中国貿易の新常識。化学品スペックに連動する13桁CIQコードの刷新とその対策

2026年2月10日現在、中国向けの化学品貿易において、実務上の大きな転換点が訪れています。中国海関(税関)が、従来の10桁のHSコードに付加される3桁のCIQ(検査検疫)コード、合わせて13桁の分類基準を「化学品の具体的スペック」に強く依存する形式へと刷新しました。

これは、2026年5月1日に施行を控える新「危険化学品安全法」を見据えた動きであり、単なる事務的な変更にとどまりません。本記事では、この刷新がビジネスに与える影響と、日本企業がとるべき対策を専門家の視点で解説します。


13桁コードの構造。HSコードの先に待つ中国独自の規制

中国で輸入申告を行う際、世界共通の6桁および中国国内の細分を含む10桁のHSコードに加えて、3桁の「海関統計品目番号付加コード(CIQコード)」を組み合わせた計13桁での申告が義務付けられています。

刷新されたシステムでは、この最後の3桁が、化学品の純度、物理的状態、含有成分、あるいは用途といった具体的なスペックと密接に連動するようになりました。


スペック依存が加速する背景。2026年5月の新法施行

今回の刷新の背景には、中国における危険化学品管理のデジタル化と高度化があります。2026年5月に施行される新法では、危険化学品の生産から輸入、使用、輸送に至る全ライフサイクルをリアルタイムで監視するシステムの構築が命じられています。

13桁のコードは、この監視システムにおけるキーデータとして機能します。海関は、申告されたコードに基づいて、その化学品が自動制御システムの対象か、あるいは特別な保管基準が必要な「高毒性化学品」に該当するかを即座に判定します。


企業が直面する三つの大きな壁

この刷新により、日本の輸出企業や現地法人は以下のような課題に直面しています。

1. SDS(安全データシート)との厳格な整合性

刷新後のシステムでは、申告された13桁コードと、提出されたSDSの内容がAIによって自動照合されます。例えば、成分比率のわずかな差異でコードが変動する場合、書類上の矛盾が即座に検知され、通関停止や罰金の対象となります。

2. 中国独自の危険化学品カタログへの対応

中国政府は定期的に「危険化学品目録」を更新しており、2026年には新たに5つの化学品が追加される提案もなされています。13桁コードの選択には、これらの最新カタログ上のCAS番号や危険特性を正確に把握していることが前提となります。

3. トレーサビリティ情報の提出義務

刷新されたプロセスでは、一部の化学品について「一企業一製品一QRコード」による管理が強化されています。13桁コードを決定する際、その製品がどの工場で生産され、どのような技術基準を満たしているかという詳細な属性情報の紐付けが求められます。


日本企業がとるべき実務上のアクション

この「スペック依存型」の通関体制に対応するためには、以下の三つの対策が不可欠です。

化学品情報のデジタル一元管理

製品の純度、成分、物理的特性といったスペック情報をデジタル化し、通関担当者が最新のSDSやCIQコード表と即座に照合できる環境を整えてください。手動での確認では、頻繁に更新される中国の規制に追いつけず、申告ミスを招くリスクが高まります。

現地代理人との連携強化

中国国内の輸入ライセンス保持者や通関業者に対し、自社製品が新システムのどのスペック区分に該当するかを事前に確認してください。特に、2026年からの新税率スケジュールでは、先端材料に関連する関税引き下げも含まれており、正しいコード選択がコスト削減にも直結します。

コンプライアンス監査の実施

過去に「その他」の分類で通関できていた製品が、今回の刷新によって特定のスペック区分に強制的に割り振られる可能性があります。自社の主要製品について、現在の13桁コードが新基準に適合しているかを再点検する内部監査の実施を推奨します。


まとめ

中国のCIQコード刷新は、貿易実務における情報の透明性を極限まで高めるものです。もはや曖昧な分類は通用せず、化学品一つひとつのスペックを正確にデジタルデータとして提示できるかどうかが、通関の成否を分けます。2026年5月の新法施行に向けて、情報の精査とシステムのアップデートを急いでください。

免責

本稿は一般的な情報提供を目的としたもので、個別案件の法的助言ではありません。実際の申告・契約・規制適合は、対象国の法令と最新の当局公表、必要に応じて専門家見解に基づき判断してください。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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