れ | 旧コード(例) | 新コード(例) | コメント(実務の見方) |
|---|---|---|---|
| HS2012/旧資料 → HS2022 | 0503(馬毛として記載される場合がある) | 0511(少なくとも馬毛は0511に含まれ得る) | 号レベルは国・協定の参照HS版で要確認。日本の国内コード例では0511.99側に馬毛の細分が置かれています (税関総合情報) |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):「染色羽毛」を0505で申告して差戻し
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):0505は“清浄・消毒・保存処理まで”の範囲で、装飾加工等が進んでいると別類へ移り得る(加工度の見落とし) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 起きやすい状況:インボイス品名が “feathers” だけ、加工工程が書類に出ない
- 典型的な影響:修正申告、検査強化、納期遅延
- 予防策:工程表・写真・用途説明(詰物材/装飾材)を添付、必要なら事前教示
- 事例名(短く):ブラシ用タフトを0502で申告→9603へ訂正
- 誤りの内容:準備された結び目・房(タフト)を見落とし(類注1(d)) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 起きやすい状況:部材輸入(完成品でなく“毛束”だけ)で、現物確認が甘い
- 典型的な影響:HS訂正、関税・統計の修正、原産性判定や規制判定のやり直し
- 予防策:形状写真、商品仕様(tuft/knot/ready for brush making)を確認
- 事例名(短く):象牙(または象牙相当素材)でCITES書類不備→差止
- 誤りの内容:分類以前に規制(ワシントン条約)確認が不足 (環境省)
- 起きやすい状況:アンティーク・装飾部品で「少量だから大丈夫」と誤認
- 典型的な影響:差止・没収リスク、取引中止、罰則リスク(一般論)
- 予防策:素材の由来・年代の証明、許可要否の事前確認(環境省・税関情報)
- 事例名(短く):動物由来物の検疫対象を見落として通関遅延
- 誤りの内容:骨・毛・羽・角・精液等が動物検疫の対象になり得る点を未確認 (maff.go.jp)
- 起きやすい状況:サンプル輸入、研究用試料、EC小口
- 典型的な影響:検疫手続や証明不足による保留・返送(一般論)
- 予防策:AQS(動物検疫)で対象性と必要書類を事前確認
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
検疫・衛生(SPS等)
- 動物検疫(Animal Quarantine Service:AQS)
- 日本では、海外から持ち込む動物由来物のうち、骨、脂、血、皮、毛、羽、角、ひづめ、腱などが動物検疫の対象になり得ることが明示されています(完成品の一部は除外される旨も併記)。 (maff.go.jp)
- 第5類に典型的な対象例:羽毛、毛、骨、角、精液(0511)など
- 実務での準備物(一般論)
- 品目・加工度・由来国で要件が変わるため、輸出国政府の証明書の要否や、検疫での提出資料を事前に確認
ワシントン条約(CITES)等の種規制
- 0507(象牙等)、0508(サンゴ等)を含む貨物は、CITES対象となり得ます。JETROの案内でも、さんご・象牙・べっこう等はワシントン条約の規制対象とされています。 (jetro.go.jp)
- 象牙は、環境省の案内で条約と国内法に基づき規制され、原則として日本と海外間の輸出入や国内取引が禁止と説明されています。 (環境省)
- 税関もワシントン条約対象の加工品・製品例を掲示しています(象牙製品等)。 (税関総合情報)
安全保障貿易管理
- 第5類自体が典型的にリスト規制に直結するケースは多くありませんが、生物由来試料として輸出入する場合は別途社内規程・該非判定プロセスの対象になり得ます(一般論)。
確認先(行政・公式ガイド・窓口)
- 動物検疫:農林水産省 動物検疫所(AQS) (maff.go.jp)
- CITES:環境省(象牙等)・税関(ワシントン条約情報) (環境省)
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 動物種、部位(毛/腸/骨/角/歯等)、用途(食用/工業/医薬)、加工工程
- 写真(形状・束ね方・切り出しの有無が分かる)
- 成分・由来証明、SDS(ある場合)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 第5類の類注(除外・定義)に抵触していないか(食用、皮革、繊維、9603等) (Fiji Revenue & Customs Service)
- 「未加工/簡易処理/未切り出し」要件を満たすか(0506〜0508で特に)
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名に「動物種」「加工度」「用途」を入れる(例:“cleaned and disinfected down” 等)
- HS6桁と国内コード(日本の統計番号)を混同しない(国内コードは別管理)
- 税関説明用の資料(工程表・写真・仕様)を添付できる状態にする
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定の参照HS版(HS2012/2017等)を確認し、必要に応じてトランスポーズ表でHS2022へ対応付け (経済産業省)
- 材料HSの整合(特に“毛”や“医薬原料”でズレやすい)
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 動物検疫の対象性(毛・羽・骨・角・精液等)と必要書類を確認 (maff.go.jp)
- CITES対象素材(象牙・べっ甲・サンゴ等)の有無を確認 (jetro.go.jp)
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS2022相関表)
- HS見出し・類注の確認(HS2022準拠の関税率表例)
- Fiji “HS-2022 Customs Tariff” (Chapter 5 Notes、05.01〜05.11の構造確認) (Fiji Revenue & Customs Service)(参照日:2026-02-13)
- 日本の検疫・規制(公的機関)
- 農林水産省 動物検疫所(AQS)“Bring animal products into Japan from overseas” (maff.go.jp)(参照日:2026-02-13)
- 環境省 “象牙の国外持ち出し規制について(一般の方向け)” (環境省)(参照日:2026-02-13)
- 税関 “ワシントン条約” (税関総合情報)(参照日:2026-02-13)
- JETRO Q&A “ジュエリーや貴金属、アクセサリーの輸入手続き:日本”(さんご・象牙・べっこう等のCITES言及) (jetro.go.jp)(参照日:2026-02-13)
- FTA/EPA(HS版ズレの実務注意)
- 経済産業省:HSコード改正とEPA利用時の留意(国内HS更新と協定HS版ズレの注意) (経済産業省)(参照日:2026-02-13)
- JETRO:RCEPのPSR(HS2022対応表の使用開始に関する案内) (jetro.go.jp)(参照日:2026-02-13)
- Australian Border Force:RCEP HS2022 transposed PSR 運用開始(参考) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-13)
- Australian Border Force:CPTPP importers guide(HS2012ベース言及のあるガイド例) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-13)
付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)
- 日本の国内コード(統計番号/NACCS用品目コード)はHS6桁に国内細分(9桁等)が付くため、HS(6桁)と国内コードを混同しないでください。
- 例:馬毛(horsehair)は、国内コード例として 0511.99 系列に細分が置かれていることが示されています(NACCS用品目コード一覧の例)。 (税関総合情報)
- 実務上は、「馬毛=0503」等の旧資料表記があっても、通関で使う国内コードは別途確認が必要になります。
付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)
- どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
- 製品写真(全体・拡大・梱包状態)
- 材質・動物種・部位の証明(鑑別結果があると強い)
- 加工工程(どこまで加工したか:洗浄/消毒/漂白/染色/成形/切り出し 等)
- 用途(食用・工業・医薬原料・装飾等)
- カタログ、SDS、仕様書、サンプル(可能なら)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック
