2026年2月20日の米国連邦最高裁判決において、トランプ政権の関税政策を打ち破るきっかけを作った歴史的訴訟(事件名:Learning Resources, Inc. v. Trump)の筆頭原告として、現在世界中から注目を集めています。
同社について、押さえておくべきポイントを3つにまとめました。
1. どのような企業か?
1984年に設立され、学校の教室で使われる算数セットや理科の実験キット、プログラミング的思考を養う知育玩具などを広く展開しています。姉妹企業であるhand2mind社とともに、米国の教育現場や家庭で非常に高いシェアを持っています。
商品の企画や一部の組み立ては米国内で行っていますが、製造の大部分は中国などの海外提携工場に委託しています。
2. なぜ国(大統領)を訴えたのか?
トランプ政権が2025年に国際緊急経済権限法(IEEPA)を発動し、中国製品などに最大145%にも上る「相互関税」や「麻薬密輸対策関税」を課したことが直接の引き金です。
Learning Resources社の試算では、この関税に従った場合、同社の輸入関連コストは2024年の230万ドル(約3.5億円)から、2025年には1億ドル(約150億円)以上にまで跳ね上がることが判明しました。これは企業にとって「存続の危機(Existential risk)」であったため、リック・ウォルデンバーグCEOは会社を守るべく、2025年4月に「大統領の権限逸脱」を理由に連邦政府を提訴しました。
3. 裁判の結果はどうなったか?
同社が起こした訴訟は、ワイン輸入業者が起こした別の訴訟(V.O.S. Selections)と併合され、最高裁まで争われました。
結果として、2026年2月20日に最高裁は6対3で「IEEPAによる関税発動は違法(大統領の権限逸脱)」とする判決を下しました。
厳密に言えば、Learning Resources社の訴え自体は「管轄外の裁判所(地方裁判所)に提訴した」という手続き上の理由で却下・差し戻しとなりましたが、併合されたもう一つの訴訟で関税の違法性が確定したため、「自社を脅かす理不尽な関税を消滅させる」という彼らの本来の目的は見事に達成されたことになります。
一介の知育玩具メーカーが、自社の存続をかけて米国大統領の巨大な権限に立ち向かい、結果として世界経済を揺るがす歴史的な最高裁判決を引き出したという点で、この事例はビジネスの観点からも非常にドラマチックな背景を持っています。
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