HS2028で変わる半導体・センサー分類 ビジネスに効く論点と、今からできる準備


半導体やセンサーは、関税分類の世界で「技術進化が速いのに、分類体系の更新は緩やか」という典型例です。そこにHS2028の改正が迫っています。コードが変わるだけに見えますが、実務では関税率、原産地規則、統計、輸出管理、社内マスタの整合まで連鎖的に影響します。wcoomd

本記事は、技術者向けではなく、調達・営業・経営企画・貿易管理・物流のビジネス部門が、HS2028の半導体・センサー領域をどう捉え、どこにリスクと機会が生まれるかを整理するための実務ガイドです。なお、HS2028の改正はWCOの正式手続きを経て進行中で、発効日は2028年1月1日と確定しています。wcoomd

1. まずHS2028を正しく理解する

なぜ2028なのか、いつ何が起きるのか

HSは原則5年ごとに改正されますが、第7次見直しサイクルはパンデミック等の影響で1年延長され、次の版はHS2028として2028年1月1日に実施されます。次回は5年サイクルに戻り、HS2033が続くとWCOが明示しています。aeb+1​

2025年3月開催の第75回HS委員会(HSC)では、Article 16勧告として、299件の改正セットを含むHS2028勧告パッケージが暫定採択されました。この299件には、105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。正式採択は2025年12月末に予定され、2026年1月に最終版が公表、2028年1月1日に発効します。tarifftel+2​

HS改正は「合意が必要な国際標準」です。WCO理事会承認後、各締約国には6か月の異議申立期間があり、異議が出た部分は除外される可能性があります。つまり、企業は早期に影響を見積もりつつ、最終確定版で必ず再検証する姿勢が必須です。wcoomd

2. なぜ半導体・センサーがHS2028の注目テーマなのか

ビジネス側の論点は「税率」より広い

半導体業界団体は以前から、技術進化のスピードが5年サイクルのHS改正を上回るペースで進んでおり、より迅速な改正メカニズムが必要だと主張してきました。実際、多機能化したMCO(Multi-Chip Optoelectronics)やセンサー統合製品は、機能別分類か素子基準かで分類がぶれやすく、2017年および2022年のHS改正でも半導体定義の拡張が行われています。deepbeez+1​

HS2028でも、半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)を含む分野が改正対象に挙がっています。これは単なる統計目的にとどまらず、次の実務要素に連動します。wcoomd+1​

  • 関税率と通商救済: MFN税率だけでなく、追加関税、セーフガード、アンチダンピング等がHSコードに紐づくため、コード変更は対象判定に影響します。
  • 原産地規則: 多くのFTAは品目別規則をHSの類・項・号で定義するため、HS変更は「同じ製品でも、どの規則を見るべきか」を変え得ます。
  • 輸出管理・規制: 規制リスト自体は性能・仕様基準が中心でも、運用現場ではHSコードをスクリーニングキーにすることが多く、分類変更は監視ロジックに影響します。
  • 企業の意思決定: 調達先分散、在庫配置、製造地設計、価格交渉など、サプライチェーンKPIにHS分類が組み込まれています。

3. 半導体・センサー分類で「揺れやすい境界」

HS改正が起きると影響が出やすい典型ポイント

半導体とセンサーは、商品形態が連続的に変化します。

  • ウエハ、ダイ
  • パッケージ化された素子
  • 信号処理ICと一体化したモジュール
  • 筐体、通信、電源、ソフトを含む完成品

HS分類は、こうした連続体を「どこで線を引くか」を国際標準として定める作業なので、改正が入ると境界付近の品目が動きます。ビジネスで影響が大きいのは、まさにこの境界品です。wcoomd

センサーで特に揺れやすい論点は次のとおりです。

  • センサー素子か、測定機器か: センサー素子は部品寄り(8541系)、測定機器は完成品寄り(他類)です。完成品側に寄るほど、半導体の章(第85類)から離れやすくなります。deepbeez
  • 変換素子か、信号処理まで含むか: 物理量を電気信号に変換するだけの段階と、補正・演算・デジタル出力まで含む段階は、税関分類の評価ポイントが変わります。deepbeez
  • 単機能か、多機能か: 環境センサーは温湿度、気圧、ガス、照度など複数要素を統合しがちで、多機能化は「主たる機能は何か」という論点を強めます。
  • どの産業用途に組み込まれるか: 同じセンサーでも、自動車、産業機械、医療、家電でパッケージや付加機能が変わり、分類は用途だけで決まらない一方、用途に由来する構成差は分類に影響します。youtube​

4. HS2028で半導体・センサー分類は何が「変わる」のか

確定情報と、実務上の読み方を分ける

情報の信頼性を最優先に、言い切れる範囲と言い切れない範囲を分けます。

4-1. 現時点で一次資料から言い切れること

  • HS2028は2028年1月1日に発効されるwcoomd
  • HS2028は299件の改正セットを含む勧告パッケージとして暫定採択されたstrtrade+1​
  • 改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれるstrtrade+1​
  • 半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)が改正議題に含まれているwcoomd+1​

つまり、半導体・センサー領域はHS2028の改正議題に含まれており、何らかの分類上の調整が入る可能性が高い、という点までは公的文書で裏づけられます。

4-2. 企業実務として「ここが動くと困る」を先に特定する

個別の6桁コードがどう変わるかは、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表(correlation table)で最終確認が必要です。ここを飛ばして断定すると、誤った社内判断につながります。tarifftel+1​

ビジネス側は、コード表の暗記ではなく「自社品が分類境界のど真ん中にいるか」を見抜くことが重要です。具体的には、次のような品目群はHS2028で影響を受けやすい位置にあります。

  • 半導体ベースの変換素子(各種トランスデューサー)deepbeez
  • センサー素子に信号処理ICが付随するモジュール
  • 複合センサー(複数の測定要素を統合)
  • 完成品に近いスマートセンサー(補正、演算、通信を内蔵)
  • センサーを搭載したユニットやサブアセンブリ(他機能と不可分)youtube​

これらは、分類が「素子」寄りか「機器」寄りかで分かれ、HS改正で線引きが再定義されると影響が出やすい領域です。

5. HS2028対応で失敗しやすい会社のパターン

通関担当だけに任せると、ほぼ確実に抜ける

半導体・センサー企業でよくある失敗は、HS改正を「通関部門のコード置換作業」にしてしまうことです。これだと次が抜けます。

  • 製品マスタの粒度が足りない: 分類に必要な属性(素子の役割、信号処理の有無、通信機能、主たる機能など)がマスタに入っていないと、相関表が出ても機械的に当てはめられません。
  • 原産地規則の影響評価が後回し: HS変更は、FTAの品目別規則(PSR)の参照単位を変え得ます。関税率がゼロでも、原産地判定でコストが跳ねることがあります。
  • 規制スクリーニングが壊れる: 社内の輸出審査フローでHSコードをキーにしている場合、誤分類や未更新は審査漏れの原因になります。

6. ビジネスマン向けの実務チェックリスト

2028年までに何を終わらせるか

以下は、半導体・センサー企業がHS2028で痛手を避けるための現実的な進め方です。

ステップ1: 影響範囲の棚卸し

  • 製品群を「素子」「モジュール」「完成品寄り」に3分類する
  • 売上上位、利益上位、規制リスク上位の品目を優先対象にする
  • 輸出入の主要国別に、関税率とFTA利用の有無を紐づける

ステップ2: 分類に必要な属性を社内で標準化する

センサーや半導体は、品名だけでは分類できません。仕様書を見なくても判断できる属性項目を、マスタに落とし込みます。

  • 測定対象(温度、圧力、加速度、光、ガスなど)
  • 変換方式と主要構成(半導体要素の有無、MEMSかどうかなど)
  • 信号処理の範囲(増幅、A/D、演算、補正)
  • 出力形態(アナログ、デジタル、通信プロトコル)
  • 単体販売か、ユニットの一部か

ステップ3: 相関表が出た瞬間に「自動変換」しない

WCO手続き上、最終的な確定内容や各国の国内拡張桁への転記を確認する必要があります。相関表は出発点で、個別品目の仕様と照合して初めて確定に近づきます。wcoomd

ステップ4: 社内の下流影響を先に洗い出す

  • 価格条件(関税負担者)
  • 原産地証明の運用(PSR参照箇所)
  • 輸出入ライセンスや社内審査フロー
  • 統計や経営レポート(品目別KPI)
  • 取引先との品目コード整合(発注、納品、請求)

7. まとめ

HS2028は「半導体・センサーの線引き」がビジネスコストになる改正

HS2028は2028年1月1日に発効され、299件の改正セットからなる勧告パッケージとして暫定採択されました。改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。また、半導体ベースのトランスデューサーが改正対象として明示されています。wcoomd+3​

ただし、個別のコード改編の詳細は、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表、さらに各国の国内法への転記で最終確認が必要です。ここを飛ばして社内で断定しないことが、信頼性の高いHS2028対応の第一歩です。tarifftel+1​

半導体・センサー企業にとっての成功の鍵は、改正が出てから慌てて置換することではありません。分類境界にいる品目を先に特定し、仕様に基づく分類判断を回せるマスタ設計と運用体制を2028年までに構築することです。

  1. https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/events/2019/hs-conference/semiconductors-and-the-future-of-the-hs_sia-white-paper_april-2019.pdf?la=fr
  2. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  3. https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php
  4. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2023/october/successful-conclusion-of-the-72nd-session-of-the-harmonized-system-committee.aspx
  5. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  6. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced
  7. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/activities-and-programmes/amending_hs.aspx
  8. https://deepbeez.com/d/hs/transducer
  9. https://www.youtube.com/watch?v=d__kmRP19WA
  10. https://global-scm.com/hscf/archives/134
  11. https://global-scm.com/hscf/
  12. https://global-scm.com/hscf/archives/34
  13. https://www.ul.com/resources/global-market-access-regulatory-news-update
  14. https://www.flexport.com/data/hs-code/85-electrical-machinery-and-equipment-and-parts-thereof-sound-recorders-and-reproducers-television-image-and-sound-recorders-and-reproducers-and-parts-an/
  15. https://hts.usitc.gov/search?query=8541.42.00.10

日ペルーEPA 原産地証明書がPDF発給に


2026年8月3日から何が変わるか

輸出実務で重要なのは、「いつから」「何が変わるか」「現場の手順をどう変えるか」です。meti
先にポイントを整理したうえで、その後に実務対応を具体的に見ていきます。jcci


1. まず押さえる要点

切替日

  • 日ペルーEPAに基づくペルー向けの原産地証明書(Certificate of Origin:CO)は、2026年8月3日受付分からPDFファイルでの発給に切り替わります。meti
  • 経産省は「2026年8月3日よりPDFファイルでの発給に切り替える」と公表しており、日付は明示されています。meti

専用紙(紙の原本)が使える期限

  • 日本商工会議所の案内によれば、専用紙での発給は「2026年7月31日までに承認された申請」に限られ、それ以降に承認される分はすべてPDFでの発給となります。jcci
  • ここでの基準日は「出荷日」ではなく、原産地証明発給システム上の「承認日」である点が実務上の注意点です。jcci

移行期の扱い(既に発給済みの紙CO)

  • 2026年7月31日以前に専用紙で発給されたCOは、有効期間内であれば8月3日以降もペルー税関で受理されると、日本商工会議所が案内しています。jcci
  • 日ペルーEPAの協定本文上、Proof of Origin(原産地証明)は原則として発給日から12か月間有効であり、単一の輸入申告に使用することが定められています(例外規定あり)。mofa

受け取り方法

  • PDF切替後は、審査が終了し、手数料の入金確認後に発給システム上のステータスが「交付済」となった時点で、利用者がシステムからPDFをダウンロードする方式になります。meti+1​
  • 従来のような窓口での紙原本の受け渡しや、原産地証明書の郵送は行われなくなります。jcci

支払い方法

  • 日本商工会議所の案内では、原産地証明手数料について「現金での支払いは廃止」とされ、事前振込(クレジットカード・インターネットバンキング等)または後日払いのいずれかに変更されます。jcci
  • 具体的な支払手段や締め日は、各商工会議所の運用に従う必要がありますが、「窓口で現金払い」という運用はできなくなります。jcci

ペルー側での提出形態(紙か電子か)

  • 経産省は、ペルー税関で輸入申告する際の具体的な提出形態(PDFを印刷した紙で提出するのか、電子データ添付で足りるのか)について、「現地手続をペルー側で確認することが必要」と案内しています。meti
  • したがって、日本側ではPDF発給を前提としつつ、実際にSUNAT(ペルー税関)へどう提出するかは、買主・現地通関業者を通じて確認することになります。sunat+1​

2. 何が変わるのか

実務目線でのインパクト

今回の変更は、「関税率」や「原産地規則」が変わるのではなく、原産地証明書の媒体と、それに伴う受領・送付オペレーションが変わる点にあります。meti
実務的に影響が出やすいのは、次の3点です。jcci

2-1. 発給から相手先提出までのリードタイム

  • 従来は、専用紙のCOを商工会議所で受領し、それを国際宅配などでペルーの買主・通関業者に送る必要があり、輸送時間や紛失リスクがボトルネックになりがちでした。
  • PDF発給に切り替わると、発給後すぐにメールやオンラインストレージ等で電子送付できるため、COの物理的な輸送時間はほぼゼロになります。meti+1​

2-2. 書類統制(改ざん防止・版管理・誤送付防止)

  • 紙原本がなくなりPDF中心になると、社内では次のような事故が起こりやすくなります。
    • 更新前の古いPDFを誤って送付する。
    • 宛先を間違えたメールで送る。
    • ファイル名がバラバラで、どの案件にどのファイルを出したか追跡できない。
  • PDF発給自体は利便性が高い一方で、社内のファイル名ルール・保存場所・送付履歴の管理ルールを決めておかないと、監査対応やクレーム対応が難しくなります。jcci

2-3. 貿易決済(L/Cなど)との整合性

  • 信用状や売買契約書に「原産地証明書の原本(paper original)」「指定様式の紙CO」「紙での提出」を求める条項が残っている場合、PDFへの切替後に条件不一致が発生する可能性があります。
  • 特に、2026年8月以降の出荷分をL/C決済で予定している案件では、事前に買主および銀行と「PDF発給で問題ないか」「紙原本の提示要求をどう扱うか」をすり合わせておくことが重要です。meti+1​

3. 切替スケジュール

現場が迷わないための整理

日本商工会議所の案内をもとに、実務上の線引きを表形式で整理すると、次のようになります。jcci

日付・条件発給形態実務上の注意点
2026年7月31日までに「承認」専用紙(紙)紙COが必要な案件は、承認日から逆算して申請する。
2026年8月3日以降に「承認」PDF発給後はシステムからダウンロードし、郵送は不要。
7月31日以前に専用紙で発給済のCO紙COのまま協定上の有効期間(原則12か月)内はSUNATで使用可。

ここで重要なのは、

  • 切替の境目が「出荷日」ではなく「発給システムの承認日」であること
  • 7月末から8月上旬にかけて出荷が集中する企業ほど、「紙COで行く案件」か「PDFで行く案件」かを早めに決め、申請リードタイムを逆算する必要があること
    です。meti+1​

4. ペルー側輸入申告で起きやすい論点

日本側の発給形式がPDFに変わると、ペルー側の通関では次の2点が論点になりやすくなります。sunat+1​

4-1. PDFの提出形態(紙提出か電子提出か)

  • 経産省は、「現地で輸入申告する際の詳細な手続(印刷した紙での提出の要否、電子データでの提出可否)は、現地税関(SUNAT)に確認すること」と案内しています。meti
  • SUNATの一般案内では、各協定ごとに「原産地証明書」「declaración de origen(原産地申告)」などのProof of Originが挙げられていますが、提出媒体については税関のシステム運用・ローカル通達に依存します。sunat

実務的には、

  • 買主または現地通関業者に対し、「日ペルーEPAのCO(PDF)をSUNATに提出する際、印刷した紙が必要か、電子添付で足りるか」を確認し、その回答をメールなどで証跡化する
    ことが、最短で確実な確認方法になります。sunat+1​

4-2. 申告上の協定選択ミス(TPIコード)

  • SUNATの「Acuerdos Comerciales」の案内では、各協定ごとにTrato Preferencial Internacional(TPI)コードが設定されており、申告書に当該コードを入力することが、関税優遇適用の前提とされています。sunat
  • 日ペルーEPAについては、TPIコードが複数行にわたり掲示されており、協定別に804、807、815等が割り当てられていることが分かりますが、具体的な日ペルーEPAのコードはSUNATの最新案内で再確認する必要があります。sunat

したがって、

  • 「TPIコードの入力漏れ・誤入力」が優遇適用漏れの典型的な原因になるため、買主側の通関手順書や社内マニュアルに、日ペルーEPA用のTPIコードと入力ルールを明記してもらう
    ことが、安全な運用と言えます。sunat

5. 日本側(輸出者)が今からやるべき実務対応

2026年8月まで時間があるように見えても、7月末〜8月出荷案件では、L/C条件・書類条件・システム切替が重なり、直前に混乱しやすくなります。meti+1​
今のうちに、次のような「型」を整えておくことが有効です。

5-1. 社内フローを1枚で更新

手順書やフローチャートに、最低限次の差分を追記します。jcci

  • 発給物の受領方法:窓口・郵送から「システム上でPDFダウンロード」へ。
  • 支払い方法:現金廃止、事前振込(クレジット・ネット銀行)または後日払いへ。
  • ファイル管理:
    • ファイル命名規則(例:CO_JP-PE_インボイスNo_発給日.pdf)
    • 保存場所(共有フォルダ/DMS)
    • 送付履歴(誰に・いつ・どのファイルを送ったか)の残し方。

5-2. 「7月末出荷+L/C等」案件だけ先に洗い出す

次の条件に当てはまる案件は、早期にリストアップしておきます。

  • 7月後半に日本出荷予定。
  • 8月上旬にペルー到着予定。
  • L/C決済または厳格な書類条件が付いている。

これらについて、

  • COを紙で出す必要があるか、PDFで問題ないかを買主・銀行と事前に確認し、
  • 紙が必要な場合は「7月31日までに承認」を前提に、逆算して申請締切日を社内で設定する
    ことが重要です。jcci

5-3. 取引先への通知文をテンプレート化

買主・現地通関業者向けに、次の内容を簡潔にまとめた通知文テンプレートを作成しておくと、社内・社外への展開がスムーズになります。meti+1​

  • 2026年8月3日から、日ペルーEPAのCOはPDF発給になること。
  • 2026年7月31日承認分までは紙COでの発給が可能であること。
  • ペルー側での提出形態(印刷要否、電子添付可否)について、SUNATまたは通関業者に確認してほしいこと。

5-4. システム停止リスクに備える

  • 日本商工会議所は、PDF発給切替に伴う発給システムの停止時期などを、別途案内するとしています。jcci
  • システム停止を前提に、月末・月初に申請が集中しないよう、社内の申請締切を前倒しする運用を組み込んでおくと安全です。jcci

6. よくある質問(想定Q&A)

Q1. 7月に紙で発給されたCOは、8月以降の輸入でも使えますか。

  • 日本商工会議所は、2026年7月31日以前に専用紙で発給されたCOについて、有効期間内であれば8月3日以降もペルー税関で受理されると案内しています。jcci
  • 日ペルーEPA協定上、Proof of Originの有効期間は「発給日から12か月」とされているため、その範囲内であれば使用可能です。mofa

Q2. 8月3日以降に紙COを発給してもらう例外はありますか。

  • 経産省・日本商工会議所の案内では、「2026年8月3日以降に承認される分はすべてPDF発給」とされており、紙COの発給を認める例外運用は示されていません。meti+1​
  • 特別な例外措置が取られる場合は、別途公表されると考えられるため、最新情報のフォローが必要です。meti

Q3. ペルー税関にはPDFをどのように提出すればよいですか。

  • 日本側の公表は、「現地で輸入申告する際の詳細な手続はSUNATに確認すること」としており、提出形態を一律には示していません。meti
  • 実務的には、買主の通関業者に「PDFを印刷した紙の提出が必要か」「電子添付で足りるか」を確認し、その回答内容を契約書・インボイスの備考欄・出荷書類の指示書などに反映するのが確実です。sunat

まとめ

日ペルーEPAの原産地証明書がPDF発給に切り替わることは、輸出者にとって、スピード向上と紛失リスク低減の観点ではプラスです。meti+1​
一方で、2026年7月末から8月の境目は「承認日」基準で紙とPDFが分かれるため、出荷計画、L/C条件、現地通関手続の三つを事前にすり合わせることが肝になります。jcci+1​

今のうちに、

  • 社内フローの改訂(PDF前提の受領・管理・送付)
  • 7月末〜8月案件の洗い出しと書類条件の確認
  • 買主・通関業者への通知とSUNATでの提出形態の確認
    までを済ませておけば、2026年8月の切替を現場トラブルなく乗り切ることができます。sunat+1​

  1. https://www.jcci.or.jp/gensanchi/20260107_Perucopdf.pdf
  2. https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/gensanchi/20260107.html
  3. https://www.sunat.gob.pe/orientacionaduanera/acuerdoscomerciales/acuerdos.html
  4. https://www.mofa.go.jp/region/latin/peru/epa201105/pdfs/jpepa_ba_e.pdf
  5. https://www.meti.go.jp/english/policy/external_economy/trade/FTA_EPA/index.html
  6. https://www.globalbizgate.com/mailmagazine/2026/01/08/%E6%97%A5%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%BCepa%E3%81%AB%E5%9F%BA%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%83%BC%E5%90%91%E3%81%91%E3%81%AE%E5%8E%9F%E7%94%A3%E5%9C%B0%E8%A8%BC%E6%98%8E%E6%9B%B8%E3%82%92/
  7. https://www.customs.go.jp/english/origin/rules_of_origin_epa.pdf
  8. http://www.acuerdoscomerciales.gob.pe/en_vigencia/japon/Documentos/ingles/formato_co_tlc_peru_japon.pdf
  9. https://trade.ec.europa.eu/access-to-markets/en/content/eu-japan-economic-partnership-agreement
  10. https://www.customs.go.jp/roo/text/peru4.pdf
  11. http://www.sice.oas.org/trade/PER_JPN/EPA_Texts/ESP/PER_JPN_text_s.asp
  12. https://www.mofa.go.jp/policy/oda/sdgs/pdf/vnr2025_00_full_en.pdf
  13. https://sice.oas.org/Trade/PER_JPN/EPA_Texts/ESP/PER_JPN_text_s.asp
  14. https://www.jpo.go.jp/resources/report/statusreport/2025/document/index/all.pdf
  15. https://www.kanzei.or.jp/sites/default/files/pdfs/report/roocom_020400.pdf

中国、対日レアアース輸出管理を強化


いま企業が押さえるべき実務ポイント

2026年1月上旬、中国が日本向けのデュアルユース(軍民両用)品目に対する輸出管理を強化する方針を打ち出し、レアアースとレアアース磁石の供給不安が再燃しています。poder360+1​
ポイントは、今回の措置が「レアアースのみを名指しした禁輸」ではなく、デュアルユース品目を包括的に対象とする輸出禁止措置として導入され、その運用次第で民生用途向けのレアアース関連品にも影響が波及し得る点です。reuters+2​

この記事では、一次情報として確定している制度内容と、報道ベースで伝えられている運用状況を切り分けつつ、調達・生産・法務・通関実務が今すぐ取るべき対策を整理します。


1. 何が起きたのか

公式発表と報道を分けて理解する

まず、一次情報として確定しているのは、中国商務部による公告です。chemical.chemlinked+1​
2026年1月6日、中国商務部は「商務部公告2026年第1号」を公表し、日本向けのデュアルユース品目について輸出管理を強化する措置を即時発効としました。globaltimes+1​

公告の要点は、

  • 全てのデュアルユース品目について、日本の軍事ユーザー向け、軍事目的向け、ならびに日本の軍事力の向上に資するあらゆる最終用途向け輸出を禁止すること
  • 第三国の組織・個人が、中国原産の当該デュアルユース品目を日本の組織・個人に移転・提供した場合にも、違反として法的責任を追及し得ると明記したこと
    にあります。poder360+2​

一方、公告文そのものには「レアアース」という品目名は列挙されておらず、対象はあくまで「デュアルユース品目一般」として定義されています。globaltimes+1​
日本政府は、この措置について「対象や内容が必ずしも明確ではない」と懸念を示し、説明と撤回を求めつつ、影響の精査が必要だと述べています。kathmandupost+1​

そのうえで、報道ベースでは次のような動きが伝えられています。

  • 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの報道として、中国当局が日本企業向けのレアアースおよびレアアース磁石の輸出について、輸出許可申請の審査を停止、または大幅に制限し始めたとされること。english.kyodonews+1​youtube​
  • 中国側は「民生用途の輸出には影響しない」と説明する一方、レアアースが実際に今回のデュアルユース措置の直接対象に含まれるのか、また許可審査の運用をどの程度厳格化しているのかについては明言を避けていること。facebook+1​

このため、現時点で確実に言えるのは「対日デュアルユース規制の強化」という枠組みが一次情報として確定しており、その運用の一環としてレアアースおよびレアアース磁石の輸出許可審査の厳格化・停滞が生じている可能性が高い、という整理になります。wsj+3​


2. なぜレアアースが巻き込まれやすいのか

レアアースは、EV駆動モーター、産業ロボット、HDD、各種センサーなど民生用途で広範に使用されると同時に、高性能永久磁石(ネオジム磁石など)を通じて、防衛装備や航空宇宙など典型的な軍事転用用途にも不可欠な部材です。csis+2​
中・重希土類(ジスプロシウム、テルビウム等)は特に高性能磁石の耐熱性向上に使われ、防衛関連のモーター・アクチュエーター用途における重要性が高いと指摘されています。spf+1​

今回の対日措置は、品目名ではなく「用途」や「エンドユーザー」に着目して輸出を禁止する構造です。chemical.chemlinked+2​
そのため、同じレアアース磁石であっても、最終用途や顧客情報に軍事転用の疑義がある場合には、許可審査が止まりやすく、民生用途を主張していても、用途説明が不十分なだけで審査遅延が生じるリスクがあります。csis+2​


3. 依存度の現実

供給国分散後も加工工程は中国集中

日本は2010年の対中レアアース摩擦以降、輸入先の分散や備蓄の強化を進めてきましたが、それでもレアアース供給における中国依存は依然として高水準です。cnbc+2​
各種統計・推計の前提は異なるものの、2024年前後のデータでは、日本のレアアース輸入に占める中国の割合は概ね6割前後から7割程度とされる例が多く、依存度がなお高いことがうかがえます。finance.yahoo+2​

一方で、日本は豪州・ベトナム・マレーシアなどからの調達を増やし、中国依存度を2010年当時の9割超から6割弱程度まで下げたとの分析もあり、数量ベースでは一定の分散が進んでいます。cnbc+1​
しかし、精錬・分離などの中間加工工程は依然として中国の比率が極めて高く、世界全体のレアアース精製能力の大半が中国に集中しているとの指摘が続いており、採掘地を分散しても加工段階でボトルネックが生じやすい構造が変わっていません。bgrdc+2​

このため、日本企業が調達先を表面的に分散していても、どこかの工程で中国の輸出管理・許可審査に依存している限り、今回のような審査運用の変化がサプライチェーン全体に波及するリスクが残存します。sfa-oxford+2​


4. 制度インフラはすでに整っていた

直近2年の流れ

今回の2026年1月の対日措置は、突然の思いつきではなく、ここ数年整備されてきた管理体系の延長線上に位置付けられます。whitecase+2​
2024年6月、中国国務院は「稀土管理条例」(国務院令第785号)を公布し、採掘から精錬・分離、流通、輸出入までレアアース産業チェーン全体を管理対象とする包括的な枠組みを整備しました(2024年10月1日施行)。csrcare+2​

さらに2025年前後には、サマリウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ルテチウム、スカンジウム、イットリウムなど中・重希土類7元素や、それらを用いた磁石材料・合金を対象とする輸出管理措置が導入され、一部には輸出許可制と特定品目の追加指定(合金・酸化物など13品目)を行うルールも公布されています。squirepattonboggs+2​
これらの措置では、参考としてHSコードが示されるなど、レアアース原料だけでなく永久磁石材料や中間製品も管理対象として位置付けられています。whitecase+1​

したがって、今回の「対日」強化では、既存のレアアース管理品目に加え、デュアルユース枠組みの下で用途審査の厳格化や許可審査の停滞が生じるだけでも、日本企業の調達が実務的には止まり得る状況が生まれます。wsj+3​


5. 企業実務への影響

まず顕在化するのは価格より「納期と書類」

現場で先に表面化しやすいのは、次の3点です。

  • 許可審査の滞留
    民生用途の部材であっても、エンドユーザーや用途説明が不十分な場合、輸出許可申請の審査が保留され、出荷が遅延するリスクがあります。facebook+1​
    実際、レアアースおよびレアアース磁石について、日本企業向けの輸出許可申請の処理が停止・遅延しているとの報道が複数出ており、「全面禁輸」ではなく「許可が出ないことによる実質的な供給制約」が懸念されています。youtube​english.kyodonews+1​
  • 書類要求の増加
    中国側輸出者が、最終用途証明書、エンドユーザー情報、軍事用途でないことの誓約、第三国への再移転の有無など、より詳細な情報の提出を求める可能性があります。chemical.chemlinked+1​
    デュアルユース規制の典型的運用として、疑義がある案件は追加書類の要求や審査延長の対象となりやすく、結果としてリードタイムが読めなくなるリスクが高まります。csis+1​
  • 調達の連鎖停止
    企業自身がレアアース原料を直接輸入していなくても、サプライチェーン上流の部品・ユニット・完成品に高性能磁石やレアアース関連材料が含まれている場合、そのサプライヤー段階で出荷が止まるおそれがあります。spf+1​
    自動車、電子機器、半導体製造装置など、レアアース磁石の使用比率が高い業種ほど影響が顕在化しやすいと指摘されています。english.kyodonews+2​

6. いま取るべき対策

重要度順のチェックリスト

6-1. 影響範囲を特定する – 部材ベースで洗い出す

  • 製品BOMを起点に、永久磁石(NdFeB、SmCoなど)、研磨材、触媒、蛍光体、センサー材料など、レアアース関与部材を抽出する。
  • Tier2・Tier3のサプライヤーまで含め、どの工程で中国原産品または中国で加工されたレアアース関連部材が入り得るかをマッピングする。
  • 代替材への切り替えが可能な部材と、設計変更・認証の取り直しが必要な部材を分類しておく。

6-2. 中国サプライヤーが「出荷できる状態」を作る

  • 中国側が行う輸出許可申請に必要な情報を、自社から迅速に提供できる体制を整備する。
    例:最終用途の説明文、最終需要家の属性、軍事用途ではないことの説明、再輸出・第三国移転の有無など。facebook+1​
  • 自社だけでなく、顧客(エンドユーザー)まで含む用途情報が必要になるケースを想定し、質問票・証明書のテンプレートをあらかじめ用意しておく。

6-3. 契約条項を見直す – 変更法令と供給制約を織り込む

  • 変更法令条項(Change in Law)、輸出許可未取得時の取り扱い、代替調達時の費用負担、納期遅延時の責任分担を契約上明確化する。
  • 長納期化を前提とした安全在庫の水準と保有場所、緊急時の配分ルールを、主要顧客・サプライヤー間で合意しておく。

6-4. 代替調達は「原料」ではなく「工程」で考える

  • 採掘地の分散だけでは不十分であり、精錬・分離・磁石製造などの加工工程を中国以外にも分散させることが、本丸のリスク低減策となる。sfa-oxford+1​
  • 現実的には段階的移行が必要なため、短期は在庫と優先順位付けの整理、中期はサプライヤーの二重化・三重化、長期は設計変更や材料置換まで含めた計画を検討する。

6-5. 情報収集の「軸」を決める

  • 一次情報は、中国商務部の公告・解釈通知および中国当局の記者会見、ならびにジェトロ等による制度整理を定点でフォローするのが最も効率的です。lawinfochina+2​
  • 主要国はレアアース・重要鉱物で対中依存を低減する連携を強めており、G7や日米豪などの政策動向が、中長期の調達戦略・投資判断に直結しつつあります。bloomberg+2​

7. いまは「供給断」よりも

許可審査の停止・遅延が最大リスク

今回の対日措置は、現時点で「レアアースの全面禁輸」と公式に位置付けられているわけではありませんが、デュアルユース枠組みと既存のレアアース輸出管理が重なり合うことで、実務上はレアアース関連品の輸出許可が出にくくなる局面に入っています。poder360+2​
レアアースやレアアース磁石の輸出許可審査が停止または大幅に遅延するだけで、自動車・電子機器・半導体関連など広範なサプライチェーンで生産計画が狂うおそれがある点が、企業にとっての最大のリスクです。kathmandupost+2​

企業としての勝ち筋は、レアアース問題を単なる資源調達の話に矮小化せず、「輸出管理」と「サプライチェーン実務」を一体で設計し直すことです。
BOMの棚卸し、サプライヤーからの書類要求に即応できる情報整備、契約条項の見直し、代替工程・非中国加工ルートの確保を、時間軸(短期・中期・長期)を意識しながら今週から順番に着手することが求められます。cnbc+2​


免責事項

本稿は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別案件の輸出管理判断、契約判断、通関判断を行うものではありません。
具体的な案件については、社内の貿易管理責任者、顧問弁護士、通関士、ならびに専門機関の助言を踏まえて判断してください。

  1. https://www.lawinfochina.com/display.aspx?id=43158&lib=law
  2. https://finance.yahoo.com/news/china-bans-certain-rare-earths-122351883.html
  3. https://static.poder360.com.br/2026/01/commerce-dual-item.pdf
  4. https://www.reuters.com/world/asia-pacific/china-bans-exports-dual-use-items-military-purposes-japan-2026-01-06/
  5. https://www.csis.org/analysis/consequences-chinas-new-rare-earths-export-restrictions
  6. https://www.globaltimes.cn/page/202601/1352441.shtml
  7. https://www.spf.org/spf-china-observer/en/document-detail062.html
  8. https://www.sfa-oxford.com/market-news-and-insights/japan-us-rare-earths-deal-critical-minerals-supply-chain/
  9. https://chemical.chemlinked.com/news/chemical-news/china-bans-export-of-dual-use-items-to-japan
  10. https://kathmandupost.com/world/2026/01/07/japan-condemns-china-s-dual-use-export-ban-as-rare-earth-curbs-loom
  11. https://english.kyodonews.net/articles/-/68263
  12. https://www.youtube.com/watch?v=CB0sLiXqVZ8
  13. https://www.wsj.com/world/asia/china-deprives-japan-of-rare-earths-supply-escalating-dispute-41e7750c
  14. https://www.facebook.com/mofcom.china/posts/mofcom-spokespersons-remarks-on-tightening-controls-on-dual-use-items-exports-to/890794080134870/
  15. https://www.cnbc.com/2025/06/20/rare-earths-japan-more-prepared-than-most-for-chinas-mineral-squeeze.html
  16. https://bgrdc.com/wp-content/uploads/2024/10/China-Rare-Earth.pdf
  17. https://www.whitecase.com/insight-alert/china-imposes-extraterritorial-jurisdiction-and-50-rule-export-controls-rare-earth
  18. http://www.csrcare.com/Law/LawShowEn?id=232737
  19. https://www.squirepattonboggs.com/media/i4idimy5/china-expands-export-control.pdf
  20. https://www.bloomberg.com/news/articles/2026-01-09/japan-calls-for-smooth-trade-with-china-for-rare-earths-food
  21. https://asia.nikkei.com/spotlight/supply-chain/japan-s-rare-earth-imports-from-china-plunge-to-5-year-low
  22. https://www.customs.go.jp/toukei/shinbun/trade-st_e/2024/2024_117e.pdf
  23. https://www.mining.com/china-japan-rare-earth-spat-curbs-exports/
  24. https://gtaic.ai/market-reports/japan-rare-earth-metals-market
  25. https://www.facebook.com/TheStarOnline/posts/more-than-70-percent-of-japans-imports-of-rare-earths-come-from-china-according-/1330141122481743/
  26. https://www.japantimes.co.jp/news/2026/01/10/japan/japan-support-china-rare-earth/
  27. https://note.com/tagtag/n/n617d57bab698
  28. https://global-scm.com/blog/?p=3700
  29. https://www.linkedin.com/posts/wei-jin-6213791_china-strengthens-export-controls-on-dual-use-activity-7414228580408299520-xFVX

韓国のCPTPPへの参加検討正式表明に関して、参加することはできるか?

1. CPTPPでは「約束を守る実績」が明確に条件に入っている

CPTPPは拡大の原則として、いわゆるオークランド原則を繰り返し確認しています。要点は次の3つです。

  1. 協定の高水準を満たす準備ができていること
  2. 貿易上のコミットメントを遵守してきた実績があること
  3. 加盟国のコンセンサスを得られること

この「遵守実績」が、まさにご質問の「国際約束を守れるか」を、制度上の評価軸に落とし込んだものです。

2. 日本側も公式文書で「加盟後の履行意思と能力」を強調している

日本の外交青書(2025年版)でも、加盟申請国について「高い基準を満たす能力があるか」だけでなく、「加盟後も履行し続ける意思と能力」を見極める、という趣旨が明記されています。
つまり日本としても、形式的な加盟条件より「実装して守り続けるか」を重視する立場を公式に取っています。

3. 実務上は、こういう形で「信頼性」が論点化する

CPTPPの加入審査は、候補国が提出する資料や質疑応答を通じて「守れるか」を検証する仕組みです。作業部会の付託事項も、候補国がCPTPP義務を遵守できることを示す文書の確認を含みます。

その結果、「信頼性」は次のような論点に変換されがちです。

  1. 国内法と運用がCPTPP義務に整合しているか
  2. 整合していない場合、いつまでに法改正や制度変更を行うのか
  3. 例外や経過措置をどこまで認めるか
  4. 紛争解決や透明性の運用を実際に回せるか

要するに「守ると言うか」ではなく、「守る状態を作れるか、作った後も維持できるか」という確認になります。

4. 韓国のケースで日本の懸念が表に出るとしたら

日韓間には、政治・外交の文脈で「約束の履行」への不信感が語られることがあります。ただCPTPPの場でそれを前面に出すより、先ほどのオークランド原則と整合する形で、

  1. 貿易約束の遵守実績
  2. 加盟後の履行を担保する制度設計
  3. 国内世論の理解と継続性

という論点で、日本が「コンセンサスに慎重」になるシナリオが現実的です。

5. いま時点での現実:日本が賛否を決める「審査段階」にはまだ入っていない可能性が高い

直近の韓国高官発言は「準備が整い次第、追加的な措置を講じる」という表現で、正式な加入要請を既に寄託国へ通報した、という言い方ではありません。
CPTPPは、まず寄託国ニュージーランドへの正式通報が起点になります。
したがって、企業実務としては「日本が信頼性を理由に止めるかどうか」は、正式要請が出て作業部会が動き出してから具体論になりやすいです。

メキシコ、非FTA対象で約1,400品目の関税引上げ


2026年1月1日から、メキシコは輸入関税率表(TIGIE)上の1,463タリフラインについて、一般税率(MFN)を引き上げる制度改正を施行しました。官報(DOF)に掲載された改正法令は、2025年12月29日に公布され、2026年1月1日に発効しています。whitecase+4​

ニュース見出しでは「非FTA品目」と表現されがちですが、実務上の理解はもう一段丁寧にする必要があります。改正はあくまでMFNを上げる仕組みであり、FTAの特恵(原産品としての優遇税率)は、原産地規則を満たし適切に申告できる限り、引き続き適用余地があります。craneww+2​

まず押さえる要点

今回の改正を、ビジネスの意思決定に必要な粒度で整理すると次のとおりです。

項目内容
改正の本質MFN関税率の引上げ(対象は特定の関税番号)
対象規模1,463タリフラインwhitecase+2​
施行日2026年1月1日mexiconewsdaily+2​
対象外の考え方FTA優遇を適用できる原産品は原則影響なし(原産地証明と適切な申告が前提)whitecase+1​
有効期限無期限(恒久化)whitecase

対象規模(1,463タリフライン)やFTA適用時の取り扱い、対象業界の全体像は、複数の専門機関・法律事務所・当局解説で一致しています。clarkhill+3​

どんな品目が影響を受けるのか

対象は20以上の章にまたがり、自動車・部品、繊維・アパレル、プラスチック、鉄鋼、家電、アルミ、履物、紙・板紙、皮革製品、家具、ガラス、玩具、二輪、トレーラーなど幅広い業界に及びます。trade+3​

税率水準は品目ごとに異なり、引上げ後の関税率は5%、7%、10%、14%、15%、18%、20%、22%、25%、30%、35%、36%、45%、50%のレンジに分布します。完成乗用車の特定の関税番号(8703.22.99、8703.23.99、8703.24.99、8703.32.99、8703.33.99、8703.40.99、8703.60.99、8703.80.01)では50%が適用されます。自動車部品は25%から36%の範囲が中心です。mexiconewsdaily+4​

また、今回の動きは従来の大統領令ベースの措置を、法律改正により恒久化・拡大する性格があると解説されています。具体的には、1,463タリフラインのうち約41%は2024年の大統領令で既に引上げ済みの内容を制度化し、残り59%が新規に追加された品目です。繊維・履物・アパレルは既存措置の「恒久化」、それ以外の分野は「新規にカバー拡大」という見方が示されています。jdsupra+1​

さらに、316タリフラインは以前は無税(duty-free)だったものが、今回初めて関税が課されることになりました。whitecase

「非FTA品目」とは実務で何を意味するか

ここが誤解ポイントです。影響を受けるかどうかは「仕向地に着いたときの原産性」と「申告の正しさ」で決まります。

FTA相手国からの出荷でも、原産地規則を満たさなければMFNが適用され得る

たとえば日本からメキシコに輸出しても、商品が日本原産として認められない場合(第三国原産のまま、工程不足、証憑不備など)は、FTA特恵が使えずMFN(引上げ後)のコストになります。trade

「出荷国」と「原産国」は別物

中国原産の部品や完成品を日本経由でメキシコへ流しても、原産地が中国のままなら、非FTA原産として引上げ後の税率が問題になります。報道や解説でも、非FTA国(中国、インド、韓国、インドネシア、タイ、ロシア、トルコ、台湾、ブラジルなど)を念頭に置いた制度設計と整理されています。mohawkglobal+2​

書類不備は、税率の取りこぼしに直結する

当局解説では、通関での分類・価格・書類整合性に対する目線が強まり、輸出者側もインボイス、仕様書、原産地証明などの精度が重要になると示されています。2026年の一般対外貿易規則(GFTR)では、通関業者向けの新たな書類要件、通関手続きの裏付け書類、バーチャル輸入申告の記録保管など、より多くの書類を作成・保管する義務が追加されています。kpmg+1​

日本企業にとっての影響シナリオ

影響は「メキシコ向けの輸出」だけでなく、「メキシコの顧客が非FTA原産品を調達しているか」によっても変わります。

シナリオA:メキシコ向け部材の中に非FTA原産が多い

自社が日本から輸出していても、実態は第三国原産のままというケースでは、顧客側の輸入コストが上がります。結果として、価格交渉、発注数量、調達先見直しの圧力が出やすくなります。mohawkglobal+1​

シナリオB:完成車・主要部材など、税率の上振れが大きい領域に該当

完成車の特定関税番号では50%水準が適用され、部材でも複数レンジ(7%、10%、25%、36%など)が混在します。どこに該当するかで採算は別物になるため、HS分類の確定が最優先です。forvismazars+1​

シナリオC:FTA適用の社内運用が弱く、取りこぼしが発生しやすい

今回のようにMFNが上がる局面では、これまで「面倒なのでMFNで払っていた」取引が急に高コストになります。原産性の棚卸しと証憑整備は、守りではなく利益改善の打ち手になります。forvismazars

すぐにやるべき実務チェックリスト

以下の順番で手当てすると、短期間で影響可視化まで到達できます。

影響品目の棚卸し

  • メキシコの関税番号(フラクシオン)まで落として、該当有無を判定
  • 該当の場合、引上げ後の税率レンジ(5~50%)で着地コストを試算strtrade+1​

原産地の再判定

  • 日墨EPA、CPTPPなどで原産性を確保できるか
  • 部材原産地の収集、サプライヤー証明の更新、証憑の監査耐性を強化whitecase+1​

通関実務の点検

  • インボイス品名、技術仕様、分類根拠、価格根拠が一貫しているか
  • メキシコ側ブローカーと、申告データの突合ルールを先に決めておくkpmg+1​
  • 2026年のGFTRで追加された書類要件(通関業者向け文書、裏付け書類、記録保管)への対応を確認kpmg

IMMEX制度利用者向けの追加確認

2026年のGFTRでは、IMMEX(マキラドーラ)プログラム下での繊維・アパレル製品の輸入に新たな制限が設けられています。該当する企業は、プログラム適用要件の変更を確認する必要があります。kpmg

制度の背景と政策意図

メキシコ政府は、この改正を単なる歳入確保措置ではなく、「戦略的な政策ツール」として位置づけています。背景には次の狙いがあります。tbaglobal+1​

  • 国内製造業の保護と雇用確保trade+1​
  • アジア諸国、特に中国からの輸入への依存低減mexiconewsdaily+1​
  • グローバルバリューチェーンへの統合が期待された技術移転や国内付加価値向上につながっていない現状への対応whitecase
  • 国家開発計画との整合whitecase

メキシコ経済大臣のマルセロ・エブラード氏は、この措置がメキシコの総輸入の約8.6%に影響を与えると述べています。中国からの輸入はメキシコ総輸入の約19.96%を占め、中国製車両はメキシコ市場の18.1%のシェアを持っており、特に自動車セクターへの影響が大きいとみられています。tbaglobal

まとめ

メキシコの関税引上げは、1,463タリフライン規模でMFNが上がる政策転換です。最大の論点は、非FTA原産品と、FTA原産でも運用不備で特恵を取りこぼす取引がコスト増になり得ること。逆に言えば、HS分類と原産地証憑を固め、FTA適用の確度を上げられる企業ほど、影響を吸収しやすい局面です。clarkhill+3​

改正は2026年1月1日に発効し、有効期限は無期限です。早期の対応準備が、コスト管理と競争優位の確保に直結します。mexiconewsdaily+2​


免責事項: 本稿は2026年1月時点の公表情報に基づく一般情報であり、個別案件の法令判断や通関助言を目的とするものではありません。実際の適用は、品目の分類、原産地事実、申告実務、当局運用により左右されます。個別案件は現地通関業者・専門家と一次情報で確認してください。

  1. https://www.whitecase.com/insight-alert/mexico-formalizes-and-expands-import-tariffs-more-1400-products-key-impacts
  2. https://mexiconewsdaily.com/news/mexico-tariffs-go-into-effect-china/
  3. https://www.forvismazars.com/mx/en/insights/forvis-mazars-in-mexico-thought-leadership/foreign-trade-customs-alert/changes-in-foreign-trade-for-2026-in-mexico
  4. https://www.tid.gov.hk/en/tradecircular/2025/ci11102025.html?categoryId=18
  5. https://www.opportimes.com/en/tariff-increases-in-mexico-on-countries-without-trade-agreements-come-into-effect-on-january-1/
  6. https://www.craneww.com/knowledge-center/trade-advisory-notices/mexicos-2026-tariff-reform/
  7. https://www.clarkhill.com/news-events/news/mexico-approves-significant-tariff-increases-on-imports-from-non-fta-countries/
  8. https://kpmg.com/us/en/taxnewsflash/news/2026/01/mexico-general-foreign-trade-rules-2026-import-export-duties-law.html
  9. https://www.trade.gov/market-intelligence/mexico-customs-law-reform
  10. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/december/mexico-to-significantly-increase-import-duties-as-of-jan-1
  11. https://mohawkglobal.com/trade-translation/mexico-approves-tariff-increases-on-imports-from-non-fta-countries/
  12. https://www.jdsupra.com/legalnews/mexico-proposes-significant-customs-and-3809818/
  13. https://tbaglobal.com/mexico-set-to-introduce-tariffs-of-up-to-50/
  14. https://www.foley.com/zh/insights/publications/2025/12/mexican-january-2026-tariff-tsunami-maquilas-arent-immune/
  15. https://www.internationaltradecomplianceupdate.com/category/customsimports/
  16. https://globaltradealert.org/state-act/95864-mexico-import-duty-increase-on-1462-products-december-2025
  17. https://cuestacampos.com/en/new-energy-regulation-in-mexico/
  18. https://www.estrategiaaduanera.mx/cambios-a-la-ligie-en-mexico/

韓国がCPTPP加盟検討を正式表明 次に何が起き、企業はどう備えるか


韓国政府がCPTPP加盟を正式に検討する姿勢を明確化し、2026年1月13日の日韓首脳会談でもこの議題が取り上げられる見通しです。今回のポイントは、韓国政府内の「検討段階」から、首脳・閣僚レベルの発言が重なり、対外的な論点として前面に出てきた点にあります。ビジネス実務に波及するのは中期戦になりやすいものの、サプライチェーン設計と競争条件に影響する動きとして、早期の情報収集と準備が求められます。nippon+1​

何が起きたのか

2025年12月17日、韓国の産業通商資源部が大統領への業務報告で、CPTPP加入を「積極的に検討する」と明らかにし、担当相は「来年の加入申請や内容について議論を始めた段階」「推進戦略をつくる」と述べました。加えて、日本産水産物の輸入停止問題が交渉の焦点になり得ることも示唆されています。yna

さらに2026年1月9日、韓国大統領府の国家安保室長は、1月13日の日韓首脳会談でCPTPPが議題になり得ること、韓国側も準備が整い次第追加措置を取る考えを示しました。李在明(イ・ジェミョン)大統領の政権は、米中への依存を低減し、多国間貿易を通じた経済基盤の多角化を目指す姿勢を鮮明にしています。euronews+1​

CPTPPの基本構造

CPTPPは、加盟国間で関税撤廃・削減だけでなく、投資、サービス、電子商取引、国有企業、政府調達など幅広いルールを持つ高水準の経済連携協定です。現在の加盟国は12か国で、英国は2024年12月15日に6か国との関係で正式に発効しました。donga+2​

実務面で重要な2つのポイントsice.oas+1​

寄託国はニュージーランド
加入要請や各種通知の受け皿はニュージーランドが務めます。

新規加入は全加盟国のコンセンサスが前提
加入プロセスでは、作業部会の設置や最終承認など、要所で全加盟国の合意が必要です。つまり、政治・外交論点がそのまま通商条件に直結しやすい枠組みです。apfccptppportal

韓国が今CPTPPを急ぐ背景

背景は複合的ですが、ビジネスに効く要因は大きく2つです。

米中依存を下げる「貿易の多角化」

韓国政府は、米中への過度な依存を低減し、多国間貿易の枠組みを通じた経済安全保障の確保を重視しています。CPTPPは、日本、オーストラリア、カナダ、メキシコ、ベトナムなど多様な市場へのアクセスを一括して改善する手段として位置づけられています。nippon+1​

メキシコを中心とした「非FTA国への高関税」

2025年12月、メキシコは非FTA国からの輸入品に対して大幅な関税引上げを決定し、2026年1月1日から施行しました。対象は1,400品目以上で、完成車50%、自動車部品25-36%、家電25-30%など、韓国の主力輸出品が直撃を受けています。whitecase+3​

メキシコ政府は、この措置が中国、韓国、インド、ベトナム、タイ、ブラジル、インドネシア、台湾、UAE、南アフリカなど、FTA未締結国からの輸入を標的にしていることを明記しています。韓国側では「CPTPP加入も韓メキシコFTAも失敗すると、日本は無関税を維持できる一方、韓国は高関税で不利になる」といった懸念が報じられています。koreatimes+3​

ただし、韓国産業通商資源部は、メキシコの中間財関税減免プログラムを活用する韓国企業が多いため、実際の影響は限定的との見方も示しています。yna

申請から加入まで

CPTPPは「申請したらすぐ加入」ではありません。典型的な流れは次の通りです。sice.oas+1​

  1. 寄託国ニュージーランドへ加入要請を通報
  2. CPTPP委員会が作業部会(AWG)設置などを判断
  3. ルール適合と市場アクセス(関税・例外・サービス等)の交渉
  4. 委員会がコンセンサスで条件を承認
  5. 加入文書を寄託し、条件が整った後に発効

参考までに英国は、2021年2月に寄託国へ加入要請を通報し、2023年3月に交渉を実質妥結、2024年12月に議定書が発効しました。コスタリカは2025年3月に第1回作業部会が開催され、同年8月までに第3回が実施されましたが、まだ交渉継続中です。gov+1​

この時間軸を見ても、韓国が「来年申請」を語っても、企業実務に波及するのは中期戦になりやすい点が重要です。

交渉の焦点

日本産水産物の輸入停止問題

韓国政府自身が、これが交渉の焦点になり得ると認めています。韓国は2013年以降、福島第一原発事故を理由に日本の8県からの水産物輸入を禁止しており、2014年には日本政府がWTO提訴も検討しました。wtocenter+1​

また韓国メディアでも、日本が輸入規制の解除を加入承認と結び付ける可能性があるといった観測が報じられています。japannews.yomiuri

農畜産・水産分野の国内調整

CPTPPは高水準の市場アクセスが求められ、国内調整が最大のボトルネックになりがちです。2021年の文在寅(ムン・ジェイン)政権時にも加入意向が示されましたが、農業団体などの反発と日韓関係の悪化により議論が停止した経緯があります。japannews.yomiuri

今回も、韓国側では「国民的共感が先行すべき」との指摘が出ています。japannews.yomiuri

高水準ルールへの制度適合

加入希望国は、既存ルールへの全面適合と、高水準の市場アクセス提示が求められます。ここは企業にとって、国内法改正や規制運用変更のリスクが出やすい領域です。apfccptppportal

日本企業へのインパクト

論点は関税に見えますが、企業実務で効くのは次の3つです。

サプライチェーン再設計の余地

韓国が加盟すれば、CPTPP域内の調達・生産・輸出で「域内扱い」になり得ます。原産地規則の組み立てが変わり、BOMやサプライヤー戦略を見直す局面が出ます。

メキシコなどでの競争条件

現状、メキシコは非FTA国を不利に扱う動きがあり、これが韓国企業の痛点になっています。韓国がCPTPPへ進めば、この非対称が縮む可能性があります。english.news+2​

日韓協業のテーマが増える

日韓首脳会談でCPTPPが議題になり得るとされ、経済案件として動きやすい環境が整い始めています。donga+2​

企業の実務チェックリスト

CPTPPで優遇税率を使っている品目を棚卸し
自社がCPTPP利用中の輸出入品目、適用している原産地判定ロジックを一覧化します。

韓国由来部材の比率を見える化
現時点では「非原産」として扱っている韓国部材が、将来「域内」となる可能性を仮置きし、原産地判定がどう変わるか試算します。

取引契約の関税条項を点検
関税変動時の価格調整、原産地証明の責任分界、遡及対応などを再確認します。

交渉イベントの監視ポイントを固定
韓国が寄託国ニュージーランドへ正式な加入要請を出したか、作業部会が立ち上がったかが最初の実務シグナルになります。

今後の見通し

直近の山は、2026年1月13日の日韓首脳会談です。ここでCPTPPがどの程度踏み込んで語られるかが、次の動きの温度感を決めます。tradingview+2​

一方で、韓国側報道でも「加入申請書をまだ提出できていない」とされており、少なくとも現時点は準備・調整フェーズと見るのが安全です。英国やコスタリカの事例を踏まえると、申請から発効まで2-3年以上を要する可能性が高く、企業は中長期の視点で準備を進めるべき局面です。japannews.yomiuri


注: 本稿は2026年1月10日時点の公表情報に基づく一般情報です。実際の交渉進展や発効時期は、政治・外交情勢と国内調整の進捗に依存するため、最終判断は一次情報と専門家確認で行ってください。

  1. https://www.nippon.com/en/news/yjj2026010901026/lee-takaichi-may-discuss-s-korea’s-cptpp-entry-at-upcoming-summit.html
  2. https://www.donga.com/en/article/all/20260110/6051484/1
  3. https://en.yna.co.kr/view/AEN20251217003500320
  4. https://www.euronews.com/my-europe/2026/01/09/eu-member-states-back-mercosur-deal-french-meps-vow-fight-in-parliament
  5. https://www.gov.uk/government/news/uk-to-join-cptpp-by-15-december
  6. https://www.ctpa.org.uk/news/the-uk-to-join-cptpp-by-15-december-2024-7910
  7. http://www.sice.oas.org/tpd/tpp/tpp_e.asp
  8. https://apfccptppportal.ca/accessions/process
  9. https://www.whitecase.com/insight-alert/mexico-formalizes-and-expands-import-tariffs-more-1400-products-key-impacts
  10. https://www.koreatimes.co.kr/foreignaffairs/20251219/seoul-urges-mexico-to-mitigate-impact-of-planned-tariff-hikes-on-korean-firms
  11. https://mohawkglobal.com/trade-translation/mexico-approves-tariff-increases-on-imports-from-non-fta-countries/
  12. https://english.news.cn/20260110/680b56baf17e4b1983c0d2c9c5126a02/c.html
  13. https://en.yna.co.kr/view/AEN20251212003000320
  14. https://wtocenter.vn/chuyen-de/3943-japan-threatens-south-korea-with-wto-complaint-on-import-ban
  15. https://japannews.yomiuri.co.jp/editorial/yomiuri-editorial/20250916-281193/
  16. https://es.tradingview.com/news/reuters.com,2026:newsml_P8N3XW050:0-south-korea-s-president-lee-to-visit-japan-january-13-14-for-summit-newsis-reports/
  17. https://www.marketscreener.com/news/south-korea-to-explore-possibility-of-joining-cptpp-finance-ministry-ce7e59d2d98ff720
  18. https://www.eria.org/news-and-views/south-korea-president-moon-jae-in-shows-interest-in-joining-cptpp-mega-trade-deal
  19. https://behorizon.org/trilateral-momentum-u-s-japan-south-korea-forge-deeper-strategic-alignment/
  20. https://www.clarkhill.com/news-events/news/mexico-approves-significant-tariff-increases-on-imports-from-non-fta-countries/
  21. https://www.foley.com/zh/insights/publications/2025/12/mexican-january-2026-tariff-tsunami-maquilas-arent-immune/

カナダで審議中「CPTPP 英国加盟の実施法案」とは何か

2026年1月10日時点、カナダ議会では、英国のCPTPP加盟をカナダ国内法として実装するための法案(Bill C-13)が審議段階にあります。結論から言うと、カナダがこの法案を成立させて批准手続きを完了しない限り、CPTPPはカナダと英国の間では使えません。 (カナダ議会)

本稿では、いま何が起きていて、ビジネス実務に何が影響するのかを、忙しいビジネスパーソン向けに整理します。


1. まず押さえる要点

・カナダでは「Bill C-13」が、英国のCPTPP加盟プロトコルを国内法に反映するための実施法案として審議中
・2026年1月10日時点のステータスは、下院の委員会審査(国際貿易委員会)に付託された段階
・法案が成立し、カナダが批准を完了しない限り、カナダ企業は英国向けにCPTPPの優遇関税や原産地ルールを使えない
・一方で、英国のCPTPP加盟はすでに一部加盟国との間で発効しており、カナダだけが「未接続」の状態になっている
・発効のカギは批准完了後のタイムラグで、基本は当該国の批准完了から60日後に適用開始になる仕組み (カナダ議会)


2. 何が遅れているのか

英国は2023年7月16日にCPTPP加盟の「加入議定書(Accession Protocol)」に署名し、CPTPPは「全員批准」または「一定数批准」で発効する仕組みです。15か月(2024年10月16日)を過ぎると、英国と少なくとも6か国の批准で、批准済みの国との間から先に動き始める設計になっています。 (GOV.UK)

実際に、英国と複数の加盟国との間では2024年12月に発効が進みましたが、カナダでは「カナダ向けの発効」がまだ来ていません。カナダ政府のCPTPP公式情報でも、英国加入議定書は「カナダでは未発効」と明記されています。 (外交課題カナダ)


3. カナダ議会の現在地:Bill C-13

カナダ側の実施法案は Bill C-13(英国加入議定書の実施法)です。

・2025年10月21日:下院に提出(第一読会)
・2025年12月11日:第二読会を終え、下院の国際貿易委員会(CIIT)へ付託
・2026年1月10日時点:委員会段階で審査待ち(委員会の当該案件で会合実績はまだ表示されていない) (カナダ議会)

つまり「これから委員会で条文精査や参考人招致などが進む」フェーズです。


4. Bill C-13 は何を変える法案か

ポイントは2つです。

4-1. 「英国がCPTPPの対象だ」と国内法の参照関係を整える

法案サマリー上、加入議定書を実施するために、各種法律の中でCPTPPの定義や参照の仕方を更新し、議定書を含む形に整合させる狙いが示されています。 (カナダ議会)

4-2. 関税実務の核心:カナダ関税率表に英国向けの新しい優遇枠を作る

実務担当者にとって最重要なのがここです。法案本文では、カナダの関税制度に「Comprehensive and Progressive United Kingdom Tariff(略称 CPUKT)」という英国向けの優遇関税区分を新設し、段階的な引下げ(ステージング)や端数処理、遡及しないことなど、運用ルールまで条文で組み立てています。 (カナダ議会)

条文には例えば次のような設計が見えます。
・CPUKTの最終税率が無税(Free)になる品目は「A」で表現
・段階引下げ品目は「F」や「X78・X79・X80」などのコードで、発効日または毎年1月1日の節目で税率が落ちていく
・ただし、カナダと英国の間でCPTPPが発効する前の期間には効かない(遡及なし)ことを明記 (カナダ議会)

ここは、施行後に通関・原価管理・販売価格に直結します。関税優遇を使う企業ほど、法案成立後の制度切替に備える価値が大きい部分です。


5. いつから使えるのか:発効までの流れ

ビジネス視点では「法案成立日」よりも、「カナダが批准を完了し、発効日が確定する日」が重要です。

一般に、英国加入議定書は、当該国が批准を終えると、その国との関係で60日後に適用が始まる仕組みだと説明されています。 (GOV.UK)

したがって、社内で見るべき時系列は次の通りです。

  1. Bill C-13 が議会で成立
  2. カナダ政府が批准手続きを完了
  3. 発効日が確定(目安は批准完了から60日後)
  4. 通関では、原産地証明と申告を揃えた企業から順に恩恵が出る

6. 日本企業にとっての実務インパクト

日本のビジネスパーソンに関係が深い論点を、現場目線でまとめます。

6-1. カナダと英国間の「優遇関税の取り方」が変わる

カナダ側でCPUKTが導入されると、通関現場では「英国向けのCPTPP優遇」を前提にした品目判定、税率参照、ステージング管理が必要になります。 (カナダ議会)
日本企業でも、カナダ拠点から英国へ輸出する場合や、英国製品をカナダに輸入して販売する場合に、価格戦略へ影響します。

6-2. 原産地ルールとサプライチェーン設計

CPTPPはルールが比較的詳細で、特に「原産地の取り方」が社内統制の対象になります。
カナダと英国の間でCPTPPが使えるようになると、原産地判定・証憑(サプライヤー申告、製造工程、材料証明など)の整備をCPTPP仕様に寄せる必要が出ます。
この部分は、関税メリットが大きいほど監査対応も含めて重要になります。

6-3. 競争環境

英国とカナダの間でCPTPPが動き出すと、関税条件が変わるため、同一商品でも競合の価格条件が変わり得ます。特に「段階引下げ」の品目は、年明けなど節目で条件が動く可能性があります。 (カナダ議会)


7. 企業が今やるべきチェックリスト

制度が動く前に、社内で先回りしておくと楽になります。

  1. 対象取引の棚卸し
    ・カナダと英国の売買があるか
    ・英国経由やカナダ経由のサプライチェーンがあるか
  2. 関税と原産地の準備
    ・対象HSの関税優遇が段階引下げか、即時無税か
    ・原産地判定に必要な証憑を、CPTPP基準で揃えられるか(サプライヤーから取れるか)
  3. 通関オペレーションの整備
    ・申告時の優遇税率区分(CPUKT)の設定
    ・ERPや関税マスタの更新手順
    ・監査対応の保存年限と保管場所
  4. 進捗モニタリング
    ・法案の委員会審査の進み具合
    ・批准完了と発効日の確定

法案の公式ステータスはLEGI Sinfoで追えます(現状は委員会付託中)。 (カナダ議会)


まとめ

カナダの Bill C-13 は、英国のCPTPP加盟を「カナダでも使える状態」にするための最後の国内手続きに近い位置付けです。審議が進んで成立すれば、カナダと英国の間でCPTPPの優遇関税や原産地ルールが実務に乗ってきます。 (カナダ議会)

ビジネス側は、発効後に慌てないために、対象取引の洗い出しと、原産地証憑と関税マスタの準備を先に進めておくのが現実解です。

EU・メルコスール協定「暫定合意」の本質


関税削減は魅力でも、原産地設計と優遇停止リスクが勝敗を分ける

2026年1月9日、EU理事会はEU・メルコスール協定の署名を承認し、25年越しの交渉が大きな節目を迎えました。ただし重要なのは、協定が直ちに発効したという話ではなく、発効に向けた政治手続きが前進し、農業分野の優遇停止を可能にするセーフガード規則が具体化した点です。reuters+2​

ビジネス目線で押さえるべきは、工業品で大きな関税削減が見込まれる一方、その恩恵を受けるには原産地規則の設計と証明実務が不可欠であり、さらに農産品を中心に優遇停止のトリガーが明確に制度化されている点です。発効後の準備では遅く、発効前に原産設計と書類フローを固めた企業が、最初の2年で利益を取りに行けます。aljazeera+1​

今回の「暫定合意」の実態

2026年1月9日の時点で、二つの暫定が同時進行しています。reuters+1​

第一に、EU理事会の加盟国大使が署名承認を正式決定しました。フランス、ポーランド、オーストリア、アイルランド、ハンガリーが反対、ベルギーが棄権したものの、ドイツ、スペイン、イタリアなど21か国の賛成により特定多数が成立しました。これにより、フォン・デア・ライエン欧州委員長が早ければ1月12日にパラグアイで正式署名する段取りです。english.news+2​

第二に、EU理事会と欧州議会が2025年12月に「農業分野の二者間セーフガード規則」で暫定合意しました。これは、メルコスールからの農産品輸入が域内産業に損害を与える、またはその恐れがある場合に、関税優遇を迅速に停止できる仕組みです。europarl.europa+1​

今後は欧州議会が同意決議を行い、EU理事会が締結決定を行えば、暫定貿易協定(iTA)が適用開始となります。完全発効には加盟国すべての批准が必要ですが、貿易分野はEU排他的権限のため、加盟国批准を待たずに先行適用できる設計です。bilaterals+2​

協定の構造

法的文書は大きく二つに分かれています。reuters

EU・メルコスール・パートナーシップ協定(EMPA)
政治対話、協力、貿易・投資を包括する本協定で、完全発効には全加盟国の批准が必要です。EU側は政治・協力分野の大部分を暫定適用する方針も示しています。reuters

暫定貿易協定(iTA)
貿易・投資の自由化を先行させるための協定で、EUの排他的権限に属するため、欧州議会の同意と理事会の締結決定のみで動かせます。最終的にはEMPA発効により置き換えられます。bilaterals+1​

実務上の示唆は明確です。完全発効を待つのではなく、iTAを軸に先行する領域を前提に準備するのが合理的です。

関税削減の骨格

EUからメルコスール向け

メルコスールは、EUからの輸入の91%について、原則10年以内に関税を撤廃します。特に高関税品目は価格競争力が劇的に変わります。blomstein+1​

主な現行関税と撤廃スケジュールeuroparl.europa+1​

  • 乗用車(内燃機関) 35%→15年で完全撤廃(最初7年は5万台の移行枠で17.5%、その後加速)
  • 電動車 35%→即座に25%へ引下げ、18年で完全撤廃
  • 水素車 35%→6年据置後、25年で完全撤廃
  • 自動車部品 14-18%→大半は10年以内に撤廃
  • 機械 14-20%→93%が10年以内に撤廃
  • 化学品 最大18%
  • 医薬品 最大14%
  • 衣類・革靴 35%

自動車分野では、2024年の追加交渉で内燃機関車の15年スケジュールが維持された一方、電動化車両は18年、水素車は25年、新技術車は30年へと延長されました。これは「関税が下がる」だけでなく、「下がり切るまでの時間」が競争戦略そのものになることを意味します。gov+1​

農産加工品の現行関税例reuters

  • オリーブオイル 10%
  • ワイン 最大27%
  • ウイスキー・スピリッツ 20-35%
  • チョコレート 20%
  • 乳製品(数量枠内でゼロ関税)
    • チーズ 3万トン枠(現行28%)
    • 粉乳 1万トン枠(現行28%)
    • 乳児用調製粉乳 5千トン枠(現行18%)

メルコスールからEU向け

EUは、メルコスールからの輸入の92%について、原則10年以内に関税を撤廃しますが、センシティブな農産品は関税割当(TRQ)で数量管理する設計です。lateinamerikaverein+1​

主要農産品の割当枠reuters

  • 牛肉 年9万9千トン(チルド55%、冷凍45%)、7.5%関税、6段階導入
  • 豚肉 2万5千トン(83ユーロ/トン)、6段階導入、プラス パラグアイ向け1,500トン
  • 鶏肉 18万トン無税枠、5年で段階導入
  • 砂糖 ブラジル向け原料糖18万トン無税(既存WTO枠内)、パラグアイ向け1万トン無税
  • エタノール 化学用途45万トン無税、燃料用途20万トンは本税の3分の1、いずれも5年で段階導入
  • はちみつ 4万5千トン無税枠、5年で段階導入
  • コメ 6万トン無税枠、5年で段階導入

これらの数量はEU消費量の1-2%程度に抑えられており、EU側の輸出量でほぼ相殺される設計です。reuters

原産地規則

関税削減の本質は「原産地の設計」と「証明手続」にあります。優遇を受けられるのは「協定上の原産品」に限られ、これを外すとMFNで申告することになり協定メリットが消えます。sice.oas+1​

原産性の基本構造

原産地規則の骨格は次の通りです。sice.oas

完全生産品(Wholly obtained)
鉱物、植物、域内で出生し飼育された動物、域内で行われた漁獲など、完全生産を定義しています。sice.oas

製品別ルール(PSR)
非原産材料を使う場合、品目ごとに定められた条件(関税分類変更、特定工程、非原産材料の最大割合)を満たす必要があります。sice.oas

二者間累積(Bilateral cumulation)
EU原産材料をメルコスール側の原産材料として扱う、またはその逆を認めますが、単純作業のみでは不十分で一定の加工を要します。sice.oas

許容(Tolerances)
製品別ルールを満たさない非原産材料があっても、一定範囲(工場出荷価格の10%以内)であれば原産とみなす仕組みがあります。繊維類は別途規定があります。sice.oas

不十分な加工(Insufficient operations)
洗浄、単純な包装、ラベル貼付、単純混合、単純組立など、軽微な作業のみでは原産になりません。sice.oas

輸送条件
原産とされた貨物は、第三国で本質的な加工を受けず、保全行為等に限ることが求められます。sice.oas

製品別ルール(PSR)の読み方

PSRは別添で品目ごとに示され、「関税分類変更(CC/CTH/CTSH)」「特定工程」「非原産材料の最大割合(MaxNOM)」などの形式で規定されています。sice.oas

自動車のPSR例reuters

  • 乗用車(87.01-87.07) MaxNOM 45%(EXW)
  • 部品(87.08-87.09) MaxNOM 50%(EXW)

機械のPSR例sice.oas

  • CTH または MaxNOM 50%(EXW)など、品目ごとに複数の満たし方が提示されています

工業品のPSRは、実務上「CTH」か「MaxNOM」のどちらかを満たせばよい形が多く、同じ業界でもHSが変われば判定ロジックが変わるため、品目単位でPSRを引き、BOMと工程のどこで条件を満たすかを先に設計することが肝要です。

証明手続

この協定は、輸出者がインボイス等に「ステートメント・オン・オリジン」を作成する運用を軸にしています。pincvision+1​

実務で重要な期限と保存義務sice.oas

  • ステートメントの有効期限は12か月
  • 輸出後に作成する場合でも、輸入後2年以内に提出が必要
  • 輸出者と輸入者は原則3年間の記録保存

EU側では、輸出者はREXシステムへの登録が必要です。メルコスール側は移行期間(最大5年)が認められています。加えて、EUの関税割当で輸出する品目は、メルコスール側が発行する公式文書の添付を求める規定もあります。lateinamerikaverein+1​

農業セーフガード

今回の暫定合意の核心は、農業分野の優遇停止を「より早く、より簡単に」動かすトリガーが条文化された点です。europarl.europa+1​

調査開始の条件(センシティブ品目)europarl.europa+1​

  • 輸入数量が3年平均比で8%超増加
  • または輸入価格が3年平均比で8%超低下

これらは「深刻な損害」の証拠とみなされ、調査開始の十分条件となります。europarl.europa

調査と措置のスピードeuroparl.europa

  • センシティブ品目の調査は3か月以内に終了
  • 緊急時は通知後21日以内に暫定措置が可能
  • 非センシティブ品目は6か月以内

監視体制europarl.europa

  • 欧州委員会は少なくとも半年ごとに監視レポートを作成
  • 2026年3月1日までに監視の技術ガイドラインを策定予定

企業目線の含意は明確です。農産品を扱う場合、発効後も「関税は常に下がり続ける」とは限らず、数量と価格の動き次第で優遇停止があり得るという前提で、契約と収益計画を組む必要があります。

中小企業向けの情報提供

協定本文には、中小企業向けの情報提供を義務づける章があります。各当事者は、協定本文、別添、関税スケジュール、製品別原産地規則を掲載する公開サイトを整備し、関税コードで検索可能なデータベースの整備が想定されています。publications.iadb

これは「発効してから調べる」のではなく、「調べやすい状態で使わせる」ための実装思想で、実務のコストを確実に下げる仕組みです。

日本企業の実務アクション

発効前にやるべきことは3つです。

品目マッピング
自社の輸出入品目をHSで棚卸しし、関税削減が大きい品目から優先順位を付けます。自動車、機械、化学品、衣料は高関税の例が明示されています。reuters

原産地設計
二者間累積、許容、単純作業否認、輸送条件を前提に、PSRを満たす工程とBOMの設計を固めます。特に自動車はMaxNOM比率が明示されており、原価構造の管理がそのまま原産判定になります。reuters+1​

証明と監視の運用
ステートメント・オン・オリジンの発行手順、期限管理、保存義務、検認対応を社内フロー化します。農産品はセーフガードのトリガーも踏まえ、価格条項や見直し条項を契約に織り込みます。pincvision+2​


まとめ

EU・メルコスール協定は、工業品で大きな関税削減が見込まれる一方、農産品は数量枠とセーフガードで精密に管理される設計です。そして、企業にとっての勝敗は「原産地規則を満たせるか」「証明実務を回せるか」で決まります。発効が見えてから動くのではなく、発効前に原産設計と書類フローを固めた企業が、最初の2年で利益を取りに行けます。pincvision+3​

注: 本稿は2026年1月時点の公表資料に基づく一般情報です。実際の適用はHS別・国別のスケジュールと当局運用に依存するため、最終判断は一次資料と専門家確認で行ってください。

  1. https://www.reuters.com/business/eu-member-states-confirm-approval-signing-eu-mercosur-trade-agreement-2026-01-09/
  2. https://www.aljazeera.com/news/2026/1/9/eu-states-nod-on-mercosur-trade-deal-ends-25-year-wait
  3. https://www.europarl.europa.eu/news/en/press-room/20251217IPR32258/mercosur-parliament-and-council-agree-on-agriculture-safeguards
  4. https://english.news.cn/20260110/680b56baf17e4b1983c0d2c9c5126a02/c.html
  5. https://www.rte.ie/news/analysis-and-comment/2026/0109/1552369-eu-mercosur-agreement/
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  11. http://www.sice.oas.org/tpd/mer_eu/Texts/Protocol_on_RoO_e.pdf
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  19. https://trade.ec.europa.eu/access-to-markets/en/content/rules-origin-3

「相互関税(IEEPA関税)」をめぐる米連邦最高裁の判決が延期

トランプ大統領の「相互関税(IEEPA関税)」をめぐる米連邦最高裁の判決については、当初現地時間1月9日(金)午前10時に出る可能性が高いと予測されていましたが、現時点(日本時間1月10日未明)で当該判決はまだ出されていません

今後、判決が出る際の「日本時間」の目安と最新状況を整理します。

1. 判決が出る「日本時間」の目安

米最高裁が判決を出す時間は、通常ワシントンD.C.時間の午前10時と決まっています。これを日本時間に直すと以下の通りです。

  • 日本時間:深夜 0:00(翌日付)
    • 例:現地月曜の午前10時は、日本時間の火曜午前0時になります。

2. 次の「判決が出る可能性のある日」

1月9日に判決が出なかったため、次のタイミングは最高裁の開廷スケジュールに準じます。

  • 第1候補:日本時間 1月13日(火)午前0:00
    • 現地時間1月12日(月)午前10時にあたります。この日は月曜日の定例発表や、1月期の口頭弁論開始日に重なるため、判決が出る有力な候補日です。
  • 第2候補:日本時間 1月14日(水)または15日(木)の午前0:00
    • 13日・14日も現地で審理が予定されているため、判決が言い渡される可能性があります。

3. 注意点と最新状況

  • 事前の予告なし: 最高裁は「どの裁判の判決を出すか」を事前に公表しません。当日午前10時(日本時間深夜0時)から10分おきに順次判決文が公開される仕組みです。
  • 1月9日の結果: 本日1月9日は「2026年最初の判決日」として注目されましたが、発表されたのは他の4件の判決のみで、関税に関するものは含まれませんでした。
  • 市場への影響: 日本の半導体関連株や輸出企業にとって極めて重要な判決であるため、深夜0時の発表直後に為替やPTS(夜間取引)が動く可能性があります。

今後のチェック方法

リアルタイムで判決を確認したい場合は、米国の最高裁専門ニュースサイト**「SCOTUSblog」**のライブ更新を確認するのが最も確実です。

遡及対策は契約書の「日付明記」が鍵

輸出入ビジネスで怖いのは、コストが後から増えることです。関税は「輸入した時点で確定」と思われがちですが、実務では事後調査や制度上の仕組みにより、後日に追加で請求されたり、逆に還付されたりします。日本でも、輸入後の申告ミスなどに対して修正や更正の手続が用意されており、一定期間さかのぼって是正が起こり得ます。(税関総合情報)

このときに社内外の揉め事を最小化する鍵が、契約書に「日付」を明確に書き切ることです。単に契約書の右上に日付がある、という話ではありません。どの日付を基準に、誰が、どの範囲の関税増減を負担するのかを、争点になる前に決めておく、という意味です。


そもそも「遡及」で起きること

遡及リスクは大きく2つに分かれます。

1つ目は公的な遡及です。税関の事後調査でHSコードや原産地、課税価格の判断が変わり、追加納税や追徴が発生するケースです。日本の輸入手続でも、輸入許可後に申告内容の訂正や更正が問題になる場面は珍しくありません。(税関総合情報)

2つ目は貿易契約上の遡及です。追加関税が発生したとき、当局に対して法的に支払義務を負うのは通常「輸入者」ですが、その費用を売主と買主のどちらが負担するかは契約次第です。契約が曖昧だと、結局「どちらが悪いか」「見積に入っていたか」で長期化します。


なぜ「日付」が重要なのか

関税や税関手続は、日付で動く場面が多いからです。代表例だけでも、次のように基準日が複数あります。

・契約締結日、発効日(いつ成立し、いつ効力が出たか)
・個別発注日(PO発行日、受諾日)
・船積日、B/L日付、到着日
・輸入申告の受理日、輸入許可日
・当局の措置の発効日、調査開始日、暫定税率の適用開始日

さらに、反ダンピングなどの貿易救済では、一定条件下で暫定措置の適用開始より前の輸入にさかのぼって最終税を課す枠組みが、国際ルール上も想定されています。最大90日前までの遡及が論点になり得る、というのが典型です。(wto.org)

つまり、契約書に日付が曖昧だと、社内で「この取引はいつの前提で値決めしたのか」を説明できず、社外では「どの時点以降の関税増減を相手に請求できるのか」が争点化します。


実務で効く「日付明記」3点セット

契約書では、次の3つをセットで明記するのが実務的です。

1. 契約成立日と発効日を分けて書く

署名日と効力発生日がズレる契約は多いです。だからこそ分けて書きます。
例:契約成立日、発効日、適用開始日

電子署名でも紙でも構いませんが、後で説明可能なタイムスタンプになる形を推奨します。

2. 価格の前提日を定義する

関税増減を価格に反映する基準日を契約で固定します。ここが曖昧だと、相手は「見積時点で織り込めたはず」と主張しがちです。
例:本価格は「発効日」または「個別発注受諾日」時点の関税・税制を前提とする

3. 個別取引の「日付の鎖」を残す

基本契約だけ日付があっても、個別取引がメールや口頭で流れると証拠が弱くなります。POと受諾、出荷書類、インボイスの各日付がつながるように、契約で「個別取引は書面または電子記録で確定する」と決めておくと強いです。


追加関税が来たときに揉めない条文の考え方

日付明記とセットで入れたいのが「誰が負担するか」を決める条文です。ポイントは、当局に対する法的責任と、取引当事者間の負担を切り分けることです。

1. 変更法令条項

関税率や課税ルールの変更が、基準日以降に発効した場合の精算ルールを決めます。
・基準日
・増減額の算定方法
・通知期限
・証憑(当局通知、計算書、通関書類)の提示義務

2. 事後調査・追徴条項

事後調査で追加納税が発生したときの負担を決めます。ここは原因別に分けると運用しやすいです。
・売主が提供した情報(原産地情報、品目情報、価格構成)の誤りに起因する追徴は売主負担
・買主側の申告や運用ミスに起因する追徴は買主負担
・共同で防御・不服申立を行う場合の費用負担と主導権

日本でも輸入後の訂正や更正の枠組みがあり、一定期間内に追加納税や還付が起こり得るため、契約上の整理が効きます。(税関総合情報)

3. インコタームズの穴埋め

インコタームズは通関や税の責任分担に影響します。例えばDDPは売主が輸入通関や輸入税の負担側に寄る設計です。(academy.iccwbo.org)
ただし、インコタームズだけでは「事後に追徴された分」まで自動的に整理できないことがあるため、契約で上書き・補足するのが安全です。


図で押さえる、日付と遡及の関係

取引の時間軸はだいたい次の順で進みます。

契約成立日 → 発効日 → 個別発注受諾日 → 出荷日 → 輸入申告受理日 → 輸入許可日 → 事後調査 → 追徴または還付

このうち、税関手続の基準日は「申告受理日」や「輸入許可日」など制度ごとに異なります。EUでも、申告受理日が基準になる考え方が整理されています。(Taxation and Customs Union)
だからこそ契約では、当事者間での精算基準日を明確にし、証拠として残る日付を鎖のようにつなげるのが有効です。


すぐ使える社内チェック項目

最後に、契約レビュー時の最小チェック項目をまとめます。

・契約成立日、発効日が明記されているか
・価格の前提日が定義されているか
・関税等の変更が起きた場合の精算ルールがあるか
・事後調査や追徴が起きた場合の負担区分が原因別に書かれているか
・POと受諾、出荷書類、インボイスの記録を保存する運用になっているか
・DDPなど輸入側責任が重い条件では、事後追徴まで含めた補足条項があるか(academy.iccwbo.org)


まとめ

遡及は「税関が悪い」「制度が難しい」だけで片付けられません。実務では、遡及が起きた瞬間に問題になるのは、誰が負担するか、どの時点の前提で値決めしたか、という契約の論点です。

契約書の「日付明記」は、単なる形式ではなく、遡及リスクを取引コストに変えて管理するための装置です。契約成立日と発効日、価格の前提日、個別取引の日付の鎖。この3点を揃えるだけで、いざという時の交渉力と社内説明力が大きく変わります。

注記:本記事は一般的な情報提供であり、個別案件の法的助言ではありません。実際の契約条項や紛争対応は、貴社の取引形態と相手国制度に即して専門家に確認してください。