カナダ向けの輸出入コストは、契約や物流だけでなく、関税率表の更新に左右されます。カナダ国境サービス庁(CBSA)が公表しているカナダ関税率表の2026年版(T2026)は、2026年1月1日に発効しました。 (カナダ国境サービス庁)
年初の更新は、関税率だけでなく、品目番号の差し替えや表記の変更が入ることがあるため、品目マスターや通関指示書の見直しを先送りにすると、誤申告や過払い、優遇税率の取り逃しにつながります。 (カナダ国境サービス庁)

1. そもそもカナダの関税率表は何を示しているか
CBSAのカナダ関税率表は、WCOのHS(統一システム)に基づく品目分類と、原産国や協定に応じた関税上の取扱い(優遇税率を含む)を示す実務の基礎資料です。 (カナダ国境サービス庁)
また、CBSAは輸入者向けに、HSの考え方、関税率表の読み方、分類番号体系、HSの法的注、HSの解釈通則などを整理したガイドも提供しています。分類の社内教育や再点検に、そのまま使える内容です。 (カナダ国境サービス庁)
2. T2026の要点 今回の更新で押さえるべきポイント
T2026は2026年1月1日発効で、CBSAサイトから章別、または一括で参照できます。 (カナダ国境サービス庁)
今回の実務上の重要点は次の3つです。
2-1. FTA等の段階的な関税引下げが反映される
CBSAの通達では、T2026は各FTA法令に基づくスケジュール関税引下げを反映するとされています。つまり、前年と同じHSでも、協定税率が動いている可能性があります。 (カナダ国境サービス庁)
2-2. 一部章で品目番号や前文の差し替えがある
T2026では、化学品(第28類・第29類)、鉄鋼製品(第73類)、その他の卑金属(第81類)で、関税分類の前文や分類番号の差し替えが行われたと明記されています。対象業界は特に要注意です。 (カナダ国境サービス庁)
2-3. 変更点の見つけ方が媒体で違う
変更点は、PDF版では左余白の変更バーで示される一方、HTML版には変更表示がありません。Access形式では変更欄に数字で示される、と案内されています。差分確認は、最初からPDF前提で進めた方が安全です。 (カナダ国境サービス庁)
3. 日本企業に直結する論点 カナダ側の税率区分と優遇の取り扱い
関税率表で見落としがちな点は、同じHSでも、適用される税率区分が複数あることです。CBSAは国別に、MFN、GPT、LDCTなどの対象と、各種協定税率の適用関係を一覧で示しています。 (カナダ国境サービス庁)
日本については、国別一覧でCPTPPの税率区分(CPTPT)が付されています。つまり、日本原産としてCPTPPの要件を満たし、必要な原産地証明を備えれば、MFNではなくCPTPP税率での申告が基本線になります。 (カナダ国境サービス庁)
4. 実務への影響を最小化するチェックリスト
年初の更新対応は、関税率の確認だけで終わらせないことがポイントです。社内のどこを直すべきかを、業務単位に落とし込みます。
4-1. 品目マスターと通関指示書の更新
- 自社の主要品目について、T2026で10桁コード、税率、税率区分が前年から変わっていないかを確認
- 差し替え対象章(28、29、73、81)を扱う場合は、旧コードで運用していないか重点点検 (カナダ国境サービス庁)
4-2. 優遇税率の取り逃し防止
- 取引ごとに、MFN申告のままになっていないかを棚卸し
- FTAの段階引下げが入る品目は、2026年の着地コストを再計算 (カナダ国境サービス庁)
4-3. 既存の事前教示や社内根拠資料の整合
CBSAは、既に関税分類の事前教示を持つ輸入者に対して、T2026で分類番号が有効か見直し、必要に応じて修正や再確認を求めています。カナダ側で事前教示を活用している企業は、根拠資料の棚卸しを年初タスクに組み込むべきです。 (カナダ国境サービス庁)
5. どこで入手できるか 社内展開に使いやすい形式
CBSAはT2026を複数形式で提供しています。現場向けとシステム向けで使い分けると効率的です。 (カナダ国境サービス庁)
・章別で確認したい場合は、章別一覧(chapter-by-chapter)から参照 (カナダ国境サービス庁)
・差分確認はPDF一括版が便利(変更バーあり) (カナダ国境サービス庁)
・データ連携や社内DB更新には、Access形式やコンコーダンスの活用が有効 (カナダ国境サービス庁)
まとめ T2026は関税率だけでなく、分類番号の更新にも備える
T2026の発効は、単なる年次更新ではなく、FTAの段階引下げ反映と、一部章での分類番号差し替えを含むアップデートです。 (カナダ国境サービス庁)
特に、化学品と金属関連はコード変更の影響が出やすく、品目マスター、通関指示、原産地証明の運用を同時に点検することで、誤申告リスクとコストロスをまとめて減らせます。
免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としています。個別案件の分類、原産地、関税適用は、CBSAの原典と通関専門家の確認に基づいて判断してください。 (カナダ国境サービス庁)
