HTSUS2026版:8桁差分の実務チェックリスト

HTSUS 2026で「8桁差分」を見落とさないための実務チェックリスト
ビジネス現場で役に立つ、差分確認から社内展開までのやり方

米国向けの輸入ビジネスでは、HTSUSの番号は「一度決めたら終わり」ではありません。usitc
HTSUSは議会立法や大統領布告などを通じて改正され、年次版の発行に加えて補遺やオンライン改訂が入る仕組みで運用されています。usitc+1​
USITCは、年次版(Basic Edition)を毎年公表したうえで、その後も電子版HTSを補遺・改訂のたびに更新し、PrefaceやChange Recordで変更点を示すことを明確にしています。(例:2024年Supplement発行告知など)usitc

そのため、年度が変わるタイミングや途中改訂のタイミングで、同じ品物でも該当する番号や読み方が動く可能性がある、という前提で実務を設計する必要があります。usitc

この記事では、HTSUS 2026を念頭に、8桁レベルの差分を業務として潰し込むためのチェックリストを、現場目線で解説します。
結論として、差分確認は関税率の確認だけでは不十分です。
番号の新設・統合・付け替え、条文やインデントの更新、注釈の変更、章98・99の適用関係まで含め、社内マスタと通関実務に確実に反映するところまでを一連のプロセスとして組み込むことが重要です。usitc


なぜ「8桁」を軸に見るのか

まず、実務で混乱が起きやすいポイントから整理します。

  • HTSUSは4桁がHeading、6桁と8桁がSubheadingという階層構造になっています。usitc
  • 法的なテキスト(legal text)は8桁レベルで完結し、関税率も8桁レベルで割り当てられます。usitc
  • 一方、実務上の輸入申告では10桁の番号を入力します。usitc

10桁は「8桁の法的サブヘディング+2桁の統計サフィックス(statistical suffix)」で構成され、統計上は重要ですが、統計サフィックスとその説明文、数量単位は「法的テキストではなく、行政的に採用されたもの」とされています。usitc
それでも、USITCは「輸入申告では10桁番号を使わなければならない」と明記しています。usitc

ここから導かれる実務上のポイントは次のとおりです。

  • 8桁差分は、関税率や法的な区分の変更に直結しやすい。usitc
  • 10桁差分は、統計区分や申告要件(報告単位など)の整合性に直結しやすい。usitc
  • どちらも放置すると、申告の不備や誤課税、統計不整合のリスクになる。usitc

したがって、まず8桁差分を軸に影響評価を行い、そのうえで10桁レベルまで落とし込んで通関入力に耐える形に仕上げる、という順番が実務的に有効です。usitc


「8桁差分」で何が変わり得るか

差分の中身を、現場で起こりがちなパターンに分解します。
ここが曖昧なままだと、チェックリストが単なる作業レベルに留まり、抜け漏れが増えます。

1. 番号の新設・統合・付け替え

  • ある品目が細分化されて新しい8桁が増える。
  • 複数の8桁が統合されて廃止される。
  • 条文再編に伴い、番号が付け替えられる。

4桁・6桁レベルのHS構造はWCOで国際的に合意された枠組みであり、一定周期で改正が行われます。
その枠組みの下で、米国は8桁および10桁レベルに独自の細分(domestic detail)を設けており、国内運用上の事情に応じて改訂が行われることがあります。wcoomd+1​

2. 文言やインデントの変更

番号自体が同じでも、次のような変更で対象範囲の読み方が変わることがあります。

  • 説明文の追加・削除・書き換え。
  • インデントレベルの変更(同じ見出し配下か、より狭い範囲の規定か)。

USITCは、HTSの分類では電子検索だけでは不十分で、条文の構造を確認し、同一インデントレベルで最も具体的な規定を選ぶ必要があると説明しています。usitc

3. 注釈(Notes・Additional U.S. Notesなど)の変更

法的テキストは、見出しや番号だけでは完結しません。

  • 一般解釈規則(GRI)。
  • Section Notes / Chapter Notes / Subheading Notes。
  • Additional U.S. Notes など。

USITCは、法的テキストは解釈規則や各種注釈、見出し・小見出しの用語で構成され、タイトル(章名など)は便宜上のものであり法的効力はないと説明しています。usitc
タイトルや脚注だけを見て判断すると、法的根拠のある条文を見落とすリスクがあります。usitc

4. 関税率や特恵の見え方の変更

HTSUSの税率欄には、次のような情報が並びます。

  • 一般税率(General)。
  • 特恵税率(各種FTAや特恵制度)。
  • 国別の追加税や特別列(必要に応じて)。

USITCは、特恵欄の記号や税率は協定や優遇制度の適用を示すものであり、条件を満たしていても輸入者が申告で主張しない場合は一般税率が適用されることがあると説明しています。usitc
差分確認では、番号変更だけでなく、税率欄や特恵プログラムの記号の変化もセットで確認する必要があります。usitc

5. 章98・章99の適用関係の変化

多くの貨物は章01〜97で分類されますが、場合によっては章98や章99により別扱いとなることがあります。usitc
差分確認で章99の参照や追加措置が絡む場合、通常分類(章01〜97)の更新だけ見て終わると危険です。
また、USITC FAQは、脚注やエンドノートは法的効力を持たない一方で、他のHTSコードや追加情報へユーザーを誘導するために用いられることを説明しています。usitc
参照先の変更や参照の新設は、実務上の追加確認ポイントになります。


HTSUS 2026版でまずやるべきこと

ここから「実務チェックリスト」に入ります。
読み進めながら、そのまま社内のタスクに落とし込める構成にしています。

ステップ0 範囲と責任分界を最初に固定する

最初に決めるべきは、細かい作業量ではなく「責任とスコープ」です。

  • 対象範囲
    • 全SKUを対象とするか。
    • 対米輸入SKUのみを対象にするか。
    • 直近1年出荷SKUなどに絞るか。
  • 判断責任
    • 分類の一次責任者。
    • 最終承認者(マネージャー、コンプライアンス担当など)。
    • ブローカーとの窓口担当。
  • 反映先
    • ERP品目マスタのHTSUS番号・税率ロジック。
    • 通関指示書やインボイス、品目説明テンプレート。
    • 見積・原価計算ロジック、契約条項(関税負担条件など)。
  • 期限
    • 年次版切替の適用日。
    • 途中改訂(Supplement)の反映タイミング。

USITCの案内でも、輸入品の分類責任はまず輸入者にあり、HTSの解釈と適用はCBPの所掌であると整理されています。usitc
社内で責任分界が曖昧なままだと、差分が見つかった際に判断や承認が止まりやすくなります。


実務チェックリスト:8桁差分を「業務として」潰す手順

以下が本題のステップです。
チェック項目は多いですが、「順番」を固定しておくことで手戻りを減らせます。

ステップ1 公式データを入手し、版と改訂を固定する

最優先は、「どのデータを正とするか」を固定することです。

  • 入手元はUSITCの公式HTS(電子版)を基準にする。usitc
  • 2026年Basic Editionだけでなく、当年の補遺・改訂を含めた参照範囲を決める。usitc
  • PrefaceとChange Record(変更履歴)を必ず確認する運用を決める。usitc

USITCは、電子版HTSを補遺や改訂が出るたびに更新し、その変更点をPrefaceとChange Recordに示すと説明しています。usitc

さらに、業務システムに取り込みやすい形でのデータ入手も押さえておくと効率的です。
Data.govでは、USITCが提供するHTS Basic EditionがCSV・Excel・JSON形式で公開されており、マスタ更新や差分抽出の入口として実務上使いやすい形になっています(現時点で2024版の公表が確認できる)。usitc

ステップ2 差分抽出は「番号」だけでなく「法的テキストの変化」を拾う

差分抽出でよくある落とし穴は、「番号の増減だけ見て終わる」ことです。
現場で使えるレベルにするには、差分を次の観点に分類して管理します。

  • 8桁の新設。
  • 8桁の廃止。
  • 8桁番号の付け替え(条文の移動・再構成)。
  • 説明文の変更(対象範囲に影響しやすい)。
  • 注釈の変更(General Rules、Section Notes、Chapter Notes、Subheading Notes、Additional U.S. Notesなど)。
  • 税率欄・特恵欄の変化。
  • 10桁統計サフィックス(Stat. suffix)の新設・統合・削除・説明変更。

USITC FAQは、法的テキストは解釈規則や各種注釈、見出し・小見出しの用語で構成され、タイトルは法的効力を持たないと説明しています。usitc
番号比較だけでは拾えない差分が、この「テキスト側」の変更に集約されます。usitc

ステップ3 影響度トリアージで、先に見るべきSKUを決める

全件を同じ熱量で見ると、担当者が疲弊します。
ビジネスインパクトを起点に、優先順位の軸を明確にしておきます。

  • 金額インパクト:年間輸入額が大きいSKU。
  • 税率インパクト:税率が高い、あるいは追加措置(章99など)が絡む可能性があるSKU。
  • 品質・規制インパクト:分類変更で規制・許認可や届出義務が変わり得るSKU。
  • 納期インパクト:通関で止まると生産が止まる重要部材。
  • 監査インパクト:過去にCBPや税関から指摘実績のある分類群。

狙いは、「全部を完璧にすること」ではなく、「ビジネス損失が大きい領域から優先的に堅めること」です。

ステップ4 各SKUの「分類根拠」を更新し、監査証跡を残す

差分が出たSKUは、「番号だけ付け替え」ではなく、分類根拠そのものの見直しが必要です。

最低限そろえておきたい根拠情報の例は次のとおりです。

  • 商品の用途と実際の使用形態。
  • 材質構成比(重量比・体積比・価額比など)と主要機能。
  • 仕様書、図面、写真、成分表。
  • セット品か単品か(GRI 3の可能性)。
  • 商業上の品目説明と、実態との整合。

USITCガイドは、電子検索だけで分類できないこと、同じインデントレベルの規定を比較して最も具体的な規定を選ぶことの重要性を指摘しています。usitc
根拠情報が薄いと、この比較・検証作業ができず、後の監査にも耐えにくくなります。

ステップ5 迷ったらCROSSと拘束力ある判断を使い分ける

判断が割れる領域では、参照できる公式情報を増やすのが得策です。

  • 既存判断の探索:CBPのCROSSで類似品目のruling(公表判断)を検索する。
  • 不確実性が高い場合:事前に拘束力のあるrulingをCBPへ申請することを検討する。ecfr

Trade.govは、CROSSをHTS番号に関する拘束力のあるrulingsを含む公式データベースとして紹介しています。usitc
また、CBPへのruling requestについては、19 CFR 177.2で、関連する事実関係を完全に記載すること、用途、商業上の呼称、複数素材なら比率など分類に関係する情報を含めるべきことが具体的に定められています。law.cornell+1​
これらは、社内で分類根拠を整理する際のチェックリストとしても有用です。

ステップ6 税率と特恵の影響を「8桁で」把握し、「10桁で」申告可能にする

実務では、「10桁の差分=税率差分」と誤解されることが少なくありません。

USITCは、10桁番号は8桁の法的区分に統計サフィックスを加えたものであり、同じ8桁配下の10桁統計番号は同一の関税率を適用されると説明しています。usitc
したがって、税率影響の一次評価は8桁レベルで行うのが合理的です。usitc

一方、特恵税率については次の点が重要です。

  • 特恵欄は、協定や優遇制度の適用可否と税率を示す欄である。
  • 条件を満たしていても、輸入者が申告で特恵を主張しない場合は一般税率となることがある。

USITC FAQも、特恵欄の記号や税率が協定等の適用を示し、主張しなければ一般税率が適用されるケースがあると説明しています。usitc
差分確認では、「番号や税率」だけでなく、「特恵の見え方・適用欄の変化」まで確認する必要があります。usitc

さらに、HS改正時に原産地規則側の改訂が必ずしも同時に完了していない場合があることが、公的ガイダンスでも指摘されています。wcoomd+1​
更新された見出し・小見出しと既存の原産地規則との間で整合しない場合には、所管当局や専門家への相談を検討すべきであり、担当者が見落としがちなポイントです。wcoomd

ステップ7 章98・章99や参照注記を必ず確認する

差分が章99の追加措置や参照変更に関係している場合、通常分類の更新だけでは不十分です。

USITC FAQは、脚注(footnotes)やエンドノート(endnotes)は法的効力を持たないが、ユーザーを他のHTSコードや追加情報へ誘導するために用いられると説明しています。usitc
差分確認では、次のような変化を軽視しないことが安全です。

  • 章98・章99への参照が新たに追加された。
  • 既存の参照先HTSコードが変更された。
  • 参照注記が削除され、別の注記に整理された。

これらは、追加税・免税扱い・特別プログラム等に関する確認漏れにつながり得ます。

ステップ8 社内マスタとブローカー指示を「同日に」更新できる形に整える

差分を確認しただけでは、現場に影響が届きません。
最低でも以下の対象に反映する設計が必要です。

  • ERP・品目マスタのHTSUS番号と税率ロジック。
  • インボイスおよび品目説明テンプレート。
  • ブローカー向け通関指示書(HTSUS 10桁・特恵主張方針)。
  • 見積・原価計算の税率ロジック。
  • 社内の分類根拠ファイルと監査用資料。

ここで重要なのが「10桁入力の必須性」です。
USITCは、統計サフィックス自体は法的テキストではない一方、輸入申告では10桁番号を使用する必要があると明確に述べています。usitc
社内マスタが8桁止まりの企業は、差分対応の最終工程として必ず10桁まで落とし込むフローを組み込むべきです。usitc

ステップ9 継続監視を仕組みとして組み込む

HTSUSは「年次版だけ見ていればよい」わけではありません。

USITCは、HTSが議会立法や大統領布告等により定期的に改正され、年次版に加えて途中改訂(補遺)があり、電子版は補遺や改訂のたび即時更新されると説明しています。usitc+1​
継続監視はコストではなく、誤申告リスクを下げるための保険と位置づけるべきです。

加えて、中長期ではHS自体の大きな改正にも備える必要があります。
USITCの告知や業界情報では、USITCが「Recommended Modifications in the HTS, 2028」の調査を開始し、WCOによるHS 2028改正に整合させるための改訂案を大統領に勧告するプロセスが説明されています。strtrade+1​
WCOは、2025年のHSCでHS 2028改正の勧告案を暫定採択し、2025年末の正式採択後、2026年1月に公表、2028年1月1日発効を予定していると案内しています。wcoomd
一見先の話に見えますが、分類設計やデータ基盤の刷新を見据えるうえで無視できない情報です。usitc+1​


付録:印刷して使える「HTSUS 2026 8桁差分」チェックリスト

社内でそのままタスク化できるよう、チェックボックス形式に整理します。

  • 参照するHTSUSの版(Basic Edition)と改訂範囲(Supplement等)を固定した。usitc
  • 公式データの入手元をUSITC(電子版・Data.gov等)に統一した。usitc
  • PrefaceとChange Recordを確認する運用を決めた。usitc
  • 8桁の追加・廃止・付け替えを抽出した。usitc
  • 説明文とインデントの変化を抽出した。usitc
  • 解釈規則や各種注釈(Section Notes、Chapter Notes、Additional U.S. Notes等)の変化を抽出した。usitc
  • 影響SKUをトリアージし、ビジネスインパクトに応じて優先度を付けた。
  • 影響SKUごとに分類根拠を更新し、証跡を整備した。law.cornell
  • CROSSで類似の公表判断(rulings)を確認した。usitc
  • 判断が割れるSKUについて、ruling request(19 CFR 177.2)の要否を検討した。ecfr+1​
  • 税率影響は8桁で一次評価し、10桁レベルまで落として申告可能な状態にした。usitc
  • 特恵の主張要件と原産地規則の整合を確認し、必要に応じて当局への確認方針を決めた。wcoomd+1​
  • 章98・章99との関係、参照注記や脚注の変化を確認した。usitc
  • ERP品目マスタとブローカー向け通関指示書を同じタイミングで更新した。usitc
  • 監査証跡として、根拠資料と判断履歴を体系的に保管した。law.cornell
  • 年次版だけでなく、途中改訂も含めた継続監視プロセスを開始した。usitc+1​

まとめ:8桁差分は「分類作業」ではなく「経営の保全策」

HTSUSの差分対応は、現場では分類担当だけの仕事に見えがちです。
しかし実際には、コスト、納期、コンプライアンス、監査対応をまとめて守るための仕組みづくりです。

8桁差分を起点に、法的テキストの変化まで拾い、影響SKUを絞って分類根拠を更新し、10桁の申告要件まで落とし込んだうえで、ブローカーと同じタイミングで更新する。
この一連のサイクルを回せる会社は、年度更新やHS大改正のたびに慌てずに済むようになります。usitc+1​

必要であれば、このチェックリストを貴社の業態(食品、化学品、機械、アパレル、医療機器など)の特性に合わせ、「優先度の付け方」と「根拠資料の型」まで落とし込んだ業種別版に再構成することも可能です。

  1. https://www.usitc.gov/harmonized_tariff_information/frequently_asked_questions
  2. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  3. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/august/next-round-of-htsus-modifications-anticipated-to-take-effect-in-2028
  4. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  5. https://www.ecfr.gov/current/title-19/chapter-I/part-177/subpart-A/section-177.2
  6. https://www.law.cornell.edu/cfr/text/19/177.2
  7. https://www.usitc.gov/faq_subsection/definitions_and_classifications
  8. https://www.dhl.com/discover/en-my/faq/customs/shipping-regulations
  9. https://www.federalregister.gov/documents/2023/05/22/2023-10047/revisions-and-confidentiality-determinations-for-data-elements-under-the-greenhouse-gas-reporting
  10. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2022-06-21/pdf/2022-09660.pdf
  11. https://www.epa.gov/system/files/documents/2023-05/Supplemental%20Proposal%20and%20Preamble%20to%20GHGRP%20June%202022%20Proposal.pdf
  12. https://www.govinfo.gov/link/cfr/19/177?link-type=pdf§ionnum=2&year=mostrecent
  13. https://www.hitachi-automotive.us/Supplier/Handbook/Supplier%20Handbook%20Condensed%2010.13.2021.pdf
  14. https://www.scribd.com/document/920512893/Global-Sourcing-in-the-Textile-and-Apparel-Industry-Jung-Ha-Brookshire-Z-Library
  15. https://www.ecfr.gov/current/title-19/chapter-I/part-177

■専門的■ USITCが公表したHS2028対応スケジュールを、いま企業がどう使うべきか

米国向けビジネスでは、HSコードと米国のHTSUS(米国関税率表)が、関税率だけでなく、追加関税、輸入規制、統計、社内マスタや契約条件にまで連鎖します。usitc+1

その前提で、USITC(米国国際貿易委員会)がHS2028対応に向けた手続とスケジュールを示したことは、実務の準備開始を促す重要な合図です。usitc

以下では、USITCが示した公式スケジュールの読み方と、企業が今から取るべき実務アクションを、専門家の視点で整理します。

まず押さえるべき前提:HS2028と米国のHTSUSは同じではない

HS(Harmonized System)はWCO(世界税関機構)が管理する国際的な品目分類の共通基盤で、200を超える国と地域の関税率表や統計品目表がHSを土台に組み立てられています。米国も例外ではなく、HTSUS(米国の関税率表)はHSの章・項・号(6桁)構造を核にしつつ、米国独自の細分(主に8桁や10桁の統計番号など)を上乗せして運用します。strtrade+2

このため、HS2028の改正は「世界共通の6桁の変更」を意味しますが、米国実務ではそれに連動してHTSUSの枝番や統計番号、米国独自の注記や運用も調整されます。企業側は「HS6の改正」と「HTSUSの改正」を分けて観察することが、混乱を防ぐ近道です。strtrade+1

USITCが公表したHS2028対応の公式スケジュール

USITCは、HS改正をHTSUSへ取り込むための調整プロセスを開始し、主要な節目を明示しています。USITCは法律により、WCOのHS改正に合わせてHTSUSの修正を大統領に勧告する責任を負っており、その修正はHS改正との整合性、健全な品目分類原則との整合性、実質的な税率中立性の確保という3つの要件を満たす必要があります。usitc+1

重要ポイントだけを、実務目線で表にします。

時点USITCの公表内容企業側の意味
2025年8月HS2028対応に向けた調査を開始(調査番号も付与)usitcここが「公式に準備が始まった」起点。社内でプロジェクト化しやすい
2026年1月WCOの改正勧告(Recommendation)をUSITCが掲載予定strtrade初めて「世界共通の改正パッケージ」を具体的に精査できる段階
2026年2月USITCがHTSUS改正の提案(予備ドラフト)を掲載予定usitc+1企業がコメント提出や、社内影響評価を本格化させる段階
2026年9月USITCが大統領に報告書を提出予定usitc+1以降は米国側で最終化プロセスが進み、実装に向けた確度が上がる

上記の月次は、USITC自身が変更の可能性を示唆しています。従って、日程は固定視せず「この順番で進む」ことを前提に、監視と準備を進めるのが安全です。usitc

さらに、世界側の大枠として、WCOはHS2028改正勧告を2025年12月末に正式採択し、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効することを示しています。米国だけでなく、世界同時に品目体系が動く前提に立つ必要があります。wcoomd+1

なぜビジネスマンが今から気にすべきか:影響は関税率だけではない

HS2028改正が企業に与える影響は、関税率表の読み替えに留まりません。特に次の領域で、実務リスクが顕在化しやすくなります。strtrade+1

誤分類リスクの再燃

長年運用してきた分類が、改正により別の号に再配置されることがあります。自社は同じ製品のつもりでも、税関システム上は別コードとして扱われ、申告エラーや追加確認の要因になり得ます。wcoomd

追加関税・規制・統計の連動崩れ

米国では追加関税や各種措置、統計管理がHTSUSの特定番号に結び付く場面が多く、番号の変更は「制度の適用関係」を組み替えます。品目番号の読み替えが遅れると、想定外のコストや手続が発生します。usitc

社内マスタ、見積、契約、原価の再計算

HSやHTSUSは、通関指示書、購買条件、原産地証明関連の書類、SAP等の品目マスタに埋め込まれています。改正対応は、貿易部門だけで完結しません。strtrade

USITCスケジュールを起点にした、企業の実務アクション

ここからが本題です。スケジュールは「読むもの」ではなく「社内段取りに落とすもの」です。次のように、節目ごとにやることを固定すると、準備の抜け漏れが減ります。usitc

いまから2026年1月までにやること(準備フェーズ)

米国向けの重点品目リストを作成します。輸出数量、利益、通関頻度、追加関税の影響度などで優先順位を付け、対象を絞ります。strtrade

現行コードの棚卸しを実施します。HS6、HTSUS(必要なら10桁)、社内品目番号のひも付けを整えます。ここが崩れていると、改正影響を評価できません。usitc

関係者を巻き込みます。米国側の輸入者(Importer of Record)、通関業者、社内の営業・購買・原価管理と、改正対応の窓口を決めます。strtrade

2026年1月(WCO改正勧告の掲載)にやること(一次情報で差分確認)

改正パッケージで「自社品目が触れている領域」を特定します。全品目を読むのではなく、重点品目が属する章・類・項を中心に差分を追います。wcoomd+1

影響を3区分に仕分けします。コードが変わる可能性が高い、コードは同じだが説明や注記が変わる可能性がある、影響は当面小さい、という区分です。この仕分けが、次のドラフト評価のスピードを決めます。usitc

2026年2月(USITCドラフト掲載)にやること(社内評価と必要なら意見提出)

USITCは、予備ドラフト公表時にクロスリファレンス表(新旧コード対応の参考表)を提供する方針を示しています。これは、企業が読み替えと影響評価を進めるうえで重要な補助輪になります。ただし、この対照表は非公式で変更される可能性があるため、確定表として社内システムへ直入れしない運用が安全です。usitc

ここでの実務は次の通りです。重点品目の新旧候補コードを当て、税率・追加関税・規制の影響を試算します。通関エラーや輸入要件変更の有無を、通関業者とすり合わせます。影響が大きい場合は、USITCの公開コメント手続に沿って意見提出を検討します。strtrade+1

2026年9月以降(大統領への報告提出後)に備えること

USITCの役割は「大統領への勧告・報告」までですが、その後、大統領が勧告に基づきHTSUSの改正を布告できる法的枠組みがあります。布告は連邦官報での公表から30日後に発効するのが通例です。従って、報告提出後は「実装に向けた確度が上がる局面」として、社内のシステム改修やマスタ改定、取引先への周知の準備を前倒しで進めるのが現実的です。govinfo+3

情報収集の実務:どこを見れば一次情報に当たれるか

今回の件は、一次情報の所在が比較的明確です。strtrade+1

USITCのプレスリリースと連邦官報(Federal Register)で、スケジュールと手続が確認できます。USITCのHTS検索サイトと、調査案件の電子ドケット(EDIS)で、資料と更新が追えます。usitc+2

更新タイミングは前後し得るため、月次で機械的に確認するより、USITCが示した節目(2026年1月、2月、9月)に照準を合わせて監視する方が、工数対効果が高くなります。strtrade+1

まとめ:HS2028は2026年が勝負どころになる

USITCが示したスケジュールは、企業にとって「2026年に差分を読み、影響を試算し、社内実装の設計を固める」ためのロードマップです。usitc+1

HS2028の発効日である2028年1月1日から逆算すると、2026年の一次情報公開とドラフト提示の時点で、準備を終えている企業ほど、コストと混乱を抑えられます。wcoomd+1

貴社が米国向けに複数品目を扱っているなら、まずは重点品目を絞った棚卸しから始め、2026年1月と2月の公開資料で差分評価を回す体制を作ることが、最も確実で実務的な第一歩になります。strtrade+1

  1. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  2. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/august/next-round-of-htsus-modifications-anticipated-to-take-effect-in-2028
  3. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  4. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2016-12-02/pdf/2016-29200.pdf
  5. https://obamawhitehouse.archives.gov/the-press-office/2016/12/01/presidential-proclamation-modify-harmonized-tariff-schedule-united
  6. https://www.usitc.gov/harmonized_tariff_information/announcement_archive
  7. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-08-15/pdf/2025-15518.pdf
  8. https://starusa.org/trade-news/usitc-investigation-launched-on-2028-harmonized-tariff-schedule-changes-to-align-with-global-standards/
  9. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-01-08/pdf/2025-00157.pdf
  10. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2023/october/successful-conclusion-of-the-72nd-session-of-the-harmonized-system-committee.aspx

HTSUS 2026版と相互関税大統領令の監視ポイント

2026年は、米国の関税実務に関わる担当者にとって「年次改訂のHTSUS」と「相互関税(Reciprocal Tariff)の大統領令」が同時に効いてくる年です。前者は品目番号や統計コード、関税率表示の更新を通じて、後者は追加関税の上乗せや例外の変更を通じて、見積り、契約、通関、原産地管理の全領域に波及します。

本稿では、HTSUS 2026版をどう扱うべきか、相互関税の大統領令がどこで実務に影響するかを整理し、ビジネス担当者が週次・月次で監視すべきポイントを実務目線でまとめます。

1. まず押さえるべきHTSUS 2026版の性格

HTSUSは、単なる「関税率表」ではありません。品目分類(4桁、6桁、8桁)に加えて、10桁目として統計用の2桁(Statistical Suffix)が紐づき、通関・統計・規制の運用基盤になっています。USITCの資料でも、Statistical Suffixは見出し番号と組み合わさって10桁のHTS番号となり、CBPの分類裁定(CROSS)とも連携する要素として整理されています。

ここで重要なのは、年次のBasic Editionだけ見て安心しないことです。USITCは年次版に加えて、法律改正、大統領令、連邦官報告示などに応じて改訂版を継続的に公表します。過去のガイドでも、Basic Editionが公表された後、改訂はオンラインで随時反映され、変更履歴(Change Record)は改訂ごとに作成される(累積一覧ではない)点が明記されています。つまり、2026年版のスタート地点を押さえたうえで、継続的な改訂の追跡が不可欠です。

加えて、更新頻度は想像以上に高くなっています。USITCの予算資料では、年次のBasic Edition(1月)に加えて複数回の改訂が公表されており、HTSがCBPの取締りや米国統計の基盤である点も強調されています。

監視の結論
2026年版HTSUSは「年次の版替え」ではなく、「頻繁な改訂を前提にした運用基盤の最新版」です。年初に更新して終わりにすると、途中で追加関税の章99が動いた際に、見積りと実際の納税額がズレるリスクがあります。

2. 相互関税の大統領令は、章99で実務に落ちる

相互関税は、通関現場では「章99の追加番号を付けるかどうか」で具現化します。制度の核心は、IEEPA(国際緊急経済権限法)を根拠にした追加従価税の上乗せです。

2025年4月2日の大統領令14257は、「大規模かつ持続的な対米貿易赤字」が国家安全保障と経済に対する異常かつ重大な脅威であると認定し、IEEPAに基づき世界の貿易相手国に対して相互関税を課す枠組みを設定しました。基本設計は「すべての国に対してまず10%の追加関税、その後別表(Annex I)に列挙された国は国別税率へ引き上げ」というものです。

その後、2025年7月30日付の大統領令は、HTSUSを別表(Annex II)で改訂し、発効タイミングを「2025年8月7日午前0時01分(米東部時間)」としつつ、一定条件を満たす輸送中貨物には旧税率を適用できる例外(in-transit exception)を設けています。また、別表に記載のない国は10%の追加従価税が適用されることが明記されています。

さらに重要なのが、関税回避のための迂回輸出(トランシップ)とCBPが判断した場合、追加で40%を課す枠組みです。この「40%上乗せ」は対象施設や経路に対する強い抑止措置であり、関税還付や減免の余地が原則認められない点も特徴です。

ここまで来ると、監視対象は「税率」だけではなくなります。いつから変わるのか、輸送中例外に該当するのか、原産地と物流経路の証跡は揃っているのか、という運用面が中心になります。

3. 実務で見るべき一次情報の置き場

相互関税の改訂は、大統領令だけ追っても現場実装が読み切れません。最低限、次の三点セットを監視する前提で社内運用を構築するのが安全です。

(1)USTRの「Presidential Tariff Actions」一覧
相互関税に関係する大統領令と別表への導線がまとまっており、改訂の連鎖を追跡しやすい構成になっています。

(2)Federal Register(連邦官報)の実装告示
相互関税や二国間合意の実施に際し、HTSUS改訂(章99追加など)が官報で告示され、発効日が告示日とズレることがあります。例えばスイス・リヒテンシュタイン案件では、告示自体は2025年12月18日でも、HTSUS改訂の一部が2025年11月14日以降の輸入に遡って適用され得る形になっています。

(3)CBPのCSMS(Cargo Systems Messaging Service)ガイダンス
現場の申告ルールが最も具体的に示されます。2025年7月30日のCSMSでは、特定国(Annex I)対象品がHTSUSの9903.02.02から9903.02.71の範囲で申告される旨、EUは「列1税率が15%未満なら合算で15%、15%以上なら追加ゼロ」という扱いになる旨など、実務に直結する情報が記載されています。

4. 日本企業が特に注意すべき論点

日本向けの扱いは、「税率表の国別税率を探す」だけでは不十分です。二国間合意の実施や例外設計で細かく動くからです。

Federal Registerの「米日合意の関税要素実施」に関する告示では、日本品についても、列1税率が15%以上なら追加関税がゼロ、15%未満なら合算で15%になる、という設計が示されています。さらに、対象範囲や民間航空機協定など、相互関税や他の布告関税が重なる領域での除外調整にも言及があります。

ここから読み取れる監視ポイントは明確です。日本向けの影響は「一律の国別追加税率」ではなく、「列1税率との合算ロジック」や「品目別の除外調整」で動く可能性がある、ということです。

5. 監視ポイントを業務に落とすチェックリスト

以下は、実務担当が週次・月次で確認すべき監視項目です。社内で担当を割り当て、変更が出たら誰が何を更新するかまで決めておくと、トラブルが減ります。

5-1. HTSUS側の監視

10桁コードの変化(Statistical Suffixの変更)
コードが変わると、原価計算、禁制品判定、通関データ連携が崩れます。Statistical Suffixが10桁番号の一部である点は、USITCの仕様として押さえておく必要があります。

Change Recordと章98・章99の確認
影響が出やすいのは「本表」よりも、例外や追加関税が集まる章99です。改訂ごとのChange Recordは累積ではない前提なので、最新版だけでなく改訂履歴も合わせて確認します。

データ取得の自動化
USITCはCSV、Excel、JSONでのエクスポートやREST APIを提供しています。人手での転記は遅延とミスの温床なので、少なくともマスタ更新は半自動化するのが現実的です。

5-2. 相互関税側の監視

発効日の定義と輸送中例外
大統領令は「entered for consumption」などの発効条件と時刻を厳密に定義します。輸送中例外の条件も合わせて確認し、船積み日と入港後の申告時点で適用が変わるリスクを管理します。

章99の申告番号と適用順序
追加関税や貿易救済措置が重なると、申告行で複数の章99番号を記載することになります。CBPは報告順序(301関税、IEEPAフェンタニル関連、IEEPA相互関税、232関税など)を明示しているため、ブローカーへの指示書にこの順序を固定で記載しておくと、申告エラーが減ります。

除外リスト(Annex II)の変動
除外は固定ではなく、更新され得ます。Annex IIは8桁サブヘディングの列挙で構成され、説明文は参考情報であり、正式な適用は別表の正式文言が優先されます。疑義がある場合はCBPへの確認が必要です。社内では「8桁でヒットしたら即影響あり」ではなく、「正式文言と章99実装を確認して確定」という手順を標準化します。

迂回輸出・トランシップのリスク
大統領令は、回避目的のトランシップと判断された場合に追加40%を課す設計を含んでいます。サプライヤー証明、製造工程、原材料原産地、物流経路の証跡を、価格調整や関税還付より優先して整備する必要があります。

官報告示による遡及リスク
官報告示でHTSUS改訂が公表される際、告示日より前の輸入に適用される形があり得ます。輸入案件の締め処理では、通関日と発効日を照合し、必要なら追徴や修正申告の可能性まで視野に入れておくべきです。

6. 監視体制の構築方法

現実的な運用の型として、以下を提案します。

情報源を三つに固定する
USTR一覧、Federal Register、CBP CSMS。まずこれらを「毎週確認する」ルールにします。

変更が出たら、影響判定は10桁コードと章99で行う
8桁の品目分類だけで止めず、10桁の統計コードと章99の追加番号まで落として初めて影響判定を確定します。

ブローカー向け指示書をテンプレ化する
「適用法令」「章99番号」「申告順序」「輸送中例外の判断材料」をセットにして、案件ごとに差し替える形式にします。

7. まとめ

HTSUS 2026版は、年次の版替えというより「頻繁に更新される基盤の最新版」です。相互関税の大統領令は、章99と発効日管理、除外リスト、そして原産地と物流証跡の強化を通じて、実務を直接揺さぶります。

2026年は、関税率の確認だけでなく、どの情報源をいつ確認し、どのタイミングで社内マスタとブローカー指示を更新するか、という運用設計が成否を分けます。

本稿は一般的な情報提供を目的としたものです。個別案件の判断は、通関業者や専門家、関係当局の最新ガイダンスに基づいて行ってください。