(用語)**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 樹脂の一次製品:PE/PP/PVC/PET などのペレット、粉、フレーク、液状・ペースト状樹脂(3901〜3914)
- プラスチックくず:廃プラ・端材・スクラップ(3915)※ただし“再ペレット化”は別扱い(後述)
- フィルム・シート等:自己粘着フィルム(3919)、非発泡シート(3920)、発泡/補強シート(3921)
- パイプ・ホース:配管、チューブ、継手(3917)
- 容器・包装材:ボトル、袋、キャップ等(3923)
- 日用品・建材等:台所用品(3924)、建材(3925)、その他のプラ製品(3926)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 単一の化学品(例:化学的に単一の有機化合物)→ 第29類
- 溶剤が多い樹脂溶液(一定条件)→ 32.08(塗料等) に飛びやすい(「溶剤重量が全体の50%超」などの除外条件)
- 合成ゴム→ 第40類(第39類注で明確に除外)
- 印刷が主用途のプラ製品→ 原則 第49類(ただし 3918/3919 は例外あり)
- プラスチック製でも“別の章の物品”(例:玩具=第95類、家具=第94類、履物=第64類、機械・電気機器=第16部 など)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 一次製品(3901〜3914)か、くず(3915)か、半製品/製品(3916〜3926)か(形状・加工度で大きく分岐)
- シート/フィルム系:3919(自己粘着) vs 3920(非発泡・非補強) vs 3921(発泡/補強)
- “管・ホース(3917)”の定義に当てはまるか(断面形状要件を満たさないと 3916 の「形材」寄り)
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- **リサイクル材(3915か、再生一次製品か)**の誤り → 規制(廃棄物扱い)や契約条件、原産地判定への波及が大きいことがあります
- **包装材・日用品(3923/3924/3926)**の誤り → FTA/EPAのPSR(品目別規則)選択が変わり、原産性判断が崩れる典型です(後述)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- **GIR1(見出し+注の適用)が最重要です。第39類は類注(注1〜11)と号注(サブヘディング注)**に、定義・除外・形状要件がまとまっており、ここを飛ばすと誤分類になります
- GIR6(6桁の号の決定):特に樹脂(3901〜3914)は、「ポリ〜」の95%ルールや共重合体の扱いなど、号注のロジックが実務の分岐点になります
- GIR3(混合物・複合品):プラ+他材質の複合品(例:布に樹脂コート、金属部品付き製品)は、どの性質が本質か/他章でより具体的に規定されていないかを確認します(第39類注2の“他章に行く”除外が多い)
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 材質:樹脂種類(PE/PP/PVC/PET/ABS等)、可塑剤の有無、発泡の有無、補強材(ガラス繊維等)の有無
- 状態:一次製品(ペレット等)か、くずか、シートか、成形品か
- 加工度:単なる裁断(長方形など)か、穴あけ・縫製・組立までしているか(3920/3921→3926等へ動く)
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:“プラスチック”の定義に当てはまるか(熱・圧力等で成形でき、外力除去後も形状保持できる材料)
- はい → Step2
- いいえ/ゴム寄り → 第40類なども疑う
- Step2:第39類の除外(注2)に当てはまらないか
- 例:単一化学品(第29類)、溶剤が多い樹脂溶液(第32類へ)、合成ゴム(第40類)、家具・玩具・履物等(他章)
- Step3:形状・加工度で大分類
- 樹脂の一次製品 → 3901〜3914(注6)
- 廃プラ・端材・スクラップ → 3915(ただし“再ペレット化した単一熱可塑性材”は3915にしない:注7)
- 形材・棒・モノフィラメント → 3916
- 管・ホース → 3917(ただし断面形状の要件あり:注8)
- 床材/壁材・自己粘着・シート類 → 3918〜3921(注9・注10)
- 成形品・日用品・建材・その他 → 3922〜3926(注11含む)
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第39類 vs 第40類:ゴム(弾性、加硫等)かプラか
- 第39類 vs 第49類:印刷が“単なる付随”か、“主たる用途”か(部注で第49類へ)
- 第39類 vs 第48類(壁面被覆):紙基材の壁面被覆(4814)に該当しないか(第39類注2(o)でも除外)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 3901 | エチレン重合体(一次製品) | PEペレット(LDPE/HDPE等) | 比重0.94境界などが6桁で分岐。共重合/ブレンドは注・号注が効く |
| 3902 | プロピレン等オレフィン重合体(一次製品) | PPペレット、ポリイソブチレン | “共重合体”は注4・号注で扱う |
| 3903 | スチレン重合体(一次製品) | PS、SAN、ABS | SAN/ABSが別号。略称だけで決めない(後述) |
| 3904 | 塩化ビニル等ハロゲン化オレフィン重合体(一次製品) | PVC樹脂、PTFE等フッ素樹脂 | 可塑化PVC/非可塑化PVC、フッ素樹脂は別号 |
| 3905 | 酢酸ビニル等の重合体(一次製品) | PVAc、PVA、EVA系 | 水性分散か等の分岐あり |
| 3906 | アクリル重合体(一次製品) | PMMA等 | 溶剤が多い“溶液”は注2(e)で32類へ行く場合 |
| 3907 | ポリアセタール・ポリエーテル・エポキシ樹脂・ポリエステル等(一次製品) | POM、エポキシ樹脂、PET、PLA等 | HS2022でポリエーテル一部が細分(3907.21/29) |
| 3908 | ポリアミド(一次製品) | ナイロン樹脂 | 例:接着剤用途でも“一次製品”ならここに残る場合あり |
| 3909 | アミノ樹脂・フェノール樹脂・ポリウレタン(一次製品) | メラミン樹脂、PU原料 | “調製品”や用途特定で他章も要確認 |
| 3910 | シリコーン(一次製品) | シリコーン樹脂 | 形状が一次製品か、シーラント等の調製品か要確認 |
| 3911 | 石油樹脂等(注3の製品)一次製品 | 石油樹脂、クマロン樹脂 | HS2022で一部新号(3911.20) |
| 3912 | セルロース・誘導体(一次製品) | セルロースアセテート等 | “コロジオン”等の扱いに注意(注2(e)) |
| 3913 | 天然高分子等(一次製品) | アルギン酸塩等 | 添加で標準化しても一次製品に残るケースあり(税関解説例) |
| 3914 | イオン交換樹脂(一次製品) | 陽/陰イオン交換樹脂 | ベース樹脂が3901〜3913由来であること |
| 3915 | プラくず・端材・スクラップ | 廃プラ、端材 | ただし単一熱可塑性材を“再生一次製品化”したものは3915にしない(注7) |
| 3916 | モノフィラメント(>1mm)・棒・形材 | 樹脂棒、プロファイル材 | “管・ホース”定義外の中空形材がここへ来ることあり |
| 3917 | 管・パイプ・ホースおよび継手 | 塩ビ管、チューブ、継手 | 断面形状要件(注8)。満たさないと3916側 |
| 3918 | プラ製床材、壁/天井被覆材 | 塩ビ床材、壁材ロール | 壁/天井材は「幅45cm以上ロール」等の定義(注9)。紙基材は48類も疑う |
| 3919 | 自己粘着の板・シート・フィルム等 | 両面テープ、粘着フィルム | “自己粘着”かどうかが最重要(剥離紙の有無など) |
| 3920 | その他の板・シート等(非発泡、非補強) | OPP/PEフィルム等(非発泡) | 注10:長方形裁断まで、追加加工なしが前提 |
| 3921 | その他の板・シート等(発泡または補強等) | 発泡シート、ガラス繊維入りシート | “セルラー(発泡)”や補強・積層で3920と分かれる |
| 3922 | 衛生陶器様のプラ製品 | 浴槽、洗面台、便座等 | サニタリー用途の特定製品 |
| 3923 | 物品の運搬・包装用プラ製品 | ボトル、袋、箱、キャップ | 包装用途の“典型”。他用途なら3926等も検討 |
| 3924 | 食卓・台所用品、家庭用品等 | タッパー、食器、衛生用品 | 食品接触は国内規制(後述) |
| 3925 | 建築用品(他に特掲なし) | 樋、窓枠、ドア、容量>300Lタンク等 | 注11の限定列挙に当たるか、恒久設置かが鍵 |
| 3926 | その他のプラ製品(残余) | 事務用品、衣類付属、装飾品等 | “他章により具体的”ならそちら優先(注2) |
※第39類の見出し構成と、一次製品/半製品/製品の区分はHS条文(WCO)および日本の関税率表解説に基づきます。
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
- 樹脂(3901〜3914)
- 「ポリ〜」の表現は、当該単量体ユニットが合計で95%以上などのルールで判定(号注)
- 共重合体・ブレンドは、最大割合のコモノマーの属する項へ(注4)。最大が決められない場合は“数字が後ろ”へ寄る(注4)
- 実務的には、メーカーの略称(ABS/LLDPE等)だけで決めない(後述)
- シート/フィルム(3918〜3921)
- 壁/天井被覆材(3918)は、幅45cm以上のロール等の定義(注9)
- 3920/3921の「板、シート、フィルム…」は、未裁断または単なる長方形裁断までで、追加加工なしが前提(注10)
- 管・ホース(3917)
- “管・ホース”と見なす断面形状要件(円形/楕円/一定の長方形/正多角形等)。要件外は形材扱い(注8)
- PVCなど可塑剤の有無
- 6桁・8桁で「可塑化/非可塑化」が効くことがあり、可塑剤の定義(副可塑剤を含む)も号注で補足されています
- 樹脂(3901〜3914)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 3901.10 vs 3901.20(PEの比重0.94境界)
- どこで分かれるか:比重(0.94未満/0.94以上)
- 判断に必要な情報:グレード表、物性表(密度)、SDS、試験成績
- 典型的な誤り:LLDPE等を“名称”だけで低密度扱いに決め打ち
- 3903.20(SAN) vs 3903.30(ABS)
- どこで分かれるか:共重合体の種類(SANかABSか)
- 判断に必要な情報:モノマー構成比、ポリマー仕様書、CAS/組成
- 典型的な誤り:“ABS系”という商流名で一括し、SAN寄り品を誤分類
- 3907.61 vs 3907.69(PETの粘度数 78 ml/g 境界)
- どこで分かれるか:粘度数が78 ml/g以上かどうか
- 判断に必要な情報:粘度数試験結果(ISO 1628-5/JIS K7367-5 等の測定条件)、溶媒条件等
- 典型的な誤り:IV(Intrinsic Viscosity)など別指標を同一視、または社内/顧客スペックだけで判断
- 3915(くず) vs 3901〜3914(再生一次製品)
- どこで分かれるか:単一熱可塑性材のくずを一次製品形状(ペレット等)に再生しているか(注7)
- 判断に必要な情報:リサイクル工程(破砕のみか、溶融・再ペレット化までか)、形状写真、製造工程図
- 典型的な誤り:リサイクル=すべて3915と誤解
- 3920(非発泡・非補強シート) vs 3921(発泡/補強等のシート)
- どこで分かれるか:発泡(セルラー)か、補強・積層等があるか
- 判断に必要な情報:断面構造、積層構成、基材、補強材の有無
- 典型的な誤り:外観が“シート”なら3920に固定してしまう
- 3901.10 vs 3901.20(PEの比重0.94境界)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第39類は**第7部(プラスチック及びゴム並びにこれらの製品)**に属します。部注には、**印刷物の扱い(第49類へ)**など、章をまたぐ重要ルールがあります
- 実務での意味(具体例つき):
- 印刷が“主たる用途”のプラ製品(例:絵柄・文字情報を主に伝える用途のシート等)は、原則として第49類に振られやすいです。
- ただし、**3918(床材/壁・天井被覆材)や3919(自己粘着材)**は例外扱いになり得るため、「用途」「形状」「印刷の役割」を分けて説明できるようにしておくのが安全です
- 印刷が“主たる用途”のプラ製品(例:絵柄・文字情報を主に伝える用途のシート等)は、原則として第49類に振られやすいです。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- プラスチック製の印刷物 → 第49類(例外あり)
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 注1:プラスチックの定義(成形可能で形状保持、バルカナイズドファイバー含む/ただし繊維扱い材料は除く)
- 注2:除外の列挙が非常に多い(単一化学品、溶剤が多い溶液、合成ゴム、機械・電機・車両部品、家具・玩具など)
- 注6:一次製品の形状の定義(液状/ペースト、粉・粒・フレーク等)
- 注7:3915(くず)の“除外”(単一熱可塑性材のくずを一次製品形状にしたものは3915にしない)
- 注8:3917(管・ホース)の定義(断面形状要件、へん平管の例外、形材扱いへの振替)
- 注9:3918の壁/天井被覆材の定義(幅45cm以上ロール、紙以外の裏張り等)
- 注10:3920/3921の“板・シート…”の範囲(長方形裁断まで、追加加工なし)
- 注11:3925(建築用品)の限定列挙(容量>300L容器、ドア・窓等、恒久取付具など)
- 用語定義(定義がある場合):
- 一次製品(primary forms):樹脂が液状/ペースト、粉・粒・フレーク、塊等の形状(注6)
- 管・ホース(tubes, pipes and hoses):中空で、一般に気体/液体の運搬等に供するもの。ただし断面形状要件(注8)
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 単一化学品→第29類、溶剤が多い溶液→第32類(32.08)、合成ゴム→第40類、家具→第94類、玩具→第95類…等(注2)
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:“一次製品”に見えるが、実は第32類へ(溶剤が多い溶液)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):溶剤比率(重量%)、形態(溶液/分散)、製品用途(塗料/コーティング材として供給されているか)
- 現場で集める証憑:SDS、組成表(溶剤%)、技術資料、製品ラベル
- 誤分類の典型:アクリル樹脂“溶液”を 3906 等に入れてしまう
- 影響ポイント2:3915(くず)か、3901〜3914(再生一次製品)か
- 何を見れば判断できるか(必要情報):再生工程の有無(溶融→ペレット化等)、単一熱可塑性材か、出荷形状(粒・フレーク等)
- 現場で集める証憑:工程フロー、写真、受入検査記録、材料証明
- 誤分類の典型:再ペレットも“廃プラ”として3915に固定
- 影響ポイント3:3917(管・ホース)に見えるが、断面形状で3916(形材)へ
- 何を見れば判断できるか(必要情報):内部断面形状(図面)、用途(流体搬送か)、へん平管か否か
- 現場で集める証憑:図面(断面)、カタログ、用途説明、現物写真
- 誤分類の典型:複雑断面の中空材を“ホース”として3917申告
- 影響ポイント4:3920/3921(シート)か、3926等(製品)か:注10の“追加加工”
- 何を見れば判断できるか(必要情報):穴あけ・縫製・折り加工・成形等の有無(単なる長方形裁断までか)
- 現場で集める証憑:加工工程、図面、写真、納入形態
- 誤分類の典型:穴あけ済み・成形済みなのに3920/3921のまま
- 影響ポイント5:壁/天井被覆材(3918)の定義(幅45cm以上ロール等)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):ロール幅、裏張り材が紙か否か、装飾加工の有無
- 現場で集める証憑:仕様書(幅、巻形態)、サンプル、製品写真
- 誤分類の典型:壁材を一般シート(3920/3921)として扱う/紙基材の4814を見落とす
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:樹脂“溶液”を一次製品(3901〜3914)に入れる
- なぜ起きる:製品名が「樹脂」「レジン」で、ペンキ/コーティング用途を見落とす
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第39類注2(e)の除外(溶剤比率など条件)に当てはまると第32類へ
- 予防策:SDSで溶剤重量%を確認/「出荷形態は塗料用途か?希釈して使う前提か?」を社内(技術・営業)に確認
- 間違い:再ペレット(再生PE粒)を3915(廃プラ)で申告
- なぜ起きる:「リサイクル=廃棄物」思考で固定
- 正しい考え方:注7により、単一熱可塑性材のくずを一次製品形状にしたものは3915にしない
- 予防策:工程図(溶融・ペレット化有無)/出荷形状写真/材質証明を取得
- 間違い:複雑断面の中空材を3917(管)に入れる
- なぜ起きる:「中空=管」と短絡
- 正しい考え方:注8の断面形状要件(円形/楕円/一定長方形/正多角形等)。要件外は(へん平管を除き)形材扱い
- 予防策:断面図の入手(CAD/製図)/“流体搬送目的か?”を仕様書で確認
- 間違い:壁/天井材を3920/3921の一般シートで処理
- なぜ起きる:ロール材=シートという思い込み
- 正しい考え方:3918の壁/天井被覆材は注9の定義(幅45cm以上ロール等)で判定
- 予防策:幅・裏張り材・装飾の有無をカタログから取得/紙基材なら4814も比較
- 間違い:自己粘着フィルムを3920/3921で申告
- なぜ起きる:粘着層が薄く、材料の“見た目”だけで判断
- 正しい考え方:自己粘着の板・シート・フィルム等は3919が基本
- 予防策:剥離紙の有無、粘着剤の種類、用途(ラベル/保護フィルム/テープ)を仕様書で確認
- 間違い:発泡シートを3920(非発泡)に入れる
- なぜ起きる:表面が平滑で発泡が見えづらい
- 正しい考え方:3920は「非セルラー(非発泡)」等の条件が前提。発泡や補強があれば3921側
- 予防策:断面写真、比重、発泡倍率、積層構成の確認
- 間違い:“プラスチック製だから”と3926(その他)に寄せる
- なぜ起きる:3926が便利な“受け皿”に見える
- 正しい考え方:注2で他章(機械・車両部品、家具、玩具等)へ行くものが多い。より具体的な章・項が優先
- 予防策:「用途(何の部品か)」「取付先」「専用性」を確認/完成品の機能を説明できる資料(図面・写真)を準備
- 間違い:樹脂の略称(ABS/LLDPE等)だけで樹脂号を決める
- なぜ起きる:商流で略称が常用され、組成比の確認が省かれる
- 正しい考え方:略称は参考に留め、注4・号注1に基づき、単量体ユニットの構成割合で判断する
- 予防策:メーカーSDS/仕様書でモノマー構成比、共重合比、ブレンド比を確認
- 間違い:PETの3907.61/3907.69を“グレード名”で振り分け
- なぜ起きる:社内呼称(ボトルグレード等)とHSの粘度数条件が一致しない
- 正しい考え方:粘度数は所定の方法(ISO 1628-5/JIS K7367-5 等)での測定結果で判断する
- 予防策:試験成績書の入手/測定条件(溶媒条件等)まで揃える
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
- PSRは通常、HS(4桁/6桁)単位で規則が書かれます。
- 例:同じ“プラスチック製”でも、樹脂(3901〜3914)と製品(392x)では、PSR(CTH/CTSH/RVC等)の要求が変わり得ます。
- よくある落とし穴
- 材料(樹脂ペレット)のHSと、最終製品(ボトル等)のHSを混同
- “くず(3915)”と“再生一次製品(3901等)”の混同で、材料HSがずれてPSR判定が崩れる
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 本回答では参照協定が未指定のため、各協定が採用するHS版を個別に明記できません。
- 一般論としての注意点:
- 協定本文・譲許表・PSRは、HS2012/HS2017等の旧版で固定されていることがあります。
- その場合、社内の付番(HS2022)と協定の付番がずれるので、**トランスポジション(旧→新対応)**が必要です。
- 第39類でも、HS2022で3907.20が3907.21/3907.29に分割されるなど、協定の“旧コード”表記と差が出ます
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 最終製品HS(6桁)と、主要材料HS(6桁)
- 主要材料の原産国、調達先、価格(RVC用)
- 工程フロー(どこで“実質的変更”が起きるか)
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 仕入書、製造記録、原価台帳、仕様書、SDS、試験成績書(粘度数など)を“後で説明できる形”で保存
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 分割(新設+残余) | 3907.20 → 3907.21/3907.29 | “その他のポリエーテル”が細分され、特定物質(bis(polyoxyethylene) methylphosphonate)が独立号に | 協定・社内マスターで旧3907.20を使っている場合、どちらに対応するか確認が必要 |
| HS2017→HS2022 | 新設(範囲変更) | 3911.90 → 3911.20(新設)+3911.90(残余) | 3911の「その他」から特定物質(poly(1,3-phenylene methylphosphonate))を独立号化 | 規制対象物質の識別が必要な案件では、仕様書・SDSの整備が重要 |
※上記はWCOの相関表(HS2017↔HS2022)と、各版のHS条文の号構成に基づく要約です。
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 根拠資料と判断プロセス:
- WCO相関表(Table I)で、HS2017の3907.20がHS2022で3907.21/3907.29に対応付けられていることを確認しました
- 実際に、HS2017条文では 39.07 に **3907.20(Other polyethers)**があり 、HS2022条文では 39.07 に **3907.21(bis(polyoxyethylene) methylphosphonate)**と **3907.29(Other)**が存在します
- 同様に、相関表でHS2017の3911.90の一部がHS2022の3911.20へ対応付けられていることを確認しました
- 以上より、第39類のHS2017→HS2022の主要変更は、上記の6桁レベルの新設/分割であると整理しました(本回答範囲)。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
主要な追加・再編(確認できた範囲)を、2007→2012→2017→2022の流れで整理します(※“可能な範囲”での整理です)。
| 変遷 | 変更タイプ | 旧コード → 新コード(代表) | 概要 | 実務メモ |
|---|---|---|---|---|
| HS2012→HS2017 | 分割 | 3907.60 → 3907.61/3907.69 | PETが粘度数で細分(78 ml/g以上/その他) | PET取引は試験成績書が実務必須になりやすい |
| HS2017→HS2022 | 分割 | 3907.20 → 3907.21/3907.29 | その他ポリエーテルが細分 | マスターの旧コード対応に注意 |
| HS2017→HS2022 | 新設(範囲変更) | 3911.90 → 3911.20+3911.90 | 3911「その他」から特定物質を独立号化 | SDS上の物質特定が重要になるケース |
| HS2007→HS2012 | (大きな再編なし:本回答確認範囲) | 例:3907.60/3907.70 等は継続 | 少なくともPET/PLA等の基本構成は継続して確認 | “大きな再編は2012→2017以降に顕在化”の整理 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):再生ペレットを“廃プラ”申告
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注7(3915は一次製品化した単一熱可塑性材のくずを含まない)
- 起きやすい状況:リサイクル材を一括で3915に入れる社内ルール
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、輸入検査強化、取引先との規格・規制対応の再確認
- 予防策:工程証明(溶融・ペレット化)と写真を用意、事前教示活用(後述)
- 事例名(短く):複雑断面チューブを3917で申告
- 誤りの内容:注8の断面要件を満たさないのに“管・ホース”扱い
- 起きやすい状況:図面なしで現物写真だけで判断
- 典型的な影響:分類差し戻し、追加資料要請、通関遅延
- 予防策:断面図(CAD)・用途説明・サンプル提出
- 事例名(短く):壁材ロールを一般シート(3920/3921)扱い
- 誤りの内容:注9(3918の壁/天井被覆材定義)を未確認
- 起きやすい状況:幅45cm以上ロールの仕様がインボイスに書かれていない
- 典型的な影響:品目更正、書類追加、納期遅延
- 予防策:幅・裏張り材・装飾の有無をインボイス補足資料に明記
- 事例名(短く):加工済みシートを3920で申告
- 誤りの内容:注10(追加加工のあるものは3920/3921に残らない)を見落とし
- 起きやすい状況:穴あけ・折り加工済み部材を“シート材料”と誤認
- 典型的な影響:分類修正、追加納税、後続輸入の検査強化
- 予防策:加工工程の有無を図面・工程表で提示
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- 食品用器具・容器包装(プラスチック)は、食品衛生法の枠組みで材料規制・溶出規制等の対象になり得ます。日本では合成樹脂のポジティブリスト制度が運用されています(適合確認が実務上重要)。
- その他の許認可・届出
- 廃プラスチック(3915等)の国際移動は、バーゼル条約関連の枠組みで、汚れた廃プラ等が規制対象となり得る旨が公表されています(輸出時の手続確認が必要)。
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 高機能材料・特定用途(軍民両用等)では、素材や用途により確認が必要になることがあります(案件ごとに該非判定)。
- 検疫・衛生(SPS等)
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 厚生労働省/消費者庁(食品用器具・容器包装の制度)
- 環境省(廃棄物・バーゼル関連)
- 税関(事前教示、関税率表解説)
- 実務での準備物(一般論):
- 食品接触:材質証明、適合宣言書、試験成績書、サプライヤーのPL適合情報
- 廃プラ:汚れの程度、混合物の有無、写真、成分分析、輸出手続資料
- 共通:SDS、仕様書、図面、用途説明、工程図
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 材質(樹脂種類、添加剤、可塑剤、補強材、発泡の有無)
- 形状(一次製品/くず/シート/成形品/管等)
- 加工度(裁断のみか、穴あけ・縫製・組立までか)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 注2の除外(他章へ行くもの)を再点検(家具・玩具・機械部品等)
- 3915 vs 3901〜3914(注7)、3917定義(注8)、3920/3921定義(注10)を再確認
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイスに「樹脂名+形状+用途」(例:“PET resin, pellets, bottle grade”)を明記
- 図面/写真、SDS、試験成績(粘度数など)を添付できるよう準備
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 最終製品HS(6桁)と、主要材料HS(6桁)を揃える
- 協定の参照HS版(HS2012/2017等)と自社HS版(HS2022)のズレを点検(必要なら相関表で対応)
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 食品接触(器具・容器包装)ならPL適合確認
- 廃プラ輸出入はバーゼル関連手続の要否確認
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS条文・相関表)
- HS Nomenclature 2022 Chapter 39(Plastics and articles thereof)[参照日:2026-02-21]
- HS Nomenclature 2017 Chapter 39(比較用)[参照日:2026-02-21]
- HS Nomenclature 2012 / 2007 Chapter 39(比較用)[参照日:2026-02-21]
- HS2017↔HS2022 Correlation Tables(Table I)[参照日:2026-02-21]
- Section VII Notes(Plastics and rubber and articles thereof)[参照日:2026-02-21]
- 日本 税関・公的機関のガイド
- 税関「関税率表解説 第39類(39r)」[参照日:2026-02-21]
- 税関「関税率表解説データ(例:3907.61/3907.69 粘度数測定等)」[参照日:2026-02-21]
- 税関「事前教示(関税分類)案内・検索」[参照日:2026-02-21]
- 規制(日本)
- 厚生労働省:食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度(合成樹脂等)[参照日:2026-02-21]
- 消費者庁:器具・容器包装のポジティブリスト制度関連ページ[参照日:2026-02-21]
- 環境省:汚れた廃プラスチック等の輸出規制(バーゼル関連)[参照日:2026-02-21]
- 経済産業省:安全保障貿易管理(該非判定等の一般情報)[参照日:2026-02-21]
付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)
- 注意:ここからは「国内コード(輸入統計品目表等の細分)」の話で、HS6桁そのものではありません。
- 例:手袋(3926.20 / 4015.19)の国内細分で「厚さ0.2mm未満」等の要件が付くケース
- 税関解説では、厚さ判定の測定点(指先からの距離等)まで示されており、国内細分の選択・統計申告で差が出ます
- 例:ガウン(医療・介護等)を国内細分で定義しているケース
- 形状要件(後部を留め具で閉じる構造、袖口の構造等)が説明されており、品名だけでなく構造説明が必要になります
付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)
- 日本では、税関の**事前教示制度(関税分類)**を活用できます(重要取引ほど推奨)。
- 相談が早い情報(一般論)
- 仕様書(材質・用途・構造)、SDS、図面(断面)、写真、サンプル
- 3920/3921・3917など“定義が効く品目”は、寸法(幅45cm等)や断面形状、加工工程が分かる資料が特に有効
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
