HS2022 第9類:コーヒー、茶、マテ及び香辛料(Coffee, tea, maté and spices)

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • コーヒー(焙煎の有無・デカフェの有無を問わない)と、コーヒーの殻・皮、コーヒーを含む代用品(0901)
    • 茶(緑茶・紅茶・半発酵茶を含み、フレーバー付きでも可)(0902)
    • マテ(0903)
    • 胡椒(Piper属)、乾燥唐辛子等(Capsicum/Pimenta属の乾燥品、粉砕・粉状含む)(0904)
    • 香辛料(バニラ、シナモン、クローブ、ナツメグ等、各種種子、しょうが、サフラン、ターメリック等)(0905〜0910)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • コーヒー/茶/マテの抽出物・濃縮物、インスタント(例:インスタントコーヒー、濃縮紅茶)→ 第21類 2101(「抽出物・エッセンス・濃縮物…」)
    • 香辛料に塩・糖・油・うま味調味料等を加え、香辛料としての本質(essential character)を超えて「調味料」化したもの → 第21類 2103(混合調味料等)になり得る
    • “茶”と呼ばれていても Camellia sinensis ではないハーブティー原料(例:ミント葉、カモミール等)→ 第12類 1211(植物性の薬用・香料用等)等に寄りやすい(実体で判断)
    • Cubeb pepper(Piper cubeba)→ 第12類 1211(第9類の類注で除外明記)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「原形の農産物(豆・葉・樹皮・種子等)」か、「抽出物/濃縮物/調製品」か(0901〜0910 vs 2101/2103)
    2. 香辛料の混合:同一項内の混合か、異なる項同士の混合か(類注で 0910 へ寄せるルールあり)
    3. 茶(0902)は「包装重量(3kg以下か)」で6桁が分かれる(小売・業務用の境界になりやすい)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • スパイスミックス(カレー粉等):0910(香辛料の混合)か、2103(混合調味料)かで章が変わり、関税・原産地規則(PSR)・食品規制の取り扱いもズレやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+部注/類注):第9類は類注(混合の扱い、除外品)が強いです。まず「何が混ざっているか」「何を足したか」を類注に当てます。
    • GIR6(号の決定):茶の「3kg以下包装」や、胡椒/バニラ等の「粉砕・粉状か否か」など、6桁条件がそのまま号の分岐です。
    • (補足)GIR3(b)(本質/essential character):香辛料に他物質を加えたとき、「香辛料としての本質が残るか」を考える場面で実質的に登場します(ただし第9類類注が先に立ちます)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 原料植物(属・種、部位:豆/葉/果実/種子/樹皮等)
    • 状態(乾燥、焙煎、発酵/半発酵、粉砕/粉状、抽出/濃縮)
    • 混合の有無(同一項内か、異項混合か、塩・糖・油等の添加の有無)
    • 包装(特に茶:3kg以下の即時包装か)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:これは「コーヒー/茶/マテ/香辛料(植物そのもの)」ですか?
    • はい → Step2へ
    • いいえ(抽出物・濃縮物・インスタント等) → 2101(第21類)を疑う
  • Step2:香辛料(0904〜0910)の場合、「混合」ですか?
    • 単品 → 各項(0904〜0910)へ
    • 混合 → Step3へ
  • Step3:混合の中身は「同一項の産品どうし」か「異なる項どうし」か?
    • 同一項どうし(例:黒胡椒+白胡椒=どちらも0904)→ その項のまま
    • 異なる項どうし(例:胡椒0904+クミン0909)→ 0910(香辛料の混合)へ寄せる
  • Step4:香辛料に塩・糖・油などを足していませんか?
    • 足している → 「香辛料の本質が残る」なら第9類の可能性が残るが、混合調味料に該当すると 2103(第21類)へ行くことがある
  • よく迷う境界:
    • 第9類(香辛料) vs 第21類(2103:混合調味料、2101:抽出物・インスタント)
    • 第7類(生鮮のトウガラシ等) vs 第9類(乾燥/粉砕のトウガラシ等)
    • 第9類(スパイスとしての種子) vs 第12類(1211:薬用・香料用植物等)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第9類は項数が多くないため、全列挙します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0901コーヒー(焙煎/デカフェ問わず)、コーヒーの殻・皮、コーヒーを含む代用品生豆、焙煎豆、デカフェ豆、コーヒーハスク(カスカラ原料)、コーヒー入り代用飲料原料焙煎/未焙煎、デカフェで号が分岐。抽出物・インスタントは 2101 へ寄りやすい
0902茶(フレーバー付きでも可)緑茶、紅茶、烏龍茶(半発酵茶)、フレーバーティー、ティーバッグ「発酵(紅茶)/不発酵(緑茶)/半発酵」+「3kg以下包装」有無で号が分岐
0903マテマテ茶用の葉抽出物は 2101(茶/マテ抽出物)へ
0904胡椒(Piper属)、乾燥トウガラシ等(Capsicum/Pimenta属の乾燥品)黒胡椒ホール/粉、白胡椒、乾燥唐辛子ホール/粉、パプリカパウダー乾燥/粉砕のCapsicum等は第7類から除外され 0904(類間境界が明確)
0905バニラバニラビーンズ、バニラパウダー「粉砕・粉状か否か」で号分岐
0906シナモン、シナモンの花シナモンスティック、シナモンパウダー一部種(セイロンシナモン)とその他で分岐+粉砕分岐
0907クローブ(丁子:果実・花・柄)クローブホール、クローブ粉末粉砕分岐
0908ナツメグ、メース、カルダモンナツメグホール/粉、メース、カルダモン品目(ナツメグ/メース/カルダモン)別+粉砕分岐
0909アニス/スターアニス/フェンネル/コリアンダー/クミン等の種子、ジュニパーベリーコリアンダーシード、クミンシード、フェンネルシード等種子の種類別+粉砕分岐。第12類1209(播種用種子)に行かない例外規定がある点に注意
0910しょうが、サフラン、ターメリック、その他の香辛料(混合含む)しょうが(ホール/粉)、サフラン、ターメリック粉、スパイスミックス(異項混合)異項の香辛料混合は 0910.91 へ寄せる(類注)。塩等を加えた混合調味料は 2103 の可能性

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • コーヒー:未焙煎/焙煎、デカフェ/非デカフェ(0901.11/12/21/22)
    • 茶:緑茶(不発酵)/紅茶(発酵)/半発酵、かつ 即時包装3kg以下か(0902.10/20/30/40)
    • 香辛料:粉砕・粉状(crushed/ground)か否か(0904、0905、0906、0907、0908、0909、0910の一部)
    • 香辛料の混合:同一項内の混合はその項、異項混合は0910(類注1)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(例)
    1. 0901(コーヒー豆) vs 2101(インスタント/抽出物)
      • どこで分かれるか:豆・粉など「コーヒーそのもの」か、抽出/濃縮/調製したものか
      • 判断に必要な情報:製造工程(抽出の有無)、形状(粉末でも「豆を粉砕しただけ」か「インスタント」か)、原材料表示
      • 典型的な誤り:「粉末=インスタント」と誤認して2101にしてしまう(または逆)
    2. 0902.10/0902.30(3kg以下包装) vs 0902.20/0902.40(その他)
      • どこで分かれるか:即時包装(immediate packing)1包装あたり内容量が3kg以下
      • 判断に必要な情報:包装仕様(個装の重量、袋数、業務用の大袋か)、販売形態(小売向け/業務用)
      • 典型的な誤り:外装(カートン)重量で判断してしまい、個装3kgルールを見落とす
    3. 0904(乾燥トウガラシ等) vs 第7類(生鮮トウガラシ等)
      • どこで分かれるか:乾燥/粉砕/粉状のCapsicum/Pimenta果実は第7類から除外され0904へ
      • 判断に必要な情報:乾燥状態、加工(粉砕)有無、含水率の実態(乾燥品か)
      • 典型的な誤り:「唐辛子=野菜(第7類)」で固定してしまう
    4. 0910.91(異項の香辛料混合) vs 2103(混合調味料)
      • どこで分かれるか:香辛料同士の混合で本質が香辛料なら0910.91に寄りやすい一方、塩・糖・油等の添加で「調味料」化すると2103へ
      • 判断に必要な情報:配合比(香辛料比率、塩・糖・油等の割合)、用途(テーブル用調味料か)、製品表示(seasoning/condiment)
      • 典型的な誤り:「カレー粉=0910」と決め打ちし、実際は塩や増量材が多い混合調味料だった

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第2部(植物性生産品)では「ペレット」の定義があり、圧縮または結合剤(バインダー)添加でも重量比3%以下ならペレットとして扱う、という考え方が示されています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば、粉末原料(茶葉粉末・香辛料粉末等)が「成形されている」場合でも、結合剤がごく少量(≤3%)で、実体が当該品目のままなら、安易に「調製品(第21類等)」へ飛ばさず、まずは当該章・項に当てる発想を持つ、という注意喚起になります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 結合剤や他原料が多く、もはや香辛料/茶等の本質が弱い(=調製食品の性格が強い)場合は、第21類(2103/2106等)を再検討します。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 香辛料(0904〜0910)の混合は、類注1でルール化されています。
      • 同一項の産品同士の混合 → その項
      • 異なる項の産品の混合 → 0910
      • 他物質を加えても、本質(essential character)が香辛料として残るなら分類は原則維持。ただし「混合調味料」に当たるものは 2103。
    • Cubeb pepper(Piper cubeba)等は第9類に含めない(除外)という明示があります。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • この類注で鍵になるのは「essential character(本質)」の考え方です(配合・用途・見た目・香味の支配性などで判断)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • Cubeb pepper(Piper cubeba)→ 1211(第12類)
    • 混合調味料(mixed condiments/seasonings)→ 2103(第21類)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:香辛料ミックスの行き先が 0910 か 2103 か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 原材料一覧(香辛料以外:塩・砂糖・でん粉・油脂・調味料・香料などの有無)
      • 配合比(可能なら重量%)
      • 用途(卓上調味料か、香辛料原料か)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書、配合表、BOM、製造工程図、パッケージ表示(食品表示)、サンプル写真
    • 誤分類の典型:
      • 「カレー粉」等をすべて0910に寄せる(実際は塩等を含む混合調味料で2103が妥当なケースがある)
  • 影響ポイント2:異項混合は 0910 に“寄せる”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 混合されている香辛料が、見出し上「同一項」か「別項」か(例:胡椒0904+クミン0909=別項)
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表、原材料名、原料の学名/一般名(どの香辛料か)
    • 誤分類の典型:
      • 異項混合なのに、主要原料の項(例:胡椒0904)に入れてしまう(類注1(b)を見落とし)
  • 影響ポイント3:第12類1209(播種用種子)への“逃げ”ができない品目がある
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 対象が「第9類の産品(香辛料その他)」かどうか
    • 実務ポイント:
      • 第12類の類注で、1209は「香辛料又は第9類の産品」には適用しない(播種用でも)とされており、種子だからといって自動で1209にしない、という落とし穴があります。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:インスタントコーヒーを0901にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目が粉末で「コーヒー粉」と誤認
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):抽出物・濃縮物・調製品は2101側の見出しに当てる(0901はコーヒーそのもの等)。
    • 予防策:工程確認(抽出の有無)、仕様書で「soluble/instant」表示、成分分析表
  2. 間違い:緑茶/紅茶の6桁を「発酵だけ」で決め、3kg包装条件を見落とす
    • なぜ起きる:重量条件が見出し文に埋もれている
    • 正しい考え方:0902は「発酵区分」×「即時包装3kg以下」で号が分岐。
    • 予防策:個装単位の重量(immediate packing)を必ず確認、包装仕様書・梱包明細を入手
  3. 間違い:“ハーブティー”原料を0902(茶)にしてしまう
    • なぜ起きる:商品名に「tea」が入る
    • 正しい考え方:0902は「茶(Camellia sinensis)」の枠。別植物の葉等は1211等へ寄りやすい(実体で判断)。
    • 予防策:学名/原料植物、用途(薬用/香料用/飲用)を確認。社内質問例「原料植物は何か(学名)?」
  4. 間違い:乾燥唐辛子を第7類(野菜)にしてしまう
    • なぜ起きる:「唐辛子=野菜」の固定観念
    • 正しい考え方:第7類の注で、乾燥/粉砕のCapsicum/Pimentaは第7類から除外され0904へ。
    • 予防策:乾燥状態・加工状態(粉砕)を確認。商品写真、含水率、製法メモ
  5. 間違い:スパイスの「ホール」と「粉」を同じ6桁で申告
    • なぜ起きる:同じ品名(pepper/cinnamon等)だから
    • 正しい考え方:0904/0905/0906/0907/0908/0909は「粉砕・粉状か否か」で分岐するものが多い。
    • 予防策:粒度仕様(メッシュ)、製造工程(粉砕工程の有無)、製品形状写真の保管
  6. 間違い:異項の香辛料ミックスを、主要原料の項(例:0904)に分類
    • なぜ起きる:主要原料主義で判断し、類注1(b)を見ない
    • 正しい考え方:異なる項の香辛料混合は 0910 に分類するルールがある。
    • 予防策:配合表を入手し、各原料を「どの項か」まで落としてから最終号を決める
  7. 間違い:塩入りスパイス(シーズニング)を 0910 としてしまう
    • なぜ起きる:「スパイスが主だから」と短絡
    • 正しい考え方:類注では、混合調味料に当たるものは 2103 とされ得る。
    • 予防策:塩・糖・油等の割合確認、用途(卓上/調理用)確認、表示(seasoning/condiment)確認
  8. 間違い:Cubeb pepper を 0904(胡椒)にしてしまう
    • なぜ起きる:「pepper」という英名だけで判断
    • 正しい考え方:第9類の類注で Cubeb pepper は除外(1211へ)。
    • 予防策:学名確認(Piper nigrum か Piper cubeba か)、原料証明書・仕入先仕様書を取得

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第9類は「章変更(第21類へ飛ぶ)」が起きやすいので、分類ミスがそのまま原産性判断の前提崩壊につながります(例:0910想定でPSR確認→実体は2103だった)。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:シーズニング)だけ見てHSを決め、原料(香辛料・塩等)のHSや工程の影響を見ない
    • 「茶葉(0902)」と「インスタントティー(2101)」を同じ扱いにしてPSRを見てしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに参照するHS版が異なることがあり、PSR確認時は「協定が参照するHS年版」を前提に読み替えが必要です。日本の税関も、EPAごとのHS年版差を意識する必要がある旨を案内しています。
  • 本章(第9類)に関しては、少なくともHS2012→HS2017→HS2022の第9類(6桁)構成は同一です(後述7章)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、各材料の原産国、非原産材料のHS、原価(RVCの場合)、工程フロー
  • 書類:
    • 仕様書、配合表、製造工程表、購買証憑、原産材料/非原産材料の証明、保存要件に沿った保管(協定・運用で異なる)
  • 第9類特有の「追加で集めたいもの」:
    • 香辛料ミックス:配合比(0910か2103かに効く)、添加物一覧
    • 茶:包装仕様(3kg条件)
    • コーヒー:抽出の有無(0901か2101か)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(6桁の構成同一)0901〜0910第9類の見出し・類注・6桁構成が同一年版差による読み替え負担が比較的小さい(ただし国内コードは別途確認)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCO公表のHS2017第9類条文(見出し・類注・6桁)と、HS2022第9類条文を突合し、項・号の構成および類注文言が同一であることを確認しました。
  • なお、税関・統計で使う国内細分(日本の国内コード)はHS6桁とは別物なので、年次改正や国内細分の新設等は別途(日本の関税率表)で確認が必要です。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第9類は **HS2007→HS2012で香辛料系を中心に細分化(6桁の分割)**があり、その後(HS2012→HS2017→HS2022)は6桁構成が概ね維持されています。

期間主な追加・削除・再編(6桁ベース)旧コード→新コード(例)実務メモ
HS2007→HS2012分割(香辛料の「粉砕/粉状」等の識別を強化)例:0904.20(乾燥Capsicum/Pimenta)→ 0904.21(乾燥・未粉砕)/0904.22(粉砕・粉状)粒度・加工状態の確認がより重要に
HS2007→HS2012分割例:0905.00(バニラ)→ 0905.10/0905.20バニラもホール/粉で申告分岐
HS2007→HS2012分割例:0907.00(クローブ)→ 0907.10/0907.20同上
HS2007→HS2012再編(削除/統合+再配置)例:0909.10(アニス等)・0909.20(コリアンダー)・0909.30(クミン)・0909.40(ジュニパー)→ 0909.21/22、0909.31/32、0909.61/62 等へ整理種子系の分類が「種類×粉砕」で整理された
HS2012→HS2017大きな再編なし(本章)年版差は相対的に小さい
HS2017→HS2022大きな再編なし(本章)同上

(注)相関表は改正の全体像を把握するのに便利ですが、最終的な分類は条文(見出し・注)と取引実体に基づきます。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):カレー粉を0910で申告したが、実体は「塩入りシーズニング」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):香辛料に他物質を加えた結果、混合調味料(2103)扱いが妥当になり得るのに、類注の「本質」判断と2103への分岐を見落とし
    • 起きやすい状況:商品名に「spice mix」「curry powder」、原材料に塩があるが確認不足
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、遅延(一般論)
    • 予防策:配合表・塩分%・用途(卓上/加工用)を事前確認、必要なら税関相談
  • 事例名:乾燥唐辛子(粉)を第7類で申告
    • 誤りの内容:第7類の注で乾燥/粉砕Capsicumは第9類0904へ除外される点を見落とし
    • 起きやすい状況:「野菜」カテゴリで社内マスターが固定
    • 典型的な影響:分類更正、書類差替、食品届出書類の再提出(一般論)
    • 予防策:乾燥・粉砕の有無を写真・仕様書で固定し、マスターに注記
  • 事例名:ティーバッグの号を誤り(3kg条件の見落とし)
    • 誤りの内容:0902の「即時包装3kg以下」条件を見落とし
    • 起きやすい状況:外装重量で判断、個装仕様が不明
    • 典型的な影響:更正、統計誤りの指摘、取引先の書類修正(一般論)
    • 予防策:個装重量・入数をインボイス/パッキングリストに明記
  • 事例名:Cubeb pepper を「胡椒」として0904申告
    • 誤りの内容:第9類類注の除外(Cubeb pepper)を見落とし
    • 起きやすい状況:英名 “pepper” のみで判断
    • 典型的な影響:差戻し、追加説明要求、輸入許可の遅延(一般論)
    • 予防策:学名確認(Piper cubeba)、仕入先仕様書の収集

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • コーヒー、茶、香辛料は食品に該当し、輸入時は食品衛生法に基づく手続(輸入届出等)が関係します(実務は検疫所手続が中心)。
    • 植物検疫
      • 植物由来原料(乾燥品・種子・葉等)は、形態や加工度により植物検疫の確認が必要となる場合があります。対象可否は植物防疫所(植物検疫)の案内・品目別条件で確認します。
    • ワシントン条約(CITES)等
      • 第9類の典型品目(コーヒー・茶・一般香辛料)は通常CITES中心ではありませんが、原料植物が特殊な場合は別途確認が必要です(一般論)。
    • 安全保障貿易管理
      • 通常は該当しにくい分野ですが、輸出する場合は輸出管理の一般ルールに従い最終確認します。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 税関(分類・関税・EPA原産地)
    • 厚生労働省・検疫所(輸入食品手続)
    • 農林水産省・植物防疫所(植物検疫)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 成分・配合表(スパイスミックスは特に重要)
    • 製造工程(抽出/濃縮の有無)
    • 原材料の学名・原産地
    • 包装仕様(茶の3kg条件)
    • 食品表示ラベル(輸入時提出や社内確認用)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料植物(学名/一般名)、部位(豆・葉・果実・種子・樹皮)
    • 加工状態(乾燥、焙煎、発酵/半発酵、粉砕、抽出/濃縮)
    • 混合の有無、添加物(塩・糖・油・調味料等)と配合比
    • 茶:即時包装(個装)重量、ティーバッグ仕様
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 香辛料混合:同一項内/異項混合、0910.91適用可否
    • 2101(抽出物)/2103(混合調味料)へ飛ぶ要素がないか
    • Cubeb pepper等の除外品に当たらないか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「roasted/green」「decaffeinated」「ground/crushed」「fermented/green」「mix/seasoning」「salt added」等、分岐語を入れる
    • 仕様書、写真、配合表を添付できる状態にする(照会対策)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS年版、PSRの対象号、原料HSの整合
    • 保存書類(BOM/原価/工程)を協定要求に合わせて準備
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生:輸入届出の要否、検査要否(検疫所)
    • 植物検疫:品目別条件の確認(植物防疫所)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文:第9類 Coffee, tea, maté and spices(0209_2022E))参照日:2026-02-14
  • WCO(HS2017条文:第9類(0209_2017E))参照日:2026-02-14
  • WCO(HS2012条文:第9類(0209_2012E))参照日:2026-02-14
  • WCO(Section II 注:pellets の定義)参照日:2026-02-14
  • WCO(第21類:2101(抽出物等)、2103(混合調味料等))参照日:2026-02-14
  • WCO(第12類:1209(播種用種子)注記、1211)参照日:2026-02-14
  • WCO(第7類:乾燥/粉砕Capsicum等は第7類から除外→0904)参照日:2026-02-14
  • 日本税関:HS2022への対応(相関表等の案内)参照日:2026-02-14
  • 日本税関:EPA/原産地(PSR検索等、協定ごとのHS年版差に関する情報)参照日:2026-02-14
  • (参考)WCO相関表(HS2007→HS2012)参照日:2026-02-14
  • 東京税関:輸入手続(輸入食品・植物検疫等の案内)参照日:2026-02-14
  • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の案内(パンフ)参照日:2026-02-14
  • 日本食品分析センター:輸入食品の届出・検査の概説(参考)参照日:2026-02-14

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