いま「ASEANの電子原産地証明が使えない」という話で、直近で公式に確認できる“発生中”のトラブルは、マレーシア側のASEAN Single Window(ASW)ゲートウェイ障害です。

何が起きているのか(どのシステムの話か)
- 対象は、ATIGA(ASEAN物品貿易協定)の電子Form D(e-Form D)を、各国NSW(National Single Window)同士がASW経由でやり取りする仕組みです。 (シンガポール税関)
- マレーシア当局(MITI)が、ASWゲートウェイの技術障害(B2Biサービスの問題)により、2026年1月14日からe-Form Dの送受信が利用できないと告知しています。
影響範囲
- マレーシアが絡む「域内(ASEAN域内)」取引で、ATIGA特恵をe-Form Dで使う案件が直撃します(例:マレーシア→タイ、ベトナム→マレーシア等)。
- “電子Form Dが前提”の運用が進んでおり、国によってはハードコピーを拒否し得る(少なくとも拒否される可能性がある)点が実務上のボトルネックになります。 (シンガポール税関)
当面の暫定措置(マレーシア発の輸出側)
MITIの案内では、マレーシアは2026年1月14日付で、当面「紙Form D」の発給(印刷運用)に一時的に戻しています(解除日は “until further notice”)。
手順は大きく2パターンです。
- すでにe-Form DがMITIで承認済みだが、相手国で通関できない
- e-Form Dの参照番号(reference number)を、Dagang Netの窓口にメール連絡
- 印刷可能になったら通知が来る
- A4で印刷(電子的に付された署名・シール付き)し、輸入者へ回付
- まだForm Dを申請していない
- ePCOシステムで通常どおり申請
- 承認後に参照番号をメール連絡
- 以降は同様にA4印刷→輸入者へ
実務で起きやすい詰まりどころ
- 輸入国側が「紙Form Dの受付可否」を現場判断で止めるケース(電子前提の運用が強い国ほど、通関現場で確認に時間がかかりやすい)。 (シンガポール税関)
- 結果として、特恵適用のために
- 担保差入れや後日更正(事後の減税・還付)
- 一旦MFN等で納税して後から申請
のような“二度手間”が発生しがちです(可否は国・税関手続き次第)。
いますぐできる実務アクション
- 対象が「ATIGAでの域内特恵」かを切り分け(RCEPや二国間EPAの案件と混同しない)
- 取引ルートごとに「輸入国税関が紙Form Dを受けるか」を通関業者経由で先に確認
- 証跡を厚めに残す
- ePCO申請・承認画面、参照番号
- Dagang Netとのメール、印刷版Form D
- インボイス・B/L等の突合せ一式