中国の両用品目および技術輸出入許可証管理目録2026年版とは何か

中国の両用品目および技術輸出入許可証管理目録2026年版は、中国との取引に関わる企業のコンプライアンスとリスク管理の前提条件となる重要な制度改定である。日本企業にとっては、単なる規制強化ではなく、ビジネス戦略を見直すシグナルと捉える必要がある。[facebook]​

2026年版で何が変わったのか

中国商務部と海関総署は、2025年12月末に以下三つの目録の2026年版を公表し、いずれも2026年1月1日から施行した。[facebook]​

公表された三つの目録

  • 両用品目および技術輸出入許可証管理目録 2026年版
  • 輸出許可証管理貨物目録 2026年版
  • 輸入許可証管理貨物目録 2026年版

両用品目および技術輸出入許可証管理目録については、2024年末時点の目録をベースに、一部の専用材料や関連設備、化学製品などが追加されている。輸出許可証管理貨物目録では金属およびその製品の一部が見直され、輸入許可証管理貨物目録では船舶関連の項目統合などが行われた。[facebook]​

この一連の改定は、個別の規制ではなく、中国の輸出管理と貿易管理を一体的に強化する流れの一部として位置付けられる。[facebook]​

両用品目目録の狙いと位置付け

両用品目とは、本来は民生用途向けでありながら、軍事や安全保障分野などにも転用可能な物品・技術を指す。中国では、輸出管理法や両用品目輸出管理関連法令に基づき、対象品目の輸出入を許可制で管理している。[facebook]​

目録改定の目的

商務部は2026年版について、主に次の二点を目的としていると説明している。[facebook]​

  • 企業に対し、関連品目の参考となる商品名称とHSコードを提示すること
  • 企業のコンプライアンス経営を促進すること

つまり、どの品目が規制対象になり得るかについて、企業が判断しやすいよう一定の情報を提供する役割を持つ。ただし、目録はあくまで参考情報と位置付けられており、HSコードや品名が一致していても、実際の用途や性能などを踏まえた当局判断によって規制対象となる場合がある点には注意が必要である。[facebook]​

許可証が必要になる具体的な場面

今回の改定では、両用品目目録と輸出・輸入許可証管理貨物目録との関係性が整理されており、実務対応のポイントが明確になっている。[facebook]​

輸出側の基本ルール

輸出に関しては次のような整理が示されている。[facebook]​

  • 輸出許可証管理貨物目録に掲載される貨物のうち、それが両用品目輸出管理リストに含まれる、または臨時管理の両用品目に該当する場合には、輸出企業は両用品目および技術輸出許可証を取得しなければならない
  • 既に輸出許可証を保有している場合でも、両用品目および技術輸出許可証を別途取得していないときは、輸出時点で両用品目および技術輸出許可証の取得が求められる
  • 一方で、両用品目および技術輸出許可証を取得していれば、輸出許可証の申請は免除される

実務上は、次の三点を順番に確認することが重要になる。[facebook]​

  1. 両用品目輸出管理リストまたは臨時管理対象に該当するか
  2. 輸出許可証管理貨物目録に掲載されているか
  3. どの許可証を取得しなければならないか

この関係を誤解すると、許可証の取り違えや取得漏れが発生し、違法輸出や貨物差し止めにつながるリスクがある。[facebook]​

日本企業のビジネスに与える影響

2026年版目録は、日本企業に対して少なくとも三つの大きな影響を与える。[facebook]​

審査負荷の増大と新たな規制対象

一部の専用材料や設備、化学製品が新たに目録に追加されたことで、従来は許可不要と認識されていた品目が許可制の対象となっている可能性がある。半導体関連材料、精密加工用設備、高機能化学品などを扱う企業は、自社品目が目録や関連リストに近接していないかを重点的に確認する必要がある。[facebook]​

中国拠点の輸出管理強化

中国子会社や合弁会社から第三国へ製品を輸出している場合、中国側の輸出管理法令に基づく許可取得義務が直接の論点となる。日本本社の輸出管理だけでは不十分であり、中国拠点が現地ルールをどこまで理解し、社内規程と日々のオペレーションに反映できているかが問われる。[facebook]​

サプライチェーンとリードタイムへの影響

輸入許可証管理貨物目録の見直しにより、中国から調達している金属・金属製品や船舶関連品目などについて、輸出許可取得に時間がかかるケースが増える可能性がある。結果として、リードタイムの長期化や在庫水準の見直しが必要となり、日本側の納期管理にも影響が及び得る。[facebook]​

企業が今すぐ取るべき実務対応

ビジネスパーソンの立場からは、次のステップで対応を進めることが現実的である。

ステップ1 自社品目と目録の照合

中国向け、または中国拠点からの輸出入がある製品について、最新版目録のHSコードと商品名称を照合する。特に専用材料、特定用途向け設備、化学品については、規制強化の対象となりやすいため重点的に確認すべきである。[facebook]​

ステップ2 プロセスと責任分担の整理

営業や調達の現場で、どの案件から事前審査が必要かをルール化し、文書として明確にする。中国子会社が関与する取引については、本社と現地のどちらが最終判断を行うか、責任分担をあらかじめ定めておく必要がある。[facebook]​

ステップ3 契約と納期リスクの織り込み

長期契約では、輸出入許可取得に伴う遅延リスクをどの当事者が負担するかを契約条項で明文化することが望ましい。新規案件では、許可取得プロセスを前提にした納期設定や在庫方針を検討し、余裕を持ったスケジュールにすることが重要になる。[facebook]​

ステップ4 他国の輸出管理との整合性確認

日本、米国、EUなど他国の輸出管理規制との重複や相違を把握し、対応に抜け漏れが生じないようにする。社内システム上では、制限品目フラグを一元的に管理し、中国向けの案件だけ別扱いにならないよう運用を統一することが望ましい。[facebook]​

経営レベルで意識すべきポイント

両用品目管理は、現場任せにできない経営課題でもある。経営層としては、次の論点を意識しておく必要がある。

中国ビジネスのリスクプロファイル

輸出入許可制度の強化は、手続き面の負担増だけでなく、規制範囲や運用が短期間で変化し得る不確実性の高さを意味する。製造、調達、販売のそれぞれについて、中国市場への依存度とリスク許容度を踏まえたシナリオを検討することが求められる。[facebook]​

パートナー企業のコンプライアンス水準

中国のサプライヤーや販売代理店が、輸出入管理のルールをどの程度理解し、社内統制として運用できているかによって、自社のリスクも変動する。取引先選定や定期的な監査において、輸出管理コンプライアンスを明確な評価項目として組み込む必要がある。[facebook]​

情報収集と社内教育の継続性

目録や関連法令は毎年のように改定が続いており、一度整備したルールやマニュアルも数年で実態と乖離する可能性がある。最新情報を継続的に収集し、それを社内規程と教育プログラムに反映させる体制づくりが重要である。[facebook]​

中国ビジネスにおいては、こうした規制を正しく理解し、前提条件として組み込める企業ほど、中長期的に優位に立ちやすい。輸出管理を単なる制約ではなく、参入障壁を乗り越えるための前提コストと捉える発想への転換が、今後ますます求められる。[facebook]​

 

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