アフリカでビジネスを展開する企業にとって、2026年は大きな転換点の年となりました。アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)の枠組みに基づき、南アフリカ共和国が本格的な関税引下げを始めたからです。
本稿では、南アフリカで進む関税撤廃の仕組みと背景、そして日本企業にとってのリスクとチャンスを分かりやすく解説します。

1. 2026年、南アフリカで始まった関税引下げ
2026年1月、南アフリカ歳入庁(SARS)はAfCFTA協定に基づく新しい関税スケジュールを施行しました。これは2024年から段階的に進められてきた優遇貿易の「第3フェーズ」にあたります。
AfCFTAでは、アフリカ各国が輸出入の約9割を占める「非敏感品目」の関税を段階的に撤廃することを目指しています。南アフリカが属する南部アフリカ関税同盟(SACU)では、これらを5年以内にゼロにする計画のもと進展しており、2026年はいよいよ本格的な転換期です。
有機化学品、ゴム製品、ガラス、銅製品、機械部品などを中心に関税が大きく引き下げられ、域内での取引コストが急速に低下しています。アフリカ内でのビジネスがより実行しやすくなっているのです。
2. 「資源輸出型」から「付加価値型」ビジネスへ
南アフリカ政府がこの動きを強力に推進する目的は、アフリカ経済の付加価値化と産業成長です。これまでのように「資源を採掘して輸出し、製品を輸入する」構造から脱却し、「製造・加工を自ら行う産業構造」への転換を目指しています。
特に自動車や医薬品、食品加工などでは、南アフリカをハブにした域内生産ネットワークが広がりつつあります。
例えば、南アフリカで組み立てた車両をケニアやガーナへ無関税で輸出するモデルが現実味を帯びてきました。今後、アフリカ内部での「ものづくり」が加速していくことが期待されます。
3. カギを握る「原産地規則」
関税がゼロになるといっても、条件を満たす必要があります。その条件が「原産地規則(Rules of Origin)」です。これは、「どの国・地域で付加価値が生まれたか」に基づいて関税の優遇を受けられる仕組みのことです。
2026年時点で全品目の約9割は合意済みですが、自動車・繊維製品など一部では依然として厳しい基準が設けられています。
たとえば、多くの製品では全体の40〜60%程度の価値がアフリカ域内で生み出されていることが求められます。日本企業が南アフリカに進出する際、部品をすべて日本から輸入する形では優遇を得にくくなるため、現地調達やパートナー企業の育成が重要になります。
4. 対米関係と地域戦略の分岐点
2026年は、米国との貿易関係にも注目が集まっています。特に、米国の「対アフリカ成長機会法(AGOA)」の行方が不透明で、南アフリカはアフリカ域内貿易を強化することで、外部市場への依存を減らそうとしています。
こうした動きは、アフリカ内部での経済連携を強め、世界的な不確実性への耐性を高めることにつながります。
南アフリカを拠点とする企業にとっても、市場の多様化とリスク分散という点で大きなメリットがある流れです。
5. 今後の展望 —— 日本企業にとってのチャンス
南アフリカの関税引下げは、アフリカ大陸全体がひとつの巨大市場に向けて再構築される流れの中心にあります。南アフリカは、金融・物流・インフラの面でアフリカ有数の拠点となっており、この統合を主導する立場に立とうとしています。
日本企業にとっても、南アフリカは「単なる輸出先」ではなく、**13億人のアフリカ市場への玄関口(ゲートウェイ)**となる存在です。今後は、関税だけでなく物流、電子決済(PAPSS)、非関税措置の緩和といった「貿易環境の全体的な変化」を見据えた戦略設計が求められます。
特定の業界(例えば、自動車部品や精密機器)に焦点を当てた詳細な関税率分析や競合企業の進出動向レポートも作成可能です。ご関心があればお知らせください。
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