インドにおけるHSコードの事前教示制度

以下は、インド中央間接税関税委員会(CBIC)におけるHSコードの事前教示(Advance Ruling)制度の実務まとめです。本制度はCustoms Authority for Advance Rulings(CAAR)により運用され、関税法(Customs Act, 1962)第VB章およびCustoms Authority for Advance Rulings Regulations, 2021に基づきます。

1. 運用組織と連絡先

運用組織
Customs Authority for Advance Rulings(CAAR)

所管ベンチ
全国を2区分して所管:

  • CAAR, New Delhi:北部・東部および海外所在の申請者を所管
  • CAAR, Mumbai:西部・南部を所管

連絡先

CAAR, New Delhi

  • 住所:5th Floor, NDMC Building, Yashwant Place, Satya Marg, Chanakyapuri, New Delhi-110021
  • 電話:011-26117895
  • Email:cus-advrulings.del@gov.in

CAAR, Mumbai

公式URL・様式

2. 事前教示のプロセス

所管ベンチの確認
申請者の住所によりDelhi又はMumbaiに提出。Delhiはインド国外住所の申請も所管します。

申請書の作成・提出
Regulation 6に従いForm CAAR-1で申請。A4サイズ、英語またはヒンディー語で作成し、他言語資料は認証翻訳を添付。正本4部(quadruplicate)を作成し、10,000ルピーの申請手数料(Demand Draft、宛先は”Customs Authority for Advance Rulings, Delhi”又は”Customs Authority for Advance Rulings, Mumbai”)を同封して所管CAARに提出します。

受理・補正
受付後、不備補正の指示があり得ます。不備解消後に再提出した日が法定処理期間の起算日となります。

適否審査(門前審査)
同一質問が既に係属中又は既判の場合は申請不許可となります。不許可は聴聞の機会付与と理由付記が必要です。

審理(書面・口頭)
申請者からの申立により口頭陳述(聴聞)が可能。代理人出頭も認められます。

裁定(Advance Ruling)の言渡し
申請受理(不備解消後)から原則3か月以内に書面で言渡しされます。

3. 申請に必要な情報

Form CAAR-1で求められる主な情報:

  • 申請者情報(名称・住所・連絡先・PAN、IEC該当時)、代理人情報
  • 申請者資格(IEC保有者、インド向け輸出者、その他正当な理由を有する者等)
  • 対象活動(予定又は現行)と現状
  • 問合せ事項の特定(チェック式):(i) 分類(HS/CTA 1975)、(ii) 通達・通知の適用有無(税率影響)、(iii) 評価(関税評価の原則)、(iv) その他の課税関係通知の適用、(v) 原産地の判定等
  • 事実関係の詳細(製品説明、組成、用途、製造工程、型式一覧、カタログ等)
  • 申請者の法令解釈・主張(根拠条文・解説書等の参照を含む)
  • 同一・類似争点の係属・既判の有無
  • 添付書類リスト、手数料支払情報

対象となる質問の範囲は関税法第28H条(2)に規定されています(分類・評価・通知の適用・原産地等)。

4. 処理期間

法定期限:3か月
受理日(不備解消後の再提出日)から3か月以内に裁定を言渡し。

5. 有効期間

有効期間:3年
2022年改正(財政法2022)により、Advance Rulingの効力は3年間又はその根拠となる法令・事実が変更されるまでのいずれか早い時点まで有効です。

拘束力の範囲
当該申請者とその案件に関して、所轄税関長(および配下の税関官署)を拘束します。

6. 申請手数料

申請手数料:10,000インドルピー
Demand Draft形式で、宛先は”Customs Authority for Advance Rulings, Delhi”又は”Customs Authority for Advance Rulings, Mumbai”。

上訴手数料
不服申立(Form CAAR-2;高等裁判所への上訴手続)の手数料は15,000ルピー。

上記以外に、翻訳費・カタログ作成・試験成績書取得・郵送費等の実費が生じることがあります(法定外の任意費用)。

7. 実務上の注意点

申請資格
IEC保有者、インド向け輸出者、または正当な理由を有しCAARが相当と認める者。

不受理(門前不受理)事由
同一質問が係属中(税関・審判所・裁判所)又は既判(審判所・裁判所で確定)の場合は、CAARは受理不可。

代理・聴聞
申請者はインド居住の代理人に委任可能。申立により口頭意見陳述の機会あり。

無効事由
虚偽・詐欺・事実誤認に基づく裁定は遡及無効(void ab initio)となります(関税法第28K条)。

不服申立
申請者またはCBICが、裁定(CAARのOrder/Ruling)に対し、60日以内に高等裁判所へ上訴可能(相当理由で30日延長可)。

言語要件
英語又はヒンディー語。他言語資料は認証翻訳を添付。

公開状況
CAARの裁定や発出状況を公表している例(Delhi税関サイト等)があり、先例調査に有用です。

所管の州割当
Regulation 6付表にDelhi/Mumbaiの州・UT別の所管が列挙されています。提出前に必ず確認してください。

申請準備チェックリスト

製品説明の精緻化
型番・規格・材質(化学組成%)・用途・工程図・図面・写真・カタログを準備。

技術根拠
WCO解説(Explanatory Notes)の参照箇所、インド判例・過去のCAAR裁定の引用。

比較品
近似品の既存分類や他国分類の情報(法的拘束力はないが参考資料として有用)。

原産地裁定の場合
原産地規則(該当FTA)の条項、原産材料・非原産材料の内訳、原産判定計算書を準備。

係属・既判の事前確認
社内・代理人・通関士と突合し、二重トラックを回避(不受理を防止)。

要点の早見表

項目内容
提出先CAAR(Delhi/Mumbai)
様式Form CAAR-1、正本4部、10,000ルピーのDemand Draft添付
処理期間不備解消後の受理日から3か月以内
有効期間3年間(又は法令・事実変更まで)
拘束力当該申請者と所轄税関を拘束
上訴期間60日以内に高等裁判所(最大30日延長可)

インドネシアのHSコード事前教示制度:PKSI実務ガイド

制度名:PKSI(Penetapan Klasifikasi Sebelum Impor:輸入前分類の事前決定)
最終確認:2025年10月7日

1. 所管組織と公式情報源

所管機関
財務省 税関総局(DJBC/Direktorat Jenderal Bea dan Cukai)

主要URL

制度の定義・出願主体・提出方法・必要資料・処理期限・有効期間の要点が、DJBC公式ページとPMK本文に明記されています。

2. 事前教示(PKSI)のプロセス

対象
輸入前のHS分類(関税分類)の事前決定

申請者
インポーター(輸入者)に限定(個人・法人を問わない)

申請から決定までの流れ

  1. 申請準備
    PMK付属書(Lampiran A)の様式に基づき作成
    提出先:DJBC本部「Direktur Jenderal u.p. Direktur Teknis Kepabeanan」宛
  2. 提出経路
    • 電子メール提出、または
    • 本部窓口(loket)での直接提出
  3. 形式審査と補正
    審査過程で追加資料・サンプル等の提出を求められる場合があり、要請日から14営業日以内に補充が必要(未提出の場合は却下)
  4. 決定通知
    完全書類の受領後、最長30営業日で「PKSI決定」または「不受理通知」が発出される
  5. 申告時の取り扱い
    PKSI番号・日付をPIB(輸入申告)に記載し、決定書の写しを添付

運用上の留意点
PKSIは義務ではなく、輸入手続はPKSIなしでも可能です。論点のある品目を選択的に申請するのが実務的とされています。

3. 申請に必要な情報

申請書(Lampiran A)に加え、以下の技術資料のうち該当するものを添付します(PMK第3条3項/DJBCページに列挙):

  • 商標(Brand)
  • 写真/パンフレット(Brosur)
  • カタログ
  • 製品仕様書(Product specification)
  • Mill certificate(材料証明書等)
  • 製造工程フロー
  • MSDS(Material Safety Data Sheet)
  • 分析証明書(Certificate of analysis)
  • 試験結果(税関ラボまたは外部ラボ)
  • その他、分類判定の判断材料となる文書

必要に応じてサンプル提出を指示される場合があります。

4. 標準処理期間

  • 標準処理期間:30営業日以内(完全書類の受領日または追加資料の完全受領日から起算)
  • 補充期限:当局からの追加資料・サンプル要請に対し14営業日以内に対応(未対応の場合は申請却下)

5. 有効期間と拘束力

有効期間
発出日から3年間。ただし、貨物の同一性(決定書記載との一致)や法令改廃等の条件により失効します。

拘束力
対象貨物が同一であれば、税関はPKSIに従って分類します(PMK第9条)。

6. 申請手数料

政府手数料
DJBCの標準サービス文書において「不徴収(Tidak dipungut biaya)」と案内されています。

※ただし、外部ラボ分析やサンプル輸送等の実費が生じる場合があります(個別指示ベース)。

7. その他重要事項

提出要件(申請資格)

  • 申請時点で当該貨物のPIB(輸入申告)をまだ提出していないこと
  • 当該貨物が不服申立て・訴訟の対象になっていないこと

見直し(Peninjauan)
PKSIに異議がある場合、決定日から30日以内に新証拠を添えて見直し申請が可能。見直し結果は30営業日以内に発出されます。

PIBでの表示義務
PKSIの番号・日付の記載と決定書の添付を忘れないようにしてください。

BTKI(HSの国内体系)
分類は**BTKI(PMK 26/PMK.010/2022等)**に基づきます。INSWの品目検索(INTR)・相関表も併用すると整合確認が容易です。

相談・問い合わせ
DJBCユーザーサポート窓口(Service Desk/Call Center CEISA)の連絡先が公開されています:

PKSIは任意手続
論点の大きい品目を選んで出願するのが効率的です(当局説明資料)。


申請を成功させる実務TIP

  1. 「分類の決め手」が一目で分かる技術資料を用意
    用途・機能・構造、材質・組成%、工程、写真・図面、他国裁定やWCO ENの根拠など
  2. 追加資料要請(14営業日)に即応できる体制構築
    サプライヤ・品質・法務部門と事前に連携しておきます
  3. PIB提出前に余裕をもって申請
    ヒアリング→補充→決定まで30営業日が目安です

参考リンク

2025年米国鉄鋼・アルミニウム関税制度の概要と企業対応(2025年10月最新版)

下記情報は確実にと努力しましたが、不確定な部分もあり、あくまで参考としてください。

最新動向(2025年8月~10月)

2025年8月以降、Section 232関税制度は更なる拡大を続けています。8月18日に407品目の派生製品が追加され、9月にはインクルージョン申請の第2回受付期間が実施され、10月には木材・重トラック関税の新規措置が発表されました。

8月18日発効:407品目の大規模追加

商務省産業安全保障局(BIS)は、407の製品カテゴリーを232関税対象の「派生製品」リストに追加しました。この拡大により、年間輸入額2,000億ドル超に相当する400以上のHS番号が新たに対象となり、実効関税率が約1パーセントポイント上昇したと推定されています。

主な追加品目

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品
  • バス部品
  • 空調ユニット部品

この措置は、6月23日発効の家電製品追加に続く第2弾の大規模拡大であり、鉄鋼・アルミニウムの含有価額部分に50%の関税が課されます。

9月:第2回インクルージョン申請期間

BISは2025年9月15日から29日まで、第2回目のインクルージョン申請受付期間を実施しました。このプロセスは年3回(5月・9月・1月)実施され、国内生産者等が追加対象品目を申請できる制度です。申請から60日以内にBISが判断を行い、採用された品目は順次232関税の対象に追加されます。

10月14日発効:木材・木製品への新規232関税

9月29日の大統領布告により、針葉樹材・木材および木製派生製品に対する新たなSection 232関税が10月14日から適用されています。

税率

  • 針葉樹材・木材:10%
  • 室内装飾付き木製家具:25%(2026年1月1日から30%に引上げ)
  • キッチンキャビネット・洗面台:25%(2026年1月1日から50%に引上げ)

重複関税の取扱い

  • 相互関税(reciprocal tariffs)およびIEEPA関税とは重複適用されない
  • 232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみ適用
  • 対カナダ・メキシコIEEPA関税と重複する場合は木材232関税のみ適用

11月1日発効予定:中・大型トラック関税

10月6日、トランプ大統領は中型・大型トラック(車両総重量10,000ポンド超)および部品に対する25%の232関税を11月1日から適用すると発表しました。当初は10月1日発効予定でしたが、米国自動車メーカーからのロビー活動を受けて1カ月延期されました。

4月に開始された商務省の232調査では、「少数の外国供給者が略奪的貿易慣行により米国輸入の大部分を占めている」と指摘されており、国家安全保障上の脅威と位置付けられています。主要な影響国は、メキシコ、カナダ、日本、ドイツ、フィンランドです。

米国トラック協会(ATA)は、この措置に加えてIEEPA関税や232鉄鋼・アルミ関税も適用されることで業界への負担が過大になるとして、緩和を求めています。

1. 2025年の大改定のポイント

関税率の大幅引上げ

2025年6月3日の大統領布告により、鉄鋼・アルミニウムおよびその派生製品に対する関税率が一律**50%**に引き上げられました(英国のみ25%)。これは通商拡張法第232条(Section 232)に基づく措置で、2025年6月4日(EDT)以降の輸入に適用されます。

課税方式の変更:「金属含有価額」ベース

従来の「総額課税」から「金属含有価額のみに対する課税」に変更されました。CBP(米国税関国境警備局)の実務通達により、派生製品やHS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)の品目についても、製品全体ではなく鋼・アルミニウムの含有価額部分のみに232関税が課されます。

除外制度の終了と「インクルージョン制度」の創設

2025年2月10日の布告により、従来の232除外申請制度が終了しました。代わりに、派生製品を追加指定するための「インクルージョン手続」が年3回(5月・9月・1月)の受付期間で運用開始されています。

重複課税(スタッキング)の整理

複数の特定関税が同一貨物に重複して過剰となる事態を一定範囲で防ぐ手順が規定されました。ただし、232関税と対中制裁の「301関税」については累積適用されることが明記されています。

2. 派生製品の対象拡大

「派生製品(derivatives)」とは、基礎素材(鉄鋼・アルミニウム)からさらに加工された下流製品のことで、2018年の232措置では対象外だった製品分野にまで関税を適用するために指定されています。

2025年の主な追加項目

アルミニウム派生製品(4月4日発効)

  • 空のアルミ缶(HS 7612.90.10)
  • ビール(HS 2203.00.00)

鉄鋼派生製品(6月23日発効)

  • 家電製品(冷蔵冷凍庫、洗濯機、乾燥機、食洗機、オーブン・レンジ、生ごみ処理機)
  • 溶接ワイヤラック(HS 9403.99.9020)

トレーラー類(8月18日発効)

  • ドライバン・冷凍(リーファー)トレーラー(HS 8716.39.0040等)とそのサブアセンブリ

407品目の大規模追加(8月18日発効)

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品

木材派生製品(10月14日発効)

  • 針葉樹材・木材
  • 室内装飾付き木製家具
  • キッチンキャビネット・洗面台

中・大型トラック(11月1日発効予定)

  • 車両総重量10,000ポンド超の中型・大型トラックおよび部品

今後の展開

BISのインクルージョン制度により、国内生産者等の申請に基づいて派生製品は継続的に追加される見込みです(申請から60日以内に判断)。次回の申請期間は2026年1月に予定されています。

3. 関税算定の具体的方法

基本税率

  • 鉄鋼・アルミニウム・派生品:50%(英国原産品のみ25%)
  • 木材派生品:10~25%(段階的引上げあり)
  • 中・大型トラック:25%(11月1日~)

課税ベースの算定

  • HS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)製品:金属の「含有価額」のみに課税
  • 派生製品:製品中の鋼・アルミニウム含有価額に対して課税
  • 鉄・アルミ両方を含む派生品:それぞれの含有価額に対してそれぞれの232関税を課税

申告方式:「2行計上」

CBPの指示により、以下の2行に分けて申告します:

  1. 1行目(非金属部分):本来のHS番号、原産国、「総額-金属含有価額」
  2. 2行目(金属含有価額):同一HS・原産国、数量0、価額=金属含有価額、HS第99類で50%課税

算定例

洗濯機(申告価額500ドル、うち鋼含有価額100ドル、アルミ含有価額20ドル)の場合:

  • 鋼部分:100ドル × 50% = 50ドル
  • アルミ部分:20ドル × 50% = 10ドル
  • 232関税合計:60ドル

中国原産品で301関税対象の場合、さらに25%が併課される可能性があります。

4. 重複関税の取扱い

232関税 vs 301関税(対中)

累積適用されます。中国原産で232対象品の場合、232(50%)+ 301(25%)が併課される可能性があります。

232関税(鉄鋼・アルミ) vs IEEPA(相互関税)

232に関わる金属部分にはIEEPAは重複適用されませんが、非金属部分にはIEEPAが課される場合があります。

232関税(木材) vs その他関税

木材関連の232関税は、相互関税・IEEPA関税(ブラジル40%、インド25%)とは重複適用されません。232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみが適用されます。

その他の特則

  • ロシア関連アルミニウム:232とは別に200%の特則が存続
  • デューティードローバック不可
  • FTZは原則「特恵外国品扱い」が必要

5. 企業の実務対応チェックリスト

A. 分類・原産・含有価額の把握

HTS分類の見直し:新規派生指定品目について社内マスターを更新

  • 家電、トレーラー、空缶・ビール(既存)
  • 風力タービン、移動式クレーン、ブルドーザー、鉄道車両、家具、圧縮機、ポンプ、オートバイ、船舶用エンジン、EV用電気鋼材、排気システム部品(8月18日追加)
  • 木材、木製家具、キャビネット(10月14日追加)
  • 中・大型トラック(11月1日予定)

金属含有価額の算定体制整備:BOM・コスト表から鋼・アルミ含有価額を抽出できる仕組みの構築

原産性証明の取得

  • 鉄鋼:Melt & Pour(溶解・鋳造)国の証明
  • アルミニウム:Smelt & Cast(製錬・鋳造)国の証明
  • メキシコ経由品は2024年7月以降の厳格化に注意

B. 課税最適化戦略

調達先の見直し:英国原産品は25%(他国50%)の優遇税率を活用

米国内素材の活用:米国でMelt & Pour/Smelt & Castされた素材は0%免除の可能性

設計変更の検討:鋼・アルミ以外素材への置換、金属使用量削減による含有価額の圧縮

複数関税の影響分析:232 + 301 + AD/CVDの総負担試算

C. 契約・申請対応

価格条項の見直し:サプライ・販売契約に「232/301変動条項」を追加

インクルージョン申請の活用(国内生産者向け):年3回の申請機会を活用した競合品の追加指定

社内統制の強化:HTS・原産・含有価額・証憑の監査体制整備

6. 実際の企業事例

American Trailer Manufacturers Coalition

Great Dane、Stoughton、Strick、Wabashなどの米国トレーラーメーカー連合が2025年5月にBISへ派生指定追加を申請し、8月18日にドライバン・リーファートレーラーが派生製品として採用されました。

Whirlpool(米国家電メーカー)

家電の派生指定追加(6月23日)に対し、「金属含有価額課税」や重複関税整理を踏まえた支持表明を行い、国産比率の高さを背景に価格公平化効果を主張しています。

Ball Corporation(アルミ缶メーカー)

2025年の関税環境下でも、調達・ヘッジ・価格見直しにより影響は限定的としており、財務・契約面での対応による影響平準化の好例となっています。

外国自動車メーカー連合

外国自動車メーカー連合は、EV用電気鋼材や排気システム部品の派生製品追加に対して、米国内に十分な生産能力がないことを理由に反対意見を提出しましたが、採用されませんでした。

Tesla

Teslaは、電気自動車モーターや風力タービンに使用される鉄鋼製品の追加指定について、米国内の生産能力が不足しているとして反対しましたが、8月18日の決定で対象に含まれました。

7. 今後の注意点

制度面のポイント

  • 232税率は原則50%(英国25%、木材10~25%)
  • 課税ベースは金属の「含有価額」のみで、2行計上が必要
  • 派生品範囲は今後もインクルージョン制度により拡大予定(年3回:5月・9月・1月)
  • 301関税(対中)とは累積適用される
  • 2026年1月には木製家具・キャビネット関税が段階的に引上げ(30%・50%)

企業の優先対応事項

緊急対応(~2025年11月)

  • 中・大型トラック輸入企業:11月1日発効の25%関税への対応準備
  • 木材・木製品輸入企業:10月14日発効の関税(10~25%)の影響分析と価格見直し

継続対応

  • HTS分類の再確認(407品目追加を反映)
  • 含有価額算定体制の整備
  • Melt & Pour/Smelt & Cast証憑の取得
  • 契約価格条項の見直し
  • 対中国301関税重複の影響分析
  • (国内生産者の場合)次回インクルージョン制度(2026年1月)の活用検討

情報収集

  • BISの連邦官報公告の定期的な確認(次回申請期間:2026年1月)
  • 自動車部品インクルージョン制度の動向監視(2025年10月1日から第1回申請期間開始)

この新制度により、米国への鉄鋼・アルミニウム関連製品の輸出入には従来以上に精緻な管理と戦略的対応が求められています。特に2025年8月の407

同一商品なのに中国の税関ごとにHSコード(税則号列)が違う場合

同一商品なのに中国の税関ごとにHSコード(税則号列)が違う場合、放置すると税率・輸出VAT還付・監管条件に影響します。中国ではHS分類の根拠と統一方法が制度化されています。以下の順に動くと解決が早いです。


まず押さえる前提

  • 中国の分類は、「進出口税則」「税則商品及び品目注釈」「本国子目注釈」等に基づいて決めます(客観・正確・統一の原則)。同一貨物は同一の分類決定に従うのがルールです。Government of China
  • 税関審査中でも緊急に出す必要があるときは、**担保提供での放行(担保放行)**が可能です。Government of China
  • 税則や注釈、申告要素(申报要素)は年初に改定されることがあるため、年度違いで見解が割れることもあります(例:2024→2025年の改定告知)。customs.gov.cn

すぐやること

  1. 技術資料を一本化
    品名・型番・用途・作用原理・材質/成分・構成/同梱品・完成/未組立か・セット品か・規格(GB/ISO等)・画像/図面・パンフ・安全データ、を中国語で揃えます。税関は実際状態で判断します。Government of China
  2. 公式データベースで“根拠合わせ”
    • 進出口税則・品目注釈」「本国子目注釈」を検索(用語の定義や除外規定を確認)。urumqi.customs.gov.cn+1
    • **申告要素(申报要素)**の最新版を確認(項目抜けが食い違いの典型原因)。customs.gov.cn
  3. 既存の“統一判断”がないかを調査
    GACCが公表する**「商品归类决定(分類決定)」や「行政裁定」に該当例があれば、それに全国で合わせる義務**が生じます。Government of China
  4. 相手税関に“根拠セット”で照会・調整
    2)と3)の根拠を添付し、「他港での見解」「年度の税則版」「申告要素の充足」を示して統一運用を依頼します(全国通関一体化の下、照会でそろうことが多い)。
  5. (貨物を急ぐ場合)担保放行+後追い確定
    輸出入を止めずに進めつつ、分類確定の手続きを継続します。Government of China

再発防止と“決定打”

A. 分類の「予裁定」(Advance Ruling)を取る

  • 効力3年間有効で、同一条件の貨物に全国で拘束力。税関は60日以内に決定書を交付(化験等の時間は除外)。申告時に**「预裁定+番号」**を備考に記載すれば税関が認めます。policy.mofcom.gov.cn+1
  • 申請窓口:「互联网+海关」→「税费业务」→「归类业务」→「归类预裁定」。shanghai.customs.gov.cn
  • 延長(展期)有効期限の30~90日前に延長申請可(2024年制度改正)。paper.people.com.cn
  • 海外企業でも申請できるケース上海自貿区では、海外の輸出者・生産者も契約条件等を満たせば代理経由で申請できるパイロットが運用中。該当すれば活用価値大。gdfs.customs.gov.cn+1

B. GACCの「分類決定」・「行政裁定」で全国統一

  • GACCが公表する分類決定(归类决定)は普遍的拘束力を持ち、同一貨物に全国一律適用。該当例を根拠にすれば各港で統一されます。Government of China

C. 紛争になったら「行政復議」

  • 具体的な行政行為(コードの否認・追徴等)に不服があれば、知った日から60日以内上級税関へ行政復議(不服申立て)が可能。審理は原則60日(必要に応じ最長+30日)。Government of China+1

なぜ食い違うのか

  • 申告要素の不足/表現の差(“用途/構成/機能/組成”の書きぶりで見解が割れる)。customs.gov.cn
  • 製品状態の違い(完成/未組立、セット詰合せ、同梱アクセサリーの有無)。Government of China
  • 年度改定や注釈改訳の差(年替わりで注釈修正)。customs.gov.cn
  • 既存の「分類決定」・判例情報の見落とし(既決例があるのに参照していない)。gdfs.customs.gov.cn

実務パッケージ

  • 申告書類の備考例(中国語) 依据《中华人民共和国海关预裁定决定书》(编号:XXXX),本批货物与预裁定列明情形一致,特按该决定申报。gongbei.customs.gov.cn
  • 予裁定 申請書類チェックリスト
    ① 申請書(中文版)② 製品仕様書/図面(CN)③ 成分/材質証明 ④ 用途・作用原理説明 ⑤ 型番対応表 ⑥ 写真/動画リンク ⑦ サンプル(要求があれば)⑧ 他港での指摘・税号案の比較票 ⑨ 国家/業界標準の引用(該当時)policy.mofcom.gov.cn+1

まとめ

  1. 技術資料と申告要素を整備 → 2. 公式注釈・既決例で根拠固め → 3. 港間調整(必要なら担保放行) → 4. 予裁定で将来案件を固定 → 5. なお争いが残るなら行政復議
    これで同一商品のHSコードを全国で一本化できます。Government of China+3Government of China+3policy.mofcom.gov.cn+3

参考:公式リソース(検索入口)


「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ」の信憑性を評価する(2025年10月6日時点)

10月3日のロイター電以降に出ている一次・二次情報を突き合わせて、件の見出し「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ」の信憑性を評価します。


結論

  • ロイター(10月3日)が伝えたのは「検討中(considering)」。正式決定はまだというのが記事本文のニュアンスです。ホワイトハウス関係者も「大統領の署名による公式行動がない限り、政策の議論は推測だ」とコメントしています。Reuters
  • その後の国内報道の多くはロイター電を基に「延長を近く決定へ/決定の見通し」と書きましたが、新たな公式文書や布告は未確認です(10月6日現在)。Yahoo!ファイナンス+2Mainichi+2
  • 現行の「関税相殺(Import Adjustment Offset)」制度は、2026年4月末までMSRPの3.75%、その後は2027年4月末まで2.5%という既存ルールのみが官報・大統領布告で有効。5年延長やエンジンまでの拡大はまだ告示されていません。The White House+2Federal Register+2

したがって、この見出しは方向性(軽減拡大の検討)自体は事実に沿う一方で、「決定へ」と断定的に読める点は行き過ぎ。“高い確度で検討中”だが“未決”というのが最新の整合的な読みです。


何が報じられたか(10/3のロイター)

  • 趣旨:米国で最終組立てを行う乗用車について、部品の232条関税に充当できる相殺額現行の3.75%(1年目)→2.5%(2年目)という暫定スケジュールから、3.75%を最大5年に延長し、米国製エンジンも対象に拡大する案を大統領が検討
    情報源はバーニー・モレノ上院議員(共和)および自動車業界関係者。ホワイトハウスは「署名までは推測」と述べ、正式決定は否定Reuters
  • 恩恵が想定されるメーカーとして、フォード、トヨタ、ホンダ、テスラ、GMなど米国内での国産比率が高いメーカーが名指しされました(記事内のモレノ氏コメント)。Reuters

10/3以降のフォロー報道(整理)

  • 日本メディアの後追い
    延長を近く決定する見通し」「負担軽減へ」といったトーンで配信(時事/Yahoo!ニュース、毎日新聞、電波新聞など)。いずれも根拠はロイター電で、新規の一次情報は付されていません。Yahoo!ファイナンス+2Mainichi+2
  • マーケット反応
    10/3の報道を受け、米自動車株が上昇(フォード、GM、トヨタ、ホンダなど)。バロンズは相殺延長観測を材料視と解説。Barron’s
  • 周辺コンテクスト(今日:10/6)
    対輸入全般の関税環境が厳しい中で、各社が米国内投資を増やす動きをロイターが総括。今回の相殺延長検討は、こうした潮流と整合しますが、個別制度の正式アップデートには触れていませんReuters

公式根拠(現行制度)

  • 大統領布告(4/29付)と連邦官報で、相殺率と適用期間が明確化:
    • MSRPの3.75%2025/4/3–2026/4/30の米国組立て分)
    • MSRPの2.5%2026/5/1–2027/4/30の米国組立て分)
    • 相殺額は部品の232条関税に充当未使用分は失効せずに繰越可能。
      これを超える延長・拡大の告示は10/6時点で未掲載The White House+2Federal Register+2

トヨタ・ホンダにとっての意味合い

  • 相殺の枠組みは「銘柄別の優遇」ではなく、米国で最終組立てを行うOEM全般が対象。トヨタ・ホンダも対象になり得ます。Reuters
  • 例:MSRP 4万ドルの米国組立車なら、3.75%=1,500ドル/台を部品関税の支払いに充当可能(現行制度)。これが5年に延長され、エンジン製造にも広がれば、米国内足場の強いトヨタ・ホンダのネット負担はさらに軽くなる可能性。※実際の効果は部品輸入構成や台数で変動。現時点では“検討段階”です。Federal Register+1

信憑性の評価

  • 一次性・具体性:ロイターは名指しの議員+業界関係者を情報源に、制度の具体数値(3.75%、5年、エンジン拡大)まで提示。信頼性は高め。ただしホワイトハウスは未決を明言しており、“方向性は確からしいが確定ではない”が妥当。Reuters
  • 公的裏取り連邦官報/大統領布告/商務省の新リリース延長告示は未掲載(10/6時点)。公式アクション未了Federal Register+2Federal Register+2
  • 二次報道の妥当性「決定へ」「延長へ」という表現は市場の期待を要約したものの、事実関係は「検討」レベル。表現が先走りの可能性。Yahoo!ファイナンス+1

これからの「正式決定」の見極めポイント

  1. ホワイトハウスの新たな大統領布告(Presidential Action)の公表。The White House
  2. 連邦官報(Federal Register)への制度改定の告示(5年延長やエンジン拡大の条項追加)。Federal Register
  3. 商務省(ITA/Trade.gov)のニュースリリースでの運用詳細更新。Trade.gov

上記のいずれかが出れば「決定・実施」に相当します。現行は2027年4月末までの2年相殺が有効で、それ以降や拡大は未確定です。Federal Register


参考(背景)

  • 2025年春以降、米国は自動車・部品に対する232条の25%追加関税を発動(既存の関税に上乗せ)。相殺制度はその痛みを一部緩和する狙い。Auto Care
  • こうした関税圧力のもと、海外企業の米国内投資拡大が相次いでいることをロイターが総括(10/6)。Reuters

ベトナム(Viet Nam)のHSコード「事前教示」

ベトナム(Viet Nam)のHSコードに関する「事前教示(Advance Ruling/ベトナム語:Xác định trước mã số)」**の実務まとめです(確認日:2025‑10‑06)。


相手国の対応組織とURL

ベトナムの事前教示(HS分類)は**ベトナム税関総局(General Department of Vietnam Customs, GDVC)**が所管します。オンライン提出を含む公式サイト・様式は下記です

□ 総局トップ/問い合わせ
  https://www.customs.gov.vn/

□ 事前教示(HS分類)ガイダンス(VNTR内・英語)
  https://vntr.moit.gov.vn/administrative_rulings

□ 国家公共サービスポータル(手続ページ/分類)
  https://dichvucong.gov.vn/p/home/dvc-chi-tiet-thu-tuc-hanh-chinh.html?ma_thu_tuc=1.007807

□ 電子申請ポータル(GDVC Online Public Service:pus)
  https://pus.customs.gov.vn/

□ 申請様式(Form 01/XĐTMS/TXNK:申請書の雛形PDF)
  

クリックしてMau%2001%20PL%206%20TT38%20-%20xac%20dinh%20truoc%20ma%20so%20hang%20nhap%20khau.pdfにアクセス

出典(制度全体と入口の確認):VNTRの「Administrative rulings」ページ、国家公共サービスポータル、GDVCオンラインポータル等。Viet Nam National Trade Repository+2Dich Vu Cong+2


事前教示のプロセス

  • 提出時期輸出入の少なくとも60日前までに、完全な申請書類GDVCへ提出(オンライン/郵送/対面のいずれか)。Viet Nam National Trade Repository
  • 提出経路
    • オンライン(pus.customs.gov.vn)、
    • 郵送、
    • 直接持参(GDVC本庁の受付)。Dich Vu Cong
  • 審査・不受理:書類が不十分、他機関で調査中、既に同一品のコードが官庁文書で示されている場合などは不処理(不受理)Viet Nam National Trade Repository
  • 形式審査(5日)受領から5営業日以内に、要件不充足の場合は文書で拒否通知Viet Nam National Trade Repository
  • 結果通知完全書類の受領後通常30日/複雑案件60日結果(事前決定)を文書で通知し、税関データベースに登録・GDVCサイトで公表Viet Nam National Trade Repository

事前教示をもらうために必要な情報(最小パック)

  • 申請書Form 01/XĐTMS/TXNK(Circular 39/2018/TT‑BTC 付属書VI)。
  • 技術資料成分分析書/カタログ/写真等(サンプルは任意だが求められる場合あり)。
  • サンプル取扱い:分析・分類検査はCircular 14/2015/TT‑BTCの規定に従う。
    (いずれもVNTRの手順に明記)Viet Nam National Trade Repository+1

結果が出るまで必要な期間(目安)

  • 通常案件30日以内(完全書類受領から)。
  • 複雑案件60日以内
    (手続ページ・政令に一致する標準)Dich Vu Cong+1

事前教示の有効期間

  • 最長3年(総局長サイン日から起算)。
  • 事実相違・虚偽情報・法令改廃などがある場合は無効・取消となる旨を規定。Viet Nam National Trade Repository

事前教示を得るために必要な費用

  • 政府手数料公式手続ページに具体額の掲示なし(記載欄はあるが金額の明示は見当たらず)。
    実務上、分析・鑑定が伴う場合の実費が個別指示されることがあります。Dich Vu Cong

その他大切な項目(使い勝手に直結)

  • 拘束力と使途:GDVCが発する事前決定通知通関申告の根拠。ただし申請内容と実貨物が同一であること、法令不変が前提。Viet Nam National Trade Repository
  • 公表:結果通知は税関データベースへ登録され、GDVC公式サイトで公表される運用。実際にGDVCは「HSコードの事前決定通知(TB‑TCHQ)」を公開しています。Viet Nam National Trade Repository+1
  • 異議・再検討:内容に異議がある場合は**10営業日(通常)/30日(複雑)**で再検討結果を通知。Viet Nam National Trade Repository
  • 変更届出義務:申請対象品に変更が生じたら10営業日以内にGDVCへ文書通知。Viet Nam National Trade Repository
  • 提出先・方法の再確認:GDVC本庁の窓口提出に加え、**オンライン提出(pus.customs.gov.vn)**が公的Q&Aで明記。Dich Vu Cong
  • 提出タイミング60日前提出が公式ガイダンス(VNTR)に明記されているため、図面・分析等の補充時間も含め逆算が安全。Viet Nam National Trade Repository

すぐ使える実務TIP(チェックリスト)


まとめ(要点)

  • 窓口:GDVC(オンライン提出可)。
  • 提出60日前Form 01+技術資料(必要に応じサンプル)
  • 期間30日(通常)/60日(複雑)
  • 有効最長3年(同一事実・法令不変が前提、条件変更で失効)。
  • 手数料明記なし(分析等の実費は個別)。
  • 公開・再検討データベース登録・サイト公表異議は10/30日で回答
    (根拠:政令08/2015(改正59/2018)英訳、VNTR、国家公共サービスポータル、GDVC告知)Viet Nam National Trade Repository+2Viet Nam National Trade Repository+2

相互関税(米国の追加相互関税:2025年10月6日)最新一覧

作成日:2025年10月6日(JST)

対象:下記各国・地域から米国へ輸入される貨物に対して課される「相互関税(Reciprocal Tariffs)」の追加関税率(通常の関税=HTSUSのColumn 1(General)税率に上乗せ。EU・日本は特例)です。

重要な注記

  • 注1:ここでの「関税率」は相互関税の追加分です。一般(MFN/Column 1)や他制度(セクション232、アンチダンピング等)は別途。
  • 注2:EU特例…Column 1 Duty Rateが15%未満の品は「(15% − Column 1)」を加算、15%以上追加0%
  • 注3:カナダ/メキシコはAnnex Iに非掲載→相互関税としてはSec.2(d)により10%ベースラインの対象。一方で**別制度(IEEPA:国境・合成麻薬対策)**の追加関税が並行:メキシコ25%カナダ原則35%(8/1発効、エネルギー等は10%)、USMCA適合は除外。詳しくは各行の備考を参照。
  • 注4:中国5/12の大統領令で相互関税を一時10%に引下げ(90日)8/11の大統領令で延長し、2025/11/10 0:01 a.m.(米東部標準時)まで継続。
  • 注5:経過措置(7/31 EOに基づく船積済み猶予)は2025/10/5 0:01 a.m.(米東部時間)で終了。税率自体の更新ではありません。

出所の略記:
「Annex I(7/31 EO)」=2025/7/31大統領令 “Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates” 附属書I(国別率)/本文Sec.2(d)(Annex I外=10%)
「EO 9/4(日本)」=“Implementing the United States–Japan Agreement”(日本の特例)
「EO 5/12・EO 8/11(中国)」=5/12の一時引下げ8/11の延長
「IEEPA(加・墨)」=北部/南部国境対策の別制度(連邦官報・WH発表)

前日からの差分

  • 税率の変更は確認なし(前日比:なし)。経過措置の失効済み(10/5 EDT)を注記に反映。

一覧表(国名・相互関税率・出所・備考)

特記なき限り、出所はAnnex I(7/31 EO)で、相互関税=追加%です。 全レートの原典はAnnex I。

国名相互関税率(追加)出所備考
Afghanistan(アフガニスタン)15%Annex I(7/31 EO)
Algeria(アルジェリア)30%Annex I(7/31 EO)
Angola(アンゴラ)15%Annex I(7/31 EO)
Bangladesh(バングラデシュ)20%Annex I(7/31 EO)
Bolivia(ボリビア)15%Annex I(7/31 EO)
Bosnia & Herzegovina(ボスニア・ヘルツェゴビナ)30%Annex I(7/31 EO)
Botswana(ボツワナ)15%Annex I(7/31 EO)
Brazil(ブラジル)10%Annex I(7/31 EO)
Brunei(ブルネイ)25%Annex I(7/31 EO)
Cambodia(カンボジア)19%Annex I(7/31 EO)
Cameroon(カメルーン)15%Annex I(7/31 EO)
Canada(カナダ)(相互関税)原則10%(Annex I外)EO 7/31 Sec.2(d)別制度:IEEPAで35%(8/1〜)、エネルギー等は10%、USMCA適合は除外。相互関税10%は“ベースライン”。
Chad(チャド)15%Annex I(7/31 EO)
China(中国)10%(一時引下げ・延長中)EO 5/12・EO 8/115/12の90日一時引下げ→8/11延長。11/10 0:01 a.m.(EST)まで
Costa Rica(コスタリカ)15%Annex I(7/31 EO)
Côte d’Ivoire(コートジボワール)15%Annex I(7/31 EO)
DR Congo(コンゴ民主共和国)15%Annex I(7/31 EO)
Ecuador(エクアドル)15%Annex I(7/31 EO)
Equatorial Guinea(赤道ギニア)15%Annex I(7/31 EO)
EU(欧州連合)特例方式Annex I(7/31 EO)Column 1<15%:**(15%−Column 1)**を加算/Column 1≧15%:追加0%
Falkland Islands(フォークランド諸島)10%Annex I(7/31 EO)
Fiji(フィジー)15%Annex I(7/31 EO)
Ghana(ガーナ)15%Annex I(7/31 EO)(原文に未記載だったため追補)
Guyana(ガイアナ)15%Annex I(7/31 EO)
Iceland(アイスランド)15%Annex I(7/31 EO)(原文に未記載だったため追補)
India(インド)25%Annex I(7/31 EO)
Indonesia(インドネシア)19%Annex I(7/31 EO)
Iraq(イラク)35%Annex I(7/31 EO)
Israel(イスラエル)15%Annex I(7/31 EO)
Japan(日本)特例:ベースライン15%EO 9/4(日本)Column 1<15%は合計15%、≧15%は追加0%汎用医薬品・特定資源は**0%**の品目例外。
Jordan(ヨルダン)15%Annex I(7/31 EO)
Kazakhstan(カザフスタン)25%Annex I(7/31 EO)
Laos(ラオス)40%Annex I(7/31 EO)
Lesotho(レソト)15%Annex I(7/31 EO)
Libya(リビア)30%Annex I(7/31 EO)
Liechtenstein(リヒテンシュタイン)15%Annex I(7/31 EO)
Madagascar(マダガスカル)15%Annex I(7/31 EO)
Malawi(マラウイ)15%Annex I(7/31 EO)
Malaysia(マレーシア)19%Annex I(7/31 EO)
Mauritius(モーリシャス)15%Annex I(7/31 EO)
Mexico(メキシコ)(相互関税)原則10%(Annex I外)EO 7/31 Sec.2(d)別制度:IEEPAで25%(USMCA適合は除外)。相互関税10%は“ベースライン”。
Moldova(モルドバ)25%Annex I(7/31 EO)
Mozambique(モザンビーク)15%Annex I(7/31 EO)
Myanmar(ミャンマー)40%Annex I(7/31 EO)
Namibia(ナミビア)15%Annex I(7/31 EO)
Nauru(ナウル)15%Annex I(7/31 EO)
New Zealand(ニュージーランド)15%Annex I(7/31 EO)
Nicaragua(ニカラグア)18%Annex I(7/31 EO)
Nigeria(ナイジェリア)15%Annex I(7/31 EO)
North Macedonia(北マケドニア)15%Annex I(7/31 EO)
Norway(ノルウェー)15%Annex I(7/31 EO)
Pakistan(パキスタン)19%Annex I(7/31 EO)
Papua New Guinea(パプアニューギニア)15%Annex I(7/31 EO)
Philippines(フィリピン)19%Annex I(7/31 EO)
Serbia(セルビア)35%Annex I(7/31 EO)
South Africa(南アフリカ)30%Annex I(7/31 EO)
South Korea(韓国)15%Annex I(7/31 EO)
Sri Lanka(スリランカ)20%Annex I(7/31 EO)
Switzerland(スイス)39%Annex I(7/31 EO)
Syria(シリア)41%Annex I(7/31 EO)
Taiwan(台湾)20%Annex I(7/31 EO)
Thailand(タイ)19%Annex I(7/31 EO)
Trinidad and Tobago(トリニダード・トバゴ)15%Annex I(7/31 EO)
Tunisia(チュニジア)25%Annex I(7/31 EO)
Turkey(トルコ)15%Annex I(7/31 EO)
Uganda(ウガンダ)15%Annex I(7/31 EO)
United Kingdom(英国)10%Annex I(7/31 EO)
Vanuatu(バヌアツ)15%Annex I(7/31 EO)
Venezuela(ベネズエラ)15%Annex I(7/31 EO)
Vietnam(ベトナム)20%Annex I(7/31 EO)
Zambia(ザンビア)15%Annex I(7/31 EO)
Zimbabwe(ジンバブエ)15%Annex I(7/31 EO)

参照先(主要ソース)

  • 大統領令(7/31)Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates(Annex Iの国別率、EU特例、Sec.2(d)の10%ベースライン、経過措置期日)。
  • 大統領令(9/4・日本)Implementing the United States–Japan Agreement(対日ベースライン15%・0%例外)。
  • 大統領令(8/11・中国延長)Further Modifying Reciprocal Tariff Rates to Reflect Ongoing Discussions with the PRC(一時10%の延長、終了=2025/11/10 0:01 a.m. EST)。
  • IEEPA(カナダ)Amendment to Duties to Address the Flow of Illicit Drugs Across Our Northern Border(**35%**へ増率、USMCA除外やエネルギー10%等の位置づけ)。
  • IEEPA(メキシコ)Imposing Duties To Address the Situation at Our Southern Border25%、USMCA適合除外)。

タイ(Thailand)のHSコード「事前教示」

タイ(Thailand)のHSコード「事前教示」(Advance (Tariff) Ruling / Advance Classification Ruling: ACR)の実務まとめ(確認日: 2025-10-06 JST)です。要所は公式資料直近の専門解説を併記しました。


1) 相手国の対応組織とURL

  • 対応組織:Thai Customs Department(タイ関税局)― 関税分類(Tariff Classification)を所管
    • Advance Tariff Ruling(制度解説)https://en.customs.go.th/content.php?ini_content=traders_and_business_151006_01(英語) en.customs.go.th
    • Advance Ruling(入口ページ)https://en.customs.go.th/list_strc_simple.php?ini_content=advance_ruling&lang=en&left_menu=menu_advance_ruling(英語) en.customs.go.th
    • 様式集(申請・見直しフォームを含む)https://en.customs.go.th/list_strc_download.php?ini_content=forms&lang=en&left_menu=menu_forms(英語。例:Request for Review of Advance Tariff Rulingen.customs.go.th
    • 制度説明(タイ語PDF)https://www.customs.go.th/data_files/01cd989a73e4fbfe8258619f8c6319fb.pdf(「Advance Ruling on Tariff Classification」) customs.go.th

2) 事前教示のプロセス(概要)

  1. 所定様式で申請(申請先:Thai Customs)。予定輸入日の「少なくとも30官庁日前」に提出する取扱いが明記。書類不備は発出遅延・不可・無効化の原因。 NEDA
  2. 審査:必要に応じ追加資料の提出を求められる(通知受領後15官庁日以内に補充)。補充完了後に30又は60官庁日の標準期間が起算。 wtocenter.vn
  3. 結果通知:書面の裁定(分類見解)が付与。最近の実務解説では**「30〜60営業日」**程度の見込み感も示される。 Tilleke & Gibbins

備考:2024年1月から**非拘束の事前相談(Non-binding consultation)**が開始。ACRとは別に、分類当局と事前に擦り合わせが可能です。 taxnews.ey.com


3) 事前教示をもらうために必要な情報(最小パック)

  • 製品名/商標・型番、用途、具体的特徴、成分・構成、製造工程
  • 写真・カタログ・図面・分析結果など識別に資する資料(必要に応じサンプル提出
  • (追加要請時は)15官庁日以内に補充提出
    これらはタイ関税局説明資料(および配布資料に引用される要件)で具体化されています。 wtocenter.vn

4) 結果が出るまで必要な期間(目安)

  • 公式ガイダンス30官庁日(案件により60官庁日)。追加資料要求があれば、受領後に上記期間を起算。 wtocenter.vn
  • 実務解説(2025年)30〜60営業日程度。 Tilleke & Gibbins
  • 提出タイミング予定輸入の30官庁日前までに申請するのが原則。 NEDA

5) 事前教示の有効期間

  • 現在の実務3年間(法令・事実変更まで/申請内容と同一性が前提)。 Tilleke & Gibbins+1
  • 参考(古い資料):かつては2年との記述も流通(古い当局配布資料)。更新・見直しで3年運用に移行した旨の近年解説あり。 wtocenter.vn

6) 事前教示を得るために必要な費用

  • 手数料2,000バーツ/件(Advance Tariff Ruling申請手数料)。 en.customs.go.th
    ※同法体系では原産地・評価のAdvance Ruling2,000バーツの規定あり(関税法2017の手数料表)。 customs.go.th

7) その他大切な項目(実務上の注意)

  • 拘束力:ACRの結果は申請者とタイ関税の間で拘束的(前提条件が同一の場合)。有効は原則3年taxnews.ey.com
  • 見直し・不服Advance Tariff Rulingの「見直し申請」フォームが公開。見直し決定は最終で、発出日から2年間有効の取扱いが明記(見直し決定に関する規定)。 en.customs.go.th+1
  • 公開性中央公開DBは限定的だが、**「HSコード検証の前例(precedent rulings)」**が初期参照用に言及されることあり(一般向け体系的DBとは別)。 wtocenter.vn
  • 提出単位:実務上は品目ごとに申請し、完全な技術資料を添付するのが通例(多品目同時は非推奨)。 NEDA+1
  • タイのコード体系:タイの通関申告は11桁(AHTN8桁+国内3桁)。ACRの分類結果は**タイ関税品目表(AHTN準拠)**に基づくため、申告11桁への写し替え整合に留意。 blog.tradewin.net+1
  • 相談メニュー:2024年開始の非拘束の事前相談は、ACR申請前の論点整理に有用(費用はACRとは別。制度目的が異なる)。 taxnews.ey.com

申請前チェックリスト(実務TIP)

  • 組成・工程・用途・写真/図面分類特定に十分な粒度で揃っているか。
  • 第三者根拠(WCO分類意見・他国裁定等)があれば添付。
  • 追加資料要請15官庁日で応答できる体制(社内・サプライヤ連携)。 wtocenter.vn
  • 輸入予定日から逆算して30官庁日前に提出できるスケジュール設計。 NEDA

新聞記事「トランプ政権、トヨタ・ホンダなどへの関税軽減措置を決定へ」の信憑性について:AIによる確認

これは、2025年10月3日にロイター通信が最初に報じ、その後、日本の時事通信などが追って報じたニュースに基づいています。以下に、報道内容の詳細と現時点での注意点をまとめました。


報道内容の詳細まとめ

1. 報道の概要

2025年10月3日、ロイター通信が共和党上院議員や業界関係者からの情報として、「トランプ政権が、米国内で自動車を生産する大手メーカーを対象とした関税負担の軽減措置を拡充・延長する見通しである」と報じました。

2. 主な対象企業

この措置の対象として、米国内での生産比率が高い以下の企業が挙げられています。

  • トヨタ自動車
  • ホンダ
  • フォード・モーター
  • ゼネラル・モーターズ(GM)
  • テスラ

3. 検討されている具体的な措置内容

報道によると、トランプ政権は2025年5月に発動した自動車部品に対する25%の追加関税について、その負担を相殺するための制度を拡充する方向で検討しています。

  • 免除割合の据え置き: 現在、米国内で組み立てた車両の小売価格に対して、関税負担を免除する割合が設定されています。この割合は当初の**3.75%**から段階的に縮小される予定でしたが、これを据え置くことが検討されています。
  • 期間の延長: この負担軽減措置の適用期間を、当初の予定より長い5年間に延長する案が浮上しています。
  • 対象品目の拡大: 自動車本体だけでなく、エンジンもこの軽減措置の対象に含めることが検討されています。

4. 背景

この動きの背景には、2025年4月以降にトランプ政権が発動した一連の自動車関連の追加関税があります。乗用車本体の関税が大幅に引き上げられた一方、サプライチェーンの国内回帰と米国内での生産を促進する目的で、今回のような「アメ」となる措置が検討されているものと見られます。


注意点:現時点での情報の位置づけ

重要な点として、今回の報道はあくまで「見通し」や「検討段階」の内容であり、まだ正式に決定・発表されたものではありません

  • 情報源: 報道は、政府の公式発表ではなく、匿名の業界関係者や一部の与党議員の話に基づいています。
  • 不確定要素: 今後、具体的な措置の内容や条件が変更される可能性や、最終的に実施に至らない可能性も残されています。

したがって、このニュースは「トランプ政権内で有力な検討が進められている」と理解するのが現時点では最も正確です。今後の正式な発表が待たれる状況です。

FTA-BPOセミナー013 「FTA業務でのAI活用:可能性と限界」

FTA-BPOセミナー013 「FTA業務でのAI活用:可能性と限界」の日時が決まりました。


昨今、AI活用が叫ばれており、FTA業務もその例外ではありません。原産地証明、HSコードなど適用領域は多くありますが、その一方でAIを使う事による問題も生じています。

どういう点を考えるべきなのかを、ロジスティックが作ったAIモデルを使っていただき、皆さんと経験を交えてお話ししていきます。

■■ 講演者 ■■
株式会社ロジスティック 代表取締役 嶋 正和 氏

■■ 開催日時 ■■
2025年11月13日(木) 14:00~15:00

■■ 開催場所 ■■
Webのみでの開催(Teams利用予定)

■■ セミナー関連情報 ■■

AIを活用したHS Code Finder

セミナーへのご参加は、実際にHSコードを活用する企業に限定させていただきます。
お申し込みの後、セミナー当日午前中にご参加頂く方にリンクをお送りいたします。

■■ 申込み ■■
こちらからお申し込み下さい。