HS2022 第12類:油糧種子及び含油性の果実; その他の種子及び果実; 工業用又は薬用の植物; わら及び飼料用植物(Oil seeds and oleaginous fruits; miscellaneous grains, seeds and fruit; industrial or medicinal plants; straw and fodder)

※用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 油糧種子:大豆(1201)、なたね/キャノーラ(1205)、ごま・けしの実等(1207)
    • 播種用の種子:野菜種子・牧草種子・花の種子など(1209)
    • ホップ(ビール原料):ホップ球果・ペレット等(1210)
    • 薬用/香料用の植物:人参根、エフェドラ等(1211)
    • 海藻等:食用海藻(1212)
    • わら・飼料用植物:穀わら(1213)、乾草・アルファルファペレット(1214)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 食用ナッツ(例:アーモンド・くるみ等):第8類(0801/0802)へ(1207には入らない)
    • オリーブ:第7類(生鮮)または第20類(調製)へ(1207には入らない)
    • 植物油(抽出後の油):第15類へ(「種子」ではなく「油」)
    • 搾油かす等の残留物(油粕):第23類(2304〜2306)へ(1208に入らない)
    • 医薬品・化粧品・殺虫剤など“調製品”:第30類/第33類/3808へ(1211から除外)
    • 播種用でも1209に入らない例:穀物(第10類)、香辛料(第9類)、豆類野菜/スイートコーン(第7類)など(1209注の除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「種子・植物そのもの」か、「油・油かす・抽出物・調製品」か(第15類・第23類・第30/33/38類へ飛びやすい)
    2. 「播種用(1209)」か否か。ただし、大豆・なたね等(1201〜1207)や、1211に該当する植物は“播種用でも”1209になりません(注で明確に除外)
    3. なたね/からし菜種子が「低エルカ酸(1205.10)」か(エルカ酸・グルコシノレートの分析値が必要)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **播種用(1209)は、関税・原産地規則だけでなく植物検疫(書類・検査)**にも直結しやすいです。
    • **1211(薬用/管理対象になり得る植物)は、分類だけでなく輸入禁止・規制(麻薬等/条約規制)**の確認が必須になり得ます。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し+部注/類注)**が最重要です。第12類は、1207/1208/1209/1211/1212について「入る/入らない」を注で明確に書いており、品名より注が強い場面が多いです。
    • **GIR6(号レベル)**で、たとえば「播種用(Seed)」の枝番や「海藻の食用/非食用」などを詰めます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要):
    • 用途(播種用か/食用か/工業用か):ただし1209は注で除外があるので、用途だけで1209に飛ばない
    • 加工状態:未調理の落花生(1202)と、ロースト/味付け等の調製品(第20類)
    • 形状:粉(1208)、ペレット(1210/1213/1214で出やすい)
    • 製造工程:搾油かす(第23類)か、単なる粉砕粉(1208)か
    • 成分・分析値:1205.10(低エルカ酸)の判定

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:貨物は「植物(またはその部分:種子・果実・葉・根・樹皮・わら等)」ですか?
    • YES → Step2
    • NO → 第12類以外を検討
  • Step2:「油そのもの」「搾油かす」「抽出物」「調製品(医薬/化粧品/農薬等)」ですか?
    • 油 → 第15類
    • 搾油かす(残留物) → 第23類(2304〜2306)
    • 抽出物/調製品 → 第13類/第30類/第33類/3808等(1211の除外に注意)
    • それ以外(種子・植物体)→ Step3
  • Step3:次のどれに当たるかを選びます(“最初に大枠”)
    • 油糧種子(大豆・落花生・なたね・ひまわり等)→ 1201〜1207
    • 油糧種子の粉・ミール(マスタード除く)→ 1208(ただし油かすは除外)
    • 播種用の種子・果実・胞子 → 1209(注の除外を必ず確認)
    • ホップ → 1210
    • 薬用/香料用等の植物(根・葉・樹皮など)→ 1211
    • 海藻・ローカストビーンズ等の食用向け植物品目 → 1212(注5の除外あり)
    • 穀わら・もみ殻等 → 1213
    • 乾草・アルファルファ等の飼料用植物 → 1214
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第8類(ナッツ)↔ 第12類(油糧種子):1207は0801/0802を除外
    • 第12類(1208)↔ 第23類(油かす):1208注2で「2304〜2306残留物は除外」
    • 第12類(1211)↔ 第30/33/3808:医薬・化粧品・農薬等の“調製品”は除外
    • 第12類(1212)↔ 第21/30/31:海藻と微生物/培養物/肥料の境界(注5)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第12類の項(1201〜1214)は、実務上ほぼ「全列挙」で把握するのが早い類です。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1201大豆(破砕の有無不問)大豆、割大豆播種用は1201.10。1209ではない(1209注の除外)
1202落花生(未焙煎・未調理。殻付き/剥き/破砕可)生落花生、乾燥落花生焙煎/味付け等は別章(例:第20類)になりやすい
1203コプラ乾燥ココナッツ果肉油や油かすは第15類/第23類へ
1204亜麻仁(リンシード)亜麻仁食用/工業用でも基本はここ(油は第15類)
1205なたね/からし菜種子なたね、キャノーラ低エルカ酸(1205.10)定義あり(分析)
1206ひまわり種子ひまわりの種破砕可。ロースト等で別章の可能性
1207その他の油糧種子・含油性果実ごま、綿実、ひまし、けしの実、パーム核等0801/0802(ナッツ)・オリーブは除外。注1が重要
1208油糧種子等の粉・ミール(マスタード除く)大豆粉、ゴマ粉(油分あり/一部脱脂含む)油かす等(2304〜2306)は除外(注2)
1209播種用の種子・果実・胞子野菜種子、芝/牧草種子、花の種ただし注3で穀物(第10類)等は除外。油糧種子(1201〜1207)も除外
1210ホップ(球果・粉末・ペレット)/ルプリンホップペレット、乾燥ホップ「粉末/ペレット」かで枝番(1210.20)
1211香料・薬用・殺虫等用途の植物(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥、切断/粉砕可)人参根、薄荷、甘草、エフェドラ等医薬品(第30類)/化粧品(第33類)/農薬(3808)は除外(注4)
1212ローカストビーンズ、海藻、甜菜/サトウキビ等の食用向け植物品目(他にないもの)海苔/昆布/わかめ、チコリ根、サトウキビ海藻の定義は注5で“微生物/培養/肥料”除外
1213穀わら・もみ殻等(未調製。切断/粉砕/圧縮/ペレット可)稲わら、麦わら、もみ殻ペレット「ペレット」の定義は部注(バインダー3%以下)
1214飼料用植物(乾草、アルファルファ等。ペレット可)アルファルファペレット、乾草**調製飼料(第23類2309等)**との境界に注意

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • Seed(播種用)枝番の有無:1201.10、1202.30、1207.21など
    • 特定成分基準:1205.10(低エルカ酸なたね/からし菜)
    • 形状(粉・ペレット):1210.10/1210.20、1214.10/1214.90等
    • 食用適否:海藻 1212.21(食用)/1212.29(その他)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1209(播種用) vs 1201〜1207(油糧種子の“Seed”枝番)
      • どこで分かれるか:1209注で、1201〜1207は“播種用でも”1209に入らないと明記されています。
      • 判断に必要な情報:
        • 植物種(例:大豆/なたね等)
        • 播種用である客観資料(種子証明、発芽率、薬剤処理、包装表示、用途説明など)
      • 典型的な誤り:**「播種用だから1209」**としてしまい、大豆(1201.10)等の“本来の見出し”を外す。
    2. 1208(粉・ミール) vs 第23類(油かす:2304〜2306)
      • どこで分かれるか:1208注2で、2304〜2306の残留物(搾油かす等)は除外です。
      • 判断に必要な情報:
        • 製造工程(搾油残渣か、単なる粉砕か)
        • 油分・タンパク等の仕様(COA)、用途(飼料用か等)
      • 典型的な誤り:**「粉っぽいから1208」**として、搾油かす(実態は2304等)を誤申告。
    3. 1205.10(低エルカ酸なたね/からし菜) vs 1205.90(その他)
      • どこで分かれるか:定義(エルカ酸<2%重量、グルコシノレート<30µmol/g)で分岐。
      • 判断に必要な情報:ロット別の分析表(COA)、品種情報(canola等)、試験方法。
      • 典型的な誤り:品名「キャノーラ」だけで1205.10と断定(証憑不足)。
    4. 1212(海藻) vs 2102/3002/3101/3105(注5の除外対象)
      • どこで分かれるか:1212注5で、単細胞微生物(死体)・微生物培養・肥料は海藻の範囲から外れる整理。
      • 判断に必要な情報:原料が大型海藻か/微細藻類か、製品状態(培養物か乾燥粉末か)、用途(食品/肥料)。
      • 典型的な誤り:「藻類=海藻(1212)」と短絡して、注の除外を見落とす。
    5. 1211(植物そのもの) vs 第30類/第33類/3808(“調製品”)
      • どこで分かれるか:1211注4で、医薬品・化粧品等の調製品は除外
      • 判断に必要な情報:製品形態(単なる乾燥葉か、抽出・製剤か)、表示・効能主張、成分表、剤形。
      • 典型的な誤り:サプリ/外用製剤のような「調製品」を、原植物扱い(1211)で申告。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第12類が属する第II部(植物性生産品)には、「ペレット」の定義があります。
      → 圧縮、または重量3%以下の結合剤
      添加で凝集したもの。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 1210(ホップ)、1213(わら/もみ殻)、1214(飼料用植物)はペレット形状で流通しやすいです。
      「ペレットだから別章」ではなく、まずは各見出しの許容(“in the form of pellets”)と部注の定義で確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 結合剤が多く、実態が「調製品」「飼料調製」になっている場合は第23類などへ(要実態確認)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(超実務向け):
    • 注1:1207の対象例(パーム核、綿実、ひまし、ごま、マスタード、サフラワー、けしの実、シアナッツ等)を示しつつ、0801/0802やオリーブを除外
    • 注2:1208(油糧種子等の粉・ミール)は、部分脱脂や脱脂後の再加脂も含むが、2304〜2306の残留物は除外
    • 注3:1209(播種用)で「播種用とみなす種子」を定義しつつ、**播種用でも除外するもの(第7類・第9類・第10類・1201〜1207・1211)**を列挙
    • 注4:1211(薬用/香料用等の植物)の例示と、第30/33/3808の除外
    • 注5:1212の「海藻」の語から、2102/3002/3101/3105を除外
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 1205.10(低エルカ酸なたね/からし菜)の定義:
      固定油のエルカ酸が重量2%未満
      、かつ固形分のグルコシノレートが30µmol/g未満
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 1207→0801/0802、オリーブ(第7類/第20類)
    • 1208→2304〜2306
    • 1209→第7類/第9類/第10類/1201〜1207/1211
    • 1211→第30類/第33類/3808
    • 1212(海藻語)→2102/3002/3101/3105

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「播種用(1209)」に“行ける/行けない”が注で決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 品目(植物種)そのものが、1209注の除外対象(穀物、香辛料、1201〜1207、1211など)か
      • 播種用である客観資料(ラベル、検査証、用途証明)
    • 現場で集める証憑:
      • 種子証明書、発芽率試験、処理(コーティング/薬剤処理)情報、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • 「播種用」だけで1209に決め打ちし、1201.10等を外す(注違反)
  • 影響ポイント2:1208(粉・ミール)と2304等(搾油残渣)の線引きを注が固定
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 原料に対して「搾油(圧搾/溶剤抽出)」が行われ、残渣として出たか(=2304等)
      • それとも単なる粉砕・部分脱脂・再加脂の“粉/ミール”か(=1208)
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程図、製法説明、COA(油分/タンパク/灰分)、用途資料(食品/飼料)
    • 誤分類の典型:
      • 「大豆ミール」という商慣習名だけで1208にしてしまい、実態が搾油かす(2304)だった
  • 影響ポイント3:1211(植物)と“調製品”(第30/33/3808)が注で分かれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 抽出・混合・製剤化の有無、成分の標準化、効能表示、剤形
    • 現場で集める証憑:
      • 製品ラベル、成分表、MSDS、製造仕様、広告表示文言、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • サプリや外用剤のような“調製品”を、原植物扱いで1211申告(注違反)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:くるみ/アーモンド等を「油が取れるから」1207にする
    • なぜ起きる:油糧種子のイメージに引っ張られる
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):1207注1で0801/0802は除外
    • 予防策:植物名(ナッツ種別)と現物形状(殻付き/仁)を確認、過去の税関分類例も検索
  2. 間違い:落花生のロースト品を1202にする
    • なぜ起きる:「落花生=1202」と短絡
    • 正しい考え方:1202は**“not roasted or otherwise cooked”**が前提
    • 予防策:加熱・味付け・砂糖衣など加工工程を必ずヒアリング(製造工程/仕様書)
  3. 間違い:播種用の大豆を1209にする
    • なぜ起きる:「播種用=1209」と思い込み
    • 正しい考え方:1209注3(d)で、1201〜1207は播種用でも1209に入らない
    • 予防策:品目(大豆/なたね等)を先に確定→その上でSeed枝番を見る
  4. 間違い:キャノーラ(なたね)を証憑なしで1205.10にする
    • なぜ起きる:商標・通称で判断してしまう
    • 正しい考え方:1205.10は分析値の定義がある
    • 予防策:COA(エルカ酸/グルコシノレート)をロット紐付けで入手
  5. 間違い:搾油かす(飼料用大豆ミール等)を1208にする
    • なぜ起きる:「粉・ミール」という外観/商慣習名に依存
    • 正しい考え方:1208注2で、2304〜2306残留物は除外
    • 予防策:製造工程(搾油の有無)を質問票に入れる(例:「圧搾/溶剤抽出の有無」)
  6. 間違い:乾燥ハーブ製品を何でも1211にする
    • なぜ起きる:植物=1211と短絡
    • 正しい考え方:1211注4で、**医薬品(第30類)/化粧品(第33類)/農薬(3808)**は除外
    • 予防策:効能表示、抽出・配合の有無、剤形(錠剤・カプセル等)を確認
  7. 間違い:海藻由来の粉末を無条件に1212にする
    • なぜ起きる:「藻=海藻」という理解
    • 正しい考え方:1212注5で、微生物/培養/肥料は除外
    • 予防策:原料が大型海藻か微細藻類か、用途(食品/肥料)を仕様書で確認
  8. 間違い:アルファルファ“ペレット”を別章に飛ばす
    • なぜ起きる:「ペレット=飼料製品」と誤解
    • 正しい考え方:1214自体が“ペレット可”で、部注でペレット定義あり
    • 予防策:結合剤比率・混合の有無(単体圧縮か)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HS(最終製品)を誤ると、適用すべきPSR自体がズレて原産性判断が崩れます
  • よくある落とし穴(第12類で起きやすい):
    • 1208(粉)と2304(油かす)を取り違え、PSRのCTC基準が変わる
    • 1211(植物)と第30類(医薬製剤)を取り違える
    • HS2022の1211.60(アフリカンチェリー樹皮)を、旧版の1211.90としてPSRを見てしまう(協定の参照HS版次第)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • まず前提:協定ごとに採用HS版が異なるため、税関のPSR検索でも注意喚起されています。
  • 例(一次情報ベースで確認できるもの):
    • CPTPP:PSR・譲許は HS2012 ベース(“2017年1月1日直前に有効なHS=HS2012”で合意、と明示)
    • 日EU EPA:附属書のPSRは HS2017 と明記(Annex 3-Bの柱が“HS classification (2017)”)
    • RCEP:附属書3Aが HS2012 ベースと明記
      • ただし、HS2022へのトランスポジション版PSRが採択され、2023-01-01から実施とする資料(JETRO)もあります(運用は必ず最新版を確認)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定がHS2012/HS2017参照でも、実際の通関申告は最新HSで行うのが通常です(税関もその旨注意)。
    • その際は、WCOの相関表(Correlation Table)で旧→新を読み替えます。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(第12類で特に効く):
    • 最終製品のHS(6桁)と、材料のHS(可能なら6桁)
    • 原材料表(BOM)、各材料の原産国、工程(搾油/粉砕/乾燥/抽出など)
    • 1205.10等、分析値が号判定に必要なものはCOA(ロット管理)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 自己申告・第三者証明いずれでも、BOM、原価、工程資料、輸送書類等を整理(協定・相手国で保存年限等が異なり得る)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(新設を伴う)1211.60(新設)/1211.90(範囲縮小)1211.90(Other)から**アフリカンチェリー樹皮(Prunus africana)**を分離して別掲旧HS(1211.90)での履歴管理だとズレる。CITES管理品目の可能性もあり、分類・規制・原産地で影響
HS2017→HS2022変更なし(実務上)1201〜1214(上記以外)第12類の他の主要号は大枠維持ただし相手国国内コードの細分は別(国内コードとして要確認)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCOの相関表(HS2022↔HS2017)において、1211.90が分割され、新たに1211.60を設けたこと、およびその目的(アフリカンチェリー樹皮の取引監視)が明記されています。
  • HS2022の品目表(第12類)にも、1211の下位に**1211.60(Bark of African cherry)**が追加されています。
  • したがって、HS2017では1211.90に含まれていた範囲の一部(当該樹皮)が、HS2022で独立号になった、と判断できます。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第12類は、2007→2012で油糧種子系の枝番が増え、2017→2022で1211が一部細分化、という流れが見えます。

変遷主要な追加・削除・再編(例)旧コード → 新コード(例)実務メモ
HS2007→HS2012大豆・落花生等で「Seed」等の枝番が拡充1201.00 → 1201.10/1201.90、1202.10/20 → 1202.30/41/42播種用の区分がより明確に
HS2007→HS20121207(その他油糧種子)が大幅拡充(パーム核、ひまし、サフラワー、メロン種子等)1207.xx(限定的)→ 1207.10/21/29/30/60/70…“その他”の中身が増え、誤分類リスク低減
HS2007→HS20121212(海藻等)が「食用/その他」に分割、ローカストビーンズ・サトウキビ・チコリ根などが明確化1212.20 → 1212.21/1212.29 等食用判定・用途確認の重要性が上がる
HS2012→HS20171211で**エフェドラ(1211.50)**を別掲、また1211/1212で冷蔵・冷凍を含む表現1211.90(Other内)→ 1211.50 等薬用原料系は規制確認もセットで
HS2017→HS20221211で**アフリカンチェリー樹皮(1211.60)**を別掲1211.90(Other内)→ 1211.60CITES等の可能性、統計・規制・原産地で要注意

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):播種用大豆を1209で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):1209注3(d)(1201〜1207は除外)に抵触
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “soybean seeds for sowing” で、担当が機械的に1209へ
    • 典型的な影響:修正申告、関税・統計の再計算、検査強化・遅延(一般論)
    • 予防策:植物種→該当見出し→Seed枝番、の順でチェック
  • 事例名:搾油かす(大豆ミール)を1208申告
    • 誤りの内容:1208注2(2304〜2306残留物は除外)に抵触
    • 起きやすい状況:原料名が “soybean meal” で粉状、工程情報が無い
    • 典型的な影響:税番変更・税率差、原産地規則の再判定(一般論)
    • 予防策:工程図・搾油有無の確認を必須質問に
  • 事例名:ナッツ類を1207申告
    • 誤りの内容:1207注1(0801/0802除外)に抵触
    • 起きやすい状況:「油を搾れる」用途情報のみで分類
    • 典型的な影響:税番差、統計訂正、場合により許可・規制確認のやり直し
    • 予防策:植物種(ナッツの種類)と第8類の該当性を先に確認
  • 事例名:ハーブ抽出・製剤品を1211申告
    • 誤りの内容:1211注4(第30/33/3808除外)に抵触
    • 起きやすい状況:原料が植物なので、抽出・配合の有無を見ない
    • 典型的な影響:輸入手続(規制/届出)の追加確認、差止め・遅延(一般論)
    • 予防策:剤形・効能表示・成分表で“調製品”か判定

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物防疫(植物検疫):種子・苗だけでなく、穀類・豆類等も対象になり得ます。輸入時は、輸出国政府発行の**植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)**が必要になるケースがある旨が案内されています。
    • 食品衛生(食品の輸入届出):販売/営業目的で食品等を輸入する場合、検疫所への輸入届出・審査/検査が必要とされています。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第12類でも、植物種によってはCITES対象になり得ます。METIは「規制対象種の調べ方」として学術名の特定→附属書確認を案内しています。
    • 参考:**Prunus africana(アフリカンチェリー)**はCITES附属書II掲載(1995年~)との説明があります。HS2022で樹皮が1211.60として別掲された背景とも整合します。
  • その他の許認可・届出(例:麻薬等)
    • 税関は輸出入禁止・規制品目として麻薬等を挙げています。
    • 1211にはコカ葉(1211.30)、けしがら(1211.40)が号として存在しますが、実務では分類以前に輸入可否・許可の要否を必ず当局に確認すべき領域です。関連法令として麻薬及び向精神薬取締法があります。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(輸入FAQ等)
    • 食品輸入:厚生労働省(食品等輸入手続)/検疫所
    • CITES:経産省(対象種の調べ方)/条約情報
    • 分類相談:税関の事前教示(品目分類)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書、成分/分析表(COA)、製造工程、用途説明、写真、カタログ
    • (植物)学術名、産地証明、植物検疫証明書、必要に応じてCITES書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 植物種(和名/学名)、部位(種子・根・葉・樹皮等)、加工状態(生鮮/冷蔵/冷凍/乾燥、粉/ペレット)
    • 用途(播種用/食用/薬用/飼料用)と、それを裏付ける資料
    • 製造工程(搾油の有無、抽出・混合・製剤化の有無)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 1207注1、1208注2、1209注3、1211注4、1212注5を再確認
    • ペレットの場合、部注の「結合剤3%以下」要件も確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “seed / meal / cake / extract / pellets” 等の英語表現が実態と一致しているか
    • 写真・仕様書・COAを税番と紐付け
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017/2022)を確認し、必要なら相関表で読み替え
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫証明書の要否、食品輸入届出の要否、CITES該当性、麻薬等の該当性

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 12(0212_2022e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO HS Nomenclature 2017:Chapter 12(0212_2017e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO HS Nomenclature 2012:Chapter 12(0212_2012e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO HS Nomenclature 2007:Chapter 12(0212_2007e)〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO Correlation Table(HS2022↔HS2017):1211.60新設の根拠〔参照日:2026-02-14〕
    • WCO Section II Note(pellets定義)〔参照日:2026-02-14〕
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:品目別原産地規則(HS版の注意、相関表リンク)〔参照日:2026-02-14〕
    • 税関:相関表(HS2022↔HS2017)〔参照日:2026-02-14〕
    • 税関:事前教示(品目分類)〔参照日:2026-02-14〕
    • 農林水産省:植物防疫所 輸入FAQ(植物検疫証明書)〔参照日:2026-02-14〕
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(輸入届出)〔参照日:2026-02-14〕
    • 経済産業省:ワシントン条約規制対象種の調べ方〔参照日:2026-02-14〕
    • 税関:輸出入禁止・規制品目(麻薬等)〔参照日:2026-02-14〕
    • e-Gov法令:麻薬及び向精神薬取締法〔参照日:2026-02-14〕
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:HS2012でPSRが合意(ガイド記載)〔参照日:2026-02-14〕
    • 日EU EPA:Annex 3-B(HS2017)〔参照日:2026-02-14〕
    • RCEP:Annex 3A(HS2012)〔参照日:2026-02-14〕
    • (参考)JETRO:RCEP PSRのHS2022トランスポジション実施情報〔参照日:2026-02-14〕
  • その他
    • CITES:Prunus africana(附属書II掲載)〔参照日:2026-02-14〕

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 現物写真(全体・ラベル・断面)
    • 仕様書(学名/部位/加工状態/用途/包装形態)
    • 工程(搾油の有無、抽出の有無、乾燥方法、ペレット化条件)
    • COA(必要な場合:油分、エルカ酸等)
  • 日本の実務導線(例)
    • 税関の公開事前教示(品目分類)検索で、類似品の分類実績・判断材料を収集
    • 重要案件は、税関の「事前教示制度」で照会(書類の整備が前提)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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