HS2022 第41類:原皮(毛皮を除く。)及び革(Raw hides and skins (other than furskins) and leather)

※用語の統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 牛(水牛含む)・馬類の原皮(生鮮、塩蔵、乾燥、石灰漬け、酸漬け等)で、なめし等(不可逆)をしていないもの(4101)
    • 羊・子羊の原皮(毛付き/毛なしを含むが条件あり)(4102)
    • 爬虫類の原皮(例:ワニ・ヘビの原皮、未なめし)(4103.20)
    • 牛・馬のなめし革/クラスト(毛なし、未仕上げ)例:ウェットブルー、乾燥クラスト(4104)
    • 仕上げ革(なめし/クラスト後に更に加工) 例:型押し・塗装・研磨した靴用革(4107/4112/4113)
    • コンポジションレザー(革/革繊維ベースの再生革シート等)および革くず(革製品に不適なもの)(4115)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 原皮くず(原皮の削り屑等)05.11
    • 羽毛付きの鳥皮05.05 又は 67.01
    • 毛が付いている獣皮で「なめし又は仕上げ」済み(いわゆる毛皮) → 第43類(ただし“原皮の毛付き”は例外あり)
    • 革製の完成品(バッグ、ベルト、手袋、衣類など) → 典型的に 第42類(靴なら第64類等)
    • プラスチック・繊維等ベースのイミテーションレザー(合皮) → 材質・構造により 第39類/第59類など(※「コンポジションレザー(4115)」とは別物)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 材料(原皮・革)か、製品(バッグ等)か(41類 vs 42類/64類など)
    2. 毛付きか/毛なし、かつ 「原皮」か「なめし/仕上げ済み」か(41類の例外・43類の毛皮)
    3. なめしの段階
      • 未なめし(4101〜4103)
      • なめし/クラスト(4104〜4106)
      • 仕上げ革(4107/4112/4113、特殊は4114)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 爬虫類皮(ワニ・ヘビ等):分類ミスに加え、CITES(ワシントン条約)手続の不備があると差止め・没収リスク
    • 原皮(未加工)動物検疫・証明書不備で止まりやすい
    • 「合皮」表示:社内の呼称(合成皮革)をそのまま4115に当てる誤り(実際はプラ/繊維ベースで別類)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注)が中心です。第41類は「原皮→なめし→仕上げ」という加工段階と、動物種・毛の有無で範囲がはっきり分かれ、注(類注)の影響が大きいです。
    • **GIR6(号の決定)**では、特に
      • 「ウェット状態(wet-blue含む)/乾燥(crust)」
      • 「全形/サイド等」「フルグレイン・未スプリット/グレインスプリット/その他」
      • 「重量(4101.20の閾値)」
        が効きます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • “leather”“wet blue”“crust”“finished”などの商慣行名称は便利ですが、分類は**実態(工程・状態)**で決めます。
    • 必ず確認したい軸:
      • 動物種(牛/羊/豚/爬虫類/その他)
      • 毛(羊毛・体毛)の有無
      • 加工段階:保存処理のみか/不可逆なめし済みか/仕上げ(塗装・型押し等)まで済みか

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「材料」か「製品」か?
    • 材料(原皮・革シート等)→ Step2
    • バッグ・ベルト・手袋・衣類・靴部品など“製品”→ 多くは第42類/第64類等(第41類ではない)
  • Step2:毛が付いているか?
    • 毛付きで なめし/仕上げ済み → 原則 第43類
    • 毛付きでも **「原皮」**で、かつ動物種が注の例外に該当 → 第41類に残る(例:毛付き牛原皮など)
    • 毛なし → Step3
  • Step3:未なめし(raw)か? なめし/クラストか? 仕上げ革か?
    • 未なめし(保存処理まで)→ 4101〜4103(種で分岐)
    • なめし/クラスト(毛なし、未仕上げ)→ 4104〜4106(種+wet/crustで分岐)
    • 仕上げ革(塗装・型押し・研磨など“さらに加工”)→ 4107/4112/4113(種で分岐)/特殊仕上げは4114
    • 再生革・革くず → 4115
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第41類 vs 第43類:毛付きのまま「なめし/仕上げ」まで行ったか(行っていれば第43類になりやすい)。ただし毛付き“原皮”は例外あり。
    • 第41類 vs 第42類:革を“形に切っただけ”でも、特定形状に切り出した革片は製品扱いになり得ます(特に42類や64類)。
    • 4115(コンポジションレザー) vs 合皮(PU等):基材が革/革繊維か、プラ/繊維等か。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4101牛(水牛含む)・馬類の原皮(保存処理は可、未なめし塩蔵牛原皮、乾燥馬皮なめし・パーチメント仕上げ・仕上げ加工は不可。4101.20は重量閾値あり(後述)。
4102羊・子羊の原皮(毛付き可、ただし注の除外あり)毛付き羊皮、酸漬け(pickled)羊皮「毛付き原皮」は例外規定が絡む。4102.10(毛付き)と毛なし(酸漬け等)で分岐。
4103その他動物の原皮(爬虫類、豚等)ワニ原皮、豚原皮鳥皮(羽毛付き)除外、毛皮扱いは43類へ。爬虫類はCITES要注意。
4104牛・馬のなめし皮/クラスト(毛なし、未仕上げウェットブルー牛革、乾燥クラスト牛革wet(wet-blue含む)/dry(crust)で分岐。仕上げ革は4107へ
4105羊・子羊のなめし皮/クラスト(毛なし、未仕上げ)ウェットブルー羊革、乾燥クラスト羊革wet/dryで分岐。シャモア革等は4114へ。
4106その他動物(山羊、豚、爬虫類等)のなめし皮/クラスト(毛なし)山羊革wet-blue、爬虫類なめし皮山羊・豚はwet/dry、爬虫類は別号(4106.40)。仕上げ革は4113へ。
4107牛・馬の仕上げ革(なめし/クラスト後にさらに加工)染色・型押しの靴用牛革4114(エナメル等)除外。全形/サイド等で号が分岐。
4112羊・子羊の仕上げ革衣料用仕上げ羊革4114除外。
4113その他動物の仕上げ革(山羊・豚・爬虫類等)仕上げ山羊革、ヘビ革仕上げ号で動物種分岐(山羊/豚/爬虫類/その他)。
4114特殊仕上げ革(シャモア、エナメル、メタライズ)シャモア革、エナメル革「ワニス・ラッカー塗布」「プラシート被覆」等のエナメル/ラミネート、金属粉/箔被覆はここ。
4115コンポジションレザー(革/革繊維ベース)+革くず(不適)+革粉再生革シート、革粉PU等の合皮は含まれない(基材が革/革繊維であること)。革くずは「革製品製造に不適」限定。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(頻出)の整理
    • 重量(4101.20/4101.50)
      • 4101.20:全形・未スプリットで、1枚重量が
        • 単純乾燥:8kg以下
        • 乾式塩蔵:10kg以下
        • 生鮮/湿式塩蔵等:16kg以下
      • 4101.50:16kg超の全形原皮
    • 毛付き/毛なし(4102.10など):羊皮は毛付き(4102.10)と毛なし(酸漬け等)で分かれます。
    • wet(wet-blue含む)/dry(crust)
      • 4104/4105/4106で分岐し、貿易書類上の「wet blue」「crust」表示と整合させる必要があります。
      • なお「クラスト」には、乾燥前の再なめし・染色・加脂を含む旨が注で明示されています。
    • フルグレイン未スプリット/グレインスプリット/その他
      • 4104・4107で「Full grains, unsplit」「Grain splits」「Other」に分岐(品質・層構造がポイント)。
    • 動物種(爬虫類等)
      • 原皮:4103.20(爬虫類)
      • なめし/クラスト:4106.40(爬虫類)
      • 仕上げ革:4113.30(爬虫類)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 爬虫類:4103.20 ↔ 4106.40 ↔ 4113.30
      • どこで分かれるか:未なめし(原皮)→なめし/クラスト→仕上げ革の段階差
      • 判断に必要な情報:なめし工程の有無(不可逆か)、wet-blue/クラスト/仕上げ工程(塗装・型押し等)
      • 典型的な誤り:CITES対象でも「革」としか書かれず、原皮/仕上げの区分が不明のまま申告(規制面でも危険)
    2. 牛馬:4104(なめし/クラスト) ↔ 4107(仕上げ革)
      • どこで分かれるか:**“なめし/クラストを超える加工”**があるか
      • 判断に必要な情報:仕上げ内容(塗装、graining/型押し、研磨、印刷、スエード化の研磨等)
      • 典型的な誤り:染色や型押し済みの革を「クラスト」と誤認して4104に入れる
    3. wet(wet-blue) ↔ dry(crust)
      • どこで分かれるか:物理状態(含水状態)
      • 判断に必要な情報:出荷形態(ドラムから出た湿潤状態か、乾燥品か)、仕様書の含水率/状態表示
      • 典型的な誤り:「wet-blue」をdry側(crust)にしてしまう
    4. 4115.10(コンポジションレザー) ↔ 4115.20(革くず等)
      • どこで分かれるか:再生革“シート/ストリップ等の製品”か、端材・粉等の“くず”か
      • 判断に必要な情報:形状(板状/シート状/ストリップ状/粉)、用途(革製品用に適するか)
      • 典型的な誤り:「合皮シート」を“コンポジションレザー”と誤認(実際はプラ/繊維基材で別類)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第41類が属するSection VIIIについて、WCO公開条文の構成上は独立した部注(Section Notes)PDFが提示されておらず、実務判断は主に各Chapterの注(類注)で行うのが実態です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • Section VIIIの中でも、**第41類(材料の原皮・革)**と、第42類(革製品)、**第43類(毛皮)**が隣接し、境界ミスが起きやすいです。
      • 例:革の“材料”は第41類、革の“手袋・バッグ”は第42類
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 本件では、実務上は**類注(Chapter Notes)**が「他章に飛ぶ」規定を持ちます(次項参照)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第41類 注1〜3):
    • 注1:この類に含まないもの(除外)
      • 原皮くず(05.11)
      • 羽毛付き鳥皮(05.05/67.01)
      • 毛付き獣皮(原則43類。ただし一定の“毛付き原皮”は41類に残る例外あり)
    • 注2(A):可逆的な「なめし(前なめし含む)」は4104〜4106に入れない
      • =「一時的に安定化しただけ」の皮は、原皮(4101〜4103)扱いになり得ます。
    • 注2(B):クラストの範囲
      • 乾燥前に再なめし・着色・加脂をしていても、クラストに含む。
    • 注3:コンポジションレザーの定義
      • HS上の「コンポジションレザー」は、見出し4115の物品のみを指す(“合皮”一般とは違う)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • なめし:皮に腐朽抵抗性・安定性等を与える非可逆的な化学反応(商慣行上の“革”の前提)
    • クラスト(crust):なめし後、乾燥した状態。乾燥前の再なめし・染色・加脂を含み得る(注2(B))。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 原皮くず → 05.11
    • 羽毛付き鳥皮 → 05.05/67.01
    • 毛付き獣皮(なめし/仕上げ済み)→ 43類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:毛付き皮=即43類、ではない(ただし条件あり)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛付きか(はい/いいえ)
      • 原皮か(未なめし)/なめし・仕上げ済みか
      • 動物種(例外リストに該当するか)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕入先仕様書(工程、保存処理のみか)
      • 写真(毛の状態、裏面)
      • MSDS/工程表(なめし薬品使用の有無)
    • 誤分類の典型:
      • 毛付き牛原皮を「毛付きだから43類」としてしまう(注1(c)の例外に抵触)
  • 影響ポイント2:“前なめし”・“酸漬け”=なめし革(4104〜)とは限らない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 工程が可逆(戻せる)な前処理か、不可逆なめしまで終わっているか
    • 現場で集める証憑:
      • タンナーの工程フロー(ピックル、クロムなめし等)
      • “wet-blue”の有無(クロムなめしの典型的な出荷状態)
    • 誤分類の典型:
      • 「酸漬け(pickled)」を“なめし済み”と誤認し4104〜に入れる(注2(A)に抵触)
  • 影響ポイント3:「コンポジションレザー」=4115のみ(合皮一般ではない)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 基材が革/革繊維か(はい/いいえ)
      • 形状が板状・シート状・ストリップ状か、粉・くずか
    • 現場で集める証憑:
      • 材料組成(革繊維比率、樹脂バインダー等)
      • 製法説明(“bonded leather” 等)
    • 誤分類の典型:
      • PU基材の“合皮”を4115にしてしまう(注3の趣旨と4115解説の除外に反する)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:バッグ・ベルト等の革製品を第41類で申告
    • なぜ起きる:社内呼称が「レザー=41類」と短絡しやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第41類は**素材(原皮・革)**が中心。特定形状に切った革片や製品は他類扱いになり得る。
    • 予防策:
      • インボイス品名に「material / hides / skins / leather sheet」か「bag/belt/glove」かを明確化
      • 写真(完成品か、材料か)を事前に回収
  2. 間違い:毛付き=必ず第43類
    • なぜ起きる:毛皮(43類)のイメージが強い
    • 正しい考え方:毛付きでも**“原皮”かつ一定動物のものは第41類**に残る例外が明記。
    • 予防策:
      • 「原皮(未なめし)」か「なめし/仕上げ済み」かを工程表で確認
      • 動物種を確定(羊でも例外除外の子羊皮がある)
  3. 間違い:酸漬け(pickled)や前なめし品を“なめし革(4104〜)”にしてしまう
    • なぜ起きる:工程名に“tanning/pre-tanning”が含まれ、誤解しやすい
    • 正しい考え方:注2(A)により、可逆的ななめし(前なめし含む)は4104〜4106に入らない
    • 予防策:
      • “wet-blue(クロムなめし)”かどうか、不可逆工程まで完了しているかを確認
      • 仕様書に「tanned」「wet-blue」「crust」「finished」の区別を要求
  4. 間違い:ウェットブルーなのにcrust(乾燥側)で申告
    • なぜ起きる:出荷形態の把握不足
    • 正しい考え方:HSはwet/dryで号が分かれる(4104/4105/4106)。
    • 予防策:
      • 梱包形態(含水、冷蔵/冷凍の有無)、含水率、HSのwet/dry区分を事前に揃える
  5. 間違い:仕上げ革(塗装・型押し等)を“未仕上げ(4104〜4106)”に入れる
    • なぜ起きる:「染色はクラストの一部」という誤解
    • 正しい考え方:注2(B)は「クラストに含む」範囲を示すが、**“なめし/クラストを超える加工”**は4107/4112/4113へ。日本の解説でも仕上げ工程(型押し、研磨、印刷等)が列挙される。
    • 予防策:
      • 仕上げの有無を「工程表」「サンプル」「表面写真」で確認
      • 取引書類に“finished/embossed/coated/patent”等のキーワードを反映
  6. 間違い:“合皮”を4115(コンポジションレザー)にする
    • なぜ起きる:「合成皮革=コンポジションレザー」という言葉の混同
    • 正しい考え方:HS上のコンポジションレザーは革/革繊維ベースの再生革に限定される(注3、4115解説の除外)。
    • 予防策:
      • 基材の分析(革繊維か、PU/PVCか、繊維布帛か)
      • SDS/材料証明書の取得
  7. 間違い:革くず(4115.20)を“再利用できそう”でもそのまま申告
    • なぜ起きる:「くず=一律4115.20」と短絡
    • 正しい考え方:4115.20は革製品の製造に適しないくずに限定。適する場合は“くず”ではなく革として別見出しになり得る。
    • 予防策:
      • くずの状態(大きさ、品質)と用途(製造可否)を明確化
      • 写真・サンプル提出を前提に税関相談

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること
    • 第41類は「原皮→なめし→仕上げ→製品(42類)」と段階が明確で、どの段階のHSに当たるかでPSRが変わりやすいです。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 原皮(4101〜4103)を輸入して国内でなめし(4104〜4106)にすると、同一Chapter内でもHeadingが変わるため、協定によってはCTH要件を満たす可能性があります。
    • 一方で、PSRが「特定工程」や「除外材料」に触れる場合もあり、工程定義を協定本文・PSRで要確認です(一般論)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 当該協定が参照するHS版(例):
    • RCEP:PSRはHS2012表記で整備されつつ、日本では2023年以降、**HS2022に読み替えたPSR(transposed PSR)**を用いる運用が示されています。
    • CPTPP:PSRの表はHS2012で示されています。
    • 日EU EPA:PSRの表はHS2017で示されています。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 協定のPSRが旧HS(2012/2017等)で記載されている場合、HS2022コードで通関しても、原産地判断は“協定が参照するHS版”で読む必要が出ます。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 税関・主管庁が提供する「読み替え表(transposition)」や、協定別のHS改正対応資料を確認し、PSRの条文上のコードと、実務申告コード(HS2022)を結び付けるのが安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)・工程・原産国の整理
    • 原皮の原産(家畜の出生/飼育地)
    • 非原産原皮を国内でなめした場合:工程証跡(なめし・仕上げの有無、wet/dry状態)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入書・製造指図・工程表・在庫管理記録
    • 仕上げ工程(型押し・塗装等)の証明(写真、品質検査表)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし4101〜4115見出し・注・6桁体系に大きな改正は確認されません旧版とのコード運用差は小さい(ただし国内コード細分や関税率は別管理)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断の説明:
    • WCO公開のHS2017第41類条文と、HS2022第41類条文を比較すると、注(1〜3)および見出し体系(4101〜4115、wet/dry等の分岐)に実務上の差異は確認できません
    • WCOが公表する「2022年改正(2017→2022)で移動/新設等があった品目の相関表(改正点を列挙する表)」にも、第41類のコード(4101等)が登場しないため、改正対象外と整理できます
  • 変更がない場合も「変更なし」と明示し、その根拠を示す:
    • 上記のとおり、**HS2017→HS2022の第41類は“変更なし”**と判断します。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(可能な範囲)
改正局面主要な追加・削除・再編(第41類で確認できた範囲)旧コード→新コード(例)メモ
HS2007→HS20124101.20の改正に伴う範囲調整が相関表に記載旧4101.20の一部 → 4101.90へ移動(または4101.20に残留)相関表では「4101.20の改正による移動」と説明
HS2012→HS2017第41類コードの改正記載なし(少なくとも相関表の改正点には登場せず)改正点列挙型の相関表で41類コードがヒットしない
HS2017→HS2022変更なし章条文比較+改正点相関表の確認

補足:上表は「改正点を列挙する相関表」ベースで確認した範囲です。第41類は大枠が長期的に安定していますが、国内コード(8/9桁)や関税率、協定PSRの読み替えは別途確認してください。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):毛付き“仕上げ革ラグ”を4107で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):毛付きで「なめし/仕上げ済み」は原則43類(注1(c)の原則側)
    • 起きやすい状況:インボイスに “hair-on leather” とだけ記載、工程情報なし
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、通関遅延
    • 予防策:毛付きの場合は「原皮か/なめし済みか」を工程表で確定し、必要なら事前教示へ
  • 事例名:“pickled hides”を4104(なめし革)で申告
    • 誤りの内容:可逆的な前なめし段階を4104〜4106に入れた(注2(A))
    • 起きやすい状況:保存処理(酸漬け)=なめし済みと誤解
    • 典型的な影響:分類替え、税率差による追徴、検疫手続の組み替え
    • 予防策:工程の不可逆性、wet-blueの有無を確認(仕様書・MSDS)
  • 事例名:“合皮シート”を4115(コンポジションレザー)で申告
    • 誤りの内容:4115は革/革繊維ベースに限定(注3、4115解説の除外)
    • 起きやすい状況:商品名が「再生皮革」「ボンデッドレザー」「合成皮革」で混乱
    • 典型的な影響:分類替え(39類/59類等)、関税率・規制の再判定
    • 予防策:基材の組成証明(革繊維含有、樹脂種、基布有無)を確保
  • 事例名:爬虫類革でCITES書類不備
    • 誤りの内容:分類以前に、CITES管理種の輸入承認・証明が不足
    • 起きやすい状況:取引先が「レザー素材」としか言わない/種名が不明
    • 典型的な影響:差止め、没収、調査、納期遅延
    • 予防策:種名・学名、CITES付属書、輸出国許可証の事前確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 原皮・皮革は動物由来製品として、輸入時に動物検疫(農林水産省 動物検疫所)の対象となり得ます。一般に、輸入には衛生証明書等の提出や検査が必要となる場合があります。
    • 実務では、輸出国・疾病状況・加工度(未加工/なめし等)で要件が変わるため、動物検疫所の案内に従って事前確認が必要です。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • ワニ革・ヘビ革などはCITES対象になり得ます。日本では経済産業省(METI)の輸入承認や、税関での確認が必要になるケースがあります。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第41類そのものは典型的な該当リスクは高くありませんが、用途(軍用装備等)や相手先により別途確認が必要な場合があります(一般論)。
  • その他の許認可・届出
    • **関税割当(タリフクォータ)**が品目によって関係する可能性がある旨が実務Q&A等で言及されています(該当は品目・時期で要確認)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 動物検疫所(MAFF)輸入検査手続
    • METI CITES輸入承認
    • 税関(CITES案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 動物種・加工度がわかる仕様書(工程表)
    • 衛生証明書(必要な場合)
    • CITES関連書類(対象種の場合:許可証、学名・数量等の整合)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種(牛/羊/山羊/豚/爬虫類/その他)
    • 毛の有無、脱毛の有無
    • 加工段階(保存処理のみ/前なめし/不可逆なめし/クラスト/仕上げ)
    • 形状(全形、サイド、シート、ストリップ、粉等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1(除外:05.11、05.05/67.01、43類)に抵触しないか
    • 注2(A)(可逆な前なめし)に該当しないか
    • 4104〜4106と4107/4112/4113の境界(仕上げ工程)を工程表で裏付け
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「raw / wet-blue / crust / finished / hair-on」等、誤解が少ない語を入れる
    • 仕様書、写真、工程フロー、材質証明(4115や合皮疑いの場合)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(2012/2017等)を確認し、必要なら読み替えを実施
    • BOM、工程証跡、原皮の原産・仕上げ工程の有無を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫(原皮等):事前確認、証明書準備
    • CITES(爬虫類等):METI承認・許可証整合

12. 参考資料(出典)

※Web参照は「参照日(YYYY-MM-DD)」も併記

  • WCO(HS2022条文)
    • HS2022 Chapter 41(Raw hides and skins… and leather) (参照日:2026-02-21)
  • WCO(HS2017条文)
    • HS2017 Chapter 41 (参照日:2026-02-21)
  • WCO(HS改正・相関表)
    • Amendments effective from 1 January 2022(相関表・改正点列挙型) (参照日:2026-02-21)
  • 日本(税関・公的機関)
    • 関税率表解説 第41類(41r.pdf) (参照日:2026-02-21)
    • 事前教示制度(品目分類:カスタムスアンサー) (参照日:2026-02-21)
    • 事前教示回答(品目分類)検索 (参照日:2026-02-21)
  • 動物検疫(MAFF)
    • 輸入畜産物の検査手続(動物検疫) (参照日:2026-02-21)
    • 畜産物の輸入検査要領(PDF) (参照日:2026-02-21)
  • CITES(日本)
    • METI:CITES輸入承認手続 (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約(CITES)案内 (参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA(HS版の参照例)
    • RCEP:日本外務省(HS2022への読み替え運用に関する案内) (参照日:2026-02-21)
    • RCEP:HS2012表記のPSR資料例 (参照日:2026-02-21)
    • CPTPP/TPP:Annex 3-D(PSRがHS2012表記であることの明示) (参照日:2026-02-21)
    • 日EU EPA:Annex 3-B(PSRがHS2017表記であることの明示) (参照日:2026-02-21)
  • HS旧版相関(参考)
    • HS2017-HS2012 相関表(改正点列挙型、41類コード非該当の確認) (参照日:2026-02-21)
    • HS2012-HS2007 相関表(4101.20改正の記載確認) (参照日:2026-02-21)
  • その他
    • JETRO:原皮・皮革の輸入手続(日本、Q&A) (参照日:2026-02-21)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①動物種、②毛の有無、③加工段階(raw / wet-blue / crust / finished)、④形状(全形/サイド/シート等)、⑤用途、⑥工程表・写真・成分資料(4115/合皮判定)
  • 日本税関の「品目分類の事前教示」
    • 制度概要(文書照会で回答を得る)
    • 公開されている事前教示回答の検索(キーワード検索)
    • 注意:Eメール等の簡易照会は、扱いが異なる旨の注意喚起があります(利用時は位置づけを理解した上で)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。