AANZFTA改訂をビジネスで使い切るネガティブリスト導入と原産地規則アップデートの実務ポイント

第1章 AANZFTAアップグレードの全体像

AANZFTA第2議定書(Upgrade)は、2023年8月に署名され、2025年4月21日に効力を発生しました。cil.nus
もっとも、「全締約国一斉」ではなく、批准を終えた国同士の取引から順次新ルールが適用されるため、旧ルールとの二重運用期間がしばらく続きます。dfat+1

現時点で、豪州、ニュージーランド、ブルネイ、ラオス、マレーシア、シンガポール、ベトナムなどでアップグレード発効済みと整理されており、タイなどは指定日から順次加わる形です。businesschamberqld+1
さらに、累積等の一部規定については、国ごとに適用除外や遅行適用が通知されているため、「国名だけ」で判断せず、実際の取引相手同士で第二議定書が発効しているか、関連条文がフル適用かどうかまで確認する必要があります。customs+1

日本はAANZFTAの当事国ではありませんが、ASEAN・豪州・NZに拠点を持ち、現地法人から域内輸出・サービス提供・投資を行う日系企業にとって、今回のアップグレードはコストとリスクに直結します。mfat+1
本社側の投資判断やサプライチェーン設計でも、「どの組み合わせに新ルールが乗るか」を押さえているかどうかで、意思決定の質に差が出ます。mfat

第2章 ネガティブリスト導入をどうビジネスで使うか

1 ネガティブリスト化の中身

サービス貿易の約束方法には、大きくポジティブリストとネガティブリストの二つがあります。oia.pmc+1

  • ポジティブリスト方式
    開放する分野だけを列挙するため、「書いていない分野」は読み替え・行政解釈に依存しやすく、外資から見ると不透明さが残りがちです。regulation
  • ネガティブリスト方式
    原則として全分野を開放したうえで、例外的に残す制限を「留保」としてリスト化する方式で、どの規制が残るかを一覧で把握しやすくなります。aph+1

アップグレードAANZFTAでは、サービス分野の市場アクセスについてネガティブリスト方式を導入し、従来ポジティブリストだった当事国はネガティブリストへ移行することが義務付けられています。oia.pmc+1
投資分野についても、全ての当事国がネガティブリストでコミットメントをスケジュールする形に整理され、方式の統一と透明性の向上が意図されています。oia.pmc+1

さらに、アップグレード協定には、将来の一方的な自由化を一定範囲で固定化するラチェットメカニズムや、MFN条項の強化・整合など、サービス・投資の制度アーキテクチャを近年のメガFTA水準に近づける要素が組み込まれています。mfat+1

2 ビジネス側から見たネガティブリストの価値

ネガティブリストの最大の価値は、「どこまで自由化されるか」よりも、「どこに制限が残るか」が具体的に見えることです。aph+1
進出形態や案件ごとの採算検証で、次のような問いに対して、条文・留保ベースで答えを出せるようになります。

  • 業種・サブセクターごとに、外資規制・出資比率制限・合弁義務が残るかどうか
  • 支店設置か現地法人か、少数持分か完全子会社かなど、参入形態ごとの規制の違い
  • 役員・幹部の国籍・居住要件、プロフェッショナル資格要件といった人材面のハードル
  • ライセンス・認可・登録などの事前規制がどの程度残っているか

ASEANは同じASEANといっても、各国で規制の癖・行政運用が大きく異なります。aanzfta.asean+1
ネガティブリストは、現調チームや法務だけでなく、事業部・投資審査会議が「国・業種・形態」の組み合わせごとにリスクを瞬時に比較できるようにすることで、新規案件のGo/No-go判断をスピードアップさせます。aph+1

3 ラチェット条項の現実的な使い方

アップグレードでは、選択されたセクターについて、将来の一方的な規制緩和を固定化するラチェットメカニズムが導入されました。oia.pmc+1
これは、ある国がサービス・投資規制を自主的に緩めた場合、原則としてその緩和水準を協定コミットメントとしてロックインし、後戻りしにくくする枠組みです。oia.pmc

ただし、ラチェットは万能ではありません。対象分野・対象措置は留保のつくり方に左右され、あらゆる規制緩和が自動的にロックインされるわけではありません。mfat
経営サイドにありがちな「ネガティブリスト+ラチェット=全面的な自由化加速」という期待は危険で、実務としては次が現実的な対応になります。

  • 留保表を読み、ラチェットがかかる領域と、なお裁量的規制余地が残る領域を切り分ける
  • 各国で実際に規制が変わった際に、即座にビジネスモデル・価格設定・出資構造へ反映できるインテリジェンス体制を用意する
  • M&AやJV、長期サービス契約では、「規制変更時の価格調整・再協議・解除」条項を入れておき、ラチェットを見越したオプションを契約レベルで確保する

これにより、規制緩和が起きたタイミングで、競合より早く参入モデルや出資比率を引き上げることができ、ラチェットを「攻めの要素」として活用できます。aph+1

第3章 原産地規則アップデートの核心

1 アップグレード原産地規則の全体像

原産地規則は、AANZFTAの関税メリットを取るかどうかを決める「収益スイッチ」であり、アップグレードではこのスイッチの構造自体がアップデートされています。dfat+1
ニュージーランドのナショナルインタレスト分析などによれば、原産地規則章には新規条文・改正条文が多数追加され、品目別原産地規則(PSR)は数百件規模で見直されています。mfat

ABFのカスタムズノーティスによると、2024年3月1日からAANZFTAのPSRはHS2022の品目分類に基づく新バージョンが導入されており、これはFTA合同委員会が2023年5月にHS2022のPSR付属書を承認したことを受けたものです。abf
同時に、累積、直送・経由規定、原産地証明の方法、輸入後の還付請求手続きなど、運用面の改善もパッケージで導入されています。miti+1

実務的に効くポイントは、おおよそ次の五点に整理できます。

  • 完全累積の導入・拡張により、域内各国を組み合わせたサプライチェーン設計がしやすくなること
  • 直送・経由に関する規定・証憑要件が明確化され、ハブ経由輸送の不確実性が減ること
  • 証明書ベース一択から、自己証明・電子原産地証明など複数の証明方法が併存すること
  • 輸入後の原産確認に基づく還付請求が可能になり、ポストクリアランスでメリットを取り返しやすくなること
  • PSRがHS2022に整合し、HS変更に伴う「分類のズレ」やPSR適用ミスを減らす設計になっていること

2 完全累積が変えるサプライチェーン設計

累積とは、協定域内で行われた加工や使用された原材料を「一つの原産性判断」の中に足し込める仕組みで、原産品として扱える範囲を広げる道具です。miti+1
AANZFTAアップグレードでは、域内各国の材料・加工・付加価値を広く累積できる完全累積に近い形が導入され、どの累積条項を適用するかは当事国ごとの参加状況・留保によって左右されます。mfat+1

例えば、部材をマレーシアで調達し、ベトナムで主要加工を行い、シンガポール拠点を経由して豪州へ輸出するような分業型サプライチェーンでは、累積を正しく使えば原産地判定が格段に取りやすくなります。miti
一方で、どの国間で第二議定書が発効しているか、累積条項がその組み合わせに適用されるかを誤解すると、「原産性を満たしているつもりで証明書を出したが、実際には要件未達だった」という事故が起き得ます。mfat+1

ここは、社内で次のような整備をしておくと事故率が大きく下がります。

  • 主要取引国の組み合わせごとに、「第二議定書発効状況」と「累積条項の適用可否」を図示したマトリクスを作る
  • 累積前提で組んだBOM・原価計算に、国別の参加状況が変わった場合のアラートを組み込む
  • 調達・SCM・通関チームで同じ累積の前提を共有し、バラバラの解釈で証明・申告をしないようにする

3 直送要件の実務的なクリアの仕方

原産地規則でトラブルになりやすいのが、第三国経由時の「直送要件」の解釈です。mfat
アップグレードでは、直送・経由・積み替えに関する規定・証憑要件が明確化され、保税倉庫での限定的な作業など、許容される範囲を明記する方向で整理されています。abf+1

実務では、次のような対策が効果的です。

  • よく使う物流ルートごとに、直送要件を満たすために必要な書類(B/L、倉庫証明、インボイス、在庫管理記録など)を標準セットとして定義しておく
  • フォワーダー・3PLとの契約・SOPに、「原産性維持に必要な書類・情報の取得」を明示的に組み込み、単なる輸送委託で終わらせない
  • 保税区域で行う可能性のある作業(検品、ラベリング、再梱包など)を棚卸しして、どこまでが「許容される加工」かを規定と突き合わせ、作業指示書に落とし込む

こうしておくと、ハブ港変更や緊急の振替輸送が発生しても、原産性が崩れない範囲で運用でき、後から「直送要件を満たしていない」と否認されるリスクを抑えられます。abf+1

4 証明方法のアップデートとコンプライアンス

豪州政府の案内によれば、アップグレード後も従来型の原産地証明書は維持されつつ、自社による原産地自己申告や電子的な原産地証明の利用余地が拡大します。abf+1
また、第三者インボイスが用いられる場合の取り扱いについても、「合理的な範囲の情報提供」で足りるとするなど、書類作成の摩擦を下げる方向性が示されています。dfat+1

自己証明は、発行コストやリードタイムを削減できる一方、誤りがあった際の責任が企業側に直接跳ね返りやすいという特徴があります。mfat
したがって、営業現場が「楽だから全部自己証明に切り替える」と走るのではなく、次のような線引きが現実的です。

  • 自己証明を使う品目と、引き続き第三者発行の証明書を使う品目を分ける
  • 自己証明を行う品目については、BOM・原価計算・原産性ロジックを内部監査可能な形で固定し、改ざん防止・変更管理のルールを整える
  • 輸入側で税関事後調査が入った場合を見据え、原産性判断の根拠書類を一定期間保管するレコードキーピングルールを更新する

これにより、「関税メリットは取れたが、後から否認されて追徴とペナルティ」という最悪のパターンを避けながら、証明コストの削減を利益に変えられます。abf+1

5 PSRとHS2022:分類ミスをどう防ぐか

ABFの通達によれば、AANZFTAのPSRは2024年3月1日以降、HS2022に基づくコードに再構成されており、一定期間は旧HS2017表記の原産地証明も受け入れる経過措置が設けられています。ftalliance+1
ASEAN側の告知でも、AANZFTAのPSRをHS2022で検索できるオンラインツールが提供されており、実務者はHS2022コードから直接PSRを引けるようになっています。aanzfta.asean+1

落とし穴は、HSの移行が「単なるコードの言い換え」ではない点です。abf

  • サブヘディングの分割・統合により、適用されるPSRそのものが変わる
  • 旧HSベースの証明書と、新HSベースの輸入申告のコードが整合しない
  • 社内システム・BOMが旧HS前提のまま残り、原産性判定ロジックが実態とズレる

これを避けるためには、「全品目一斉」ではなく、収益インパクトの大きい順に重点的に対応するのが現実的です。

  • 主力輸出入品目から順にHS2022への再分類を行い、それに応じてPSRを引き直す
  • コード変更があった品目は、原産性判定を再実行し、必要なら原材料構成や生産プロセスを見直す
  • サプライヤーに対して、HS表記の統一と、HS2022ベースの原産地証明・自己申告フォーマットへの移行を要請する

こうした「上から順に潰す」やり方であれば、リソースを極端に増やさずに通関トラブルを抑えつつ、PSRの更新を利益に結び付けられます。aanzfta.asean+1

第4章 経営と現場が今すぐやるべきチェック

ここからは、「明日から何をするか」という観点で、サービス・投資とモノ(原産地・通関)に分けて整理します。

A サービス・投資(ネガティブリスト側)

  • 自社の提供サービスを棚卸しし、まず売上比重の高い分野について、相手国の留保表を読みにいく
  • 進出形態(支店・現法・JV・フランチャイズ・委託)ごとに、出資規制・人の移動規制・ライセンス要件を分解して把握する
  • 規制変更があった場合、ラチェットが効く領域かどうかを法務・経営企画が判定できる体制を整え、事業部に通知するフローを決める
  • 長期契約には、規制変更時の再協議・価格調整・解除に関する条項を標準化し、投資先国ごとのリスクプロファイルに応じて微修正する

ネガティブリストは、「読めば武器、読まなければ何も起きない」ツールです。aanzfta.asean+1
結局のところ、留保表を読める体制と、読んだ内容を案件に落とし込む運用があるかどうかが、競争力の差になります。mfat

B モノ・サプライチェーン(原産地側)

  • 主力品目からHS2022整合を進め、PSRを再確認する(ABFノーティス・各国通達・PSR Finderをセットで参照)aanzfta.asean+1
  • 累積の適用関係を、主要取引国の組み合わせごとに図示し、営業・SCM・通関が共通の前提で動けるようにするmiti
  • 物流ルートごとに、直送要件を満たす証憑セット(B/L、倉庫証明、在庫記録など)を標準化し、フォワーダーとの契約に組み込むabf
  • 自己証明を導入する場合、BOM・原価計算・証憑保管ルールを先に整え、対象品目を限定しながら段階的に広げるmfat
  • 未批准国が絡む取引については、旧AANZFTAルールまたは他FTA(RCEPなど)運用が残る前提で手順を二重化し、「どの契約にどのルールを使うか」を明示するdfat+1

特に最後の「二重運用」は、2025年以降しばらく現場負荷の中心になり得ます。customs+1
国内システムや業務マニュアルで「AANZFTA=一つのルール」という前提が残ったままだと、誤適用や見落としが起きやすいため、「相手国別に旧・新ルールを自動判別するフラグ」を持たせるなど、設計レベルの見直しが有効です。

第5章 よくある誤解と失敗パターン

  • 誤解1 発効したから全締約国で新ルールが一斉適用される
    実際には、批准を完了した国同士の取引で順次適用され、未批准国が絡む取引では旧ルールが残ります。customs+1
  • 誤解2 ネガティブリスト化=即座に全分野が自由化
    ネガティブリストは制限を見える化する仕組みであり、自由化の範囲は留保次第です。ラチェットも対象分野に限られ、万能ではありません。oia.pmc+1
  • 誤解3 HS更新はコード表示を変えるだけ
    実際にはPSRの内容や適用関係、社内システムの判定ロジックまで波及し、経過措置期間中は旧HSと新HSが混在するため、整合設計をしないと通関トラブルの温床になります。miti+1

まとめと実務メッセージ

AANZFTAアップグレードは、サービス・投資ではネガティブリストとラチェットにより透明性と将来の自由化期待を高め、モノでは累積・直送・証明方法・PSR更新によって現代的なサプライチェーンに合わせた枠組みに近づけるものです。oia.pmc+1
ただし、企業にとっての実益は自動的には降ってこず、「どの取引に新ルールが乗るのか」「留保表とPSR・HSをどう読み替えるか」を社内で設計し直すことが必要です。mfat+1

やるべきことを一言でまとめると、次の三つです。

  • どの国同士の取引に第二議定書が適用されるか、社内で一覧化する
  • サービス・投資では、主要ビジネス分野について留保表を読み、ラチェットを含めた規制プロファイルを整理する
  • モノでは、HS2022整合・PSR再判定・累積と直送要件・証明方法を前提に、原産性判定ロジックと証憑運用を再設計する

これができれば、AANZFTAは「知っている条文」から「利益とリスクをコントロールする仕組み」に変わり、ASEAN・豪州・NZをまたぐビジネスにおいて、他社より一歩先のポジションを取ることが可能になります。abf+1

本稿は一般的な情報提供であり、個別案件への法的助言ではありません。具体的な適用にあたっては、取引国の最新運用や税関実務、社内の証憑状況を踏まえ、必要に応じて現地専門家への確認を行うことを推奨します。mfat+1

  1. https://www.dfat.gov.au/trade/agreements/in-force/aanzfta/asean-australia-new-zealand-free-trade-agreement
  2. https://www.mfat.govt.nz/jp/trade/free-trade-agreements/free-trade-agreements-in-force/asean-australia-new-zealand-free-trade-agreement-aanzfta/upgrading-aanzfta
  3. https://www.abf.gov.au/help-and-support-subsite/CustomsNotices/2024-07.pdf
  4. https://cil.nus.edu.sg/databasecil/2023-second-protocol-to-amend-the-agreement-establishing-the-asean-australia-new-zealand-free-trade-area/
  5. https://www.dfat.gov.au/news/aanzfta-upgrade-enters-force
  6. https://businesschamberqld.com.au/article/new-rules-for-exporters-brunei-lao-pdr-malaysia-singapore-australia-and-new-zealand/
  7. https://www.customs.govt.nz/customs-information-and-legislation/legislation/international-agreements/free-trade-agreements/asean-australia-new-zealand-free-trade-area-agreement-aanzfta
  8. https://www.mfat.govt.nz/assets/Trade-agreements/AANZFTA/AANZFTA-upgrade-National-Interest-Analysis.pdf
  9. https://oia.pmc.gov.au/sites/default/files/posts/2023/08/AANZFTA%20Impact%20Analysis.docx
  10. https://www.regulation.govt.nz/assets/RIS-Documents/ris-mfat-asean-mar09.pdf
  11. https://www.aph.gov.au/-/media/02_Parliamentary_Business/24_Committees/244_Joint_Committees/JSCT/2023/Second_Protocol_ASEAN_NZ_FTA/1_AANZFTANational_Interest_Analysis.pdf
  12. https://aanzfta.asean.org/aanzfta-sector-portals/trade-in-services-sector
  13. https://www.dfat.gov.au/trade/agreements/in-force/aanzfta/official-documents/official-documents
  14. https://www.miti.gov.my/miti/resources/Preferential%20Certificate%20of%20Origin/Announcement/Announcement_-_AANZFTA_PSR_in_HS_2022.pdf
  15. https://www.abf.gov.au/importing-exporting-and-manufacturing/fta/free-trade-agreements/asean
  16. http://www.ftalliance.com.au/newsdetails/31261
  17. https://aanzfta.asean.org/product-specific-rules-finder/
  18. https://www.aseanbriefing.com/news/what-the-aanzfta-second-protocol-means-for-asean-trade/
  19. https://vntr.moit.gov.vn/news/viet-nam-thailand-and-the-philippines-to-implement-the-obligations-of-transposing-services-schedules?page=21
  20. https://indonesia.embassy.gov.au/jakt/MR25_022.html

相互関税(追加関税) 最新一覧(2025年12月22日)

作成計画(→この順で実行済み)

  1. 対象の定義:米国の「相互関税(Reciprocal Tariff)」=IEEPA権限に基づく**追加の従価税(追加関税)**として公表されている国別税率(または計算ルール)を一覧化。
  2. 一次情報の確認:国別税率の“最新版”は、原則としてホワイトハウスの大統領令(Annex)で確認。国によって後日の合意・通知で上書きされるため、中国/日本/韓国/スイス/リヒテンシュタイン/カナダ/メキシコ/EUは個別の最新文書も確認。
  3. 前日差分チェック:直近(過去数日)のWhite House Presidential Actions と Federal Register の関係文書を確認し、前日(2025-12-21)→本日(2025-12-22)で新たな改定が出ていない前提で差分欄を作成。
  4. 指定順で表に整形:国名/関税率/出所/備考(前日差異)で出力。

調査結果の要点(確認)

  • 多くの国の国別税率は **2025-07-31 の大統領令(Annex I)**に基づく(発効は同令の規定により7日後扱い)。 (The White House)
  • ただし、中国は(「上乗せ」分を停止して)10%の追加関税にする扱いが継続(~2026-11-10までの停止期間の言及あり)。 (The White House)
  • 日本は「品目のMFN税率(Column 1)」と合算して合計15%になるよう追加関税を調整(15%以上の品目は追加0%)。 (The White House)
  • 韓国も同様に、(MFNまたはKORUS税率)と合算で15%となる仕組み(15%以上は追加0%)。 (Federal Register)
  • スイス/リヒテンシュタインも、Column 1 と合算で15%となる仕組み(15%以上は追加0%)+一部品目は相互関税の適用除外あり。 (Federal Register)
  • カナダ/メキシコは、既存のフェンタニル/移民関連IEEPA関税が優先され、この相互関税の枠組みでは実質“適用外”として扱われる(USMCA適合は0%等)。 (The White House)
  • 前日(2025-12-21)からの差異:本日(2025-12-22)時点で、上記の国別相互関税ロジックを変更する新規文書は確認できず、**全行「前日差異なし」**とした(直近の更新はスイス/リヒテンシュタイン関連の2025-12-18通知など)。 (Federal Register)

相互関税(追加関税) 最新一覧(指定順)

注:ここでの「関税率」は、原則として “追加の従価税率”。EU/日本/韓国/スイス/リヒテンシュタインは**品目のHTS税率(Column 1)との合算で15%**になるよう追加税率が決まるため、国単位で単一%になりません。 (The White House)

国名関税率出所備考
Algeria30%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし(最終反映: 2025-07-31) (The White House)
Angola15%同上前日差異なし (The White House)
Bangladesh20%同上前日差異なし (The White House)
Bosnia & Herzegovina30%同上前日差異なし (The White House)
Botswana15%同上前日差異なし (The White House)
Brazil10%同上前日差異なし(※別枠の対ブラジル追加関税が存在し得る点は要注意) (The White House)
Brunei25%同上前日差異なし (The White House)
Cambodia19%同上前日差異なし (The White House)
Cameroon15%同上前日差異なし (The White House)
Canada*(相互関税は適用外扱い)WH Fact Sheet(2025-04-02)既存IEEPA(フェンタニル/移民)優先:USMCA適合0%、非適合25%等。前日差異なし (The White House)
Chad15%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
China*10%(上乗せ停止中の扱い)WH EO(2025-11-04)「高率の相互関税を停止し、10%追加関税に」+停止は~2026-11-10の言及。前日差異なし(最終反映: 2025-11-04) (The White House)
Côte d’Ivoire15%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
DR Congo15%同上前日差異なし (The White House)
EU品目別(Column 1<15%→追加で「15%-Column1」、Column 1≥15%→追加0%)WH EO 14326(2025-07-31)合計15%になるよう調整。前日差異なし (The White House)
Falkland Islands10%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
Fiji15%同上前日差異なし (The White House)
Guyana15%同上前日差異なし (The White House)
India25%同上前日差異なし (The White House)
Indonesia*19%同上前日差異なし (The White House)
Iraq35%同上前日差異なし (The White House)
Israel15%同上前日差異なし (The White House)
Japan*品目別(Column 1<15%→追加で「15%-Column1」、Column 1≥15%→追加0%)WH EO(2025-09-04)合計15%になるよう調整。前日差異なし(最終反映: 2025-09-04) (The White House)
Jordan15%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
Kazakhstan25%同上前日差異なし (The White House)
Laos40%同上前日差異なし (The White House)
Lesotho15%同上前日差異なし (The White House)
Libya30%同上前日差異なし (The White House)
Liechtenstein品目別(Column 1<15%→追加で「15%-Column1」、Column 1≥15%→追加0%)FR Notice(2025-12-18)スイスと同枠で「合計15%」ロジック+一部品目除外。前日差異なし(最終反映: 2025-12-18) (Federal Register)
Madagascar15%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
Malawi15%同上前日差異なし (The White House)
Malaysia19%同上前日差異なし (The White House)
Mauritius15%同上前日差異なし (The White House)
Mexico*(相互関税は適用外扱い)WH Fact Sheet(2025-04-02)既存IEEPA(フェンタニル/移民)優先:USMCA適合0%、非適合25%等。前日差異なし (The White House)
Moldova25%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
Mozambique15%同上前日差異なし (The White House)
Myanmar40%同上前日差異なし (The White House)
Namibia15%同上前日差異なし (The White House)
Nauru15%同上前日差異なし (The White House)
Nicaragua18%同上前日差異なし (The White House)
Nigeria15%同上前日差異なし (The White House)
North Macedonia15%同上前日差異なし (The White House)
Norway15%同上前日差異なし (The White House)
Pakistan19%同上前日差異なし (The White House)
Philippines19%同上前日差異なし (The White House)
Serbia35%同上前日差異なし (The White House)
South Africa30%同上前日差異なし (The White House)
South Korea品目別(MFNまたはKORUS<15%→追加で「15%-税率」、≥15%→追加0%)FR Notice(2025-12-04)合計15%になるよう調整+一部(民間航空機等)除外。前日差異なし(最終反映: 2025-12-04) (Federal Register)
Sri Lanka20%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
Switzerland品目別(Column 1<15%→追加で「15%-Column1」、Column 1≥15%→追加0%)FR Notice(2025-12-18)合計15%になるよう調整+一部品目除外。前日差異なし(最終反映: 2025-12-18) (Federal Register)
Syria41%WH EO 14326(2025-07-31)Annex I前日差異なし (The White House)
Taiwan20%同上前日差異なし (The White House)
Thailand19%同上前日差異なし (The White House)
Tunisia25%同上前日差異なし (The White House)
Vanuatu15%同上前日差異なし (The White House)
Venezuela15%同上前日差異なし (The White House)
Vietnam20%同上前日差異なし (The White House)
Zambia15%同上前日差異なし (The White House)
Zimbabwe15%同上前日差異なし (The White House)

補足(運用上の注意)

  • 多くの国で表示している%は、HTS上の通常関税(MFN等)に“追加”される相互関税です。
  • さらに、品目によっては(鉄鋼・アルミ、自動車・部品、銅、医薬品、半導体、木材等)相互関税の対象外/別制度の関税対象になり得ます(例示はホワイトハウス資料に列挙)。 (The White House)

米国がニカラグア製品に段階的な301条関税を決定2026年は実質猶予、2027年以降にコストが上がる構図


米国がニカラグア製品に段階的301条関税を決定

米国はニカラグアに対する301条調査を受け、CAFTA-DRの原産要件を満たさないニカラグア産品に段階的な追加関税を導入することを決定しました。ustr+1
税率は2026年に0%で開始し、2027年に10%、2028年に15%となる設計で、既存の相互関税18%と重なることで総負担が大きくなり得ます。trade+1


1. 何が決まったのか

USTRの発表および官報に示された決定内容の骨子は次のとおりです。govinfo+1

  • 2026年1月1日から新たな301条関税を導入するが、税率は0%で開始する
  • 2027年1月1日に301条関税を10%に引き上げる
  • 2028年1月1日に301条関税を15%に引き上げる
  • いずれも、当該日以降に「消費のために輸入される、又は保税蔵置場から引き取られる」貨物に適用されるとされるgeodis+1
  • 対象は、ドミニカ共和国・中米・米国自由貿易協定(CAFTA-DR)の原産地要件を満たさないニカラグア産品(CAFTA-DR非原産品)とされるustr+1
  • 追加関税は他の関税措置(いわゆる相互関税18%など)が存在する場合、それらに上乗せされ得るtradecomplianceresourcehub+1
  • ニカラグア側の行動に応じて、税率水準やスケジュールの修正可能性をUSTRが示しており、将来の上振れリスクを内包しているgovinfo+1

ここで重要なのは、この301条関税が「ニカラグア産品一律」ではなく、「CAFTA-DR上の“原産品”ではないもの」に絞られている点です。govinfo
同じニカラグア生産品でも、CAFTA-DR原産として認定されれば301条追加分は回避し得る一方、非原産と判断されれば301条関税が課される二分構造になります。greenworldwide+1

参考として、税率の段階スケジュールは以下のとおりです。geodis+1

適用開始日301条追加関税率対象
2026年1月1日0%CAFTA-DR非原産のニカラグア産品govinfo
2027年1月1日10%同上govinfo
2028年1月1日15%同上govinfo

制度上は2026年から始まるものの、0%でのスタートとなるため、実務的には2026年が「助走期間」、2027年以降がコストインパクトの本番という構図になります。ustr+1


2. 301条の枠組みと今回の狙い

通商法301条は、米国の通商に不当な負担を与える「不当・不合理・差別的」な外国政府の措置に対し、追加関税などの対抗措置をとり得る枠組みです。congress+1
今回USTRは、ニカラグアの労働権・人権・法の支配に関する政策・慣行が不合理であり、米国の通商を負担・制約していると判断し、301条関税を発動したと説明しています。ustr+1

実務的には、通商摩擦の対象が「関税水準」だけでなく、労働・人権・ガバナンスなどの非関税領域へ広がっていることを示す事案とも評価できます。ustr+1
調達・生産委託の現場にとっては、価格だけでなく、人権・コンプライアンス面の評価がサプライヤー選定に直結する局面が一段と強まったと言えます。ustr+1


3. 調査開始から最終決定までの時系列

今回の追加関税は、短期間で決まったものではなく、以下のようなプロセスを経ています。ustr+1

  • 2024年12月10日:USTRがニカラグアに関する301条調査を開始ustr+1
  • 2025年10月20日:USTRが、最大100%の追加関税やCAFTA-DR優遇の停止等を含む対抗措置案を公表し、検討オプションとして提示reuters+1
  • 2025年11月19日まで:パブリックコメントを募集し、2000件超の意見が寄せられるgovinfo
  • 2025年12月10日:USTRが最終報告・アクションを公表し、「CAFTA-DR非原産品を対象とする段階的関税」を採用する方針を明示thompsonhinesmartrade+1
  • 2025年12月12日:官報に「アクション通知」が掲載され、影響を限定しつつ圧力を高める設計として「CAFTA-DR非原産に限定」「2年の段階導入(0%→10%→15%)」の趣旨が説明されるgovinfo+1

官報では、コメントで賛否が拮抗したこと、複数業種から除外要望が出たことに触れたうえで、「CAFTA-DR非原産に限定すること」「2年かけて税率を引き上げること」により、混乱を抑えつつ企業にサプライチェーン移管の時間を与える判断をしたとされています。greenworldwide+1


4. 米国・ニカラグアの貿易規模と影響業種

USTRの国別ページによると、2024年の米国の対ニカラグア財輸入は46億ドル、財輸出は27億ドルで、財貿易総額は約74億ドルとされています。ustr
サービスを含めた米国とニカラグアの総貿易額は87億ドルとされ、米国側の財貿易赤字は19億ドルです。ustr

JETROは、USITC統計に基づき、米国の対ニカラグア輸入の主要品目として、点火用配線、綿製Tシャツ、金地金、葉巻たばこ、綿製セーター・プルオーバー、コーヒーなどを挙げています。jetro
官報では、繊維・アパレル、葉巻、コーヒー、家具、医療機器、牛肉・食肉、カカオ、キャッサバ粉、園芸、米、シーフードなど、多様な産業から除外要請が出ていたことが列挙されており、これらの分野で影響への懸念が強かったことがうかがえます。govinfo

日本企業にとっても、例えば「米国向け製品をニカラグアで組立・縫製し、第三国素材を多く使用しているケース」や「ニカラグア経由調達により原産判定が複雑化しているケース」では、CAFTA-DR原産判定の結果が米国側のコストに直結する構造になります。greenworldwide+1


5. 見落としがちな論点:相互関税18%との二重構造

今回の301条関税は、既存の相互関税などに上乗せされ得ると説明されています。tradecomplianceresourcehub+1
相互関税そのものは、2025年4月2日の大統領令に基づく世界的な「レシプロカル関税」措置の一部であり、その後の7月31日付大統領令で国別税率が修正され、ニカラグアは18%に設定されています。whitehouse+1

米国商務省系のTrade.gov解説でも、2025年4月2日に相互関税が発表され、ニカラグアが18%の相互関税対象国とされ、その水準がCAFTA-DRの無税メリットを事実上打ち消すものだと説明されています。trade
そのうえで、CAFTA-DR非原産品については2027年以降、ここに301条関税10%/15%が上乗せされる可能性があるため、「相互関税+301条関税」という二重構造のコストを前提にした設計が必要になります。trade+1


6. 企業が今すぐ確認すべきポイント

官報は、2年の段階導入により、企業がCAFTA-DR域内の他国へ生産を移転する時間を確保する意図を明記しています。govinfo
2026年の税率0%は「猶予」であり、2027年以降のコスト上昇に備えて、2026年中に以下の点を洗い出すことが肝要です。greenworldwide+1

ニカラグア関連の米国向け取引の棚卸し

  • ニカラグア由来の完成品・部材・半製品のリストアップ
  • 米国側のImporter of Record(輸入者)の特定
  • どの品目がCAFTA-DR原産として運用されているか/できていないかの整理greenworldwide+1

原産判定・証拠書類の整備

  • BOM、工程表、仕入先証明、原産地証明の運用状況の確認
  • グループ会社や委託先任せにせず、監査可能な形で証跡を整理することgreenworldwide+1

今回の301条関税は「CAFTA-DR原産か否か」で課税の有無が分かれるため、原産管理の精度が粗利に直結します。chrobinson+1

価格・契約条項の見直し

  • 2027年・2028年の関税上昇を織り込んだ価格改定条項(関税転嫁・再交渉条項・サーチャージ等)の検討
  • インコタームズと通関コスト負担者の再確認
  • 関税コストがどのPLに落ちるかを契約上明確化することgeodis+1

生産・調達の「逃げ道」の設計

  • CAFTA-DR域内他国への生産移転・拠点分散(官報も企業が移転できる時間を確保する意図に言及)greenworldwide+1
  • 原材料・生産プロセスの見直しによるCAFTA-DR原産要件の充足
  • 物流ルートとして「ニカラグア経由」を続ける妥当性の再評価govinfo+1

政策の上振れリスクを前提としたモニタリング

  • USTRは、ニカラグア側の改善状況に応じて税率やスケジュールの変更を行い得ると明記しており、今後も通知や追加ガイダンスのフォローが必須です。ustr+1

7. ざっくり試算:2027年以降のコスト感

最後に、追加関税のインパクトを把握するための簡易的な計算例です。実際の税額はHS/HTS分類、通常関税率、優遇の有無、評価方法等により変動しますが、「相互関税+301条関税」のオーダーを確認する目的です。trade+1

前提

  • 相互関税:18%(ニカラグアに対して設定されたレシプロカル関税)sullcrom+1
  • 301条関税:2028年に15%(CAFTA-DR非原産品が対象)ustr+1

ケースA:課税価格100(他の税なしと仮定)

  • 相互関税 18% → 18
  • 301条関税 15% → 15
  • 追加関税合計 → 33

この場合、非原産品のまま米国へ輸入すると、2028年時点では「相互関税+301条追加関税だけで課税価格の33%」の上乗せとなり得ます。trade+1
したがって、「CAFTA-DR原産として301条部分を回避できるか」「それでも残る相互関税18%を価格設計で吸収・転嫁できるか」が、調達・販売戦略の最重要ポイントになります。trade+2


8. 2026年は準備年、2027年が分水嶺

  • 米国はニカラグア産品のうち、CAFTA-DR非原産品に対して301条追加関税を段階導入する(2026年0%、2027年10%、2028年15%)。ustr+1
  • この301条関税は、既存の相互関税18%等に上乗せされ得るため、累積負担が大きくなる可能性がある。tradecomplianceresourcehub+1
  • 官報は、「影響を限定しつつ圧力を高める設計」として、対象をCAFTA-DR非原産に限定し、2年の段階導入で企業の移転時間を確保する趣旨を説明している。govinfo
  • 日本企業の実務上の急所は、原産判定・証跡整備・価格/契約設計・代替生産/調達設計・政策モニタリングの5点に集約される。greenworldwide+1

2026年の0%は「助かった」ではなく「準備せよ」というシグナルであり、2027年の10%時点でどこまで原産管理とサプライチェーン再設計を終えられるかが、粗利を守れるかどうかの分水嶺になると考えられます。greenworldwide+1

  1. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-12-12/pdf/2025-22690.pdf
  2. https://ustr.gov/about/policy-offices/press-office/press-releases/2025/december/ustr-section-301-action-nicaraguas-acts-policies-and-practices-relating-labor-rights-human-rights
  3. https://www.trade.gov/country-commercial-guides/nicaragua-import-tariffs
  4. https://geodis.com/us-en/resources/customs-corner/us-trade-representative-announces-new-tariffs-nicaraguan-imports-not
  5. https://www.tradecomplianceresourcehub.com/2025/12/11/trump-2-0-tariff-tracker/
  6. https://www.greenworldwide.com/new-section-301-action-on-nicaragua-establishes-phased-tariffs-for-non-cafta-dr-imports/
  7. https://www.congress.gov/crs_external_products/IF/PDF/IF11346/IF11346.28.pdf
  8. https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2024/december/ustr-initiates-section-301-investigation-nicaraguas-acts-policies-and-practices-related-labor-rights
  9. https://www.ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases/2024/december/ustr-initiates-section-301-investigation-nicaraguas-acts-policies-and-practices-related-labor-rights
  10. https://www.reuters.com/world/americas/us-proposes-trade-measures-against-nicaragua-over-labor-rights-2025-10-20/
  11. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/october/tariff-increase-cafta-dr-suspension-among-possible-actions-against-nicaragua
  12. https://www.thompsonhinesmartrade.com/2025/12/ustr-announces-section-301-tariffs-on-nicaragua/
  13. https://www.govinfo.gov/app/details/FR-2025-12-12/2025-22690
  14. https://ustr.gov/countries-regions/western-hemisphere/nicaragua
  15. https://www.jetro.go.jp/ext_images/theme/wto-fta/news/pdf/w_c_monthly_report-202511.pdf
  16. https://www.whitehouse.gov/presidential-actions/2025/07/further-modifying-the-reciprocal-tariff-rates/
  17. https://www.sullcrom.com/SullivanCromwell/_Assets/PDFs/Memos/Tariffs-Tracker-Updated-Modified-Reciprocal-Tariff-Rates.pdf
  18. https://www.chrobinson.com/en-us/resources/insights-and-advisories/client-advisories/2025q4/12-17-2025-client-advisory-ustr-announce-phased-section-301-tariffs-nicaraguan-goods-outside-cafta/
  19. https://passportglobal.com/us-tariff-rates-by-country-2025/
  20. https://www.ey.com/en_vn/technical/tax/tax-and-law-updates/customs-global-trade-alert-april-2025-trump-administration-executive-action-alert-implications-for-vietnam-businesses
  21. https://kpmg.com/us/en/taxnewsflash/news/2024/12/tnf-ustr-initiates-section-301-investigation-nicaragua-labor-human-rights.html
  22. https://www.cmtradelaw.com/2024/12/ustr-launches-section-301-investigation-of-nicaraguas-labor-and-human-rights-practices/
  23. https://unctad.org/system/files/official-document/ditcinf2025d3.pdf
  24. https://www.supplychainbrain.com/articles/42986-ustr-announces-15-tariffs-against-nicaragua-over-human-rights-abuses
  25. https://en.wikipedia.org/wiki/Tariffs_in_the_second_Trump_administration
  26. https://www.straitstimes.com/world/USTR-proposes-100-tariffs-on-Nicaraguan-goods-after-finding-labor-abuses
  27. https://www.whitecase.com/insight/ustr-opens-unprecedented-section-301-investigation-nicaraguan-labor-rights-practices
  28. https://www.as-coa.org/articles/tracking-trump-and-latin-america-trade-tariffs-threatened-mexico-over-water-sharing
  29. https://www.federalregister.gov/documents/2025/12/12/2025-22690/notice-of-action-nicaraguas-acts-policies-and-practices-related-to-labor-rights-human-rights-and
  30. https://www.federalregister.gov/d/2025-22690
  31. https://info.expeditors.com/newsflash/ustr-announces-section-301-action-on-nicaragua
  32. https://www.nnrglobal.com/insight/new-section-301-tariffs-on-products-of-nicaragua/
  33. https://havanatimes.org/news/us-proposes-axing-nicaragua-from-cafta-adding-100-tariffs/
  34. https://nicotineinsider.com/2025/10/21/nicaragua-faces-100-tariffs-after-ustr-report/
  35. https://www.chrobinson.com/it-it/resources/insights-and-advisories/client-advisories/2025q4/12-17-2025-client-advisory-ustr-announce-phased-section-301-tariffs-nicaraguan-goods-outside-cafta/
  36. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/december/tariffs-other-enforcement-actions-possible-against-imports-from-nicaragua
  37. https://marcasur.com/en/noticia/united-states-announces-phased-tariff-measures-on-noncafta-nicaraguan-imports-5059&f=12-2025
  38. https://geodis.com/us-en/us-proposes-trade-sanctions-against-nicaragua-over-labor-and-human-rights-concerns
  39. https://ustr.gov/about-us/policy-offices/press-office/press-releases