中国が2026年に935品目で輸入関税を引き下げ
2025年12月29日、中国国務院関税税則委員会は「2026年関税調整方案」を公表し、2026年1月1日から一部品目の輸入関税率と税目を調整することを発表しました 。柱となるのは、935品目に対してWTO最恵国税率(MFN)より低い「暫定輸入税率」を設定することです 。binance+2
この発表は、中国向けに「先端部材・グリーン関連素材・医療関連製品」を輸出する日本企業にとって、年明け直後の価格競争力と販売機会を左右する重要なイベントとなります 。cna+1

何が変わるのか:制度面の要点
935品目で暫定税率を設定
対象は、重要部材や先端材料、グリーントランスフォーメーション関連の資源性商品、医療製品などで、MFNより低い税率が適用されます 。binance+1
税目自体も見直し
本国子目を増設し、税則税目総数は8,972に拡大します 。例として、インテリジェント生体模倣ロボット(智能仿生机器人)、バイオ航空燃料(生物航空煤油)、林下山参などが挙げられています 。news.cnyes+1
一部は暫定税率を取りやめ、MFNへ戻す
国内産業の供給需給などを踏まえ、小型モーター(微型電机)、捺染機(印花机)、硫酸などは暫定税率を取り消し、MFNを適用する方向が示されています 。cna+1
どの領域が狙い撃ちか:3つの政策軸
先端産業の基盤づくり(科技自立自強)
中国は、現代化産業体系の構築に資する「重要部品・先進材料」の輸入コストを下げる狙いを明示しています 。完成品ではなく、ボトルネックになりやすい部材・材料の調達コストを軽くし、国内の高度化を進める設計です 。news.cnyes+2
日本企業にとっては、半導体製造装置周辺、精密部材、先端材料など、仕様が厳しい領域ほど商機になりやすい一方、型番単位での該当確認が重要になります。
グリーン転換(電池・資源循環)
象徴例として挙がったのが、リチウムイオン電池向けの再生黒粉(ブラックマス)です 。これは単発の優遇ではなく、「資源性商品の暫定税率引下げ」という政策軸の一部として位置づけられています 。binance+2
EVや蓄電池のサプライチェーンでは、原料や中間材の関税が数ポイント動くだけで、調達先やリサイクル工程の採算が変わります。中国市場向けの素材・化学・装置企業は、販売だけでなく、現地拠点の調達コスト見直しにも直結します。
医療・民生(ヘルスケアの高度化)
人工血管や感染症関連の診断キットなど、医療の高度化とアクセス改善につながる品目も対象に含まれます 。cna+1
医療分野は、規制承認や販売チャネルの壁が高い一方、関税引下げは現地病院・代理店との価格交渉を動かす材料になり得ます。
具体例:公表資料で確認できる暫定税率(代表例)
下表は、財政部サイトに添付された「附1 进口商品暂定税率表」に記載のある代表例です。実務上は、品目の該当可否と、表中のex(号列の一部条件適用)に注意して確認してください。
| 品目例(中文表記) | 税則号列 | 2026年MFN | 2026年暫定税率 | ビジネス上の見立て |
|---|---|---|---|---|
| 锂离子电池用再生黑粉 | ex 38249999 | 6.5% | 3% | 電池リサイクル、正極材周辺のコストに影響 cna+1 |
| 未焙烧的黄铁矿 | 25020000 | 3% | 0% | 資源性原料の調達コスト低下を後押し binance |
| 診断用試薬(マラリア) | 38221100 | 3% | 0% | 医療検査領域で価格競争力が改善 binance |
| 感染症の診断试剂盒(肝炎A/B/C、HIV、梅毒等) | ex 38221900 | 3% | 0% | 検査キット分野で輸入コストが軽くなる binance |
| 人造血管 | ex 90213900 | 4% | 2% | 医療機器・インプラントで採算改善余地 cna+1 |
日本企業の実務アクション:年明け前後にやるべきこと
自社品の中国側号列での突合
日本のHS6桁だけでは不十分です。中国側の税則号列(細分)で該当判定し、暫定税率の適用対象か確認します。ex指定品目は、仕様や用途で分かれることがあります。
価格交渉の材料化
暫定税率が下がる品目は、インコタームズと関税負担者を再確認した上で、見積の更新と顧客への説明資料を準備します。中国側買主が通関する取引でも、値引き圧力として返ってくるため、先回りが有効です。
協定税率との二重チェック
中国は2026年も、24のFTA等(34の貿易パートナー)に基づく協定税率を継続し、最不発達国43か国には100%税目で無税待遇を維持するとしています 。暫定税率だけでなく、原産地要件を満たすなら協定税率の方が有利なケースもあり得ます。news.cnyes+1
品目改編リスクの点検
税目や本国子目の見直しは、分類ミスや申告差異の火種になります 。中国向けに輸出入が多い企業ほど、マスタと通関委託先のコード体系を年初に一斉点検した方が安全です。binance
まとめ
今回の935品目の引下げは、単なる景気刺激というより、先端産業の部材調達、グリーン転換の原料確保、医療高度化を同時に進める「ターゲット型の関税設計」といえます 。cna+2
対中ビジネスでは、該当品目の突合と価格戦略の更新を、2026年1月1日の適用開始に間に合わせることが最大の実務ポイントとなります 。binance
0fed74d40e8f788a6ae1a468120a36f9- https://www.binance.com/ja/square/post/34358904320226
- https://www.cna.com.tw/news/acn/202512290209.aspx
- https://news.cnyes.com/news/id/6291766
- https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/us_tariff/pdf/04_1118.pdf
- https://www.etnet.com.hk/www/tc/ashares/news_detail.php?newsid=ETN351229774&page=1&category=%E5%85%A8%E6%97%A5%E6%96%B0%E8%81%9E
- https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/08/32996371811ccb00.html
- https://kuno-cpa.co.jp/china_blog/china-value-added-tax-law/
- https://tw.stock.yahoo.com/news/%E5%A4%A7%E9%99%B82026%E5%B9%B4%E9%97%9C%E7%A8%85%E8%AA%BF%E6%95%B4%E6%96%B9%E6%A1%88%E5%87%BA%E7%88%90-ecfa%E7%B9%BC%E7%BA%8C%E6%8C%89%E8%A6%8F%E5%AE%9A%E5%AF%A6%E6%96%BD-093333166.html
- https://www.recordchina.co.jp/b944805-s12-c20-d0189.html
- https://www.tmi.gr.jp/uploads/2025/01/31/TMI_China_News_January_2025.pdf