HS2022 第40類:ゴム及びその製品(Rubber and articles thereof)

用語は次のとおり統一します。
類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 天然ゴム・合成ゴム(ラテックス、ベール、粒などの一次製品):4001〜4002
    • ゴムコンパウンド(未加硫・一次製品):4005
    • 加硫ゴムのホース・チューブ:4009
    • コンベヤベルト/伝動ベルト(加硫ゴム製):4010
    • 空気タイヤ(新品・更生・中古)/チューブ:4011〜4013
    • 医療・衛生用品(例:コンドーム、ゴム手袋)、その他ゴム製品:4014〜4016
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 紡織用繊維の物品(ゴム引布など):第11部(例:第59類)へ
    • 履物(ゴム長靴など完成品):第64類へ
    • 帽子(水泳帽含む):第65類へ
    • 硬質ゴム製の機械・電気機器及びその部分品:第16部へ
    • 玩具・運動用品は原則第95類(ただし運動用手袋等は例外あり):第95類へ
    • 印刷(文字・絵柄)が用途上“副次的でない”プラスチック/ゴム製品:第49類へ飛ぶことがある
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 未加硫か/加硫済みか/硬質ゴムか(同じ形でも項が変わります)
    2. 一次製品(原料形状)か/加工品(成形品)か(4001〜4003・4005・4008などで重要)
    3. **タイヤ:新品(4011)/更生・中古(4012)/チューブ(4013)**の区別
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • タイヤ類(4011〜4013):統計管理・適用税率・規制(車両安全)に波及しやすい
    • 医療・衛生系(4014/4015):医療機器規制の有無が絡むことがある
    • 廃タイヤ・ゴムくず(4004/4012等):廃棄物規制・バーゼル手続の論点が出やすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し文言+部注/類注)
      第40類は、類注で「ゴム」「合成ゴム」「一次製品」「くず」等の定義・除外が細かく規定されており、ここを読むだけで大半が決まります。
    • GIR6(6桁の決定)
      タイヤの用途別(4011.10〜)やベルトの寸法別(4010.31〜)など、6桁の“条件分岐”が多い類です。
    • GIR3(b)(複合材・セット)
      ゴム+金属、ゴム+繊維などの複合品は「本質的特性(essential character)」で決まる場面があります。さらに第7部注には“混合して使うセット”の扱いもあります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質(天然/合成、硬質か、他材との複合か)
    • 状態(未加硫/加硫、一次製品か、形材・成形品か)
    • 用途(特にタイヤ・手袋・ガスケットなどは用途が号を分けることがある)
    • 構造(補強材:繊維/金属、継手の有無、層構造)
    • 寸法・規格(ベルト外周、タイヤサイズ、糸の断面寸法など)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:材質確認
    • 主材が「ゴム」か(天然/合成/ファクチス/再生品含む)
    • ゴム以外(プラスチック等)が主なら第39類側も再確認(第7部)
  • Step2:状態(未加硫/加硫/硬質)
    • 未加硫:原料形状→4001〜4006、ゴムコンパウンド→4005、未加硫の形材・簡易成形→4006
    • 加硫(硬質除く):糸→4007、板/棒/形材→4008、ホース→4009、ベルト→4010、タイヤ/チューブ→4011〜4013、医療・衣類・その他→4014〜4016
    • 硬質ゴム(エボナイト等):4017(ただし機械・電気機器の硬質ゴム製部分品などは第16部に飛ぶ場合あり)
  • Step3:用途・形状・補強・寸法で6桁へ(特に重要)
    • タイヤ:新品/更生/中古、用途(乗用車/トラック等)
    • ベルト:コンベヤ/伝動、補強、外周
    • 手袋:医療・手術等用途か否か
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第40類 vs 第11部(第59類):ゴム引布・ゴム加工した織物(“ゴム製品”と呼んでいても繊維側に行く)
    • 第40類 vs 第64類:ゴム素材でも「履物」完成品は第64類
    • 第40類 vs 第16部:機械の“部分品”だからといって自動的に第84/85類とは限らず、4010/4016に残る例がある(部注・除外注の確認)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4001天然ゴム等(一次製品、板・シート・ストリップ)天然ゴムラテックス、スモークドシート、TSNR類注5により加硫剤等を配合したものは除外→4005へ寄りやすい
4002合成ゴム・油ファクチス等(一次製品、板・シート・ストリップ)SBR/BR/EPDM等の原料、油展ゴム「合成ゴム」の定義(類注4の試験要件)を満たすかが土台
4003再生ゴム(一次製品等)再生ゴムシート、再生ゴム塊「再生」工程の有無(単なる粉砕くずは4004側)
4004ゴムのくず・くず粉粒ゴム端材、粉砕ゴム(パウダー/グラニュール)類注6の「くず」定義:そのままでは使用不可のゴム製品等
4005配合ゴム(未加硫)一次製品等未加硫コンパウンド、カーボンマスターバッチ類注5(A)の“除外添加物”が入ると4001/4002から外れ4005へ
4006未加硫ゴムのその他の形状・簡易成形品未加硫ゴム棒、リング状成形品“一次製品”の定義から外れる形状はここに来やすい
4007加硫ゴム糸・コード加硫ゴムのゴム糸類注7:断面最大寸法5mm超は4008(糸ではなく形材扱い)
4008加硫ゴムの板・棒・形材等スポンジゴムシート、ゴム角材、押出形材類注9で「板・シート・ストリップ」「棒・形材」の定義がある
4009ホース・チューブ(加硫ゴム、硬質除く)ゴムホース(継手付き/なし)、耐圧ホース補強材(繊維/金属)・継手有無で6桁が分かれる
4010コンベヤ/伝動ベルト(加硫ゴム)コンベヤベルト、Vベルト、タイミングベルト類注8:ゴム引布等から作ったベルトも4010に含まれ得る
4011ゴム製空気タイヤ(新品)乗用車タイヤ、新品二輪タイヤ4012(更生/中古)と混同注意。用途別に6桁が分かれる
4012更生/中古空気タイヤ、ソリッドタイヤ等更生タイヤ、中古タイヤ、タイヤトレッド「新品」ではないタイヤ類。トレッド単体もここに来る
4013ゴム製インナーチューブ自転車チューブ、トラック用チューブタイヤ(4011/4012)と別。用途別に6桁が分かれる
4014衛生用品・医療用品(加硫ゴム、硬質除く)コンドーム、乳首(teats)コンドームは4014.10。医療機器規制の対象になることがある
4015衣類・衣類附属品(手袋等)ゴム手袋、ゴム製衣料HS2022で手袋の一部号が改正(4015.12)
4016その他の加硫ゴム製品ガスケット、床マット、エアバッグ様の膨張品「機械部品だから第84類」と決め打ちしない(除外注確認)
4017硬質ゴム・その製品エボナイト棒、硬質ゴムくずただし“硬質ゴム製の機械・電気機器の部分品”は第16部へ

(出典:HS2022の第40類見出し、及び日本の類注要約)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • タイヤ系(4011〜4013):新品/更生/中古、用途(乗用車/トラック・バス/航空機/二輪/自転車/農林業/建設鉱山等)
    • ベルト(4010):コンベヤか伝動か、補強材(繊維/金属)、伝動ベルトは外周(60〜180cm等)
    • ホース(4009):補強材(繊維/金属)、継手(fittings)有無
    • 手袋(4015):医療・手術・歯科・獣医用途の“種類”か否か(4015.12)
    • ゴム糸(4007):断面最大寸法が5mm超なら4008扱い
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4011(新品タイヤ) vs 4012(更生/中古タイヤ・トレッド等) vs 4013(チューブ)
      • どこで分かれるか:新品か/更生(retreaded)か/中古か、そして「チューブ」か
      • 判断に必要な情報:製造履歴(新品/更生)、使用済みか、商品名(tire / tube)、サイズ表示
      • 典型的な誤り:中古タイヤを4011で申告、トレッド単体を部品扱いして別類へ
        ※分類例では“トレッド単体”が4012側に整理されています
    2. 4010(ゴム製ベルト) vs 第11部(例:5910等“繊維製ベルト”)
      • どこで分かれるか:ゴム製(またはゴム引布等から製造)として4010に入るか、繊維製として第11部に入るか
      • 判断に必要な情報:ベルトの主材、製造方法(ゴムを染み込ませ/塗布/被覆/積層した織物から作ったか)、補強構造
      • 典型的な誤り:「織物ベース=繊維製」と早合点(類注8で4010に含むケースがある)
    3. 4001/4002(未配合ゴム) vs 4005(配合ゴム:未加硫)
      • どこで分かれるか:加硫剤・加硫促進剤・補強剤等を配合しているか(類注5)
      • 判断に必要な情報:配合表、SDS、工程(マスターバッチ/コンパウンドか)
      • 典型的な誤り:「原料ゴム」表示=4002と思い込み(実態は未加硫コンパウンドで4005)
    4. 4015.12(医療・手術・歯科・獣医用途の手袋) vs 4015.19(その他の手袋)
      • どこで分かれるか:「用途区分(医療等の種類)」で分かれる(HS2022でこの区分が明確化)
      • 判断に必要な情報:用途(医療/非医療)、販売先(医療現場向け等)、規格適合(医療機器か)
      • 典型的な誤り:「使い捨て=医療用」と決め打ち(実際は工業用・家庭用も多い)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第7部注1(セット品の特例)
      第7部(プラスチック・ゴム)に属する成分を含む“混合して使うセット”について、一定要件(同梱・補完関係等)を満たす場合、当該生産品の属する項に分類する考え方が示されています(例:二液型のゴム系材料キット等)。
    • 第7部注2(印刷物の扱い)
      ゴム/プラスチック製品でも、印刷されたモチーフ等が用途に対して副次的でない場合、第49類に飛ぶ可能性があります(例:表示が本質の印刷物)。
    • 第16部注(除外)
      機械部品に見えても、ベルト(4010)や一定の技術用ゴム製品(4016)が第16部から除外される建付けがあり、“機械の部分品だから第84類”という決め打ちは危険です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ゴム系の二成分材料(主剤+硬化剤)を同梱して輸入する場合、混合して使うことが明確で要件を満たせば、完成する材料の分類に寄せて考えることになります(ただし実態確認が前提)。
    • 例:ゴム製マットに大きな図柄・文字が印刷され、印刷が商品価値の中心の場合、49類判断が出る可能性があるため、意匠・表示の位置づけを確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 印刷(用途に対して副次的でない)→第49類
    • “混合して使うセット”→セット扱いの要件充足を確認(満たさなければ通常のGIRで個別分類)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 「ゴム」の定義(天然/合成/ファクチス/再生品、未加硫・加硫・硬質を含む)
    • 除外(紡織品、履物、帽子、硬質ゴム製の機械電気部品、90/92/94/96類、原則として95類など)
    • 一次製品の形状定義(ラテックス、塊/ベール/粉/粒など)
    • 合成ゴムの定義(加硫可能性+伸長・復元性試験の要件)
    • 4001/4002に入る“許容添加”と“除外添加”(配合の有無が4005へ分岐)
    • くず(4004)の定義、ゴム糸(4007)と形材(4008)の境界(5mm)
    • 4010の包含(ゴム引布等から作ったベルトも含む)
    • 板・シート・ストリップ/棒・形材の定義(“単なる長方形切り”か、特定形状に切って製品特性があるか)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 合成ゴム:類注4の要件(硫黄加硫で不可逆的に非熱可塑化できること、18〜29℃での伸長・復元性等)を満たすもの
    • 一次製品:類注3の形状に限る(液状/ペースト状、塊・ベール・粉・粒など)
    • くず:製造加工で生じたくず、または摩耗等でそのままでは使用不可のゴム製品
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 紡織用繊維の物品→第11部(例:第59類)
    • 履物→第64類、帽子→第65類
    • 硬質ゴム製の機械電気製品・部分品→第16部
    • 90/92/94/96類の物品→各類へ
    • 95類の物品→原則第95類(例外:運動用手袋、4011〜4013等)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:4001/4002(未配合)↔ 4005(配合ゴム)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      加硫剤・加硫促進剤・補強剤・可塑剤等の配合有無(類注5(A)/(B)の範囲)
    • 現場で集める証憑:配合表(レシピ)、SDS、仕様書、工程表(ミキシングの有無)
    • 誤分類の典型:
      「合成ゴム(SBR)」とだけ書かれた資料で4002にしてしまう(実際はカーボンブラック等配合済みの未加硫コンパウンド→4005)
  • 影響ポイント2:4010(ベルト)に“ゴム引布等から作ったもの”が含まれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      ベルトが「ゴムを染み込ませ/塗布/被覆/積層した織物」等を素材として製造されたか(類注8)
    • 現場で集める証憑:製造仕様(層構造、補強材)、断面写真、カタログ、材質証明
    • 誤分類の典型:
      織物補強があるだけで第11部へ送ってしまう(実際は4010の包含範囲)
  • 影響ポイント3:4007(ゴム糸)↔ 4008(形材)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):断面最大寸法が5mmを超えるか
    • 現場で集める証憑:寸法図、実測写真、規格書
    • 誤分類の典型:太いゴム紐を「糸」と呼んで4007にしてしまう(5mm超なら4008)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:中古タイヤを4011(新品)で申告
    • なぜ起きる:商品名が「タイヤ」で一括、または更生/中古の情報が通関側に伝わらない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):4011は“新品”、更生・中古は4012に整理
    • 予防策:インボイスに “new / used / retreaded” を明記、写真・刻印情報(製造年週等)を添付
  2. 間違い:タイヤトレッド(単体)を「部品」扱いして別類へ
    • なぜ起きる:「タイヤの部品」という日本語の先入観
    • 正しい考え方:4012にタイヤトレッド等が含まれる建付け
    • 予防策:現品形態(トレッド単体/カーカス組込済)を写真で残す
  3. 間違い:ゴム引布・ゴム加工織物を第40類で申告
    • なぜ起きる:「ゴム製」と呼ばれているため
    • 正しい考え方:第40類注2(a)で第11部(紡織品)を除外
    • 予防策:基材(織物かゴムか)、層構造(繊維が単なる補強か等)を確認
  4. 間違い:ゴムコンパウンド(未加硫)を4002(合成ゴム)で申告
    • なぜ起きる:原料名(SBR等)だけで判断
    • 正しい考え方:類注5で、加硫剤・補強剤等を配合したものは4001/4002から外れる
    • 予防策:配合表/SDSで「配合済みか」を確認(カーボンブラック、加硫剤等)
  5. 間違い:太いゴムコードを4007(ゴム糸)に入れる
    • なぜ起きる:呼称が“糸/コード”
    • 正しい考え方:類注7で5mm超は4008(形材)
    • 予防策:最大断面寸法を測る(図面でも可)
  6. 間違い:ベルトを繊維製(第11部)と決め打ち
    • なぜ起きる:補強材が織物だと“繊維製”に見える
    • 正しい考え方:類注8で、ゴム引布等から製造したコンベヤ/伝動ベルトは4010に含まれ得る
    • 予防策:断面・製造工程(ゴムが主材か、ゴム加工織物から作ったか)を確認
  7. 間違い:ガスケット/Oリングを機械の部分品として第84類へ
    • なぜ起きる:「機械用=機械類の部分品」と誤解
    • 正しい考え方:4016に“ガスケット等”が整理される一方、機械類側の除外注も絡むため、見出し・注の両方を確認
    • 予防策:単体の材質(ゴム単独か、金属複合か)、用途の一般性(汎用品か)を整理
  8. 間違い:医療用途のゴム製品(コンドーム/手術用手袋等)を規制面で見落とす
    • なぜ起きる:HS分類だけで完結すると思ってしまう
    • 正しい考え方:4014/4015に該当しても、国内では医療機器に該当し得る
    • 予防策:用途、販売先、医療機器該当性(承認・届出等)を別途チェック

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。
    同じ「ゴム製品」でも、例えばタイヤ(4011)と手袋(4015)ではPSRが別物になり得ます。HSを誤ると、CTC(関税分類変更)やRVC(付加価値)などの判定軸がズレ、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 材料側HS(例:合成ゴム4002、配合ゴム4005)と最終品HS(例:4011タイヤ)を取り違える
    • 工程の実態(更生、加硫、成形)を説明できず、PSR要件の充足が示せない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 例:RCEPのPSR(附属書3A)はHS2012に基づく旨が明記されています。
  • 例:CPTPP(TPP11)の関税撤廃スケジュール資料は「HS2012」と明示されています(各国税率表の表題等)。
  • 日本税関のPSR検索画面でも、協定ごとにHS版(例:HS2012)が表示されます。
  • 自己申告制度のガイドラインでも「協定によりHS2012を用いる」旨の注記が見られます。

実務対応(一般論)

  • 協定がHS2012参照なのに、自社がHS2022で管理している場合:
    • 「HS2012↔HS2022」の対応(トランスポジション)を作って、PSR適用のHS版を合わせます。
    • 6桁が改正で変わった箇所(この類では4015周り)があるため、特に注意します(次章参照)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須級
    • BOM(部材表)、材料原産国、非原産材料のHS(協定参照版で)
    • 工程フロー(混練→加硫→成形等)、外注先・国
    • 原価情報(RVC計算が必要な場合)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入証憑、製造指図書、配合表、SDS、製品仕様書、写真
    • 協定・運用ガイドの保存年限や形式要件を確認(協定/国で異なります)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正+番号変更(再番号付け)4015.11 → 4015.12旧4015.11(surgical gloves)を、医療・手術・歯科・獣医用途の手袋をカバーする形に改め、番号も変更4015の手袋分類で“医療用途”を示す資料(医療機器該当性、用途表示等)の重要性が上がる

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料に基づく説明:
    • 日本税関の「HS2022-HS2017」改正資料で、4015.11が医療・手術・歯科・獣医用途をカバーするよう改められ、番号が付け替えられた旨が明記されています。
    • 実際に、HS2017の第40類では手袋が4015.11(Surgical)/4015.19で整理されているのに対し、HS2022では4015.12(medical, surgical, dental or veterinary purposes)/4015.19となっています。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な再編例(把握できた範囲)を整理します。

版の比較主な論点旧コード → 新コード(概要)実務メモ
HS2007→HS2012(主要見出しは概ね同型)4001〜4017の大枠は維持4011等の6桁詳細は継続して存在
HS2012→HS2017タイヤ(4011)の6桁細分の再編(構造が変化)例:4011の細分が、旧来の“トレッド形状・リム径”等の複数枝から、用途別(4011.70/4011.80等)中心の構造へ過去データ(HS2012)で管理している場合、4011のマッピングが必要
HS2017→HS2022手袋(4015)の改正4015.11 → 4015.12(医療・手術・歯科・獣医用途へ拡張)医療用途手袋の資料整備が重要

※上表は「第40類の中で実務影響が大きい/目視比較で確認できた改正」に絞っています。網羅的な旧新対応は、WCO/税関の相関表等で別途確認してください。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):中古タイヤを新品タイヤとして申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):見出し(4011新品/4012中古・更生)の取り違え
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “tyre” だけ、写真なし
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、通関遅延(一般論)
    • 予防策:新品/中古/更生の明記、刻印写真、仕様書添付
  • 事例名:ゴム糸(4007)と形材(4008)の取り違え
    • 誤りの内容:断面最大寸法5mm超なのに4007で申告(類注7)
    • 起きやすい状況:名称が“ゴムコード”“ゴムひも”
    • 典型的な影響:差戻し、追加資料要求(一般論)
    • 予防策:断面寸法の図面・実測記録を用意
  • 事例名:ベルトを第11部へ誤分類
    • 誤りの内容:類注8で4010に含まれ得るベルトを第11部にしてしまう
    • 起きやすい状況:織物補強がある工業用ベルト
    • 典型的な影響:分類差戻し、関税率・原産地規則の再判定(一般論)
    • 予防策:断面構造、製造工程(ゴム引布由来か)を提出
  • 事例名:タイヤケース+交換用トレッドのセットの扱い誤り
    • 誤りの内容:セット全体を一括して誤った税番にしてしまう(提示形態・構成で整理が必要)
    • 起きやすい状況:同梱品が複数、用途説明不足
    • 典型的な影響:部分ごとの再分類、申告修正(一般論)
    • 予防策:構成品ごとの明細、使用態様の図解、分類例の参照

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品に接触するゴム製の器具・容器包装等は、材質別規格(溶出試験等)の対象になることがあります(通知・告示で規格が整理)。
    • 医療機器(薬機法)関係
      • コンドームは、医療機器として指定される枠組みがあり得ます。
      • 手術用手袋等、医療用途の手袋は医療機器として扱われるケースがあるため、販売形態・用途・規格確認が必要です。
    • 自動車関係(安全基準)
      • 乗用車用空気入タイヤ等について、国交省の保安基準・技術基準(関連告示・基準文書)に基づく適合確認が必要になる場面があります(装着・販売形態による)。
    • 廃棄物・環境(バーゼル法等)
      • 廃棄物等の輸出入は、バーゼル法・廃棄物処理法・外為法等に基づく手続が必要となる場合があります(中古タイヤ・ゴムくずの扱いは実態で要確認)。
    • 化学物質管理(SDS/表示等)
      • ゴム製品は配合剤を含むことが多く、化管法(PRTR等)のSDS提供や、化審法・安衛法関連の管理が絡む場合があります。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • ゴム材料・複合材料等は、仕様によっては該非確認が必要になることがあります(SDSや仕様書に基づく確認が基本)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 医療機器:厚労省(指定医療機器の枠組み等)
    • 車両安全(タイヤ基準等):国交省(保安基準関連)
    • 廃棄物輸出入:環境省(バーゼル法等の概要)
    • SDS/化学物質:経産省(化管法SDS制度等)
    • 食品接触材:厚労省(告示370号等の関連資料)
  • 実務での準備物(一般論):
    • SDS、配合表(可能範囲)、製品仕様書、用途説明資料、試験成績(食品接触/医療用途等)、写真(刻印・断面)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • ゴム種(天然/合成:SBR, BR, EPDM等)、未加硫/加硫/硬質、配合有無(加硫剤・補強剤等)
    • 形状(一次製品か、板/棒/形材か、成形品か)、寸法(厚み・幅・外周等)
    • 補強材(繊維/金属)と層構造、継手の有無(ホース等)
    • タイヤ:新品/更生/中古、用途(乗用車/トラック等)、サイズ表示
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注2(除外)に当たらないか(第11部・第64類など)
    • ゴム糸の5mm基準、板/シート/ストリップ定義など“定義注”の踏み落としがないか
    • ベルトは類注8に当たらないか(織物ベースでも4010の可能性)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「rubber ___」だけでなく、用途・状態(new/used/retreaded)・規格を入れる
    • 国内コード(統計品目番号)では、品目によって数量単位がNO(本/個)とKGの併記になる例があります(例:4012.90)。
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • まずHS(協定参照版)を確定 → PSRを確認
    • HS版ズレ(例:RCEP/CPTPPでHS2012)を意識し、旧新対応表で整合
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 医療用途(コンドーム/手術用手袋等):薬機法関連確認
    • タイヤ:保安基準等の適合確認(販売・装着形態に応じて)
    • 中古/くず:廃棄物・バーゼル手続の該当性
    • 化学物質:SDS提供義務の対象有無(化管法等)
    • 食品接触:告示370号等の材質規格への適合確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・見出し)
    • WCO “HS Nomenclature 2022 – Chapter 40 (0740-2022E)”(参照日:2026-02-21)
    • WCO “HS Nomenclature 2017 – Chapter 40 (0740-2017E)”(参照日:2026-02-21)
    • WCO “HS Nomenclature 2012 / 2007 – Chapter 40” (参照日:2026-02-21)
  • 日本(税関・公的機関)
    • 日本税関:第40類 類注(2022版PDF)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:関税率表解説(第40類)/分類例規(例:4012.90 Tyre carcass with separate treads)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:HS2022-HS2017 改正資料(4015.11→4015.12の根拠等)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索(HS版表示含む)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:輸出統計品目表(例:4012.90の単位表示)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:事前教示(品目分類)制度(参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA(HS版ズレの根拠)
    • RCEP:PSR附属書がHS2012に基づく旨の明記(参照日:2026-02-21)
    • JETRO:RCEP解説書(関税スケジュールがHS2012基準の旨)(参照日:2026-02-21)
    • CPTPP:日本の関税撤廃スケジュール資料(HS2012の表題等)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:自己申告制度ガイドライン(HS2012に言及)(参照日:2026-02-21)
  • 規制(日本)
    • 国交省:道路運送車両の保安基準(タイヤ技術基準等の一覧)(参照日:2026-02-21)
    • 環境省:バーゼル条約・廃棄物輸出入規制の概要(参照日:2026-02-21)
    • 経産省:化管法SDS制度(参照日:2026-02-21)
    • 経産省:化審法(概要)(参照日:2026-02-21)
    • 厚労省:SDS/ラベル等(安衛法関連Q&A)(参照日:2026-02-21)
    • 厚労省:食品用器具・容器包装(告示370号リンク等)+告示本文(ゴム製器具等の記述)(参照日:2026-02-21)
    • 厚労省:指定医療機器の一覧(コンドーム等)(参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。