2026年2月5日(JST)時点:米国「相互関税(Reciprocal Tariffs)」国別リスト

1) 計画

  1. **「相互関税」を、米国がIEEPA(国際緊急経済権限法)に基づき発動している国別の追加関税(従価税)**として定義。
  2. 国別税率の一次整理は、JETROが公表している国別表(2026/1/16時点)をベースに作成。(ジェトロ)
  3. **例外(中国・カナダ/メキシコ・MFN込み15%方式・台湾のMFN累加なし等)**は、該当資料/報道で補正。(ジェトロ)
  4. **直近の変更有無(前日=2026/2/4 JST比)**をニュース/公式資料で確認し、差分を備考に反映。
  5. ご指定の国順で、**「国名/関税率/出所/備考(前日差)」**の4項目で一覧化。

2) 前提

  • 表の「関税率」は、原則として 既存の通常関税(MFN/FTA等)に上乗せされる“相互関税”の税率です。(ジェトロ)
  • ただし、**EU・日本・韓国・スイス等は「MFN込みで15%」方式(MFN<15%なら合計15%、MFN≥15%なら相互関税0)**の扱いがあります(備考に明記)。(ジェトロ)
  • カナダ/メキシコは、IEEPAの対カナダ・メキシコ関税が課されている間、相互関税は適用されない整理です(備考に明記)。(ジェトロ)
  • 中国は「相互関税34%」のうち、当面は“ベースライン10%のみ適用”が延長されています(備考に明記)。(ジェトロ)

3) 出所(略号)

  • J-RT:JETRO「相互関税の概要(国別相互関税率表)」2026/1/16時点 (ジェトロ)
  • J-CA:JETRO「対カナダ・メキシコ関税の概要」2026/1/16時点 (ジェトロ)
  • J-USMCA:JETRO「USMCA原産地規則とトランプ関税の適用除外」2026/1/16時点 (ジェトロ)
  • J-CN:JETRO「米国・中国間関税」2026/1/16時点 (ジェトロ)
  • J-ADD:JETRO「主要国・地域へ適用中の追加関税率一覧」2026/1/16時点(MFN込み15%方式の注記等) (ジェトロ)
  • J-TW:JETROビジネス短信(台湾:15%、MFN累加なしで妥結)2026/1/19 (ジェトロ)
  • WH-EO:米ホワイトハウス 大統領令(相互関税の国別表・EUの計算式)(The White House)
  • Reuters-IN:インドの相互関税を18%へ引下げ(2026/2/2発表の報道)(Reuters)
  • WH-BR:対ブラジル別枠追加関税(40%)の根拠(大統領令関連)(The White House)

4) 国別リスト

前日差は「2026/2/4(JST)→ 2026/2/5(JST)」で、本日時点で新たな税率変更の確定情報が確認できたものは見当たらない前提で記載しています(直近の確定変更としてはインドの18%化が該当)。(Reuters)

国名関税率(相互関税)出所備考(前日差)
Algeria30%J-RT前日差:なし
Angola15%J-RT前日差:なし
Bangladesh20%J-RT前日差:なし。※一部報道で15%への引下げ観測あり(ただし“期待/見込み”表現で、確定扱いは未確認のため現行20%で記載)。(Asia Times)
Bosnia & Herzegovina30%J-RT前日差:なし
Botswana15%J-RT前日差:なし
Brazil10%(相互)J-RT前日差:なし。※別枠:対ブラジルIEEPA追加関税40%(対象外品目あり)が存在。(The White House)
Brunei25%J-RT前日差:なし
Cambodia19%J-RT前日差:なし
Cameroon15%J-RT前日差:なし
Canada*相互関税:適用外J-RT/J-CA/J-USMCA前日差:なし。IEEPA関税:原則35%(エネルギー10%)。USMCA原産性を満たす製品は適用除外(例外)。(ジェトロ)
Chad15%J-RT前日差:なし
China*10%(ベースラインのみ適用中)J-CN/J-RT前日差:なし。相互関税34%のうち追加24%は停止(停止期間が2026/11/10まで延長)。(ジェトロ)
Côte d’Ivoire15%J-RT前日差:なし
DR Congo15%J-RT前日差:なし
EU最大15%(MFN込み方式)J-RT/WH-EO/J-ADD前日差:なし。MFN<15%は合計15%、MFN≥15%は相互関税0(※EUの一部品目はMFNのみ適用の注記あり)。(The White House)
Falkland Islands10%J-RT前日差:なし
Fiji15%J-RT前日差:なし
Guyana15%J-RT前日差:なし
India18%Reuters-IN前日差:なし(直近変更:**25%→18%**の引下げが発表・報道)。(Reuters)
Indonesia*19%J-RT前日差:なし
Iraq35%J-RT前日差:なし
Israel15%J-RT前日差:なし
Japan*最大15%(MFN込み方式)J-RT/J-ADD/WH-EO前日差:なし。MFN<15%は合計15%、MFN≥15%は相互関税0(遡及適用・還付手続きの言及あり)。(ジェトロ)
Jordan15%J-RT前日差:なし
Kazakhstan25%J-RT前日差:なし
Laos40%J-RT前日差:なし
Lesotho15%J-RT前日差:なし
Libya30%J-RT前日差:なし
Liechtenstein15%(枠組み上“MFNと合算で15%”方式の扱い)J-RT/WH-EO前日差:なし。スイス同様に15%方式の枠組みが公表。(The White House)
Madagascar15%J-RT前日差:なし
Malawi15%J-RT前日差:なし
Malaysia19%J-RT前日差:なし
Mauritius15%J-RT前日差:なし
Mexico*相互関税:適用外J-RT/J-CA/J-USMCA前日差:なし。IEEPA関税:25%。USMCA原産性を満たす製品は適用除外(例外)。(ジェトロ)
Moldova25%J-RT前日差:なし
Mozambique15%J-RT前日差:なし
Myanmar40%J-RT前日差:なし
Namibia15%J-RT前日差:なし
Nauru30%J-RT前日差:なし
Nicaragua15%J-RT前日差:なし
Nigeria15%J-RT前日差:なし
North Macedonia15%J-RT前日差:なし
Norway15%J-RT前日差:なし
Pakistan19%J-RT前日差:なし
Philippines19%J-RT前日差:なし
Serbia35%J-RT前日差:なし
South Africa30%J-RT前日差:なし
South Korea最大15%(MFN込み方式)J-RT/J-ADD前日差:なし。MFN<15%は合計15%、MFN≥15%は相互関税0の扱いが示されている。(ジェトロ)
Sri Lanka20%J-RT前日差:なし
Switzerland最大15%(MFN込み方式)J-RT/J-ADD前日差:なし。MFN<15%は合計15%、MFN≥15%は相互関税0の扱いが示されている。(ジェトロ)
Syria41%J-RT前日差:なし
Taiwan15%(MFN累加なし)J-TW/J-RT前日差:なし。台湾当局・米側資料として「15%・MFN累加なし」で妥結と報告。(ジェトロ)
Thailand19%J-RT前日差:なし
Tunisia25%J-RT前日差:なし
Vanuatu15%J-RT前日差:なし
Venezuela15%J-RT前日差:なし
Vietnam20%J-RT前日差:なし
Zambia15%J-RT前日差:なし
Zimbabwe15%J-RT前日差:なし

国別:総合関税リスト(相互関税中心:2026年2月4日現在)

計画(本日=2026/02/03 JST)

  1. 「相互関税(IEEPA・国別追加関税)」の定義を固定し、米国向け輸入に課される“国別の追加関税率(または上限ルール)”として整理
  2. **一次情報(米政府発表)+整理資料(JETRO)+当日報道(変更分)**で、国別の本日付レートを確定
  3. ご指定の順番で 「国名/関税率/出所/備考(前日差)」 の表を作成
  4. 最後に 前日との差分(2/2→2/3 JST) を抽出し、抜け漏れチェックを実施

出所コード(主要資料)

  • J1:ジェトロ「相互関税」概要(2026/1/16時点、国別税率表・EU/日本の上限扱い・中国/加墨の扱い・迂回輸出40%等)(ジェトロ)
  • J2:JETRO「対カナダ・メキシコ関税」概要(2026/1/16時点)(ジェトロ)
  • J3:JETRO「日米関税合意と対日関税」概要(2026/1/16時点)(ジェトロ)
  • J4:JETRO(台湾:15%・MFN累加なしで妥結、2026/1/19)(ジェトロ)
  • J5:JETRO(スイス:39→15%上限を遡及適用、2025/12/12)(ジェトロ)
  • J6:JETRO(ブラジル:**追加関税40%**と除外品目、2025/11/27)(ジェトロ)
  • WH1:ホワイトハウス「Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates」(2025/07/31)Annex I (The White House)
  • WH2:White House fact sheet(中国:相互関税10%維持/上乗せ停止〜2026/11/10 等、2025/11/1)(The White House)
  • WH3:White House fact sheet(カナダ:25→35%、USMCA適格品除外、迂回40%等、2025/7/31)(The White House)
  • WH4:White House 大統領令(メキシコ:USMCA適格品は追加関税対象外、2025/3/6)(The White House)
  • R1:ロイター(インド:25→18%、別枠25%撤廃、2026/2/2-3)(Reuters)
  • CBP1:米国税関・国境警備局ガイダンス(インド:別枠追加関税の根拠、2025/8/25)(content.govdelivery.com)

注:ここでの「%」は、原則として**米国の追加関税(ad valorem)**を意味します。品目別(232条等)や通常関税(MFN)との“合算上限”など、例外は備考に記載しています。


国別:本日付の総合関税リスト(相互関税中心)

前日=2026/02/02 JSTとの差異も備考に明記)

国名関税率(本日)出所備考
アルジェリア (Algeria)30%J1前日差:なし
アンゴラ (Angola)15%J1前日差:なし
バングラデシュ (Bangladesh)20%J1前日差:なし
ボスニア・ヘルツェゴビナ (Bosnia & Herzegovina)30%J1前日差:なし
ボツワナ (Botswana)15%J1前日差:なし
ブラジル (Brazil)相互関税:10%J1/J6前日差:なし。別枠:対ブラジル追加関税40%(適用除外品目あり)。
ブルネイ (Brunei)25%J1前日差:なし
カンボジア (Cambodia)19%J1前日差:なし
カメルーン (Cameroon)15%J1前日差:なし
カナダ (Canada)相互関税:適用外/IEEPA:原則35%(エネルギー10%)J1/J2/WH3前日差:なし。USMCA適格品は除外(対象外)。
チャド (Chad)15%J1前日差:なし
中国 (China)相互関税:10%(上乗せ分は停止延長〜2026/11/10)J1/WH2前日差:なし(停止延長の枠組み継続)。
コートジボワール (Côte d’Ivoire)15%J1前日差:なし
コンゴ民主共和国 (DR Congo)15%J1前日差:なし
欧州連合 (EU)最大15%(MFN込み上限)J1前日差:なし。MFN<15%は差分上乗せで合計15%、MFN≥15%は追加0%。
フォークランド諸島 (Falkland Islands)10%J1前日差:なし
フィジー (Fiji)15%J1前日差:なし
ガイアナ (Guyana)15%J1前日差:なし
インド (India)18%R1/CBP1/J1前日差:あり(25%→18%)。別枠の追加25%(ロシア産原油関連)撤廃も報道。
インドネシア (Indonesia)19%J1前日差:なし
イラク (Iraq)35%J1前日差:なし
イスラエル (Israel)15%J1前日差:なし
日本 (Japan)最大15%(MFN込み上限)J1/J3前日差:なし。MFN<15%は差分上乗せで合計15%、MFN≥15%は追加0%。
ヨルダン (Jordan)15%J1前日差:なし
カザフスタン (Kazakhstan)25%J1前日差:なし
ラオス (Laos)40%J1前日差:なし
レソト (Lesotho)15%J1前日差:なし
リビア (Libya)30%J1前日差:なし
リヒテンシュタイン (Liechtenstein)15%J1前日差:なし
マダガスカル (Madagascar)15%J1前日差:なし
マラウイ (Malawi)15%J1前日差:なし
マレーシア (Malaysia)19%J1前日差:なし
モーリシャス (Mauritius)15%J1前日差:なし
メキシコ (Mexico)相互関税:適用外/IEEPA:原則25%J1/J2/WH4前日差:なし。USMCA適格品は追加関税対象外(免除)。
モルドバ (Moldova)25%J1前日差:なし
モザンビーク (Mozambique)15%J1前日差:なし
ミャンマー (Myanmar)40%J1前日差:なし
ナミビア (Namibia)15%J1前日差:なし
ナウル (Nauru)15%J1前日差:なし
ニカラグア (Nicaragua)18%J1前日差:なし
ナイジェリア (Nigeria)15%J1前日差:なし
北マケドニア (North Macedonia)15%J1前日差:なし
ノルウェー (Norway)15%J1前日差:なし
パキスタン (Pakistan)19%J1前日差:なし
フィリピン (Philippines)19%J1前日差:なし
セルビア (Serbia)35%J1前日差:なし
南アフリカ共和国 (South Africa)30%J1前日差:なし
韓国 (South Korea)15%J1前日差:なし
スリランカ (Sri Lanka)20%J1前日差:なし
スイス (Switzerland)15%(上限)J1/J5前日差:なし。従来39%→15%上限へ(遡及適用)。
シリア (Syria)41%J1前日差:なし
台湾 (Taiwan)15%(MFN累加なし)J1/J4前日差:なし(妥結内容は15%・MFN累加なし)。
タイ (Thailand)19%J1前日差:なし
チュニジア (Tunisia)25%J1前日差:なし
バヌアツ (Vanuatu)15%J1前日差:なし
ベネズエラ (Venezuela)15%J1前日差:なし
ベトナム (Vietnam)20%J1前日差:なし
ザンビア (Zambia)15%J1前日差:なし
ジンバブエ (Zimbabwe)15%J1前日差:なし

前日(2/2 JST)からの差異まとめ

  • 変更あり:インドのみ
    • 相互関税(国別)を 25%→18% に引き下げ、加えて別枠の追加25%(インドのロシア産原油取引を理由としたもの)を撤廃、という内容が報道されています。(Reuters)
  • それ以外の国・地域は、本日確認できた公表・報道ベースでは前日から変更なし(少なくともレート表の更新や新たな発効情報は確認できず)。

相互関税の裁判結果に関する最新ニュース

2026年2月1日(日)現在の最新情報を報告します。

結論から申し上げますと、米連邦最高裁判所は1月最終週も**「相互関税」の合法性をめぐる判決を下さず、再び判断を先送りにしました。**

これにより、判決は2月後半以降にずれ込むことが確実視されています。

最新の状況まとめ(2026年2月1日時点)

  • 最高裁は冬期休廷へ: 最高裁は現在、定例の冬期休廷期間に入っています。次の法廷での判決言い渡し(Opinion Day)は、早ければ休廷明けの2月20日(金)以降になると予想されています。
  • 「還付」への備え: 1、2審で「違憲」との判断が出ていることから、米税関・国境取締局(CBP)は、敗訴した場合の数千億ドル規模の還付作業を効率化するため、2月6日から還付金の支払いを原則電子送金に限定する新たな規則を適用します。これは政府側も「敗訴のリスク」を深刻に受け止めている兆候と見られています。
  • 政権による個別交渉の進展: 裁判の決着を待たず、トランプ政権は関税を武器に個別のディール(取引)を加速させています。
    • 中国: フェンタニル対策や貿易合意に基づき、一部の関税を42%から32%に引き下げることで合意しました(相互関税24%分を1年間停止)。
    • 欧州: グリーンランドに関する枠組み合意を条件に、一部諸国への追加関税の発動を当面見送っています。

今後の注目スケジュール

注目日出来事
2026年2月6日米税関による還付手続きの電子化運用開始(敗訴への備え)。
2026年2月20日以降最高裁の休廷明け。ここで判決が出る可能性が再び高まります。
2026年6月まで最高裁の現会期末。遅くともここがデッドラインです。

判決が遅れるほど、企業にとっては「もし違憲になれば還付金がもらえるのか、それとも別の名目で関税が継続されるのか」という不透明な状況が続くことになります。

米連邦最高裁判所は1月最終週も「相互関税」に関する判決を公表せず、判断を再び先送りにしました

これにより、判決の時期は2月後半以降にずれ込む可能性が非常に高まっています。

最新のニュースと状況(2026年1月31日時点)

  • 最高裁の冬期休廷へ: 最高裁は現在、冬の休廷期間(Recess)に入っており、次に判事たちが法廷に集まる予定は**2月20日(金)**とされています。そのため、よほどの緊急事態がない限り、判決はこの日以降になると予想されています。
  • 専門家の分析(判決が遅れている理由): * 11月の口頭弁論では、保守派・リベラル派を問わず、多くの判事が「大統領が緊急事態(IEEPA法)を根拠に、議会を介さず関税を課すこと」に対して懐疑的な姿勢を示しました。
    • しかし、もし関税を「違憲」とすれば、これまでに徴収された数千億ドルの還付金が発生し、米財政に多大な混乱を招きます。このため、判事たちの間で「判決の効果を将来に限定するか(過去分は還付しない)」、「議会に法整備の猶予期間を与えるか」など、出口戦略(補足意見や反対意見)の調整に時間がかかっていると見られています。
  • トランプ政権の外交的な動き: 裁判が長引く中、トランプ大統領は「判決が出る前」に関税を交渉材料として使い始めています。
    • 欧州諸国への関税回避: 1月下旬、グリーンランドに関する枠組み合意などを条件に、ノルウェーやスウェーデン、ドイツなど複数の欧州諸国に対する関税(当初2月1日発動予定だった10%〜25%)を当面見送ると発表しました。
    • 台湾との合意: 台湾に対しても、半導体投資と引き換えに相互関税を15%に引き下げることで合意しています。

今後の注目スケジュール

注目日内容
2026年2月20日(金)最高裁が休廷明けに法廷を開く日。ここで判決が出る可能性。
2026年6月まで最高裁の現会期末。遅くともここが最終的な期限となります。

現時点でのまとめ:

司法の判断が出る前に、トランプ政権は国ごとに個別の「ディール(取引)」を成立させ、実質的に関税率を調整する動きを強めています。

台湾が米国と相互関税15%で妥結 MFN累加なしの意味と実務インパクト

何が起きたのか

台湾の行政院は2026年1月16日、米国との関税交渉が「相互関税15%」で妥結し、かつ最恵国待遇税率(MFN)の累加がない形で合意したと発表しました。米国側も1月15日付で、台湾との貿易・投資合意のファクトシートを公表しています。 (JETRO)

今回の合意は、単に税率が下がったという話に留まりません。半導体を中心に、232条関税(通商拡大法232条)や投資枠組み、サプライチェーン協力までをパッケージ化し、関税コストと不確実性の双方を下げにいく設計になっています。 (ey.gov.tw)

背景 32%→20%→15%へ

米国の台湾向け相互関税は、2025年4月に32%とされ、その後2025年7月の大統領令で20%に修正されました。ただし当時はMFN税率が上乗せされ、実務上は「相互関税+MFN」の合算で課税されていました。ジェトロは例として、MFNが4.7%の工作機械が20%+4.7%で24.7%になったケースを挙げています。 (JETRO)

台湾側は、日韓EUと同様にMFNを累加しない運用での引き下げを目指して交渉を継続し、今回15%で決着した、というのが大枠です。 (JETRO)

「15%」「MFN累加なし」を実務に落とすとどうなるか

ポイントは「15%が上乗せされない」という点です。台湾行政院は、15%かつMFN不累加の計算方式は日韓EUと同じだと説明しています。 (ey.gov.tw)

この「日韓EUと同じ」という言い回しは、米国の相互関税で採用されてきた二段構え(いわゆるオールインの考え方)を前提に読むのが自然です。ジェトロ掲載の月次レポートでは、EU向けの仕組みとして「MFNが15%未満なら合算で15%に収まるよう調整し、MFNが15%以上なら追加の相互関税は課さない」という二段構えを明示しています。 (JETRO)

これを台湾案件に当てはめると、実務上の理解は次の整理が分かりやすいです(最終確定は、今後の米側実施通達や関税番号の公表で必ず検証してください)。

  • MFNが15%未満の品目
    相互関税は「合算で15%」になるように差分だけ課税(従来のように15%や20%を丸ごと上乗せしない)
  • MFNが15%以上の品目
    追加の相互関税はゼロ(結果としてMFNがそのまま適用)

この理解に立つと、先ほどの工作機械例(MFN4.7%)は、従来の24.7%(20+4.7)から、合算15%へ近づく方向になります。 (JETRO)

合意パッケージの中身 関税だけではない

米国商務省ファクトシートと台湾行政院の発表を突き合わせると、合意の骨格は次の通りです。 (static.poder360.com.br)

1) 相互関税は最大15%

米国側は、台湾品に適用される相互関税は総計15%を超えない枠組みとしています。 (static.poder360.com.br)

2) 232条関税で「最も有利な待遇」を確保

台湾側は、半導体とその派生品、さらに自動車部品や木材等の232条関税について最も有利な待遇を獲得したと説明しています。米国側ファクトシートでも、台湾の自動車部品、木材、木材派生品の232条関税は総計15%を超えないと記載しています。 (ey.gov.tw)

加えて、米国は2026年1月14日付で、特定の先端コンピューティング向けチップに25%の関税を課す措置を公表しており、半導体領域は今後「広い範囲の関税」へ拡大する可能性にも言及しています。ここで台湾側が「最有利待遇」や投資連動の優遇を取りにいった構図が見えます。 (The White House)

3) 例外扱い 医薬品原薬や航空機部品などは相互関税ゼロ

米国側ファクトシートは、ジェネリック医薬品とその原材料、航空機部品、米国内で入手困難な天然資源について相互関税をゼロにするとしています。 (static.poder360.com.br)

4) 投資と信用保証 それぞれ2500億ドル規模

米国側ファクトシートでは、台湾の半導体・テック企業が米国で少なくとも2500億ドルの直接投資を行い、台湾が追加投資を促すために少なくとも2500億ドルの信用保証を提供するとしています。台湾側発表も、企業の自主投資2500億ドルと、政府による信用保証枠最大2500億ドルという二本立てを説明しています。 (static.poder360.com.br)

5) 半導体は投資連動で優遇 一定枠まで免税

米国側ファクトシートは、米国内で新たな半導体生産能力を建設する台湾企業に対し、建設期間中は計画能力の最大2.5倍まで232条関税なしで輸入でき、プロジェクト完了後も新たな米国生産能力の最大1.5倍まで232条関税なしで輸入できると記載しています。 (static.poder360.com.br)

日本企業にとっての見立て

ここから先は、日系企業の実務に引き付けた論点です。

1) 米国市場での競争条件は「台湾が日韓EUと同列」へ

台湾の産業界は、相互関税が15%に下がったことで日韓と同水準になり、競争圧力が緩和されると評価しています。台湾行政院も、工具機や手工具など伝統産業の競争力が高まると述べています。米国市場で日本企業と台湾企業が競合する領域では、価格条件の差が縮む可能性があります。 (JETRO)

2) サプライチェーン再編は加速し得る

投資の主役が半導体とAI関連である以上、米国側の狙いは供給網の米国内回帰です。台湾が「台湾モデル」で産業クラスターを米国に形成すると掲げた点は、部材、装置、化学品、物流まで裾野が広い話です。日系サプライヤーにとっては、米国内での追加需要機会と、台湾側の内製化進展という両面が出ます。 (ey.gov.tw)

3) 最大の注意点は「施行日」と「税番の実装」

台湾側は、関税以外の貿易協議文書は法的精査中で、別途署名し国会手続きに回すとしています。米国側ファクトシートにも、いつからどの税番で実装するかの詳細は読み取りにくい部分があります。輸入者としては、施行日、Chapter 99の付番、CBP通達の更新を見ないままコスト試算を確定させるのは危険です。 (ey.gov.tw)

実務チェックリスト 影響を見誤らないために

  • 対象品目をUS HTSで棚卸しし、現行MFN税率と相互関税の適用関係を品目別に試算する
  • 既契約は、施行日と適用税率の確定前提で価格条項とインコタームズを再点検する
  • 「相互関税ゼロ」扱いの品目は、分類根拠と用途要件を含めて監査耐性を確保する
  • 半導体や装置関連は、232条関税の対象範囲拡大や例外条件の変更に備え、投資計画と輸入計画を連動させる
  • 国別関税権限に関する米国内の司法判断や、追加の大統領令、CBP実務指針の更新を定点監視する (Reuters)

まとめ

台湾の「15%・MFN累加なし」は、表面的な税率引き下げ以上に、米国の半導体政策と関税政策を結び付けた枠組みです。日本企業にとっては、米国市場での競争条件の再調整と、サプライチェーン投資の連鎖という二つの波が同時に来ます。まずは品目別に、現行のMFNと相互関税の関係を確かめ、施行日と実装ルールが出た段階で試算を確定させるのが安全です。 (JETRO)

「相互関税」(2026-01-18 JST時点)

  • 前日(2026-01-17 JST)から、国別レートそのものの変更は確認できません(変更なし)
  • 直近の大きな動きとして、台湾の相互関税が「20%→15%」へ引下げ合意と報道されています(ただし実装・発効時期や条件は要確認)。 (Focus Taiwan – CNA English News)

進め方(計画→実行→確認)

  1. 基礎レート:米ホワイトハウスの大統領令(Annex I)で国別の「Reciprocal Tariff(Adjusted)」を確認
  2. 例外国(*):カナダ/メキシコ(国境IEEPA関税)・中国(対中別枠EO)を別資料で確認
  3. 合意に伴う実装(15%枠など):日本・韓国・スイス/リヒテンシュタインはFederal Register等の実装文書を確認
  4. 前日差分:直近24時間で新たな改定文書・主要報道があるか確認(レート変更なし)

出所キー(表の「出所」欄のS番号)

  • S1:米WH「Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates」Annex I(2025-07-31) (The White House)
  • S2:米WH「Amendment…Northern Border(Canada)」35%へ引上げ(2025-07-31、8/1発効) (The White House)
  • S3:米WH「Imposing Duties…Southern Border(Mexico)」+USMCA除外等(2025-02-01/2025-03-06改定) (The White House)
  • S4:米WH「Modifying…PRC」対中は追加10%(停止期限:2026-11-10) (The White House)
  • S5:FR「Implementing…U.S.-Japan」15%枠(Col1<15なら合計15、Col1≥15は追加0) (Federal Register)
  • S6:FR「Implementing…U.S.-Korea」15%枠(同上) (Federal Register)
  • S7:FR「Implementing…Switzerland–Liechtenstein」15%枠(同上) (Federal Register)
  • S8:台湾の最新合意(報道:20→15、MFNに“上乗せしない”旨) (Focus Taiwan – CNA English News)

相互関税(国別レート)最新一覧

※原則は「追加従価税(reciprocal tariff)」の国別設定。EU/日/韓/スイス/リヒテンは**“15%枠(品目のCol1/MFNに連動)”**の実装ルールあり。

国名関税率出所備考
Algeria30%S1
Angola15%S1
Bangladesh20%S1
Bosnia & Herzegovina30%S1
Botswana15%S1
Brazil10%S1
Brunei25%S1
Cambodia19%S1
Cameroon15%S1
Canada*35%(対象品)/ 10%(エネルギー等)S2相互関税(EO14257)とは別枠:北部国境IEEPA関税。USMCA適用で除外等あり
Chad15%S1
China*10%S4高率分を停止し**追加10%**を適用(停止期限:2026-11-10
Côte d’Ivoire15%S1
DR Congo15%S1
EUCol1>15%:0% / Col1<15%:15%-Col1S1EUは品目ごとに計算(合計15%になるよう調整)
Falkland Islands10%S1
Fiji15%S1
Guyana15%S1
India25%S1
Indonesia*19%S1
Iraq35%S1
Israel15%S1
Japan*15%枠(Col1<15なら合計15、Col1≥15は追加0)S5日米合意の実装(“15%になるよう調整”型)
Jordan15%S1
Kazakhstan25%S1
Laos40%S1
Lesotho15%S1
Libya30%S1
Liechtenstein15%枠(Col1<15なら合計15、Col1≥15は追加0)S7スイスと同枠(FR実装)
Madagascar15%S1
Malawi15%S1
Malaysia19%S1
Mauritius15%S1
Mexico*25%(対象品)/ 10%(ポタッシュ等)S3相互関税(EO14257)とは別枠:南部国境IEEPA関税。USMCA適用で除外等あり
Moldova25%S1
Mozambique15%S1
Myanmar40%S1
Namibia15%S1
Nauru15%S1
Nicaragua18%S1
Nigeria15%S1
North Macedonia15%S1
Norway15%S1
Pakistan19%S1
Philippines19%S1
Serbia35%S1
South Africa30%S1
South Korea15%枠(Col1<15なら合計15、Col1≥15は追加0)S6米韓合意の実装(“15%になるよう調整”型)
Sri Lanka20%S1
Switzerland15%枠(Col1<15なら合計15、Col1≥15は追加0)S7S1の39%から実装で変更(FR実装・遡及あり)
Syria41%S1
Taiwan15%(合意報道)S8従前は20%(S1)。報道では「MFNに上乗せしない」扱い。実装・発効条件(批准等)要確認
Thailand19%S1
Tunisia25%S1
Vanuatu15%S1
Venezuela15%S1
Vietnam20%S1
Zambia15%S1
Zimbabwe15%S1

米最高裁の関税訴訟、次の節目は1月14日。相互関税リスクを「資金」「契約」「通関」で読み解く


米国の関税が、また一段と読みづらくなっています。

理由はシンプルで、関税が「政策」ではなく「司法判断」で大きく揺れる局面に入っているからです。

米連邦最高裁は、トランプ政権が国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に発動した広範な関税について、2026年1月14日に次の判決公表日を予定しています。ただし、最高裁は事前に「どの事件の判決を出すか」を公表しないため、1月14日に関税事件が出るとは限りません。とはいえ、関税事件は2025年11月5日に口頭弁論が行われた重大案件であり、判決がいつ出てもおかしくない状況です。finance.yahoo+3​

以下では、ビジネスパーソンが押さえるべき実務論点を、相互関税(reciprocal tariffs)の視点で深掘りします。

先に要点

  • 1月14日は「次の判決公表日」。関税判決が出る可能性はあるが確定ではないfinance.yahoo+1​
  • 争点は、IEEPAが大統領に広範な関税(事実上の税)を課す権限を与えるかどうかey+1​
  • 返金が論点になった場合、累計で2025年12月14日時点で133.5億ドル、現時点では推計1500億ドル規模が俎上に載るreuters+1​
  • 判決の中身以上に、企業実務では「返金の手続き」と「権利保全(通関データと期限)」が勝負になるiscm+1​
  • 調達、物流、財務、法務が同じ台帳を見て、シナリオ別の打ち手を揃えるべき局面cnbc

なぜ「1月14日」が注目されるのか

米最高裁は1月9日にも判決を出しましたが、注目されていた関税事件は出ませんでした。次の判決公表日が1月14日で、関税事件も含め「いずれかの事件で判決が出る可能性がある」とされています。最高裁は、当日まで対象事件を明かしません。finance.yahoo+1​

ここで重要なのは、「1月14日に出るか」よりも「出た瞬間に自社の損益とキャッシュにどう跳ねるか」を先に設計しておくことです。

特に相互関税は、国別、品目別、原産地別に効き方が異なるため、社内での情報の分断が致命傷になります。

そもそも何が争われているのか

今回の最高裁事件は、学習玩具メーカー(Learning Resources, Inc.)などの企業と複数州が、トランプ政権の関税が違法だとして争っているものです。最高裁が判断する中心は、IEEPAが大統領に関税を課す権限を与えているのか、という一点に集約されます。hklaw+2​

関税の中身は大きく2系統です。

1つ目が、貿易赤字を「国家緊急事態」と位置づけ、ほぼ全ての貿易相手国を対象にした相互関税(ベース10%、国によって上乗せで最大50%など)です。これは2025年4月2日の「Liberation Day」に発表されました。finance.yahoo+3​

2つ目が、フェンタニル流入や不法移民を理由に、中国、カナダ、メキシコ等を対象にした関税です。reuters+1​

下級審では、政権側の権限逸脱を認定する判断が出ており、連邦控訴裁判所は2025年8月29日にIEEPA関税を違法と判断しました。ただし、最高裁での審理期間中は関税が維持される形で執行停止が認められています。ey+1​

金額インパクト:返金リスクは「少なくとも133.5億ドル、推計150億ドル」

関税が違法と判断された場合、次に問題になるのが「既に支払われた関税を返すのか」です。

米税関・国境警備局(CBP)のデータとして、2025年12月14日時点で、返金対象になり得るIEEPA関税が133.5億ドルと報じられています。さらにReutersは、日次の徴収ペースから合計が150億ドル近くに接近している可能性にも言及しています。仮に判決が2026年6月まで遅れた場合、財務長官ベッセント氏は返金額が7500億ドルから1兆ドルに達する可能性を示唆しています。ksgf+2​

企業側から見ると、これは単なる「ニュース」ではありません。

輸入量が大きい会社ほど、年次予算レベルの資金が「費用として確定するのか」「返金債権になるのか」が変わり得ます。

一方、最高裁が違法判断をしても、返金を最高裁が明確に命じるのか、下級審や行政実務に委ねるのかは不透明、とも報じられています。ただし、国際貿易裁判所(CIT)は既に、IEEPA関税が違法とされた場合には再清算(reliquidation)を通じて返金を命じる権限があることを確認しており、CBP法務担当者も異議を唱えない旨を記録に残しています。scotusblog+2​

口頭弁論で見えた最高裁の関心

2025年11月5日の口頭弁論では、保守派、リベラル派の双方から、関税の法的根拠に疑義が呈されたと報じられています。finance.yahoo+1​

実際の法廷のやり取りを見ると、ビジネスに直結する論点が浮かびます。

論点1: 規制か、課税か

IEEPAの条文には「関税(tariff)」という単語が出てこない中で、政権側は「輸入を規制する(regulate)」という文言に関税も含まれると主張しました。これに対し、裁判官側は「関税は税(tax)ではないのか」という切り口で詰めています。口頭弁論では、ソトマイヨール判事が「this is a tariff, this is a tax」と明言する場面もありました。hklaw

論点2: 権限解釈が広がり過ぎるリスク

権限を広く解釈すると、例えば気候変動のようなテーマでも、緊急事態を宣言して特定製品に高関税を課すことが理屈上可能になるのではないか、という懸念が示されています。実際に、ゴーサッチ判事は「海外由来の気候変動という脅威」を仮定し、自動車に50%関税を課せるのかという問いを投げ、政権側が「非常にあり得る(very plausibly)」と答える場面がありました。hklaw

この2点は、判決がどちらに転んでも、将来の政策不確実性を左右します。

相互関税は、課税権限の議論と切り離せません。だからこそ、企業は政策担当だけでなく、財務と通関実務を巻き込む必要があります。

企業が想定すべき3つのシナリオ

以下は、経営側が最低限持つべきシナリオ整理です。

シナリオ何が起きるか企業への一次影響すぐに必要な打ち手
A: 政権側勝利(関税維持)IEEPAでの関税を概ね容認コスト高が継続、価格転嫁と調達再設計が長期戦にコスト転嫁の契約整備、供給先分散、関税最適化(保税、FTZ等)
B: 企業側勝利(関税違法)関税停止や縮小の可能性返金期待が発生。ただし返金手続きは未確定返金権利の保全、通関データ整備、会計処理方針の整理
C: 限定判断、差し戻し関税の一部のみ違法、または返金は下級審へ影響が品目や期間で分断され、実務が最も混乱どの輸入が対象かを即日で切り分け、社内外で説明可能にする

上の表で重要なのは、シナリオBでも「自動で返金される」と決め打ちしないことです。CITは返金を命じる権限を確認済みですが、実際の手続き、タイミング、配分ルールは最終的な判決内容とCBPガイダンスに依存します。scotusblog+3​

実務のチェックリスト:判決前にやること、判決後72時間でやること

ここが本稿の核心です。関税は、法律論よりも実務設計で勝敗が分かれます。

判決前: 今週中に整える

1. 関税エクスポージャー台帳を一本化

  • 輸入者(Importer of Record)が誰か
  • HSコード、原産国、課税根拠(IEEPAか他法か)、追加関税の税目コード
  • エントリー番号、申告日、納付額、通関業者
  • 売上契約側での転嫁状況(価格改定、サーチャージ条項)

これが揃わないと、シナリオBになった瞬間に「返金対象かどうか」が判別できません。

2. 期限管理の確認

Reutersは、輸入者が修正できる期間と、エントリーの確定(liquidation)に触れ、期限を過ぎると返金が難しくなる可能性を示しています。ただし、CITとCBPの記録では、IEEPA関税が違法とされた場合、再清算を通じて返金が命じられる見込みであり、清算期限の延長は不要との見解も示されています。iscm+1​

実務は品目や手続きで例外もあるため、通関士、通関業者、貿易弁護士と一緒に、自社の輸入がどの状態にあるかを必ず棚卸ししてください。

3. 返金の受け皿を決める

  • 返金が来た場合、誰が受領し、誰が社内配賦し、誰が会計処理するか
  • 顧客や取引先に転嫁していた場合、返金の扱いをどうするか

Reuters記事では、輸入者が返金を得た場合に、小売や顧客から配分を求められる懸念が語られています。これは日本企業でも起き得ます。ベッセント財務長官も、企業が消費者に返金を還元するかは不透明であり、「企業への利益供与(corporate boondoggle)」になる可能性を示唆しています。reuters+3​

判決後72時間: 出た瞬間に走る

1. 対象範囲を即時に切り分け

相互関税、フェンタニル関連関税など、どの系統がどう判断されたかで、対象輸入が変わります。reuters+1​

判決要旨を読んでから台帳で対象を抽出する流れを、事前に演習しておくと強いです。

2. 税関実務の動きを確認

CBPは、2026年2月6日から全ての関税返金を電子配信に移行する技術的変更を発表しました。これは完全自動返金ではありませんが、CBPが返金実務に向けた準備を進めているシグナルとされています。ksgf+1​

実際の運用はガイダンスが出るまで確定しないので、通関業者との定例確認を前倒ししてください。

3. 説明戦略を統一

  • 投資家、金融機関、監査、取引先への説明テンプレート
  • 価格改定やサプライヤー再交渉の根拠

判決直後は情報が錯綜します。経営が一枚岩で説明できるかどうかが、交渉力を左右します。

日本企業が見落としやすい論点

1. 米国子会社が輸入者になっているケース

日本本社が「売っているだけ」のつもりでも、米国側がImporter of Recordになっていれば、関税コストと返金権利は米国側に帰属します。グループ内取引価格と利益配分まで波及します。

2. 日本企業も既に動いている

Reutersによれば、コストコなどに加え、横浜タイヤ(Yokohama Tire)やカワサキモーターズ(Kawasaki Motors)も返金権利を守るための訴訟を提起したと報じられています。日本企業にとっても他人事ではありません。reuters+1​

3. 政治イベントではなく、キャッシュイベントとして扱う

ベッセント米財務長官は、仮に返金が命じられても国庫資金は十分で、支払いは数週間から最大1年程度に分散し得るという趣旨を述べています。財務省の2026年1-3月期借入見積では、3月末の現金残高は約8500億ドルと予測されています。一方で「企業への利益供与」だとの見方も示しています。timesofindia.indiatimes+2​

つまり、返金があるとしても、いつ、どの単位で、誰に、どの条件で戻るかは別問題です。企業側は「返金期待」をPLで先走らせず、台帳と期限で権利を守るのが先です。

結論

1月14日は「判決が出るかもしれない日」です。finance.yahoo+1​

しかし、ビジネスにとっての本質は「その日に出るか」ではなく、出た瞬間に、相互関税コストを誰が負担し、返金があるなら誰が受け取り、契約上どこまで返すのかを即答できるかです。

関税は最終的に、通関データと契約条項と会計処理が握っています。

意思決定の速度を上げるために、今日から、調達、物流、財務、法務が同じ台帳を見てください。


  1. https://finance.yahoo.com/news/live/trump-tariffs-live-updates-supreme-court-will-not-rule-on-trumps-most-sweeping-duties-friday-152657745.html
  2. https://finance.yahoo.com/news/live/trump-tariffs-live-updates-bessent-says-treasury-can-cover-any-tariff-refunds-supreme-court-yet-to-rule-on-trumps-most-sweeping-duties-152657605.html
  3. https://www.hklaw.com/en/insights/publications/2025/11/supreme-court-oral-arguments-signal-skepticism
  4. https://global-scm.com/hscf/archives/134
  5. https://www.ey.com/en_gl/technical/tax-alerts/us-supreme-court-will-hear-oral-arguments-in-tariff-case-in-early-november-2025-opening-briefs-due-soon
  6. https://www.reuters.com/legal/government/importers-brace-150-billion-tariff-refund-fight-if-trump-loses-supreme-court-2026-01-08/
  7. https://www.ksgf.com/2026/01/08/importers-brace-for-150-billion-tariff-refund-fight-if-trump-loses-at-supreme-court/
  8. https://iscm.co/january-2026-ftzine/
  9. https://www.cnbc.com/2026/01/08/supreme-court-trump-tariff-ruling-refunds.html
  10. https://finance.yahoo.com/news/supreme-court-tariff-ruling-trump-222408586.html
  11. https://www.binance.com/en/square/post/34789393425578
  12. https://www.scotusblog.com/2025/12/the-tariffs-rebate-debate/
  13. https://www.reuters.com/world/bessent-says-us-treasury-can-easily-cover-any-tariff-refunds-2026-01-10/
  14. https://timesofindia.indiatimes.com/business/international-business/us-supreme-court-ruling-treasury-has-enough-funds-if-trumps-tariffs-are-struck-down-when-refunds-could-begin/articleshow/126448985.cms
  15. https://www.reuters.com/business/autos-transportation/global-companies-that-have-sued-the-us-government-tariff-refunds-2026-01-09/
  16. https://finance.yahoo.com/news/factbox-countries-industries-most-exposed-233255144.html
  17. https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-01-08/trump-tariffs-face-supreme-court-ruling-what-to-know
  18. https://www.thefinance360.com/supreme-court-delay-on-trump-tariffs-and-what-it-means-for-markets/
  19. https://www.cato.org/ieepa
  20. https://www.koreaherald.com/article/10652701
  21. https://thehill.com/homenews/administration/5683246-trump-tariffs-treasury-refunds/

「相互関税(IEEPA関税)」をめぐる米連邦最高裁の判決が延期

トランプ大統領の「相互関税(IEEPA関税)」をめぐる米連邦最高裁の判決については、当初現地時間1月9日(金)午前10時に出る可能性が高いと予測されていましたが、現時点(日本時間1月10日未明)で当該判決はまだ出されていません

今後、判決が出る際の「日本時間」の目安と最新状況を整理します。

1. 判決が出る「日本時間」の目安

米最高裁が判決を出す時間は、通常ワシントンD.C.時間の午前10時と決まっています。これを日本時間に直すと以下の通りです。

  • 日本時間:深夜 0:00(翌日付)
    • 例:現地月曜の午前10時は、日本時間の火曜午前0時になります。

2. 次の「判決が出る可能性のある日」

1月9日に判決が出なかったため、次のタイミングは最高裁の開廷スケジュールに準じます。

  • 第1候補:日本時間 1月13日(火)午前0:00
    • 現地時間1月12日(月)午前10時にあたります。この日は月曜日の定例発表や、1月期の口頭弁論開始日に重なるため、判決が出る有力な候補日です。
  • 第2候補:日本時間 1月14日(水)または15日(木)の午前0:00
    • 13日・14日も現地で審理が予定されているため、判決が言い渡される可能性があります。

3. 注意点と最新状況

  • 事前の予告なし: 最高裁は「どの裁判の判決を出すか」を事前に公表しません。当日午前10時(日本時間深夜0時)から10分おきに順次判決文が公開される仕組みです。
  • 1月9日の結果: 本日1月9日は「2026年最初の判決日」として注目されましたが、発表されたのは他の4件の判決のみで、関税に関するものは含まれませんでした。
  • 市場への影響: 日本の半導体関連株や輸出企業にとって極めて重要な判決であるため、深夜0時の発表直後に為替やPTS(夜間取引)が動く可能性があります。

今後のチェック方法

リアルタイムで判決を確認したい場合は、米国の最高裁専門ニュースサイト**「SCOTUSblog」**のライブ更新を確認するのが最も確実です。

MFN税率が15%以上なら追加関税ゼロの仕組み 米国の相互関税で実装された「15%調整弁」を実務で使いこなす

はじめに
2025年夏以降、米国の相互関税(いわゆるReciprocal Tariff、Chapter 99で実装)をめぐって「MFNが15%以上なら追加関税はゼロ」という言い方が現場で定着しました。これはスローガンではなく、CBP(米国税関・国境警備局)の公式ガイダンスで、EU向けにも日本向けにも明確に書かれているロジックです。(GovDelivery)

ただし、日付の理解を誤ると、適用漏れや過大納付、修正期限の取り逃しに直結します。本稿では、制度の考え方、申告コード、適用開始日と経過措置、そして落とし穴をビジネス目線で整理します。

1 ここで言うMFNは「HTSUSのColumn 1(General)」
米国実務でのMFNは、HTSUS(米国関税率表)の通常税率であるColumn 1(General)を指します。今回の「15%ルール」は、原則としてこのColumn 1(General)の税率が、15%以上か未満かで追加相互関税の扱いが切り替わります。EU向けのCBPガイダンスは、まさにこの判定軸で9903.02.19と9903.02.20を使い分けると説明しています。(GovDelivery)

注意点として、FTAなどの特恵税率(Special欄)が実務上の納税額に影響しても、「15%判定の基準」が常にそれと同一とは限りません。対象制度の条文・CBPガイダンスに合わせて、判定基準を固定してください(本稿では、CBPが明示したEU・日本の運用を中心に説明します)。(GovDelivery)

2 結論:追加関税は「上乗せ」ではなく「15%までの差額調整」
EU向け・日本向けのCBPガイダンスで共通する骨格は次のとおりです。

・Column 1(General)が15%以上
 追加の相互関税は0%(ゼロ)

・Column 1(General)が15%未満
 Column 1(General)と相互関税の合計が15%になるよう、差額分の相互関税を課す

EU向けは、15%以上なら9903.02.19、15%未満なら9903.02.20で申告すると明記されています。(GovDelivery)
日本向けも同様に、15%以上なら9903.02.72、15%未満なら9903.02.73を用いると明記されています。(GovDelivery)

実務で誤解されやすい点はここです。
15%以上の品目は、合計税率が15%に下がるわけではありません。追加相互関税がゼロになるだけで、Column 1(General)が20%なら合計も20%です。制度は「下限を15%にそろえる」設計であり、「上限を15%にする」設計ではありません(少なくとも、ここで扱う相互関税部分はそうです)。(GovDelivery)

3 申告でどう動くのか:Chapter 99コードがスイッチになる
この制度の実装は、Chapter 99の該当見出しを申告することで行われます。

EU向け(CBPガイダンス)
・Column 1(General)15%以上:9903.02.19(相互関税0)
・Column 1(General)15%未満:9903.02.20(合計15%になるよう調整)(GovDelivery)

日本向け(CBPガイダンス)
・Column 1(General)15%以上:9903.02.72(相互関税0)
・Column 1(General)15%未満:9903.02.73(合計15%になるよう調整)(GovDelivery)

日本向けについては、さらに重要な運用説明があります。9903.02.73で「15%を適用したい」場合、9903.02.73に続けてChapter 1〜97の本来の分類を申告し、ACE(自動通関システム)が税率計算を15%に置き換えると明記されています。(GovDelivery)
この一文があるため、実務者にとっては「コードを正しく選べばシステムが計算を整える」世界になりますが、逆に言えば、コード選択を誤ると過大納付や修正作業が発生しやすくなります。

4 日付の正しい整理:7月31日は発効日ではなく署名日、適用開始は8月7日
ご質問の核心である日付を、一次情報に基づいて整理します。

4-1 EU向けの適用開始は2025年8月7日(米国東部夏時間 0時01分)
CBPは「2025年8月7日 0時01分(EDT)以降に、消費向けに輸入申告または保税から引き出しされた貨物」が、EOのAnnex IIで追加された相互関税(9903.02.02〜9903.02.71等)の対象になると説明しています。(GovDelivery)
つまり、2025年7月31日は大統領令の署名日であり、「発効日」と同義ではありません。大統領令のAnnex IIには「署名日を除外して7日後の0時01分(EDT)以降」と書かれており、結果として適用開始が8月7日になります。

日本時間に換算すると、8月7日13時01分が目安です(米国東部夏時間と日本時間の時差は13時間)。

4-2 「輸送中(in-transit)」の経過措置は10月5日まで
CBPガイダンスでは、8月7日0時01分(EDT)より前に最終輸送手段で積載され輸送中で、かつ10月5日0時01分(EDT)より前に輸入申告された貨物は、原則10%の相互関税(9903.01.25)として扱うと明示されています。(GovDelivery)
この経過措置の期限(2025年10月5日)や「積載済みで輸送中」という要件は、大統領令のAnnex II側にも同様の趣旨で書かれています。

日本時間換算では、10月5日13時01分が目安です。

4-3 日本向けは二段階に見えるが、ポイントは「適用対象日」と「ACE展開日」
日本向けは、現場で混乱しやすい構造です。CBPはまず、対象行為(相互関税の調整)自体は「2025年8月7日0時01分(EDT)以降の輸入申告分に適用される」と説明しています。(GovDelivery)
その一方で、新しい見出し(9903.02.72と9903.02.73)は、2025年9月16日0時01分(EDT)にACEへ展開される、とも明記しています。(GovDelivery)

さらに、CBPは「9月16日にコードが展開された後、8月7日以降に申告したエントリーについて、必要に応じて修正して新コードを適用できる」こと、返金は未清算ならPSC、清算済みなら抗議申立(protest)で対応することまで説明しています。(GovDelivery)
連邦官報の告示(2025年9月16日付)でも、9903.02.72と9903.02.73の新設と、9月16日0時01分(東部時間)以降の修正条項などが確認できます。

このため、文章として安全なのは次の書き分けです。
・適用対象の開始:2025年8月7日0時01分(EDT)以降の輸入申告分
・新コードのACE展開:2025年9月16日0時01分(EDT)
・実務上の更正:9月16日以降に、8月7日以降分を新コードへ修正して整合させる

5 落とし穴その1:従量税や複合税は「従価税換算」で15%判定が動く
Column 1(General)が従価税(ad valorem)ではなく、従量税(例:kgあたり何セント)や複合税の場合、15%判定は「従価税換算(ad valorem equivalent)」で行う必要があります。

CBPは日本向けガイダンスで、従価税換算は「Column 1で支払うべき関税額を税関評価額で割る」と明記し、50セントの従量税を10ドルの評価額で割って5%になる例まで示しています。(GovDelivery)

ここで重要なのは、評価額が変わると従価税換算も変わり、15%以上か未満かの判定が揺れることです。移転価格、値引き条件、ロイヤルティ、アシストなど、評価論点が追加関税の有無にまで波及する可能性があります。

6 落とし穴その2:自動車・自動車部品はSection 232側にも15%ロジックが入る
日本向けガイダンスは、相互関税だけでなく、Section 232(自動車・自動車部品)についても「Column 1が15%以上なら追加232はゼロ、15%未満なら合計15%」というロジックを明示しています。(GovDelivery)
具体的には、乗用車・ライトトラックは9903.94.40(追加232ゼロ)または9903.94.41(合計15%)、部品は9903.94.42または9903.94.43という形で分岐します。(GovDelivery)

相互関税(IEEPA系)と232は根拠法も体系も異なるため、どちらの追加税が対象になるのか、Chapter 99の該当見出しを混同しないことが肝になります。

7 ビジネス実務での使い方:何を先に固めるべきか
この制度は、単に税率を読むだけでは不十分です。社内での意思決定やサプライチェーン設計に落とすなら、次の順番が現実的です。

1 品目別にColumn 1(General)を棚卸しする
15%以上の品目は追加相互関税がゼロになる可能性があるため、品目ミックスによっては着地コストが大きく変わります。(GovDelivery)

2 HS分類の精度を上げる
15%の境界線をまたぐ分類誤りは、追加税の有無を逆転させます。監査・事後調査で最も説明が苦しい類型なので、分類根拠(比較品、注解、機能説明、仕様書)を揃える投資対効果は高い領域です。

3 原産地の確からしさを上げる
Chapter 99は原産国別の運用です。原産地の揺れは、そのまま適用制度の揺れになります。

4 輸送中の経過措置に該当する貨物を抽出する
8月7日前後の積載・到着・申告タイミングで、10%扱いになるか、15%調整ルールの扱いになるかが変わります。(GovDelivery)

5 日本向けは8月7日以降分の修正要否を点検する
CBPは、9月16日のコード展開後に、8月7日以降分を新コードに修正できると説明しています。過大納付が疑われる場合は、PSCや抗議申立まで含めて社内の手順を整備しておくと、実務が止まりません。(GovDelivery)

主要ポイント早見表(研究結果フォーマットに準拠)

国名関税率出所備考
EU相互関税はColumn 1が15%以上なら0%、15%未満なら合計15%になるよう調整CBP CSMS 65829726申告:15%以上は9903.02.19、15%未満は9903.02.20。適用開始は2025年8月7日0時01分EDT。輸送中は条件付きで2025年10月5日まで10%(9903.01.25)。(GovDelivery)
日本相互関税はColumn 1が15%以上なら0%、15%未満なら合計15%になるよう調整CBP CSMS 66242844、連邦官報告示申告:15%以上は9903.02.72、15%未満は9903.02.73。対象開始は2025年8月7日0時01分EDT、コードは2025年9月16日0時01分EDTにACEへ展開。ACEが15%計算に置換する運用説明あり。(GovDelivery)

おわりに
「MFN15%以上なら追加関税ゼロ」は、言い換えると「追加関税は15%までの差額調整として設計され、境界線はColumn 1(General)15%に置かれている」ということです。EU向け・日本向けともに、CBPが申告コードまで指定して運用を明示しているため、制度の理解はここから逆算するのが最短です。(GovDelivery)

一方で、輸送中の経過措置、8月7日と9月16日の二段階(日本向け)、従価税換算が必要な品目、232との重なりなど、実務の落とし穴も増えています。
結局は、分類、原産地、評価の三点セットを固め、申告コードを正しく選び、必要なら修正・返金まで見据える。これが「15%調整弁」を利益に変えるための現実解です。

日米「15%相互関税」枠組みの適用範囲と時期


輸出側(日本企業)にとっては見積もりと契約条件、輸入側(米国側の輸入者)にとっては申告実務に直撃するのが、この「15%」です。ポイントは、15%が一律上乗せではなく、原則として米国の通常税率(Column 1=MFN)を含めた合算で15%になる設計だという点です。japan.kantei+1

1. 今回の「15%」は何を意味するのか

日米合意の実装として、米国は日本原産品について、原則「ベースライン15%」の関税枠組みを適用しました(ほぼ全品目が対象)。一方で、自動車・同部品、航空宇宙(民間航空機)などは別扱いのルールが設定されています。whitehouse+1

ここで誤解が多いのが、15%が「追加で15%」だと思われやすい点です。実務上のコアは次のロジックです。

2. 適用ロジック:MFN込みで合算15%

CBP(米国税関・国境警備局)のガイダンスでは、日本原産品の相互関税は、品目ごとのColumn 1税率(従価税、または従価税相当)に応じて決まります。whitehouse

基本ルール(一般品目)

Column 1税率が15%以上の場合
追加の相互関税は0%(実務上は専用のChapter 99番号9903.02.72を申告)whitehouse

Column 1税率が15%未満の場合
Column 1と相互関税の合算が15%になるように調整(いわば「15%までの上乗せ」、HTSUS番号9903.02.73を使用)whitehouse

特定税率(従量税など)の扱い

Column 1が従量税や複合税率の場合は、税額を課税価格で割って従価税相当に換算し、その換算率が15%未満かどうかで判定します。whitehouse

実務上の要点

ACE(米国の電子申告システム)は、所定のChapter 99番号を組み合わせて申告すると、結果として15%になるよう計算を置き換える運用が示されています。whitehouse

3. 適用範囲:対象と例外をどう切り分けるか

対象の基本

対象は「日本原産品」です。出荷地が日本かどうかではなく、米国の原産地判定(実質的変更など)で日本原産と扱われるかが起点になります。実務では、サプライチェーン上の加工地が絡む製品ほど、原産地の取り違えがコスト差に直結します。

例外1:民間航空機(Civil Aircraft Agreement)

民間航空機協定(WTOの民間航空機協定)に該当する日本原産の民間航空機(軍用機と無人機を除く)および関連部品等は、相互関税に加えて、アルミ・鉄鋼・銅など一部の232条追加関税から外れる扱いが明示されています(専用のChapter 99番号9903.96.02で申告)。whitehouse

例外2:232条対象品目は原則「相互関税の対象外」

日本原産品でも、232条措置(鉄鋼、アルミ、銅、自動車・同部品など)対象は、相互関税の上にさらに重ねるのではなく、232条側の枠組みで扱う整理が示されています。jetro+1

例外3:特定の医薬品や天然資源など(ゼロ化の可能性)

大統領令では、米国内で入手困難な天然資源やジェネリック医薬品などについて、相互関税率を0%に修正できる枠組みが置かれています。該当性の判断と運用は、今後の当局通知とHTS改正の具体化を前提に、個社での品目当て込みが必要です。whitehouse

4. 時期:いつから何が変わったのか(実務の時系列)

今回の論点は「発効日が1回ではない」ことです。大枠は次の理解が安全です。

重要日程

2025年8月7日(米国東部時間00:01以降)
日本原産品に対する相互関税の適用が開始されました。初期運用では専用のHTS番号9903.02.30で申告する扱いが示されました。japantimes+2

2025年9月4日
日米合意を実装する大統領令が公表され、15%ベースラインと、セクター別扱いの枠組みが明示されました。govinfo+1

2025年9月16日(米国東部時間00:01以降)
申告用のChapter 99番号が更新され、従来番号9903.02.30がACE上で使用不可となり、新番号9903.02.72と9903.02.73へ移行しました。加えて、自動車・同部品と民間航空機の取り扱いがこの日から明確に運用開始となっています。whitehouse

遡及と修正の実務

大統領令には、2025年8月7日以降の輸入に遡って適用する旨が置かれ、CBPが返金や修正の手順を案内する形になりました。特に2025年8月7日から9月15日の間に輸入実績がある企業は、当時の申告内容が新ルール下で適切か、輸入者と通関業者と一体で棚卸しする価値があります。federalregister+2

5. 自動車・同部品:別建てで「MFN込み15%」へ

自動車・同部品は232条の枠で再設計され、2025年9月16日以降に輸入される日本原産の自動車・同部品について、Column 1税率に応じて「合算15%」となるよう調整する運用が示されています。whitehouse

  • 自動車でColumn 1税率が15%以上:HTSUS 9903.94.40(追加関税0%)
  • 自動車でColumn 1税率が15%未満:HTSUS 9903.94.41(合算15%)
  • 自動車部品でColumn 1税率が15%以上:HTSUS 9903.94.42(追加関税0%)
  • 自動車部品でColumn 1税率が15%未満:HTSUS 9903.94.43(合算15%)whitehouse

6. ビジネスマン向け:現場が最初に確認すべき3点

自社品目のColumn 1税率が15%未満か
未満なら、原則として15%まで引き上げられるため、価格と利益への影響が大きくなります。whitehouse

232条対象に該当しないか(鉄鋼、アルミ、銅、自動車など)
相互関税で処理するのか、232条側で処理するのかで、申告番号も請求書の説明も変わります。jetro+1

申告の「番号」と「順番」
Chapter 99番号は付ければよいのではなく、複数の追加関税や救済関税が重なる場合に、CBPが示すシーケンスに沿って並べる必要があります。現場では、輸入者側の通関ルールとテンプレート改修が先行課題になります。whitehouse

まとめ

米日15%相互関税枠組みは、単純な一律上乗せではなく、MFN込みで合算15%に調整する設計です。発効は2025年8月7日、申告番号の更新と自動車・民間航空機の具体運用は2025年9月16日が節目となりました。まずは自社品目が「15%未満か」「232条か」「例外(民間航空機等)か」を切り分け、輸入者・通関業者と一緒に申告ルールと過去実績の点検まで進めるのが、最短で損失を止める動きになります。japan.kantei+2


免責事項
本稿は公開情報に基づく一般的な解説であり、個別案件の法的助言ではありません。実際の適用は、最新のHTS改正、CBPのCSMS、通関実務(ACE設定)に従って確認してください。


    1. https://japan.kantei.go.jp/103/statement/202508/07kaiken.html
    2. https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/08/4599e222a3e3b82d.html
    3. https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/07/further-modifying-the-reciprocal-tariff-rates/
    4. https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/09/implementing-the-united-states-japan-agreement/
    5. https://www.japantimes.co.jp/business/2025/08/07/economy/reciprocal-tariff-effective/
    6. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-09-09/html/2025-17389.htm
    7. https://www.federalregister.gov/documents/2025/09/16/2025-17908/implementing-certain-tariff-related-elements-of-the-united-states-japan-agreement
    8. https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/09/df5c001da8c7a39e.html
    9. https://www.congress.gov/crs-product/IN12608
    10. https://www.youtube.com/watch?v=JRLUQvYLK1w
    11. https://www.thompsoncoburn.com/insights/u-s-japan-trade-agreement/
    12. https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20250708.html
    13. https://www.chrobinson.com/it-it/resources/insights-and-advisories/client-advisories/2025q3/09-17-2025-client-advisory-us-japan-agreement-implementation-trade-agreement-tariff-modifications/
    14. https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/08/df401b87949acc2a.html
    15. https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/us_tariff/pdf/00_20250822.pdf
    16. https://www.jetro.go.jp/ext_images/biz/seminar/2025/4692b7c6204944b6/gaiyo20250925.pdf
    17. https://www.pref.toyama.jp/documents/49618/2_jetro0827.pdf
    18. https://www.meti.go.jp/tariff_measures/pdf/2025_0901_02.pdf